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1953-06-29 第16回国会 参議院 本会議 15号 公式Web版

  1. 昭和二十八年六月二十九日(月曜日)    午前十一時十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十四号   昭和二十八年六月二十九日    午前十時開議  第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)(前会の続)  第二 国務大臣の演説に関する件(第二日)  第三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)  第四 理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)(前会の続)  去る二十六日の質疑に引続きまして、これより順次発言を許します。藤田進君。    〔藤田進君登壇、拍手〕
  4. 藤田進

    ○藤田進君 私は日本社会党を代表いたしまして、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に対しまして、吉田内閣総理大臣並びに関係閣僚に対しまして質問するものであります。  第一に、政府は、日本において労資関係が合理的な安定を維持するためには何が必要であるとお考えか。重要な点について緊急調整決定権者でありまする吉田総理からお答えをお願いいたしたいのであります。  私は、吉田内閣がここに提案しておられまするごとき、一方の側のみ専断的に弾圧するが、ごときことは、却つて紛争議を長期、激化する以外の何ものでもないと考えておるのであります。(拍手)而もこのことは、すでに欧米諸国におきましては十八世紀の時代に経験をいたしまして、今日改められておるところであります。我が国の領土は極めて狭い上に、人口は八千数百万を数え、日と共に増加しつつある現状と、更に、国内資源は乏しく、国民生存の基礎を何に求めるか、重大な岐路に立つていると考えているのであります。この点につきまして、政府は真剣にこのことを考えているのかどうか、甚だ疑問とするところであります。(拍手)特殊な悪条件下の日本は、それに即応した政策が実施されない限り、民主主義も経済的自立も望み得ず、徒らに紛争議のみ倍加することとなるのであります。吉田内閣の政治の貧困は、救いがたい前世紀の遺物の観を呈しておりますが、(拍手)失敬の補いを絶対多数を占める労働者や農民に転嫁をいたしまして、余りにも資本家本位であるところに、昨年の電産、炭労の争議が発生したと言えるのであります。  労資紛争の根源を探究いたします場合に当然行き当るものは、利潤動機のみによつて駆り立てられる資本家や政府によつて政府経済が遂行されるとき、その弊害は極めて深刻となり、吉田内閣が掲げる自由競争は資本主義の下において作用しており、その内在的必然に従つて独占に転化し、同時に自由競争、資本主義というこのよさは次第に失われまして、今日のごとく資本主義の弊害が露呈されて、あらゆる人道主義を打ちのめしまして、貧富の懸隔が甚だしくなり、多数国民が少数者から強大な圧迫を受ける結果となるのであります。我々は、歴史的に資本主義の独占化を見出し、独占資本の最大の煩悶は、みずからが作り出したところの大衆の貧困のために商品の販売不能が生じていることであり、再びソシアル・ダンピングをもくろんでいることであります。いわゆるスト規制法も、かかる資本主義放任政策の所産であると言わなければなりません。(拍手)  電気、石炭のごとき、吉田内閣と深い身分関係にありますところの産業におきましては、単なる精神的なもの、感情的な立場では、労資安定が維持でき得ないことは明らかであります。私は、政治的民主主義は、経済的民主主義の裏打ちがないならば、その機能と意義を十全に発揮できないと考えております。世界の歴史に逆行することなく、真の労資関係の安定、一国の発展のために、吉田内閣はデモクラシーを産業に適用し、社会的デモクラシーによるところの生活、自由及び福祉の追求における均等を極大化するという原理を採用する意思はないのかどうか、お伺いいたしたいのであります。(拍手)  第二は、同様、吉田総理にお答え願いたいのでありますが、曾つて、国連の経済社会理事会におきまして、日本を含む数カ国に対し労働政策の反動性が指摘されたにかかわらず、その後、依然として吉田政府は、昨年、破防法、労組法、労調法などを制定、改悪いたしましてここに又労働基本権を剥奪するところの立法を多数を以て押切らんとしておりますが、国連加入の意思を有せられる吉田総理は、国際的感情を如何に把握しておられるのか、お伺いいたしたいのであります。  本法案は、国連の機構となつておりますILO決議の批准に反し、同様、世界人権宣言、人権と基本的自由、これを冒涜するものではないか。人類普遍の原理に背反してまで独占資本に奉仕しなければならないというその理由はどこにあるのか。その経緯を明白にしてもらいたいのであります。(拍手)昨年の電産、炭労争議には、広く海外の理解と援助が与えられております。殊に、国際自由労連及びイギリス労働組合等から多数の物的支援があつた事実を如何に解釈されているのか。お答え願いたいのであります。  第三の点は、岡野通産大臣にお尋ねいたしますが、(「いない」と呼ぶ者あり)現在欠席でありますので甚だ遺憾でありますけれども、早い機会に御答弁をお願いいたしまして、保留いたしておきます。そこで、岡野通産大臣に対しての質問は、今日、電気及び石炭鉱業の主管大臣として当該事業経営の実態と労資問題について如何に認識しておられるのか、お伺いいたしたいのであります。電力行政は、昭和二十六年五月一日、企業分断再編成を頂点にいたしまして破壊的な様相を呈しております。我が国の電気は水主火従であります。細長い日本列島で南北に分流する狭隘なる流域で、而も急流であり、天然資源に恵まれているとはいえども、部分的或いは地域的経営は、従来の事例が証明いたしますごとく、もはや行詰りの状態であります。水火力調整金や料金の地域差を以てしても公共の福祉は到底維持できないのみか、経営自体行詰り、今以上、これ以上、電気労働者にしわ寄せすることもできない限界に到達いたしておるのであります。過去の企業分断の誤まりが明らかになつておりまする以上、ここに抜本的な再編成をしない限り、スト規制法では救済できない段階にあると考えております。労働者に対しては、公共の福祉に名をかり圧迫を続けるが、政府みずからは電気産業の公益性を全く忘却して利潤追求の私企業として、好個な政治資金のドル箱としておる点は、納得の行かないところであります。(拍手)国民等しく天然資源の恩恵に浴すべきものと思うが、政府の政策の失敗から、今日大きなアンバランスが生じております。この現実を如何に打開なさるおつもりか、お伺いいたしたいのであります。(拍手)  スト規制法の所産については冒頭申上げた通りでありまするが、昨年の電産、炭労の争議は、資本家と共に政府が一体となりまして、政策失敗の打開と再軍備経済に備え、賃金及びその他の労働条件にのみ負荷せしめんとしたところの野望に対する、労働者のやむにやまれぬ抵抗にほかならなかつたのであります。(拍手)電産を例にとつて見ましても明らかなことく、労働時間は時代に逆行いだしまして、一週三時間半延長され、家族給の支給範囲は極度に縮小され、又休日休假の減少、社会保険金の負担の増大などの苛酷な条件を権力に依存をいたしまして押付けた結果となつております。而も、当時、資本の側においては、並行いたしまして四倍の増資、これは無償を含んでおります。減価償却の増大化、株式配当は一割五分の復活など、労働者に対するとは反対に好況を呈しておりました。さような実態から容易に感じることは、本法案が優位を堅持せんとする資本家の要請から生れたものであることであります。  石炭鉱業についても問題が深刻であります。最近の朝日新聞などの所報によりますると、北海道、常磐、九州、この三大地帯の炭鉱業のうち、中小資本は続々潰れて行つているということであります。岡野通産大臣はこのことを御承知であるかどうか。大資本家、特に吉田内閣と関係の深い業者は、長者番付にも載るごとく、大きな打撃も受けていないように窺えるのでありますが、中小炭鉱は、北海道で手掘り採炭の小炭鉱を除きまして約五十鉱のうち、すでに三十が潰れ、あと二十も近く潰れるというふうに現地では言つております。又常磐地区におきましても、百三十炭鉱のうち、五月末までに二十二休虎止され、今後が危ぶまれております。更に九州におきましては、三月以降五月末までに約六十炭鉱が廃鉱となつております。勿論この陰には、多くの労働者と、その家族が生活から見放され、いつ生業に就けるか全くわからない、路頭にさ迷つているのであります。一山一部の保安要員の罷業権を剥奪することよりも、炭鉱全体の救済策が、当面いたします吉田内閣の通産大臣として喫緊のことではないのか。具体的な所見を承わりたいのであります。  第四に、犬養法務大臣にお尋ねするものであります。昨年の電産、炭労の争議が動機と相成りましていわゆるスト規制法が出て来たと言われるが、昨年の電産争議のみに基因する不当弾圧は、起訴されたもの十三件に及んでおります。その中には、すでに同種事案でありまして、地裁、高裁共に無罪になつたものを多く含んでいるのであります。犬養法相は、かかる過去の判決を無視して、独自の解釈を以ていつまでも労働者のみを弾圧するこの政策を続けようとされるのかどうか、お伺いいたしたいのであります。又かかる起訴は何らの起訴利益も発見できないものであります。その起訴利益の点につきまして如何なるものがあるのか、ここに具体的にお示しを願いたいのであります。更に、今次スト規制法は、法務当局として如何なる法理論に立つておられるのか、説明を願いたいのであります。昨年の争議に関連いたしまして、九州の戸畑水力発電所におきましては、会社側が労調法に違反して十一万キロという大発電所を五時間も停電させました。このロック・アウトという事件に関連いたしまして、検察当局はこれを不起訴にいたしておりまするが、余りにも資本家本位ではないか、片手落ちではないか、この点に対する所見を承わりたいのであります。  第五に、犬養法務大臣並びに小坂労働大臣にそれぞれお答えを願いたいのであります。本法案は、現行法の枠内におきまして違法なりとかねて政府が断定しておられます部分を、解釈問題であるがために不明確であるから、宣言的、確認的なものとしたのであつて新らしく罷業権の一部を剥奪するものではないと言明できるのかどうであるか。両大臣のお答えを願いたいのであります。従来、政府において違法と言われ、目下公判廷におきまして、検事の主張は、即ち法務大臣の主張は、「争議行為として発、変電所などで職場員が労務提供を拒否することは違法ではないが、その域を超えて、会社が、当該相手側である会社が、停めてはならないと、こう言つた場合に、正当な事由なくスイッチを切つたり、或いは発電機を停止したりする場合は、それは違法なり」と、こういうふうに主張されております。これは法務大臣の見解と了解いたしますが、労働大臣の見解も同様なのかどうかお伺いいたしたいのであります。保安要員についても引揚げることの手段は現行法上違法なりと言われるが、その根拠を労調法第三十六条に求めておられる。この三十六条は人命の安全保持の意であることは、今日疑いのないところでありますが、若し設備自体も含まれているとすれば、憲法第二十八条の労働権を同二十九条の財産権に隷属せしめるの結果となるが、労働大臣は如何に説明なされるのか、法解釈を承わりたいのであります。  第六に、本法案の内容について小坂労働大臣にお伺いいたします。  第一点は、スト規制法の立法要因についてであります。政府のかかる違憲法案の根底を流れるものといたしまして前世紀的なものがここに伏在いたしましてストライキそのものが罪悪であるという、このストライキ罪悪論の上に立つていると私は考えております。政府は常に国家機関といたしまして労資問題に対して厳正中立でなくてはならないのであります。にもかかわらず、資本家の総本山である日経連の下請機関化いたしまして、政府自体の階級性を露骨に現わしていると思います。(拍手)政府は速やかにこの態度を改めらるべきであると考えまするが、所見を承わりたいのであります。公共の福祉と罷業権との調和を図るのであるから、憲法違反にはならないと強弁されるが、炭労においては保安要員の引揚げは現実に実行されておりません。一方、電産についても、一般家庭や中小企業への電力は全供給量の僅か三〇%程度で、七〇%は大品需要家に送電されております。ストライキによる若干の減電はあるといたしましも、公共の福祉を云々して罷業権を剥奪するほどのものでないことは数字で証明できるが、政府は、科学的な根拠もなく、むしろ昨年十二月一三日の日に、ストライキ解決直前に、労働省労政局より発表いたしました資料によりますると、電産争議による被害は殆んどなかつたと発表いたしておるのであります。又スト中の給電操作は全部会社側が行い、大資本には送電いたしまして、一般家庭や中小企業には停電せしめた事実を御存じであるのかどうか。お伺いいたします。労働省は労働者のサービス省といたしまして発足いたしたはずであります 今日その趣きを全く異にいたしまして、本法案のごとき反動法が生れ出たということに対しまして、誠に遺憾とするものであります。小坂労働大臣は、本来の使命に立ち返つて、本法案撤回の努力をなされる用意はないのか承わりたいのであります。(拍手)  第二点は、本法案が憲法第二十八条に違反することは、法学者の説で明らかなところであります。電気、石炭の利潤追求の私企業におきまして、罷業権を奪うのみで、何ら救済の措置も講じることなく放置する本法案は、結局憲法第十八条の奴隷的拘束と苦役に服さしめることとなるのであります。政府説明によりますると、電産、炭労共、一部労働者のスト権がなくなつても、大部分の労働者はそれぞれ有効なスト手段が残されていると言われておりまするが、この考え方は、現在の炭労、電産の組織で永久に固定したものと誤まれる解釈を前提としておるものであります。若し保安要員労働組合や、発、変電労働組合が近く結成されたとすれば、これら労働組合は、何らの手段を持たない、虎の前に全くの裸にして放り出された、こういう立場になつてしまうのであります。電気事業において本法案が適用されまする場合、考え方によりましては、六〇%を占める約八万人余が被害を受け、発電所数約千三百五十カ所に及び、このほか変電所がこれに加わるのであります。小坂労相はかかる実情を知つての御提案か、又これら労働者に対して如何なる見解か承わりたいのであります。  第三点は、本法案は昨年の争議の実績に徴して立法化すると言われております。その論拠は明らかに懲罰立法と解され、そのためにこそ、三カ年という、この三カ年の懲役にも値いするような期限が加えてあります。若し他産業におきまして、経営者が頑強なために電産、炭労の、ごとく争議が長期深刻と相成りましたその場合の実績が仮に出たといたしました場合には、当然、本法案の中に逐次追加仲間入りをすることになりはしないかと思います。それとも、電産、炭労さえ抑えておけば、他は大したことはない、そういう分析をなされ「おるのか。この点につきまして見解を伺いたいのであります。  第四点は、政府は世界の労働法制史を逆に歩みつつありまするが、日本の現労働法体系から論じまする場合、公益事業のストライキは一定の限界の下に合法である。一定の制限が付されておるのであります。而も電気事業の場合は電気がとまり、運輸事業の場合は、電車や或いは自動車がとまるということをそもそもの前提にいたしまして、現行労調法はできておるのであります。さればこそ労調法第三十七条におきましては、公益上抜き打ちのストライキを禁じまして、十日前の予告を必要といたしております。又同法第三十五条の二によりますると、公益事業については特に緊急調整の制度があるが、政府の解釈通り、若し電産のストライキ、これが現行法でも電気がとまるということが違法であるとするならば、この筆法でするならば、私鉄のストライキで電車や或いは自動車がとまるということも、又違法なりと言わなければなりません。政府は、電産の場合、なお他に有効なストライキの手段が残されておると言われております。例えば株主総会の業務の拒否であるとか、集会、検針、決算などの業務の拒否をするならば有効なストライキであると指称されておりまするが、かかるストライキに限定されるとするならば、もはや公益事業の指定は法的に必要がなくなつて、あたかも生命保険会社や或いは一般の商社と同様に、労調法から外してしまいまして、ストライキ予告の義務や緊急調整の必要を解除して然るべきものと考えまするが、依然として労調法の改正をしていないのは如何なる法的見解を持つておられるのか、詳細に説明を願いたいのであります。(拍手)  第五点は、本法は、電気並びに石炭鉱業共に、事業主自身に対しても、争議行為としての電源スト、停電スト、或いは保安要員の引揚げその他がそれぞれ禁止されております。これは一見労資双方に対しまして不公平なく、両方とも規制するのだという、こういうふうに装つておりまするが、これは素人を欺瞞するものであつて、果して、本法の、ごとく労働者のスト権が剥奪された暁に、事業主自体がかようなストライキを実施するかも知れないという、こういう事例が現実に存在するものかどうか。実例をお示し願いたいのであります。(拍手)  第六点は、この際、質しておきたいことは、本法案の阻止のために、悪法阻止のために、院外におきましては容易ならぬ事態が発生いたしつつあります。これらに対しまして労働大臣は如何に対処しようとするお考えであるか、お伺いいたします。即ち、累積せる反動政策は労働者の生活を脅かしまして、基本的権利を守るためには、みずからが立ち上る以外にはすでに頼むところはないという決意を以て、今や組織的に顕在化いたしつつありまする本法案に対しまするこの反対の闘い、これに対して政府は無理押しをしてまでここに通過を図られようとするのか。ますますその対抗手段は労働陣営において激化すると考えられるが、これに対して政府は労働者の言い分に耳を傾けないで、従来とられたことく権力主義による一方的な弾圧というもので対抗せられようとするのか。明確にして頂きたいのであります。  最後に、私は重大なる時に当りまして、曾つてナチス・ドイツやフアツシヨ・イタリアが経験いたしましたごとき、憲法を蹂躙して、労働者を骨抜きにする本法案に対して、本院の使命を全与するために、特に慎重なる御審議を希望いたします次第でございます。以上を以ちまして私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
  5. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  今日まで政府の考えておりますことは、労使協調によつて円満なる経済産業の発達を企図いたしておるのであります。然るに、昨年の電産及び炭労のストは、国民生活を脅かすこと甚だしかつたということは、国民の記憶に、今なお最も明らかなる記憶があるのであります。(拍手)政府は、ここにおいてか、社会の福祉と国民の生活及び争議行為の範囲を限定するというために、この法案を出したのであつて、この法案は、争議権を抑制するとか或いは勤労大衆を圧迫するという趣意ではないのであります。争議権の基礎を明らかにして、そして、社会、国民生活と協調ができる範囲において争議権を規制しよう、争議行為を規制しようとするのでありまして、その趣意は、抑圧だとか、保守的のように民主主義に逆行するとかという考えは毛頭ないのであります。従つて又この法案が、ILOの声明文は世界人権宣言等に違反するものとは毫も考えておりません。  委細なことは所管大臣からお答えいたさせます。    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  6. 小坂善太郎

    ○国脇大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。  第一問は、前国会におきまして労働大臣が発電所における職場放棄それ自体不当であると言つているけれども、これについて法務大臣の見解は若干食い違つているように思うといつた趣旨であつたと思いますが、発電所におきます職場放棄は、本法案第二条の、不当な又妥当ならざる争議行為に含まれている、こういうふうに解釈いたしております。なお後ほど法務大臣からこの点については詳細な見解の表明があると思います。  第二問は、労調法第三十六条は人命の安全保持のみを規定していると考えるが、政府は設備保存をも含むごとく言つている。然りとすれば、憲法第二十八条の争議権は財産権に隷属されるように考えられるというのであります。労調法第三十六条におきましては、昭和二十一年、この法律の施行以来、設備保存が含まれるという解釈をとつたことはないのでありまして、一貫して人命安全保持のみを規定していると解釈いたしております。併しながら、労調法三十六条の解釈がこのようであるといたしましても、さればとて争議行為によつて設備等を荒廃せしめてもいいというわけのものではないのであります。それにはおのずから憲法上もろもろの基本的人権との調和の限界があるというふうに考えるのであります。従つて争議権の無制限な行使が許されるということではありません。本法第三条に言つてありますのは、かかる見地に立つて申している次第でございます。  なお、この政府のスト規制法の底に流れる考え方に前世紀的なものがあつて、ストライキは罪悪であるというような態度が見られるという御質問でありましたが、政府といたしましては、憲法第二十八条において保障されております労働者の団体行動権は、公共の福祉に反しない限りにおいて最大限に尊重せらるべきものであるという基本的態度を従来ともとつているのでありまして、ストライキが罪悪であるなどというようなことは考えておりません。又、本法案は、こうした考え方から争議権と公益との調和を図らんとするものでありまして、全く公正な国民的立場に立つものでありまして、御指摘のごとく、資本家等との連繋によりましてその利益の代弁をするというような考え方は毛頭ございません。  第四点といたしまして、私に対するものは、昨年の電産、炭労ストの経験に鑑みまして、公共の福祉を擁護するためにこの法案を出すと言つているけれども、昨年の電産、炭労ストが公共の福祉を如何ばかり阻害したかというようなことでございましたが、これにつきましては通産当局からお答え願つたほうが妥当かと存じますけれども、昨年のストの結果、電気供給の減少によりまして各種産業が甚大な影響をこうむり、一般家庭における停電も頻発し、一方、石炭供給の減少によりまして、国鉄における列車の削減、都市におけるガスの供給制限等が実施せられたのであります。国民経済及び国民生活に及ぼす影響というものは甚大であつたと考えられるのであります。なお労政局におきまして被害等について発表いたした事実は、ございません。  なお、第五問といたしまして、労働省はサービス省なりと言つているけれども、労働省としてこうしたスト規制法案を撤回するための努力を払う考えはないかということでございます。労働省といたしましては、労働問題に関して労働関係者及び国民一般に対してサービスをするということを使命といたすものであります。私も大臣就任以来しばしば申上げております通り、今後この方面について十分努力をして参りたいと考えております。併しながら、本法案は現実の必要から提案いたしたのでありまして、決して争議権を抑圧し労働者の福祉を阻害するということになるとは考えておりませんから、これを撤回する意思は、ございません。次に、この法案は労働者の争議行為のみを規制し、救済措置を講じていないということでございます。事務系統の職員といつても非常に僅かであるのだから、実際は争議権を奪われることになるのではないかという御質問であつたと思います。本法案につきましては、しばしば申上げておりますように、従来とも社会通念上不当である或いは又妥当ならざるものであると考えた争議行為の範囲を明らかにしたものでございまして、従つて特に新たな制限を課するものでございませんから、従つて又救済措置を講ずる必要はなかろう、こう考えております。  次に、本法案は、昨年のストライキに鑑みて懲罰的な意味を持つているのではないかということでございました。併し、私どもはしばしば申上げましたような趣旨を以て本法案を提案しているのでございまして、何らそこに懲罰的意味は考えておりません。又これを御指摘のごとくに他産業に及ぼすという意思は持つておりません。なお労調法におきましては電気事業を公益事業に指定いたしまして、争議行為の予告等の措置を講じておるけれども、この法案によりますと、電気事業或いはこうした国民生活に影響を与えるような争議行為はできなくなるんた、従つて実質的に公益事業として指定することは必要なく、当然労調法を改正すべきであるがどうかと、こういう御質問であつたと思います。労調法の第八条は、公衆の日常生活に欠くことのできない事業の範囲につきまして定めたものでありまして、電気事業におきまする停電スト、電源スト等、本法案において規制する以外の争議行為も、又国民の日常生活に支障不便を与えることが多いのでありまして、労調法の第八条の公益事業の範囲を従来通り規定しておくことが必要であると考えております。  更に、労働者のみならず使用者の規制も対象としている、例えばロック・アウトができないということを規定しおるけれども、これは、まやかしではないかという御趣旨の御質問でございましたが、これは繰返して申上げますることになりまするが、この法案というものは、従来とも社会通念上不当又妥当ならざる争議行為の範囲を明確にするという趣旨のもので、ございまして、使用者といえども例えばロック・アウトのような争議行為を行い得ざることは当然のことでありまして、この点を明らかにした次第でございます。  最後に、院外におきますスト規制法に関する反対運動が漸次高まりつつある、労組側のかかる意思を十分に聞いて善処する意思がありや、又無視する考えであるのか、明白にしろという御趣旨であつたと思います。これにつきましては、今までもお答え申上げましたように、本法案は従来から不当或いは妥当ならざるものと考えられていた争議行為の範囲を明確にすることであるのでありまするが、一部には、これらの行為というものは、なお正当なものであるという見解を持しておる者があるのでありまして、それでは公共の福祉が侵害される現実の危険があると考えられまするので、ここに提案をした次第でございます。民主的労働組合の諸君には、本法案の趣旨については御理解が得られることと確信いたしております。    〔「何を言うか」と呼ぶ者あり)なお、昨年のストライキにつきましては、あのような第三者である多数の国民に重大な迷惑をかけるような争議行為はすべきでなかつた、誤まつていたという反省が、関係者の中に多いということを聞くのでございまするが、この際、関係の組合の中から、かかるストライキは誤まりであつて、これを再び繰返さぬ旨の宣言を国民に対して発するような意思はないものかどうか。むしろこの点をお尋ねを申上げたいと思う。  以上でございます。    〔国務大臣犬養健君登壇、拍手〕、
  7. 犬養健

    ○国務大臣(犬養健君) お答えをいたします。  先ず最初に、昨年の九月から十二月にかけて行われました電産ストライキに関しまして、検察庁で公訴を提起いたした事案は、九件、二十六名でありまして、これが藤田議員の指摘と少し数が違うのでございますが、私のほうもよく調べ直しまして、間違つた点がありますならば委員会において又お答えいたしたいと思います。この九件、二十六名につきましては、藤田議員も御承知かと思いますが、その都度、衆議院、参議院及び労働組合側から、当時の事情のお話がありまして、私としましては、経営者、労働者双方に対して検察庁は飽くまで厳正たるべきものと思いますので、一々問合せをいたしたわけであります。その結果、或いは藤田議員の御趣旨に反するかも知れませんが、この九件、二十六名というものは、全部会社側の引継要員に対しまして威力を用いて業務を妨害したと、いわゆる威力業務妨害に当てはまるものと認定いたしまして、起訴をいたしたわけでございます。従つて、この二十六名は単純なスイツチ切断行為のみで起訴した者は一人も含まれておりません。さよう御承知を願いたいと思います。  なお、裁判所との食い違いということについて御質疑がありましたが、これは二十三年に北海道と福岡において電気事業法違反事件が起りまして、これを裁判所で無罪にしました。これを検察庁が見解の相違がありまして目下上訴して、上告審が係属中だという事件があるのでございます。これは、やはり今申上げましたように、この業務妨害になるかならないかという認定の問題なのでありまして、まだ最高裁判所において解釈が最終決定を見ておりせんので、検察側といたしましては従来の見解を維持しているというような次第でございます。  又もう一つの事件は、二十五年に起りました川崎変電所の事件でありまして、これは無罪の判決があつて、そのままになつたのでありますが、これはすでに御承知のように検察側に少し行き違いがありまして、従つて裁判所の見解に服したということではないのでありまして、これはたびたびここで申上げた事件でございますから、御承知と思います。  戸畑の事件というのは、甚だ恐縮でありますが、私、只今承知いたしません。これは委員会において詳細お答えをいたしたいと思います。  それから争議行為についての、法務省、検察庁の解釈でございますが、争議行為が公共の福祉に反せざる限度においてのみ許される、こういう考え方を従来一貫して政府はとつているのでありまして、先ほど御指摘の労務提供拒否が場合によつては違法にならないと私が言つておるじやないかと、こういうお話でございましたが、労務提供拒否であつても、やはりこの公共の福祉に反する限りは違法行為であるという解釈をいたしているわけで、ございます。(「その解釈はおかしいじやないか」と呼ぶ者あり)それで、なぜ私と労働省と意見が違うかというお話が出るかと思つて、ちよつと調べてみたわけでございます。それは結局、本年の三月に私が衆議院の労働委員会におきまして、単なる職場放棄というものは、それ自体は不法ではない、併し、例えば給電指令所、給電の急所である給電指令所などは別であつて、これは違法だというお答えをしたのでありますが、その半分だけをお取上げになつておるんじやないかと、こういうふうに思うのでございます。従つてこの際にはつきり申上げておきたいと思いますが、単なる職場放棄が何でも違法行為でないというふうに許されるわけではないのでありまして、例えば労調法第三十六条における保安施設の場合のようなもの、或いは職場を離れること自体が重大な結果を来たしまして、いわゆる法益の権衡を失し、公共の福祉に反して、争議行為としても違法と認められる場合などは、これはおのずから別であると、こういうふうに私は考えているのでありまして、衆議院の労働委員会におきまして、その典型的な例として、電気の給電の中枢である給電指令所の例を挙げたわけでございます。さよう御承知を願いたいと思います。それから、これは労働大臣からすでにお答えがあつたのでありますが、今度のスト規制法というものは、現行法に関しまして違法の範囲をはつきりさせるという態度を法務省はとつておりまして、従つて、法務省が直接関係いたします罰則のごときは、この意味におきまして現行法から少しも加重しない。従つて現行法の罰則を適用する、こういうような態度をとつて参つたのであります。そうして、違法の範囲をはつきりさせるについて、私どもがその判断の基礎といたしましたのは、ひとり法務省の法律的解釈ばかりでない、昨年のあの大きいストライキに対して国民がどう感じたかということをやはり基準の一つにいたしたということを申上げておきたいと思います。(拍手)    〔藤田進君発言の許可を求む〕
  8. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 藤田君。    〔藤田進君登壇、拍手〕
  9. 藤田進

    ○藤田進君 只今の法相並びに労相のお答えに関連して、私は再質問いたします。電産の電源職場の労務提供拒否というこの戦術は、昭和二十五年の末から昭和二十六年にかけまして、当時の停電スト、スイッチ・オフのストライキ、これに対して法務府並びに最高検の干渉がありました。法務府並びに最高検、これに労働組合、この三者が話合いまして、電産の場合には、発電所において自分たちが持つている労働力を、これを提供しないということのみが許されているのであつて、それ以外にスイツチなど切つてはいけないという、こういう御主張であつたために、私どもは、それだけ信用しては、又政治弾圧があつてはならないということで、当時、中央労働委員会の会長を辞任された直後の末弘博士にも諮問をいたしまして、成るほど労働力提供を拒否するというこの職場放棄というか、この戦術が最も妥当なりと、こういうことで、あのような戦術を昭和二十六年の四月以後とつたはずであります。その当時、法務府、最高検におかれましては、然らば発電機が回転しているその最中に職場放棄をして出るということでよろしいか、それはあたかも電車や汽車がトンネルの中に入つているのに時間が来たからストライキをする、もう運転しないで職場放棄をするということが不当であると同じように、職場放棄する際には、発電機を安全な姿にとめておいて労務提供拒否をなさるべきである、こういう御意見があつて、あのストライキは出発しているのであります。然らば本法案によりまして違法性を明確にするということであれば、いつからその違法性が政府の解釈として変つたのか、これを明確にして頂きたいと思います。更に、只今法務大臣と労働大臣の食い違いは、法務大臣のほうではお聞きの通り。労働大臣のほうでは、一切の発電所における労務提供拒否は、これは違法である、こう断定せられております。この点につきましては更に労働大臣の明確なお答えを願いたいのであります。従つて、発電所の労務提供拒否は、労働大臣の解釈によるとできない。一方、事務系は集金ストその他がまだ残つているのではないかとおつしやる。そういたしますと、集金を三カ月も四カ月もしない、給料の支払事務のストライキをやつているという事態が起きるわけですが、そうなりますと、発電所の労働者は何カ月も給料をもらわないで働かなければならない、職場放棄をやると、これは違法になる、こういう関係が生じて参ります。これらの説明は更に詳しくは委員会においていたしたいと思いますが、以上の点について明確にして頂きたいと思います。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  10. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申上げます。  発電所におけるいわゆるワーク・アウトというようなものが違法であるか違法でないかということでありますけれども、これは藤田さんに申上げるのも釈迦に説法であります。電気の場合は、生産即消費ということになる非常に特殊の性格を持つたものであるし、又、代替性がない。従つてそれが公益公共の福祉に与える影響というものは非常に大きなものであることは言うまでもないのでありまして、これは観念としてそう考えられた。ところが昨年の争議の結果、その経験によりまして、これは社会通念上明確に違法であるとするということに考えざるを得なくなつたわけであります。なお、給料の支払の問題について、例えば電源のみにおいて生産に従事し、一般事務ストが行われている場合、給料が払えなくなるのではないかというお話があつたと思いますけれども、それは又十分にやりようのある問題であつて、いやしくも正当なる生産業務に従事して、而も正当なる、当然であるところの労働の報酬を受けないというようなことは、これは絶対にあり得ない、なし得ないところでありまして、(「あつたらどうする」と呼ぶ者あり)この点については、会社は存続するのでありますから、どうにでもなると考えております。  以上の通りであります。(拍手)    〔国務大臣犬養健君登壇、拍手〕
  11. 犬養健

    ○国務大臣(犬養健君) お答えをいたします。  労務提供拒否の問題は、時と場合によりまして公共の福祉に関係があるかないかという認定になるのでありまして、その一例として例えば給電指令所ということを申上げた次第であります。従つて或る制約があることは止むを得ないと考えております。もう一つ、私の就任前の経緯でございますが、これは一応聞いておりますが、うろ覚えで間違うといけませんから、委員会でお答えいたします。(拍手、笑声)
  12. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 岡野通商産業大臣は、病気のため欠席せられております。他日出席の際に答弁する趣きであります。松浦清一君。    〔松浦清一君登壇、拍手〕
  13. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、過日労働大臣から提案理由の御説明が、ございました、いわゆる電産、炭労等のスト規制に関する法律案に対して、多々理解のできない点がございまするので、若干の質問をいたしたいと存じます。  この法案は、昨年の電産、炭労ストの経緯から、本年の二月、第十五国会に提案されまして、再びここに提案されたのでありますが、その後、労働組合関係諸般の情勢が前国会のときから次第に変化を見せまして、組合内部の深刻な自己批判を通じ、労働運動の趨勢は大きく転換しつつある現状でございます。この情勢を無視いたしまして、再びここにこの悪法案を登場させました政府の意図は一体奈辺にあるのか、理解に苦しむわけであります。労働者のストライキ権は、労働者がその生活を守るために絶対に必要なる手段であるとの基本認識に基きまして、憲法がこれを保障していることは御了承の通りであります。然るに、使用者側に対しては、労働者の解雇、賃金の切下げ等の自由が許されていて、一方、労働者側に対しては、自己の生活を守るための手段が法によつて制限されるということは、誠に不平等の措置と言わなければなりません。(拍手)  この観点に立ちまして、私は先ず第一に吉田内閣の基本的な労働政策についてお伺いをいたしたいのであります。去る十六日、総理がその施政方針の演説におきまして、経済自立を達成するためには、産業協力者としての労働者の人格と権利とを尊重しなければならないと言われたことは、これ又たびたび例になることではございますが、曾つては労働者を不遇の輩と罵り、ストライキは贅沢な国民のすることであると暴言をいたしたことのある吉田総理が、今日労働者を経済自立を達成するために欠くことのできない協力者なりと言われるのでありますから、その言葉の限りにおいては総理としては一つの進歩であります。(「改俊だよ」と呼ぶ者あり、笑声)併しながら、その言業の内容とはおよそ反対の思想に立つているこの法案は、労働者の正常な産業協力を阻害して闘争を激発せしめる要因を作ることになるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)労使が産業に協力するということは、平等の責任と、平等の権利と、平等の力の上に立たなければ、真の協力の実を挙げることは不可能であります。公益の擁護に名をかりまして、使用者側の不当な態度には目を蔽い、労働者の権利を一方に抑圧せんとするこの法案は、ますます労働者の反抗意欲を駆り立て、一部過激分子の扇動に乗ぜられる素因ともなり、却つて産業協力否定の方向へ追いやる結果となると思うのでありますが、労使の協力を強調せられる総理の基本的なこの問題に対する考え方を承りたいと存じます。  第二に、憲法第二十八条において保障されておりまする労働運動の自由は、日本の民主化にとつて大きな支柱になるものであります。法律によつてこれを制限するということは絶対に避けなければなりません。この法案は、適用労働者の基本権に重大な制約を加えながら、他に立法措置としての何らの保障も与えようとしないのでありますから、その意味から見ましても、明りかに憲法第二十八条の精神に反するのであります。憲法第二十八条において、特に勤労者の権利の保障について、「法律の定めるところにより」とか、「公共の福祉に反しない限り」等の制約的な条件が付されていないのは、どこに理由があるのでありますか。労働者が、団結権、団体行動権の活用により労働者の生活条件を維持改善して、その地位の向上を図ることは、取りも直さず社会の繁栄と秩序の維持に資することになるのであります。即ち、ストライキをやれば、大なり小なり一帯に迷惑がかかることは必然であります。併しながら、なおストライキの自由が保障されねばならぬゆえんのものは、ストライキ権が労働者の生活を守る手段として、公共の福祉そのものの理念から出たものであるからであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち、労働者の福祉も公共の福祉の一環であるということを忘れてはなりません。(拍手)政府は本案の憲法上の解釈をどのようにとつておられまするか。はつきりと総理大臣からお答えを願いたいと存じます。  第三に、この法案は公共の福祉に名をかる労働者の弾圧以外の何ものでもないと考えるのであります。政府はこの提案理由並びに十七日以降における一般質問に答えられまして、労働争議の解決は労使双方の協力によつて解決することが最も望ましいと言つておられます。これは当然であります。併しながら、労使のいずれかの一方に、又は双方に無理があつて、平和のうちに労働争議が解決できないときが問題であります。この法案は、そのようなときの無理は常に労働者側にあると規定して、一方的に労働者の力を剥奪しようというのが提案の目的のようであります。昨年末の炭労、電産の争議に驚きましては、労働組合側の争議指導にも若干の行き過ぎがあつたかもわかりません。殊に、炭労の保安要員の総引揚げ、即ちすべての保安要員を引揚げるという戦術、電産の送変電所を含む全員職場放棄、只今問題になつて労働大臣からも変な答えをしておられましたが、送変電所を含む全員職場放棄、いわゆる、めくら送電のきめ手などの闘争手段は、実行が回避されたとは申しましても、産業破壊的な、誠に不当なものであるということは、私どもも認めるところであります。併しながら、事をそこまで運んだ原因は、単に労働組合側の争議指導の責任だけでないことは明らかであります。より以上に大きな責任は資本家側の態度であります。政府の労働政策の貧困無能からであります。即ち、労働者の賃上げ要求に対し、全く非常識この上もない賃下げと労働強化案で臨み、挑戦的な態度に終始した炭鉱経営者の態度や、労働委員会の調停を尊重する意思を持たず、組合の争議が世論の前に崩れることと電気料金の吊り上げを期待して、積極的な争議解決の努力を試みなかつた電気経営者のやり方、又これらを無策のうちに放置した政府にこそ、重大な責任があると思うのであります。(拍手)資本家側並びに政府が、公正な態度と労働関係に対する適切な方策を以てすれば、あの争議をあそこまで導かなくても済んだであろうことは、今日世間一般の認めるところであります。政府はこのことに対してどのように考えておられるか、明確なる御答弁をお伺いいたしたいのであります。  第四に、昨年の電産、炭労のストが、何らの防衛手段を持たない一般消費者、殊に中小企業者に及ぼした被害につきましては、労働組合といえどもこれを深く自省するに怠慢であつてはなりません。併しながら、そのよつて来たる原因は、労働者側だけが責を負うべきでないことは前に述べた通りであります。権力によるストの制限は、その方法において全く無謀なるのみならず、たとえ一時前にそのストは抑えることができたといたしましても、それによつて労働争議を真に解決し、労使の関係を安定せしめることは絶対にできません。却つて逆の結果を招来するのみであります。政府のとるべき措置としては、中央労働委員会、即ち公的な調整機関の強化によりまして、これが運用に重点を置いて、労使の理解と協力を求め、権力によらない合理的な解決を図つて行くべきが上策であると思います。国民多数の世論に反して、あえて政府がこの法案の成立を強行するということは、その反動的労働政策の故に、労働組合側における争議の激発と政治的ストライキの強行を策する誤まつた指導方針に対し、或る程度それを正当化する根拠と口実を与えて、労働運動の民主化にとつて有害無益の結果を招くのみであります。政府が組合運動の正常な発展を願うならば、むしろ資本家側の理不尽な態度を反省せしめるように、公正な労働教育を経営者に施すことが第一に必要なことであります。そういたしまするならば、あえて法律により労働者のストライキ権に不当な制限を加えずとも、組合自体の内部からする組合運動民主化の成果は期して待つべきものがあるのであります。その点、政府の労働政策は、逆の方向に向つておると言うほかはありません。以上の諸点について、政府は一体どのように考えておられるかお伺いをいたしたいのであります。  第五に、これまでの労働関係法の改正等につきましては、各界の経験者を集めて審議会を設け、その答申により、その意見を取入れ、成案提出されたのでありますが、この法案は、抜き打ち的に前国会に提出され、今回又同一の法案が何らの検討も行われないで、そのまま提案されるということは、従来のこの種の法案の提案方法と比較し、提案に至るまでの経過を甚だしく異にしておりますが、これは如何なる理由によるものであるか、お伺いしたい。  又、昨年の労炭ストにおいて政府は声明を発して、国家の重要資源たる炭鉱を破壊するがごとき行為は、労調法第三十六条の争議行為の禁止事項であり、違法であると明言をいたしております。にかかわらず、更にこの法案を提出せんとするのは、その後、政府の見解を変更されたものと理解してよいか。本法案と労調法第三十六条との関連をどのように考えておられるか。先ほど若干の御答弁がございましたが、重ねてお伺いいたしたいのであります。  最後にお伺いしたいのは、本法案のごとき無謀なる反動法案が容認されるとすれば、奨来、私鉄、海運、ガス産業等の重要産業に対しても、同様にその考え方が波及する虞れがあるということであります。政府は提案理由の説明において、公共的性質を有する産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限定されないが、今回は、いわゆる基礎産業中最も基幹的な重要産業であり、昨年問題となつた、電気、石炭業について規定したと申されているのでありますが、国民生活の上に考えようによりますと公共的な関係にある重要な事業であるから、特定の争議手段を禁止し、公共の利益を守るということになれば、あるゆる基礎産業、あるゆる公益事業は、国民生活の上に重要でないものはないのでありますから、次から次にストライキ権の行使が禁止或いは制限される虞れがあります。政府は争議行為を次々に禁止して行かなければ労使関係の安定や公共の福祉は守れないと考えておられるのかどうか。  私は以上の諸点について政府の所見をお伺いいたしました。併し、なお強く要求をいたしたいことは、政府の折角提案された法案ではありますが、この際、篤と反省されまして、潔くこの法案を撤回されるのが、我が国民主化と健全な労働関係の確立にとりまして最善の方策であると考えるが、政府はどのようにお考えになるか、お答えを願いたいと思うのであります。先ほど同僚藤田議員の、政府はこの法案撤回の意思ありやなしやとの最後の質問に対して、労働大臣は、むしろ民主的な労働組合が重要産業についてはストライキをやらないということを宣言なすつたほうがよかろうというようなことを言つておられましたが、いやしくも参議院の本会議場において議員に対して、行政の長たる大臣がそういう宣言をしたらどうかというような警告的な発言をされることは(「以てのほかだ」と呼ぶ者あり)誠に遺憾でありますから、(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)お取消しなすつたほうが賢明であろうと存じます。  以上を以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
  14. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  我が内閣の基本的な労働政策を申せば、先ほど申述べました通り、円満なる労使協調によつて産業経済の発達を企図する、ここにあるのであります。我が憲法において基本人権を擁護いたしておることは明らかでありまするが、併しながら基本人権なるものは、何らの制約もなく、無制限にこれを認めておるわけではないのであります。公共の福祉という制限の下にこれを認められておるのであります。現に、労働争議が公共の福祉に反し、若しくは国民の経済、社会生活を脅かすような場合においては、争議行為に限界を付けるということは当然のことであつて、即ちこの法案は憲法に少しも違反いたしてはおらないと考えるのでございます。(「その通り」「ごまかすな」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  15. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) お答えをいたします。  過般の争議については、組合自体においても自己批判がなされておるけれども、本法案は公共の福祉に名をかけて勤労者を弾圧するものではないかという仰せでございました。本法案は、従来とも社会通念上不当である又妥当ならざるものであると考えられておつた争議行為の方法の範囲を明らかにしたものでありまして、何ら労働者を弾圧するものではない。又一部には、なお、かかる争議行為を正当なものであるというふうに考えておる人があるのでありますから、本法案を提出する現実の必要がある、かように考えておるのであります。  なお、憲法との関係は、只今総理からおえ答になりました通りでございます。  次に、昨年のストライキの経験に鑑みて、産業を破壊するようなものは不当であるというふうに論断されたのでありまするが、事態が一体あそこまで運んだのは政府の無能怠慢の故ではいか(「その通り」と呼ぶ者あり)ということでありました。政府といたしましては労使関係の事柄につきましましては、当事者間の良識に基き、健全な慣行の確立に委ねるべきものであるという基本的態度をとつて来ておるのでありまして、昨年の電産、炭労の両ストライキは、占領終結以来初の大きなストライキでもあり、自主的な解決によつて、より望ましき慣行の先例が作られることを期待いたしたのであります。併しながら、ストライキの長期化は、国民経済、国民生活に重大なる障害を与えるに至りましたので、炭労争議つきましては緊急調整を発動し、中労委の斡旋努力と相待つて解決を見た次第でございます。電産につきましても緊急調整発動の準備をいたしたのでありまするが、解決の見通しの関係からこれを差控えておりましたところ、これ又、事なし解決を見た次第でございます。  第四点は、政府は労働組合運動が民主的に平和的に運営できるような助言と方策を講ずべきであろうという御趣旨でございました。なお本案はこれに逆行するものである、こういうことであつたと存じます。政府といたしましては、従来とも一貫して民主的な自主的な労働組合運動の健全な発展に期待して、諸施策を講じて来たのでございまするが、今後ともこのために万般の施策を講ずる所存であります。労働問題というものは、民主的な労働組合が自主的に発展して、そうして、ものことを合理的に解決することが必要であることは申すまでもございません。そのために民主的自主的な組合の健全な発達を期待しておるのであります。ただ、ここに一言附加えさして頂きますると、政府といたしましては、政府というものは一般の国民全体に対して責任を持たなければならぬ立場でございます。昨年のストライキに対する反対というものは、今御指摘のようなことであろうと存じまするけれども、一部になお、そうしたことが正当であると、こう考えておる人もあるのでありまして、こうした公共の福祉を著しく害するような争議というものが頻発するという虞れが現実にありますれば、政府といたしまして、これに対する何らかの方策を講ぜざるを得ない立場であるということを御了承願いたいと思います。  それから、更に本法案と労調法第三十六条の関係でございますが、労調法三十六条は人命の安全保持の義務を規定したものでありまして、本法案第三条の「人に対する危害」と結果的には鉱山労働者に関する限り殆んど重複いたしまするが、本法案第三条が、保安業務について停廃を許さざる事項をできるだけ明らかにする宣言規定であることに鑑みまして、念のために本法案に掲げた次第でございます。  更に、政府は本法の適用範囲を拡大する意思があるかということでございましたが、本法案は当面の緊急の問題に対しまするために、昨年問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして規定いたしたものでありまして、本法案の適用範囲を拡大する意思はございません。なお合理的な労働関係の安定する基盤を一日も早く政府といたしては作りたいと、こう念願いたしております。  最後に、本法案を撤回する意思はないかということでございましたが、只今申上げましたような趣旨のものでございまするから、当面の緊急の問題に対処する必要があると考える限り、この必要があると思いまするので、撤回する意思は、ございません。(拍手)
  16. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時八分開議
  17. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  緒方国務大臣から九州地方の水害について発言を求められました。この際、発言を許します。緒方国務大臣。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  18. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 西日本一帯、特に北九州地方を襲いました今回の豪雨、それに伴う水害について概略御報告申上げ、更にその対策につきましても御了解を得たいと考えます。  このたび、西日本一帯、特に北九州地方を襲いました豪雨は、二十五日以来連日降り続け、最高六百ミリにも及ぶという、明治二十二年以来六十五年越しとも言うべき大雨でありまして、福岡、佐賀、熊本、大分、長崎の各県では、特に甚大な被害を及ぼしたようであります。河川におきましては、筑後川、遠賀川、菊池川を初めとして、多数の河川が氾濫いたしまして、その直接国民生活に及ぼしましだ被害を申上げますると、今日、二十九日午前六時現在までで、死者で三百四十六名、行方不明四百七十六名、建物の全壊千百六十五戸、建物の流失七百二十四戸、床上浸水十三万一千二百六十戸、水田の流失が一万二千四百五十七町歩、冠水が九万五千七百七十四町歩となつておりまして、罹災者は九州だけでも九十万人、世帯数では十八万世帯を越す状況であります。  罹災各県におきましては、逸早く災害救助法を発動いたしまして、応急救助に懸命の活動を行なつておりまするが、何分に水浸しの現地におきましては、多数の舟艇を用いて、救い出し、炊き出し等に全幅の努力を払つておりますけれども、相当難渋を極めておる状況であります。救護活動には、それぞれの県市町村当局、警察、消防、日赤等を初め、現地政府の諸機関、特に保安隊が必死の作業に当つておりまして、目下のところ治安の面におきましては別段困難な問題を発生しておる模様は、ございません。  政府といたしましては、一昨日直ちに、建設大臣、農林政務次官を初め関係諸官を現地に派遣いたしまして、実情を調査することにいたしました。視察後の要請によりまして、福岡市に現地対策本部とも申すべきものを設立することに決しました。多分、明日、大野国務大臣を中心といたしまして、各省の事務当局をもそれと同時に現地に出張させ、対策の万全を期したいと考えております。  現在までのところでは、現地における応急救助に必要な物資として、各県の要求に応じ、厚生省から衣料、これは作業衣とか肌着などでありまするが、衣料を百二十四梱発送いたしましたが、食糧につきましては、幸いに各県とも少くも七月分一ぱい程度は十分持つておりまして、今すぐ補給を要しない状況にあります。医薬品につきましても、今のところ消毒剤その他補給を要しない模様でありまするが、要求あり次第、必要な応急救助用物資は何でも送り得るよう準備をいたしております。  この災害復旧につきましては、国鉄線、通信線等の著々復旧に努めておりますのは勿論別といたしまして、河川、道路、農地等、大部分の被害は、目下のところ水浸しの現状で、その金額等を調査いたしますことも殆んど不可能に近いものがありますが、できるだけ速やかに実情を把握いたしまして復旧策を講ずるつもりでおります。  以上概略でありますが、北九州の水害について御報告を申上げます。(拍手)      ―――――・―――――
  19. 河井彌八

    ○(河井彌八君) この際、議員派遣の件についてお諮りいたします。  九州地方の水害について、その被害状況を調査するため、九州地方に五日間の日程を以て議員十二名を派遣することとし、その派遣議員の指名は議長に一任せられたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、九州地方の水害状況調査のための派遣議員に、松岡平市君、谷口弥三郎君、剱木亨弘君、高野一夫君、溝口三郎君、三浦辰雄君、内村清次君、白井勇君、三木治朗君、松浦定義君、加瀬完君、野本品吉君を指名いたします。      ―――――・―――――
  21. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより休憩前の日程第一の質疑を継続いたしまして、順次発言を許します。石川清一君。    〔「総理大臣ばうした」「総理大臣おらんか」と呼ぶ者あり〕    〔石川清一君登壇、拍手〕
  22. 石川清一

    ○石川清一君 私は、只今議題となつておりますうちの、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案について改進党を代表して質問をいたしたいと思います。  吉田総理は、過日、本会議における施政演説の中で、前内閣の法律案を踏襲してこの法律案を提出したものであると主張されました。併し、現在、国会に提案されております法律案は、前吉田内閣が国会に提案されたものとは内容の違つた法律であり、又これを国会に提案されることについての総理大臣の演説も前回とは違つておるということを、私はここに指摘するものでございます。前回提案された法律案は、恒久的に争議方法の規制を行おうとするものでありまして、そうして、これについて去る一月三十日の施政演説で吉田総理は、警察法の改正及び教育制度の改正と並べて、争議方法の規制を、占領政策の行き過ぎ是正という観点から提案するものであることを明らかにされました。現在、私どもの手許に提案されておる争議方法の規制に関する法律案は、三年間の期間を限定して、労働組合に争議方法の自粛を求めようという限時法であります。吉田総理は、今回は前内閣の法律案を踏襲するものであるとは称しながら、占領政策の是正ということには全く触れず、単に、電産、炭労の二大争議の苦い経験に鑑み提案するものであると言つておられるだけであります。  申すまでもなく、今回提案されておる法律案は、改進党の修正による法律案であります。前回、衆議院で改進党がかような修正を加えましたのは、本来この種の法律案を望ましからざる法律であると考えまして、そこから出発しておるのでございます。私どもは、労働組合に対しては、できるだけ広汎に自由と権利を保障し、労働組合が、その保障された自由と権利を享受するに当つては、自己の判断で、第三者たる一般大衆に迷惑のかからぬように自粛して行くことが民主社会の常道であると考えるのであります。ただ迷惑ながら、昨年行われた電産、炭労の二大争議は、その規模が大規模であり、又、その期間が長期に亘り、勢いの激するところ、一般大衆に甚大なる被害を及ぼすに至りました。而も争議が解決したのちにおいても、当事者の間には、一般大衆に及ぼした被害について適切なる反省が行われていない。その結果として一般大衆は、昨年行われたような争議が今後も繰返して行われる可能性について、非常に不安の念を抱いておるのであります。この国民感情に立脚して、改進党は、本来かような法律が望ましからざるものであることを認めながら、当面の情勢より、やむを得ざる立法として、三年の期間を限定した限時法としてこれを認めることといたしたのであります。従つて現在国会に提案されておる法律案は、決して占領政策の是正という企図の下に出された前内閣の法律案を踏襲したものではないはずであります。吉田総理は果してこのことを意識しておられるかどうか、御所見を承わりたいと思います。  次に、この法律案は、争議行為の方法の規制に関する法律案と題されておりますが、その内容は、必ずしも争議方法を新たに規制するものではなくて、例えば石炭鉱業において、賃上げの手段として炭鉱自体を破壊するがごとき保安闘争に訴えることは、要求せんとする目的と、それがためにとられんとする手段との間における法益の均衡を失するものであるとする理論は、従来から一般に認められて来たところであり、吉田内閣自体も、そのような争議手段の違法性について、昨年一二月の炭労争議に際し、そういう趣旨の声明を出しているところでございます。又、電気事業における停電ストについても、政府は前国会の衆議院における審議を通じ、終始、停電ストのごとく、労使双方が損害をこうむること少く、第三者たる一般消費者のみに多大の被害を与える争議手段は、本来正当ならざる争議手段であることを強調しております。果して、政府がその中で声明せられ、又、前国会で政府が強調した通りであるとするならば、この法律は、政府が題して名付けるごとく、争議行為の方法の規制に関する法律ではなく、公益的見地に立つ争議行為の方法の正当性の限界を明らかにするに過ぎない法律ではないか。この点に対する労働大臣の御所見を承わりたいのでございます。特に先ほど藤田議員の質問に答えてそのことの是非は別として、自粛声明を出すということを強要するような答弁の一部がございましたが、若し自粛声明を出したといたしましたら、この法案を撤回する用意があるかどうか、承わりたいと存じます。  次に、私は、以上の質問に関連して申上げた通り、労働争議の被害者たる一般大衆の国民感情に立脚した法律であり、而もその内容は、争議手段を新たに規制するというよりも、むしろ争議手段の正当性の限界を明らかにするに過ぎないこの法律案を、国会に提案するに当つて政府が全労働組合を法案反対の立場に追い込むに至つた経緯についてお尋ねをいたしたいと存じます。昨年五月、政府が、組合法、労調法、公労法、基準法等、一連の労働法を改正したときも、今回と同様の反対運動を巻き起したのでありましたが、これらの改正法律中には、不当労働行為の定義の拡張、現業公務員に対する団体交渉権の復活、労働者災害補償額のスライド制等、幾多の進歩的改正が含まれていたはずであります。労働組合が、罷業禁止法として攻撃の槍玉に挙げられた緊急調整制度すら、昨年の電産争議等の実情から申しますれば、争議権の行使について殆んど制約になつていないことが明らかとなつておるのであります。それにもかかわらず、吉田内閣がこれら一連の労働法改正案を国会に提案するに当つては、全労働組合を法案反対の立場に追い込み、国内を真二つに割つたかと思わせるように国論を沸騰させたのでございます。かくのごとき現象には、ただ単に我が国の労働組合運動に政治意識が過剰であるために起るものであるというだけでは言い切れないものがあると存じますが、この法律案を国会に提出するに当り、吉田総理は占領政策是正の観点に立つものであると言われました。併し、昨年五月、独立後の国会において、組合法、労調法、公労法、基準法等の一連の労働法規が改正されたことを記憶している労働組合の諸君にとつては、吉田総理のこのような主張は、占領政策是正の追討ちであるとしか理解のしようがなかつたのではないかと思われるのであります。かように労働問題について無感覚な吉田内閣の下では、何事にかかわらず、労働組合の反対運動を誘発し、真に国民の立場から必要とされる労働法の改正すら、その実現が困難となりつつあることを、私ども憂えざるを得ないのでございます。私は、労働対策の基本原則は、飽くまでも、労働組合の真の民主化、その政治的偏向の適切な是正、労働運動の良識ある健全な発展に重点が置かれるべきでありまして、労働運動が内部より盛り上つて、自主的に健全化し、停電スト或いは保安要員等引揚げのごときは、労働争議の常則としては考えられないというがごとき状態を実現しまして、法律による争議の制限の、ごときは不必要であり且つ不適切であるというがごとき労働運動の態勢を作り出すことが、労働対策の根本でなければならんと考えるのであります。ここに改進党を代表いたしまして、吉田総理が今回限時法として提出されました争議行為の方法の規制に関する法律案に対しましても、全労働組合が、先ほど社会党議員から申されたことく、猛烈な反対運動を展開していることについて、どういうようにお考えになるか、お伺いいたしたいのでありますが、単に苦しいときの改進党頼みですか、(笑声)そういうような気持で、恥も外開も忘れまして単に改進党の修正案に槌つておれば切抜けられるのだという政治懸案を、(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)後も持ち続けられるかどうか、お伺いいたしたいのでございます。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  23. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。  今国会に提出いたしましたいわゆるスト規制法案は、前内閣の提出いたしましたものを踏襲いたしたものでありまするが、只今御指摘になりましたように、これを臨時立法の形にいたしました点では、前内閣の時のものと異なつておるのであります。これは前国会の衆議院におきまして改進党の修正案が可決されました。それを採り入れたものでありまするが、併し本法案の基本的性格につきましては、前国会に前内閣が提出いたしましたものと同じく、昨年の電産、炭労の長い大規模なストライキの苦い経験に鑑みまして、従来とも社会通念といたして不当或いは妥当ならざる争議行為であるとされておりましたその方法の範囲を、ここに更に明確にするものでありまして、趣旨におきましては前と同一でございます。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  24. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。  先刻藤田議員に対する答弁中、不十分な言辞がありましたから、取消します。  なお石川議員にお答えいたしますが、質問の第一は、本法案は不当又は妥当ならざる争議行為の範囲を明確にするものであると言いながら、スト規制法と称するのはどういう意味かということでございます。これに対しましてお答えをいたしますが、本法案が、従来とも、社会通念上、不当或いは妥当ならざる争議行為の範囲を明確にするものであることは御指摘の通りでありまするが、このことは、言葉を換えて申しますると、憲法第二十八条の争議権が公共の福祉によつて規制される範囲を明確にしたということでありまして、かかる意味合いからいたしまして、本法案の題名を争議行為の方法の規制に関する法律といたした次第であります。  なお、関係組合におきまして只今議題となつておるこうした法案に関連して自粛声明があつた場合どうするかということの御質疑が、ございましたが、関係組合におきまして、公式な立場において、ここに議題となつているような公益を害する争議行為はなすべきでないという自粛声明を発することが仮にありますれば、当然これは考慮せねばならぬ、こう考えております。  なお、法案を提出するに当りまして、労働組合側を無用に刺激し、紛争を生ぜしめているのは、政府の無策によるものではないかということでございますが、政府といたしましては、労使間に健全な慣行が確立されることを期待しつつ本法案を提出しておるのでありまして、本法案の趣旨にも、やがては当然のこととして一般組合員の理解されるようになる時代が来ると確信し、又それを期待しておるものであります。併しながら、先ほども申上げましたように、政府というものは国民全体に対して責任を持つ立場でございますから、こうした公益を害する虞れが現実にありとすれば、それに対しては、こうしたものは公益を害するものであるから不当であるという範囲を明確にせざるを得ない立場であるということを御承知願いたいと思います。(拍手)     ―――――――――――――
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇、拍手〕
  26. 堀眞琴

    ○堀君 私は、只今議題となつておりまする電気事業並びに石炭鉱業においてのスト規制に関する法案に対しまして、無所属クラブの一員とし、並びに労農党の立場において、以下若干の質問をいたしたいと思うのであります。  先ず第一に、なぜ本法案を単独法の形において提案したかという理由をお尋ねいたしたいのであります。従来、労働関係の調整に関する規定は、労働組合法、労働関係調整法等、いわゆる労働法規を以てこれをいたしておるのでありまして、これは言うまでもなく憲法上保障された労働権で擁護するという建前に立つと同時に、政府の権力を飽くまでも介入せしめないという立場に立つて規定せられておるものと考えるのであります。ところがこの法案は、労働三法とは関係なしに、単独の法律案として上程されているのであります。その理由を見まするというと、本法案は、労使関係の調整とは別個に、専ら公益擁護の見地から争議行為の正当性の範囲を必要な限度で明らかにする、こういう説明が付いておるのであります。併しながら、争議行為の正当性の範囲は、すでに労働組合法、労働関係調整法等によつて、これは明確に示されておるのであります。これを別個の法律案として上程した意味は、私どもには必ずしも明確ではないと思うのであります。而も政府のこの法案を上程いたしました意図は、例えば労働関係調整法におけるところの緊急調整等では極めて手ぬるい、そこで、これを政治権力を以て取締ろうとするという点にあると察することもできるのであります。若しそうとするならば、労使の対等な立場、自主的な解決という本来の争議解決の方法を無視するものと申さなければなりません。而も政治権力でこれを取締る結果は、労働法規の死文化するということも考えられる次第であります。この点に関しまして私は首相並びに労相の所見を伺いたいのであります。  第二には、本法案は大資本を擁護するところの反動立法ではないかという点についてお尋ねいたしたいのであります。言うまでもなく争議権は憲法上に保障された労働権の中核であります。争議権を伴わない労働権というものは全く無意味だと申さなければなりません。勿論、争議権の行使に当りまして、何らかの損害を経営者並びに第三者に与えることは避けることができません。労調法では、第七条に、争議行為というものは、ストライキであるとか、サボタージユであるとか、或いは作業所の閉鎖であるとか、その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹するため行うところの行為であつて業務の正常な運営を阻害するものが争議行為である、このように書いております。この観点から申しまするならば、争議行為を我々が正当性を持つものとして認めなければならないことは言うまでもないと思うのであります。而も本法案は、電気、石炭両事業の公共性、特殊性ということを強調いたしまして、労働者の争議権を抑制しようといたしておるのであります。果してこれが正しいであろうかどうか。なお、この公共的な性質、特殊性ということを強調するならば、すべての事業は恐らく公共性を持たないものはないと申しても差支えないと思うのであります。従つて、その観点から申しまするというと、このスト規制法は更に拡大される危険を持つ点を我々は心配しなければならんと思うのであります。又一層大事なことは、これらの企業が私的所有による企業であり、そして資本家的な経営によつて行われている事業であるということを、我々は指摘しなければならんと思うのであります。こういう観点から申しまするならば、一方の財産権は尊重するが、働らく労働者の労働権は抑制する、こういう点が極めて片手落ちなものとしてここに現われて来ると申さなければなりません。この点に関する労働省の御意見を伺いたいのであります。  第三にお伺いしたいのは、公共の福祉とは何かというこであります。従来の立法例、特に一連の反動立法を見まするというと、基本的人権を制約するものが公共の福祉である、言わば基本的人権に対してより高い概念が公共の福祉である、こういう工合に考えられて来たのであります。若しもそうとするならば、憲法上に保障された永久の不可侵権としての基本的人権というものは全く意味がなくなると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)結局、基本的人権そのものを制約するのは公共の福祉ではなくて、公共の福祉というのは基本的人権の行使に対してこれを調整するものだと考えなければならんのであります。このことはどういう点から出て来るかというと、「公共」の「福祉」であるということであります。即ち「公共」というのは、一人とか或いは一部のことを指すものではありません。各人であるとか、或いは国民であるとか、或いは共同体という意味を持つものであります。それから又福祉というのは、単なる便宜であるとか利益であるとか、そういうものを指すものではありません。各人の生活が豊かになることが福祉であります。このことは、外国の諸文献、特にヴアージニアの権利宣言がこの言葉を用いて以来、フランスの人権宣言或いはその後のヨーロツパの憲法の文献等において明確に示されておるところであります。然るに政府の考え方は、この公共の福祉というものを、単に公共の便宜という考え方で押し切ろうといたしております。成るほど電気がとまれば我々の生活は非常に不便であります。電車がとまれば我々の生活は確かに不便を感ずるに違いありません。併しこれは一時の不便でありまして、そのために基本的人権を制約するということは全く不当だと申さなければならんのであります。更に我々の重大な関心事となつているのは、公共の福祉の名前の下に権力の濫用が行われているということであります。権力によつて勤労大衆の福祉が踏みにじられ、大衆の基本的人権が無視される、むしろ権力そのものが公共の福祉に反するのだと申さなければならんのであります。(「勿論」と呼ぶ者あり)この点に関しまする首相の意見並びに労相の御意見を伺いたいと思うのであります。  最後に、法案第二条に言うところの「電気の正常な供給」とは何を言うかということについてお尋ねいたしたいのであります。正常な電気の供給を差止めるような行為は不当である、こういうのでありますが、その限度は何であるか。とりようによつては如何ようにでも拡張解釈ができるのであります。而もその解釈者は、第三者ではなくて権力を握つているところの政府であります。若しそうとするならば、その結果はどうなるか、もはや言うを要しないと思うのであります。結局は全面的なストの禁止にならざるを得ないと思うのであります。更に、今日、電気の供給というものは真に適正に行われているか。大口需要者に対しては極めて低廉な電気料金を以て電気を供給している。特に軍需関係或いは駐留軍関係に対しては殊更に安い料金を以てこれを供給いたしておるのであります。ところが、一般消費者、小口需要者はどうかと言いますと、これには高い料金を課しているのであります。果してこのような状態で電気の正常な供給が行われていると申すことができるでありましようか  もう一つ見逃すことができないのは、電産ストや停電スト等に携わる人員は、全電産労働組合員の中では極めて少数である、少数であるからこれを制限しても差支えないのだ、このように説明いたしております。併しながら、少数であればその権利を禁止してもよいという理窟は、どう考えても私どもには納得できないのであります。これらの点に関しまして労働大臣の御所見を伺いたいのであります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  27. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答えを申上げます。  スト規制法をどういうわけで単独法として出したかという御質問でありましたが、これは先ほど来も申上げましたように、従来、争議の行為として正当でない、或いは妥当ならざるものとしてありました行為を更に明確にする必要を感じたために、最小限度に争議権を制限するというような考えから、この法案をむしろ単独法として出すべきであると考えたのでありまして昨年の炭労、電産のストの国民生活に及ぼしまする影響が余りに甚大でありましたので、こういう法案を提案をいたすことになつた次第は、たびたび繰返して申上げた通りでございます。  次の御質問の、憲法が国民大衆に諸種の基本的人権を保障しておりますることは改めて申上げるまでもないのであります。ところが憲法はこれらのいろいろな基本的人権の調和ということを予想しておるのでありまして、一つの権利が無制限に行使されるということは認めておるところではない。そこには公共の福祉に反しないようにという限界がおのずからあるのであります。従いまして、基本的人権の行使も、憲法の予想する諸種の人権の調和を破り、公共の福祉に反するような場合には、当然に制約を受けるものと考えられるのであります。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  28. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 副総理から答えられましたこと以外の点についてお答えを申上げます。  争議権こそは一切の労働権の中核をなすものであるけれども、本法案は、電気事業及び石炭鉱業における争議権を制限する理由が極めて薄弱であつて且つ使用者を不当に擁護し、労働者を不当に弾圧するものではないかという御質疑でございますが、本法案は、繰返して申上げますように、従来とも社会通念上不当又は妥当ならざる争議行為の範囲を明確にしたものでありまするから、使用者を不当に保護し、労働者を不当に抑圧するというものではございません。又現在なお一部におきましては、かかる争議行為を正当なりと考えているものもあるのでありまして、昨年の苦い経験からいたしますると、公共の福祉の擁護のために本法案は必要であると、こう考えておるのであります。  次に、本法案の第二桑中に「電気の正常な供給」ということがあるが、これは何を意味するか。又その限界如何。更に、電源スト、停電ストの場合に、そこに携わる人員は極めて少数であるから、その権利を抑圧してもよいという理由は、電気の正常な供給が必ずしも適正に行われていないと考える観点からしておかしいではないか、こういう御質疑でございました。「電気の正常な供給」とは、旧公共事業会の定めに従いまして、電気事業者の適法な指揮系統に服して電気を供給するということを言うのであります。渇水時には渇水時なりに、法令に従い、事業者の指揮に従い、電気の供給を調整することが、正常な供給であります。停電スト、電源ストに携わる人員は少数であるのみならず、争議の当事者の損害は、第三者たる需用者が不可避的にこうむる物質的精神的損失に比して極めて僅かなものでありまして、この点、電気事業の公共性に矛盾すること甚だしき争議手段であり、公共の福祉の擁護のためには到底許されざるものであると考えておる次第でございます。
  29. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了いたしたものと認めます。      ─────・─────
  30. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二、国務大臣の演説に関する件、(第二日)  去る二十六日の緒方国務大臣の外交に関する演説に対し、これより順次質疑を許します。小林政夫君。    〔「大臣がいないじやないか」「大臣はストしたのか」「関係大臣はどうした」「外務大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  31. 小林政夫

    ○小林政夫君 外務大臣の出席を要求します。    〔「総理を呼んで来い」「定足数が足りない」「岡崎、木村どうした」と呼ぶ者あり〕
  32. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 小林政夫君。
  33. 小林政夫

    ○小林政夫君 外務大臣はすぐ見えるのですか。
  34. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 只今出席を要求しております。直ちに見えるはずに承知しております。
  35. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでは待たせてしらいます。    〔「議長、定足数が足りません」「休憩休憩」と呼ぶ者あり〕
  36. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 外務大臣が出席いたしました。改めて小林政夫君の発言を許します。    〔小林政夫君登壇、拍手〕
  37. 小林政夫

    ○小林政夫君 MSAに関して若干の質問を試みんとするものでありますが、政府がMSAに関して二十四日に米国政府に質問したのに対し、二十六日に米国政府から回答があつた。この重要案件に対するアメリカのスピーデイな回答は、日本の政府の以て範とするに足ると思うのであります。政府が、平和条約、安保条約、行政協定締結の際に示した秘密主義を捨て今回この段階において往復文書を公表したことは、従来の秘密独善外交を改めて国民と共に外交を図るという態度への一歩前進として同慶に堪えない次第です。(「なかなかそうじやないよ」と呼ぶ者あり)私は、以下率直に、何らの味を付けずに、端的な質問をいたしますから、今の秘密外交を清算をして、国民と共に外交をやるという態度への一歩前進として、政府も率直なる御答弁を願いたい。特に首相、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣に質問は関連いたしますが、私自身といたしましては特別に指名をいたしませんから、政府において最も適当と考えられる関係大臣に御答弁を願いたい。  第一点は、吉田首相は衆議院予算委員会で、アメリカの回答書を見て現在のところMSA援助を受けて差支えないと思うと言つておりますが、政府はいよいよMSA援助受諾を前提とする具体的折衝に進むこととなつたと了解して差支えございませんか。  第二点は、援助の目的について政府は、国内の治安と防衛を確保することにあるとして本質上、国内治安と異ならないと解される表現をしておりますが、これに対し米国は、国内治安を維持することに附加し、特に平和条約第五条(C)項を想起せしめて自発的な個別的及び集団的自衛権の一層有効なる行使を可能ならしめることとしておりますが、これは明らかに、国内警察権の範囲を越えた、国際的意義を持つ個別的及び集団的自衛権を持ち出しておるのであります。個別的自衛権の行使を一層有効ならしむるということは、結局は自衛軍を作ることに導かれるものであります。集団的自衛権を一層有効ならしむる道は、国際的集団防衛組織の強化に通ずる道である。自発的という言葉を使つておりますが、米軍の占領行政を身を以て体得した我々には却つて甚だしく不愉快に感じられ、むしろ反語、アイロニーにとれるのであります。政府は、自衛軍造成の決意をきめなければこの援助を受入れられぬと思いますが、どうですか。米国は援助条件に、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求しないと言つて、間接語法で、保安隊等の国外派遣を求めないと現段階では解される言い方をしておりますが、集団的自衛権を一層有効ならしめるために、国際的集団防衛の組織の強化を達成するためには、先に述べたアイロニツクな自発的で保安隊等を国外に派遣することにならないかどうか。  第三点は、政府は我々の見解と同じく、経済の安定と発展を防衛能力強化の先決要件だと言つておる。これに対して米国は、経済の安定が自衛能力発展のために考慮さるべき必須条件だとしている。即ち、政府は経済安定を前提としておるのに対して、米国は並行的にやつて行くべきであるとし、日本における域外調達の増進を以て経済安定の補強をするという考えのようであります。MSA援助は永久に継続されるものでもなく、又、日本における域外調達は一時的のものでありますから、援助を受けるとしても、それは勘定外収入として、経済自立達成の熱意を失わず、強力なる施策の展開をなすべきだと思うが、どうであるか。  第四、MSA資金及び域外買付資金による国内発注に対応する兵器産業育成のために、只今目下提案されておる二十八年度予算の財政投融資等の内容を変更する必要が出て来はしないか。  第五、MSA援助を受けることによつて米国との関係はますます密接になりますが、経済自立の恒久的方途の一環として、貿易規模の拡大のために中共貿易打開についての熱意は失うべきではないと思いますが、どうですか。  第六点でありますが、MSA援助を受ければ日本にもカントリー・チームが置かれるでありましようが、その構成はどのようなものであろか。その任務は、MSA援助の有効使用のための監督指導に限られるべきであるとしても、その職務範囲を拡張解釈いたしますと、内政干渉の虞れも出て来るのであります。MSAの第五百十六条の規定によると、自由企業の勧奨ということのために、米国は被援助国の政治経済体制に干渉するようなこともあり得るように思われるのでありますが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)日米通商航海条約が締結されれば、それらの要件は充たされたものとして済むのか。或いは通商航海条約は結んだが、その第十八条にある自由企業の建前を、その援助を盾に取られて積極的に推進されるのかどうか。一億ドルや一億ドル程度の金でとやかく内政干渉がましいことをやられるならば、貧乏したと言つても、日本はその程度の金で自主権を失うほど落ちぶれてはいないのだと言うような人もありますが、援助額も、二年、三年と積ると、なかなか簡単には返せなくなるのではないか。  第七点は、援助額は新聞の報道によると一億一千五百万ドルとも言われておるし、又一億五千万ドルとも報ぜられておりますが、一体正確な金額はどれだけなのか。  第八点として、援助は現金で受けられるのか。我々が若し受けるとして望ましいのは現金だ、そうして国内で生産調達されることが望ましいのでありますけれども、万一受けるとする場合にはその援助の内容はどうなんだ。  第九点は、米国は、日本が援助を受ければ、日本における域外調達が増進するだろうと言つておりますが、その域外調達の金額はどの程度と予想されるのであるか。或る新聞には、日本への直接援助分と合して六億ドルになると報ぜられております。  第十点、援助計画、即ち援助額によつて、如何なる兵器、物品、役務を支給し、又は生産調達するかということは、アメリカが一方的に決定するのか、日本の自主的な受入れ計画が認められるのであるかどうか。それは実施細目協定の内容になるのであるか。  第十一点、MSA資金及び域外買付資金による国内発注は間接調達方式が採用されることが望ましいのであるが、間接調達方式は採用されるかどうか、従来のJPAを利用する直接調達となるのであるか、直接調達たると間接調達たるとを問わず、その資金による兵器生産は駐留米軍の管理工場的にするのか。或いは純然たる民間工場でやるのか。又、国営にして、曾つての陸海軍工厰の、ごときものを設けてやるようになるのか。  第十二点、MSA援助の財政的処理はどうするのであるか。見返資金特別会計のごときものを作つて国の予算に計上するのであるか。或いは日本銀行に円回転基金を設けるのみで、予算措置を講ずる必要はないのであるかどうか。  財政のことに触れて、ついでに今朝の毎日新聞の報ずるところによると、デルガード比上院外交委員長は、毎日の記者の間に対して、即ち毎日の記者の「フイリピンは米国のMSA援助を受けて喜んでいるか」という間に対して、「その通りだ。併しその援助額に相当するだけの国家予算を出す義務が伴う。そういうことが条件となつておるので、なかなか幾らでも援助を受けたいのだけれども受けられない。」このような答弁をデルガードさんがしております。一体、MSAを読んでみても、ちよつとそういう規定は見当らないように思うのですが、果してそういうことがあるのかどうか。協定の折衝の過程においてそういうことが条件として入れられるかどうか。第十三点は、政府は、本年度は保安隊の人員は増強せずに、その装備を強化すると今日まで言明をしておりますが、MSA援助を受けた場合においてはその言明はどうなるのか。今日までの言明通り、数は据え置いて質を強化するのか。で、質を強化するだけだとするならば、二十八年度予算で予定していたものにプラス援助額分が加わるだけ一層の装備強化になるわけであります。衆議院の予算委員会の答弁等から一応類推すると、初年度二兆円、一カ年の維持費が八千億円程度にしなければ、日本を防衛するに足る軍備とは言えないというふうに政府は思つておるようにとれる発言、質疑応答のやり取りもあるわけでありますが、そのMSA援助によつて、日本の経済力以上に装備を強化された十一万の保安隊は、部隊として近代戦に堪えざるものは戦力にあらずという吉田政府の戦力解釈に従つても、部隊として近代戦に堪え得るものであれば、その数は少くとも、戦力単位であるからには憲法九条に抵触することとなるのではないかどうか。  以上十三点に亘つて質問をいたしましたが、要は、いやしくもMSA援助を政府は受けるということであるならば、今までの自衛力漸増に対する政府のあいまいなる態度をこの際一擲しなければならない。保安庁長官が防衛力五カ年計画というようなものがあると言つたり或いはないと言つたり、そのふらふらし態度では、とても今後の日本のこの防衛力問題については対処できないのではないか。政府は堂々として所信を表明し、国民と共にこの自衛力漸増の問題を考えて行くという態度をとらなければならんと思うのであります。政府があいまいなる態度でふらふら腰のようなことであるから、国民も又それについて迷うのである。いやしくもMSA援助を受けると決心するからには、この自衛力漸増の問題に対して確固たる信念を政府は披瀝し、又その漸増の計画もはつきりと国民に示すべきであると思うのであります。  以上の要望を付して質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  38. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答え申上げます。  総理大臣が先般衆議院の予算委員会におきましてMSA援助を受入れても差支えないように思うと答えましたのは、これはアメリカ側からの回答が来た殆んどその直後でありましたので、その回答を見たときの印象を申上げたまででありまして、援助を受諾するという政府の意向は、国会及び輿論の趨向を察しました上で決したいつもりでございます。  それから、MSA援助を受けるについては、結局、政府は自衛軍創設の決意を定めなければならないのではないかという御質問に対しましては、御質問の治安維持のためには保安隊が現にありまして、又いわゆる直接侵略に対する防衛は安全保障条約によつて確保されておりますので、MSA援助を受けるといたしましても、お説のような自衛軍創設の必要はないと考えております。  それから、MSA援助を受けることによつて我が国の内政に干渉される虞れはないか。これに対しまして要は政府の態度次第でありまするが、内政干渉になるようなことな認めないことは、政府としては勿論でございます。  それから、MSA援助は一時的のものであろうから、これは勘定外収入として、経済自立達成の熱意を失わないように強力に施策の発展をすべきであるという御意見に対しましては、政府といたしましても全く同感でありまして、飽くまで経済自立体制の確立のために諸施策をこの上とも強力に推進して参りたいと考えております。  それから、MSA援助による保安隊の増強はどの程度かという御質問でありまするが、保安隊の増強は日本政府独自の問題でありまして、MSA援助を受ける場合でも、我が国の政治的経済的安定及び経済能力を考慮しなければならないので、これは困難であると考えております。それから、MSA援助によつて中共貿易打開の熱意が失われるのではないかという御質問であります。政府といたしましては、自由主義諸国と協力する建前上、対中共貿易の統制を行なつて参つたのでありまするが、統制可能の範囲内におきまして、その統制を緩和するのに最大の努力を従来して参つたのであります。MSA援助を受けることといたしましても、この統制を強化する必要は勿論少しもない、さように考えております。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
  39. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 只今の緒方副総理の御答弁以外の点を申上げます。  平和条約第五条(C)で固有の自衛権ということを言つておる。これについての御質問でありまするが、この平和条約の第五条の(C)というのは、勿論、条約ですでに認められておりまする日本の固有の権利となつております。これを使うか使わないか。これは日本の国内の経済情勢その他にも関連がありまして、従つて「自発的」という文字を使つておるのでありまするから、これに何ら日本政府なり日本国が縛られる理由はないのであります。ただ、日本の権利として留保しておくというだけのことでありまするから、これによつて、例えば保安隊の海外派遣が起るであろうというようなことは、到底、私には考えられないのであります。  それから中共貿易についてのお話でありまするが、これは、朝鮮の休戦が成立する場合には、大分形が変つて来るのであろうと考えておりますが、いずれにいたしましても、日本としては列国と歩調を合せまして、列国並みには中共貿易はやるつもりでおります。  なお、援助の内容とか額という点でありますが、額は勿論これは交渉してみなければわかりません。援助の内容につきましては、これは広義に解するのと狭義に解するのと違いまして、狭義に解しますれば、直接へ保安隊とか海上警備隊に渡される武器その他の種類のものでありましようし、又それに続いて、例えば日本国内で調達して保安隊等に渡す同じ種類のものがありましようと思います。広義に解釈すれば、これに域外調達の額が入りましようし、又今後は例えばポイント・フオアによつての他の国に対する援助の一部が日本の関連事項になり得る場合もあると考えております。  それから受入計画はどうだというお話でありますが、これは両国の協議事項になると思いまして、日本の実情については、十分説明するつもりでおります。  なお、域外調達につきましては、これが間接の注文であろうか、直接の注文であろうか、又日本に何か特殊の工場を設けるようなことになるかどうかというようなお話でありまするが、これも実は今後交渉の一つの問題となるわけでありまするが、我々の希望といたしましては、やはり間接の注文にしたいと思いまするし、又特別の工場等がどうしても必要な場合は別といたしまして、一般的にはこれは普通の民間工場で引受けることといたしたいと、こう考えております。  なお、MSAを受けるにつきまして、予算との関係はどうかというお話でありまするが、これは今までの研究では、一応予算とは関係なく進み得るものと思つておりますが、いずれ交渉してみました際に、こういう点は更に明らかにいたしまするが、こういういろいろの問題がありまして、だんだん交渉の過程において明らかになりますと、それに基いて実際これは受けて差支えないものであるか、それともなかなか受けられないものであるかという判断の材料になつて、最終決定が行われることと考えております。    〔政府委員愛知揆一君登壇、拍手〕
  40. 愛知揆一

    ○政府委員(愛知揆一君) すでに答弁がございましたところで十分カバーされておると思うのでありますが、只今のお尋ねの中で、援助資金の経理はどうするのであるか。例えば特別見返資金を作らなければならないことになるのではなかろうか。或いは又、援助額の全部と管理費を総括する場合と、管理費のみを別にする場合があると思われるが、そういつたようないろいろの場合における予算上の措置はどうするつもりであるか。こういうお尋ねでございますが、これにつきましては、只今も答弁がございましたように、今後の交渉と、こちらの研究に待つところでございまするので、未だ我々としてこれが結構であるという確定的な意見を申上げる段階に至つておらないのであります。  それから自立経済の確立については、依然として努力を進めて行かなければならない点は同感でございまするが、本年度の予算におきまして、財政投融資の規模及び内容をこの関係で変更する必要があるかどうかというお尋ねにつきましては、当面におきましては、これを変更する必要はないものと考えております。(拍手)    〔中田吉雄君、小林政夫君、発言の許可を求む〕
  41. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 中田吉雄君。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 議場を見ますと、定足数が欠けておるようですから……。
  43. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) ちよつと中田君お待ち下さい。小林君。
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 私の質問に対しておおむね答えられておりまするが、通産大臣からも御答弁を願いたい。
  45. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 通商産業大臣は本日病気欠席でありまして、これは他日説明することと考えております。
  46. 小林政夫

    ○小林政夫君 そういうふうに了承します。    〔議長、定足数に欠けています」「余りにも欠けている」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  47. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 中田吉雄君。    〔中田吉雄君登壇、拍手〕
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は日本社会党を代表いたしましてMSAの援助に関しまして若干の質問をいたしたいと存じます。  先ず第一に、講和発効後の日本外交の基調につきまして吉田総理の御所見をお伺いいたしたい。吉田内閣は、去る六月二十六日、日米交換公文を発表いたしましてMSA援助の受諾の意思のあることを表明いたしまして、いま一つの新たなる対米外交協定を結ぼうとされています。元来このMSA援助は、アイゼンハワー大統領の、「アジアの戦いはアジア人の手で」という、中ソ両国を仮想敵国といたしました巻き返し政策の一環としての対日傭兵再軍備であり、新たなる対米追随外交以外の何ものでもないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)昨年四月二十八日講和条約が発効いたしましたが、一体我が国は何を得たでございましよう。全国数百カ所に亘りますところの厖大な軍事基地をアメリカに貸与し、而もその半数は永久基地である。更に行政協定等によつて広汎なる主権の制限を受けているわけであります。従つて独立とは単に名のみでありまして、今や我が国はアメリカの軍事的植民地であり、政治的な従属国と言われても仕方がないわけであります。実に講和条約の発効は、占領からの解放ではなくして、新たなる占領の発足と言わなくてはなりません。併し、かかる状態は、光栄ある日本民族の到底長く受諾することのできないものであります。従つて、現在とるべき我が国外交の基本方針は、ヨーロツパ並びに東南アジア等において試験済みの悪評度々たるところのMSA援助の受諾ではなくして、講和、安保両条約並びに行政協定等の改廃によるところの主権の回復であり、(拍手)それが一切の外交交渉の前提条件であると存ずる次第であります。然るに吉田内閣は、そのような主権回復の措置をとらずして対米従属の度合を一層強くするところのMSA援助を受諾せんとするごときは、独立外交の本末を転倒するものであつて我が党の深く遺憾とするところであります。(拍手)この点に関しまして吉田内閣の講和後の外交基調について御所見をお伺いしたい。  第二に、MSA援助の生みの親とも言うべきアメリカの外交政策そのものに対する吉田総理の御所見をお伺いしたい。即ち、MSA援助は、アメリカ外交の基調たる対ソ封じ込み政策或いは巻き返し政策の生みの子であります。従つて我々がMSA援助を受くべきか受けてはならないかとにうことを決定いたします前に、先ずこの外交政策が正しいかどうかということを判定いたさなくてはなりません。我が党は、共産主義の諸国に対して無数の軍事基地を持つところのいわゆる基地外交、或いは力の外交は、適切なる共産主義対策ではなくして、かかる政策の強行は結局第三次世界大戦へ導くものであるという観点からいたしまして強く巻き返し政策に反対するものであります。特に、ソ連に対しましてはめられておる包囲政策は、日米戦争を起しましたところのABCD同盟によりますところの対日包囲政策と全く同様であることを思いますならば、この間の事情がわかるわけであります。最近アメリカにおきまして日米大戦に関する数多くの研究がなされ、そしてアメリカの対日包囲政策が日米大戦を勃発せしめたのであるという意見が極めて多いわけであります。特にピアード博士のごときは、「アメリカが日本に対して経済的制裁を加えたことが日本をして必要原料を獲得するために武力を用いざるを得なくしたのである。ルーズヴエルトは日本と協定を結ぶべきであり、経済的制裁を放棄してアジアから手を引くべきであつた。然るにルーズヴエルトは、日本に最後通告を発し、日本をABCD諸国の同盟を以て包囲したのであるから、パール・ハーバー攻撃の責任はルーズヴエルト政府が負うべきものである」と言つて、包囲政策の危険を指摘しているわけであります。吉田内閣は対ソ包囲政策に協力していますが、私たちは、今、日米戦争が何によつて起きたかということについて十分反省することが必要であると思うわけでございますが、吉田総理は日本民族の一人たるの良心に問うて敗戦の原因はいずこにあつたか、そして又、ABCDラインの包囲政策が日米戦争に如何なる影響を及ぼしたものであるか、そうして又、対ソ包囲政策というものがABCDラインの包囲政策と同じ運命を辿らないものであるかどうかということについて、はつきりした御所信をお伺いいたしたいのであります。  更に又、アメリカの封じ込み政策の一環たるところの北大西洋同盟条約、或いは欧洲防衛共同体条約等は、ダレス長官の言を以てしても、死んではいないが、眠つているというような状態でありましてアメリカの世界政策は今や破綻の危機に瀕しておるわけであります。このような情勢に対して我が国も対米追随外交を強力に是正すべきものであると思うが、MSA援助は世界の動向に全く反するものであると思いますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思うわけであります。  第三に、MSA援助の審議に対しまする前提としてアメリカ議会におけるこれに関する速記録の提出と、証人として新木駐米大使の召喚が必要と考えられまするが、吉田総理はこれに対して応ぜられる用意があるかどうかお伺いいたしたいと存じます。アメリカの前国防省の軍事援助局長ジヨージ・オムステツド少将は、すでに三月十一日、「これまでMSAが要求する双務協定を作るために日米間に検討及び交渉が進められている」と述べておりまして私たちも秘密裡に重大なる折衝が行われていることは早くから察知したわけであります。然るに国会におきましては、議員のしばしばなる質問に対しましても強くこれを否定し、あまつさえ六月二十三日には「米国はこれまで日本との間にMSAに関する双務協定の交渉を行なつたことはない」というアメリカ国務省のスポークスマンたるホワイト氏の援護射撃を求めている。外国の応援によつて国会を切抜けようとするがごときは、まさに吉田内閣の醜態と言わなくて一はなりません。(拍手)然るに、その否定があつた翌二十四日、アメリカ政府に質問書を発し、翌々二十六日折返し回答があつたというがごときに至りましては、まさに国民を愚弄するも甚だしいと言わなくてはなりません。(「猿芝居だ」と呼ぶ者あり、拍手)かかる日米両国政府の馴れ合いを以ていたしましても、自由党員はごまかすことはできるかも知れませんが、断じて国民を欺くことはできないわけであります。(拍手)アメリカ議会では、この大月十九日の下院本会議で四十九億九千万ドルの対外援助案を可決いたしていますが、この三月以来二十七回の聴聞会を開き、十分なる審議を尽し、千三百ページに及ぶところの厖大なる速記録が作成されたと言われています。これを知らぬ存ぜぬの吉田内閣の外交と比較いたしてみますならば、全く雲泥の差と言わなくてはならないわけである。併しながら、寛大にして和解と信頼の講和がどのようなものであつたかということをはつきり知る我々といたしましては、MSAの援助協定におきまして、再びかかる過失を絶対犯してはならないと思うわけであります。そのためには、アメリカのなまの速記録によつてMSAの全貌を知り、アメリカの意図が何ものであるかを知ることが必要でありますので、かかる要求をいたす次第であります。これに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。  第四に、MSA援助の受諾に伴う軍事義務に関し、数個の点について岡崎外相にお尋ねいたしたい。質問書の第一に、日本側は、援助の目的は国内の治安と防衛とを確保することを得れば足りるという御見解をとつておられるにもかかわりませず、アメリカ側は更にそれに附加えまして、平和条約第五条(C)項を引用いたしまして、個別的又は集団的自衛権の行使を云々いたしています。個別的又は集団的自衛権の行使を一層有効ならしめるということは、再軍備への道であり、交戦権を求めるものであつてこれは明らかに国内治安の維持以上のものであります。自衛権のためでも軍隊を保持することができず、又交戦権を放棄したところの、現行憲法に対する重大なる違反であると思うが、これに対しまするお考えをお伺いいたしたい。特に、アメリカの速記録によりますと、ウツドMSA長官代理は、「この協定の成立に際し、若し必要とあれば日本側の憲法改正という事前の処置なしには、一九五四年MSA計画に含まれている対日援助費が支出され、兵器が日本に渡されることはない」という重大な発言をいたしているわけであります。これらにつきまして、MSA援助の受諾と現行憲法との関係をお伺いいたしたいわけであります。  第二に、六月十九日可決されました対外援助法には、「米国は北大西洋条約機構に当る太平洋防衛機構設置を指示することを約束する」という重大な附属規定があるわけであります。そこでお伺いいたしたいことは、若しこの援助を受諾いたしますならば、将来アメリカが意図しているとろの太平洋の防衛機構に対して日本が参加することの義務を負うものであるか。これに対するはつきりしたお考えを外務大臣にお伺いいたしたいと思います。  岡崎外相に対する第三の質問は、MSA援助受諾と基地貸与の関係であります。我が国は、昭和二十八年四月二十八日現在、七百五十六カ所、三億一千二百万坪という厖大な軍事基地をアメリカに貸与いたしています。これは曾つて日本が極東全域を侵略いたしました際の陸海空軍の二百余カ所に亘つたいわゆる軍事基地の数倍に当るところの基地でありまして、共産主義の侵略を防衛するというごとき消極的なものではなく、もつと積極的な、動的な、政撃的な性格を有するもので、危険極まりないことと言わなくてはなりません。冷戦緩和の国際情勢下、当然減少いたしまして然るべきであると思うが、MSA援助の受諾と基地の増減との関係は如何でございますか、お伺いする次第であります。  次に、MSA援助と保安隊の海外派遣についてお伺いいたしたい。アメリカの援助の目的は、同法第五百十一条A項の三のごとく、基地の貸与などのすでに条約上発生しているところの軍事義務の引受だけではないわけであります。MSA援助の根幹は、何といつても同法第五百十一条A項の四と五によるところの新たなる軍事的義務の引受であると言わなくてはならないわけであります。そのためには保安隊や警備隊の海外派遣が要請される可能性があると思うが、この点はどうでありますか。特に、回答文のどこを探しましても、日本の保安隊を海外に派遣しないという規定はないから、なお更そのような疑念があるわけであります。政府は回答文の「自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要請するものでない」という点を指摘されるかも知れない。併し保安隊が治安維持の部隊であるという規定は、この回答文にはないわけであります。国民に再軍備反対の意向が極めて強く、又再軍備すれば憲法違反となるので、国民を欺き且つ違憲性を阻却する手段といたしまして、再軍備を仮に保安隊と言つているに過ぎないわけであります。このことは吉田・ダレスの合作であり、而もアメリカは保安隊は明らかに軍隊であると言つているわけでありますから、海外派遣の要請が起ることが多いと思うわけであります。はつきりした御答弁をお願いいたします。  次に、防衛計画についてお伺いいた、したい。MSA援助を受けるには防衛計画が必要となります。これは、去る五月三十一日、MSA援助に関しアメリカ議会を代表いたしまして来日したマグナンソン議員が、はつきりと「防衛計画の提示が受諾の前提条件である」ということを言明いたしています。この点について先ず外務大臣の御所見をお伺いいたしたいと思うわけであります。次に、木村保安庁長官は、去る六月九日九州で発表された防衛五カ年計画なるものを、本議場を通じまして全国民に発表されたい。これに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。木村保安庁長官も日本人であるからには、外国人であるアメリカ人に見せるものを、国民の代表である国会に発表できないという法は、よもやないはずでありますから、是非その提出を求めるものであります。(拍手)又、木村保安庁長官は、衆議院の内閣委員会の理事会におきまして、正式にきめたものでなく、試案であるから、発表することができないということを言つておられます。併し、この七月一日から始まる一九五四年会計年度のMSA援助を受けるためには、絶対この計画が必要なわけでありまして、それが未だ最終案が決定しないというようなことは断じてあり得ないと思うわけであります。自衛力漸増方式をとります現内閣としても、若しそれができていないといたしますならば、担任の大臣といたしまして怠慢のそしりを免れないと思いますが、緒方副総理はこれに対しまして如何なる御処置をとられるでありましようか。なお、アリソン大使は、日本に来ましてから、保安隊を十五万に増強するように強く日本政府に要請したという記事が出ていますが、果してそのような要請があつたかどうか。それに対しまする政府の御見解をお伺いいたしたいと思うものであります。  更に木村長官は、「自衛のための戦力は現行憲法によつても阻止されないという意見があるが、これは相当傾聴に値する」という重大なる御発言をなされているが、一体その真意はどこにあるかお伺いいたしたいと思うわけであります。政府は、従来、戦力とは近代戦を有効適切に遂行するに必要なる装備編成を持つた実力部隊だとしてかかる戦力を保持することは違憲であるといたしていました。併し自衛戦力合憲説によりまするならば、戦力とは、装備編成の如何にかかわらず、その行使する目的によるということになるわけであります。従つて、原子兵器を所有いたしましたところの近代的な大部隊であつても、国内治安の維持を目的とするものであるというなら戦力にはならず、警察力であるということになるわけであります。政府はMSA援助を受けまして保安隊を増強いたしますことは、現行憲法においてはすでに限界に来たものでありますから、自衛戦力合憲説によつて我が国の憲法を無視いたしまして事実上の再軍備を増強せんとする意図に出たものであると推察されますが、(拍手)果してどうでありますか。はつきりいたして頂きたいと思うわけであります。更に又一体かかる学説の主唱者は誰であるか、その御明示を願いたいと存じます。私の知ります限りにおきましては、かかる見解をとるところの最有力なる人はアイゼンハワー大統領その人であります。即ち、アイゼンハワー大統領は、「若し軍事力が国連の決定或いは国連の下にあるところの地域的共同防衛機構によつて使用されるならば、日本が軍備を持つても現行憲法に違反しない」という、重大な発表をアメリカ国会にいたしておるわけであります。我々はまさにアメリカ政府と日本政府とが現行憲法の解釈について馴れ合いをしていると言わざるを得ないわけであります。(拍手)  更に、MSA援助を受けまして自衛カを漸増いたすといたしまするならば、何年後に日本の自衛力が完全に独立でき、アメリカ軍はいつ日本から撤退するか、その計画をお示し願いたいと思うわけであります。  最後に外務大臣にお尋ねいたします。政府が相互安全保障法に基く援助協定を結ぶ際には、国会の承認を求められる意思があるかどうかをお伺いいたしたい。更に我が党といたしましては、批准条項を付しまして、調印の事後に承認するという形式には、強く反対するものであります。(拍手)それは既成の事実といたしまして強く承認を求めまして、日米間が必要以上に摩擦が起きるからであります。署名と同時に効力を発生せしめるよう、国内手続としては事前に国会の承認が求められることが現行憲法の趣旨に副うと思うが如何なる形式をおとりになるか、お伺いいたしたいと思うものであります。隣国に敵を作らない自主中立の外々政策が、何十万の軍備よりも、MSAよりか、我が国のために最大の安全保障であります。かかる見地から、我が党は、イデオロギーを超え、中ソ両国と国交を調整することが必要であると存じます。現に、中国とは二十六カ国、ソ連とは五十数カ国が国交を回復しています。中ソとの国交調整を好まないアメリカ自身が、ソ連とは国交関係を結んで駐ソ大使を置いているわけである。MSA援助こそ、日本の安全にとつて最も大切なところの中ソの国交調整を不可能にするものであります。これがどうして安全保障でありましようか。不安全保障の最たるものと言わなくてはなりません。我が国財政を破綻せしめ、且つ平和の経済の基盤を危うくいたしますところのMSA援助に強く反対いたしまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  49. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。  講和発効後の日本外交の基調について政府の所見はどうであるかという御質問であります。講和発効後、今日まで、集団安全保障の理念の下で、自由民主諸国と協力をいたし、アジアの平和、ひいては世界の平和に寄与せんとすることが、我が政府の外交方針であつたのでありまするが、今後ともこの方針を堅持して参りたいと考えております。かかる政策こそ、我が国の政治的経済的自立の達成、更に進んでは我が国の一層の発展のために最善の方法であると考えておる次第でございます。  それから、MSA援助に関連して、我が国の防衛計画が変りはしないかという御質問でありましたが、MSA援助につきまして具体的な話合いは今後の問題でありまするが、現在は、直接侵略に対しましては日米安全保障条約に基いて米軍がこれに当り、国内的には自衛力を漸増して行くという基本方針には、今後も変りはないと考えております。  なお、アリソン大使から、日本の保安隊を十五万に増強する要請があつたのではないかという御質問でありましたが、こういう要請があつたという事実は承知いたしておりません。(「嘘言うな」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
  50. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。MSAは、現在、欧洲でも南北アメリカでも又東亜でも、多数の国が受諾しておりまして、これらの国々が別に米国の隷属国とは私は考えておりません。従いまして、MSAを受けたからといつて世界の大勢に反するというような結論は出て来ないと考えております。なお、只今の共産国家を包囲する政策は、戦前のABCD政策と同じよな危険なもの一たというお話でありますが、現在の自由主義諸国のやつておりますのは、共産主義の宣伝や共産化運動を防遏せんとするものでありまして、前のABCD政策とはおのずから異なる点が多分にあると思つております。(「同じだよ」と呼ぶ者あり)なお、MSAは、この制度は一九五一年に作られたものでありまして、アイゼンハワー大統領の巻き返し政策の提唱より遙か以前から始まつておるものでありまして、巻き返し政策の結果ではないのであります。  それから、日米間に何かあらかじめ交渉しておつたのじやないか、書簡の往復は馴れ合いではないかというようなお話でありますが、私の考えでは、交渉しておれば交渉しておるということを言つても、別に何も政府としては困ることはないと思つておるのであります。ただ、交渉もしていないのに交渉していると言うわけには参りませんから、そこで交渉はいたしておらないと言つたのでありまして、オルムステツド少将の言明というのも違つておりまするから、我々のほうから話をして、あれを取消してもらつたようなわけであります。  それから、MSAを受けると憲法違反になりはしないかという議論でありますが、私どもは、憲法違反になるなら、MSAにしろ何にしろ、これは受けることはできないと考えております。  なお、平和条約の第五条(C)項というものは再軍備に通ずるものであつて、憲法違反じやないかというお話でありますが、平和条約はすでに両院の絶対多数によつて受諾されたものでありますが、これは日本の固有の権利を有するということを確認したものでありまして、何ら交戦権等を積極的に規定したものではありません。又太平洋防衛機構の設置を支持する約束が附属協定にあるというお話でありますが、そのような附属協定とは何の附属協定であるか私は知りませんが、聞いたことがないのであります。(「速記録に出ているよ」と呼ぶ者あり)軍事義務を新たに負担するようなことは、とにかく日本としてはしないのであります。  それから米軍に提供しておりまする施設区域は、MSAによつて殖えるか減るかということでありますが、これは日米安全保障条約に基きまして、駐留軍の必要とする施設とか区域をその必要の最小限度において提供するのは、条約上我々の義務でありまするから、これはいたしておりまするが、MSAとは何ら関係はありません。従いまして、MSAの受諾によつて増減するというようなことはないのであります。  それからマグナソン議員から、防衛計画の提出が必要であるということで、私に対して提出の交渉があつたかというお話でありますが、私はMSAの援助に関しましてあらかじめ防衛計画を出す必要は只今のところ考えておりません。マグナソン氏から提出の交渉などは全然ありません。(「強く要請されたじやないか」と呼ぶ者あり)  MSAの協定は国会の承認を求めるかというお話でありますが、これはもう憲法学者の一致して申すところでありまして、いずれ国会の承認を求めましようが、この協定の形式には、調印と同時に効力を発生するものと、批准によつて効力を発生するものと二種類あるのは御承知の通りでありまして、調印と同時に効力を発生する場合には、調印の前に国会の承認を求めるわけであります。批准後に効力を発生するものにありましては批准の前に国会の承認を求めるわけでありまして、現実にこの協定がどういう形になりますかは、まだ交渉を始めておりませんからわかりませんが、原則論としてはそういうふうに我々は考えております。いずれにしても国会の承認を求むべきものと今のところは考えております。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
  51. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。  私は防衛五カ年計画というようなものについて作成をしたこともなければ、又これを発表したこともないのであります。(「嘘つけ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)もとより保安庁といたしましては、警備のことに関して、部隊の編成、これの訓練等について常に研究いたしておるのでありますが、今なおその結論が出ておりません。ただ私といたしましては、将来、日本の治安情勢の変化によつて警備力を増加しなければならない場合に当つて、どれくらい増加すべきであるかということの一応の見当だけを付けたい、こう考えておつた次第であります。(「それが計画じやないか」と呼ぶ者あり)そこで、これの計画を立てるにつきましては、もとより日本の財政及び技術の各方面から検討を要するので、関係各省庁或いは大蔵省或いは通産省、経済審議庁と、ともども協議決定すべきものでありますが、その過程におきまして、私は今一応の心がまえをしておきたいというので、試案を作つたのでございます。この試案なるものは、もとより省議においてこれを決議したものでもなければ、(「出すか、出さないか」と呼ぶ者あり)或いは検討したものでもない、全く一つの試案に過ぎないのでありまするから、これは公表すべきことを差控えたいと考えておる次第であります。  なお、第二の駐留軍の引揚げの問題でありますが、これは御承知の通り、安保条約第六条によつて安保条約の消滅の時期が書いてあります。(「どこに書いてある、ないじやないか」と呼ぶ者あり)この時期が到来すれば、もとより駐留軍は引揚げるでありましようが、その前における引揚げの時期については、我々は今何らアメリカ駐留軍からの話もありません。又我々もこれをいつ引揚げてくれと申すことは差控えたいと、こう考えております。(「合憲説はどうした」と呼ぶ者あり)  なお、言い残しました、申しましよう。私は、自衛のために戦力を持つことができるかどうかという議論については、これは自衛のためには戦力を持ち得るという有力な学説のあることは、中田君御承知の通りであります。(「誰だそれは」と呼ぶ者あり)これはいわゆる京都帝大の先輩であります佐々木惣一博士、その一派の学徒であります。最近そのうちの一学徒が有力なる議論を発表されております。私はこの議論は賛成はいたしませんが、極めてこの、検討して、この中において十分な……(「どういうところで賛成しないか」と呼ぶ者あり)つまり我々耳を傾けるだけの資料を与えております。それについて私は傾聴に値いするということを言つたのであります。(「精神分裂症だ」と呼ぶ者あり)もとより、現政府の見解といたしましては、自衛のためでも戦力を用い得ないということは、しばしば繰返して言明したところであります。(「憲法違反だ」と呼ぶ者あり)
  52. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 愛知政務次官。    〔「次官じやしようがないよ」と呼ぶ者あり〕
  53. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 愛知政務次官は発言いたさないそうであります。加藤シヅエ君。     ―――――――――――――    〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
  54. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となりました米国の相互安全保障法につきまして日米両国の政府間に交換されました公文書につきまして、質問いたしたいと存じます。  今日私どもが痛感いたしますことは、国を平和に栄えさして参ります上に、外交ということが如何に重要性を持つかということでございます。  敗戦後の日本にとりまして、外交が若し当を得ていなければ、貿易は発展の道を塞がれ、八千万国民は生活を脅かされるのでございます。又、外交が、国の姿、国民の声を正しく代弁することができませんでしたら、日本国を民主的に発展させたいとの国民の願望は、いつしか軍人の泥靴で蹂躙されてしまうかも知れないのでございます。日本に将来再び軍人が威張り出すような時代が出現いたしますならば、民主主義も、文化的な生活も、消えて行く朝露よりも、はかない存在になるでありましよう。今、日本が米国より相互安全保障法による援助を受けることは、万一まかり間違えば、好むと好まざるとにかかわりなく、再び日本が軍国主義化される危険を孕んでおるが故に、我が社会党はこれに反対し、政府当局の慎重な反省を要望するものでございます。  日頃何かにつけて余り敏速のようにもお見受けできない吉田政府が、MSAの援助のことばかりは大変なスピードをお出しになりまして、吉田さんは、援助は受諾の方針と、先日の衆議院の予算委員会におきまして河野密氏への御答弁がございました。只今、副総理が、これは総理大臣がそのときのお気持の上で答弁なさつたので、政府としてはまだ確定をしたわけではないが、というようなことを申しておられますが、それはともかくといたしまして、この日米交換文書発表の裏には、秘密外交の痕跡歴然たるものがあつたことは、誠に遺憾至極と申さなければなりません。(拍手)元来、外国との重要な折衝をなす場合、いわゆるサウンデイングをなされることは、もとより当然なことでございます。只今、岡崎外務大臣もこのことにつきまして、自分は交渉していないのだから、していないのだ。交渉というような言葉にえらく力をお入れになつたようでございますけれども、交渉というような形でなくても、いろいろと当つていらつしやつたことは事実でございます。そういうようなときに、国民が知りたいと思うこと、国会が質問いたしておりますことに対しまして、「目下いろいろと当つてみているのですが」というようなふうにでも答弁して下さいますならば、国民の政府に対する信頼はもう少し高めることができたでございましようものを、まるで、びつくり箱でもあけたような発表の仕方をなさいますので、吉田内閣の政治感覚の欠如の現われというものが実に恐るべきものがあると、私どもは痛感いたすのでございます。  今更私から申すまでもないことでございますが、外交の要諦は、国民と政府との間で先ずよく意思を疏通し合つて、対外的に明確に国民の考え方を代弁することでございまして、政府と粗手国とが最初に馴れ合つて、国民の目を蔽い、耳を塞ぐというものではないはずでございます。このたびの政府のなされ方は、国民に与えた印象がよくなかつたばかりではありません。この相互安全保障法をめぐる交換公文書の内容そのものにも、多くの秘密外交、馴れ合い外交の要素が含まれておるのではないかというふうに疑われるのでございます。これを具体的に申しますと、交換公文書の文字が甚だ抽象的に書かれてございますために、この文字が具体的に何を意味するのか明確でございません。これでは、日米当局の間で理解し合つておることと、日本国民が合点しておることとの間に、大きか開きがあるのではないかと心配いたされるのでございます。殊に危ぶなつかしいことは、外国語と日本語との訳語の使い分けによつて、アメリカ側の考えておる内容と、日本側のそれとが、必ずしも一致していないかも知れないのでございます。ここに、この交換公文書の大きな危険性が感じられるのでございます。若しこうした文字に対する不確実な或いはちぐはぐな了解から、日米間に誤解が起つたり、更に、日本政府と国民との間に、例えば保安隊は軍隊ではないというような、危ぶなつかしい解釈の下に事態が進められて参りますと、言葉の魔術はどこまで発展して行くか、恐ろしい結果が想像されるのでございます。欧洲語と違いまして、日本では、言葉は便利なものとされて、そのときどきで都合のよい新造語に勝手な解釈を付けて使用することを不思議と思わない政府もあることでございまするから、保安隊は軍隊でないというようなことで押し通されて、自衛の限界もどこにあるのか、もうろうとしておるのが現状でございますが、日本政府の交換公文の第三項(b)の中に「自国の防衛力を増進し、かつ、維持すること」とございますが、この防衛力という文字が英語になつたときに、これは国内治安の警察力では勿論なく、吉田流の自衛力的保安隊でもなく、日本を防衛するための軍隊というふうに、この文字の内容が飛躍発展して行くのではないかという懸念があるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そうして、若しそういうふうに米国側が暗黙のうちにでも解釈をしておつたとすれば、その防衛力なるものをMSA援助によつて増進して行くと、やがては、米国側回答文の示す、平和条約第五条(C)項に謳われておりますところの日本の自衛権の行使は、現在、外務大臣が衆議院で答弁されましたよらな、狭い意味の、日本を防衛するという意味から、自由世界の防衛のための全面的な寄与が期待され或いは要請されるかも知れないということは、相互安全保障法の本来の性質からも想像されることではないでございましようか。こんなことにでもなつた場合には、憲法第九条は全く空文と化し、こんなはずではなかつたと、国民は悔んでも始まらないのでございます。日米両国政府間におきましては、このような予想される不幸を避けるために、字句の使用について明確な定義を付ける必要があると考えられないでございましようか。外務当局にこの点についての御所見を承わりたい。岡崎外務大臣のお答えをお願い申上げたいのでございます。  次に、これは総理大臣に伺いたいことでございますが、緒方副総理の代理の御答弁でも結構でございますが、総理大臣は、日本の保安隊は断じて海外に派兵せずと、先だつて、たしか衆議院でも大変な強い言葉で以て答弁をしていらつしやいましたが、これは繰返し申される通り、是非その通りでなくてはならないのでございますけれども、MSA援助受入れの協定が結ばれれば、その有効期間中、吉田さんが総理大臣の椅子に頑張つていらつしやるというわけにも行かないかも知れないので、MSA援助を受ける協定の中には、交換公文中の米国側回答文の中にある「合衆国と日本との間に存在する如何なる条約上の義務にも、自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。」こう書いてあるところを、もう一段と具体的にして、如何なる理由の下にも海外派兵せずと、こういうような、はつきりした一文を入れて、国民を安心させて下さる、こういうようなお考えはないのでございましようか。お答え願いたい。  次に伺いたいことは、MSA援助を受けることによつて、国は一定の義務負担が生ずることは、これは当然のことでございますが、このことは、ややもすればアメリカの圧力が国の政治経済の面に加わつて来るのではないかという懸念は、先の御質問をなさいました同僚議員と御同様のことでございます。勿論アメリカは伝統的に、他国の内政干渉、こういうようなことはしないという建前にはなつていることを私も承知いたしておりますが、内政干渉というような形でなくても、援助が具体化して来れば、それに関連して軍事顧問団が来たり、あれこれと指図を受けるのではないかということが心配されます。これが両国の利益が合致している場合はいいとしても、必ずしもそうとばかりは行かない。アメリカとしては、米国国民の税金や資源を以て援助をする責任上、余りこれを甘く見過ごすことはできないと思います。こんな場合に、援助を受けるという受身の立場故に、内政干渉にも似たような事態が発生して、そのことが延いては折角の援助が却つて反米感情を培養することに利用せられるようなことがあるのではないかと心配されるのでございます。外務大臣は、こうした心配に対しては、それは国民がしつかりしておればいいんだというふうに答弁しておられますが、従来の岡崎外交のお手際を拝見いたしておりますと、行政協定締結のときなんかも、必要以上に日本の立場を譲歩して、国民に屈辱的外交の印象さえ与えておられるところを見ますと、しつかりして欲しいのは国民ではなくて、外務大臣その人ではないかと、こう考えるものでございます。(拍手)勿論、折衝には相手方のあることでございますから、何でもかんでも強気一本で押しまくれ、こういうふうに申すわけではございませんが、日米両国親善のためにも、日本が不当に圧迫を受けたというような印象を国民に与えることのないような協定を結ぶためには、どんな文句を入れたらよいか、こういうようなことについて外務大臣は何か考えていらつしやるか。お答えを願いたいのでございます。  その次に質問いたしたい点は、交換公文の米国回答書の第二項は、「日本に対する援助計画を策定するに当つて経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮されるべき必須の要件である。」こういうふうになつておりますが、外務大臣は、これは経済力の協力のことを言つておるので、軍事上の要請のことではない、こういうふうに衆議院の予算委員会の席上で答弁しておられます。この経済力とか経済的安定とかいうことは、どういう意味なのでございましようか。例えば、経済力の協力とは、軍需生産のために必要な経済力か。自衛能力発展のための経済的安定とは、だんだんだんだん軍備を拡張して行く上に必要な経済力、こういうことなのか。又はもつと拡い意味を持つ国の全般的な経済力の安定、こういうふうに考えてもよいのか。ここをはつきり御説明をして頂きたいと考えます。  元来MSA援助の内容は、軍事、経済、技術、開発の形で行われているということを聞いておりますが、日本に対する場合は、ダレス長官の言明を新聞報道によつて伝えられております範囲では、軍事的援助に重点が置かれているというふうに思われるので、岡崎外相は、我が国の経済的自立を達成するための経済的援助の必要性を、どのような形で米国側に交渉しておられるか。特に、経済安定あつての国防であるということを思えば、この経済安定は飽くまでも日本の恒久平和の基礎ともなるべき、防衛生産に片寄らないところの自立経済促進のための援助協力が望ましいと思われるのでございますが、こうした点も外務大臣は折衝なさるおつもりかどうか、御決意のほどを承わりたいのでございます。  次には厚生大臣と労働大臣に伺いたいのでございますが、政府がMSAの援助を受けようと考えておられますのは、もとより日本の治安維持の重大性から起つて来ることであることは申すまでもございません。我が党は、かねてより、日本の真の国防は、再軍備よりも経済の自立と生活の安定、これを強く信じて経済の自立と国民生活の安定なきところに軍備を進めることは無意味であるということを主張して参つております。殊に太平洋戦争に日本が突入した大きな原因が、日本の増大して行く人口の圧力にあつたこと、戦争がこの原因を少しも治癒し得なかつたばかりか、更にその負担を増大したことは、御承知の通りでございます。日本将来の生きる道を考えますときに、この狭い四つの島に閉じ込められておりますところの八千七百万の人口の問題の対策を、これを度外視しての国防も治安もあつたものではないと私は考えますが、占領軍当局も、歴代内閣も、この問題には殆んど不感症ともいうべき冷淡無理解を以て過ごして参つたのでございます。最近に至りまして、政府も輿論に刺激されまして僅かばかりその対策らしきものを示しておられますのでございますが、政府の施策は、国民の輿論が強く人口問題解決を要求しておる今日、まだまだ不十分、貧弱と言わざるを得ないのでございます。身に迫る生活不安の世相が反映いたしまして、最近の二年間に日本の出生率はやや下降線を辿つて参りましたが、或る人口問題権威者の研究によりますと、今後十年間、日本の出生率をスエーデン型に、死亡率をニユージーランド型に下るものと仮定いたしましても、一九九〇年には日本人口は一億七百万人になるという勘定でございます。人口の増加はそれに附随した労働市場の獲得を必要といたしております。木村保安庁長官は、防衛五カ年計画を立てて徴兵問題に苦慮しておられると新聞が報道しておりますが、保安隊の兵隊さんがMSA援助で、武装して立ち上つても、その背後に何百万という失業者、半失業者が職を求めて、これが与えられず、失業対策費は従らに国民の税金を加重し、生活苦から発生するところのさまざまの犯罪が刑務所の増築を必要とするのでは、何のための自衛力でありましようか。木村長官が保安隊指揮の陣頭に立たれるとしても、後門から押し寄せて来るであろう、職なく、家なく、空腹な失業者群の対策なくしては、国内の治安は保たれないばかりか、間接侵略を誘発するところの素因を作るであろうということが気遣われるのでございます。労働大臣は今後十年間にどれだけの雇用力増大を考えておられますか。又厚生大臣はこの人口の圧力に対してどのような対策を用意しておられますか。お伺いを申上げたいのでございます。  最後に、私は、現在問題にされておりますところのアメリカMSAによる援助が、日本の経済的自立の面に寄与するのではなくて日本の軍国化を促進し、たとえ日本経済に一時的興奮剤を与える程度の貢献をすることがあり得るとしても、特需に頼り、防衛経済に依存するごときは、決して日本の恒久平和への道に続くものとは考えられず、日本の民主化、完全独立を願う国民にとつては、これはまさに逆コースであり、更に延いては自由世界の平和への寄与さえも疑われるので、これが受諾に対しましては反対し、政府の再考を求めまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  55. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。  過日の交換公文の中に、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求しないということが書いてあるのを、更に、協定をする場合に、協定文の中に明確にしておく必要がありはしないかというお尋ねでありましたが、まだ受諾の方針も決定しておりませず、従いまして交渉前でありまするから、何とも申しかねまするけれども、併し、その御趣旨のことを明確にしておくことにつきましては、受諾の方計を決定し、交渉を行う場合には、十分考慮をいたしたいと考えております。  それからもう一つ、MSA受諾の結果、内政干渉に亘ることが起りはしないかという御心配でありましたが、日本の独立と自主性を傷つけるようなことはいたさないつもりでおります。    〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
  56. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。  外国との往復文書については、字句に十分注意しろというお話でありますが、これは勿論そのつもりでおります。今回の文書の中にも、例えば防衛という字を使つておりますが、これは我々のほうでは特にホーム・デイフエンスと訳しておりまして、国内の防衛の意味を明らかにいたしております。  それから、日本が不当に圧迫をこうむるような印象を国民に与えないことが必要であるというお話で、これは誠に同感でありますから、十分御趣旨に副うようにいたします。  なお、経済的安定についての御質問でございますが、我々の考えでは、防衛力を強くするのには国民生活の安定が先ず第一であつてこれがなければその目的は達し得ない、こういう考えから、アメリカがMSAの援助をする場合にも、その先決条件たる経済の安定を先ず考えるべきであるということを申したわけであります。これに対するアメリカの回答は、字が異なつておつて必ずしも一致しておりませんが、これはアメリカとしては自分の独自の見解で回答をいたすのでありますから、これに一々注文を付けるわけには参らないのであります。ただその中でアメリカ側も同感の意を表しておるのみならず、一例として域外買付のようなものを増加するであろうというような返事をいたしておるのであります。我々は、それのみならず、又将来は、例えばポイント・フオアのような計画にも関連性があつて、日本の必要とする資材の入手にも便宜が生ずるものじやないかと思つておりますが、特に経済安定という、或いは国民生活の安定と申しますか、これを我々は先ず考えなければならない問題である、こう思つて、ここに大きな重点を置いておるわけであります。    〔国務大臣山縣勝見君登壇、拍手〕
  57. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。  MSAの問題に関して国民生活の安定が基盤をなすということは、全く御同感であります。この問題に関連いたして人口問題をお話になりました。人口の圧力、これが労働力の点においてもいろいろな圧力を加えるということのお話がありましたが、只今お話の通り、さすがに最近の出生率は減退をいたしておるのであります。御承知の通り大体戦後最高が昭和二十二年でございましたが、千分の三十四ぐらいでございましたのが、だんだん昭和二十六年から七年にかけまして二十六から二十四というふうに減つて来ております。併しこれ又只今御指摘のように死亡率も減退をいたしておるのであります。戦前十七ぐらいのものが、昨年あたりは多分九ぐらいに相成つたかと思います。従つて、只今御指摘の通り純増加はなかなか減りませんで、或いは今後幾年かののち只今御指摘の年間には一億ぐらいになる可能性もあります。その際に、只今のお考えの中に一番重点をなしたのは、いわゆる生産人口の増加であろうと思うのであります。これが主として労働力に関係がございまするから、これを実は非常に憂慮いたしております。昭和二十五年から四十年ぐらいには、大体百万人ぐらい殖えるというのが一応統計上からも或いは実績からも言われております。従つて、この人口問題をどういうふうに解決するか、従つてMSAとの問題とも関連して、これは重大な問題でありますから、御承知の通り今回人口問題審議会を設けまして、或いは産業構造の見地から、或いは資源の点から、或いはいろいろな点から検討いたしたいと考えておりますが、今、厚生省と言わんよりも、政府として重点的にこの問題について考えておりまするのは、御承知の通りに昭和二十七年に優生保護法を改正して、いわゆる受胎調節を強力に推進いたし、従つて或いは受胎調節の指導員を設けてやつて行くというふうにして、予算に計上いたして、折角努力をいたしておるのであります。この問題に関しましては、今後更に善処をいたしてこの基本的な問題に対して遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  58. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。  過剰人口の問題は、我が国に課せられました重大なる、且つ又非常に困難なる問題であると存じます。戦後におきまして我が国の人口が年々増大いたしまして、これに伴いまして就業年齢人口も増大いたしておるのでありまするが、幸いにいたしまして昭和二十七年までの実績におきましては、我が国の経済規模の拡大によりまして雇用量も又増大しておるのでございまするが、将来の問題といたしましては、経済審議庁を中心といたしまして長期経済の見通しを立てまして、その一環といたしまして雇用量の増大を確保するために、総合的な経済政策を立案するように努力をいたしておる次第でございます。(拍手)
  59. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) お諮りをいたします。国務大臣の演説に対する質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  61. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程第三を後に廻したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  63. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第四、理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇、拍手〕
  64. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今議題となりました理容師美容師法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  本法は、昭和二十二年成立いたしまして以来、理容師美容師の資質の向上と公衆衛生の確保とを理想に再度の改正が行われましたが、更に理容師美容師の養成は専ら学校教育の体系において行われるという本来の理想を確立しようとするものであります。今回改正されます要点は次の四点であります。第一点は、理容師美容師の養成施設における知識及び技能の修得につきましては、その種類、年限、内容などをその養成の態様に応じて省令で定めることができるようになり、これらの養成施設普及の現状から、又家庭の事情などにより、通学せずにこの養成施設の教育を受け得る新たな方法を講じたことであります。第二点は、これら養成施設における内容の充実と円滑な運営を図るために、これら養成施設に対する監督権の一部を都道府県知事に付与したことであります。第三点は、本年六月三十日限り、試験のみによる資格取得の経過制度がなくなりますので、従来受験して合格しなかつた者につきましては、昭和二十八年十二月三十一日まで都道府県知事の行う試験に合格すれば免許が受けられるようになつたことであります。第四点は、これら養成施設の入学資格は、高等学校に入学資格を有する者となつておりますが、旧国民学校高等科卒業者であつても暫定的に養成施設の入学資格を認めたことであります。以上が本法律案の提案理由及び改正の要点であります。  厚生委員会におきましては、六月二十五日、政府より提案理由の説明を聴取し、二十六日の委員会で慎重審議を重ねたのでありまするが、その質疑応答の主なるものを申上げますると、「養成機関を省令で定めた理由はどこにあるか、又その省令の内容についてはどのような案を持つているか」との質問に対し、「現在法律で定めてある養成施設のほかに夜間教育及び通信教育の方法も考慮したいので、法律にこれを規定すると全面改正を要するし、又時間的余裕がなかつたので、省令に譲ることとした。又、省令の内容は、夜間教育については養成期間は一年四カ月、通信教育については、現在行われております鉱山技師、ラジオ技師等の通信教育の事例を参酌して、二年間が適当であると考えている。又通信教育を受ける者については、保健所等の施設を利用して二カ月間くらいの面接教育を行いたいと考えている」との答弁がありました。その他詳細は速記録に譲りたいと存じます。  なお、将来、法の実施上注意すべき事項、省令の内容等、悪影響のないように今後の改善を政府に要望いたしまして、討論を省略し、直ちに採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手)
  65. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  66. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  67. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(国際連合食糧農業機関アジア極東地域会議日本政府代表)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る十六日、内閣総理大臣から、国際連合食糧農業機関アジア極東地域会議日本政府代表に本院議員石黒忠篤君を任命することについて本院の議決を求めて参りました。同君が国際連合食糧農業機関アジア極東地域会議日本政府代表に就くごとに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  69. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件は同君が国際連合食糧農業機関アジア極東地域会議日本政府代表に就くことができると議決されました。      ―――――・―――――
  70. 河井彌八

    ○1(河井彌八君) この際、日程に追加して、漁港審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る十六日、内閣総理大臣から、漁港法第九条の規定により、鮫島茂君、和田鶴一君、早稲田要衛君を漁港審議会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  72. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  73. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して日本国有鉄道監理委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る十六日、内閣総理大臣から、日本国有鉄道法第十二条の規定により、村田省蔵君を日本国有鉄道監理委員会委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  75. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。なつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  76. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して鉄道建設審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る十六日、内閣総理大臣から、峡道敷設法第六条の規定により、平山孝君、佐藤博夫君、永野重雄君、関桂三君、湯河元威君、小林中君、島田孝一君、山崎匡輔君を鉄道建設審議会委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。  採決は各人について行います。先ず平山孝君を鉄道建設審議会委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  78. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  79. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に佐藤博夫君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  80. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  81. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に永野重雄君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  82. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  83. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に関桂三君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  84. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  85. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に湯河元威君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  86. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  87. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に小林中君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  88. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて同意することに決しました。      ―――――・―――――
  89. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に島田孝一君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  90. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  91. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に山崎匡輔君を同委員に任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  92. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て同意することに決しました。      ―――――・―――――
  93. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、首都建設委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  94. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。去る十六日、内閣総理大臣から、首都建設法第五条第二項の規定により、次田大三郎君を首都建設委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  95. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  96. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)(前会の続)  一、九州地方の水害に関する緒方国務大臣の報告  一、議員の派遣の件  一、日程第二 国務大臣の演説に関する件(第二日)  一、日程第四 理容師美容師法の一部を改正する法律案  一、国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(国際連合食糧農業機関アジア極東地域会議日本政府代表)  一、漁港審議会委員の任命に関する件  一、日本国有鉄道監理委員会の任命に関する件  一、鉄道建設審議会委員の任命に関する件  一、首都建設委員会委員の任命に関する件