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1952-12-19 第15回国会 参議院 内閣委員会 4号 公式Web版

  1. 昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後一時四十四分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            上原 正吉君            松原 一彦君    委員           大野木秀次郎君            中川 幸平君            河井 彌八君            村上 義一君            赤松 常子君   衆議院議員            谷川  昇君   国務大臣    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    内閣総理大臣官    房賞勲部長   村田八千穂君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    保安庁長官官房    法規課長    麻生  茂君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○栄典法案(内閣送付) ○保安庁法の一部を改正する法律案  (衆議院送付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) それでは只今から内閣委員会を開会いたします。  先ず栄典法案を議題にいたします。緒方官房長官の提案理由の説明をお願いいたします。
  3. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) それでは只今議題となりました栄典法案の提案理由を説明いたします。  栄典の授与につきましては、日本国憲法において、その根本が規定せられておりまして、これに基いて時勢に即応した制度を整備いたすべきことは申すまでもないところであります。併しながら占領下未だ完全独立の態勢の整わない間は、栄典の制度を全面的に活用することは適当でないと考えられましたので、栄典制度を検討し整備することも、自然延期していたのでありますが、先頃待望の独立も回復いたしましたので、栄典制度を整備し、国家の再建に寄与している国民の功労に報い、その志気を高揚するのは、極めて必要と考えまして政府は、或いは世論調査を施行し、或いは民間識者の意向を質し、これらを参酌して慎重に考究いたしました結果、その基本的事項を法律案として取りまとめ、提出いたしました次第であります。  次に本案の要旨を申上げますと、今回の栄典制度は、勲章を根幹とし、これに位、功労章、褒章等を配しました。  勲章につきましては、これを授与する対象である功労の種類を限定しないものとしては菊花勲章と旭日勲章の二種とし、又特定の種類の功労に限り授与するものとしては文化勲章と産業勲章の二種といたすことにいたしました。菊花勲章は従来の菊花章を受け継ぐものとし、旭日勲章は従来の旭日章、宝冠章及び瑞宝章の三種に代るものとする考えであります。併しながらすでに授与されました旭日章、宝冠章及び瑞宝章につきましては、今になりまして一々詮議することも適切と存じられませんので、全部有効とする考えであります。  文化勲章は、従来の制度を継承するもので、今までの実績により、当然の処置と考えます。新たに産業勲章を設けましたのは、産業の発達に関し特に優れた功労者の表彰のためには、単一級の特別勲章を設けるほうが、実際上適当と考えたからであります。  位の制度は、これを存置し、今後は勲章と並んで、功労者表彰の一方法とし、表彰の方途に潤いを持たせたく考えるのであります。新たに功労章の制度を設けましたのは、前述のように普通勲章制度を簡素化したのを補いまして、あらゆる方面について功労のある国民を広く表彰することを目途としたものであります。従来の褒章の制度は主として国民のいわゆる奇特な行為を表彰することを目的とするもので、従つて今後一層その活用を図るべきものと考えております。  以上申し述べましたように栄典制度を整備しようとするのでありますが、更にその運用の実際において、本制度の趣旨を十分に発揮し功労ある国民の表彰に遺洩のないことを期するため総理府に各方面の公正なかたがたにお願いしまして審議会を設け、その公正、且つ、民主的な審議を経て運用するようにいたしたい考えであります。  以上本案の趣旨の概略を申上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) 緒方官房長官に対する御質疑がおありだろうと思いますが、官房長官は予算委員会の関係で非常にお急ぎになつておるようでありますので、長官に対する御質問は後日適当な機会にお願いすることにしまして、本日はこれから引続きまして賞勲部長村田君から詳細の説明をして頂きたいと思つております。さよう御了承願います。
  5. 村田八千穂

    ○政府委員(村田八千穂君) 私から法案の内容につきまして少しく詳しく説明させて頂きたいと存じますが、現在の勲章は旭日、宝冠、瑞宝、それに菊花、この四種のほかに文化勲章、合せて五種ということになつております。このうち文化勲章は、その名の通り文化上の功労のあつた人に授与する勲章でありますが、そのほかの勲章は授与する功労の種類を限定しておりません。このような勲章を、以下便宜上、普通勲章と呼ぶことにいたさせて頂きたいと存じます。この普通勲章を現在持つておられるかたは約二百五十万程度と推定されます。私どものほうでは、授与した勲章については個々の調べがあるのでございますが、それを受けられたかたが、現在なお生きておられるかどうかという私のほうに調べがないために、はつきりした数字を申上げることができないのでありますが、まあ大体二百五十万程度ではないかと考えております。そのうち九割ぐらいは軍人としての功労、この軍人という中には兵を含むということにいたさして頂きまして、そういう功労に対して授与されたものでありまして、その残りは大部分官公吏等の功労に対して授与したものであります。従いまして純民間人としての功労に対して授与されたものは、極めて少数に過ぎないのであります。このような従前の勲章の授与方針というものは、今後一大改革を加えられなければならないことは当然と存じますが、この場合に、今後授与する勲章を、従前のものと別種のものといたしまして、授与方針の一新を明らかにし、且つ従前の勲章と直接対比されることがないようにするほうが望ましいと考えられるのであります。但し今申上げましたのは、主として旭日、瑞宝、宝冠、この三種の章についてでありまして、菊花章と言いますのは皇族及び特に大きな功労のあつた人に限つて授与することになつております。現にこれを持つているかたも十人余りという少数のかたに限られておりますので、この勲章については今後もこのままでいい、そしてこれを残して置くことが必要と考えております。そこで、従前の旭日、宝冠、瑞宝の三種類の勲章についてでありますが、これを今後新しくするとしまして、先ず従前の通り三種類必要かどうかという問題につきましては、将来の恩賞は簡明直截に行なつたほうがいいのではないか、そういたしまして、小さい功労の差をいちいち詮索いたしまして区分を複雑にしないほうが時勢に適合するのじやないか、こういうふうに考えたのであります。こういうようにこの種類は先ず一種類にするということにいたしました。  次に従来の、さつき申上げました三種の勲章は八等級の区分がありますが、こういうような等級の区分を設けるべきか、設けるなら何等級が適切かという問題であります。元来勲章で表彰すべき功労というものには、又大小の等差が考えられるのでありまして、それから又同一人が勲章を授与されるような功労が重ねてあつたということも考えられるのであります。この二つの問題に応ずるために、勲章を功労の大小に応じて数等級に区分するということが先ず考えられるのでありますが、次の功を重ねたという場合に応ずるものとして、功労あるごとにこれに相当する等級の勲章を授与する、そうしてこれを併せて着用させるという制度も一策なんであります。併しながらこの方法によりまするというと、同じような種類の勲章を、一人で多数着用するという場合ができるのでありまするが、これは体裁上如何かと考えられまするので、功を重ねた場合には進級させるという考え方をとり入れまして、これに功労の大小に応ずる区分というものと合せまして、両方の勲章の等級を設けるということが考えられるのであります。で、外国の例を見ますると、先ほど申しました普通勲章については、等級の区分を設けている点は通例であります。次にその等級の数でございますが、これも各国の勲章を調べますると、若干の例外はありまするが、大体五等級でありまして、その体裁のほうも、五等級の最上級に属するものは大幅のリボンを肩から斜めにかけて勲章を吊るし、更にリボンなしの副章をつける。次の第二級に属するものはリボンなしの大形の勲章をつける。第三級に属するものは、男子は咽喉下にリボンで章を吊し、これは婦人は左胸のほうになります。それから第四級、第五級はリボンで左胸に章を吊す、こういう体裁になつておるのが、各国の共通なんであります。そこで、今後、旭日、瑞宝、宝冠に代る勲章というものは、等級制度をやはり五等級という外国の普通の例にならうことが適当と思つたのであります。  次に新勲章について、その図案といいますか、意匠というものをどうするか、名称を如何にするかという問題なのであります。従前の勲章と全く異なるものであつて、我が国の勲章としてふさわしい意匠というものが事実上あれば結構なんでありますが、これは実際問題として求めがたかつたのであります。現に西ドイツ政府は、昨年九月に新らしい勲章制度を設けたのでありまするが、その意匠の形を見ますと、従前のドイツの十字章と殆んど同じでありまして、中央に同国の特有の鷲の形を配している。こういうものであつて、私らも一見して、それはドイツの勲章であると考えられるようなものであります。次に元来この新勲章を必要とするという趣旨を考えて見ますると、それは従前の旭日、瑞宝、宝冠という普通勲章と区別することが眼目であるように存じます。そこで新しい勲章は我が国の国旗とも関連がありますし、且つ最初に制定されましたところの在来の旭日章の意匠を残しまして、リボンの色などで区分し、名前も旭日勲章ということが適当ではないか、こういうふうに考えるのであります。なおこの新勲章の各等級の名称には、一、二、三というような数字を用いる表現を避けるという方針の下に、法案にありまするような名称を選んだ次第であります。  次に今まで授与しました旭日、瑞宝、宝冠の三勲章の取扱の問題であります。元来国家が、過去において功を認め、労を多としまして授与した恩賞を、あとになりまして、時世の変化によつて取消すということは、穏当ではないというふうに原則的には考えられます。併しながら勲章と申しまするものは、品物とか賞金とかというものと違いまして、将来に亘つてそれを着用せしめ、その栄誉を長く顕彰しようというものでありますから、必ずしも先ほど申上げましたような原則論を適用しがたいのであります。先に授与した功労が後になつて全然無価値である、こういうように思われるときには、その勲章の効力を否認するということも理論上考えられる、こういうふうにも思います。そこで現実の問題について考えますると、今まで授与した普通勲章について問題となるものは大体次のようなものであります。即ち満洲事変とか日華事変とかいう事変の功労によつて授与された勲章、太平洋戦争における功労によつては勲章を生きておる人に、は授与しておりませんので、現在そういう勲章を持つておる人はいないわけであります。それから次に、今申上げました事変の功労によつて授与された勲章を基礎として進級した勲章、それから事変地や戦地で勤務したことによりまして加算された勤続年数に基いて授与されましたいわゆる定例叙勲の勲章、更に事変や戦争に関与した文武官の定例叙勲の勲章、こういうものが問題となる勲章であると存じます。これらの勲章を授与された功労というものは、敗戦によりまして或いは無に帰しておるとも考えられるのでありますが、当時の労苦はこれは今でも多としなければならないものでありまして、全部一様に今申上げたような勲章を無効とするのも酷な取扱いではないかと考えます。そういたしますと、今申上げましたいろいろの種類のうちで、一定の線を引いて取捨選択するということも考えなければならんのでありますが、これは実際上極めてむずかしいのであります。その上に、問題の勲章を無効とした、そういう取扱いをした場合に、その勲章に関係のある功労を除いた残りの功労、これを各個人ごとに審査いたしまして、無効とした等級の勲章には該当しないが、その下級の勲章には該当するという場合には、これを改めて授与することにしなければ公平を失する、こういうことになるかとも思うのであります。  以上の諸点から考えまして、従前の勲章の効力は引続き認めるというのが適当な措置ではないか、こう考えたわけでございます。  次に勲位勲等の制度の問題でございます。この勲位勲等というものは、厳密に申しますと、これに相応するものが諸外国には現在ございません。我が国特有の制度と考えられます。これは功労のある者に対しまして、位と同じような一つの称号を与え、そうしてその称号が大勲位、勲一等から勲八等に至る九階級に分れております。その九階級に分れておる称号に応じた勲章を着用させる、こういう建前でできたものであります。この勲位勲等を一つの称号というふうに考えますると、これは勲章を授与された者に称号も併せて与えまして、厚く表彰しようというのでありまするから、必ずしも排斥する必要はないと考えられるのであります。併しながらこれを存続するといたしますると、従前の勲位勲等も認めざるを得ないようなことになりまして、従つて従前の勲章を新らしくするという意義がなくなつてしまいます。又今後勲位勲等に代る類似の制度を設けるとしましても、やはり従前の勲位勲等との間に前の一等は一度新らしい一級とか一位に相当するかしないかというような関係を明確にする必要が起りまして、新勲章と旧勲章とを別個のものとし、その間の関係を端的には示すことを避けようとする方針に反することになるのであります。なお又あとで申上げることになるのでありますが、位の制度を存続しようという考えであるとしますと、これと重複することにもなります。なお従来文化勲章受領者には勲位勲等又はこれに代るような称号を与えていなかつたのであります。以上のような点を考えまして、勲位勲等はこれを今後授与しないということにいたしたいと考えたのであります。今後授与しないといたしますれば、現にこれを持つておるかたにつきましても、勲位勲等は将来栄典としての効力を失うことにしたい、こう考えております。  次は特別勲章の問題でありまするが、法案では従来の文化勲章を残す、そうしてほかに産業勲章を加える、こういうことになつております。文化勲章は主として従来学術芸術上の功労者に授与しておりまして、これらの功労はその大小をはかることが非常に困難である、そうして又こういう功労者に対しましては、普通勲章の何等級を授与していいかということが、事実問題として極めて判定に苦しむ場合が多い。そういうような事情で、単一級の勲章を別に作りまして授与したほうが、恩賞として有効適切であるという考えの下に作られたものであります。このような文化勲章は勿論今後もこれを変更する必要がないと考えたのであります。  次に産業勲章を設けるという問題でございまするが、これは産業経済方面の特に優れた功労者に授与するものといたしまして、丁度文化勲章に匹敵するところの単一級の特別勲章、こういうふうにいたすつもりであるのであります。元来純理論的に行きますと、普通勲章というものがありますれば、このほかに特別勲章を制定する必要はないとも言えるのであります。併しながら実際上から申しますると、特別勲章の必要が、およそ二つの点で考えられるのであります。その一つは、普通勲章というのは等級があるために、そのいずれかを擬さなければならなくなるのでありまするが、実際上は何等級とするということよりも、別格のものを授与する、勲章の等級の中に入らない別格のものを授与するというほうが適切だという場合が実際上あつたということであります。その二は、表彰の意義を、被表彰者は勿論、第三者にも徹底させるという点で、普通勲章を授与するよりも、特別勲章、文化勲章とか産業勲章、そういうように銘を打つた勲章を授与するほうが効果的であるということであります。栄典の根本は、被表彰者自身も満足するように考え、且つ一般世人を納得させるということにあるのでありまするから、このためには、普通勲章一本槍という制度よりも、若干の特別勲章を加えて妙味ある運用を図るほうが適切と考えられるのであります。然らば文化勲章のほかに何故に産業勲章を設けたかと申しますると、これもいろいろ議論の余地があるかとも存じますが、産業経済方面はその業種が頗る多種多様でありまして、この方面の功労者には、普通勲章の等級の分れているいずれかを擬するよりも、特別勲章のほうが適切とする事例が比較的多いのではないかと考えられましたことが、産業勲章を作つた理由の一つであります。それから我が国の現状及び近い将来について産業の振興というのは特に強い要望があるのではないかと、こういうふうに考えたことが、産業勲章を作りました理由の第二でございます。  次は位の問題でございますが、御承知の通り、我が国では非常に古い制度でありまして、いろいろの変遷を経ているようでありますが、現行制度では正一位から従八位に至る十六階級に分れておりまして、国家に功労がある者、それから官公職にある者、この二つが授与される範囲に入つております。位の本質につきましてはいろいろの議論もありまするが、今後これは被表彰者に一つの称号を与えるものと考えることができるかと思います。そういたしますれば、栄典として必ずしも排斥すべきものではないと考えます。そこで問題は、他の栄典と並んでこれを置いておく価値があるかということになるのでありまするが、先ほど申上げました在官在職者というものに授与するというような点は、これは今後廃止すべきことは勿論でございますが、国家公共に功労のある者に授与する称号としまして、普通勲章が簡素化されたのを補うということにいたしますれば、運用の余地があり、且つ実際問題として栄典制度に潤いを持たせるということになるのではないかと考えております。  なお従来亡くなられた、いわば歴史上の人物と申しますか、古い故人に対しまして贈位の制度というのがございます。この贈位というようなことは、勲章その他ほかの栄典では代えることが適当でないものでありまして、而もこのような故人の功を追慕するという慣行は捨てがたいようにも思われるのであります。以上の点を考えまして、位の制度を残すことにいたしました。  次は功労章の問題であります。これは勲章を授与される程度に達しない功労に対して広く授与することを目標として制定いたしたものであります。実質上は功労章は勲章の下級に属すると言うことができるかと思います。而もこれを形式上勲章と別種の章としたことは、これは実際問題としまして、先ほど申上げましたように、勲章には五等級ある、その下の六等級、七等級であるということにいたしまするよりも、別種の章として一応形式上勲章と異るものとしたほうが実際に適切ではないかと考えられたからであります。なお、この功労章は、普通の功労に対して授与するもののほかに、特に勇敢な行動をなし、自己の危険を顧みずに功労を立てたというような者に特別の功労章を予定しております。これは主としまして火災、風水害、工場、鉱山等における災害、それから治安の維持などに際しまして、自己の危険を顧みずに勇敢な行動をして功労を立てた者に授与するというようなものと考えておるのでありまするが、普通の功労章のほうは功労金章と功労銀章の二等級に区分し、結局功を二度重ねたかたまでは賄うことができますが、それ以上については一応功労章としては考えられておりません。これは細かいことになりまするが、三度以上あつた場合は盃とか別途の方法で表彰しようと考えておるのであります。ところが先ほど申上げましたような特別功労章を授与するというような行動は、同一人が何度もそういう功労を立てるということが考えられます。そこで普通の功労章と別のものとして飾版制度というものを加えまして、功を二度以上立てた者にはその都度飾版を付けて行く、そうして累功をどこまでも表彰ができると、こういう章にしたほうがよいと考えたのであります。そこで今のような理由で特別功労章を作ることにいたしました。  次に褒章の制度でございまするが、これは明治十四年に関係法令を公布して、翌十五年から施行したというものでありまして、最初は三種類でございました。その種類は、品物のほうから申しますと、リボンの色に紅、緑、藍の区分がございまして分れております。そうしてそれは授与の対象から行きますと、紅綬褒章というのは、即ち赤い色のリボンの付いておる褒章は人命救助をした人に、緑綬と申しますのは篤行者と実業に精励した者に、藍綬というのは公共事業に尽瘁した者に授与すると、こういうふうになつております。この制度はその後部分的な改正がありましたが、一番大きいのは、その後大正七年に、公益のため私財を寄附した者に新たに、紺綬褒章というものを授与するということにして一種類追加されたことでございます。従いまして、現在は四種類になつております。これはその創設のときから民間のかたの表彰ということを主としたものでありまして、現在でも人命救助で役人が頂くことがあるのと、発明発見で役人が頂くことがあるという以外には役人には授与して来ていないのであります。今申上げましたようなものでありまするから、この褒章はこれを大体そのまま残して将来も運用する、将来もつとむしろ活用すべきものと考えております。ただ実業に精励というようなことにつきましては、職務に精励と直しましたし、又、章の体裁が非常にお粗末でございまして、記章と殆んど同じようなものでありまするのを、もう少しよくしたいと、こういうような点で改正を加えただけでございます。  制度の内容としましては、重要な事項は大体今申上げましたようなことかと存じます。なおそのほかに、これを運用する機構として栄典審議会というものを総理府に設けまして、勲章の授与については一々ここにかけまして、その上で閣議にかけると、こういうふうな仕組にしたいと思つておりますし、その他の栄典につきましても、授与の方針、内規というようなものができますれば、一々この栄典審議会の意見を聞きたいと思つております。この栄典審議会は、形式上は従前これと殆んど似たものとして賞勲会議というのがございました。その当時の賞勲会議は官吏というものから選ぶことになつております。併し今度の栄典審議会はこの点は全然逆に、官吏は原則として入らないもの、入れないものというふうな考えでおりまして、主として民間のかたに入つて頂く、そうして民主的な運用を図りたい、こういうふうに考えております。  以上大体の主な点を申上げたと存ずる次第であります。
  6. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) 引続いて質問を願う予定になつておりましたが、実はこの問題に引続いて保安庁法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと思います。先ず谷川昇氏、衆議院議員の本案の発案者の一人でありまするが、その御説明を願う予定にしておるのであります。ところが谷川さんがほかの委員会の関係等非常にお急ぎの用があるそうでありまして、栄典法案の審議途中になるけれども便宜その説明を先にさせてもらえないだろうかというお申出があつております。非常に短い時間で御説明するように承わつておりますので、中に挿むことに議事の順序を変えることにしたら如何かと思いますが、お差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  8. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) それでは保安庁法の一部を改正する法律案を議題にいたします。発案者の衆議院議員谷川昇君に提案理由の説明を求めます。
  9. 谷川昇

    ○衆議院議員(谷川昇君) 誠に勝手なお願いを申上げまして大変恐縮でございます。本改正法律案の発案者の一人といたしまして、どういう経過と理由でこういう改正案を提案するに至りましたか、その経過を一応説明さして頂きたいと思うのであります。  私ども議会の当初に当りまして内閣から日米船舶貸借協定の締結の承認を求めて参つたのでありまして、この案件は直ちに衆議院の外務委員会に付議されたのであります。爾来今日まで審議を続けておるのでありますが、なかなか議論沸騰いたしまして、まだ最後の決定に至つていないというような状態にあるのであります。只今も総理大臣の出席を求めまして最後の応答を交わしておる最中であるような次第でございます。その途中におきまして、実はその内閣提案の船舶貸借協定の審議に当りまして、事たまたま保安庁法に議論が移りまして、この保安庁法によりますると、保安庁法は、我が船舶安全法、或いは船舶職員法更に又電波法の適用の一部又は全部を排除しておる規定があるのであります。これは海上人命安全条約、若しくは国際電気通信条約を排除しておるものであるから、従つて憲法の違反ではないかというような議論も起きて参つたようなことであります。又これらの国際条約の適用が若しあるといたしましても、海上人命安全条約は、軍艦、軍隊輸送船等に対しての適用の除外を認めておるだけであるから、今回米国から借りようとしておるところの船舶はこれは軍艦であると言わない限り、その構造等の点について右の条約に違反するようなことになるのではないかというような議論が、委員会、更に引続いて予算委員会において出て参りまして、非常に議論が沸騰して参つたのであります。そこで保安庁法につきましていろいろ委員会におきまして議論をいたしたのであります。政府の説明を求めましたところ、政府におきましては、排除しつ放しで決して法的の措置に何ら支障はないのだという説明であつたのでありますが、併し委員会におきまして、その排除しつ放しにしてこれに何らの法的の根拠を与えておかないというと、これはどうも事柄を不明瞭にする嫌いがある。同じことなら法律を改正してそのよつて来たる法源というものを明らかにしておこうじやないか、こういう議論が強くなりまして、それならば保安庁法の一部を改正することにしようという話が進んで参りまして、さてその場合、これはその改正法案というものは政府の提案にするか、或いは議員の提案にするかということでいろいろ話をいたしたのでありますが、政府のほうといたしましては、すでに二回もこの保安庁法というものは議会を通過しておる法律ではあるし、今自分のほうから進んで提案するということは遠慮さしてもらいたい、できることなら議員提出にしてほしいと、こういう話がありました。なお各派の間におきましていろいろ相談をいたしたのでありますが、その結果、自由党所属の委員で一応提案をしてくれ、こういうことに話がまとまつたのであります。次いでいろいろ調べてみますると、この一部改正の議員提出の法律案は内閣委員会において所管されるということになりましたので、それではというので又内閣委員のほうにも連絡をいたしまして、外務内閣両委員会中、自由党に所属しておる我々で提案をするということにいたしまして、非常に急を要しましたので、関係全員を以て提案をいたす話合いであつたのでありますが、我々十二名のもので提案をいたしたような次第であります。これが今日までこの保安庁法の一部を改正するに至りました経過であるのでございまして、先だつて衆議院に提案をし、議会においては上程されておりませんが、今内閣委員に付議されまして明日採決をするという段取りに入つて来ておるようなわけであります。それと同時に、多分明日になることと思うのでありますが、船舶貸借協定締結の承認の件につきましても、外務委員会において今日か明日のうちに採決をいたすことになろう、かように思つておるようなわけであります。簡単ではありますが、以上今日まで我々の関係いたしました本改正法案につきましての経過を御説明申上げまして、なお提案の理由につきましては政府のほうから一応読み上げて頂きますからお聞きとりを願いたいと思います。
  10. 麻生茂

    ○説明員(麻生茂君) 只今議題となりました保安庁法の一部を改正する法律案の提案の理由を申上げます。衆議院外務委員会における日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求める件の審議の過程において、保安庁法第八十七条により船舶安全法の規定を警備隊の使用する船舶について、同法第八十八条により船舶職員法の規定を警備隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する職員について、又同法第八十九条により電波法の一部を警備隊の使用する移動無線局について、適用しないこととしているので、これらの適用除外の規定と海上における人命の安全のための国際条約及び国際電気通信条約の履行との関係について活撥な論議が行われて来た。これらの適用除外規定の趣旨は、警備隊所属船舶は国家機関に所属し特別の公共の任務を遂行する船舶であるから、一般法たる船舶安全法及び電波法等をそのまま適用することは不適当であり、人命の安全その他必要な事項については行政的措置により遵守せしめるという趣旨であります。殊に海上人命安全条約において軍艦以外の船舶については原則としてこの条約を十分且つ完全に実施すべきものであり、これがため船舶安全法もできているのであるが、警備隊所属船舶は軍艦として適用除外をするという趣旨ではなく、必要な事項は命令、規則、訓令等により遵守せしめ、条約遵守上遺憾なきを期する趣旨でありました。電波法についても国際電気通信条約及び同附属無線通信規則があり、これらは警備隊の電気通信業務についても遵守すべきものでありますが、このためには必ずしも電波法をそのまま適用する必要はないので、警備隊の使用する移動無線局の特殊性に鑑み、一部の規定を適用しないことにしておりますが、これも行政的措置により必要な事項を遵守せしめようという趣旨であります。然るところ船舶貸借協定の承認の審議の経過から見て、この際警備隊の使用する船舶等についてこれらの趣旨を明確にすることが適当であると考えられるに至つたので、ここに保安庁法の関係規定を改正し、明文をもつてこの趣旨を明らかにすることとし、このための法案を提出した次第であります。  何とぞ御審議の上速かに可決されんことをお願いいたします。
  11. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) 谷川君がもう暫くは時間がおありのようでありまするから、御質問がありましたらこの際お願いいたします。
  12. 松原一彦

    ○松原一彦君 提案者にお聞きします。これは政府は必要がないと飽くまで突つぱねておられたのですが、政府も必要を認められたと信じていいのですか。
  13. 谷川昇

    ○衆議院議員(谷川昇君) まあ大体了承をした形であります。
  14. 松原一彦

    ○松原一彦君 そこは非常に割り切れないものがある。私どもは最初からこれは反対なのですから最初から反対し通して来ておるけれども、すでにもう国の法律としてなつたのですから、できておる法律そのものを政府はこれでよろしいよろしいと今日まで言い通して来ておられる。今説明員をして言われたけれども、まあ政府の側においても、どうも政府から出すのは体裁が悪いからして、議員提出でやつてくれというような依頼を受けておやりになつたようにとれたのですが、どうでしようかね。
  15. 谷川昇

    ○衆議院議員(谷川昇君) 依頼を受けたわけでは決してありませんけれども、この問題について非常に紛糾をいたしまして、何か打開の方途を講ずる必要が政治上生じたわけであります。そこでいろいろこれに対して反対の立場或いは非常に糾弾的な立場をとつておる向きともいろいろ相談をいたしまして、政府に非常な異論のない限り、ここに提案いたしておりまするような内容において法律の修正をすることによつて大体了解をいたそうと、こういうようなことになりまして、実はこの改正案を提案することに相成つたようなわけであります。
  16. 松原一彦

    ○松原一彦君 それでは、こんなふうに解釈してよろしうございますか、政府も従来強硬にこれでよろしいと言つておつたけれどもが、その非を自覚せられて、改めてここに政府も同意を以つて提案せられたものだと、こう解釈していいわけですね。
  17. 谷川昇

    ○衆議院議員(谷川昇君) 結果においてはそうでありますが、やはり内容について御審議を願いますればわかることでありまするけれども、行政措置につきましてどういう種類の行政措置をとるようにということを今度はこの法律でははつきりいたしております。いろいろな措置によつてやれるだろうと思うのでありますが、そういう点ぐらいなことが非常に今までの政府の自由な活動を多少この修正によつて制約することに相成るのであると解釈をいたしております。
  18. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) ほかに御質問ございませんか。保安庁の次長もお見えになりました。御質問がありましたらこの際お願いします。
  19. 松原一彦

    ○松原一彦君 保留いたします。
  20. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) ございませんければ、ちよつと御相談いたしますが、実は文部委員会のほうで速記を非常に急いでおられるそうでございますので、速記をお譲りすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) それでは速記をとめて下さい。    午後二時三十八分速記中止    ―――――・―――――    午後三時四十七分速記開始
  22. 竹下豐次

    ○委員長(竹下豐次君) 速記を始めて下さい。それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時四十八分散会