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1953-06-26 第16回国会 参議院 本会議 14号 公式Web版

  1. 昭和二十八年六月二十六日(金曜日)    午前十一時十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十三号   昭和二十八年六月二十六日    午前十時開議  第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(趣旨説明)  第二 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)  第三 地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)  第四 千九百五十二年七月十一日にブラツセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第五 金管理法案(内閣提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りをいたします。加納金助君から病気のため、羽仁五郎君から海外旅行のため、それぞれ会期中請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      ―――――・―――――
  5. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 内閣から外交問題について発言を求められました。この際、発言を許します。緒方国務大臣。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
  6. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) いわゆるMSAの援助を受けるかどうかにつきまして、かねて外務省におきまして慎重に研究を進めておつたのでありまするが、一応研究を尽しましたので、一昨二十四日、外務省からアメリカに、重に数点の疑義につきましてアメリカ側の意向を確かめておきたいという意味から、口上書を送りましたところ、本朝午前八時半にアメリカ側から回答がありましたので、これからその口上書並びにアメリカ側の回答を参議院に御報告申上げます。     口上書   外務省は、在本邦アメリカ合衆国大使館に敬意を表するとともに、相互安全保障法の適用によるアメリカ合衆国の諸外国への援助に関し、もし日本が欲するならば、アメリカ合衆国は、前記の援助を日本に供与する用意あるものと承知し、同省は本件のもたらす影響の重要性にかんがみ、諸般の角度からこの問題を検討してきた次第であるが、右に関連して、大使館が次の諸点についてアメリカ合衆国政府の公式の見解を明らかにされるよう要請する光栄を有する。  (1)相互安全保障計画によるアメリカ合衆国の諸外国への援助の基本目的は、自由世界の安全を維持し、かつ、増進することにありと承知するが、日本に援助が与えられる場合、日本国政府としては、この援助により国内の治安と防衛とを確保することを得るに至れば、右基本目的は十分達成されたものと了解するがいかん。  (2)アメリカ合衆国政府が相互安全保障計画に基いてなさんとしている日本への援助が日本の防衛努力の援助である限り、日本の防衛能力が考慮せられるに際しては、日本国政府としては、まず日本の経済が安定し、発展することこそ、その先決要件であると考えられるがいかん。  (3)日本国政府の了解するところによれば、前記の援助を受けるためには、相互安全保障法第五百十一条(a)の該当規定の適用を受けなければならないものと思われる。この点に関連して、次のように了解するが、その通りであるか。   (a) 前記の第五百十一条(a)の(3)に規定されている「軍事的義務」履行の要件は、日本の場合には、日米安全保障条約によつて日本がすでに引き受けている義務の履行をもつて足りるものである。   (b)同条(a)の(4)に関し、「自国の防衛力を増進し、かつ、維持すること」という要件は、日本については、国内の一般的経済条件の許容する限度内で、かつ、政治的及び経済的安定を害することなく、これが実現されれば足りるものである。昭和二十八年六月二十四日  これに対しまして合衆国大使館からの回答であります。合衆国大使館は、外務省に敬意を表するとともに、合衆国の相互安全保障計画に関する千九百五十三年六月二十四日付外務省口上書において提起された問題に関し、合衆国政府の訓令に基き次のとおり申し述べる光栄を有する。  一、相互安全保障計画に基く合衆国の援助は、主として自由世界の安全を維持し、かつ、増進することを目的とするものであり、かつ、この計画に基いて日本が受けることになる援助は、日本をしてその国内の治安を維持し、かつ、平和条約第五条(c)項において保証されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることにより、その計画の主要目的を達成しようとするものである。  二、日本に対する援助計画を策定するに当つて、経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮されるべき必須の要件である。相互安全保障計画は、各参加国が、経済上の要請に関する自国の分担を完全に引き受けることを前提としているが、もちろん、被援助国はその一般的な経済条件及び能力の許容する限度においてのみ寄与をなすことができるものと諒解される。    なお、日本が同計画に参加することを決定した場合には、相互安全保障計画のため必要な物資を合衆国が日本において買付ける可能性は増進するものと期待される。  三、相互安全保障法の下において与えられることのある援助は、相互安全保障法第五百十一条(a)の規定に合致することを条件とするものである。援助を受領するための条件の一つとしての軍事的義務の履行の要件は、日本の場合においては、同国が日米安全保障条約の下にすでに引き受けている義務の履行をもつて足りるものである。相互安全保障計画にも、または合衆国と日本との間に存在するいかなる条約上の義務にも、自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。    第五百十一条(a)項(4)は、もちろん日本が「自国の政治的及び経済的安定と両立」し、かつ、「自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許容する」限度の寄与をなすことだけを要求するものである。    相互安全保障の観念は、自由世界の目的達成のために、合衆国から援助を受ける諸国が、みずからを助けること及びそれぞれの間及び合衆国との間において最高度に協力することに、全力を尽す限りにおいてのみ達成されるものであるという認識に基いている。相互安全保障への積極的成果を最大の効率並びに最小の遅滞及び費用をもつて実現せしめるように、援助を受ける諸国の努力を結合する目的のために、合衆国の資源を引き抗いて使用しようとすることは、合衆国の確固たる希望である。   千九百五十三年六月二十六日         東京において         アメリカ大使館  以上であります。(拍手)
  7. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 只今の国務大臣の発言に対し、質疑の通告がございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。   「異議なしと呼ぶ者あり」
  8. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  9. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程第一から第三までをあとに廻したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  11. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第四、千九百五十二年七月十一日ブラッセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
  12. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 只今議題となりました千九百五十二年七月十一日にブラツセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  政府の説明によりますと、万国郵便条約は万国郵便連合の基本文書でありまして、一八七四年ペルンで締結された万国郵便連合創立に係る条約を前出として、その後しばしば改正され、現在は一九四七年パリで改正された条約が実施されておるのであります。  ところが、このパリ条約も、一九五二年七月十一日にブラツセルで開かれた万国郵便連合の第十三回会議で改正補足されました。これが今回国会の承認を求めておる郵便条約であります。  我が国は一八七七年即ち明治十年以来、郵便連合の加盟国でありまして、現行のパリ条約にも終戦後加入し、又ブラツセル会議には全権を派遣して新条約に署名いたしております。而してこの条約は本年七月一日から効力を発生するので、取急ぎ国会の承認を得て、郵便の分野における国際協力に参加することとしたいというのが本件の趣旨であります。  条約は三部八十三カ条と最終議定書から成り、そのほかに国際連合と郵便連合との間の協定及び航空通常郵便物に関する規定等が附属いたしております。又関係諸約定とは、条約第二十条に規定する七つの約定のうち、我が国の加入する五つの約定、即ち  一、価格表記の書状及び箱物に関する約定  一、小包郵便物に関する約定  一、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定  一、郵便振替に関する約定及び郵値小切手局支払の有価証券の郵便振替による決済に関する追加書  一、代金引換郵便物に関する約定  これらを指すものであります。なお、この条約並びに諸約定の詳細の内容についてはお手許の資料を御参照願いたいと存じます。  委員会は六月十九日と二十五日の二回に亘り本件の審議を行いました。質疑の主なる点を申上げますと、高良、梶原両委員より、「沖縄、奄美大島等の郵便管轄権はどの国に属するか。ブラツセル会議には国民政府や韓国は出席したかどうか。対ソ小包郵便物の取扱状況はどうか。今回の条約加入によつて我が国の経費負担はどうなるのか」等の質問があつたのに対しまして、政府委員から「沖縄等南西諸島には我が国の潜在主権が存すると解釈されるが、これらの地域は事実上は米国の司政下にあるので、その郵便管轄権は米国に属するものと考えられること。ブラツセル会議には国府と韓国も出席し、それぞれ中国と朝鮮を代表するものと認められたが、ソ連圏諸国は、最終議定書への署名に当り、両国を合法のものと認めない旨の宣言を付していること。小包は郵便物と異なり、相互交流の実績が少ないので、小包の発受には相互国間に小包協定が必要である。又我が国とソ連との間には小包協定が存していないので、第三国、例えばソ連と小包取引のあるスイスのごときを経由する必要があること。郵便連合への我が国の分担金は、等級は従来通りの一等、二十五単位で、邦貨に換算して約四百二十万円見当である」との答弁がありました。その他の詳細は速記録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を了し、討論を経て採決に入りましたところ、本件は承認すべきものと全会一致を以て決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手)
  13. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  14. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認することに決しました。      ―――――・―――――
  15. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第一、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(趣旨説明)  日程第二、公共企業体労働関係法の一部を改正する法律案、(趣旨説明)  日程第三、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、(趣旨説明)  この三案につきましては、特に本会議において内閣及び衆議院の発議者から、その説明を聴取する必要がある旨の議院運営委員会の決定がございました。この際、三案を一括して議題に供し、順次趣旨説明を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。小坂労働大臣。    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  17. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 只今議題となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び大体の構成を御説明申上げます。  昨冬行われました電気事業及び石炭鉱業の両ストライキは、幸いにして最後の段階において収拾されましたが、この二つのストライキが、国民経済、国民生活に与えた脅威と損害とは、実に甚大なものがあつたのであります。労使関係の事項につきましては、法を以てこれを抑制規律するよりは、労使の良識と健全な慣行の成熟に待つことが望ましいことは申すまでもないことでありまするが、政府としても、基本原則のみを固執いたしまして、徒らに手を供いて当面の緊急問題に対しまして対策を怠ることは、許されないことであります。(「させたほうはどうするのだ」と呼ぶ者あり)かかる見地よりいたしまして、電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性並びに労使関係の現状に鑑みまして、争議権と公益の調和を図り、以て公共の福祉を擁護するために、両産業におきまする争議行為の方法について必要な規制をなす必要があるのであります。(「行き過ぎだ」と呼ぶ者あり)  公共的性質を有しまする産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限るものでないことは申すまでもないところでありまするが、種々検討の結果、今回は、いわゆる基礎産業中最も基幹的な重要産業であり、而も昨年問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして規定いたすことといたした次第でございます。以上と同一の見解よりいたしまして、前国会に電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を提出いたし、衆議院におきましては、改進党提案により臨時立法とする旨の一部の修正がなされました上、可決されたのでありまするが、参議院におきまして審議中、衆議院の解散によつて審議未了となつたので、右の改進党修正案を含め、前回衆議院において可決されました法律案と同一内容の法律案をここに提案いたした次第であります。(「又悪法を出すのか」と呼ぶ者あり)  以下本法律案の大要につきまして御説明申上げます。  本法案は三カ条から成るものでありまするが、先ず第一条におきましては、以上申上げたことく、電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性に鑑み、公共の福祉を擁護するため争議行為の方法について必要の措置を定めるという本法案の趣旨を誰つたもので魅力ます。次に第二条につきましては、電気事業につきまして、いわゆる停電スト、電源ストその他電気の正常な供給の停止乃至直接の障害を生ぜしめる争議行為の方法は禁ぜられるものであるということを明らかにいたした次第であります。(「させたものはどうするのだ」と呼ぶ者あり)スイツチ・オフ等の行為は従来とも政府として正当ならざるものと考えたのでありまするが、更にこれと同様の結果を生ずる行為であつて、昨年の経験にも鑑み、社会通念上、非とせられるものについても、この際これを明確にし、正当ならざる行為の範囲を明らかにいたしたものであります。けだし停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者中少数に過ぎないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて需要者が不可避的にこうむる物質的精神的損失に比較いたしますると極めて僅かなるものであるのであります。この点、他の争議行為の方法と全くその類を異にいたし、電気事業の公共性に矛盾すること甚だしき争議行為の方法と言わねばならないのであります。(「おかしいな」と呼ぶ者あり)よつて本条はかかる争議手段が行い得ざるものなることを明らかにいたしたのであります。次に第三条につきましては、石炭鉱業について、鉱山保安法に規定しております保安業務の正常な運営を停廃する行為でありまして、(「一遍炭鉱へ入つてみろ」と呼ぶ者あり)溢水、落盤、自然発火、有害ガス充満等を来たしまして、人命に危害を及ぼしたり、石炭資源を岳失し乃至炭鉱の破壊を招いたり、第三者に鉱害を与えるごとき保安放棄の行為は、争議行為としても正当性を逸脱するものであるということを規定したものであります。(「石炭を掘つたことはないだろう」と呼ぶ者あり)このことは、昨年の炭労ストに対しまする政府声明においても明らかにいたしたところであり、極めて明白の事柄でありまするが、この際、特にこの旨を明文を以て明らかにいたしたものであります。  最後に、附則第二項につきましては、本法律案は、施行後三年の期間満了の際、引続き存続させるかいなかについて国会の議決を求めることとし、存抗させない旨の議決があつたとき、又は会期中に存続させる旨の議決がなかつたときは失効することといたしたものであります。先の国会における衆議院の議決を尊重いたしまして、政府原案にこれを加えまして、冒頭に申上げました趣旨を明らかにいたしたものであります。  以上本法案の提案理由と大体の構成を御説明申上げたのでありますが、本法律案は決して不当に労働者の権利を抑圧(「その通り」と呼ぶ者あり)するものでなく、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に基く両産業における争議行為の方法を規制することを明らかにいたし、この方法に関する制約を明らかにいたし、公共の福祉を擁護せんといたすものであります。何とぞ御審議の上、速やかに可決せられんことをお願いいたします。(「否決だ」「一遍石炭を掘つてみろ」と呼ぶ者あり、拍手)     ―――――――――――――
  18. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 衆議院議員多賀谷真稔君。    〔衆議院議員多賀谷真稔君登壇、拍手〕
  19. 多賀谷真稔

    ○衆議院議員(多賀谷真稔君) 私は、只今議題となりました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、発議者を代表し、その提案理由及び改正せんとする主要な点について説明申上げます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)  終戦後我が国の公務員は労働三法の適用を受けて、いわゆる現業公務員はすべて争議権を持つておつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ところが昭和二十三年七月二十二日、マツカーサー元帥の書簡を契機として作られた政令二百一号、国家公務員法、公共企業体等労働関係法により、公務員は憲法の保障する労働者の基本的権利の大半を喪失したのであります、(「その通り」と呼ぶ者あり)これらは占領治下という特殊の事情の下においてなされたものであり、講和発効後の第十三回国会においてなされた公共企業体等労働関係法の改正の際には、我々はその基本的権利の全面的復活を主張したのでありますけれども、その改正は遂に現業公務員の一部を適用範囲に入れたに過ぎなかつたのであります。国の行政に携わる権力行使に関係のない、いわゆる現業公務員に対し、公務員であるというだけの理由の下に労働基本権の制限又は剥奪をなすがごときは、全く当を得ない措置と言おざるを得ないのであります。(「その通り」「よく聞いておけ」と呼ぶ者あり、拍手)  本法第二条に掲げる公共企業体の職員及び現業公務員の活動は、公務員本来の行政活動とは区別さるべき産業経済活動であつて、その特色と言えば、公益性及び独占性にあると思うのであります。企業の公益性ということから言いますならば、その企業主体が公法人である公社であるか、或いは私法人である会社であるかということは、労働関係には何ら影響のない問題であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)企業そのものが国民の日常生活に密接な関係のある、いわゆる公益性を持つておる点においては、私企業も公益性を持つておるのであり、国鉄と私鉄との間に差があるべきはずはないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)更に、独占性というものは、専売のごとく、むしろ財政経済上の目的からなされたものであり、これが労働関係に制約を与えるということは全然理由がないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)要するに公共企業体は、労働関係の実態上、労働関係調整法に掲げる民間の公益事業と何ら差異を見付けることは困難であります。生存権を保障し、団結権、団体交渉権及び団体行動権の労働基本権を保障しておる日本国憲法の下において、占領治下の特殊の事情により制定された法律の改正こそは最も急務なものと言わざるを得ないのであります。(拍手)  更に、争議権の全面的禁止をなした代償として設定されました仲裁裁定制度の運用処理の状況を見ますると、全く立法の精神が蹂躪されておるものと言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)公労法施行後最初の昭和二十四年十二月二日の国鉄職員の給与裁定を初めとし、その後の国鉄専売の裁定中、予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする裁定につきましては、一つとして完全に履行されたものはないのであります。(拍手)更に遺憾と考えますることは、支出可能な額が、公社の算定した額と政府の認定した額が異なり、未だ裁判所に係争中であるというごとき、全く公労法の精神は無視されて来たのであります。このことは、本年三月二十三日、公共企業体等仲裁委員会委員長、中央調停委員会委員長を初め、全国の調停委員長が連署を以て政府に対し「公共企業体等労働関係法の遵守について」という要望書を出しておるのでありますが、これがそのことを雄弁に物語つておると思うのであります。  即ち、それによりますと、「今日までの推移と実情を見ますると、仲裁裁定が当事者以外の関係によつて必ずしも遵守されない場合にたびたび出会つたのであります。」(「それは政府だ」と呼ぶ者あり)「このことは、延いては調停案の権威を軽視する風を生み、調停仲裁制度に対する労使双方の信頼感を薄からしめ、公労法の下における労使問題の解決に重大な支障を生ずるのではないかと懸念しております。仲裁裁定が遵守され、調停等に悪影響の及ばないように、その運用に十全を期せられたい」という、誠に労働行政担当の任にある政府をして赤面せしめごとき要望書が出ておるのであります。(「労働大臣よく聞け」と呼ぶ者あり)故に我々は、遵守されない制度に頼るよりは、むしろ争議権を与えることにより、労使の公正なる競争によつて速かに紛糾を解決すべきであると考え、(拍手)改正案を提供した次第であります。  以下改正の要点について述べます。  改正の第一点は団結権の問題であります。現行法第四条が、「職員は、組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは、加入しないことができる。」として、オーブン・シヨツプ制を強制し、而も公共企業体等の職員でなければ、その公共企業体等の職員の組合員又はその役員になることができないとして、逆締めつけの規定を作つておるのであります。これは明らかに、公共企業体における労働組合運動を歓迎しないどころか、弱体化を来たすものであると考えられます点からして、一般民間労組同様、労働組合法を適用することにいたしたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)更に専従職員につきましては企業体側の許可制でありますが、これら職員は給与を企業体から受けていないのでありまして、組合の自主的決定に待つべきものでありますので、公共企業体側の一方的に干渉すべきものでないと考え、改正をいたしたのであります。  改正の第二点は団体交渉の問題であります。交渉単位制度は、我が国労働法上、本法だけに設定されたものであり、労働組合法は勿論、地方公営企業労働関係法にも規定されていないのであります。慣行のないところにアメリカのこの制度を直輸入し、而も本法だけに設定するということは、日本の労組の実態を無視したものであります。よつて、交渉単位制及び交渉委員制を廃止して、労働組合法の適用を受けることといたしたのであります。団体交渉の対象につきましても極度に制限せず、労働条件その他待遇に関する事項ぱ全部団体交渉の対象となるごとく改正いたしたのであります。  改正の第三点は、予算上不可能な資金の支出を内容とする協定又は裁定における政府の処置に関してであります。この場合における予算案を提出すべき義務については、我々は、法施行以来、当然義務ありと主張して来たのでありますけれども、政府はこれを一向に履行しようとせず、その点、法解釈上もしばしば論議がありましたので、これを明確化するために、いやしくも協定し又は裁定なされた以上、政府は当然拘束を受け、必要な予算措置を講じて国会に提出しなければならない義務を規定いたしたのであります。(拍手)  改正の第四点は争議行為についてであります。前述したごとき理由により、争議行為の禁止条項を廃止し、運輸、電気、水道、ガス等の労働関係調整法の公益事業と同様な扱いをいたしました。故に、勿論、予告義務はあり、緊急調整制度の適用を受けることになるわけであります。  改正の第五点は、仲裁制度及調停委員会、仲裁委員会の機関の問題であります。争議権を認めた結果といたしまして、強制仲裁制度を設けることは不適当と考え、これを廃止して、任意仲裁制度に改めたのであります。調停委員会、仲裁委員会等、別個の機関を廃止いたしまして、公共企業体等労働委員会を作り、労働組合法の労働委員会と同様な機構にいたしたのであります。  改正の第六点は、争議権を持つこれらの現業公務員を、一般公務員法の適用を受けさすことは不適当でありますので、特別職としてこれを取扱い、身分取扱については別に法律を制定することとし、制定までの間は、経過処置として、現行法第四十条の規定によることといたしたのであります。  改正の要点は以上でありますが、本法改正の諸点につきましては、第十三回国会における改進党の修正案、なかんずく、不可能な資金の支出を内容とする協定の場合における政府の予算提出義務及び交渉単位制の廃止等を十分参考にし、起案いたしたものでありますので、賛意を頂けるものと確信し、提案いたした次第であります。(拍手)何ぞと議員各位におかれては、御審議の上、速やかに可決されんことを望みます。(拍手)     ―――――――――――――
  20. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 衆議院議員井堀繁雄君。    〔衆議院議員井堀繁雄君登壇、拍手〕
  21. 井堀繁雄

    ○衆議院議員(井堀繁雄君) 只今議題になりました地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申上げたいと思います。  この法案は、只今同僚の多賀谷議員から御説明がありました公共企業体等労働関係法の一部改正と、その趣旨におきましてほぼ同じういたしますので、重複を避けまして、主たる点について若干説明を加えたいと思うのであります。  御承知の通り、地方公営企業労働関係法は前十三国会におきまして成立いたしましたものでありますが、折角成立いたしました本法律は、その目的である労働関係の安定と地方住民の公共福祉擁護という重大使命を果すためには幾多の欠陥がございます。この不足を補いまして、地方公営企業をして真の民主的な使命を達成することができまするように改めたいというのが、本案を提出いたしました根本の理由であります。  労働関係法に関する原則といたしましては、公営事業であろうと、又民間事業であろうと、あらゆる産業企業に従事いたしまする職員、労働者が、その産業、企業を通じまして、国力の充実と国民の生活安定向上に貢献し得るようにすることが、労働関係法の大原則でなければならんと思うのであります。言い換えますと、産業の平和を確立し、労働の生産性を高め、能率を増進するというところに、法律の精神が置かれなければならないのであります。然るところ、現行法によりますると、公共の福祉に名を借りまして、労働者の当然の権利を剥奪いたしたり、極度にその権利を制限をいたしておるのであります。このために、産業、企業の推進力となるべき労働者を差別待遇をいたしましたり、又これを萎縮せしめる結果となつておるのであります。現在の公共企業、公営企業の労働関係は、御案内のように、団体交渉権があり、調停、仲裁及び苦情処理の途は開けておりますけれども、争議権を奪つておりまするから、常に労働者は企業管理者の一方的な屈従を強いられておるのであります。争議権のない団体交渉というものは、全く形式だけのものでありまして、産業平和や労働組合の健全な発達を阻害いたしましても、これを助けるものとは断じてならないのであります。(拍手)真の産業の平和というものは、経営と労働の力の均衡の上に築かれるものでなければならんのであります。獅子と兎が平和協定をよしんば結んだといたしましても、獅子の一方的な意欲の下には全く蹂躪されてしまうことと同じ意味におきまして、労働争議権を与えない労使間の交渉というものは、獅子と兎の協定を求めるものと全く同様であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)何かこの法案の精神の中には、思想の中には、争議権を与えると直ちにその争議権を濫用して産業の平和が直ちに破壊するかのごとき錯覚に陥つておる思想があると思うのであります。(拍手)たとえて申上げまするならば、警官にピストルを持たしておるのでありますが、これをむやみと発砲して人命を傷つけるというようなことは何人も考えぬはずであります。これによつてみずからを守り、犯罪を防止し、治安を維持しようという目的であることは疑いを容れぬのであります。争議権も又これと同じでありまして、企業管理者が不当な圧迫を加えようとするのを抑制し、みずからの生活を擁護し、企業の公共性を推進して、進んでは国民の福祉に寄与するために、どうしても警官がピストルを持つと同様の意味において労働者は、罷業権、争議権を持たなければ、その実質を発揮することが不可能であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)  次に、企業の公共性の推進と労働組織の自主性についてでありますが、現行法はこれを全然没却いたしております。公共性の擁護に名は求めておりますけれども、地方公営企業の労働組合の現状につきまして多くを述べる必要はないと思いまするが、今日強く叫ばれておりまする日本産業の復興の最も重要な事柄の一つは、企業を近代化すことでなけらねばならんのであります。企業を近代化するためには、どうしても、その主体となるべき労働者の生産意欲、創意工夫を如何にして発揮せしめるかということなくして、このことを求めることは、絶対に不可能であると確信するのであります。その労働者の創意工夫、生産意欲を高揚しようとすれば、今日のあらゆる社会機構なり経済の組織の上から判断いたしまするならば、個々の労働者に求めることは不可能であります。どうしても労働者の組織に頼らなければならないのであります。そこで労働組合の健全なる成長が当然大きな問題となることは申すまでもありません。ところが、本法の精神を貫いておりまするもののうちに、労働組合というものは、何か賃金闘争や労働者の一方的な利益のみを、闘争の形によつてその機能を発揮するもののごとく誤認いたしておりまするが、これは甚だしい誤謬であります。労働組合本来の機能というものは、一方におきましては、自衛のための闘争の機能を発揮しておりまするが、他方におきましては、社会福祉のために奉仕する公共性の上に労働組合というものは成立し、労働組合は又、健全な、建設的な、又世論に対しまして絶えず正しい批判を求め得る状態というものを作りつつ、その力が増大され、その実力が認められて来るということは、過去の労働組合の実情を理解することのできる者でありまするならば、否認できない事柄であります。(拍手)このように、労働組合の公共性というものを深く理解することができまするならば、この法律は私は誕生しなかつたものと思うのであります。このように、この法律の誕生それ自身に大きな矛盾があり、不合理があり、認識不足の上に立つものでありまするから、当然この法律は今日廃止さるべき運命にあると私どもは考えておるのであります。(拍手)  殊に、先ほど多賀谷君もお触れになりましたが、この法律の歴史を御覧頂けばすぐ理解できることであります。即ち、占領下にありまして、日本の労働行政に対する占領軍の一つの方針として、いろいろな施策が与えられております。この法律立案に当りまして、政府当局者が説明の主たる理由にいたしておりまするものは、公務員に対する立法化、更にこれを引張つて参りまして、公共企業体、更に地方の公営事業に従事する労働者にその労働規制を行おうとする趣旨は一貫しておるのでありますが、そのよつて基きますものは、マツカーサー書簡であります。マツカーサー書簡はかなり多岐に亘るものでありまするが、この法律に関係する部分だけを取上げて見ましても、マツカーサーの書簡に現われておりまする趣旨は、公共企業体の下にある労働者或いは職員に対しまする特殊の任務を要求しておりますることは我々も理解できるのであります。併し、その特殊の任務を一方に要求いたします代りに、その雇用者であり、その使用者の立場に立つ政府には、その職員、労働者に対しまして、労働条件の保障、福祉の増進のために、又その制限をいたしまするあらゆる条件に遥かに優る強い責任を一方に要請しておりますることを、我々は是非理解しなければならんのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)このマツカーサー書簡の一部のみを運用いたしまして、それと当然並行して義務を負わなければならん事柄につきましては、吉田政府は誠に冷淡であるというよりは、これを隠蔽いたしておるところに、この法律の欠陥が現われておるのであります。(拍手)  私どもは以上のような理由からいたしまして、こういう法律は速かに改正されなければならないと思うのでありまするが、今までは占領下にありまして、いろいろな問題が整理の過程にあつたと思いまするが、独立後相当の期間を経ました今日、この法律が、日本の産業構造と見合う極めて正常な労使関係を求めるという法律に改められなければならんのであります。そこで我々の考えといたしましては、この法律の改正につきましては、具体的には、先ほども述べられました公共企業関係労働法規と全く趣旨を同じういたしまするから、多くを述べません。  ただ、この機会に私どもの以上述べました見解から、どうしても労働法というものを正常なものに置き換えなければならん。労使関係を調整する法律といたしましては、今日余りにも多くの法律が存在いたしておるのであります。公務員のために設けられました法律は、すでに四つにもなつておる。更に又いろいろな法規が企画され、今日も同時提案の形で、炭鉱、電産に対する特別の法規を用意されるといつたようになつておりますが少くとも労働法規というものは、最近のいろいろな社会情勢から判断し、世界の傾向から見ましても、統一の方向をとつておるのであります。労働法が統一されるということは、申すまでもなくその機能が正しく発揮されることになり、殊に労働規制の対象になる多数の労働者の権利を正しく守り、又その義務を強く要求しようといたしまするならば、民主主義の原則でありまする、万人の人格が尊重され、万人の納得の上にこれが行われなければならんのでありまするから、多くの労働者が直ちに理解しやすいように、その権利と義務とが直ちに呑み込めるような法律にするためには、統一しなければならんことは申すまでもありません。これをばらばらの状態に置くということは、一方におきましては、これを行使する使用者側、支配者側の立場に立つ者が巧妙にこれを悪用するということは当然のことであります。(「簡単に願います」と呼ぶ者あり)こういう関係を我々が考慮いたしまする場合に、(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)この法律は是非改めなければならない大きな理由を持つものと思うのであります。  いろいろ述べましたように、私どもは、是非この機会に、地方の公共企業は民間の企業の模範となるべきものでありまして、この労使関係が現状のように、むしろ民間の企業における労使関係よりは変則的なものになつておるということは、主客を転倒しておるものと思うのであります。私どもは、この地方公共企業が民主的に発展し、公共の福祉増進が推し進められますためには、是非労働関係を模範的なものに調整いたしたい。そのためにここに法案の改正を提案いたした次第であります。  殊に、一点触れておきたいと思いますことは、専従職員の問題についてでありまするが、専従職員その他の規定を民間労働組合の場合と同様にいたしておる点であります。これは先ほどもちよつと触れましたように、労働組合の一貫した精神でありまする、民間であるとか或いは公企業体に関係を持つからということで、労働者がばらばらにされるということは最もよくないことでありまして、これを統一して、日本の産業、企業の民主的発展に労働者が組織的に総合的に協力できるようにいたしたいというので、この点を強調いたしておる次第であります。  以上多賀谷議員から説明になりましたものと全く具体的な点につきましては同様でございまするので、以上、法律の改正をいたしまする動機、運営上にいろいろな欠点のありました実例等を説明をいたした次第であります。どうぞこの事情を十分御認識の皆さんの御協力によりまして、慎重御審議、御決定が願えまするようお願いをいたし、趣旨弁明を終りたいと思います。(拍手)
  22. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 只今の三案の趣旨説明に対し質疑の通知がございますが、これにて午後一時三十分まで休憇いたします。    午後零時十三分休憇      ―――――・―――――    午後三時十四分開議
  23. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 休憇前に引続き、これより会議を開きます。  先刻の三案の趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。井上清一君。    〔井上清一君登壇、拍手〕
  24. 井上清一

    ○井上清一君 私は自由党を代表いたしまして、只今山花秀雄君ほか六名より提案されました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、提案者に対し若干の質疑をいたしたいと存じます。  独立後の日本が真の自主性を確立するためには、何よりも先ず経済自立を達成しなければならないことは論を待たないところであります。特に、現下の激烈な国際経済の競争裡にありまして自立経済を達成いたしまするためには、企業の合理化、能率化が必要であり、これを実現いたしまするためには、企業者も、経営者も、労働者も、眼を大所高所に置き、全力を挙げて努力する必要があることは、又多言を要しないところであります。殊に、国乃至地方公共団体が公共の福祉を増進し擁護するために経営いたしまする企業におきましては、一部の者の利益のみを固執し、企業の能率的な運営を忘却し、延いては国民全体の利益に障害を与えるがごときことは到底許されざるところであります。かかる観点からいたしますると、只今提案になりました両法案は、極めて遺憾な点が多々あると存ぜられるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)公共企業体、国営企業及び地方公営企業の、国民経済、公共の福祉における役割をどのように考え、将来どのようなものにしようとして、この両法案を提案されたのでございますか。先ずこの点について篤と承わりたいと存ずるのであります。  次に、具体的に両法案の内容につきまして、先ず公共企業体等労働関係法の一部改正法律案からお尋ねいたします。  その第一点は、法律の目的の変更についてであります。公共企業体等労働関係法は、公共企業体及び国営企業の国民経済及び公共の福祉に対する重要性、特殊性に鑑み、特別に立法されたものであり、公共の福祉の増進、擁護を窮極の目的とし、企業の正常なる運営を最大限に確保することによつて、この目的を達成せんとするところに、特別立法のゆえんがあるのであります。然るに改正案によりますと、この目的が改められまして、労働紛争の調整によつて、公共の福祉の増進、擁護の目的を達成せんとするものということに相成つておるのであります。これは労働関係調整法と殆んど異なるところがなく、何が故に公労法を特別立法にするか理解に苦しむのでありすす。この点につきまして提案者の御目解を承わりたい。又公共企業体等の鷹殊性からいたしまして、職員の労働紛争の迅速且つ公正な調整のみによつて、直ちに公共の福祉が増進され擁護されるものではなく、公共企業体等の正常な運営を最大限に確保することにつて、この目的が達成されると思われるのでございますが、この点、提案者は如何に考えておられるのでございますか。  お尋ねの第二点は、公共企業体の職員に争議権の復活を認めておる点であります。公共企業体等の職員が争議行為を行うことは、少数の私人の労働条件の改善のために、全国民の信託による業務を著しく阻害し、延いては国民全体の利益に直接障害を与えることになり、これでは本法案の目的でありまするところの公共の福祉の増進擁護は達成できないと考えるのでございますが、どのように考えられまして争議権の復活を認めたのでございますか。これを突破口として、この次には公務員一般に争議権を認めようとする意図を蔵しておるものでありますかどうか。(「憲法を読め」と呼ぶ者あり)明確にお答え願いたいと思うのであります。  又沿革的にこれを見ますならば、昭和二十二年のいわゆる二・一スト、翌二十三年のいわゆる三月闘争を中心とする一連の官公庁労働組合の闘争によつて、列車運行計画の混乱、列車運休の続出、その結果、駅頭に滞貨は山積し、全逓の大阪地区の二十四時間ストによつてさえ、約百三十万通の郵便物の滞貨を生ずるなどのごとき事態を招来し、国家並びに国民経済を危急存亡の危機に陥れ、革命前夜のごとき様相を呈しました当時と同じ状態に、労働法体系を押し戻そうとするもののようであります。昨年の労働法の改正によりまして緊急調整制度が設けられたとはいえ、これを以てしても二・一ゼネストのごときものに対処することは到底不可能であると思いますが、如何なる意図から争議権の復活を認めんとするものであるから。(「憲法を読め」と呼ぶ者あり)これらについて詳細に承わりたいと思います。  次に強制仲裁制度の廃止についてでありますが、提案者の意図は、争議権の復活をしたから強制仲裁制度を廃止するということであろうと思いますが、只今詳細に申述べた通り、争議権の復活が絶対に許されざものであるとするならば、強制仲裁制度は労働者の利益擁護の観点からも現行法通り存置すべきものと思いますが、如何でありますか。  第四点は、予算上履行不可能な協定乃至仲裁裁定がなされたとき、政府がこれを実施するために必要な予算を国会に提出しなけばならないとする点であります。公共企業体が当事者でありますところの協定乃至仲裁裁定は、国民の代表の意思に従つてなされたものとは言いがたいのでありますから、予算上履行不可能なものである限り、政府を拘束しないというのが、民主主義の原理からいたしまして当然のことであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)かかる故に、現行法は先ずかかる協定又は仲裁裁定を履行すべきか否かについて、国民の意思を代表する国会に諮り、国会の決定を待つて、それに従つて政府が予算を編成して国会に提出するということに相成つているのであります。改正案のごとく、公共企業体等が当事者である協定乃至仲裁裁定に、当事者でない政府が拘束され、それを履行するために必要な予算を国会に提出しなければならないとすることは、民主主義の原理に反するのみならず、三権分立、国会を国権の最高機関とする日本国憲法の精神にも抵触すると思いますが、提案者はその点如何に考えておられますか。(拍手)又、公労法施行以来、九回、仲裁裁定が出ており、その殆んどが完全に履行されている状態にありまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)施行当初は、種々この点について問題もありましたが、その後、回を重ね、年を経るごとに、だんだんと解釈も固まり、施行以来四年の歳月を経て、よき慣行が確立されている現在、かかる改正を行う必要がないのみならず、却つて平地に波瀾を起すものであると思われますが、かかる点について提案者は十分配慮したのであるかどうか、承わりたいと思います。又この点について、労働大臣からも、仲裁裁定の履行状況及びこれについての御意見を承わりたいと存じます。  第五点は、即ちユニオン・シヨツプ制、クローズド・シヨップ制の復活についてであります。その職員たるの身分の得喪が私的団体である労働組合によつて左右されるところのかかるシヨツプ制は、国家公務員法乃至は各公社法に規定いたしまする身分保障の規定に抵触しないか。特に国民全体に奉仕する者の立場から言つて、国民の一部の者が結成する私的団体たる労働組合によつて重要な人事管理が左右されますことは到底許されないと思いますが、この点に関する提案者の御見解を承わりたいと存じます。  第六点は、非組合員の範囲の改正及びその範囲を政令で定めることの廃止についてでありますが、非組合員の範囲を労働組合法の規定によることとし、組合が自由にこれをきめ得るとした場合、果して公共性の極めて強いこれら企業の正常な運営を確保することができるかどうか。この点について提案者の率直な御意見を承わりたいと思います。  第七点は、職員以外の者が組合に加入し、役員となることができるとする点についてでありますが、一般私企業と異なり、公共企業体等の性格上、その職員の組合に、企業の公共性の認識に乏しい職員以外の者が加入いたしました場合、その自主性がそこなわれ、平和的な労使関係の確立が妨げられ、企業の公共性を保持することが困難となると思いますが、この点如何に考えておられるか、承わりたいのであります。  第八点は、組合専従役職員を認める義務を当局側に課することについてでございますが、このことは国家公務員法及び各公社法の職員の職務専念義務と関連する問題でありまして、現行法は職員以外の者が組合に加入できないので、組合の専従役員に職員が就任することを、先に申上げました職務専念義務の例外として認めているのであります。改正法案のごとく、職員以外の者が組合に加入できる場合、更に法律が組合専従を承認する義務を課することは、誠に甚だしく筋の通らない話であります。争議権は全面的に認める、政府には予算上の義務を課する、更にその上にこのような規定までも設けようということは、労働者に対し余りにも盲目的となり、余りにも片寄つた立場に立つて立案されたことを物語るものであり、図らずも本法案の性格がここに暴露されたものと断ぜざるを得ないと思うのであります。(拍手)労働組合法さえ組合専従者を承認する義務を使用者に課していないのに、それ以上のことを規定したのは如何なる理由に基くものであるか、篤と承わりたい。更に、組合の事務を行う事務員は、組合自身の責任において雇用すべきことは自明のことであり、民間企業の労働者の組合もおおむねそのようにしているにもかかわらず、公企業において殊更職員が事務員になることを認める義務を課しているのに至つては、全く理解に苦しむのでありますが、提案者は如何なる意図から、かかる規定を設けたのか、承わりたい。  以上のほか、なお細部につきましては種々疑問の点もありますが、それにつきましては又別の機会に譲ることとし、次に、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案について申し上げたいと存じます。  法の目的の改正、争議権の復活、強制仲裁制度の廃止、予算上不可能な協定又は仲裁裁定を履行するための予算提出義務、ユニオン・シヨップ制、クロースド・シヨツプ制の復活、職員以外の者が組合に加入できるとすること、条例で非組合員の範囲を定めることの廃止、組合事務専従者の承認義務等の諸点に対しまして、公労法改正法案について申述べましたごとく納得できないのでありまして、地公労法についてのこれらの点についてもお答えを願いたいのであります。  以上を以ちまして私の両法案に対する質問を終りますが、どうか提案者の立案の動機を明らかにし、法案の意図するものを鮮明にし、私の質問に対する率直且つ明快なるお答えをお題いいたします。  なお若干時間もあるようでございますので、再質問を留保いたしたいと存じます。(拍手)    〔衆議院議員多賀谷真稔君登壇、拍手〕
  25. 多賀谷真稔

    ○衆慮院議員(多賀谷真稔君) 質問にお答えいたします。  質問の第一点は、特に国又は地方公共団体が公共の福祉のために経営する企業において争議権を与えることによつて、一部の者の利益のみを追求し、企業の能率的な運営を忘却し、国民全体の利益をそこなうことは許しがたい、こういう観点からの御質問であつたと思うのでございます。私たちは、争議権を与えることは、企業の能率的運営を忘却させるというような考えとは全然相容れない。我々はかような意見には賛成できないのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)現在、職員が争議権を持つておりません国鉄と、職員が争議権を有しております私鉄について見ましても、いずれがサービスがよく、能率的であるとは言い得ないのでございます。むしろ争議権を認めることによつて、労使が誠意を持つて紛争を速やかに解決し、逆に能率的になるとさえ我々は考えておるのであります。(拍手)争議権を奪われましても、低い給与で、裁定すら実施し得ないような状態におきましては、必ず生存権主張のための止むを得ない抵抗が現われて来ることは否定できない事実でございます。すでに、夏季手当、年末手当を請求するためにも、その実現を図るためにも、ハンストや座り込み、定時退庁、賜暇休暇、遵法闘争、果ては屋根男まで出現するというような無理な闘争の方法に発展させるものであり、その間における一般職員の能率の低下は否定できないと思うのであります。又一方、組合の強化が逆に官庁業務や企業経営の民主化に役立つておるということも私は否定できないと思うのであります。現在の官庁の汚職事件の氾濫は、組合活動の停滞とも関連があると考えられるのであります。(拍手)団体行動権を持つておりましたあの時代には、或る程度、経営や業務について発言権を持つておりましたし、組合の不正摘発が盛んに行われました当時においては、組合がうるさいからという言葉が各方面の会話に現われていたことを想起するのであります。我々は国民全体の奉仕の面から考えても、決して役に立たないとは考えておらないのであります。  次に、質問の第二点の中で、公労法は全く労調法と異なるところはない、特別立法する必要はないではないかと。こういう御質問であつたと思うのでございます。基本的には我々は、占領行政の遺物でありますところの公労法を廃止して、労調法、労組法を適用させるべきであると考えております。ワイマール憲法の百五十七条にも「国は統一労働法を定む」と謳つて以来、世界の労働法は統一労働法の方向に進んでおり、その動向にも副い得るものと確信しております。日本のごとく、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、職業安定法に分れ、更に国家公務員法、公共企業体等労働関係法地方公務員法、地方公営企業労働関係法等の単行法を制定し、更にこのたびスト規制法の単独法を出すということは、全く法体系を乱すものであり、労働戦線の分裂を企図していると思うのであります。併しながら、現在の院内の情勢及びその他の事情を考慮いたしましてこのたびは一部改正といたした次第でございますので、御了察願いたいと思います。  次に、第三点の質問の中で、公務員一般にも争議権の復活を及ぼす意図はないか、こういう御質問でございますが、少くとも私たちは、権力行使に関係のない現業公務員については、全面的に復活すべきであると考えております。(拍手)  その次には、公共企業体の職員にスト権を認めれば二・一ストの時代のごとくなりはしないか、こういう御心配の質問でございますが、組合が自主的健全な状態になつている今日、法体系を変えたならば、直ちに二・一ストの状態を招来し、国家が危殆に瀕するという考え方は、組合運動の実態を理解されていない議論であると思うのでございます。(拍手)現在、組合は輿論の上に立つて自主的抑制を行いながら行動しているのでありまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)すでに官公労の数倍の民間労組は、ストライキ権を持つておりますが、持つているからといつて二・一ストのような状態を呈してはおりません。  更に、次の質問でございますが、争議権の復活が許されないならば強制仲裁制度のほうがいいじやないか、こういう御意見であろうと思います。これはまさにその通りでございまして、争議権の復活を許すという前提に立つて任意仲裁制度にいたしたわけでございます。併しこれも又仲裁裁定が完全に履行されるということが前提でございます。  質問の第四点は、裁定についての政府の措置の問題でございますが、現行法でもよいではないか、公労法実施以来完全に履行されて来ておるではないか、ここに法体系を変えることは平地に波瀾を起すようなものである、こういう御質問であつたと思うのでございます。公労法実施以来九回に亘る裁定が殆んど完全に履行されていると言つておられますけれども、仲裁九件のうち履行されているものは予算上可能な五件だけでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)予算上資金上不可能な資金の支出を内容とするものは四件ございますが、四件とも完全に履行されてはおらないのでございます。仲裁制度を政府が履行しないということは、これは先ほども申しましたがごとく、最も熟知しておりますところの仲裁委員長、調停委員長から、前述いたしましたような要望書が出ておる点から考えましても、これは明らかでございます。(拍手)政府は、いやしくも、自分で協定し又は仲裁を一任した以上、当然拘束を受け、予算を編成して、その予算を提出し、国会に予算上の問題として審議を願うべきでありまして、昭和二十四年公労法が制定されましたとき、立法者の一人でありました時の労政局長賀来才二郎氏は、その著書において、第十二条の解釈として、国会に協定及びそれに伴う予算案を提出する責任は、政府に課せられた義務であると書いておるのであります。然るに政府はこれを履行しようとしなかつたのであります。この点は、必要予算を提出し、国会の審議を受けることが、私は最も協定仲裁制度に適合するものであり、国会の審議権を侵すものでは絶対にないと思うのでございます。  質問の第五点は、ユニオン・シヨツプ制は、国家公務員法、公社法に抵触しはしないかという御質問であつたと思うのでございますが、法律がオープン・シヨツプ制を強制することはいけない、これは自由にすべきである。そこで組合と公社との間においてユニオン・シヨツプを協約に締結されるならば認めるべきであるという考え方でございます。只今御指摘もありましたごとく、これは日本国有鉄道法第二十九条、日本専売公社法第二十二条、日本電信電話公社法第三十一条、国家公務員法第七十八条等に、その意に反して免職されることがないとして、列挙規定によつて職員の身分を保障している規定がございます。この規定との関連でございますが、提案者といたしましては、附則にも書いておきましたが、国家公務員は特別職といたしまして、別に特別の法律を作ることを予定しておるのでございます。その際にこれらの公社法の改正もいたしたい所存でございます。経過規定といたしましては、その間、前法、後法の関連において解釈をして頂きたい、かように考えております。  質問の第六点は、非組合員の範囲を組合の自主的決定に委ねて企業の正常な活動を確保し得るかどうか、こういう御質問であつたと思うのでございますが、非組合員の範囲の自主的決定には、当然、労組法の第二条但書第一号の制限があるのでございまして、御心配なようなことは絶対に起らないのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)民間でも自主的決定だから正常な運営を阻害しておるかといいますと、必ずしもそういう会社は現在見当りません。労組法の適用を受ける結果といたしまして、公共企業体等労働委員会の資格審査を受けることになるわけでございます。  質問の第七点は、職員以外の者が加入し又は役員になり得るとすれば、企業の公共性を十分認識しない非職員の介入により、平和的な労使関係がそこなわれるのではないかといろ御質問であつたと思うのでございますが、これは組合の自律性というものを全然無視された御意見であると思うのであります。組合に不要な風波を呼ぶような者をわざわざ入れるような組合は現在ございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)併し、組合運動上是非必要な場合、例えば法律に明るい者とか、経理に明るい者とかを入れる、こういう組合強化の場合があるのでございまして、又公務員には、公労法の制定によりまして、公社が別々である場合には、組合も別々に作らなければならんということになりまして、これは非常に不当でありまして、組合の分裂を立たしたわけでございます。そこで公労法適用域外の職員も含めて一本で行きたいと、こういう組合がありました場合、これを認めないということは不穏当であると考えるのであります。更に、民間労組の場合におきましては、この逆締め付けの規定を労働協約等で会社側が強硬に頑張りますと、これは不当介入といたしまして不当労働行為が成立するということを、労働省は堂々と指示しておるのでございます。(拍手)即ち労政局が出しました「労働協約締結の問題点」という指針が流れておりますけれども、明瞭にこれは書いてあります。民間にはかように指示しておきながら、みずからは不当労働行為を法律によつて行おうとするのが、これは現在の政府のやり方であると思うのであります。(拍手)  更にその次の質問でございますが、組合専従の義務を認めることは労働者偏重ではないか、こういう御質問であつたと思うのでございます。日本国有鉄道法第三十二条二項、日本電信電話公社法第三十四条二項、又は国家公務員法第百一条第一項に「職務専念」の規定があるのでございまして、労組法と異なり、除外の規定が必要になつたわけでございます。併し人数その他につきましては協議事項でございますので、組合も給与を自分で負担しなければなりません関係上、不要な専従者を置くわけはないのでございまして、財政上当然一定の限界があるわけでございます。労組法に専従者に対する規定がないからといつて、これは労組法以上のものであるというわけではございません。  最後に、私は質問者の根本的に流れておる態度につきまして、我々の態度を明らかにしておきたいと思うのでございます。それは公共の福祉と基本的人権との関連でございます。憲法に保障されております基本的人権は、単に公共の便宜によつて制限されるものではないのでございます。公共の便宜ということを理由に基本的人権を制限するということになりますと、ストライキ権というものは全面的に制限しなければなりません。若しその権利を制限しないならば、他の人権、他の一般の人の生存権というものに直接侵害性が現われる場合、調節的機能として制約的な制限的立法を行うことができると認められているに過ぎないのでございます。例えば労調法三十六条の人命の安全保持に関係する場合、即ち一方の権利を生かすために他が死んでしまうというような場合には制限し得るのでございます。併しそれには適当な代償をやらなければならないことになつているわけでございます。そこで、公共の福祉を濫用して、国民の不断の努力によつてこれを保持しなければならない基本的人権を制約することこそ、我々は不当の処置であると考えるのでございます。  以上でお答えを終ります。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
  26. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 仲裁裁定の履行の実情につきまして、井上さんにお答え申上げます。  仲裁裁定につきましては、政府といたしましては、従来とも、公共企業体等に仲裁制度が設けられました趣旨に鑑みまして、でき得る限りこれを尊重いたして参りましたのであります。現在までに仲裁裁定は九回なされておりまするが、そのうち完全に実施されたものが五件でありまして、若干遅れて裁定通り実施されましたものが二件、一部について実施されましたものが二件という状況になつております。従いまして、一部に仲裁裁定を政府が全然尊重していないという意見がありまするが、これは全く当らないものでありまするが、又将来といたしましても、でき得る限り仲裁裁定を尊重して行くという方針に変りはございません。なお、今後といたしましても、更に連絡等について遺憾なきを期したいと考えております。(拍手)    〔衆議院議員井堀繁雄君登壇、拍手〕
  27. 井堀繁雄

    ○衆議院議員(井堀繁雄君) 井上さんのお尋ねにお答えいたしたいと思います。  只今同僚からお答えいたしました問題を省きましてお答えをいたしたいと思います。地方公企労法につきましてのお尋ねの中で、先ず誤解の点があるようでございまするから、それを先にお答えしておきたいと思います。御案内のように、地方公営企業労働関係法規につきましては仲裁裁定はございません。これは労働委員会にその調停仲裁が移されているのでありまするから、御質問に何かの間違いがあつたと思いますから、御訂正をお願いいたしたいと思います。(拍手)  それから、お尋ねのすべてに亘つて、お答えは簡単にできると思うのでありますが、それは冒頭に御質問され、御指摘されておりまするように、日本の自立経済を達成するため、例えば企業の近代化、能率化を行うためには、労使関係が公正に行われなければならない。更に公益福祉を増進して行くためには、労使がその立場に立つて最善を尽さなければならんという御主張は、全く同感であります。そこで、その前提をお立てになつているにかかわらず、その後段の御質問は甚だ食い違つているような感じをいたすのであります。(拍手)それは、お尋ねの向きによりますると、このような目的を達成するために、労働者のスト権を禁止することがその途であるかのごとき御質問でありまするが、それは、労働法の趣旨を十分御理解頂きまするならば訂正されるものであると思うのであります。(拍手)ついででありまするから、私の趣旨弁明をあとでお読み頂けばおわかりになると思うのでありまするが、是非、雇主側の立場に立つ人も、或いは労働者の立場に立つ者も、ここはじつくり考えなければならん重大な問題であると思うのであります。たびたび繰返し強調されておりまするように、どうすれば日本の産業を近代化し、この荒廃しておりまする日本の産業経済を立て直すかということについては、仰せの通りに、我々はその立場を越えて、積極的なあらゆる努力を払あなければならんことは当然であります。そのやり方が問題であるのでありまして、私どもはこう考えているのであります。日本の経済の復興に一番大切な第一線を承わつているのは、額に汗して働いている労働者であると思うのであります。(拍手)而もこれはすでに戦争当時に我々は失敗を繰返しているのであります。労働者の創意工夫、労働者の自発的な意思を持たないで、日本の工業が復興できるというならば、それはあたかも木によつて魚を求めるような議論であると私は思うのであります。(拍手)産報が、産業報国会が産業一家のスローガンの下に労働者を工場に動員することはできました。機械の前に労働者を繋ぐことはできたのであります。これは古い言葉にもありまするように、馬に水を飲ませようとして、遮二無二、川に引つ張つて行きましたところで、馬の意思に従わなければどうにもならんのであります。ましてや日本の現状から考えまして、高い技術、高い能率を労働者に要求するという場合に、労働者の権利をむやみやたらに押し付け、労働者を信用することなく、労働者の一、二の失敗を取上げて、徹底的に権力で縛り上げるというやり方は、産報当時の遮二無二労働者を機械の前に縛り付けるのと同じやり方であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)私どもはかかる愚をあえてしてはならないという趣旨において、この法律の欠点を指摘しているのであります。こういう意味において、御質問のかたと私は、結論は一致するのではないかと思うのです。そういう意味で、私は、労使の関係というものは、飽くまで対等の立場を与えて、即ち人格平等の原則の上に立つて、労働者を信用し、労働組合の組織を我々は信頼して、その組織と雇主との間に対等な取引ができるという労働法の大精神をこの場合全うしなければならんと主張するものであります。(拍手)かような意味からいたしますると、ここに幾多の質問が現われておりまするけれども、いずれも簡単に私は氷解して頂けると思うのであります。どうぞかような意味におきまして……。今お疑いになつておるようでありますが、何か我々がスト権をこの際この人々に復活することによつて、そのストライキ権を濫用して殊更に平地に波瀾を起すというようなお説は、甚だしく日本の労働者を疑い、日本の労働者を敵に廻しての考え方であると言わなければならんのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)勿論、労働運動は民主主差と同じく経験主義であります。経験を積んで行かなければならんことでありまするから、失敗がたまたまあつたからと言つて……。例えば二・一ストを挙げております。私どもは二・一ストに対しては強い反省をいたしました。労働運動にとりましてはこの上ない犠牲を払つておる。即ち労働組合がそのために分裂をいたしておるのであります。非常な出血であります。このような出血をあえてしても、労働運動が世間から誤解のないように、我々の労働運動が正しく認識されるようにという努力が払われておるという事実を無視して、今日このような法律で労働者を頭から判断し、労働者を敵の側に追いやつて酷使するという考え方が、若しないならば、この法律の改正に対しまして、かかる質問なり、反対はないと確信をいたしておる次第であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  どうぞそういう趣旨を十分御了承下さいまして、なお個々の問題につきましては委員会等におきまして十分論議を交わしたいと考えておりますので、その節、御教導を賜わりたいと思つております。(「よくわかつた」と呼者あり、拍手)
  28. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 井上君の再質問を許します。    〔井上清一君登壇、拍手〕
  29. 井上清一

    ○井上清一君 各点につききまして御答弁を頂いたのでありますが、なお難しくは委員会におけまして十分お伺いをいたしたいと思います。公労法及び地公労法の争議権の復活について、更にここに重ねて提案者に御質問をいたしたいと思うのであります。  先ほど提案者は、同じ市内電車であつても、例えば会社などの民間企業と市町村のごとき地方公共団体の行うものと、争議権について経営の主体によつて区別する理由がないというように御説明があつたように存じます。これの理由から争議権を復活するのだというお答えでありました。労働問題につきまして、世界の最も先進国でありますイギリスにおいてさえ、一八七五年の共謀犯及び財産保護法第四条によつて、市営の電気事業、ガス事業、水道事業につきましては、一切の争議行為は禁止されております。又アメリカにおきましても、タフト・ハートレー法第三百五条によつて、政府が完全な所有権を有する法人を含めまして公務員のストライキは禁止されておるのであります。或いは提案者はこれについて、我が国と米英とは労働事情が違うということをおつしやるかも知れませんが、然らばどのように違うか、こういう点について一つ御答弁を願いたい。  アメリカにおきましては、争議権の認められておる産業においてさえも、むやみやたらに争議行為を行うことなく、争働紛争の十中八、九までは、争議行為を行わないで解決を見ております。ところが我が国では、十分満足に交渉もしないで直ぐ争議行為を行い、昨年の電産、炭労の争議のごとく長日月に亘つて我が国経済産業に莫大なる損害を与え、国民の多大なる迷惑をも顧みず争議行為を継続するという実情であります。かかる状態において争議権を認めますることは、公共の福祉を擁護するという立場から私は不当なる改正であると言わざるを得ないと思うのであります。その点、提案者に更に重ねて伺いたいと思います。    〔衆議院議員山花秀雄君登壇、拍手〕
  30. 山花秀雄

    ○衆議院議員(山花秀雄君) 井上さんの最後の質問に対して提案者からお答えをいたします。  只今の再質問は、イギリスの例を引かれ、アメリカの例を引かれ、例えばアメリカにおきましては、タフト・ハートレー法というようなもので労働者の争議権を規制しておるではないかと、こういうような御論議でありました。アメリカにおきまして、タフト・ハートレー法を、経済の基盤になつておる労働階級がこれを是認しておるかどうかという点は、御質問者が賢明でよく御存じのはずであろうと思うのでございます。もう一つは、アメリカにおいては民主主義が非常に発達をして、むやみやたらに争議なんかを起さずに、争議の一歩手前で十分解決をしておるではないかと、こういう御趣旨でございます。考えようは二つございます。民主主義がうんと発達して、只今質問者が言われるような状況に、若し日本の資本家諸君が一片だに民主主義を理解して頂けるならば、そういうようなことになるでございましよう。(拍手)又民主主義の下におきまして高度に発達いたしましたアメリカでも、去年も、各位の御承知の通り、アメリカの軍需生産計画を、即ち一九五二年度の完成を、これを覆えすような、あの大きな鉄鋼産業の大ストライキがあつたということは御承知の通りでございます。民主主義の下におきましては、当然、基本的な一つの権利として認められておりまするところの労働争議権をむやみに抑制してはならない、又むやみに行使してはならないという点でございます。こういう点は一つ質問者のほうでも十分御了承を願いたいと思うのでございます。  先ほど前の質問のときの最後に、提案者はこの法律案をどういうふうな動機で出したかと、こういう質問をされました。提案者一同を代表いたしまして、私どもがこの改正法律案を出した動機を、この際、鮮明にしておきたいと思うのでございます。私どもが改正法律案を提案いたしましたその動機は、日本国憲法に規定されたる人権尊重の趣旨に従い、なお公共の福祉を調和することを十分考慮しつつ、この法律改正案を提案したのであるということを、はつきりこの際申上げておきたいと思うのでございます。(「大臣以上だ」と呼ぶ者あり、拍手)
  31. 河井彌八

    ○議聴(河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決します。      ―――――・―――――
  33. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第五、金管理法案(内閣提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
  34. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となつております金管理法案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申上げます。  先ず法案の提案理由並びに内容について申上げます。これまで、政府は、金については全面的に価格及び需給の統制を行なつておつたのでありますが、最近における金の生産及び金に対する需要の状況に即応して、新産金の一部のみを政府が買上げ、それ以外の金については一切の統制を廃止いたしまして、金の価格及び取引を自由にし、金に対する需要の増加に応じようとすると共に、金鉱業の育成に資せしめようとするものであります。  次にその内容を申上げますと、政府が強制買上げをする金は、新産金のうち政令で定める割合のもののみとし、これに伴い、割当制度、加工用金の売りさばき業者等の監督の制度を廃止し、金の取引を自由にすると共に、金の自由取引実施に伴い、国内及び国際的な事情を考慮して、金の取引の実態把握に必要な報告を徴することができるようにしようとするものであります。  本案の審議に当りましては、各委員より熱心なる質疑がなされたのでありますが、その主なるものの要点を申上げますれば、「本案によれば、政府が買上げる一定量の金のほかは自由なる取引が行われるわけであるが、現在の経済状態においては自由取引による金が退蔵される懸念があるのではないか」という問に対しては、「今の経済状態では金の退蔵の懸念はないと思う」との答弁がありました。又現在、金の取引は統制されているが、いわゆる金のやみ価格はどの程度であるか」との質疑に対しては、「昭和二十七年十一月の調査では、関東財務局管内では一グラム六百四十六円、南九州財務局管内では一グラム五百八十四円程度になつている」との答弁がありました。更に「従来歯科医師の歯科診療に用いる金は一・四半期ごとに厚生省より配給を受けていたが、本案の施行日が昭和二十八年八月一日となつているが、歯科用金の第二・四半期の数量を確保して欲しい」との質疑に対しては、「他業種との関係においても、文金生産者との関連においても困難であるが、なお、とくと考慮したい」とのことであります。その他、自由取引における金の価格、我が国の産金量及び政府手持金の現在高及び政府の産金政策等について、極めて熱心な質疑がなされたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  35. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  37. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 参事に報告いたさせます。    〔参事朗読〕      ―――――・―――――
  38. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員会の委員の任期延長に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇、拍手〕
  40. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員会の委員の任期延長に関する法律案につきまして、農林委員会におきまする審査の経過及び結果を御報告申上げます。  本法律案の内容は、市町村農業委員会及び都道府県農業委員会の委員の任期は、それぞれ来たる七月十九日及び八月二十日に満了することになつておりまして、任期満了前三十日以内に選挙を行わなければならないのでありますが、目下別途提案されております農業委員会法の一部を改正する法律案によつて農業委員会制度の改正が審議せられておりまするので、その帰趨がきまるまで「この際、取りあえず右の任期をそれぞれ六カ月延長せんとするものであります。なお、選挙に当りましては、その告示は、選挙日前、五大都市においては二十日前、その他の都市においては十五日前、町村においては十日前までにこれを行うことになつておりまして、七月十九日に任期が満了いたしますから、五大都市においては即日開票いたしましても七月十八日には選挙をやらなければならないことになり、従つて告示は選挙日前二十日まで、即ち遅くも本月二十九日にはこれをなさなければならないことになります、かような事情でありますので、政府においては本月二十九日前に本法律案の成立することか要望せられた次第であります。  委員会におきましては、審査の上、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手)
  41. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会 ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、MSA問題に関する緒方国務大臣の報告  一、日程第四 千九百五十二年七月十一日にブラツセルで締結された万国郵便条約及び関係諸約定の批准について承認を求めるの件  一、日程第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案(趣旨説明)  一、日程第二 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)  一、日程第三 地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(趣旨説明)  一、日程第五 金管理法案  一、市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員会の委員の認定延長に関する法律案