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1953-07-15 第16回国会 参議院 本会議 22号 公式Web版

  1. 昭和二十八年七月十五日(水曜日)    午前十時四十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十一号   昭和二十八年七月十五日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)  第二 離島振興法案(衆議院提出)(委員長報告)  第三 海事代理士法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第四 臨時船質等改善助成利子補給法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第五 青少年問題協議会設置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第六 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第七 大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第八 航空機抵当法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第九 昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣の演説に関する件。(第二日)  一昨日の大野国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。溝口三郎君。    〔溝口二郎君登壇、拍手〕
  4. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 北九州における災害状況と災害対策本部の活動状況につきまして、一昨十三日、本会議において大野国務相から報告がありました。なお戸塚建設相からも去る四日には現地視察の報告がなされました。更に、今回の大水害に対してはへ本院の議決によりまして現地の慰問並びに災害の実情調査のために現地に派遣された参議院議員団の報告が、去る四日に松岡平市君からなされました。それらに関連いたしまして、政府に対し二、三の質問をいたしたいと思います。  先ず第一に、今回の大水害の原因についてであります。今回の水害の最大原因は未曾有の大降雨にあつたということは、誰しも異存のないところであります。その降雨量は、六月二十五日の朝から二十九日までの五日間におきまして、山間部におきましては千ミリを超え、平地におきましても六百ミリに達したことは、未だ替りてない新記録であります。その結果、各河川が増水氾濫して、堤防は至るところに決壊し、筑後川におきましては、堤防の破壊箇所四十一カ所、その延長十キロ余に及ぶものがありましたが、濁水は五万町歩に及ぶ筑後平野一帯に浸水しまして、一面の泥海と化した状態であります。そのほかに遠賀川、矢部川、熊本県の菊池川、白川等、大分県の大分川、大野川、又、佐賀県におきましては嘉瀬川等、各河川も殆んど同様の惨状を呈したのであります。その結果、罹災者の数は二百二十五万人に達し、被害総額は二千百億に上るものがありましたことは、実に空前の大水害とも言うべきものであります。誠に遺憾に堪えぬところであります。政府におきましては、今回の災害の甚大なのに鑑みまして、災害直後、中央及び現地に災害対策本部を設置いたしまして、各関係機関を督励し、罹災者に対する食糧へ衣料等の配給へ防疫対策へ又は水害の応急施設等、緊急の措置を講じられましたことはへ極めて適切なる措置として、地方のこれに対する期待は特に大きく、大体におきまして、その応急措置については罹災地の要望に応えておるものと思われるのであります。特に大野国務相は、その努力によりまして、取りあえず三十億の繋ぎ資金を出して金融上の応急措置を講じられましたことは、現地におきましても最も感謝されているところであります。今のところ民心の動揺もなく、治安状態も良好であり、又罹災者の方々の復旧意欲も旺盛であつて、復旧作業が着々と進捗していることは、不幸中の幸いであります。新聞紙によりますると、大野国務相は、応急対策は一応終つたので、現地の対策本部はもはや解散のできる段階にあるが、地元では引続いて存置の要望が強いので、政府と相談の上で何分の処置をすると談話を発表しておられます。又被害総額は二千億円を越えているが、復旧のため、調査と復旧対策を立てて、十月頃には臨時国会を開いて予算的措置をとらなければならないだろうとも言われておりますが、応急対策については今のところ政府においては万全を尽されましたが、仮に十月頃国会が開かれて、それから予算措置をとるということになれば、従来の経験から言いましても、必ずやこれから三、四ヵ月の間の空白期間を生ずることになる虞れが多分にあるのであります。災害復旧費だけでも、河川、道路、橋梁等約二百三十億、耕地災害の復旧費は百七十億に上るものがあると言われております。二十八年度予算に計上されている災害予備金は僅かに百億でありまして、すでにそのうちの三十億は支出済であつて、残り全部を支出いたしましても、秋までにはこの大水害に対して何の足しにもならないのであります。万一、八月頃になつて、第三号、第四号などの台風が来たとしたならば、そのときには各地に災害の混乱状態を惹起する虞れのあることは火を見るよりも明らかなところであります。そのためには、一日も早く臨時国会を開いて、恒久対策を立てると共に、せめて本格的な予算措置等の目鼻の付くまでは現地に災害対策本部を存置して、民心の安定と復旧の促進を図ることが必要であると考えるのでございますが、政府はどのように措置なさることにきまつたか、大野国務相にお伺いいたします。  戸塚建設大臣は、今回の災害に鑑み、かかる災害の発生することのないように、従来の治水、治山の計画に再検討を加えて治水の万全を期したいと考えておると述べておられますが、その具体的構想をお伺いいたしたいのでございます。  このたびの北九州を襲つた豪雨が九百ミリにも達するという未曾有なものであつたことは申すまでもありません。併しながら、松岡平市君の報告にも述べられたように、現地の実情を仔細に観察いたしますと、なお人工的災害によると見られる点が少くないのでございます。その一つは、河川の管理について一元的な責任のある措置がとられていたかどうかという点にあるのでございます。例えば筑後川について見ますと、河口から中流部までは直轄河川になつておりまして、上流部は中小河川になつておつて、福岡、大分両県の管理に任されているのであります。両県の県境附近から僅かに二、三百メートル上流の大分県寄りにあつた工事中の夜明ダムが決壊いたしまして、上下流に甚大な被害を及ぼしておりますが、夜明ダムの工事箇所は、川幅百二十メートルのところを八本のビーアを立てまして、二十メートルくらいも川幅を縮めてしまつた。而もあの大洪水時に際しまして、水門を引上げる装置もなく、最も遺憾なことは、川幅を縮めてしまつたのみならず温洗堰の設計すらもなかつたことでございます。そのために上流流域の増水と共にダムは一大湖水と化しまして、遂に左右両岸七十メートルが決壊いたしまして、七千トンの洪水が、湖水に堆積されておりました二十万石の流木と共に押し出されて、下流の古川町、把木町、原鶴町等に激突いたしまして、一瞬にしてこれらを全滅した惨状を呈しておるのであります。夜明ダムの決壊場所は、川の中央が、大分、福岡両県の県境になつておりまして、工事の認可なり工事の監督等を両県のいずれがやつておつたのか、工事の施行千請負業者に任せ放しにしていたのではないか、甚だ疑問とせざるを得ないところであります。地元におきましては、かくのごとき河川の管理状態では、将来安んじて生活することができないというので、夜明ダムの工事中止を請願してお。、又ダムの施行者九電に対して二十億円の損害賠償を提起しておるということであります。筑後川のような重要な河川について、果して何人が管理の責任を持つておるのでありましようか。建設大臣にお伺いいたしたいのでございます。又、堤防の修築についてでありますが、例えば筑後川につきましては、直轄河川の部分は対岸の中小河川の堤防よりも高さが一メートルも高くなつております。大分川の下流部の左岸の直轄工事は右岸よりも高きが三メートルも高く改修されておるのであります。そのためにいずれも低い堤防を水が氾濫して甚大な損害を農村に与えておるのでありますが、このことは予算の枠がないからというだけでは済まされないことでございます。筑後川の直轄河川だけでも原状の復旧費五十億を下らないということでございますが、今後も予算の要求を出しても、大蔵省に削られて、予算の枠がなければ、地元の陳情などに左右されて、左右片ちんばの堤防を据えて、又災害を誘発するようなことをやつては困るのでございますが、こういう点について建設大臣の御意見をお伺いいたしたいのであります。  次に、災害復旧計画とこれを担当する技術者の欠如についてであります。河川、道路、橋梁などの復旧箇所は二万三千ヵ所に及んでおります。又耕地災害は三万三千町歩、それに水路、農道等の農業施設が四万二千カ所に及ぶものがありますが、その復旧費は両方合せて約四百億と言われております。ところが、その査定はおおむね机上の査定によるものが大部分を占めておるのでありまして、十万カ所に及ぶところの復旧費を正確に計上することは、何らの調査費のないこと、更には又技術者の欠如によつて、殆んど不可能なことと考えられるのでございます。その結果は、十分なる設計施工ができないのみならず、会計の経理上においても将来に禍根を残すものであります。このことは、二十六年度の会計検査の決算報告におきまして、千二百件の批難事項のうち、災害復旧に関するものは六百件あつたのでございます。それから見ましても、災害の設計工事等に不当不正の事項が非常に多いことも明らかでございますが、二十七年度の会計検査の不当支出の容疑件数は一万二千件に及ぶものがあるというようなことから、将来、十万ヵ所の復旧工事が二十八年度から始まつたとして、或いは二十八年度の会計検査に当つて、現状のような制度では更に不当事件が増加しないとは何人も保証することができないところであります。災害に対しましては、政府は特に、必要な調査費を支出して、民間技術者をも総動員して、正確な復旧計画を立てるごと、又現在の災害復旧に関する法律の中には幾多の不合理な点があるのでございます。例えばこれら十万ヵ所にも及ぶ復旧工事について、一々建設大臣や農林大臣が補助の指令を出すがごときは速かに改正して、府県知事に一括指令して、府県知事をして責任を持つて復旧工事を行わしむるようなことが是非とも必要であると考えるのでございます。又一ヵ所十万円以下のものには補助をしないとか、応急工事には補助を出さないとかいうような点、又災害を起す可能性があつても、それに対して改良工事は殆んど事実認められていないような、こういう幾多法律上の改正をして、根本的な災害対策を確立する必要があると考えられるのであります。この大災害を契機といたしまして、これらの諸点について建設大臣の明確なる御答弁を要求いたすものでございます。(拍手)    〔国務大臣大野伴睦君登壇、拍手〕
  5. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) お答えいたします。  第一点は、今回の私が報告いたしました未曾有の降雨ということを原因としているが、それよりも平常における河川行政を怠つていたことがその大きな原因となつていると思う、即ち河川事業の疎漏、監督の不行届がその原因と思うので、これが対策を講ぜられたいという御趣旨と存じますが、今回の災害は北九州における未曾有の降雨に起因するのでありまして、今後とも厳正な河川工事、河川監督に万全を期して参りたいと思うのであります。  第二の、今次災害の復旧に要する予算につきましては、現地の実情に即し、国民の納得の行くように慎重且つ迅速に措置いたしたいと考えております。  第三の、今次の災害に当つて私は本部長として福岡に参り、災害の実情に即した専ら応急対策の実施に当り、一応打つべき手は打ち、当面の緊急を要する事項を処理したのであります。右は全く応急対策の程度でありまして、なお恒久的災害復旧につきましては、遺憾のないようにして行く所存であります。  なお現地本部の存続は、被害各県の方々の要望で今なお存置いたしております。近く私も応急予算の措置等の目鼻がつきましたならば、再び福岡の災害対策本部に参かまして、残されだ応急措置の万全を期したいと存じております。その上でいつ頃まで存置して置くかどうかは、今後参りましたときによく実情を調査いたしました上で、その存置の期間を決定いたしたいと、かように存じております。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇、拍手〕
  6. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。今回の災害に鑑みて、今後の治山治水の具体的構想をというお話でございましたが、勿論、従来も十分研究をいたしてやつておつたことには違いありませんが、今回の雨が特に多量であつたという関係から、この際、更に今後の行き方については再検討をいたさなければならないと考えております。まだその具体的方策というまでには参りませんが、山の処置といいましようか、植林とか或いは砂防、今までどうも砂防の関係が遅れておる点があつたのではないかというふうに考えられる点もありまするが、今後はどうしても水源の源のでこれをうまく処理するやり方を重点的に考えなければならんのではないか、かように考えております。いずれ、いま少しく十分に研究を加えまして、将来に万全を期したい、かように考えておるものであります。  次に、河川の管理について、従来の行き方が直轄と中小河川と区分があるので妨げになるのではないかというような御意見でございました。河川の管理については常に研究をいたしておりますが、殊に近時のように上流にダムを設けるやり方が考えられるというようになりましてからは、一層、河川を水系一本で管理するという考え方にならなければならないというふうに考えておるのでありますが、そういう点で、従来、勿論、直轄と中小河川でも県との連絡は十分いたしておるはずでありますけれども、なお今後は河川管理についてはもう一歩を進めて参らたければならないものではないか、かように考えております。  次に、今回の災害について具体的な箇所についてだんだんお話がございました。先ず夜明ダムのことでありますが、これは目下その原因については十分の調査をいたしております。又工事のやり方について或いは遺憾の点があつたのではないか、又両県の監督下にあつたので、その間の連絡が不十分ではなかつたかというような点も調査をいたしておりますが、概括して、上流の日田市にはかなり距離のある所でありますし、又下流に対しましても一度に溢れて行つたというような事情は認められないのではないかというふろに考えております。で、このダム工事の設計上の支障はなかつたと考えております。たまたま工事が丁度悪い時期に会つておつたということが遺憾の点の大きなものであります。今後はなお十分調査もいたしますし、又地元の理解にも努めて、工事の進捗を図つて参るようにいたしたいと、かように考えております。  それから堤防の修築について、大分川その他に両岸の関係がバランスがとれておらなかつた。これは誠にお話の通りでありまするが、何分、財政関係、つまり予算の関係から十分に参りかねて、経済的効果と申しますか、一方をやつて次に片側に移るというような考えでやつておつて、改修としては中途になつておつたような時期に出つくわしたわけでありますので、誠に止むを得ないと思うのであります。  それから災害復旧、これに技術者が足りないので査定も十分にできないというお話でございました。この点は私も誠に同感でありまして、今後は今までのような机上査定というやり方ではなくて、現実に査定をいたしてやつて行くようにしなければならんと、かねてから話合つておるのでありまして、今年の災害からは、机上査定ということは努めて避け、現実の査定を行いたいというふうに考えております。従つて、それがためには、技術者の動員についても、府県、或いは地方建設の職員を活用させるということも考えて参りたいと思います。過去の会計検査院の検査の結果、不当の工事が続出しておるというようなこともまさにお話の通りでありまして、査定が不十分であつたというようなところに原因があるのではないかというようにも考えられますので、この点については十分注意をいたして参りたいと考えております。  それから災害の復旧の、つまり個所の単価と申しますか、府県で十五万円、或いは町村で十万円以上の災害個所に復旧費を災害補助をする建前になつておりまするが、今回の場合には一つの町村におきましても随分たくさんの個所の被害があつた所もあるのでありまして、これを従来の通りに扱うことばかりがいいとも限りませんので、その点については目下研究をいたしております。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 吉田法晴君。    〔吉田法晴君登壇、拍手〕
  8. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は社会党第四控室を代表して、今次、九州、山口等の水害対策に対する国務大臣の報告に対する質問を行うものであります。これは大野国務大臣だけでなしに、むしろ吉田総理を初め政府関係大臣に質問いたしますので、関係各大臣から御答弁せられたいのでありますが、第一に吉田総理にお尋ねをしたいことでありますが、今次、九州、山口等の未曾有の災害、惨害の原因と責任を政府はどう考えておるかという点であります。政府は、梅雨前線の四日間に亘る停滞のため、六百ミリ、甚だしきに至つては九百ミリも一時に降つたのであるから、あの未曾有の災害、惨害もいたし方のない天災であると、責任を専ら天に帰せられております。併し今次大災害は天候のせいのみでありましようか。政治の責任の衝にある者が、責任を専ら天に帰してそれで事足りるでありましようか。戸塚建設大臣に同行して現地各県を廻つた河川局長でさえも、九百ミリの降雨は地面一杯に三尺の水が降つたのであるとしても、戦争中の濫伐がなかつたならば、その後、治山、治水、植林の事業が進み、山に木や草があつたならば、各河川とも二割の水量は違つただろうと申しておりました。河川局長の言うように、三尺の雨が降つたとしても、それが木や下草に吸収されて、一時に殺到せずに二割違つたとしますならば、筑後、遠賀、佐賀等の各河川いずれも堤防を遙かに越して溢水し、堤防がずたずたに切るということはなかつたでありましよう。筑後川のごときも、この理由と、夜明ダムの不備と監督の不行届も加わつて惨害を大きくしたということは、只今も溝口議員から指摘せられました。大分川のごとき、左岸の堤防が右岸よりも約五キロに亘つて三メーターも違つておつたと指摘されております。遠賀川のごとき、数年前、梅雨期増水の中で一部浸透を始めた所もあり、その上、遠賀川改修事務所長が、ここと、ここが弱いから決壊の慮れがあると言明して、大騒ぎとなり、今回浸水しました遠賀川駅附近を初め沿岸住民が避難を始め、県庁にも押しかけたので、純県費を投じて一メートル余の仮堤防を数キロに亘つて築造しておりました。その仮堤防を築いた一部が植木町の下で決壊したのであります。これらの一連の事実は、今回の災害の原因が梅雨前線の停滞という天候にのみ帰せられないで、今までの政府の責任、吉田内閣治政数年の間、独占資本の強化と占領軍使用の道路を含む軍用道路の優先的補修改善、最近の自衛力漸増に名をかる再軍備の促進のためにば重点的に財政資金が投ぜられても、治山治水というか、山や川、自然の暴威に対しては、弱点があると知りながら、十分の対策を講ぜられて来なかつたし、水系ごとに総合的な対策も立てられて来なかつた結果ではありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)九州、山口等、今回の水害を受けた各県を初め、四国、中国等、西日本一帯は毎年風水害に見舞われ、いわゆる災害常習地帯であるということは何人も知つておるところであるし、過年度災害という言葉も常識的となつて、政府は昭和二十三年以来の災害を残し続けて来ております。災害が起つてもその次の年までに完全な復旧が行われない。工事は十分な予算を与えられず、おまけに、てんぷら工事というか、不正まで加わり、災害個所自体が十分に復旧されず、山や水源地にも災害の原因が取除かれないので、毎年々々、災害の規模はますます大きくなるばかりである。この政治が、自然の暴威に対して国民を守ることに重ねて来た怠慢、これが今回の惨害、災害を大きくした真因であり、天災ばかりでなく政治災害と言われるゆえんでありますが、この未曾有の災害、惨害に対して、吉田総理を初め政府はどれだけの責任を感じておるか、先ず承わりたいのであります。  第二点は、災害対策のテンポと総合的緊急対策をいつまでに立てるかという問題であります。若し、政府が、一千名に近い人命の喪失、二百万を越す罹災者の不安と窮状に責任を感ずるならば、もつと政府の施策が速かに末端被害者に届くはずであります。六月三十日、飛行機で福岡に飛んで行つた大野国務相は、即日、西日本水害対策本部を作ると共に、「災害対策は吉田総理に特に任せられて現地限りでやる」と、予算や前例にかかわらず即戦即決で未曾有の災害に苦しむ多数の罹災者を救いたい、「熱い涙で救え」という御母者の電文そのままにやりたいと、罹災者を感激させるような言葉を述べられました。そうして、政府手持米は九州五県と山口県関係で二十六万六千トンもあるから、炊き出し用にも一般配給用にも心配はない、人心の不安と闇値の高騰に対して、政府米の放出をするという意向を明らかにされました。山縣厚生大臣は、板付の飛行場に着くと直ちに、災害救助法の救助の費目をかくかくのごとく上げると新聞発表をいたしました。そうして、それぞれ飛行機で熊本に飛んだり、陳情を聞いたり、努力された点も認めるにやぶさかではありませんが、併し、災害予備金の中から直轄河川の締切工事用六億を支出し、政府資金十五億を預託、災害救助費国庫負担分二億九千万円を現金で各県に送り、二十億の資金運用部資金等を撃ぎ融資として各県に配分してからは、政府や大野国務大臣の災害緊急対策もそのテンポを鈍くして参りました。地方の財政事情について、緒方総合対策本部長や小笠原大蔵大臣は、二十億の繋ぎ融資等で事足れりとし、或いは、これはあとで訂正されましたが、現地はこれで満足しておるとさえ言われたのであります。言い換えれば、大野国務相や山縣厚生大臣等の声明と言うか、新聞記者会見談は、用意周到に、現在の暫定予算や政府の資金計画の範囲内で処理するためのゼスチユアに過ぎなかつたと、我々は感じておるのであります。まだ山津波の下に掘り出されない死体があり、続く山崩れの虞れに不安な門司や長崎下県の県民、阿蘇山の泥土の下で市全体を覆われた熊木市民の窮状を思い、家が流れ、家族や家畜を失い、家財や食糧も流したり腐らしたり、泥土の中の家や田圃に差然自失、涙さえ失つた姿を脳裡に焼付けている我々は、赤痢患者が八百を超え、そのための死者四十名を超すというニュースを聞き、八日、九日、再度の降雨に、筑後、遠賀、嘉瀬等の各河川沿岸が決壊箇所から再び浸水したと聞くと、早く何とかしなければならんという焦躁感に駆られるのであります。そうして、三日、本院の災害地緊急対策特別委員会の開催以来、なお未だ至らざる施策に苦しんでいる罹災者に、救いの手が一日も早く届くきりにと、矢嶋特別委員長を初め委員の諸氏が、緒方副総理や小笠原大蔵大臣、戸塚建設大臣、田中官房副長官に迫つても、遅々として政府の施策が進まないのであります。三、四日かかつて、やつと四億の災害救助費融資が流され、三日から委員会を挙げての督促も、大野大臣が帰つて、今月十日やつと十億の繋ぎ融資が追加されたに過ぎません。十二分にあるという政府管理米の放出の声明は、たつた五日分の罹災者への繰上げ配給ということになつたが、依然、闇米の値は三百円以上して、罹災地の町の宿屋や食堂に飯を食うこともできない実情であります。生業資金一万円の貸付終つたとも、仮設住宅がどんどん建つているとも聞かないのであります。雨がやみ、水が引いてから、二週間がすでに経過したというのに、これでよいのでありましようか。地元の被害者からは、「水害対策本部とか、我々から見たら何をされているかわからん」と言つて参つております。法律の改正や昭和二十八年度予算の成立や修正が遅れるとするならば、繋ぎ融資に関する九州五県と山口の知事会議が要望する百億を直ちに出す決意があるかどうか。はつきり政府に承わりたいのであります。佐賀、熊本等の貧弱財政の県のごときは、歳計現金二億余り、三億に足らず、地方公務員の七月分の給与を繰上げ支払わねばならんことを考えると、県の金庫は全く心細く、すぐに繋ぎ融資を願わなければならんと訴えているのであります。他の県も、各市町村にしても、同様でありますが、いつ次の繋ぎ融資をされるのか承わりたいのであります。  次に、熊本市にしても、門司市にしても、市中から泥土を緊急に除去しなければならん事情にあることは、大野国務相も十二日の委員会で認められたところでありますが、市自身としては全くお手挙げの形であることも承知のはずであります。そのことが経費の伴おぬ保安隊の継続的協力の要請となつておるのでありますが、それは十分に実現しておらぬ。国家の財政的援助を伴うこの泥土排除作業を公共事業として行う方針だと昨日政府から承わりましたが、それはいつから決定実施されるか承わりたいのであります。  十日福岡に開催された、九州、山口知事会議は、百億の繋ぎ融資の追加の前提として、泥土対策、地すべり対策、営農資金の利子補給、農薬、稲苗を含む総合災害対策特別法の単独立法を要望いたしております。今回の水害の深刻さに鑑み、政府凍霜害の場合以上の国の援助の必要を認めておりますが、このことは、当然、関係県市町村工事の公共事業に対する国庫補助率を引上げ、農耕地の流失、土砂の流入からの回復を主とする農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の対象十万円以上を或いは三万円以上に引上げる等、範囲を拡大し、その補助率を引上げ、営農資金の貸付の期限の延長、利子の引下げ、補給種子の現物給与、肥料代の国庫負担等をも含むものと解すべきであるかどうか。災害救助法の改正、特に県負担を基準税収百分の一以上とあるを千分の五以上と直すことを含む改正意向は、関係県の要望と共に政府は厚生省を通じて示されておりまするが、これら諸施策、諸法律の改正を一本にまとめた、九州、山口等西日本の水害に対する災害対策特別法として至急立案する意思はないか。いつまでにこれら緊急対策を立てるつもりなのか、具体的に承わりたい。なお、鳥取、島根等、衆参両院において緊急対策の対象と決定せられた県に対する対策を具体的にどうするつもりか承わりたいのであります。  第三は、以上の点と関連して、昭和二十八年度予算と政府資金配分計画を次の臨時国会を待たず修正する決意はないかを承わりたいのであります。一昨日、大野国務大臣は、現地の実情を知る者として、臨時国会開催の必要を認める発言をなされました。予算を補正する必要を認めたわけでありまするが、この未曾有の水害対策のためには、昭和二十八年度予算を訂正する必要があるとするならば、国会が開かれ予算審議が終らない今日、なぜこの国会において予算を修正しないのであるか。臨時国会の開催は国会閉会中のことであります。国会の開会中に臨時国会招集を云々するごときは、無責任も甚だしいと言わなければなりません。災害の実情と被害の総額はすでにおおむね明らかになつております。現地にあつた建設省の或る局長さえ、秋の台風時期までに水害の再発を防止するための工事を終るためには、現在審議中の予算の修正を必要とすることを明言したのであります。然るに政府及び与党は、緒方副総理、小笠原大蔵大臣を初め、暫定予算の範囲内で処理し、水害緊急対策をも昭和二十八年度予算案の通過促進のために利用するという態度をとつております。かくては今秋まてに応急工事も終らず、再び災害を繰返すでありましよう。前例と予算にかかわらないかのごとく発言された大野国務相のみならず、吉田総理を初め、緒方副総理、大蔵大臣、建設大臣等、政府関係大臣は、現在審議中の昭和二十八年度予算を臨時国会を待たず今直ちに修正する意思はないか。我が党は昭和二十八年度予算の即時修正を主張するものであります。  最後に、今回の未曾有にして深刻な災害の原因が、単なる天災にとどまらずして、過去の災害が復旧されずして昭和二十三年末以来残つていたこと、筑後川、遠賀川、大分川、白川を初め各河川とも弱点のあることが認められながら、対策が延べられていたこと、治山治水が他の犠牲になつたことにあることを、輿論と共に認めるならば、吉田政府の、MSA援助を受け、隷属的軍事体制を強化する政治の根本態度を改める意思はないかどうかを承わりたい。
  9. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 吉田君、時間が来ましたから……。
  10. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) この治山対策の放棄に対して、現在出ております予算の中からも、軍事費或いは軍需産業の助成費を削除して、根本的災害対策、治山対策を立てる意思はないかどうかを政府に質して、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  11. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 最初に、今回の災害の原因はどこにあると思うかという御質問でありましたが、戦争に際しての山林の濫伐等の影響も無論あると考えます。国土がそれ以来荒廃しておることも事実でございます。併し、今度の今までに類例のないような大きな水害の一番大きな原因は、我々現地を見た方々の情報を総合いたしまして、やはり今までにない非常な豪雨、それがやはり一番大きな原因をなしておると考えます。その今まで類例のない大きな雨量に対しまして、従来の土木施設、治山治水等が予期されたかつただけに、適切でなかつたということもあるか知れませんが、それによつて、政府の怠慢、政府の政治の空白によつて起つた政治的災害であるということは、私は妥当でないと考えるのであります。それから今後の対策でありまするが、今回の災害に対しましては、現在までに、河川港湾等の応急復旧事業費及び災害救助費、補助金の堅急支出、それから災害復旧事業費の繋ぎ融資等の緊急対策を講じて参つたのでありまするが、今後の災害復旧につきましては、最近、昨日又は一昨日、現地の九州並びに山口県からのまとまつた報告も入手することができるようになりましたので、その報告を十分に検討いたしまして、本予算に計上いたしておりまする災害対策予備費百億円の使用によりまして、先ず実情に即した措置を講じたい、さように考えております。  それから、なお御指摘の、泥土、地辷りに関しましては、過去の例に準じまして、泥土の除去につきましては都市災害復旧事業上いたしまして、又地辷りにつきましては緊急対策治山事難又は緊急対策砂防事業といたしまして措置する方針でございます。  それから撃ぎ融資についての御質問、百億の撃ぎ融資についての御質問でありましたが、これは百億が一時に要るとも考えられませんので、現地と連絡をいたしまして、必要に応じて更に撃ぎ融資をきめるつもりでございすす。  又、特別立法につきましての御質問でありましたが、現地の実情と必要に応じまして適切な措置をいたしたい、只今大急ぎで検討いたしております。(「予算修正はどらだ」と呼ぶ者あり)  それから、こういう災害はあらかじめ予想されるではないか、緊急対策、総合対策を立てていなかつたのは怠慢でないかという御質問でありましたが、そのことにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、今度の災害が非常中の非常の出来事であつたということは、これは認識していいのではないか。政府といたしましては、その情報を承わりますると同時に、建設大臣の派遣、又現地本郡の設置等、すでに委員会におきまして繰返し申上げたような施設をいたしまして、現地において、応急の救助或いは対策というものはできるだけやつたつもりでございます。  更に、恒久的な復旧のための各般の措置も逐次進めておりまして、これが対策に今後遺憾なきを期したいと考えております。(一向に誠意がない」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣大野伴睦君登壇、拍手〕
  12. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 只今の御質疑は、大体副総理によつて全部答弁をされたものと存じます。  私が或いは臨時国会を開く必要があると、私は自分の私見を新聞記者の問に対して答えたことがござりまするが、今もなお私はさように信じております。これからいろいろな現状に即したる或いは立法措置も必要かと存じまするし、予算その他の面からいつて或いはそういり必要な事態が起つて来るのじやなかろうかと、今なお私は信じておりまするが、これは新閥記者の問に対して私が確かに言明いたしたことは事実でありまして、私の信念は今なお変りません。     ―――――――――――――
  13. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 山田節男君。    〔山田節男君登壇、拍手〕
  14. 山田節男

    ○山田節男君 私は日本社会党第二控空を代表いたしまして、今回の西日本大水害に対しましての過日行われました大野国務大臣の報告に関連いたしまして、政府責任者に御質問申上げたいと存じます。  先ず第一に、今回の空前の災害によりまして約七百名の人命を喪失いたしました。このことに対しましては、心から哀悼の意を表しますると同時に、家を失い、田を、畑を失い、又、家財商品等を失われました諸君に対しましても、心からなる同情の意を表するものでございます。  なお又、今回のこの災害に当りましては、米駐留軍はじめその他の諸外国から与えられた御同情に対しましても、国民を代表し、心からお礼を申上げたいと存じます。(拍手)  今回のこの未曾有の大災害に対しまして、政府は早速大野国務大臣を送りまして、現地においてそれぞれ適宜の処置をとつたと申しております。又緒方副総理を本部長としまする西日本水害対策緊急中央本部、又国会からも議員を派遣し、又本院におきましては水害の緊急対策特別委員会が設置されておりまして、政府のこれまでとわましたいろいろな手段につきましては、多とする点がございまするけれども、過日の大野国務相の御報告並びに特別委員会におきまする地方各県の責任者等の報告等に徴しましてもへ政府の施策が必ずしも適正妥当、徹底していないということを感じますので、以下御質問申上げたいと存じます。  先ず第一に、私はへ今回のような大きな災害に際しまして、先ほど同僚吉田君の、吉田内閣政府は今回の災害に対して責任はないか、こういう御質問がございました。然るに緒方副総理は、これは非常のうちの非常であつて、人力如何ともすることができなかつた、従つて吉田内閣には責任がないということを申されましたが、これは私は誠に緒方副総理のこの災害に対する認識の足りない点を遺憾に存ずるのであります。(拍手)日本は御承知のように太平洋の火山列島であり、諺に、「雨が降れば洪水になり、雨がやめば電気がとまる。」これは私は、今回のこの大災害は、政府にはもとよりでありまするが、我々国会議員にとりましてもこれは大きな警告であると我々はとらなくてはならんと思うのであります。御承知のよりに、支那におきにまして、日本におきまして、古来、名君主と謳われたは治山治水に全力を尽した人であります。栄耀栄華、金殿玉楼を築いた主権者は、その生涯は華やかでも、勿ち忘れ去られるのであります。併しながら、治山治水に全生涯をかけた君主は、これは長く後世に名をとどめ、そして神と崇められているのが現状でございます。我々国政に参与する者は、今回のこの大災害を、我々国会議員にとり、政府にとりましても大きな警告であると、とらなくては、徹底的の対策はできない。然るに緒方副総理は「政府の責任でない。」誠に私は残念でありまして、今回の大災害は一部におきましては政治の貧困であります。人災であります。私はかような見地から御質問を申上げたいと存じます。殊に吉田内閣は責任があると申しまするのは、去る三月に理不尽な解散をいたしまして、二十八年度の予算が成立しない。それがために地方は非常に困つておる。公共土木も進捗しない。そこへ今回かような非常事態を起したのであります。この点につきましても吉田内閣は責任がないとは言えないのであります。又過去五ヵ年間吉田内閣のやつておりましすることは、西洋の諺  に、ペニー・ワイズ・アンド・バウンド・フーリツシユという言葉がございます。いわゆる「一文惜みの百失い」ということであります。この国土建設に対しましては、少くとも過去五カ年間、吉田内閣のやつておりまするところの土木行政というものは、全く私はこの諺に適当すると申しても過言でないと存ずるのであります。かようなわけでございまして、一に、今回のこの大惨害を起して幾多の犠牲を出したということは、日本の政治の貧困であり、又我々の責任であるとさえ感ずるのであります。更に又、この土木行政が腐敗混乱しておることも、これも吉田内閣におきまして一つの名物になつておる。県会、市会、村会、上は国会に至るまで、すべてこの土木工事を政治の用具に使う。かような不まじめな政治家におきまして、かような惨害を起す。これ又政治の貧困であり、吉田内閣の大きな責任であると申さざるを得ない。要するに、これは、吉田内閣の最近にとりました土木行政、国土建設に対じまする不誠意と科学性を欠くところに根幹があるということを私は指摘申上げたい。かような見地からいたしまして、私は以下簡単に御質問申上げたい。  先ず第一に、副総理に対してでありますが、災害対策本部を早速現地並びに内閣にお殺げになりましたが、先ほども吉田同僚議員から御質問がありましたように、今回のこの災害は丁度田植の時期でありまして、緊急対策にも二つあります。七月一ぱいにやるべき緊急対策、又九月の台風期を迎えての八月末までの緊急対策です。それに今後の恒久対策というものがあるのでございます。かような複雑な恒久対策をしなければならんのでありますが、単に国務大臣である大野君を向うへ派遣して、出先の機関或いは現地の知事などを指揮監督して、果して徹底的な施策ができるかどうか。私は、先ほど申上げましたように、科学性の貧困、政治の貧困或いは土木行政の腐敗混乱、これを防止するためにも、行政組織上立派な地位と権限に基くところの本部を作る必要があると思うのでありますが、緒方副総理はどういうように考えておられるか。  なお又、大野国務相は、あなたは少くとも向うに十数日間おられたのであります。あなたの経験からして、今度又十九日に行かれるそうでありますが、今のような権限で以て、建設省或いは文部省、大蔵省、それらのものをあなたは十分使いこなして、罹災者諸君のこの大惨害に対して一日も早く応急の対策ができると自信がおありになるかどうか。この点は大野国務相にもお伺いしたいと存じます。  なお又、立法措置の問題につきまして、緒方副総理は余りはつきりしたお答えがございませんけれども、御承知のように今回の大災害に当りましては、第一には災害救助法も発動されましたし、第二には公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この二つが今回の罹災者に対する救いの手を伸べるところの重要な法案でありますけれども、この法案の内容を見ますといろいろな枠がございまして、十分な適正な援助ができない。かような意味から申しまして、私は今回のこの惨害に関して、私の知る限りにおきましても約二十三の法律がございます。この枠を如何にするか。これによつて災害扶助の徹底の適正、適否がきまると思うのでありますが、立法措置を如何にしてこれをやるか。関係諸法律を改正になる意思があるのかどうか。これを緒方副総理にお伺いしたいと存じます。又特別の予算措置でございますが、御承知のように、この二十八年度の予算は近くこれは成立するでございましよう。併しながら今回二千億に余る大災害を控えまして、特別の予算措置をする必要がある。緒方副総理は臨時国会も開く必要があれば開というくらいなことしか御誠意がないようでありますけれども、私はこれに対しまして、二千億の損害に対しまして今日政府は僅か七十八億円の緊急措置しかいたしておらない。かようなことでは、私は、災害は更に災害か招くというような悪循環を醸成するのみであります。私はこの予算措置につきましては、必ず政府は臨機応変に、国会の会期延長をするなり、臨時国会を召集するだけの誠意がなければならんと思うのでありますが、緒方副総理の重ねてこれに対する御所見を伺いたいと存じます。又、昨日熊本の県知事の報告を見ますと、罹災地におきましては物価が非常に上つております。セメント或いは菰、木材、こういうようなものが非常に暴利の対象になつておるのでありますが、これが対策を、如何にするのか、この点をお伺いしたいと存じます。次に又、今回の災害により全壊、半壊家屋、この復旧のためには莫大な木材が要するので上あります。然るに今回のこの災害の原因は、戦争中におきます濫伐、過伐が大きな原因であつた。然るに、かような貧弱な日本の森林資源におきまして木材を更に伐るということは、これ又災害が災害を招くという、再災害を招くといろ悪循環の原因になるのでございますが、こういう点からいたしまして、成るべく日本の森林を温存いたしまして、外国から緊急所要の木材を輸入するところの手段を講じられる御意思があるかということもお伺いしたいと存じます。  次に、時間がありませんから建設大臣に簡単にお伺いしますが、先ほど申上げましたように、今回のこの災害に対しまする対策は三段階に分れなくてはならない。殊に建設大臣は元福岡県知事をしておられましたから、筑後川の情勢もよく知つておられると思う。然るに今回この筑後川を見ますというと、一方の堤防は高く一方の堤防は低い。直轄河川でありながら極めてふしだらなことがしてあるために、堤防の低さは未曾有の惨害を来たしておる。これも最初に申上げましたように、日本の土木行政の政治的な濫用、ここに私は深い根源があるということを指摘せざるを得ない。先ほども申上げました三段階の緊急対策に対しまして、一体どういうブランを以て大野国務相を現地に派遣するのか、具体的な点をお伺いしたいと思います。次に又、二十三度以来の過年度災害一千億、更に今日二千数百億の災害に対しまして、殊に地方公共団体の公共事業の査定が捗らないがために、現地においては県市町村は誠に困つているのでありまするが、一体こういう公共事業の査定をいつまでに完成するのか、その点をお伺いしたいと存じます。又この予算措置にいたしましても、公共事業、失業対策事業の関係を、これを予算の緊急措置といたしまして、災害復旧事業へ転換すべきであると思うが、この点に対しまする建設大臣の御答弁を願います。その他住宅問題もございまするが、これに対しまして一体どういうことをやつているのか、これを本会議に明瞭に示して頂きたい。  次に、自治庁長官に対してでありまするが、自治庁長官は過日特別委員会におきまして御説明がございましたけれども、昨日熊本県の知事のいろいろ情報を聞きまするというと、何と申しましても、今回の西日本の災害地におきましては、特別平衡交付金の特別交付の枠を拡げてくれ、起債の枠を拡げてくれ、又緊急融資、又、補助金、これを成るべく早く政府から出してくれということの痛切な叫びがございまするが、こういうものに対しまして、如何なる手段を今後おとりになるのか、又どの程度の範囲においておとりになつたのか、本院に明瞭に示してもらいたい。  又、時間がございませんから省略いたしますが、大野国務大臣が過日、本院におきまして御報告になつた、十数項目に亘りまして現地の切なる要望事項をここにお示しになつておる。あなたは、九日に向うにお帰りになるそうでありますが、この十数項目の中で、あなたは全権として、一項目でもこれをやるということを吉田内閣はきめたか、その点を本院にお示し願いたいと思います。又その要望事項の中に、私は大野国務大臣の口を通じてお聞きすりことは誠に遺憾でありましたことは、今回のこの災害を救助する一方法こして、競馬、競輪、モーダー・ボート競走、この収益を災害地に寄贈するために関係法令を改正いたしまして、これらの競技会の開催数を増加いたしまして、その収益を災害地に寄附せんとする、こういう要望がある。自分もそういうことがして欲しいというような御報告があつたように記憶いたしておりまするが、少くとも一国の大臣といたしまして、今日、競馬、競輪、モーター・ボートの競走が如何に人心を害しておるかということは、皆さん御承知の通りであります。
  15. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 山田君、時間が切れました。
  16. 山田節男

    ○山田節男君(続) かような国民の道徳、いわゆる国民を犠牲にし、社会悪と増長するようなことすらして、この大害救助の一部に充てんとするようなお考えをお持ちになるのかどうか、この点を大野国務大臣から再びここに明瞭にして頂きたいと存じます。時間がございませんので、これを以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  17. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 只今の御質疑に対してお答え申上げます。  私が先ほど吉田君の御質問に対しまして、政府は責任がないと申したことについてのお誉めでありましたが、それは、政府におりまする以上、政治的、社会的、すべての出来事に対しまして、政府がその善後措置をとらなければならない意味においての責任は、ほかの場合と同じように、政府としても痛感いたしているのであります。ただ、この原因が政府の悪政の結果であるかのごとき意味において政府の責任だと言われたのを、そうでないと申上げたのでありまして、三月の国会解散がこの災害の原因であるかのごときお話は、これは少し御無理であろうと考えます。  それから特別立法の措置を講ずべきものであると思うが、何をやつているかという御質問に対しましては、先ほど吉田君の御質問にお答えをいたしましたので、重ねて繰返しません。  それから物価が非常に上つている。これは、あれだけの災害の後としてはそれほど暴利をむさぼる者がないというふうに聞いて参つておつたのでありますが、御指摘のような事実も、こういう際でありますから多少はあると考えます。ただ関門鉄道のトンネルが一両日前に開通いたしまして、日間六千トンの輸送が利くようになりましたので、従いまして物資も必要に応じて応急輸送することができまするから、現在、物価暴騰、或いは暴利をむさぼるという者がありましても、漸次その弊害は矯められて参ると考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣大野伴睦君登壇、拍手〕
  18. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 私に対する御質問の第一点、近く福岡へ赴くについてはどんな権限を持つているか。そして大蔵大臣、建設大臣と如何にして云々という御質問でありますが、私は先般本部長として九州へ赴きますときにも何らの権限は与えられておらなかつたのであります。何らの権限も持たないで、ただ応急対策、緊急対策のために現地へ行つて、その指揮をするようにというだけの命令を受けて参りまして、何ら権限はありません。けれども、応急対策は一応万全を期したつもりであります。今回参りますに当つては、或いは営農資金であるとか、或いは中小炭鉱救済資金であるとか、こういつた問題を中央において解決をして、そうして帰りたいと思つているのでございます。又、事実何らの権限も持つておりません。権能はないけれども、できる限りのことは最善を尽したつもりであり、今後も尽すつもりであります。(「できないよ」「権限がないよ」と呼ぶ者あり)権限はないが、やるのが政治力で、我々はこれくらいの政治力は持つている。(「権限がないよ」と呼ぶ者あり、笑声)我々はそれで現にやつて来たのだから、それをやるつもりである。  それから、競輪、競馬、競艇等の収益を挙げて云々ということは、現地の要望で、私はこの要望に応えて、今、中央対策本部において、できるならこれをやつて、その収益を罹災県に分ちたいという考えを持つております。成るほど道義の上から言つて、或いは人心に及ぼす影響はどうかと思いまするが、併し現に競輪も競馬もやつている。これを一回特別に開催して、その収益全部を罹災県の罹災民に分ちたいという考えを私は現在も持つております。今それを研究いたしておるのであります。果してこれができるかできんか、研究いたしておりまするが、一利一害、一得一失は、これは天下の常であります。で、私はさように考えて、今、鋭意、開催するかしないか、開催が事務的にできるかどうかということを折角中央本部で研究中でございます。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇、拍手〕
  19. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  応急対策並びに恒久対策でありますが、先般、私、災害直後に参りました時分にも、特に田植の時期に際会いたしておりまするので、稲の植付けのことを最も考慮に入れなければならん、それについて緊急の対策を講じなければならないと考えたのでありまするが、取りあえず河川の堤防の決壊に対しては、締切り、続いて応急の工事を施す、これで秋の台風に対する対策も考えてやつて参りたい。かよりに、すでに締切り等は直轄河川においては殆んどでき上つておると考えております。恒久対策については、先ほども申上げましたが、戦時中に荒された山の関係とか、或いは従来も十分ではなかつた点をも考え合せて、殊にこの雨の量が非常に多かつたという実例をも考え合せて対策を立てて行かなければならない。それは十分に研究をいたしたいと存じております。  それから、改修の途中で、堤防の両岸にバランスのとれなかつた所があつて、それが遺憾であるというお話でございましたが、先ほども申上げましたように、これは財政の都合もあつて十分に竣工をいたしておらなかつた途中で、たまたまそういうふうな事象が起つたのは、誠に遺憾に存じております。  それから、過年度災害或いは公共事業の査定のお話がございましたが、これも先ほど申上げたつもりであります。なお、成るべくこういうことは早くやらなければいけないということは先ほども申上げた通りでございます。  最後に住宅の問題でありますが、今回は住宅の全壊、半壊の戸数をかな り多いのでございます。誠に心配いたしておりまするが、只今の建前では全壊住宅の三割を災害として公営復旧の制度がございます。なお、その余の三分の一くらいを或いは金融公庫の割当というようなことも考えられます。そのほか、まだ半壊の住宅に対してどういうふうに考えて行くかというようなことも今後対策本部等で研究いたしたい。かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣塚田十一郎君登壇、拍手〕
  20. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) お答え申上げます。  私も非常にこのたびの西日本の災害については心痛をいたしておりますので、自治庁の立場といたしまして、先般来いろいろ調査をたしております。その結果、只今までに大体判明いたしておりますところでは、今度の西日本災害によりまして、地方が、府県及び市町村が負担を増加すると考えられまず数字が百三十三億くらいあるのではないかということになつておるのであります。その内訳を簡単に申上げますと、税の減収分が約五十三億、それからしてその他のいろいろな負担の増加分約八十億、合せて百三十三億であります。この税の減収分は、減免措置によりまして取れなくなります部分と、徴収猶予になりまして二十八年度中に取れなくなる部分を合せた数字でありますし、その他の八十億は、一応現在のいろいろな災害救助法その他の法律を前提にいたし、それから今度の災害を仮に復旧いたしますといたしまして、復旧の割合が、現年度と、今年と明年度とその後とどういうふうに出るかという比率もあるわけでありますが、それを一応、今年中に三、来年五、その翌年は二という割合で復旧をいたすといたしまして、二十八年度の所要領というものを計算いたしたものが八十億と、このように了解を願いたい。  それで、これに対しましては、勿論、只今御審議を願つております予算の中に、災害予備費百億その他いろいろあるのでありますが、私の考えますところでは、これらのものが普通の状態において発生いたします災害を大体予測して考えておりますので、今度のような特別の災害に対しましては勿論不足であると考えられるのでありますが、一応あの只今御審議願つております予算の中にこの百三十三億に充当し得る措置がどこにどれだけしてあるかということを申上げますと、先ず起債の面におきまして、災害のための予備費百億に充てます分がこの四分の一、二十五億だけは起債の枠の中からあらかじめとつてあるわけであります。それから単独事業として行われます災害の復旧の分といたしましてやはり約二十五億というものが今年の分としてとつてあるのであります。その他の分といたしましては、特別平衡交付金で面倒をみるということが大体できるわけでございますが、御承知のように、特別平衡交付金は平衡交付金の総額の八%ということに現在なつておりますので、現在の御審議願つております予算でありますると、千二百五十億の八%、つまり百億あるわけでありますが、その百億の中から、概算いたしまして約十億程度はこの百三十三億のうちに差上げる部分がある。そういたしますと、百三十三億の中から、約二十五億と、二十五億の起債と、特別平衡交付金の十億、合せて六十億の財政措置がまあ一応只今御審議を願つておる予算の中にもしてあるというふうに御了解願いたいと思うのであります。それから、それが全部西日本の災害に使われましても、私どもの考える百三十三億には勿論足らんのでありまして、そのほかに、今後発生いたしますいろいろな災害、それから今まで発生いたしております今年の災害、そういうものを考慮いたしますれば、その面から不足も出て参りますので、どの面から考えましても、起債の枠の増額、特別平衡交付金の増額というものは、これは必至であると考えておるわけであります。ただ私どもの立場といたしましては、なお、それらの数字をどの程度にどれを増加するかということは、これは相当正確な調査ができ上り、そのうちどれぐらい今年の災害復旧ができるかというような点も十分検討いたしました上で、相当確実な資料を以て予算を作りませんとなりませんので、応急にはなかなか間に合わない。そこで応急の措置といたしましては、御指摘のように、繁ぎ融資というものが行われておるのでありますが、この繋ぎ融資も、勿論これは私どもの所管ではありませんが、大蔵省の繋ぎ融資をされる場合に、一旦この繋ぎ融資をいたしました場合には、必ずこれは、将来或るものは起債の枠の増額に切替えられ、或るものは特別平衡交付金の増額に振替えられるというところに一応目安が付かなければ、大蔵省としても繋ぎ融資ができにくいと考えられましたので、私どもも逐次調査の段階におきまして大蔵省に折衝いたしまして、この程度までは十分起債の枠で見るべき性質のものであるというように折衝いたしまして、繋ぎ融資を成るべく必要な時期に早急に罹災地に渡りますように協力いたしておる次第で、こぎいます。  以上簡単にお答え申上げます。(拍手)
  21. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣に対する質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  22. 松浦清一

    ○松浦清一君 私はこの際、竹島周辺における韓国漁船発砲事件並びに竹島の帰属に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  23. 上林忠次

    ○上林忠次君 私は只今の松浦清一君の動議に賛成いたします。
  24. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 松浦君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。松浦清一君。(拍手)    〔松浦清一君登壇、拍手〕
  26. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は、本月十二日の朝、竹島周辺の海域におきまして海上保安庁の巡視船が韓国漁船から射撃を受けた事件に関連をいたしまして、この事件の真相、竹島が我が国の領土であることの実証、及びこのような事件の起る原因、日韓会談の経過、日本の漁業に及ぼす影響等につきまして、緊急に関係大臣の御所見を伺いたいと存じます。  先ず第一にこの事件の真相についてでございますが、海上保安庁を所管される運輸大臣にお尋ねをいたします。私の知る範囲の情報では、本月十二日の午前八時頃、海上保安庁の巡視船「へくら」が竹島周辺の海域を巡視中に、韓国旗を掲揚した武装警官の乗船した白色十トン程度の漁船が二隻、青色五トン程度の漁船が一隻、「へくら」に接近をして参りまして、何の警告もなしに射撃をして来たのであります。併しながら、こちらの側では、これに対して何の抵抗もすることもなく逃げて帰つて来たというのでございますが、その事実に間違いはないか、若し間違つておれば、そのときの真相を明らさまにお知らせを願いたいのであります。若し又これが巡視船ではなくて、日本の漁船が、どの国からも咎められることのない公海で操業中に、本年二月の大邦丸のときのように外国漁船から射撃をされるのを、我がほうの巡視船が目撃をした場合、どのような処置をとるよう現地に対して指示をしてあるのかを併せてお伺いをいたしたいのであります。  第二に、竹島が我が国の領土であるという実証につきまして外務大臣にお伺いをいたしたいと存じます。この島は、日韓併合の前、明治三十八年二月二十二日付の島根県告示第四三号を以ちまして、島根県隠地郡五箇村の所属に編入をせられ、その後いずれの国からも、この島が日本領土であることに異議の申立を受けたことはないのであります。又、昨日発表されました外務省の見解の中に、終戦後、連台国軍総司令部は、一九四六年一月二十九日付の覚書を以ちまして、日本国政府が、竹島に対して政治上又は行政上の権利を停止するよう指示されているが、この覚書は、決して竹島を日本の領土から除外するものではないと言つておりますが、その除外するものでないということは、総司令部からのどのような指令の文意によつて実証されているかを伺いたいのであります。又、マツカーサー・ラインを設定をいたしました総司令部指令は、竹島に対する日本国の統治権を否定するものではないことを明らかにしていると言つておりますが、その明らかにしているということは、指令文の中でどのように表現されているのか、参考のためにお伺いをいたしたいのであります。  又、平和条約の第二条第一項には、「日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と明記してあることは私も承知をいたしております。併しながら韓国側では、昨年一月二十八日付で、政府が李承晩ラインに対する抗議を行いました際、この抗議に対して、(一)一九四六年一月二十九日、総司令部通牒第六百七十七号により、竹島の領有権は日本から排除されている。(二)当時のマッカーサー・ラインから見ても、竹島は韓国側に含まれているとの二点を挙げて、竹島が飽くまでも韓国領土であることを主張いたしているのであります。竹島は御承知の通り隠岐島の西北方にあります無人無毛の小さな孤島であります。併しながら、この小さな孤島とは申しましても、元禄の昔から、現在の鬱陵島の領有関係につきましてはたびたび問題が起つたことがございますが、竹島が明治三十八年、日本領土と確認をされまして以来は、ただの一度も問題になつたことのないこの島が、今になつて問題になるということは、平和条約中の日本の主権排除に関する内容や、向うで勝手にきめた李承晩ラインはともかくとして、マツカーサー・ライン解消の際における総司令部通牒の内容を確認することを怠つておつた結果ではないか、その点、明瞭にお教えを願いたいのであります。  更に又、竹島が明らかに日本の領土であるという歴史的な事実、又、私自身の主観、政府の今日までの態度をそのまま支持をするといたしましても、万一韓国との間に交渉がまとまらなかつた場合は、新聞紙の上では、国連に提訴をするとか、米英に仲介を依頼するとかの政府の意思発表が散見をいたしておりますが、政府としては、何回か取り交わされた口上書とかいうものの交渉で解決する見込があるのかないのか、若しあるとすれば、いつ頃解決するのか、そのお見込を承わつておきたいのであります。又、独立国たる日本の政府が、甚だ失礼ながら、たかが韓国相手の外交折衝ができず、国連や米英に仲介を頼んだ場合、日本の権威や信用はどのようになるのか。この点の質問に対しては、外務大臣は恐らく、相手のあることであるから、その見込は立たないが、できるだけの努力を払つて急速に解決をしたいと、御答弁をされるに違いございません。併し、それなれば私のお尋ねをいたしたいのは、その解決の付くまでの間に、日本の漁船や巡視船などが射撃されるのをどうして防衛をしようとするお考えであるか、外務大臣の管掌外かも知れませんが、そのお考えも、ついでにお伺いをいたしたいのであります。更に又この機会にお伺いいたしたいのですが、本年二月、済州島沖における大邦丸が射撃され、一人の日本人漁撈長が射殺をされたあの事件は、その後一体どうなつているのでございましよう。このような重大事件をいい加減な口上書で以て放任をいたしておくから、第二の事件が起り、第三の屈辱的な事件が起るのだと私は思う。一歩退却二歩前進は兵法上の戦略でありまして、今の政府の外交は、一歩も退却、二歩も退却で、人は殺され、船は取られ、遂には領土の一部まで、もぎ取られようとしている現状であります。国民の目には、韓国における李承晩政権は、その政権を維持するがために、朝鮮自身の休戦にさえ反対をし、国境線を交える隣接国の中では一番弱いと見た日本に勝手放題の攻勢を加えているように見えるのであります。これは日本の外交が拙劣だからでありますか、それとも韓国側が無理なのか、それはどちらでもよろしいから、率直な態度で、正直な御見解を、わかりやすく具体的に承わりたいのであります。  第三に農林大臣にお伺いをいたしますが、それは、日本が承認するしないにかかわりませず、日本漁業にとつては非常に大きな障害となつておりまする李承晩ラインの内外における日本漁船の操業状態であります。本年の四月以来、日韓会談は再開され、漁業に関する日韓政府間の協定が交渉せられつつあるのでありますが、その経過は現在どのようになつているのかをお伺いをいたしたいのであります。日本海但馬地方における漁船は、漁期を前に控えて、その出漁準備を整え、待機をいたしております。若し日本政府の主張が弱く、李承晩ラインが解消されない場合は、この海域を漁場とした千八百隻の漁船、この業に従事している三万数千の漁船船員は生業を失い、漁獲高年産二十二万トン、七十五億円が吹つ飛び、日本の食糧と経済に及ぼす影響は極めて大きいのであります。農林大臣は、朝鮮海域における日本漁船の操業がいつの日に陽の目を見る見込を立てておられるのか。又そのためにどのような努力をしておられるか。通り一遍の言葉ではなくて、具体的な事実と御計画を承わりたいのであります。  以上、運輸大臣に対しては、海上保安庁巡視船の射撃されたときの真相と今後の具体策。外務大臣に対しては、竹島が日本領土であるという実証、韓国が誤解をしているならば、その誤解をしている原因、今後の対処方針。農林大臣に対しては、日韓会談における漁業協定交渉の経過、朝鮮海域における漁業対策等についてお伺いをいたしましたが、これはいずれも緊急にして且つ極めて重要な問題でありまするから、憂慮いたしている国民のすべてが納得の行きますよう御答弁を要請して、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣石井光次郎君登壇、拍手〕
  27. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。  竹島は本年の四月末までは日米行政協定による駐留軍の爆撃演習区域でありまして、同島附近には日本の漁船は操業いたしていなかつたのでありますが、去る五月の二十八日に島根県の水産試験船が調査のために参りましたところ、韓国人の漁夫が三十名ばかりそこにおりまして、それで海上保安庁といたしましては、関係機関と協議の上に、でき得る限り紛争を避ける方針の下に、同島附近の海域の哨戒に当ろうということをきめまして、六月の二十三日、二十七日の二回に亘つて、巡視船二隻を派遣いたしました。上陸調査をいたしましたところ、韓国人六名がテントを設けてそこにおりましたので、厳重警告をいたしまして、退去を求めたのであります。そうして同時に日本国の領土であるという標柱を立てて参りました。それから七月の一日、二日、七月の八日、九日というふうに船を出してみたのでありまするが、ここで前に述べました韓国人はすでに退去いたしておりまして、同局及びその周辺には船も人もいなかつたのでございます。  それで、今度問題になりました七月の十一日に巡視船の「へくら」を派遣いたしまして、十二日の朝五時二十分同島に着きまして見ましたところが、韓国の漁船及び漁夫多数が来島しているのを認めましたので、臨検隊を上陸せしめようと準備いたしておりまするときに、六時十五分、韓国官憲四名、鬱陵島の警察局の者だということであります。これが来船いたしまして、竹島は韓国の領土であると主張いたしたのであります。当方におきましては、竹島は日本領土である旨を強調いたしまして、退去を要請いたしましたが、譲らなく、とうとう八時に本船は前述の四人の者を帰船せしめまして、同島を一周いたしました上、境港のほうに帰ろうといたしたのでありますが、突然十数発の射撃を受けたのでありますが、人命には異状なく、本船に弾痕二つを残しているのを発見いたしたのであります。その際の調査によりますると、先般日本側の立てました標柱は撤去されておりまして、来島者は約四十名、そのうち警察官が七名と推定されております。船舶は漁船三隻、伝馬船一隻でありまして、武器は漁船一隻に自動小銃二つを装備しておりまして、警察官は拳銃を携帯しておつたのが認められたのであります。本船は、十二日十七時三十分、境港に帰つて来たというのが実情でございます。先ほど、向うの船から射撃したのではないかというお話でありましたが、射撃は島の中腹から行われたものでありまして、距離は、約七百メートルくらいであつたと申します。又、真偽のほどはわかりませんが、これは威嚇の射撃であつたようだということも聞いているのであります。今後どういうことにするかということのお尋ねでありまするが、これほどうしても外交折衝に待つよりほかないのでございまして、外交折衝をやつてもらう一方、関係機関と協議いたしまして、できるだけ我々の方でも処置をいたして行きたいのでありまするが、実力行使ということは今日までもやつておりませんので、どの程度のことをいたしまするか、実力行使もさまざまありますので、その場に応じての適宜な方法をこれからなお相談いたしたいと思つているのでございます。  それから、公海上等で射撃がありました場合、或いは拿捕等がありました場合には、海上保安庁の船は時を移さず現場に直航いたしまして、そうして話合いで事件を解決するという線に、今までもやつておりましたし、恐らく今後もこれが主な行き方だと思つております。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
  28. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一点でありますが、竹島が日本の領土である証拠と申しますと、これはもうお話のように史実も明らかにしているのでありまするし、又その後いろいろの司令部等の措置を見ましても、この点は何ら疑惑を持つ点はないのであります。元来、総司令部の指令等は領土の変更などをなすことはできないのでありまして、占領中の一時的の措置を定めたものに過ぎません。又平和条約の中に、日本が権利、権原を放棄するといたしました地域は明瞭に書いてあるのでありまして、それ以外のものは当然日本の領土でありまするし、又いわゆるマツカーサー・ライン等も領土の変更というような根本的な問題を処理することはできないのでありまするから、史実から言いましても、国際法から言いましても、日本の領土であるということは、これは問題のないとこうであります。  なお、この種の交渉を韓国政府といたしますのには、自然長引くのが通例でありまして、お話のように、何を愚図愚図しているのだというような感じも国民の問には出ましようけれども、元来、憲法にも国際紛争解決の手段としては武力を用いないということになつておりますので、我々としても飽くまでも忍耐強く我が方の正当な主張を納得させて、平和的に本問題を解決するつもりでおります。  又大邦丸事件についてのお話がありましたが、大邦丸事件もまだ解決しておりませんときに、更にこの竹島の発砲事件等が起りましたことは、誠に残念な次第でありまするけれども、こういう問題につきましては、我が方としては主張すべきものは飽くまでも強く主張する次第でありまして、この大邦丸とか竹島の問題は、韓国側の史実に対する誤解、国際法的な見解に対する誤解から出たものでありまして、別に、政府の外交が軟弱であつたからとか、強硬であつたからとかいう問題ではないと考えておりまして、我々としては今後とも、韓国側の誤解を正すべく、あらゆる努力をいたす考えでおります。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇、拍手〕
  29. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) お話の李承晩ラインをめぐつての漁業関係、申すまでもなく我が国にとりましては極めて漁業上重要な地域になつております。併しながら、この問題は日韓会談の漁業部門として外交機関によつて今日まで折衝を続けられて、私どもとしましては、外交機関に強く要請をして、速かにこの妥結線を得られるように外交機関に要請をいたしておりますけれども、今日、只今、外務大臣も言われておりましたように、これらの問題が妥結に至つておりません。非常に残念に存じております。極めて漁場の重要性から申しましても、私どもといたしましてはどうしてもこの問題だけでも早く解決をいたして参りたいということを、外交当局に強く要請をして、その円満な解決を期待しておる次第でございます。(拍手)      ―――――・―――――
  30. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二、離島振興法案(衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長早川愼一君。    〔早川愼一君登壇、拍手〕
  31. 早川愼一

    ○早川愼一君 只今議題となりました離島振興法案につきまして、経済安定委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。  日本の本土より隔絶した外海の離島は、自然的社会的諸条件の制約によつて、今なお未開発の部面が多く、島民は文明の恩恵に浴すること甚だ薄いのでありまして、その民度水準は極めて低く、経済的にも惨めな状態のままとり残された所が多いのであります。この法案は、離島の特殊事情から来る後進性を除去するための基礎条件の改善、並びに産業振興に関する対策を樹立し、これに基く事業を迅速且つ強力に実施することによつて、その経済力の培養、島民の生活の安定及び福祉の向上を図ることを目的として、衆議院議員綱島正興君ほか七十名より提出され、衆議院において若干の修正があつて、本院に送付されたものでございます。  先ず当初の原案の内容について御説明申上げます。  第一に、本法案は前述のごとき目的を有するのであつて、内閣総理大臣が離島振興対策地域を指定し、関係都道府県知事はその地域について振興計画を作成して内閣総理大臣に報告しますと、内閣総理大臣は、国土総合開発審議会の答申に基いて離島振興計画を決定し、閣議の決定を求めなければならないこととなつております。なお、離島振興計画は、離島振興対策地域に国土総合開発法に基く総合開発計画がある場合には、これと調和したものでなければならぬようにいたしているのであります。振興計画の内容には、離島の海陸交通を確保するに必要な施設及び通信施設の整備、開発振興に必要な漁港、林道、農地及び電力施設等の整備、風水害その他の災害を防除するために必要な国土保全の整備、住民の福祉向上のために必要な教育、厚生及び文化に関する諸設備の整備が含まれているのであります。  第二に、都道府県知事は、毎年、離島振興計画実施のための事業計画を政村に提出し、その事業計画については経済審議庁長官が各省間の必要な調整を行うことになつており、なお、国は、この決定した離島振興計画の実施に必要な経費は、毎年国の財政の許す範囲で予算に計上しなければならないことになつております。  第三に、国が決定した離島振興計画を行う地方公共団体その他のものに対して、政令で補助金を交付し、必要な資金を融通、斡旋、その他必要と認める措置を講じなければならないように規定することとし、特に、振興計画の事業に要する費用について国が負担し又は補助する割合を、港湾法、漁港法、道路法について、従来の規定にかかおらず、これを高率にして、法案の別表にその率を明示いたしてあるのであります。なお、この場合、普通平衡交付金を受けない地方公共団体については、本法案で定める国庫の負担割合及び補助を減ずることができるようにいたしたのであります。更に、法案の別表に掲げている費用以外の費用についても、国が負担し又は補助する割合及び対象についても、政令で特例を設けて、離島の開発振興を図ることにたつておるのであります。  第四に、本法案によつて国が離島に対し特別措置を講ずると、約十年を以ておおむねその目的を達することができるものとして、本法案は公布の日より施行し昭和三十八年三月三十一日を以てその効力を失うことになつておるのであります。  以上が当初の原案の内容の骨子でございますが、これに対して、衆議院におきましては次の二点について修正がございました。  第一は、離島振興対策審議会を別個に設けるということ。即ち、当初の原案によれば、重要な事項はことごとく国土総合開発審議会に諮問することになつておりましたのを、地元の意見を反映させるため、又迅速なる事務運営を図るために、別個に離島対策審議会を設けて、離島関係の国会議員、知事、町村長を委員として参加させるように、新たに条項を挿入いたしたのでございます。  第二は、離島において農林漁業団体が電力施設を整備しようとするときは、農山漁村電気導入促進法の適用をなし得るようにすること。即ち、離島は一般に電力源に乏しく、動力用の電力に事欠いていることは勿論、電燈の恩恵にも浴していない者が極めて多い現状であります。従つて、農山漁村電気導入促進法第五条中に、「開拓地」の下に「離島振興対策実施地域」を加えることにいたしたのでございます。以上が衆議院より提出されました本法案の内容でございます。  経済安定委員会におきましては、発議者綱島正興君、大橋武夫君並びに政府関係官と質疑を重ね、慎重に審議をいたしました。  次に、委員会における質疑の主なるものを申上げます。先ず「現下の情勢下では、予算も期限も限られているのであるから、限られた資金を多くの島に総花的に用いるのでは、その効果が疑わしい。本法の適用対象となる島喚を法文上で明確に指定して、重点的に事業を行なつてはどうか」ということでございます。この点につきましては、提案者より、「そのような意見もあつたのだが、反対意見も強く、結局、審議会の調査審議に委ねることにしたのである」との答弁がありました、次に、離島振興事業に対して与えられる国庫補助金の経済効果についての質疑があつたのでございますが、この点については、提案者より、離島民のみじめな生活状態についての説明があり、本法案が経済問題以外に社会立法として有する面を強調されたのであります。なお、本法案は議員立法でございますので、これに対する政府側の見解を質しましたところ、主管の経済審議庁関係官より、審議庁としてはこの法案に異存なく、他の関係各省もおおむね異存ないものと思われるとのことでござました。なお、本法施行に伴う予算措置についての委員側よりの質疑に対しましては、「本法が成立しても、計画実施に至るまでには相当の期間を要しますので、本年度の予算に事業費が計上されなくても差支えないものと思われる」との答弁がございました。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もありませんでしたので、直ちにこれを終結し、採決の結果、全会一致を以て本法案は衆議院提出の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  これを以て御報告を終ります。(拍手)
  32. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  34. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第三、海事代理士法の一部を改正する法律案、(内閣提出)  日程第四、臨時船質等改善助成利子補給法案、(内閣提出、衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。    〔前田穰君登壇、拍手〕
  36. 前田穰

    ○前田穰君 只今議題となりました海事代理士法の一部を改正する法律案及び臨時船質等改善助成利子補給法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず海事代理士法の一部を改正する法律案について申上げます。  この法案の要点を簡単に申上げますと、第一は、現行法は報酬を得て海事代願業務を行う者についてのみ適用されますので、実際には何らかの形で報酬を得ておるにもかかわらず、対価を得ていないと称して法の適用を免れようとする者が生じて来ておりますので、名目上対価の有無にかかわらず法を適用するように改めることであります。第二は、現行法では、海事代理士試験を行う際に、相当の地位及び海事代理士の業務について広い経験を有する者五名の意見を聞くことになつておりまするが、この五名の選定をする場合に、海事代理士の団体又は海事代理士を利用する者の団体の意見を聞くこととすることであります。第三は、現行法別表に掲げる法令に基く申請、届出等の手続は、海事代理士のみに許されているのでありまするが、それらの法令の改廃等の事情によりまして、この別表を整理することであります。  本委員会におきましては、五名の学識経験者の選定について関係団体の意見を聞くこととする改正につきまして、その必要性や、類似法律である行政書士法、司法書士法、税理士法等との比較につきまして質疑が行われたのでありまするが、詳細は速記録に譲ることといたします。  討論に入りましたところ、一委員より、本改正案中、試験に関する改正規定は、類似法律に比較し、やや複雑の嫌いがあるが、運用の面において弊害の起らないようにすることを要求して賛成するとの意見が述べられました。  採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  次に、臨時船質等改善助成利子補給法案について申上げます。  この法案は、昭和二十八年中に外航船舶を建造する船主が、性能の劣悪な戦時標準船や老朽船を解撤する場合に、政府が当該外航船舶の建造資金の融通計画を行い、市中金融機関に対し、その融資残高に対し、一定限度内の範囲内の利子補給を行いまして、低性能船舶の解撤と外航船舶の建造を促進し、以て船腹構成を改善しようとするものであります。  本委員会におきましては熱心な質疑が行われたのでありまするが、主なるものについて申上げますと、「本法案により、約七十隻、十万重量トンの低性能船舶が解撤せられることになるが、このために職場を失う船員についての対策如何」との質疑がありまして、これに対し政府委員は、「この問題に関しては海員組合と船主との間でおおむね順調に交渉が進行中であり、政府が介入する段階ではないが、問題が起れば政府としても善処する」と答弁がありました。その他詳細は速記録について御承知を願いたいと存じます。  討論の後、採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手)
  37. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  39. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第五、青少年問題協議会設置法案、  日程第六、厚生省設置法の一部を改正する法律案、  日程第七、大蔵省設置法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長小酒井義男君。    〔小酒井義男君登壇、拍手〕
  41. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 只今議題となりました青少年問題協議会設置法案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本法律案につきまして政府が提案の理由として説明するところを御報告し、続いて本法案の内容の概略を御説明いたします。  現在の中央及び地方青少年問題協議会は、第五回国会における衆議院の青少年犯罪防止に関する議決及び参議院の青少年不良化防止に関する議決に即応し、青少年問題に関する総合的施策を樹立し、その適正な実施を図るための機関として設けられたものであつて、中央青少年問題協議会は、総理府設置法に基き総理府の附属機関として設置されており、地方青少年問題協議会は、中央に準じ都道府県及び多数の市町村が自主的に設置したものである。この中央及び地方青少年問題協議会は、関係諸機関との緊密な連繋の下に、毎年春秋二回に行う青少年保護育成運動を中心として、青少年問題に関し各種の対策を推進し来たつたのであるが、青少年問題の複雑性と困難性とに鑑み、その施策の一層の効果を挙げるためには、総合連絡機関としての青少年問題協議会の強化が痛感されるに主つた次第である。特に、地方青少年問題協議会に関しては、その法制化並びに国からの財政援助方について、全国的に強い要望があり、他方、昭和二十七年七月の衆議院行政監察特別委員会の報告のうちにも協議会の強化が要望されておる点に鑑みて、政府としては、この際、地方協議会に対して明確な法的根拠を与えようとするものである。以上が本法案の提案理由であります。  次に本法律案の内容の概略を御説明いたします。その第一点は、青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する総貧的施策の樹立及びその施策の適正な実施に関し、関係行政機関相互の連絡調整を図るため、国に、総理府の附属機関として中央青少年問題協議会を置くこととし、都道府県及び市町村には、その附属機関として、それぞれ都道府県及び市町村青少年問題協議会を置くことができることにいたしております。その第二点は、青少年問題が国政及び地方行政の基本的な問題の一つである点に鑑み、中央協議会の委員には国会議員を、地方協議会の委員には地方公共団体の議会の議員を参加せしめることにいたしております。その第三点は、この重要な青少年の問題を扱う地方協議会のよりよき運営を期待し、取りあえず都道府県協議会の運営に要する経費の一部を国において補助することができることといたしておるのであります。なお本法律案は公布の日から施行することとなつております。  内閣委員会は、予備審査と合せ、委員会を三回開きまして、本法律案の審査に当つたのでありますが、その審査の結果、明らかになつた数点を御報告いたします。その第一点は、都道府県及び市町村の協議会の設置は各地方の任意とし、強制設置の建前ではないのでありまして、現在では大体都道府県毎に協議会はすでに設けられておるとのことであります。その第二点は、本年度においては、都道府県青少年問題協議会を置く都道府県に対して、その運営に要する経費の補助として年間二千万円を国庫より支出する予定であるとのことであります。その第三点は、青少年問題協議会が成立するに至つた経過を辿つてみると、青少年の犯罪、不良化防止にあつたのでありますが、青少年問題は、法務、文部、厚生、労働、農林等、各省の事務に関係がある問題でありますので、この法律案によつて、青少年問題協議会は、これら多岐に亘る各省の事務の連絡協調を図り、かくすることによつて青少年の犯罪の防止の目的を達成しようという政府の意図であるとのことであります。  内閣委員会は、一昨日の委員会において質疑も終結いたしましたので、討論の段階に入りましたところ、竹下委員より、従来青少年問題協議会は、青少年犯罪予防、不良化防止等、消極面に重点を置いて運営せられた傾向があるが、青少年問題を根本的に解決するがためには、今後更に積極面即ち教育の面にも更に一段意を注いで運営せられんことを希望して、原案に賛成する旨、又、松原委員より、青少年問題は各省所管事務に関係する問題であるが、今後この多岐に亘る事務に統制を加え、人員、費用の上に極力無駄のなきよう運営せられんことを政府に望んで、原案に賛成する旨、最後に松永委員より、現在青少年に関係ある諸般の施設が不十分であり、これら諸施設の予算が甚だ貧弱であると思われる、この際、この三点を強調して、原案に賛成する旨の発言がありました。  以上の経過を辿りまして、最後に本法案につき採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられました。  次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本法案の提案理由として政府の説明するところを御報告いたします。  本法案は、人口問題に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省の附属機関として人口問題審議会を新たに設置しようとするものである。自立日本の当面している最大の問題の一つが人口問題の解決にあることは国民ひとしく認めるところであつて、この問題は近年国会においてもしばしば論議されて来たところであるが、これに対する総合的な人口政策は今日までのところ未だ樹立されていない状況である。併しながら、我が国は狭い国土において年々百三十万人の人口の自然増加があつて、このことから生ずる諸問題について確固とした人口政策を持つことは、国民経済の目標を決定するためにも、又これを順調に進行させるためにも、絶対に必要なことである。従つてこの際、人口問題に関係ある各界の学識経験者を集めて、人口問題の基本的方策を樹立するために、人口問題審議会を新たに設置せんとする次第である。以上が本法律案の提案理由であります。なお、本法律案は公布の日から施行することになつております。  内閣委員会は予備審査と合せ委員会を三回開きまして、本法律案の審査に当つたのでありますが、その結果明らかになつた諸点を御報告いたします。その第一点は、昭和二十四年閣議決定によつて設けられた人口問題審議会は、昭和二十五年三月廃止せられるに至つたのであるが、今回再び同一の審議会を本法律案によつて厚生省の附属機関として設置せんとする理由如何という点であります。これに対して「先に設けられた審議会は昭和二十四年十一月に政府に建議を提出し、一応当時においては審議会に課せられた任務は終つたものとして廃止されたが、我が国の人口、産業、社会の各般の現況に照らし、人口の収容部門、調節部門以外、人口問題に関連する各種問題に亘り広く調査審議する必要があると認めたので、今回再び人口問題審議会を設置せんとする政府の方針である」旨、山縣厚生大臣より答弁がありました。その第二点は、本審議会の設置に伴う予算として年間八十一万七千円が計上されており、重大な問題を調査審議する費用としては僅少のように見えるが、人口問題審議会の審議の資料についての基礎的研究は厚生省附属機関の人口問題研究所で行いますから、右の金額で間に合うとのことであります。その第三点は、総合的人口問題の対策を樹立するがためには、関係各省の協力を得ることが絶対的に必要であることは論を待たない。よつて、本審議会の委員、専門委員及び幹事には関係各省の官吏を加えて、各省との間に十分協調を保つて行く方針であるとのことであります。  一昨日の委員会において質疑も終結いたしましたので、討論を省略し、本法律案につき採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられました。  次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず、大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして政府が提案の理由として説明するところを御報告いたします。現在、本省の地方支分部局として六税関が設置されておるが、最近の税関事務の実情に鑑み、税関行政の整備拡充を図るため、今回、東京税関及び長崎税関を新たに設置する等の必要があるので、この法律案を提出する次第であつて、現在、東京には横浜税関支署が設けられており、東京港に関する税関業務、東京都に駐留する合衆国軍隊の貨物等に関する税関業務、東京都に散在する保税地域の取締等を所掌しておるが、その事務量は最近急速に増加しており、又、羽田税関支署は最近における国際航空の充実に伴つてその重要性がいよいよ増大しておるのであるが、我が国の国際的信用を高める意味においても、その事務声迅速且つ適切に処理することが強く要請されている。更に今後においてもこれらの事務はますます増加することが予想されるので、この際これらの税関支署を横浜税関から分離して東京税関を設置し、事務処理の万全を図ろうとするのが改正の第一点である。次に、現在の門司税関の管轄区域は全九州及び山口県に亘つているのであるが、他の税関に比し海岸線が特に長大であり、密貿易の件数も甚だ多く、そのため下部機関の数も他の税関に比して多大となつておる。戦前はこの方面には門司及び長崎の両税関が設置されていたのであつて、最近における一般事務員の増加、特に沿海各地域における監視取締業務の充実を期するため、今回長崎税関を復活することとし、今後における南方諸地域との貿易の増加等にも対処しようとするのが改正の第二点である。最後に、税関行政事務には、旅行者及び輸出入貨物の通関諸手続のみならず、貨物の検査鑑定、密輸の監視取締等複雑な事務が含まれており、特にこれらに関し第一線の職員が直接処理しなければならない事務が比較的多く、職員の資質能力が執務上に及ぼす影響が特に大である。従つて、限られた定員で激増する事務を円滑に処理し、対外信用の高揚を図るため、税関研修所を創設し、組織的な指導訓練を行うこととしようとするのが改正の第三点である。なお、本法律案においては、以上のほか、主計局及び税関の事務について所要の規定の整備を図ることとしておる。  以上が本法律案の提案の理由であります。なお本法律案は本年八月一日より施行することとなつております。  内閣委員会は予備審査と合せて委員会を三回開きまして本法律案の審議に当つたのでありますが、その結果明らかとなつた諸点を御報告いたします。その第一点は、二つの税関増設のために税関職員の定員の増加は全くなく、新設の東京税関には定員五百人を、又長崎税関には定員三百三十人千配置する予定であるが、これらの職員は税関職員全体の配置換えによつて充足する方針であり、又、この二つの税関増設のために昭和二十八年度予算面には増額の必要はないとのことであります。なお、行政機構簡素化の政府の方針に従い、新設の二つの税関に置かれる部は、他の税関より一部を減じ、二部を置くことにいたしておるのであります。その第二点は、昭和二十七年度において新設の東京税関及び長崎税関の管内に入港した外国貿易船の数は、東京では二百九十五隻、羽田空港に入つた航空機は千七百六十三機、長崎では千二百六十一隻、同年度における輸出入の取扱件数は、東京では十一万九千八百三件、長崎では一万二千六百六十六件、又、同年度における税関の税収入は、東京では八十七億千九百万円、長崎では一億二千九百万円でありまして、これら各種の点について他の既設 の税関と比較いたしますと、ほぼ均衡を得ておるとのことであります。その第三点は密貿易状況についてでありますが、全国で九州地方が最も密貿易件数が多数に上つておりまして、門司税関管内における検挙数を挙げますと、昭和二十五年度八百三十五件、二十六年度六百六十三件、二十七年度四百五件でありますが、長崎税関が独立いたしましたならば、これら密貿易の取締も一層厳重に励行できるとのことであります。  一昨日の委員会において質疑を終結いたしましたので、討論を省略し、本法律案につき採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手)
  42. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      ―――――・―――――
  44. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第八、航空機抵当法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。法務委員長郡祐一君。    〔郡祐一君登壇、拍手〕
  45. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今上程されました航空機抵当法案の委員会における審議の経過とその結果について御報告いたします。  先ず航空機抵当法案の内容について簡単に御説明いたします。我が国の民間航空は独立回復と共に漸く自主性を取戻しましたが、戦後七年の空白時代のため、世界の航空界に比べて非常に立ち遅れております。そのため、航空機自体は勿論、殆んどすべての器材を輸入に仰いでおりますが、いずれも極めて高価であるため、購入資金は莫大な額に達するのであります。従いまして、民間航空の健全な発達のためには、金融の円滑に参ることが特に必要でありますが、航空会社の最も重要な資産たる航空機は動産でありますので、現行法上は金融の担保方法として適当とは申されないのであります。本法案は、この不備を除くため、航空機について抵当制度を利用する途を開かんとするものでありまして、航空法による登録を受けた飛行機及び回転翼航空機を抵当権の目的とする特別な物権を創設するものであります。その内容は、滌除、増価、競売等を除いては、民法の不動産抵当と殆んど同様であり、特に自動車抵当制度と類似しております。  委員会におきましては、慎重且つ熱心に審議いたし、質疑におきましては、一松、中山、楠見、加藤、赤松等の各委員より重要な事項が質されたのであります。その内容は広汎多岐に亘りますので、詳細は会議録に譲りますが、その主な点は、航空関係の実情。更には、航空機の耐用年数が短かく、毎年の償却が大きいので、長期金融に適するや否やの点。航空機の意義、特に飛行船、滑空機を除いた理由。航空法上の装備品と附加物、従物の意義、範囲。抵当権実行の手続、特にその実効を期する方途、航空機の担保価値。航空事故の原因及び防止対策であります。  討論におきましては、赤松委員より、民間航空の自主的発展を希望して賛成する旨の発言がありました。  かくて採決いたしましたところ、本法案は全会一致可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。(拍手)
  46. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  48. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第九、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、  日程第十、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員会理事宮本邦彦君。    〔宮本邦彦君登壇、拍手〕
  50. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 只今議題となりました農林関係二法案について、農林委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  先ず、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案につき報告いたします。  本法律案は、去る四月下旬から五月上旬にかげて広範囲に亘つて襲つた凍霜害の復旧救済対策の一環として、被害農家及び養蚕家がその経営を維持するために必要な資金の融通を低利且つ円滑にして、これら被災者の経営の安定々図ることを目的として提出されたものでありまして、その骨子とするところは大要次のようであります。  即ち、第一は、利子補給及び損失補償に対する国の補助についてでありまして、農業協同組合、農業協同組合連合会或いは農林中央金庫その他の金融機関が、繭又は茶、桑その他政令で定める農作物について、平年作に比べて三割以上の被害を受けた農家及び養蚕家に対して、償還期限二ヵ年以内、利率年六分五厘以内の条件で、本年九月三十日までに営農資金を貸付げた場合、その金融機関に対し、都道府県或いは市町村が利子を補給し或いは損失を補償するために必要な経費について、利子補給にあつては、利子補給額の二分の一に相当する額又は利子補給の対象となつた貸付金の総額について年二分五厘の割合で計算した額のうちいずれか低い額の範囲内で、又損失補償にあつては、損失補償額の二分の一に相当する額又は損失補償の対象となつた貸付金の総額の百分の十五に相当する額のうちいずれか低い額の範囲内で、即ち、要約すれば、これら金融機関に対して都道府県又は市町村が年五分の利子補給或いほ融資額の三割の損失補償を行なつた場合、それぞれその二分の一を国が補助しようとするものでありまして、而してこれら補助の対象となる営農資金の総額は二十億円以内となつておるのであります。  第二は、農林漁業金融公庫法に特例を設けて、被害農家、農業協同組合又は農業協同組合連台会に対し、凍霜害を受けた桑、茶及び果樹の樹勢回復のため施用する肥料、夏秋蚕増産用蚕種及び蔬菜代作用種子の購入に必要な資金の貸付ができることとなさんとするものでありまして、而してかかる措置によつて、被災農家における右の肥料、蚕種及び蔬菜種子等の購入費の三分の一を国が補助し、三分の一を都道府県等の補助に期待し、更に残りの三分の一は融資によることとなし、その二分の一は農林中央金庫等の金融機関からの融資に待ち、他の二分の一を農林漁業金融公庫から融通することになさんとしておるのであります。  かような政府の原案に対して、衆議院において、融資の条件として償還期間二年とあるのを開拓者等政令で定める場合は三年以内に、又、利子補給に要する経費に対する補助金は利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年二分五厘とあるのを、開拓者に対する利子補給を拡大するため、同じく政令で定める場合は三分以内に、更に又、損失補償に対する補助金は貸付金の一割五分とあるのを二割に修正して、当院に送付せられたのであります。  委員会におきましては、かような措置については、凍霜害対策の一環としてすでに検討され、要望せられていたところでありますから、本法の速かなる成立を期し、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につき報告いたします。  本法律案は、農林漁業の生産力の増強に必要な長期低利資金の融通機関として重要な任務を持つ農林漁業金融小庫の基礎を堅実にし、事業運営に万全を期すると共に、併せて別途政府から提出せられている昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案によつて、過般の凍霜害による被害自家及び養蚕家、農業協同組合又は農業協同組合連合会に対し、被災農作物の樹勢回復用肥料の購入その他必要な低利資金の融通に遺憾なからしめる趣旨を以て提案せられたものでありまして、法律案の内容は極めて簡単で、現行法において農林漁業金融公庫に対する政府の一般会計からの出資金百億円となつておりますのを百八十億九千三百万円に改正せんとするものであります。而うしてこのうち百人十億円は公庫本来の業務に関するものであり、九千三百万円は凍霜害に対する臨時的措置に関するものとされております。  委員会におきましては、これらの仕置を適当と認め、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手)
  51. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  53. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 参事に報告いたさせます。    〔参事朗読〕     ―――――――――――――
  54. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長中川以良君。    〔中川以良君登壇、拍手〕
  56. 中川以良

    ○中川以良君 只今議題となりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会における審議の経過と結果について御報告申上げます。  中小企業信用保険法は、御承知の通り中小企業者に対する金融機関の貸付について政府が信用保険を行う制度であり、昭和二十五年十二月に制定、翌二十六年十一月の改正で、信用保証協会が行う債務保証をも保険の対象に追加したものでありまして、中小企業者の信用を補強し、その金融円滑化を助成して来た制度でございます。そこで、発足から本年三月末までのその利用状況は、金融機関を相手方とする付保実績は約一万二千件、百四十八億円であり、信用保証協会を相手方とする付保実績は約一万四千件、四十四億円に達しており、とにかく利用率は上昇しつつありまするが、何分にも現在のような金融情勢下での中小企業金融の促進は依然として容易でありませんので、本制度も現状に即してできるだけの改善を加え、その活用を大幅にする必要を生じているのであります。  以上の事由によりまして本改正法案の提出を見た次第でありまするが、今その改正の要点を申上げますと、第一に、中小企業者の範囲を拡大して、資本額による制限を現在の五百万円から一千万円に引上げ、常時従業員の数による制限を二百人から三百人に引上げると共に、新らしく医業を主たる事業といたしまする法人並びに特定中小企業安定法による調整組合とその連合会を加えております。第二に、相互銀行及び無尽会社の行う給付を金融機関の貸付に準じて保険することといたしております。第三に、金融機関を相手方とする保険について、保険金の填補率を七五%から八〇%に引上げております。第四に、保険を付し得る貸付金の限度を、一中小企業者では現在の五百万円から一千万円に引上げ、中小企業等協同組合と調整組合又は同者連合会では、現在の二千万円から三千万円に引上げております。第五に、保険金の支払請求権を行使できる時期は、現在では事故発生後六ヵ月を経過したときからとなつておりまするが、それを三箇月経過したときに繰上げております。第六に、保険金支払に伴う代位の規定を回収金の納付の規定に改めて、手続の簡素化を図つております。第七に、信用保証協会の相手方とする保険について、保険金の填補率を現在の五〇%から六〇%に引上げております。最後に第八といたしまして、金融機関が、中小企業金融公庫、日本開発銀行又は国民金融公庫の代理貸を行う際に伴う債務の保証につき、新たに保険する制度を設けております。  以上が改正の要点でありますが、本委員会では特に信用保証協会法案に関しましても説明を聴取し、慎重審議をいたしたのでありますが、質疑の主なるものは次の通りでございます。即ち「特に今回の西日本の水害対策に関する金融措置の一つとして、金融機関に対する保険金の填補率を、改正法案の八〇%から臨時に更に引上げて九〇%にする措置はできないか」との問に対しまして、政府当局よりは、「今回の水害対策としては、本歌正法を公布の日から施行することに繰上げて、填補率はこのままで行くことにいたしておる。なお、この填補率引上げは、通常の問題としても、金融機関の自主性などを考慮いたしまして、この程度にとどめたい」との答弁がありました。  次に、保険料率の三%はもう少し引下げができないかとの質問に対しましては、「事故率に関する統計の整備を待つているのと、独立採算の点からして、今暫らく静観をしたい。なお今回の水害対策として、罹災事業者に対しては特に保険料率の負担を一%にする」との答弁がございました。又「保険に付し得る貸付金の期限は現在六箇月以上となつておりまするのを三箇月以上ぐらいに短縮できないか」との問に対しましては、技術的に研究を進めたいとの答弁がありました。その他詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。  質疑が終り、討論に入りましたところ、豊田委員より、「本改正は制度の拡充強化をもたらすものとして賛成ではあるが、希望条件の第一として、保険の対象となる貸付金の期限につき、特に信用保証協会との関係よりしてもいま少し短期に引下げられたい。第二として、保険金の填補率につき災害の場合は特に九五%に引上げるよう研究し実行に移されたい。第三として、業界の要望を考慮して保険料率の引下げに努力ありたい」との条件で賛成意見が述べられました。次いで小林委員より、今回の水害対策として速かに且つ有効適切に実施をせられたいとの賛成意見が述べられました。  かくて採決に入りましたところ、全会一致を以て本改正法案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。以上御報告を申上げます。(拍手)
  57. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  58. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十五分散会 ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)  一、竹島周辺における韓国漁船発砲事件並び竹島の帰属に関する件  一、日程第二 離島振興法案  一、日程第三 開示代理士法の一部を改正する法立案  一、日程第四 臨時船質等改善助成利子補給法案  一、日程第五 青少年問題協議会設置法案  一、日程第六 厚生省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第七 大蔵省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第八 航空機抵当法案  一、日程第九 昭和二十八年4月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案  一、日程第十 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  一、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案