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1949-10-07 第5回国会 参議院 文部委員会 閉11号 公式Web版

  1. 昭和二十四年十月七日(金曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る調査の件  (大学及び地方教育事情に関する  件)   ―――――――――――――    午前十一時十九分開会
  2. 田中耕太郎

    ○委員長(田中耕太郎君) それでは今日の委員会を開会いたします。ちよつと初めに傍聽人の方に念のために申上げて置きたいと思います。傍聽を希望される方は予め部屋にお入りになる前に許可を得て頂きたいと思います。今日は特に事後において傍聽を許可いたしますから、今後はそういうふうに、或いは委員を通じ、或いは私直接に、初めから許可を求めてお出でになるように、さよう心得て頂きたい。  今日の議題は文化財保護法でございます。併し緊急な問題について質疑をされる方がおありのようでありますから、御異議ありませんければさようにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちよつと緊急に質問いたしたいと思うのでありますが、最近大学高專の教授の人達の間に、大分教職を追われるというような事実が起つております。そしてそれとまつわつて最近相当大量の首切が行われるのじやないかというようなことが港間で取沙汰され、それに対して又新聞がそういう情報を提供し、又これに対するところの当事者間に非常に大きな問題が起りつつあるのであります。更に又中学校、小学校、こういう方面においても、これは第五國会におけるところの大臣の答弁によつて、中学校、小学校には首切はない。これは行わない。こういうようなことが第五國会で言明されておるのに対しまして、それを信頼して中学校、小学校の諸君は今まで教職を守つていたのでありますが、最近必ずしもこれとは同じような方向でないことが地方で沢山起つております。そのために又非常に職場の不安というものが釀されているようであります。こういうような情勢に対しまして、文部省はどの程度の情報を現在集めておられるか、これに対してどのような考えを持つておられるか、最初に先ず伺いたいと思います。
  4. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 先ず第一に、最近國立の大学等におきまして、教職員の解任等の事実が頻繁に起つて來ておるという問題でありますが、それにつきましては、文部省としてどうしろというようなことを具体的に指示したことは一切ありません。ただ私は私の就任以來教育界でも可なりに秩序が混乱しておる状況がありますので、これは何とか秩預の確立を図らなければならんということは特に考えておりました。就任以來機会のある度に当局の方に会えば、その点について十分に注意して貰いたいということは言つてあります。そうして特に破壊的な言動とか、暴力的な行動というようなものは飽くまで排除する方針でやつて貰いたいということは言つておりました。併し具体的にどういうことで、誰をどうしろとか、そんなことは一切私として指示したことはないので、地方でいろいろ今お話があつたようなことが実際に或る程度行われておるとすれば、文部省がそういうことで指示してやらしたというわけではありませんで、やはりこの学校の方針によつて学内の秩序を確立し、教育を確立して行くについて、何らかの事由があつてやつているわけであると私は解釈しております。  それから地方の公務員である教職員の方々についても、同じような傾向がありますというお話でありますが、これについても同じことでありまして、私から何も具体的に指示したことはなく、地方の教育委員会等におきましていろいろの事情を斟酌して考えてやつておられることだろうと考えております。
  5. 岩間正男

    ○岩間正男君 今大臣の答弁によりますというと、まあ文部省からは別に具体的の指示はしたことはない。併し大臣は秩序を紊した者、破壊的な者、暴力的な者については、これは排除するというような方針を立てて來られた。こういうことでありますが、そういうように指示、並びにそれは学長、学内の判断においていろいろなその処置がとられていると思うのでありますが、これに対して我々の現在いろいろ知り得た範囲内では、非常に学問の自由、自主性というものがこういうような処置によつて奪われようとしている、そういうことが頻々として起りつつあるようであります。そのために最近例えば九月の二十二日でありましたか、全國大学教授連合評議会で、南原総長名での「学問の自由と大学教授の地位」と題するアッピールが出されて、それが非常に大きな問題を投げかけておる。大体これについては、要旨を申上げますというと、  「全国大学教授連合は、我が國大学教授会が遺憾なくその本來の使命と、社会的責務を遂行できるよう研究及び教育に必要適切な諸條件の確保に努力して來た。又現に努力しつつある。從つて本連合は大学教授の任免が教授会乃至評議会の公正な議決を経て、愼重に行われなければならないことを確信し、殊に大学教授自身の意思に反する降任、又は免職の問題に最も深い関心を拂わざるを得ない。そうしてその場合市民として現に合法的に認められる政党に加入しているという單純なる事実を以て直ちに右降任又は免職の理由とすることは憲法の保障する学問の自由に照して妥当でないと考える。  他面において我々は大学教授に許容された自由が濫用されないよう嚴重に自粛する責任を忘れてはならない。大学教授の職責にもとるような言動に出ることは最も戒めなければならない。本連合はかかる自粛自戒の推進励行をこの重大職能のうちに算えている。要するに全國大学教授連合は大学教授の現実行動に徴することなく、單純に政党加入の事実を理由として教授を降任若しくは免職させることを正当と認め得ないものである。」というような、大体以上のような要旨の声明が発表されておるのでありますが、文部省はこのような声明について御存じあるかどうか。それから又こういうような声明をどのように考えておられるか。殊にこの声明の要旨としますところの大学の自治は飽くまでも学内の自由によつて、そうして自主的にこれを決定されなければならない。それから大学教授のいろいろな研究の自由、それから政党加入の自由、こういうものについてはこれは守られなくちやならない。無論そこには教授としての自粛する面にも触れておるようでありますが、要するにこういうような自由が奪われるというと、過去の再び戰爭中、或いは戰爭前のようなあの不当彈圧に曝された時代が來ることを非常に恐れておるような声明が出されているのでありますが、こういう点について文部省はどういうような見解を持たれるか。又今日の新聞を見ますというと、この問題について例えばこれは毎日新聞の記事によりますと、これに対しまして学術研究会が非常に大きな関心を持つている。この毎日の記事を読みますと、「日本学術会議は学術研究機関の人事については学問、思想の自由を尊重することを念とすべきであつて、單に政党や所属党を事実上の理由として処置さるべきでないと考える。また大学においては学問の研究に関する教授会の権限が外部より政治的理由などで左右されてはならないと考える。」というような趣旨の声明が発表されているのでありまするが、これは当事者間にこのような大きな、一つの現在の傾向に対するところの態度の表明があるのであります。これについて文部省はどのように考え、どのように処置されるとお考えになつているか、この点をお伺いしたいと思います。
  6. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 先ず第一の点の大学教授連合の決議の問題でありますが、これは私も読んで知つております。そして大体にやいて決議で言われているところは妥当と考えております。つまり如何なる政党でも、合法的に認められております教党の政党員であるという理由によつて退職をさせる、こういうことは不当であるという点は、これは当然であろうと私は思つております。  それから学問の自由、思想の自由というものが大学にとつて極めて重要な問題であつて、これは守られなければならんということも全く同感であります。ただ併し学問の自由、思想の自由の解釈については、いろいろ違つた解釈もあるかも知れません。又それについての教育基本法等による限界もあります。それらは当然考慮されなければならないことでありますが、眞の意味における正当な学問の自由、思想の自由は飽くまでも守るべきであると考えております。  それから学術会議の決議のことでありますが、これは私は知らなかつたのでありましたが、昨夕電話で聞きまして、それから今日の新聞で読みまして、只今岩間委員のお読上げになつたものを読んでおります。これも大体において教授連合の線と同じものであろうと解釈しております。でやはりどんな政党でも合法的に認められている政党員であるという理由によつて退職を強要されるということがないのはこれは当然だろうと思う。それから思想の自由、学問の自由の問題も先程申上げたようなわけでありまして、本当に眞の意味における思想の自由、学問の自由というものは守らなければならない、併しそれにつきましては教育基本法等によつてやはり限界もある、こう私は思つておりまして、そういうふうに解釈いたしますと、あれらの決議は大体において妥当じやないかと考えております。
  7. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、無論秩序を紊したとか、破壊的だとか暴力的なるものの解釈、この内容的な解釈が非常に問題になつて來るところでありますが、文部省は今後こういうような一つの現在の情勢、並びにそういうようなものに非常に便乘しまして、そうして何か不当な教授の行動に対しまして故意にそういうような解釈をする、そうして不当な馘首をされるというような事態が発生しようとしておる、或いは又発生したしいうような場合には文部省の、只の大臣のこれに対する方針からしますというと、当然これは、それに対して警告を発し、或いはそういう者に対して処分を與えるということが、又は適当な処置を講ずるということが非常に重要であると考えられますが、そういう事態が発生したときは文部省はそういう処置をとられるか、その点伺いたい。
  8. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) そういう岩間委員のいわれたように故意に事実を捏造するとか何とかいうことで以て処置が行われるというようなことが若し万一あるとすれば、これは不当なことであります。そういう場合につきましては、人事院に訴願をして、そこで以て正当な審査が行われることになると思います。  それから又大学でありますと御承知のように教育公務員特例法がありまして、本人の意思に反して解任、隆任をするにつきましては、管理機関の審査の結集によらなければならないということになつております。学長と雖も勝手にそれはできない。大学教授会なり評議会なりそれらの審査の結果によるのでありますから、岩間委員のおつしやられたような非常な濫用ということは、先ず私共はそういう非常に愼重な機関によつてやられる以上はないと想像をしておるわけであります。で若しありとすればこれは人事院において訴願をされてそこで決定をさるベきものであると思います。
  9. 岩間正男

    ○岩間正男君 例えばこれは富山の大学あたりで起つた問題でありますが、どううも成規の手続が別に履まれたと思われない方法によつて、突然或る教授が呼び出されて、君は辞めて欲しいと言われた、これに対して理由の提示を求めましたところが、理由はどうも言うわけには行かん、理由はここで言うことはできないというようなことでそれを言渡された。從つてそういうような理由が不明瞭なものに対して、飽くまでこれはそれを受けることができないと言つて拒否した。ところがそれに対して二回、三回そういうような強要があつた。而もそういう場合の学長の態度が刻々に変つて行く。最初は何も拠りどころがなかつたようであつたが、そのうちに人事院規則ができて、そうすると人事院規則というようなものが非常に今度は一つの根拠になつて來て、そういうようなものについて今度は何か理由というようなものを段々付けて來るという方法が出ておる。こういうことは外でもいろいろ聞いておるのであります。こういうような事態が発生しておるのでありますが、今の大臣の御答弁からしますというと、非常にこれは不当なやり方じやないかと思うのであります。そうして今のお話では、公務員法があるからこれは公務員法の規定するところによつて異議の申立をして、そこでこの問題を決定すればよいというようなお話でありますが、最近の段階では非常にこういうものが濫用されておる状態が見えておる、從つてどうでしようか、文部省としてはこのような事態を、これは現在の情報の掴み方、それから認識の度合にもよることでありますが、我々の見るところでは非常にこれが大きく動いて教育界に大きな不安を與えているのでありますから、当然何らかの形でこれは通牒のようなものを発することが必要じやないか、そのような不当なやり方に対しては、文部省の方針じやない、飽くまでもこれはこの法の定めるところによつてどこまでもこれは自主的にやるべきじやないかというような通牒を出されることが、非常に、現在の段階においては必要かと考えております。この点文部省はどう考えておるか、又出す意思がありますかどうか。
  10. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今のお話でありますと、現在起つておりますいろいろな事件が当然に不当であるというふうに考えになつてのお話のようでありますけれども、文部省といたしましては先程から申しますように、やはり大学の人事につきましては大学の自治に任すというのが原則であります。で教授会というものがあるのでありますから、そこで以て先ず考えて貰うべきもので、そこで当然とるべき処置として考えられたものについては、先ず原則として文部省は認めるのが当然じやないかと思うのです。併し著しい非常な不当があるということになれば、これは当然人事院の審査にもなるわけでありますが、それ程の不当を私はまだ認めておらないのでありますから、別に通牒を出すというような意思を持つておません。
  11. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはこの前文部省の設置法案が出ましたときにも私は問題にしたのでありますが、文部省は指導監督をするところだというような戰爭前の性格を一掃して、飽くまでもこれは地方の自主性を尊重して、これに対して適切な助言、そういうものをやるような性格に切換えられたことを我々は確認したのでありますが、併しそのときに問題にしたのでありますが、文部省はともすると自分の判断で必要だと思うものに対してはどんどんそういうふうな訓令を出しておる。或いは通牒を出しておる。併しながらこれが日本の民主化にとつて重要である、而もそういう民主化の基礎を非常に危くするような基本的ないろいろな自由、教員活動の自小、こういうものが奪われようとするような段階に対してはなかなかこれを発動されないというふうに私は見る節があるのであります。例えは大学の問題でありますが、最近起りましたところの学校教育法施行規則十三條、これに対しまして第四号を追加して、そうして生徒のいろいろな学内における行動について、これを制限するようなことが通達として出された。こういうことが、これはまだ文部省から正式な報告を受けてないのでありますけれども、そういうことを新聞で我々は知つたわけであります。こういうような面についてはこれは適宜にされるのでありますが、この問題と比較しまして、私は今の大学教授が非常に不当な人事に曝されているということはもつともつと根本的に大きな問題だと考えるのであります。この点から考えまして、生徒の活動に対してこういうような一つの通達を文部省は出す、今の段階においては、これは先程申しましたような問題については通牒を発すべきだという見解を我々は持つのでありますが、この点は如何でございましよう。若しそうでないとすれば文部省は自分の好むところに從つてこれは通牒を出す。而も自分の好まないところに対しては、これは飽くまでも文部省は指導監督すべきじやない、こういう性格によつて大学の自主性に任せるのだというので、そういうところは逃げておられる。こういうふうにしか我々は了承することはできないのでありまして、こういうことの矛盾に対して、大臣はどう考えますか。
  12. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今の点でありますけれども、決して文部省はそういう偏頗な考えを持つておるというつもりはありません。学生の処罰に関する規則の問題でありますが、これは私共から考えますと規則に欠陷がどうもあるという考えからやつたものでありまして、そういう点につきましての学校当局の方々の意見も聽きまして、そうして文部省が勝手に独断でそういうことをやつたというわけではありません。  それからそれと関連して今度のようないろいろの事件が起きた場合に何故通牒を出さんか、こういうお話でありますけれども、やはり通牒を出すか出さないかは文部省の判断によりまして、どうしても出す必要があれば出すということになります。私は先程申しましたように、まだ今度の事件についてはつきりと、非常に不当なことが行われて、それがために教育界、学界が非常に混乱させられておるというふうに判断しておらないので出さない、こういうわけであります。
  13. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうするとこういうことになりますか。つまり判断が大臣と我々では違つておる、從つて現在の段階では出すまでに考えていない。併し恐らくこれについてまだ文部省にいろいろな情報が本当に入つていない、まあ我々の聽きましたのも、これはその全貌じや無論ないと思うのでありますが、それだけでも併し相当な数になるのであります。今後そういうような不当な人事のような問題がどんどん文部省に集まり、そうして文部省はどうしてもこれに対して出すべきだというような判断、又世論もそう認めて、ここに今我々世論の反映するところの國会におきまして、そういう判断がされるというような場合がありましたならば、文部省はそういうような一つの情報の上に立つて、そういう処置をされるということは、これはお考えになつていらつしやるのですか、そう解釈してよろしうございますか。
  14. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) いろいろの問題が起きて、そうしてそれが人事院でも誤つた判断であるというようなことがはつきりし、一般輿論においてもそれが当然であるというようなことになる、そういうことが余りに頻繁に起きて、学界教育界が混乱せしめられるという場合なれば、これはやはり文部省としても考えざるを得ない、こう考えております。
  15. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ申上げたいのは、文部省のそういう処置ですね、これはいつでも手遅れになつておるということがあります。我々はやはり事前にこういうようなものを判断し、これに対して適当な処置をとるということが、やはり爲政者の賢明な策じやないかと考えます。ところが事実今これは認識の程度の問題になりますけれども、我々は非常に大きな危機に立つておると考えます。それは何かと言いますというと、過去に戰爭前並びに戰爭中のこの学の自由というようなものがどんなふうに抑圧され、そしてそれがどのように太平洋戰爭に繋つたかということを我々はまざまざと知つております。日本の戰爭の原因というようなものまで、そういうものに大きく繋つておるのであります。そういう点から考えますと、新らしい性格、つまり精神動員の総本部であつた時代の性格を完全に脱却したと考えられる文部省においては、むしろこういう問題を事前に取上げて、日本の民主化を危うくするような基盤に対しては賢明なる処置をされるということは今日最も望ましい段階ではないかというふうに考える。この問題を先に処置されても私は聊かも不当じやないし、それこそが最も賢明な、そして正しいところの一つの爲政者の在り方だと考えますが、今までの文部省の処置を見ますと、いつも問題の後を追掛け廻すというようなことになつ泥繩式になつてしもうので、正しい一つの指導の方針というようなものが確立しないというふうになると思うのであります。そういう点から考えて、大臣は今の段階においてもうそういう情勢が非常にできつつあると、こう我々は解釈するのでありますが、今の場合ではまだそこまで行つていない、そう考えるのですが、結局この情勢を明敏に察知してこれに対する対策を早急に立てて頂きたい、こういうことを私は要望したい。この点は如何でしよう。
  16. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) その点につきましては、今まで申上げたところで大体盡きておると思いますけれども、第一に教職員についてのいろいろの処置が、つまり本人の意思に反して退職をいたしましたり、解任をいたしましたり、こういう処置をやはり理由があればこれはやらなければならないことだろうと思います。絶対にどんな場合でもそんなことをしちやいかんということは、これは岩間委員もお認めになつておらないので、やはり理由があるならばやるべきだ、やることが本当に学園の自治、学園の自由のために必要なことなので、これは当然認めらるべきものである。ただ理由が甚だ不当である、こういう場合であります、その場合に戰時中、或いは戰前の文部省の態度等が非常に官僚独裁的或いは思想統制的というような点で悪い結果が出て來ておつた、そういうような点から考えても、現在の段階においてこれらの問題を十分愼重に考慮してやらなければならんというお話であります。私の考えでは、戰前或いは戰時中にそういう弊害があつたということからして、文部省としては大学の人事の問題、或いは地方教職員の問題等につきましては、余程今までとは違つた態度で行かなければならん、それでそれがために大学の管理機関の機能というようなものも新らしい特例法で認められているわけなんであります。前には文部大臣が勝手に大学教授を任免できたのであります。今度はそれができないことにされているわけであります。学長と雖もできませんし、文部大臣でもできない、やはり大学管理機関によつて審査をされるということになつております。これを尊重しなければならんと思つております。ですからたとえ一部で甚だ不当なことをやつているというような声がありましたところで、文部省としては先ずそれを飽くまで尊重するという立場で行く、これが戰前、戰時中の日本官僚の弊害を除去するについて一番大切なことであろうと思うのであります。私はそういう考えから言いまして、先ずやはりそういう人事等につきましては、大学については大学に一應任せるという立場で考えておりますので、今まで申上げたような意見を持つているわけでございます。
  17. 河野正夫

    ○河野正夫君 今岩間君の提起した問題について二、三御質問申上げたいと思います。私は只今大臣が最後におつしやつた文部省が統制的な考え方を排除して大学なら大学の自治に任せよう、地方の教育については教育委員会の自主性を尊ぶというような根本的な態度というものについては、当然そうあるべきものであるとこう考え、賛意を表するものであります。終戰後急激に日本人が解放せられたと言うか、與えられた自由を享受と言うか、そういうために、却つて行き過ぎの混乱と無秩序というような状態が全般的ではないとしても相当個々の事象において見られたということも私は認めるものであります。ところがそういう事態のときにはむしろ私は今までの政治家なり官僚なり、いわゆる世の指導者と言われたような人々が余りにも民主主義的な勇氣を持つていない、言つて見れば自由という掛け声に乘せられて、正しいことを主張し、正しいことを正義の上に立つて仮に大衆的な基礎のあるかのように見せかけた論理的な攻勢と言うか、そういうものに対しても、これを断乎として不当を力説するというような勇氣に欠けているという点があつたかと思うのであります。その点においては如何なる党派の主義主張であろうと相当に批判さるべきいろいろなものを持つておつたと思うのであります。それ故にその点で今行き過ぎを是正しようというふうな方向に向いて行くということは、これは或る意味で止むを得ないと言うか、必要でもあるということが言える。けれども今日只今の情勢から言うと、今度は更にその逆な情勢が生れているのじやないかとこう思うのであります。言つて見れば、いろいろな世の中の不安な出來事が累積して來たということのために、そういう人々に或いはそういうことを起した人々というものに対する非難の声が相当に高まつて來た、この情勢を利用して戰後の本当の意味の自由を主張し、人権を主張する立場の者にまでも圧迫を加えるという氣風が一方において生じつつある。それ故に今日只今の情勢から言うと却つて端的に申しますると、或る主義者の人々の理論に対しても、或いは行動に対しても追撃を加えるということの度合を越えて一般的に自由思想そのものに対しても圧迫を加えようという氣風が世間全般として生ずるに章はないかということを私は憂えるのであります。そり故に文部当局としては成る程統制という力は持たないし、又その方向に行くべきではないとしても、更に文部当局がやはり國立大学等を通じて一國文教のやはり中心的位置を占めているという現実の地位に鑑みて、自由の行き過ぎを是正する方向にいろいろと考慮すると同時に、今度は自由を不当に圧迫するような空氣の生れることに対しても十分に愼重な指導ということを行う義務があるのじやなかろうかとこう思うのであります。例えば教育基本法の第八條の解釈にいたしましても、これは文部省としては東京都教育廳からの質問に應じた一應の答は出されておるかと思いますけれども、各都道府郡の教育委員会等における解釈は可なりに行き過ぎがあると私は思う。更に國家公務員法に基いたところの政治活動に関する人事院規則等もこれは解釈のしようによつては大学教授の総合雜誌における経済的、政治的な評論ということをも不可能ならしめる点があるのじやなかろうかと言われるくらいに重大な問題を含んでおると思うのであります。これらについても文部省としては逸早く確乎たる解釈と方針とを闡明する、それが地方教育委員会並びに大学管理機関が直ちに命令として受取らるべきものを出せというのではありません。それだけの権能は文部省にない筈であります。けれどもとにかく文部省としてはかく考えるということを質問に應ずるのじやなくて逸早くはつきりとするということが、これが左に偏せず右に偏せざる本当の中正な指導的な行き方ではなかろうかとこう思うのであります。この点について文部省の今までの態度はやや緩慢であつたということが言えるのじやなかろうかとこう思います。この点についての御所見を先ず承わりたい。  次に國家公務員を初め恐らくは地方公務員も憲法に保障されたいろいろな基本的な人権を公共の福祉という名目の下に可なりの制限を受けておるし、又これからもその制限がされようという情勢にあるのは御承知の通りであります。がこういうことが公共の福祉という意味で止むを得ないとするならば……と申しましても私共は個々の條項については止むを得ないとすべてを了承するわけではありませんけれども、先ず止むを得ないという主張が仮に正しいものであるとしましても、その半面に必ず國家公務員なり地方公務員なりの福利厚生というような面については積極的な保障というものがなされなければならない。これが縦の半面であります。然るにその縦の一面である行動の制限ということのみを強調し、その半面であるところの福利厚生ということについては時節柄止むを得ないのだというような遁辞を構えて何らの努力もしないということであるならば、これは甚だ片手落と言わざるを得ない。それ故に私は第二に御質問したいのは、そういう意味の教員、國立大学が只今のところ文部省としては中心でありましようが、いろいろな面で関係のある地方公務員たる教員についても同樣に、この教員の福利厚生というような常における積極的な工作がどれでけ立てられておるか、又立てようとしておられるか、この点をお伺いしたいのであります。  第三に、最初にもお伺いしたのですが、要するに問題は廣い意味で、やはり自由というものを如何に積極的に守つて行くかという問題になつているのであります。國立大学の管理機関が、仮に岩間君の言われるようないろいろな、いわゆる彈圧というものを行うに際しても、恐らくは自由を確保するという建前の下に行おうとしているんだろうと思うのでありますが、その自由というものの考え方にもいろいろありましようけれども、とにかく具体的に何らかの秩序を紊乱するというようなことのはつきりしている場合はとにかくとして、私の問題といたしたいのは、最初にも申上げた通り、そういういろいろな彈圧が下されるという噂や、まあここにそういうことの行き過ぎがあつたような場合に、本当に中正な自由の立場というものが、やはり崩されて來る。丁度戰爭中に次第々々にそういう空氣が蚕食されたと同じように崩されて來る、この反動を私は恐れるのであります。それ故に文部省としてはこの学徒並びに教職員の自由の積極的な保護のために、如何なる方策を採ろうとするのであるか、その御方針を承わりたい、こう思うのであります。以上。
  18. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 先ず第一の点の正しい意味での自由というものを、どこまでも守つて行かなければならん、これを圧迫し阻害するようなことがあつてはならないという御意見でありますが、私も全く同感であつて、何らかの誤つた措置或いは故意を以て、正しく守るべき自由が圧迫されるというようなことに対しては、どこまでもこれは排撃しなくてはならんという点については全く同感であります。けれどもそういうことを判断する場合に、文部省が勝手にこれを判断すべきではない、そうなると、又昔のような独断の結果になつて、非常に弊害の方が大きくなります。それを防ぐために管理機関というものができているのです。そこでその立派な見識があり、学識のある人達が考えられるのであります。そうしてそこで決められることについて、非常に誤つた悪い結果が出ようとは、まあ私は普通考えられない。それから教育地方公務員につきましても、御承知のような教育委員会というものが普通選挙によつて委員が出ている。その合議体によつていろいろ考えられている。又普通選挙によつて出ている委員でありますから、輿論によつてこれは判断されて行くわけなのでありますから、そんな滅茶なことをやる筈は私は先ずないと考えていいだろうと思います。あるとすれば余程例外の特別な場合なんで、そういう場合がはつきり出て來れば、これは文部省だつて教育、学問の管轄をする官廳として放つては置けませんが、先ず原則は文部省が勝手に考えるよりは、そういう機関によつて考えられるという方が、民主的な自由を守る最も適切な方法だろうと思つておるわけです。  それから第二の点の教職員の厚生の問題でありますが、それらの点は無論文部省はそれは教職員の厚生については十分に始終考えておるところでありまして、待遇等につきましても人事院の方でまあ俸給表等を作つてやるわけでありますが、教職員については特殊な俸給表を作つて、一般の公務員とは違つたもつと優遇されたものにしたいということで始終話合いしておるわけであります。ただ財政上の理由もやはりありますし、他の公務員との関係もありますし、そう簡單には行かないというところからまだ決定されておりませんが、人事院でもその点は現在考慮しておるように私は思いますので、いずれ実現ができるのじやなかろうかということを考えております。まあそういうような点から文部省としてやり方が非常に今までのところ、考えておるとは言いながら消極的であつて、積極的にちつともやらないじやないかというような点についての御質問があつたわけでありますが、文部省としてそういうつもりはないのでありますが、いろいろな計画を立てましても、御承知のように今日なかなか財政問題が窮迫しておるというような事情から、思うように実現ができないというところで文部省も甚だ残念に思つておるわけでありますが、できるだけのそういう努力はしておるつもりであります。
  19. 河野正夫

    ○河野正夫君 まあ私の質問が抽象的であつたために抽象的なお答えしか得られなかつたことは止むを得ない。具体的に申しましよう。茨城縣では教育條例と申しますか、名前は何と言うか、地方條例で教育基本法第八條の解釈の問題に触れる通達があつたわけで、それによりますると、学校というのは生徒、職員、建物である校舎をも含めた総合したものを言うのであつて、從つて選挙管理委員会の許可のあつた、或いは指定のあつた場合を除いては、校舎そのものを例えば民自党の講演会にも貸してはならない、こういうふうな條例が出ておるので、このような條例は私に言わせると如何に教育委員会が自主性を持つておるといつても不当な行き過ぎであると思うのであります。こういう点について大臣の見解をお伺いしたい。  第二に、今各地でいわゆる定数條例、教員に関する定数條例が出ようとしておるところもあり、又出ておるところもあるのであります。これは本院におきましても大臣しばしば言明された通り、教員についてはいわゆる定員法的な行政整理は行わないという言明でありました。これはもとより國家的な考え方なんで、地方は地方で今お説のように地方の自治体の自主権があり、教育委員会の自主性があるのだというので、放つて置けば放つて置けるかも知れませんが、地方では教員に関する定数條例を出してそれ余つた者は行政上の必要から整理をする、こういうふうな段階に今進みつつあるのであります。又あるところが数縣私の耳に入つております。この点についての御見解は如何であるか承わりたい。  第三に、福利厚生の点について教職員別表のお話がありましたが、私の申上げるのは、必ずしも教職員のいわゆる給與ばかりじやありません。その給與ということについては、教職員の別表のみならず、私の先程の質問でもお分りだろうと思いますけれども、一般公務員の給與そのものが問題である。これはこの席で申すべき筋でもありませんけれども、人事院自体が、早くこの生計費の高騰という、高まるということに比例して、当然いわゆる六三ペースの改訂を政府に勧告すべき義務がある。その人事院が怠つていると私は思うものであります。この点についても、もとより人事院に任すべきじやなくして、全國の國立大学でも教職員を抱え込んでいる。半額負担という意味から言えば、地方教職員を持つている文部省として積極的に一般公務員の給與改訂という面についても、如何に経済的にいろいろの事情があろうとも、これは当然に行わなければ、一方において公務員の権利を剥奪しながら、一方において事情止むを得ずでは相済まん、政治的な感覚を持たれるのが当然であろうと私は思うから申上げるのでありますが、今私の言いたいのは他にいろいろと福利厚生の問題があるのでありますが、言つて見れば職場そのものが氣持よくでき、快適に働けるように、研究が十分できるように、教育事業が快く行われるようにというふうに図つてやるのが重要な仕事だと思う。しばしば教育界の無秩序というて或る一部の人々に攻撃されるのに、教職員が政治的な行動をとるということが言われているのであります。けれども実際に教える教場もなければ教具もなければ、教科書の配給もろくに、満足に行けないというような状況の下にあつては、熱心な教員程そういうことについて何らかの行動に出たいというのは無理のないことなんであります。それをそういう方面に出るなというならば、出ないでも相済むように、こちらで施設を十分に充実してやらなければならん。そういう積極的な義務があると私は思う。その点は如何であるか。こういうことを私は先程質問したわけであります。大臣先般おいでになりませんでしたけれども、本委員会で來年度予算及び本年度補正予算の折衝過程を伺つたのでありますが、殆んど全く文部省なきに等しいような状況、大藏省に予算を作つて貰つてもあの程度の予算ならばできると私は思う。この点について文部省の責任ある態度を確立して頂きたい。この点について如何でありますか。以上。
  20. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 第一の学校の施設等の使用を許可する場合の問題でありますけれども、学校教育法で学校施設の公益のためになるようないろいろな行事については、これを貸せるということになつている。その意味では別に貸せないということはなかろうと思う。ただ政治的な中立を守らなければならんという点がありまして、それの解釈によつて決まつているのだろうと思う。その決め方は地方で決められるのでありまして、文部省が決めるわけには行きません。まあさつき申しましたように地方の教育委員会にしましたつて、相当の人達が普通選挙で選ばれてなつている人達ですから、その政治的中立性を守るためにはどの程度のことが必要であるかというようなことについては、やはり相当公平に愼重に考えられて決めているだろうと考えている。(河野正夫君「茨城縣の場合違います」と呼ぶ)それから第二の定数條例というような問題でありますが、これも地方で決めることで文部省でどうもなりませんが、今まで実際教員については定員というものはない。定員というものはないので予算でおのずから決まるということになつておつたのでありますが、今度は定数條例によれば定員というものが決まる。初めて決まる、こういうことになるのだろうと思う。國庫負担で出している範囲のものは私は削る筈はなかろうと思う。それ以上どの程度まで行くかということは定数條例で決められるのだろうと私は考えているわけであります。  それから厚生の問題でありますが、おつしやる通り、実際今日個人的な教職員の待遇だけでなく、教職員が仕事をする上において、十分に能率が上るように施設その他の経費をやらなければならない。それが非常に不足しているという点については私も同感なんであります。何とかしてこれをできるだけ早く、できるだけの程度で以てよくして行きたいということで努力をしておるのであります。ただ併し御承知のような今日の経済の状態なんで、どん底に陷つておるときなんでありますから、これが永久の状態とは私は考えておりません。これは一番悪い状態なんで段々に必ずよくできると私は確信しておりますので、悪いときにはやはり或る程度は欠陷がありましてもお互いに我慢して、それをやつて行くより外ないので、悪いからと言つて直ぐさま破壞的の思想を持ち、破壞的な行動に出るというようなことは、私は教員として採るべき態度でない、そう考えております。
  21. 河野正夫

    ○河野正夫君 補足的に一、二……私の質問の第三の点から申しますと、勿論教育施設や、その他のものが不十分だからと言つて破壞的の行動に出る者を保護するという考えで質問しておるわけではありませんけれども、それは仮にそういう方向に教職員の或る者が働いたとすれば、それは批判として成立ち得ても、これを施設して置く業務のある方面についての反省としては、それではああいう行き過ぎが起るのも、ここに不十分な点があるということを十分に反省して、そのことに極力当らなければらなんという私は警告をしたつもりなんであります。それは今論じませんけれども、定教條例において文部省の予算割当以上であつても、とにかく定数條例が出て、それによつて現実に首切が行われる、こういう府縣が相当数あると思うのであります。この点が問題なんであります。國家の公務員の定員法というような場合には、これは我々非常に反対もいたしましたし、それから不十分である点を、議会を通つたというても今でも何とかしてこれを改正の方向に持つて行きたいと考えておるわけで、同感をしておるわけではありませんけれども、まあとにかく不十分ながら何らかの意味で整理さるべき者の退職手数、失業手当といつた方面についても政府も微かながら、まるで燒石に水の程度であるかも知れませんけれども、とにかく何らかの措置を講じなければならんということに氣が付いて、それはやつておられたと思います。けれども教員の方についてはそういう措置が何ら講ぜられないままに整理がされなければならん。文部当局は整理しないと言つておつたものが、地方の自主性に基いてという名目で、整理が行われて來る、これが問題の第一。次はその整理に引つ掛けて、いわゆる大臣が先程からにおわせられる暴力であるとか、或いは秩序破壞であるとか、そういうふうなことを企むだろう、或いはやつたという人は勿論ですが、やるかも知れないような人を含めて、この際掃除してしまえという氣風が生れるということを私は恐れる。若し眞実にそういうふうな破壞的な人々があるとすれば、それは正面からその理由によつて片付ければいい、私はそれには賛成であります。けれどもそれをそういうふうに行けないから、何か他の理由を構えてやるというこの政治の行き方というもの、これは地方での話でありますけれども、中央でも私はそういうことが見えると思う。そういうやり方には誠実性というものがない。政治を非常に駈引のある陰險なもののように見せる。私はこれが將來日本の教育という面から言つて、第二國民の養成という面から見ても非常に重要な影響を持つものじやないか、こういうふうに考えます。それ故にこの定数條例というものはもつと重大なる関心を文部当局として持つて頂きたい、この点を意見として申上げて置きます。
  22. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は先に大学の、今起つております問題について申上げたのでありますが、それで中、小学校に起つておるもつと廣汎な問題について申上げたい。  その一つは、すでに今河野藤から出ました定教條例の問題でありますが、小学校、中学校の教員の場合には、定員法もない、それから國家公務員法の適用も受けない、さういう形で、ここで急速に泥繩式に定数條例のようなものが最近到る所で作られ、そういてそれによつていわゆる自主的な恰好だということで整理が断行されようとして、我々の入手しました情報におきましても非常に多くのものが出ておるのであります。文部省はこれについてどのようにキヤツチされておるか伺いたいと思います。例えば三重、靜岡、石川、埼玉、佐賀、長崎、大阪、東京、その他各府縣にこういう情勢が今、現に起りつつあるのであります。これは重大なる國民の関心を集めているのでありますが、この情報をどのように今文部省で集めておられるか、この点を第一点として伺いたいと思います。認識の度合によつてこの問題は非常に変つて來るが……。  第二の問題は、文部大臣は第五國会で、公立学校の教員の首切はしない、伊東次官も又、ここに記憶がございますけれども、そういうことを申述べておられます。恐らく約三万人余るところの教員については、從來の樣子を見るというと自然退職が四万あつた、從つてこれは年末までには何とか解決付く問題であるから整理はしなくて間に合う、こういうことを述べておられる。大臣も次官も述べておられる。このようなことと反した事態が正に起ろうとし、起りつつある。こういうような問題について一体大臣はどのような責任を負われるか、更にこれをどのように遂行される決意を持つておられるか、第二点として伺いたいのであります。  第三の問題は、今の問題は自治廳通牒と非常に深い関係がある、この点につきましては当委員会は数度に亘りましてこの問題を実は提唱して、そうしてこの自治廳と文部省との関係、大臣の第五國会における答井の責任の追及と答弁の遂行としましてこのような通牒が出ることが非常に矛盾であるから、これについて徹底的に取消並びに再通牒を欲しいということが委員会でも決定されてあつたのでありますが、これが今日行われていない。そうして何か一般的なものでありますが、早くそのような整理を完了してしまえというような、何か通牒が最近又地方自治廳から出されておる、そのために、それが口実になつて去年の場合も非常にそれが強行されている、これが定数條例と関係を持つているわけなんであります。こういうような非常に曖昧な形でこの問題が処置される。然るに主管廳であるところの文部省が、当然最高責任者であるところの大臣の國会におけるところの声明とも違反したような方向で現実に行われるということは、非常に重大問題だと思うのでありますが、この点について、文部省あたりもつともつとこの問題を徹底的に明らかにしなければならない、こういうように思うのであります。尚いろいろございますが、以上三点についてお伺いしたい。
  23. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 地方で教員の処置についてのいろいろな問題が起きておつて、それについてどの程度の情報を文部省は蒐集しておるかというお話でありますが、耳に入つているところもありますけれども、十分組織的にその蒐集がどきておるというわけではありません。それで第五國会において私か申しましたのは、予算の金額が、五十人一クラスに対して一・三五の割合で盛られておつて、これが日本全國の平均で考えて見るというと、自然退職等を考えれば、現実に血が出ないで済むであろうと、こういうことを考えて申したのであります。併しそれは結局生徒の数が四月にな誠てからの調査によるのでありませんからして、或る程度推定の資料が入るということは止むを得ない。それで推定について多少の誤算もあつたように思うし、又退職については御承知のように現在のような経済状況から鑑みまして、自然退職が例年のようには多くなかつたというようなところから、いろいろ困難が起きておるのであります。それをどう処置するかということについては前の委員会でも申上げましたけれども、文部省は何とかして財政的にその処理を円滑に行けるようにしたいということで、大藏省、自治廳等ともよく相談をしてやつておるという話も申上げたのであります。どうせ自然退職が少いといつたつて、相当の程度の自然退職というのは当然出るものでありますし、いろいろな事情から考えて、予算的に不十分であつた点も、まあ半分ぐらい何とか実際上手当ができるということになれば解決が付くだろうというようなところから、その方針で以てやつておりまして、補正予算においてもそれを考慮するということで努力をしておるわけであります。  それから定数條例によりまして、過剩になつてこれを整理するという問題は、さつき河野委員からお話があつて私がお答えした通りでありまして、定数條例を決定する権限というものはこれは地方廳にありまして、文部省はこれはどうにもなりません。文部省はできるだけ多くしたいという方針で以て始終考えて、地方廳とも自治廳とも話をしておるのでありますけれども、やはり最後の決定は地方廳でやることでありまして、最後の決定までどうするというわけにも参りません。けれどもこれは重大な問題でありまして、御承知のように今度シヤウプの勧告によつて義務教育費國庫負担の仕方というものも非常に違つた形になつて参ります。一般平衡交付金というような形で以て纒つた自治廳に育当てられ、それが各府縣市町村に割当てられる、その中に義務教育に対する補助も入るわけでありますから、それをどうして紐をつけて行こうか、紐をつけないということになると非常に教育の立場から申しますというと懸念される点が出て参りますからして、どうしても何らかの形においては紐はつけなければならないということで今やつているのです。その場合の紐のつけ方の問題でありますが、文部省の考えておりますのは、やはりいろいろな項目の経費を考慮いたしまして、そして生徒一人当りについては、基準的な教育費というものはこの程度だというようなことを算定して、その基準をできるならば法律の形において決めたい。そうして行きますというと、自然に教員の数なんかもその経費によつて基準が決まるということになりますからして、比較的安全になるのじやなかろうかというふうに考えているわけであります。私がお答えするのはそのくらいであります。
  24. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の大臣のお答えでは少し不明瞬だと思うのでありますが、私はやはり大臣は教育を飽くまで守る、教育活動を十分に仕上げることは今の段階では必要だという段階から、第五國会であのような確信を表明されたものだと私は解釈します。從つて地方の自治体におきまして、この方針と違反するような事態が起つたなら、やはりこのことは強力な指導力を発揮していいのじやないか、問題は教育を守ることに係わつているのでありますから、これはどんなに教失の数を殖やすという、そして現実にこの物的な設備が非常に不足して、そのために教育が圧迫されているのを補うという面から行きましても、現下の重要な問題でありますから、これは指導されていいんじやないか、殊に例えば基本法の第八條の解釈なんかについては、地方の教育委員会を文部省は指導されて、相当強力にこれは指導されて來た。從つてこのような過去において大臣が國会で言明された方針、そして又この方針は正しいと我々は考える、このようなものを今後地方の教育委員会に対して強硬に指導されることは何ら差支ないのじやないか、こういうふうに考える。その点と、それから定数條例と連関して整理基準がいろいろ出されているようであります。我々の耳に入つたのでもいろいろな形で出されております。併しこれらのものを総合して考えますというと、先ず第一に共産党員であるということのために首を切る。次にこの党に対して理解を持ち、同情的な立場に立つ者をこれを切る。更に労働組合の活動を十分に今までやつて來た、強力にやつて來た、こういうような者について切る。北海道あたりにおきましては、我々の入手した情報によりますというと、二・一ストライキに参加した、こういうような理由によつてすでにリストが作成されているというような情報も聞いているのであります。その外に職場においていろいろ何と言いいますか、職場の秩序を紊したとか何とかというような問題でやられている。これはどこでも同じでなくて、非常に各委員会によつて混乱しているようでありますが、こういう面についても文部省ははつきりとした一つの方針を出されていいのじやないか。尤も全然首は切らないということを建前とした文部省としては、こういう方針でやれということは非常に自己矛盾になりますから、出されることは困難かも知れませんけれども、こういう事態に対しまして文部省ははつきりした指導方針を確立すべきじやないか。殊にお伺いしたいのは、労働組合の活動に参加したという理由で以て切つている、そういうようなのを整理基準としているところのやり方は果して妥当であるかどうか。殊に二・一ストのように、現在の法令事情から見れば幾分ぶつかるところが出るかも知れません、併し過去の法令下におきましては何らこれは一つの障碍も持たない。更にこれは何ら非合法的な行動というものはその中になかつた。こういうようなものまで、三年前の事態まで一つの問題にするに至つては、実に日本の民主化は危ういと私は考えるのであります。  更にその次の問題としまして、これは大臣の先程の御答弁にもありましたし、それから第五國会あたりでしばしば繰返された言明でありますけれども、或る特定の政党に入つたからという情報によつてはこれを切らない、共産党員だからといつて何らこれは整理基準に該当しないということをしばしば大臣は言明され、今日でもそのようなお考えになつていらつしやると思うのでありますが、若しそういうような基準によつてこれをなしておる、こういうような明らかな違反的な事実が出て來ておるということが具体的に示されました場合に、一体どのような方針を取つて大臣はこれを指導されるか、この点はつきり伺つて置くことが今後の日本のこれは教育の教育活動並びに教員の思想の自由並びに教員組合の今後の在り方に対しまして、実に重大な関連を持つものと考えるわけであります。從つてその点についてお伺いしたいと思います。
  25. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 定数條例その他と関連して日本の教育の水準というものを確保して行かなければならないという立場で文部省が指導をしなければいかんという御見解、文部省としましては助言、勧告等の形におきましては、できるだけ教育を充実させ、発展させるという必要からやつておることでありまして、その点は十分にやるつもりでおります。ただ併し決定権は文部省は持たないものが沢山あります。これはどうも仕方がない。勧告やそれから相談は十分やるつもりでおります。それから労働組合に入つておつたからどう、或いは労働組合活動をやつたからどうという問題でありますが、御承知のように現在では國家公務員というものは労働組合法の適用を受けないことになつておりますから、あの意味での労働組合というものはない、職員組合というものはあります。その職員組合の活動について合法的である、或いは又私立学校については労働組合があるわけでありますが、労働組合法の適用を受けますが、その場合でも分法的な労働組合の活動という場合であれば、これが処分される理由にはならないということは、これは当然のことだろうと思います。併しおつしやつたような場合、労働組合活動だという場合に、それが非合法であるというような場合もあるかと思うのであります。労働組合活動必ずしも合法的であるということもありません。やはり行き過ぎも随分あつたわけであります。そういう場合は行き過ぎに対しては当然に適当な処置をとられても当り前だろうと思います。  それから共産党員であるとか、或いは労働組合員であるとか、労働組合活動に参加したとか、いろいろな理由を並べて、そうして地方で以て整理の基準にしておるというようなお話でありますけれども、地方としては私はそういうことを実際どこではつきりとやつておられるか知りませんが、結局いろいろな整理をする場合とすれば、個々の人によつて違つておるだろうと思うんです。勤務の状況がよくないとか、それから協力をちつともしないとか何とかいろいろな事情があつてやつておることだろうと思います。そういう事情を個人々々一人々々言わないという場合が非常に今度は多いようであります。そういうこともそれぞれやはり地方で以てお考えになつてやつておることでありまして、文部省として直接これに容喙する権限はない、その場合に非常に不当な非合法なやり方があるとすれば、それぞれ訴願等の手続によつて審査されるわれでありますから、そこで修正されるだろうと私は考えておるわけであります。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の御答弁の中に、労働組合の非合法的なというような話がありましたが、非合法的というのと行き過ぎは区別して言つて頂きたいと私は思います。非合法的な労働組合運動は今日日本のどこにも行われていないということを我々は確認したい、只今の話によりますと、非合法的なものもあるのではないかというようなお話でありましたが、我々は日本の労働組今は今日何ら非合法的な行動を持つていない。ただ幾分行き過ぎという点についてお話がありましたが、これも見解の相違で、いろいろな立場によつてこれが言われておるのだということを申上げたいと思うのであります。殊にこの教員組合の場合で、組合に一生懸命に熱心にやつた、それから或いは党員であつた、こういうようなことで今日いろいろな問題に曝されているようでありますが、この点で是非この大臣の一つ御見解を、認識を十分にして頂きたいと思う点について、私は要望したいのであります。というのは、一体日本の今の教育を良心的に教員が本当に眺めておつたならば、じつとして職場にいることができるかどうか、この点について触れなければこの問題を実は解決することにならん。今破壊されて、実に六・三制におきまして馬小屋を使つてやらなければならないという状況、このような実にもう経済の破壊から起つておりますところの実情、更にこの市民の教育費負担も実に大きな寄附が強要されておる。それから不良少年も続出しておる。その他幾多の教育におきますところの破壊の現状に対しまして、若し眞に職場を守り、そうして日本の將來を憂うるところのそのような一つの信念を持つところの教員であつたならば、黙つてこの現状を見ておることができるかどうか、この点について十分私は認識して頂きたい。これは実にここにいられる各党の諸君に超党派的な立場からでも考えて頂きたい思う。この問題は実に日本の將來の運命にかかつている。而も今までの教員はこのように問題を、上から來れば止むを得ない、仕方がない、長いものには巻かれろと、何でも上からの命令に対しては唯々諾々として聞いて來た。そうして御承知のようにあの軍部の暴力的な圧力の前に我々はこれを眞に批判し、説くことができなかつた。本当に自己の立場に立つてこれを守ることもできなかつた。教育の自由を確保することもできなかつた。思想の自由も守れなかつた。そうして我々が弱かつたためにこそ日本のあの戰爭の一つの大きな原因を作つた。この教員自身が眞に自主性を持ち、判断力を持ち、自身の信念を裏付けるところの行動がなかつた。そのことが戰爭の原因であつたと私ははつきり考えます。こう申上げておる私自身もそのような錯誤を全然犯さなかつた人間でないから体驗として申上げることができる。從つて終戰後当然民主化の基盤であるところのこの教育を本当に守り通そうと考え、而もその信念において行動しようとする教員諸君であつたならば、私は職場を守るというその線においても又黙つて見ていることができない、必ずこの職場におけるところのいろいろな自主的に要求を取上げ、子供の問題を取上げ、父兄の問題を取上げて、そうして日本の民族の將來の問題を取上げて、当然これが一つの自分の教育活動の中におけるところの熱意ある行動となると私は考える。これを見る立場が違つておるいわゆる古い、保守的な從來の基盤から見ればこれが行き過ぎであるとか、暴行だとか、脅迫だとか、そういうような見方をしておる人もありますが、そういう見方をしておる人の中には全部だとは申しませんが、実は古い今までの從來の権力に圧迫されて、そうしてこの前に唯々諾々としてやつた來たところの長いものには巻かれろというような怒隷根性が残つておる。そういう観念から見るとそういう教員の言動というものは、或いは從來の世俗的にものには合わないかも知れない。併しここにこそ新らしい教員の立上りがあつた筈なんであります。從つて今日教員員いろいろな職場の改革に対して熱望を持つている、民主的な問題に対して自分で立上ろうとしている。それから今日におきましては必ずしも職場を監督している校長さんの立場は眞に徹底的に民主化されたとは言い切れない。古い考えを持つている人も相当にいるということを私は断言せざるを得ない。こういう体制の中におきましてはその立場を守る、固守するということだけでは徹底したところの日本の前進はあり得ないのであります。そういう立場から立上つているこういうようなものを、一体こういうような段階、一つの思想的な空氣のニユアンスの中において問題を何かそれに並行して解決するというようなことがあつたとしたならば、これは歴史に対する一つの叛逆だと考えるのであります。從つてどうしても文部大臣は当然新らしい時代の文部行政を指導する者場から考えまして、こういうように問題について深い認識を持たれ、この基本的に立場に立つてこの問題を指導されるということが必要じやないかと私庁は考える。実は日本の職場において教師と子供が火花を散らすことが私は教育の一番重要な部面だと考える。これは何よりも尊重されなければならないものだと考える。校長だとか、視学であるとか、或いは文部大臣その人さえもそういう意味では教育の附属物かも知れないのだ。このことは私は非常に嚴粛に考えなければならん。教育の立上りことは……。そういうことから考えましても教育の自主性というものはもつと尊重されなればならないし、そうしてかような一つの本当の信念と氣魄があつてこそ私は今日の日本のいろいろな困難を切拔けて行くところの大きな力になり得るのだと、こういうように思います。だからそれは時代のいわば傾向の中でいろいろな問題は起るでありましよう。そうして又或る人は或る強い信念を持つ場合には、こういうものを越えて行くのでありましよう。そのために時代的のいろいろな掣肘を受けることもあり得るかも知れませんが、そういうことは問題じやなくて、日本の教育がどうなるか、どのように世界に公約した日本の民主化を徹底的に遂行するか、その基盤を獲得するかということにかかつて参るんだということを私は眞劍に考えているのであります。從つて現状の政治の中におきまして、これは我々の見るところでは予算が不足のためにいろいろの教育の不安が起つているのであります。先程河野君かか述べられましたように、この責任の大半はこれは実は文部省で負わなくちやならん。その結果熱意のある職員というものが職場において行動する。その行動に対しましてその行動の現象的な、いわば結果だけに囚われておつて、その原因に対して深いところの反省がなされないとするならば、これは逆立である。文部行政の逆立であるということを私ははつきり申上げなければならない。こういう観点に立つて今日直面しておりますところの段階を大臣においては十分に大きな高所大所に立つてこの問題を解決されることを私は切望してやまないのであります。そうでなければ何年か後に、何年か後といつてもそんな長いことじやありませんけれども、何年か後において高瀬文部行政は果して時代の空氣の中に何をなしたか、これは時代と歴史が批制するものでありまして、この点において高瀬文政の前進を私は要望したいと、こういうように思います。そういう点に立つて今日起つておりますところの大学教授の首切の問題、小中学校教員の整理の問題、この問題を十分に善処されんことを私は切望いたしたいと思います。
  27. 田中耕太郎

    ○委員長(田中耕太郎君) 尚大学教授その他の教職員の身分に関する件につきまして、いろいろ御発言を御発望せられる向もあるかと思いますが、今日は大分時間も経ちましたし、この程度にして置きたいと存じます。それから満年齢実施の件につきまして、総理府の審議会室におきまして研究しているそうであります。來年の一月一日から実施でありますが、大分急ぐことであり、この点につきましてこの研究の結果を今日御報告申上げたいと思つておりましたが、時間もありませんからこの次の機会に讓りたいと思います。本日はこれを以て閉会いたします。    午後零時五十分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            松野 喜内君            木内キヤウ君            岩間 正男君    委員            河野 正夫君            三島 通陽君            山本 勇造君            大隈 信幸君            高良 とみ君   國務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君