運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-05-21 第5回国会 参議院 労働委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和二十四年五月二十一日(土曜日)    午前十一時五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 五月二十日(金曜日)委員水橋藤作君 の辞任につき、その補欠として千葉信 君を議長において選定した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件労働組合法案(内閣提出、衆議院送  付) ○労働関係調整法の一部を改正する法  律案(内閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) これより労働委員会を開会いたします。労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案に対しまする質疑は、終局をいたしましたので、これより討論に入ります。労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案について御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。尚御意見のある方は討論の段階にお述べ願います。討論の時間につきましては、両案を通じて各委員割当十分以内といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めこれより御意見のある方は漸次御発言を願います。
  4. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 日本社会党本案に対して修正案を以ておつたのでありまするが、正式に修正案を提案いたしますにつき、各派との交渉連絡並びに関係当局の了解を得て正式に修正案を出すことにいたしましたのですが、この討論を通じて私達日本社会党修正意見を述べたいと思うのであります。労働組合法に対する社会党の修正は、先ず第一章総則の第一條を現行通りに改める以下原案は全文口語体に書き替える。  第二條第一号前段として「使用者又はその利益を代表するものの参加を許すもの」を加える。「機密事項に接し」を「機密事項の決定に参画し」と改めまして、「労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」を「労働者使用者の利益を代表する者と認められる」と修正、第二項但書中「労働者使用者との合意に基いて労働時間中に時間又は賃銀を失うことなく組合の会議を開き又は使用者と協議し若しくは交渉すること」と修正、第五條労働組合として設立されたものの取扱いに関する項でありまするが、現行法通り届出制とすることと主張するものであります。  第五條から第八條まで次の如く修正する。第五條、労働組合代表者は組合設立の日から二週間以内に設立の年月日規約並に役員の氏名及び住所を都道府縣の長に届け出なければならない。  2、前項の規定により届出をした事項に変更を生じたときは二週間以内に都道府縣の長にこれを届出なければならない。  3、第一項の規定により届出をした労働組合解散したときはその精算人又はこれに準ずる者はその解散した日から二週間以内にその解散の年月日及び解散の事由を都道府縣の長に届出なければならない。  第六條 労働組合として設立されたものが第二條に該当せず若しくは該当しなくなつたときはこの法律及び労働関係調整法の規定による権利保護を受ける手続に参與することが出來ない。  2、都道府縣の長は前條第一項又は第二項の規定により労働組合として届出したものが第二條に該当せず若しくは該当しなくなつたと認めたときは労働委員会決議に基いてこれを決定する。  3、労働委員会労働者労働組合使用者若しくはその團体その他の関係者から申請があつたとき又当該都都府縣の長から請求があつたときは労働組合として設定されたものが第二條に該当するかどうかを決定しなければならない。  第七條、原案第五條第二項とする。  但し第四号中「宗教」を「信條」と修正。  第七号「すべての財源及び使途」を「すべての收入及び支出」に「職業的に資格がある会計監査人」を「公正な会計監査人」に修正。  第八條都道府縣の長は労働組合として設立されたものの規約が前條に規定する要作を満さず若しくは満さなくなつたときは労働委員会決議に基いてその変更を命ずることができる。  第七條第一号通り。  第二号中「雇用する労働者代表」を「労働組合代表者又は労働組合委任を受けた者」と修正。  第三号但書は第二條第二号但書の修正に準じて修正する。  第四号、労働関係調整法による労働爭議の調整をする場合に労働者が行つた発言、又は労働者が正当な爭議行爲をしたことを理由としてその労働者解雇しその他これらに対して不利益な取扱をすること。  第三章労働協約のうち原案第十六條中「待遇に関する基準」の次に「その労働協約によつて基準決定のために設けられた機関があるときは、その決定した基準を含む」以下同じを挿入する。  第四章労働委員会の原案二十四條、これは公益委員のみで行う権限であります。即ち但書を削除、これは五條の修正に関連して届出るように改めることであります。この法律施行の際、現に有する労働協約であつて、第十八條第二項の規定に違反する條項を含んだものについては、その條項を除いた部分がその労働協約有効期間中効力を継続するものとす。  大体以上の修正案を持つておつたのであります。その修正案について極く大まかに二、三の点について尚補足いたしたいと思うのであります。補足意見を申述べる前にこの法案の改正手続についてでありますが、我々は労働省試案が発表された際に、この非民主的な改正試案に対して反対の意を表したのであります。労働関係規制の重大性に鑑みて、民主的労政審議会を設置して、各階の意見を公正に反映させるべきだと主張して、今回の改正案が、試案の一部の改正の形式が、全般に亘つての改正形式に変更されておりますので、現行法に対する全部の修正の形式をとつている点から見ても、改めて労政審議会なるものをして詳細に内容手続がなさるべきことを主張したのであります。然るに政府は今回の最後案を出すに際しまして、飽くまで秘密主義をとつてその意見さえも発表しなかつたのであります。これは飽くまで官僚独善主義の現われであつて、こういう手続の仕方というものに対して、私は先ず賛成しかねるのであります。反対いたすのであります。と申しながらも私達は内容に謳つてありますが、或る一部の立場の人達のように、無批判的に症正の要なしとして我々は反対いたしておるのではないのであります。改正の必要な要点は認めまして、我々は賛成すべきものには賛成し反対すべきものには修正する態度を最初からとつたのであります。試案発表後の我々の行動、並びに最後案をいよいよ示されるに当つての我々は行動及び國会内における我々の態度というものは、始終一貫その態度をとつたわけであります。そして衆議院におきましても我々は修正箇所における我々の立場から働きをいたしたのでありますが、修正された以外に我々の意見というものを用いられなかつた、その修正意見に対する最後の最低の修正意見として、今日参議院においての修正案を我々は持つて現在申上げましたような意見を、我々は通したいと思つたのであります。そういうような立場から先ず我々の立場をもう少し詳細に亘つて申上げます。先ず第一條における目的の一項であります。現行法の規定は簡潔にして要を得ているに反して、改正案は非常に説明的で曖昧であります。この間から討議中に見られたことによつても、明らかなように当然示されるべき條項が示されていないのであります。即ち憲法二十八條で完全に保障されている、労働者の團結権、罷業権、爭議権、これらのものを保障するに対しての表明が非常に曖昧であるのであります。我々は飽くまでこの一條においては現行法を主張して止まないのであります。尚第二項に今一つ附け加えたる但書の暴力行爲云々に至つては、この項の不当濫用される虞れは、これは明白なのでございます。かかる規定の存続は絶対に私は反対いたすのであります。故に第一條においては現行法を支持いたすのであります。第二條においては意見として詳しく述べましたので省きまして、第五條いわゆる労働組合現行法における届出制を認可制にしたことなのであります。最初の試案が出たときに我々はこれに対する反対意見を申述べていろいろ運動した結果、この試案と改正案とを比べますと、例えば都道府縣の長が規約変更その他の勧告の権限を有し、労働委員会権限資格判定ができると非常に曖昧であつたのが、この改正案では労働組合は、労働委員に証拠を提出して組合法の規定に適合することを立証しなければ有資格者たるを得ないというように、幾分かの改正はいい方に行われておるのであります。併しながら飽くまでこの今度の労働組合成立に対する、手続に対する方法というものは、從來の届出制を完全に認可主義的制度にしておるばかりでなくして、尚内容に亘つては組合の記載事項を細かにまでタツチし、全然その内容に至つては、会計檢査院に対するような、職業的檢査院の会計檢査を必要とするように、非常に組合内部まで干渉的な行き方を進めておられるのであります。我々は飽くまで第五條からの認可主義的の行き方に対しては反対し、飽くまで現行法の届出制を取られんことを我々は主張するのであります。  それからちよつと飛びまして、十五條の有効期間並びに存続期間の制定で、労働協約内における協約でありますが、まあ有効期間とか、存続期間制限はいいといたしましても、それ以外にこの法によつて触れておるところの例えば專属者の問題、いわゆる專從員の問題でありますが、こうした問題における從來の労働協約によつて、我々が獲得されている條件については、この年限と期間以外のことに関する以外においては、当然その有効期間、現在締結されておる労働協約有効期間内には当然認めて行くべきだと思います。これに対して深入りするということは如何にも干渉甚だしいと思います。この点についてはこうした修正意見を持つものなのであります。  次に労働関係調整法の改正案に対してでありますが、これも僅かな簡單なることでありますが、第十一條に新たに加えました一項を削除する我々は修正意見を持つておるのであります。即ち労働委員会の委員は斡旋員候補者であることができないということでありますが、これはもう説明を要するまでもない、斡旋と調整との非常な関連性を政府は明確にするためだということでありますが、これは非常にデリケートな問題があるのでありまして、労働委員が斡旋員になれないということは、却つて私はスムーズに行く斡旋なり調停のこの事件等が、却つて阻害を來たすのだという立場から、こうした修正意見を持つておるわけなのであります。我々はこれに対する多くの意見を持つておりますが、我々は以上の最低の修正意見を示して、その修正意見の立場から、我々は今日の情勢において相容れない原案に対しては反対いたすものであります。
  5. 田村文吉

    ○田村文吉君 緑風会代表して簡單に両案に賛成の理由を述べたいと思います。この度提案されました労働組合法及び労働関係調整法の改正案は、労働組合の民主性並びに自主性に対する規制を使用者側の不正労働行爲の取締及び労働委員会、特に在來の中立委員の権限の拡大等、これを終戰直後でき上つた旧法に比べて、若干でも整頓改善を示したものとして賛意を表する次第であります。ただこの改正が労資間の権利義務を明らかにせんとする、いわゆる取締及び規正の末梢に流れ、ややもすれば欧米組合法の模倣を整備するに過ぎなかつた点において、大いに失望を過ぜざるを得なかつたのであります。なぜかならば日本には日本特殊の憲法にふさわしい、又窮迫した日本の現状に適合した労組法なり、労調法なり、將又労働基準法でなければならん筈であります。日本昭和二十二年五月三日を以ちまして、その憲法において、「日本國民は、正義秩序を基調とする國際平和を誠実に希求し、國権の発動たる戰爭と、武力による威嚇又は武力の行使は、國際紛爭を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」旨を世界に宣言し、且つ実行に移つたのであります。思うに眞に万邦の平和を冀う眞の平和國家は、國内においても眞に平和を愛好する國民の一人一人によつて構成せられるものでなければなりません。  つらつら終戰後の國内の情勢を見まするに、民主々義と階級鬪爭を混同し、組織労働者を駆つて陰に陽に連繋せしめて、階級鬪爭を宣言し、勢の赴くところ、政治的鬪爭にまで展開して、大衆の幸福と、社会平和を蹂躪するがごときは、かの昔清盛入道が、下に鎧を着て上に法衣を纒うものと、何の異なるところがありましようか。  ストライキその他の爭議行爲は、いわゆる武力の行使であります。國際間の紛爭の解決として武力の行使を禁じた日本が、なぜに國内の労働爭議に、これらの武力の行使を廃止することを考えなかつたのであるか。  次に日本は未だ貧窮のどん底にあります。恥かしながら未だ外國の援助を受けているのであります。せめて人並の生活に達するためには、尚十年を忍ばねばならんと思うのであります。この際この秋こそ、労使おのおの良識を発揮し紛議の平和的解決に徹底して、産業平和を固守し、生産の増強、経済の興隆に寄與すべきであるのであります。  以上の二点が日本として富有な、而も武力を捨て切れない欧米と根本的に相違する点であります。労働立法、殊に新憲法実施後、最初の根本法の改正に当りましては、この点に十分の認識を持ちまして、飛躍的に独創的に日本労働立法こそ、世界のパイオニーアたる誇りと抱負とか以て、出発して貰いたかつたのであります。  過去三年間のいわゆる爭議行為のために、労働者、経営者とも、どれだけ多数の人が無益に精力と富を消盡したことか、又どんなに生産復興を阻害したことか、計り知ることができないのであります。將又少数の英雄ができ上つた反面、いかに多数の有爲な青年がその前途を誤つたことでありましようか。すでに今日まで爭議行為に関し、刑法上の起訴を受けた者だけでも、三百人になんなんとしているのでありまして、眞に戰慄と同情を禁ずる能はざる次第であります。  私は民主的な健全な労働組合発達を希います。又対等にして秩序的な團体交渉の運行も衷心から冀うところであります。併しその如何なる場合でも武器を取り、戰端を開かしめてはならないのであります。公正にして、労使の心服を得る公益委員の選任及びその位置の安定を図り、労使間の紛議の纒まらないものは最後に仲裁によつて、必ず終結することになれば、不祥なる武力の行使はなくて済み、この間生産を停止したり、業務を休止したりする必要もなくなるのであります。折角今度の労組法、労調法の改正に当りまして、これらの点が採り上げられなかつたということは、労使双方のため、又國民のため遺憾に存ずるところでありますが、要は労使未だその自覚に達せず、客観情勢の機運熟せざるためとあきらめまして、今回の改正は、この程度を以て、一應了承賛成の意を表する次第であります。
  6. 千葉信

    ○千葉信君 私は両法案に対して反対の意見を表明するものでございます。  政府は本法施行三年の経驗に省みて本改正案を提案するものであるというが、その経驗とは飽くまでも日経連等の一部資本家の買弁的立場に立つての経驗であり、輿論の支持のないことは、本改正案が数字に亘つて修正された経緯に見ても今や明白である。本法のごとき日本民主化上重大なる法律の改正に当つては、廣く國民の輿論の聞くという態度を執るべきであり、特に憲法違反の疑のある本改正案のごときは、憲法第六十九條に準じ、國民投票のごとき措置によつて改正の可否を決すべきで、非民主的な、独善的な本改正案の提案そのものに私は先ず反対である。労働組合法立法の根本は、單に労働者の諸権利を守らんとしたものであるに止まらず、日本におけるあらゆる保守的、反動的、独裁的諸傾向を紛碎し、戰爭挑発者たる軍閥、財閥及びこれと結托した官僚政治勢力を駆逐して、眞に民主的な平和國家を育成再建するための中心勢力として、労働者経済的、社会的、政治地位の向上を必須のものと考えられたものである。然るにこの労働者を中心とする民主勢力の擡頭によつて、一時徹底するかに見えた國内の民主化が、近時漸く反動化しつつある諸傾向が随所に現われつつある今日、憲法二十八條に規定する労働者の諸権利保障するどころか、むしろこれを抑圧し、取締法たらしめんとする改惡の方針に対しては、國内民主化に逆行するものであるという立場から反対せざるを得ないのであります。  以下、特に労働組合法について具体的に主なる反対の理由を述べたいと思うのでございます。本改正案第五條第二項第四号が、憲法の再録であるに拘わらず、信條の字句を削除したのは、信條の如何によつて差別を加える意図を蔵するものであると解さざるを得ないものであつて、かくのごときは、明らかに「すべて國民は、法の下の平等であつて、人種、信條、性別、社会身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という憲法第十四條の精神を蹂躪するものである。更に又第二條第一号は、多数労働者組合員より排除し、非組合員たらしめ、労働者の團結を妨害して、その分裂化を意図したものであり、特にその表現が油象的で、必要によつては拡張解釈の危驗があり、一事業場における該当労働者は少くとも四分の一か、五分の一の程度のものが含まれる虞れがある。第二号における主なる経費が、單に経費に置き換えられたことに対しては、組合の自主化を促進するためであるとの説明であるけれども、未だ労働組合発達途上にあつて、少くとも財政上一様に困窮しつつある現状をことさらに無視して、原則的な枠内に落し込むかかる法制化は、組合の弱体化を意図する以外何ものでもない。その他第一條第二項において、暴力行爲を云々し、或いは第二十四條、公益委員の廣汎な権限拡張等、随所に承服し得ないものが多々あるが、詳しくは本会議の討論において意見を開陳することとし、以上を以て本委員会におけるところの反対討論とする次第でございます。
  7. 平野善治郎

    平野善治郎君 私は民主党代表いたしまして、両法案に賛成するものであります。労働組合法並びに労働関係調整法の改正につきましては、労働者権利の擁護、組合の発展等につきまして重大なる意議を有することは言うまでもありません。從つた我々といたしましても重大なる関心をもつて両法案に檢討を加えて來ておつたのであります。政府においてもしばしば試案を出し、その後これをたびたびに亘つて変更して來ておつたのでありますが、試案によりまするというと、いろいろ労働権の保障、或いはその他労働者保護組合の発展等につきまして、現下の組合地位並びにその自覚等より見て、多少行過ぎの点があつたように思つたのでありまするが、今回提案になつたものは、これらの試案よりも一歩行進をした法案と我々は解釈したのであります。併しながら、数多くの修正を必要といたしましたので我が党におきましては、衆議院においてこれができる範囲内の修正案を提出いたしまして改訂を加えたのでありまするが、併しながら今この法案を見ると、まだその表現において労働者保障保護より取締り、或いは考え方によつては彈圧を予想せられるようなところがないでもないということは、すこぶる遺憾とするところであります。從つてこの点は我々も委員会の審議の際において強く指摘をしたところであります。これに対して、政府の意図は民主的にして自主的な、責任的な労働組合発達を希つておるのであつて、決して取締り的或いは彈圧を予想しておる法案ではないということを極言しておるのでありまして、一應その点でもつて了解をするものでありまするが、これが実施に当りましては、十分なる注意と周当なる監督を加えまして、関係各方面との連絡調整の上、本法の趣旨、即ち先きに申上げました民主的な或いは自主的な組合の健全なる発達と反する方向に決して陷らないように、十分の注意と対策を強く希望いたしまして、両法案に賛成する次第であります。
  8. 中野重治

    ○中野重治君 日本共産党は、この二つの法案に反対します。その理由を簡單に述べます。  先ず第一には、この法案を審議するのに当つて、その審議が政府側によつて説明上妨げられたということを挙げなければならない。これは今まで法案本会議に上程される場合、委員長によつて説明がなされますが、その場合しばしば委員の熱心なる質問に対して政府側が懇切なる答弁を與えたというようなことが言われておるけれども、この二つの法案に限つては政府の答弁は不親切を極めた、客観的にはこれは審議を妨害したと言わざるを得ないということを強張しなければならない。実例を挙げれば、例えば暴力規定を挿入するために、或いは組合会計を上から入つて來て監査しようというような形に持つて行くために、最高裁判所の出した労働関係事件判決集の中から、そういう意図を裏附けるのに適当と政府の方で思われるものだけを原資料を添附しないで我々に配付をしたのであります。これはその暴力問題が裁判でさえもまだ最終決定を見ていないのですから、それが組合側の暴力にあるか、惡い資本家側の暴力にあるか、ということは未決定である。そういうものを出している。会計問題に関しては経費者の紊乱については触れない、國家支拂いの遅延については資料を出さないて、組合会計に関係した一、二の人が金を使い込んだというようなものだけを持出して來ておる。こういうことは何らか腹黒い企みを持つているのでなければ、人間としてなし得ないところであります。この問題は昨日になつてやつと問題になつた横須賀地方組合のサイン問題に関する説明において一番よく現われている。これは非常に大事な問題であるから、委員会において質問が出されたのに対して、政府則の答弁の仕方が極めて曖昧であつたために、一部の委員の間には、この問題がこの二つの法案を審議するのにどんな本質的関係があるのか分らないという意見が出る程、あの政府側の答弁は不親切を極めた。こういうことは我々としてはこの二つの法案を本当に眞面目に審議するに際して、政府側が出したところの妨害行爲であるとこう認めざるを得ない。  両法案の中に入れば、第一には、これはすべてに亘つて労働組合を弱める。これを上から取締る、こういう方針でできております。そのことは第一條の規定によく現われておる。これは現行法の規定がよしんば完全でないまでも、改正案の規定は極めて不完全であるのみならず、了解に苦しむ。これはすでに今迄に記録にも載つておりますが、「本法ハ團結権ノ保障及團体交渉権ノ保護助成ニ依リ労働者地位ノ向上ヲ図リ経済ノ興隆ニ寄與スルコトヲ以テ目的トス」というのは、欠点があろうとも明瞭である。改正案では「この法律は、労働者使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者地位を向上させること、労働者がその労働條件について交渉すめために自ら代表者を選出すること、その他の團体行動を行うために自主的に労働組合組織し、團結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約締結するための團体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。」こういう、一層問題を具体化し明確化するためだと言いながら、こういうふうに曖昧にすることは、やはりさつぱりした氣持で問題を進めようとする人間の採らないことであつて、このことも組合弱化を目的とするということが明らかです。  それから一方では労働者陣営の分裂を策している。労働者というのはかくのごときものであると基本を規定しておりながら、守衞は労働組合に入れないとか、タイピストはそこから除いてしまうというようなことを、勝手にやつている。專從者の給與の問題はすでに明らかな問題です。日本労働者が鬪爭によつて獲得したものを、それを資本家側が経済的に援助するのだというように、鶯を烏と言いくるめようとしている。  更に問題を労働委員会の問題にすれば、政府労働委員会というものを政府行政機関の中に組入れて、これを役人化そうとしている。そうしてこの役人化された労働委員会を使つて、組合許可するとか認可するとか、まるで警察が或る種の営業を取扱うようなやり方に持つて行こうとしている。このことは公益委員の方で取扱う裁判的の問題を全く天降り的に挿入したことによく現われている。何故公益委員のみがあれを取扱わなければならんかという法律哲学上の問題は全然説明されていない。政府がそうやりたいからこれは天降り的に挿入するのだということになつている。こういうことはすべて一方からいうと、憲法及び十六原則に保障されているところの労働者の爭議権、ストライキ権の否認の立場に立つている。このことは本会議労働大臣自身も言明しております。このストライキ、特に政府ストライキ、同情ストライキ等々の否認ということは、資本家の中でも特殊な性質を持つている渡邊銕藏氏なんかが公聽会で述べていることと客観的に一致している。そうしてそういうスト否認の立場に立つて、ストライキに関して、一方ではストライキ否認するものではないと言いながら、ストライキ開始は実質上妨害されるごときところへ例の無記名投票を上から下まで國全体に亘つて強行しようということで、実質的にこれを妨げようとしている。こういうことは衆議院参議院両方の公聽会、それからそれ前に全國のブロツクで開かれた公聽会における労働者側の意見を一つも取上げていないということを裏書しております。特に今度の改正に関して特徴的なことは、さつきにも触れた暴力規定を挿入して、この暴力という言葉で組合の活動を取締ろう、彈圧しようとしているところに現われている。政府自身の言葉によつても、それから我々の言葉によつても、民自党その他の資本家的立場にある人々の言葉によつても、労働組合の活動において暴力の問題が次第に減つているということは皆一致して認めている。而も一致して認めているものを無理に暴力規定を挿入しようとし、他方では同じくもうそんなことは消えてなくなつているところの門地とか、身分によつて組合組合員を差別してはならないというようなことを無理に生かそうとしている。一方では戰爭後三年乃至四年の経驗に即して実地に合せて法律を改めると言つておりながら、実地に合わないように改めようとしている。この暴力の問題については特に我々はこういうことを読まなくてはならん。形の上の暴力ということが問題なんではなくて、それがどういう歴史的方向をとつているかということを我々ははつきり認めなくちやならん。アメリカ独立する際には明らかに暴力の上に立つたけれども、これは歴史法則に立つてアメリカの國の発展の方向に立つておつたからこれは正しかつた。こういう場合によく公共の福祉ということを振かざしてこれを鎭圧しようとするのだけれども、この公共の福祉ということを看板にしてこれを抑えようとするそういう行き方程、そういうことをしようとするものの性質を明らかにするものはありません。パリーコミユーンのときにテイエール政府は、國をプロシヤ軍に賣つて置いて、そうして公共の福祉という布れでパーコミユーンに対して大砲を向けた。大体日本において終戰後隱退藏物資の摘発とか、或いは惡い質本家に対する労働者側の鬪爭というようなものが、それまでの日本の警察の行き方によれば暴力的行爲であると、認められるような現象を伴つたということは、これは或る意味で自然であつて、若しそうでなかつたならば、その後政府法律を出してまで、この隱退藏物資の摘発ということに國家として乘出すようなことはなかつたでしよう。我々は個々の暴力の発現形態を捉えるのではなくて、それがどういう事情によつて発現して來たかということを捉えたとき、初めて暴力的な形に問題が爆発しないように自然に、眞直にことを運ぶことができる。これこそ政通的にこの種の問題を扱わねばならん基本態度であるのに、その逆をやつている。このことは民自党が統一ある政府であるならば、他の法律或いは法律案との関係においても見られなければならない……。
  9. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) すでに二分超過いたしました。制限時間十分であります。
  10. 中野重治

    ○中野重治君 首切法その他國家支拂の遅延の問題、或いは非常に目立つ財界追放者の解除の問題、こういうものと結付けて、この労働組合法の改正案及び労調法の一部改正の問題が出たことは非常に意味がある。それだからこういう事態に面して日本の全労働者が反対しているということは正しいのであつて、我々はこの改惡案に反対するすべての人々と共に以上のような理由を、理由の一部として反対するものであります。
  11. 一松政二

    ○一松政二君 私は参議院における民主自由党代表いたしまして、この二つの法案に賛成いたすものであります。いろいろ反対及び賛成の議論を伺いましたのでありまするが、凡そ法律はその國の実情を無視して制定されても、それは結局励行することがむつかしい、或はいろいろな弊害が起る。終戰後にまだ日本の國民或いは國家の状態が安定せざる前に一つの理想的の労働組合法として私は現行法案が出されたと思うのであります。その法案の趣旨に從つて法案を理想とするところを、或いは日本の國民、或いは國家、或いはその労働者、或いはそれを指導する方々が、その法の目的通りに、理想通りに行動が取られておつたならば、敢て改正の必要を認めるようにはならなかつたであろうと思うのでありますが、日本労働組合、或いは労働運動はまだ始まつて以來三十四年の経過しか見ていないと私は思うのであります。欧米における労働運動は百年以上の歴史を経ておると思いまするし、又國民性としても重大な性格上の相違或いは慣習上の相違もありまして、徒らに欧米流の権利義務思想に根差した理想的な法案日本國民のまだ民主化途上にあり、民主化を称えて幾年にもならないものに、そういう法律の励行を求めても各種のところにその國民性と一致せず、或いは日本の置かれておる國際的な地位、或いは経済上の諸制約から実情に即しないものが多々できて來たことは皆さん御承知の通りであります。それで政府におかれましても今回この組合法案の改正案を出され、或いは労調法の改正案を出されたということは、過去の実績に徴して私は当然なすべきものをなされたと信ずるものであります。英國におきましても、アメリカにおきましても、いろいろ労働運動の過去の歴史によつて、そこに労働者権利を伸張するために作つた法律が、却つて逆効果を示してこれを制限規定に持つて行つたということは歴史の示すところでありまするし、現在皆さん御承知の通りタフト・ハートレー法案につきましても、アメリカが現在大統領これをリピールするということを國民に公約して置きながら、民主党が多数を持つておる議会においてこれをもて余しておつて未だに結着がつかん実情であります。でありまするから私はこの法案の詳細に亘つて檢討すれば、いろいろの立場において議論もあると思うのであります。それらにつきましてはすでに皆さんから大略の討論がありましたから、私はこれに触れることを避けまして、民主自由党といたしましては、我々が考えるところとは完全に一致するものではありませんけれども、先ず現行法の優ること万々であるという点に滿足いたしまして本法案に賛意を表するものであります。
  12. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 外に御発言ございませんか……。他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に移ります。先ず労働組合法案につきまして、衆議院送付原案通り可決することに御異議ない方の御起立をお願いいたします。    〔起立者多数〕
  14. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 多数であります。よつて本法案衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――
  15. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 次に労働関係調整法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院送付案通り可決することに御異議ない方の御起立をお願いいたします。    〔起立者多数〕
  16. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 多数でございます。よつて本法案衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨並びに表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。  次に本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本案を可とせられた方は、順次御署名をお願いいたします。    多数意見者署名     門屋 盛一   田口政五郎     岡田喜久治   一松 政二     平野善治郎   波田野林一     早川 愼一   田村 文吉     竹下 豐次
  18. 山田節男

    ○委員長(山田節男君) 署名漏れはありませんか。署名漏れはないものと認めます。これを以ちまして今日の労働委員会は散会いたします。    午前十一時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            一松 政二君            平野善治郎君            早川 愼一君    委員            原  虎一君            村尾 重雄君            岡田喜久治君            田口政五郎君            門屋 盛一君            竹下 豐次君            波田野林一君            田村 文吉君            中野 重治君            千葉  信君   委員外議員            藤野 繁雄君            佐々木鹿藏君   國務大臣    労 働 大 臣 鈴木 正文君   政府委員    労働政務次官  宿谷 榮一君    労働事務官    (労政局長)  賀來才二郎君