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1949-04-16 第5回国会 参議院 予算委員会 14号 公式Web版

  1. 昭和二十四年四月十六日(土曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計予算(内閣  送付) ○昭和二十四年度特別会計予算(内閣  送付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算  (内閣送付)   ―――――――――――――    午前十一時十八分開会
  2. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。昨日の波田野委員の御質問に対して中川政務次官から御答弁を願います。
  3. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 昨日波田野委員より昭和二十四年度の生産計画につきまして御質問がございましたのでございますが、実は昭和二十四年度の生産計画につきましては関係方面と只今折衝いたしておりまして、大体の最終的数字は出ておるのでありまするが、未だここに公表をいたす自由を持つておらないのでありますので、本日は速記を止めて頂きまして、この間の事情を一應御説明をさして頂きたいと考えておる次第でございます。
  4. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて。    午前十一時十九分速記中止    ―――――・―――――    午前十一時三十三分速記開始
  5. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
  6. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 價格調整費のことが話に出たからついでに聞いて置きますのは、鉛、亞鉛、アルミニユウム等の生産数量は発表されませんが、これに対する價格補給金は廃止するということが、この備考に書いてあるわけなんであつて、そういたしますと生産された鉛、亞鉛、アルミニユームというものはどういうことになるのですか。この表から見ると全部が輸出品になるというふうに推測されるのですが、その点はどうなるのですか。その一点だけ聞いて置きます。
  7. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 只今の御質問に対してお答え申上げますが、國内の補給金から外れました物資につきましては、別に全部を輸出するというつもりではないのであります。勿論中に輸出に向く物もありましよう。國内でも勿論使うのであります。從いまして補給金を取れば國内の消費者價格が止るということになります。これは補給金を節誓するため止むを得ずそういう措置をとつたわけであります。但しただ機械的に上げるわけでありません。生産も殖えますからその分だけ操業度の上昇その他によりまして、補給金を出していた当時そのままの引上げではなくして操業度の上昇を見込んだ上の或る程度の引上をいたすと、そういうことになります。
  8. 島村軍次

    ○島村軍次君 私は外の質問をする予定でありましたが、丁度安定本部からお見えになつておりますから簡單に伺います。先に新聞紙上に発表されました放出物資に対しては、現在進行というか、どういう程度に計画なり実施が進んでおりますか。放出物資とは新聞で見ましたのですが、アメリカに輸出すべきもののストック品を許可を得て国内に放出する、主として繊維製品ではないかと思います。
  9. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今のお尋ねは輸出品の不適格品の放出についてのお尋ねと存じまするが、これは繊維製品におきまして相当量が貿易関係で出ないものが残つておりますので、これは一般民間の國内需要といたしまして、早く拂下げるべきであるということを考えまして、只今絹製品、絹製品その他等につきまして配給計画を立てまして、各方面に公正なる配給をいたすべく準備をいたしております。その数量その他等につきましては、只今持合わせておりませんので、いずれ追つて御報告させて頂きたいと思います。
  10. 島村軍次

    ○島村軍次君 主として絹製品であると思うのでありますが、現在の國民の一番望んでおる点は絹製品であることは、放出物資、輸出向不適格品の國内拂下げに対する措置を見ても考えられるのでありますが、ところがこの綿製品の拂下げは主として既製品が多いのか、或いは例えば糸なんかでそのままで残つておるものが多いのでありますか、伺いたいと思います。実際の数量はあとで詳しくお示しを願いたいと思うのでありますが、大観して既製品が多いのであろうと思います。その点は如何でございます。
  11. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今のお尋ねに対しましてお答えを申上げます。大体布になつたままのものが大半でありまして、一部製品といたしましてメリヤスのシヤツ等も相当のものがございます。材料といたしましての糸等につきましては、ありましても極く小部分ではなかろうかと思いますが、その点は、はつきりしたことを存じ上げておりませんが、恐らく糸類は余りなかつたのではないかと思います。
  12. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで糸の材料は、普通のルートからいえばいわゆる製織業者にこれが渡つて、それから製品となつて配給されるものだと思うのでありますが、私はこの点に関しまして特に農村の中で藺草を疊にするための糸が非常に不足をいたしているのである。今日この住宅の問題が非常にやかましい際に、藺草の栽培反別は現に六千町歩に達し私の岡山縣等においても戰後僅かに十三町容のものが現在では二千町歩に及んでいる。いわゆる原材料の主材料は多いところがその糸というものが非常に不足するのであります。そこで安本等におきましても、この問題には相当力を入れて頂いておるのでありますが、この不適格品のうち現に糸になつておりますものは、そのまま直ちにこれを疊、藺製品に向けるということになりますれば、非常にこの糸は有効に使用されると思うのでありますが、この不適格品というものは普通のルートから言えば、これは他に向けられて、現実に非常に困つている、そういう方向への配給がないということは、この際改めて貰いたいと思うのでありますが、その帰に対して御意見を一つお伺いたい。
  13. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今の疊表に対しまする糸の問題でございまするが、これは相当疊表ができるに拘わらず、糸が足りないということは承わつておりますので、経済安定本部といたしましても、できるだけ供給いたすべく計画を建てている次第であります。最後の配当につきましては商工省がやつている次第でありまするが、恐らく只今お話の不適格品の中には、或いは大麻とか苧麻とかラミーというふうなものが余りなかつたのではないかと思うのでありますが、尚調べましてそういうものがあるといたしますれば、只今御指摘のように十分檢討を加えて行きたいと考えている次第であります。
  14. 島村軍次

    ○島村軍次君 大麻及びラミーというお話でありますが、疊の糸はラミーや大麻だけを使つておるわけではなかつたので、私が今申上げましたのは、いわゆる紡績の糸になるべき筋合のものが、多分に使われておるわけであります。両方使つておるわけでありまして、これはよくお調べになりました上で、でき得るならばその一部分を廻して頂くような措置が講ぜられるならば、全國の疊の生産地におきましては、いわゆる旱天に慈雨で僅かのものが非常に有効に使われると思うのであります。特にこう措置を構ぜられんことをこの機会に希望いたしたいと思うのであります。尚これらに関する細かい数字を一つお示しを願いたいということと、もう一つ承わつて置きたいと思うのでありますが、各種の繊維製品のうち織機にかかつたいわゆる屑物に対する処置であります。これは從來殆んど闇から闇へ葬られたというようなことを噂に承わるのであります。併し規則の上では確か屑物何とかいう取締規則がありまして、届出によつてそれに流すということになつておると思うのであります。併しこの実際の数字を掴むということは、恐らく困難だろうと思うのでありますが、この機会にこれを國民の、特に農村地帶等では作業服とか、或いはその他生産に從事する者の直接使用するもの、及び農村の文化の向上、生活改善という意味で、これらの問題を取扱つて行くことを希望いたしておるのでありますが、そういう問題に対して直接或る特定の地方における社会事業とか、或いは又農村の協同組合等に特配して頂きたい、という希望を持つておるのでありますが、これに対しての御意見を一つ承わりたいと思います。
  15. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今御指摘の前段の疊の糸につきましては十分に檢討を加えまして、一般の総合配給計画と睨み合せまして、御期待に副うべく努力いたしたいと考えております。尚紡績の屑糸等に関しまする処置に対しまして、只今農村方面、或いは工場労働者方面に対しまして、十分に衣料の割当ができないことは甚だ遺憾でございますので、こういうようなものが有効に利用せられることにつきましては、常に不断の努力を拂つておる次第でありますが、ただ國全体の生産計画並びにこれが割当計画等、十分に総合的に睨み合せまして御期待に副うべく今後とも一段と努力いたしたいと考えておる次第であります。
  16. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 農林大臣に対する質問を始めます。先ず松村委員。
  17. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私は農業の機械化、特に畜力の利用ということに対して、大臣のお考えを承わりたいと思うのであります。日本の農業は例えば米作について考えますと、收獲後において脱穀をやるとか、籾摺りをやるとか、搗精ということについては、相当機械化が行われております。併しながら收獲そのものは鎌を以てするのであります。更に基本的の農地の耕作の面を見ますと、土地を鋤きおこすという場合において、一般的に人力を以てこれを行なつておるのであります。非常に重労働であつて、労務の多い作業であることは、一般に認められておるのであります。かくのごとき重労働から農業者を解放して、もう少し頭を使うという方に、農業者が平生の農業経営についての余裕のあるような工合に、いろいろ便利な機械の使用をいたさなければならんと思うのであります。元來人だけの労働力でやつております場合におきましては、その労働生産力なるものが、極めて低級である。量においても質においても到底機械を使うとか、畜力を利用するという場合には及ばないのであるに拘わらず、日本の現状は依然として手労働で非常に重い重労働をやつておるのであります。或る意味においては農村におきましては、かくのごとき苛酷労働を、ただ從來のままに因襲的に行なつておる状態であります。大臣は前に品種の改良をするとか、或は土地に対して厩肥せ與えて生産力を増強するという方面についてのお話があつたのでありますが、たとえ品種の改良が行われ土地の生産力が増強いたしましても、労働生産力そのものが旧態依然たる状態であつたならば、重労働に非常なる時を費やしますから、農作物の適期耕作ということが行われない現在において、農業生産の増強を考えるということは非常に無理な注文であると私は考える。日本の状勢におきましては役畜というものを一年の間、多くて四ケ月、所によつては十数日しか使われないのであります。その外は厩肥を取つておるというような状態であります。元來人間は人らしい労働に服しまして、役畜に任すべきは役畜に働いて貰うというような方面に向けなければならない。ところがその点についての從來の農林省の努力なり、啓蒙運動と申しますか、農民等に御相談せして、そういう境遇から脱却するということが、必要じやないかと私は思うのであります。昨年の十月二十六日のG・H・Q天然資源局農業部の日本の農業、機械に関するステートメントというものが発せられておりますが、その中にも役畜ということをもう少し重要視しなければならないという意味のことが声明されておる。そうして役畜の共同利用というようなことについて、一層力を注ぐべきであるということの意味が示されておるのであります。日本の零細なる農業状態におきましては、大規模の機械化ということは望み得ないのであります。結局畜力の機械、器具によつて人の重労働を解放するというところに、速かに重点を置くというふうな工合にいたすということは、農民の文化の向上の上から申しましても、福利増進からいつても、本当の意味の生産力の増強からいつても、非常に急務である。日本全体の農業ができるならば成るべく共同の耕作というような方法をやり、零細農業ということを救済するというような方面において、いろいろの共同施設をできるよう便宜を図つて、そうして成るべく機械化をする。人間は人間らしい生活をするということに重点を置くことは当然であると思います。それであるならば農業の機械化ということは早く行わなければならんものである。併しながらその前に日本の國情、農業事情に適應するような工合に十分なる調査をすることが必要であるということを、そのステートメントにも書いてある。農事試驗場なり、研究所なりメーカーなりがよく研究を速かにして、早く今申しましたような手労働の境遇から農民を脱却させる。つまり解放運動ということをいたさなければならないと私は思うのであります。そういう点に対しましての農林省の熱意が私は余り強くないと思います。それは余程重点をおいてお進みになる必要があると私は思うのであります。元來労働生産力という問題は頭の問題である。農業者がどういうような工合に労力を使つたならば有効適切に効果を生ずるかということの問題でありますから、手の労働、足の労働のような工合に見えるが、実は頭の働きにあるわけであります。  そこでアメリカの農務省のミスレーニアス・パブリケーションの三百二十号というものができておつて、それは大臣御承知のことと思います。それには農村の改良普及事業の一つとして、4Hクラブということの運動をなすべきであるということを申しておる。それは又一つのエキステンション・ワークとして取上げてある、四つのHというクラブを作る。こういう考えであります。どういうことが四つのHか。第一のHはヘツド、頭ということで、我々クラブ員は頭をもう少し明誓に使う、クリアリー・シンキングをやることにしようじやないかということで進んで行かなければならんということであります。第二のHはハード、心です、それをよりよくする。第三のHはハンド、手である、それを一層奉仕的に使う。第四はヘルス健康である、この健康を以てクラブのために、村落のために、國家のためにベター・リーヴィングをやる、よりよき生活を営もう、こういうことを標榜をする。そのエキステンション・ワークの一つとして非常に重要視しているというのでありまして、これは結局農業者の重労働というようなものから一日も早く解放して、時の余裕を與えてそうしてみずから勉強もし、頭を科学的にしなきやならん。大臣は前日も科学的ということを仰せられたのでありますが、科学的ということは頭の科学的でなければならないのでありまして、農業者自身の頭を科学的にしなきやならん。時の余裕を與えなきやいかん。そういうことから考えましたならば、一番遅れておりますところのこの手労働であるところの重労働から、農民、農業者を解放するということが第一に考えなければならん問題であると私は思うのであります。それあつて初めて本当の意味の農村の福利の増進というものを私は期待されると思うのであります。  そういう意味におきまして農林大臣はどういうふうな考えを以てこの農民の幸福なり、眞の意味の増産ということについて努力をせられておるか。又どういう方法でそういう方面に力を注ごうと思つているかというようなことについての御意見を伺いたいのであります。
  18. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 松村さんへお答えいたします。誠に造詣の深い御意見を拜聽いたしたわけでありますが、申上げるまでもなく日本の耕地はアメリカのように機械力をフルに用いることのできない地勢にあります。而も從來集約的な農業が、而も人工、人の手の力によつて行われて來ておつたのでありまするが、この日本の農業をして機械化さすことができ得ないならば、どうしてもここに畜力を利用して行かなければならないと思うのであります。併し今日役牛にいたしましても非常に高價になつておりまして、零細農家が單独に家畜を手に入れるということは困難な情勢に置かれております。又戰爭以來家畜の頭数も非常に減りまして、政府といたしましてもこの家畜の増産に努力をいたしておるのでありまするが、飼料等の関係もあり増加率が非常に遅れておるのであります。而も畜力が必要であるこの日本の農業におきましては、この畜力の共同利用ということを考えて行かなければならんと思うのであります。今日まで政府の採つておりました畜力利用の方面につきましては、甚だ眼に見るものがないのでありまして、今後も大いに努めて行きたいと思うのであります。只今では畜産試驗場であるとか、或いは農事試驗場であるとか、開拓研究所等におきまして畜力の利用法等において研究をいたしておるのでありますが、まだまだこれは御承知の通り地方によつてその利用法も変つておるのでありまするから、政府におきましてはできるだけ農業の近代化に関する試驗を行なつて参りまして、今お話のような畜力利用に努力をいたして行きたいと、かように考えておるのであります。予算におきましては七百万円くらいな誠に少い経費であるのでありまするけれども、將來におきましてはこの畜力利用に一層の力を入れて行きたい、かように考えております。
  19. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 大臣は大体において畜力の非常に必要なことを痛感せられておるように思いますが、現にもうすでに早場米地帶におきましては、例えば貸馬制度というものが現在あるのであります。富山縣のごときはどうしても早く米を耕作しなければならんというので、長野縣なり岐阜縣からわざわざ畜を借りて早く耕作をして、そうして返すということをいたしておる。それ自身がすでに役畜について共同使役と申しますか、何らか非常に有効に使うということは民間において先廻りしておる、これは昔から行われておる。そんなふうなことは農林省としても早く十分に取入れて、共同使役なり共有についての施設に対しまして、十分な努力をせられることが私は必要だと思います。殊に今の農業の機械化ということが急務であるということを大臣はお認めだと思います。そういたしますと、そのステートメントにもありますごとく、早く適切な研究の方をやらなければならん。日本には小型の機械とか機具とかどういうものが適切であるか、ということの研究を急速にしなければいけない。一日も早く研究をぐんぐん進めて研究の成果に應じて著々農業というものに対して機械化をする、畜力、機具、機械をできるだけ普及させるということにしないというと、農民はいつまでも文化の上においても非常に劣つて地位に置かれることになる。今日非常に農民はそういう状態に置かれておるのであります。極く善良な人々の集まりでありますから政府の協力が非常に必要だと私は考えます。どうしてもこの重い労働から解放されるということが私は或る意味において人道問題だと考えます。この農繁期におきましてどのくらい自分の身体を生理的の方面から言つて休養を要する場合に、如何に労役に服しておるか。昔から農民というものは星を頂いて働き星を頂いて帰るというのが、これは非常に身体的に過労なためであります。こういう状態は勤勉というよりも、もう少し頭を働かせて頂きたいということになるわけであります。十分この点についてもお考え願いたいと思うのであります。この点は大臣も御同感じやないかと思いますが如何でございますか。
  20. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 誠にお説御尤もでありまして、農業改良局におきましても特にこの方面に研究を進めて行きたいと考えておるのであります。御承知の通り、農機具の生産が從來商工省関係に属しておりまして我々要求するその重要な機具が全く関係のない、研究の積まない商工省所管になつておることを遺憾に存じまして、今回各省設置法ができます場合におきましては、この農機具の管理生産等につきましては、我が農林省がこれを所管いたしまして、この農具の改良にも力を入れて行きたいとかように考えておるのであります。お説誠に御尤もでありまして、農業改良局におきましても、この畜力利用と農業者の労力の按配、労力を苛酷でないようにして、そうして余剩労力を又外に利用して行くという方面に、経済方面からも指導して行きたいとかように考えておる次第であります。
  21. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 次にお尋ねいたしたいことは、今日日本の水産の漁撈の方面におきまして、漁業許可区域というものが定められておる。これはGHQの方面からの指示によつて定められておるのであります。その地域が私は非常に狹いと思います。それは北緯二十四度以北四十五度以南、東経百二十三度以東百六十五度以西ということになつておる。その地域で日本の漁業者は漁撈をいたせということに今なつておる、これは非常に狹い地域であると思います。そうでありますから、元は日本の漁業の中で「さけ」、「ます」、「かに」の罐詰というようなものは非常に大きな数量を輸出しておつた。今日は北洋の漁業が許されませんからそういう問題は昔の事績の物語に過ぎないという状態であります。幸いにして南氷洋の「くじら」漁業が許されておる、それは非常に感謝しております。ところが日常の漁業の漁獲物が生活に始終供給されておつたところの機船底曳漁業のこの漁場というものが、西の方面において非常に制限されておるという状態である。日本の蛋白食糧の方面で、日本は澱粉食糧は輸入しておるけれども、蛋白食糧は輸出し得るというような強い力を持つておるのであります。これは水産業によつてそういうことが期待できるわけなんであります。自分自身の食糧が十分自給できるわけであります。ところが非常に狹い地域に今閉じ込められておることは、これは敗戰國である日本國民が十分に反省しなければならんという趣旨も私はあると思いますけれども、地域が少しでも廣いように認められることができるならば、それだけ水産食糧品の自給範囲が廣くなるわけであります。それと澱粉とは必ずしも置換えることはできませんけれども、もつと輸入食糧の減少というようなことについても考慮し得ることにもなると思うのであります。この地域の拡張ということについての懇請はどうしてもいたさなければならんかと思うのであります。農林省としてはどういうようにお考えになつておるか、大臣もその点については共鳴されるじやないかと思います。これは一日も早くその地域内においてすでに漁業者は船も余つておる。今漁業者の方が多いのです。失業救済の方の問題からいつても、引揚の同胞の中にも漁業者がおるわけであります。殊に西の方の機船底曳漁業などの方面は、これは中華民國の方においても、從來は日本の漁民の働くことについては十分の同情を持つておられたような関係もあるのであります。この方面についての御考慮を十分して頂きたいと私は思うのでありますが、大臣のお考えは如何でありますか。
  22. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お話の通り日本は戰爭に敗けまして、領海が非常に局限されておるのであります。問題になつておりますのは、以西低曳網でありまするが、これにつきましてお話の通り、稼ぐところの船は業者の努力によりまして、戰後非常に増加して参つたのであります。今はこの区域を拡張して頂きたいというのが日本の連合國に対する氣持であるのでありまするが、たまたま区域を逸脱いたしまして、拿捕されるというような事実があるのであります。連合國の方からは一体日本の漁業者は信義を守らない。一應の区域を定めてあつて、その区域の中で稼動すべきものを、無断で逸脱する、今後そういうふうなことのないようにしろという注意を受けたようなこともあるのであります。今日漁業者の立場におきましては、稼動すべきところの船の数も殖えて來たのであるし、そうしてこの現在の区域においては、甚だ漁業が挙つて來ない。どうかしてこの区域を拡張して貰いたいという切なる希望に燃えておるのであります。連合國の立揚におきましてもこの実情はよく察知しておられまして、日本の食糧事情、いわゆる日本の蛋白給源といい、水産に求めるところ非常に大なることを承知されておるので、どうかしてこれを拡張してやりたいという氣持を持つておつて呉れられるかと思うのでありますが、日本の信義を守らないという実例を持つて來られまして、今これを或る程度伸ばすと、又それから逸脱していく、こういうふうに段々こつちが好意に甘えるようなことがあつては困る。一應定めたところの区域において稼ぐという眞実性が認められて、これでは日本の食糧事情が氣の毒である。どうしても拡張してやらなければならんということになつて貰いたいと我々は考えるのでありますが、たまたま逸脱いたしましたようなことで、連合軍の方から注意を受けたようなことがありますので、今後そういうふうなことを絶対にやらない、日本自体においてそういう逸脱するようなことのないように、取締の責任を持つから、どうか一つこの区域を拡張して貰いたいということを要請いたしたく、対日理事会の方にも書面で要請いたしたのであります。勿論これはワシントンの会議によつて決定されるものでありまして、日本といたしましては、どうかしてこの食糧の事情の現況を訴えて、いくらかでもこの区域を拡張して貰いたいということを目下要請をいたしておるような次第であります。
  23. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 只今の大臣のお話のごとく、実際日本の漁業者の中で折角これは日本に対してのいろいろの意見があつて、漸く区域が定められておるということもよく承知いたしておるのであります。なかなか日本の漁業者の進出の区域を廣くするということは、容易にこれを承認を得る問題でないということを私承知いたしておるのであります。それで只今そのために從來いろいろな対日理事会というような方面でも反対もあり、いろいろな論議の結果そこに落ち着いておるということも、よくその経過を日本の漁業者は知つて貰らわなければならんと思います。その点は農林省として、十分漁業者に得心するようにして、嚴にこれを守る。容易ならんことでこの区域が実は拡張されたのであるという方面からお話願つて、この規則は十分に嚴守するということを嚴達されて、そういう方面の努力を願いたいと切にお願したいのであります。
  24. 高橋啓

    ○高橋啓君 農林大臣にお伺します。災害関係ですが、今共事業費が非常に削減されておつて果して災害の復旧ができるかどうか心配いたしておるのでありますが、大体二十二年度の政府補助がまだ行渡らないでおつて、その影響が二十二年度における災害復旧に対して非常な大きな圧力になつております。そこで今正に植付けを始めようとしているときにおいて、若しあのままにしておいたならば又大雨やその他雨季になつた場合に半分作つておいたのが根こそぎにやられば、ここで完全に修復しておらないで更に大雨やこの前のような颱風といつたようなものがやつて來た場合に、折角出してものが何んにもならなくなる。そして農民が更に生産意欲を出して増産しようというような精神的な面において大きな影響を與えると思うのでありますが、このような予算で今災害を受けた地域を果して完全にこれを復旧できるかどうか。この予算内でどういう工夫を凝らしてこれを成し遂げるかということについて、農林大臣はどのような考えを持つておられるか、それを伺いたいと思います。  その他四点ばかりありますが、先ずそのことをお伺いたします。
  25. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 誠に年々続きました災害の復興が遅れております。二十一年度の災害すら完全にこれが修復しておらないのであります。而も昨年は雨いうふうな災害を累加いたしまして、耕地の荒廃等相当なものがあるのでありまして、一日も早くこれは復旧をしなければならないことは申上げるまでもないのでありまするが、この本年の予算の上におきましては、災害復旧費として使える方面の予算が、誠に縮小せざるを得ないような情勢になりましたことは誠に遺憾な次第でありまするが、できるだけ政府はこの予算の獲得の機会を得ましたならば、できるだけこの方面に努力いたしたいと思うのでありまするが、併し現在の考え方におきましては、相当の融資をいたしまして、そうしてこれらの最も火急を要する方面に対しての復興に努力して貰いたい。それに対しては政府といたしましても資金面について格別なる考慮を拂いたい、かように考えているわけであります。
  26. 高橋啓

    ○高橋啓君 只今の農林大臣の御苦衷はよく分りました。併し御承知の通り今農民は非常に零細化されておりまして、殆んど蓄積というものを持つておらない。ところがたびたび殆んど同じ場所に水害がやつて來ておりますので、もうあらゆるものを出し盡している。そうして金融枠を貰つても、一般銀行は回收の見込がなかなか立たないことと、もう一つは回收が遅いことのためになかなか金融してくれません。ところで本当に現なまを早く手に入れるようにしなければ、この災害地の人達は労力を提供することもできないような有樣になつているのでありますが、この点について特に御心配になつていることと思いますが、尚金融その他のことを御計画になつた場合には、直ちに地方銀行その他の金融機関において、現金を一日も早く実際工事面に使われるように処置して頂きたい。この希望を申上げてこの問題は一つそれで打切りにいたします。  それからもう一つは、これは大臣がそのような問題について非常に深い造詣を持つておられることと思うのでありますが、御承知の通り林業金融が非常に困つているのであります。その金融難の一つの理由は、木材が値上りになつてそのために金融が非常に必要になつたのでありますが、段々木材金融或いは林業金融に対しては枠が狹せられて來たということであります。もう一つは坑木が二十二億も代金を停滯されている。枕木のようなものも折角政府の生産命令によつて造つたところがそれに対して引取りをしない。又折角納入したものも制度が変つたというので、枕木に対して支拂いをしない。その外いろいろな関係においてその金融が非常に逼迫しております。それともう一つは長期金融ができなくなつた。復興金融は全然できなくなつたということになれば、もう再生産に必要な費用は全然ないと思う。そうなると外のものと違いまして、木は一定の時期に伐らなければならない所もあるし、又長い間これを生産して行く所もあれば、いろいろ外の金融と違いまして、一般の金融機関は飛び付き難いような産業であります。それに対して政府は何らか処置をしなければ再生産ができない。そのために近いうちに木材の眞空期が來やしないか、木材がないときが來やしないかということを懸念しているのでありまして、この点に対して特に御心配して頂かなければ、恐らくそこにあるものを持つて來るようなわけに行かないのであります。非常に混乱を來たすのじやないか。ために戰災復旧はもとより今後の日本の復旧に非常に大きな影響を與えるのじやないかと思います。この林業金融に対してどのような考えを持つておられるか。そうして見通しとしてどのような程度に融資が行われるかということについて、御返事をお願いしたいと思います。
  27. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。お説の通り林業ということは、農業各方面の中におきましても特に長期を要する資金であります。復興金融金庫が今日のああいうような状態に置かれました以上、どうしても長期資金を運用するということを考えなければならないと思うのでありまして、昨年は御承知の通り僅かでありますが、農林漁業復興金融の途が講ぜられて、僅かに二十一億ではありましたが、利用されたのでありますが、この方面に対しましては、地方からの申込が相当まだ現在あるのであります。この方法によりまして、或る資金の面において相当の額を獲得いたしまして、この例に倣つて金融の途を開いて行きたい、かような努力をいたしておるのであります。金額の点におきましては何程ということをはつきり申上げるまでに纏まつておりませんが、少くとも相当の金額はこれを農林、水産、漁業の方面の復興のために獲得いたしたい、かように考えておるわけであります。
  28. 高橋啓

    ○高橋啓君 次に今年度の予算に立木地区の賣上代として百二十三億九千八百三十万円というものを計上してありますが、これは加工費も含まつておるようですが、この政府事業のいわゆる解釈について、いろいろと檢討して見たいという考えを持つておるのであります。折角これだけの大きな仕事をしておつて、どれだけ一般予算に貢献するかということについては、このように納税が非常に高くなつた今日、檢討しなければならないと思うのでありますが、民間で事業を行なつた場合と、政府直接行なつた場合とどのような、いわゆる逆算して立木價値が残るかということについて、私共は資料がほしいと思うのでありますが、若し今お持ちがなかつたならば、今度の予算に組入れてあるのでありますが、とにかく逆算して立木代はどのくらいになるかということの数字がほしいのですが、御答弁を願えれば一つお願いしたいと思います。
  29. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 今詳細の数字は手許に持つておりませんから、よく調査いたしまして申上げることにいたしたいと存じます。
  30. 高橋啓

    ○高橋啓君 もう一つお伺いしたいと思います。いろいろ学者或いはいろいろな人達が試驗場を設けたり、或いはそれを実驗したり、そうしていろいろな記録を持つておると思うのでありますが、私は他方に参りましていろいろな試驗場を設けて、それによる試驗の結果について資料を持つておるのでありますが、これが同じような試驗場が沢山あつて、そうして同じような資料がそつちこつちに沢山あるのがあります。尚その資料が利用されずにただ倉庫の中に入つておるという状況は私は見るのでありますが、このような尊い資料を集録しまして、そうしてこれを整理してカタログとして持つておることが必要であると思う。私共は、あらゆる問題はこれらの正しい資料を基礎としなければならないときに、いろいろ実驗の結果、それらの記録によつて或いは試驗の結果によつて得たることは、これは全く理論よりも尊い結果を得るのでありますから、私はこういう方面に相当の予算を割いてやることが非常に大事なことではないかと思うのでありますが、こんな方面に使う費用としてどの程度出し得るのか、農林大臣に伺つておきたいと思うのであります。
  31. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お話のような、民間に尊い研究資料というものはあるのであります。これはその御当人が科学的に考えたわけでなしに、自分の業の経営の上において、いろいろ多年体驗されたもの、累積いたしたものが誠に尊い一つの記録としてでき上つておるのであります。そういうものは速かにこれを取上げて、そうして普及しなければならないのでありますが、從來この官僚の施設の弊として唱えられた一つの点といたしましては、官立の試驗場で一應やつて見て相当の記録を作らなければこれを承認しないという一つの惡い癖があるのであります。それでありますから、これはいろいろの試驗でありまするが、こういう一つの立派な文献がある。こういうものが成績が出たと申しましても、一應政府機関においてこれを実際やつて見て、成る程と科学的に納得し得るものでなければ普及しないということが、今日まで日本のあらゆる産業に対して、殊に原始産業に対して発達を阻んだということを私は痛感するのであります。今後におきましては、いわゆる野に遺賢なしというような氣持ではなく、そういう尊い体驗を活かしてこれの普及に努めたい。かように考えておるのでありまするが、農地改良機関におきましても各府縣が持つておりまする農事試驗場等におきてましも、この氣持によつて理窟なしにそういう立派なものは直ちにこれを取入れて、そうしてこれを普及させるというふうに考えておりまして、又そういうふうな尊い体驗を供出して頂いた人に対しましては、國家としてこれは相当報ゆべきではないか、かようにも考えておるのであります。予算の額面においてはどれだけ見積つておるという、的確に今申上げる資料は持つておりませんが、私の記憶としては、そういう体驗、記録を大いに推奬いたしまして、これを直ちに普及して行きたい、かような氣持を持つておることを御承知願いたいと思うのであります。
  32. 高橋啓

    ○高橋啓君 今年度の予算に奧地林の開発の費用が出ておりますが、奧地林開発には非常な大きな予算を持たなければ、非常に危險であります。というのは大体奧地林は原始林とか手を触れない未利用の山が多いのでありまして、それを伐ることによつて洪水の原因になり、或いは電源を失い、或いは水源地を失うというような危險を伴うのであります。ただ奧地林開発は林道を作ればいいということでは危險であると思うのであります。もう一つは、それらが少い費用であつた場合必ず失敗する。そこで私は奧地林の開発について、こんな小さな予算では危險じやないか。そこで先ず奧地林を開発するためには、林道も必要であり、而も林道はトラツクやその他立派な輸送機関がそこを通り得るようにしなければならん。それについては又ダムを設けて、奧地には大体濶葉樹が多くそれが腐るから、そのダムを貯水場にして、それの中に伐つた材木を入れて、それをいつでも運び得るようにしないと、「ふな」のごときは一定時期を外しますとすぐ腐つてしまうというような木質のものもありますから、そこでどうしてもダムを作る。ダムは水源地にもなれば、或いはそれによつて水害の調節にもなれば、或いは木を腐らせないための貯木場にもなるといつたような、いろいろな意味で以て利用されると思うのでありまするが、そのような附帶施設を考えないで、ただ材木のあるところまで林道を作ればいいといつたような今までのやり方では、極めて危險であると思うのでありますから、この予算はどのように使われるか。これが一ケ所に集中されれば相当効果があると思うのでありますが、農林大臣はこの予算でどの程度の開発をするのか、このことについて御答弁を願いたいと思います。
  33. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 專門的の立場から御意見を伺つたわけでありますが、林道の開発はもとより奧地、奧山の開発であります。今日奧山の開発をしなければならんところのものは相当数に上つておるのでありまするが、御承知の通りの林道改修につきましては、普通の通路改修よりは非常な経費を要するのであります。從つて各地ともこれを拡げましても、それが十分に完成しないような状態になるのでありまするが、併しながらたとい僅かずつでも年々この林道の開発を進めておるという氣持で予算を編成いたしましたので、昨年度は相当林道改修につきましては予算を増額いたしておるわけであります。尚このダムのお話がありましたが、これは建設の立場といたしましていろいろの方面に利用すべき問題でありまして、電源といい或いは灌漑用水といい非常な働きを持つのであります。併しこれとても相当今日の資材面から申しまして、計画的なダムをすべてこれを作ることはでき得ませんが、重点的に而もその地勢、土質等の事情から安全であり、速かにこれが完成するというものを選びまして、そうしてこのダムの建設をやる方針を持つておるのであります。この國土建設の上におけるダムと、これを利用いたしまして今申しました特殊の材種につきましては、これに一時的な貯藏をするということもおのずから考えられる問題であると思いますが、政府といたしましては、電源開発の上から或いは灌漑用水の面から或いは一時洪水を防除する意味から、このダムの建設につきましては相当力を入れておることを御承知を願いたいと思うのであります。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 大分時間も経過しましたけれども、是非同僚諸君のお許しを得まして、二三お尋ねいたしたいと思います。経済九原則の農村に及ぼす影響について先ず所見をお伺いいたしたいと思います。
  35. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 経済九原則を実現いたしますにつきましては、農村の生産につきまして相当の負担が加重せられるのではないかと思うのであります。こういう事象に対しまして、農村に対する政府の考え方といたしましては、生産機能のできるだけ向上を支持するために、生産資材の計画を図つて参りたいと思います。又一面におきましては、農産物の價格を適正化いたしまして、そうして農村の負担を軽減せしめるということを考えておるのであります。殊にこの日本の副業として重大な地位を持つております蚕糸業が、この九原則実行に伴つてレートの一本建というようなことになる場合において、非常な打撃を蒙ることを予想されますので、この問題につきましても、特に今後の対策につきまして目下研究を進めておるのであります。もとより九原則実行につきましては、ひとり農村のみならずあらゆる階級に相当の出血を見ざるを得ないような情勢に置かれるのでありますが、農村におきましては、殊に食糧増用の立場から申しまして、できるだけこの打撃を少くいたしたく、税制の面におきましても、これをできるだけ緩和いたしまして、再生産に妨害を來さないように施策を加えて行きたいと、かように考えておるわけであります。
  36. 島村軍次

    ○島村軍次君 九原則の八項によりますと、重要産業原料並びに工業製品の生産増大ということが発表になつております。又昨日のドツジ声明によりますと、從來の生産増強に関しては、政府の支出が極めて貧弱であり少かつたというような意味のことが挙げられておるのでありますが、今回の予算を全面的に見まするというと、この点に対しては頗る遺憾と思うのでありますが、只今九原則の御説明があつたのは、生産資材という問題に対してのみであつて、昨日この食糧増産確保に関する決議が行われたのでありまするが、そういう見地から、更に進んで数項に亘つて大臣の御所見を承わつて見たいと思います。  先ず第一に、九原則の八項に関して生産増強に関する具体的の措置を今後どう考えておられるか、これが第一点。それから併せて、昨年の十二月二十三日に農業の十六原則というものが発表になつておりますが、そこでこの十六原則に從つて如何なる措置を講ぜられるか、この点が第二点。それから第三点は、昨日の決議に対する答弁によりますと、近い將來に機会が得られるならばという御答弁であつたのでありますが、根本的に農業は、ドツジ・ラインによりますと私企業なりとする解釈が非常に強いのでありまするが、そこで災害復旧或いは土地改良等の予算措置に対しては、その点を將來どうお扱いになりますか、先ずその点から承わつて見たいと思います。
  37. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 生産増強に対しましては、いつかこちらでも申上げたように考えるのでありまするが、今日農業生産において阻まれておる点を除いて行くということでなければならんと思うのであります。現在の農業生産を阻害しておるものといたしましては、肥料の不足或いは資材の不足等を先ず以て考えなければならんと思います。玉生産物價の他の生産資材との比較というようなことも考えられると思います。又納税に対する過重なる負担が考えられておるというような点も数え上げられることと思うのであります。肥料の生産につきましては、昨日本会議で、日本の生産力を圧迫して輸入肥料に仰いでおるではないかというような提案者の御説明でありましたが、決してさような氣持は持つておりません。できるだけ日本に肥料の生産を増加いたしまして、必要なる肥料を配給いたしたいという計画を持つておるのでありますが、何分電力、鋼材、石炭等の需給関係によりまして、予定通りの生産ができませんが、本年におきましては、先ず要要量の七割程度の肥料が生産される見込を持つておるわけであります。又この肥料の價格におきましても、その價格を構成いたしまする内容の規則を改良いたしまして、できるだけ安く肥料を配給し、又國家としての補給金の負担、これも是正して行きたいと、こういうような氣持でこの他料の價格構成につきましても図つて行きたいと考えておるわけであります。又納税の負担軽減につきましても、できるだけ適正な納税をせなければならない。これは果してどれだけの税金を農業者にかけることが妥当であるかないかということは、相当議論がありまして、單作地帶又二毛作地帶等によりましても、この反当りの收量というものについての推算が困難である。で政府におきましては、各地域ごとに相当数の標準農家を求めまして、そうして本当の農業收支計算を、簡單にこれを明示するような方式によりまして、そうして経営の上においてこういう欠点がある、こういうところを是正しなければならんという、この欠点も挙げることも考えられ、又本当に農業というものはどういう收入を得て、どういう國家に対する税金を負担すべき義務があるかということもはつきりするように考えさして行きたい。こういうような方面に力を入りまして、生産増強を阻害いたしておりまする点を幾らかでも除去して行きたい、かように考えておる次第であります。  十六原則に対しましては、これは政府といたしまして、農業者がおのおのその発達することに対して干渉してはならない。自由な意思において農業者が、協同の力を以て発達すべきものであるという、この主目的に副いまして、農業協同組合が自主的に発達するように指導して行きたいと考えるのであります。專門的のお立場にある島村さんでありまするが、この協同組合のことにつきましては、政府といたしましては、その組合の自主的発達を助長するという氣持を持つておるのであります。で、この協同組合法に制定いたしておりまする連合会組織等につきましても、これは組合の自由意思によつてやり得るものでありますが、たまたま御承知の事情のために、その実現が不可能になつておるのでありまするが、立法の立場といたしまして、これは当然自由意思によつて連合会組織もでき得ることになり得る理由があるのでありまして、政府といたしましては、そういう方面にもこれの緩和策の努力いたしておるわけであります。尚予算の問題について、昨日御答弁申上げたことについての重ねてのお尋ねでありましたが、今日の予算が大藏大臣からたびたび申しましたような性質の予算であります。この六月一日を期しまして行政整理も断行いたすことになつております。そこに予算の補正すべき事情が起ることを相当予想されるのであります。尚又千七百五十億円の特別資金に対しましても、まだ関係方面の意思がはつきりいたしておりませんけれども、相当これは今日の予算の実現に対して、今後利用すべき面があるのではないか。先程お答えいたしましたうちにもありました農林、水産、漁業等の資金の面につきましても、こういう方面から何とか緩和せられる道があるようにも予想されるのであります。そういう機会がありましたならば、私は今日我々がなさんとして、なし得なかつたこの公共事業費に対する努力を一層傾けまして、我々の考えておりますことを実現いたしたい。かように考えておることを申上げたような次第であります。
  38. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 農林大臣の説明だと補正予算が組まれる見通しがある、その一つの理由として六月に行政整理が行われるということが一つの理由に挙げられておりますが、大藏大臣の説明では、この提出予算の中には行政整理のことをちやんと含んであるということを言つておりましたが、どうなんですか、含まれていないのですか。
  39. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 今大藏省といたしましては、行政整理を大体この方針によつてやりたいという氣持で、予算を編成しておるのであります。併しまだこの各省設置法案も決まつておりませんし、各省がどういうふうにこの人員整理をやろうとしておるかとうことも、まだ各省ではつきりいたしていないのでありまして、大藏省といたしましては、予算編成の技術の上から、およその原則に基いてこちらは三割、こちらは二割という面によつてやつておりますが、実際行政整理をやりますると、そこに更に削減しなければならん人員の出る部面もありましようし、又さように整理してはならない部面もできて行くと思うのでありまするが、それは大体今大藏省の考えておる通りには、必ずしも行くものではない。およそ一應の枠を大藏省として決めておるのではないかと思うのであります。その他いろいろ機構の整備につきましても、相当の異議が今後予想されるということは私も思うのでありまして、又先程申しました千七百五十億万円の使途におきましては、御承知の通りまだはつきりいたしておらないのでありますから、今そういう使途をどういうふうに持つて行くかということも、今後予算の補正として考えられるのではないかということを私は予想いたしておるのであります。
  40. 島村軍次

    ○島村軍次君 この点に対してはつきり一つ承つて置きたいと存じます。農林省は今回のドツジラ・インによつて、土地改良費及び災害復旧費を削除した。併しそれは私企業的扱いでなく公企業的扱いによつてという既定方針を継続されるお考えと認めて差支ありませんかどうか、これをはつきり一つ承つて置きたいと思います。それから同時に只今の御説明によりますというと、行政整理その他によつて補正をする。尚千七百五十億万円のこの融資の問題で、それぞれの問題は解決したいということでありますが、地方ではなかなかそう……すでに工事に着手しているものもあろうと思うのでありまして、この補正なり追加予算を待つということは困難な情勢にあると思うのでありますが、その場合に予算修正等を行なつてやるか、或いは成るべく早い機会に追加予算を出して頂きたいと思うのでありますが、それに対するはつきりした御所見を一つ承わりたいと思います。
  41. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 公共事業費として、從來認めら來ておつたものを、ドツジ声明において、私企業としての考えに置かれておるということでありまするが、もとより純理的に申上げますれば、私企業としても考えられます。併しながら今日食糧等の生産等から考えまして、國家が過分な負担を強要いたしておる面から申しまして、又その事業ができる、できんということが直ちに公共的な影響を持つ氣持から申しますれば、これを公企業として、考えていいものと思うのであります。併しこれは連合國の考え方では、そういうようなものは公共事業ではない、私企業であるというような結論を下されまして、この現在の予算面から削除すべきものであるという結論を下されておるのでありまするが、併し政府といたしましては、私企業と考えられようが、或いはそうでなくともとにかくこれは國民として一日も放つて置けない、ただ個人としてのみならず國家としても放つて置けないのでありまするから、その責任がいずれにあろうと、とにかくこれを一日も早く回復するということに私は力を盡さなければならない、かように考えるのでありまして、今日農村の悲境の状況を考えますときにおいては、政府としてできるだけの資金の斡旋等のことを努力すべきものであると、かように考えておるわけであります。尚予算のことにつきましてでありますが、これは事業の関係上すでに今日でも遅いような時期に達しておるのであります。殊に災害等におきましては植村はすでに迫つておる時期でありますので、これを延ばせば更に一年延びてしまうというのでありまするが、一日も速かにこれははつきりその方針を示さなければならないのでありまするが、併し現実の立場といたしましては、どういう事情であろうが、どういう結果で終ろうが、とにかくこの荒廃しておるところの災害はやらねばならない。こういう事情に置かれておると思うのであります。で政府といたしましては、この企業者が早く安心して仕事の進められるように一日も早くそういう方針を決定して行きたい。かように努力を拂うつもりであります。
  42. 島村軍次

    ○島村軍次君 農林大臣の御答弁は誠にお立場上お苦しい点を拜察いたすのでありますが、只今の答弁では結局融資によるというような結論になるように相成りますが、それは承服し難いと思いまするが、この点に対して、つまり公共事業費の補助費を一應は削除して出したが、更に今後成るべく早い機会に追加予算を計上するということをはつきりこの席において御答弁が願えるかどうか。ノーかイエスかという点に対して簡明に一つお願いいたします。
  43. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 財源を得ることが出來ますならば、追加予算を計上して行きたい、かように考えております。
  44. 島村軍次

    ○島村軍次君 財源の問題についての御所見のようでありまするから、この問題は財源を農林大臣はみずから大藏省と御相談を願いますか。或いは又現在の既定予算も相当節約し得るものと考えられまするので、大藏大臣の昨日來の答弁によつて見てもこれは明らかであると思うのであります。そういう点から是非とも成るべく早い機会に追加予算を提出されることを希望いたします。この希望を附しましてこの質問は一應打ち切りたいと思いますが、なお只今農林大臣の御答弁によりますと、生産増強という問題に対して、肥料の生産或いは價格、その他物價或いは課税等についての消極的の御意見があつたのであります。勿論これは課税も干料の生産も價格もいずれも重大問題であると思うのでありますが、そこで承つておきたいと思いまするのは、先般本会議その他で問題になつておりました物價改訂の審議会等を行う場合において、農業生産の関係者として是非この農業の特質を十分價格政策にも反映するという措置を講ぜられると共に、これに農業関係の代表者を加えることに対して、農林大臣の積極的努力を希望いたしておきます。  それから今一つは生産増強に関連を持ちまして、農林省の予算を見まするというと、供出及び供出に関連を持つ食糧管理というような部面から、例えば作物報告書であるとかいろいろ消費経済に関するあらゆる痒い所に手が届くまでの仕事が統制経済としてやられておりまするが、生産増強の積極的の仕事は総なめに枕を並べて削除されております。そこで私は重点的に左の二点について農林大臣の所見を伺いたいと思うのであります。  第一点は、先般本会議において甘藷の増産及びキュアリングに対する御所見を承つたのでありますが、それに加えて現在甘藷をそのまま乾燥し、そのまま貯藏して、それをパンに加えて食糧輸入の防遏をする施設が相当各地に行われております。現に成功したものもあると思います。これに対しては將來設備費を要するのでありまするが、農林省はこれらに関して農村工業の一環として、輸入防遏の見地から、各地にこれらの設備をやられる計画を早急に樹てて頂きたいと思うのであります。それに対する御所見を承わりたいということと、それから今一つは、油脂原料の増産に対して相当計画されておるのでありますが、ところが予算面では何らこれに関する施設がないのであります。大豆の増産はこれ亦極めて早急にやられる必要があるのでありまして、農民に補助金を出すという前に、増産に関する原種及び採種圃を作つてこれを大幅に普及せしむる施策が直ちに行わるべきもんと思うのでありまして、先ず本年度の予算にないことを頗る遺憾に考えまするが、この点に対して、將來ではありません、本年度中に一つの計画を立つて國会にお諮りになる御意思があるかどうか。この二点と、大分時間を掛けましたので、合せて、農地改革に関する問題は本年で打ち切られる予定であつたのでありますが、この農地改革の將來をどう扱うかという問題に対して、簡單に御答弁を煩わしたいと思います。
  45. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。甘藷の利用ということは最も必要なことであることは申上げるまでもないのでありますが、実はキュアリングの施設のごときはすでに予算の大綱を終りました後発案いたしたような次第でありまして、五億二千万円の予算の支出につきましても農林省の当初予算には計上されておりませんので、これは特別会計で行くか、或いは今後の予算の補正で行くか、いずれにいたしましても、この金額の支出の面ははつきりいたしておりませんが、これは実行するに間違いないのであります。こういうような情勢でありますので、この甘藷、馬鈴薯の製粉工業につきましては、私も先般承わりまして、非常に立派な機械が生産されておるのでありまするが、何分その機械においては相当経費を要するものでありまして、直ちにこれを一般に普及するということは不可能と思いますが、この簡單的な方法による加工法は、農村工業の意味から申しましても必要であり可能であると考えるのであります。農村工業につきましても誠に貧弱な予算でありまして、到底こういうふうな予算では十分な事業をなさしめ指導することは困難とは思いまするが、將來この方面については食糧事情から申しましても、一層將來力を入れて行きたい、かように考えておるわけであります。  油脂原料の生産、特に大豆の増産を指示されたのでありますが、大豆の増産についてはこれは長い間農業者が手馴れておる作物であり、その價格操作によりましてもこれは普及し得ると思うのでありまするが、今日の油脂の状況から申しまして、特に必要度を加えておる大豆のことでありまするから、予算の相伴わない奬励ではありまするが、この普及に対しましては極力奬励努力を考えて行きたいと思つております。
  46. 島村軍次

    ○島村軍次君 原種及び採種圃のお考えを……。
  47. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 尚原種圃につきましては、作物の種子の交換ということは必要でありまするので、これは適当な土地によつて交換せしむるということについて、これは大した経費でもないのでありますから……。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 原種を作り出すことを考えて貰いたいのです。
  49. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) そういう方面について特に指定いたしまして、力を入れて行きたい、かように考えております。農地改革の打切でありまするが、この問題につきまして將來どうするかという御質問でありましたが、一應この農地改革も昨年末で百八十五万町歩の買入れをいたしまして、百七十五万町歩を賣却いたしまして、もうあと僅かの整理をすることになつておりますが、登記上の手続が非常に複雜化いたしているのでありますが、これは本年中に解決いたす見込を持つているのであります。尚今後はこの問題についてはどうするか、ただ一應地主としては耕作者を作つたわけでありますが、尚愴惶の場合でありましたので、これらの完成を期する上におきましては土地の交換、分合等の施設によりまして、この農地改革の欠点を是正して行きたいとかように考えております。
  50. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 先ず第一点にお伺い申上げるのは、政府は小作料を引上げるというようなことを申されておりますが、どういう形で小作料を引上げられるかということ、且つ小作料を引上げなければならない理由、二つ。
  51. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 小作料はこの農地改革の際において地價の変動を起し、その事業に混乱を來す意味におきまして、一應石七十五円ということに制定いたしたのであります。その後諸般の物價の事情も変つておりますし、今回地方財政委員会におきましては地租の増額を予定して決議いたしており、又地方財政上、どうしても地租の増額をしなければならないというような財政状態でありまして、すでに百分の二百を五百に上げるというような計画を決定いたしているようなことにもなつております。今日農産物價から比較いたしまして、この地租が過重されるような関係から、現在のような七十五円という石價格におきましては、この公租公課も支拂い得ないというような状態でありますので、これは適当な價格に是正しても差支ない、又是正すべきものである。この氣持で目下この金額につきましては研究を進めているわけであります。
  52. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 そうしますと、地主経営の採算ということよりも、地租を引上げるという方が小作料引上げの理由としては大きい理由になるわけでありますか。
  53. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 地主の保護とか何とか、そういう氣持は持つておらないのでありますが、私は今日の農地改革は一体どういう目的でやられるか、これはいろいろな目的がありましようが、從來封建制度で大地主があつて小作階級が搾取されておつた。それでこの耕土からこの收穫を上げて行くということに非常に熱意がない、あの戰爭中土地の抛棄が起りまして、あつちにもこつちにも共同耕作をしなければならなくなつたというやうな実態を考て見ましても、これは農業者という者が、自分が永年育て上げた本当の子供である、この土地に対して全精力を打込んでこの地力を上げて行く、この土地を可愛がつて行く、その土地に執着するという氣持があつて初めて増産が上がつて行く、かように考えるのであります。然るに今日農地改革のその後の状況を見ますると、私の知つている範囲内におきましても、自作農となるよりむしろ小作農となつておつた方がいい。小作となつておれば、一反に大概二俵の年貢をいたしますと、七円五十銭の八斗でありまするから、六十円近くの小作料さえ納めればいい、そうすると大豆一升賣るまでもなく小作料賃も納め得る。そうするとこれは税金、公課を納めてもなくてもいいということになる。こういう誠にその土地に対する執着を離れての耕作が行われる。これはどうも増産の目的を阻害するのみならず、これは非常に大事なことである。又御承知の通り日本の農業というものは家族労力であります。現在一町なら一町の自作農となりまして、そうして今日は自分の家族が立派にこれを経営しておりますが、家族労力というものはこれはもう常に異動変轉するのであります。息子が学校へ行くとか、娘が嫁に行くとか年寄が死ぬとかいうことで、いろいろ労力というものは変更するものであります。折角自分が自作農となつてこの一町歩を子孫永遠に傳えて行こう、護つて行こうと思いましても、そういう家庭の労力の変動如何によつては、これは直ぐさま他人に預けなければならん状態になつておる。その場合においてこれを認めないというようなことになりますと、その土地に対する執着というものはなくなる。そうして再び労力の殖えたときに自作農たることができ得ない、こういうことになるのでありまして、これは國家の生産を上げる面から申しましても、余程土地というものを愛着する氣持を起す上におきましても、この現在地主という立場にある人に対しましても、これは考えて行かなければならない。又すべての経済事情から申しましても、今日のような石七十五円で、一反五十円なり六十円なり小作料を拂わして置くということは、決して妥当なものじやない。かように考えまして、米價の異動と共に又地租がそういうふうに増額されるといういろいろな周囲の事情から、適正なる小作料にこれを改めることが必要である、かように考えて目下その適正價格の研究を進めておるようなわけであります。
  54. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 只今大臣から折角いろいろな御説明を承つたのですが、私の考えとは相当開いておる点があるのであります。つまり生産増強という観点に立つ大臣の説明は少々、北々より大いに違つておるように私は思うのですが、併し私の質問いたしましたのは、その説明ではないのであります。私の質問しておりますのは、小作料を値上する理由は、地主経営の採算の方に大きい理由があるのではなく、地租の引上げるという方に大きい理由があるのかということをお伺いしたのであります。  はそれからもう一つ、只今の大臣の説明中ちよつとこれは疑問になるのでありますが、それは石七十五円ということをしばしば口にされておるのであります。私、農地改革以來の法律を承知しておりまして、石七十五円ということは小作料についての何ら規定がないのであります。
  55. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 小作料の査定については、初め石六十円ということに規定してあつたと思いますが、七十五円という米價で換算をしたけでわあります。
  56. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 それはちよつとお分りにならなかつたら註釈してもいいのですが、大臣の説明でありますと一石七十五円という小作料であるという説明、そういう考え方が強いわけです。ところがそれは根本的に間違いでありまして、今日一石という物納の概念は小作料の中にないわけです。單に小作料を、現物小作料を金納の小作料は改めるときにおいて、或る種の小作、米なら米の價格を取つて引直すのです。金納價格に引直させて小作料はそのとき限り現物とは何ら関係ないのであります。從つて今現物の値段がどうであるとかうこであるとかいうことは、これは小作料を考える場合に何ら考慮に入れるべきでない、こういうふうに考えます。
  57. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) それはお答えいたしますが、見解の相違でありまして、私らの知つておる範囲におきますと、あの田は三俵だ、あの田は二俵判だという物納の年貢であつたのです。それを物納を金納で行くというときは、三俵だ、だから三俵というものを三、四の一石二斗として、これを政府は六十円で計算された、それでありまするから、慣習と申しますか、そのときの基礎観念と申しますか現在でも一石は七十五円。この田は二俵判田であるから七十五円納める。この田は三俵田であるから七十五円で一石二斗の金を持つて行く。これが実際であります。それで始めから金納で決まつておるならば、そのとき金納六十五円であつたから、それが七十五円或いは百円になるということであります。やはり地方の実情は二俵田、三俵田、四俵田というふうに、昔の米年貢をもつて基準を定めておる。その当時決めましたのが一石七十五円であるから、二俵田は、八斗として七十五円で計算をする。こういうのが今日の農村の実情であります。
  58. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 実情でありますという大臣の御答弁ですが、実情は誠にその通りであります。それ故に私はここで又質問をいたさなければならないのであります。私は只今の実情であるという大臣の答弁は、地方の地主の考え方そのままだと思う。法律上の解釈は全然違うということを御承知願いたいと思います。法律上の解釈につきまして、私ここでごてごて議論しても時間を取りますから、説明いたしません。後で農林省内のあなたの幕僚からお伺いになつて頂きたい。全然違うのでありまするが、地方の地主諸君はどういう計算をしているかというと、石七十五円であのとき金に仕切つたが、今日では米價は上つている。こういう考え方の下に今日小作料は実質的に値上している。法律上の小作料は金納に改めた時に金額以上に上つておらない。実際に今委めておる小作料というものは、米一俵については二百円ずつ貰う、或いは五百円ずつ貰う、こういうような物納を金に換算するという考え方で相当廣範囲な闇小作料が取られておる。そういう闇小作料を納めたり取つたりすることが平氣であるというこの法律常識は、只今の大臣の御説明と同じような思想に基いておると思う。それで農林省は今日小作料を値上するという、こういうような考え方を持たれておるかも知れませんが、値上げしないうちに小作料は上つておる。私はその小作料を値上げすることよりも、現実に闇小作料として値上げになつておるこの高くなつておるものをどうして整理するかということが、農林省の今日の任務じやないかと思う。こういう問題について昨年の二月には連合軍司令部から、そういう地主に対して彈圧しろ、こういうきつい指令も出ておる。その後どんどん闇小作料が取られておる実情でありますから、むしろ小作料の値上げということを考えるより、如何にして上つておる小作料を下げるかということを考えなければならないのじやないかとこう私は思うのであります。この点は私は大臣の只今の考え方は大分間違つておると思います。
  59. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) これは見解の相違であります。どれだけ闇の年貢を拂つておりますか、これは私共よく分りません。とにかく石七十五円で物納が金納に換算されたのでありますから、その当時の実情から見まして、地主として、私は地主を保護する意味ではありません。地主だつて國民でありますから、地主だけは地租が百円も二本円もかかるのに七十五円の收入で差支ないじやないかというようなことは勿論考えないし、今日の自作農が又いつ地主として小作料を貰わなければならんような立場になるか分らん。日本の農業は変轉するものでありますから、そういうふうな現状に即してのみこれを批判を加えるべきものでなく、いずれも公正な立場で考えて行くべきであろうと思います。又年貢に対する闇、闇の年貢があるかないかは、これは意見の相違であります。
  60. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 私はここで闇小作料の問題をお伺いしようとしたのじやないのであります。大臣が盛んに話を出して來たから、それで私は実は質問する結果になつたのであります。從つて大臣の考え方は飛んでもない間違いである。その間違つておることをここで私は特に議論する必要はない。でありますから、議論するよりも、これはあなたの幕僚から聽いて下さい。如何にあなたの考え方が間違いであるかということが分ると思う。その方が詳しいのですから、農林省のお役人諸君の方が、そういう七十五円という小作料は現在ではないのでありますから、それは見解の相違でありますが、法律の條文に見解の相違ということはないのです。法律にはちやんと文字が書いてあつて、官報に書いてある通りでありますから、決して見解の相違、俺が読んだら三斗、俺が読んだら四斗、俺が読んだり五斗というような。そういう馬鹿な話はない。それは農林省の幕僚諸君に聽いて貰いたい。そうすれば分る。ただ大臣の、七十五円の小作料に対しては、百何十円の地租を取られてはかなわん、正にかなわんのでありまして、私は小作料値上の理由がそこにあるのじやないかということをお伺いしたのです。それを大臣は答えないで、そうして別な方から答弁しておる。ちつともそのことに答えていないのであります。
  61. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) この辺で如何ですか。
  62. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 だからそこにあるのじやないかということを聽いておるのです。それに対して大臣は答えていないのです。そうして一生命別のことを今まで私に講義を聽かせておる。地租を上げるために小作料を上げるのでしよう。
  63. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 地租が上るからということも一つの理由でありますが、あなたのおつしやつたように、私は七十五円ということが今日の事情として妥当でない、こういう考えであります。だからそれはあなたとは見解の相違であります。
  64. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 それの方が大きい理由でしよう。見解の相違の問題ではない。どちらかということを聽いておるのです。
  65. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは二時まで休憩いたします。    午後一時十七分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十分開会
  66. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 只今より委員会を再開いたします。大藏大臣に対する質問は中西委員から始めます。
  67. 中西功

    ○中西功君 大藏大臣に対して最初均衡予算の問題についてお聽きしたいと思います。今、猫も杓子も均衡予算ということを言つておる時代になつたわけでありますが、この一体均衡予算とは何を指すのかということは必ずしも明瞭でないと思うのです。そこで今度の予算、いわゆる均衡予算と言われておるものの性格をはつきりさしたいと思うのです。そこで大藏大臣に均衡予算とは何かということをそのまま聽いてもよいのですが、併し極めてこれは簡單で、恐らく收支が償つているというふうなことが均衡しておることだろうと思うのでありますが、以前実は健全予算ということが非常にやかましく言われた。その健全予算と今日の均衡予算とは一体どこが違うのかという点せ先ず説明して貰いたいと思います。
  68. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 今回の予算は均衡予算である。これは一般会計、特別会計は勿論、政府の諸機関、あらゆる機関につきまして、全部が均衡していることでございます。從來一般会計におきましては一應收支のバランスができておりましたが、外のものでは余程ルーズになつた傾きがありましたので、今回はあらゆる機関におきまして、そういうふうにしたわけでございます。
  69. 中西功

    ○中西功君 そこで私は均衡予算の内容についていろいろ問題があると思いますが、その前にこの今度の予算が諸機関を通じて非常に均衡しておるというふうに言われますが、問題はこの予算ができておる根本的な前提というものを我々は先ず考えなければいかん。この根本的な前提ということを考えますときに、この予算は対日援助が五億ドル以上あるということ。それから貿易において輸入が九億五千万ドル、輸出が五億三千万ドル程度。更に生産計画におきまして、生産財或いは消費財を通じまして、輸出用が一〇〇%増産されるということ。大きく言えばそういうふうなことが根本前提になつておるわけであります。見返資金千七百五十億も、亦そういうふうな想定の下にこれができ上つておる。輸入補給金八百三十億も輸入が、ここに書かれたようなものがあるということが前提になつてできておる。更にこれは安定帶物資千二百億近くの価格調整費も先日來我々がこれの内容についていろいろ穿鑿しておりますが、漠然としておる。その漠然としておる根本は今日安本の方からの説明によりましても、生産計画自体がはつきりしていないから、これがなかなかはつきりしないのだというふうな結論になつて行くと思うのです。その他いろいろ問題がありますが、要するにそういうふうな一つの計画が、現実でないところの計画が基礎になつておる。で而もこれを根本前提にしておる。若しこの前提が壞れるか、或いはこの前提に大きな変動が來たならば、この予算は要するに大きな修正を受けなければならん。或いは又根本的に壞れてしまう。こういうふうな状態になつておると思うのです。これが非常に有名な均衡予算の根本前提と思うのであります。その点について大藏大臣の御所見を伺いたいと思います。
  70. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 生産計画が根本的に変つて行くというふうな場合には、勿論補給金なんかにつきましても相当の変化を予想せられますので、そういうような場合につきましては、補正予算を作らざるを得ないのであります。只今我々の予定し得るところでは、これでやつて行けると考えておるのであります。
  71. 中西功

    ○中西功君 今まで我々はそう沢山な予算は見ておりませんが、本予算、或いは補正予算を合せまして、まあ恐らく二十近い予算案を審議して來たと思うのです。が併し今度の予算程、このような根本的な或る種の計画、而も我我日本の独自の力を以てしてはこの関係を十分制約し、掌握して行くということが不可能だと思うようなこのような数字を、或いは計画を根本的な基礎にしておる。そのことは私は今度の予算の特徴だと思うのです。以前にはこういうことはなかつた。これ程ひどいことはなかつた。そこでもう一遍大藏大臣に聽きますが、輸入も九億五千万米ドルというような、これで予定されておるわけであります。輸出の五億数千万ドルというものもこの中に予定されておる。それによつて資金やすべての計画ができ上つておるわけである。さうするとしますれば、このような一定の我々日本として現在余り手が届かないようなものを期待して、そうしてこういうふうに生産計画を始め予算を立てることが果して言われておる自立経済というのにふさわしいものかどうか。私は言われておる自立経済ということを文字通り解釈するならば、こういうふうな予算や生産計画というものは、これは全く逆じやないかと思うのです。でもう一つ序でに、このような不安定、このような状態が、実際に又このような不安定なものに基礎を置いて予算を組むことが実際に不安定でないかどうか。私は実に今度の予算はそういう意味で不安定だと思うのです。その点二点についてもう一度御返答をお願いしたいと思います。
  72. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 今までたびたび予算案を作られて、そうして今後これが変つて來るだろう。又厖大な追加予算が出るのではないかというふうなお話のように受取りましたが、これは今までインフレ進行中の予算であつたので追加予算がどんどん出て來たのでありますが、今後におきましては、これが安定への乘出しでありますので、そう今までのようなことはないと確信しております。  第二段に、自立経済と言うが、今度の予算は自立経済じやないじやないかというお話でございますが、今回は自立経済への一歩を踏み出したのであります。從いまして國の経済の安定をこれによつて図つて、徐々に自立の彼岸に到達するその一歩を踏み出したところでございます。從いまして、日本の経済が自立するためには、今暫くアメリカの援助も貰い、そうして生産復興に取りかかる必要があると思うのです。
  73. 中西功

    ○中西功君 大藏大臣はまだ僕の言つていることがよく分つてないと思います。私は追加予算を今後幾つも出さなければならないのじやないかということを言つているのじやない。追加予算については、政府自身が、即ち吉田首相自身が公約を実施するについては、もう近いうちに大いに予算を修正しますと言つているのです。だから追加予算が出るのは当り前だと我々は思つているのです。追加予算が出るとか、或いは予算の修正が出るとか出ないとか、追加というのはおかしいですが、追加予算が出るか出ないかということは我々としては決まつた問題で、次の臨時議会で必ず税金の問題で修正が出るということは確信している。こういうことを私は言つておるのです。この予算が立つている基礎がこのように不安定であるということを言つておる。即ち対日援助物資や或いは又対日援助と言わずに、そういう援助ばかりじやない、輸入輸出というものを一定の数を計算しておる。そういうものに依存した経済であり、又予算の組み方であるということを私は言つておるのです。こういう点では今までの、少くとも二年來の我々の知つている範囲の予算案に比較して見ても、遥かにこの予算の方が自主性がない。即ち非常に依存的なんです。併しこれ以上言いましても、これはまあ恐らく意味がないと思いますから、私は次の問題に移りたいと思います。  均衡ということは、これは私はただ單に均衡ということだけを言われるなら実に馬鹿氣たことだと思うのです。これはどんなものだつて均衡しておると思う。赤字で以てインフレをどんどんやつて行く場合でも、全國民経済から見ますればこれは一應均衡はしているのです。ところがこの度の予算は、そういうふうな今までは多少借入金や或いはそうしたインフレ的な要素に依存したものを、はつきりと國民から取る税金に依存する、税金に切換えるということだけが問題なのです。この大きな國民経済的な観点から立てば、今までは物價とかそういうものによつて搾取しておつたのを、直接今度は税金で取る。それによつて見合す。私はここにこのたびに根本的ないわゆる均衡予算と言われておる内容があると思う。それだけに國民に取つては根本的には同じなんです。赤字でやられようと税金でやられようと、それは取られるということについては同じなんですが、税金という実に物凄い形で來るというところが特徴だと思うのです。それが均衡予算の非常に大きな一つの特徴だと思いますが、これについて大藏大臣にお聽きしたいと思います。
  74. 池田勇人

    ○國民大臣(池田勇人君) 今までは一般國民は物價高という税金と、普通の税金と両方納めておつたと考えられるのであります。今回は物價を安定せしむるためにこれを税金だけで引き止めることにいたしたのであります。
  75. 中西功

    ○中西功君 次には均衡ということについてもう一度突込んで考えて見たいと思いますが、一般会計の辻褄を合せるために地方財政の方に対しては非常なしわ寄せをしたわけです。地方の財政は非常な犠牲を蒙りました。これはこの度の予算の数字上の内容から見ましても、多少でも今まであつたところの建設費、或いは文化費、そうしたものは殆んど全滅した。そうして專ら貿易増進のための諸経費が、そういう生産計画を可能ならしめるような経費が非常な厖大な額に達したのです。こういうことを我々が考えて見ますと今度のいわゆる予算の内容は非常に不均衡なもので、今まで多少でもあつたところのものが、即ちそういうふうな意味を言えば六・三制とか、或いは地方配付税の分與分とかそういうものが、或いはこればかりでない、農業改良費とか沢山ありますが、そういうものが全部なくなつて非常に少くなつた。そうして價格調整費を中心とするところの経費が非常に厖大になつた。これは恐らく大藏大臣は均衡を取つたと言われるかも知れない。これも一つの均衡であります。が併し我々勤労大衆から見ればとんでもない不均衡がますます増大した。今まででも價格調整費というような一連のこのような補助金的経費と、それから本当に國民の厚生施設や文化施設や、そうしたものに対する費用との間には恐ろしい不均衡があつた。あつたが今日は、今度の場合は、それをもつと拡大した、こういう意味で言うならば明らかに不均衡はますます拡大されたのだと言つていいと思うのであります。均衡予算の名においてこれがなされておるわけでありまして、大藏大臣としてそういうことをお認めになるかどうか、もう一度お聽きしたいと思います。
  76. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 私は中西委員とは全然意見を異にするものでありまして、今回の予算は自立経済の第一歩、而して又國民に最も迷惑を及ぼしておりまする物價高、インフレというものを先ず止めることによりまして、経済を安定に導くものであり、これが一番いい予算だと考えております。
  77. 中西功

    ○中西功君 價格調整費の内容については、まあずつとこの予算委員会においてもいろいろの委員からこの内容が非常に不満足なものであり、不満足というのはそれが十分にその数字が檢査されたものでないということを言われたことと思いますが、價格調整費がこのように大きく組まれておる。そうして專ら大藏大臣はそれが物價高を抑制するためだというふうに説明しようとしておりますが、今日我々勤労大衆は、今の物價においても非常に困つておるので、勿論これが上げられたらもつと困る。併し今の物價においても賃金との差というものは非常に甚しいので、だからこの物價の中に織込んであるところの賃金というものを我々が見てみれば直ぐ分ることです。これだけ價格調整費を幾らやつても実際に織込まれておる賃金というものは、今日安本から説明がありましたように非常に少いものです。安本自身でも認めております。非常に少い。そういうふうなことで價格調整費を以て國民の物價高を救うのだというのはこれはおかしいのであります。もう一つ逆な一つの例を引けば、恐らく二、三日前の新聞を見てみれば分るが、誰しも知つておられる通り、今株が非常に上つております。三菱化成のごときは五十円のものが千百十円に上つておるのであります。二、三日前は七十五円、一遍に急騰しております。日産化学の、これは株の例ではありませんが、資本金五千万円、一半期の利益率というものは、利益は一億四千七百万円ある。即ち驚くなかれ四四五%のいわゆる利益率、こういうものが價格調整費を貰つておるところの会社、全部が全部とは申しませんが、このような状態なんです。價格調整費が一体誰のために役立つておるか、株の値段を上げるために役立つておるということは今の株式の相場を見てみれば分ることです。そういうふうな價格調整費が非常に多くなつて、そうして六・三制やそうしたものが、或いは農業改良費が全部切られておる。これは大藏大臣は恐らくこれ以上申しましても、今言つておるところのことを繰返すに過ぎないだろうから、私は敢て聽きませんが、そういうふうにこの價格調整費関係の費用と、我々に必要な建設費や、文化費の間の不均衡が拡大されたということは、これはもう子供でも分る常識だと思うのであります。併しこれを認めようとしないところに、大藏大臣が今なそうとしておるこの予算の本質というものを明らかに僕は物語つておるのではないかと思うのであります。  更にもう一つ序でに聽きますが、法人税と所得税の中における勤労所得と、更に営業所得といいますか、そういうものの比率は昨年と今年と比較して一体どういう比率になつたか。今度は私は言わないで、大藏大臣に聽きたいと思います。
  78. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 價格調整費が昨年は六百十五億円、それが二千二十二億円に相成りました。併しこれは御承知の通りその八百三十億円は、援助物資を今まで食つておつた、援助物資を安く食つておつたためのものでございます。又百五十億というのは過去の分でございますので、これらを引きますと、今年分の千二億というものは、昨年度の六百十五億に比べまして、そう殖えておるとも考えられないのであります。殊に相当の増産を予期いたしておりますので、安定帶物資の二十二品目の中におきましても、不必要と思われるものは外しております。而してお話の或る会社におきましては、非常に利益を出しておる、こういうふうなことがありますので、執行におきましては、大藏大臣として十分檢討を加えまして、少しでもこの價格調整費を減らすように努力して行きたいと思つております。  第二の所得税につきまして、勤労所得の前年に対しての増加、事業所得の前年に対しての増加はどうかという御質問でありますが、私は大体似ておると思つております。事業所得は、二十三年度においては、大体千二百億円、これが千九百億円の見込みでございます。而うして勤労に対しまする源泉課税の所得は、予算では六百数十億円でございましたが、実績は七百五、六十億になると考えております。こう考えて見ますと、これを今年度千二百億円に見積るということは、大体事業所得で七百億円の増、勤労所得で四百五十億円の増、まあ六割程度両方共になるのであります。決して勤労所得に対しまして、特に沢山の増を見てるわけではございません。ただ当初予算に比べますと、今度の分は殖えておるのでありますが、実績に比べますと、両者の比例は大体似てると考えております。
  79. 中西功

    ○中西功君 僕は法人税を言つてるのです。もう一遍質問しますか……。
  80. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 法人税の百八十億に対しまして二百七十億、九十億の殖えようは足らんじやないかというお話でございますが、御承知の通り、個人の所得税と法人の見見利益に対する所得税は、必ずしもその揆を一にいたしておりません。今は所得税が三千百億円で、法人が二百七十億円、非常に開きがございますが、十年前の状況で見ますと、所得税の大体半分くらい法人税があつたときもあるのであります。併しながら御承知の通り、法人税というものは、殆んど昔は大会社が納めておつた。昭和十五、六年頃は一会社で二億円くらいあの当時で納めておる会社もあつた。そういう大会社は昨今では赤字続き、こういうふうな状況でございまして、法人税の伸び方は非常に昨今は惡いのでございます。從いまして昨年の百八十億に対しまして、今年の二百七十億というのは、大体その程度ではないかと考えております。
  81. 中西功

    ○中西功君 私は今まで均衡ということを問題にして來た。勤労所得税と営業所得税と、更に法人税との間のおのおの比率は昨年と今年においてどうなつたかということなんでありますが、先程大藏大臣が述べられたごとく、所得税と法人税は、事変前、もう少し前から、事変前と思いますが、殆んど同じだつた。所得税と法人税は同じ額だつた。そういうふうな時代から今日はますます法人税が減り、それから勤労所得税、或いは事業所得税と言われるような、こういう所得が非常に殖えておるわけであります。その比率は言うまでもなく殖えておる。これはいわゆる平常な時代から見ればこのように大きな差がある。ここに今税金問題が極めて深刻化しておる一つの原因があるのです。これ程勤労所得や、或いは中小工業者に対する税金が重いということが、この予算面においては勤労所得や或いは所得税が非常にこのように殖えておるということに現われ、法人の場合よりも遥かに殖えておる。何倍となくというところに、何倍どころじやなく、十倍以上どころにあるわけであります。そういうふうな……ところが我我は内容的に考えて見れば、この均衡予算などと言われるものが一体どこが均衡しておるのかということを聞きたくなる程不均衡なものだと思うのであります。  序でにもう一つ見返資金の問題でちよつとお聽きしたいのですが、今度税金を安くする、或いは又その他の経費、必要な経費を入れたい。そういう場合に、予算を補正するが、それならばそういうふうな減税したり、或いは六・三制を殖やしたりするときの費用は一体どこから來るか、どこから持つて來るつもりでおるのかというふうな今までの質問に対して、大藏大臣は千七百五十億の見返会計を非常に期待しておられるというふうにまあ答弁がありました。それは正しいかどうか、私の記憶がはつきりしませんが、そういうところからなるたけ持つて來て、その減税や、そうした場合の用に充てたい、こういうふうなお話があつた、そういう点、將來近く計画されておるところの減税や、そうしたものを行う場合にやはり見返会計から多少捻出される予定でいるのかどうか。そういう点もうちよつとお聽きした置きたいと思います。
  82. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 個人の所得税が非常に殖えて、法人の所得に対する法人税が殖え方が少い、從つて均衡予算でないとおつしやるのでありますが、これは考え方が間違つておると思う。法人の利益が最近上らなくなつたのは、人件費が非常に多くなつたことが相当の原因であると思うのであります。從いまして、昔では法人の納める法人税は……法人が自分で徴收して納める職員の勤労所得に対する所得税よりは、法人税が多かつたのでありますが、この頃は逆に殆んど法人税が納まらなくて、職員の勤労に対する勤労所得税を法人が納める、こういう状況に相成つて來ております。  次に対日援助見返資金の特別会計から税金の軽減に出すことがあるかという御質問でございますが、これは絶対にそういうことはございません。それが出せるようならこんな予算は組まないのでありまして、税金の軽減によつてこの見返資金から出すことは絶対にございません。ただ將來日本の経済再建に必要な金につきましては、この特別会計から出ることは特別会計法の第四條に規定いたしておる通りであります。而してその分が六三制に廻るか或いは公共事業費に廻るかという問題は、今後関係方面との話合いでないと決らない問題でございます。
  83. 中西功

    ○中西功君 そうすると、近く税制改革をされると、相当大幅の減税を予定されておると思いますが、そうした場合に一体どこからそういう……どういう処置によつてそれをなされようとするのか。それは今どれだけ税金を下げるかということは言えなくても、どういうような方法でその穴埋めをするとか何とかいうことが大体予想されなければならんと思うのですが、その点どうなんですか。
  84. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 先ず第一に歳出をできるだけ切り詰めることと、第二には歳入をこの上とも増加を図ることでございます。
  85. 中西功

    ○中西功君 そういたしますと、歳出を切り詰めるという点は、まあこれはどういう歳出か、恐らく價格調整だと思いますが、そういうものを切り詰めるといたしまして、幾らかの剰余が出て來る。税金を非常に沢山取るということによつて下げるのだということになりますと、今日の何か新聞に出ておつた中にも、うんと税金を取る、強化することがそれが減税になるというふうな意味のこともありましたが、我々はよくその点が分らないのであります。うんと税金を取つて、そうして下げるために使うのだとなりますと、こういうようなものはたこ減税というふうな名前をつけた方がいいのではないかと思うんですけれども、まあ私はそういうふうな後のことは余り問題にならんと思うのです。そのことよりも恐らく價格調整費をうんと節約することによつて、大体どのような剰余が出て來るかという見通しを立てることの方が極めて実際的なことだと思う。そういう観点から見れば、実際はこれは大いに節約ができると思います。  もう一度見返会計の問題についてちよつとお聽きいたします。これは貿易会計と関連しておることであり、私はこの貿易会計、そうしたものを少しいろいろ数字を当つて見たのでありますが、千七百五十億というものをそのままこの見返会計に持つて來て、これを別個の用途に使うということがいわゆる資金的な面から見れば極めてこれはおかしいと思うのであります。見返金計を設置するということ、これが技術的にどうかという問題ではないのであります。そういう問題じやなくて、この貿易会計のいろいろな資金計画というものと関連して考えて見ると、これをそのまま貿易会計から持つて來て、そうして別個の用途に使つて行くというこの資金的なやり繰りが非常に無理だということなんです。この点については千七百五十億が一体何に根拠を置いて計算されておるかということ、これもいろいろ聞かなければならないが、併し政府側の答弁では、ただ関係方面からこういう数字を貰つたというふうな御返答でありますから、それは余り追及いたしません。問題は結論的に言いますと、この千七百五十億の中には八百三十三億の價格調整費が入つておるということです。で説明書の二十六貢の事業勘定予算額というものを見ますと、千七百五十億が援助関係の收入、その他千三百八十五億という輸入一般物資関係の收入があります。これを足したものが、これはいわば輸入であります。それに対して輸出代金として千八百八十六億というものがこれは輸出でありますが、この輸入合計は三千百三十五億になるが、併しこの中にははつきり書いてありますように、八百三十三億という價格調整費が入つておる。だからそれを引きますと二千三百二億になります。そしてそれからその輸出を引くんです。輸出を引きます。千八百八十何億を引きますと四百十六億というものが残るんです。即ち若し價格調整費というものを除いて考えれば四百十六億というものがこれがいわゆる輸出、輸入から來るところの勘定であり、いわゆる貿易の黒字勘定だということになるのです。この四百十六億を、私は見返会計へこの四百十六億、ということになるのでありまして、だからこの場合二つの場合が考えられるのです。輸入会計から輸出会計を引きますと千二百四十九億というものがあります。この千二百四十九億、これを見返会計の方へ持つて行くということならばまあ一應この貿易会計の方のいろいろのむずかしい問題ではなくなると思うんです。これがいわゆる輸入と輸出の純差額なんです。ですからそういうものを見返会計が向うへ持つて行くというなら、これは非常に会計自体の面から見て無理がない。ところが、一千七百五十億を持つて來る、御存じのように輸入物資を、援助物資の中でも、これを日本に使う場合と、それを使つて再輸出する鉄鋼の場合は明から七十万トンも再輸入するんです。そういうような再輸出されるもの、そういうようなものを我々はよく考えて見ますれば、本当に資金的な面で、うまくこれを均衡化さして行こうとすれば、そういうものを十分考慮しなければいけない、そういうものを一應考慮して立てれば、さつき言つたように一千二百四十九億、この数字で言えば、こういうものを見返会計に持つて行くべきである、これが一つの点です。更に而もこの見返会計のうち八百三十三億というものは資金面から見たら國民の税金であります。更に四百億というものは、一般会計からこの貿易会計へ繰入れるところのこれも税金であります。こういうふうなわけでありまして、資金の面から見た場合に、一千七百五十億を貰つておるから、そのまますべてこの見返会計として別個にして、この資金は全部外の用に使うのだということになりますと、むしろ今までとは逆な関係が起つて來ます。今まではそう黒字部分は貿易会計で勝手に使つておりました。これは決して会計上よいことではない、今度改められましたが、その改め方が少し角を矯めて牛を殺すという格好で行き過ぎておるのです。従つて僕は見返会計において一千七百五十億を書いて置くということは、ちつとも間違いではないが、併しその中から当然貿易資金会計の方へ寄越さなければならないものがあると思う。それがないために一般会計から税金で四百億も繰入れなければならん、こういう関係が起つて來ると思うのです。そういう関係を私は感ずるのですが、大藏大臣の御所見を聞きたいと思います。
  86. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 千七百五十億円の見返資金特別会計は米國が今までガリオア、或いはイロアという救済物資を送つておりましたお金に相当するものでございます。今まではこういう援助物資が輸入補助金になり、又輸出補助金になつたりしてはつきりしなかつたのであります。而して今回はそれをはつきりいたしたのが見返資金特別会計でございまして、八百三十三億の税を以て貿易特別会計に入れるゆえんのものは、向うから高い物を買つて來て安く賣るその差額でございます。從つて貿易会計においては向うから参りました一千七百五十億円というものを貿易会計で仕立て上げてしまつて、そうしてそれを特別会計に入れるでございます。而もお話の四百億円は何も補助金でも何んでもございません。これは貿易振興によつて貿易会計が相当の運轉資金が入りますので、それを一会計から繰入れておるのであります。
  87. 中西功

    ○中西功君 僕の言つておるのとずつて見当が違つておるのであります。千七百五十億を見返会計の中へ一應書いて置くのはいいというのです。いいか惡いかは別として、問題は他会計への繰入という中で二千億となつております。その中で千七百五十億というものが無條件に見返会計の中に入れられて、そうして千七百五十億が全然別個の用途に使われるわけなんです。問題は資金の問題、資金の問題を問題にしておるのです。ところが実際には再輸出とか、いろいろのことがありまして、その貿易会計の歳出面においてはそういう再輸出のための代金もこの中に入つておるのです。だから資金関係から見れば、千七百五十億をそのまま持つて行つては困るのです。これはもつと別の表現をいたしますと、ドル会計における純赤字部分が円会計における純黒字部分として現われて來るように会計を取れば僕は矛盾はないというのであります。併しこのではそうなつておらんのです。若しこれが今のところ、昨日も木村委員が言いましたが、輸入物資、いわゆる援助物資と言われるものと、それから入超額とかやや似ておるのです。似ておるからそういう大きな矛盾がここで見られない。だけれどもこれが若し非常に拡大するとかいうことになつて、この間の数字が非常に違つて來ますと、我々が言う数字上の、資金上の矛盾が出て來る。だから見返会計の方で資金の部分としては、いわばこれは行き過ぎておるのであつて、そこで千七百五十億の或る部分は貿易会計の方に入れられなければならん。それを入れれば、これは運轉資金とか何とか言われますけれども、この四百億の数字が要らなくなる。こう思うのであります。資金的に全体の関係から見れば要らなくなる。ですからドル会計における純入超分を円会計における純黒字関係として表現できるように会計が作られてあるかどうか。作られてないと思うのですが、その点大藏大臣どうですか。
  88. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 大分突つ込んでお考のようでありまするが、見返資金特別会計は援助物資として向うから送られたものを円に直しまして、收入としただけのことでございます。而して向うから來た援助物資の中には食糧ばかりではございません。石炭も或いは石油も鉱石もございましよう。ございましようが、とにかく向うから援助物資として來たものを円に換算して出しただけであります。而して石炭が輸出物の動力として使われ、又援助物資として來た鉱石が幾分再輸出になろうが、それは貿易会計で賄うだけであります。向うから日本が借りたか貰つたか分りませんが、とにかく千七百五十億円というものは、向うの予算で認められた援助物資の換算額でございますので、別にしただけでございます。
  89. 中西功

    ○中西功君 だから物の面で見て、五億米ドルとか或いはそれを上廻るようなものが來まして、そうしてそれを千七百五十億と円で計算して掲げただけだと言われますけれども、併しその援助物資が再輸出もされておりますし、又いろいろ実際には出て行つておるわけなんです。そういうふうな物の関係だけを手ても、これだけ入つて來て、そうして又或る部分は出ておるのです。だから減つておるわけなんです。だからそれに應じて資金の面においては、そういう考慮をしなければ、ただ千七百五十億であるから、それは全部こういう特別会計の用途に使うのだというようなされたんじや、物だけは再輸出して外に行つておつて、資金だけはここに残つておるというふうな格好になるというのです。
  90. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 援助物資として來ました鉄鉱石の一部が再輸出されるその分を引くのがいいじやないか、こういう御意見のようでありますが、再輸出された金額は特別会計でございます。若しアメリカから來た鉄鉱石をアメリカに対してこれは援助物資として要りませんとして返すのなら千七百五十億円から引かなければなりませんが、一應援助物資として貰つたものを換算して千七百億円になる、その中の分がインドに出ようが中國に出ようが、その代金は戻つて來るのでありますから、貿易会計で賄うのが本当でございます。
  91. 中西功

    ○中西功君 そういうような場合に援助見返会計の資金に使うとき、その一部をそういう輸出支拂用の方に使わなければ、全体の資金運用のバランスが困るということを言つておるのです。
  92. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) そういうやり方が今までのやり方で、どれだけアメリカから援助物資が來ているかということをはつきりさせないやり方になるので、私はそのやり方は取らないのであります。
  93. 中西功

    ○中西功君 だから帳面には千七百五十億ということは書いて置いていいというのです。その中から貿易資金へもう一つ入れてやらなければ困るということを言つておるのです。
  94. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) それを貿易資金へ入れたならば困るわけでございます。アメリカの援助物資がどれだけあるということは分らない。
  95. 中西功

    ○中西功君 これは我々がドル会計というものを全然知らないか、或いは知つておつても、日本政府としてはこれをどうにもしておらんということから起つて來る矛盾だと私は思う。若しドル会計と円会計とが有機的に連絡しておれば、私が言うような問題はそんなに起らないし、又今日なされておるようなこういうおかしな勘定の書き方も私は起らないと思う。けれどもとにかくこういうことの結果として、恐らく貿易資金会計には沢山な、或る意味で余分に沢山な一般会計からの繰入れがなされなければならないと僕は思います。そういうことで我々として問題なのは、直接税金の負担となつて來るのです。すでに四百億というものが明らかに税金としてここに繰入れられておるのです。この点は次に貿易会計をやるときもう一度詳しくやりたい。これはこの程度で終つて置きます。  次いで実は税金問題ですが、一昨日ですか、衆議院の予算委員会において、我々の代議士である米原氏が、闇所得といいますか、そういう問題について池田藏相及主税局長に質問をいたしまして、そのときに共産党が言つておる八千億の脱税というのは、これは事実ではない。そうして大体五千九百億くらいだろうというふうな話をされたということを聞いておりますが、実は今まで政府はそんな脱税は計算できないというふうなことで、脱税を計算することを、大体の見積りを立てることをずつとしなかつたのですが、一体我々共産党が八千億であると一應の数字を挙げました結果、これが非常に大問題になつて來まして、政府自身も五千数百億円の脱税があるということをはつきり認めたわけなんです。その認めたということは、これは大きな進歩だと思うのです。併し政府はこのたび五千数百億の脱税があるということを承認した。そういう数字を出したのは我々が八千億あると言つたのを、共産党は八千億と言つてもそういうものはないのだというためにそういう数字を出して來たと思うのです。それで五千数百億に上る脱税というものを主税局長或いは大藏省がどういうふうに評價しておるのか、ちよつとお聞きしたいと思うのです。
  96. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 貿易会計で、ドル会計と円会計がごちやごちやになつているというお話でございますが、決してそういうことはございません。  第二の、昨日衆議院の予算委員会で問題になりました共産党の風早君が或新聞で言われた八千億円の脱税額があるという問題でございますが、これは安本で発表いたしました昭和二十二年度と二十三年度の國民総所得、そうして主税局で発表いたしました二十二年、二十三年の課税所得との差に一兆六千億の開きがある。一兆六千億に対しまして、税率平均五十をかければ、八千億円の脱税がある、こういう主張であつたのであります。而して大藏省の考えでは、その一兆六千億の差額は年度別に計算いたしますると、一兆七千億ぐらいになります。併しこれは年度と暦年度の差額は相当減るし、又事業所得税を損金に見る関係上減るし、そうして又失格者即ち基礎控除以下の人の所得並びに基礎控除及び扶養家族控除によつて免除せられる人の所得を引きますと、大体一兆一千億程度に相成るのであります。この一兆一千億の分が勤労所得のうちでどれだけ入つているか、差があるか、農業所得でどれでけあるか、或いは営業所得でどれだけ差があるかということを計算すると、農業と勤労には大所得者と大闇所得というものはございません。一兆一千億のうち大体六千億余、これが農業と勤労でございます。その残りの五千数億円というのが商業でありますが、いわゆる営業所得になつておる差額でございます。それでその差額全部課税漏れになつているかということは、これは一方には國民所得についての正確さがないことと、一方には課税所得について十分捕捉してない、そういうところから出て來る差額であります。この金額は脱税額じやございません。その五千数百億円の課税漏れがあつてこれに幾らの税率をかけたらいいかという問題が起ります。そうやつて見ますと、課税漏れの所得はあるけれども、税額は八千億ということはとても想像できない。差額は五千数百億だからこれに三〇%の税率をかければ一千五、六百億の課税漏れということになります。併しこれがみんなに分散して行くとすれば、とても八千億だとか五千億だとか四千億だとかいう脱税はない、こういうことになつておるのであります。
  97. 中西功

    ○中西功君 今まで実はこれは昨年、一昨年もそうでありますが、我々共産党はその國民所得とそれから大藏省の課税所得との間の差というものを一應取上げまして、そうして大藏当局にこの差を一應所得から外しておるところのそういう所得税を取る。それから外れておるところの所得であろう。そうなればこれは一應脱税しておる所得である、こういうふうに見ていいのかどうか、ということについては今まで答えなかつたのです。実際はこれは又無理な点もありまして、國民所得というものは、この数字が本当に正しいかどうかも問題であります。ですからその差額を、それは直ちにこれだけが脱税所得であるというふうにも言えないものであると私は思う。併し少くとも政府が出しているこの二つの統計は喰違つているのであつて、この二つの統計を前提とすれば、その間の差額というものは一應脱税所得に或る程度修正を加えたとして見ていいのではないかということを今まで言つたのに対して、大藏当局は一つも答えなかつた。ところが不思議なことに我々共産党が一應の目安を八千億というものに立てて、そうしてそれを大いに宣傳し出すと、今度は政府があわてて急に、曾て我々が予算委員会でやつたと同じ方法で以てさつき大藏大臣が言いましたように、二つの課税所得の間の差を以て、これをいろいろ修正してそうしてこれが一應漏れておるところの数字として、五千数百億円というものを出して來た。我々はこういうことを見ておりますと、この問題について國民の関心が少い間はそういうことは言わずにごまかして置く、だけれども、何かこれが大きな影響を持つて來ると、これは大変だからと言うので、結局は我々がやつたと同じ方法で、今一應脱税的な所得を推定しておるということになるわけなんです。ところが、而もそれを恰かも共産党の八千億が違うのであるというために、我々がやつたと同じ方法で以つて結局は推定をしておる。勿論我々が八千億と言いますのは、これは誰しもこれだけあるとそんなことを言える筈のものじやないのです。併し多くの脱税があるということは、これは誰しも認めておる。而もそれが我々みたような貧乏人に多いのじやなくて、非常に大きな金持の人々に多いということもこれも常識なんです。そういうふうなことを明瞭にさせる意味で我々一應の目安を立てた。そこで終戰後先も大藏大臣は法人の方は利益がないということを言われましたが、実際に終戰後の統制経済において、正しく本当に馬鹿正直に、今の統制法規を守つておれば、大体において利益はないのですが、併し実際においては、沢山な利益を多くの金持の人は掴んでおるわけであります。そういう点から見れば、今の所得は、或いは終戰後のいろいろなややこしい時代の所得は、すべてこれは闇所得であつたと言つても過言ではない程のものなんです。そういうふうな点がありますが、それは一應別にしても、結局こういうふうな政府側も数字を使つてそうして一應脱税額というものの目立を立てた、これも一つの我々は方向を示すための目安であつて、これが一厘一毛も違つておらんとか或いはこれが七千億でなくて八千億であるとか、そういう馬鹿げたことを言つているのではないのであります。これは一つの目安なんであります。政府は五千数百億の脱税が一應考えられると、こういうのもこれは一つの目安なんであります。こういうふうなことを我々は考えれば、結局相当多くの脱税が現にあるということははつきり言える。その点は大藏大臣もここで認めると思うのです。その点を私は先ず一つはつきりして置きたい。こういうふうに非常に想像以上の大きな脱税所得というものがあるということ、それに対して、さつき大藏大臣は三〇%の税率なんと言つていますけれども、これは所得税をよく見て見れば分る、こういうふうな大きな所得は、大体何%の所得税をかけられなければならんか、三〇%でないことは極めて明白であります。そういうふうな、とにかくとても人々が考えておるより厖大な脱税があるということは、これによつて明白になつた。その点は大藏大臣も認められると思いますが、その点が一つ。更に政府は一應この度五千数百億の脱税というものを認めた、認めたとしたならば、これに対して積極的にどんな手を打とうとしておるのか、これは現に摘発されておるところの沢山な例がありますが、こういう個々の摘発じや間に合わない、とすれば、こういうふうなものに対してどのような何らかの策を持つておるか、これを持つておらずに、若し政府が一應推計いたしますれば、このような脱税所得がありますというようなことを言つておるとすれば、これは実に無責任な政府だということになるのであります。その点大藏大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  98. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) なかなか中西君は戰法がうまいので、自分の方の考えに引摺ろうといたしておりまするが、八千億という共産党の脱税額の計算は、誤つた根拠に基くものなりということを大藏省で反駁いたしたのであります。脱税額を見るのに安本の國民所得と課税所得の差額を見て、これが脱税額なりと断定することは誤りだと思います。而して八千億円という脱税額は大所得者、大闇屋の脱税である、こういう発表に対しての反駁でございました。そうして今仮に共産党のような計算方法をやつても、営業全体の所得で五千数百億円の差しか出ない、こういうことを言つておるのであります。その五千数百億円、これが脱税所得だと是認しておるわけではないのであります。勿論我々といたしましても、世の中に脱税者は大脱税者もありましようし、小さい脱税者もございましよう、ないとは申しません。併しその金額の計算方法は共産党のような計算方法で出すべきじやないと考えております。而して只今我々大所得者で相当の脱税をいたしておるということを十分調査いたしまして、どんどん大きい脱税者を調査の上告発いたしておる状況であります。
  99. 中西功

    ○中西功君 さつきちよつと話を聞いたのと大分違うんです。最初の大藏大臣の説明では、一應五千数百億の脱税所得が考えられると、こういうふうに我々は聞いた、ところが今の大藏大臣の説明では、全くこういうものを大藏省は否定している、そんなふうにあるものではないんだと、こういうふうに聞えます。これを遡つて考えますと、先き大藏大臣は國民所得と課税所得との間の差をいろいろ修正されて、一兆七千億、一兆七千億をいろいろ修正されて最後に出されて來たのが五千数百億であつて、これが一應今まで課税を逃れておつたところの所得であると、そういうふうに考えられるんで、共産党が六千億と言つておるのは間違いであると、こういうふうに言われたと思う。私は一應大藏省は五千数百億というものを認められた、こう思つたんですが、そうではないと、若しそうなりますと、大藏省はこうこうこういう計算をすればこういう程度になると、ところが実際は認めてない、そうなりますと、どういうことが問題になつて來るかというと、そういう計算方法を取つて行けば、八千億になるんじやなくて、五千億になるんだと、こう言つて置きながら、結局國民所得というものと、みずからの課税所得というものが全く嘘であるということをここで証明しておることになる。若しその國民所得が正しいと思つており、課税所得というものが、自分達の計算が正しいと思つておるならば、私自身が出しておる計算で出て來る五千億というものは、少なくともこれは認めざるを得ないと思う。若しこの五千億の問題について言えば、國民得所の計算やそうしたものが全くでたらめであると認めれば、それはこの五千億もでたらめだということになる。ですけれども、一應政府が國民所得とか何とかあの表にも出しておりますけれども、こういうものを政府が認めるならば、それならばやはり五千億は一應脱税だと考えなければならないと思うのです。それについて大藏大臣はどう考えるか、もう一度お聽きいたします。
  100. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 繰返して申上げまするが、先ず税額と所得額とをはつきりして頂きたいと思います。共産党は一兆六千億の課税漏れの所得額があつて、八千億円の脱税がある、こういう発表であります。而もその八千億の脱税額は、大所得者大闇師のところにあるのだ。これを私は反駁しておるのであります。而して仮に共産党で計算なさつたような方法で行つても一兆六千億にあらず。二年間で五千数の億円だ。而もこれは所得額、そうして税額八千億円というものはとんでもないことで、所得額でも五千数百億と、こう言つておる。然らばその五千数百億円は脱税所得額と見ないかという問題になりますと、私はこれが脱税所得額なりとは言えない。なぜかといつたならば、これは安定本部の國民所得は一應こういう計算になる、そうして又控除すべき所得額でもこれは推定でございまして、これは正確なものではない。それですから課税漏れの分がそういうふうに近いものになるのじやないかという想像はつきますけれども、これは脱税額なりとは言えないわけであります。而してその所得額たるや、何百万人という者から出て來るものでございますので、大闇師等の大所得者の区分に入れるわけには行かんのであります。
  101. 中西功

    ○中西功君 それで、私も多少いろいろ言つておるかも知れないが、大藏大臣も随分詭弁があると思うのです。とにかく問題は八千億というふうな問題について言つておるのじやない。これについてはもつと他に見解がある。これについてはいろいろ実証する材料を持つておるのです。それじやない。五千数百億というものは大藏大臣自身の計算でここで出したのです。それを大藏大臣として脱税所得と認めるかどうか。こういうことを言つておるのです。若しそれは國民所得というものを、一應この予算においても何においても或る程度計算の標準に入れておるとすれば、これと同じような正確さ、或いは不正確さを以て、一應脱税所得と推定できるのじやないか。それが若し國民所得の方がいろいろ問題があるから、これはできないとすれば、今我々に渡された一切のものは結局においては何にもならない。嘘ばかり聞かされたということになるのです。而もその場合小さいものがあろうが、大きなものがあろうがともかくとして、そのことを私は聽いておるのです。
  102. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 議論してもあれだと思いますが、共産党の計算方法に則つてやれば五千数百億円になるというのであります。而してこれが脱税額かといつたら、私はそれは即ち脱税額とは考えません。
  103. 中西功

    ○中西功君 後は保留して置きます。
  104. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは運輸大臣に対する質問を願います。
  105. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 運輸大臣に一つ次の点について御質問をしたい。本年度の運輸省の予算におきまして、鉄道技術研究所の予算が昨年度の予算の約二分の一に切下げられて、予算として提出せられております。この研究所の予算の問題につきましては、我々聞いたところでもいろいろ経緯があつたと思いますが、今日日本の民主化を徹底する上において、科学的な技術の発達ということが一つの重要な問題であることは言うまでもない点であつて、從つて政府においても外の研究所或いは試驗所の予算を見ますと、全部軒並みに昨年度の予算よりもうんと上げておる、これは当然なことだと思う。例えば厚生省の予防衞生研究所の予算のごときは昨年の二倍半、その他軒並みに一倍半とか一・一五倍とかいうようなふうに、どの研究所、試驗所の予算を見ましても、昨年度額より減つているものはない。ただ一つ鉄道技術研究所の予算だけが昨年の予算の二分の一に切下げられておる。このことは日本の科学技術の発達という点から見ましても、又運輸事業の重要性という点から考えても、甚だ理解し苦しむところであります。特にこのように予算が削減されますれば、この研究所に働らいておる千六百四十二人の優秀な研究者、技術者の大半が分散しなければならないということから起る國家的損失は内莫大であろうと思う。そこで大藏大臣のしばしばの答弁にもありますが、近く補正予算を出すということを何度も言つております。その補正予算を出す場合に、必ずこの研究所の予算の増額を図る意図は持つていないか、或いは更に進んで言えば、今年度の予算において更に増額を図る意図は持つていないかということを私運輸大臣に質問するのであります。はつきりした御答弁をお願いいたします。
  106. 大屋晋三

    ○國務大臣(大屋晋三君) 今の波多野君の御質問は、正に事実はあなたの仰せられた通りなんであります。そこで私といたしましても、運輸省の一般の予算の金額も削減され、又鉄道の研究所の予算も頃常に削減されまして、仰せられたように大体人員におきましても三分の一分しか見て貰えないということになりましたことを非常に遺憾に思つておるのでありまするが、只今波多野君の仰せられたように、この次に補正予算をすべての安件に対して組むチヤンスがございましたならば、そのときにはこれの増額を図りたいと思つております。
  107. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 尚それまでの繋ぎといたしまして、今年度提出予算の枠外で何らかの特別措置を講ずるお考えはないか。この点もう一つお聽きしたい。
  108. 大屋晋三

    ○國務大臣(大屋晋三君) 私共も只今の貰つた一億六千万円の予算で何とか今やつて行けるかどうかということを考慮いたしております次第でありまして、只今直ちに他の費目をこれに廻すという考えは持つておらないのでございます。
  109. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 次に、昨日の栗山委員の質問に対して安本長官からの御答弁をお願いいたします。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その前にちよつと、昨日の鉄道の運賃の問題で、その後昨日の御答弁と若干喰違つた点が出ておるように思いますので、この点を先ず最初に質問したいと思います。昨日の私の質問の中で、今度價格改訂は全面的に停止すると言われているのに、國鉄の運賃だけが増されるのはどういうわけですか。その理由を承りたいということを申上げたのでありますが、これに対してはまだ御返答頂いておりません。併し今日の毎日新聞の記事を見ますと、六割の値上げであると言われているのに、定期券のごときは二割五分の値上であります。こんな無茶な値上はいけないのじやないかというので、運輸省の藪谷業務局長に問い質したところが、國鉄の赤字財政の建直しのため止むを得ない措置なので、是非我慢して貰いたいと言つて逃げられたと、こういうことであります。すべて政府事業がこういう形でどんどん行われるということになれば、もう経済再建の理論的一貫性は崩れて來るのではないかと私は考えるのであります。こういう観点から見て重要なことでありますが、昨日安定本部の長官は、これと関連しまして、私の質問で、國鉄が大体赤字が出ているのは旅客でなく貨物である、その貨物の赤字を補填するために旅客の運賃が上げられるのである。從いまして從來の例を見ますると、國鉄の運賃値上のときには必ず私鉄の運賃が値上されましたけれども、理論的に私鉄の收入は殆んど全部旅客收入でありますから、上げる理由はない。それで今度は必ず上げるのか上げないのか明らかにしは頂きたいということを申上げたときに、今度は上げない、並行線と雖も上げないということをはつきりおつしやつた。私は数回に亘つて念を押しましたが、そうおつしやつたのであります。ところが今日又その毎日新聞の記事を見ますと、運輸省の陸運監理局談としまして、並行線は今まで國鉄運賃と足前を揃えるため値上率を押えておるので、私鉄側としては当然値上するだろうと、他人事のように書いてある。これは私鉄の運賃決定を恐らく運輸省がおやりになるわけでありますが、私鉄則として当然値上するだろう、他人事のように言われているという話であります。これもまた了解できないのでありますが、昨日実はこの質問を出す前に、運輸省の業務局長にお尋ねしてあります。業務局長は並行線であつたも値上しないとはつきりおつしやつた。私鉄側もそれを望んでいないのであるとおつしやつた。こういうことを聞いておつて質問したのでありますが、監理局長の談としてはこういうふうに出してある。一体どこが本当なのか嘘なのか、さつぱりよく分らないのでありまして、この点を明らかにして頂きたいと思うのであります。
  111. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 運輸大臣か安本長官かどちらに……。
  112. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 安本長官から伺いたいのでありますが、所管が運輸大臣ですから、どちらでも結構であります。
  113. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 昨日栗山委員から御熱心な質問がございまして、私は私鉄の運賃は國鉄と同じようには上げないということを大きな声で申上げたと存じますが、その点につきましては尚詳細に亘ることもございますので、本日は禍門の第五部長も参つておりますから、第五部長から詳細にお答えを申上げます。
  114. 菅野宗吉

    ○政府委員(菅野宗吉君) 栗山委員に御説明申上げます。並行会社線の、大体私鉄の全般につきまして、昨日大臣からお話になりました通りで、基本の賃率は改正をいたしません。但し從前会社線が、並行しております國鉄との調整上自分で認可運賃の範囲内で特定運賃を説けております。例えば小田急線がキロ当り一円二十銭の認可をいたしておりましたのに、省線が一キロ九十銭でございますので、省線が現行東京、小田原間七十円でございます。それで会社線は一円二十%の八十三キロでございますので、百円まで統制額としては現在認可されております。みずからこれを七十円の特定賃率を適用しております。こういうものは今度省線が六割上りまして、一キロ一円二十銭よりもこくなりますので、從つて小田急としては一ぱいの百円まで当然上げ得る、こういう意味においては並行会社線は上りますが、基本賃率はどこまでも同じである、こういうことでございます。又國有鉄道の今度の改正では、運賃計算の技術上の面からいたしまして、現在刻みを三円、五円、八円、十九というふうになつておりますのを、五円、十円にしまして、事務上の簡略化を図りますので、連絡運輸乘車券を非常に沢山発行します関係上、これと会社線は歩調を合せざるを得ない、この面で変更がございます。又國鉄が三ケ月、六ケ月の定期券の割引率の廃止をいたしますのに対應して、会社も非常に高率の割引率で採算割れになつておりますような面は、國鉄と同じ線まで持つて行くように目下関係方面と折衝中でございます。又貨物賃率が國有鉄道が据置きになりました関係上、貨物を主に運んであります極く少数の会社につきましては、賃率の改正方を現在研究中でございます。以上お答え申上げます。
  115. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 尚栗山委員から、昨日から引続いて電氣料金の改訂についての技術に基いた御熱心な御質問がございました。昨日一應お答をいたしましたが、尚不十分であるということもございまして、今日はその現状につきまして尚一つ詳細にお答を申上げたいと存じます。つきましてはちよつと速記を停止して頂きまして、そして中川政務次官からその点詳細お答え願いたいと思います。よろしく御了承願いたいと思います。
  116. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) では速記は止めて下さい。    〔速記中止〕
  117. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の中川政務次官の御答弁におきまして、昨日御質問いたしました点で、第一の復金及び補給金を切つた場合には原價計算のベースが崩れるではないかという私の質問、更に原價計算の内容に変化が生じました場合には、これは是正すべきではないかということに対する御回答は、二つともそういうことに御努力を願つておるということにて、了承いたしました。ただその後で私が申上げた点で新らしい問題として、二、三点伺つた点についてもう少し御説明を頂きたいと思うのであります。今の原價計算は本当に間に合せ式な原價計算であることは申すまでもないことでありまして、例えば電力原價の構成比率を戰爭前と只今と比較して見ますと、戰爭前は減價償却が一〇%、営業費が四〇%、それから資本費、これが五〇%、計一〇〇%ということに相成つております。即ち固定費が五〇%、営業費五〇%、こういう恰好であります。ところが現在の状態はどうかと申しますと、減價償却は僅かに一%であります。殆んどしていないと同じです。それに営業費は九四%、資本費は僅か五%、これで合計一〇〇%、こういう状態に電氣事業が運営されておるということをも少し考えて見ますと、結局電氣事業は殆んど資産の全部を固定化しておりまして、そして而もその帳簿價格は、ブツクバリユーは非常に安い、現在のところ電氣事業は百億あるそうでありますが、これを再評價いたしますならば、約五千数百億に及ぶと言われております。この金額を元にして十分な償却をいたしませんと、電氣事業の將來は電氣設備の導入によつて大変なことになると思うのです。特に日本の電氣設備は相当老朽に入りまして、もうすでに発電所のごときは設備の半分は二十五年以上を経過しておるということでありまして、どうしても減價償却をしなければならない、いわゆる償却を十分にやりませんで、そうしてこのまま安い電力料金で工場へ電力を送つてやるということになりますると、成る程安い品物ができるかも知れませんが、そして安い品物が海外に輸出をされて行くかも知れませんが、これは結局安い賃金で海外に輸出すると同時に、安い資産そのものを段々喰い潰して外國に輸出する、ダイピングをするということになると、何年か経つて、日本の電氣事業は動かないということになると思います。こういう点から考えまして、どうしても戰前と同じような電氣設備の特殊な事情を考えまして、公正な償却をしなければならないのではないか、こういうことが先ず第一に考えられる。それからその他電氣事業のあり方については、昨日も指摘いたしましたように、安本の野田長官が「実業の日本」に御尤もなお説を金融措置として述べておられましたので、これ以上述べる必要はございませんが、こういうような正常な形に電氣事業をしないと、基幹産業である石炭以上のエネルギーを補給しておるのでありますから、これが一朝つまずいたとき、非常に大きな禍いを方々に波及いたすと思いますので、この際思い切つてここまで思いをいたして、経営の指導なりを政府はやられなければならないかと思います。この点について政府にお尋ねいたしたいのであります。
  119. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今の栗山委員の御指摘は誠に御尤もな次第でありまして、今日日本の産業がいわゆる実体資本の喰い潰しをやつて賄われておるという点は、あらゆる産業に認められる次第でありまして、然るが故に過般税制審議会におきましてもこの問題は大いに取り上げまして、いわゆる資産の再評價の問題、それから償却率の時價によりまする改訂の問題が叫ばれております次第であります。本問題は未だ結論に達しておりませんが、是非ともかような合理的に改革を行わなければ、日本の眞の産業の復興、企業の眞の健全化、合理化は達し得ないと考えるのであります。この点につきましては、ひとり電氣産業のみではないと存じまするが、仮に只今私の覚えておりまする範囲におきますると、銑鋼業のごときは今日減價償却は〇・一三八%しかいたしておりません。これは設備を時價に評價いたしました場合には四・二%、即ち三十二倍程の償却をしなければならんとこになつております。更に自動車工業等にいたしますると、約一九・七倍の償却をしなければならんという状態でございます。尚製糸事業にいたしましても二〇・八というような数字が出ております。電氣産業の方ははつきりした数字は覚えておりませんが、多分今日の償却に対しまして、恐らく二〇倍くらいのものをしなければならんかと考えております。この点はいずれ税制審議会の結果、はつきりいたしまして、日本の産業の今後の健全な歩み行き方が講ぜられております。これをやりますにつきましても、政府といたしましては賢明なる施策をいたしますが、産業自体といたしましても飽くまで合理化を図つて頂くということを是非ともお願いいたしたいと考えております。殊にいろいろ最近政府としても出費は飽くまでこれを節約したしますが、電氣産業の方面におきましても、あらゆる面においてますますこの上ながら一層御苦労を願うと存じますが、例えば最近問題になつておりました組合專從者の給與等にも、そういう小さい面までもお願いをしなければならんという状態に立ち至つておりますので、これは官民共に努力いたしましてそれで実現をいたすのではないかと考える次第であります。
  120. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは政府の力を以て成るべく早い機会に実現するよように御努力を願いたいのであります。ただ個々の産種別産業と違いまして、電氣事業の問題というものは非常に廣範囲になりまして、大きな問題であると思いますが、是非とも政府の方にお願いを強くいたして置きたいと思います。  次に私昨日御答弁の中で又昨日特に力を入れてやりました点で、お答を頂いておりません問題は賃金の問題であります。昨日いろいろな例を挙げて、私は、例えば逓信大臣が逓信委員会で六千三百三十円の賃金ベースは、昨年の七月以來の実態生計費が二〇・三%に上昇した以上、現在において変えなければならないので、鋭意努力中であるということを言われたから、或いに日本の重要産業の價格政策が、非常に強い政府の政治的な圧迫が加えられまして、價格体系が混乱状態にある、その混乱状態の皺はそのまま各産業の賃金に及んでおりまして、各産業の賃金は非常に不均衡な状態なんです。昨日も安定本部の長官は支拂能力の範囲内でやるよりしようがない、こういうことをおつしやつたのでありますが、私はいつも引き合いに出すのでありますけれども、誠に残念なことでありますが、現在の日本の賃金情勢は産業労働者でなく、身体で働いて生産をしておるところの労働者でなくて、金融業に携つておる從業員の人々の賃金が最高水準であります。これは昨年の十二月にも産業大学の中山総長がこの席上で私の質問にはつきりお答えになつた。それを認めるとおつしやつた。手取り一万円以上になる。これをお認めになつた。そういうようなものがあるかと思えば、実に慘憺たる状態、労働者はそんなに賃金のアンバランス、價格政策の皺をそのまま受けまして、そうして労働者の賃金がアンバランスでございましてそれでは働けない、労働者の働くためにはやはり一定の額が要るのでありまして、業種別にそんな差等が設けられるべきものではないのであります。從つてこれは成るべく早い機会に賃金の横のアンバランスを政治的に是正しなければ、勤労意欲の昂進は期待し得られない、こういうことを私は申上げた。そうして特に電産の七千百円の賃金は、石炭も最近そうであるのでありますが、六千三百円の公務員ベースよりも計算をして見ますと下廻つているのであります。現実にこれは下廻つている、それをそのままに押し付けてそうして、原價計算を……先程お聞きした七千百円をそのまま含んでいるとおつしやいましたが、それでおやりになるということは、折角納まつた電産の労資の関係を直ぐに明日から再燃させるものでありまして、余りにもこれは錯誤の甚だしいお答えじやないかと思うのであります。こういうような問題について、政府の六千三百三十円を変えようとして努力をしているという証言を大臣がしているのであります。これはどうしても考えて貰わなければならないのでありますが、このままで七千百円の賃金是正の問題について、どういう工合にお考えになつているのか、今度の原價計算と睨み合せと是非ともお考え置きを願いたいのであります。私は昨日わざわざ昨年の十二月十六日の読賣のあの社説の例を挙げて申上げた。読賣の社説は、若し企業三原則をやるならば、先ず價格政策の矛盾と賃金政策の矛盾を是正して、然る後に嚴重な企業三原則の適用をやるべきである、こう読賣の社説は説いているのであります。そういう点を私は伺いたいのであります。
  121. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 只今栗山委員に対する御答弁で、補足いたしまして私からお答え申上げます。産業間の賃金のアンバランスは我々にも非常に困つておりまして、是非早い機会にこれを何とかして合理的なバランスまで持つて行きたいと思つていることは、栗山委員のお考えと全く同感なのであります。ただ今回は御承知の通り物價の改定を全面的に一遍に行うことを止めまして、一應原則としては据え置く、こういうことになりまして、部分的な補正だけに限られてしまつたものですから、又この際にその計画を考えることができなくなつたわけであります。これは非常に遺憾なことでありまして、今日ではそういうわけでできませんが、まあこの次にそういう機会が掴めるように成るべく努力しますと同時に、合理的な賃金の産業間の釣合というものが一体どうしたら掴めるかというような、非常にむずかしい根本問題もありますので、研究は続けて行きたいと思つております。それから我我が今考えております電氣料金の改正のうちに織込む電産の賃金の水準の問題でありますが、この点につきましてはやはり賃金三原則という原則が與えられておりますが、どんな料金を組みましても、賃金の額につきましては三原則に合つた金額を組んで行かなければ相成らんということになつておることを御了承願いたいと思います。
  122. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、これも本当は長官にお聞きして置かないと工合が惡いのでありますが、今申上げたように、賃金の是正をしなければならんということは今お認めになりました。そうして前年の賃金その他いろいろの六千三百円の公務員賃金以下の賃金もあるということも恐らくお認めになつたと思うのです。それから金融機関の賃金がああいう工合に高いということもお認めになつたのでありますが、そういう矛盾のあることも認めて、そうして企業三原則というものが原則として動かないというので、これも据置きになる、そういうことになつた場合に、労働者の勤労意欲というものが十分に政府としては期待できない、労働者に働けという号令は恐らくおかけになれないと私は思います。又かけても御無理だと思いますが、その点を御認識の上でそういうことをおつしやるのかどうか、それを伺いたい。
  123. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 只今の点は、我々としましては、物價に織込む公價の一項目としての賃金を申上げたわけであります。物價に織込む賃金と申しますのは、一体物價というものはどういうところで決めるかということから考えなければなりません。大体一般の物價について申上げれば、その品物の本当の生産費、各企業々々における生産費というものは非常な違いがあるわけで、これは御存じの通りと思います。安くできるところも高くできるところもありまして、そのうち我々の見当から見て、大体このくらいが妥当であろうという水準のところで決めておるわけです。まあ全面的に申せば一定のパーセントによるバルクラインの水準を取るのが現在の公定價格の決め方の原則であります。それでありますから、今決めておるマル公というものは、又それを組成しておる各原價の内訳というものは、そのバルクラインにおける限界、生産者の生産費なのであります。この点を特に御了承下されば、今の問題も一應は解けるのではなかろうかと思うのであります。ですから言換えればマル公の範囲で当然利潤の上り得る企業は考えておるわけです。勿論或るパーセントで切るのですから、それ以上の生産費を現にかけておる企業については、これは到底今の実際支拂の賃金水準を上げることはできないかも知れません。併しそれ以上に優秀な企業におきましては、今の統制下の範囲内でも上げ得る余地は價格体系上から申せば残されておるのです。その残されておる余地を十分御活用下さつて、労資協力して企業の合理化をいたすならば、現行價格におきましても、少くとも現在支拂われておる賃金の支拂はできる、又それ以上に今後操業率の上昇などで好轉する方面の企業におきましては、現在の賃金水準以上の支拂能力の出て來ることは考えられるところと思います。でその面におきまして勤労意欲その他の昂揚を図つて頂いて、大いに生産に邁進して頂きたい、こういうふうに考えているのであります。
  124. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあ原則的には今おつしやつた通りでありまして、昨日も安本長官は原價計算をやるときには、政府は常にゆとりのあるものを決定しておる。能率の高い産業に対しては厚く見ておるというようなことをおつしやつたのであります。それは非常に概念的な言葉でありますが、電氣事業の場合には原價計算は先程申上げました通りに余りゆとりはありません。私がこの間調べたところによりますとございません。特に今日お聞きしたような、半年ずれておる。大体電氣事業というものは上期に儲けまして、そうして下期の渇水期にこれを償うというような式になつているのを、今度は半期ずれでいるような形になつておるようであります。それから能率は昨日申上げた通りにて、國内産業の中でも一二〇%でトップでありますが、このような事業でありながら尚且そういうことはちつともできないわけであります。今副長官がおつしやつたような含みのある措置は全然できないように私は思う。そこのところを私は申上げたいと思う。これは今副長官がおつしやつた、こういうふうにやはり勤労意欲を昂揚するような賃金措置を実質的に取り得ると御指摘になつた企業の中で、少なくとも代表的な私は事業だろうと思う。現在の状態の中ではそういう事業が尚且つでき得ないような状態にあるということは、副長官がおつしやつたようなそういう理想的な産業は残念ながら日本の経済界にはない、産業界には現在ない。それは天國のことである。そういうふうにしか受取れない。その点を一つお答え頂きたい。
  125. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 一般の産業界につきましては、今栗山委員のお話のように、そういうことは天國のこととは私は考えておらんのであります。
  126. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 電氣事業で……。
  127. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 但し電氣につきましては、一般の産業とはこれは確かに事情の違うことはお説の通りと思います。それで我々が電氣料金の改訂を計画しておりまするときにも、その点は考慮して改訂しておりますので、配当その他を電氣にだけは特に繰込まなければ、自力によつて民間資金を吸上げるということは不可能であると考えて、配当金その他のものを特に電氣料金について繰込んだというのも、実はそういう点を考慮した一つの例であります。これは外の産業でありますと、今マル公の中には利潤も見ておりませんし、又配当相当額も見ておりません。併し外の産業は先程から申上げましたように、これはバルクライン・システムで大体においてやつておりますから、それは限界生産者のマル公でありますから、限界生産者に利潤や配当はこれは認めるべきでないということで、認めておりません。併しよく誤解されておりますように、そうかといつて政府のマル公は利潤も見ておらんじやないか、配当も見ておらんじやないか、これで企業が立つて思つておるかとよく言われますけれども、それは違うのであります。十分それで利潤も配当もできる企業はある筈だ。経営さえ優秀ならばできる筈だというところへ線を引いておるわけであります。ところが電氣産業は今お話の通りでありまして、そういうことはできませんから、それでこれに配当をよくしようと思えば、特に電氣料金の原價項目の中に、それを織込まなければどうにも動きが取れん産業であります。それで今度はそれを織り込もうと、こう考えておるようなわけで、そういうところでもお分りのように、電氣産業についてはお話のような点があることは十分心がけておるつもりであります。
  128. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つは、電氣事業の内部と雖も勿論企業合理化をしなければならんことは沢山あると思います。特に山で起しました電氣が、都市へ持つて來て需要者の手に渡るまでには三〇%なくなつてしまう、こういう実情であります。これは勿論技術的な損失もありますが、その外に盗用だとか、或いはこれに類したようなものがあつて、三割は需要者に届かない。消えてなくなつてしまうという事情であります。これを何とか早く始末しませんとなかなかうまく行かない。又その他いろいろな面でこれに比肩するような、企業内部でも問題もあるようでありますが、こういう点と、非常に現在電力事業は國家管理と殆んど同じで、日本発送電もそうでありますし、配電会社も同じであります。非常に強い官僚統制の事業でありますが、この官僚統制下にある電氣事業に対して政府は企業の合理化、これは私は労働階級の首切りとか、賃金の抑制とか、そういうしみつたれたことをおやり頂きたいということを申上げておるのではなくて、その外にまだおやりにならなければならんことが沢山あるわけであります。そういうことを如何に具体的に計画し、これをやろうとしておるのか。その点を私は伺いたい。
  129. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 只今の栗山委員の御指摘は全く私共も同感でございまして、然るが故に今日電氣事業に対しましては、政府といたしましても、只今お話のいわゆる送電ロス等につきましては、送電線の改善、これが修理、こういうようなものに対します資材、その他各発電所の修理資材等はできるだけこれを優先的に確保いたす途を講じますと同時に、一方資金の面におきましては、建設的の資金を電氣産業の方に廻すということに対しましては、特段の考慮を拂つております。特に今後電氣量を増加いたしますために電源開発につきましては、極めてこれを重要視いたしておりまして、只今対日援助見返資金の中からもこれらの電源開発には相当の量を出して貰いたいと存じまして、極力これらの点は関係方面とも折衝いたしております次第であります。御趣旨のように私共不断の努力をいたす覚悟でございます。
  130. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう一点だけお伺いいたします。今の問題、企業合理化の問題は私共非常に関心を持つておりますけれども、ここでは十分盡せないと思いますし、何でございますから、後日商工委員会において御質疑をいたしたいと思いますので、もう少しいろいろと内容をお整え願つておきたいと思います。それから最後に電氣料金の内容分析の問題でありますが、昨日私申上げましたように、今度國鉄の料金を値上げすると申しますが、貨物が赤字を出しておる、四四%赤字を出しておる。旅客は儲かつておるわけであります。儲かつておる旅客運賃を上げて、自分が鉄道を利用するだけの当然の報酬を拂つておる旅客に追打ちで更に値上げをする。特に通勤者の定期券のごときも六割の値上げをするということでも輿論を捲き起しながら、実質的には二・五倍の値上げであります。実にこれは驚くべきことであると思いますが、これと同じことが電氣事業に今やられておるわけであります。一つの例を申上げますならば、昨日申しましたけれども、もう一度私は申上げます。電氣料金の中で只今一般家庭用の電燈の料金はキロワットアワー二円七十銭であります。ところが小口の動力になりますと一円になります。それがもうちよつと大きな中ぐらいの動力用の大口になりますと八十一銭、更にもうちよつと大きくなりますと六十八銭、更に大きくなりますと五十三銭というような工合に、段々逓減いたしております。そうして動力の総平均は六十八銭であります。同じ電氣が家庭用の電燈電熱は二円七十銭でありますのに、動力の総平均は六十八銭であります。そうして尚且つ驚くべきことは、一旦高水なんかのことがありますると、特殊電力というものが出て來るわけでありますが、そういうものは六割五分引であります。この安い料金の六割五分引、そうして而もこの電力はどこへ配られるかと申しますと、中小企業以下の工場へは全然割当てられません。大企業だけであります。私共が口をすつぱくして、中小企業にも一般家庭にも特殊電力を割決てなければならんということを力説しておりますけれども、なかなか政府はそういう措置を取らないで、大産業にだけ割当てる。例えば関東における余剩水力の殆んど全部は、神奈川の昭和電工へ流れているような実情であります。そういうようなことをやつておりますが、一度電力制限が來るとどうなるかと申しますと、一般家庭用の割高な二円七十銭の電氣は全部人並に制限します。小口の動力の一円程のところは全部制限しまして、この一番安い大口の工場だけどんどんと制限下における電力は流されるという状況である。私は、先程の鉄道貨物と同じように大産業育成ということもいいかも知れませんけれども、余りにも忍ぶに難きところの犠牲を私は國民大衆に負担させるものと言わざるを得ない。特に先程中川次官も言われたように、電力料金を少々上げても二次製品、三次製品で吸收し得るということをお述べになりましたが、その通りであります。昨日も申上げたまし通りに、電燈電力の値上は三十倍でありまして、こんなに値上率の少いものは國内にないのでありますから、十分に吸收し得るわけでありますが、特に電力がそうであります。そこで今後の電力料金の値上のあり方は、この不合理に満ちた用途別の電力料金を、これは根本的に是正しないとうまく行かないと私は思うのであります。こういうことが若し國民の中へ実情として発表されたら、私は大変なことになると思うのでありますが、この点を一つ十分に今後の料金措置においてお改めになる用意があるかないか、それを私は伺いたいのであります。
  131. 野田信夫

    ○政府委員(野田信夫君) 只今の御意見は御尤もでありまして、我々もその点につきましては、今度の料金改訂が実現いたしますれば、それに應じましていろいろの割り振りの改正をいたさなければなりません。そのときに今のような御意見を十分参酌いたしましてやろうと思つているのであります。殊に大口その他が余りに安過ぎるとか、今御指摘のような非常な高率の割引をしているというようなことは、今後は改善して行こうと思つております。それから電力特に動力料金の改正につきましては、中小企業方面の動力、これに余り多くの影響のないように、負担が成るべく軽くて済むようにというようなことも考えなければならんではないかというようなことも考えておりますが、まだその細部に亘つての計画はできておりません。その際只今の御意見は十分参酌いたそう、こう思つております。
  132. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 最後に、これは、速記を止めて頂いてもいいのでありますが、先程の料金の合理化をおやりになる大体の見通しの時期はいつ頃でございますか、伺いたいと思います。その見通しの時期と率……。
  133. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) 料金の問題につきましては、先程詳細に亘つて私より申述べさして頂いたわけでございまするが、その時期につきましては、只今折角関係当局と極力折衝中でございまして、只今いつということは、ここに御言明を申し上げることはできませんが、できるだけ早い機会を私は望んで努力をいたしておりますので、何とぞさように御了承頂きたいと思ます。尚率につきましては、先程申上げまして線によりまして、只今折衝をいたしておりますので、この上ながら一つ努力いたしたいと考えております。
  134. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 昨日御質問いたしまして、どうも要領を得ないので、私は大分失礼なことを申上げましたし、又申訳ないと思つておりますが、今日の御答弁で私は大体各点、了承いたしました。ただ了承いたしましたということは、私の主張しますところのいろいろな項目に対する意見を大体安定本部としても了承した、そういうことは大体分る、こういう工合におつしやつたので私は了承するのであります。ただ分つて頂いただけでは意味がないのでありますから、今後の電力行政の上において非常な矛盾に満ちた面が多々ありますので、そういうものを一日も早く是正をせられまして、そうして正常な形に電氣事業が運営せられ、そうして公益事業の面目を遺憾なく國民の上に発揮し得るような措置を取つて頂きたい。これを強くお願いいたしまして質問を終りたいと思います。
  135. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) ここで五分間休憩いたします。    午後四時三十八分休憩    ―――――・―――――    午後四時四十七分開会
  136. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 委員会を再会いたします。本日の委員会は以上を以ちまして、一般質疑を終り、明後十八日から分科会に移りたいと思います。それでは之をもつて散会いたします。    午後四時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            油井賢太郎君            飯田精太郎君            島村 軍次君            田村 文吉君            東浦 庄治君            中西  功君            岩男 仁藏君    委員            下條 恭兵君            森下 政一君            岡田喜久治君            西川甚五郎君           橋本萬右衞門君            一松 政二君            深水 六郎君            平岡 市三君            小串 清一君            岩木 哲夫君            高橋  啓君            深川タマヱ君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            伊達源一郎君            玉置吉之丞君            久松 定武君            帆足  計君            堀越 儀郎君            松村眞一郎君            池田 恒雄君            栗山 良夫君            小川 友三君   國務大臣    大 藏 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    運 輸 大 臣 大屋 晋三君    國 務 大 臣 青木 孝義君   政府委員    経済安定政務次    官       中川 以良君    経済安定本部副    長官      野田 信夫君    経済安定本部物    價局長     谷口  孟君    総理廳事務官    (物價廳第三部    長)      中村辰五郎君    総理廳事務官    (物價廳第五部    長)      菅野 宗吉君    総理廳事務官    (経済安定本部    財政金融局次    長)      渡邊喜久造君    総理廳事務官    (経済安定本部    物價局次長)  北島 武雄君    地方財政政務次    官       堀  末治君    大藏政務次官  田口政五郎君    大藏事務官    (主計局長)  河野 一之君    大藏事務官    (主計局次長) 阪田 泰二君   農林政務次官  池田宇右衞門君    農林事務官    (開拓局長)  伊藤  佐君    農 林 技 官    (農業改良局    長)      磯邊 秀俊君    運輸事務官    (鉄道総局総務    局長)     三木  正君    建設政務次官  赤木 正雄君