運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-29 第16回国会 参議院 運輸委員会 20号 公式Web版

  1. 昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午前十一時五十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            新谷寅三郎君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            松浦 清一君            木島 虎藏君   衆議院議員            岡本 忠雄君   政府委員    通商産業省重工    業局長     葦沢 大義君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    外務省経済局次    長       小田部謙一君    運輸省港湾局港    政課長     町田  直君   ――――――――――――― ○港湾運送事業法の一部を改正する法  律案(衆議院提出) ○地方行政委員会に申入れの件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案(大和与一君外六名発議) ○臨時船舶建造調整法案(内閣提出  衆議院送付)    ―――――・―――――
  2. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 一松政二

    ○一松政二君 私はむしろ質問というよりも議事進行について、一つ御一考願いたいと思うことは、この法律案はかなり広い条文に亘り、又かなり修正されていると思うのでございますが、修正というかまあ改正の案だと思いますが、これは提案者から、一つ成るべく時間をかけない方法があれば、そういうふうにしてもらつて、各条文ごとか或いははよつてでも一応もつと詳しく説明を承わつたほうが私はこの審議が早かろうかと思います。そうでないと、一々条文を見て行つてそうしてやれば、却つてそのほうが遅くないかと思うのでありますから、そのことを委員長からお諮り願いたいと思います。
  4. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 只今の御意見に従いまして私から、提案者から極めて大綱且つ主要な点について御説明申上げます。  第一に、第二条の一項三号、それから四号、並びに三十三条の二と三十三条の三の関係でありますが、本法の、従来の現行法の適用の対象となつております港湾運送事業法のうちで、はしげ運送事業及び沿岸荷役事業の範囲を今度拡げまして、同時に昨年できました木船運送との調整を図ることにいたしたのが第一であります。もう少し説明申上げますと、現行法では、はしけ運送事業及び沿岸荷役事業が、港湾において海上運送に直結して行われる場合のみに限られておりました。港湾運送の秩序を維持し、料金及び運賃の均衡を保つためには、海上運送に接続すると否とを問わず、港湾における船舶及びはしけによる運送、更に隣接港湾相互間のはしけによる運送をもはしけ運送事業として、これに伴つてこれらの運送に伴う荷役事業を沿岸荷役事業とする必要があるという結論に到達いたしまして、この点を改正いたしたのであります。  第二には、第二条第三項でありますが、適用港湾を拡げることにいたしております。現行法におきましては、関税法の開港のうちから指定しておるのでありますが、大体この港湾運送事業を律するためには、関税行政の立場でなくて取扱荷物の、貨物の量或いは港の状況、構成と申しますか、構成によつて適用すべき港をきめるほうが適当であるという観点からいたしまして、かように改めたのが第二点であります。  第三の点は、登録要件に関する問題でありますが、第七条の一項第四号であります。現行法におきましては、港湾運送事業登録の施設なり労働者についての要件が不明確になつております。御覧の通り、現行法を御覧願いますとわかりますが、不明確であります。これを省令で明示することにいたします。  第四には、確定運賃及び料金の変更を勧告し得る途を開いたことであります。これは第九条の二であります。現行法におきましては、運送事業者が運賃をきめまして、運輸大臣に出すと同時に公示いたしますが、その後経済事情が著しく変化した場合におきましても、業者が自発的に変更しない限り、確定運賃としてなつて参つておるわけであります。これでは経済事情の変化に従いまして、殊に荷主なり、或いは他に競争業者の立場もありますが、又公益の立場から申すならば、運輸大臣と申しますか、こういう方面の利害関係人からも、経済事情の著しい変化に伴つて運賃の是正をさす機会を与えなくては両方の立場が均衡がとれません。そこでこの点を新らしく挿入いたしまして、変更し得る機会を与えることにいたしたのであります。  次に主なる点は、公益命令に関することであります。それは第十八条の二と第十八条の三でございますが、海上運送法には公益命令の規定がございます。ところがその積込、積卸、その末端におきましては公益命令の規定が何ら現行法の運送事業法にはございませんので、折角長距離を早く運びましても、その両端においてはその効果を著しく減殺するというのが現状であります。で、非常事態の場合には、かような場合に港湾運送に公益命令を出して運送を命ずることができる、併しこの場合には、事業者に損失を与えることがあるわけでありますから、これを補償するということにいたしたわけであります。  その次の重要なる改正点は、独禁法の排除の問題であります。これは十九条と十九条の二の関係でございますが、弱小企業でございますから、この港湾運送事業は。施設の共同利用について公正な協定が行われる場合にはこれを許して然るべきだ、むしろそのほうが合理的になり、荷役力の能率を増進する途であるという見解から、独禁法から排除規定を設けたわけであります。この点につきましては、今回事業者団体法が廃止されると同時に、独禁法の改正がありまして、それに関係して参りますので、衆議院におきましてその点だけを修正いたしました。これを同時にお含みおきを願いたいのでございます。  そのほか二、三細かい点がございます。一つは相続、合併の場合の第十八条でありますけれども、いろいろの現行法は疑問がございましたので、その疑問や又不明の点等をここに整理することにいたしましたし、又船に営業者の名前や船の名前を書いたりいたしましたり表示させまして、いろいろの場合にこれが有効に活用できるようにいたしたのが第二でございます。  そのほか細かい点がございますけれども、主要なる点は以上申述べた点に限られておるのでございます。どうぞ御了承おきを願いたいと思います。
  5. 一松政二

    ○一松政二君 今の説明から主にこれは本船と沿岸、まあ内航でも外航でもよろしいのですが、本船から荷物の揚げ卸しする運送について主に適用しようというお考えであろうと思うのですが、この法律で、例えば本船からすぐ荷役をして、そうして東京の例で言えば、大川端或いは枝川に入つて行くようなものも、この事業法の適用を受けることにしておるわけでございますか。
  6. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) さようでございます。と申しますのは、これらの今おつしやつたような運送は、これは同じ企業の下にやつておるのが実態なのでありまして、その実態に合うようにいたしております。
  7. 一松政二

    ○一松政二君 そうしまする、本船と関係なく、ただ隅田川沿岸で荷物を運搬しておるはしけ業者には適用がないと考えていいのでありますか。
  8. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) それはその点につきましては、従来も適用がありますし、現行法も適用があります。これはそういう場合のみを殆んど適用して規定しておつたのが現行法であります。
  9. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、例えば隅田川に来た石炭を、極く一例を申上げると、千住の発電所にこれは毎年殆んど相当数量があるわけです、そういうものをはしけで運ぶものにも運賃を定めてあるわけですか。
  10. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 定めてあります。
  11. 一松政二

    ○一松政二君 私はそれは定めてないと思います。
  12. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 現在港湾の中の荷役の内容を洗つて見ますと、はしけで行う場合と、例外的に機帆船で行う場合があるのであります、はしけで行う場合に、本船から沿岸に持つて行く場合には、従来港湾運送業の適用を受けて、料金も確定料金があるのでありますが、沿岸がら沿岸に、例えば豊洲の埠頭に上つたものを奥の枝川に持つて行くような場合に、はしけの場合もこれを機帆船で行う場合も適用がないのでございます。それに対しまして、今度改正いたしまして、これらの港湾内におきまする運送事業に対しましても、港湾運送法の適用を受けさすようにしたのであります。
  13. 一松政二

    ○一松政二君 そういうことを、この適用を受げてそういう料金が守られるとお考えになりますか。
  14. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 告示料金を決定いたします場合は、関係業者なり、場合によりましては港湾労組の代表も入つておりまして、確定料金をきめておりますので、私どもといたしましては、その料金が遵守されるように指導いたしておるのでございます。
  15. 一松政二

    ○一松政二君 今はしけの問題のほかに、機帆船という問題が起りましたが、小さな機帆船は船主船がかなりたくさん占めておることは御承知の通りです。これが仕事があるかないかということは、自分の飯の食うか食えないか、女房と或いは親類の者を連れて運送に当つているわけです。その料金を遵守しておれば仕事はない。けれどもこういう不景気のとぎですから、運賃はこれは非常に値切られます、表の運賃を。これは丁度私は道路運送法のときと同じことで、ハイヤー、タクシーと同じ問題になると思う。タクシーが一応当り前の天気のいい日とか普通の距離を走つているときにはメーター通りでやります。少し遠距離に行く場合は、お客さんは必ずこれを値切る。それから雨が降つたとか、或いは停車場から何か非常に混んだ場合にどこかへ出かけようとか、或いは停車場へ行こうというと必ず運賃を倍額要求される。或いは近い所には行きません。自分の有利な場所以外には行かないということは現在やつているわけであります。なぜそういう小さなところまでこういう法律によつて縛らなければいけないか。私はその理由の発見に苦しむわけです。又行われないようなものを私はやること自身が法律を蔑視される結果になると思う。そうして一律に幾ら告示をしましても、経済界というものは変転常なきものであつて、先ほど第何条かによつて運賃を下げることを申出ることができるなんという計うなことは、経済界の実情からいつたら実に迂遠なものです、そんなものは何か団体交渉か何かのようにやつておつたつて、それが守れなかりたならば、その守らない者に対する罰がどの程度にあるか。まだ私は詳しくこれを拝見しておりませんが、そういう行為を又罰すると言いましても、現にタクシーに対して罰せられた例を聞かない、私は。料金を安くやつたから罰したとか、高くぼつたから罰したとか、本当は高くぼるほうは罰してもらいたいと皆思うだろうけれども、どうも雨は降つておるし、早く帰らにやならない、止むを得ずもう言うがままに泣き寝入りになつた、それは相対で承知の上で乗つておることで、それを公法上そういうことは秩序を乱すのだといつて、一々罰しておつたら、私はそれはなかなか実際問題としてそう処理し切れんものであろうと思う、たまたま見付かつた者がこれが悪いという結果にしかならない。独占禁止法を排除していると、これは問題が非常に複雑でございますけれども、一方この独占禁止法の排除の問題についても、仮に独占禁止法がありましても、小さな業者の申合せは独占禁止法みずからこれは認めているわけですよ。独占禁止法は大なる資本や経営者の申合せ事項をこれを禁じているのであつて、事業者団体法におきましても、小さな業者のやるやつはこれは皆除外してあるのです。私はこのはしけ運送事業者が小企業者であるとは私は断定はできないと思う。かなり大きな何々組とか、何々会社というのが各港湾、大きな横浜とか神戸とかいうような所には相当の規模の経営者があると思います。小さなのは今言つたように機帆船の一隻ぐらい持つて稼いでいるのもあります。或いははしけを四、五杯持つているというのもありまして、而も川の中の荷物を、川の中の荷物じや語弊がありますが、ターミナルのステーシヨンのいわゆる隅田とか小名木川とか或いは新橋、汐留とかという所のものを、はしけによつて又他の東京都の或いは千住とか板橋方面に運んでいるものに対しても、これを一々何か料金の規定を定めてやつたつて私は守れつこないと思うのですが。そういうものを一々運輸省としてはこの法令に引つかけてそれを処罰するような行き方をおとりになろうとするわけですか。その点を承わりたいわけです。
  16. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 提案者の立場から一つ申上げたいことは、現行法におきまして、運賃料金については港湾業者が一方的にきめて確定料金の方式をとつておるわけでありまして、利用者側及びその他の利害関係人には何らの発言又は是正を要求する機会がない。これは法としてはこれは不均衡でありますから、これを公正なる立場で両方に同じ均等なる立場を与えるというのが一つの改正の要点になつております。それから更に、成るほどお説のように、大きな会社もあります。けれども大体現在この状況を見ますると、弱小企業が多いのでございまして、五、六社は相当大きな規模を持つておりますけれども、資本金三百万円未満のものが七一%というような比率になつております。使用者の点から言いましても、百人未満のものが九〇%、こういうはしけでは二百トン以下のものが八三%というような弱小企業が大部分を占めておるのであります。これが戦前においては特にひどかつたのでありますが、これが戦時中統制令で非常に統制されて、百何十社かに削減され、更に終戦後は野放しになりまして、又元に復帰するような傾向になりまして、弱小企業というものが成り立たない。運賃ダンピングの問題ばかりでなくて、とにかく競争が激しくなりまして、施設の改善は全然やらないということで、お互いにむしろ死生の線以下に坊律するようなみじめな状態を現出するようになつて参りました。これでは港湾荷役力全体の立場からいつて、増強にあらずして、低下するということが憂えられると私は考えるのであります。必ずこのことはそう久しからずして結果が現われるのでありまして、かようになつたのでは港湾荷役力の低下を来たす。従いまして或る程度の秩序を維持するためには弱小企業でありましても、これに干渉するということが、干渉というと言い過ぎでありますが、規律のある、節制のある競争をやらせるということが必要である、かようなところに修正の重点を置いておるわけであります。更に独禁法の関係におきましては、これは設備の共用に関する問題だけであります。資本力はないし、お互いに出し合つて設備をしたり、或いは設備を公正なる協定に基いて共同利用するという点が、独禁法をそのままを解釈しますと、独禁法に反するという疑いがございますので、こういう規定を念のために設けておりますが、ほかの立法例におきましても、そういう例はたくさんあるのでありまして、この改正案もその例に倣つておるに過ぎないのであります。  なお補充的な説明を要する点につきまして、港湾局長から説明させて頂きます。
  17. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 今お話がありましたように、港湾運送事業におきまする料金の遵守ということは、なかなか至難の問題でございます。御指摘のようなことは考えられんのでございますが、併しながらこれを野放しな自由競争に任しておきますと、又非常な秩序が乱れるのでございまして、少くとも関係の連中が集まつて適当であるときめた料金は、これを遵守するように輸送の立場から指導して行きたいというのが私どもの意向でございまして、これらの遵守に際しまして、料金を非常に乱すようなことがあります場合には、或る程度の罰則なり、或いはそういつたような事業の停止という罰則がございますが、それらのことも止むを得ないのではないかと思うのでございますが、それらの事態ができない前に、荷主のほうにこういう事情だからという港湾運送事業の趣旨をよく話しまして、料金の遵守ができるように努力をいたして行きたいと思うのでございます。  又先ほど問題になりましたランド・ツー・ランドと申しますか、沿岸から沿岸にはしけなり或いは機帆船で専門に輸送する業者は殆んどいないのでございまして、構内におきまするはしけによる港運事業を原則としておる者が、事業の繁閑によつてランド・ツー・ランドをやり、又機帆船によるような場合は、機帆船によつてお説のように一杯船、王が多いのでございますが、これらは地方の港湾からいろいろ輸送して参る。或いは主要港湾から地方の港湾へ輸送して参る貨物が非常に波動的な場合がございまして、それらの場合に臨時にランド・ツー・ランドの機帆船の輸送のようなことが生するのでございまして、こういうような臨時に運ぶ場合におきましても、港湾の秩序なり、健全な発達ができますように料金を遵守せしめるように、いろいろ行政面で努力して参りたい、かように考えておるのでございます。
  18. 一松政二

    ○一松政二君 私は発案者又は今の運輸当局のお考えになつていることわからんことはないのです。わからんことはないのだけれども、一つのユートピアをお考えになつておると思うんだ、この実際の世の中を。私は若し港湾でそういう秩序が守れてなにができるならば、この社会に、この人間の、日本のこのみじめな状態の中に押し込められているこの八千七、八百万人になるのですか、もうすぐ慮になんなんとする、この生活それ自身に秩序が保つて、そうして或る程度のちやんと規制ができて、これを私は何人も望むところだと思うのです。けれども、そういうことは実際の世の中としてはできない。そこでいろいろ問題が起こるわけです。で、先ほど御説明がありましたけれども、港湾事業者のいわゆる小企業者と、これは日本全体と同じことなんです。日本全体の大企業者と中小企業という問題と五十歩百歩なんです。殆んどその構成の成り行きは私は大した変りないと、大ざつぱに考えて。そうして今日の中小企業はこの陸上において浮きつ沈みつしております。如何なる場合でも浮きつ沈みつしておりますが、今日はむしろ沈む人のほうが多いでしよう。大企業においてもかなり今日潰れて行きつつある。又この十月、十一月頃に至つたら、私は或る程度惨港たる状態になろうと憂慮しております。ひとり港湾のみにそういうユートピアを画いて、そうしてそれを取締ろうとすると、これは陸上の生活と……私は野放しに競争しておるということを言うものじやないのです。けれども、スターリンでさえが中小企業及び中小の、いわゆる配給をする中小商業或いは中小企業については、あのスターリンでさえさ匙を投げているのです。でありますから、私はこれを法律を以てそういうものを取締ろうとすることに非常な疑いを持つておる。そうして若しこういうことを港湾業者が申合せたならば、然らば荷主は新らしい船を建造しますよ、必ず。必ず新らしい船を建造して、そうして自己のものを……これは港湾はしけ業者じやないでしよう。そういうものが現われた場合にはどういうことで取締ろうとお考えになつておりますか。
  19. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 成るほど社会哲学からの御説は御尤もだと思います。併し陸にしろ海にしろ、この運送はやはり或る程度公益的な性質を帯びておるものと私は考えるのであります。従いましてこれを取締るということよりは、むしろ公正なる取引をさすというこの規律を設けることはむしろ保護になると考えます。かような見解からこの法律は支持を受けるものであると私は考えるのであります。  なお最後のお説の、業者が船を造るようになるだろう。現に倉庫業者はみすから船を造つて、みずからこの運送事業をやつておるのがたくさんございますから、そういうものが造るならば、運送事業としてのこの法律による子続をとればいいわけでありまして、競争の一員になることができるわけでありますが、倉庫業者は造つておりますけれども、ほかには今ないということは、やはりそこにこの法律の規定する一つの意義があるのでありまして、この点は一つ一松先生も御了承願いたい。
  20. 一松政二

    ○一松政二君 これは実際世の中に、非常な不景気に見舞われて荷物が非常に減ることがあるのです。私は自分の経験を申上げては甚だ恐縮ですけれども、自分みずからもこの問題は当つたことがあるのです。そうしてそういうふうな申合せをして、一定のタリフでやることになると、荷主は必然的に自己を守らなければ又競争ができなくなるのです。でありますから、必ずや表面のタリフから何割引という極く秘密条項を設けてやることは、私は必然だと思う。そうして金を出して新らしいはしけなり機帆船なりを造つて、私みずから過去においてそういうことをやつた経験があるのです。そうしてそれにあらずんば又世の進歩もできないのです。一例を申上げますと、下田から鉱石を日立鉱山に送るときに、月島で機帆船でこれを積替えて隅田川に持つて行つたやつとを、私が新らしい発動機船を、隅田の鉄橋をくぐる大きさのものを十分確めて、そうして発動機船によつて下田から隅田まで直送を、私がそのときは独創者です。私が初めてやつたわけです。そうしてその運賃の負担を切下げて、私は鉱山事業の維持にその面でも一応考えたことがあるわけです。こういう不景気なときに、或いは今後ますます不景気になるでしよう。そういうときには、いわゆる企業努力というものはどこに向うかというと、そういうはしけや積替え賃或いは積卸、或いはその貸船料、そういうところに細かく目を注がなければ、企業というものは競争があります。この競争をどこで……、これは不公正な競争を避けるためと、これは私もそれは一応よく了解できます。併しこの人類の世の中に。誰も不公正な競争をしようという考えを持つておる者はないのです。けれども生きるためには、泥棒さえして生き延びようとする人がある。でありますから、そういうところまで私はお考えになれば、必然的に他の方面との均衡がとれるかと思う。例えば八百屋が出る、或いは何か小間物店が出るとかいうもの、これがお互いに競争するでしよう、陸上においては。そういうものに対して果して取締れるかどうか。そういうものが陸上において行われているかどうか。海だけを御覧になれば、そういうことが考えられますけれども、他の産業との比較、そうしてコストを引下げると、これは私は日本の今日の経済界を健全なものにするためには、どうしても国際基準にまで物価を下げなければならんというのが、私は日本国経済に要請せられている大きな問題と思うのです。それで或るときには食えない。それは非常に不公正だと思つても、その次の段階に行くと、それがあのときは実に「憂しと見し世ぞ今は恋しき」という言葉があるが、まだあのときは呑気であつたというような、世の中が現実に我々は過去においてしばしば経験をしているわけです。今食えないから、或いは今非常に不公正だからというようなことが、次の又一段下つた時代にはそれは不公正でもなければ何でもない。甘かつたという考え方になるわけです。私は実際の過去における約四十年間の自分の実際社会の経験から考えて見て、私はこういう一つの考え方に大きな疑問を持つております。そうしてそれを法律を作つて、そうして却つて私は親心でひいきの引き倒しにならないかということも心配いたします。世の中は静止してはおりません。必ずアツプ・アンド・ダウンいたします。ここで非常に賃金が低いなんと思つておつても、次の段階に行けば、高過ぎたという批判も出て来るわけです。そういうものをどうやつてそれが不公正であり、それがダンピングであるとお考えになるか。これは非常な私は基準の問題が問題になると思うのです。そういうことをお考えになつて、こういう法が私は完全に……。法律を作るからには罪人をこしらえることが目的じやないと思う。それで又事実如何なる申合せがありましても、契約書の表向きに何も出てないけれども、あとはその割引で以て行く結果になることは、私は必然であると考える。そういうことに対してはどういう配慮をめぐらされておるか承わりたい。
  21. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 今の御質問を通じての回答でございますが、陸上におきましてはもつときつい許可制度、陸上の運送許可制度があります。これに対しましては非常にゆるいこれは規則でございますが、この運賃をきめるのは、個々の業者がみずからきめて公示すると同時に代金取極めをいたします。協定ではございません。従いましてきめる場合にはそこにおのずから公正な競争が行われて、運賃が確定運賃になるわけであります。且つ、これが経済界の変動、即ちアツプ・アンド・ダウンする経済界の状況に応じまして、高過ぎるというような場合には、利害関係者は高過ぎるからという見解に立ちましてその変更を求める機会を与えるのがこの法律でございます。更に根本的な問題としまして、この法律自体が悪いからこういうものを廃止せよということになりますと、これは別の論点になろうと思いますが、この改正法は現行法をよりよく合理的なものにし、均衡のとれたものにするという考え方から、欠陥を補正しておるのでございまして、この点は一つ御了承願いたいと思います。
  22. 一松政二

    ○一松政二君 今の御説明はよくわかります。陸上運送においても非常に厳しい規制があるから、それをその実際に合うように我々は要望しているわけですが、私はこれも、もう感じなんですが、大体運輸省から出る法案は一つの基準がある、何か統制をし……、この間も私は述べた通りでありますから、時間の関係上繰返しませんが、今先ほど何らか運賃をきめてこれを公示してそれを守らせるようなこともございましたから、私は先ほどの疑問を提起したわけなんです。これは双方の双務契約、今までは双務契約、タリフはあつても無論それは、一つの表はあつても、それは一つの標準です。その標準を如何に勉強させるかということが実際問題になつて来る。その今のお話から言うと、その表を守らなければ罪人になるというお考え方のようであるから、私は先ほどの疑問を申上げた。そうするとその罪人をますます多く作るようになりはしないか。今の改正案で前よりはよくなつたということであればその点は了承いたしますけれども、法自体に対する運輸省の考え方が、私はそうすればそういうものを励行しておるか、励行してないか。それはそうあらしめるという積極的な意思があるならば、ほかの監視人を海上に派遣し、或いは各会社に派遣して。そうして張面の検査までやらなければ私はできないと思います。そういう方面まで進出する私は御意思はなかろうと思う、又そうあつては実情と非常に疎くなる。今日表向きに日本の経済界で一番問題になつているのは米ですよ。闇米ですよ。闇米という言葉があります。私自身が闇米を食つておりますよ。闇米を闇米と承知しながら食つておるのが実情なんですよ。これは生活と、実際問題と法律との関係はこの闇米の一件を以てしてもはつきりわかつている。だから統制をとれば闇ができる。闇ができれば非常に暗い影がさすから、闇に引つかかつたものだけが不幸なことになるというので、皆が明るい天地を希望して、できるだけそういうことは避けて、成るべく自由な天地に持つて行きたいと望むのが我々の念願であり、大体そういう方向に向つて来ている。ところが不景気になつたから野放しにしてはいけないという議論もある。この議論は私は頗る異議がある。世の中はおのずからそこに、定まるところに定まるものであつて、世の中は潰れやしないのです。杞人が天を憂えたがごとく憂えれば限りありませんが、決して共倒れになつて倒れてしまつてあとに何もなくなつた例なんというのはないのです。そういうことはおおむね現在の企業者の利益を図るために新らしく進出しておるものを防ぐとか、新らしくそれをもつと合理的に、もつと切詰めた、もつと競争力のあるような方向に持つて行くことが、今やつておる人間にはそれは耐えられないのです。非常に困る。だから陳情とかいろいろな問題が起つて来るのですが、それをかばう考え方があるというと進歩を阻むのです。そこで私が繰返して申上げているのは、そういう思想が運輸省のどこかにありはしないか。それはこの生きている世の中を律する上において非常に私はとらざるところではないかというので、この港湾運送事業法の一部改正を今審議しているときに、そういう思想がどこやらにちらほらしている。常に私の感じでは現存業者の保護という臭いがして仕方がない。それでは、私も企業に経験があります、過去において随分いろいろな経験を持つております。現存業者は新らしい企業の起ることを好まないのです。もうそういう世の中ができて今の既存利益を擁護してくれることをもう希わざる者は私は一人としてもないと思います。併しそういうことがあつては世の中の進歩と発達はおおむね、まあとまると言えば語弊がありますが、世の中の進歩発達のためにはとらんので、各国共にそこまでは行つていないのです。だけれども、今のように川端の運賃が、これはおのずから業者の間に一定の申合せなどありますよ。それを今度政府がそれに関与して、そうして一定の賃金を守るように持つて行く、併しながら守つておつたのではいつまどたつても荷物がないということになれば、必然的に割引という問題が起つて来る。割引は違反だということになれば、私は実際上折角法律をやつておつても罪人を作る結果に終る。併しその罪人をそこまで取締ろうたつて、現実においてはできないのです。けれども、それをやるというお考えのように伺つたから、以上の質問をするわけでありますが、その点をもう一度私は政府の側から一つ御意見を承わりたいと思います。
  23. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 御発言の趣旨は十分了解いたしました。この法の運用につきましては、御趣旨を十分考慮いたしましてやつて行きたいと、かように考えます。
  24. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) ちよつと私只今の一松委員の質問に関連しまして、範囲は同じことなんですが、別の方面から一言お尋ねして趣旨を明らかにして頂きたいのです。それは二点なのですが、一つは如何なる範囲のものを縛るか、こういうことでありますが、第二条でありましたか、政令で港湾の指定をするという意味のあれがありますが、その指定される港湾はどういう範囲まで入れられるつもりであるかという点。  もう一点は、料金のことでありますが、やや今度の改正は緩和的な処置を含められた御趣旨はよくわかりますが、陸上運送の場合と比較いたして見ますと、陸上運送の場合は、この港湾運送事業とやや性質の似ているトラツク事業、トラツク事業に関しまして、従来は確定運賃をとつておつたのを、最低最高の運賃を定めて、その範囲内で業者に自由に個々の具体的な料金をきめ得るようにする趣旨らしいのでありますが、その緩和の程度といいますか、方法といいますかが非常に本法案とは違つているのであります。これは同じ運輸省の関係する法律といたしまして、今後実際にこれが成立しました際に、施行するに当つてこの両者の差を適切な差であると考えられるか、このニ点につきましてこれは提案者というよりも、むしろ政府委員のほうから御答弁を願います。
  25. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 先ず第一の適用港湾が追加されるについて、どの程度の港湾を考えておられるかという御質問でございますが、これにつきましては、現在開港場ということになつておりまして、五十二港が指定されているのでございますが、新たに政令によつて追加いたしたいと考えております港湾は、年間の貨物の取扱量が相当なければならん、十万トン程度以上あるような港湾について考えております。それからそれらの港湾で重要な貨物、お客さんばかりというふうに限定されなくて、或る程度の重要な貨物を扱つているということを条件にいたしたい。それから五百総トン以上の汽船の荷役が行い得るような港湾を追加いたしたい。それから港域法という法律によつて港域がはつきりされているのでございますが、この港域法の定めのある、区域の定めのある港湾に限定いたしたい。それからそこの港湾で、港湾運送事業者がおる、登録をいたしている港湾運送事業者がいる港湾にいたしたい一望のよう実体いろいろな諸条件を考えまして、新たに二十八程度の、二十八内外の港湾を追加いたしたいと考えております。  次に第二の御質疑の、料金のきめ方でございますが、現在のぎめ方といたしましては、或る業者が運送事業を開始いたします場合には、自分はこの程度で運送事業をやるのだということを言つて参りましたときに、それに対しましていろいろ関係業者に異議がありましたならば、異議の申立が成立するのでございまして、それによりまして大体各種の荷主なり或いはその他の関係業者、同種業者からも異議がない場合には、大体のそこで申入れた金額によつて、港湾運送事業法の告示料金となるのであります。併しこの告示料金も、その運送事業をやります場合に多量のものであるとか、或いは定期的に入つて来るようなものにつきましては、一割以内の料金を減額することができるようにいたしているのでございます。大体の料金のきめ方につきましては、上下の弾力性のところをとらずに、今申しましたように、きまるまでに相当な各方面の意見を聞くきまりました後にも、荷物の内容によつて一割以内の料金の切下げと申しますか、サーピス、割引ができるようになつているのでございます。
  26. 岡田信次

    ○岡田信次君 今回の改正で、今の港湾を政令で指定する問題ですが、前の法律では、関税法に指定する港湾であつて、政令で指定する、今回、港湾とは政令で指定する港湾と、こういうふうにきめたわけはどういうわけですか。
  27. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 関税法は関税を取る目的で、あれはきめましたので、関税法にその要件が並べてあります。そうしてこれは外国貿易が基準になりますから、一定のトン数だつたと思いますが、足りなくなつた場合には、その資格を失うというようなことになつております。ところがこの港湾荷役は、必ずしも外国貿易を目的とする貿易港に限らないのでありまして、国内の貨物の運送につきましても相当の量があれば、又港の形、勢いによりましていろいろ複雑な関係がありますので、関税行政の立場でなくて、運送という立場からきめるべきであるという見解に立つて指定する基準を変えたわけであります。
  28. 岡田信次

    ○岡田信次君 それはわかるのですが、この法律ができたのはそう古いことじやなくて、たしか去年の国会だつたと思うのですが、一年内外のうちにこういう根本的の改正をしなければならないということは、前のときの考え方が粗漏であつたか杜撰であつたということですか。
  29. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 実は前の法律そのものを作られるときに、これは鈴木前議員が担当者であり、私はこの委員会の専門員として協力した一人でありまして、極めて検討の期間も短かかつたし、不十分な点が非常にたくさんありましたが、二年間の実施した経験に基きまして、結論を得てかように改正したのであります。
  30. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十八分開会
  31. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を再開いたします。  午前に引続き港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  質疑のおありのかたは順次御発言を願います。御発言はございませんか。御発言がなければ……。
  32. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 提案者の御趣旨は大体わかつたのですが、これに関連して運輸省の持つておられる港湾運送事業に対する政策の一端をお聞きしたいのです。例えば頂いた資料によりますと、はしけのようなものは非常に不足だというようなことを書いてあります。二十八年度の海上輸送力から言いますと、なおはしけが非常に不足だということを、全般的にはそういう計数が出ておるのですが、とかく、港によつていろいろ違いましようけれども、むしろそうじやなくして、現実の問題としては非常に仕事がなくて困つておるはしけ業者が多いと思うのです。で、そういう際ですから、皆いろいろ、今度のような問題も非常に実際上は港湾運送事業のまあ何といいますか、従来の業者にとつても大事な問題になつて来るだろうと私は思うのですが、それで今後海上輸送量が非常に変つて来ることが予想されるのです。現状のような状態で行つた場合に、単にこの港湾運送事業の関係法令の改正というだけでは済まない問題が根本にあると思うのです。その点を運輸省はどういうふうに考えておられるかということを伺いたいのであります。
  33. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 我が国の港湾で扱つておりまする貨物トン数は、昭和二十六年度において一億五千万トン、これは統計的に出ておるのでありますが、それから二十七年度において一億九千万トン足らず、多少殖えております。その沖荷役によるものが、おおむね六割で、あとの四割は接岸になつておるような状況でございまして、まあ沖荷役をいたしますと、相当余計な冗費がかかりますので、現在の港湾なり、或いは経済審議庁のほうでいろいろ復興計画を立てております場合に、できるだけ沖荷役を接岸のほうに切り替えて行ぐくいうような方法がとられておるのでございます。どうしても小さい港湾とか、或いは特殊の港湾におきましては、沖荷役によらざるを得ない所も相当あるのでございますが、沖荷役を四割にして接岸を六割ということを目標にして、でき得べくんばここ五年くらいの間にそういつたような目標に到達させたいという方向に進んでおるのでございまして、この間これに必要な荷役機械とか、或いはその他の接岸施設の整備ということも必要になつて来るのでございます。はしけの保有量につきましては、戦前と比べまして相当減つております。戦前の大体五割程度に戦災を受けて減つたのでございまして、現在多少殖えておりますが、中小企業でございますのと、只今望ましたようにだんだんポート・チヤージの軽減という目的のために合理化を図り、接岸に切替えておりますので、その復興は、はしけのほうにおきましては京浜とか、或いは神戸、大阪等におきましては多少できておりますが、その他の港湾については、余りはしけの保有量は殖えてないような現状でございます。はしけはやはりそれらの港では不足しておるものですから、一昨年以来開発銀行の融資を政府として斡旋しておるような現状でございまして、だんだんとやはり沖荷役から接岸に切替える、近代的な港湾荷役に漸次切替えられて来るような方向に向うと思います。
  34. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 その問題は時日を貸さないとなかなかそこまでは京ないのじやないかと思うのですね。併し方向としてはそういう方向を迫るように努力をするのだということは、勿論我々も是認しなければならんと思うのですが、我々としましては、そういう将来の目標といいますと、今の港湾荷役の港湾関係の事業の諸事情からみまして、これは設備の問題もありましよう。人の問題もありましよう。そういうものも含めて大体の方針ですが、港湾関係の事業というものについて、やはり今のような指導の仕方でよろしいとお考えになつているかどうかということを聞きたかつたんです。つまり一方からいうと、設備も足りなくなるかも知れないというような懸念もあるし、従つてはしけも作らなければならない。あなたの言うように、荷役設備の改善もしなければならんというようないろんな問題もありましようが、そういうようなはしけの業者とか、倉庫業者とか、概括的に言つているのですが、そういう港湾関係の事業の状態を、今のような海上輸送量を前提としてみた場合に、日本としてはどういうように政策的に考えて行くべきかという問題についてお尋ねをしたがつたんです。
  35. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 現在におきまして、港湾運送事業に対する持つて行き方でございますが、おおむね現在の港湾運送事業にお要するいろいろな能力を基準として、これを合理化させて行くような方向に持つて行くつもりでおるのでございまして、特別にまあいろいろな港湾運送事業に対しましては、必要な、緊急度の高いものから開発銀行等の融資を斡旋しておりますし、又扱う荷役量は、今後三年間に大体二割五分程度殖える見込でございます。これは海上輸送量なり、或いは貿易の振興策から、いろいろな基本的な原料、或いは製品の動きを積上げて参りますと、大体現在の一億九千万トンから二割五分程度今後三年間に殖えて行くのではないかというような現在の港湾の扱い量の見通しでございますので、おおむね現状の港湾の運送事業を基準にいたしまして、それにその港々によつて発展の度合いが違いますので、それに対応するような地方の特異性を加味した施策をやつて行きたい。
  36. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 大体のことはわかるのですが、今のお話の中に港湾運送事業に関しての合理化をしたいというお話がありましたが、或る程度やらなければならんと私ども考えております。要するに問題は合理化の仕方なんです。各港湾でそれぞれ非常に出入の荷物についても特殊性があります。各港湾に入つて来る船についても又同じだろうと思うのです。そこで今合理化をするのだと言えば、その合理化の仕方なんですが、今言つたように、倉庫業は倉庫業で或る種の法令によつて合理化するならば合理化の方法がある。港湾運送事業については運送事業についてやつて行くというように、ただ横に画一的にやりましたのでは、こういう港湾の特殊性を活かした合理化政策は行われないだろうと私は考えているのです。そこで私の申上げているのは、多少意見になつて恐縮ですが、この合理化をされるのだが、合理化をされる場合に、やはり各港湾の特殊の事情に応じて港湾関係の事業を一体としてみて、ただ横に持つて行くのじやなくて、縦にも横にも関連性を持たした能率の上る港湾の関係事業の合理化をされるようにしたいもんだということを私実は言いたかつたので申上げたんです。
  37. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 新谷委員のお説の通りでございまして、港湾運送事業と関連いたしまして、倉庫業のほうもこれに見合う近代化を指導いたしているのでありまして、例えて申しますと、最近新設されました岸壁に荷役機械を付け、それから上屋を作るのでありますが、その上屋の二階、三階に倉庫を新設いたします。この倉庫に対しましても合理化の施策を施しまして、港湾事業と倉庫業、それから後方の鉄道なり、道路による輸送等の緊密な連絡も併せて考えておるようなわけであります。
  38. 一松政二

    ○一松政二君 今の新谷さんの質問に関連して、私昨日本委員会を通過した港湾整備促進法ですか、名前は少し違うかも知れませんが、港湾の岸壁に機械を作り、グレーンを作り、或いは上屋を作る。そうして将来の荷役の方向とすれば、岸壁に船が着いてすぐグレーンで取るというようなふうに大体考えておられるように今の答弁の中にもありましたが、そうすればするほど、この港湾運送業というものはこれはますますその活動範囲を狭められるだろうと思います。そういう方向に運輸省でも考えているし、世間でも或る程度考えている。併し日本の港湾、或いは後方の荷役の関係上、石炭のごときは荷主がたくさん分れて、そうしてそれもなかなか従来大阪あたりでグレーンを設置して、却つて予想通りには行かない、やはりはしけ問屋があつて二、三千トン級の船で運ぶということは却つて高いものについたというような経験があつたのですが、一応計画としては、港湾を整備されればされるほど港湾運送事業というものは、私はこれは減るべき性質のものであると思うのです。そこで今度一方においてはこれを保護立法しようとするところに私はかなりの矛盾を感ずる。それともう一つは、私が午前に質問をできなかつた点が一つある。それはこの登録制度ですが、登録を拒否する条件がここに書いてありますが、道路運送法にも自家用の貨物自動車はおのおの皆持つているわけです。この港湾運送事業法において、自家用のはしけなり、或いは発動船なり、或いは機帆船を持つているということはお考えになつているのか、お考えになつていないのか。その点を承わりたい。
  39. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 第一点につきましては、保護立法をするということは、この保護立法は港湾荷役に対する政策の、今港湾局長が説明されたところとむしろ逆行し、矛盾するのじやないかというお話でございますが、先般通りました港湾整備促進法をみましても、なかなか一気にはできないのでありまして、先ず国際的な港湾のほうからやつて行くというようなことに勢い重点的にならざるを得ないと思います。かようなことから考えますと、四面環海の日本の港湾は無数にありまして、人口の増加、諸産業の発展から、小さい港湾も相当荷役力が増加して行くというような、新らしい発展の港湾も相当できまするし、やはり当分の間は、相当長い間は理想的な、極めて近代的な、科学的な荷役の方法をとるまでには参らんと思いますので、やはりこういう立法が存在価値があると考えるのでございます。なお保護立法というように非常に強くお感じのようでありますけれども、公正なる取引をやらすということが一つの大きな目的でもありまするし、秩序が乱れるということは荷役力の総体的な低下を来たすという点も看過できないということもありまするし、かようなことでやはりこの存在価値があると一応私は考えるのでございます。  なお第二の御質問でございまするが、これは自分の荷物を送るために船を造つてやるということは、これは現在もやつておるのでありますから、これは差支えないことであります。問題は他人の荷物と貨物を運ぶためにやる船を造るという場合には、それは登録せざるを得ないのでありまして、実際問題としましては、これは成り立ちませんから自家用の運搬以外には恐らくないだろうと私は考えるのであります。
  40. 一松政二

    ○一松政二君 例えば、私ちよつと午前中に申上げましたように、鉱石や石炭を積んで来るということは現にやつておるわけでありますが、それを鉱山業者が行う場合に、この港湾運送事業法に引つかかるわけですか。
  41. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) その鉱山業者が自分のはしけでその鉱山から産出する鉱石だけを運搬いたします場合には、この適用は受けないのでございます。
  42. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、そういうものは別に登録の必要もないということになりますが、ないだろうと思いますが、念のために伺つておきます。
  43. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 登録しなくてもよろしうございます。
  44. 一松政二

    ○一松政二君 それから第十条の、私が午前中に論じた割引をすることが将来必ず起る。ところがそれを受けて罰則が、三万円以下の罰金を科するという規定があるようでありまするが、これは陸上運送法のタクシー、ハイヤーの例と違つて、私はかなり権衡を失しているように思いますが、その点は如何ですか。タクシー、ハイヤーでは免許を取消すことがあつても、その違反事件に対してたしか罰則らしい罰則がないように伺つておりますが……。
  45. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 現行法はあるそうでございます。
  46. 一松政二

    ○一松政二君 この間の局長の答弁では罰則はない。但し、ただ罰則といつても罰則による科料とか、罰金とかいうのがないので、悪質の者は免許を取消すというようなことの答弁があつたように思いますが、私の聞き違いでしようか。何だつたら今その点明らかにしておいたほうが……。
  47. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 港湾運送事業法のほうでは罰金もございますが、事業の停止というのはある。
  48. 一松政二

    ○一松政二君 それでは罰則のほうをお取りになつたら如何ですか。事実問題として、そういうのはわかるかわからないか。又それを励行するか、励行しないかという手加減が非常に加わるものであつて、又事実それを発見することが非常にむずかしいし、それをやれば結局通報制か何かで、非常に何か同業者の道徳心の問題にまで発展するのじやないかと思いますが……。
  49. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 罰則にはいろいろ段階があろうかと存じておるのでございますが、「罰金刑は事業の停止より軽い罰則だと解しております。
  50. 一松政二

    ○一松政二君 それは結局手加減の問題だと思うのです。なお、今の私のその点には確信がないのです。道路運送法に私はないという答弁を聞いて、今の免許取消ということがあるということのみ伺つたように記憶しておるのですが、これは一つこの法案と丁度釣合いのあるものだと思いますから、念のために明らかにして頂きたいと思います。私は午前中に岡田さんからもお述べになつたように思うのですが、関税法の建前から行くか、この運送事業法の建前から行くか、それはいずれでも、ただ荷物が殖えるからますますこの法の適用を拡げて行くのだというと、今五十何カ所というようなお話もありましたが、これをむやみにただ荷物があるからこの法令を拡げて行くということは、私はどうも法律のために何だかそういうことをやつて行くような気がして、実際上その必要はないのじやないか。必要がないのだけれども、こういう法律があるから結局適用の範囲のものだけは、その網の中に入れて行くのだというお考えのようにしか受取れないのですが、拡げなければ非常に何か差支えがあつて、何か陳情か請願が運輸省にたくさん来ておるというのでしようか、どうでしようか。
  51. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 只今の質問に対しましてお答え申上げます。現行法は関税行政の立場からきめたものからピツク・アツプしておりまするので、実際の港湾の実情に合わないのであります。即ち現在規律しておる港湾より、ずつと比較にならんくらい輻湊しておる港湾がたくさんあるわけでございます。かようなことから結論的に申し上げますと、適用港湾が拡がつて参つておるわけであります。これは仮に根本的にこの法律を廃止してしまつて行くという観点に立つて、つむしろこの機会に適用港湾を少くせよという問題になりますと、これは根本的な、ものの立脚する観念が違うことになりますので、これは別問題になつて参ります。が、通じまして運輸省は少し強制のような気持の立法が多過ぎるという一貫した御議論に対しましては、私もそういうような感じを持ちます。が、先ほど御説明申上げたように、現行法の悪いところを直し、公平なる法の客体として公平なる待遇を与えるという観点に立ちまして、これを改正するということになりますと、お手許に出しましたような改正案になつたと、こういうように御了承願いたいのであります。
  52. 一松政二

    ○一松政二君 その建前を関税法の建前から行つていると、今度は港湾運送事業を主体とした方面から行つているというので、その建前を変えた理由は一応呑込めますが、現在適用している所と今後適用しようとする所は、その数字を一つ承わりたい。
  53. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) それは午前中港湾局長から御説明申上げたことでありますが、政府で考えておりますことを伺いますと、二十八港ほど増加するようでございます。一つの例を申上げますと、九州の苅田港のごとき、あれは百二十万トンの貨物を扱つておりますけれども、これは適用を従来いたされておりません。かような港が相当あるようでございます。そういうようなのを権衡をとり矯正した結果が二十八港の中に属している。
  54. 一松政二

    ○一松政二君 苅田港は最近にできた港で、そうして殆んどあすこで積出すものは石炭だと思うのですが、その石炭は恐らく途中の荷役はなくして、直接倉庫から本船に積込まれるものであつて、それは港湾運送法をそこに適用する余地はないのじやないか。
  55. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) お説のように、はしけはございませんが、石炭の積込におきましては、沿岸の積込作業、船内の荷役作業があるのであります。それから苅田のような港は、最近にできました千葉港、或いは相当前から年間百万トン以上扱つて、これは諸種の荷役があるのでありますが、尼ケ崎のような港はまだこの港湾運送事業法の適用を受けないのでございまして、今回これらの港は追加して行きたいと考えておる次第であります。
  56. 一松政二

    ○一松政二君 そういう、今例に挙げられたような港は、途中の荷役はなくして、そうして積込の場合には、殊に今の苅田港のごときは、これは積込むまでは鉄道の貨物運賃とそれから積込み賃が加算されて行つて、これは国鉄で払うはずだと思います。そうするとただ本船に積込んで、それを船内でたくさん詰めるためにならす場合は人夫が要るが、そういう所を適用しないから何か弊害が起つたというのですか。
  57. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 苅田港におきましては、苅田港港運会社がございまして、これが石炭の荷役の一部を引受けておりますし、又船内等におきましては、それらのならしばかりでなく、相当な作業が、この石炭を入れる場合のいろいろなさ行が行われておる。
  58. 一松政二

    ○一松政二君 それはどうも法を適用せんがために、荷役が、相当積込数量が大きくなつたから、この法律をそごまで伸ばしたいというふうにしか聞えない。港運会社がやつておれば、港運会社以外にはそういうものは殆んど競争会社もないだろうと思います。船内の積込でならし、その他と言えば、それは若し本船の希望上荷役が二つ三つに分れれば、それはむしろ港運会社が請負つていることなんです。あえてこういう港湾運送事業法をそこに適用しなくても、それは立派にそこであなたの言う秩序というものは……、私はそこの仕事は殆んど一手にやつているものだろうと思うのですが、それでもなおこういうものを必要とするわけですか。
  59. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) この法律を適用しましてやることは、同種の大体同じ程度の港湾には適用するという網をかぶせまして行くというのが一般の法律の規定の仕方だと思います。そのために登録したり、厄介なことをする、要らんことであるということだろうと思いますけれども、これをそういう程度の煩雑なことは全く気の毒だと思いますけれども、公平なる取引を常に永久にやるかといつたらば、それもなかなか断言できないことでありますし、とにかく法律がある以上はこれを守つてくれれば非難するところはないし、運輸省としても不当なる干渉はしないだろうし、又いたすべきではない、私はかように考えておるのでございまして、一応は同じような港湾は同じ法律の下に置くという普通の例に従つておるのでございます。
  60. 一松政二

    ○一松政二君 その点は私は意見が非常に異なる。法律があるからこれを適用しなければならんと、公平に適用すると、併し法律を適用しなくても、立派に何らの弊害がなく、そこでそこなりの秩序が保たれておれば、あなたの言ういわゆる秩序が保たれておれば、どこにもそういう迷惑をかけたり弊害がないわけです。そこへ持つて行つてむしろ法律をやれば、法律を励行しようとすれば、法律の励行を監視する人がなければ励行できない。網だけかぶせておいて、それは何によつてその励行を監視し、或いはその励行を求めることを何によつてやろうとなされるのか。
  61. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 只今の問題は、道路運送事業法で御答弁がお済みになつたかどうか知りませんが、やはり同じような問題が起きて論議されたところであります。よそから入つて来て、そこは施行していない港であるから、どんなことをやつてもいいかということになりますと、これはやはり弊害が生ずるのでございまして、一応形式は同じような港には同じ法律の適用を、法律の客体といたしまして一つの準則を定めて置くということは、私は必要だろうと考えております。
  62. 一松政二

    ○一松政二君 その励行はどういう考えによつておやりになるのですか。その法律を守つているか、守つていないかということは……。
  63. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 行政措置といたしまして、この励行を促すのでございまして、現在その方面の港にはそれぞれの出先機関がおりますから、それに十分過ちのないような指導をやらさしたい。
  64. 一松政二

    ○一松政二君 私は道路運送法の例を今引かれたことはやや以外であります。道路運送法で問題になつたのはハイヤー、タクシーの問額であつたのであります。ハイヤー、タクシーは、神戸のものが大阪へ行くとか、京都に行くとか、横浜のが東京へ出て行くとか、東京が横浜に行く程度のものであります。他の問題は余り生じておりません。併し港湾の荷役のようなものは、朝に晩にそう三十分や一時間で船を引つ張つて行くわけには行きません。従つてハイヤー、タクシーと同格に論ずることは、私はこれは余りにも議論のための議論と思いまして、そいつを一つ例に引かないようにして頂きたい。殊にクレーンがあつて、岸壁で荷役をしておるような所には、どこから行つてそういうものをやるということはできないわけであります。ただ私は願うらくは、自然に流れておるものは、自然に流したらいいじやないか。そこに無理に法律を引つかぶせて、そうして何か固苦しいようなことをやらなくても、世の中が治まつて、近所に大した不平もなくやれておるところに又新らしく法律を拡げて行つて、そうして何らか、とかく上から何か網がかぶさつたような気持がすることは、成るべく排除したほうがいいのじやないかと思つておるのであります。これは意見になりすから、私はこれは討論に譲りまして、私の立場は一応この程度で終つておきます。
  65. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 只今一松君から御要求のありました件、専門員から一つ説明させます。
  66. 田倉八郎

    ○専門員(田倉八郎君) お尋ねの道路運送法の罰則は、百二十九条にありまして、それが五万円以下となつております。それで今度この法律は大分改正になりましたが、この点については改正が施されておりませんから、新らしい法律でも五万円の罰金規定は残つております。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 それは甚だ意外であります。実はそういう答弁じやなかつたように……。速記録であとで調べて又適当な機会にその問題は譲つて、今日のところはその程度にしておきたいと思います。
  68. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御発言ございませんか。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 三つ、四つ念のために質問をしておきたいと思います。この事業に必要な労働者及び施設について、運輸省令で定める要件を備えない者は登録を拒否すると、こういうようなことでございますな。そこでこういう拒否する場合どういうような条件を省令で出されるつもりか、その内容について腹案がありましたら御説明を願いたいと思います。
  70. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 政府の考えておるところを確かめましたところによりますと、初めから無理はできませんから、無理のない、その線に沿いまして当分は現行法の解釈と同じように、一単位作業量ということにしまして、その範囲を明示することにすると言つておるのであります。一単位作業量と申しますと、取扱貨物量、各港湾の実情、船型、作業の種類、性質等によりまして、具体的に判断するのでありますが、船内荷役でありますならば、大体木船からはしけどり回漕の場合におきましても大体一ハツチ分、それから沿岸荷役につきましては一ギヤング分の作業というふうに考えておるということであります。大体適当なところだろうと考えております。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 登録申請書には添付する書類があると思うのですが、これはどのようなふうにしたら、大体種類別に……。
  72. 町田直

    ○説明員(町田直君) 法律に書いてございますように、雇用する労働者の数或いは事業の施設に関する事項、そういうようなものであります。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 その添付書類の中に、労働組合がある場合には、労働組合との労働協約、或いは就労規則というようなものも含ませる必要があるのではないか。というのは、不当競争の起つている一つの原因として、この労働条件、賃金というものは非常に高低が、大きな差があるというような理由があるのですが、そういうようなことを不当競争を取締るというような意味においても、いわゆる一定の労働条件の基準というものを知つておく必要があるのではないか、こう考えるのですが、そういう点についてのお考えはないのですか。
  74. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) この点につ要しても、いろいろ考えてみたのでございましたが、就労規則の作成義務につきましては、労働基準法の励行がされるならば目的を達するはずでありますが、実際問題として、将来これが必要だということになれば、これは研究をしてそういう措置も、労働協約を届出るという、添付書類として届出るという措置も、或いは講じなければならんかと思いますが、まだ只今のところは結論が出ておりません。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで労働基準法或いは労働法、職安法というものが守つて行かれるということであれば差支えないという話でありましたが、実際の実情としては、特に港湾運送の場合においては、そういうような法律に偉反をしておる事例が非常に多いということを私は知つておるのですが、而もこの事業の性質上、これを調査し発見をすると、こういう適当な能力というものは、或いは方法というものは非常に欠けておる。それがために基準法、労働法、或いは職安法というような労働者の法律というものは殆んど守られていないというよりも、むしろ甚だしくこれは破られておるというように私は承知しておるのですが、その辺の御認識はどうでございますか。
  76. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 事実そういう問題は至るところにあると思います「現実の問題といたしまして。ところで、実際の海運当局において今やつておりまする状況を聞いてみますと、昨年の中頃から地方海運局ことに港湾運送調査委員会というのを設置しまして、いろいろのきめてあることが励行されるように研究をし協議をしておるようであります。これはその各港湾がひどく性質を異にしておるところが、つまり要素の違つておる港湾が多いのでございまするので、その港湾の実情に応ずるようにするために、各海運局に一任してあるのでありまするが、こういうものに労働代表を参加させるというような方法も実際考え得ることと思いますし、そういう面から改善して行くならば、更に将来は或いはプラスになるかとも私自身は考えておるのであります。
  77. 大倉精一

    ○大倉精君 そうすると、そういうような港湾運送事業関係の調査機関といいますか、或いはそういうような機関の中へ労働者の代表も将来は入れるのだと、こういうお考えのように考えてよろしうございますか。
  78. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 今そういう調査委員会が各地に設けてあるのでございますが、名古屋地区と北海道地区にはすでに労働代表は入つております。ほかの地区につきましても、それがいいことでございますから御趣旨に副うように努力いたしたい、かように考えております。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、この第九条の第四項の一号で「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」という工合になつておるのですが、実際の現状としては、現在の港湾運送事業というものは相当乱立の傾向にある。従つて利潤というものを無視した不当なる競争を余儀なくされておるような現状であるという工合に考えておるのですが、当局のほうはそういうように考えておられるかどうか。
  80. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) その四項の「適正な利潤」であるかどうかということは、運輸審議会がありまして、運輸審議会にそれぞれの専門の学識経験者がありまして、十分答申しておりますので、適正な料金ということにつきましては、運輸審議会の諮問の結果によることがいいのではないかと考えております。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつと質問の要点が違うのですが。そういう料金がきめられておるのですが、併しながら実際の現状としては、相当不当競争を、無理な競争をしなければならん。一松先生のお話で行くと、法律なんか要らんのだ、水の流れるように流して行けばいいじやないかというようなお話があつたのですが、併しながら現状はそれと同じような状況になつて、むしろこれが乱立という形になり、非常に秩序が混乱をしておるというような恰好ではないかと私は思うのですが、現実についての御認識をお聞きします。
  82. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 料金の切下げが各地に行われていやしないかという御質問かと存じますが、現にそれぞれの港で或る程度料金が切下げられておるというような噂を聞いておるのでございますが、そういう情報を得ましたので、早速現地に通牒を出しまして、その実態を十分調査しろ、で、その実態に基要していろいろな指導をやつて行きたい。例えば荷主に対して港湾運送事業法の精神をよく話しまして、不当に切下げのないよう、圧迫を加えないよう、出先の機関に指導せしめるという方法、それによつてなお事業者なりがその料金の切下げをやつておるという事実がありましたならば、更に相当な法に基く罰則を適用することにいたしたいと思つております。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで私はこのことを聞くという理由は、さつきの労働協約ともからみ合して、道路運送も、或いは小運送事業も、港湾運送事業も殆んど同じだと言われるのですが、これはこういう工合に不当な運賃の切下げをやつて競争して行くということが、こういう事業については可能なんだということは、殆んどこれは業者の損でなくしてそれだけ賃金を切下げて行くことができる、自然に切下げて行くことができる、例えば出来高その他の方法によつて単価コストを切下げて行くというようなことで、殆んど労働者のほうへそのしわ寄せが一方的に来ておるという、現在そういうようなことから、この「適正な利潤」、或いは「適正な原価」というものについては相当大きな関心を持つのですが、今お話によるというと、御調査を願つておるということですが、その資料はおありでしようか、調査をされた資料というものは。
  84. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) まだ全部手許に集まつておりませんので的確なことはこの席では申上げかねると思いますが、御質疑になりましたような趣旨は十分了解できますので、この港湾運送事業法に基いて、過ちのないような行政運用をやつて行きたい、かように考えております。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは今後の参考のためにしたいと思いますので、折角御調査があれば、いつかの機会にその調査結果の資料をできましたら一つ出して頂きたいと思います。それから現行料金は、これはいつ定められた料金なんでございますか。
  86. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) これは昭和二十五年度の実績によりましてこういう定め方をしております。原価要素につきましては、昭和二十六年の四月を基準にしておる原価要素でございますね。それから業務量については、二十五年度の実績によつて算出をしております。ところで、その後の労務費の平均二〇%引上げを始めまして、大部分の原価要素が値上りしておりますにもかかわらず、一方業務量の増加は、昭和二十五年度に対して全国百十四港につきまして、昭和二十七年度上期の統計を見ますると、約一三〇%になつておるようであります。この業務量の増加によつて漸く採算割を免かれておるというのが大部分の態勢でございます。従いまして結論的に申上げますと、利幅が漸次少くなりつつある、極めて弱小の、極めて小さいやつはむしろ生活線を割るくらいなところまで追込まれておるものまであるというように考えております。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の、そうすると現行の告示料金というのは、大体二年くらい前にきまつたものである。そこで鉄道料金、鉄道運賃、或いは小運送料金は確かにその間に引上げ会計になつておるのですが、その後に据置かれておつて、そうして僅かに業務量の増加ということで補つておる。弱小船主は生活線一ぱいであるというようなことですか。これは適正な利潤ということができんと思うのですが、その点はどうでしようか。
  88. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 採算線を割るような、適正利潤とも言えないのは当然あります。但し、この点につきまして、一方から言うならば、更に合理化し、コストを合理的に下げる工夫もまだ余地がないとは申されません。と同時に一方から言うならば、強力な業者の圧迫を受けて公正な取引の範囲を出るような虞れがありますがゆえに、こういう法律でやはりそういう弱小なものを保護して行かなければならないという面が招来するわけであります。この点は一松先生や我々が大いにやつておつた意見の相違に属するものでございます。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 我々としては鉄道料金が上り、電信電話料金が上つたりすることは反対ですが、かといつてこのように二年前のものを据置いて、而も原価を割つた適正料金、適正利潤だということはいかんと思うので、ちよつと聞くところによると、何か内外の大手筋あたりからむしろこれは引下げろというような非常な圧力があるということを聞いておるのですが、そういう事実があるのですか。
  90. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) そういう噂があると聞いております。先ほど申上げましたように、出先の機関に調査をさしておるのでございますが、非常にむずかしい問題と見えまして、まだ資料が出ていないので、甚だ遺憾でございますが、この席でこのことを申上げかねるのでございますが、噂は私聞いておりますが、実態がどうであろうかということは、もう少し調査に時日をお借りしたい。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 私もその実態は遺憾ながら詳細な調べはつかんでおりませんが、併しながら関係者の方面からそういうようなことを具体的に聞いておるわけです。今調査中であるそうですが、若しそれが事実だとするならば、これに対するどういう措置をおとりになるつもりですか。
  92. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 荷主なり或いは業者に対して、その法の精神なり或いは運用の過ちのないようないろいろな警告をしたり、指導をするのが先ず第一だと思います。それで下げておる所があるということも聞いておるのですが、名古屋とか北海道では、先般私視察のときに聞いて見たのですが、まだそのような事実はないというようなことも聞いておりますが、特殊な地方でそういつたようなことがあるのではないかというふうに考えられるのでございます。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあその対策は精神的啓蒙をやるのだということらしいのですが、なかなかこれは精神的啓蒙では片が付かんと思いますので、このような事実があるとすれば、やはり具体的な措置を考えられて、そういうことのないようにして頂かなければならんと考えておるわけで、これは強く要望したいと思います。  なお二十三条の三は非常に問題になると思うのですが、現在の港湾運送事業は、取扱貨物の割合に業者数或いは船舶共に過剰であるという工合に考えておるのですがこの点はどういうような関係になつておるか。
  94. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 一概に過剰であるとか不足であるという工合には、私はどうも……この港湾運送事業は、御承知のように非常に波動性があるものでございまして、荷物のないときには殆んど動かないが、船舶が輻湊いたしますときには普通の、平均の二倍とか二倍半程度になるのでございまして、それらのときには相当忙しいこともございますし、又余り船舶が入つて来ないときには、港湾運送事業者のほうでもひまなときがあるのでございまして、そういつたようなときには、いろいろ沿岸の荷物を動かすとか、或いは陸から陸に荷物を動かすというようなことで、成るべく波の高低の少いような方法をとつておるよろでございます。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 無論港湾業者は陸上の業者と違つて、確かに波動もあり、それから仕事に閑散なこともあるということはわかるのですが、現在の一般の情勢からいつて、先般の道路運送法にも言われたように、適正な供給、輸送量といいますか、需要に対するところの適正な輸送力の供給量が適正でなければならないというようなことが言われておつたのですが、港湾の場合においては、現在適正な供給量でなくて、需要量に対して非常に供給力が余つておるという工合なことを言われておるのですが、かようなことはございませんか。
  96. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) 大体にいたしまして、忙しい所は相当能力のほうが不足しておるのじやないかと思いますが、労務者だけについてみますと、おおむね労務者が全国の港湾におきまして十万程度ではないかと思うのですが、そのうちの七割が常雇でどざいまして、三割程度が旦届を雇つておるというような現象からみましても、余り能力のほうが過剰であるというような結論は出て参らないのではないかと思いますが、これは併し全国的の平均を見た場合でございまして、港々によつては非常に忙しい所も閑散な所もあるのじやないかということになろうと思います。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで非常に閑散な所があるとすれば、これによつて現在木船輸送業者が苦境に立つておるのじやないかと思います。この運送業者がそういうところに割込んで来て、そうして更に木船運送業者の進出といいますか、不当競争というものを更に混乱させるのじやないかということも考えられますけれども、そういうことはこれによつて惹起しませんか。
  98. 黒田靜夫

    ○政府委員(黒田靜夫君) この運送事業法は登録制になつておりますので、資格要件を備えた者が登録を申出た場合に、基準に合つておればこれを拒否するわけに行かない定めになつておるのでございます。併しながらこの港が閑散で事業を開始しても儲けにならないような港については、新らしい登録は商売の上から見ますと出さないのではないか、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に念のために聞きますが、九条の二に「利害関係人」というのがあるのですが、これは港湾事業に関係しておる労働者とか労働組合というものを利害関係人の中に含んでおるのですか、含んでおらないのですか。
  100. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 立法者の考えといたしましては、労働者の方々を含んでおりません。荷主、同業者、更に運輸大臣を別に掲げましたが、公益の立場で運輸大臣を入れました。こういうわけでございます。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 経営者は無論これは当事者でありますから、利害関係人に含まないのだが、私はこれに従事する労働者というものは、これはこの事業の興廃によつて直ちに死活に影響するというような結果になるので、最も深刻な利害関係人じやないかと思いますが、どうですか。
  102. 岡本忠雄

    ○衆議院議員(岡本忠雄君) 労働者はこの会社の一員でありますし、これは労使関係として処理さるべきものと私は考えております。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは考え方が違うのでどうにもなりませんが、これはさつき調査機関に労働者も入れるというような、現在入れておる所がありますが、こういう趣旨からいつても、やはり港湾におけるところの利害関係人というものは労働者、或いは意思を代表するところの労働組合というものも私は当然含むべきであると思うのです。これは私の意見ですが、そのような意見だけを申上げておきます。以上で質問を終ります。
  104. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御発言なければ質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。おのおの賛否を明らかにして御意見のおありの方はお述べを願います。
  106. 一松政二

    ○一松政二君 私は港湾運送事業法の一部改正のこの法律案は、提案者の言われるがごとくに、現存の法律よりもかなりよくなつておるということでありまするから、私はそれに信頼をしてこの法案に賛意を表するものであります。  併しこの法律全体に流れておる思想については、審議過程において私が発言いたしましたごとく、かなり私は問題があると思います。そうして日本の今後に処すべきいわゆる経済施策としては、日本の物価を大いに引下げて国際水準に持りて来て、そうして大いに輸出能力を養うということは、現在の経済規模において、或いは経済機構において、できるだけ物価に影響を及ぼすものの引下げの方向に向つておるのが根本方針であろうと思うわけであります。然るにこの法案の底を流れるものは、おおむね現状維持或いはもつと現在よりも或る程度若し不当に安いところがあれ、ば高いところへおいて、それに右へならえをやりたいというふうに、私は質疑を通じてそういうことを感得したわけであります。それは先ほど申述べました物価を低減するという方策とは少し行き方が変つておるのじやないかと考えます。従つて、これが施行に当りましては、そういういわゆる日本経済の根本を流れておる思想と成るべく合致するようにこれが運用を志して頂きたい。  それから第二点は、私は先ほども申上げましたが、法の運用であります。法があつても運用よろしきを得れば弊害はないのです。私はしばしば聞くことでありますが、法律があるからやるのだ、法律があるから違反者が出るわけであります。法がなければ違反者が出ない。違反者があつても普通の社会生活上何ら弊害を及ぼしてないものは、私はみだりに法があるからといつてその運用をやるべきじやないと考えております。で、この法律を現に施行しておる所よりも更に二十八カ所もこの運用を拡げる、将来若し他の港湾において荷役が、取扱う数量が殖えれば、更にこの施行を拡げるというようなお話でありまするが、それは私は甚だ不賛成であります。できるだけこの法の適用範囲は、弊害の起りそうな所、現に何ら問題のない所にはわざわざこの施行を延長することは、私はこれは少くとも私個人の意見となりまするが、そういうものは法の施行をそこまで延ばさないようにして頂きたいと考える。ということは、法律のために却つて秩序を乱るようなものであります。現に波が静かな所へ改めて法律を持つて行つて、そこでその法律の鏡に照らして却つて罪人を作るということは、実際の世の中は何も法律通り行つているのじやないのです。道徳の通りに行つているのじやないのです。そこで宗教や道徳やいろいろなものが問題になつて、ただ法律だけで世の中を律したら実に味気ないものになる。でありますから、ただ法律があるから励行するのだ、法律があるからこれをこう拡げるのだというような行き方でなくして、真にこの法律の精神を私が申上げたような線に沿つてやつて頂ければ結構であるし、その線に沿うて適用範囲はできるだけ私は少いことを要望しまして私の本法案に対する討論を終りたいと存じます。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこの法案に原則的に賛成をします。  ただ質疑中にも申上げた通りに、現在の港湾運送業者というものは、相当濫立と無統制の下に悩んでおるというような現状にあると思うのであります。従つて最も問題になるのは、第三十三条の三であると思うのですが、これはこの運用或いは監督指導よろしきを得ないと、結局港湾運送に関する秩序の確立という基本的な精神が破れてしまう、こういう意味から濫立によるところの不当競争というものが起らないように、飽くまでも港湾運送の秩序を確立するように特に一つ調整指導が願いたい。この点についての行政措置については、特に格段の御留意を願うということを要望して賛成します。
  108. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御発言ございませんか。別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。
  112. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつと速記をとめて下さい。
  113. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  114. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記を始めて。  次に、本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交太藏   植竹春彦     一松 政二  加賀山之雄     新谷寅三郎  大倉 精一     大和与一   東   隆     松浦清一   木島虎藏   ―――――――――――――
  115. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 次に、お諮りいたしますが、休憩前に懇談会の席で問題となりました自動車税に関しての地方行政委員長に対する申入の原案ができましたから、お諮りをいたします。朗読いたします。    地方税法の一部を改正する法律案に関する件   標記の件について七月二十九日開催の運輸委員会において左記の通り要望意見を決定致しましたからよろしく御高配下さるようお願い致します。     記   地方税法第百四十七条の自動車税の改正は自動車運送の発達に支障を来す倶があると認めるので税率を現行のまま据え置かれるよう措置せられたい。   右要望する。  御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。さように取計らいます。   ―――――――――――――
  117. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題に供します。  先ず発議者の説明を求めます。
  118. 大和与一

    ○大和与一君 只今議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を簡単に御説明申上げます。  現行日本国有鉄道法におきましては、国有鉄道の職員は、地方公共団体の議会の議員(町村を除く)を兼ねることが禁止されているのでありますが、かかる措置は実情に副い得ないものがあり、且つ憲法によつて保障された公民権である被選挙権を不当に制限している虞れがあると考えられるのであります。  即ち第一に、国有鉄道職員の居住状況を見ますると、全国を一貫する厖大なる輸送業務に携わつている関係から、分岐駅、繰車場、工場或いは一定距離間に所在する組成駅等においては、その構内に幾多の業務機関が設置され、当該市町村における職員居住の割合は他に比して極めて大であり、所によつては職員数がその大半を占める箇所さえあるのであります。  かかる箇所において、市なるが故に国有鉄道の職員が、まつたく地方自治に参与することができないということは、地方自治の本旨に反するものといわなければなりません。ちなみに国鉄職員で現在市議会の議員を兼職している者は全国七十七名の多数に上つているのであります。  なお、最近政府が慫慂している町村の合併が促進されるならばますますその数は増加することが予想されます。  第二に、国有鉄道の職員が地方議員を兼職した場合業務に及ぼす影響が大であるかのごとく考えられるのでありますが、単に国鉄職員ばかりでなく、市議会の議員としてその職務に専従している人は極めて少く、他に勤務を持ち、或いは家事のかたわらその責務を果しているのが通例であろうと思われます。勿論、職員は直接又は間接に旅客、貨物の輸送に従事する重責を担つております。併しながら、市町村の行政区域は比較的狭く且つ、交通機関の発達いたしております現状におきましては、何ら業務に支障なく議員たるの責務を果しつつあることは既往の実績が雄弁にこれを物語つているところであります。  第三に、同じ公共企業体の職員である専売公社の職員には議員兼職に対する何らの制限規定もなく、電信電話公社職員は市議会の議員まで兼職が認められている現在、国鉄職員なるが故に、町村議会の議員のみにとめておくことは、過去の政治的慣習を無視するものであるばかりでなく、一貫性のない極めて不均衡な取扱であるといわなくてはなりません。かかる問題は法律によつて抑制すべき事柄ではなく、有権者の自由にして民主的な判断に待つべきものであると思考いたします。  以上の諸点より、国鉄職員に対する議員兼職の制限規定は本法律より削除すべきが当然ではありますが、本問題の今日までの経緯に鑑み少くとも市議会までは兼職を認むべきが妥当と考え、右のごとく提案致した次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに可決あらんことをお願いいたします。
  119. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) ちよつとお諮りいたしますが、本法案は従来から非常に沿革があるようでございますが、若し必要でございますれば、専門員から従来の沿革の御説明を申上げます。
  120. 一松政二

    ○一松政二君 私は委員長提案の通り、専門員の説明をお願いしたいと存じます。
  121. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) それでは専門員。
  122. 古谷善亮

    ○専門員(古谷善亮君) 今のこの問題は日本国有鉄道職員の兼職問題といたしまして日本国有鉄道法が出ましたときからのいきさつがございます。  最初日本国有鉄道法が昭和二十四年六月にできましたときは、一応、この法律の施行法によりまして、今までのものは改選期が来るまで一応そのままというような形式がとられて参つたのであります。その改選期と申しますのが昭和二十六年でございます。そこでこの兼職問題が単行法になつて出て参りましたのが第九国会でございます。第九国会に政府案として出て参りましたものは、その法案を申上げましてもわかりにくうございますので、結論だけ申上げますというと、当時の政府案は、全部兼職ができるという思想で以て書かれて参つたのであります。全部と申しまするのは、地方公共団体の議員全部に亘つておるのであります。ところがこの法律案は、先議の衆議院で審議未了になりました。そこで第十国会におきまして、続けてこの法律案が出たのでございまするが、今度は又全部逆に、全部できないという思想で以て法律案が書かれて参つたのでございます。そこで、当時参議院におきましては、市町村の議員だけはよろしいという意味の修正案が出まして、両院が意見が一致いたしませんために、両院協議会に相成つたのであります。その結果、現行のような町村だけになつておる次第であります。で、この間におきまして、先ほども申しましたような議員の改選の問題がありましたことと、もう一つ、日本国有鉄道法の改正の経過におきまして、改正の条項のミスがございまして、それをめぐつての派生的な問題があるのでございますが、それをこの際申上げますというと、本筋の議論じやありませんので、徒らに複雑になりますので、それは申上げませんが、それをも含めまして、両院協議会で成案を得ました次第であります。それが現行になつております。  なお、参考のために申上げたいことは、電電公社が市町村全部兼職になつております。それから専売公社のほうは、これは初めから問題になつておりません。初めから問題になつておりませんということは、結局該当する条文がないのでございます。大体調査の結果は以上のようになつておりますので御参考に申上げて置きます。
  123. 松浦清一

    ○松浦清一君 専売公社、電電公社の職員が市議会まで認められて、国有鉄道の職員が市議会が認められなかつたという主要な原因はどういうところにあつたのですか。提案者のほうはわかりませんか。わからなかつたらそれでいいです。それで今専門員から、今までの経過、参議院におけるこの問題の扱い方の経過を聞いてみますと、衆議院はともあれ、参議院においては、国鉄職員には市議会まで認むべしという見解の方針をとつて来たようでありますから、当然これは今までの審議経過の伝統と歴史に基いて賛成をすべきだと私は思いますけれども、お伺いしたいのは、衆議院のほうでは、今どういうように扱われておりますか。全然問題になつていないのですか。衆議院のほうでは。
  124. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  125. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記を始めて。
  126. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 今お話のように、電電公社の職員につきましては、政府原案は、町村だつたのです。それを参議院で我々が修正しまして、両院協議会に持つて行つて、衆議院が同調したのです。そのときに、私たちも町村のそこまで拡張してもそう大した支障はないだろうというので、実績を調べた結果、拡張することにしたのですが、ただ、その場合に、多少実際上の公社内の措置ですがね。例えば、必ずしも勤務地と居住地とは一致しないわけですから、小さな駅に助役さんあたりが二、三人おられる。それが、あちらの町の町会議員になり、こちらの市会議員になり、というので、仕事の上で、殆んどすべての幹部がそういうことになると、場合によつては、仕事に影響を与えるので、そういう場合には、何といいますな管理者の同意を得るとか何とかというような方法をとる必要があるじやないかということについて、いろいろ電電公社のときには話合つたのです。電電公社のほうでも、そういう場合には現業局であれば局長の同意を得るとか、或いは地方局であれば、その地方局長の同意を得るというような措置がとられておるようです。この国鉄職員については、内部規定だと思いますけれども、そういつたことがあるのかないのか、これは全然自由意思でやることになるのか、その点伺つて置きたい。
  127. 大和与一

    ○大和与一君 今の答弁ではないのですけれども、今度は、これを通して頂けば、例えば、一応総裁の許可を得るとか、そういうことはやりたいと思うのですが。
  128. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 政府委員に伺いたいのですが、政府委員のほうでは、今大和委員のおつしやうしたように、内部規定でそういうふうな仕事に著しく支障を及ぼすことのないようになさるのですか。
  129. 植田純一

    ○政府委員(植田純一君) 実はこの問題につきまして、国鉄当局といたしまして、又政府といたしましても、今日までのところはつきりとした実は結論に到達いたしておりませんものでございますので、今直ちに何とも申上げられませんが、恐らくこの法律ができましたならば、と申しまするか、そういういろいろの支障が考えられます面と、それから又必要な面と、両方ございまして、政府としては今までのところはつきりと態度を決しかねておるような状況であります。
  130. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御質問ございませんか。
  131. 松浦清一

    ○松浦清一君 政府委員の方にちよつとお伺いするのですが、若しこの改正案が通つたとしてですよ、例えば神戸だとか、横浜だとかいうような大都市においては、少くとも予算市会等に出席をするためには、二週間ぐらいやはり休まなければならん。そのときには、そういうことになつた場合には、別に服務規定というものをこしらえて、二週間も続けて休んだら困るというようなことを鉄道当局で作つてしまえば何にもならんということになるのですが、その点どうですか。重ねて御答弁の前にもう一遍伺いたいのですが、そういうことになれば法律を改正した趣旨というのは通らないことになるですね。
  132. 植田純一

    ○政府委員(植田純一君) 確かにいわゆる業務と議員の兼職というものとの間の調整ということが問題になりますので、従いましてこの問題全体として政府として決しかねておるわけであります。いわゆる内部規定で何か制約をするということが果して適当なのであるのかどうかという点にも問題があろうかと思います。併しその調和ができれば非常に結構だと思いますが、その方法が果して内部規定でいいのかどうかということにつきましても、実は政府部内でもいろいろ検討を要する点があるのじやないかというような議論をいたしたこともありますが、そういうような点につきまして、実はまだはつきりとした結論に到達しておらないのが実情でございます。
  133. 松浦清一

    ○松浦清一君 私が尋ねている趣旨というのは、折角国会で通して行つても、国鉄の内部規定でほかに公職を持つて、そうして長期に亘つて請暇をされるというのは困るというような規定を作つたのでは何にもならん。若し国会の意思に基いてこれが通過して市議会議員になつても、国会の趣旨を尊重して二週間ぐらい予算市会に出て行つてもその請暇を認める、こういう気持になつてもらわなければ困る、こういう気持で尋ねておるのです。そういう抑制をすべきでない、こういう趣旨で質問をしておるわけであります。
  134. 植田純一

    ○政府委員(植田純一君) この法律ができますると、この法律の趣旨を制限するようなことを内部規定で制約を設けるということにつきましては、これは不穏当ではないか、まあお尋ねに対しまして確かにその通りだと思つております。
  135. 岡田信次

    ○岡田信次君 この法律の中に何か無制限でなくて、例えば総裁の認可をとるとか、或いは所属長の認可をとるとかいうような事項を入れるとか、或いは又そういうものについては別の内規によるとか何とかいうふうに入れるわけには行かんですか。実はこれはこの前参議院におきましては、我々も賛成したのですが、両院協議会になつて、そのときに問題になつたのに、或る駅の駅長が或る市の副議長をやつておつた。それでそこの出身の議員が帰るたびにその駅に駅長がいつもいない、あれでは一向差支えないと言えないのじやないかということが非常に強かつたのですよ。そういうこともこれはありますからね。と言つて、今監督局長のように法律にないやつを変な内規できめるというわけに行かんから、内規で定めるとか或いは何とか適当な文句を入れるとか、無制限でなく、例えば現場長である者はいけないとか、或いはそういう議長とか副議長は私はならないほうがいいと思いますが、何か少し入れるわけに行かんですか。
  136. 大和与一

    ○大和与一君 これは国鉄当局の私はちよつと意向を打診したところでは、これについては反対ではない、これについては今おつしやつたような総裁の許可をもらうとか、或いは現場長は困る、それくらいの、今松浦さんがおつしやつたようなそういう意味じやなくて話合いをして、それは内部的なものできめたらいいだろう、こういうふうな意向は聞いております。
  137. 松浦清一

    ○松浦清一君 ちよつと速記をとめて下さい。
  138. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) ちよつと速記をとめて。    午後四時十五分速記中止    ―――――・―――――    午後四時三十五分速記開始
  139. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記を始めて。  次に、臨時船舶建造調整法案を議題に供します。  前回に引続きまして質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  140. 一松政二

    ○一松政二君 通産省の政府委員に伺いたいのですが、今日まで朝鮮向の輸出船はどのくらいな大きさのものが、どの程度輸出されておるか承わりたいと思います。
  141. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) その資料を持つて参りませんので、又後ほど調べまして申上げたいと思います。
  142. 一松政二

    ○一松政二君 従来この四月の二十八日まで運輸省は前の法律の船舶管理令に基く政令によりまして、いわゆる総トン二十五トン以上の船については許可権を持つておつたと思うのです。それで今回運輸省から臨時船舶建造調整法案が提出されておりますが、その提案理由の中に、五百トン以上の外航船舶、これは従前では外航船舶の概念には入つておりません。これは朝鮮、琉球、台湾程度の所をいわゆる近海区域でございますか知りませんが、その程度の所を往復できる程度の船は殆んど外航船舶の観念の中に入つていないのですが、敗戦以来の結果、日本が四つの島に閉じ込められて、これが外航船舶の部類に入つて来ると称するのでありますが、それの輸出が朝鮮の側において、日本船舶と非常に差別待遇をする、従つて運輸省が許可権を持つていなければ、通産省に任せておいただけでは、通産省は専らこれは輸出の見地からのみものを判断して、そうしてとかく日本の船舶全体の行政に対しては、まあ考慮の払い方が薄くなる。従つて、運輸省の海運当局が許可権を持つていなければ、対朝鮮との船舶の差別待遇について、とかくの問題のあることを処理する上にまあ支障を来たすと、こういうような発言の内容のように承わつておるのでありますが、通産省はこの対朝鮮に対する船舶の問題について、何かそういう実際上の支障のある問題を運輸省側と何か話合いになつたことがございますか。
  143. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) この船舶の輸出につきまして、通産省が一応担当いたしておるのでございますが、御指摘のように、通産省はやはり輸出の見地からいろいろ通商協定なり、或いは全体の貿易上の見地等から輸出について判断をいたします。無論生産に結び付いていなければならんことはもとよりでありまするが、製造につきましては、運輸省が所管されております国内船の建造の関係等、いろいろこれが建造につきましては運輸省側とされては、単に貿易、輸出のみでなく、いろいろな問題を考えられて運輸省としておられるというのでありまして、おのおのそこに一定の分野と思いますかがありますことでございまして、朝鮮向のこの船舶につきましては、まあ輸出上の見地から申しまするならば、これを輸出したいと、貿易経済の見地から申しますれば、輸出したいという状況も相当あるのでありまするが、又それが向うに仮に輸出されますと、その船傍観歯していろいろ国内船との運航の競争とかいろいろな問題も、やはり近いだけに発生をするというような事柄も出て参りまして、そういつた回において運輸省と折衝を私のほうの局のほうでしておるような次第でございます。
  144. 一松政二

    ○一松政二君 具体的な事例を私は示して欲しいと思うのです。一応法律を審議しておりますから、そういう抽象的なことでなくして、私はそういう貿易上なり、海運政策の問題から言えば、一応政府というものは統一意思がなければならん。事務当局だけでものを考えて、そうして事務当局で解決しなければ、大臣では、大臣が一方には許可権があり、一方に許可がないと、日本の国政がうまく行かないというようなことになれば、何か関係のあるものはすべて共管にせなければうまく行かないというのでは、私は政府の下に政府があるような気がして、それは却つて面白くないのじやないかと思うのです。従来許可権は私どもから考えれば憲法違反であると思うのだが、一応曲りなりにも政令があつて、その政令よつて許可権を持つておつたわけなんです。四月二十八日までは少くとも有効であつたのです。それで、そのときに輸出して問題があつたということは、少しそいつは却つて納得が行かない。許可権があつてそうして問題を起した。だから許可権があつてもなくても問題を起すことになると同じことになつちやう。なかつたからこういうものが欲しいというならわかるのですよ。けれども、あつたときにですね、あつたときに問題を起しているのだから、今丁度ないのだから、なければ困るという言い方になつておつて、その点がどうしても納得行かないのですが、そこで五百トン以上の船を何艘輸出して、それがどういう結果になつておるか、それから通産省としては、ただ単にこの法律を通すためのばつを合わすのでなくして、私は真に、政府として二つ意思があるわけがないのですよ、どこかで調整し得れば、どこかで調整しておればやたらに事務当局が縄張り争いをするようなことは私は成るべく避けて欲しい。でありますから、五百トンというところに目安をおいたことは、主として朝鮮との関係のように運輸省では言つておる。従つてその具体的な事例がなければ、私はその点はどうも納得が行きかねる。今までやつておつたの、だ、四月二十八日までは。それから今申しました五、六、七と丁度三カ月間、今ないのです。今失効しちやつてないのだが、ないのでどういう支障が起つたかその間に輸出があつたかどうか。これも一つ至急調べて、会期も切迫しておりますから、至急調べてそういう事例を明らかに示して頂きたい。この三カ月の間に、法律が失効してもうすでに三カ月になるのです。その三カ月間に輸出船が事実においてどしどし契約されたのか、或いは失効したために非常な支障が起つておるか、若し四月二十八日以前にそういう問題があつて、そういう問題があつたとすれば、これは私は許可権を持つていながら、運輸省が職務怠慢と言わざるを得ん。そういうことを言えばみずからの首をくくるような説明の仕方になつて来ると私は考える。でありますから、そいつは具体的な事例を通産省として、どういうことで通産省だけでやれば問題があつたのか。ただ抽象的の概念でなくして一つお示し願いたい。  それからもう一つは、朝鮮との問題じやなくして、一般のヨーロツパ或いは殆んど今日は世界的ですから、世界的にいわゆる世界航路に向つて行く大型のタンカー又は貨物船、或いは又客船とか鉱石の輸送船、曳船その他の船ですね、こういう船の輸出についての引合いは、実際問題としては輸出の成約がきまつてしまつてから、私は造船所から法令に基いて、若しこの法案が通つたらば、運輸省に許可の出願をすることだろうと思うのです。輸出するまでの、輸出する手続の、輸出の完了が、輸出の引合いの過程においては許可の申請などあるべきじやない。引合いの過程でありますから。そうして引合いをしてしまつて、具体的に値段がきまつてそうして向うから信用状を開いて初めてこつちも安心して準備が整えられて、そのときにおいて初めて運輸省に、私はこの法案が通過すれば、許可の申請をしなければならん、こうなると思うのです。具体的な手続から言えば。そういう場合に運輸省としては、当然許可するでしよう。当然許可しなけりやならんものを許可制度にしておくことは私は意味がないことであると思うのです。無用な煩瑣の手続である。そういう場合に今日通産省は為替の関係からこれの相談にあずかり得る当局であるわけです。で、必ずこれだけの船がいついつかのデリヴアリーで、いつから起工して何カ月以内に受渡しになつて、どういう条件で売渡されるか、誠にいいことであるとして通産省は私は喜んでサポートして、それをできるだけ成約させるようにするだろうと思うのですよ。そうしてでき上つた結果を改めて又通産省に許可を申請しなけりやならんことは、私は二重の手続であり、同じ政府の中で一方で、而もそれは外国に売渡して外国で働く船であるから、日本の経済圏と何ら関係はないわけです。今五百トンのことを私伺つたのは、五百トン或いは千トンか二千トン程度の朝鮮、台湾、琉球の近海で働く船については一応の考え方があると思つたから、それは具体的に事例を示してもらいたい。それから輸出船について、今日の海運業者の実情でありますから、船の引合いがある場合に、これは貿易業者が多分引合うでしよう、実際の手続上の問題としては。造船所はそういう引合いは結局条件のいい早くきまるものからやるのですから、同時に何艘の船も引合つているわけです。その中から条件の一番いいものを選り出して造船所としては受けたいのですから、船を何艘引合いがあつたといういわゆる連絡が運輸省にどうせありますから、船会社としても、或いは造船所としてもあるから、こういう船の引合いを受けているというようなことは、これは座談でも或いは事務的でも一応、模様の報告は求めなくてもするでしよう。併し義務として、そういう具体的にでき上つた船を一々又今度は、通産省で一応管轄しておるものを、運輸省に許可願を出さなければ建造に着手ができないということになると思うのです、実際問題としては。併しそんなことをしては間に合わないから、輸出船がきまつた瞬間からそれだけの準備は私はすると思う。手続のほうはあとから遅れて来るわけです。そうして手続をした時に、外国と契約をして信用状も来ている。運輸省で仮に横槍を入れようとしても入れようはないと思うし、又この法案では横槍を入るべき何らの根拠は私はないと思うのです。そういう法律案をここに提出されておるので、私は非常に意外に思つているわけです。そういう場合の通産省としての考え方を一つ承わりたいわけです。
  145. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) 朝鮮との問題になつておりますが、五百トン以上の船の輸出関係では、従来の実績と申しますか、この四月以降の実情につきましては、別途調査いたしまして事務的に御報告申上げたいというふうに考えております。  一般の外航船の輸出と建造との間の問題につきましても御指摘でございますが、通産省の立場といたしましては、やはり飽くまでも交易、輸出という見地から、仮にこの建造価格が他国に比べて某発注者が非常に安値を吹つかけた、或いはその支払条件が日本側について非常に不利な支払条件を向うか徒らに強調しておるというような面につきまして、通産省側として、輸出貿易の見地からいろいろ承認と申しますか、輸出のできる工合につきまして検討をいたしますわけでございます。何と申しましてもそういつた貿易の貝地からのみでありまして、これが実際に建造は、輸出船だけ造つているという所もないわけでありましようから、国内におきまする建造計画、又それに伴いますいろんな資金状況というようなものともやはりからみ合つて、これが担当は運輸省がしておるのでありまするが、運輸省がそういつた輸出貿易の見地以外の見地から特殊の事情、特殊の形態につ要していろいろ検討、勘考をいたすということは然るべき筋合いじやないかというふうに存じておるわけであります。
  146. 一松政二

    ○一松政二君 そういう抽象的な言葉じやなくして、運輸省は造船所についてもそれから船会社についても、今後審議さるべき外航船の利子補給とかその他建造計画、或いは船舶安全法その他によつて船自体については一応その監督権を持つておりまするから、そうして船を建造する場合には、一応どんな船を造ろうとも検査規定もありますから、これは当然運輸省に報告はされるわけです。だから運輸省はそれに対して監督行政の立場から、或る程度の発言権はあるわけです。それ以上にいろいろ観点というようなこと申されましても、ちよつとあなたはこの法律を御覧なさい。ただ抽象的に、今来てお座なりの答弁を私はしてもらうためにあなたに来てもらつたわけじやない。この建造許可の第三条にはつきりした標準が示してあるのです。この粂文の第三条の規定でそういうことがいわれるかどうか。資金なんというものはどこにも謳つてないのです、この法案には。そういうことを理由に建造不許可にしたら大変なことになる。これで、信用状の来た有力な相手方の船を通産省が契約を奨励しておるような時に、何の理由で、この第三条でどうしてこの許可の基準にどこが当てはまらないかというのです。
  147. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 今おつしやつたお話は、例えば第三条の第一、或る国によつては、この間からお話ししましたように非常にまあ日本の……。
  148. 一松政二

    ○一松政二君 その問題は除いてあるわけです。関係するところは今のところ……。
  149. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) ですからその関係は、国際関係に非常に支障を及ぼすという関係で、うちのほうでは許可しない場合があるわけですが、恐らく通産省のほうとしましては、別個の貿易管理の見地からいろいろ検討をして、運輸省と通産省といろいろ話合つて最後にそれを許可するとかしないとかいろいろのことをきめておつたわけです。
  150. 一松政二

    ○一松政二君 今三カ月間はこの法律はないのです。この間の三カ月間に如何なる支障があつたか、具体的の実例を示して頂きたい。三カ月間と言えばかなりの長い間です。一年の四分の一に当る期間、この期間如何なる支障が起つたか、現にこの法律がないけれども、運輸省は計画造船の三十万トン或いは百二十万トンの予定計画線に沿うべく今日あらゆる施策を講ぜられて、何らの不便を私は感じていないと思う。ただ抽象的にこういうような国際海運の健全な発展に支障を及ぼす虞れかあるということで、事務当局が簡単にこれを考えてそういうような見地から甲の船を許し……、私は同じ船のことを言つておるんです。今の政府が計画造船をしておるその船と同じ型のやつです。三杯は造船所で注文を取つたが、もう一杯類似の船の許可を取つておきたい。もう二艘類似の船を同時に許可を取つておきたいといつた場合に、何の根拠によつて、三艘は許すが、あとの二艘は許さんというのは一体何の根拠によるのか。
  151. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 今お話のは内地船三艘のほかに又二艘という意味ですか。
  152. 一松政二

    ○一松政二君 私は内地船であろうと外地船であろうと、それは同じことです。今の政府の御厄介になり、財政資金或いは市中銀行の斡旋を求めて、今の三十万トンの計画造船の範囲内で許可を求めた場合に、運輸省が世話をやく話はわかるのです。けれども輸出船と同様に、あれは建造許可を取つておけば、それはもう輸出船の場合には二度と取らないで済むのです。二度取るのは面倒くさいから、手続を簡単にするために同じような型のものの許可を得ておいて、そうして手続を簡素化しようと考えた場合、或いはほかにどんな第三国人の金を持つておる人がないとは限らん、そうして政府の御厄介にならんで、こういう立派な法律案ができておるから、こういう至れり尽せりの保護立法ができたから、この際に船を造つておごうという物持ちが現われないとも限らんのです。そういう者が現われないといつたつて、世の中にはいろいろなことが出て来るのですから、そういう者が出た場合に、何の根拠によつて、私の言うのは、日本の海運は外航船に向く船が非常に少いのだから、政府は逆立ちしても、ない金を絞つてでも三十万トン造りたい。三十万トン、四十万トンできれば、ますます運輸省としてこれは奨励しなければならん立場にあるのですよ、政府の御厄介にならんでも。その場合に若しそういう建造計画を立てて政府に許可を申請したときに、これはお前第三条の一項に引つかかるから許可しないとは言えないと思うのです。これを言えるとおつしやいますか、どうですか。
  153. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 許可申請をする場合に、申請の手続としていろいろ船の建造後の就航予定航路であるとか、或いは資金の調達方法であるとか、そういうものをやはり調べまして、果してこの船がこの期間に十分できるか、或いはそういう船を国として建造する必要があるかどうかというようなことを更に調べた上で許可するわけでありますから、今おつしやつたように、ただ単に許可を申請して、第三条一項に支障がないからという簡単な理由だけでは許可しないことになつております。現に従来、例えばそういう例もあるのでございますが、或る船主が自己資金で船を造る、だから許可してもらいたいというような場合がありましたが、それを詳細にその資金の調達計画を見ますと、なかなか容易に調達できない、而も銀行の融資の途もついていないというような船の建造申請をした場合には、結局途中で船ができなくなつて来る、迷惑するのは、船主もあれですが、それを建造しておる造船所が非常に迷惑するわけでありますが、そういう事例もありますので、そういう船の建造申請に至つては、その船が十分完成するかどうか、資金的に或いは技術的に完成するかどうかというようなことも調査いたしますし、又その船が竣工後就航する航路について、果してその航路にそういう船が要るのかどうか、場合によつては非常にすでに多くて激烈な競争をやつておる場合は、そういう所にわざわざそういう船を押込むのもどうかと思いますし、そういう点いろいろ判断いたしまして許可いたしますので、従来許可制のあつた場合は、そういう弊害は全然ありませんでしたが、許可制がなければ、そういう場合も起り得るのじやないか、そういうふうに考えております。
  154. 一松政二

    ○一松政二君 それはおかしいですよ。私は法律は法律に基いて励行してもらわなければならん。資金計画とか支払能力ありやなしやというようなことが法律のどこに謳つてあるのですか。それは勝手に運用上そういうことは法律に基かずにやつておるということになる。法律を出して法律を施行する者が、法律の条文に謳つてない基準に基いて事をやつた場合には、重大な問題が発生すると思いますが、法律のどこに資金計画が謳つてございますか。
  155. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) そのうしろの第三条の第一項第二号等に照し合せて、いろいろ許可の基準をきめます場合に、大きな政策的のものについては、海運造船合理化審議会に諮つてその基準をきめますし、そういう場合でないものを判断する資料は、事務手続上でとつていいのじやないか、そういうふうに考えております。
  156. 一松政二

    ○一松政二君 それならば法律にそれを最初から謳つておくべきじやございませんか。法律に謳わないで、事務当局が勝手に判断して、そうしてやるということになつたら法律はなくてもいいということになるのです。
  157. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) そういう普通添付すべきものとか、事務手続上のものを細かく法律に書くことは、その時代々々によつて必要な書類もありましようから、ここにはその基準だけを掲げました。あと必要に応じて重要な問題につきましては、先ほど申上げました合理化審議会に諮つて、その基準をきめるということでございますから、別段差支えない、こう考えております。
  158. 一松政二

    ○一松政二君 それは従来のつまり旧憲法時代なり、或いは占領治下において司令部の指図によつてものをやつていたときは、それはそれでもいいでしようけれども、独立国家になつて独立の法律を以て、そうして新憲法の下に法律を作つてやつて、その法律をむやみやたらに拡げたり、省令によつて勝手に解釈することは許されない建前になつておるはずなんです。そこで法律にもつとはつきり規定しなければ、そういう問題は出て来ないのです。資金計画がないからとか、或いはお前は金が不安であるとか、いつやめるかわからんというような判断はどこで許されるのですか。健全な発展に支障を及ぼす虞れがあるというようなことは、これは事務当局が勝手にそういうことを判断するのであつて、法律の建前には謳つてありませんから、どういうふうに解釈してもいいような法律は法律として甚だ私は体裁をなさんものと思います。私も政府が今心配しておる造船計画、あなたは船が余るようなことがあるかもわからんというようなことを口にされますが、どうしてそういうようなことを言われるのか、世界的には今余つております。今暴落しておるけれども、日本では船が足りないから、世界の船舶会社から言えば迷惑かも知れんけれども、日本から言えばこの際に造つておかなければならんというので、なけなしの財政資金や市中銀行までも三分五厘まで利下げして国家は補償して作らせようというのです。だけれども国家の補償も要らん、利息もそこまでまけてもらわんでもよろしい、或いは第三次世界大戦が起るかも知れない、明日どういうことが起るかわからないといつて船の建造計画を持つて、そうして外航船のばりばりした、どこから見ても非難の打ちどころのない造船のプランを持つて許可申請をしたときに、あなたは今のうやむやな条文の規定によつて、それを不許可にするということは、私はこの条文からは生まれて来ないと思うのですよ。この条文のどこにそれが示してあるかというのです。出てあるならば条文にはつきり謳うべきであると私は言うのです。政府の造船計画、今の百二十万トンについての予定計画、これも四年になつておる。臨時立法なんです。政府の一応示してあるところでは、計画造船によつて政府は許可権を持つという大体の方針で私はあると思うのですよ。それなら私もはつきりわかるものです。それは結構だというのです。それならそれのようにこの法律案をなすべきであるのですよ。それに籍口して、籍口という言葉が悪ければ訂正いたしますが、全部の船について一律に網をかぶせて許可権まで持つて来た、そこに私はこの法律を曲解して、そういうところに持つて行つておる考え方がありはしないかということについて、私の納得の行かないところなんです。だから不許可にするのなら、不許可にするだけの根拠を法律にはつきり謳つておかなければ、あとで厄介なことが起つて来て、につちんもさつちんも行かない事件が起つて来ますよ。そういう法律を我々は国会で審議した責任が負えないです。なぜそういうことをはつきりさせないか。事務当局の考え方次第で許可になつたり、不許可になつたりするようなことがあつたならば、私は将来大きな問題を起す種になると思う。私は地方鉄道の整備法でもその点を非常に心配したのです。運輸大臣が一人で許可権を持つている。従つて我々は附帯条件を付けてその公正を期せよと言いましたが、今のこの法律の条文によれば、許可するも許可せざるも運輸当局の、事務当局の匙加減次第だということになれば、国会は一体何のために法律を審議するのか、そういう広汎な委任を事務当局に我々は委任するわけに行かないのです。だからその許可にする、これらの全体の考え方は、私は百二十万トンというものが浮び上つているのだと思うのです。それならばなぜ百二十万トンの程度だけにはつきりした線を引かないのか、それに便乗してこういうぼんやりした法律案を作つて来たところに私は納得が行かないというのです。なぜ資金計画なら資金計画ということをこの中にはつきり謳わないのですか。お前の資金計画はいい、お前は不安だからといつて、甲には許し、乙には許さん、甲の造船所が行つたときには、ああお前は資金も資力も十分ありそうだからといつて、甲には許すが乙には許さん。併しながら人間のことであるから、政治的に活動するとか、運動するとか、或いは貢物を相当持つて行つたとかいうようなことが仮にあつたとするならば、人間は誘惑にかかるものです。私は収賄とか贈賄とかいう事件があるたびに心を暗くするのです。人間というものは弱いものですよ。だからできるだけそういうことは法律において、はつきり建前を付けて、よくよくの不心得者でない限りそういうものに陥らん方法をとつておくのが、法律としては親切なゆえんであると思う。でありますから資金計画で以て不許可にするというのであるならば、なぜそれをはつきり謳わないのか。お前の造船所は不安であるからということであるならば、なぜそれを明示しないか。それを明示せずして事務当局の考え方次第で、そういうことを許可したり不許可にしたりするような法律は、私はこれは法律それ自身に非常に欠陥があると考える。まだこれに対して事務当局としては、従来はどの船でも、省令か政令か知りませんが、それを曲解したいわゆるその政令によつて全部の船に許可権を持つている。これはいい悪いは別問題として、ともかく全部の船に対して条件なくして許可権を持つておつたのです。だからそれは憲法違反であるかないかは別問題でありますが、許可権を持つておつたから、勝手に考えて許可したり、不許可にしたりされてもこれはしようがないのです。併しながらこの法律は、許可の基準を三条ではつきり示してあるわけです。第三条の第二項は第一項の一号二号の枠内のことであるわけです。その枠内のことしか書いてない。その枠の中に資金のことは一つも謳つてないのです。だから資金のことを謳つてあつて、国の資金を使うとか、或いは市中銀行の斡旋で三分五厘のそういうものを使うから、お前は許可を申請しなければならん、こうなつていれば、意味がはつきりわかるのです。それに何ら関係のない船に、何を根拠にして許可権を持ち得るか。この不許可にする根拠はどこにあるかというのです。
  159. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) お話の趣旨はよくわかりましたが、結局こういうことじやないかと思います。財政資金を使うものについてはあれなんだが、併し財政資金を使わずに市中の金融で船が造れるものをなぜ許可しなければならんか、而もこの条項に当てはまるものについて、なぜ許可権を発動せねばならんかというお話だと思いますが御承知のように財政資金のみならず、今市中の金融も非常に窮屈でありますし、銀行側においても今年度は船舶建造のために市中としてどの程度のものは出せるという一種の枠のようなものを作つておりますので、従つて運輸省がいろいろな海運政策或いは造船政策の面から考えた船以外のものを造る場合にも、やはり市中のその枠を食うことになりますので、そういう財政資金のみならず、市中金融全部を総合的に有効に活用する意味において、運輸省として海運政策なり造船政策の面から、その造る船が果して適当であるかどうかということをきめるわけでありますから、別段差支えないように私は考えます。
  160. 一松政二

    ○一松政二君 そういう広汎な判断の資料は、この条文のどこから出て来るのかということです。そんなことを勝手に……、今まではあなた方はどんな理由をつけてもいいでしよう、三カ月前までは全部について許可権を持つておつたから……。併し今度ははつきりした条文の規定を設けてあるのですよ、そうしてそれに不許可になつた場合には、不服を申立てて、それに対して対応せねばならんのです。だから不服を申立てる場合に、あなたが今言つたもろもろの広汎な判断の資料なんて……、今日如何に日本が窮迫しておるといえども、金というものは借りたい人には貸さないのです。金というものは借りたくない人のところには貸したがるのです。あなたは金がないから貸せないという、中小企業でもアツプアツプしていると言いますけれども、銀行は貸したい相手方は幾らでもあるのだ、今日そういうところには金は要らないのです、資金が最も必要なところに行かないのです。放つておけば……。それだから政府が強権を用いてでも、こういうふうにして船のところへ枠を持つて行こうという、だけれども金持が船を造るという場合には、あなた方心配することは何もありませんよ、市中銀行が金が足らんからなんて、そんな余計なことは……、運輸当局として日本の船が足りるの、足りないの、だから船を造つて行けるとか行けないとかいつたつて、銀行は何の考慮もしない。金持が金を積んで船を造る段になつたら、喜んで金を貸しますよ。そういうときにその金はけしからん、それじや銀行にそれを持つて行きなさい、借りたい人には金は貸さないで、借りたがらん人には金を貸したがるものなんです。資金というものは、資本というものは、最も怯懦なものです。だから少しでも不安のあるところには行かないのです。併しながら不安のないところには、幾らでも集まりたがるものなんです。であるからあなたが考えているようなものとは違うのです。そういう場合に何の根拠で不許可にするかというのです。金があります、私に金があります、銀行もこの通り、それを又そうことを言うこともこの法律ではできませんよ。そういう金のことを言つたら、何を言つているんだと言われたら、どうしますか。それはこの法律のどこに行くか。これは弁護士にかかり、法廷にかかりますよ。ところが事務当局の考え方次第でものはきまるものではありません。そういうときにはものを考えるはつきりした根拠がなければ、行政上非常な混乱を来たす。それはこの法律のどこに謳つてあるかと」いうのです。今までの観念は捨てて下さい。今までは何ら条件なしに許可権を持つておつたのです、いい悪いは別問題として。併しこの法律には基準をはつきり示しておつて、その基準の中に資金とか何とかいうことは一言半句も現われていないのです。それに難癖をつけて許すとか許さんとかいうのは、どこから来るのかというのです。
  161. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 先ほどから私資金のことを、それからいろいろ海運、造船政策の面をお話いたしましたが、資金の面だけ取上げられているというようなお話がありましたが、私何も資金の面だけを重点的に取上げたわけではなくて、ただ申請の手続上、そういうものも資金の調達方法等その他のものも勿論と申上げただけで、実際外航船を造る場合に、資金の調達ができるかどうかということは、現在においては財政支出については、開発銀行が出すのでありますから、開発銀行が同銀行法に定めるところに従つて適当な船主を選べますし、又運輸省は海運政策なり或いは造船政策上、いろいろ例えばタンカーと貨物船がどつちか重大であるか、或いは定期船と不定期船をどういうふうな割合で造るか、そういうふうな面からそれを審査し、或いは又市中のほうは市中の銀行が純然たるコンマーシヤル・ベースで資金の、市中の金融の融資先を決定する、それらを最後に総合して造船決定をするわけでありますから、必ずしも運輸省がその資金の面について云々というようなことは私は当らないと思うので、むしろ私は開発銀行が少くとも財政支出についてはやつているわけでありますので、ただ運輸省は運輸省の立場から又その船が必要であるかどうかを検討するわけであります。
  162. 一松政二

    ○一松政二君 私は開発銀行のことも言つていなければ、運輸省が世話をする金のことも言つていない。そういうものに御厄介にならない建造を持つて行つたときに何で規制するか。そうしてそれは我が国の国際海運の健全なる発展に支障を及ぼさないものがたくさんあるのです。そういう問題が出たときにどうしてそれを規制する材料にするか、不許可にする根拠を私は伺いたいと思うのです。今までは言い逃れができますよ、全体的に理由なしに許可権を持つておつたから、何の理由で許可、不許可……。今度ははつきり例示したのです。その例示が頗るぼんやりいたしてはつきりしていない。そこで問題の種を残す。世の中は変転しますよ。今は海運が不況であつても、明日国際情勢が変化したらば船は暴騰して来ますよ。運賃も暴騰しますよ。船というものは、あなた方御承知の通りアツプ・ダウンの最も激しいもので、少し世間の形勢が変ると、すぐ様変りという言葉を使いますが、模様が変つてしまう。そんなときに昨是今非、今是明非になる、明非はその次には是になる。でありますから、そういうときにはつきりしたものを持たずして、不許可なんということを勝手に振り廻されたらたまつたものじやない。その根拠がない思います。それはいろいろと妙なものをくつ付けて、今まではそれで通つたでしようけれども、この法律が出たらこれは通りませんよ。この法律が若しできましたら、今のあなたの答弁は通りませんよ。だからそういうことをはつきりさせておかなければ、他日紛争の種を播くことになる。殊に私は今あなたのほうの省令をここに見ると、省令で許可の対象になるものを第一が貨物船、第二が客船、第三が貨客船、それから油槽船、引き船、海難救助船、航海練習船、気象観測船、ケーブル敷設船、鉄道連絡船、鉄道連絡船までも許可の対象にしている。余りに繁文褥礼というのか何というのか、同じ運輸省の中で而も国鉄が連絡船を造ろうというのに、何の必要があつてこういうものを一々許可船に持つて行かなければならないのでしよう、気象観測船とか……。
  163. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 今政令で書いてあります何カ条かの船の名前は、結局まあ外航船の改造、或いは改造によつて外航船になり得るものというものを一応網羅ししたものでありまして、必ずしもその中で全部が適用されるとは限りませんが、場合によつては改造によつて外航船として活動できる構造を持つているものを一応そこに網羅したわけでありますから、そこにあるものを一々許可しないということはないと思います。そうしてむしろ第三条にありますような、許可しないというのではなくて、左の各号に掲げる基準に適合した場合に許可しなければならんと書いてあるのですから、むしろ不許可にはしないつもりでいるのですから、そういう御懸念はないと思います。
  164. 一松政二

    ○一松政二君 それでは私はわかるのです。つまり全部許可しなければならんことになつてしまうのでよ、事実上。運輸省にこの条文が通つたあとに申請して御覧なさい、これに通らない申請をする人は一人もないと言うのだ、私の言うのは。いわんや、ここに掲げてあるようなのは、今言う通りこれを改造したら外航船になるなんておかしいですよ。常識を持つている者は、何を好んで、そんな船を新造すると言つて、これを外航船に改造するかも知らんからと、一応許可に引つかけて行くということは、これは素人ごまかしというよりも、余りに馬鹿々々しい議論ですよ。いやしくも経済を知つている者から考えれば、余りに民間の船を扱う業者というものを馬鹿にした、まるで無知蒙昧な民を扱う考え方に私は類すると思う。今日この不景気な時代にそうした船を造ろうという者が採昇を度外視し、その船が外航船でも内航船でもこれが働き得るか、働き得ないか、これが幾らの船になつて一日が幾らについて幾らの運賃を稼ぎ得る、これなら船の償却ができないが、一、二年やつているうちに又様変りするかも知らんというようなことを一応当てにして船を造られて、運輸省で考身ておるような生やさしいことで船を借る人はないのです。であるから私の考えでは、この法案が通つた場合には、運輸省に許可を申請した者は全面的に許可になると思うのです。従つてそれを許可制にしておることが私にはわからないのです。
  165. 西村英一

    ○政府委員(西村英一君) 一松委員の議論は許可制にするということが造船に非常にブレーキをかけるのだ。役人が、事務当局の匙加減でどうにもなるのだというような、そういうような根拠で要らん世話をやくなというような、そういうような根拠でブレーキをかけられては困ると、こういうような根拠で議論をしておるよう港ありますが、運輸省が海運行政をやつておることは御承知の通りであります。而も海運界は現在においては非常なスターヴな状態になつているのです。従いましてそのためには、或る者に対してはこれは補助をしなければならん、或る者に対しては適正な航路に適正な船を向けなければならん、或いは又造船界に対しても多少のこれはまだ指導をしなければならん面もある。いろいろ海運行政をやつておる運輸省としては、今日の状況においては、海運行政が満足に行われるようにしたいのであります。従いまして、この法律で許可制をとつたからといつて、それを制限するとかいうような趣旨でなしに、今あなたがおつしやいましたように、これはすべて許可になることですが、許可になればそれで結構なんです。それは運輸行政も、運輸省の運輸行政に、海運行政に合うような方法にやれば結構なんです。抑える法律ではないが、振興したいための法律であります。私たちはかような意味です。それから又お説の計画造船のことについては、よくわかるが、その他のものはどうかということでありますが、勿論計画造船が主体であります。主体ではございますが、その他につきましても、最前も申しましたように、これは現在の海運界の状況乃至は又国際間の状況等においても、多少運輸省といたしましては、海運行政を持つておる責任ある運輸省といたしましては、それらの点に関心を払わなければならん、かような意味の法律でありますので、まああなたが非常に事務当局の干渉を排する、我々もでき得るならば、そういうような干渉を少くしたいのであります。併し現在の状況におきましては、一方において助成すると共に、一方において適正な海運の発達を図りたい、かような目的であるわけでございまして、賢明なる一松先生にはその辺はよくわかつて頂けるものだと私は想像するのでございます。
  166. 一松政二

    ○一松政二君 西村政務次官の概括的な運輸政策は私もそのまま了承するにやぶさかではございません。併しながら、法律が、法律それ自身が物を言うのである。でありますから、一旦法律ができ上りますると、その法律に従つてすべての行政は措置せなければならん。でありますから、法律はもつと明確に法律の目的を達し得る法律でなければならんと思うのです。ところが、その法律それ自体が頗る不明瞭なものであり、意図しておるところと、現に行おうとしておるところのその許可の基準等につきましても、あいまい模糊としておる。そうして、許可すればいいじやないかというが、私はこの法律が通れば、運輸省が許可しないようなもの、許可されないようなものを申請する人は一人もいないと私は考える。この条件に当てはまらない許可の申請をする者は一人もない。併しながら、政府が今三十万トンの計画造船をしておるが、申請は三十五万トンになつたという場合に、三十万トンだけは認可するが、あとの五万トンは多いから許可しないということになるかどうか、その点を承わりたい。
  167. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) この基準に合つておれば許可しないということはできないと思います。ただ、先ほど来申しますように、財政資金を使う……。
  168. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと……。財政資金のことは私は極めて明瞭に言つてありますから、そういうことで籍口する答弁はよしてもらいたい。この中には財政資金とか、市中金融の問題は一言半句も入つておりません。
  169. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) その場合には当然許可になるものと思います。
  170. 一松政二

    ○一松政二君 従つて、煎じ詰めれば、私は運輸省にこの法律案が通つた場合に、全部のものが許可になると思うのですよ。許可を申請するほどのものならば。計画造船の中に入つておろうと、入つておるまいと、財政金融と市中金融問題は一言半句も入つておらん。だからそれを理由に許可しないということはできないと思う。それから又事外航船に関する限り、三十万トンでは不足なんだ。できれば四十万トン、五十万トンも一気に造りたい。ここに岡田海運局長もおるけれども、金がないから三十万トンで我慢して、その三十万トンでさえが、あれだけの保護政策をやらなければ覚束かないわけで、これには私は国民的なかなり異議があると思う。この保護政策について、他の産業との均衡が全然とれません。であるけれども、それまでして保護してそうして船を造らせようとしておるのに、三十万トンと政府が考えておるが、それは計画造船を上廻つて三十五万トンの許可を申請して来た、四十万トンの許可を申請して来た、これは多いから許可しないのだという理由はこれからは生れて来ません。又若しそういうものができるならば、多々ますます歓迎しなければならん立場におると思います。それを四の五の理由をつけて、不許可にした場合には、これは大きな問題が起つて来ると思う。でありまするから、そういうものははつきりした基準を私は何故打立てないか。私は何もかも全然運輸省が干渉するなとか何とかいうことを言つておるのではない。私は船のことは素人じやない。前の第一次大戦から、あの十年間のあの苦しみを私は自分自身目撃もし、経験もしております。それは、一番安い、船の余つておるときに新造しておる経験も持つております。そういうことでありますから、私はこの法案自身に非常な欠陥があるということを私は指摘しておる。その欠陥を改めずに、全部が不許可になる、全部が許可するような危険のあるものは許可のないのと等しい。無用な煩瑣な手続だけになる。結局運輸省のところへ、或いは地方海運局のところへおじぎに来い、おじぎさえしておれば皆許可するのだ、併し機嫌の如何によつては不許可になる。従つて、場合によつたら哀訴歎願して、そうして許可をもらわなければならんというようなことになる。而もそれは不法な法の運用の問題であつて、正々堂々と許可申請しておるにもかかわらず、運輸当局がこれを荏苒許可をしぶつておつたら、これは私は大変なことになると思う。従つて、全部が許可制でなければならん。全部許可になるものならば、許可のないのと同じだ。何故許可にするのかというのが私の……、私は、海運政策について、船会社について管理、監督し、それから利子の助成までやり、それからいろいろの助成策について私は理解がないのではない。船舶安全法に従つて、運輸省が定期の検査をやる、建造中にも監督官は行くんです。船に対しては、あらゆる監督の規定もあるし、海運当局として船に対して、こういう法律がなくても、がんじがらめに船に対しては監督行政ができるようになつておるのです。それで、而もこの法律は非常に法律それ自身が粗漏であるために、非常な問題を起し、問題の種を包蔵しておる法律案になつておるわけなんです。何故これをもつと明瞭に、規定をはつきりさして、そうして審議を求めないかというのが私の根本的な不審なんです。それで、許可する。許可するとすれば一許可がないのも同じことなんで、許可しないということになれば、この法律では不十分なんです。それを明らかにしてくれれば私は何も法案それ自身に根本的に反対するわけではない。海運政策については、今西村次官が言われておることで、私はそれに何も反対しておるのではない。併し、法律が、いやしくもできた法律が物を言いますよ。法律だけが物を言うのですから。政策とか何とかいうものでなくて、法律自体が物を言いますから、その法律の物を言うのをはつきりした物を言うようにして置かなければですよ。あとで我々は笑いものになつて、当時の国会議員は一体何をしておつた、こんな馬鹿々々しい法案を通して何を言うかということになる。だからこの法案に対して私は欠陥を指摘しておるのです。だから欠陥がないと言い切れるかどうかということを私は伺いたい。
  171. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 関連して私から一言申上げたいのですが、今までの問答を伺つておるというと、一つところを行つたり来たりしておるように思う。それで観点を変えて、こいうことを一つ御説明になつたらどうかと思うのですが、三条の一号、二号の基準の中で、二号はこれは能力のことを書いておる。一号は非常に抽象的でありまして、一号の基準ということよりも、むしろ二号の判断の基礎となる事項、これがむしろいわゆる基準に該当するような言葉でないかと思うのであります。併し、その判断の基礎となる事項というものは、合理化審議会の意見を尊重するということで、民主的になつておると言えば言い得るかも知れませんが、運輸大臣がきめて、それを告示するにとどまるわけなんであります。ここのところが、つまり運輸大臣の、少し言葉は極端かも知れませんが、専断に任されておる、白紙委任状式の船舶建造統制であるかのごとき感を与える。ここのところに一松議員の言われるいろいろな疑問が起つて来るじやないかと思うのですが、観点を変えて、ここのところを一つ御説明になつたら如何かと思いますが、如何でありますか。
  172. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) その合理化審議会に諮り、その意見を尊重して決定するとありますので、この法の建前から行けで、その意見に大臣は従わなければならんという、できるだけ尊重するのですから、法的には合理化審議会は諮問機関でありますから、法的には大臣を束縛いたしませんが、この趣旨から行けば、その意見をできるだけ尊重して、それによつて決定するということでありますので、一方的に運輸大臣の意見でその基礎となる事項を決定することはできないということでありますから、この程度に民主的にやれば私は十分皆さんの意見も尊重されて、その基準がきまるのじやないか、こういうふうに考えております。
  173. 一松政二

    ○一松政二君 委員長の御説明もあり今の御回答もあつたのですが、二項のやつは、結局第三条の一、又は二の枠内において判断をするのです。従つて基準となるものは御三条の一及び二であるわけである。その範囲を逸脱してはならんわけである。その中に資金のことが一言半句も書いてないのですよ。そして判断の資料になるということになると、財政資金を使うとか、或いは開発銀行の金を使うとか、市中銀行の融資斡旋に待つとかいうことが基準になると私は思う。今頻りに確認書を先に持つて来いとか言つて、市中銀行と岡田さんと何かやつているというように新聞にありますが、そういう問題が起つて来るところに、法律的にさつぱりものがきまつていないからそういうことになる。これも資金の問題が何も謳つてないから、資金で以てこれを規制することは、判断の材料を作ることは法律上禁ぜられますよ。それを当局はどう考えておるか。そうでなかつたら判断の材料とするそれ自身が法律から言えば越権になる。なぜそこをはつきり私は規定しないかというのです。それを規定せずに勝手に判断することは、前の船舶管理令の許可権そのものの意思が私は動いていると思う。私はこの法律案を別に翻えそうの妨害しようという意思は何にもありません。これは私は皆さんにはつきり申上げておきます。私は国会議員として法案を審議するためには、少くともまじめでありたいのです。そうしていい加減な法律は、成るたけ私は国会の権威のためにこれを飽くまでも明らかにしたいと思うのです。かくのごとき欠陥のある法律案を私は未だ曾つて見ないのです。判断をする材料はこの一、二以外にないわけです。資金や財政資金を使う計画、それを判断の材料にするというならば、なぜそれをはつきりここに浮き出させないかというのです。
  174. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 法律の立案の仕方をちよつと違つた観点から考えておられるようであります。併し私が前に申しましたような意味において、必要だとすればこういうような行き方でもできるのであります。その資金のみを言つているのではないのであります。勿論船は結局電車や自動車と違つて、一遍或る種の船を造るということにおきましては、重大な意義を持つのであります。従いましてそういうことが主眼にはなりましても、それはやはり海運行政と合つたようにと考えることであつて、資金だけを云々ということを言つておるわけじやないのでありまして、我々の意図するところが我が国の海運行政に合うような方向に船々造つて行きたい、そういうような意味から、こういうような立案の仕方をしたのでありまして、その意味においてこの法律に欠陥があるとは私は思わないのであります。違つた意味における法律の立案の仕方は又おのずからそれはあるかも知れません。私たちはこれで十分だと思つております。
  175. 一松政二

    ○一松政二君 併しながら言葉は少し変ですが、それだと問うに落ちずして語るに落ちると言いますが、私は事務当局から承わるときには必ず財政資金とか、金融資金とか言つておりますが、造船業者である限り、運輸当局にこの条文に従つて申請をする場合に、この条文に合わないような申請をする人は一人もないと思います。それであるにかかわらず今の判断の材料とか何とかいうことは、語るに落ちて主に来ることは財政資金とか、金融資金とか、少い資金を使う。そんなことを言えば、今この通運行政も、ほかの産業面においても、余つているからやらないというようなことはなかなかありつこないのですよ。工場を拡張したり、今日要らんというところでも、余つていると考えられても設備を拡張しているところは幾らもあるのですよ。新らしい機械を輸入したり、一軒で輸入して来れば日本中の需要を賄つても余りあるのじやないかと思われるようなものが、今日やはり輸入されているんです。運輸省なんか日本の金が足らないからそんなことはやつちやならないとか、或いはそういうことはやることはできないというような判断は、これは政府でもそんなことはできないのですよ。今の自由党政府の建前はそういうことはやつてはいないはずです。でありますから、この判断の材料ということは、一と二を通ずる以外にはやることはできない。一と二に判断の基礎となるべきものが浮出ていないから私は問題がある。それをただ事務当局や運輸大臣、海運審議会についても、海運審議会に行つても運輸省の意向を聞かなければ何にもできるものじやないのですよ。船会社の人間は非常に弱い。補助金をもらう立場にいるから、のどから手の出るほど言いたいことがあつても言わない。そうしてただ御無理御尤もで通りますのでありますけれども、法律は少なくとも法律らしく作つて頂きたいと思います。ですから政策面ではわかるのですよ。政策面は結構なんです。だけれども、私から見ればこの計画造船について、政府は許可権を持つても、何でもそれは御尤もなことだと私は思つているわけです。だけれども、計画造船に引つかけてあらゆる船をここへ許可権に持つて来たところに無理がある。それをただ単に空漠たる概念によつて、運輸省が勝手に許可したり許可しなかつたりするところに問題があると私は指摘しているわけなのであります。
  176. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 一松君、念のために、外務省の経済局次長が出席いたしましたから申上げておきます。
  177. 一松政二

    ○一松政二君 それじやちよつと外務省の方にお尋いたしますが、朝鮮と日本との間に船の輸出の結果何か日本に不利益な事情が起つているのですか。その具体的事例を聞かしてもらいたいと思います。
  178. 小田部謙一

    ○説明員(小田部謙一君) 現在のところにおきましては、朝鮮に船を輸出するというようなことに関して、不利だというような情勢は起つておりません。ただ私の存じますところでは、朝鮮で日本の大邦丸が捕まつたという事件がございまして、それに関連して朝鮮に船を送つたほうがいいとか、送らないほうがいいとかいう議論は起つたことがございますが、現在のところではそういうことはないのじやないかと思います。
  179. 一松政二

    ○一松政二君 運輸当局の説明によりますと、何か朝鮮人は、朝鮮に日本が船を輸出する場合に、朝鮮船籍の船を非常にかわいがつて日本の船を差別待遇をする、従つて運輸省が許可権を持つてそれを駈引の具に供せなければ不安だという説明のように伺つているんですが、過去においてそういう実例がないとすれば、これは単なる杞憂のように考えるわけですが、その点はどうお考えになりますか。
  180. 小田部謙一

    ○説明員(小田部謙一君) その点に関しましては、過去におきまして我が国の船が朝鮮に行つてその場合に送つた船賃を外貨送金させるとかさせないとかいう問題も起りましたし、又成るたけ朝鮮の船を使つたほうがいいというような問題も起りましたけれども、その問題も今のところは解決しております。それですから、日本の船に対する不利益待遇、そのようなことのために朝鮮に船を輸出しないというようなことはないのではないかと思われます。
  181. 一松政二

    ○一松政二君 私はこの点を海運局長から説明して頂きたいと思う。海運局長が五百トンという制限を設けたことは、専ら朝鮮において差別待遇が行われておるし、今後も行われる危険があるから、通産省に任しておいては危い、海運当局が一つ許可権を持つていなければ、そういうことが起つて来る危険があるという説明でありまして、今の外務当局の説明とかなり食い違つております。
  182. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 私どもの考えといたしましては、先般来たびたび申上げましたように、現在朝鮮に対する船の売却ですね、これをとめておるわけです。まあ一部小さい船については別途の考慮をする必要があると思いますが、少くとも型の大きい船につきましては、朝鮮と日本の海運関係がもう少しはつきりする、それを我々としては望んでおるわけでありますが、その事態がはつきりするか、或いは私どもが安心するような事態ができるまで、船の売却をとめる。従つてそれと関連して、我々が禁止をするのと同様の船の注文がありました場合、やはりこれをとめませんと、一方において現在動いておる船の売却を禁止しておる、一方で新造船がどんどん出るということになりますと、その間における私どもの方針が堅持できない。私どもはそういう方針で各省と連絡をして、事実上禁止しております。その一環として、この輸出新造についても同様の許可制をとつております。これは永久的に禁止するわけではございませんで、情勢によつてそれを変える。又必要があれば禁止する。そういう手綱を締める手を私どもに与えて頂く必要があるであろう、こういうことを申しておるわけであります。
  183. 一松政二

    ○一松政二君 岡田海運局長に伺いますが、過去三カ月間許可権も禁止権も私はないと思うのですが、その間にはどういうことで禁止しておりますか。
  184. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 新造についてはございませんが、売船につきましては、海上運送法で外国に船を売る場合に運輸大臣の許可を受ける、こういう権限が与えられております。
  185. 一松政二

    ○一松政二君 過去三カ月間において何か新造の注文があつたか、海運局長御存じですか、或いはなかつたか。
  186. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 今度の臨時船舶建造調整法案の対象になるような五百トン以上の船についての注文についてはまだ聞いておりませんが、それ以下の木造船については、相当注文を聞いております。
  187. 一松政二

    ○一松政二君 外務当局に伺いますが、只今岡田海運局長は非常にそういうことを心配されておる。外務当局としては、今後そういう日本船が不利な取扱を受けるような心配はなさそうなあなたの御意見だつたが、何かまだ運輸省が心配でたまらないような事件が予想されるでしようか。
  188. 小田部謙一

    ○説明員(小田部謙一君) その点に関しましては、現在日本のほうの海運のほうは外国人も内国人も平等の待遇をとつておりますが、国によりましては成るたけ日本の船を使わないで自国船を使うというような線を出しておるところがございます。最近の例で見ますと、フイリピンが将来CアンドIでやる、できるだけ自国船を用いてやるというようなことを申出て薦りますので、それも交渉の懸案になつておりますし、それから台湾との関係におきましても、日本側は従来五十、五十の権利を主張しておりましたけれども、今年きまりましたところは多分七十と三十くらいで、必ずしも平等な立場と言いがたい、そういうようなケースは現在もございますし、将来も必ずしも皆無だとは思つておりません。
  189. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、それはその国の貿易政策によることであつて、例えばフイリピンが若しCアンドIということで自国船で輸送したいというようなことがあつた場合に、海運局長はフイリピンから船の注文があつた場合には、フイリピンに船を売ることは日本の海運政策として好ましくない、こういうことにお考えになりますか。
  190. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 私ども法の運用は、そういうぎごちない運用はしたくない思います。結局いろいろな情勢を判断しまして、この場合には日本の新造船輸出をとめたほうがベターである、日本海運全体或いはその他の事情を考えてベターであるという場合にはとめます。併し相手方がそのような方策をとつておりましても、新造船の注文を認めていいという事情でありますれば認める。必ずしも画一的に相手がそういう措置をとつたからおれのほうもこういう措置をとるということでなく、やはりこちら側の最も有利なるところに従つて措置しよう、かように考えます。
  191. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、今の北鮮は問題にならないのですから、南鮮のことであろうと思う。いわゆる韓国。そうすると、韓国人が日本で船の建造をした場合、例えば四百五十トン、四百九十九トンというような船を造つた場合には、これはこの法案が成立してもどうにもならんことであろうと思うのですが、今朝鮮に対して日本がそういう船を造ることを若し禁止しておれば、これはほかの国が朝鮮にそういうことをやらない、やる危険はない、つまり日本以外に注文のできる所は今ないのだ、それで安心しておるという意味に解釈いたしてよろしうございますか。岡田さんにこれは伺います。
  192. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) これはまあ差当り頭にありまする問題が韓国であります。これも先ほど言いましたように、事情が変ればこれをいつまでもとめるというわけではないのであります。おつしやるように、日本がとめたつてどんどん外国から入つて来たら効果はないということになれば、それは或る程度緩和しなきやならん。そこら辺は運用する役所のほうの判断を一つ御信用頂きたい。なおその運用に当つては、海運造船合理化審議会の意見を聞いてやる。私どもの単独の判断でやるのではないのであります。だから一律にこの場合にはこうしなければならん、この場合はこうしなければならんということはないかと思います。
  193. 一松政二

    ○一松政二君 今の日韓会談は当分中止のように伺つておりますが、日韓会談でそういう問題は無論討議されるでありましようが、今差当り、岡田局長も差当りの問題を言つておられるのでありますが、差当り何か非常に差別待遇をしておるのか、差別待遇を現在はしていないように思うのですが、それから現在していないし、先ほどの答弁ではそれをしそうにもないようなお話でありましたが、その点をもう一度明らかにしてもらいたい。これは外務当局に。
  194. 小田部謙一

    ○説明員(小田部謙一君) 日本の船に対して不利な待遇をするというかどで、このような問題が差当りとか、将来とか起るとかいうようなことは、今のところは予想されませんかも知れませんが、先ほども私ちよつと申上げました通り、例の大邦丸ですか、日本の船舶が拿捕されたということにつきましては、この問題が起つたこともございますので、又日韓会談に関しましてはそういうような問題はまだ起つてはいないとは思いますが、必ずしも現在の段階で絶対にそういうことがないとかあるとかいうことを申上げることは困難かと思います。
  195. 一松政二

    ○一松政二君 大邦丸は漁船でしよう、あれは。漁船が向うの領海を侵したとか侵さないとかというので拿捕されている。でありますから問題は違うと思います。要するに南鮮においては日本の船と南鮮の国籍の船とは差別待遇をする。そうすると、私はこういうことが考えられる。日本におる朝鮮人が日本人の名前で船を注文して、そうしてこれを南鮮に就航させた場合には、これはどうにもならんと思うのですが、その点は岡田さんどうお考えになりますか。
  196. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) ちよつと今御質問の趣旨が……。
  197. 一松政二

    ○一松政二君 これはもう昔も船の税の問題か何かで大連船籍とか外国船籍を船にはよく持つていたわけです。南鮮人が韓国政府と非常に理解のある筋で、どうも日本側があのようなことをして困るから、一つ船が欲しいのだ、一つお前の名前で船を造つてくれ、そうして朝鮮には勝手次第に一つやらせようじやないかというた場合には、この法律じや何ともできないと思うのですが、そういう問題はどうお考えになりますか。
  198. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 今のお話は、実際上朝鮮の人が所有しておつて、名前は日本人の名前である、そうして動かすのは実際上朝鮮人が動かしておる、昔日本人がやつていたのと反対のことをやつていた場合にどうするか。これは私どもとしては現在どうしようもないかと思います。併しそうした場合にいろいろの、何といいますか、不利なり不便なりが伴いますので、そういう事例が大きく、行われるということはないであろうと、かように考えております。
  199. 一松政二

    ○一松政二君 戦争前でも日本の大連船籍の船は相当あつたと思う。でありますから、若しこういうことで朝鮮との間に事を構える、事を構えると言うと語弊がありますが、そういう差別的な待遇で船舶の取扱をするということになれば、必ずやそれに対する裏をかいて来ることは私は必然だと思う、若し必要があるとするならば。必要がなければしない。そういうことをするほうが利益であつて、そうして朝鮮のためになることになれば、この法律の裏をくぐることはわけないと思う。余りに表向きにそういうことをかざして、外航船舶というのを五百トンまでも切下げて、而もこれは主に朝鮮人が差別待遇するからだと明らかに速記録にも載つておる。これは公開の事実だ。そういうことになれば、必ずや朝鮮でもこの法案に差支えのない裏をかいて来ることは私は必然だと思う。そういう必要がなければしません。必要がなければ日本の船も注文しない。船が欲しいということになれば必ず裏をかいて来る。そうして裏をかいて来たときは、この法律ではどうにもならんわけで、私は却つてそういうことを表に掲げるほうがむしろ不利益であつて、むしろ通産省が輸出の手心を加えているほうが最も穏当な、日本の国全体の利益としては穏当な措置じやないかと思う。而もこれはこの法律案に五百トンということの説明がはつきり韓国ということを目指しておる。これは甚だ不穏当だ。そうしてその抜け道は如何ようにでもできる、必要がある場合には。必要がなければやる必要はない。又問題にもならん。必要があれば、日本人の名前を使おうと、朝鮮人の名前を使おうと、この法律をくぐることは全然問題ないです。そうして海運当局といえどもどうにも仕方がないという事例が必ず起つて来る。朝鮮人の物持が造船会社に注文して、この条件にかなつた申請を日本人の名前でやつて来る。これは必ず許可になります。そうしてそれは朝鮮に就航するということはこの法律では禁ずることはできません。従つて、そういう五百トンなんというような制限をここに掲げてあることは、日本の国策としては甚だ不利であつて益するところは何にもない。そうしてこの法律では実効がないというのですが、岡田さんはそういう事例は全然予想されませんか、どうであるか。
  200. 岡田修一

    ○政府委員(岡田修一君) 予想されないことはございません。多少あるかと思いますが、併しそう大きなものには上らないであろうと、かように考えます。
  201. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、今の五百トンできめたということも、一応の外務省の報告を聞きましても、今直ちにそういう問題がそうシリアスになつておる問題でもない。それからこれを裏をくぐろうと思えば幾らでもくぐれるというのでありますから、私はこの五百トンという制限それ自身が頗る基礎のないものであると考えます。従つて又五百トンという基礎もただ一応のアイデアあつて、たまたま朝鮮の何か運賃をドル建で払うとか払わなかつたとかいうようなことが何回かあつたかないかのような事例に事よせて、こういう制限を設けて来たということがはつきり私にわかつたわけでありまして、ますます以てこの法律の私は真価を疑うわけであります。そこで私はこの法律案がなかつた場合に、この法律が現在ないのです、三カ月ないのですへこの三カ月ない間に如何なる支障が起つたかということを改めて伺いたい。
  202. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 一松君に申上げます。重工業局長の先刻の御質問に対して答弁がございますから。
  203. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) 韓国向けの船舶の輸出につきまして、実績を御報告申上げます。  昨年の二十七年一月から十二月の間におきまして十四隻、二十三万一千九百二十ドルに相成つております。今年に入りまして二月に二千ドル、三月に二千ドルというふうに輸出がされておりますが、四月以降御指摘のように輸出が現在されておりません。現在までに申請されておりますのが三十隻、三十九万六百二十五ドルになつております。これは護美いろいろお話がありましたように、漁船については農林省、貨物船、機帆船等につきましては運輸省その他といろいろお話をしまして、通産省といたしましては、輸出貿易の観点から話合いがつき次第許可いたしたいというふうに考えております。
  204. 一松政二

    ○一松政二君 重工業局長に伺いますが、今は運輸省は許可権はないわけなんですか。ないけれども、通産省としては事船に関することだから、一応運輸省の意見を尊重して事を決するという慎重な態度は私はよくわかります。又それでなければならんと思うのです。でありますけれども、それは今許可権が現在ないのだけれども、あなたのほうはそれだけの配慮をめぐらしておる。それから今、昨年の輸出実績を伺いますと、トン数は二十三万幾らですか。
  205. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) 金額でございます。
  206. 一松政二

    ○一松政二君 大体のトン数の平均はどんなものですか。
  207. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) トン数は、これは明確なものは出ておりませんでございますが、漁船が主体なのでございますから、そう大きな船ではないというふうに思います。
  208. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、今までの実績から言うと、主に漁船が輸出されておるということではありませんか。今又引合いに来ているのも漁船ではございませんか。さつき例に引かれた、外務当局が言われておつたのも大邦丸事件からいろいろあると言うが、大邦丸というのは明らかに漁船である。だから漁船の輸出はこの法律では何ら触れていないわけです。今朝鮮で問題になつているというのは、主に輸出船にしたつて、それにしたつて、それは漁船じやないですか。
  209. 葦沢大義

    ○政府委員(葦沢大義君) 主としては漁船が大部分でございます。その他機帆船もあろうかと思います。
  210. 一松政二

    ○一松政二君 なお念のために伺いたいのは、実はそれはこの法律では五百トンということの制限になつておるわけです。ところが漁船なら私は五百トン以下の船が多いと思う。これはこの法律の対象とならん。そうしてさつきの外務省の話を聞いても、どうも余り海運当局の言つていることは平仄が合つているとは私は思わない。従つて五百トンに下げて来ておるその根拠ですね、根拠を私は知りたいわけなんです。従つて今まで輸出されておる実績の平均トン数なり、実際のトン数がわかりますと私はなお更この点がはつきりします。甚だ御迷惑かも知れませんが。今は漁船が主だ。私も実際そうであろうと思うのです。漁船のことなら、まあ農林省との話は別ですが、運輸省には何の関係もないのだ。この法律の将外なんです。でありますから、それは私は論じようとは思いません。ただ五百トンにした根拠が頗る薄弱なんです。今聞いただけでは。韓国との間のトラブルもさほどの問題でもない。従つて五百トンまで下げて来た根拠が私にはつきりつかめない。船舶局長、何か意見があれば伺いましよう。
  211. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 今お話になりましたように、従来輸出されておつたのは漁船が主だつたのですが、最近私たちが話を聞いておりますのは、百七十五トンから二百トンくらいの貨物船でございます。これが四十隻、そのほかに積トン百トンの曳船が四隻か五隻あります。これらは石炭を運ぶ船と聞いております。だから漁船以外には右のような船があるわけでございます。
  212. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、船舶局長の今のお答えでは、韓国との間に今のこの法律で五百トンに下げなければならんという理由がないのですよ。又朝鮮と日本との間は機帆船か、そういう帆船か、そう大きな船が、それはまあ昔ならば、木浦の米を積んだりなどする、或いはあつちの東側の石炭を積んだり、三陟ですか、あすこの石炭を積んだりする船があるけれども、主に大体五百トン以下の船が多いのですよ。であるから、なお更私は五百トンと韓国との関係も迷宮に入つちやつて理由がはつきりしないのですよ。そうするとこの法律案は五百トンに制限されたところのさつぱり根拠がないし、それから判断の基準となるべきものは三条一項と二項によつて、もう誰が考えても常識の範囲より出ていない。そうするとあとはただ匙加減でやるのでしようから、この法律それ自身が私はどうしても欠陥があると指摘せざるを得ない。
  213. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 今私が申上げました百七十五トン乃至二百トンという船は、朝鮮の沿岸で石炭を運ぶ船でございます。従来とも朝鮮では五百トン乃至千トンくらい、或いはもつと大事な船も通つておりますので、必ずしもそういう小さな船だけが朝鮮と日本との間を航行しておるわけじやなくて、内地と朝鮮の間は従来から見ますと、やはり五百トン乃至千五百トンくらいまでの船が相当航行しております。そのほかに現に改Eと称するデツド・ウエートで八百トンくらいの船を相当買いに来ておるのであります。実際内地と朝鮮の間を航行するのはそういう船が最も適しておるのではないか、又そういうふうに考えております。  又朝鮮の輸出船と五百トンの関係を今お話になりましたが、五百トンときめたのは、先般来申しておりますように、外航船舶ということでありますので、国際法上外航船或いは国際航海に従事する船として、五百トン以上と一応きめておるという点から五百トンという線を引いたわけであります。
  214. 一松政二

    ○一松政二君 従来朝鮮との間に、日本と朝鮮との間に大型の、つまり近海域を航海するような船が現に動いておることも私は知らんわけじやございませんけれども、それは日本の船会社とかいう、相当基礎のあるものがやつておるものが多くて、今日朝鮮人が求めておるのは、それは大きな船もたまにはあるかも知れんが、漁船が大多数であろうと思うのです。それから又五百トンを外航船の範囲に入れたということは、これは日本が占領されて、朝鮮と琉球と台湾というものが外国になつたからそういうことを言うのであつて、五百トンの船を外航船などと言つたというようなことは、私どもはこの法律で初めて承知するわけです。五百トンくらいの船は、そんな遠洋には絶対に行けるものじやございません。又この法の狙いもそういうところになかつたはずです。その五百トンというものはたまたま今の朝鮮に引つかけて、朝鮮が差別待遇をするというので、そこへ下して来て、それは台湾と琉球ど朝鮮が外国になつたから、その間を往航するから外航船とおつしやるわけですよ。併し本当の意味における世界的な船舶業者なり海運業者が考える外航船の範疇には私は入らんと思うのです。この法律の狙いもそういうところを狙つたのじやないはずであると思いますけれども、成るべくその範囲を拡げるために、私はその朝鮮という問題を引張り出してたまたまお話になりましたけれども、通産省当局及び外務当局から承わりますと、どうもそれほど制限を設けられなければならんほど、五百トンという問題はシリアスな問題ではないように思うわけです。
  215. 甘利昂一

    ○政府委員(甘利昂一君) 一九四八年に改正になりました海上における人命の安全に関する条約では、国際航海に従事する船舶として五百トン以上を指定しております。従つて我々のいう外航船といいますのは、国際航海に従事する船舶、即ち日本と諸外国の間を航海する船舶でありまして、従来とも朝鮮、台湾等もやはり国際航海に従事するものとして、日本の附属地或いは属地でありましても、やはり一国と他の国との間とみなして、この間に航行する船はやはり国際航海と見て、外航船とみなされております。
  216. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 先刻の答弁に関連して、外務省経済局次長から発言を求められておりますので許します。
  217. 小田部謙一

    ○説明員(小田部謙一君) 私が申しましたことが幾分誤解を与えたか、私の恐らく説明が悪かつたのだろうと思いますが、外務当局といたしましては、現在このような船を制限しようとか、何とかいうようなことはないということを申上げたのでありまして、このことは丁度関税法の中に、相手が日本に最恵国待遇みたいな有利な待遇をくれない場合には、その国に対して差別待遇ができるという措置がございますが、併し現在の日本におきましては、その措置は一度も発動したことはない。併しそれだからといつて、関税法のその措置が成文となつているのではなくて、外交交渉の際には、相手方が若し日本に対して最恵国待遇をしてくれなければ日本としてもこういう手があるということを示しながら、通商航海条約その他の交渉を続けているわけでございます。それで勿論このことは、ここにありますことは、将来海運の問題で、やはり朝鮮ではございませんで、その他の国との会談がもつれまして、有利に導くためには、第一次的には勿論これを懇談で以て国際貿易という見地から説くのでございますが、併しどうしてもアンリーゾナブルでこれを聞かない、そういうような場合には、こういうものがあれば話を有利に取りまとめ得る余地もないことではない。勿論その際には、運輸大臣も外務当局と事前に十分な協議をして、それをやつたがために国際関係貿易の振興を害するというようなときに、この条文をお使いになる気持は毛頭ないのだろうと想像いたしまして、丁度関税法にそういうような規定があると同じような意味において、勿論それはどこの国の関税法にもありますから、それがあるために相手国はこれを日本の非友誼的態度と思わないと同じ意味におきまして、この条文を解しておるわけでございます。その意味におきまして、外務省といたしましては、この方針が現在すぐどこにあるということではありませんが、潜在的に或る有力な武器となり得るであろうということは信じて疑わないものであります。
  218. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  219. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 速記をつけて。  質問もまだおありになる方もあるかも知れませんが、懇談会の皆さんの御意見に基いて、これで質疑を終つたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないものと認めます。それでは討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして順次御発言を願います。
  221. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は本案に対して賛成いたします。  今までの相当長い時間かかつての質疑応答の経過を聞いておりますと、一松委員から、第三条の第一項第二項等の許可をする基準及びその条件となるべき内容等が極めて不備であるから、もう少し、原則的にこの法律に対して反対ではないが、条文を明確化する必要はないかというような御質問がございましたが、政府当局から、これらの内容については、第三条の第二項によつて運輸大臣が海運造船合理化審議会に諮つて、その意見を尊重してその基準等を決定するという説明があつたことを了承し、且つこの法律が制定されることによりまして、我が国の海運がいろいろな面において、航路、運賃等の調整がとられて、海運の発展の重要な基礎を作るものであると了解いたしまして、賛成をいたします。
  222. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御発言はございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  223. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) それでは速記を始めて下さい。
  224. 岡田信次

    ○岡田信次君 私は本法律案に賛成をいたします。  併し、この法案が本委員会に付託されまして以来、数回に亘り、又本日は相当長時間旨つていろいろ質疑応答が交されたのでありまするが、特に一松委員からは、この法案に対するいろいろな見解が吐露されたのでありまして、なかなか我々傾聴するに値するという点も多々あろうと存ずるのでありまして、この法案の運用に当りましては、よく一松委員が指摘されましたことにつきまして十分考慮されて、誤りなきを期して頂きたいということを強く要望いたしまして賛成いたします。
  225. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 他に御発言がございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 御異議ないものと認めます。  次に、本案を可とせられました方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  一松 政二     加賀山之雄  新谷寅三郎     大和 与一  東   隆     一松浦 清一 木島 虎藏
  229. 前田穰

    ○委員長(前田穰君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会