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1949-04-19 第5回国会 参議院 文部委員会文化小委員会 1号 公式Web版

  1. 昭和二十四年四月十九日(火曜日)    午後三時二十九分開会   ――――――――――――― 昭和二十四年二月十二日(土曜日)文 部委員長において左の通り小委員を選 定した。            三島 通陽君            中野 重治君            河崎 ナツ君            松野 喜内君            大隈 信幸君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   ――――――――――――― 二月十二日(土曜日)正副小委員長互 選の結果左の通り決定した。    委員長     三島 通陽君    副委員長    中野 重治君   ――――――――――――― 三月三十一日(木曜日)小委員河崎ナ ツ君辞任した。 四月四日(月曜日)小委員中野重治君 辞任した。 四月七日(木曜日)文部委員長におい て、梅津錦一君、藤田芳雄君を小委員 に補欠選定した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○國保及び重要美術品等の保存に関す る諸法律の改正点に関する件   ―――――――――――――
  2. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) それではこれから小委員会を開きます。委員の諸君の非常な御勉強によりまして、一週間のうちに二回も三回も委員会を重ねまして、非常に長い間この國宝の保存法改正案についていろいろ御調査、御審議を頂きまして、段々それが文化財保存法というように変つて参つたのでございますが、今日はここに速記を付けることができましたので、尚、委員の諸君の十分な御意見をお出し頂きたいと思います。そこで專門員室におきまして、第二次試案というのが大体でき上りましたので、それにつきまして御審議を頂くことにいたします。先ず最初に專門員よりこの試案につきましての簡單な御説明を置きたいと思います。
  3. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) ではちよつと御説明申上げます。只今までのところにおきまして、文化財保存法という仮称のこの法律案につきましては、大体第一次案と第二次案というところの過程まで進んでおるわけであります。それで只今お手許に配付しましたこの要綱は、大体第二次案の要綱でございますから、この第二次案についての御説明をこの要綱によつて申上げたいと思つております。その前にもう一枚のプリントの文化財保存法案大綱の方からちよつと申上げますと、大体これは六章に分けまして、その第一章におきましては総則というふうな規定にしまして、そこで法律の目的、この目的のところへ從來の國宝保存法とは違つて、もつと積極的な文化國家の建設というふうな理念のために、こういう文化財の保存というふうな処置を講ずるといつたふうな積極的な意図をその目的のところに持つて來たいと思つているわけであります。その次に、文化財の内容でございますが、これが非常に大きな問題でございまして、從來の國宝保存法におきましては、大体建築物その他有体物だけが中心になつておるわけでございます。ところが文化財の保存の場合におきまして、我々は日本の文化財と申しますと、單に有体物に限ることはできないのでございまして、例えば古い演劇とか、それから音樂とか、こういつたふうな無形の文化財もやはりこの内容としまして保存の方法を講じて行きたいというふうに考えまして、その文化財の内容を非常に廣くして行きたいと思つておるわけであります。それが同時にこの新法案の名称が、從來の國宝保存法から文化財保存法の方に変つて來た一つの大きな意味であります。  それからその次は、そういう文化財の保存につきましては、政府が如何なる仕事をするかといつたふうな、政府の所掌事務の内容というものをそこに規定して行きたい。殊にその所掌事務としましては、單に保存だけではなくして、更にその利用、即ち公開とかそれから公けに演ずるとかいつたふうな、文化的な國民的教養の向上のための利用的な措置もその所掌事務の中に入れて行きたいというふうに考えておるわけであります。それからその次に更に文化財保存に対して國民の協力すべきところの義務という、これはいわば道徳的な一つの宣言でございますけれども、單に政府だけがそういう文化財の保存に努めるだけでは、文化國家の建設は非常に困難であつて、國民がそれに協力して行かなければいけないといつたふうな一つの道徳的な意味であつても、一つの義務をそこに規定して行きたいと、こういうふうなことを考えたわけであります。  その次に、第二章はこういうふうな文化保存の事務というものを行い、そういう文化行政をする機関は一体どうするかというところの問題でございまして、これを一つの統一的な簡素な、而も民主的な基礎を持つた有力な一つの行政的な機関を作りたい。そのためにはやはり現在のいわゆる委員会制度というものを採用しまして、この委員会というところの合議制行政機関によつて強力な文化行政というものを促進して行きたい。こういう点から文化財保存委員会というところの新行政機構をそこに考えたわけでございます。この委員会行政になりますと、これは行政組織法によりますと、大体これは外局ということにして構成されるわけでございます。その文化財保存委員会は、大体五人か或いは七人の非常に廣いところの文化的な識見を有するところに人からこれを構成する。而もそれは大体國会の同意を得て、そうして所轄の主務大臣がその任命をするといつたふうに、國民を代表するところの國会の同意ということによつて、民主的な基礎をそこに基礎付けて行くというふうに考えたわけでございます。そういうふうな委員会の下におきまして、現実に事務を行うところのその最高の職員としまして事務総長を置きまして、その事務総長の下にいわば事務局に相当するところの一つの部局を作りまして、その部局は大体これは総務部、それから保存部といつたふうな構成を取つて行つたら如何かと思つております。更にこの文化財保存委員会には研究所文化財研究所というものを付けまして、それに対する学問的な基礎付けを與えて行く。更に現在の國立博物館というものをこの下におきまして、密接にその保存委員会と関係を付けて、そうして一般國民の文化的な教養の向上に資するようにしたいといつたふうに、考えたわけでございます。大体この文化財保存の行政機構としては、非常に大ざつぱでございますけれども、まあそういうふうな機構を考えたわけでございます。  次に、第三章といたしまして、國宝の保存に関する規定でございます。これは大体現行法の國宝保存法を踏襲しておりますけれども、併しそれに対しては更にいろいろな從來なかつた規定を加え、それから從來の規定に対するところのいろいろな改正を施すといつたふうにして、この第三章は國宝保存に対して万全を期して行きたいというふうに考えている次第でございます。この第三章の内容は、又あとからこの要綱の方で以てもう少し詳しく申上げたいと思います。  その次、第四章といたしまして、大体國宝はこれは有体物でございますけれども、第四章といたしまして、この委員会の認定した重要な無形の文化財といたしまして、例えば古いところの演劇とか、それから音樂、それから技芸とか、技術といつたふうな、こういうものを一つこの委員会の力で以てこれを保存して行きたい。殊にこれらのものの中には、政府がこれを財政的に支持しなければ衰滅に瀕するというようなものも随分ございますから、そういうものに対して十分な保護を加えて行きたい。その代りにその保護を加えた無形の文化財に対しては、これを公けに公開するところの機会を與えることによつて、日本の國民の文化的な向上を図つて行きたい、その公開の費用はこれを政府が負担することによつて、同時に又その文化財に保存に貢献して行きたい、こういうふうな大体あらましの規定を加えて行きたいと思うのであります。  その次に、第五章といたしましては、これはやはり或る程度の罰則をそこにおきまして、そうしてこの行政的な措置の保証を付けて行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。その次、最後に第六章には附則といたしまして、この法律を作つた場合においては、從來の國宝保存法によつて指定された國宝、それから重要美術品等保存に関する法律によつて認定された重要美術品は如何になるかということについて、暫定的な措置をそこに規定して行きたいというふうに考えているわけでございます。大体法律の大綱はそういうふうな六章に分けることによつて作つて行くようなことになつているわけであります。  その次に、今度は要綱の方に参りまして、要綱の中で只今説明いたしましたことと重複することは、これは省いて参りますと、大体要綱の一から七までは只今の説明で以て一應終つているわけでございます。それで、要綱の八から二十二までが第三章の國宝保存に関する規定としてここに説明を申上げるわけでございます。その第八の問題でございますけれども、國法の指定の問題でございますが、これは現在の國宝は非常に夥しいところの数に上つております。それに更に重要美術品等を加えますと、一万五千点以上に達するといつたわけでございまして、そこに時代の変革、それから学術的な評價の変遷、それから日本の財政的状態というようなことを睨み合せますと、相当これは再整理するところの必要があるのじやないかと考えられます。そこで一應從來の國宝保存法の規定は一應切替えて参りますけれども、そこには相当再整理するところの必要があり、それから又、相当漏れているところの國宝的なものもあると思いますから、ここに又指定の制度によりまして、新らしいところの指定を進めて行く、その代りに要綱の第十五で以て、非常に價値の変化したもの、それからそれ程でもないものは指定を解除して行く、この二つの方法によつて、現在の國宝と重要美術の整理を進めて行きたいというふうに考えているわけでございます。その次に要綱の第九は、國宝の等級を書いてございますが、現在の國宝保存法におきましては、等級というものはないわけでございまして、國宝は一本槍でございます。ところが実際におきましては、七千点以上の國宝を指定しながら、政府は財政的な現在の力から見まして、單に指定するだけで、全部の面倒を見るわけには実際行かないのでございます。そこで、苟くも指定する以上は相当な面倒を見て行く、こういうふうな点からいたしますと、やはり非常に大事だけれども、併しながら政府が責任を持つというものは全部に亘ることはちよつとむづかしいと思いますから、そこで國宝につきまして、大体二階級ぐらい設けまして、これは一級品と申しますか、或いは二級品と申しますか、或いはこの我々の試案におきましては特別國宝とそれから一般國宝、こういうふうな何か等級を付けまして、その特別國宝に対しては、これは全幅の支持をして行く、責任を持つというふうなことをやつて行つたら如何かというふうに考えているわけであります。その次の十の、國宝の國外搬出の制限でございますが、これは現在とそんなに変ることはないと思いますけれども、ただどういう場合に制限を付けるがというふうな点につきましては、やはり國際的な文化の交流といつたような一つの例示を設けまして、日本の文化國家が同時に世界文化の進展に貢献するといつたような場合においては、やはりこれは單なる鎖國的な状態を維持しないで、できるだけいい國宝を見せてやる、或いは國外に持つて行くというような例外も認めるというふうに考えておるわけであります。その次に十一の國宝の現状変更の制限でありますが、これは大体現在の國宝保存法にもこの規定はあります。ただこの十一は第二十の管理方法の指定と結び付けて一つの意味あるところの規定にして行きたい。即ちその現状の変更ということの制限だけでなくて、更に現状の変更はしないけれども、併し非常に危險な使い方をしておるといつたような場合においては制限して行きたいというようなことが二十の管理方法の指定というようなことで、そこに関係が付いて行くわけであります。第十二は、國宝の管理者でありますが、これは現在の國宝保存法においても、殊に宗教法人の管理者については一應は規定はございます。併しながらその宗教法人の管理者がなくなつた場合、それから不適当な管理者である場合等、例えば住職のおらないようなお寺とか、疎開者がそのお寺に入つておつて本当の住職がおらない。而も実際は一應管理しておる、こういつた場合には何か管理者について明確な規定を作るところの必要があるのじやなかろうか、この十二もやはり二十と関連付けまして、その場合においてはやはり新らしい管理者の指定というような管理方法の指定を與えることによつて、國宝の保存の万全を期したいというふうに考えておるわけであります。次の第十三でありますが、これは現在の國宝保存法にもその規定はあります。それから第十四でありますが、これがいわば現在の要綱十三の現行國宝保存法の出陳、博物館等に出陳するというような公開義務をもう少し廣げまして、博物館に持つて來ないでも一定の場所において、自分の持つておる場所、佛像のある場所といつたようなところで、一定の期間それを公開することによつて、國民の文化的な教養を高めて行きたいといつたような点から公開の義務を規定する、併しながらこれはやはり所有権の問題もありますし、いろいろな問題もありますから、無制限ということはできませんから、一般の國宝の所有者に対しては公開を勧告することができる。併しながらその持つておる國宝について修理とか保存について國尅から苟くも補助を受けた場合だけは公開の義務を與えるというような規定を置きまして、所有権の侵害というような虞れから一應これを除きたい。そうして公開義務とマツチさして行きたいというふうに考えておるわけであります。十五の指定解除の問題は先程申上げました。十六の國宝の買上の問題、これも現在は規定がないのでありまして、実際においては例えば宗教法人は現在非常に財政的な危機に立つておるわけであります。その場合にその宗教法人の持つておるところの國宝が一般の流通界にそれが入つて行きますと、殆んどそれは回復することができないというようなことが多いわけでありますから、殊に特別國宝については、これはどうしても或る場合においては政府は買つてやるということまでしないと、この保存が困難じやないか。併しながら強制的な買上ということは、現在の自由経済においてはちよつと困難と思いますから、そこで國宝とした場合には一應國庫に対して買上げるところの機会を提供しなければならないというふうにして、そこにやはり買上と所有権の問題との調和を計るというふうにしたら如何と思つておるわけです。その次に第十七の國宝の寄託又は管理でございますが、これも現在は規定がございませんので、ここういうふうな非常に物騒な世界になりますと國宝の管理もなかなかこれは大変でございますから、この委員会に対して無料で以てこの寄託を請求することができる。それから又その保存維持が非常に危險な場合においては、その寄託を勧告することができるといつたような規定を置いたら如何かと思つたわけでございます。次に第十八は、國宝の修理維持の命令勧告でございますが、これも現在は全然こういう規定はございませんので、殊に特別國宝の場合においては是非とも修理させたいといつたような場合におきましても、向うから申出がない場合に如何ともし難いというふうなわけでございますから、そこで國宝の修理、維持を怠たつて國宝が非常に危ないというような場合には、例外的に委員会は維持修理の命令を発することができる。その代り命令を出して以上は、その費用は補助してやるといつたふうな規定を作つたら如何かと思つたわけでございます。その場合におきましては、十九にありますように補助を與えるというふうにして、命令と補助とをマッチして行くというふうに考えたわけでございます。二十は先程御説明申上げましたが、その次の二十一は國宝の環境保全の問題でございますが、これも現在の國宝保存に規定はないのでございまして、日本のような木造の建築であつて而も非常に貴重な國宝の廻りにはいろいろな危險な建物ができたり、それからその環境においてこそ初めて價値のあるような國宝と非常に不似合な建築物が周囲にあつて、それによつとその國宝の價値が損ぜられるといつたふうな場合においては、やはりこれは環境の方からも手を付けて行かなければいけないんだというわけで、一定の地域を限つて、必要な場合には委員会は國宝の環境保全の措置即ち工事の差止めとか、或いは一定の建物の建築の禁止といつたような措置置を講じたら如何かと思つたわけでございます。次の第二十二は國宝の減免税でございますが、國宝が國宝に指定されながら、一般の課税におきましては何らの現在は恩典がないわけでございまして、從つて國宝に指定された瞬間に非常に高いところの評價がそこに加わつて來るというようなことが、如何に國宝の保存に対して惡いところの影響を與えておるかということは周知の事実でございますから、何とかして例えばせめて相続税についての減免の措置を講じて行きたい。そういうような措置を講じ得るところの法的な頭だけをここに一つ出して行きたいということが、第二十二の國宝の減免税の問題でございます。二十三の無形の文化財は先程御説明いたしましたし、二十四も二十五も大体御説明いたしました。大体こういうふうな大綱と要綱ということで、この文化財保存法ということを考えて見たわけでございます。
  4. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) ちよつと速記を止めて。    〔「速記中止〕〕
  5. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 速記を始めて。それでは第一章から逐章にわたつて御意見、御質問を願うことにいたします。先ず第一章から願います。
  6. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 第一章に入る前に、私は文化財保存法という名前についてお伺いしたいと思うのであります。專門員の方々のいろいろ御研究の結果だと思うのでありますが、國宝保存法が文化財保存法に変つたのでありますが、保存という字について私はどうかなという考え方をしておるのであります。この法律の目的が、利用というようなことも大分今度含まれて來ておるのでありますから、保存ということになるというと、單に在存そのものだけをじつとして置くというような氣持が強く消極的に私には響いて來ていけないのですが、何かもう少し積極的な意味を持つような名前はないだろうか。これは山本先生などお考え下されば分ると思うのでありますけれども、私の簡單な考え方から行けば、保存というよりは保全の方がどうかなというような……「全」の方が利用の面までも使命を全うし得る、保存を全うし得るというような意味も含まるのじやないか。こんな簡單なことですが、ちよつと國宝という字は文化財に変りましたが、保存ということについて何か御研究になつたらどうか。又これらのことについて衆議院の專門の方々などもお話合になつたらどうかということも考える次第でございます。
  7. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 只今鈴木委員から尤もなお話がございましたけれども、実は我々は第一條のところで「保存し、又は利用する」というふうに利用の文句が入つたために、どうも保存だけでは含み切れないものがあると思いまして、保護法も考えたわけでございます。それから只今の保全ということも考えたのです。ところが保全だけでも、果して利用がそこに入るかどうかということも、ちよつと疑問があるように思いましたものですから、現在の國宝保存法のプレザーヴエーシヨンということをそのまま一應持つて來たわけです。更にもつと進めまして、もう少し積極的な利用の面を出したら如何かと思つたのでございますけれども、これは関係筋におきましても、文化の統制的なもの、又指導的なものということは、文化の本質から言つて余り好まれないのじやないかというようなことも從來の関係からも予測されますし、一應保存することによつて、その次の段階が当然生まれて來るのじやないかというようなことから、こういう名前を付けたわけであります。
  8. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 外にございませんければ、第一章に入ります。
  9. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は第二條の保存する対象と言いますか、そういうような点についてちよつと伺いたいのでありますが、これによりますと、第二條の第一項に、「古くから國民に伝えられている建物、絵画、彫刻、工芸品、」云々とあるのでありますが、こういうふうに國民が昔から伝えて來たものだけに限定するということになりますと、この前も問題が起つたのではなかつたかと思つたのですが、明治以後あたり、相当これは外國から日本に輸入したような美術品があると思います。そうして、その中では世界的な文化材という面から見ても非常に重要なものがある。そういうようなものの処理をどういうふうにするか、それを全然これだけの限定の中から除外して、そうしてそれを國宝に指定しない、そういうことによつて、日本として日本國民が所有している優秀な文化材というものが散逸していますとか、保存がうまく行かないというような実情が起るんじやないか、こういうふうに思うのですが、これをどういうふうに考えるか、御意見を承わりたいと思います。
  10. 岩村忍

    ○専門員(岩村忍君) この点について、これは今岩間委員の御疑念は非常にむずかしい問題でございまして、実は具体的に今岩間委員のお話になりましたことを申上げますと、例えばこういう例があるのでございます。住友の住屋清慮に見える中國の青鋼器のコレクシヨンがあるのですが、これなどはおつしやるように大体明治の中期以後から大正に亘つて非常に貴重なものが入つて参りまして、このうちには相当重要美術などにも指定されているものもある筈でございますし、それから極く近い例を申しますと、二十年程前に宋版通典という日本、中國を通じて、一つは宮内省の所藏であり、一つは天理教の方に入つたものがあるが、北宋版というものからいつても貴重なもので、中國から明治以後に渡來したのであります。こういうものを一体どうするか、具体問題としてはどうなるだろうと私は思うのですが、この点については、実は「古くから國民の伝えられている」というのでありますから、國民に伝えられているとしましたら、三年でも五年でも差支ないと思いますけれども、それは余りに詭弁を弄するようになりますので、実はこの点に関して、非常に苦慮いたしまして、これを含むように適当な文句はないかと考えているのでございますが、精神から申しましたら、私はこうだと信ずるのであります。それは、日本にあります貴重な文化財を保護する、非常に貴重なものを保護する、それは大体日本の國民の間に古くから伝えられて、日本の國民の生活なり精神なりと溶け込んでいるもので、恐らく殆んど大多数がそうじやないかと思うのでありますが、それに対して今申しましたような少数の例外があると存じますから、そういうのはむしろ例外として「國民に伝えられている」という中に、そういう例外的なものも含めて頂くという解釈をとつて頂くよりしようがないのじやないかと実は考えておるのであります。甚だ不完全なお答えでございますけれども……
  11. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうするというと、やはりそういうような、さつき挙げられたようなもの、その外にもまだ沢山あると思います。まあ彫刻とか、油絵なんかでも、この前の議題にも上つたのでありますが、沢ひあると思います。そういうものを含めて解釈したいと、こういうような御意見なんですね。それを併し字句の解釈によつて保つて行きたいというような御意見のように思つたんです。そういう意味でございますか。
  12. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) それは非常な例外でございますから、例えば西洋のものなどは、実は國宝のようなものに指定するだれの價値あるものが、入つているかどうかということは、專門家の間にもこれは非常に疑問がある。むしろ少いより、ないんじやないかという考が多いんでございますから、私先程申上げました具体的な例に関する限りでは、私が今考えておりますのは、この解釈で行きたい。併し適当な、よりいい言葉、ワーデイングが発見されますれば、ここを変えて行きたいと思うのであります。今までのところ、ちよつと我々は考え付かないということを申上げたわけであります。
  13. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) それに関連することをちよつと御説明申上げます。実はもう一つの問題がありますのは、第一條の「文化的遺産」というところでございまして、「文化的遺産」というような言葉を使いますと、日本國民が作つた文化的所産ということに限定されはしないか、そうしますと、今度第二條の「國民に伝えられている」というふうなことと、どういう関係になるかということは、これは実は第一條、第二條は、もつと述べるところの必要がございますが、まだ自信がないのでございます。それは併し日本國民の作つたものでなくつても、明治以後に入つた西洋文化において貴重なものも、できるだけ日本の國がその保全の措置を講ずるということが、法律の目的ならば、やはりそれを入れて行くところの必要がございますし、それからこの文化財行存法が、日本國民の作つた文化的な遺産だけが中心であるといたしますと、明治以後の外國渡來の貴重なものは、これはなくなつても一應まあ仕方がないじやないかというふうな、非常な大きな見解の相違がそこに現われて來るわけでございます。
  14. 岩間正男

    ○岩間正男君 專門員の方からそういうふうな決定的な意見が出されないことは当然だと思うのでございますが、この問題について私の意見を申述べますと、やはり現在日本の所有されているそういうような貴重な文化財を、ここでやはり何かこれを國宝に指定して、どこまでも適当な保存をするということが非常に重要だと思うので、やはりそういうものを含めるように、できたら字句改正もして置いた方がいいんじやないかと考えております。これは私の意見です。
  15. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 今岩間委員からの御発言でございますが、この点外の小委員の諸君の御意見を伺いたいと思うのでありますが、そういう外國から來たもので、貴重なる文化財をどう取扱うかということについて御意見がございましたら、この際お述べを願いたいと思います。
  16. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 今專門員がおつしやつた一條の「國民の頭する文化的遺産」というのは、まあ限定の虞れがある、外國から來たものを除けものにするような虞れがあると心配されておつたんですが、私はそれを國民の有する文化、有するという言葉があれば、それはそう心配ないのじやないかというふうにも、國民の作つたものだというふうには限定できないと思うのです。第二條の方の「古くから」というのは、これは確かに問題だと思うのですけれども、これも一つの意見としてはやはりここにも國民の有する文化的というふうな言葉に重複しちやつても、これは差支えないじやないかというふうに思います。
  17. 岩間正男

    ○岩間正男君 字句修正の意見ですね。
  18. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 古くから國民に伝えられておるというのは、やはりここも國民の有するというふうにしてしまえばいいと思います。
  19. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  20. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 速記を始めて。
  21. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 一條と二條で謳つてあるのをお聽きしていますと、國宝を限定したような御説明ばかりのようでありますけれども、國宝ばかりでなく、重要美術やその他のものも含まれておるのじやないですか。
  22. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) 勿論國宝及び現在の國宝に指定されておるもの、現在の重要美術品に指定されておるもの、或いは指定、認定されていませんでも、それが当然將來指定或いは認定されるもの、或いはその他の古い演劇とか、音樂とかいうもの、こういうふうなものは勿論入つておるのです。
  23. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 重要美術品も入るのですね。
  24. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) 重要美術品も入るのです。たた便宜上そう申したのです。
  25. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そうすると今の論点に大分違いがあるのじやないかと思います。
  26. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 只今のようなものの中に國宝も入つておりますから、そこで國宝の指定の場合に考慮して置かないと困るというだけの問題でございまして、國宝指定の場合の考慮なんでございます。これは全部國宝というわけではなく、その中に國宝が重要な文化財を占めるから、その考慮をして置かないと指定がむずかしいし、或いは又現在の國宝が直ぐ指定解除しなければならないのじやないか、こういう心配があるから、そう指定したのです。
  27. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 一條、二條は國宝のことのみ言つておるのではなく、國宝を指定するというために一條、二條の文章を限定するということは全体的な間違いじやないですか。一條、二條のところで、全部を引括めてその中に入るような表現でなく、國宝のことで限定するならば、國宝の指定のところで限定すべきだと私は考えます。更に重要美術品などがこの保存法の中に入つていない。保存法の目的の中に含まれまい或いは文化財の保存事務の中に含まれないということになるのです。例えば明治以後入りましたもので、重要美術品に現に指定されておるものもあるのです。そうしたら、それがここで今古くから國民に伝えられておるというような限定が起るとすると、それは今度は入れられなくなることもある。むしろ國宝はそうじやないので、そういうものとして含まれるようにすれば、さつき鈴木君の方からあつた、有するというのは大変面白いと思うのですが、ああしたような形を含むように考えた方がいいと思う。國宝の指定は別だと思う。今のように限定さるべきだと思います。
  28. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 只今藤田委員のおつしやいましたことは確かにあれでございますけれども、その点もう一度研究させて頂きたいと思います。
  29. 河崎ナツ

    ○委員外委員(河崎ナツ君) 今藤田さんのおつしやつたような考え方をすべきだと思います。先程例にお挙げになりました近頃になつて他から入れられたものを國宝にするのはおかしいという関係筋の話ということですが、國宝というものを前提に置いた考が、おかしいのですが、この文化的遺産として保存するか、國宝として保存するか、重要美術として保存するか、或いはおいおい大事にして、保存ということに取入れようということに重きを置いて第一條、第二條を考えて行くとなると、岩間委員の御質問にもかかつておりますが、近代的のもの、例えば支那のもので大原のコレクシヨンなどには可なりいいものがございます。この文化的遺産の保存というものを廣く解釈することにおきまして、すぐその問題はそういうものは取入れないというふうに初めから考えて行くということは、どうも腑に落ちない点がございますが、如何がでございますか。
  30. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) 実はこの問題は可なり技術的の問題が入つております。実は我々の一つの考としては、そういうものは、これによつて設立される國宝文化財保存委員会の良識に当然お任せすべきでありまして、範囲が非常に廣くなるのではないかと考えております。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで勿論指定について、その内容的に檢討するには、無論委員会の見識になると思いますが、文化的遺産をどういうような対象でやるか、この法律に明確にされておらないと混乱を起すと思いますが……
  32. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 お伺いしたいのですが、ちよつと第三章に飛ぶように思われますが、そうでなく、私の質問は第一章に関係するのですが、藤田委員もああいうことをおつしやつたが、國宝という言葉を使わなければいけないのですか、何かそこのことをお考になつたことがありますか。
  33. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 実は國宝という言葉自体も非常に檢討を要する言葉ではないかと思います。各方面からいろいろな御注意も頂いたのでございますけれども、それに代る言葉としてどういうものがあるかと申しますと、例えば重要文化財、重要文化遺産とかいうような言葉しかございません。もう一つは、現在國宝という言葉は随分一般的の用語になつております。例えば各省の予算の項目を見ましても、或いは國有財産の項目を見ましても、國宝というふうな言葉がもはや一般的に行われておりますし、國宝的な人物というようにまで使われておる現状でございますから、どうもこれはナシヨナリズムに関係するような國の宝でなくして、非常に一般的の言葉で、そんなにおかしいことじやない。又それを使わない場合に代りの言葉がないし、その点で非常に困りまして、それで一應この言葉を残したわけであります。
  34. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 國宝という言葉の持つ概念が禍いして、近年外國から入つて來たものなどに障りを持つというようなことはないのでございますか。つまりナシヨナルというような意味が強く言われるので、他國から入つて來たものが國宝の圈内に入ることが非常にむずかしいというようなことに関係がありまするかどうか。そういう面があるとすれば、この言葉を直して、文化財なら文化財というふうにすれば、國民の有する文化的遺産という意味の立場から行けるのじやないかと思います。
  35. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 先程岩村專門員から、明治以後に入つた外國のものが國宝になるのはこれはおかしいというのは、やはり関係筋においては、ナシヨナルという言葉から來ているのじやないかと思います。ところが又飜つて考えて見ますと、例えば、法隆寺を見て、これは重要文化財であるというふうなことを言つてちよつとぴんと來るかということでございまして、どうもそこまで行きますと、やはり國宝であると言つた方が保存法の趣旨から言つても、一番大事なものを保護する点においてもいいのじやないか。どうもこれは重要文化財であるというのでは單なる一つの形容詞に過ぎない、こういうふうな点から比較いたしますと、やはりそれに代る言葉があるかどうかという問題になる。
  36. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 さつき一應御研究願うようなお話がありまして、私それでいいと思つておつたのですが、尚参考のために第三章の國宝の規定で、二十一條があるのですが、そこへ行けば國宝のことははつきり限定できるわけなんです。そうして「建造物、絵画、彫刻、工芸品、書蹟、文献その他の物件のうち」、もつと狹めて「國民の文化的遺産」、これはちよつと後で問題になるかと思いますけれども、とにかく「國民の文化的遺産」と限定して來ているのです。若しそうだとすれば、一條、二條のところはやはり重要美術を含むような表現の仕方でなければいかんと思うのです。その点一つ御考慮願いたいと思います。
  37. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) ちよつとお伺いいたしますが、重要美術とおつしやつていますのは、現在重要美術に関する法律によつて認定された重要美術品のことでございますか。それとも重要美術品という限定されない普通な意味でおつしやるのでございますか。
  38. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 両方です。
  39. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) 両方の件でございますね。
  40. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 只今の藤田委員の申したことに対して、こういうことが問題になるのじやないかと思います。技芸とか或いは演劇、音樂といつたようなものが、やはりこれは國民的な文化的な遺産、國民が作り國民が伝えて來たものであるから、ここで我々が保存の措置を講ずるのじやないか、そこで制限された場合にはやはりこの問題が第一條、第二條においても一應起り得るのじやないかということも一つの理由でございます。例えば日本古典音樂、或いは舞樂といつたふうなものは、やはり一應國民的な文化遺産という決定付けの必要があるのじやないかという考を持つておるわけであります。
  41. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 成る程伝えられておる言葉はそういうことが言えるでしようけれども、伝えることをも含めて現わす言葉があるのじやないか、例えば今の「國民の有する」ならば、「有する」中に何が含まれてもいいのじやないか、むしろ「國民の有する」と言つた方が非常に範囲が廣く両方に通用していいのじやないか、もつといい言葉があるかも知れませんけれども、今鈴木委員のお言葉がありましたから、それを使つてもこれよりはいいのじやないかと思います。
  42. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 それに関連することと思うのですが、関係筋の方が明治以後に入つて來ているところの海外の高度なる文化財ですね、これを國宝に、或いは重要美術に指定するということは好ましくない、その理由ですね、それが國宝として或る程度國の制限を受ける、それを制限を受けることによつて、私的に持つているものの範囲までその國家権力というものを及ぼすということは好ましくないという理由か、それてもその他のナシヨナル的な見解から惡いのか、この二つの言分が向うにあると思うのです。ここのところがはつきりしないと思うのですが、そのどつちの方を関係筋の方で強く問題にしているか、その内容をお伺いしたいと思います。
  43. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) その点でお答え申上げます。関係筋ではそういうものを持つて來るのは、明治以後に伝えられた外國のものを國宝として指定するというのはおかしいという意味のことであります。例えばこういう例があります。エジプトの古美術品、或いはギリシヤの古美術品というようなもので日本に持つて來たものは、これをナシヨナル・トレジユアーとして指定することはおかしいじやないか、こういうわけでございます。
  44. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 それに対してこの法案は國民の文化遺産という言葉ですが、文化財としての遺産なりばこれは問題がないわけだ、そうだと思う。これは日本人が作つたものであつても、外國人が作つたものであつても、日本に現在あるものならば國家権力によつてこれを保存する、保護するというにおいては何ら差支えないと思う。それなのに、これを何か好ましくないという、もつと肚を割つた考え方があるのじやないか、私はそう思つている。それをはつきりしないと、この法案を立てて行く上の非常に疑義が起つて來る。これを速記を止めて貰つて正直にお聽きしたいと思うのです。どうですか。
  45. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  46. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 速記を開始いたします。
  47. 山本勇造

    ○山本勇造君 先程から、この二條の問題でいろいろありますが、これはこの法律ぐらいむつかしい法律はないだろうと思うのです。最初の出発点が実は國宝保存法を如何に改正するかというのから出発して來たのですから、だから若しこの問題が國宝だけの問題をやるならば、もつと問題が簡單になるわけですが、途中から博物館をどうするかというような問題が起り、又博物館というような問題になつて來ると、自然に國宝保存法だけでは始末が付かないので、そこで名前が文化財保存法というような名前に変つて來たのです。文化財保存法というふうな名前に変つて來るならば、それは博物館だけじやないじやないか。從つて昔から伝わつておるところの雅樂だとか、人形だとか、ああいうふうなものも保存すべきではないかという意見が出て、その結果この文化財保存法の中に、單に今まで扱われて來た國宝だけでなく、演劇、音樂その他の文化的の所産、又は技芸というようなものが入つて來たのですから、従つて國宝問題だけ言つておると、ちよつとさつき藤田君が言つたように、國宝だけここで言つておつては始末が付かなくなる。國宝の問題と、もう一つむしろ國宝がその中に含まれるのですから、文化財の問題を言つておるのですからね。ここではこの第二條で問題とするところは、日本の文化財をどういうふうにして保護して行くかという問題に中心を置いて、僕はこの問題を処理して行けばいいと思う。國宝の問題はさつき藤田君のおつしやつたように二十一條があるから、そこの方でちやんと規定して行つたらどうなんですか。そうすればむずかしくならないで、凡そ皆さんの御意見にしましても、國宝だけ保存するのでなくて、日本の文化財を保存して行くという建前から起つて來たのだから、それから言えば文章はまずいが、大体こういう趣意で行こうというので、大体その点では皆さん御一致になつていると思いますが、実は私もうちで書いて來まして「古くから国民に伝えられておる」というところに三角を付けて來たんですが、どうも実際この言葉がまずいのですよ、これはお互いに專門委員ばかりでなく、我々もお互いにもう少し考えて、もう少しここのところを直して行つたら、恐らく皆さんも大体の考えがあつちこつちになつているのでなく、一本に行つていると思いますから、第二條を今のようなもので纒めて行つたらいい、そうでないとなかなか先に進みませんね。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それじや專門委員の方でも今の第二條の「古くから國民に伝えられておる」ということころをもう少し練つて貰いますし、我々も練つて見ます。そうしまして第二條の趣意そのものが皆さんに不服でなければ、次に移つて行つたらいいでしようが。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  48. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) よろしうございますか、それでは他にございませんでしようか。
  49. 大隈信幸

    大隈信幸君 第二條の二の問題ですが、こういう文句が入ることは非常に私賛成でありまして、文化國家を標榜する方から是非必要と思うのですが、その法案の体裁から言つてここに入るのは何だからよつとぴんと來ないのです。前書というのでございますか、総則の前にこういうものを入れられる方が尚いいのじやないか、そういう意見を持つているのですが、その点一つ。
  50. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) ちよつと話をしておりましたので、もう一度要点だけを……
  51. 大隈信幸

    大隈信幸君 二條の二を前文として総則の前に持つて行く方が、法律の形としてもいいし、内容から言つてもいいのではないか。
  52. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 「國民の心構」ですか。
  53. 大隈信幸

    大隈信幸君 そうです。そういうふうに研究して頂けるかどうかということですね。
  54. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) これは皆さんにちよつとお伺いいたしたいのでございますけれども、第二條の二が、單に「國民の心構」になつておるのですけれども、ここに同時に政府が努力すべき一つの心構えも入れる必要がないかということを考えたのですが、その点を一つ御意見をお聽かせ願いたいと思います。政府はこれに努力し、國民はこれに協力しなければならないとしたらどうか、その点を一つ御意見をお聽かせ願いたいと思います。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は全面的に今の意見に賛成でございます。大抵今までの立法を見ると、そういう事務だけはありますけれども、政府の方で負うところの責任については何ら明記していない。当然やはりこれは、政府に殊にまあ努力して貰いたいという観点から賛成であります。
  56. 高良とみ

    ○委員外委員(高良とみ君) 只今の文章等は、こういう文はいつもそう思うのですが、どうか一つ小学校の子供達にも分るような文章に直して頂かないと、その意味がなかなか分らなくて、却つて大事にしないのですから、こういうものは大切にしなければならない。」それだけでいいのですから、どうぞさよう御修正願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  57. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) もう一度皆さんの御相談をいたします。「國民の有する文化遺産を保存し、」という言葉でありますが、これは外國から來たものをも含めるか、それとももう我々の生活に溶け込んだもののみとして考えて行くかという、この観念をはつきり決めて置かないと、法律の上に書くのに專門員もお困りだろうと思いますので、大体お決め願えるものならお決め頂きたいのですが……
  58. 松野喜内

    ○松野喜内君 これはやはり外國から來たものをもということを内容的に含ませて頂きたいことが希望です。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 山本勇造

    ○山本勇造君 ちよつと、それは僕は勿論賛成なんだ。勿論賛成なんだけれども、ただ僕は外國の場合、イタリアにあつたダヴインチのものが、フランスならフランスに行つたときに、フランスがそれを直ぐに國宝にしますか。
  60. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 國宝という意味じやないのです。
  61. 山本勇造

    ○山本勇造君 大事にするという意味ですか。大事にするという意味ならば、勿論僕は賛成です。だけれども、國宝という意味なら、ここにも例はないと思いますが、勿論それは日本に來た以上、これは世界の文化の一つの遺産なんだから、これはもう当然あれしなければいけないし、場合によつては、日本に置いて置くよりも、どこかよその方に置いた方が世界の文化として保存がよいのだという場合には、外國に出しても構わないと思う。それは日本だけがセクシヨナリズムに考えないで、世界の文化として考えるべきだと思う。ただ日本に來ておるものはできるだけ保存し、保護するという建前ならば賛成です。
  62. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 それは私は重要美術の中に是非指定して置くべきであると思う。例えばロダンの彫刻なんかは、日本にあつても見ることはできないと思う。そういうものは特に重要美術として、日本で保護するなり、又國の管理下に多少なり置くということは、もう重要美術の問題以外に、文化財という点から行けば、これ程重要な文化財はないと思うのだ。
  63. 山本勇造

    ○山本勇造君 それは趣意には賛成ですが、今度の第二次案というものを読んでおられると思うが、重要美術というものは今度なくなるのですよ。これは重要美術と國宝とを一本に考えて一つにしておるので、後の方の章にも出ておるのですが、だからこの分け方も、二つがよいか、三つがよいか、これは又問題が起つて來ると思うが、今の考え方だと、今度の改正案では重要美術という言葉はなくなるのですから、ちよつとその点申上げて置きます。
  64. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そうすると、國宝というものを特に作ることは又考えものなんです。重要文化財というような意味なら分りますがね。
  65. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) では第二章に参ります。第二章につきまして、御意見がありましたらどうぞ。
  66. 高良とみ

    ○委員外委員(高良とみ君) 第二章でありますが、どうしてわざと美術研究所という名前が付いたのですか。今まで折角文化財と……文化財の保護法でありますので、ここへ來て突如として美術研究所という名前になつた理由を伺います。
  67. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) それは先程お配りいたしました大綱には研究所となつております。それが訂正案であります。
  68. 高良とみ

    ○委員外委員(高良とみ君) 文化財研究所というように訂正なすつたら如何ですか。
  69. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) それは文化財研究所と付けても結構ですが、とにかく美術を拔いた意味で研究所という言葉を入れております。
  70. 高良とみ

    ○委員外委員(高良とみ君) 了承いたしました。
  71. 山本勇造

    ○山本勇造君 第二章は問題がありますが、第二章の中の一番大きな問題は、第三條の二の、「委員会は、〇〇大臣の所轄に属する。」というところですが、これは非常に問題が大きいし、それからこの間或る方には進んでいたようですが、この小委員会で決めないで、本委員会で決めて貰つたらどうですか。これは大きな問題ですから、ブランクのままで小委員会は本委員会に送り込むと、ここで決めたいけれども、ここで決めてしまうのもどうかと思いますから、どうでしよう。
  72. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 大体皆さんの意見が、これはブランクのままで親委員会の方に持つて行くという御意見のようですが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) それではさようにいたします。外にありませんか。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 この大綱を見ますと、第二章の委員会の構成のところに審議会というのが出ておりますね。このことについては、さつき説明に触れられなかつたんですが、それとこの前出ました問題ですね。この委員は行政機関ではあるけれども、併しながら從來の美術保存の状況から考え、又今世上に起つておるところの一つの人民的な要求、そういうものが下の方から法隆寺の炎上を中心にしまして起つておる。そういうような要求から考えて、これをどのようにして民主的に選ぶか。そうしてそれについて、何らかその選出の方法を謳う必要があるのではないか、或いは附則なんかでこれを謳つたらどうかというふうにこの前話が行つたと思うのですが、この点について、これは專門員の方でどういうふうに処置されたか伺いたい。
  75. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 先程ちよつと説明を落しましたですが、この大綱の図の中の、文化財保存委員会に食つ付いております審議会でございますが、これは実は現在の文部省の官制にございます國宝保存会と重要美術品等調査審議会、これに当るところの、指定その他に関するところの技術者の審議会でございまして、岩間委員のおつしやいましたいわゆる文化財保存委員の選考に関する民主的な選考機関というふうな意味ではございませんです。そこで文化財保存委員の民主的な選考に関する一つの審議会の問題でございますけれども、これは只今法制局と打合せをいたしまして、この前の小委員会でありましたように、例えば附則で以てこの委員の選定について審議会を作るとか、何かの一つの措置を構ずることができるかどうか、そういうことは只今研究中でございますけれども、ただ一つ問題になりますのは、そういうふうにして一つの選考的な機関を條文で以て作りました場合におきましては、この條文の中で更に両院の同意を得るというもう一つの民主的な一つの選考、いわば選考でございますが、そういうものが若しも食違つた場合においては、國会というものと、それから民主的な選考機関との意思が食違うというちよつと妙な現象が起りまして、法律でそういう審議機関で以て選考するということを法律の條文で謳うということはちよつとまずいのじやないか、こういうような御意見がこの法制局にあるわけであります。そこで併し何とかして、例えば了解事項ぐらいで行くことはやはりいけないのでございまするかどうかという点に関して御意見を伺いたいと思います。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは私も分らないのでお伺いしたいのですが、委員会のこういう委員は必ずこれを國会の同意を得るということが必要なのであるかどうか、この点先ずお伺いいたします。
  77. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) これは勿論一つの仮の試案といたしまして、そうする方が、公選ということが現在事実上非常に困難であるという場合においては、國民を代表するところの両議院同意ということが、一番民主的に基礎付けるところのよい方法じやないかと思いまして、一應試案を作つたわけでございまして、それだけの問題でございます。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 これが必ずしも必要な條項でないとすれば、むしろ現在行われておりまする両院の同意というようなものにもいろいろあると思いますが、大体形式上の手続が実体としては多いのじやないかと自分としては思うのです。だからそういうような形式上のものよりも、実質的に、民主的にこれを選ぶという方に重点を置いた方が実際的なんじやないか、こういうふうに思うので、そうなれば必ずしも両議院同意ということに拘わらないでも、二つのものが牴触するわけですね。さつきの説明のように民主的な方法を取つて選んでおいて、更に両議院でこれを同意をしなければならない、そうすると二つの民主的な手続きがダブるという場合には、むしろ私は実際特にそれに関心を持つている人達の大勢の參加という方が望ましいのじやないかという意見を一つ持つのです。それからもう一つ伺いたいのは、さつきの審議会でございますが、この審議会をこれは実情だけの審議会というふうに説明されたのです。併しこれは從來もやはり慣例というようなものを建前としてお話があつたように思うのですが、併し行政上の面までこの審議会の一つの仕事を延ばすということは差支えがないのじやないか、つまり技術的に優れていると同時に、これを一つの行政的な立場からも廣い視野に立つてこういうふうな意見を述べるということがむしろ望ましいと、そういうふうに私は考えられますので、そういう点については、審議会の性格そのものを新らしく作り直して行くという点については、專門員はどういうような意見を持つておられるか伺いたい。
  79. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 現在の審議会は大体技術的な一つの諮問機関じやないかと考えております。それで文化財保存委員会というふうな合議制行政官廳を作りまして、そうして更にこの行政権にも関係あるような一つの諮問機関として審議会を作るということは、何かそこに……それでしたらやはり文化財保存委員会の代りに独任制の一つの外局の局長とか或いは大臣とかいうふうな独任制の官廳でもいいのじやないか、その点やはり食違いがあるのじやないかというふうな考えを持つております。
  80. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) 只今專門員からお述べになりましたと同じように考えておるわけであります。つまり行政機関そのものを文化保存委員会という一つの合議制機関にいたします。その趣旨がすでに独断的な行き方をしないというために、こういう委員会にいたす趣旨でありますからして、行政機関そのものを委員会にいたしまして、更にこれに審議会というもう一つの合議機関を食つ付けて行くということは、制度の建前から行きまして少しおかしいのではないか、まあ行政についてこういう審議会を置いて行くのならば、本來の行政機関そのものは独任制のものであるべきではなかろうか、政治的にはこういう疑いがあるように考えておるのであります。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 審議会は飽くまで諮問機関というような性格があるのだろうと思うのですけれども……だから今お話のようにその二つが重複するというふうには必ずしも考えられないのじやないか、つまり諮問機関とそれから執行機関という二つの性格にはつきり分れるのではないか、こういうふうに思うのです。ただこれが二つに重複しているという理由については、これはあるのじやないか、そういうときには必ず局長とかいうようなはつきりした機関でなくちやならん。これはこの前にも出たと思うのですけれども、委員会のようなところに審議会というようなものが、諮問機関が設けられるということは、どうしても例はないのですね。
  82. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) そうですね。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 例はないけれども、新らしいものを作る可能性があるかどうか、そういう点についてはどうですか。
  84. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) こういう行政機関としての委員会に、更にこういう審議会が附いているというのは、恐らく例がないのじやないかと思つておりますが、その他の点につきましては一應は只今申上げましたような考えを持つているわけでありますけれども、これはまあ絶対的の問題ではないのでございます。と言います意味は、別にこういうものを作つてはいけないという禁止規定があるわけじやない、こういう意味においては絶対的なものとは考えておりませんが、こういう会議制の行政機関を作つて参ります制度の趣旨からは、一應はそういうことになるのじやないか、こういうふうに考えているわけなのですが。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ、この審議会、これをどのようにして設けるかという規定は、別にこの法案にはなかつたように思うのです。そうすると今考えておられるこの專門調査員の方の案としては、どのようにして審議会を作るということを考えておられますか。
  86. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) この審議会は相当多人数の技術者から構成いたしまして、例えば彫刻、美術或いは建築或いは絵画というふうな相当多くの分科会から成立するところの技術者の審議会でございまして、これは一應法律に、文化財保存委員会に審議会を置く、審議会の内部機構は政令を以てこれを定む、こういうふうに大体行政組織法に從つて規定して行きたいと思つております。
  87. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 段々時間も経つばかりですし、殊にこの問題が一番大きな問題と思いますので、これは衆議院でも非常に問題になるのでしようし、文部委員会でも問題になると思いますので、その際に大いに論ずることに讓るといたしまして、次に進んで頂きたいと思うのですが、それについてとにかく專門員の方に一つお願いして置きたいことは、皆さんが心配されていることはですね。如何に力ある委員会を作り出すか、そうして予算が十分に取れるような強力な委員会をどうしたら作ることができるかということに帰着するのじやないかと思いますので、そういう面で尚御研究を願つて、今度の文部委員会に諮つて頂きたいと、こう思います。それでこの第二章を大体終ることにいたして三章に移られるように動議を提出いたします。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 鈴木君がうまく纒めて呉れたのでありますが、力があるということも一つの條件になりますけれども、それにはやはり大衆の意思を、そういう輿論を十分に反映できる民主的な機関であるということがやはり十分に必要ではないかと思うのですが、如何ですか、鈴木さん。
  89. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 そういう意味の力ある委員会でなければならんと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 松野喜内

    ○松野喜内君 進行については同感ですが、一つ今申上げて置きたいのは、專門調査員の説明によりますと、今審議会でも、これは主として技術方面の代表という言葉があつたが、元々これは保存ということでないことまでも強く発言しますので、やはり文化、文教という方面に利用價値があるので、ひとり技術者のみならず、一般者教育家の代表とかいうような者もこの委員会に加える必要があると思います。從つて今鈴木君の力があるという纒めた言葉に含む意味で以て、そういう意味をも入れてお願いいたします。
  91. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 鈴木委員の動議が成立したものと認めて差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) それではさよう取計らいます。第二章に御質問がなければ、第三章に参りたいと思います。
  93. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 第三章につきましても、時間的拘束をするのはどうかと思いますが、成るべく短時間のうちに要領よく御質問を願つて、すつすつと進むようにお願いしたいと思います。もう五時になりましたから。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 進行係だね。
  95. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 進行係を相勤めます。
  96. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) それでは第三章に参ります。前にこれはやつておりましたね。
  97. 山本勇造

    ○山本勇造君 言い出せば大分あると思いますけれども、時間もないので、大体において今の点が一番大事な点なんだ。機構が……。
  98. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 專門員から委員会の氣持を伺つて置きたい点があるそうですから、今度は專門員の方から皆さんにお諮りいたします。
  99. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 第二十二條の特別國宝の問題でございますが、國宝を二級に分けまして、そうして法の措置を違えて、特別國宝に対しては、できるだけ國家が責任を負担して行く、こういうような措置に対しては一部の方からやはり相当批判があるようでありますが、皆さんの御意見を一應お伺いいたしたいと思います。
  100. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 今の一部の批判という、そのことを少し漏らして頂かんと、速記を取つてまずければ、止めて頂いてよろしうございますが……
  101. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) この特別國宝という名前でも、或いは一級でも、二級でも差支えありませんけれども、とにかく國宝に等級を付けるということを御説明申上げたいのであります。これは極く簡單に申しますと、これを起草しましたときの我々の考えはこういうのであります。我々はその方の技術の專門家でもなかつたので、果して二つの等級か、三つの等級に決めるか、或いは四つにすることが妥当かということは我々は考慮外であります。ただこの法律の法文をそういうような二つにした理由はこういうことであります。美術品の大部分、或いは建築、或いは一つの時代を代表するようなものが一つよりないというような場合に、これが或いは破損され、或いはなくなつたという場合には、これは非常に重大な國家的な損害であるから、それに対して十分の保護を加えなければならん。そういうふうに大体二つに分けましたので、これは專門家の方から見ましたら、いろいろな分け方があると思います。併しながら私共の考えましたのは、そういうような技術上の分け方は、新設せらるべき委員会の成立を待つてすべきが順当であります。法律としては、ただそういうようなかけ替えのないようなものは特別の保護をするという見方から二つに分けたのであります。その点をちよつと御説明申上げます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点が或る程度謳われないと混乱を起すのではないかと考えられます。つまり價値的な特別と一般ですか、そういう分け方であるか、それから或る意味で歴史的というか、そういうような美術的な價値ですね。そういう点から特別、普通、一般というように分けられると、そこのところがこの法案を見ただけではちよつと分らないのではないか。混乱を起す心配があるのじやないか。
  103. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 実はそれを明記したかつたのでありますが、非常にこれは技術的の問題がございますもので、そこで第二項に、一應指定の基準は政令で以てこれを定めると、その政令の内容は、これは一つこの審議会、その他委員会の十分な檢討によつて決めて頂きたい。ただ或る重点的な方向ということで、何かクラスを付けると、それだけしか我々としてはちよつと技術的に規定できないのではないかと考えております。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、政令に委任することになりますが、その委任のときに、速記に残すとか何とかして置かれないと、法令の精神が誤られるという心配があると思います。
  105. 山本勇造

    ○山本勇造君 梅津君、さつき重要美術の話が出たが、これで行くと、特別國宝とただの國宝と、この二つに分けられて、その他のものがつまり何でもなくなる。併し大体博物館あたりで考えていることは、その他の大事なものは登録をさせる、そうしてそれが海外に出るとか、よそへ移るとかいうような場合には、登録によつてその移動を調べるというような考え方で、國宝としては、二つのクラスにこれだけは分けられるが、その点は今日余り細かいことは議論できないが、そういう建前でこれがなつております。だからあなたが言つたように、重要美術というような、國宝までは至らないが、大事なものはどうするかという重要な問題が残つて來る。
  106. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そこで國宝という言葉だと非常に無形なものですね。文化財に対して、これは國宝というものが、作くかどうか。
  107. 山本勇造

    ○山本勇造君 それは付かん。これはこういう方の問題をやつているから、國宝としては、建造物とか何とか考えて書いてあるだけのもので……
  108. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そこで國宝という言葉になつて來ると、さつきのことが間違えられる。明治以後に入つて來たものは國宝とするしかないか。或いはロダンの彫刻の話が出たが、これを國宝の一級にするか、二級にするか、一般にするかという問題ですね。これはここで問題になると思います。國宝という言葉を使うと、ロダンの彫刻は國宝という名前には甚だおかしなものになる。併しそういうものはこの枠から離れることは非常に困ると思います。だから國宝という言葉は非常に工合が惡いと思う。この言葉を何とか外にいい言葉はないか、もつと廣範囲な意味の重要文化財とするか、一般文化財とするか。これなら分るわけですね。それは一例だと思いますが、重要文化財と、或いは一般文化財と、これは仮称ですが、こういうような形の考え方で行くんならいいんだけれども、國宝と銘打つちやうと、丁度中國あたりから曾て到來したもの、或いはそうした海外から搬入された重要な文化財があるわけです。これが海外に簡單に流出されては困る。こういうような問題がここで引掛かると思うのですが、これは一つの問題としての國宝問題ですね。
  109. 山本勇造

    ○山本勇造君 ちよつと質問したいのですが、今のような問題、例えば海外でロダンならロダンがアメリカだとか、よその國に行つた場合、どういうふうな取扱いをしているか、これは岩村專門員なり、或いは丁度文化課の方が見えているから、そういう実例を、どういうふうな取扱いをしているかちよつと伺つて置きたいと思います。
  110. 岩村忍

    ○專門員(岩村忍君) 実は私もいろいろ調べましたのですけれども、なかなか現在資料がありませんから、よく分りませんので、ただここの東京に在留しているフランス人とか、イタリー人とか、或いはイギリス人から聽いた話だけでございますから非常に確かなこととは申せないのでありますが、そのつもりでお聽き願いたいと思います。そういう話を総合いたしますと、日本で我々が言つているような意味での國宝というものは外國に存在しないようであります。但しこれに対するその保護、それから事情が違いまして、例えばアメリカなどに、これは近いときにも例があるのでございますが、フランスの非常に重要な美術品を持つて來るというようなときに、非常に政府も、それから或いは博物館のようなものも全力を挙げて、これは法律の規定によらないけれども、全力を挙げて保護しているというようなことであります。それから御承知のようにイギリスの大英博物館にございますものも、これも別段法律の保護の規定にはないのでございますけれども、併しこれは御承知のように恐らく世界で最もよく、大英博物館自身の手によつて保護されております。それからイギリスでは大体非常に大きな美術のコレクシヨンというようなものは、多くコレクトした人が、それを博物館なり、十分そういうようなものの保護保存に適する博物館に寄託するというような制度が非常によくできておりまして、例えば有名なロード・リツトン所藏の西アジア、中央アジアの金銀の遺物とか、これは世界的に有名なものでありますが、これは一例を挙げますと、アルバート博物館に寄託されて十分保護されているということがございますので、外國の場合と日本の場合と経済状態が違いますし、國宝のようなものの伝來の経過が違いまして、それは日本におきましては、國宝のようなものは非常に多く神社佛閣のようなものに保存されておる。ところが今問題になつておりますのは、そういう神社佛閣が殆どできなくなつているから非常に問題が起つておるのでありますが、西洋の場合においては御承知のように寺院などの建築、或いは寺院にある美術品というものは非常に重要なものでありますが、そういうようなものは、非常に生きた宗教として非常に強い力を持つておりますので、何ら國家の保護を必要としない、こういう状態にあるのであります。この際ちよつと外國の例を日本の場合に持つて來て参考になるような例は、今までいろいろな所で聽いて調査したところによりますと、ちよつと外の國には、日本のようなケースは見当らないのでございます。甚だ不満足なあれでございますが、私は今まで諸外國の人から東京にいる範囲で聽きました点では、それ以上の結論は出ないのでございます。
  111. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 最前からのお話でございますけれども、國宝という名前が外にいいものが考えられないというのでしたら、この各條の中か、或いは特別に一條設けて國宝に準ずるような重要美術品、まあ登録すべき宝物、或いは準國宝というようなものの規定を一條加えられて、國宝に準ずる取扱いというようなものを規定することはできないんですか。
  112. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 実は第一次試案におきましては、登録の義務を規定したわけでございますが、それが第二次試案において削除しましたわけは、登録した場合におきましては、結局登録の義務者、それからそれが讓渡された場合におきましては、新旧所有者間におけるところのいろいろな義務がそこの規定しなければならないことになつているわけであります。そこでそうなつて参りますと、なかなか一切の重要なる美術品において、それ程の義務を規定するというふうな別の法制的な措置を伴わすということが非常に困難であるというふうなわけで、一應これは削除したわけでございます。それから博物館の方におきましても、それは非常に困難であろうという意見であつたので……併し御希望がございましたなら、又國宝に漏れましたいわゆる重要美術品について、何かやはり又ちよつと軽いところの法的の処置、少くとも登録制度ぐらいは作るということも或いは試みて見てもよろしいと思います。
  113. 山本勇造

    ○山本勇造君 問題は、國宝という文字を君が言うようにして変えるか、外のものにすればもつと樂になるから……それからもう一つは、今のような登録制見たいなものでやつて行くか、問題はそういうところに落着いて來るかも知れませんね。
  114. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 國宝という言葉を將來使えば、使われた言葉で非常に分りいいと思うのですね。併し國宝というのに無理にこだわる必要はないのじやないか、適当な言葉が見付かれば……この法案自体が非常に進歩的な法案なもので、國宝という何か古めかしい感じをここから取つて、もつて進歩的な名前を付けた方がこの法案がより明るいものに変つて來るんじやないか、國宝というと古いというところに値打が非常に多くあつて、その文化財というところに價値を見出しにくいと思うのでございまして、だから文化財というふうなものの性格から國宝という言葉を改造される必要があるんではないか、こう私は思うのですが、これは適当な言葉があれば、新語ができるといいと思うのでございます。
  115. 松野喜内

    ○松野喜内君 私も梅津委員のような感じは持つておるんですが、國宝という字を使わないで文化財という字を使うということも一試案と思います。特別文化財、一般文化財、山本委員の言われた通り一つに考えなくちやならん点ですから、もう一段とお互いに考究しておいて、親委員会の方で又論議するということにしたらどうでしようか。
  116. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 河崎さんがいい言葉を使われたのですが、重要という言葉にすると國宝というような感じが入つて來る。重要文化財ということにすると非常にはつきりして來ると思うのです。それは非常にスピリツトがあつていいと思う。
  117. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) それでは松野委員の動議もございますし、時間もございませんので、第四章に参りたいと思います。第四章につきまして御意見がごさいましたらお願いいたします。
  118. 山本勇造

    ○山本勇造君 ちよつと四十一條の中で「予算の範囲内において」という、こういう言葉がありますが、これは増額ができないというような感じを與えますね。年中予算が切詰められておるのですから、「予算の範囲内において」というと年中やれないと思います。特にこういう字を入れなければいけないのですか。
  119. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) これは予算の限度を置きませんと、結局財政の枠がございますから困るのじやないかと思うのですがね。そういう趣旨でこれは入れておるのでございます。
  120. 山本勇造

    ○山本勇造君 先にこれを規定されると言つたら……
  121. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 事実はその通りになるが、文句だけは取らなければならん。
  122. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) それから或いはこの規定の仕方にもよるのでございますが、ここでこの案ではこの最後の助成の処置を講じなければならないといたしましたので、そうしますと予算の範囲内というのを入れてございませんと、法律では必らずそれだけの予算を貰わなければならない。こういう項目を持つて参りますと、現実の問題としては支障を來すのではないか、こういう点が一つあるのでございます。
  123. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 併しここに適当という言葉が使つてあるじやないですか。その他適当な助成の措置をするというのだから、適当で差支えないじやないですか、「予算」を取つちやつて……「適当」という字が付いているのですから。
  124. 山本勇造

    ○山本勇造君 時間があれですから、ここで決めなければいい。これはこの次に……
  125. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) これは次に讓ることにして、今保護しているものの予算を文部省の方から申上げようかと言つておりますが、如何いたしましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 柴沼直

    政府委員(柴沼直君) 現在やつておりますのは、二十四年度の要求しております予算について申上げますと、古典芸術の保存施設といたしまして百万円程要求をいたしているのでございます。これは大体映画とレコードとして記録を保存するという建前のものでございます。映画及びレコードに重要なものを写し取りまして、そうして將來に残すというつもりのもので、古典芸能のものは、今挙げられているものはそれだけでございまして、この第四章にありますようなものになりますと、大部分が新らしい予算を要求しなければならんということになりますので、そのことだけ申上げて置きたいと思います。
  127. 山本勇造

    ○山本勇造君 君の方でどうですか、今度委員会になつて文部省から離れるわけだが、そういう当事者の立場からして予算の範囲内という言葉が残つているのはいいですか。
  128. 柴沼直

    政府委員(柴沼直君) 我々の方から事務的に申しますと、実は予算の範囲内でということは、いろいろな法律で慣例的に使つておりますから余り氣になりません。
  129. 山本勇造

    ○山本勇造君 氣にはならないけれども、同時に又これは問題ではないのでありますから、当然の話なんで……
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり今の問題ですが、これを発展的に考えなければならん。例えば從來のものを見ますと、古典芸術を映画とレコードにして保存して置くという話なんですが、我々のここで考える理由というのは、記録としてだけ残すのじやなくて、そのものを残すというようなもつと廣い意味を持つているわけです。当然そういうことは考えられる。もう一つ私は是非考えて見なければならんのは、そういうふうな実際の事務を扱う機構というのがないと、そういう問題が進展するかどうかというのですが、ここの第二章の文化委員会の構成を事務局の中でそういう問題を考えて置く必要はないか、これはどうですか。
  131. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 文化財の保存というのは大綱の図のところでございますが、この保存部のところの所掌事務の中にそれを我々は規定しているのです。古典その他の芸術の保全利用に関することという所掌事務として規定するつもりでおります。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 この外のいわゆる從來の國宝ですね、そういうような保存と同じに同居させて置くという意味ですか、それとも一つの一課のようなものを置いて、專門的にこれを考えて行くという範囲まで考えておられるかどうか。
  133. 竹内敏夫

    ○專門員(竹内敏夫君) 只今のところ、文部省の御説明があつたように予算措置が伴つては現在おりませんから、独立の課を作る場合におきましては、やはり現在の行政組織から申しますと、予算的の措置が伴わなくちやいけないのであります。一應保存部の所掌事務の中の一つとして暫定的にやつておるわけでありまして、保存部を將來に発展させまして、例えば更に分けまして、又課の中にそういう古典の芸術の保存の課を設けるということは將來我々は期待してもいいじやないかと思つております。
  134. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) もう大体時間も参りましたので、あと罰則は本委員会に讓るといたしまして、本日はこの程度で委員会を打切りまして、この第二試案を我々のドラフトといたしまして、本委員会の方で尚十分審議して頂くということにしたら如何かと思いますが、尚これを大体皆樣の御意見を加えまして訂正をいたしたものを本委員会の方に出すつもりでございます。多少又ブランクのところもそのまま残して本委員会の方に送りたいと思うのであります。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 特に第二章のさつきの話合のときに、何だか少しぼやけたんじやないかと思うのでありますが、委員を民主的に公選する、そういうような條項をこの附則なり何なりへ謳うということです、この点確認して頂きたいと思うのであります。これについて十分に檢討して貰う。この点が非常に重要だと思いますので、念を押して置きたいと思います。
  136. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 專門員の方で一應の原案があるそうですから、それを一應皆樣に配付いたしまして……尚これにつきまして皆さんの御意見も十分お述べ頂きたいと思います。これにつきまして今枝法制局参事から御説明をいたします。
  137. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 それをずつと委員会の連絡としてやりますか、それとも一應解散して説明だけして置いて頂きまして、あと本委員会で十分練つて頂きます。
  138. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) それでは一言説明だけを申上げます。実は前回お話がありましたので、いろいろ考えました結果、一應はこんな実は案に落着いたわけでありますが、当初のお話は何か或る團体が推薦いたしましたものから任命するようにと、こういう御趣旨からそういう趣旨に副いまして考えて参つたのでありますが、先程專門員からもお話がありましたように、実はこの或る團体からの推薦ということと、それから國会の議決ということが衝突した場合には、任命の任に当る内閣としては非常に困ることが起るのではなかろうかということが考えられますために、或る推薦母体からの推薦によらなければならないということをはつきり規定してしまつては工合が惡いのじやなかろうかと、こういうことが考えられるわけであります。尚それと同時に先程お話がありましたように、本來この任命が最も民主的機関である筈の國会の同意を要件といたしております趣旨から申しましても、その國会の同意という規定があります以上は、推薦に関する規定は余り強くならない方がいいのじやなかろうかと、こういうことも考えられました結果、そういう点を勘案いたしますと、結局こんなような趣旨になるのではあるまいか、つまり文化的諸團体等の意見を聽き、且つこれを尊重しなければならない。極めて訓辞的な規定になりまして法律的の拘束的な意味は薄くなつて参るのでありますけれども、併し内閣が任命いたします際の心構えとして、若しこの程度の規定を入れるならば、或いは御提案のお心持に合うのじやあるまいかという、こういう趣旨で一應この案に落着いた次第であります。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 さつきも私の意見を述べたのでありますが、両院の同意というものが実際見ておりますというと形式的になり勝ちなところがあるので、それよりもやはり推薦の方法についてもつと謳つた方がいいのじやないか、その辺の見当を檢討する必要があるのじやないかということを私の意見として申すのでありますが、この点は如何でしようか。
  140. 今枝常男

    ○法制局参事(今枝常男君) 実はその点はこの委員会の委員を特別職にするかどうかということと関連いたしておるのでございますが、両議院同意ということを外しますと、委員は一般職にならざるを得ない。國家公務員法との関係からいたしまして、そういう問題がございますので、その点と関連して問題があるのでございます。從いまして若し両議院同意を外しますれば、委員については一般職としての各種の拘束が被つて來る。こういう点を考慮しなければならないと考えておるのであります。
  141. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今の問題も、先程あれですが、親委員会の方で尚審議することになつておりますから、時間もありませんのでこの辺で……    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  142. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) 大体皆さんもお心持はお揃いのようでありますから、意見は尚十分本委員会の方でお述べ頂くとして、本日はこれにて散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 三島通陽

    ○委員長(三島通陽君) ではさようにいたします。    午後五通三十一分散会  出席者は左の通り    委員長     三島 通陽君    委員      松野 喜内君            鈴木 憲一君            梅津 錦一君            岩間 正男君            山本 勇造君            大隈 信幸君            藤田 芳雄君   委員外委員            木内キヤウ君            高良 とみ君   委員外議員            河崎 ナツ君   政府委員    文部事務官    (社会教育局    長)      柴沼  直君   法制局側    法制局参事    (第一部長)  今枝 常男君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君            岩村  忍君