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1949-07-26 第5回国会 参議院 厚生委員会 閉3号 公式Web版

  1. 昭和二十四年七月二十六日(月曜日)    午後一時四十四分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○派遣議員の報告   ―――――――――――――
  2. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。お諮りいたしますが、実は先般九州地方に台風が襲いまして、相当被害がありましたので、厚生委員会といたしまして、姫井委員を現地視察に出張して頂いたのでありますが、この機会にその報告を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) これより聞くことにいたします。姫井委員どうぞ。
  4. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 只今委員長のお話になりました九州地方の水害地視察につきまして、御報告申上げます。委員長の要求によりまして、参議院から宮崎縣、鹿兒島縣、二縣下の風水害の視察並びにお見舞に参つたのであります。視察の日時は、七月六日から十二日まで七日間で、往復旅行日数を除きまして、実際に視察いたしました日にちは八日、九日、十日の三日間でありまして、而も三日間とも殆んど毎日雨天でありまして、視察に出ましたのは、私と委員部の上田主事と二人でありました。先ず宮崎縣の概況を申上げます。宮崎縣は七月の八日と九日の午前十時まで視察をいたしました。で縣廳で大体の被害状況を聽取いたしましたが、当日までまだ十分なる調査が行き届いいおりませんで、ただ中間的な報告資料に基いての状況を聞いたのであります。現地の視察地は清武川附近と都城市内であります。宮崎縣は五月十五日から雨降り続きであつて、私共が参りました日まで、晴天は僅かに二、三日しかないといつたような状況で、六月十八日、十九日の豪雨で、先ず第一に河川の氾濫が起りまして、六月の二十日デラ台風で、これは縣内を縦断しております。風速二十五メートルから二十八メートル七、一番ひどい所は四十二メートルに達しております状況であつたのであります。而もそのうち二十六、二十九日に亘りまして、豪雨がありまして、前後の雨水量を計算いたしますと、平年の年間の雨量が二千五百ミリそこそこでありますに拘わらず、殆んどそれの半分以上を、今申しました時日の間に雨が降り続いておりました。如何に連日に亘る降雨の被害が大であつたかということが考えられるのであります。而もその上デラ台風の日は雨を伴わないで風ばかりでありまして、海岸から十キロの奥地に亘りまして、塩分を含んだ海風が非常なる害を及ばしておるのであります。雨を伴いませんから、その塩分があらゆる野菜、或いは稻、殊に煙草に被害を及ぼしたのであります。而もデラ台風の翌日から二日間は晴天であつたのです。だからその塩分を洗い落すこともできないで、窓などを見ますと、ガラスに塩が結晶しておる状態なんであります。從つて煙草などの被害は甚大であつたのであります。極く数字は略しまして二、三の点を申上げますと、死者は二十三名でありました。罹災者の全人員は殆んど三万人に達しております。耕地の流出、埋没でありますが、これが千二百五十町歩に亘つております。その当時の見込によりますと、水稻の減收が一四%、陸稻三七%、煙草九〇%、豆類七〇%、「かぼちや」が七五%、「すいか」が八〇%であります。煙草を初め野菜類の被課が相当大であつたのであります。殊に御承知の通り宮崎縣は農家の副收入といたしましては、早物の野菜、これは年間の主なる收入であつたのでありますが、それが殆んどもう全滅状態になりまして、非常に農家は悲惨な状態に陷つたのであります。被害の見積額は五十六億八千万円と言つておりましたが、これはその日までの非常に小さく見た数字であると縣廳では話しておりました。この應急対策といたしましては、それぞれの手が打たれておるのでありますが、何しろ通信網が破壊されまして、通信が十分でないために、又殊に道路破壊いたしまして、救援いたしますのにも非常に難儀をしておりまして、殆んど自轉車若しくは徒歩によつておるような状態で、この調査も二十二日、二十三日になりまして、大体の輪廊が得られて、漸く災害救助対策の協議会を開くといつたような状態であつたのであります。救援物資は成るべく早く罹災者の手許に行きますようにと言つて配分の着手いたしたのでありますが、この物資数量などは別表にありますから略しますが、二十五日、六日に至つてその処置が講ぜられておるのであります。縣の備蓄品によりまして大体の所要量は充したと言つておりますが、あと補充の必要がありますので、相当量厚生省に要求をいたしております。地方の警察或いは赤十字、民生委員、連合軍の民事部、その他の協力状態も承つたのぶありますが、大体においてそれぞれ手が盡されておるようであります。食糧においては余り困らなかつた。藥品においても余り困らなかつた。衞生方非において消毒、防疫にも努めておるが、病氣にも心配は今のところはない。殊にこういう混乱時期に往々犯罪が起りますが、そういうことも今度はなかつた。ただ疊が非常に不足しておるということと、たびたびの水害で稻などが流されまして、稻の苗の不足に困つておりのであります。熊本縣などからも手に入れるようにいろいろ手を盡しておつたのであります。  この被害の原因でありまするが、これは御承知の通り、宮崎縣が霧島火山系の非常に脆弱な土質でありますがために、非常に崩壊し易い状況にあつた。而も戰時中の田畑の開懇はずつと山の上まで及んでありまするが、それに併行いたしまして森林の濫伐が行われた。そこにデラ台風がありまして、若干土地に濕りを持つておりました上に、樹木を根こそぎゆすり上げたと、その後更に豪雨が降つて來て、非常な崩壊によりまして、土砂が氾濫をいたし、川底は遥かに高くなりまして、一層水害を大きくした。だから、風害もさつき申しましたように塩分を伴うた相当な被害がありますが、更にこれに伴うより以上の水害があつたわけであります。これが今度の被害を大ならしめた主なる原因だと言われておるのであります。  そこで後始末といたしましては、これはできることとできんことがありまするが、通信機関も將來は無電によつてやる、つまり有線の電話、電信は到底駄目なんでありますから、こういう途が開かれなければ速かなる対策を立て、調査をするのには非常に困るであろうと思うのであります。又今まで治山治水の工事というものが、食糧増産というようなことに捉われまして、殆んど自然を無視しておつた。こういうふうな大風水害に当りまして、水がどういうふうに流れて行くかというようなことも深く考えられないで、できるだけ耕地を拡めるといつたようなことに力がいたされました結果、從つて非常に被害が大きかつた。將來の復旧工事におきましては、こういうことがよく考究されて、砂防工事というようなものがよく行われなければならない。殊に宮崎縣は毎年こういうような被害に見舞われて、昨年の被害の救済さえまだできていない状況なんで、非常に困つておる有樣であります。農家といたしましては、肥料の買入れにつきましては相当の補助を貰わなければ、肥料も何も流されてしまつた。國におきましての補助の増額は勿論急速に行われなければいけないのでありまして、それに伴いまして、補助も十分できないのでありまするから、起債の許可ということが相当行われなければならん。又さつき申しましたように、救済物資備蓄でありまするが、現在は縣に一ケ所でありますが、少くもこれは各地方事務所に分散さして置くの必要がある。その主なるものは釘とか鎹とかセメントとかいつたようなもので、余り大きな倉庫など要らないわけなんで、それは一ケ所であるがためにそういうことが非常に手遅れになるので、分散させることがよいのではないかと思うのであります。  次には鹿兒島縣でありますが、鹿兒島縣は宮崎縣よりも被害程度はもつと甚大であります。これは七月の九日の午後参りまして、縣廳で状況を聽取いたしまして、翌日の十日一日と一日半だけを視察に費したわけであります。先ず市内の視察をいたしまして、鹿兒島市の田上川附近の非常に甚大なる被害を見ました。更に翌日は谷山町といつた、殆んど市にも匹敵するだけの四万幾らの人口を有する町でありまするが、これはずつと山奥の和田とか見寄とか水喰とか、こういう地方をずつと自動車が参りませんから、徒歩で見廻つたのであります。ここは風速は大体三十一メートルで、デラ台風は大隅地方からやはり鹿兒島縣を縦断しております。雨量も、宮崎縣と同じように年間雨量の半分以上がこの期間に降つておるのであります。  対策といたしましては、これ亦早速緊急部課長会議を開き、或いは協議会を開きまするなど手を打つておりますが、一番ひどかつたのは肝属地方でありましてこの方は陸路で行くことができないで、ようやく舟を傭つた行つたということであります。更に種ケ島、或いは屋久島といつたような地方がありますが、これは悉く舟によらなければなりませんので、調査につきましては非常に難儀をいたしております。應急物資宮崎縣と余り変りません。赤十字社は早速班を作つて救護班を出したのでありますが、宮崎縣の方はそれ程の必要はなかつたと言つております。ここの食糧、藥品、或いは衛生方面、犯罪方面も宮崎縣と大体同じようであります。災害状況は一番ひどかつたのは肝属郡の百引町の持田部落というのでありまして、これは罹災戸数が三十六戸で、中二十四戸が流失、死者が二十二名、これは後で二十四名と訂正しておつたのでありますが、重傷者は十一名、非常に悲惨で、その写眞などを見ますると、二十幾つかの寝棺を並べまして、その弔いをしておるという悲痛極まりない状況であつたのであります。從いまして、鹿兒島縣は死者が九十五名に達しております。被害の人員は十二万二千人に及んでおります。耕地は、水をかぶりましたものと併せますと、一万二千町歩に当つております。流失埋没の町歩は九千町歩に及んでおります。農作物の被害は、水稻が四〇%、「そば」麦が八〇%、煙草が四五%、蔬菜五六%といつた状況であります。被害総額は百億円と概算されております。被害の原因は、宮崎縣で申上げましたのに加えまして、更にあそこは御承知の通りに殊に甚しい全縣火山灰を以て構成された山地帶でありまして、奥に行けば奥に行く程山崩れが多くて被害が甚しく、從つて調査もまだ徹底していないといつたような状態でありました。それであそこは傾斜がありません。殆んどつつ立つておる状況でありまして、さつき申しましたように、デラ台風で吹かれて豪雨によつて崩れて來る。それが川底を埋めて行く。而も流れます土砂は普通のところは石だから重いから沈むのでありますが、ここに含まれておりますものは軽石であります。だからぼこぼこ浮びまして砂諸共遥か末の平地の田地まで及んで行くので、そういうものを除けますことにつきましては非常な人力を要するわけであります。從いまして、被害は一層大であつたということが言えるであります。今度の処理問題につきましては宮崎縣で申したと大体同じでありますが、殊にここは災害用の備蓄用品といたしまして、輸送用の油が欲しいというのであります。即ちここを通つた場合には船によつて操作をしなければならないのが、そういう災害の輸送用の油がない。海運局と連絡しても思うように行かない。だから是非これはそういう方面の油の備蓄ということを考えて欲しい。トラツクに要する油も不足でありますけれども、殊にそういうことが申述べられておつたのであります。  更に災害救助法につきましての何か欠点はないかということを尋ねましたときに、こういうことが申されておつたのでありますが、災害救助法の三十六條でありますが、國庫の補助のことが規定してありますが、それは標準の賦課率で算定した都道府縣の前年度における地租、家屋税及び営業税の合計の百分の五を超過するときはその超過額に対して定められた率の補助をするというのであります。これでは実際に即應いたしまして、殊に物價関係その他からいたしましてやつて行けない、殊に地方の財政は窮迫しております。この地租や家屋税、営業税と言いましても、鹿兒島縣などは土地は悪いし、又この家屋も非常によくない。営業などもあそこなどはそう沢山はない。そういういろいろな点からいたしまして、今のような標準におかれますと、他の地方と違つて非常に應急措置に対する費用にも困るのだから、むしろこういう規定は撤廃して欲しい。かかつただけはやはりそれを補助の対象にして欲しいというようなことを要求されておつたのであります。  以上甚だ概要でありまして、詳細はここに別に印刷物をつけて置きますから、それによつてお承知置きを願いまして、私の報告はこれで終らせて頂きます。
  5. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 大変御苦労樣でございました。何か御質問ございますか。
  6. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 宮崎縣、鹿兒島縣は両方共私の生れ故郷でありますが、あそこらの今の報告通りの所でございます。そうして今度は丁度七日の日まで天皇陛下のお見送りをいたしまして、七日から降り続けて四十日程降りました。そういうひどい雨があつたから城山が崩れたのだろうと思つております。ところがあの辺の家は非常に貧弱な所でございまして、皆つつぱりをしております。雨よりも風がこわいのでございます。これからでもたびたび家は倒懷することが多いだろうと思います。ところがあちらの人は大変燒酎を飲むためにつつぱりの柱も買わない。それであの辺を教育して、家なんかも柱の大きなものを建てるようにいろいろな対策をしないと、始終援助しなければならないと思つております。聟は要らんけれども風のために聟がほしいという程風がひどい所でございます。それでこの対策を始終考えて頂かないと助からないだろうと思つておりますがそれを御注意に入れて頂くようにお願いしたいと私は思います。
  7. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 只今姫井委員の御報告の中にございました鹿兒島縣の港町で、二十数万流れて二十数名が溺死でございますか、それはその台風は夜中にでも來たのでございましようか。
  8. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 二十日の夜でした。
  9. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 他に御質問ありませんか。  尚今の報告の中にありませんけれども、災害救助法の中のいわゆる援助すべき程度ですか、被害程度の基準があるが、あの基準では非常に大きな被害でない場合においては災害救助法の対象にならない場合が相当にある。あの点は改正をして呉れというのは他の地方における被害地においてもそういう声があつたわけでありますが、これは今後我々の方で考えて行かなければならないと思います。  報告をこの程度で打切ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて下さい。    午後二時十二分速記中止    ―――――・―――――    午後二時五十五分速記開始
  11. 塚本重藏

    ○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。次会は八月十九日午前九時から、それから二十日の午前九時からと二日間委員会を開くことにいたしますから、御承知置き願います。本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君            姫井 伊介君    委員            山下 義信君            中山 壽彦君            井上なつゑ君            小杉 イ子君            穗積眞六郎君            竹中 七郎君