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1952-02-28 第13回国会 参議院 地方行政委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和二十七年二月二十八日(木曜日)    午前十一時十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            北村 一男君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            相馬 助治君            林屋亀次郎君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    法務府特別審査    局長      吉河 光貞君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (治安機構に関する件)   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は木村法務総裁より先般新聞等に出ております首都警察の問題並びに警察法改正の構想について伺う予定でありましたが、まだお見えになりませんので、それをあとへ廻しまして、次に由る二十七日前後より全国的にいろいろの事件が頻発しておりますので、それらの問題につきまして特審局長、斎藤国警長官、田中警視総監並びに天野文部大臣より説明を求めたいと思います。では最初に斎藤国警長官より説明を求めます。
  3. 斎藤昇

    ○政府委員(斎藤昇君) 只今委員長からお話がございましたこれらの一連の事件等につきまして、又これに関連をいたしまして大体の治安の状況は先般の当委員会におきまして私が御説明をいたしました通りでありましてそれ意外に附加える点はないのでございまして御質問がありましたらそれに応じてお答えいたしたいと思います。
  4. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) では今田中警視総監もお見えになつておりますから、御説明を先に聞きましようか、さようにいたします。
  5. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 去る二月二十一日いわゆる反植民地化鬪争デーにおきまして大体全国においてこれが開催されたのでありまするが、二十五年、二十六年の二回の反植民地鬪争デーにおきましては、地方的な集会のみ行われておりましたので気勢が挙らなかつたというので、今回は三年目であるので一つ気勢を挙げたいというようなことから、今回は相当各地で騒いだので、東京都内におきましては大体二つのグループがあるのであります。一つは労組員を中心にしたいわゆる反植民地鬪争、一つは学生を中心にしたグループであります。で一つは、労働者グループのほうはいわゆる北部ビユローの成増地区を中心にして無届のデモを開催する予定だつたんでありまするが、これは警察の事前の適切な処置によりまして何らことなく解散をいたしました。それから南部ビユローの労組のいわゆる反植民地鬪争におきましては、蒲田、大森警察署の中間地区、電業社を中心にいたしましてあの附近において行われたのであります。今回の反植民地鬪争の実態を我々が考えて見ますると、今まで事前にビラを貼つたり、それから貼紙をしたりして相当事前宣伝をやつておつたのでありますが、その宣伝をやらずに突発的に風のごとく起り、風のごとく去るという、いわゆる遊撃的戰術を用いたことが極めて特徴なのであります。それからいわゆる球根栽培法に記されてありまする、軍事委員会指導の軍事行動のいわゆる戰術、戰略を如実に……極めてその方法といたしましては幼稚なものでありまするが、これらの戰略戰術を如実に実行しておるということであります。これらのことは将来のいわゆる武裝蜂起と申しまするか、そういうものの單なる準備訓練の過程に過ぎないと私は思うのでございまするが、併しこうした末梢的な現象といえども必ずしもこれを看過するということはできない極めて重大な問題であると私は考えるのであります。それからなお今回の行動で特に注目いたされまするのは、極めていずれも鬪争意識が熾烈な者だけが集りまして、いわゆる少数精鋭分子で行なつておるというような形勢もありまして、現在蒲田警察署におきましては十五名の検挙者を見ておりまするが、いずれも当初におきましては頑強に黙秘権を行使いたしまして、その犯罪の実態につきましては全然述べなかつたのでありまするが、最近に至りましてからぼつぼつ犯罪の実態が逐次明らかにされるようになりまして、その根源をつかむことに重点を置きまして、鋭意捜査中でございます。  その後更にこの問題の派生といたしまして、いわゆる第二グループの学生との問題でございまするが、これは東大が中心になつておるようにも考えられるのでありまして、一つは東大構内に起りました、劇団の観劇を警察官が一般の公衆と同じように入場券を購入いたしまして入つて、そのことからいわゆるスパイであるというような学生に感じを與えまして、学生から暴行を受けたのであります。それからいわゆる学校における学園の自治権の侵害というようなことで相当に学生は騒いだのであります。この点につきましてはいろいろ論議の対象となることを考えておりますが、これにつきましてはいずれ又各委員からもいろいろ御意見、御質問があれば、その際に又私どもの考えておる一端を披瀝さして頂きたいと思います。それから一つは澁谷駅頭におけるこれも目黒の駒場における東大教養学部の学生の行なつたいわゆる無届デモでございます。これにつきましてはなぜ学生に許可しなかつたかということが学生が騒いだ一つの点でありまするが、去る二月二日に、田所と称する学生が主催者といたしまして、二月二日に澁谷駅頭における徴兵反対並びに再軍備反対の街頭演説会開催という申出がございまして、その主催者であり責任者である人のいろいろな今までのやつた行動等を調査いたしましたところが、相当前歴におきましてもいろいろ事件を起したこともありまするし、又警察側で街頭演説の氏名等も許可申請事項の内容になつたのでありますが、その内容がはつきりしないから、是非許可申請の氏名等もはつきりさしてもらいたいということを幾ら言つてもなかなか氏名も書いてもらえない。かような手続上の関係で二月二日の許可申請は一応却下されたのであります。ところが更に又十九、二十日に開催をするという予定で申請をして参つたのでありますが、前回同様の手続上の不備がありますので、これを是非直してもらいたいということを幾ら言つてもなかなか聞いてくれないのでありまして、そんなことで結局手続上のいざこざでとうとう許可にならなかつたのであります。学生は非常にそうしたことを憤慨しまして警察署のほうに押掛けて来まして、反植民地翻争デーに約四回ほど波状攻撃を行なつたのでありますが、四回目には数百名の学生が押掛けて参りまして、多少の負傷者を出した事件がありましたけれども、これは警察側の実力行使によりまして無事に解散したのであります。  各地の反植民地鬪争デーにおきましては大体二つのグループで、而も場所としては二カ所ずつあつたということでありますが、むしろそのことよりも、それによつて起つた波紋的な問題が、例えば大学の自治をどうするかということが現在派生的に起つておるような状況であります。今回の事件で警察官としましては、蒲田署の甲斐巡査が現場に行きまして、原因につきましては鋭意捜査中でございます。その他蒲田警察署長以下約二十名の者が負傷しております。
  6. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは更に古河特審局長より、特審局の立場からこれらのことについて御意見をお述べ願います。
  7. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 最近頻発いたします集団暴行事犯につきましては、先般斎藤国警長官からもその詳細を御報告になりまして、私どもといたしましても、この集団暴行事件の背後団体の有無につきまして目下調査中でございます。まだ具体的に申上げる段階に到達しておらないのであります。ただ最近東大事件が、田中警視総監から御報告になりましたように勃発いたしたのでございます。東大及び教養学部内における日本共産党の組織関係について極く簡單に御報告申上げたいと思います。  団体等規正令によりまして、政治団体として届出をしていた日本共産党関係の細胞は、従来大学関係におきましては三つございました。その一つは日本共産党東大細胞でありまして、これは昭和二十三年一月十五日結成されまして届出は同昭和二十四年十月十五日届出ております。ところがこの細胞は昭和二十五年五月一日解散届を出しているのであります。解散当時の構成員は約八十四名になつておりました。  次は日本共産党目黒区委員会東京大学教養学部細胞でありまして、これは昭和二十五年の三月一日結成されたことになつております。届出は同日されております。この細胞も又同年六月二十九日付を以て解散届を出しております。解散当時の構成員の数は約十名となつておるものでございます。  次は日本共産党東京大学第二工学部細胞でありまして、これは昭和二十四年十月十日に結成され、同年十月十日、同日付で結成届を出しております。この細胞も又昭和二十六年二月二十二日解散届を出しております。当時の構成員数は約五名ということになつておるのであります。  ところが、かように現在におきましては東大関係において細胞は殆んど全部解散したことになつておるのでありまするが、最近細胞名義を以てするビラとか機関紙類のごときものが学内外に配布されている事実があります。昨年二月十九日付で「真理」と題する日本共産党の再建東大細胞名義のビラが撒布されました。それから本年二月二十二日付で「学園を官憲の泥靴から守れ、不法逮捕された学友を奪還せよ」というビラが日本共産党東大細胞の名義を以て撒布されております。次に本年二月二十六日付で「人民の大学」と題する日本共産党東大細胞の機関誌がやはり配布されておる事実があります。更に昨年十一月三十日頃、東大教養学部内におきまして、「民族の自由を守れ」と題する日本共産党C細胞名義のビラが撒布されております。恐らくCはカルチア、教養学部を意味するのではなかろうかと思われるのであります。それから昨年十二月八日には「十年前の悲劇を繰返すな、ダレスの陰謀を粉砕しよう、徴兵短否」、日本共産党教養学部細胞のビラが撒布されているのであります。東大関係の学園内部にはかような非合法的な傾向が学生運動の一部に流れているという事実があります。私どもといたしましては、この細胞関係の実態につきまして目下調査中であります。学園の権威と学問の自由のために極めて好ましくない傾向であろうと考えております。  極めて簡單でございますが、以上御報告申上げます。
  8. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは以上の点について御質疑を願います。
  9. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は吉河局長とそれから警視総監に少しお尋ねしておきたいと思います。今吉河局長からの御説明で補足的に承知しておきたいと思いますことは、私は東大のうちには合法的に届出を了した今日細胞がないことに相成つていて、而もこういう現実の活動が続いているという御報告ですが、それらの活動をしている主体的な事務所ですね。そういうものは学園内に設けられていると推定されるか、然らずかということが一つ。それからそういう印刷類は学園内において印刷されているか然らずかという問題、それからそういうビラは東大の学生を対象として配布されておることは明らかでありまするが、他の狙いをも持つているか、即ち同種のビラが他の学校にも、横に連絡して他の学校にも配布されているか、一般の市民の目につくような形においても配布されているかどうか、いわば、私が三番目に聞いておりまするのは、單に学園内の学生活動として、いわば單独なる実践としてなされている形跡が強いのか然らずか、こういうことについて補足的に御説明を願つておきたいと思うのです。
  10. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 御質問にお答えいたします。かような今日東大学園内部における細胞活動の有無につきましては、現在調査中でありますが、過去におきまして届出をしておりました細胞の事務所について極く簡單に御参考までに申上げますと、日本共産党東大細胞は、東京都文京区森川町百二十九番地、神戸方、野村孝気付となつておりまして学内に設置されております。それから東京大学教養学部細胞は、東京都目黒区駒場町八百六十五番地、東大教養学部寮内に、学生の寄宿舎の中に設置されております。次に第二工学部細胞は、事務所が千葉県弥生町一番地、田口資夫方ということになつて、学内にありません。現在学園の内部で撒布されている細胞名義のビラ、機関紙等につきましては、その作成の場所がどこにあるかということについては目下調査中であります。それから又そういうものの活動の本拠が学園内部に置かれているか、或いは学園外にあるかということにつきましては目下調査中であります。又かようなビラは、主として私どもの調査の結果によりますると、学園の内部で撒布されておりますが、必ずしも学園の内部とは限らないのでございます。それはかようなものでございます。
  11. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうですか。私警視総監にお尋ねします。只今の特審局長のお話を聞いても明らかでありますように、事務所が学園外に設けられている場合には捜査というか、監視と申しますか、それが便利であろうと思いまするが、明らかに学園内の、而も寮内に設けられている事務所というものに対しては、今日論争の中心になつておりまする、いわゆる学園の自治という問題に突当つて、警察側としては相当実際問題として困る場合があるということが予想されます。そこでよく警察が学園内をスパイした云々というようなことが問題にされておりまするが、こういう非合法の動きに対しての調査に関して、警察は正式に学校当局を介してその調査方を依頼した事実があるかどうか。若しありとすれば、それに対して学校当局は具体的にどのような協力的態度であつたか、或いは非協力的態度であつたかということ。それから学園内でいわゆるスパイされたというこの問題については、警察側はやはり独自の立場に立つて、その必要によつてやられたのであろうと存じまするが、その理由の一つとしては、その種のものは学園側の協力を受けるべき筋のものではないという見解に立つたか、或いは学園の協力を得べき性質のものであるとして、その協力方を求めたけれども、必ずしもそれが警察側を満足せしめるものでなかつたがために、止むを得ずそういうふうな方法で調査されたとするものであるか。これらの点について承わつておきたいというのが第一点。  それから第二点は、専門的なことで、私存じませんので、これは何ら私の意見はないのですが、あとの質問の関係上お聞かせ願つておきたいことは、警察手帳の性質、警察手帳というのは全く公的なものであるかどうか。即ちそれには、従兄弟の結婚式に招かれたとか、或いは個人から手紙をもらつたとか、詩歌を好む警官がたまたま路上において見た風物を叙した短歌、俳句なんかも書き付ける性質のものであるかどうか。そうしてその警察手帳というものは、いつでも上司が自由に、所持しておる警官の意思にかかわらず、披見を要求してこれを見ることのできる性質のものであるかどうか。それから今回のように学生にこの警察手帳を奪われたという問題については、警視総監のお考えとしては、いわゆるよき警官としては、少し大袈裟な言い方ですが、命にかけてもそういうものは学生なんかに奪われないように守るべき性質のものであるかどうか。生命に危害が加えられるならば、それは仕方がないから、むしろ警察手帳は奪われても身の安全を保持して帰つて来てその経過を報告するという態度がよろしいのであるから、さように思つていないというような性質のものであるかどうか。こういうことを承わりたい。そこでそれを聞いてから次の質問をするほうがよいと思うのですが、便宜的にお聞きしたいことは、その警察手帳の内容が公表された。これに対しては概括的にどういうふうにお考えになつており、それに対して責任を追及するとするならば、一体どういうふうな方法でこの問題について考えておられるか、これらの点について承わつておきたいと思います。  それから第三点は清水某という人が何やらいう政党の総裁だそうでありますが、この人がピストルで射たれた。これは共産党の指令に基く暴漢によつて射たれたのであるというようなことが新聞に出た。私はそのときに臭いと思いました、直感的に、理由はありませんが。果せるかな、その後の新聞に、これはどうやら射たれたと称する人間が新聞に書いてもらうためのこれは芝居であつたと推定されるという記事が出ておりました。これに対する真相をこの際承わつておきたいと思います。
  12. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 只今の御質問で第一の、学園内におきまして警察が視察した場合において、学校に正式に調査することを申込んだか、それから又学校はこれに対して承諾したか、或いは警察独自の立場においてやつたかと、こういうことでございまするが、警察は御承知のように警備上の責任を飽くまで持つておる関係もございますので、一般と同じようにやはり学内におきまするいろいろ警備上必要な事項につきましては、独自の立場において視察もした場合もございまするし、又学校当局の要請によつてやつた場合もございまするし、それは具体的に、まあ総論的にこれが常に警察だけでやつたとか、或いは常に学校の協力の上にやつたということは私は言えないと思つております。それはそのときその情勢によつて判断で、その必要があるならば独自の立場でやる、又学校当局の協力によつてやることが却つて効果的であるというならばそれによつてやらなくてはなるまい。かように考えております。  それから第二の、警察手帳の性質でございまするが、これは勿論公的のものでございまして、私的のものではありません。従つて詩歌とか、歌とか或いはその他の思い付きの私的のものをこの手帳にしたためることはできないことになつております。それから又上司が必要があるならば、部下に対してその手帳の披見を要求したときには必ずその上司に対してはその手帳を見せなくてはならんのであります。併しこれは直属の上司に限られておると思います。それから手帳を奪取された事実でありまするが、この点は私は誠に警察官として、若し通常の場合におきまして、抵抗できる立場において警察手帳を奪取されたといたしましたならば、これはどうも警察官として十分責任を全うしなかつたものじやないかと考えております。ただ今回のように多数の集団暴行のために、抵抗いたしましても結局取られるというような状態になつた場合におきましては、どうもこれがいわゆる相当な、強奪のような状況になつておりますので、まあかかる場合におきましては、普通その手帳を失つたとか、或いは通常の状態において奪取されたとは大分状況が違つておりますので、この点は本人の立場も十分考えて行かなくちやなるまいと考えております。併しながら警察手帳は警察活動の上において最も重要なることを記載したり、或いは又警察活動に直接必要なものではなくとも、間接に参考になるということも一応記入しておくという必要もありまするので、これは極めて警察官としては最も重要なものでございまして、建前としましては、私どもは生命にかけてもこの手帳は必ず守らなくてはならんということは当然警察官全部が私は考えておることと考えております。それからこの警察手帳の内容を学生がガリ版で刷つて、そしてこれを他へ撒いたりしたことにつきましては、この点につきましては法的に如何なる行為に該当するかということにつきましては目下研究中でございます。まだ結論は出ていないのでございまするが、目下検討中でございます。  それから第三の、大日本青年党総裁と称する清水亘という人が二、三日前、夜中、ピストルで射撃された事件がございます。警視庁としましてはかかる事件が起ります際には、その客観的状態を愼重に調査いたしまして、その上でその結論を出しておるのであります。直ちにこれが思想的背景であるかどうか、或いは單なる個人的な怨恨関係であるかどうか、それから同時に又清水亘という人の性格、経歴というような点も十分調査いたしまして、その結果警視庁側の意見といたしましては、これは鑑識調査の結果、この塀に当つた彈痕の方向、本人がここに犯人がおつたというその場所から撃つたら、いわゆる射線の方向と彈痕がその塀に当つておつた方向とが違つておる、それから本人がすぐうつ伏したと言つておりますが、どんな下手な者でも六発の彈を撃つ以上は、すぐ至近彈で撃つ以上は、何らか目標に当らなくちやならんのが、それが当つていない、これは常識的に考えられるのであります。それからオーバーに一発彈痕があるのでありますが、これはオーバーに当つておるというのでありますが、本人が伏せたその状況とその彈があれを通つた点、それから本人が立つておつた方向、そういう点からしまして、その外套に彈痕があるはずがないのでありまして、従つてなおその外套の彈痕の附近にあるいろいろな状況を科学検査いたしました結果、いわゆる焔硝がついておるということがすぐわかつて参りまして、焔硝というのは、普通一定の距離になりますと焔硝はつかんのでありますが、相当至近な距離において発射いたしますと、必ず濃淡の色はありますが、焔硝というものがつくのでありまして、これは科学的に焔硝の事実がここに鑑定されております。それからいま一つは本人の手を拭いて見た、綿で拭きましてそうして両方の手を或る薬で拭きまして、そうしてその拭いた綿を科学的に鑑定をいたしましたところが、右手を拭いた綿の中からやはり焔硝の痕跡が科学的に鑑定をされたのであります。これは右手で撃つておりますから、焔硝がついておるわけであります。それから次に本人の今までの経歴等をいろいろ調査いたしましたところが、やはりこうしたこの自分で射撃をして、そうして射撃されたといつたような申立てをしたことが過去において一、二回あつたように聞いておるのです。そういう事実もはつきりわかつております。それからなお拳銃の落ちておつた場所でありますが、非常に暗い所でありまして、よほど暗い所で見える者でないとその拳銃のおつこつておる場所がわからんのでありますが、その場所がすぐここに拳銃が落ちておるということを言つたということは、これは常識的に考えまして、そこで拳銃を暗闇の中で直ちに発見するということができない、又かような事実を総合的に出しまして、そうして結論といたしまして、これは自己が発射した、いわゆる狂言射撃事件であるというように結論を出しまして、杉並警察署には犯人捜査中止方を命じますと同時に、その拳銃の出所を逆に只今銃砲火薬取締法の、いわゆる不法所持の関係で追及中であります。
  13. 相馬助治

    ○相馬助治君 この清水某の事件について非常に細かい報告を聞いてよくわかりました。そこでこの種の事件というものが今後予想されまするので、さなきだに騒がしい世の中にかかる不心得者は、これは單に銃器を不法所持していたという法律だけで罰すべき筋のものでなくて、これは何らかの形において重大なる反省を求める意味においての法的措置が必要であろうと存じまするが、それらについての御見解を承わつておきたいということが一つ。それから局長にお尋ねしますが、こういういわゆる不頼の徒にひとしい者によつて率いられておりまするところのこの団体に対して、局長の立場からどのような御見解を持たれ、どのように又処置して行くのが至当であるという御見解であるかどうか、参考として承わつておきたいと思います。と申しまするのは、左翼取締と同時にこういう極右的な、而も又世の中を騒がす、神を恐れざる行為をなす者については、これは巖重に取締ることなくしては真の治安は確保されないと思いまするので、この点をお尋ねしておきたいと存じます。
  14. 田中榮一

    ○参考任(田中榮一君) こうした社会を騒がせます売名行為的な行為は、誠にお説のごとく憎むべき行為と考えております。ただこれが果して法的に如何なる不法行為に該当するかどうかということにつきましては、実は私ども今研究中でありまして、今ちよつとここで結論を申上げることはできません。検討中であるということだけを申上げます。
  15. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 只今お尋ねの清水亘氏が率いておる団体はたしか二つあると思う。この二つの団体につきましては、すでに政治団体として届出を勧奨して、届出をさせております。今回の事件につきましても警視庁当局とよく連絡いたしまして、暴力主義的な傾向を助長するような疑いが強いかどうかということにつきましては十分警戒をして調査しております。
  16. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それではこの際天野文部大臣に先般来いろいろ騒擾事件が起きておりますが、そのうち学生が、或いは東大内の事件に学生が関與しておりますので、そういう者に対しまして文部大臣としての所見を質したいと思います。
  17. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この間東大内及び澁谷駅頭において起つたことについては非常に残念なことだと思つております。で、私は東大の矢内原学長にも又麻生教養学部部長ともよく会談して、そうしていろんなことをつまびらかに伺い、今後の方針も十分に話合いをいたしました。そういうようにして大学のことは大学にお任せしておりますので、今後いろんな場合によく連絡をとつてお互いに学生を指導して行こうというようなことに大体の結論を得ておるわけであります。
  18. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは質問を続行して頂きたいと思います。
  19. 相馬助治

    ○相馬助治君 この問題について文部大臣が各種の委員会等において発言されておりますことも私は一応調査して存じておりますので、そういうことを一応知つておることを前提として突込んでお尋ねしておきたいと思いますことは、大学の自治を守る、このことに文部当局としても十分御協力なさることはこれは極めて当然でありまするが、そういう学問の自由、学問の権威を守るために学園の自由を守るとするならば、やはりその前提としては仮に警官が出入りしたことがいいとか、或いはその演劇会に紛れ込んでいたことがいいとか悪いとかいうことは暫らくおくとして、多数が寄つてたかつて暴力行為をし、警察手帳を奪う、而も又それがガリ版によつて発表されたということについては、やはり学校側においてもその社会に対する責任を追及される点が、みずから自分で生ぜしめたということについて私は極めてこれを遺憾に思つております。そこで警察側がこれに対してどのような措置をするかは別として、学校当局が文部省の指導によつてこの問題についてどのような積極的な行為を今日なさんとしているかどうか、それらについて文部大臣としてお知りのことがあつたらお聞かせ願つて、同時に本問題について問題解決のために文部大臣が学校当局に対して要請されたる事柄等がありましたならば、それも又承わつておきたいと存じます。私が聞いております真意は、学園の自由は飽くまで守らなくちやならないという立場をとつております。そういたします前提としては、法治国の国民として、而も一応学生とは言え、教養ある者として是認されております者がかかる行為をすることのこの現象に対しては極めて遺憾であると思つておりますし、それがためにこういうことを念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  20. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) よく御趣旨は私わかることでございます。矢内原学長からは私はまだその経過を伺つただけで、その際に必ず警察手帳は返させる、そういうことを承わつただけで、今後の処置ということについてはまだ何ら伺つておりませんし、それについての話は何もいたしておりません。
  21. 相馬助治

    ○相馬助治君 法的に見て文部大臣としては学長に対して次のようなことを要求する権限をお持ちでしようか、即ち警察手帳が、その内容が発表されたという経緯に鑑みて、これを奪つた者を学校当局が積極的に調査する。それからそういうことを公表した者の責任を刑法的にでなくて、学校側として調べて、その責任を追及して、学校内において可能な処分をするというようなことについて適当な措置をとれ、こういうことを要求する法的な権限を大臣はお持ちでしようか、法的なそういう権限がある場合には、そういうことを要請される意図をお持ちでしようか、法的権限が仮にない場合には、何としても大臣の立場から社会に対する道義的責任という意味合いにおいてそのような要請を大学にされる御意思をお持ちでしようか。
  22. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそういうことは法的権限は持つておらないと思つておりますが、私が要求するまでもなく、学長においてそういう措置をとられることと信じます。
  23. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 大学の学生と警視庁当局との間にこういう事件ができましたことは、非常に我々としては残念なことに存じます。これは要するにその大学の自治ということがどういうことであるか、又了解事項は何のためにやつておるのか、こういうことが非常にあいまいだからだと思います。そこで文部大臣が従来いろいろお述べになつておることは私も大体承知しておりますが、大学の自治ということは文部大臣がどういうふうにお考えになつておるか、大学の自治とは何ぞやということから御説明願いたいと思います。
  24. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これはもともと大学の伝統からいつて、大学の自由ということがございます。即ち教授研究の自由、又学生の学習の自由ということが昔から大学の伝統になつておりますが、そのためにはやはり大学が学生を指導して行く自由というものも持つていなければならないと思うのです。従つてそこに自治ということが出て来ると思うのです。だからして大学内において学長が適当と考えた集会はこれを許すと、その場合には警察官の指導ではなく、大学のほうで指導をするから、何か特にこちらから要請しない限りはこちらに任せておいてもらいたいというような、学問の自由というものの基底と言いましようか、或いは基底と言いましようか、そういうものとして大学自治ということが生まれて来ると思うのです。
  25. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 大学の自治というのは、要するに学問の自由、研究の自由のためにある、こういうようにまあおつしやるのでありますが、そのためには大学が適当と思つた集会は自由にしてやつてくれ。警察のほうがこれに立入つてはいかん、こういう御見解だろうと思います。そこで先ほど文部大臣がおいでになります前に特審局長から説明があつたのでありますが、東大の学園内に共産党の細胞ができておる。而も一旦解散をし、解散届出があつて、而も今度は又できておる、依然できておるのでありますが、無届である。こういうことは大学のほうでも当然知つていなければならんことと思つております。ビラも撒かれておりますし、そのビラを見ますと、やはり細胞と書いてあります。だからその連中が学校当局に自分のほうの会合を持ちたい、而も一般の人も入れてやりたい、こういう届出をし、それを学校当局が認めることが正当であるかどうか、それはどういうふうにお考えになつておりますか。
  26. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私ちよつと今のおしまいの所がはつきりしませんでしたから、もう一回おつしやつて下さい。
  27. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 わかりやすく簡單に申しますが、東大の中に細胞がもうできておるのです。それはビラなんかを配布しておるということは、学校当局も当然にできておることを知らなければならない。そこでそういう連中が東大で一般の人も入れて入場券を出して、そして集会を催すということを学校当局がが無制限に認めるということはどうだろうかという御質問を申上げたのであります。で、そういう学校当局が適当と思つて認めたんだろうから、それは警察は立入つてはいけないということが言えるのじやなかろうかと私は思うのですが、どうでしようか。
  28. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先ほど学問の自由ということを言いましたが、同時に教育の自主性ということも私の言つた中に含まれていると思つておりますが、教育の自主性と、そういうのを大学の自治と考えておるのですが、そういう場合に、只今のような具体的な場合につきますと、非常に判断がむずかしいと私は思うのです。こういうことはすべて学長に任せておりますから、私がここでよく事情をすつかり調べ上げないで、軽卒にこれを大学のことがどうだとか、警視庁がどうだとかいうことは、私ちよつと言いかねるように思います。
  29. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私も只今大学の自由並びにそれに関する了解事項というものがあいまいであることは認めるのです。そこで将来こういうような禍根を絶とうというには、それをはつきりしておかなければならんだろうと思います。それで私は質問をいたしておるわけであります。要するに私考えますのに、ここらがあいまいである、で学校のほうも自分の認めた集会は警察が立入つてくれるな、こういう気持もわかります。併しそれを言う前提には、その大学の中でもそういう無届な共産党の細胞の活動というようなものは、適当な規律を付けるという前提がなければ私はならんと思います。それが私は欠けておるのじやないかと思います。そういう細胞ができており、ビラを撒いておる、そういうふうなことについてはやはり警察当局は、これは法の違反ですから取締らなければならんと私は思います。そういうことが欠けておるのではないか、その反省をやはり求めなければならんと思います。
  30. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) おつしやることは私は御尤もだと思います。そういうような場合に、併し大学でもよく警察のほうに了解を求めると同時に、又警察のほうもそういう場合にはよく大学のほうと話合いをして頂いて、そうしてお互いに助け合つて、学生というものを指導して行くというようにして行くことが望ましいことではないかと私は思つております。
  31. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私どももその通りに思つております。今文部大臣にお尋ねしておるので、その点を申したのであります。今度警察のときにはそれを申すつもりです。これは東大側が一方的に悪いということは、これは断定してはいかんと思います。今できたこと、殊に警察官を袋叩きにしましたとか、警察手帳を奪つたり、又それを返さなかつたということは、尤も悪いと思いますが、併し警察のほうにも私は落度があるのではないか、それは後ほど警察のほうに申します。そこで……。
  32. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行について。文部大臣に議事進行のことでお聞きしたいのですが、大学の学長は政府委員でも何でもないので、ここへお呼びして聞くということが非常に面倒なんですが、我々としては文部大臣にお尋ねする以外に手がないのであります。文部大臣もそれらを一々くわしく御調査になつておることは、時間的にも、又劇務の関係からも不備であろうということは止むを得ないと思います。そこで大学学術局長もお見えになつておるのですから、文部大臣に向つて質問したことでも、事細かな具体的な問題についてはどうぞ局長をして答弁せしめても結構ですから、事の真相をどうぞ我我に知らして下さるという意味で一つ御発言願いたいと思います。
  33. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 承知いたしました。
  34. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 もう一つ文部大臣にお伺いしたいのですが、学生だけの集会は、これは無論私は最大限に許しても、大学当局にお任せしてもいいと思います。ところが一般側も引入れた集会を大学のほうで随時にお認めになることは問題を起す一つのもとであるだろうと思います。これについても十分な大学側の反省がなければならん、こういうふうに思うのであります。
  35. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 御尤もだと思います。ただ今度の場合は大学側の言われるところによれば、一般にそうしたのじやなくして、大学関係者だけにしたんだ、こういうように言つておられますが、併し一般の場合には只今岡本委員のおつしやる通りではないかと私も思つております。
  36. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 文部大臣に対する私の質問は終ります。
  37. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは只今までの質問に対しまして、さつき相馬君の発言もありましたので、大学学術局長から説明を加える点がありましたらこの際説明をしてもらいたいと思います。先ほどの大臣の答弁は、目下調査中でありますので、具体的な問題に触れておらないので、この事件の発生後相当日数もたつておりますから、文部当局としても相当調査があつて然るべきと思うのです。この際補足説明をできればやつてもらいたいと思います。
  38. 稻田清助

    ○政府委員(稻田清助君) 先ほど文部大臣からお答え申上げ、又先に承わつておりましたら警視総監から事態の経緯につきましては一通りお話があつたのでありますが、私どもが承知いたしております事態の荒筋もさように心得ているわけでございますが、何か更に具体的にお尋ねがあり、私どもの承知しておりますことがございましたらお答え申上げたいと思います。
  39. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 御質問、ございませんか。
  40. 相馬助治

    ○相馬助治君 文部省側の意見と警察側の意見が食い違つた場合において、やはり大学局長からあと補足説明を聞かなくちやならない事態になると存じますので、この段階ではそれで委員長よろしいのではないですか。
  41. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは……。
  42. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 警察側にお尋ねしたい。私過去の問題についてはこれはもう検察庁の手に移つているのでありましようから、余りこの委員会でとがめだてをしたくないと思いますが、併し一点聞いておきたいことは、只今文部大臣の言われた点でありますが、あいまいになつているのは、今回の東大の事件の発端が、東大当局の認めた学内の集会に警官が入つた、こういうふうに言われている。而もそれが一般の人も入場券を買つて入つた集会である。こういうふうに言われている。文部大臣はこれを学内の人だけに限つたものである、こういうお話ですが、その点はどういうふうな事実になつているか、総監のほうからお答え願いたい。
  43. 田中榮一

    ○参考任(田中榮一君) お答えいたします。当日東大内にポポロ劇研究会というのが、ございましてこのポポロ劇研究会そのものは私はそう大して過激なものではないというふうに聞いているのでございます。ただこれを利用する一部の学生があるのであります。只今いろいろ大学の問題がございますが、私は現在の東大の学生の大部分というものは真面目に真理の研究をしている立派な学生であろうと私は考えているのでありますが、その中に極く一部の非常に過激な思想を持つたところの学生が指導いたしまして、我々から見ればはつきりした政治運動をやつているものと認められるのがいるのであります。この劇団のいわゆる入場の状況でございますが、これは二十五番教室の中でやつておつたのでありますが、切符は教室のすぐ横の所で売つておつたそうであります。これは何人が入ろうが、自由に三十円で入場券を発売しておつたそうであります。あなたは学生でありますか、職員でありますかと一々身分証の提示も要求されませんし、誰でも入れるようになつておりたそうであります。それからこの入口の所にやはりポポロ劇というのが書いてあつたそうでありますが、この貼紙にも学生、職員に限るということも書いてありませんし、又現に私昨日入場券を取寄せて見たのでありまするが、その入場券のところにも何もそうした事実が書いてないのでございまして、いろいろ誰でも入れるというので、警察官が入つたのでありまして、入つて見たところが学生もおるし、職員らしい人々もおられるし、又一般の民衆の婦人、子供も入つておつたという状況でありまして、私どもはそれは一般が入場できるものと考えたのでございます。それから学校当局におかれましては、学生並びに職員に限るから許可したということであつたそうであります。又恐らく私は学校側が許可される場合においては、当然これは学生、職員に限るというような申出があつたので、学校当局とされては許可されたものと考えております。従つて学校当局のとられた措置に対しましては、これは何ら過誤なかつたものと考えております。ただ警察官がおつたということでなぜ学生があんなに怒つたかということでありますが、私どもは勿論無断で入つたということに対して学生が非常に激昂したという気持はよくわかるのでありまするが、一面又考えて見ますると、警察官に見られてはならないことを、見られては好ましくないようなことをやつておつたから、それを見られたので学生が非常に激昂したのではないかというような、いわゆるこれは一つの推測でございまするが、本当の推測でありまするから、私はそういうふうにも推測されるのであります。現にこの劇団は私はその内容から申しまして松川事件、松川事件とは言つておりませんが、松川事件を取扱つた劇でありまして、要するに証人が官憲の強要によつて事件でつち上げの証言をせざるを得なくなつた、その状況を劇の中に仕組んでおるのでありまして、それから又一応劇の始る前に若干私どもとして面白くないような、どなたがお考えになつても面白くないというような演説みたようなこともあつたようであります。従つて私はこの劇団そのものは大して悪いものではないと思いますが、やはり警察官がおつては非常に差支があると、やりにくいというような場面であつたんではないか、これは一つの私の推測でありまするから、そうではないかも知れませんが、かように私は考えられるのであります。警察官といたしましては、勿論あの場合において出てもらいたいという、若し穏かな申入れがあるならば、或いは出たかも知れんと思いますし、ただかようにいきなり暴行に出たものでありまするから、あんな大きな問題になつたものと私は推測しております。
  44. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 続いて警視総監にお尋ねいたしますが、このポポロ劇研究会という、このポポロ劇をやつておる人は素人でありますか、芸人でありますか、又脚本がありますか、松川事件を仕組んだ劇だということでありますが、脚本があるかどうか、又そういう場合に入場料を皆拂つて入るということになると、入場券を買つて入るということになれば、入場税は納めなくていいものか、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  45. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) このポポロ劇研究会はやはり学生が中心に、いわゆる劇愛好家の人々が中心になつて組織している、いわゆる劇研究会であろうと考えております。詳しい内容につきましては、私まだ資料を持つておりませんので、ちよつと具体的なことにつきましては、お答えできないのであります。それから勿論劇をやる以上は脚本というものが当然できておりまして、私ちよつと今覚えておりませんが、脚本の製作者の名前も書いてございます。
  46. 相馬助治

    ○相馬助治君 手に入つていますか。
  47. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) あります。題名は今の松川事件ではないのでありまするが、松川事件の類似の事件を取扱つたものでありまして「いつの日か帰る」という題名になつておりまして、脚色者の名前もはつきり出ております。それから入場料三十円でございますが、これは切符を私は現物を見たのでありますが、税金は拂つてなかつたと私は記憶しております。
  48. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 これは本物の俳優でなくて、学生がやはり中心になつて研究している劇と、こうも見られるようであります。まあそうであると、たしかこれはこの委員会で入場税改正のときにその問題を取上げて、それは入場税を拂わなくていいことになりやしないかと思うということがあつたのです。そうして見ると、この問題はなかなか面倒な問題であつてそれは一般に開放したのであつて、研究会の会員だけということに向うは考えておつたかどうかということも問題になろうというふうに考えられるのであります。一体そういう研究会なりに一般の人が入るということになりますれば、仮に一般の人を入れるとするならば、大学の構内でこういうものを開催しても、集会と見て届出が必要なんでありますか、大学の構内だからそれは必要ないのでありますか。
  49. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) この点につきましては二十五年の七月のいわゆる文部次官通達の内容によりまして、学校が主催し若しくは学校でない、学校当局以外の学生その他の主催する集会等は、これは挙げて学校長が措置する建前になつておりまして、こうした或いはPTAの会合であるとか、学生、教授のいわゆる研究会であるとか、そのほか又仮に学校教職員のかたがたのいろいろの研究会とか、又学術講演会というようなものにつきましては、これはもう何ら政治的の色彩のない、いわゆる本当の学術研究の講演会等でございますので、これらにつきましては協定事項の條項に従いまして、すべて構内におきまする集会等は学校長がこれを許可すればよろしい。これは当然学校長が学校の設備の管理者であると同時に、学校の責任者でありますので、学校長がそれを許可するという建前をとつております。それから更に例えば一般の都民等が中に自由に入れる相当大きな会合等につきましては、これは学校長を経由いたしまして都條例の規定によりまして、これは東京都特別区公安委員会が許可するというような建前になつております。例えば東大等においては、五月祭のようなものは非常に多数入るというようないろいろな会合がございますので、こうしたものは学校長を経由いたしまして、多分これは都條例によつて処理しておるのじやないかと思います。
  50. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そうしますと、この具体的の場合におきまして、ポポロ劇研究会、そのときに入場料を取つて一般の人を入れた、併し学校当局が認めた集会である、まあこういうのでありますが、これからこういうような類似の例が出て来たとして、学校長を通して警察当局のほうに届出てもらうべきものとお思いになりますか、依然これはそういう届出を必要としないものとお思いになりますか、この点について……。
  51. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 私はかかる同種の劇の研究会であるとか、それから又或いは純然たる学術講演会、かようなものは、私は当然これは学校長として、学校長の責任において処理して頂きたいと考えております。ただそうでない、いわゆる政談論議をするところの一つの会合、これは自由に何人でも出入できる、いわゆる入場無料で何人でも自由に多数不特定の者が会合できる、いわゆる政談論議をするような集会は、これは公安條例の第一條の規定におきまする道路又は公共の場所における集会ということに該当するわけであります。かかる道路及び公共の場所における集会につきましては、公安委員会の許可を必要といたしておるような状況でありますので、将来こうしたいわゆる大きな、何人でも自由に出入し得るというような集会につきましては、私は警察側として、やはり公安委員会の許可によつてやつて頂くことが望ましいのではないか、かように考えておる次第であります。
  52. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 大体警視総監の御意向はわかりました。そこで具体的の問題におきまして、そういう大学の当局の認定に任してよろしい劇の研究会等へ、やはり警察官が入場券を買つて入るということは不穏当じやないかと私も思うのですが、その点はどうでしようか。
  53. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 私はこれが何か職務執行のために入つておるのでなくて、やはり警察官といえども、とにかく入場料を拂えば入れるという状態にあつた場合におきまして、警察官が入場して静かにこれを観劇するということは、これは警察官といえども個人の資格でやることにつきましては、私は何ら拘束はされない、かように考える次第であります。
  54. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 その点がこの問題の論点であろうと思うのでありますが、先ほど警視総監もおつしやつたように、東大の学生は大部分は優良な、善良な学生だと思います。私も東大に子供を入れておりますが、だからそれを信頼して、学校当局の認定に任せるような集会は、やはり警察官は成るべく立入らないということがいいのじやなかろうか、併しそれには私は前提があります。それは文部大臣にちよつとお尋ねした点でありまして、それをこれからお尋ねしたいと思うのですが、これは特審局長にもお答えを願いたいと思います。警視総監、国警長官にもお願いしたいのでありますが、先ほど吉河局長から御説明のありましたように、東大では共産党の無届の細胞があり、それが活動をしておる、これは学校当局も知らなければならんと思うのですが、又特審局並びに警察のほうはその事実を知つておる。そのときにお互いに学校当局と警察当局と話合つて、これを何とか処置しなければならんということではないでしようか、そういうことが従来講ぜられたことがありますかどうか、それをお尋ねしたい。
  55. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 御質問にお答えします。私どもといたしましては、各学校の当局者と極めて密接な連絡の下に説意調査を進めております。で現在学校内の共産党の細胞でございますが、届出ている細胞は相当多数全国にございまして、本年の一月末現在といたしまして、官公私立学校を含めまして、全国で七十四の学校に細胞がそれぞれできております。そしてその構成員の総数は届出の面では四百七十四名になつております。でかように届出ている細胞のほかに、非合法な秘密細胞が結成されて活動するとなりますと、これは明らかに法令に違反する次第でございますので、そういう具体的な兆候が現われました場合には、それぞれ学校当局と連繋いたしまして調査を進めておりますが、何分にもかような秘密団体はその実態を捕捉することは非常に困難な状況であります。で学問の自由、学園の権威というものについても相当愼重な考慮を拂い、学校当局とも緊密に連絡して調査を進めておるような次第でございます。
  56. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 局長に続いてお尋ねしますか、それでは東大学園内部の細胞活動並びにそのビラなんか撒いた、そういうものについて学校当局とよく連絡して、そういうことが今後起らないようにする御連絡がありましたか。
  57. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 私の部下にはそれぞれ全国を通じまして、所在地の学校当局と緊密に事態の連繋につきましては努めるように指示いたしておきました。勿論東大内における細胞名義のビラ撒き等につきましても連絡しているものと信じております。
  58. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 まあそういうふうに学校当局と警察当局と、非合法な秘密細胞の活動、その存在というようなことについて十分連繋をとつて頂きまして、それを解消するとか処置するということに努めて頂き、東大の学長以下、当局も十分それをやつて頂かなければならんと私は思うのですが、同時にそういう連繋がよくとれておれば、この大学当局の認めた学内集会というものは、成るべくやはり学園の自治という原則に立還つて、警察官なんかを立入らしたり、特審局の者を立入らしたりしないほうがいいのではないかと思うのですが、その点は特審局長はどうお考えですか。
  59. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 団体等規正令に違反するがごとき運動が学内に起つておる、而もそれが学生の手によつて起つておる、殊に最近一部共産主義者の唱えるがごとき極めて破壊的な宣伝、煽動が、而も学生の手によつて学内で行われておるということになりますれば、断固として調査します。この調査につきましては、許せる範囲におきまして学校当局にも連絡します。併し私どもは余り学生の気持、一般の学生の気持を刺戟するようなことは、できるだけ調査の技術として避けることに努めておるような次第でございます。
  60. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私の今お尋ねしたことの答えに少し外れておるようでありますが、つまり学校当局の、つまり監督というと言い過ぎかも知れませんが、その努力を信頼をして、努力してもらうことが前提であります。そういう秘密細胞の活動というようなことは学内で許さん努力をしてもらわなければならないのでありまして、それはこれを放置しておくということは、大学の自由の名に隠れてそうして国家の破壊行動を許しておるということでありますから、これは大学当局に深く自粛してもらわなければならない。併しそうできたとすれば、学校当局の善意に信頼して、学内に認めた学内集会というものについては警察を立入らしたり何かすることはよくないのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  61. 吉河光貞

    ○政府委員(吉河光貞君) 私は警察と又立場も異るかと思いますが、実は学生の非合法な活動、特に秘密団体を学校当局に調査してもらつて、その実態を明らかにするということは恐らく不可能である。今までそういう実例はございません。私のほうといたしましては、私のほうの調査活動によりまして、或いは情報活動によりまして得た資料につきましてそれから推測される事態につきまして学校当局と緊密な連絡をいたしまして、学園の権威、学問の自由のために学校当局の自粛協力をお願いしている。東大におきましてもいわゆる共産党の細胞を学内の公認団体とは認めておりません。これはすでに東大当局も学内に共産党の細胞を公認団体として存置することは、これを否認する態度を明らかにされているようなわけであります。学校当局に学内における学生のさような活動の調査を任せるということは、もう絶対に不可能ではなかろうかというところに一つの問題があるわけであります。私どもといたしましては学校当局と十分連絡して、その間にいろいろこの意見の相違とか食い違いのないようにいたしておりますが、調査の責任は私どもにあるわけであります。
  62. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 調査の責任は勿論特審局長のおつしやる通りと思います。又そうでなくてはならんと私も思うのでありますが、要するに学校当局の認めた学内の集会ということは大学の自由の発現である。だからこれに余り検察的に手を入れるということはよくないということは当然だと思います。それでまあ了解事項ということができるのですが、了解事項がむずかしい問題にぶつかつて非常にあいまいであるということからこういう問題が起つて来るとすれば、どう調整したらいいか、これから文部省当局とそれから警察当局と特審局も入つてよく御協議をなすつて、新たな了解事項というものを作る必要がありやしないか、こう思うのですが、それに対して御意見を先ず警視総監から……。
  63. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ちよつとこの際申上げておきますが、天野文部大臣が公務のため退席を申出ておられますので、若し文部大臣に質問がありましたらこの際願いたいと思います。
  64. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 文部大臣はお答え願いますが、その前にちよつと警視総監から……。
  65. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 現在の次官通達の内容は、まあ大体におきまして今までずつとこの公安條例ができる前から、いわゆる事実上のまあ慣習と申しまするか、そういうものを土台にいたしまして、更に公安條例の新たに認められたその趣旨を加味いたしまして作られた一種の協定みたいなものでございまして、現在の協定の範囲においても私は若し学校側におきまして、現在の社会情勢に鑑みて、警察の警備上必要なる最小限度の活動を、たとえ学園内におきましても現在の警察の立場なり現在の治安上の必要から、止むを得ざる最小限度の活動をお認め願えるものならば、現在の協定の範囲内において今後もこれを十分一つ活用して、両者よく協定の上で円満に実施できるものと私は考えておりますが、併し今後の社会情勢に対処いたしまして、全然警察のその学園内において警備上の必要なる最小限度の活動すら閉め出すということになりましたならば、私は現在の協定線によつて警察がやつておるということは、これはいつもまあ申上げるようで甚だ恐縮でありまするが、学校内においてならば如何なる危險な共同謀議でもできるのだと、又ここがいわゆる治安警備上の一つの死点になつてしまうようなことがありましたならば、これは私は非常に重大な問題ではないか、かように考えておる次第であります。現に東大内におきましては、又はかの学校の二、三もございまするが、現在の社会情勢から見て看過すべからざるようなビラが撒かれ、貼紙がせられ、而も又いろいろな秘密集会が催されるということであります。かようなことは、而も東大内は自由に何人といえども出入し得る場所になつております。校内といいますものの、やはり自由に出入し得る場所になつております。かかる状況、警備上必要なる最小限度の視察すらできないというような状況では、私はこの治安の責任を持つ者として、かようなことでありましたならば、将来由々しい問題じやないかと、これは私は警視総監という立場でなくして、一国民の立場に帰つて考えましても当然私は、私どもの最小限度の警備上必要なる警察活動というものは当然認めて頂かなくてはならん、これは私が警察に職を置いているからそう言うのではなくして、一国民の立場になりましても、私は常識的に考えられることじやないか、かように私は考えておるのであります。
  66. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 了解事項は、警視総監に伺いますが、了解事項は今のままでよろしいのか、この了解事項についてもつと了解ができるようにしておかなければならんのではないかと思いますが、その点どうですか。
  67. 田中榮一

    ○参考人(田中榮一君) 仰せのごとく現在の次官通達というものは極めて大ざつぱなものでありまして、大ざつぱなものであるが故にいろいろ問題が過去におきましても再三起つておりまするので、よく又学校御当局でも警察の立場も十分一つ御理解願いまして、又私どもも学校のいわゆる学園の自由というものにつきましては十分過去におきましても尊重し、又現在も尊重する意思を十二分に持つておりますので、かような点を一つ双方よく理解し合つて、今後の協定というものにつきましてももつと具体的に話合いができるものならば、私どももできるだけその方向に解決の努力をいたしたいと、かように考えているわけであります。
  68. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 文部大臣に、只今までの警察当局並びに特審局長の御答弁なりお考えにつきまして、文部大臣がお考えになつていることを伺わして頂きたいと思います。
  69. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は今警視総監の言われましたことは誠に御尤もなことだと思つておりますけれども、差当つてはあの次官通牒を警察も学校もお互いに理解し合い、良識を以て運用すれば、少くとも差当つてあれでよいのではないか、けれども何かそれについて不都合なことでもできますときには、お互いに相談し合つて、又どうでもこれを改めるべきものならば改めるけれども、差当つてはあれをよく運用しさえすればよいのではないかというふうに考えております。
  70. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 なおこの大学内部の細胞の活動とか何とかいうことにつきましては特審局長や警視総監から報告がありましたが、その点について伺いたい。
  71. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそういうような点は、只今警視総監も一国民としてこれを心配すると言われましたが、私も一国民として非常に心配になつてならないことでございます。だからこういう点もよく警視総監や特審局長の言われたことも学校当局にお伝えをして、今後善処して頂くようにお願いをしたいと思つております。
  72. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) その他に御質疑はございませんか……。  それでは本日はこの程度で終ります。    午後零時五十六分散会