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1952-02-25 第13回国会 参議院 法務委員会 8号 公式Web版

  1. 昭和二十七年二月二十五日(月曜日)    午前十一時十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小野 義夫君    委員            小滝  彬君            左藤 義詮君            長谷山行毅君            岡部  常君            吉田 法晴君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○検察及び裁判の運営等に関する調査  の件  (法務総裁に対する質疑の件)   ―――――――――――――
  2. 小野義夫

    ○委員長(小野義夫君) 只今より委員会を開きます。  前回に引続き法務総裁に対する質疑を行います。
  3. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 法務総裁に対して、法務府設置法の定める内閣に対する最高の顧問という御資格から、私が現在これから申上げる問題について純粹に法律的な見地からの御答弁を頂戴いたしたいと思うのであります。  第一に伺いたいのは、先頃東京とそれからニユールンベルグとで行われました国際軍事法廷につきまして、その判決というものは現在判例としての効果を持つておるものであるかどうか。その点を法務総裁の御意見を伺つておきたいと思うのであります。
  4. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 羽仁さんもう一度伺いたい。私ちよつと理解できかねます。
  5. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 御承知のように、ニユールンベルグ及び東京において行われました国際軍事法廷というものは、戦争を起すという行為を犯罪というふうにいたしております。そしてそれらについてそれぞれ具体的な諸條件というものについて判決を下しておられる。この判決というものは、今後日本では言うまでもなく、世界の各国の政治家の責任というものに対して一定の條件を挙げて、一定の條件を以て一定の行為を禁じているものというふうにお認めになりますか、お認めになりませんか。それを伺いたい。
  6. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) これは国際法上の一つの先例となるものと考えております。
  7. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 強い先例でありますか、弱い先例でありますか。
  8. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) これは考え方にもよることだろうと思いまするが、少くとも将来に一つのエポツクを作つた判例と、私はこう考えております。
  9. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうすると強い先例とお考えになつているというふうに伺つてよろしうございますか。
  10. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) その強弱の問題は、これは申上げることができませんが、今申上げまするように、少くとも国際法上そういう判例として認められるものだろう、こう考えております。
  11. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 このニユールンベルグ、東京の国際軍事法廷の検証並びにその判決につきましては、只今法務総裁はそれが国際法上一つの時期を画するところの先例であろということをお認めになりました。それはそのほかにもいろいろな條件がこれに付随すればこれは極めて強い、強力な効果を持つということになると思いますが、その点につきまして、国際連合がその総会の議決によつて、このニユールンベルグ及び東京の裁判が今後の国際関係の上に有効であるという趣旨を述べておられることも御承知のことだろうと存じます。それから現在世界の各国の憲法の中に、このニユールンベルグ或いはその一般にそういう国際軍事法廷の判決というものの趣旨を守るということを述べている国もございます。ドイツはニユールンベルグ裁判の判決の結果を有効であるということを憲法の上に明記しておる。日本の場合には、御承知のように、平和條約の中にこれを明記しております。こういう意味において、ニユールンベルグ及び東京の国際軍事法廷の検証並びにその判決というものは、今日において私は動かすべからざるものであると考えますが、法務総裁は動かすことができるというふうにお考えになつているかどうか、それを伺いたい。
  12. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) それは平和條約に規定されておりまする限度においては動かすことができないと考えております。
  13. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の申上げましたのは、大体三つの條件ですね、第一は国際法上の一つの時期を画する先例であるというふうに、それは先ほどお認めになりました。それから第二には、国際連合がこれらに対する意思を表示しておられる。それからドイツなどの場合には、憲法の中にそれを明記しておられる。それから日本の場合にも平和條約の中にこれが明記してある。そういう諸條件を総合いたしまして全体として、この国際軍事法廷の検証及び判決というものは今日において確立されたものであるというふうに私は考えますが、法務総裁は確立されたものじやないというふうにお考えになるかどうか。それを伺いたい。
  14. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) お説の通り、今日においては確立されたものと考えてよかろうと思います。
  15. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それから第二に、その点について伺いますが、この国際軍事法廷の検証及び判決というものと、それから日本国憲法第九條というものによつて、現在日本においても内閣総理大臣、又それぞれの内閣における各閣僚というものは重大な責任を負うというように考えます。特にこの憲法第九十九條によつて国務大臣は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負うということが記されておりますが、この義務に背いた場合には、それは先ほど述べました国際軍事法廷によつて確立せられた国民或いは国際平和に対する犯罪という判決と関係があるとお考えになりますか、関係がないとお考えになりますか。
  16. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) ちよつと質問の要旨が呑み込めませんが、もう一度……。
  17. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それではもう一度申上げますが、閣僚が憲法に違反した場合について……。
  18. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 閣僚が憲法に違反した場合には、それは政治上の責任を負うことであろうと考えますが、それは国会において非難される対象にはなり得るものと、こう考えます。
  19. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 政治上の責任を負うのみならず、後日においてそれが国際軍事法廷によつて確立せられたような原則によつて裁かれることがあり得るということをお認めになりますか。
  20. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 裁かれるということは私はあり得ないと、こう考えております。
  21. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 現在の日本国憲法というものは、言うまでもなく、御承知のように日本が再び侵略戦争を繰返さない。飽くまで平和を守るという誓約の下に立つておるものであります。従つてこれは国際軍事法廷がその目的としたところの政治家をして法の前に戦慄せしめなければならないという、ニユールンベルグの裁判の冒頭にジャクソン検事が述べられたその趣旨が日本国憲法の中にも生さておるものと私は思うのであります。政治家が法というものに対して、総理大臣にせよ、法務総裁にせよ、法というものの前にいやしくも良心に背き、或いは言葉の綾で以てその法というものを事実において踏みにじられるということは、そのジヤクソン検事の言葉を引けば、政治家をして法の前に責任あらしめるゆえんではございません。そうして国際軍事法廷なり、或いは日本の憲法というものも特にその点政治家をして、総理大臣や閣僚をして法の前に責任あらしめるというようにしている点において、国際法上又国内法上においても私は非常な進歩があるというように考えるのでありますが、この点については法務総裁も私と全く同感であろうと思われますが、如何でございましようか。
  22. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私は国際法上のそういう先例はどうしても守らなければならんということは考えておりますが、憲法に違反したかどうかということは、これは純然たる国内的な問題でありまして、万一閣僚が憲法違反のようなことがあるとすれば、それは国内的に責任を負うものであろうとこう考えております。
  23. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は特にこの際、法務総裁がはつきりした決意を示して頂きたいと思いますのは、先般来さまざまな問題について、現在の総理大臣或いは閣僚が憲法が我々に厳として命じておるところの、或いは厳として禁止しておるところの行為などに関して、或いは国民に多大の疑惑を与えるのじやないかと思われる点があるからであります。そうしてそれは当面の問題の解決については、或いはそういう態度をおとりになるということに理由があると考える場合があるかも知れませんけれども、併しながら長い目で考えて見るならば、憲法が我々に厳として命じ、そうして又憲法が我々に厳として禁止しておるところのものについて、いやしくもそれを良心に基き、あらゆる努力を尽して守るという態度をとらないということが起つて来る虞れが多大にあると思うのであります。これは法務総裁においても、最も憂うべきだというふうにお感じになつておることと思います。憲法にはそう書いてある。併しそれはこうも考えられるんだというようなことが世間で通用するようになりましたならば、それは法務総裁の現在本意でもおありにならないでありましようし、又その職務にも反することではないかと思うのであります。その意味において憲法が我々に厳として命じ、或いは我々に厳として禁じているごとについて、なかんずく総理大臣なり閣僚なりというものは、如何なる意味においても良心に基き、又あらゆる手段を尽してその守るべきものを守り、禁ぜられているものをなさないという重大な責任があるというふうにお考えになつておれれるかどうか。その点伺いたいと思います。
  24. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論閣僚は憲法の規定を十分重視すべき責任があります。又私は、この憲法を我々閣僚としましても、憲法を十分尊重し、これを守るべき考えでおるということをお答えいたします。
  25. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は決して戦争とか或いはさまざまの悲しむべき事件というものは突如として起つて来るものでないということは、改めて法務総裁に申上げるまでもないことと思います。併し法務総裁も長い人生を以て体験せられましたように、当初においてはそれほどの問題でないというふうに考えられることが、次々と重なつて行つて、そしてすでに国民が気付いたときにはもはやそれを挽回する余地がないという状態に到達しておつたことは、我々も忘れてはならないことだと思うのであります。従いまして特に今後問題が紛糾して行くに当りまして、法務総裁が内閣の最高の法律顧問として、首相乃至閣僚に向いまして、憲法を厳守し憲法の禁じているところを絶対に侵さないという態度をはつきりおとりになる方針でおられるかどうか。その点も伺つておきたい。
  26. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) お説の通り、もとよりさようであります。我々はどこまでも法の規定を守るべき覚悟でおります。
  27. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 なお、くどいようでありますが、一言念のために伺つておきたいのでありますが、それらの重大な義務に総理大臣乃至閣僚が違反せられた場合には、その結果には極めて重大のものがあるとお認めになりますね。
  28. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) もとより政治上の責任は十分とるべきであろうと考えております。
  29. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 第二に伺つて参りたいのは、いわゆろ予備隊乃至それらに関連する問題についてでありますが、これについてのお答えも只今伺いました趣旨に従つて拝聴いたしたいと思うのであります。軍隊と軍隊でないものとにつきまして、軍隊に類似するものと軍隊でないものとの違いでございますね、これについては単に常識とか或いはさまざまの言い現わし方とかいうものだけによつて解決せられる問題でない。これについては軍隊とそして軍隊に類似するもの、或いは戦力と憲法において厳に禁じておるところの戦力、それに類似するけれどもそうでないもの、或いは憲法において厳に禁じているところの国の交戦権、そういうものと、それに類似するけれどもそうでないもの、それらの間には、法務総裁として、内閣の最高顧問としては、はつきりした諸條件、それぞれの條件を備えた定義を持つておられることと私は存じます。それについてお教えを願いたいと思うのであります。
  30. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 先ず軍隊と軍隊にあらざる部隊と申しましようか、そういうものとの区別につきましては、根本的に、軍隊はいわゆる戦争目的のために設けらるべきものであろうと考えております。これが第一であります。第二は、その内容、いわゆる軍の部隊と申しましようか、軍事的にこれを活動させ得るに必要なる装備或いは編成というものを持たなければならんと考えております。
  31. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 第一に御意見を伺いました趣旨に従つて御質問を申上げるのですが、今二つお挙げになりましたものは、すべての條件であるとお考えになつておられますか。それ以外に條件がないというふうに御断言になれますか。
  32. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) それはいろいろの條件もありましようが、主たる條件としてこれはそこに持つて来るのが至当であろうと考えております。
  33. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 只今伺つておりますのは、申上げるまでもなく法務総裁が内閣の最高顧問として、現在の内閣がさまざまのことをなし又はなさんとするに当つて、その判断の基礎となる御意見を法務総裁はお持ちになつていなければならないと思うのであります。従つて現在の内閣がなし又はなそうとしていることが、軍隊になる、或いは戦力になる、或いは交戦権になるという場合に、法務総裁はそれについてさまざまの條件があろうけれども、併しこれは戦力ではなさそうだ、或いはこれは軍隊ではなさそうだ、これは国の交戦権ではなさそうでという程度で職責をお果しになれるとお考えでしようか。
  34. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) それは具体的の問題が発生した場合に、具体的にそういうものを解決いたしたいと考えております。
  35. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 具体的の問題が発生してからで間に合うというふうにお考えになつておいででしようか。それとも現在法務総裁は、この重要な問題について、憲法に明らかにこれを記しておる、即ち戦力はこれを保有してはならない。交戦権は持たない。軍隊というものを我々は持つことを許されていないということについて、この軍隊というものが何であるか。そうしてそれに類似するものと然らざるものとを明瞭に区別することについて、必要にして十分なる條件を今ここで伺つておきたいと思うのであります。
  36. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 今申上げますように、大体の概念といたしましては、いわゆるその戦争を目的としてこれを設けられるや否や。第二は、その戦争を遂行する上に有効的確な編成なり装備なりを持つものであるや否や。大体においてごの二点に帰着すると考えております。
  37. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 大体においてというふうな御答弁で解決できる問題ではないというふうに思います。それではやはり只今まで御質問申上げておる趣旨に基いてでありますが、警察が武力を用いるということが許されているかどうか。そしてその警察の用いるところの力というものと、それが憲法において禁ぜられますところの戦力というものとの間には、やはりこれは越えてはならん一線があると思います。その越えてならない一線というものを、程度の差であるとか、或いは常識であるとか、或いはそういう状態が発生してから個々の場合について判断するのでとかいうことで解決できる問題でないと思うのであります。でありますから、只今若し十分の御答弁が頂けないのでありますならば、至急にお考え下さいまして、そしてこれらの條件を、必要にして十分な條件をはつきり伺わせて頂きたいと思うのであります。なお念のために申上げておきますが、そのとき若し必要にして十分な條件として列挙せらるべき條件が掲げてない場合は、それは法務総裁が善意に基いてお忘れになつたというふうに考えることは我々としてはできません。それは軍隊と軍隊でないものとを区別するに、必ず法務総裁が常に明らかにして條件として考えておかなければならないものを、法務総裁は或いは怠慢によつてか或いは悪意によつてか、その條件を故意に隠されているものと解釈せざるを得ないと思うのでありますが、そういうことをお含みの上で、只今か或いは最近の機会において、軍隊と軍隊でないものとの、これを区別するその必要にして十分な條件をごとごとく列挙して頂きたいと思いますが、如何でしようか。
  38. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私は先刻申上げましたように、大体のこの大きな眼目で区別し得るものと確信しておるのであります。その規範に基いて私はこれは軍隊であろうか、軍隊でないかということを区別して行きたいと、こう考えております。
  39. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 法務総裁に私が御質問申上げておりますのは、飽くまでも最初に申上げましたように、内閣の最高の法律顧問として、法律上の御見解を伺つておるのでありまして、決していわゆる政治上の御意見を伺つておるのじやないのであります。従つて只今の御答弁は、申さば政治的な御答弁でありますから、そういう政治的御答弁でなく、法務総裁が厳格に法的な根拠を示して頂きたいと思うのであります。
  40. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私は、只今申上げたのは、決して政治的な議論としては考えていないのです。法律的に、軍隊と軍隊にあらざる判別は、それが戦争を目的として設置ざれたものであるかどうか。その二は、それが果して戦争遂行に有効適切な編成と装備を有しているものであるか。この二点において区別すべきものである。これは法律的にそう私は考えておるのであります。
  41. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 繰返して大変恐縮でありますけれども、閣僚が憲法を遵守する重大な義務を負つておられるという前提の下に、法務総裁が、軍隊と、軍隊に類似しておつてそうでないものとの間に、明らかに列挙して、そうしてその以外に注意すべきものはないという確信の下にお考えになるべきものが今の二つであるという場合、若し重要な点がその二つに含まれていない場合には法務総裁どうなさいます。
  42. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 御意見はちよつと私には呑み込めない。もう一度繰返して頂きたい。
  43. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 法務総裁は内閣の最高の法律顧問でおられる。従つて、法律というものは一般に、その目的と、そうしてその目的を現わす一つの徴候などによつて法律上の責任ある断定を下すことはできないと思うのであります。今おつしやいますのは、軍隊と軍隊でないものとの区別は、第一に目的をお挙げになつています。即ち、それが戦争の遂行を目的とするか、目的としていないか。併しながら、果して戦争を目的としているか。戦争を目的としていないか。仮にそこで戦争を目的としていないというふうに言いましても、具体的な諸條件において戦争を目的としていると判断せざるを得ない場合がございます。そういう條件を具備しなければ、法務総裁が内閣の最高顧問として、現在の内閣がなし、又はなそうとするものについての職責上必要にして十分な顧問たり得ることは私はできないと思います。従いまして、今お答えになつております二つ程度のお考えで以て、内閣が現になし、又はなそうとしておる軍隊又は戦力に極めて類似しておる、従つてそれが憲法の厳に禁じておるところの軍隊なり戦力にならないもの、それについては、私は只今二つだけお挙げになりました程度では、これは法務総裁の職責を全うせられるゆえんではないというふうに私は思うのであります。強いてこれ以上お答えがないとするならば、この軍隊と軍隊に類似してそうでないもの、或いは戦力と戦力に似ておるけれどもそうでないものとの、はつきりとしたそれを判断する上に必要にして十分な條件というものについて、法務総裁は、国会において国会議員の質問に対して、必要にして十分な條件の幾つかを故意にお答えにならないものというふうに考えてよろしいでしようか。
  44. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私は故意にお答えしないというのではない。諸條件といつても、この條件が国際情勢によつていろいろ変るでありましようし、これははつきりしたことを、諸條件ということを私は申上げることはできません。少くとも軍隊と、軍隊にあらざるところの観念的差別は、今申上げましたように、果してこれが軍事遂行の目的に設置されるものであるかどうか、これが一点。第二は、果してそれが軍事遂行に有効適切な編成、装備を有したものであるかどうか。この二点によつて明白であると私はこう考えております。
  45. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 観念的にというふうに今おつしやつておりますが、私の伺つておるのは、観念的でなく、法的になんであります。それ以外には何らの條件はないというふうにお考えでしようか。
  46. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私は法観念的に区別するのはそうであると、こう申しました。
  47. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうでしようか。この点についてはいま少しお考え下さいまして、必要にして十分な條件を列挙せられる御意思はないでしようか。
  48. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 現在のところでは私は持つておりません。数学的にどういう條件かということは考えておりません。これは法学的に区別するのはこの二点であろうと考えております。
  49. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうしますと、現在のところで、というのは、大分政治的の御判断のように伺うのですが、さつき申上げております通り、私は政治的な御答弁を頂戴しようと思つておるのではないので、純粹に法律顧問として、法的な御答弁を頂きたいと思つておるのであります。どうか一つ、これは全くいわゆるの意味においての決して法務総裁を窮地に陥れるとか、或いは現在内閣のしておることを窮地に陥れる、そういう意図で申上げておるのではございません。これは実際重大な問題でありまして、申上げるまでもなく、戦力に類似するものが戦力になつて行きます力というものは、法務総裁も民間でお苦しみになつておいでになつたのでありますから、申上げるまでもないと思いますが、非常に強いものです。戦力に類似するものが戦力になる力というものは実に強いものです、従つて、これを阻止するあらゆる努力を我我がしなければなりません。又国務大臣がする努力をなさらなければ……。これは決して単に我々の無能というふうなことで済まされる問題ではない。国会議員なり国務大臣がその職責を疎かにしたものとして重大な責任を負わばければなりません。戦力に類似したものが戦力になつて行くというのは如何に強いものであるか。それを阻止するあらゆる努力をしなければならない。従つて、そこにさまざまの徴候が現われて参ります。戦力に類似したものが戦力に近付いて行くにはさまざまな徴候を現わして参ります。閣僚として憲法九十九條の命ずる義務に従い、又国会議員として同じく憲法の同條文の命ずるところに従つて、この戦力に類似するものが徐々に戦力になつて行くときに現わすざまざまの徴候について重大な責任を持つて監視し、そうしてこれを阻止しなければならないような徴候はどういう徴候があるというふうにお考えでございましようか。それを伺いたいと思います。
  50. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 今の御質問は私は十分呑込めませんが、我々は少くとも国内と対外的情勢を考慮いたしまして、そうして果して日本が内地の治安を守るについてどれだけの警察力を具備するかということを、閣僚の一人として常に考えておることであります。要は内地の治安確保がどうして行けばいいか。それに対してはどれだけの警察力を持てばいいかということを考えておるのであります。
  51. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 只今のお答で、先ほどの二つの條件に加えて、第三に戦力に類似するものとして考えられる警察力、その警察力が、警察力であるか。それとも戦力に類似し、又は戦力であるかということを分ける一つの手段とし、警察力は治安を維持するに必要にして十分な程度以上の装備というものを備えることはできない許されないというふうにお答えになつたものと伺つてよろしうございますか。
  52. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) どこまでも内地の治安確保のために必要、有効適切なるものであり得ると、こう考えております。
  53. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 警察力が国内の治安を維持するに必要にして十分なる装備、十分なる力というものを持つということを、それ以上は許されないということをお認めになつたのだろうと思うのであります。で、これは非常に重大な問題でありまして、警察力は、法務総裁がよく御承知のように、国民に対して圧迫的に働くことは飽くまで禁じなければなりません。従つて警察力というものは、国民の基本的人権に対して、その警察力というものはいやしくも圧迫的に働くことが許されないということは、法務総裁もお認めになると思いまするが、如何でしようか。
  54. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論そうであります。但しここに警戒を要すべき問題が一つあると考えております。要するに内地の治安は必ずしもこの内地の人のみによつて起されるものではないのであります。或いは外国の干渉、或いは教唆によつて内地の治安を乱さんとする憂いがあることは、私は事実であろうと思います。そういう意味において如何に適切にこの警察力を整備して行くかということが、私は目下の急務であろうとこう考えておるのであります。
  55. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の申上げた質問に対して、警察力が国民の基本的人権というものに対して圧迫的に働くことは許されない。これは憲法の命ずるところであるというように御判断になつておるものと了解をいたします。そしてこの警察力が、只今もおつしやいましたような国内の治安というものについてはいろいろな條件を考えなければならないということは私も勿論十分了解するところであります。併しながら言うまでもなく、国内の治安が乱れるということは、ただ外からの影響ということだけを法務総裁がお考えになつているものだとは思いません。国内の治安が乱れるには内からの原因もございます。国内の国民の生活の安全保障、憲法の命じておるところの国民が文化的な生活をなす権利を有する、この重大な條文を決して法務総裁は単に飾りとお考えになつておるとは私は信じません。その憲法が我々に命じ、従つて現在の内閣に向つて命じておるところのこの重大な義務を内閣が完全に果してないことは今更申上げるまでもない。そういう点において国内の治安というものに影響があるということも十分お考えにならなければならない。ですから内閣の最高顧問たる法務総裁は、どうか余りに政治的に、或いは現在の国際情勢というものの影響にのみ立たれて、外部から来るところの治安の撹乱というものについては、この程度の武器は必要だというふうにばかりお考えになつて行かないことを私は切望するのであります。これらの点は実に重大な点でありまして、警察力が国内の治安を維持するのに、この程度の武力、武装というものが必要だという判断がいやしくも公正を欠き、そして又憲法によつて我々がみずから妥当なりと判断し、又世界に向つても誓約したそれらの原則というものから離れた判断をして行くということは、先ほど申しましたような閣僚としての御責任がそこに生じて来るばかりじやなくて、その警察力に装備せられておるところの力というものが戦力になつて行く、そうした客観的な強い力というものを阻止できないところまで追い込んでしまうわけであります。これは法務総裁のみならず、法務総裁をお助けしておられる意見長官に対しても、私はこの点について十分な確信を持つて現在の重大な職責に当られることを切望するのであります。将来になつて、現在我々が眼前に見ておりますいわゆる警察力というものが戦力になつて行くところの力を、私は必ずしも現在の法務総裁や意見長官に阻止せよというふうには希望いたしません。併し今日においてそうした戦力に類似したものが戦力に変化して行くような力を与えることを法務総裁又法務総裁を助ける意見長官が完全に默過せられるならば、これは私は決して単に怠慢とか、或いは無知ということで弁解ができることであるとは決して認めません。それは法務総裁或いは意見長官が職責を全うしなかつたものとして責任をとられなければならないことだと私は考える。勿論私自身国会議員としてその重大な責任を感ずればこそ、只今このように、或いはお聞きようによつてはくどいというふうにお考えになるかも知れませんが、重大な問題でありますから、戦力と戦力にあらざるものとの区別すべき客観的な必要にして欠けてはならないという諸條件、又それだけを気を付けておれば大丈夫だという十分な諸條件というものを、是非最近の機会に列挙して頂きたいと思うのであります。或る意味においては、私はそれを法務総裁に謹んで教えを請うという態度を以てお願いをしてもよろしいと思う。それが明らかになりますならば、国民も安心をしますし、又法務総裁、意見長官、又我々国会議員が安心して現在の我々の職責について全うすることがでる。それが、先ほどお答えのような、戦争を目的とし、その目的を遂行するような装備を持つものが戦力だ、それだけで大体見て行つていいのだという御答弁では、私は飽くまでも了承することはできません。それは只今申上げましたような意味からであります。でありますから、どうか、決して只今というふうには申上げませんから、十分御研究の上で結構でありますから、最近の機会において戦力と戦力に類似するもの、類似するけれども戦力でないものとを区別するのに必ず、必要にしてそうしてその條件だけを気を付けて行けば大丈夫だという十分な條件を挙げて頂きたいと思うのでございますが、如何でございましようか。
  56. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 御希望として承わつておきましよう。努力いたしましよう。併しはつきりこれをこの席で申上げるということはお約束はいたしかねますが、了承はいたしておきます。
  57. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつと関連して。法務総裁とそれから羽仁委員の質疑応答を聞いておりまして、関連しましてお尋ねをするのですが、多少やや意見を交えますけれども、戦力或いは軍隊のの解釈の要素として、戦争目的と、それから戦争遂行のための装備、編成、こういう御説明がなされた。或いは戦争遂行のための装備、編成というのを、軍事目的に役立たせるような装備、編成、こういう答弁もなされましたけれども、大体戦争目的という目的と、それからそれに関連いたしました装備、編成という客観的なものと二つ挙げられたと思うのであります。いずれにいたしましても、戦争目的が主になり、或いは編成、装備にしても、それに関連せしめられて御説明がありましたのですが、私ども十分な用意をいたしておりませんので、或いは議論が不十分になるかも知れんと思いますけれども、私どもの理解いたします日本国憲法第九條の二項、「陸海空軍その他の戦力」、この言葉の解釈からいたしますならば、戦争目的というものが、日本の場合に戦力の……戦力であるかないかのメルクマールになり得ないということは、これは当然じやないかと思います。第一項の目的を達成するために、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないというのでありますから、日本の、現在私どもが論議をする場合の戦力或いは軍隊という場合に、戦争目的に資するかどうかということは、これは議論の外だ。一般的に或いは学問的にそういうことを言い得るかも知れませんけれども、日本の場合には憲法の第九條が現存いたします以上、戦争目的云々というものを、軍隊とか戦力の分岐点に持つて参ることは、これは議論にならん、こういう感じがいたします。そこで問題は装備、編成の具体的な程度その他になるのではないかと思うのですが、それを法務総裁の今までの繰返しの御答弁のように、その装備、編成につきましても、戦争遂行のためと申しますか、或いは別の軍事目的にという点であれば多少別でありますけれども、軍事目的に役立ち得るような装備、編成ということにつきましても、その実際の程度或いはその他のものが具体的に出て参りませんと議論にならないのじやないかという感じがいたすのでありますが、折角挙げられました戦争目的という問題について、憲法との解釈上、私どもが立たされている今日の議論になり得るかどうか、この点について私見を申述べましたけれども、法務総裁の御意見を承わりたいと思います。
  58. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 只今羽生仁さんの御質問で区軍隊と軍隊にあらざるものとの区別如何という御質問でありまするから、その定義について意見を述べたのであります。そこで憲法第九條のなには、戦争目的ということは別にして、いわゆる陸海空軍その他の戦力ということになつておりますから、少くとも戦力に相当するものを持つてはいけないということはあなたのお説の通りであります。
  59. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私の意見が取入れられたのかどうかはわかりませんが、言葉を、羽仁さんの場合には軍隊或いは戦力その他、言葉は三つ挙げられましたけれども、問題は現実的な日本の問題として、軍隊或いは戦力というものについて定義を与えて頂くことをお願いをしているわけでありますが、その場合に、軍隊でも戦力でもかまいませんけれども、法務総裁として挙げられました戦争目的を持つているかどうか、こういう要素を挙げられましたがそれは日本の場合には、そういう戦争目的を持つているかどうかということが、軍隊或いは戦力というものであるかないかの、この何と申しますか、指標にはならないのではなかろうか、むしろ或いは客観的な目的も関連させられましたけれども、装備、編成といつたような点に指標が置かるべきではなかろうかというような意味を含めて法務総裁の御意見を承わろうとしたのであります。
  60. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 目的は別といたしまして、戦争に使い得るような戦力であります。戦争に使い得るような戦力であります。戦争をするための戦力ということには別問題であつて、戦争に使い得るような戦力を放棄する、こういうことであります。
  61. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 憲法が我々に厳として禁じているところの戦力或いは軍隊或いは交戦権というものと、憲法が我々に許しておるところの国内の治安を維持するための力というものとを区別する諸條件というものについて列挙して頂きたい、御数示を願いたいというような私の発言に対しまして、希望に副うように努力をするという程度の御答弁しか頂けなかつたのですが、これは私は重大な問題だと思うのであります。私は繰返し申上げておりますように、決して単に政治的に現在の政府の立場というものについてこれを批判し、或いはそれをいやしくも窮地に陥れようという意図は毛頭持つていないということは、先ほどから繰返して申上げておる通りであります。問題は非常に重大でありまして、国際軍事法廷が今後これを重大な犯罪とみなすということを明らかにして、そうしてその原則が確立されておる今日、そして又我々の憲法は厳として存在しておる今日において、而もその戦力に類似したものが戦力に転化して行く力というものは実に恐るべきものがあつて、そうしてこれは単に衆議院に多数を制しておられる多数党といえどもこれを阻止することはできないということは、旧帝国議会が、そうした軍事的な力の前に膝を屈せざるを得なくなつた我々の忘れてはならない経験から申しましても、申すまでもないことでありますが、ですから現内閣の最高顧問たる法務総裁が日夜、恐らく夜眠ることもできないほど関心を持つて監視せなければならないのは、現在日本としては国内及び国際さまざまの條件から極めて戦力に類似するものを持たざるを得なくなりつつある。或いは憲法の禁じておる国の交戦権に類似したものを持たざるを得ないような状態に入つておる。このことは法務総裁が内閣の最高の法律顧問としてその職責の重大性から日夜恐らくはそのお心を悩ましておるに値いする、或いはそれを悩まされないならば法務総裁の職責に背くというほどの重大な問題でございます。従いまして、それが単にさつき申上げたような、或いは先日来衆参両院において政府がお述べになつております程度の漠然たる、いわゆる常識論という程度で以てこの重大な問題についての職責をお果しになり得るとは私は認めないのであります。従つて、これ以上御答弁がなければ、法務総裁はこの重大な内閣の最高の法律顧問として、国際軍事法廷が確立せられた原則を以て我我に禁じ、憲法が我々に禁じておるようなその重大な行為を日本の国家がなそうとすることを避け、或いはそれを阻止する意思がないものというように了解をいたしますが、よろしうございますか。
  62. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私はどこまでも憲法の規定された準則を守り抜いて職責を果そうという考えは持つておる次第であります。殊に今羽仁さんの仰せのことは、よく私はわかります。殊に従来の軍閥と、これのやり方一つによりまして今日の日本の破滅を来たしたということは、私は実に嘆かわしいと考えております。こういうようなことは再び繰返したくない、如何にして日本軍閥の復興を阻止するかということは、私は真剣にこれは考えておる次第でありますただ今の諸條件如何の問題でありますが、これは又私は肚を打割つて語るべきときが来るでありましようが、只今の段階におきましては、遺憾ながらそういうことをいつやるかということはお約束いたしかねると言つておることでございます。少くとも私は憲法に規定された準則は守つて行きたいという気持を持つております。
  63. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 御発言の御趣旨は衷心諒とするのでございますけれども、これも併し国会において国務大臣としての御答弁を頂かなければならないということは、私としても非常につらいのでございますけれども、併し憲法を遵守し、或いは国際軍事法廷において確立せられた原則というものを尊重するというお立場にお立ちになるという御意思だけを伺つて、国会議員として満足することはできない。その御意思を現わされなければならん。その憲法を守る、飽くまで守つて行くつもりである、その憲法を飽くまで守つて行くために、これらの主要な條件について、私は言うまでもなく、極めて瑣末な條件まで挙げて頂きたいと思つておるのじやない。現在法務総裁が現に我々の眼前で行われておるところの、いわゆる警察力が戦力に類似するものになつて行くのじやないか。若しなつた場合に、これを引戻すということはできません。法務総裁が剣道の達人達人であるということは私も聞いております。併し個人の勇気、或いは個人の決意だけでは、戦力にあらざるものが戦力に使われるその恐るべき力を阻止できない。できなくなつてから如何に臍を噛み、涙を流そうとも何らの弁解にはならない。あなたが法務総裁として在任しておられる間にそうしたことを絶対起させないという御意思は完全に了解いたします。併しこの御意思を実現に移されるために、如何なる重要な要点について、我々が現在眼前に戦力に類するものが戦力に近づいていることをチエツクしなければならんその主要な点が幾つかある。すべてを挙げて、細かいものまで挙げて頂きたいと言うておるのではなく、国民と共にこれは監視しなければならん。憲法にもそのことが明記してある。政府だけが憲法を守るわけでなく、国民の力をかりて、いわんや今お述べになりましたように、現在日本は随分苦しい状態に置かれております。従つて政府としての御苦労というものも我々十分感じておる。併しそれをなぜ国民にお打明けにならないか、なぜ国民と協力して、単に政府ばかりでなく、或いは多数党の一個だけのお力でなく、国会や或いは国民の力というものをかりて何とかこの憲法の命じているところを守つて行きたい。或いは憲法なり、国際軍事法廷の確立せられた原則というものに必ずしも拘泥しないとしても、日本の国の将来の平和と幸福というものを守らなければならない重大な責任がある。そのためには今眼の前に行われていることについてこれこれの点を十分気を付ければ大丈夫だとか、或いはバズーカ砲があろうとも、戦車があろうとも、これこれの点をはつきり我々が守つて行く限り国会も安心してもらいたい、国民も安心してもらいたい。併しこれらの点が犯されて行くような場合には、国会もどうか闘つて頂きたい、国民もどうかそれと闘つて欲しい。その基準というものをお示しになる御意思はないかというのであります。
  64. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 羽仁さんのお話の点は十分了承しております。私も国を憂うる一人として全く同感であります。殊に今日の段階におきまして、如何に内地の治安を守り拔かなければならんかということは、これを一歩誤まれば日本は又再び破滅の状態になる危険が十分にあるのであります。国際的干渉や教唆によつて日本の内地を乱す憂いは私は十分あると考えております。その間に処して我々はどうして行くか日夜苦慮しておるのであります。これは一般国民諸君にもこの実情を打明けて何とかしなければいかんのではないかということを呼びかけたい、そういう気持は御同様持つておるのでありますが、まだその時期じやないと考えております。併しいずれかの時期においてこの事実は国民の前にも明らかになることと考えておるのであります。只今憲法遵守の問題を切々としてお述べ下されて、誠に同感であります。私も深く考えるところがあります。ただ今ここではつきりそのことを御約束いたしかねるということだけであるのであります。御了承を願いたい。いずれ十分にそのことは明らかにすべき時期が来るだろうと考えております。
  65. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の申上げておるところの真意をおいおい御了解下さる点誠に有難く思うのでございますが只今の御答弁では残念ながら甚だ心苦しいのでありますが、私は私としての、国会議員としての職責を守るに足る御答弁を伺つたと思うことができないのであります。只今申上げました御趣旨をどうか誤解下さいませんで、もうどうすることもできなくなつてしまつてからでは、実際我々の先輩といえども、決してその能力においても良心においても、又勇気においても我々に劣つていたとは考えられません。併し過去の政治家たちがなぜ我々よりも遥かに優れた能力を持ち、優れた決意を持ち、優れた力を持つておられたにもかかわらず、いわゆる軍閥の前に膝を屈したかと言えば、やはり憲法に命じておることを日夜、毎日この憲法の精神というものを守るためには如何なる点を飽くまで譲つてはならないかということを、一日早ければそれだけ易く、一日遅れれば困難になるのであります。その一日を争う日にちにおいて、それらの諸條件をはつきりと眼の前に持ちながら国民と共にそれを明らかにして守つて行くという努力をしなかつた点にあの人々の重大な責任が生じて来たと思うのであります。法務総裁も或いは巣鴨を御視察になつたかも知れない、我々の先輩が現在どういう状況に置かれているか、すでに絞首台上にその生命を落されたかたがたがある、それらのかたがたに対して我々はそれらのかたがたの死、或いはそれらのかたがたが今まで受けて来られた苦痛というものを無駄にするということは絶対に許されない、これは法務総裁も御同感だろうと思う。然らば絞首台上に命を落されたかたがたや、又あの高い地位にありながら、その後にあのような状況に置かれて身心を苦しめて、そうしてその罪を償うために日夜受けられているその死や、苦痛を我々が無駄にしないためには、我々が現在眼前において再び侵略主義や、軍国主義や、帝国主義が復活することについて単に許さないという決意を以ているだけでなく如何なる点を必ず守つて行かなければ我々の義務を全うすることができないという重大な幾つかの点というものは、今言つたように一日を争うのであります。明日では遅いのかも知れません。でありますから、最近の機会において法務総裁は現に内閣の最高の法律顧問として、現在国民が心痛し、又国会が論議を重ねておるこの問題について次の諸点については飽くまで責任を負い、或いは飽くまでもこれを国民と共に守つて行かなければならないという諸條件を列挙せられる責任を私はお持ちになつておるのだと思いますのでそういうふうにお願いしたい。そういうふうにお願いをしておきまして、そして次の質問に移させて頂きますが、それらの点については最近の機会にお示し頂くものと確信いたしまして、併し取急ぐものとして御意見を伺つておきたいと思いますのは、戦力に類似するもの、或いは交戦権と交戦権に類似するもの、これらのうち我々が完全に今守らなければならん重大な問題の一つとしていわゆる徴兵制度の問題があるわけであります。これは恐らく先ほどお挙げになりました目的、或いは外形上の装備に劣らない非常に重大な問題だろうと思います。若しもここに徴制制度或いはそれに類似するというものが加つて言うまでもなく類似するというものは国民が憲法によつて保障されておるところの自由権というものを制限するところのそうした立法或いは制度というものがそこに加つて行くということになれば、これは如何なる意味におきましても、すでに戦力に類似するけれどもそうではないものであるとか、我いは交戦権に類似するけれどもそうでないと言うことはできなくなつて来る。これは明らかに戦力であり、或いは軍隊であり或いは交戦権であると判断せざるを得ない客観的の條件として我々が認めざるを得ないものだというふうに考えますが、法務総裁はどのようにお考えでございましようか。
  66. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 徴兵制度のことでありますが、勿論徴兵制度を施行するということにりますれば、これは憲法を改正しなければならん。そのときに初めて国民の審判を経なければならんと考えております。そこで徴兵制度は再軍備の問題にからんで起つて来るだろうと私はこう考えております。今のところでは政府としてこの徴兵制度を布こうという意思はございません。これだけははつきり申上げておきます。
  67. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 政府としての御答弁を実は頂戴するつもりはないのでありまして、法務総裁として、内閣の最高の法律顧問としての御意見を伺いたいと思つておるのであります。それでこれも決して何らの他意を以て御質問申上げるのではないのであります。国民が現在の事態、それに対して不安を感ずるということはやはりこれはさつきから申上げておるように、或いはさつきからおつしやつております治安が不安になる一つの原因であります。言うまでもなく先般来東京その他各地で起つております学生諸君の問題等については、やはり日本は再軍備をやるのではないか、徴兵制度をやるのではないかという不安があればこそ、それらの直接の対象となる学生諸君、或いは青年諸君が再軍備反対、或いは徴兵制度反対ということを発言し、又はその発言を有力ならしめるような手段をとろうとすること、そこに原因がある。他にも原因がないとは勿論申しませんけれども、そこに先ず第一の原因があろうということはお認めになろうと思うのです。そういうさまざまな点から考えて、現在我々の眼前に行われておることについていろいろな心配があるけれども、併しながらそれが戦力、或いは軍隊、或いは交戦権、憲法が禁じておるところのもの、それをしないために我々が気を付けなければならない、一つの点が徴兵制度、そういう強制的な制度、個人の自由権というものを圧迫するところの強制的な制度というものにある。従つてこれについれ我々は気を付けて行かなければならない。重大な関心を持つて考えて行かなければならない。そうして現在政府が徴兵制度をなす意思がないということを只今おつしやいましたが、これも勿論重大な御発言でございますが、その現在というのは、これは言うまでもなく私は客観的に判断すれば、現内閣がその政治上の責任をとつている限りというふうに私は伺わざるを得ないことだと思うのであります。言うまでもなく根本的には現在の政府というものは過去の総選挙において政権を国民から委託せられたのである。従つてその政府の政策というものがその途中において変更するということは許されない。普通と世間でいういわゆる公約を尊重するということもその一つでしよう。併しその公約を実行し得るか興行し得ないかという問題とは別に、現在政府がとるところの政策というものは現在徴兵制度をやる意思がないということは、明日はやる意思になるかも知れないというふうな御答弁であつては相成らないと思うのであります。我々は国民が内閣に対して期待しておるところは今日の方針だけを伺つておるのじやない、明日の方針をも伺つているのであります。厳密に言えば現在の内閣がその内閣たるの責任を国民から委託せられておる限り、或いは法務総裁御自身のお考えであるならば、法務総裁がその任におられる限り、従つて若しも今申上げたような点において、戦力に類似するものが戦力に近付いて行く一つの條件として徴兵制度が施行せられざるを得ないような状況に到達するということには法務総裁は飽くまで反対される。或いは法務総裁がその任におられる間はそういうことを飽くまで阻止する。従つてそういうことが阻止できなくなつた場合には、その職を辞されて国会及び国民に向つてそこに危険の発生しておることを警告せられるという御意思があるものと伺わざるを得ないと思うのですが如何でしようか。
  68. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 今の制度の上におきましては、私は絶対に徴兵制度は布かれないものと考えております。これが万一国民の間に憲法改正の機運が猛烈になりまして、そうして憲法が改正された上はいたし方はありません。併し現在の制度の下においては私は絶対に徴兵制は布かるべきものではないと、こう考えております。
  69. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 只今お答え下さいました中の徴兵制度というものについては、然らば如何なる條件を備えるものが徴兵制度であるか、それを伺いたいと思います。
  70. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 徴兵制は要するに或る一定の期間国民の壮丁を軍務に服さしめるということであります。義務として服さしめるということであります。そういう義務として服さしめるような徴兵制はとらんと、こう申上げておるのであります。
  71. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 時間も大分たつて参りましたので、これらの点について今まで申上げましたことを繰返しませんけれども、今まで申上げましたことについては、私は今まで私の申上げました限りにおいてはやはり法務総裁のはつきりした、法務総裁は国民が納得し、又我々が国会議員の職責に鑑みて良心に対して耻しくないというふうに考えることのできるような明確な基準というものをお示し願いたいということを申上げまして、次の問題に移らして頂きますが、次の問題は只今の問題とも関連いたしますことでございます。と申しますのは、戦力に類似するものが戦力に転化して行く際にこれを阻止する一つの條件としては国民の言論の自由、政府的自由ということが重要な問題であるうこれらが制限されて行く場合には僅かバズーカ砲であろうとも、それを持つている力は国民を圧倒します。国民が言論の自由を持つているのであるならば、バズーカ砲もこれをコントロールすることができる。併しバズーカ砲程度のものでありましようとも、国民の言論の自由というものが制限されて来るならば、すでにバズーカ砲を以てしても国民の意思を圧倒することができるのであります。そういう点において第二に伺つておきたいのはいわゆる警察国家の問題であります。これも御承知のように、先日来世論がたびたびごの不安を明らかにしております朝日新聞も警察国家を警戒しなければならないという社説を掲げておつたことも法務総裁必ず御熟読になつたことだと存じます。又そういう点からこの警察国家というものと、そして国家が現在の憲法によつて許された程度の警察力とを持つというものの問にも越ゆべからざる一線があり、その程度の差というものの程度でなくして重要な條件があるものと存じますが、それらの点について御教授を頂きたいと思うのであります。
  72. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 警察国家の再現、こういうことは私は十分に考えなくちやならんことだと思います。どこまでもさようなことがあつては相成らん。私は従つてです。この警察力の集中ということについては大いにこれは考慮しなければならん。警察カを余りに集中してはいけないという考えは持つているのであります。そこで如何に民主的にこの警察力を整備運営して行くかということに重点を置きまして、只今警察力の整備ということについての構想を練つている次第であります。どこまでも警察力の集中、昔の警察国家の再現は許すことはできないという考えで構想を進めている次第であります。言論の従つて自由は、勿論憲法に所定された国民として守らなければならん権利でありまするからして、その点については十分に考えてこれを尊重すべく手段を講じている次第であります。
  73. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それらの点について第一に伺つておきたいのは法務総裁は日本の法曹会の御出身であり、そしてその枢要な会員でおありになつたことだと存じますが、この日本では昔からよくそういうことがありますが、太閤秀吉は百姓からの出身であるけれども、太閤になつたら百姓のことは忘れてしまう、そういう悪弊がございます。法務総裁は現在の日本の法曹会或いは弁護士会、それらにおいて十分の妥当と考えられる考慮や、研究や、調査の結果提出せられるところの御意見というものに対しては十分飽くまでこれを尊重せられ、閣僚として在職しておられるのだと思いますが、如何でしようか。
  74. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 勿論さようでございます殊に昔の閣僚といたしましての意見は十分これを尊重するつもりでおります。
  75. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういう意味でそれらの、法務総裁になられるまでに、その行動、又その努力を共にされた方々の重要な意見というものを代表せられるために閣僚として在職しておられるのだということを伺つて非常に私は仕合せだと思うのでありますが、それらの点についてはすでに治安立法に関して意見が述べられておりますが、これらが十分尊重せられるというふうに私も確信するのであります。現在警察国家の危険が多分にあるのじやないか、これもやはりその危険を単に漫然とこれを阻止するという程度だけでなく、明らかにして、必要なる諸点について重大なる関心を払われることが重大なる御責任とも関連していることだと思うのでありますが、それらの点を今すべてここに列挙して申上げることは時間もございませんけれども、その二、三の点について御意見を伺つておきたいと思うのでありまするが、その一つは現在の警察法というものが御承知のように地方自治体警察というものを主眼にして来ておる。そうして国家が持つところの警察力というものは、その名称にも明らかなように国家地方警察といつて、その自治体というものの警察が主体である。その主体たる自治体警察の及ばないところを補うという補助的な、第二次的な立場に立つておるということは警察法について改めて申上げるまでもないことであります。その精神は法務総裁は飽くまで尊重してそれに背かないという措置をして行かれるものだと思いますが、それでよろしうございますか。
  76. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 私もこの地方自治警察は尊重して行きたいと考えております。但し御承知の通り東京都は日本の政治の中心であり、経済の中心であり、文化の中心であるのであります。この東京都の警察を全然自治警察に許して政府が責任を持たんということになると、これは不合理じやないかという議論が今これは殆んどと言つていいぐらいの機運になつておるのであります。そこでこの調整を如何にするかということについて今考慮中であります。なおこの自治警察と国家警察との間の調整はこれはなかなか問題であります。実際において自治警察において非常にこの人的の面から、又経済の面から言つて不合理な点があるのであります。一例を申上げますと、過般札幌市に起りました白鳥事件というのがあります。あれの捜査についてはこれは御承知の通り札幌市警がやつておるのであります。日々の経費で非常に困難を来しておるということは現実に起つております。これらの点をどう解決して行くか、殊に小さい市におきまして相当の犯罪が起つたときに、これを捜査するについての非常な費用がかかる、これは一体市で賄え得るかどうかというような点が現在起つております。併し建前といたしましては、私はこの自治警察というものは尊重して行きたい。併しその調節を如何に図つて行くかということについて研究しておるのであります。
  77. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 現在の警察法が立法せられる前提としてさまざまの研究や調査や、又意見というものが現われておりますが、その中の重要な一つの見解の中に、犯罪というものは地方的なものである。犯罪というものは全国的なものはない。全国的なものを警察の対象とするところの犯罪というふうに考えることは正しくない、全国的な問題というものはそれは政治的な問題である、或いは社会的な問題である。そうした政治的な問題、社会的な問題をも警察的に処理しようという努力は、即ち警察国家への傾斜、それに傾いて行くことの重大な危険の一つになるということは法務総裁も十分認識しておられることだと存じます。そうして又そこに現在の我々の警察法というものの立法の重要な精神がある。即ち自治体警察というものは警察の主体であるというのは、飽くまで犯罪が地方的なものであるという原則に基いて考えられておる。全国的な問題というものを直ちに警察の対象とするところの犯罪と考えることには多大の危険がある。全国的に起つて来る問題というものについては、社会的な原因があり、それの処理には政治的な政策を以て処理しなければならないものがある。それを警察的に処理しようとすることは警察国家へ動いて行くところの一つの重大な危険だということは、これは各国の警察制度の歴史も、或いは治安の歴史の上のさまざまな、場合によつては極めて悲惨な経険をも我々が学んで来たところであります。そういう意味では例えば警察法改正の討論の際にも申上げたのでありますが、英国の警察制度について、御承知のように英国は過去において重大な治安上の紊乱の時期が多々ございました。場合によつては国王が断頭台に立たざるを得ないというような状態も出現したのであります。併し英国の警察というものは決して国家的に警察制度を採用していない、若しそういう制度を採用したならばそういう紛擾は防ぎ得たかも知れない。而もああいう紛擾が起つて防ぎ得ないという危険があるにもかかわらず、英国がその伝統の上に国家的な警察権力というものを決して許さなかつたということは、根本的に考えれば英国の自由のためにこれほど大きな仕合せはなかつた。それなればこそ英国に自由というものは発達したのであるということを英国の警察制度について十分に研究された権威のかたがたが述べておられ、又当時警察法改正の際に、公述人としてお招きをした日本の警察制度についても多年の経験を持つておられるかたが公聴会でも述べておられましたが、これらの見解は単に或る種の人々の見解というだけではなく、警察というものを我々は民主的に守つて行く、いやしくも警察国家への傾斜というものを許さないという点については重大な点であるというふうに考えるが、法務総裁はこれらの点についてどうお考えになりますか。
  78. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 只今イギリスの警察制度についてのお話がありましたが、御承知のごとくイギリスにしても長き伝統があつたのであります。国民的訓練というものが非常にこの間に役立つたのであります。日本におきましてはまださような、イギリスほどの程度の社会的條件が私は整つていないと考えております。併しながら、一体許されたこの自治警察というものはどこまでも育成して行かなければならん。そこででき得べくんばこの自治警察に全部を任して行く段階に早く到達することを私は希うのでありますが、如何せんこの社会情勢におきまして、なかなか国家的犯罪が殖えつつあるのであります。この間の調整を如何にして行くかということは相当考慮を要すべき問題だと考えております。殊に行政警察と刑事警察、行政警察は自治警察に全部任してよろしいと考えております。殊に小さい警察もあるのでありまするが、御承知の通り今後講和條約発効後における日本の内地の情勢というものはそう楽観は許されないのであります。国家的犯罪が多くなつて来やしないかという心配があるのであります。その間の調整を如何にして行くべきかということが目下の課題になつているのであります。併し今羽仁さんの仰せのごとく、基本問題としてはどこまでも自治警察を育成して行くべきであるという考えは持つているのであります。
  79. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私が今御意見を伺つているのは、法務総裁の内閣の最高の法律顧問としての御意見を伺つているのでありまして、取締のほうの御意見を伺つているのじやないのであります。眼前にはいろいろな事件が起つております。随分素人が見ればびつくりするような事件も起るでしよう。併しながら法務総裁として、内閣の最高顧問という高い地位におられて絶えず念頭に置かれなければならないのは、あすこでピストルをとられたとか、ここで学生が騒いだとか、眼前の問題を追つかけ廻して行くことではないのであります。眼前の問題に目をとられまして、先ほど申上げましたような警察国家への傾斜ということを知つてか知らないでか監視しない、或いは監視の努力を内閣に向つて助言をせられることがないということのほうが、更に重大な責任の問題を生じて来る問題だと思いますので、これらの点について伺つているのでありまして、日本には現在それだけの国民の意識というものの高さがないとおつしやいますけれども、併し国民の意識の高さを養うのは、今申上げましたような警察によつて養えるものじやございません。取締によつて養えるものじやない、或る場合には治安の上の多少の不安にも脅かされながらも、国民の基本権というものは尊重して行くということがその国民の意識が高まつて行く唯一の方法であろう。過去の日本においての経験を繰返して申上げるまでもなく、その点について飽くまで眼前の問題を追つかけ廻してばかりいる、そのために取締の便宜になるようになるように、そうして行く間に国民の自由権というものが圧迫せられ、そうして警察国家ができて来たことは忘れてならない経験でありますし、その点について内閣の最高顧問としての法務総裁は、現在の警察制度の根本というものがどこになければならないか、なおその問題に関連しまして最近大学において発生している問題につきましても、法務総裁が取締のほうのお立場ではなく、内閣の最高の法律顧問としてのお考えを伺つておきたいと思うのでありますが、いわゆる大学の自由というものは決して単に研究の自由ということだけに局限せらるべきではないと私は思うのであります。言うまでもなく警察というものは、或いは取締というものは何ら建設的なものではあり得ない、何ら生産的なものであり得ない、何ら指導的なものではあり得ない。警察が国民を指導する、或いは警察が何らかの積極的な善を成し得るということは考えられないのであります。他面教育はその意味において将来に向つて建設的な仕事をなしているものである。その上か下かという言葉を使いますと誤解を生じますが、警察の下に教育が置かれるようになるならば、教育の権威の上から言つてこれほど憂うべきことはございません。言うまでもなく過去の日本においてもそういうことがございました。学校の校長なり何なりが警察権の下に置かれているということでは、到底学校の校長が学生を指導するということはできない。古い例でありますけれども、江戸時代に寺社奉行が僧侶を呼ぶこと奴隷のことしと熊澤蕃山がこれを批判しておるのでありますが、寺社奉行というような政府の役人が高邁なる僧侶を呼びつけて、それをいろいろ指図する、どうして国民の間に宗教的情操というものが養えるか、立派なお坊さんのように見えるけれども寺社奉行の前に行けばペコペコしているだけだ。そんなことでは国民の宗教的な感情を充たせることができない。それと同じように現在の教育の場合にも、教育の主体であるところの大学なり学園というものが警察権の下に置かれているというような状況では、それがやがては軍事的な力の下に置かれるということにもなるのであります。配属将校が校長に命令を下すというようなことが、決してそういうことが復活しないと言うことができるか、我々は安心するわけに行かない。そういう国家の止むなくてし、一言で言えば必要止むを得ずして置いてあるような悪、学者によつてはそれをネセサリー・イーヴルというふうにも言う。必要止むなくして置いてある悪の手段を以て、その社会なり国家において積極的に育てて行かなければならない善をなすという教育上の自治、又その自由というものを侵すことは、これは実に憂うべきことであり、許さるべきことでないというふうに考えますが、その点について根本的な点について伺つているのであつて、取締の細かい点などについて伺つているのではないのであります。
  80. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 今大学の自治に関しての御意見が出ましたが、私は大学の自治というのは学問の自治と考えております。学問に対するこの自治は尊重しなくちやならんと考えております。併しながらその自治に名をかつて少くとも学内において社会運動とか行過ぎたことをやつたり、又それが或いは共産党の細胞組織を育成して行くというようなことを自治の名によつてやるということであれば、それは私は自治の行き過であると考えております。又大学の校内に起つた問題につきましても、大学の校内は全然警察権の及ばないということであれば、大学の校内に何があつてもいいというようなことに勢いならざるを得ないのであります。私は大学当局者に、是非この自治権を尊重すると共に本当の自治が運営されることを希うものであります。学生運動がどういうことをやつているかということを知らずに、私はそれを放任するということは言語道断だと考えております。現に渋谷街頭においての反戦デモ、私は別に反戦は取締るわけではないが、これらの状態を見ましても、無届であつて、そうして赤旗を立ててインターを歌い、騒擾的なことをやつて、大学の当局者がこれを何と考えておるか、それは堂々とやるなら堂々とやりなさい、社会秩序を乱すようなことを自治の名に隠れてやるということはこれは断じて許さるべきでないと考えております。自治は結構である。大いに尊重しなければならん。又学問の自由でありますから、それはどこまでも尊重しなければならないが、自治の名に隠れて違法なことをやつて社会秩序を乱すということであれば、これは大学当局者としてみずから反省し、みずから規制して行かなければならぬ。私は大学の当局者は何をやつておるか、かかるが故に世の中から大学の自治ということが問題になるのでありますから、大学の当局者が社会秩序を守るように大学の学生を指導して行くことが先決問題であると私は考えております。そうでなければ大学の自治というものは世の中から批判され、誠に情けないことだと私は考えております。私は大学の当局者はもつと断固たることをおやりなさい。立派な大学の自治尊重についてはどこまでも世間の人がこれを守つて行けるようにしなければならぬのであります。それを果して大学当局者がやつているか、ここに大きな疑点があると私はこう考えております。
  81. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 時間が大変過ぎてしまつて恐縮なんですが、簡潔を要すると思うのであります。従つて只今お述べになりましたことについてあえて御議論申上げませんが、法務総裁に対して特に内閣の最高の法律顧問たる法務総裁の職責、従つてそれに基く重大な責任ということに関する限りについて御意見を伺つているのでありまして、取締の細かい点であるとか、或いは大学当局者の任務などについて伺つているのではないのであります。我々として、法務総裁として、又日本国憲法の示しておるところの我々の民主主義建設の理想から考えて、大学の自治というものを、大学の自由というものを尊重しなければいかん、学園の自治を尊重しなければ学問の自由はない。教育の自由を尊重しないでどこに教育の自由があるか。単に軍閥の言うことに唯々諾々と従うのでは、犯罪を行うような国民を造り上げるごとに過ぎないということを過去の悲惨な経験からどうか忘れて頂きたくないのであります。で、御承知の通りに戦争中には大学においてさえも配属将校が権力をほしいままにしていたのであります。総長といえどもそれに対して一指も触れることができない。そういう状態になつたのは決して一朝一夕ではございません。明日からそうすると言うのならあなたも妨げることができるでしよう。併し数年に亘つてそうした情勢ができたことに対しては何びとといえども阻止することはできない。そうなつたのではいけない、それは行き過ぎだというふうにお考えになつたのではすでに遅いので、そういう状態を釀成しないためには、大学における最高の権威は大学の総長なり、或いは大学の管理機関というものがそれを持つているのである。そこでその問題が処理できなくなつたときには喜んでそちらから、法務総裁なり或いは警察なりに向つての交渉があつたときに、それに基いて警察力が発動せられるものだという原則はどうか守つて頂きたい。これは決して眼前の瑣末な点や、渋谷街頭における事件などに余り眼をおとられになつて行きますと、いつのまにか法務総裁の本意とは全く反対の方向になる、その点は御答弁を頂かんでも御同感であろうと思います。  続いて次の問題についてなお少しの時間を頂戴して伺かつておかなければならぬと思うのであります。これは行政協定に関しての問題でありますが、行政協定というものは、これもやはり内閣の最高顧問としての法務総裁の御意見を伺つておかなければならぬ。決して政治的な御意見を伺う意味ではないのでありますが、行政協定というものは、広い意味において国と国との間に取交わされるところの約束であります。従つて広い意味においはこれは條約というものに入るものである。その名前と或いはこれが批准を要するか要しないかということにおいては違つておりますが、併し国と国が取交わす約束であることには間違いはございません。従つて如何にも現在の行政協定というものに批准條項というものは入つておりません。これは日米安全保障條約が批准條項を有しておる。そうしてその下に成立するところの行政協定であるということで、行政協定に批准條項がないということは御説明を頂くまでもなく私どもも了承しておる通りであります。併し問題はその内容についてでありますが、そういうふうな性質の行政協定であるけれども、併しそこに国民の権利義務に関係し、或いは国民の財政上の負担となる問題が、これも勿論瑣末な点についての場合はこれは言うまでもなく問題にならないと思うのでありますが、併しそれからかなり重要な問題が発生して来るような場合には、その行政協定が言うまでもなく批准を必要とするというふうに逆戻りするというわけには参りませんけれども、併し国民の安心を得て、そうして又将来のその妥当な相互の遵守ということを尊びいて参りますためには、即ち将来においてそれらが国民の非常な不満を招き、そうしてそれらに対してそれを正当に遵守するという行為をも成立せしめないような困難な事態を発生させないためには、そういう重要な條項を含んでおる行政協定は国会の承認を受けるということが望ましいというように私は考えます。そうして又専門家の意見もそういう意見が述べられておりますが、これらの点について法務総裁はそういう重要な国民の権利義務、或いは財政上の負担に関係するものを含むものは国会の承認を求めることが望ましいとはお考えになりませんか。この点についての御意見を伺つて置きます。
  82. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) これはいずれ行政協定の内容によりまして、法律を要するものについては法律的手段をとらなくてはならないのでありますから、その点については国会において御審議を願うことになるのじやないかと思います。
  83. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は日米安全保障條約が本院において審議せられておりました際に、その両條約の委員会において当時の法務総裁にこの点について特にはつきりしたお答えを頂戴しておるのであります。それはこの行政協定というものが批准を要しないでそうして調印せられる、併しその結果から今おつしやつたようなところから発生して来るところの法律案或いは予算案というものが国会で否決をせられるというような不幸な事態が発生したような場合にはどうなるか、或いは日米安全保障條約そのものにも問題が移つて行くわけであります。そういう場合には或いは憲法を改正しなければならない、或いはその條約を国内的には無効であるとしなければならない。即ち国際的には依然として有効な條約なり、或いは行政協定なりを国内的には行うことができない、そういうような憂うべき重大な、場合によつては内閣の責任にも関係して来る。従つて最高法律顧問たる法務総裁の御責任にも関係して来ますような問題が発生しないことを当時の法務総裁大橋君は望まれた。それをそういう状態が発生しないことを単に望むだけでなく、如何にしたらばそういう状態が発生しないように努力をなし得るか、その努力の一つとして行政協定というものが国会の承認を得るというような努力をせられるならば、今申上げたような憂うべき、或いは重、大な責任をも伴うような事態が発生しないで済むのじやないか。先日来首相或いは法務総裁は、行政協定に基いて法律案なり或いは予算案なりというものは国会の承認を求めるということをお答えになつておりますが、これはすでにお答えになる必要がないと私は思います。自明のことです。併し私の申上げておるのは、そうした国会の承認を求めなければならないような、而も重要な立法、或は予算案というものが国会において審議せられるその基礎となるような條項を多少でも含むようなものという意味で私は決して申上げておるのではない。そういう点について重要な問題を含んでおるような行政協定は国会の承認を求めることが望ましいことではないかということを伺つておるのであります。望ましいとは考えないというお答えでしようか。
  84. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 今のところでは私は法律案としてこれは御審議を願えれば適当かと、こう考えております。
  85. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうしますと、その法律案が国会で否決をせられたときにはその行政協定はどうなるんですか。
  86. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) それは私は予想していないので、恐らくなかろうかと確信を持つておるのであります。
  87. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 本日最初から御質問申上げて御意見を伺つております点とこれは関連するのであります。申すまでもなく法務総裁は過去において法務総裁の眼を以て御覧になつたことと思うのであります、帝国議会において軍事的な法律案なり或いは軍事的な予算案なりに、議員が反対せざるを得ない理由を以て反対するということは極めて困難であります。非常な勇気を要する、而も非常な勇気だけでは解決できない事実をよく御承知だろうと思います。そういう問題とこれは関連して来るのであります。ですから行政協定に基いて出て来た法律案が国会において直ちに承認し得るようなものである、又はその予算案が直ちに承認し得るようなものであることを私も衷心から望むのであります。又将来そういうことが起る仮定の問題であなたを苦しめようとか、そういうことでなくして、そういう重大な国会議員が職責を果す上においてどうしてもこの立法は無理である、どうしてもこの予算案は無理である、こういう立法をし、こういう予算案を作つて行くということは憲法にも背くし、日本国の将来のためにもならないという苦境に立つた場合の国会議員の立場というものを、我々は今日においてこれを守つて行かなければ決して守れるものではないと私は信じます。法務総裁もそうお考えになつておるだろうと思います。そういう意味からその法律案が出たならば、それを国会に審議してもらう、その予算案が出たらば審議してもらうというのではなく、それらの基礎をなすところの行政協定というものについて慎重なる態度をとつて行くということが内閣にとつて望ましい。従つて内閣の最高顧問たる法務総裁は、その職責上それを望ましいとお考えになるべきではないかと思うんですが、そうでないという御意見ですか。
  88. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 先刻述べた通りであります。法律案として審議を願えればこれは十分であろうと考えております。
  89. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その御答弁で私は法務総裁の現在の職責に対して十分であるというふうに確信することは残念ながらできません。その点については又改めて伺いたいと思うのであります。そろそろ最後の問題でありますが、最後の一つ手前に、やはり国民の間で相当に問題の対象となつておるものの重要な一つに解散権の問題がございます。これについては法務総裁は本院の本会議におきましても二つの説がある、それについて研究中であるというお答えでございましたが、すでにその御研究は一定の段階に到達されたろうと思います。あれを伺いましてから大分たつております。そうしてすでに客観的な情勢は刻々と進展しております。すでに政府はこの解散権についての一説があるというような程度でなく、これについての見解を統一せられておるものと確信をいたしますが、その統一せられた見解を伺いたいと思うのであります。
  90. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 解散権の問題について一説あることは只今お話の通りであります。そこで政府といたしましてはいろいろ考慮中であります。私もこれは一定の見解を持つておりまするが、併しまだこれを明らかにすることは差し控えたいと考えております。又政府といたしましても二説のうちいずれをとるべきかということについての統一的意見はまだ付いていないのであります。そこまで話合いはしていませんことは事実であります。いずれそのうちに統一的意見が発表されることもありましよう。又その節には私の意見も申述べたいつもりであります。
  91. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 言うまでもなくこの問題も国民の間に少なからざる不安を生ぜしめ、又それに伴つては随分いろいろな問題も発生して来ることでありますから、すでにそろそろ、政府はその見解を統一せられて、責任ある態度をおとりになることが政府の責任上必要であるというふうに考えますので、最近の機会において政府の統一した御見解を伺う必要があるというふうに考えております。  最後に伺いたいのは、現在日本国政府と台湾における政権との間に交渉が行われておるようでありますが、それについて国会は何ら報告も受けておりません。これについて伺いたい。やはりこれもどうかほかのことに眼をおとりにならずに、内閣の最高法律顧問としての法務総裁はその責任を全うせられるか否か。従つてそれについて重大な責任が発生して来る。そういう関係において現在我々の眼前で行われ、新聞紙で報道されておる交渉は如何なる法的根拠に基くものであるか、それについてお答えを願いたいと思います。
  92. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) まだ私は意見をここで申述べる段階に至つていないのであります。いずれそのうちに申上げたいと思います。
  93. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは大変危険なことだと思う。まあいわばその現内閣が憲法に従つてその行動を誤らないという点に重大な責任をお持ちになつておる法務総裁でありますから、これが進行してしまてから、どうも自分も内々あれは少し問題じやないかと思つておつたけれども意見を述べなかつた。その間にああいうことになつたということでは決して許される問題ではないと思うので。そういうことを先輩に申上げるのは甚だ心苦しいのでありますが、どうかその眼前のことに拘泥せられませんで日本の民主主義、又日本国の幸福、又日本が国際的に、又特にアジヤの諸国と将来長く少しの悔も残さずして、過去の過ちを繰返すことなく、あらゆる努力をなし得る状況というものを妨げるような状況を発生させることは、これは法務総裁の責任上も許されないことだと思うのであります。そういう意味でどうかそういう至極重大な御職責に基いて只今申上げた点についてのお答えを頂いておきたい。外交交渉上有害であるとか、有益であるとかいうふうなことによつて過去の日本の外交は秘密外交に陥り、そうして日本国民を謝罪することのできない悲惨な状況に導いたことは今更申上げるまでもないのであります。今日の段階においては決していわゆる小手先外交というような、敗戦までの日本の外交がとつておつたようなそういう単にいわゆる小手先で以てやれる外交の時代でないことは私から申上げるまでもないのであります。確固たる原則の上に立つて行動して、そうして国際輿論というものの上にその支持を求めるというよりほかに方法はないのであります。それを何かいろいろな言廻しや或いはさまざまの技術というものによつてやつている結果、たとえその意思は善であろうと、現在政層がなしておられるところを見るのに、その意思が善であるかのようにお察しできる点もございます、併しその意思の善悪を問わず、そうした外交の方向をとつて行くということは、やはりポイントオブ・ノー・リターン、もう帰ることができない場所へ国民を連れて行つてしまう、そういう重大な責任を政治家がとらなければならん。そういうことのないように、法務総裁が現在その職責を全うせられるお立場から、日本が現在台湾関係において行なつておるところの交渉は如何なる法律的根拠があり、従つてそこに行われるものは如何なるものでなければならないか。そうでないことは許されないという点についてのお答えを頂戴しておくことが、これは緊急の必要があることだと思うのであります。その点についてどうかお答えを頂きたい。
  94. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) まだ申上げる段階に至つておりませんので、御注意の点は十分拝承いたしたいと思います。
  95. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は私の申上げる点が法務総裁に御了解頂けないことを非常に悲しく思います。必らず将来において法務総裁も本日のことを思い出しになるだろうと思う。私は過去に我々の出した一つ一つの努力の足りなかつたことが、国民を許されることができない、筆紙に尽すことのできない苦しみに陥れるということを法務総裁は十分念頭に置いておられることだろうと思う。従つて只今御質問申上げている趣旨は御了解おできになることだと思うのでございます。どうかその意味において只今、或いは只今が御無理であるならば最近の機会においてこれらの点について明朗な、そうして透徹した御所見を法務総裁として伺わして頂きたい。これは名称の問題とか、或いは個個の点においての情報とかいう程度の問題ではございません。実にそこから本当に引返すことのできないような大変な、容易ならざる事態が発生してしまうかも知れないのであります。それが又日本の外務省の持つておるような小手先外交の伝統というものに対しては我々は非常な不安を感ずるのであります。従つて我々は原則的に正しく、そうして国際輿論というものの支持を受けて、あらゆる点において明朗な解決ができる方向に立たなければならぬ。その意味で法務総裁はすでに日夜苦労され、内閣に向つて助言をされておると思うのでありますけれども、国会に向つて、又国民に向つてその法務総裁の努力を共に協力せられることを希望せられる十分の権利をお持ちになつているのだ、そういう意味で見解を発表して頂きたい。
  96. 小野義夫

    ○委員長(小野義夫君) 羽仁君にちよつと申上げますが、一時からこの部屋を他の委員会が使用するということがきまつておるのだそうです。この辺で今日は散会したらどうかと思いますが、如何ですか。
  97. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 只今法務総裁の御意見を伺つておるのですが、そのお答えは如何ですか。
  98. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 先刻申上げた通りであります。只今これに対して御回答いたすべき段階になつておりませんので、さよう御了承願います。
  99. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それではどうも私納得できないと思うのです。これもやはり非常に緊急を要する問題でありますので、それでは私が申上げました趣旨というものは法務総裁は御了解になつたでありましようか。又その趣旨に副うて努力をなさる御意思なんでありましようか。その点伺いたい。或いは私の申上げたことが間違つているならばどうかお前の言うことはこういう点で間違つておるというふうにお教え頂きたい。
  100. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 御趣旨はよくわかつておりますから……。
  101. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつと今の最後の点はわかりかねるのですが、法務総裁の内閣における法律的な最高顧問的な地位から、中国の国民政府との交渉について法的根拠をお示し願いたい、こういう御質問について、言うべき時期ではないと言いますが、そういう御答弁のように聞くのでありますが、法的な解釈について言うべき時期……言うべき時期ということは政治的な問題でございます。法的な解釈という問題はこれは現在なら現在についての法的な解釈が付くはずなんであります。答弁として私ども納得いたしかねるのでありますが、法的な解釈ができないと言われるのでありましようか、それともどういう御意図でありましようか。
  102. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) 法的解釈についての問題はいずれ時期を見て申上げる、こういうことです。
  103. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政治的にはとにかく、法的の解釈がないわけはない、いずれ時期を見てということについて了解をいたしかねるのですが、どういう……御研究の上答弁いたしたい、こういう御意図でありますか。
  104. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) さようであります。
  105. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最後に主旨だけ申上げておきます。大変長い聞、又繰返し繰返し伺つたりして御不快であつたろうと思うのでありますが、私の質問の趣旨は全く他意がないのでありまして、法務総裁や、又それをお助けになる意見局長官、それらのかたがたの責任に関係するような問題が将来発生するということは私の衷心望まないところであります。又私自身として国会議員としての責任に重大な問題が将来発生したときに、私は決して言い逃れをしないつもりであります。法務総裁も意見局長官もその御決意だろうと思う、言い逃れはしないつもりだろうと思う。その意味でこういう重大な問題について、そうしてまだ我々の目の前にあるような筆紙に尽しがたい、筆舌に尽しがたい苦痛を国民に嘗めさせるようなことを繰返すということでは我々は夜寝ることができるはずがありません。日本の過去の政治家はそういうことは平気であつたかも知れない。国民をどんな目に会わせても安閑としていられたかも知れない。私はそうも信じたくありませんが、けれども我々自身としてそういうことはできない。でありますからいろいろ伺いました個々の点については、どうか立派な御見解を確立せられて、私は間もなく同じ機会を、別の最近の機会においてこれらの緊急の問題について政府の見解を伺うつもりであります。従つて、その場合にはどうか本日の程度でなく、只今要求しましたような点から本質的な御答弁を頂戴したいと思う。大変長く御質問申上げたことをお詫びして私の質問を終ります。
  106. 小野義夫

    ○委員長(小野義夫君) 本日はこれで散会いたします。    午後一時九分散会