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1951-11-07 第12回国会 参議院 大蔵委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和二十六年十一月七日(水曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            平沼彌太郎君            野溝  勝君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            森 八三一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   公述人    武蔵大学経済学    部長      鈴木 武雄君    芝浦製作所専務    取締役日本租税    研究協会理事  西野嘉一郎君    東京新聞論説委    員       福良 俊之君    日本財務職員労    働組合連合会中    央執行委員長  齋藤 甚助君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○所得税法の臨時特例に関する法律案  (内閣提出、衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出、衆議院送付) ○財産税法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) これより大蔵委員会公聴会を開会いたします。本日は所得税法の臨時特例に関する法律案その他税制改正案につきまして、武蔵大学経済学部長の鈴木武雄君、芝浦製作所専務取締役で、日本租税研究協会理事の西野嘉一郎君、東京新聞論説委員福良俊之君、日本財務職員労働組合連合会中央執行委員長の齋藤甚助君、以上四氏から御意見を伺うことにいたします。なお時間の都合上御発言の時間を大体三十分ということでお願いいたしたいと存じます。  それでは最初に鈴木武雄君にお願いいたします。
  3. 鈴木武雄

    ○公述人(鈴木武雄君) 只今御紹介を頂きました鈴木でございます。今回の四百五億円減税案に関連いたしまして減税問題の一般論につきましては、すでに去る二日の参議院予算委員会の公聽会におきまして私は意見を公述いたしましたから、本日はそれを繰返すことを省略さして頂きます。ただそのとき租税について申上げました結論だけを申上げますと、減税に関するドツジ氏の消極的見解にもかかわりませず、又賠償問題その他と関連いたしまして対外的、国際的に減税はどうかという一部の遠慮論にもかかわりませず、私はこの際減税は必要だと思うのでございます。勿論私は今度のサンフランシスコ講和條約及びそれに伴います安全保障條約が効力を発しまする以上は、発効します以上は、賠償を初め外債処理、連合国財産補償、防衛分担金、或いは対日援助資金の返済など、対外的な債務は誠意を以ちまして、きれいに返済しなければならないと思うのであります。そのためには増税も又場合によつては止むを得ない、これがいわゆる「和解の講和と苦難の経済」の国民的運命であると思うのでございますが、そうであればあるだけ、その前に能う限り国民の税負担の不均衡、不公平を是正しておくということが必要であると思います。そういう税制が行われないままで、若し増税止むを得ないということになりましたならば、国民はたまらないのでありまするし、又我が国民経済の発展にとりましても大きな障害となるであろうと思います。従いまして、講和に伴なつて生ずる対外的債務の支払には何ら支障を来たさないという態勢をとりまして、純粋に国内的な経費の節約を断行することによつて減税を行うという以上は、対外的に遠慮する必要もなければ、又外から文句を言われる筋合いもないはずでございます。この意味で今度の減税政策そのものにつきましては、その規模、程度、内容などは別問題といたしまして、一般的に私は賛成をいたしたいと思うのであります。  次に今回の税制改正案の規模、内容についてでございますが、所得税の減税と法人税の増税によりまして、差引四百五億円の減税であります。それから明年度も今回の改正税正を適用いたしますれば、現行税制に比べまして差引七百六十億円の減税となるということでございます。で先ず第一に減税の中心が所得税に置かれたということ、それから及びこの所得税の減税方法が基礎控除、並びに扶養控除の引上げを中心としまして、併せて第二義的に税率軽減が行われたということ、このことは私賛成でございます。戦後所得税は全く大衆課税と化しまして、戦前に比べて、納税義務者の数は夥しく殖えました。シヤウプ勧告をして会社の給仕、売店の売手まで所得税の納税者となつておると言わしめたほどでございます。これは基礎控除額がインフレによる貨幣価値の低落を十分に反映していないからでありまして、この点は過般の「税金白書」も認めているところでございます。で、所得税が最も重かつた昭和二十四年度の納税人員は千九百十一万九千人で、ございましたが、それがその後二回に亘る税制改正、特に基礎控除の一万五千円から二万五千円、更に現行法の三万円までの引上げによりまして、現在千四百六十七万九千人へと四百四十四万人も減じたのでありますが、更に今回の改正案によりまして、五万円へ引上げられることによつて、更に百九十九万六千人を減じまして、千二百六十八万三千人となるはずでございます。で、これは低額所得者層にとりまして有難いことであるばかりでなく、国家の徴税能率という点から申しましても、結構なことでございます。徴税強化という問題と関連いたしまして、国民の納税への協力、特に申告所得税、この納税への協力と、徴税当局の徴税能率ということが問題になつておりまするが、そうした点になお改善の余地が大いにあるといたしましても、何と言つても所得税のような直接税、而も個人的事情が大いに勘案されまするところのこの純粋な人税、主観的な租税、こういう租税の納税義務者が零細な所得者まで含めまして夥しい数に上つており、従つて徴税官吏一人当りの受持納税者数が余りにも多いということに最大の原因があると私は思うのでありまして、徴税能率を上げる近道、従いまして徴税強化の近道は直接税特にこの個人所得税の納税義務者の数を減らし、夥しい多数の国民から零細なる税金を直接に掻き集めるというそういう無駄な努力をしないでもよいようにすることであると私は考えているのであります。その意味におきまして今回の減税政策の重点が所得税に置かれているということ、且つ所得税法改正案における減税重点の置き所が基礎控除、扶養控除の引上げを第一義としているということには賛成でありまするが、その規模、程度につきましてはなお不十分であると思うのであります。即ち納税人員は千二百六十万人までに減りましたけれども、戰前昭和九―十一年の第三種所得税納税人員は九十五万人でありましたから、なお納税者数は非常に多数でございます。勿論戦後の財政難局、所得分布の変化、人口増加、その他から考えまして所得税の納税義務者の範囲を戰前の程度にまで縮小せよとまで言うわけではございませんが、千二百六十万人というのはまだ何としても多過ぎるということは言えると思うのであります。つまり基礎控除、扶養控除をもつと引上げることが必要ではないかと思うのであります。明年度自然増収の見積りが、当局の見積りが正しいといたしますると、現行法適用の場合所得税収入は三千四百二十九億円、二十六年度当初予算は二千二百二十七億円、今回の改正税法を明年度適用いたします場合に二千四百二十五億円ということになりまするが、これを少くとも二十六年度当初予算額程度に明年度所得税収入予算をとどめることができますならば、なお約二百億円の減税ができるわけであります。で、私は以前に来年度所得税牧予算を一般経営税といたしまして、二十六年度当初予算額の半額千百十四億円、講和関係特別勘定を賄う臨時特別加算税といたしまして、これの三割五分三百九十億円、合計一千五百四億円とする私案を持つていたのであります。ところが、補正予算におきまして八千億円の財政規模がすでに出てしまいましたので、私の提案は減税の幅といたしましては、先ず不可能となつたのでありまするが、明年度の講和関係経費を賄う租税は、一般勘定、従つて一般経営税をできるだけ減税いたしまして、この減税措置を行なつた後の一般経営税に講和関係経費を賄うために特別加算税率を課するという、この構想はなお私は主張いたしたいのでございます。  それから次に法人税でございまするが、法人税の増税、これは三五%から四二%に引上げられまするが、これには私は賛成しがたいのであります。退職引当金の損金算入でありますとか、特定の重要産業の取得する特定機械などに対する特別減価償却制度とか、法人の負担軽減となる部分もありまするが、差別税率引上げによりまして増税であります。本年度は二十七年の一月以後に終了する事業年度分からの適用でありまするから、差引増税分三億円弱でありまするが、自然増収八百五十五億円がそのまま増収となりますから、法人税は当初予算の六百三十六億円から補正後の予算では千四百九十四億円となるのであります。法人税を増税するということは大衆受けのする議論ではありまするが、議論であり政策でありまするが、そうして所得課税としての個人所得税と法人税との割合といたしましては、均衡といたしましては所得税がもつと減らないとするならば法人税を殖やしたほうが一般論としてはよいと思うのでありまするけれども、我が国の現段階では法人税も軽減すべきであると私は思うのであります。少くとも現行率にとどめるべきではなかつたかと思うのであります。先ほど申しました、私がかねて計算いたしておりました私案としては、その講和関係を賄う特別加算税率を含めましても、法人税の税率は二七%程度になるという案を持つていたのでありますが、これも今では駄目になりました。それから今回の法人税の増税は法人の収益増加に着目いたしまして、いわゆる「利潤インフレ」論からインフレを抑制するという考え方がその背景にあると思われるのでありまするが、インフレ抑制の方法としましては利潤を余り圧迫いたしますると、いわゆる「所得インフレ」に転化する危険性がございます。早い話が儲けても税金で取られるから経費に使つてしまうほうがよいというようなことで、生産費の切下げには熱心にならず、いわゆる社用族が跋分するというようなことになります。利潤インフレが所得インフレに分散いたしまするというと、インフレ抑制ということはいよいよ困難になるのであります。もう少し現在の段階にとどめて置きまして、先になつてこれに課税、吸収するということはよろしいのでありますが、今はまだ少し早過ぎると思うのであります。明年度の法人税収入の予想は現行法を適用いたしますると千九百三十三億円、今回の改正税法を適用いたしますると二千百二十四億円ということでありまするが、特別償却などを含めまして、特別償却などによる減収を含めまして現行税率で千八百億円程度の法人税収がありまするならばそれだけで私は結構ではないかと思うのであります。何も税率をこの際二割方引上げる必要はないと思います。それに法人収益の増加ということには非常に凸凹があると考えられまするから、一律にこの税率を引上げるということも問題であろうと思います。又地方税における事業税、住民税の負担等も考えなければならんと思います。国税四二%といたしますと、事業税一二%、住民税の均等割は別として法人税割だけで四二%の一五%、七・三%合計いたしまして六一・三%というのは、現在の我が国の法人に対しては少しく負担が重過ぎると考えられるのであります。  その次に給與所得税と事業所得税との関連について申上げたいと思います。今度の改正案を見ますと、所得税のうち源泉所得税は当初予算で一千五十億円、自然増収が五百七十九億円、税法改正によります減額が三百七億円、差引補正による増が二百七十二億円、補正後の源泉所得税の収入が千三百二十三億円、申告納税の申告所得税が当初予算におきまして千百七十七億円、これが自然減収五十四億円、税法改正による減が百一億円、結局補正後の減が百五十五億円で、補正による百五十五億円で補正後の申告所得税の税収予算は千二十二億円ということになつております。でありますから、自然増収は専ら給與所得によつて実現せられ、そして事業所得は自然減収である。この給與所得税の増収で給與所得税、事業所得税、すべての所得税の減税ということが行われた、こういう恰好になつておるのであります。法人税の大幅自然増牧と比較いたしまして、個人事業所得税が自然城収となるというのはちよつと不思議なように思われるのであります。これはまあ中小企業の不振と考えよりほかはないと考えますが、そういたしますと、法人中にも中小企業が多数あるのでありますから、前に申しました法人税率二割の一律増徴ということは、大いに問題となります。若しそうでないといたしまするというと、個人企業所得の徴収能率と申しますか、申告の成績でありますとか、或いは税務当局の所得把捉の成績でありますとか、そういう徴収能率が特別に悪い、こう考えるよりほかはないと考えるのであります。「租税及び印紙収入補正予算の説明」という主税局の書類によりますというと、収入見込額算定の比率は給與所得税につきましては、二十六年度の現行法について九五%、改正法案につきまして九五%、申告事業所得の申告所得税につきまして、営業は現行法で七〇%、改正法で七二%、農業は九〇%と九二%、その他の事業が八〇%と八二%、その他が八〇%と八二%、平均いたしまして、七五%と七七%、こういうことになつております。法人税が大体八七%くらい、こういう収入歩合というもので計算しているのであります。即ち個人事業所得税は収入歩合が最も低いのであります。給與所得税は源泉徴収の関係からいたしまして、最もこの収入歩合が高いのであります。ここに明らかに両者の関係にアンバランスがございます。なお現行税制及び改正税制におきましても、同様でありまするが、制度上この両者の調整を企図しておりますものは、いわゆる勤労控除一五%、最高三万円打止め、この点だけでございます。若し個人事業所得者が正確に所得を申告し、税務署も正確に所得を把捉し得るのでありますならば、アンバランスのあり得べき理由はないのでございまするが、個人業者の所得は利潤部分と、労賃部分の区別が非常に困難でございます。そこでシヤウプ勧告が二十四年度の勤労控除に二五%、最高三万七千五百円打止めを現在のように引下げましたのは、個人事業所得における勤労所得部分を考慮したためでありまするし、地方勤労控除をそれにもかかわらず全廃しなかつたというのは、これは申告が源泉徴収ほどガラス張りには行かないという事情を考慮したためであろうと思います。併し今回の改正案は勤労所得税の増収によりまして勤労所得税とすべて同じ程度に事業所得税も減収されるというのは、どうしても不公平な印象を與えると思います。実際負担率は改正後におきましても、事業所得税のほうが高いのでありまするし、まあ但し農業所得者はシヤウプ勧告以後勤労所得者よりも低くなつておりまするけれども、又地方税におきまして、事業所得者は事業税というものを負担するということも考慮に入れなければなりませんが、これは事業所得者の内部における、まあ正直者と不正直者のアンバランスの問題もありまして、個人事業所得把捉に努力するということは必要であることは申すまでもありませんが、その一方、このためには納税協力の促進ということもさることながら、基礎控除引上げによりまして納税義務者を少くするということがやはり先決問題であると思いますが、そういう個人事業所得把捉に努力いたしまする一方、勤労控除を、控除率は先ず据置くといたしましても、最高打止額を少くとも四万円程度まで引上げてはどうか、これは極めて内輪の要求でございますが、そう思うのであります。そういたしますると、給與月額二万二千円、これはいろいろな控除前の税込の給與であります。給與月額二万二千円程度の勤労者までは、まあまるまる一五%までの勤労控除の恩典を受け得るのであります。現行法では平均いたしまして実は一三・〇六%、一五%ではなくて一三・〇六%、改正法で一三%となるのであります。一五%最高三万円のこの勤労控除というものが、二十五年度の基礎控除二万五千円、現行法の三万円、改正法の五万円を通じまして少しも変らないというのもおかしいと思うのであります。それから最後に、今回の改正税制におきましては取上げられてはおりませんが、税体系の改革ということが問題となつておりまして、いろいろの案が各方面から出ているのであります。で、私見といたしましては、確かに根本的な税体系の検討と研究が必要であると思いまするが、暫らくは時間をかけましてじつくり研究すべきであつて、実行は当分急ぐべきではないと思うのであります。シヤウプ勧告に基きます画期的な国と地方の税制改革が行われましてまだ二年とたたないのでありまするから、そうたびたび根本的な税制改革をすべきではないと思います。殊に講和財政という財政上の激変期を迎える明年度は一応見送るべきであると思います。税率であるとか、基礎控除とか、そういつた個々の税の内部の改正によつて負担の軽減調整を図り、税の体系構造というものを改革することは、もつと今から研究をしてゆつくりと着手すべきで、ゆつくりと実現実施すべきであると思うのであります。最小限度必要なことといたしまして、私は次のように考えております。国税体系は一応このままとしておきます。税率とか、各種控除とか、そのほか個々の租税の細かい内容の改正は勿論別でありますが、体系としてはこのままとする。従つて所得税の思い切つた減税をするということ、それから若干間接税の比重が高まつでもこれは止むを得ないかと思います。殊にシヤウプ勧告により二十五年度の税制改革によりまして、生活必需品的な間接税というものは殆んど整理されておりますから、若干今よりも間接税の比重が大きくなつても、それほど大きな害悪はなかろうかと思うのであります。国税についてはまあその程度。それから地方税体係につきましては、道府県税の構造というものが著しく都市的な税金に片寄つているのであります。これを修正するということが必要ではないかと思います。そのために例えば遊興飲食税のようなものを市町村税にする。それから私は附加価値税はやはり一応やつて見るべきではないかと思うのでありますが、その点は事業税を続けてもよろしいのでありますが、とにかく農業附加価値、或いは農業事業税というものを府県税としては若干復活することが必要ではないかと思います。つまり府県税の都市税偏倚の構造を若干修正する必要からのことでございます。それから市町村民税の課税標準を所得税にリンクするというのをやめまして、従つて均等割、所得割の区別もやめる。そうして外形標準を相当に加味する。特に消費者の消費生活の程度というようなものを織込んだ外形標準を相当に加味する。それから他の市町村に住所を有する個人、法人でありましても、当該市町村内に家屋敷、事務所、事業場などを持つております場合には、現行法では均等割のみがかかるのでありますが、均等割としてでなしに、その市町村に住所を持つている住民と同様な市町村民税の納税義務者とすると、そういうようなことが……。まあそのくらいの程度の税体系と申しますか、改正で、暫らく根本的な改革は、研究は今からじつくり続けて行く必要がございますが、見送るべきではないかと、このように考えるのでございます。以上で大体私の公述を終らせて頂きます。
  4. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 御質疑のあるかたは御発言願います。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 只今先生から税の捕捉歩合をもつと上げて行くということのためには、むしろ納税義務者の数を整理して行くというような方向に行くべきではないかというお言葉があつたと思いますが、観点を変えまして、そういうふうに仮定して、現在の社会情勢なり経済情勢からいたしまして、どの程度までの所得者が直接国税の負担者ではないというのか。その限界があるのか。額の点から申しますとどうお考えになつておりますかを一つお伺いしたいと思います。
  6. 鈴木武雄

    ○公述人(鈴木武雄君) それは私も計算ができますと非常にやつて見たい問題なんでございますが、一方歳出の経費のほうと噛み合わさなければなりませんので、経費のほうが非常に膨脹せざるを得ない。どうしても赤字財政はできないので、これは租税を中心とした経営収入で財源を賄わなければならない。こういうことになつて参りますと、如何に何らかの計算で限度というものをきめましてもそれが守れないことになりまするし、一応私が、この八月の終り頃でありましたけれども、大体昭和二十七年度の一般会計の経費というものを私だけのあれで計算しまして、かなり節約した緊縮予算を作りまして、それを賄う財源としての租税の計算をいたしました。その場合で申しますと、所得税は基礎控除をまあ八、九万円ぐらいまで引上げることが可能な計算になつたのであります。併しそれは今度の補正予算が出て見ますというと、経費がそのときの私の計算いたしました経費よりも、一千億円以上も膨れておるのであります。さつきちよつと申しましたように、所得税を約半減するというような減税は、今のところではむずかしいだろうと思います。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 その次に法人税のことについてお話がありましたのでありまするが、そのお話の中に、個人事業所得の関係における政府の計算を例におとりになりまして、法人の中にもいろいろ種類があると申しますか、経営的に見ていろいろな段階がある。そこで一律に二〇%の増税をすることは適当ではないのじやないかという御意見があつたと思うのでありますが、そこでそのことは非常に御尤もと思います。法人の中に経営的に見ていろんな区分があると申しますか、いいのもあれば悪いのもあるという現段階、これは事実でありますのでよく理解できますが、それを是正して行くために具体的にどんな方法が考えられますのか、税の上において。お教え頂きたいと思います。
  8. 鈴木武雄

    ○公述人(鈴木武雄君) それは私にはいい智慧はないのでございますが、少くとも、そういうようなことが考えられるので、政府が或る千七百社ですか、会社を選んで、去年から今年にかけての収益状態の推移を調査いたしました結果、相当この収益が挙つているからというのが、一つの二割法人税率を増税するという論拠になつていると思うのでありますけれども、それでは全般の法人が必ずしもその二割の増税に値するほど収益が挙つたとは簡単に言えないのではなかろうか。だから少くともこの際法人税率は、増税しないで、現行税率でとどめておいて差支えないのじやないか。自然増収が非常にたくさん見込れているのですから、収入を挙げるという見地から申しましても、現行税率三五%でも千八百億円ぐらいの法人税収は得られるのだから、その程度で、わざわざ今二割上げる必要はないんじやないかというだけの意見でございまして、今の御質問のような凸凹が非常に法人収益の間にある。それに応じたように課税する方法はどうすればいいかということにつきましては、まだ余りいい智慧を持つておりませんです。
  9. 松永義雄

    ○松永義雄君 何かに書いてあつたのですけれども、最近のこの物価の値上りと、それから減税と、それから給與の引上げ、これらを三つ合わして調節すると、こういうことを言つておる。調節する程度はどの程度でしようか、細かい数字は別にして。物価が上りました、減税なしてやる、給與の引上げをしてやる、そこで調節ができるのですか、勤労者について。それはイコールになるのですか。
  10. 鈴木武雄

    ○公述人(鈴木武雄君) これはなかなか、詳しい計算をして見ませんとわかりませんし、大体政府から出ております資料については、一応実質賃金の計算とか、減税と物価騰貴と噛み合せまして得た結果としての実質賃金の数字というようなものも、この資料には載つているようでございますが、減税によつて、物価騰貴、特にこの八月からの主食の消費者価格の引上げに伴う家計費の圧迫を減税によつてカバーするなり、それから電気料金、それからこの十一月からの通信料金、鉄道運賃、水道料金といつたようなものの値上げ、これを減税によつてカバーするということが言われているのであります。これは確かに政府としてはそういう価格料金の引上げをみずからやる。或いはそれを承認するという以上は、少くとも減税によつてそれの家計費に対する圧迫を緩和するということをする義務が、責任があるということは言えると思いますが、その結果数字的にどういうふうになるかということは、やはり私どもとしましては一応政府が出しております資料に従うよりほかちよつと一人ではなかなか計算のできない問題なんでございます。ただ併し主食の値上りというようなことにつきましては、非常に低額な所得者層ほどいわゆるエンゲル係数の関係から申しまして負担の圧迫が大きくなる、家計費の圧迫が大きくなるということはまあ一応一言えると思います。減税によるそういう圧迫の緩和ということは、だんだん基礎控除が引上げられて来まして、そうして非常な低額所得者層が所得税の納税義務者から脱落して参りますというと、本当にカバーしてやる必要のある層は余りこの減税によつては恩恵を受けないというようなこともあり得るのじやないか。やはりそついう価格料金の引上政策そのもののほうにもりと直接的な手を打たないと、だんだん減税によつてそれをカバーして行くという余地は、だんだん下のほうではなくなつて行くのではないかということが問題として考えられるのです。その程度しかちよつと申上げられないのです。
  11. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 次に芝浦製作所専務取締役の西野嘉一郎君にお願いいたします。
  12. 西野嘉一郎

    ○公述人(西野嘉一郎君) 只今御紹介にあずかりました西野でございます。私は主といたしまして、法人税の一部改正に関する、財界側の意見を述べさして頂きたいと存ずるのであります。  今回の法人税の改正は、提案理由にも御説明かありますように、四つの点があると思うのであります。一つは税率の引上げであります。二は徴収猶予の件。三は退職手当金の損金算入、退職積立金の損金算入。四は特別償却金制度の設定であることは言うまでもないと存ずるのであります。この四つの問題につきまして、私の意見を述べさして頂きたいと思います。  第一の税率引上げの問題でありますが、これは提案理由によりますと、最近における法人収益の状況、個人負担との関係などを考慮して、若干の増徴を図る、そうして現行の百分の三十五を二割引上げまして、百分の四十二にすると申しておるのでありますが、当局の御説明によりますと、法人企業は最近相当の収益が挙つて、且つ相当の社内蓄積もできたから、二割程度の増徴をしても、法人企業には十分負担能力があると申しておるのであります。果してそうでありましようか。私はこの点につきまして、少しばかり法人企業の実態につきまして御説明をさして頂きたいと存ずるのであります。先ず企業収益率の推移でございますが、これはいろいろな統計のうちで、三菱経済研究所の調査によりますものが最も正確かと存じます。この中には金融機関の問題が含んでおりませんが、昭和十二年の上期の統計によりますと、収支比率は八七%であります。総資本の利益率は六・二%、自己資本の利益率は一〇・四%、売上高利益率は一三・九%、この場合の配当率は八・七%で、社内留保率は三七%となつておるのであります。更に昭和十六年上期の数字を眺めて見ますと、この昭和十六年上期と申しますと、御承知のごとく太平洋戦争勃発の直前でありまして、諸種の経済統制が強化されまして、利潤の統制が行われつつあるときであります。その年の収益率は、収支比率が八九%、総資本の利益率は四・九%、自己資本の利益率は九・五%、売上高利益率は一一・四%、配当率は八・五%、社内留保率は三七%となつておるのであります。然るに最近通産省が我が国の主要企業百九十二社、これは会社数は誠に少いのでございますが、この中には金融機関は含んでおりません。併しながらこの百九十二社の中には我が国の産業を動かしておりますところの大会社が全部網羅しておりまして、会社数こそ少いけれども、この調査数、この調査しました対象となつておる百九十二社は大会社、大企業は全部網羅しております。我が国の産業、生産力の七割乃至八割ぐらいのものがこの中には含んでおるのではないかと存ずるのであります。この会社の昭和二十五年下期の決算数字によつて調べた調査によりますと、この二十五年下期と申しますと、本年の三月から五月までに決算の到達した普通営業期間を含んでおります。この昭和二十五年下期の数字は収益率が八九%、総資本の利益率は一七・八%、自己資本の利益率は六五・八%、売上高利益率が一一%、配当率は二四・八%、社内留保率は五〇%となつております。資本利益率を眺めて見ますと、昭和十二年の上期或いは十六年の上期に比べて見ますと遥かに大きな感じがいたすのであります。これはその基礎となりますところの資本金を、或いは自己資本を、その収益のベースに、計算のベースにいたしておりますが故に、ここに一つの数字のマジツクにかかつておるのであります。併しながら靜かにこれらの数字を眺めて見ますと、企業の真の利益率を表示いたしますところの収支比率は八九%であります。それを逆から申しますと、売上高利益率は一一%でありまして、むしろ平常時の比率よりも下廻つておるのであります。特にこの期間には繊維工業が非常なる高収益を挙げておりまして、全体の比率は高くなつておりますが、この繊維工業を除く全産業の総資本利益率は一割であります。自己資本利益率は三八・二%であります。特に売上利益率は繊維工業を除きますと非常に低率になつておりまして、機械工業のごときは四五考、石炭鉱業のごときは三・五%になつておるのであります。かくのごとく資本の側から眺めて見ますと、非常に高収益のごとくに見える企業収益は、売上高に対する収益率は平常よりも、過去、戰前並びに戦時中の統制をされておつた、利潤を統制されておつたときよりも低いことを示しておるということは何を意味するかと申しますと、これは我が国会社企業の資本構成がこのインフレのために著しく不均衡になつておるということであります。これが企業収益に対する一つの大きな誤解の原因になつておるのでございます。然らば我が国の企業の資本の構成はどうかと申しますと、これも昭和十二年の自己資本構成を眺めて見ますと、自己資本は六〇%、社外負債は四〇%であります。又昭和十六年の数字は自己資本が五二、社外負債は四八となつておりますが、これらの過去の非常に社外負債に依存度の高いときにおきましても、なお我が国の企業は自己資本は社外負債を超過しておるのでありまして、これはいわゆる企業の、企業財政の基本原則でありますところの自己資本は社外負債を超過しなければならないという原則が、この戰時統制の場合においても十分我が国企業は守られて来たのであります。海外の多くの貸借対照表から、アメリカ、英国その他を見てみましても、この社外負債が自己資本を超過しておるような統計は我々の目には全然浮ばないのであります。ところが先ほど申しました通産省の大会社を殆んど網羅しております昭和二十五年下期の数字はどうなつておるかと申しますと、この期間には相当に資産の再評価が行われたのであります。そうしてその評価の数字を眺めます。と、大体自己資本の七割が資産再評価の金額を占めておるのでありまして、過日大蔵省が提出されました資料を私ちよつと計算をして見たのでありますが、この資料によりましても自己資本のうち六割が再評価積立金であります。自己資本合計を一〇〇といたしますと、その中の六割が再評価積立金になつておるのであります。かくのごとき相当金額の多量のものが資産再評価によりまして資本構成が大いに是正されたのでありますけれども、それでも再評価積立金を算入いたしましても自己資本の資本構成を眺めてみますと自己資本は二七であります。社外負債は七三となつておるのでありまして、かくのごとき資本構成の不合理を如実に露呈しておるのであります。かくのごとき不合理な資本構成の下で企業の収益率を眺めて見るとそこに大きな誤解の原因を招くのであります。かくのごとき場合におきましてはどうしでも企業の収益率は正常の状態にこれを引戻して換算して考えて見なければ正しい判断が出て来ないのではないかと存ずるのであります。然らばどれほどが適正な収益率であるかと申しますと、これにはいろいろな説がございますが、我が国の経済が戰時経済統制に移行いたしました昭和十五年当時の商工省に設けられました我が国利潤率専門委員会の中間報告によりますと、当時の標準総資本収益率は一割であることが最も適正であると結論をいたしておるのであります。これは当時の調弁価格その他において相当圧縮されたときに、軍の圧力があつたときにできた一つの標準総資本収益率でありまして、これが一割と結論されておるのであります。この考えを昭和二十五年下期の自己資本比率、先ほどの資本構成の中に申しました自己資本の構成比率は、二七%という数字にはめて換算して見ますと自己資本の収益率は三七%ということになるのであります。この数字が昭和二十五年下期の繊維工業を除いた全産業の平均収益率にたまたま大体一致するのであります。先ほど御説明を申しましたように……。従いまして非常に高収益であつたと騒がれました昭和二十五年下期の決算はこれを引伸ばして考えて見れば昭和十六年の我が国の戰時経済で利潤を統制したときの収益率に一致する、実質的に一致する。而もそこにはインフレ利益が含んでいる。実質的な利益でなくて、インフレ利益が多分に含んでいるということが言えるのであります。かくのごとく我が国企業の現状は決して高収益でもなく、高率配当でも、ございません。すでに申上げましたように昭和二十五年下期の高率配当と言われましたときの、今度は配当金の問題について少し触れたいのでありますが、高率配当と申されましたときの利益金、その配当金に廻されましたところの金額は僅かに利益金の九・二%であります。これは先ほどの百九十五社でありましたか、百九十何社かの数字についての計算でありますが、当期利益金から僅かに一割以下のものが配当金として振向けられたのであります。而もこの比率は税引利益金に対する比率でありまして、然るに今回の法人税率の二割を増徴ということは、これは七%ということにはなりますけれども、税込利益に対する比率でありまして、これを税引利益金に対する今回の二割増徴を換算して見ますと、約一四%ぐらいになるのであります。従いまして二十五年下期に高率配当、高率配当と叫ばれたものは、その実質的な金額は、今回その百九十五社について考えますと、増税する七%よりも五割だけ多くの金が増徴されるという結果になるのであります。これは通産省の調査による百九十五社かの、主要企業に対する統計よりの推論でありますから、我が国の法人企業全体に対しましては、相当の相違があるという結論が出ると存ずるのでありますが、いずれにいたしましてもその主力をなしておるところの大企業、目標になつておるところの大企業の収益状況は、先ほど申しましたようなことであります。これを十二年の利益金中配当金に振向けられた金額はどれだけかと申しますと、利益金の大体その当時は六割ぐらいが、これが配当金に廻されておつた一のであります。それを見ますと六分の一であります。昭和十二年の上期のごときは、総資本に対しまして払込資本金の構成比率は四五%でありました。昭和二十五年下期は一五%になります。従いましてこの面から申しますと、昭和十二年上期の八・七%という配当率は、昭和二十五年下期に直しますと、二六・一%、二割六分一厘の配当をして、それに相当することになるのであります。従つて二十五年下期の二四・八%の配当率は高率配当であるということは、これは大いに数字のマジツクにかかつておると私は申上げなければならんと思うのであります。従いまして今回の増税の金額は、昭和二十五年下期に行われた配当金の金額以上になることは間違いございません。而も我が国主要企業の資本構成は、自己資本と再評価積立金を含めましても先ほど申しました二割七分でありますから、我が国企業の如何に、これが脆弱性を物語るものであるかということが言えるのであります。つまり我が国の企業は他人資本に大部分を依存している、殊に金融機関に現在依存をしなければならないというような結果になつておる。その結果、金融機関の側から見ますと、いわゆるオーバー・ローンの問題が当然起つて来ておりますし、我が国企業は実に不安定な状態になつておるのでありまして、現在におきましては、株式会社は金融機関の大きな統制の下に入らざるを得ないというような状況になつておるのであります。これを排除いたしますためにはどうしても資本の蓄積を行いまして、企業の不安定を除去すること、もう一つは相当の配当をいたしまして株価を維持しまして、そうして増資を可能ならしめることが必要であるのであります。然るに今回の法人税の大幅引上げは誠に遺憾でありまして、私はまだまだ企業はそんな、二割もの増徴をして、それの負担能力がありという大蔵当局の見方は誠に皮相なものがあるのでありまして、我々といたしましては、まだまだ企業にそういうような収益に対する実際的な能力の蓄積を、企業内部に十分に行わすべきである。また行わせなければいかん。そうして漸く今日芽が出て来て、若芽が出て来たものを足で踏み潰すような、そういうようなことをしては、結局企業を萎縮して……。更に今回の予算の中にも含まれたような自然増収というようなことは考えられないのではなかろうかと思うのであります。私個人の考えを述べさして頂きますと、今回の七分の税として取上げられるものが、若しこれがどうしてもしなければならんものであるというならば、これは強制積立金にでもして資本構成の……、企業の内部にこれを留保させまして、そうして資本構成の是正に、我々は官民共に企業を育てて行かなければならんと思うのでありまして、少くとも戰前の資本構成比率まで持つて行き、同時に企業財政の健全化を図られんことを大蔵当局に切望するものでございます。  次に第二の、徴収猶予の問題でございます。法人税を決定確立後、二カ月以内に申告と同時にその全額を納付する現行制度が、企業の金繰りを甚だしく圧迫しておるから、決算確定後、四カ月四分の一ずつの分納を認められたいということは、経済団体連合会からもその筋、大蔵当局或いはその方面に我々はこれを要望して参つたのでありますが、今回この要望が一部取入れられまして、九月一日以後終了する事業年度の分に対する法人税につきましては、その半額を申請によりまして三カ月間徴収を猶予することができる。併しながら、徴収猶予期間には日歩四銭の利子税を徴収するようにする、こういうことに相成つておるようであります。併しながら、申請による徴収猶予と分納制度を認めるということとは、ちよつと見ますと趣旨は同じことでございますけれども、大変にその内容は違うのであります。これでは我々が要望して参りました企業の金繰り及び金融市場の梗塞の緩和を目的とした、その効果が本来の趣旨と全く違つたものになる危険が多分にあるのであります。なぜならば、徴収猶予の制度というものが、ともかく制度として設けられますならば、そうでなくても資金にゆとりのない金融機関は、納税資金の貸出を強く引締めるでありましよう。従いまして会社は、止むなく今申しました日歩四銭の高利な利子を負担しなければならないのでありまして、この税額は先ほど申しましたように、当期利益金として出しておる額よりも甚だ多いのであります。わかりきつたことでありますが…。税込利益の六割というものが税金に持つて行かれますから、配当金なんというものはもう極めて僅かなものであります。先ほど申しましたようなことであります。相当の金額になるのであります。これは法人税、事業税、地方税等を見ますれば、六割以上のものが…、これがために……、而も納税期が一度になつたために、金融を圧迫するからこうして頂きたいということを申上げたところが、大蔵当局の今回の案は日歩四銭を取るぞということに相成つたのであります。これでは先ほど申しましたように、金融機関は、その制度に依存して、四銭は企業が負担したらいいでしようということになつてしまつて、企業の損失がますます悪化する。従つて会社はあらゆる手段を講じまして、金融機関からの借入れに仰こうとするでありましよう。これに対しまして金融機関は、さつきの貸出抑制方針にもかかわらず会社の要望に応じたといたしますならば、今回の徴収猶予制度では民間資金の引揚げによる金融圧迫というものはいささかも緩和できないのであります。更に銀行金利の平均レートが現在日歩二銭五厘、今回の徴収猶予制度を制度的に認めながら日歩四銭の利子税を徴収するということは当を得ておりません。仮に利子税を負担せしめるといたしましても、銀行の平均金利以下、少くとも日歩二銭程度に引下げるべきであります。なおこれは制度として設けられた以上は、少くとも担保の提供とかそのようなことは、要求しないようにして頂きたいのであります。  第三の点でありますが、退職引当金の損金算入の問題であります。青色申告を提出する法人の退職手当積立金であつて、一定の條件を具備するものについては、これを積立てて次年度の損金に算入することができると、今回規定されるようであります。併しながら、この一定の條件につきまして、大蔵当局の案によりますと、退職手当積立金については、労働組合との間に労働協約が成立しているということが一つの條件である。第二は、退職手当積立金の二分の一は銀行預金にすべきであるということを條件にしたいということを申されておるのであります。折角我々が要望した退職手当積立金が損金算入の恩恵を受けようとしておるにもかかわらず、こういうような條件をつけられたのでは非常にその恩恵は微小なものになるのであります。少くとも前者につきましては、それを労働組合その他一般従業員にこれを公示をした、公に示したことによつて、示したことによつて会社内規、退職手当規定を一般に示したことによつて、これを一つの條件にして頂きたいのであります。なぜならば労働組合にもいろいろありまして、非常に穏健な労働組合もありますれば、又非常に進歩的な労働組合もございます。それによつて企業が受けるような、企業がそれに対して不公平な取扱になるというようなことは、非常に税の問題として面白くないと思うのであります。で、こういうようなことが、労働組合に利用されて、巨額の退職金の規定を要望し、それがなかなかまとまらないということが、却つて労働争議の原因を作るのではないかと心配するのであります。後者に対しましては、最近の企業の金詰りのときに、不必要な金融機関からの借入金を増しまして、且つ大蔵当局の心配しておる両建預金を増加して企業に不必要な金利の負担をせしめることになるのではないかと心配するのであります。従いまして、これの代替案といたしまして、私が考えておりますのは、市場性のある有価証券であるとか、国債とか社債を以てその積立預金に代替せしめることを強く要望いたしたいのであります。  で、最後の問題であります特別償却とする制度の制定であります。で、これは企業の合理化を促進し、且つ誠に促進する上に結構な制度でございますが、特定の重要産業の取得する特定機械などの範囲は、これを一連の設備として、その中には汎用機器であつても、汎用機器がたとえ含まれておりましても、これが産業合理化のための一連の設備機械であるならば、この制度を認めて頂きたいのであります。更に輸入機械におきましては、これよりも以上な、半額償却は結構でありますが、その残つた半分に対しましては、短期償却を主張いたしたいのでありますし、更に今後新たに取得するというようなものでなく、重要産業の現在の設備に対しましても、基礎産業につきましては、更に高率の償却を要望いたしたいのであります。で、最後に今回の税制改正の説明の中に含んでおらないのでありますが、我々が長く要望して参りました棚卸資産の評価減制度の問題であります。この中には金融機関の保有しまするところの有価証券の評価問題も当然含んでおりますが、この理由につきましては経済団体或いは日本租税研究協会、金融機関それぞれの団体からしばしばこの要望をいたして参りました関係もありまして、大蔵大臣もしばしば議会でこれを実行いたしたいということを言明しておりますし、この議会における大臣の答弁の中にも実行いたす方針であるというようなことが述べられておりますから、実行されるものと念願いたしておるのでありますが、この説明の中に、今回の出されております説明の中には、今申上げました四点のほかに落ちておるのであります。これは今回法人税を二割増徴し、而もこういうような重大な企業の弾力性を持たせようというような問題の取扱を、その中から落しているということは誠に残念でありまして、これは当然実行されるものと我々は確信しているのであります。この点につきましては、是非大蔵当局初め議会におかれましても大いに熱望して、企業のあり方についてどうか一つお願いいたしたいのであります。この点につきましては、我々としても多くのことを要望しておらないのでありまして、戰前に行われた一割評価減制度の復活、而もそれが財政需要とも睨み合せて、今回大蔵当局が立案されたというような、毎半期ごと二割五分、二分五厘ですか、二カ年で分割するというようなことも止むを得ないと存じておるのでありますが、この制度が是非法人税の若し引上げ止むを得ないということで決定するならば、同時にこれは行なつて頂きたいのでありまして、今回の案によりまするとこうしたものを含んで百億というものが勘案されてあるごとくに考えられるのでありまして、先ほど申しましたような退職手当の積立金のことや、或いは特別償却ではとてもそんな大きな数字が出て来ないのではないかと思うのであります。そこで又同時に、非常に技術的に申上げるようでありますが、棚卸資産の評価方法の、一種の先入れ、後出しというのが認められておるのでありますが、これがこの前のシヤウプ勧告によつて我が国で初めて認められた棚卸資産の評価方法でございますが、これらも実施を、どうして企業が行わないかと申しますると、本法を採用いたしますとその生ずる評価益を利益に上げさす、弱制的に上げさすというようなことに規定してありまして、こういうような不合理な規定は是非この際排除いたしたいと存ずるものであります。  以上私は幾つかの点につきまして所見を述べさして頂きましたですが、これで私の公述を終らせて頂きたいと思います
  13. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 御質疑ありませんですか……。別にないようでありますからして、その次は東京新聞論説委員の福良俊之君にお願いいたします。
  14. 福良俊之

    ○公述人(福良俊之君) 私福良であります。極めて常識的な意見を申上げたいと思います。  今度の税制改正につきましては、対外的な考慮と財政的な考慮と、二つの面からの考慮が払われておると思うのであります。申上げるまでもなく、対外的な考慮といたしましては、先日来訪したドツジ氏の言を待つまでもなく、各国が朝鮮事変を境として増税の方向にある。その際に日本だけが三度減税をするということが一つでありますが、同時に又今度の戰争によりまして、苦痛と損害を與えた諸国に対して賠償の支払をしなければならない国が先ず国内で税制の改正とは言いながら所得税において減税をする、こういう点に対する考慮があると思うのであります。この場合に、先ほど申上げました後者の、日本に賠償を要求する国々の今日の国民生活の程度その他を考慮いたしますときに、今日我々の生活が著しく苦しいからと言つて、所得税について減税を行うということについては多少心を配らなければならない点があるのでありますが、米国がすでに三回目の増税を決定した、その際に日本が逆に減税の方向にあるという点につきましては、アメリカの国民所得、又国民の生活程度等と比較して敗戰後の日本の状況がどうあるかということを考慮に入れるならば、了解が得られるのではないかと思うのであります。  第二の財政的な考慮でありますが、明年度以降賠償その他講和関係の諸費が二千億円程度増加する、そういう際に果して税の調整をすることがよいかどうかという問題でありますが、今日幸いにして二十六年度の予算におきましては、租税の自然増収が一千五百億円を超えるという状況でありますから、この増収分の或る部分を税の調整に充てるということは最も時宜を得たことでありまして、又同時に明年度以降膨脹する歳出を或る程度制約する一つの鍵にもなると思うのであります。かような点を考えて見ますと、今度提案されておりまする税制の改正案につきまして私は賛成をしたいのであります。ただここで問題になりますのは、こういつた諸般の考慮をした上で行われる今度の税制改革によつて一体国民生活が確保されるであろうかどうかという点であります。大蔵当局から配付されました資料によりますと、主食の値上げ、その他公益事業等の値上りによる家計費の負担増加よりも、今回の所得税の減税によつて負担の減少する分のほうが多いような統計が出ております。統計的に見て果してそれが正しいかどうかを直ちにここで申上げる資料を持つておりません。併し、この中に落されておるのがただ一つあります。それは国鉄の貨物運賃の値上げであります。この影響は十一月からでありますから、どういうふうな結果が一般物価に現われて来るかはまだわかりませんけれども、少くとも今日貨物運賃の値上げを口実として一般的に物価が上ろうとしておる情勢にあることは事実だと思います。又最近の一般物価の値上りによりまして、勤労者の家計というものが減税を考慮してもかなり苦しい状態に陥りつつあることは事実だと思うのであります。先ほど申上げましたように、対外的な考慮を相当払いながらなお且つ今度の税制改正をして国民生活を確保しようという政府の考え方から申しますならば、この際税制改正によつて所得税の減税を行う、その効果を確保するような方策を同時に講じて頂きたい、こういうことを申上げざるを得ないと思うのであります。  法案の個々の内容につきましては、先ほど来鈴木先生その他からいろいろお話がありました。所得税の問題については鈴木先生の中にもありましたけれども、現在の所得税の源泉別な構成を考えて見ます。と、勤労所得から払われる税というものが六〇%を超えておつて、個人企業者の支払つておる分は三〇数%に過ぎないのであります。この点にアンバランスが見られるということは申上げるまでもないことであります。殊に勤労者の所得というものが源泉所得によつて殆んど漏らすところなく徴収されておるという事実を見落してはならないように思うのであります。現在勤労者の家計というものがどの程度に苦しくなつておるかということは、ここで数字的に申上げるまでもないことでありますから、所得税の改正が今度の減税にとどまらず、更に財源に余裕があるならば、基礎控除の増額その他によつて、少くとも年収十二万円、月収にして一万円程度の人たちは税金を払わないで済むような措置が講ぜられたならば幸いだと思います。法人税の増徴につきましては、私はこの案について賛成いたします。個人の税負担と法人の税負担との間に不均衡があるということは申上げるまでもないことでありまして、シヤウプ勧告によりまして、法人の税金というものが著るしく軽減され、今日まだ経済状態が安定状態にない、企業の内部の資産構成その他がまだ通常の状態に返えつていないということは、確かに一つの理由として十分考えなければならないことでありますけれども、歳入全体を考え、歳出全体を考えて、どこかで調整をして行かなければならんという場合に、今日の所得税が重いと、これを調整するという問題を取上げて見るならば、他方において法人税が二割程度の増徴が行われても止むを得ないのではないかと思います。繰返して申上げますけれども、今度の税制改正はなかなか対外的な効力、或いは将来の財政膨脹ということを考えて見ますと、そう簡単な問題ではないと思うのであります。この簡単な問題でない税制の改正をするのでありますから、その効果を減殺するようなことのないように、政府当局において十分考慮をされることを期待して止まないのであります。私の公述はこれで終ります。
  15. 野溝勝

    ○野溝勝君 福良君にちよつとお聞きして見たいのですが、先ほどあなたが冒頭において、千五百億の自然増収を財政調節に充てるという政府の方針は、これは私は認めたいと、こういう御意見でしたが……。
  16. 福良俊之

    ○公述人(福良俊之君) それは誠に結構だと思います。
  17. 野溝勝

    ○野溝勝君 ところがその千五百億の自然増収というものは多量に見ておるのですか。それはその問題は別に自然増収という現象上の数字だけを見ての上における御意見ですか。千五百億という自然増収の中には幾多意見もあるという解釈なんですか、どうなんですか。
  18. 福良俊之

    ○公述人(福良俊之君) その点については別に何も触れておりません。私ども今日まで拝見しておる資料により、殊に九月までの調査では、実際の収入状況から考えまして千五百億円程度の自然増収があると思います。
  19. 野溝勝

    ○野溝勝君 ああ、そういうわけであれを認めるというのですね。
  20. 福良俊之

    ○公述人(福良俊之君) そうです。
  21. 野溝勝

    ○野溝勝君 どうですか。いや、それじやあなたの御意見ですから……。
  22. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 日本財務職員労働組合連合会中央執行委員長齋藤甚助君にお願いいたします。
  23. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) 只今御紹介にあずかりました日本財務職員労働組合の中央執行委員長の齋藤であります。各公述人からそれぞれ専門的な、且つ多角的な御意見の開陳がありましたが、私は專ら税法を運用する職員の立場から公述を進めて見たいと思うのであります。  我々は国民の議会である国会で制定された税法に基いて、あらゆる職場における惡條件と生活的苦痛を忍びながら、ひたすら国民の公僕としてその使命の完全遂行のために専心努力いたしておるのであります。併しながら一般国民大衆は、あたかも税法は税務署が勝手な立場から考え、勝手に税金を取立てておるかのごとき錯覚に陷り、責任の一切を挙げて税務署に求め、経済的苦痛が大きければ大きいほどに非難も大きく、すべては税金の取立てによるものなりとして、税金による悲劇の元締は税務署であるとして、納税大衆の冷酷なる批判を受けておるものであります。我々は誠に心外とするのでありますが、一応当面の責任者といたしまして、この事実の誤解を解くことにあらゆる機会において税法は主権在民の下、国民の名において国会で決定したものであるとの認識を深めると共に、これが誤解のないよう、趣旨徹底に努め、良識の涵養を図つておるのであります。勿論運用面において人員不足や職場環境の不備から納税大衆に御迷惑をかけている点は反省もし、改善しなければならない事実のあることを一面において認めるところであります。併しながら先ず税に対する非難はことごとく税金が現在の国民生活にとりまして、重いということであります。即ち税が一般生活水準を上廻る限り、生活権への恐怖感は常に現象面にのみとらわれ、その真実を知ろうとせずに苦しい感情のままに木を見て森を見ざるの結果となり、責任の相手を税務署として必然的に摩擦が起ると思うのであります。従つて生活のできない苦しさから好むと好まざるとにかかわらず、姑息的に、或いは計画的に脱税ということになるのであろうと思うのであります。この事実の前に立つて税法により適法課税をするところに税法と現実の矛盾があるのであり、本問題の解決なき限り、理論的に肯定しながら釈迦の説法に終るのであります。最近における職員はなおも民主的申告納税制度の下に、いろいろの角度から、愛されよう、理解されようと専心努力をいたしておるのでありますが、根本的な相違から税に対する問題の表面化は、一方的に職員に心なき攻撃の刃が向けられておるのであります。例えば税に関する悲劇のことごとくこれを税務署に結び付けて、吸血鬼、或いは殺人投いにその責任を転嫁し、税法に対する非難は毫も顧みないのであります。我々は税法を、国民より託された公平にして正確なる計量器として、適法課税により完全なる職責を盡すことが唯一の任務として、これを念願としてたゆまざる努力を続けておるのでございます。而も遺憾ながら現在の税法においては精査をすればするほどに大体業績の増加を迫ることが支配的であり、この結果が公平なる負担として調査の実績が生ずるわけでありますが、納税者の苦痛を伴うて摩擦が起るのであります。従つて実額調査に基いて行われる税金が、悲劇を起さず、困るような不合理に至らない合理的な税法でなければならないと思うのであり、即ち生活を割つた税金であつてはならないと信ずるものであります。現在の生活というものと税法というものが一致しなければ、決して理想的な税法というものが実行されないゆえんがここにあるわけであります。更に具体的に申上げたいと思うのでございます。二十四年度における源泉の収入済額、一千四百二十九億円に対しまして、二十四年分所得に対する申告所得税の徴収決定額は千五百八十四億であつたのが、二十五年度には源泉税千二百七十五億円に対し、申告八百五十四億となつておるのであります。朝鮮動乱後好況の恩典を受けたのは、勤労者より申告納税者であるべきはずであるのに、この数字は了解に苦しむものであります。申告納税者の所得の把握が十分でなかつた事実が察せられるのであります。従つて勤労者と事業者との実質的税負担は相当不公平となつておるのでございます。勤労控除は勤労者の必要経費なりとは理論的には説明されておるのでありますが、現実の税負担に不公平がある以上、理論のみに拘泥せず、勤労控除の大幅引上げを考慮する必要があるのであります。而も又事業所得の把握が如何に困難であるかを、事実が雄弁に物語つておるのでございます。併しさればと言つて、このままこの困難を回避して安易な間接税中心主義に移行することは、大衆課税の色彩を強めるものであつて、賛成しがたいのであります。この困難を乗り越えて所得税の的確な運営を期する以外に考えられないのであります。併しながらこれが解決のためには、職員の質と量の拡充が絶対に必要であることが強調されるのであります。現在でさえも事務量に対する人員の不足は絶えず追わるる仕事に超過勤務と労働強化が強要せられ、且つアルバイトを使用して今日辛うじて切拔けておるのが備わりない職場の現状でございます。このような職場において労働過重の結果、最近著しく職員の体位の低下を示し、なかんずく結核患者の続出を見ておるのであります。かかる状況にあつて現在の所得調査はいま一息のところで中止されている感が深いのであります。十分時間と手数をかけるならば、所得の把握が急速に向上することは事実の立証するところであります。更に申告所得税と勤労所得税の完全調査に基いて、申告所得税における増収により勤労所得の生活を割つた不当税率に対する税減も考えられるのでございます。この点から考えて見ても、人員の不足による職場の現況は、今次税務の行政整理は職場の実体を等閑視した不可解の極みであります。一面新聞紙上における一部の汚職者は一般の顰蹙を受けておるのでありますが、我々としても又深く遺憾とするところであります。併しながら極く少数であることの事実を御理解を特にお願いをしたいと思うのであります。なおこれが解決、改善のために職員の素質の向上が叫ばれ、待遇の改善又一層緊要事であろうと存ずるのであります。税務ほど末端職員一人々々の良識と判断力に負うているものはほかに類例がないと申しても忌悼のないところと存じております。職員の量及び質の向上が行われれば、所得の把握率を増大し、更に減税の途が開かれることは必至であります。これによつて零細業者を無資格に追いやり、税務行政の摩擦を回避することができるのであります。これこそ積極的本当の減税であると信ずるのであります。もとより減税に対しましては全く賛成でありますが、ただこれに対し今回の減税は諸物価の高騰を相殺するための消極的な色彩が強いのであります。今後といたしましては基礎控除及び扶養控除は実態生計費を加味して考えて頂かなければならないと思うのでございます。退職所得につきましては、来年退職者との均衡を考え、十分の五程度の控除が適当と考えます。なお退職所得が明年は変動所得から外されるから、それを機会に変動所得選択のごとき制度を廃止して、大衆に親しみやすい税制とすることが必要であろうと存じます。法人税法の一部改正及び財産税の一部改正につきましては賛成であります。  次に税法の運営に当つて常に痛感されることは、人員の不足であります。今次の所得の改正にいたしましても、基礎控除扶養控除等によつて簡素化される人員の縮小ということが一面考えられるようでありますが、事業所得の場合は一応調査することになつておりますので、事務量に対しましては大した変化もないのであり、この考え方に対しましては直ちに承服はできないのであります。従つて前述申しましたように、人員の、現在人員確保は是非とも考えて頂きたいのでございます。税法の改正にも勝る問題でありますから、よろしく考えて頂きたいと重ねてお願いするものであります。殊に最近における税務職員に対する理解は漸く軌道に乗りつつありますとき、一層日本繁栄のために強調するものであります。更に税法改正にも勝る密接不可分関係にあるところの徴税費の問題を申上げさして頂きたいと思います。超過勤務の命令の下にやつておりながらも、その債権は予算の不足として履行されないばかりか、仕事の量は依然超勤の継続を絶たない職場の状況にあることであります。旅費につきましても予算に制約されておるということで、ときには義務の出張のごとき裏付のない出張をすることさえ決して少くないのでございます。間税の密造酒検挙費用のごときは、トラック借料、損料等の費用に大部分を費消し、実際の行動に当つての食糧費の不足は、行動に相当制約を受けておるのであります。実は密造酒検挙の行動は、決行日の漏洩を防止するため雨天を問わず決行するものであり、具つ深夜準備して早朝行うものでございます。又検挙直後における物件の引揚げ等は重労働にも等しいものでありまして、従つて食糧費は絶対にこの際考えられなければならないものでございます。総費用八千五百万円中食糧費は五%に該当するのでありますが、実際は密造酒検挙連絡協議会の打合会等に使用されることが多く、実際使用される食糧費としての活用は到底その意を盡し得ないのでございます。従つて実行に当つて障害となつておるものでございます。  滞納税に至りましても、二十五年三月三十一日までの調査に係るところの二十六年十月二十五日の発表によりますれば、九百四十五億六千一百万円に対しまして、その件数は六百十三万五千件の数字を示し、現在を通計するならば、優に一千億円を超えると思われるのであります。このような事情の中にあつて徴税の増額に対して特段の御配意をお願いしたいのであります。公平なる負担と適法なる課税には現在の税務行政が充実し、より徴税機構の拡充強化に期待されるものであり、且つ納税者の協力を得られない限り完全な見通しもできないのでございます。我我は更に進んで一般に考えられているところの税務簿記なるものも税の対象として作られるものではなく、健全なる営業には健全なる経理を必要とする観点に立つて簿記を求め、税金のため営業が成立たない営業に対しては、もつと真剣に積極的に打開策を講ずるように啓蒙し、健全なる企業向上によき指導的な立場になるくらいに密接なることが最も望ましいのではなかろうかと考えるのであります。而して職員が働けば働くほどに納税者からも喜ばれるようになることこそが、真の日本の税務行政の民主化であると信ずるのであります。かように申上げましてこの席を拝借して甚だ恐縮でございましたけれども以上を以ちまして公述に代える次第であります。
  24. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今の御意見で非常に私たちが常に疑問に思つている点を直截に述べられたので、重ねて伺いたいのですが、二十五年度の只今の源泉徴収分と申告徴収分との開きがひどくなつて来ている。二十六年度は更に顕著なんですね。源泉徴収分は御承知のように五百七十九億の自然増収、それから申告納税分は五十三億の自然減ですね、逆に。この現象は主税局あたりから実は一応理由は聞いたのですが、あなたが御覧になつてどういうふうに御説明されるか。余りにひど過ぎるのですね。大体先ほどのお話のように一応一時景気がよくなつた。そのことに一番均霑したのは法人が一番大きいと思うのですが、その次はやはり業者ですね。そう思うのです。そちらのほうが逆に自然減になつていて、最初の見積りが大きいということも理由でしようけれども、自然減になつて、片方が自然増収、全体の金額の面ですが、それも申告納税のほうが自然増収が少いというならばまだいいのです。徴税予算よりも減つて来ている。余りここが開きが著し過ぎるので、主税局あたりの説明を聞きましてもどうも納得が行かないのです。それで第一線に出て働かれているあなたの御意見も伺つて見たいと思うのですが……。
  25. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) お答えいたします。御意見御尤もと存じ、且つ我々もその問題に対して究明しようと職場から考えている問題でございますが、一応見積りも大きいのではないかというような感も持たれるのではありますが、併し一歩退いて考えて見ますれば、やはり調査が不徹底ではなかろうかというような感があるのでございます。即ち勤労所得者の場合ですと安易に捕捉ができますが、事業所得につきましては、現在の経済の安定した基盤がないだけに調査が非常に困難である。そのようなことが今日のような数字を見ているのではなかろうか。かように思いまして、公述といたしましても……非常に源泉と所得の開きは相当ある、これをむしろ所得のほうをよく調査するならば、相当の税収の見込が考えられるのではないか。して見るならば、現在の減税という消極的な考えよりも、更に税収の増徴せられた面を減税に振向けられたならば積極的な減税ではなかろうか、かように考えておりまして、現在の我々から考えるならば、やはりまだ捕捉し得ないものがあるのではないか、かように考えているものでございます。
  26. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 主税局あたりではこの業者所得の捕捉率を一〇%、引上げたと言つておりますが、実際の業者所得の捕捉率ですね、どのくらい見ておられますか。
  27. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) お答えいたします。遺憾ながら計数的な数字の持合せがないので、抽象的なることを遺憾に思つているのでありますが、その数字は目下のところ持合せございませんので御了承願います。
  28. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 実は今度の税制の改正で、これはもう誰でも知つておる通り、勤労者、給與所得者と、そうでない人との税の不均衡が著しくなつておるのです。その均衡を図るために我々はどうしても勤労控除を殖やせと、少くとも元二割五分であつたからそこまで減らせということを主張しておるのですが、主税局のほうではそういうことよりも、むしろ業者所得とかその他の捕捉をきちんとして、そうして勤労所得者と同じように、片つ方の源泉所得者と同じように捕捉率を高めるのだ。業者所得なり法人なり……。そういうことによつて均衡をとると、こういうことを育つておるのですね。実際問題としてそういうことによつて均衡がとれるものであるかどうか。我々はそう言つても実際問題として困難であるから、それは理想としてはいいわけです。併し実際困難だからどうしても勤労控除の引上げということをここでやらなければ、余りに不均衡がひど過ぎると思うが、御専門の立場からどう思いますか。
  29. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) 私も勤労者の一人でございまして、誠にその通りに痛切に考えておるのであります。従つて先の百よりも今の五十のほうがいいというほど切実な時代におきましては、勤労所得税の控除が一日も早からんことを望むのではございまするが、御質問の趣旨のその捕捉の時期等の問題でございまするが、私たちが先ほど申上げましたように先ずその事実の相殺、バランスを取るということの理想がいつのときかということになるだけでありますが、現在の行政整理において一万二百八十名が整理になるわけでありますが、若しも現在のような状態ですらできないときに、行政整理がこのままで敢行せられますれば、我々としては当然この問題はお題目になろうということが懸念せられるわけでございます。従つて勤労控除の問題につきましては、やはり我々も可能なる限りはこれを引上げたいとこう考えておるものでございます。
  30. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 徴税費は何パーセントぐらいになつておりますか。
  31. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) 二%ぐらいではなかつたかと思います。
  32. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 前に川上君が国会に出ておる頃これは随分問題になりまして、大分これは率が引上つておるのです。三%或いはそれより少し大きくなつておると思います。三・何パーセントになつたことがあるのですが、最近は又下つておるわけですか。
  33. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) 数字的にはちよつと持つて参りませんですが、実は昨日漸く入手しましたので調べて参るべきでございましたが、旅費等につきましても相当に節減をされております。超勤は大体同じでありますが、今度の徴税費の問題では、やはり前年単位から見れば下つておるように考えておりますです。
  34. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 先ほどのお話の一万二百八十名、これは税務職員の整理が問題になつておるのですか。
  35. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) その一万二百八十名でございますが、その前は六万一千二百名でございます。今度一万二百八十名が整理の対象になつておるわけで、勿論現在定員法が決定いたしておりませんので、只今公述申上げましたように、是非ともこれを確保しまして、この事実の不合理を打開して、勤労所得税の基礎控除を引上げることに持つて行きたいと考えておるのでありますが……。一応考え方はそのようであります。
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この一万二百八十名というのはどういうような人が、これは予想ですが、整理されようとしておるのですか。整理の対象になるわけですか。
  37. 齋藤甚助

    ○公述人(齋藤甚助君) これは私たちの考え方から申しますればもう絶対にあつてはならないと考えておるわけですが、一応官側といたしましては、勿論これは私がかようなことを申上げるということは、行政整理を認めたという前提に立つのではないか、こういう批判がされますので、極力我々はこの問題は避けたいと思うのでありますが、ただ慣例によりますれば汚職関係とか或いは非能率者であるというような考え方に立つておるようでございます。併しこれも、汚職関係と申しましても、勿論新聞紙上には厖大な数字、非常に批判、擯斥されるような形態もございますが、極めて些細な、お茶を飲み、或いはたばこをもらつたというよろな程度のものもございますので、このような者をも我々は庇うという考えではないのでありますが、少くとも税務官吏を一人前として養成するのには五年有余は要すると、このような観点に鑑みまして、以前は悪いが現在はよいというならば、現在の正しさから出発して、この人間を更に我々の職場に置きたい、税法の合理化を図つて行きたいと、こういうふうに考えておるので、一応そのような考え方で官側では考えておるのでございます。
  38. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) それでは公聽会をこれで以て終ります。    午後零時三十一分散会