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1949-04-15 第5回国会 参議院 予算委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和二十四年四月十五日(金曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計予算(内閣  送付) ○昭和二十四年度特別会計予算(内閣  送付) ○昭和二十四年度政府関係機関予算  (内閣送付)   ―――――――――――――    午前十時二十七分開会
  2. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。本日は総理大臣に対する質問を行います。先程の申合せによりまして、大体五分から七分程度に御質問をして頂きます。先ず山下委員。
  3. 山下義信

    ○山下義信君 今日國民が抱いておりまする不安というものが私は三点ある思う。  第一点は、我が國の平和保障に対しまする不安であります。これは先般來当院の本会議におきましても質疑があり、又総理からも懇切な御答弁もあつたのでありますが、果して我が國の平和が如何なる場合にも保障せられるであろうかどうかということに対する國民の不安であります。  第二点は、今回の総予算案は即ち我が國の経済再建でございますが、経済再建は言うまでもなく政治再建であり、言うまでもなく國家再建でございまするが、かくのごとき非常なる國民的覚悟を以ちましてこの難局を切り抜けまして、この予算に盛り込まれましたる政策に從いまして、国民が耐乏生活に耐えまして、乗り切つて行きましたる將來の日本は、如何なる日本がここに建設されるでございましようか、言い換えますれば、我が國、我が日本の將來のあり方、再建せられたる日本というものの姿は如何なる日本が現われて來るでありましようかという不安でございます。不安というよりははつきりした國民の理想を持ちたい。如何なる日本を目指して我々はこの窮乏に耐え、この難局を乗り切るべきかという目標が持ちたい、これは國民の念願であろうと私は思います。その日本が旧來のような古い日本のように立ち還つて行くのでありましようか、或いは又新たなる独立日本、然らば如何なる姿の日本の再建を目指して國民が一致團結して乗り切つて行くべきであろうかというはつきりした將來の日本の姿というものを認めて行きたい、こういう考え。それに対する國民的不安であります。  第三は生活に対する不安、これが今回の予算執行の結果、いわゆる九原則が非常に嚴格に遂行されまする結果といたしましては、國民生活が窮乏に追いやられて行く、その生活に対する不安、或いは多数の飢餓の國民が現われるかも分らんということに対する不安でございます。この三点に関連いたしまして、私は総理から我が國民に対しまして明るい希望、明るいはつきりした理想、信念を持たせるべき首相の御所見を伺いたいと思うのであります。從いまして、第一の我が國の平和保障に対しまする不安に関連いたしまして、伺いたいと思いまする要点は、現在の戰争放棄の憲法の建前からいたしますれば、日本人が戰争に使われることを拒否することができますか、如何なる場合にも日本人が、如何なる國の戰爭にも手先になるということにつきましては、はつきりと我々日本人は拒否することができますかどうか、又首相はそういう場合に、これを拒否する覚悟がありますかどうか、若し然らずといたしますならば、戰争放棄の憲法の改正をいたさなければなりませんと考えます。これに対しまする首相の御見解を伺いたいと思うのであります。尚日本は、日本人自身の手で守るべきでありますかどうか、若し日本人自身の手で守るべきでありますならば、或る程度の兵備力が許されるのでありましようかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。第二に申しました再建日本の構想、即ち我が國の將來のあり方につきましては、第一の点と表裏いたすものと思うのでございますが、講和後の日本というものは、どういう日本國の姿となつて現われるか、又我々はそれを目標として、理想として進むべきであるかということの、独立日本の國の姿のあり方につきまして、首相の御理想を承りたいと思うのであります。第三の生活不安に関しましては、國民生活の保障につきまして、首相の御方針が承りたいのでございます。我我はインフレが進みますれば、インフレ破局の前に、生活の不安を持つております。又これがいわゆるディスインフレから更にデフレに進みます場合には、即ち又國民は非常な生活不安に襲われざるを得ないのでございます。資本主義、自由主義政策を以てこの難局に処して、而もその中に経済九原則を以てお進みになろうとなされまする、保守党の内閣といたしましては、保守政党なればこそ、そういう御政策を強硬に御推進なされる内閣なればこそ、一層失業対策、或いは國民生活の安定の政策というものに、十分力をお入れなさるべき筈と私は考えるのでございますが、そういう國民生活安定の政策に対しまして、首相はどういう考えを持つておいでになりますか、いわゆる國民に耐乏生活を御要請相成つております。又國民は進んで耐乏生活に相應ずるの覚悟があるといたしましても、非常な生活困窮を招來いたしまするその不安に対しまして、如何なる政策を以てお臨みになるお考えであるかという点を承りたいと思うのであります。  最後に、首相は我が國憲政の常道の確立につきましては、非常にお骨折りでございます。私共はその点に対しまして、政党、政派を超越して敬意を表するのでございますが、將來政府が信を國民に問う、信を國民にお問いになりまして、或いは國会の解散をいたし、或いは内閣の信任を国民にお問いになるというような場合には、如何なる場合になりましたらば、そういう立憲的態度をおとりになりますか、憲政の常道の將來の上につきまして、伺いたいと思うのであります。もう一点に私の伺いたいと思うのは、今日はいわゆる内閣に対しまする反対党は、社会党であると私は思うのであります。今回の我が國の経済危機に対しましては、殊に労働者階級、勤労者階級が奮然としてこの九原則の成功に努力いたさなければなりません。勤労者階級の責任は重大であると思うのでありますが、これがためにいわゆる反対党、労働者階級が奮然として、この難局突破に努力いたしまするその結果は、やがて將來現内閣が野に下ららるるときには、代つて政局を担当すべきは、この難局を乗り切るために寄與いたした國民大衆、勤労階級がやがて反対党として政権を担当するが、私は憲政の常道である、そういうふうに進むように、労働者階級の政党も努力いたさなければならんと考えておるのでありますが、これに対する首相の御信念を伺いたいと存じます。以上が私の質問の要点でございます。
  4. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) お答へをいたします。  第一の平和保障の問題でありますが、これはロイヤル長官の新聞への談話でありますか、意見発表からいろいろ問題になつて、それが取消されて見たり、或いは反対論が起つたりして、いろいろ世評もございましたが、私は先ず第一に世界平和の保障ということは、結局世界の文化といいますか、世界の輿論の保障ということに大体基礎を置くべきものではないか 今日までは軍備を以て、兵力を以て平和の保障にいたした時代もありますが、今後においては文化若しくは國際輿論の保障ということが、最後においては、その障壁の下に立籠るというのはおかしいですけれども、それを以て、世界の輿論を以て平和の保障にすべきであるだろうと私は思うのであります。永久中立とか、いろいろ議論もありますが、併しいずれにしても世界の輿論が挙げて平和を愛する、戦争は避けたいという氣分になり、又そういう氣分を醸成することにすべての國が協力するということにならん限りは、平和の保障は終局においてはむずかしいと思うのであります。又そのために国際連合でありますか、そういう制度なども今考えられて、現に出発しておるのでありますが、この前途も遼遠と言えば言われるような現在状態であります。この連合の機構なども列国の協力によつて、基礎を固くする、我國のごときもこれに協力する、日本の國が平和に協力する力を持ち、又国民にその覚悟がある、戰を愛するのでなく、平和を愛する國民であると世界が認めて、以て日本國は世界の平和を脅すのではなくて協力する國民である、又それだけの力のある國民である、それだけの文明を持つておる國民であると認められることが、日本の平和保障、今日においては、それが終局における保障であろうと私は思うのであります。まあこれも結局は講和條約以前と以後と考えなければなりませんが、講和條約ができ上つて日本が独立な形、独立國になつて世界の一員になつたという場合においても、從來のごとく日本は平和を脅す國であるというような感じを世界に與えておる限りは、日本の安全ということは保障されないのでありますが、世界の國が日本を認めておつて、これは國際團体に受けるべき國民である、又受入れるために世界の平和が一層強固になると認められるような場合において、眞に日本の安全が保障せられるではないか、こう私は考えます。故に今日において憲法改正というようなことを考える以前に、日本が、日本國民をして、世界の平和を尊重し、若しくは世界の平和に貢献する覚悟といいますか、考えを持たせるように指導するというか、教育するというか、世界が日本を平和團体、文明國の一員と認めしむるように、又國民も認められるように行動するということになることが第一であろうと私は思います。それから又独立後の日本の姿如何、これは今のようなお答えで以てお答えができるかと思います。  そこで第三の生活保障でありますが、この生活保障は御承知のごとく國民をしておのおのその堵に安んぜしめるということが國としての理想でありましよう。從つて社会制度、生活保障であるとか、或いは保險制度であるとか、いろいろ國として考えなければならん問題がありましようが、差当りの問題として九原則を実行した結果、或いはこの予算を実行した結果、或る一部の國民が苦しむ。或いは或る産業が苦しむということも、これは有り得ることと想像しなければなりませんが、然らばこれをどうするか。結局私は國の産業が興る。増産が興る、國の経済が回復する。或いは更に進んで外資も導入される。或いは貿易も開かれて行く。貿易による産業の振興によつて國の繁栄が図られ、國の繁栄が図られることによつて國民の生活が増進する、生活程度が高まるという以外に方法はないのだろうと思います。  最後の憲政の常道というお話でありますが、これは昨日でありましたか一昨日でありましたか、予算委員会において話もありましたが、憲政の常道として、憲法に如何なる規定があるにも拘わらず、たとえ今日我が党が絶対多数を持つておるといたしたところが、失政によつて國民の信頼を失つた場合には、憲法の如何に拘わらずこれは総辞職をするなり、解散をして、そうして信を國民に問うなりすることが、これが憲政の常道と考えております。さてその場合にどうなるか。私の理想を申せば二大政党が確立して、政党政治が確立して、そうして小党分立して内閣が始終変るというよりも、得べくんば二大政党で交互に政権に立つようになることが、これが憲政の理想であり、又民主政治の理想であろうと私は考えるので、二大政党対立論を私は始終考えておりますが、さて我が党の相手方、対立する他の政党は何か、お話によれば社会党なり。私もそう考えますが、これは社会党がその気持になられて、そうして國民の間に信頼を持たれるなり、一大政党となつてそうして出現する。よく私が育成するとか言つて叱られて、今日も新聞によると叱られておりますが、これも言葉のあやでありまして、育成ができるものでもない、これは御自身で育成せらるべきであつて、無礼なりと片山君が言われておるが、無礼とお感じになつたら喜んでお取消しします。いずれにしても保守政党もあり、これに対して、急進というか、或いは進歩というか、いずれにしても人間の社会には保守的に考える人もあれば又つまり何といいますか、積極的論者と消極的論者があるようなものであり、保守といい、進歩といい、これも言葉のあやでありましようが、いずれにしても或る理想を持つて現在の状態が惡いからして、現在の状態をぶち毀し、進歩的に行くかという考えもあるでありましよう。それには社会の進歩なんということは漸進的にやるべきで、そう急激にやるべきものではない。反対論も出ますでありましようし、いずれにしても二大政党が対立するような形になることが民主政治を日本において確立する、いわゆる進歩せしむるゆえんであろう、小党分立にならないようにいたしたいものだ、これは私の考え方であります。一應お答えいたします。
  5. 山下義信

    ○山下義信君 総理の懇切な御答弁を可といたします。社会党が当面の反対の政党でありまして、將來社会党に内閣を譲る機会の健全な状態になることを熱望して、待望しておいでになるよう、我々はよく了承いたすのであります。  尚最初に伺いました第一点の日本人が義勇兵というようなものに應じますることは、憲法上差支がありますか、ありませんか。この点を私今一度念を押して置きたいのであります。それから万々一、或る勢力によりまして日本の治安が脅かされるというときには、日本人みずからの手で我が國の何といいますか、外からのいろいろ治安の惑乱、侵入というようなことに対しましては、日本人みずからの手によつてこれを護るべきであるかどうかという点を今一度簡單に御答弁を願いたいと思います。
  6. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 憲法による戰争放棄ということは、これは当時も大分議論があつたのでありますが、憲法論は別として政治論から申すと、あの当時において日本は平和を脅かす不届きな國であるという感じが大分強かつたのであります。又これを立証するような例えば捕虜を虐待したとか、それからして各地において、例えばマレーにしても、それから何かフィリピンにおいても、軍が敵兵を相当に虐待したとかいう例がある。そういう例が段々吹聽されて、中には随分誤解もあれば誇大に放送されたこともありましようが、いずれにしても敗戰後約一ケ年ばかりの間には、アトロティーの問題が相当やかましくなつて、それから戰争中に、これは國を護るための放送なり言論であつたでありましようが、八紘一宇とかいろいろな理想戰争原理が、降伏と共にいろいろな資料が外國に渡つて、日本はそういう國であつたかというような、今まで日本という國は愛すべき國である、或いは日本という國はいい國であつたと、こう日本を善解しておつた人達もそういう事例があるのか、そういう事実があつたかということで、日本に対して誤解と申すか、從來の好感が非常に傷つけられた。これが終戰後約一年半の間における事実であつたのであります。一つの例を申しますが、私は終戰直後外國の実業家が、日本の経済状態を視察に來るという話があつたときに、それは我々の方から送り出したいものだ、というのは、我々の要するものは我々知つておるので、問題は結局輸出の問題である。海外市場に対する知識をもう少し更に一層増進せしめなければ輸出ができないから、日本の実業家を先ず海外渡航を許して貰いたいものであると、当時司令部の当局に話をしましたときに、今アメリカに行つても日本の実業家は叩き殺されてしまうぞというような話で、然らば將來いずれのときにおいてもいけないのかと言つたところが、いやそれは天氣と同じようなもので、輿論というものは晴れたり曇つたりする、今は丁度大雨の最中だからして暫く日和を待つたらよかろうという話で、そのときは思い止まつたわけでありますが、最近段々海外渡航も許され、或いは今年の末あたりには一層自由になりはしないか、ならしたいものだと思つているのでありますが、繰返して申しますが、終戰直後日本に対する感じは非常に惡かつたのであります。日本はもう一度戰争をするのだろう、日本は勇敢に戰つた、この日本人が只で以て降伏しておる筈がない、どつかにもぐり込んで、ドイツが丁度ロシヤに兵隊を送りこんでおつたと同様に、どつかに地下部隊があるんだろうという疑いがあつて、その疑い等が日本に対する政策として幾多の危険を包含しておつたように考えられるのであります。故にあの戰争放棄ということは日本に対する誤解を解く上から言つて見ても、政治的に考えてみて、國を守るにおいて日本に対する政策が緩和せられ、日本を善解せられる意味において、先ず戰争放棄という規定を設けて、眞に日本が平和に貢献するという国民挙げての決意を示すということには、最もいい考え方であると我々は考えて、戰争放棄に賛成したのであります。で、從つてそういう事態でありますから、戰争放棄ということにもなりましたが、然らば、今日義勇兵を持つてどうかというと、それ見ろ、日本は再びやるつもりである、今まで地下にもぐつておつた地下部隊が義勇兵となつて現われるというような疑いを惹き起しやすくはないかと、私は懸念するのであります。現に警察制度にしても、甚だ今の警察制度は、何といいますか、能率的でない、併しながら警察制度がなぜ能率的でないかと言えば、地方分散主義になつてしまつて、中央集権的であつた警察を破壊して、そうして地方に分散する、その結果今のような警察、集團強盗さえもときどき逃がすというような非能率的の警察ができてしまつた。これも日本に対する誤解といいますか、日本の軍國主義に対する危惧の念から、警察を分散させたというのが事実であるのであります。故に義勇兵という問題は、実は参議院においてお尋ね下さるのも、甚だ迷惑至極ぐらいに思うのであります。御趣意は違うのでありましようが……。(「同感」と呼ぶ者あり)暫くここに忍耐をして頂きたいと、これは外務大臣として要望いたします。
  7. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 私は本年度予算の面から眺めまして、教育制度に対する政府の根本的方針についてお尋ねしたいのであります。御承知のように六、三、三、四という体制は、昭和二十一年の八月に第九十帝國議会において、衆議院において政治における教育優先の原則というものが満場一致決議されて通過したのであります。更に又全國民から幾百万という義務教育延長の請願があり、政府が非常なる英断を以てこの新らしい制度を施行することになつたのであります。而もそれは第一次吉田内閣が関係された非常に大きな仕事であつたと思うのであります。殊にこれに対しては、政府の非常に力強い支持によつて発足したのでありますが、而もこの制度の実施に当つては、全國非常に沢山な日本の教育再建のために隠れて働く人がおるということをお忘れないようにして頂きたいと思います。即ち全國の各市町村長、その他の教育に熱心な考えを持つておる人々が、政府の意思を酌んで非常に熱心に隠れた力でこれを行つたのであります。ところが本年度の予算を見ますと、遺憾ながら政府が折角芽生えたものを摘み取るがごとき感を國民に與えるような措置に出ておられたということは、非常に遺憾な極みであります。このように國民に信頼を失うような政府が、今後どういう施策が執られるか。現に政府は國民に耐乏生活を要請しておられまするが、耐乏生活というものは國民の何によつてせられるか、この問題をお考え頂き、更に只今の山下委員の質問に対して総理は答弁をして、將來の平和というものは文化の確保である。これを我々が考えますときに、本年度の予算措置から考えて、政府はどうお考えになつておられるか。勿論民自党が野におられる当時、或いは政権を取られて、選挙に臨む際の公約云々ということは今更取リ上げるまでもないと思います。例えばアメリカのトルーマンが、選挙前に当つていろいろ公約したのでありますけれども、実際にはその公約が実施できないという悩みはあるけれども、その公約がいよいよできない状況になつたときに、これを率直に國民に告げられる、これが信頼ある政府の出方ではないか。首相の施政方針演説を承りますと、その点には触れない。新聞の言葉を借りて申しますならば、ほほ被りをしておられる。私はその総理の態度、政府が國民に信頼を繋げないような態度を取られるということは非常に遺憾なんです。この十三日の衆議院の予算委員会において小坂君の質問に対して、総理御自身が、國民の信頼を失えば直ちに退陣をすると言つておられる。すでにその点において私は信頼を失つておられるのじやないかということを痛切に考えるのであります。沢山な地方の人が、このために教育制度の根本方針が壊れるようなこのやり方に対して疑惑を抱き、今後政府の施政に対して熱意を持つてそれに努力するかどうか、これを非常に私は懸念するのであります。こういう点について今後政府はどういう措置を取つて行かれるのか、誠意ある総理の御答弁を伺いたいと思うのであります。
  8. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 六三制の制度を取つたのは、御承知の通り私の内閣の、第一次内閣のときであります。当時六三制の問題を取り上げたりの理由は、先程申したと同じように、日本が軍國主義であり、平和を害する國であるという誤解に対して、日本は、平和を愛する、或いは文化を愛する、或いは民主政治に徹底するという一つの表現として六三制をぜひとも採用する。こういう考えでいわゆる六三制を採用したのでありますが、採用する当時においても費用の方はどうであるか、これを急激に実施すれば、非常な予算措置を講じなければならんが、費用はどうするのか、費用の点は当時相当考えられたのであります。費用の点から考えて見て、一、二年の間に完成をすることはむずかしいということを我々は考えておつた。漸次六三制の実現を図る、五年、十年にして完成するという考え方を以て当時採用したのでありますが、その後の内閣において、或いは又文部省において一、二年で完成するということでかかつた、そうして聞くところによれば、文部省は今の文部大臣の下ではありませんが、いつの大臣の下であるか知りませんが、今年の四月以後においても前年度と同じぐらいな費用が出るからと言つて、町村長に、或いは地方長官に完成を慫慂したというのが事実であるかと私は思われるのでありますが、当時我々の考えとしては、二、三年で完成するという考えではなかつたのであります。これは更に費用の上においてもそうでありますが、教員、教師の上から言つて見ても、六三制を完成するのに五年、十年にあらすんば費用は別として、人の方から考えて見ても、教師の方から考えて見てもむずかしいことであるとこう考えてかかつたのでありますが、不幸にしてその後文部省は急激に完成するという結果、今日の難関を生じ、そうして政府としても費用に苦しむということになつたのが現状であります。そうして例えば今年度において、前年度と同じように四十何億が支出されるという期待の下に町村長が、或いは地方において校舎の設備その他をしたとするならば、これは今年度において四十三億の問題であつて、四十一億が今後においても支拂えするならば、二年、三年後において、二ヶ年、或いは三ヶ年かかつて支拂いをするということならば、一應窮状は、救われるのではないか、これは見積りでありますが、例えば今年十五億出すと、或いは來年度次に十五億出すと、再來年度十五億を出すというふうにして行つて、なし崩しにするというような計算でも立て、そうして地方の困つておるところを救う、或いは文部省としては、いわゆる公約を違反せざるように支拂の繰延べをするような窮策でも立てるより外仕方がないと実は考えておるのであります。いずれにしても教育は民主政治を確立するためには、疎かにすべからざることは今尚私はその考えであり、又諸君におかれてもそうお考えになられるからの御質問なんだろうと思いますが、併しとにかく、日本が経済的に一應再建せられて、生活が安定し、或いは経済が復興するということでなければ、教育も何もあつたものではありませんから、今日のところとしては、先ず日本の再興なり経済の復興に力を盡してその他に及ぶ、漸を以てその他に及ぶというより仕方がないのであります。即ちない袖に振れないというのでありますが、さてない袖をどうして余り苦痛なく教育の上から見て地方の教育に害を及ぼさないように、或いは又地方の町村長その他の人に迷惑を及ぼさないように、というようにするためには、今のような窮策でもいたしますより外仕方がないかと実は考えておるわけであります、以上お答え申上げます。
  9. 木下源吾

    ○木下源吾君 この機会にお伺いして置きますが、講和條約に対する見通しですな。そうしてこれが講和條約の障害になつておるという点があるならどういうことが障害になつておるか、私の考えでは國民につまり責任を負うところの民主的な政府が樹立したるときには、占領軍は撤退せらるべしというのがポツダム宣言にありますので、民主的政府というものがまだ確立しておらない。こういうことが一番障害だろうと思つておりますが、民主自由党は民主的政府だ、こういうように常に言つておられますが、この点で講和條約が締結される氣運がまだ釀成されておらんとするならば、やはりこの点は民主政府であるかどうかということをよく反省しなければならん。かように考えますので、その講和條約の見通しと障害の点をお聴きしたい。  次には中國は今御案内の通り、中共がどんどん進んで参つておりますが、この中共の進んでいつておる実質は、中國の民衆解放が重要であるわけです。例えば農民の解放、その他大資本からの解放、このような廣汎な人民解放の勢力が著々と成功しつつある場合において、この中共の偉大な進出に対して、総理は一体好感を持つておるかどうか。この点を一つお聽きして置きたいと思うのであります。というのは、先般來いろいろ論議されおるのでありますが、結局日本が自立する上においても、経済的な交流の点においても、一番大切な問題だと思うので、私はその点を一つ総理からはつきりお伺いして置きたいと思うのであります。  第三点は、國民に今耐乏を要請しておられるということは、取りも直さず生産に携つておる勤労階級に大部分の耐乏と協力を望んでおられるのでありますが、この耐乏要求の裏付けの目標ですな、いつになつたらばどの程度によくなるのであるか、こういうような目標に対しての一つ明確なるものを何かお示しを願いたいと思うのであります。ただ耐乏をせよ、教育は当分うつちやつて置け、いろいろそういうような面だけで、或いは又行政整理はいついつ首を切るんだ、企業整備、そうして失業者が出ることもこれは止むを得んというような面だけを現在では強調されておるように見えるのです。又実際にそういうように進行しておるのでありますが、それではどうしても現内閣が要請しておるような、生産の増強という経済復興の面において私は達成せられないと思うのであります。ですからこの安定に対するところの一つの計画ですね。勿論現内閣が持つておつたところの政策、考というものは今度の九原則で大なる方向轉換をせられたので、それは十分な準備がおありにならんことは、これは我々止むを得ないと思うのでありますが、併し一面においては、やはり政府はこの九原則は責任を持つてその内容をやつたんだということを言われておるのでありますから、やはりこの面からいたしましても物價安定、或いは企業の自立というものに対する一つの目標を示さなければならん、かように考えておるのであります。この点を一つお聽きしたいと思うのであります。  次には、爲替レートが設定された場合において、我が國の産業がもつと全般的に堪え得るかどうかという確信がおありになるのかどうか、この点もお伺いして置きます。  次には、総理は常に共産党の場合になるというと、非常に感情が強くなるのでありますが、私は決して共産党の進出、或は共産党に対して感情だけで私はこれを克服するなんということは不可能だと考えております。(「如何にしてもできないよ。」と呼ぶ者あり)そういうような考え方で今後も若しもおられるとするならば、これは大なる誤りだと考うべきであります。飽くまでも理論的に、或いはそういう感情などでやろうとするならば、それは非常に反動的になり、ファッシズム的になるということは明瞭だ。この点は今後は一体どういう態度でおやりになるのか。今までのようにやはり共産党の顔を見るのも氣に喰わんというような態度で押通されるのかどうか、それは國民が非常に不安を持つておるわけであります。
  10. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) その辺で如何ですか。
  11. 木下源吾

    ○木下源吾君 もう一つだけ。これはこの機会には少し小さ過ぎますけれども、実は公務員の給與、これはどうせ私はベースは改訂されねばならぬという確信を持つておるのでありますが、從來寒冷地に対するところの給與というものを、特に制度化しておりませんけれども、政府はその必要を認めて実際には支給しておるのでありますが、この二十四年度においても何らかの考えを持つておるのかどうか。寒冷地の手当、これは御案内の通り東北ばかりではなく、全國の三分の一くらいが今までにこれの影響を受けておるのであります。この点を一つ総理からこの機会にお考えを承つて置きたい、かように考えます。
  12. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。講和條約の妨害になつておるのは、これは客観情勢が主たるものであります。私が第一次吉田内閣……二十二年ですか、二十二年に吉田内閣が総辞職をするとき、その年の秋にも講和條約が開始になりはしないかという話も聞いておるのでありますが、その後御承知の通り世界の客観情勢と申すか、二大世界の対立というような空氣が醸成されておつて、その空氣は今尚解消されないのであります。連合國は十一ヶ國であつて、その連合國が悉くその講和條約を直ちに開始したいというものもあれば、そう考えないものもある。從つて講和條約なるものを連合國の会議に持ち出せば、賛否おのずから分れるというような現在の状態或いは今日までの状態であるために、我々が講和條約を希望するがごとくに促進し、直ぐ開始されなかつたのでありますが、併し一般の世界的の形勢から考えて見ても、いつまでも今のような國際團体の関係が円満にならないような状態で以て放置せられるということはない筈でありますから、これはやがて講和條約が何らかの形において促進せられるものだろうと思うのみならず、現にマツカーサー元帥のごときも相当深く考えておられるようでありますから、その機運はやがて到達するものであろう、こう私は思います。日本における関係よりもむしろいわゆる客観情勢が講和條約の促進を妨げておる、こう言うべきものだと思います。  又中國に対していろいろお話もありましたが、私は中國に対しても日本と中国との関係においては経済的に考えて見ても、又隣國の関係から見ても、或いは日本の食糧或いは産業貿易の上から考えて見ても、中國との関係は断つべからざる関係にあるのでありますから、この関係がますますよくなつて行く。中國が和平が成立して、そうして日本との間に交通が開始せられるような状態になることを私は無論心から希望しておるわけであります。  それから今の共産党に対することは、決して感情的なことばかりで言つておるわけではありません。  東北方面の寒冷地等における給與問題については、これは私において今直ちにお答えする準備も材料もございませんから、取調べた上でお答えいたします。
  13. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は先ず民主自由党の総理である吉田首相にお伺いしたいのですが、政党の生命はその主義政策にあると私は思いますが、首相はその点についてどういうふうにお考えになりますか。
  14. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) その点は同感であります。
  15. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それではお伺いいたしますが、今回の施政演説において、首相はマ書簡及びドッヂ声明によらざれば日本の再建ができないと衷心より信ずる。そういう演説をされましたが、只今でもそういうお氣持にはお変りないのでありますか。
  16. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) そうであります。
  17. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは重ねてお伺いしますが、今回ここに提出されました予算、この予算案は民自党の主義政策と全く相容れないものであると私は思うのであります。そうしますと、ドツジ聲明及びマッカーサー元帥の書簡に基いてこれを出された。そういう考えでやらなければ日本の経済再建はできないというお考えですか。この予算案を詳細に檢討して見ますと、最初政府が作りました二月二十二日ですか、閣議において決定し、司令部に提出されましたあの予算案とは全く牲質が違つておりまして、ただ民自党の公約が盛られてないという簡單な量的な違いではなく、質的に私は違つていると思う。例えば前の民主党の予算案ですと、インフレーシヨンを急激に一挙に止めないのだ、中間安定的に止めるようなふうになつていると思うのです。ところが今度のこの予算は政府ではディス・インフレと言つておりますが、これは非常なデフレです。例えば爲替相場は大体三百円か三百五十円ぐらいの見当で物價を抑えるというふうにしておりますが、実際の日本の物價はもつと非常に高いものだと思う。ですから対外價値から言つたらこれは非常なデフレになるべきものである。その他いろいろな点を考えても、この予算を実施した結果は、私は非常なデフレになる、この通りにやると。そう思うのです。その他更に政府原案においては、安定帶物價を引上げ、貨物運賃を引上げる。そういう方針でありましたが、この予算では引上げない、又價格調整費が、政府原案では七百億であつたのが、二千二十二億になつている、公共事業費七百五十億が五百億に削られている、税金四十百二十三億の政府原案が五千百四十億、地方配付金が政府原案七百二十億が五百七十億、復金の貸出し政府原案では八百億が零になつている。こういうような最初の政府原案と、この予算案との違いは、單なる量的な相違ではなく、又民自党公約が容れられないというような、生やさしい違いではなくて、これは主義、政策の根本的に違つたところの予算案となつているのであります。そういたしますと、最初首相が私にお答え下すつた、政党の生命はその主義主張にある、そう言われたこと、更に首相がマ書簡及びドツジ声明によらざれば再建できないことを衷心より信ずるとそうおつしやつていることと非常に矛盾するのでありまして、若しか矛盾しないとすれば、首相がマ書簡及びドツジ声明によらざれば再建でき難しと衷心より信ずるということは、これは嘘を言われているのではないか。そういうように思うのです。若しかそうでなければ何故政府は二月二十二日に、この予算と性質の、全く相反した予算を編成して、司令部の方に提出されましたか、その点が私は非常に重大だと思う。そういうふうに全く政府原案、又民自党の主義政策と異るところのこの予算を出されましたその結果、その影響につきましては非常に深刻な影響が來ますが、民自党としては全く違つた予算案を盛られた結果、その影響に対する準備、措置、こういうものが慎重に考えられいるかどうか、そういう用意があるか、この点が我々としては一番心配するわけであります。全く民自党の主義政策と違う予算案が出て來まして、これに対する用意、準備というものは、私は、今まで殆んどない、これを実施した結果は非常な混乱が起るのではないか、そういうことを心配するのであります。その点について……。
  18. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 私は施政の演説において申した通りに、この九原則及びドツジ声明案によらずんば、日本の再建なり、経済の復興はむずかしい、又インフレも断ち切れない、故にドツジ声明及び九原則は私としては、衷心からしてこれによらずんば復興ができないと考えるのであります。又これによつて復興せしめた後に、これは施政の演説にも書いておりましたが、この予算國会を召集して、そうして、予算はこれで一應出すが、併しながらこの予算はその次の機会に必要に應じて國会を召集して補正して行く、訂正して行くということを申したのであります。私はこの予算案なり或いは我々のとる将來の政策が、我々が今日まで標傍しておつた政策と矛盾はしないと確信いたします。
  19. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今回の予算案です、いわゆるドツジ・ラインに沿うて作られた予算は、民自党の公約と相容れないというだけでなく、民自党の主義、政策、そういうものと、從つて民自党の性格です、これを否定しているものであると私は思うのですが、若しかこれを否定しているものであるとするならば、全く違つた主義に基き、全く違つた政策を実行する場合に、これが天下の民自党の総裁として、吉田首相はです、これに対する責任を感ずべきだと思うんです。先程政党の生命は主義、政策にあると言われた、その主義、政策が全く否定されているんです。ただ制約されたというだけでなく、量的な問題でなく、現実的にこれが根本的に否定されている、それでも尚且つ首相はこれに対して、この後の影響に対して、十分この影響を緩和し、或いは收拾する用意、準備というものはおありでありましようか、この点について重ねてお伺いしたいと思います。
  20. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 私は今申した通りに、この予算案というものと我々のこの方針とは違わないと考えますから、從つて責任を取る考はなし、あなたの御意見は御意見でありますが、私は違つた考えを持つております。
  21. 中西功

    ○中西功君 今木村委員に対する吉田首相の御回答は、私は吉田首相に賛成するのです。確かにこのドツジ案というものと、それから民自党案とは本質的にちつとも違つておらんと思うのです。そうして民自党が選挙のときにいろいろ公約したごときは、ここれは全くの欺瞞である。そういつた事実ですよ、この予算においてです。日本の独占資本は一つも損をしておらん、非常に得をしておるのです。そうしてこの民自党が、私はここに参考資料を持つておりますが、「選挙虎の巻」というのがある。「選挙虎の巻」、これにおいて如何にいろいろのことを喋つたかは、ここにちやんと証拠が残つておるわけです。税金地獄はなぜ起るか、それは官吏が多いからだ、今三割或いは二割の官吏を首切ることが予算に組まれても、税金は殖えておる。これが民自党の公約です。官吏が多いから官吏を首切れば税金は減らせるんだと、沢山書いてある。官吏を首切つたり、首切ろうとしておる。そうして税金は昨年よりもうんと殖えておる。そこで私は第一吉田首相にお聽きしたいのは、例えばドツジ案を衷心から支持された吉田首相、吉田内閣、或いは民主自由党は地方に行つた場合、或いは他所に行つた場合、これは止を得ずに自分達としては作つたというふうな逃げ口上をされるのでなく、これから起る結果に対ては、全責任を持つというはつきりした態度、そうして殊に民主自由党の人達は、非常にこれを見ましても分るように、選挙のときなんかではいろいろ善いことを言われる、そういうようなことのないように、この全予算案は、全部これは民主自由党の責任である、基本政策と一致しておるんだということを、これはもうそういうふうにとつていいと思うんですが、恐らく吉田首相もそう考えておられると思いますが、私はこの点は第一点としてもう一度重ねて質問して置くわけです。  第二点は自立経済ということが非常に言われるのです。今非常に言われている、首相初め皆言つておる。一体自立経済ということをどういうふうに考えておるか、今まで民主自由党の人も、その他の保守党の人も、日本は外國の援助を受けなければやつて行けないんだと、こういうことをいやという程國民に宣傳して來ておる。それで、今になつて自立経済をしなければならないんだというふうに、急に轉回しておる、そうしてこの自立経済なるものが、それならば一体外國に依存しないで経済を作つて行くのか、その点は非常に大きな問題だと思う。なぜならば、私共共産党はずつと以前外資導入という声が非常に大きいとき、自立復興ということを言つた。それに対しては当時の保守党の人々は外國から援助を受けなければやつて行けないじやないかといつて非常に反対された。ところが最近になつてさつき言つたように、自立復興ということが非常に言われておるとすれば、そこは本当の自立なのか、若し本当の自立であるならば、我々共産党が言つた自立復興ということに接近したわけですが、併し私は今日言われておる自立経済というものは、これは本当の自立経済でないと思う。いよいよこれは依存を深めて行く経済だと思います。それで吉田首相は一体自立経済とはどういうことをするのか、具体的にどう考えておるのか。第二点として伺いたい。  それに関連して第三点は、やはり竹馬経済ということを言われた。竹馬経済から脱するためにこの予算を組んだ、こういうふうに説明されておる。一方においては外國からの援助、一方においては價格調整費、二つの竹馬に乗つておる。ところが現実に今度組まれた予算はますます大きな対外援助を期待しておるのであります。更にますます大きな價格調整費を組んでおる。これは言われておることがすべて逆だと思います。竹馬経済を脱するために、この予算を組んだけれども、竹馬はますます高くなる。ますます危なくなる。それで私達言われておることが如何にも見え透いた馬鹿げたことが言われておると思うのです。この竹馬経済いよいよ高くなつておるということを具体的に申しません。これは細かい数字に亘りますから申しませんが、とにかく対外的な依存関係においてもますますこれは依存しておる。價格調整費においてもますます多くなつておる。而も價格調整費は今度は徹底的に国民の税金によつて、一切の調整費が税金によつて國民の負担においてやられる。こういうことを考えて行きますと、いわゆる自立経済とは日本の國民の犠牲において今のような貿易中心の態勢を作つて行くという以外の何ものでもない。こういうわけでそういう竹馬経済を脱するのだと言つて置きながら、竹馬を高くしておる。そういう点について吉田首相は一体何と答弁されるか、これをお聽きしたいと思います。  第四番目に暫定講和の問題についてでありますが、これは直接この予算に関連して見返資金会計において申したい。吉田首相は初めから暫定講和ということを、第二次内閣以來申されておる。一体暫定講和ということは具体的にどういうことか。いわゆる各國の間に貿易協定が結ばれておる。こういう貿易協定を暫定講和の一つとして考えておるのか。又今日のような見返会計資金というものができまして、この見返資金特別会計の法案の中に、我々が今まで曾て見たことのない一つの新しい型がここに打立てられております。日本國内の法規に連合軍司令官の許可を要する、或いは監査を要するということがはつきり書かれております。こういうふうなことは今まで曾てなかつたわけであります。これは極めて重大な私は國際問題、更に日本の將來の講和会議問題、そうしたものとの関係において極めて重大なものを含んでおると思う。そういうふうなことは、やはりこういうことも一つの暫定講和と考えられて措置されておるのか。一般に民主自由党の人達は、吉田首相も曾てはそうであつたろうと思うのですが、占領下ではどうにもならないのだということを大いに宣傳された。占領下ではどうにもならないのだということを宣傳して置きながら、その占領下において暫定的な部分的な講和をなされようとするのか、若し、何事もできないような客観情勢があるならば、その下に行われるところの暫定講和、部分的な講和が決して日本によくないことは極めて明白なことではないか。飽くまでもポツダム宣言の線において徹底的な正しい日本の完全独立のためには、本当の意味の講和会議が必要である。しかし、以上のような暫定講和というものをやつて行くならば、この暫定講和を積み重ねて行きさえすれば、本当の講和をやる必要がなくなるわけで、この暫定講和がすべて終りましても、これでは日本の現状に何一つの変化もないのであります。首相は、そういうことを考えておるのかどうか。  最後にもう一つ、二大政党論を非常に沢山聞きましたが、私はこれについては非常に原則的な批判がありますが、ただ一つ、この吉田首相の二大政党論の本質的なるものを一番よくはつきりさせるのは、若し民主自由党が一つの大きな党であり、我々日本共産党がそれに対抗する一政党であつたとすると、当然吉田首相得意の政権受理のルールによれば、民主自由党が信望を失つて我々共産党が当然ルールに從つて政権を得なければならんというときには、当然吉田首相はそのときには憲政常道論は共産党にやらん憲政常道論であると、こう言われるだろうと思います。(「社会党にやるのだよ」と呼ぶ者あり)そうして社会党に対しては健全な社会党になれ。共産党と一緒になつて日本の独占資本を倒すような社会党では困る。若しそういう不健全な社会党ならばこれはルールの外になる。こういうふうなことを恐らく……吉田首相に聞くのは馬鹿らしいかも知れませんが、(笑聲)二大政党論は本質においてそれがはつきりするならば、その本質たるやもう極めて明白だと思います。時間もありませんで、大体以上の五点を質問いたします。
  22. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 実は私はお答えするのが馬鹿らしく考えるくらいの感じもいたしますので……お答えいたしますが。(笑聲)予算については施政方針において申した通りに、この予算案は現内閣の責任において出したのでありますから、從つてその結果は内閣は全責任を負います。それからもう一つは、自立経済ということは具体的に申せば、予算が均衡をして、又貿易が均衡を得る。そうして日本が経済的にも亦予算面においても自立するというのが、我々の理想であります。孤立経済をいたすつもりでない。今後私は世界はますます國際的に相寄り相保つて行くのが將來の國際関係であつて、孤立してよその國とは交りを絶つというのでなくして、互いに相寄り相助けて行くというのが將來の國際関係であると思いますから、お話の考えとは少し私の考え方は違うのであります。これは根本の理念、イデオロギーの相違しておる結果であろうと思います。  それから將來において、共産党に渡すか渡さんかということは、將來の仮定に属することでありますから、私はここで問題にいたすことはしません。簡單にそれだけ……。
  23. 中西功

    ○中西功君 まだ答弁ができていないじやないか。講和会議に関することは一つも言つておらんでしよう。
  24. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 私は曾て暫定講和などということは言つたことはない。暫定措置ということは言いましたけれども……。
  25. 中西功

    ○中西功君 そんな馬鹿なことはない。この間言うた……。
  26. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 暫定講和ということは申したことはありません。これは多分お聽き違いと思います。講和條約ができない以前においては暫定措置を取つて行つて、そうして必要に應じて、例えば通商にいたしましても、或いは又海外渡航その他についても暫定措置を取つて、そうして講和條約ができるまでの暫定措置を取るより仕方がない。こう申したわけで、暫定講和ということは申したことはありません。
  27. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 私は極く簡單にこの機会に外務大臣を兼任しておられます吉田総理にただ一点だけお伺いしたいと思ひます。それは海運に関する問題であります。先般、総司令部から指示せられました経済九原則の重点は、申すまでもなく経済自立のための貿易振興ということにあるのじやないかと考えるのでありますが、この貿易の問題と表裏の関係にありますところの海運の問題に関しましては、従来政府からは何らの施策も示されたことがないのであります。尤もこの海運問題は現在占領軍の管理下に置かれております関係上、非常に困難な事情があるということは了承するのでありますけれども、その貿易の振興ということを考えます場合に、海運ということを考ないでは、これはどうしても考慮することができない問題であります。御承知のように、我國の商船隊は戰爭の結果殆んど潰滅しておるのであります。僅かに残つております商船隊は百数十万トン、而もこの百数十万トンの大部分は戦争中に急造したものでありまして、これらの急造船は建造の年から大体十年間持てばいい、十年使えればいいというつもりでありました。その製造も悪い故に耐用年数は非常に短いのであります。今日のような状況で放任すれば、ここ数年のうちには日本の商船隊は外國貿易は勿論のこと、國内の物資の輸送にも使い得る船は殆んどないのではないかと、私は懸念するのであります。殊に貿易問題といたしまして、二十三年度の輸出入貿易に要しました外貨運賃を概算いたしましても、大体一億ドルを超えるかと考えるのでありますが、外貨資金の非常に重要視せられておりまする現在、このままでこの日本の商船隊を放任しておいてよろしいとは考えないのであります。総理におかれましては、この日本の商船隊の現状、海運の再建ということに対しまして、どういうお考えを持つておられますか。この機会に明かにして頂きたいと存じます。
  28. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 御質問の要点は、私においてもかねて氣にかけておるのであります。例えば日本の輸入食糧等についても、運賃が非常に高いために、輸入食糧も従つて値段が高くなる。それから又海運の方から申しても、従来は六百万トンに近い船を持つておつて、これに対するだけの海員を持つておつたにも拘わらず、それが今のところは窒息しておるというようなことは、これは失業問題から考えて見ても、食糧問題から見ても、打つちやつておけない問題でありますが、併しながら御承知の通り日本の海運というものは殆んど絶滅に近いような状態に戰後なつておつて、この回復には非常に努力を要するわけで、又造船についても、造船の制限を一時受けて、五千トンですか、それ以上の船を造つてはいけないというような制限があつて、これもこの頃は六千トンであるか七千に記憶しております。漸次これらの制限は緩和されて行くのでありますが、併しながら実は一時私はリバテイ型の船を百艘ばかりチヤーターしたいというような考えを持つたこともあるのでありますが、外國における船員組合とか、いろいろなものの反対等があるためにそれができなかつたのでありますが、この海運問題が日本に取つて甚だ緊要の問題であるということは御同感でありますが、さてこれをどういうふうにしてやつたらいいかということになつて参りますと、海外渡航とか、或いは航行等についても、講和條約ができない以前においては幾多の制約があるものでありますから、直ちには理想通りには行きませんが、併しながら今日日本の海運、或いは運賃とか、或いは又失業問題等から考えて見て、早晩どうかしたいという考えは司令部においても持つておるようであります。これを今後成るべく日本に利益なように、今の失業問題その他から考えて見ても解決しなければならん問題でありますから、政府としても機宜の処置を取りたいという考えを持つております。一應のお答えいたします。
  29. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 総理大臣に一点お伺い申上げて置きたいと存じます。それは経済九原則の実施に当つて、只今の、内閣が厚生行政と申上げましようか、整理を急いでおられるということでありますが、厚生行政の方面、特に保健衛生の方面を大分に圧縮されるように承つておるのでありますが、これはどういうことでございましようか。御承知のように日本の医学は、大変学問としての医学は、進んで参りましたのでございますが、これを日常生活に取入れまして、保健生活をするとか、民生の安定のために本当に地に着いた生活をするための應用方面が、これまで非常に下手でございましたことは、総理大臣も御承知でいらつしやると思いますが、そうしてそういう保健衛生の面が縮小されるということになりますと、只今の保健衛生というものは、私共國民の生活の方面に非常に影響が多いと存じます。御承知のように、國立病院にいたしましても、國立療養所にいたしましても、国民が安心して入るべき病院がなかなか整備していないのでございます。その他保健所にしましても、拡充されないのでございます。そうしたときに、この保健衛生方面の予算が圧縮されたということは、実に大きな影響を來たすと存じますのでございますが、そういう方面の圧縮をなさいましても、総理大臣が又外にいいお考をお持ちになつていらつしやるのでございますか。その点をちよつと御指示を頂きとうございます。
  30. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 御質問の保健の大切なことは分りますが、併しながら厚生省においてどれだけの予算を取つて、どれだけの施設をいたすか、ちよつと只今私はお答するだけの材料を持つておりませんから、一應当局について調べた上でお答いたします。
  31. 森下政一

    ○森下政一君 先刻総理大臣は、講和会議が直ちに開かれないということは、客観的な情勢によるということでありましたが、誠にその通りであろうと私も存じます。今にも講和会議が行われそうな、開かれそうな情勢にあつたのに、今日ではそれがいつのことか分らないような情勢に変つて來た。首相の言われます客観的情勢というものはいろいろあると思うのでありますが、中の一つは米ソ間の緊迫した空氣というようなものも考え得られると思うのであります。更に最近の調印を終つたと傳えられている北大西洋條約、そういつたものができ上つたということにつきましても、いよいよ米ソ間の緊迫した情勢ということが予想されるように思うのであります。先般総理大臣の施政方針演説の中で、いろいろな海外情報を軽々しく信じるなというお話がございましたが、日本の國民といたしましては、無関心で到底おれることではないと思うのであります。殊に先頃、どこからか、米軍は日本からその兵力を一部引揚げるかのごとき情報が傳わりました際に、これを否定するステートメントが再三ワシントンから発表されたように思います。その中には、若し万一日本から攻撃を受けるということがあるならば、アメリカは日本において俄然として戦うというふうな言葉がステートメントの一部にあつたかと思うのでありますが、私はこれを見ましたときに、この発表によつて日本の國民というものは少しも安心感を得てはいないと思うのであります。長い間の戰争の惨禍を体験いたしました日本の国民は、すでに新らしい憲法によつて武器を放棄しておる。戦争と絶縁した筈である。從いまして、日本の國土が再び戰場に化するということは、如何なる場合におきましてもこれを回避したい。御免を蒙りたい。再び日本の國土が兵火によつて蹂躙されるというふうな惨禍を見たくないというのが偽わらない今日の日本の國民の気持だろうと思うのであります。そこで私は戰争を放棄したところの、武器を放棄して平和国家建設に一億邁進しておるところの日本國の総理大臣といたしましてああいつた際に、平和を希求する日本の国民は、日本の國が如何なる事情にもせよ、如何なる理由にもせよ、他國によつて戦場に化せられるというがごときことは断じて欲するところではないというくらいの声明をなさつて、総理大臣として日本國民全体の意思を代表して内外にこれを明らかにされる。そうして衷心日本は平和国家建設を希求しておるのであるということを声明されるくらいのことはなさつていいのじやないか。又、して欲しかつたとこういうふうに思うのでありまして、如何に敗戦國とは言いながら、諸外國の国際情勢の波のまにまに今日は東へ流れ、明日は西へ辿り着くといつたような人任せの状態におつて、文化国家建設などということを申しておりましても、甚だ心許ない感じを国民が持つのではないか。希くばああいつたときに総理大臣といたしまして、断乎、として日本国民の意思を代表する衷心からの平和希求の声明をなさるということが適切でなかつたかと、かように思うのでありまするが、御所信如何でございましようか、これがお伺いいたしたい第一点であります。私は恐らく國民の総意そうだろうと思いまするが、日本の國土が日本で戦うて貰うことによつて守れるということを誰も欲していない。希くば砲火の下に日本の國土が晒されないということが衷心からの国民の要求である、この点を総理大臣は、平和國家建設に邁進しつつある日本の國の総理大臣は、常に内外にこれを声明されるということが極めて肝要なことではないか、かように存ずるのでありまして、その点に対する御所信を聽きたい。これが質問の第一点であります。  それからもう一つ私がお尋ねいたしたいと思いますことは、こういう点であります。日本では新らしい政府ができますると、その反対党は新政府の成立いたしましたその日から倒閣を声明し、倒閣運動に狂奔するといつたような傾きが今日まであつたと思うのであります。私は吉田首相の率いられる民自党の反対党である社会党に属しておりまするけれども、私自身の考え方といたしましては、たとえ反対党である民自党が新らしい政府を作つたにいたしましても、殊に今回のごとく不信任案を突きつけられて、衆議院を解散し天下に信を問うた民主自由党が過半数の議席を與えられるという審判が國民によつて下された。その後にできました新らしい政府のやりますことを、冷静にその施策を行わしめてこれを監視する、そうして社会党の立場に立つてこれを批判して行くという雅量は持つてよいと、こう私は考えるのであります。從いまして、直ちに倒閣運動に狂奔するという必要はないと、私個人としてはかように考えるのでありまするが、それだけにです、民主自由党が衆議院を解散して過半数の議席を得るまでの國民の信頼をかち得たところの政府といたしましては、常に國民に対して極めて素直であつて、又反対党に対してもいわゆる答弁術によつてその場を切り抜けるといつたような態度でなしに、本当に誠意を披瀝して、政府としての所信を明らかにするという態度をとつて貰いたいと思うのであります。先刻木村禧八郎君が、民主自由党の主義政策と今度提示しておられる予算とは全く相容れられないものであると思うということを指摘されましたが、総理大臣は、全然合致しておると言われる、私はそこに割切れんものを感ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)民主自由党が過ぐる総選挙において全国的に提唱し力説して来て、よく国民の共感を得て過半数の議席をかち得たという事柄の中には、先刻中西君が指摘しましたように、民主自由党の党員の末々にまで恐らく配られたのであろう選挙の巻が、何を民主自由党が主唱したかということを明らかに物語つておると思うのでありまするが、その事柄が今度の予算には盛られていない。公約の実行をしないとか、公約を盛つていないとかいうこと随分いろいろ批判に上つておるようでありますが、私は公約が予算に盛られていないということを徒らに批判しようとは思わない。恐らく盛りたかつたというのが民主自由党の本心だつたと思う。ところがそれを盛ることができなかつた。盛ることができなかつたという事情につきまして、素直に民主自由党が、例えば九原則に対する認識が足りなかつたならば、これを国民に詫びたらよい。詫びるということが若し総理大臣のお心持にしつくりしないならば、釈明をされたらよかろうと思う。そうして、こういう事情で衷心やりたいと思うが、選挙当時に声明したことが今直ちに実行することができないのだということを、素直な氣持で國民に納得させるだけの釈明をする。これは私は民主自由党としてはちつとも恥しいことではない、又それを本当に誠意を以て吐露されるならば、反対党と難も素直にこれを受入れることができると、かように考えるのであります。希くば、苛くも衆議院で過半数を占めるような大政党が中心になつて組織しておる政府でありまするから、そういう詐らざる誠意を披瀝したところの政府であつて頂きたい。誠意を籠めた政治のやり方であつて貰いたい。そういうやり方で臨むことが國民をして納得せしむるものではないかと、こう思う者であります。ところが、今度の予算と民主自由党の主義政策はちつとも矛盾してはいないのだと言われると、これは單に数の力にものを言わして反対党を抑圧して行くというだけの政府でしかないという印象を受けることを、私は非常に悲しく思うのであります。そういつた誠意に欠ける言葉と取れるようなことでなしに、本当に腹の底から眞相を傳えて国民を納得せしめる、こういう態度を今の政府に取つて貰いたいと思うのでありますが、それは私の要求が無理でありましようか。昨日も地方行政大蔵連合委員会が参議院であつたのでありまして、その際に地方還付税率の減らされることについていろいろ論議がありました。たまたま、委員が大藏大臣にこれは地方財政法の第二條の法の精神に戻ると思うが、そうお考えにならないかということを質したときに、極めてぶつきら棒な御答弁でありまして、突つ撥ねたような何にも誠意のないお答えでありました。同席しておられました木村國務相を捉えまして、私は今の大蔵大臣の御答弁をどう感じられますか。間違つておると思われんかと質したときに、その答えは保留さして貰いたいと言われる、そこで私は改めて木村國務相に対して、私の考え方、即ち地方還付税といつものが減らされることによつて地方民の負担というものはいよいよ苦痛を増して來る。今日地方財政の膨脹しておるのは、公選知事或いは市町村長の放漫政策によつてではない。政府が実施計画を立てて、実はその費用は地方民の負担にしておるというものが非常に多い。六三制然り、地方自治体警察の警察費然り、或いは災害復旧にしましても、保健衛生の面においても、中央で実施計画を立つて負担を地方に移しておるものが多い。それがために非常に地方民の困つておる際に、還付税の減らされることは取も直さず地方財政はいよいよ窮乏して來る。地方民の負担は重くなる。これは木村國務相として欲せざることであると思うが、而もその欲せざるところをよんどころなくしなければならなかつたというところの事情をはつきりおつしやつて頂きたい。おつしやつて頂くことが反対党である我々がもつとすつきり了得することができると思うと言つたところが、それでは速記を止めてということでお答えになられましたところが、本当に誠意を籠めて本心を吐露しておつたと思うので、本当にその方が私共も理解しやすい、納得しやすいという氣持になつて、私共は釈然とすることができたのであります。先刻から繰返して申しますように、過ぐる選挙に國民の大多数の信任を得られ、衆議院の過半数を制しておる大政党、民主自由党が中心になつて組織しておる新らしき政府が、今度提案されましたところの予算は、民主自由党が少くとも選挙の間に叫んだことと全く相背馳したものである。そうであつてもそれを素直に國民に釈明するということが私は一番國民をして納得せしめるゆえんであり、反対党である我々を納得せしめるゆえんだと思うのであります。決して今からでも遅いとは思わない、この参議院の予算審議のこの席上を通じて、私は天下に吉田総理が釈明をされたらいいと思うのであります。かように思うのでありますが、これに対する首相の御所信を質したい、これが第二点であります。
  32. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、御注告は喜んで拝承いたします。いたしますが、同時に私の説明も素直にお聞きを願いたいと思うのであります。私が施政演説において申した通りに、日本の再建なり経済の復興をするためには、どうしてもこの線で以て行くより仕方がない。先ず日本の再建復興が第一である、然るのちに漸を追つて公約というか、民自党の政策を実行するその氣持でおるのであります。故に必要に感じて或いは又余裕あるたびごとに、予算は臨時國会を開いて修正をする。これが私の眞心であつて、これは一つあなたにおかれても偽らざる気持として素直にお聞き入れを願いたいと思います。それから講和会議のことでありますが、これは客観情勢もありますが、一つお考えになつて頂きたいことは、連合國は十一ケ國あつて、その十一ケ國の國が悉く日本に好感を持つておるとも言えないのであります。これはちよと速記を止めて頂きたいのです。
  33. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  34. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。油井君。
  35. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 吉田総理に簡単に四点ばかり質問申上げたいと思うのであります。  先ず第一番に今回の総選挙におきまして、吉田総理の率いられる民主自由党が絶対過半数を占められたということについてでありますが、これにつきましては今までの政党の首領と違いまして、吉田さんは非常に力のある人、日本人を代表してあらゆる日本人の意思を正確に発揮して貰える人であるというような声もあつたのであります。然るに今回の予算におきまして、吉田首相の取られました予算の方針というものを拝見いたしましたとき、国民はこれに対しまして大なる失望を感じたのであります。何故かと申しますれば、今回の予算の大半を占めますところの収入の部の、所得税の部において、実に三千百億というような、厖大な所得税を町民に課すという、これにつきましては民主自由党が選挙前、常々国民に公約されたところとは全く異つた方向を取られたと言わざるを得ないのであります。即ち昨年の予算につきましても、民主自由党はその当時、國民所得が芦田内閣が國民に示したところのものの一兆九千億が非常に過大である、これは当然一兆二千億程度が当り前なのであつて、非常に矛盾があるというようなことを強く主張されたのであります。然るにも拘わらずその後の補正予算、又今回の民自党内閣によつて二十四年度の予算を提出されたものを見ますと、今回は実に二兆九千億というような厖大な国民所得を見積つているのであります。これに対しまして、国民は非常に失望をしておりますが、吉田首相といたしましてこの点は常々国民に公約されたところのものと果して違いがあるのか、或いは又党自体の御主張と何ら抵触しないのか、その点をはつきりと明確にされたいと思うのであります。  次にこの予算が提出されまして、恐らく衆議院におきましては、吉田さんのお率いになるところの民主自由党は絶対過半数を占めているから無事通過すると思います。併しこの参議院におきましては、あらゆる階層からの代表者が出ている関係上、果してこの予算が鵜呑みにされるかどうかということは、現に各委員からの主張によつてもお分りの通りでありまして、相当の難色も出ると思います。これにつきまして若し参議院全体の空氣といたしまして、今回の予算に相当の修正を認めたような場合におきまして、國民全体の世論と、この参議院との関係につきましては如何にお考えになつておられるか、二大政党を常々主張される吉田首相といたしまして、参議院の立場というものにつきましては未だ一言も触れておられませんが、これをどういうふうお考えになるかということをお示し願いたい。  次には國有財産の処分の件でありますが、今の予算につきまして、首相並びに大蔵大臣より國有財産の処分を以て相当財源に充てるということのお話しでありましたが、予算の面を見ますと、昨年度の四十四億見当に比べまして、今年度は四十九億しか計上されておりません。若し先程首相のお話のように、順次政策を実行面に移すということによつて補正予算を出されるというような場合におきましても、党自体の都合で以ていろいろに國民の幸福と相反することでも無理押しに國有財産の処分というようなこともなさつて行くおつもりなのかどうか、はつきりとこの年度の初頭においてお示しになる方がよかつたのではないかと私は考えるのでありますが、これに対して首相の御見解を伺いたいと思います。  最後に先般厚生大臣に、民主自由党の人口問題につきましてお尋ねを申上げましたが、どうもはつきりした返答がなかつた、しかのみならずその信念の程というものは私には分りませんというような意見が速記録にもはつきりと載つております。これに対しまして、八千万の人口を今後どういう方向に持つて行くのが我々國民の幸福になるのかどうかということを首相は信念の程をはつきりとこの際お示し願いたい。極めて簡単でありますが、以上の四点についてお伺いする次第であります。
  36. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、このたびは予算の均衡、歳出入の均衡を得せしむるために無理な予算を組んだことは、これは事実であります。そのためにすでに税が重いと思う所得税のごときも、数字の上においては増徴しなければならんことになつておりますが、併しこれも私の施政演説の中に申した通りに、日本の税制全体については、或いは課税の方法については更に検討をするために、税制審議会でありますか……を拵えて、そうして審議をして、日本の税制を確立するために審議を進めて、その結果によつて、臨時議会で補正をしたい、こう考えているのであります。  それから参議院の審議権を私は制限する考えは毛頭ありません。審議は御自由であります。  それから國有財産の処分については、國民の利益を無視して、國民に迷惑になるような國有財産の処分は毛頭する考えはありませんが、併し予算の均衡を図り、納税者の負担を軽減するために、いわゆる「たけのこ」生活と言いますか、國有財産を処分して行つて、得べくんば税の軽減に当てたい。お示しのような所得税の重荷についても、國有財産の処分によつてそれを軽減することができれば幸せだと考えているのでありますが、これを予算面に現わす場合に、どのくらいの收入が本年度において計られるかということは、多少推測に基かざるを得ないのであつて、推測によつて予算を立てるわけに行かないものでありますから、見込のあるものだけを入れたのだろうと思います、何十億という予算は……。併しその間に或いは專賣事業であるとか、或いは又政府の持つている工場等が今日当てがないからして計上ができないが、仮に引受けるものができた場合には、これの拂下等によつて歳入を増加することができれば又したいものだと考えているのであります。  人口論については、御質問は御尤もであります。結局人口をどうしたらいいか、この八千万の人間を狭小なる領土の中に追い込むということは、これは人口問題として重大なことでありますから、何か方法を立てなければなりませんが、これには別段妙案があるわけでなくて、或いは産業化することによつて余剰人口を吸収するか、或いは海外に出して移住させるか、或いは又貿易進展によつて外に出て行くとかいうようなことより方法がないのでありますが、いわゆる産兒制限というような問題もあるでありましようが、人口問題は何にしても日本の重大問題でありまするから、近く人口審議会という名前か何か、とにかく人口問題について審議をするために委員会を作るつもりであります。これを以てお答えといたします。
  37. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 帆足君。
  38. 帆足計

    ○帆足計君 総理は御時間の御都合もあるそうでありますから、簡単に質問をさして頂きたいと思います。先日の本会議で、日本の永世局外中立の問題につきましてお尋ねいたしましたところが、そのとき私は、総理は、日本が現在置かれている立場からして飽くまで永世局外中立を貫くというお答えがあるものと期待してお尋ねしたのでありますけれども、総理には、ベルキー等の例を引かれまして、若干疑問があるというようなお答えであります。そこで私は重ねてお尋ねしたいと思いましたけれども、時間がありませんでしたから失礼いたしましたが、この問題が非常に各方面の論議を起しまして、私の宅にも、多数の方々からお手紙なども頂いておるような次第であります。從いまして、この問題につきまして、一、二の点を御質問いたしまして、以て一般國民の心構えの程にも、首相のお答えを十分示して頂きたいと思いますのでお尋ねいたしますが、第一に永世局外中立の立場を保たねばならんということは、非常な理想主義ではありますけれども、その理想は、新憲法の制定されましたときに、すでに決まつておる問題でありまして、その後の政府というものは、この憲法の精神を発展させ、具体化させることが必要であると私は思つておるのであります。即ち憲法の中では、簡單に申上げますが、「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」「國の交戰権は、これを認めない。」こう規定してありまして、これに対する美濃部博士の解釈は、防衛的戰争においてすらも、この交戦権を放棄しておるというふうに解釈すべきであつて、かくのごとき例は、世界の憲法に未だ曾てないことではあろう。併し「國の交戰権は、これを認めない。」ということは、たとえ他国から侵寇を受けるようなことがありとしても、日本はこれと戦争する権利はないことをみずからの手によつて規定したものである。こういうふうに解釈しておるわけであります。従いまして、私は、首相に第一にお尋ねいたしたいのは、この憲法の解釈を、美濃部博士のような正統派の解釈をそのまま首相はお認めになるかどうか。  第二には、この軍備を放棄したと申しますことは、二つの解釈、見様があります。一つは敗戦國であるから仕方がないからまあまあ縛られたまま軍備を放棄して置こう。こういう見方と、もう一つは、日本の置かれた特殊の地位と、特に原子爆弾に処する人類の立場から、進んで軍備はもはや日本は持つべきではないし、持つたところで無駄であるという積極的見解と、二つあると思いまするけれども、首相は無軍備のまま日本が憲法の精神を体して、飽くまでやつて行かれるような御決意であるかどうか。これが第二にお尋ねしたい点であります。  第三には、中立に対して若干の疑問があるというお答でありましたけれども、その疑問とはどういうことであるか。いずれかの方につくということは、軍備のない日本としましては無意味なことであります。先程の森下委員の御質問、御趣旨の通りであると思います。この点を明確にして頂きたい。  最後に御承知のように、マッカーサー元帥は、日本が太平洋のスイッツルであることを望むと言われたと言いまするが、非常に国民の胸にこの言葉は感銘しておる次第であります。又昨日東京新聞の夕刊を見ますと、今上天皇におかれては、今次の戰争の策謀と恐怖と悲劇を最も身を以て体験せられた方として、日本の永世局外中立を最も強く希望するということをYMCAの創始者のジョン・モット博士に昨日お語りになつたという記事が出ておりますけれども、私は最後に吉相に、日本が今置かれている地位と、世界の進歩の現状からして、飽くまで永正局外中立の立場を貫くことを以て誇りとし、そのために全力を全國民とともに盡そうと思う。こういうような御声明なり御説明を希望したかつたのでありますけれども、それに対する御意見をお伺いしたいと思います。
  39. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 美濃部博士の御議論でありますが、これは私はよく美濃部博士の議論を承知いたしておりませんから、この際批評は愼しみます。それから永世局外中立でありますか、これは私の言つたのはベルギーだとかいうような國の過去から考えて見て、ベルギーとしては局外中立は現に侵されたのであるから、これを以て國を守ることに全然依頼するということは疑問があると申したのであつて、日本が再び軍備をするとか、或いは軍備を以て國を守らないとするならばどうしたらいいか、これを極く率直に申せば、今の世界連合でありますか、國際連合の理想はつまり世界の戦争をなくなす。戦争をなくして、そうして平和を維持したいというこの理想に日本が入つて行つて、そうして国際連合の組織、制度を世界的に最も有力な組織にすることに日本が協力するということが、私が考えている軍備なくして行く制度といいますか、國を守るというのには、この国際連合の制度が発達して、完全なる世界國家というような形になれば、非常に人類のためにも日本のためにも幸せである。こう私は考えているのであります。これは私の理想であるのでありますが、そこで局外中立ということの疑問があるというのは、べールギーのような具体的な事実としての中立條約によつて保障せられたベルギーの独立ということは、曾て戰のために戦争を蒙つたこともあるからベルギーのごときような局外中立はどうであろうかというのが、私が当時疑問があると申した氣持であるのであります。
  40. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは一時半まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十九分開会
  41. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) これより委員会を、再開いたします。文部大臣に対する質問。
  42. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 文部大臣に三、四点のことについてお伺いをいたしたいのであります。  本年度予算に現れた政府の教育方針というものに対しての質問は、今朝程総理大臣にいたしまして、総理大臣から縷々答弁を承つたのであります。それには教育の革新というものが第一次吉田内閣当時行われて、それは漸を追うて完成して行く計画であつたのが、途中で文部当局によつて完成年限を短縮された。併しながらそのために非常にいろいろと混乱を起したということは事実であります。これは漸を追つて取返して行きたい。そのために政府としてもできるだけの処置を取りたいと思いますという答弁を承りましたので、その点は改めて文部大臣に申上げるまでもなく、その趣旨に副つて十分な御処置をお取り願いたいという希望を申述べて置きたいのであります。  次に國宝の問題でありまするが、これは法隆寺のあの壁画が世界的の名品であるにも拘わらず、本年の一月に焼失をしたということは、非常な我々文化財を持ちながら、而もこれを失つたということは自分達の祖先に対して非常に申訳ないと思うのでありますが、第三國会当時において、参議院の文化委員会は法降寺の修理、保存について文部当局に注意を促してあつたのでありまするが、そのことが実現されずに、こういう不祥事を起したということは、非常に残念なのであります。ところがその大きな事変によつて国宝に対する国民の関心が高められたということは、今後の国宝の処置に対して非常に大きいものがあるのであります。いいものが得られるのではないかと思いますので、この前もギャラガー氏とプルマー氏と懇談いたしましたときに、過去を咎めずに今後の方針を積極的に樹立しなければならんのではないかという意見を開陳せられたのであります。今後のその処置に対して文部当局の責任ある御方針を承りたいと思うのであります。それと同時に國宝というものが非常に多く指定されておるという憾みがありはしないか。昨年の五月現在の國宝が七千三百八十八点あつたのでありますが、僅か一年経過しない今年の四月現在において、すでに二百九点を増して七千五百九十七点になつております。或いは重要美術においても昨年の六月には七千六百五十一であつたのが一年足らずで二百六十二点も増加して七千九百十三点、こういうふうになつているのであります。國宝、重要美術の指定のしつ放しである。それに対して責任のある保存方法を取られていなかつたのじやないか。むしろこの多数に上る國宝というものを今改めて再検討を加える必要はありはしないか。成程我々國民としては一点でも國宝の多いことはこれは喜ばしいことでありますが、現下の国家財政状態から考えて虻蜂取らずになつて、法隆寺のような問題を再び起すようなことがあつたら非常に遺憾の極みだと思うのであります。再檢討を加えて重点的にこれ修理する、重点的に考えて保存をするようにしなければならないのじやないかと思います。こういうことに対して文部当局の御意向を承りたいと思うのであります。  それから國宝の指定或いは重要美術の指定をした結果、所有者に義務を負わせるのでありますが、この所有者に対して義務を負わして所有の制限を加えておりますが、これに対して十分な保護保障を加えないで置くということは、所有権の侵害という点で非常に疑点がありはしないかと思うのであります。こういう点も当局はお考えを願いたい。國宝保存法が、制定された当時から余程事情も加つて変つているのでありますが、そういう点に改訂を加える必要がありはしないか、これに対して当局の御意見も承りたいと思うのであります。更に國宝保存会は単なる諮問機関であつて行政権というものもない。これに何らかの権限を與える必要はないか。又我々國民としても政府にのみ頼らずに、英國のナショナル・トラスト、或いはフランス、イタリーのような民間の基金によつてつの保護を加える国体運動を起す必要はありはしないか、それに対しては一つの基金というか、宝籤基金、これはいい方法であるのじやないかと思う。現に奈良縣において千万円の宝籤の発行をいたしたのであります。相当のいい成績を収めております。重点的に見て、奈良縣、京都などは多い所ではありますが、その府縣のみに負担をかけるということは、これは到底できないことであります。全國的に奈良縣の制度を應用して、一面において通貨の収縮なり、貯蓄の奨励という面もこれは挙げられるであろうし、勿論射倖心を唆るということが考えられるのでありますが、民間資金によつて将来の國宝を護るというのも一つの途ではないか、こういう方面をお考えになるや否や、そういうことも併せて文部当局の御意見を承りたいと思うのであります。
  43. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 堀越さんの御質問に対しまして、お答えをいたしたいと思います。國宝問題につきましては、私の就任する以前でありますが、世界的に最も貴重なる文化財であります法隆寺壁画が焼失いたしましたことは、甚だ遺憾な次第であります。あれを契機といたしまして、國宝保存に関する問題が一般的にも非常に関心が強くなり、文部省といたしましても、勿論尚一層の努力をしなくてはならないということで研究を進めているわけであります。それで最初に先ず第一の御質問の点は国宝の数が非常に現在多くなつ來ている。そうしてますますその指定が殖えて行くような状況にある。こうなつては国宝の保存修理にいたしましても、十分行き届かないことになるので、これを整理し、重点的な方法で保存修理の方策を考える方がよくはないか、こういうような点であつたかと思います。御承知の通り國宝の管理は所有者がやるということになつておりまして、而も現在は個人ばかりでなく社寺にいたしましても、経済的に非常に困難な状況にありますので、所有者即ち管理者である者が、その保存修理の能力を欠く、こういう状況になつておるわけであります。從いまして保存修理をやつて行くといたしますれば、どうしても国庫の補助がなければできないような状況になつておるのであります。それで文部省といたしましては、現在は五ケ年計画というのがありまして、国宝建造物につきましては、大破損のものについて五ヶ年間で修理をするというような計画ができております。それによりましても一年に約四億五千万円ぐらいの経費がかかるのであります。ところが現在のような國の財政の状態の下では、なかなかそういう大きな予算も計上できないという状況にありまして、二十四年度につきましては一億円の予算が計上されておるような状況であります。ですからお説のようにやはり保存につきまして、重点的な対策を取らなければ到底やれないというふうに文部省としても考えております。それにつきまして、文部省では専門の技師を動員いたしまして、現在いろいろと詳細な調査を進めております。それに基いて御趣旨のような方針で重点的に修理保存の補助をして行きたいという方針で進んでおります。  次に國宝保存について現在は國宝保存会という機関がありまして、諮問機関として國宝保存に関する重要なことを諮問しておるわけでありますが、そういう國宝保存の諮問をするような委員会の構成等についての御質問であつたかと思います。國宝保存会というのは、御承知のように昭和四年に発足いたして、各方面の専門の権威者を委員に頼んで審議をして頂いておるのでありますが、今までその業績は相当高く評價されておると思つております。併しまだ今までの活動では十分ではございませんで、もつと積極的にこの会としても國宝保存行政について関係をして貰いたいと考えております。併しそれには今までの保存会の制度及び保存会の委員の構成等につきまして、やはり十分再檢討を加えて行きたいと考えております。これにつきましては國会の文部委員会で非常に関心を持たれまして、國宝保存制度についての詳細な研究を現在やつておられるように聞いております。それで文部省といたしましても、そういう御研究と種々連絡をいたしまして、十分協調を保ちまして、この際理想的な國宝保存制度を至急に立てたいという方針で行つておりますので、そう御承知を願いたいと思つております。先程お答えいたしましたが、國宝の整理の問題、これも一般的に言われておる問題で、文部省としてもいろいろ研究いたしまして、クラスに分けてこれを重点的にやるというようなことも考えてはおりますが、これもやはり國会の文部委員会で以て現在取上げて、いろいろと檢討されておりますので、それらと協調いたしまして、具体的な方策を考えるというつもりでおります。
  44. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 もう一つ御答弁願いたいのは、委員会の資金になる援助でありますが、幸い大蔵大臣もお見えになつておるようであります。國宝保存のために宝籤の発行のような制度を利用されるお考えがあるかどうか、文部大臣でも大藏大臣でもお答えを願いたいと思います。
  45. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今御質問がありましたのに、お答えいたしませんで失礼いたしました。お話の意味は多分奈良縣で以て実行されましたように、國宝保存について資金を集めろため宝籤のようなものをやつたらどうか、こういうようなお考ではないかと思います。奈良縣でそれが成功されたということは聞いておりますから、一つの有力な方法であるとは考えております。併し國としてこれをやるということになりますと、やはり民間資金も國全体の計画と関連いたしますのですから、その点で大蔵省とも協議をしなくてはならないということにもなりますし、又一部の方面の意見といたししては、やはり國宝は多くの場合、宗教的な対象と関連があるというようなところから、そういう富籤類似の方法を以て資金を集めることはどうだろうか、こういう御意見も相当にあるようでありますから、そういう点を私共は考え、又大藏省とも協議いたしまして、いろいろ研究いたしたいと考えております。
  46. 帆足計

    ○帆足計君 文部大臣にお尋ねいたしたいと思います。日本の教育制度並びに学校はその封建性におきましても、その形式主義におきましても、我が國で一番遅れたものの一つであると私は考えております。從いまして、教育の改革のためには、これを実際化する必要があるのでありまして、教科内容にいたしましても、教育方法にいたしましても、教材並びに教科書等におきましても、文化、科学、技術その他、民間の最高の智能と技術と経験を教育の中に盛り込むようなお心構でやつて頂かなければならないのではないかと思います。最近の教科書などを一通り目を通して見ますと、余程改善されつつあるようでありますけれども、まだ非常に私は遅れておると思います。特に本年度、私の子供も小学校に入りましたので、新らしい年度の教科書も若干目を通しましたが、日本の現在の文化水準、技術水準に比べまして、教育はその最高のものを採用せねばなりませんのに、その平均よりもやや遅れておる。又教科書の内容、挿絵などにいたしましても、民間で出ておる子供の雑誌等に比べまして、教科書の方が若干遅れておるのではないかと思えるのであります。私、後程文部大臣に差上げますが、ここに尋常二年の國語巻三の四十一頁の挿絵を持つて参りました。この挿絵のごときは全くホッテントットの子供達にでもどうかと思われるこういうものが子供に與えられるということは、親として忍びがたいことでありますから、我々の子供達をへぼ画描きの戯作者主義によつて教育して貰いたいとは夢にも思つておりません。貧しくとも凛々しい、資性の正しい、そうして將來すくすくと伸びて行くように子供達を育てたいと思います。この二、三の例は後程大臣に差上げますから、どうか御檢討くださいまして、そうして旧來の文部省に巣食うへぼ画描きや御用べぼ詩人のような方々は、適当な部署に移つて頂きまして、民間における最高の水準のものを極力子供達にやるという心構えで、教育行政をやつて頂きたいと思います。又小学校の教科書の詩や歌にいたしましても、私共は北原白秋の詩や藤村の若菜集によりまして、初めて日本の言葉を知り、祖國を愛することを覚えたのでありまするけれども、そういう日本民族の最も優れた詩や歌が正しく教科書の中に攝取されておるかと申しますと、殆んど僅かしか攝取されておりません。これも過去における教育の偽善と形式主義の遺物であります。尋常一年、二年の教科書に出ております歌を見ましても、白秋の詩、歌などの中からでも、もつと單純で、子供達の心魂に響き、そうして一生忘れられない、そうして日本民族を、又國土、風物を愛することを覚えるようないい詩や歌が沢山あるのでありますけれども、それらのものは殆んど採用されておりません。小学校の一年の最初の歌を見ましても、「なのはな」という歌がありますが、「なのはな、なのはな、まつのき」というのが最初の出だしでありますが、私にはこれはどういう意味か分りません。「なのはな、なのはな、まつのき」、これは一体どういう意味かと私も家内と二人で相談いたしましたけれども、一年かかつて未だに解決いたしません。
  47. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 簡單にお願いいたします。
  48. 帆足計

    ○帆足計君 そこで私はこの学校の又算術の教科書などを見ますと、中には子供に敵意を抱いているような教科書があります。我々相当の教育を受けたつもりですけれども、それで尚且つ読んで見て意味の分らないような、そうして極めて意地の悪いようなものがある。これは過去における日本の軍國主義的な、又封建的な教育のすべて遺物であります。従いまして、私は文部大臣にお尋ねするより子供達のために、文部大臣は今一生懸命に御努力せられておりますことを私共十分に了承しておりますが、一段と子供達のために一つ思切つた御努力をお願いしたい。そこで旧来の教科書編纂、又は教育方針等における形式主義を打破して、又旧來の文部省に集喰う頭の古い勢力を一掃して頂きたい。それから教科書の編纂に当りましては、今どういう委員会になつておりますか、知りませんが、適当な委員会をお作りになり、音楽にいたしましても、科学技術にいたしまして、日本の最高の頭脳の方々に子供達の教育の指導をお願いいたしたい。それから更に音楽の教科書におきましても亦全く同様で、「おたまじやくし」が並んでいるだけで、本当に子供達が心から愛唱し、終生忘れないような優れた音楽は、一つも載つておりません。こういうことも改めて頂きたい。又印刷におきましても、日本の最高の印刷を一枚ぐらいは一つの教科書に添えて頂きたい。そのために紙も御工面願いたい。現在エロ、グロの雑誌は幾らでもありますけれども、教科書が不足しておるだけでなくて、質のよい立派な印刷のものは一つも教科書には附いていないという現状で、こういうようなことで文化国家になり得るであろうかということを痛感する次第であります。  そこで結論としまして、私は只今のような事実に対しまして、文部大臣はどのようにお考えであるか。又現在どういう機構になつておるか。そうして私の只今の希望に対しまして、この次の國会までに、できるだけ我々の希望に対して、それが正しいとお考えであるならば、是非酌み込んで、そうして教育の水準を高めて、質的内容を高めて頂きたい、こういう趣旨であります。
  49. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 帆足さんにお答えいたします。  教育の刷新振興につきまして、非常に御熱心な御意見を伺い、激励を頂きましたことは、大変有難いと存じております。教科書についていろいろとお話がありましたのですが、教科書につきましては、御承知のように、國定教科書というのは止めまして、そうして檢定制度にするということに現在方針が変つております。ただ檢定のもので足りないものがあり、又國定の残つておりますものがありますから、それは使つてはおりますが、今後は文部省自体が國定のものを作らないようにいたしまして、民間で自由に学者に作つて頂き、教育者に作つて頂いて、その間から検定をして行くと、こういう方針になつておるわけであります。それでお話のありました教科書の内容の点も、多分検定教科書の内容ではないかと思つております。ですから文部省といたしましては、検定についての責任はございますのですが、作つたのは実は民間の方がお作りになつたわけで、併しそれにいたしましても、内容については、文部省として教育上の立場から十分改善を心がけなければならないことであります。そういう方面についても、今後は十分に努力をいたしたいと考えております。  尚教育全般の刷新、教科書の内容等について民間の知識を十分動員してやつたらどうだろうと、こういうような御意見がございましたが、現在でも教育制度につきましては、教育刷新委員会というのがございまして、重要な教育制度の問題はそこで審議して貰いましてやると、こういうことになつております。又教科書につきましても、いろいろそれぞれ専門の委員会を作りまして、各方面の意見を聞きながら現在もやつてはおります。併しまあそれらにつきましても、制度、人選等は十分に檢討を加える必要があるかと思います。御趣旨に副つて今後十分に検討をし、改善すべき点は改善したいと、こういう考えであります。
  50. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは次は大藏大臣に対する質問を始めます。
  51. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大藏大臣に先ずお伺いしたいことは、この予算を実行した結果、私は非常にデフレ的な傾向が出て來ると思うのです。政府では、成るべくデフレにならないように、いわゆるディス・インフレということを言われておりますが、私はこの予算の実行の結果非常にデフレになる面があると思うのです。その第一の理由は、大体これから設定される爲替相場は三百円乃至三百五十円ということを目標にしてこの予算を組まれておると思うのですが、日本の今の実際の物價は、三百円とか三百五十円どころではないと思うのです。いわゆる円の対外價値はもつと安いものだと思うのです。いわゆる物價が相当高いのであつて何故物價がそんなに高くないかと言えば、これまで補助金政策で物價が安くされておるので、実際の日本の円の対外價値というものは非常に安いものだと思う。或いは五百円とか、或いは六百円とか、そういうものであると思うのです。それを三百乃至三百五十円くらいの対外價値に抑えることを目標にして予算を組まれておる。そうすると、対外價値の面から言つて私は相当いわゆるデフレ的なものであると、実際の円價値よりも非常に割高に決められておる。その点が第一点であります。  それから第二は、資金計画を拝見しますと、資金供給面が非常に楽観的に見積られておる。例えば貯蓄目標、これは目標でありますから、実際のまあ数字でないといえばそれまでですけれども、二千三百億、これはこの予算委員会において公述されました千代田銀行の千金良氏の公述によつても、千五百億乃至千八百億くらいに抑えるというのが適当である。そういう専門家の御意見であつたのであります。そうしますと、供給面において非常に楽観し過ぎるのではないか。それと需要面において又非常に過大にそれを見ておる、例えばいわゆる自己投資資金を七百億と見積られておるようですが、これはやはり私は過大ではないかと思う。そういう資金計画の面から見ましても、あれをあの通りにやつて行かれるとすれば、資金供給の小いのに相当需要の面が多いというので、そこに又資金の供給面からもアンバランスが出て來る。  それから第三点は、これはまあ相当心理的な面と思うのですが、これまでインフレーションが進行し、又政府においてこれを止める場合においても一拳に止めるのではない。いわゆる中間安定政策が取られておるように、なし崩し的にインフレを安定させて行くという方針が取られて來て、一般の心理もそうなつておつたと思うのです。ところが今度の予算を中心にして、一挙安定の政策を取られておる、これは資金計画を見ても通貨の膨脹は零になつておるわけです。そういうところから見ても私は相当デフレ的な現象が出て来ると思うのです。これに対して過日経済安定本部長官に伺つたのですが、安本長官はデフレにはならないように努力すると言われておつたのですが、努力するということと、これをこの通り実行して行けば相当のデフレになるということとは違うと思うのですが、この点に対する大蔵大臣のお見通しを伺いたいと思います。
  52. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。今年度の経済界ばデフレの傾向を取るのではないか。その論拠の第一に、三百円乃至三百五十円の單一爲替レートを想定しておるようだが、これは円高ではないかというお話でありますが、私の見るところでは大体予算を作ります上では三百三十円を想定レートにしてやつております。而して昨年度のP・R・Sを見ますと、大体三百十一円程度に相成つておるのであります。中には雜化類、その他についても相当円安のものがございましたが、又ものによりましては二百五十円とか百五六十円の円高のものもあるのでございまして、これによつてデフレの傾向を起こすことも私は考えておりません。  第二に、資金面において二千三百億というのは非常に楽観的な見方ではないかというお話でございまするが、これは大体通貨の余り殖えなかつた昭和七年乃至十二年の貯蓄率を見まして、そうして国民所得から処分し得べき残りの所得に対して割当てて見ますと、二千三百十何億になるのでございます。而して昨年度の貯金額は二千五百数十億、で二千三百億と申しますと千二百億の減でございます。この千二百億の減は今年は御承知の通り財政インフレを止めまして、大体財政インフレによつて支出いたしました資金というものが千五六百億になると考えております。それの還流率が大体千二百億程度に相成ると思います。そういうふうな考え方をいたしてみますと、大体二千三百億円の分は決して楽観ではございません。目標といたしましては二千五百億の貯蓄目標を考えておりますが、大体千二、三百億円の減というのは私は達成し得ると考えておる次第であります。尚直接投資について七百億は多過ぎはしないかというお話でございますが、昨年の実績を見ましても、百万円以上の会社で株式を増資いたしましたものは三百億になつておるのであります。そうして残りの三百八十億というのが会社の自己資金の増加であります。昨年の実績の三百億の増資、三百八十億の自己資金の増加、これを見越しまして、二十億殖やして七百億を見込んだのであります。証券市場が発達いたしまして、株式取引所の再開をみる場合におきましては、この直接投資の七百億円というのは、法人の状況を考えまして、決して過大でないというふうな考え方を持つておるのであります。從いましてこれを要するに徴税を非常に強行いたしますときに、そこにデフレ的な面がございまするが、資金計画で御覧の通りに、産業資金といたしましては七百億の増加をいたしております。四千七百数十億に見込んでおるのであります。從つて徴税の面から申しますと、非常にデフレのようでありますが、実際産業資金四千七百億円をやつ行けば決してデフレにはならない、私はここを以てデイス・インフレの政策で行くのであります。で、千七百五十億円の回転資金というものにつきましては、これは國債の價還、復金の價還を價還しつぱなしにして置くか、或いは状況を見まして全部を産業資金に廻すか、これはその状況によつてやつて行きたい。そうして第一輸出貿易を振興いたす関係上相当の資金を入れますが、私はデフレ化の途を迫るとは考えておりません。
  53. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今の御答弁で大体三百三十円くらいを円安として予算を組まれておるというお話でして、又実際の円價格もそれ以下であるというお話でありましたが、併し円價格が、例えば物價がそのように高くならなかつたのは、実際は補助金があつたからです。今回も非常に沢山補助金を出しておるわけです。若しかその補助金を出さなければ、非常に物價というものは高いものだと思うのです、円の價値は非常に安いものだと思うのです。ところが補助金があるから、今三百十何円と言われましたが、それだけの水準にあるのであつて、それだけ昨年よりも非常に沢山の補助金を計上したということがそれだけで非常にデフレ的な作用を持つ。ですから国民生活について、今までは例えば輸入食糧その他の輸入品について貿易資金特別会計で操作してそれを安くして来たわけですが、今度はそれは國から税金を取つて補助金に充てる。その結果食糧價格は税金の補助金の足りない分だけ値上りすると同時に、これにプラス八百二十三億の税金が加わつて来るわけです。そうしてその補助金はどこへ行くかといえば貿易資金、貿易勘定に行きまして、そうしてこれが資本蓄積の方に向けられる。いわゆるインヴェストメントの方に向けられる。從つてそこで強力な無理やりの資本蓄積が強行されるわけです。それだけ國民生活に非常な重圧が来る。今までそういう分は貿易資金特別会計で國民生活の安定の方に向けられていたのが、それが外されて見返円勘定の方に入つて行つて産業投資に向けられる。そういう意味で國民生活に対しては非常に重圧になつて來る。そういう厳密の意味でのデフレとはいえないかも知れませんが、國民生活についてにそういう非常なデフレ的というか、重圧が来ると思うのですが、ディス・インフレという内容はどういうものか分りませんが、私はそういう面で政府が考えておられるよりももつと影響は深刻なものであるんじやないか。この点は今後経過を見なければ分りませんから、ここで議論をしても始まらないですが、私はこの点について予め政府もこの点を考慮に置きつついろいろな準備対策、そういうものを採られることを要望しておきます。  それから第二にお聽きいたしたいのは見返円勘定の問題ですけれども、あれは二十四年度の貿易計画のうち輸入が九億五千万ドルですか、輸出が五億三千万ドル、その差額がいわゆる輸入超過分が千七百五十億という、そういう数字になつて來ておるのでありましようか。
  54. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 木村委員はデフレ傾向をとつておるというお話でございますが、勿論從来のような財政インフレの日本の経済から申しますると、それはデフレでございましよう。併し從來のような放漫なインフレ政策はとれないのでございまして、だから從来の國民生活その他からいえばこれは窮窟になつて來ることは当然である。ただ非常なデフレ政策、デフレの傾向という問題が日本の経済がディス・インフレに行くのだ、こういうふうにお考えを願いたいと思います。  次の対日援助物資見返りのものは輸出入の差額ではございません。向うのガリオア、イロアとして來ておりました金額が想定三百三十円に換算したものが今年度に入つて來るというふうに御了承を願いたいと思います。
  55. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと九億何千万ドルのうちガリオアに相当する分と、それから輸出する計画の金額と大体同じような数ですか、輸出計画の金額が五億三千万ドルで、向うから輸入分のうちガリオア救済資金分が五億三千万ドル、こういうふうに商工大臣から御説明があつた。そうしますとガリオアと輸出と大体見合つておるわけです。その結果若しか輸出が減つたような場合、それはガリオアが減るのか或いはイロアが減るのか、そういう疑問が起きて來たわけであります。この点は例えば自立経済ということをいつておりますが、ガリオア分は今度は輸出分と必ず見合わなければいけないのか。そういう建前になつておるのかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
  56. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 先程三百三十円の想定レートで換算したと言つたのは、私の失言でございまして取消します。大体千七百五十億円の貿易合計収入という内示があつたのでございます。而してこの金額は輸出入の差額ではないと考えております。で向うの援助物資の方から換算した額、こうお考え願いたいと思います。
  57. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その点偶然かどうか知りませんが、商工大臣の御説明でガリオア分と輸出分と全く数字が同じなのです。そこでこれまでドツジ公使その他が言われておりますように、日本は自立経済で行かなければいけないという意味は、大体日本の復興ではなく、國民生活の安定の分、食糧とかその他のそういうものは輸出によつて賄え。そういうことを意味するように受取るのですが、丁度ガリオア分が輸出金額と一緒になつて同じ程度あるものですが、そうなると若しか輸出が減つた場合にガリオアが減れば國民生活の方に大きい影響を受けまして、イロアが減ればこれは財政資金計画にも非常に大きな影響が来ると思われるのです。その点がどうもはつきりしないと思うのですが……。
  58. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 数字が合つておるのかどうか存じませんが、前の見返資金千七百五十億円は向うの援助物資の方から直して見積る金額でございます。
  59. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますとあの金額だけはもう固定しておつて、それ以上輸出が殖えたりなんかするような場合には、それは別途使えることになるわけでございますか。
  60. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 私はこの見返資金の入つて來ますものは、アメリカの議会の協賛を得ました援助物資でございますから、日本の輸出がどうこうということによりまして動く数字でないと心得ております。
  61. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 更にお伺いいたしたいのですが、これは前に商工大臣に價格調整費についてお伺いしたのですが、商工大臣は商工省としては今度たしか千三百億と思いましたがそのくらいを要求した。ところがそれが今度千二億になつておるが、商工省としては少いぐらいである。そういうような御答弁であつた。ところがこの前予備審査で大藏大臣に伺いました時には、節約の余地があるのではないかという御答弁でありましたし、又田村委員の御質問に対して大蔵大臣はやはり節約の余地があるような御答弁だつたと思うのです。それでこの予算案について一番大きな問題は價格調整費だと思うのですが、昨年度に比較して予算が殖えておるのは大部分千二億というこの價格調整費だと思いますが、若しか節約し得る分があるとすれば、これが一番重要な面と思いますので、重ねてこの点に対する大蔵大臣の御見解、節約の余地があるのかないのか、お伺いいたしたいと思います。
  62. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 只今の情勢では千二億円を安定帶物資の補給金として計上いたしておるのであります。併し御承知の通りに企業の能率化、経費の節約等を考えて参りましたならば、ここに節約の余地があるのではないかと私は考えまして予算の執行につきましてはお話の通りに重点的にこの点を検討して見たいと思つております。
  63. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そういたしますと、商工大臣のお考えと大蔵大臣のお考えはここで違うのですが、御答弁が……。商工大臣は、自分は商工省の立場としてできないのだ、こういう節約の余地がないと思う、こう言つておられるが、一体それは政府としての見解如何。
  64. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) これは見方の問題でございまして、これだけ節約できるのだということを私が言えんと同じように、商工大臣もこれだけということはおつしやられないと思うのでありまするが、これは一般の常識から申しましても、今のトン当り幾らかかる、そうして消費者價格を幾らにした、その差を計上いたしておるのでございます。從つて非常に石炭なんかの四千二百万トン以上に増産するということになれば、トン当りの経費が少くなりましてこれは殖えるかも分りますまい。併し國務大臣としての私は一應は計上いたしまするが、企業整備或いは合理化などによりまして節約し得ると私は見込んでおるのであります。その金額は申上げられません。そういう努力を拂つてそうしで削減いたしたい、こういうのでございまして、私が初め七百億くらいということを見込みまして、今度こういうふうになりましたのも、やはりその物價という見方の問題でございまするから、私は只今のところ或る程度減額することに努力したいと言明する次第であります。
  65. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 更に大藏大臣にお伺いいたしたいのですが、この予算委員会の公述人として見立られた朝日新聞の論説委員の藤田武雄氏がここでこういう論述をされたのですが、今度の予算を見ますと、非常に資本の蓄積を強行し過ぎている、そういう面がある。それは大体千七百五十億の見返円勘定はこれまでは輸入食糧の補助金とか、或いはその他の補助金に充てられた。  大体國民経済の安定の方に多い。今度それが産業投資の方に、インヴエストメントの方に向けられている、これが一つ。もう一つは政府が政府出資金によつて復金債その他を償還するわけです。これも市中銀行、日銀辺りで持つている市中債を償還する。そうするとこれがインヴエストメントの方に向けられ、これも一つの資本蓄積だと思うのです。そうして結局そういう金額を合せると、相当大きな二千億以上になると思うのですが、今の國民生活の水準で非常に資本の蓄積が強行されるために、国民生活の方に非常に不安定が來る、そういう感じがするのですが、この点については大藏大臣はどういうふうにお考えになつていますか
  66. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 先程からの御質問と関連いたしておると思うのであります。その意味におきまして我々は今までのようなだらしのないあれでなしに、はつきりした安定の下に耐乏生活で暫く過さなければならないというのがここにあるのであります。
  67. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣は中座されるそうですから、一つ簡單にお答え願いたいと思います。それは税制改革の問題ですが、常に大蔵大臣はシヨープ博士が見えてから税制審議会を設けて、そこで研究されるということを言われおりますが、ショープ博士が見えてからやるのでは遅いのではないか。大体五、六月頃見えて実際に案ができるのはニケ月、三ヶ月遅れる。半年ぐらいは今のこの税制でやつてしまうということになると、その間に非常に大きな問題が起るのではないかと思うのです。税制改革に対するやはり何か今の内閣として自主的な考え方ですね、そういうものがおありなのであるかどうか。  もう一つは、この前私が東北の方に参議院から派遣されて税の調査に行つたのですが、各方面で聞くことは現行税率そのものが高過ぎる。所得を正確に捕捉すればもう非常に高いものになる。それで問題は税率を下げて所得をよく捕捉するということが税制改革の根本ではないかと思うのですが、この所得の捕捉ということについて、これまでのようでは駄目で、何か非常に徹底した、或いはもつと科学的な、そういう方法についてお考え方を……。この二点をお伺いしたい。
  68. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 私といたしましては税制改正案を議会に出したいと、殊に所得税と取引高税につきまして軽減並びに撤廃に努力いたした次第でございます。最後までこの点につきまして折衝を重ねましたが、近々コロンビア大学のシヨープ博士が來られるので、そのときに根本的に檢討しようという話合になりまして待つておる次第でございます。而してショープ・ミツションの一人はすでに先だつてこつちヘ來られました。五月上旬にショープ博士も來られる状況でございます。そうしてこちらの方でも今年一月以來大藏省で税制審議会を設けて改正案の試案を持つております。又もう少し大規模にいたしまして、参議院、衆議院の方々にもお願いいたしまして、今度内閣に大規模な税制審議会を置いて、そうして受入態勢を整えつつあるのでございます。從つてこのままこういう計画で行きましたならそう長くはかからないじやないか。今度は國税ばかりでなしに地方税につきまして檢討を加えようと思つておりますから、或る程度時間は要しましようが、そう結論を得ますのに六ヶ月も、七ヶ月もかかるわけではございますまい。又改正案の内容につきましては遡つてどうこうということもできるわけでございまして、その点ははつきりはいたしませんが、とにかく所得税につきましては、今の負担の状況を考えましてできるだけ軽減の措置を採りたいという強い希望を持つております。  第二の点の今の税制は税率が高過ぎる、それで困るのじやないか。もつと税率を安くすれば、安くしても所得の基本を把握しさえすればいい、御説の通りでございます。從いまして我々は実際の所得額の把握だ十分力を盡して行きたい。そうすれば税率は下げても相当の収入は確保できると思つておるのでございます。こうした対策といたしましては、どうしても納税者各位の協力を得なければなりませんし、片一方では税務官吏の調査技術を向上させまして、そうして又いろいろの科学的な方法を用いて行きたいと思います。今のような税率はお話の通り本当に所得を掴まえても、余りに税が高過ぎるというので、掴まえた所得は或る程度斟酌することもあるということを聞いておる状況でございます。お話のような考え方でこの際考えて見ようと思つております。
  69. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私まだ質問があるのですが、後で又大藏大臣お見えになるそうですから、そのときまで保留いたします。
  70. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 三時までいいです。
  71. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 では次に金融政策のことについてお伺いいたしたいのですが、御承知の、昨年八月十七日に司令部から指示されたあの金融制度改革の指針、その後政府においてあれの取扱いはどういうことになつているでしようか。いわゆるバンキング・ボードその他を含めたあの金融機構の改革に関する指針です。
  72. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 私はその頃大藏省におりませんのでよく存じませんが、俗に金融業法とか何とかいうあの問題は、私は直接聞いておりません。而してその後その問題について、事務当局から聞いていないのであります。ただ、最近日本銀行法の改正問題が起つて来ておりますから、私は只今のところあれはそのままになつているのじやないか、こういう氣がいたしております。
  73. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その点どうもおかしいと思うのですが、事務当局から連絡がないというのは……。あの当時は非常に大きな問題でして、参議院においても特にあの問題について委員会を設けて、各金融業者その他から意見を聽取して研究しておつたのであります。それが途中で立ち消えになるというようなことも非常に了解できないのです。全然連絡がないとおつしやれば仕方ありませんが、それじや大藏大臣はあの指針はもう御存じの筈だと思うのですが、ああいう方針において金融制度、金融機構を改革して行くというお考えはないのですか。
  74. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 率直に申上げまするが、私はあの制度は沙汰止みになつたのじやないかと考えているのでございます。今後日銀法の改正があの線よりも少し変つておりますから、その意味においてあまりあれに関心を持つていない、こう申上げたいと思うのであります。ああいう問題は向うが又採り上げて來るかも知れませんが、只今のところドツジの線におきましては、あれは暫く、伏せておくという考え方じやないかと思います。
  75. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 もう大藏大臣も御承知の通り施政演説においても言われたことですが、金融政策が今後重要になる、それについては金融機関の公共性、こういうものを強めて行かなければならんというお話でしたが、その一環として、今度日銀の改組というものを考、えられておるようですが、新聞の傳えられるところによりますと、日銀の内部にクレジット・ボードというものを設けて、それで大蔵大臣、安本長官その他で委員を構成して、そこで運営して行くというお話ですが、そういうボード決定したいろいろな金融政策が間違つていたような場合、そういうときの責任はどこにあることになるのですか。
  76. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 只今私のところで考えておりますのは、日銀法の改正でございまして、今日本銀行総裁の責任においてやつておりますものを、今後その上にボードをおきまして、日銀の総裁もそのボードの一員でございます。而して大藏大臣はそのボードに入りません。ただリエーゾンの役割を勤めるために大藏省の者が委員として入るのであります。だから今までと何ら根本的組織には変りはないわけであります。
  77. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、これまでのいろいろ経過を見ますと、実際問題として日本銀行の地位が非常に強過ぎるということは一般の輿論だと思うのです。それで一時に、例えば大蔵大臣と日本銀行総裁との意見が違つたとか違わないとか、これは事実でないかも知れませんが、そういう噂もあつたくらいで、今後金融政策というものが非常に重要性を帶びて來る場合に、日本銀行に対して政府がこれを統制して行けない、或いは政府の責任においてやつて行けないという面があることはいけないのじやないかと思う。それで例えば最近日本銀行で高率適用をやつたようでありますが、あれなども金利の回轉そのものが大蔵大臣の認可を要することになつておりますが高率適用は大藏大臣の認可を得なくても、日銀だけでできる、こういうようなことを聞きましたが、あれなどは金融界にも或いは産業界にも非常に大きな影響を及ぼしますが、そういう日本銀行自体のいわゆる権限ですが、金融政策に対する権限、こういうものをはつきりどの程度に決められるか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  78. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 金融政策の問題につきましては大藏大臣がその衝に当つておるのであります。從來そういう噂があつたというようなことを聞いておりますが、私は全然そういうことは考えておりません。金詰りの問題にいたしましても亦最近におきましてはどんどん國庫の余裕金を指定預金にいたしまして、日銀を使つてあらゆる政策をやつておるのであります。決して大藏省と日銀が遊離しておるとか何とかいうことは只今は全然ございません。尚高率適用については、この問題は元は大藏省から言い始めておる問題でありまして、決して日銀の発案になつたものでも何でもないのであります。
  79. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それからお伺いしたいのは融資準則ですね。あれに基いて日銀がいろいろ融資統制をやりました。あれは何か法的な根拠があるのですか。
  80. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 融資準則については大藏省で定めまして日銀を使つてやつておるのであります。今度は財政金融を圧迫することも殆んどなくなつて参りましたから、いろいろな点で改正して行きたいと考えております。
  81. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵省が指示を與えてやられておるそうですが、これは法律的な根拠があるのですか。
  82. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 現在融資準則は金融緊急措置令によつて施行されております。
  83. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最後に一つ、日銀の改正については伺いましたが、市中金融、市中銀行の方について何かいわゆる監査とか統制とか、そういうことをお考えになつていないかどうか。復金がああいうように融資を止めて市中銀行のウエートが非常に強くなるのですが、今までのような形でよろしいかどうか。
  84. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) お説御尤もでございまして、見返資金特別会計の金も、ルートは、国債の償還或いは復金債券の償還ということになつて行く部分も相当ございます。そうすれば、それはやはり市中銀行の金庫に入つて行くわけでございます。これにつきましては十分な監督並びに紐を附けて行きたいと考えております。そのためには先般申上げましたように、金融機関の公共性を発揮させようといろいろな手を打つて頂き、或は監督もできるわけでございます。
  85. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは安本長官にもお伺いしたいのですが、それは市中銀行の配当の問題です。安本長官からもお答えなかつたのですが、いわゆる配当の復活ですか、この問題について大藏省はどう考えておりますか。
  86. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) この問題は主として地方銀行に配当の復活の要求が強いのでございまするが、大体只今のところ三月の決算までは配当は復活しないだろうと考えております。
  87. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 三月だけですか、それ以後については……。
  88. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 九月については申上げられません。これは銀行の状況によりまして、配当する余力があれば何ら私は銀行の配当を押える意思はございません。三月には配当の復活は多分ないのじやないかと考えております。
  89. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは安本長官に対する質疑を始めます。
  90. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は生産計画とその裏付をなしまする資金と價格政策の面を通じまして、一貫して御質問申上げたいと思います。大蔵大臣が御同席だと都合がよろしうございますけれども、只今御退席いたしましたからこの分は後からお願したいと思います。特に資金関係でございますが、安本長官にも資金関係について非常に重要な関係がありますので、別途に御答弁を頂きたいと思います。実は先日商工委員会におきまして、安定本部の石原政府委員から、産業五ケ年計画の中で二十四年度計画を中心としました生産計画の説明を伺つたのでございますけれども、誠に残念でございましたが、この生産計画を実行に移す場合の三大支柱でありますところの資金と價格政策の明快な説明を聴取することができなかつたのであります。そこで私は只今からこの問題を中心にしまして、特に基幹産業、基礎産業を中心にいたしまして、安定本部長官に御質問を申上げるわけであります。  私の質問の中心は、その中でも石炭と共に最も重要でありまする光、熱、動力のエネルギー源を負担しております電力の施策に重点を置いて御質問申上げたいと思うのであります。從来電力問題は國会において抽象的に概念的に問題を取上げられて参つているのであります。ただ漠然と、電氣は何とかしなければならん、こういうような形で取上げられておつたのでありますが、最近における電力の問題は本質の隘路にぶつかりまして、一日これを見送りますれば由々しいことになる実態に入つておるのであります。從いまして暫く時間が籍りまして或程度具体的な内容に亘りまして御質問をいたしたいと思うのであります。特にお断り申して置きますが、私は電気事業の社会化、公共性を主体としました社会化ということに関しましては信念的なものを持つておるのでありますけれども、とにかく只今は資本主義経済下であります。そうしてその経済下の中で電気事業は運営をしなければならないのでありますが、この運営せられておりまする実態は、非常に他産業と比較しまして圧迫された状態に現在置かれておるのであります。そういうような問題も一々解明いたして参りませんと、基幹産業としての復興も恐らく非常な暗礁に乗上げるであろう、こう考えるのでありまして、こういつた観点から資金、資材と價格の両面を通じて御質問申し上げるわけであります。  先ず第一に資金関係でありますが、去る四月十三日に衆議院予算委員会で安定本部の内田金融局長は、二十四年度の設備資金は大体千六百億の予算この内訳は細かく述べられておりますが、石炭二百四十億、鉄鋼九十億、電力四百億以下いろいろ載つておりますが、運轉資金もほぼこれと同一額の一千六百億を必要とすると自分は考える、こういう工合に述べられておりますけれども、今回の予算の性格からいたしまして、恐らくその調達は非常に難航を極めるであろうと私は予想するのであります。特に犠牲産業的な基幹産業の中では復金融資が全面的に中止せられまして、而もその設備資金の融資は営利本位の市中銀行の手に全部を委ねるわけでありますから、非常に困難の度合が増すことは御案内の通りだと思うのであります。基幹産業は凡そ犠牲産業としてその價格も生産者價格といたしまして、独立採算を軽視して採算割れのまま政府決定となつたものが、そのまま据置きに今度なつたわけであります。市中銀行の信用をかち得るというような経営は不可能に近い状態に、現状のままでは陷ると思うのであります。そうしますと、営利を目的とする市中銀行が、政府の資金計画に從いまして営利を度外視して、必要な部面に必要な融資をするというようなことは、從來の例を以ていたしましても期待ができないと思うのであります。政府はこういうような財政金融の大きな轉換期には思い切つた信用統制の方式を敢行しなければならないのではないかと私は考えるのでありますが、そういう点についてどのような具体的な用意をお持ちになつておるか、これを承わりたいと思います。例えば政府保証による融資とか或いは市中銀行に融資準則による融資を勧告する、或いは融資の枠を前以て重要産業別に與えるとか、その他増資、社債の発行、そういつたようなすべての問題について、具体的にこの採算割れのする営利的に成り立たない基幹産業に対して、どのような設備資金とか運轉資金の用意を持つておるか、この点を承わりたいのであります。  特に電氣産業におきましては、私の記憶に誤りがございませんならば、昨年度復金から融資を受けましたのは、設備資金で百七十億、運轉資金で百三十五億だと記憶いたしておりますが、本年度からは予算が未決定のために打切りの状態にあります。そうしてその資金計画が思うように行かないために、只今私の知りまするところでは、電力事業界は非常な混乱に陷つているようであります。産業五ケ年計画の第一年度でありまする二十四年度における所要額は、設備資金で約四百七十億、第一・四半期において百二十億、特にこの四月の繋ぎ資金に約四十億を是が非でも必要であると言われております。而もこれの入手に殆んど見通しが付かない実状にあります。日本発送電における約九千人の土建請負業者は解約を前にして殆んどなすところを知らない状態であるといわれております。又厖大な電氣関係の発註を受けておりますメーカー、或いは割当を商工省から受けましてその発註を控えておりますところの業者も、非常に混乱しておる状態でございまして、このままで行きますならば石炭代の不拂いも勿論できるわけでありますが、冬季の電力危機を今から準備しなければらないのに鑑みまして、非常な遺憾な状態にあると思います。同時に四月の第一・四半期の繋ぎ資金を融資せられると共に、今年度の全設備資金、運轉資金に対する手当について明解な御答弁を先ず伺いたい、こう考えるわけであります。
  91. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 栗山さんの御質問に対してお答えいたします。おつしやる通りこの予算を実施することになりますれば、当然に建設資金とか長期資金というものが非常にむずかしいことになる。こういう関係から考えますと、今までの復金のようなものがあればこの点は容易にできたということが顧みられます。又我々が日本における公営銀行的なものがどういう役割を演ずるかということから考えれば、御承知のように先ず市中銀行は、これは一般的にいえば営利銀行であるから、公共的な問題については仮借なく自己の営利を追及するだろう、これも一つの見方だと思います。併しながらそういう考え方だけからいえばそういうふうにもなりまするけれども、併し市中銀行も豊富な資金を持つようになれば、それをできるだけ、勿論原則としては有利な所に投資するということであつて、不利な所に投資するわけはございませんけれども、併しこれも経済が安定すれば適当に低い利潤であつても、ともかくも投資するということは一應考えられるところであります。併しながらおつしやるように電力とか石炭とかこういうものにつきましては、そういう方面の資金は出にくいと、こういうことであれば政府におきましても、先ず資金の順位について優先的に確保するということは我々も只今考えておるところでありまして、殊に金融機関によりまする、例えば復金がなくて貸出しができない現在におきましては、先ず興業銀行とか農林中金とかそういつたものをも動員をいたす考えを持つておりまするし、又更に今日私共が深く期待を持つておりまするのは、何といつても援助資金でございます。この援助資金を、建設的な方面、建設事業に何とかして相当廻して貰うということを非常に期待を持つておりまするし、この方面に努力をいたしておる最中でございます。それにつきましても繋ぎ資金の問題になりますると直ちにどうこうするということができないので、現に大蔵省、日銀等の間において只今多分協議中であると存じておる次第であります。それにいたしましてもともかくも電力事業とか石炭事業は是非継続できるように我々も考えて参りたいと存じております。
  92. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今優先的に考えるとか或いは研究中であるとかいうふうにおつしやつたのでありますが、現実にもうこの四月を越しましてから仕事の上に非常に混乱を來しておるのでありまして、これはもう考えたり研究しておるのでは間に合わないのであります。少くとも四月の繋ぎ資金の四十億というものは緊急に手を打つて頂かないと非常に困る問題が起きて来る。私はこれは緊急に決定をされなければならんと思うのでありまして、今のお答えでは大変不満であるのであります。
  93. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 再度の御質問でございますが、経済安定本部も大藏省と共に日銀と協議を遂げて何とか解決いたしたいと考えております。
  94. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうもそれでは不満足でありますが、更に予算の問題とは切り離しまして、非常に混乱しておる実情を御理解頂きまして、緊急にこの具体的な融資が実現いたしますように努力を願いたいことを、特に強くお願い申上げて置きます。  それから第二点として、電力料金の合理化の問題について御質問いたします。大体電力料金の合理化の問題は、即ち合理化するというのでありますから、今の料金が極めて不合理であるということを裏から言うわけでありまして、その観点から私は三つに分けたいと思います。一つは電力の原價計算の裏付をなしておる復金融資や或いは補給金というものが打切りになつたという一つの事実の問題をどうするか。それからあの厳格な原價計算がなされておりますが、その内容構成が現在の状態において大きな変更を來たしておりますが、これに対する措置をどうするか。更に今後新らしいいろいろな原價計算の内容を変えなければならんような事態が起りつつあるわけでありますが、そういうものについて、どういう措置を取るか、この三つに大体要約できると私は思うのであります。  現行の電力料金は次に申上げますような事情で極めて不合理であると存ずるのでありますが、これをお認めになるかどうか、一問一答式でお答えを願いたいと思います。特に安定本部の野田副長官、今日お見えになりておりますか……これは非常に重要なことであるので併せてお伺をしたいと思いますが、四月一日附の実業之日本誌に緊迫せる金融事業をどう切り抜けるかという題で、工藤昭四郎、岸喜二雄と野田副長官の三者鼎談におきまして、次のように述べております。即ち電気設備の補充といつた性質のものは、今までは復金の借入れで半分ぐらいはやつておつたのですけれども、これは健全な方法でない、これは本当は料金収入で行かなければならんものである、これは一つの重要な意思表示である。電源開発のような長期事業資金はどうしても民間の資金を集めてやるのが、一番財政負担にならないで健全だと思う、その結論として、それには集め得るような措置を取らなければならん、非常に重要なことを言つておられる。結局配当をちやんと認めて増資して、又社債を殖やしてやる。こういう方法で行くのが一番健全である。又一番安上りの方法である。そういう方法を料金に加味して行こうというので、今計画しておるということが、四月一日附の実業之日本誌に野田副長官の言として書かれておる。又安定本部長官は本会議におきまして、石炭、電力の料金値上は絶対行わない。こういうことを断言せられました。又昨日商工大臣は本委員会におきまして、飯田委員の質問に答えてはつきりとその料金の更改について関係筋と熱心に交渉中であると答弁されました。又同じく、安定本部の委員会におきましては、物價廳の或る係官はもう緊急にすでに料金更改が実現せられるかのごとき説明があつたと承わつております。安定本部の青木長官の本会議でお述べになりました言葉は、恰も商工省からも亦安定本部、物價廳からも浮き上つているような誠に奇異な感を私は受けるのであります。それだけならばいいのでありますが、そういうことにして置きまするならば、以下述べますいろいろな事情によりまして電気事業の復興は期待できない。昨年度におきましては、戰争前の一二〇%の生産回復をいたしている、國内産業の唯一の最高の回復力を特つておつたのであります。そうして石炭燃料源の不足を補い、非常に大きな貢献をして來たのでありますが、今年度は更に三百六十億キロワット・アワーの発電を要請せられております。更に五ヶ年計画の最終年度の二十八年度におきましては、自家用発電を除きまして四百六十四億キロワット・アワー、現在の四四%増しの大きな増量を要請されている。それをやろうとして努力しているのでありますが、誠に憂慮に堪えない状況にあると思うのであります。從いまして今申上げました政府部内のいろいろな意見の対立、若干の喰違い等も加味せられまして、私が以下述べることについて、一つ率直にお答えを願いたいと思うのであります。  先ず第一にお伺いいたしますことは、現行の電氣料金というものが非常に厳格な原價計算の上に立つておりまして、且つ復金融資及び價格補給金制度の裏付の上に組立てられておつた非常に不安定な料金制度だつた。今度の予算を以て直ちに復金融資を打切り、價格補給金を切りますなら、立ちどころに電氣事業の運営は行詰る。つまり二枚の着物を着ておりました者が一枚に減らす、そういうような状態に経営し得るような問題ではない、企業合理化の域を越えまして三食の飯を二食に減らさなければならないというような苛酷なものであると私共は考えている。このような有様では全く難きを強いるものでありまして、極言するならば力を以て電力行政を行うものであると言わなければならんと思う。そこからは企業の意欲も勤労者の意欲も恐らく生れないだろう。そういう工合に考えるのでありまして、この点を青木長官として端的にお認めになるかということであります。企業の合理化によりまして、勿論年に二十億乃至三十億の節約はできると事業者も言つているようでありますが、それではとても追つ附けないような実情に現在あるのであります。これは補給金なり復金融資というものを全然離れまして、現在の原價計算の内部だけにおいてそういうことが言えるのであります。それは第二段に申上げますが、先ず第一段においてそういうことをお認めになるかどうか、これを承わりたいわけであります。
  95. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。経済安定本部といたしましても、そういうおつしやるような事柄を勘案いたしまして、何とかしなければならんだろう、こういうような事柄が実際に問題になつたことはございます。併しこの予算の実行ということになつて参りますと、やはり只今おつしやいましたように、五ケ年計画というものの実施につきましても、多少ずれるということが想像せられまするし、それをしたくないということについては、見返資金等からできるだけ資金を何とかして、いろいろな部面に持つて来る、復興計画に副うように持つて来たいということを只今も考えているのでありますが、ともかく現在のところではそういうことは先ず一應合理化ということを強く実行するということに預けまして、そうして若し將來そういう問題について何とか不合理なことが認められるようになりますれば、又將來については考うえる機会があろうかと存じまするけれども、現在のところではどうしてもこの際多少復興計画がずれましても、合理化を強力に実行いたして参りたい、こういう考えでいる次第であります。
  96. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の問題は私が先程、設備関係と補修関係、いわゆる経費の関係と分けて申上げませんでしたので、若干混乱を來たしたと思いますが、私は先程も申上げましたように、只今の原價計算のあのシヴィヤーな枠内で企業合理化をやつても精々二十億か三十億である、それだけでも到底うまく行かない。而もその原價計算というのは價格補給金なり復金融資、これは赤字融資を含んでおりますが、そういうものの裏付でやつと成り立つておるのでありますから、原價計算を先ず一應お預けにしましても、復金融資と價格調整金を切ることによつて電氣事業の運営は立ちどころに困る、そういう工合にあなたはお考えにならないか。即ち二枚の着物を一枚にして働き得るというような状態でなくて、三食の飯を二食にしなければならないような状態に入つておるということを、この復金融資と價格調整だけを考えた場合においてもそういうことをお認めにならない、そういうことなのであります。
  97. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 少し細かい話になるかと思いますから私からお答えいたします。今お話の價格補給金と復金融資に基礎を置いた料金であるというお話は、一つは償格補給金の点につきましては、この間の組合との料金が決まりまして、そうして政府補給金を出していたという点が一点、それから恐らく復金融資に乗つかつているということにつきましては、これは現行料金の中の特別回收費というもので以て料金の中に織込まれておりますものが約半額、残りにつきましては復金融資で一應繋ぎまして、そうしてあとを何年間かで償却する、その償却費と利子だけが現在の料金に入つておる。従いまして恐らく栗山委員の御質問は若しその特別回收の方が、現在のような状態で復金融資が止まれば、昨年料金改定の場合におきまして一應予定されました特別改修費のうち料金の方に見積つている分しかなくて、残りの復金融資の方に見積られていた額は、それは復金融資が止まるからできなくなるのじやないか、それはどうするか、こういうような御質問だと思います。價格補給金の配当の分は今の組合との関係におきまして決まつた分であります。これは大体昨年度予算に見積りました分につきましては補給金を続けますが、今度の予算にはそれが入つておりません。この額につきましては、第一段的には会社としてはできるだけ企業の合理化のよりまして、その分を賄つて行つて頂くことを期待しております。  もう一つ特別回収の問題であります。これは我々も非常に大きな意味を持つものであることを十分存じております。従いまして復金の方の機能が止まりましたら、これをそのまま放置することが電氣事業の將來のために決していいものじやないということを十分認識しております。從いましてこの分につきましては先程長官からお話のありました金融機関による融資或いは見返資金による融資、こういつたところに電源開発のそういうものを合せまして、何とかこの金も、復金はなくなりましたが、他の面においてこれを賄い得るような点を考えて行きたい。かように考えております。
  98. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まだちよつと後の問題と総合して御判断を願わないと、結論は出にくいと思いますので前に進みたいと思います。今度は現行の電力料金の原價計算の枠内だけの話を私申上げたいと思います。只今の電力計算の構成の要素は、昨年の六月に設定せられたものでありますが、その後において変化しました内容は、石炭の焚き増加によつて昨年度三百七十万トンのものが、今年度は四百六十万トンでありますから、その増加の量或いは價格の若干変動したのを加えますと、その差が約五十二億それから賃金の五千三百円ベースが七千三百円ベースに増加いたしますので六十八億、それから赤字特別回収の赤字融資の中で、料金に織込んでないものが三十二億、これだけ合計しますと百五十二億でございまして、企業の合理化で何とか生み出せるという事業者が一生懸命やつておる結果を聞きますと、二十億程度でありますから、約百三十二億ぐらいはどうしても現在の電力原價計算の中で現実にうまく行かない。昨年六月の原價計算をやつたときとは、これだけもう差が出ているということがはつきり証明せられておるのであります。これは原價計算を飽くまでも立てる、而もこの原價計算は多くの政治的な政策決定が入つておるとしますならば、少くともこの原價計算のうちのエレメントに違いを生ずる分については、直ちに改訂をする必要があるのではないか、私はそう思うのでありますが、これに対する御意見を承わりたいのであります。
  99. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) そのおつしやる事柄につきましては、尚私共としては不合理な点は改めたいと存じております。
  100. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いや不合理とお認めになるのかどうか……。
  101. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。御承知の通り只今基礎物資の問題につきましては、ちよつとこれを直ちにどうするということができませんので、尚おつしやるような意味におきまして私どもも檢討いたしまして、そして若しそういうことについて我々が不合理であると認め、又おつしやるようなことが私共としても多少不合理であるということが納得参りまするので、将來機会を見まして改める考えでございます。
  102. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうするとお認めになるわけでございますか、その点ちよつとはつきり承わりたい。私は客観的情勢だとかそういうことでなく、理論的なお話を申上げているわけですから、理論的に先ず正しいのか正しくないのか、それを長官からお聞きすればそれでいいわけであります。
  103. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 私としてはどの程度のものがよく分りませんが、併し無理な点があるということは一應認めてよろしいと、事務当局の方でも申しますのでそれでは……。
  104. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 副長官はお見えになつておりませんか。
  105. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 只今参つておりません。
  106. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 長官……四月一日とはつきり書いてある。そういう工合にこれは日本中配られてある。あなたがそれをそういう工合に曖昧におつしやることは、私ちよつと了解に苦しむ。而もこれは政治的な問題だとかいろいろ諸般の事情を顧みて、お伺いしているのではないのである。昨年の六月の原價計算の中でいろいろ想定したファンクションなり何なりでありましよう。そういうものと現実にそのアサンプションが崩れておる。それは今後の現実の状態においてやつて行こうとしましても、崩れたものについては又直ちに修正をしなければならない。それが理論的に正しくないものかどうかということを申上げておるのであります。
  107. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) それはその点についてだけは野田副長官と私が話をして、そしてその上でもう一遍お答えさして頂くことにいたします。
  108. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 内容はよろしいのでございますが、昨年の六月の原價計算の組成内容と現実の問題との間に、約八ケ月ばかりの間の変化が生じておる。新らしい情勢に應じて改訂をしなければならない。理論的にそういうことをお認めになるかどうか。いろいろな考慮を離れて一つ御回答を願いたい。
  109. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 私は決して政治的な考慮をいたしておるのではございませんので、私自身が率直に申上げれば、その点を納得いたしておりませんので、改めて野田副長官と話した上で明日でも或いは後でもお答えをいたすことにいたします。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 本日は予算委員会において今度はあらゆる質問を全部遠慮いたしまして、余りにも重大な問題でありますので、この電力問題だけに集中をして、一昨日からも準備をしております。一昨日安定本部の係官の方には私の質問の趣旨は申してあります。今直ちにあなたがここにひよいと出て來て初めて聞いたようなお顔をなさることは非常に私は了解に苦しむ。
  111. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) いや私はその点について初めて出て来て知らんような顔をするというのじやございませんで、実は私がまだそこの点だけについてはつきり聞いておりませんものですから、実は正直に申上げておるわけであります。そういうわけですから……それでは私がこれをお答えしないで、外の人に答えて頂いてもよろしうございましようか。
  112. 中川以良

    ○政府委員(中川以良君) お答を申上げます。実は電力料金の件につきましては、経済安定本部におきましても、昨年からこれに対しましては非常に熱意を持ちまして、これの合理化に対しまして努力をいたして参つたのであります。大体その経過につきましては栗山委員も御承知とは存じまするが、昨年は御承知のごとく、冬期渇水期に降雨量が相当ございましたので、政府の一部の助成金によりまして一應ペイはいたしております。併しながら本年度を考えまするときには相当無理がございますので、政府といたしましては、経済安定本部におきましては、電力料金の公正なる改訂をいたしまして、そうして電力事業というものが今後立派にペイをいたしまする限界にまでは、是非持つて行きたいということを考慮いたしておる次第でございます。但し御承知のことぐ、今後は例の三原則により、補給金も赤字融資もできないという状態にございますので、料金の改訂以外にはこれはないというふうに考えたのでございまするが、種々の客観的情勢はその料金の改訂をいたし得ざる状態に立至つておりまするので、野田副長官が当時申しましたことは、多分こういう意味合におきまして、当時は料金の改訂をし、健全なる企業として企業の合理化をできるだけ要請をし、これによつて企業の健全性に伴い融資もできる。又各方面からの投資も誘引するという機運に向けよう。そうして今後の電源開発もやり、電力事業の健全化を図つて行きたいという考えを待つておつたと存じます。ただ只今申上げました通りに、料金の改訂が不可能な現段階におきましては、ともかくも一應大変無理であろうと存じまするが、企業の合理化を懸命にやつて頂きますと同時に、政府といたしましても、今後この公正なる電力料金の改訂には一段の努力をする考えでございまして、現に只今商工省ともいろいろ協議をいたしまして、御趣旨に副うべく努力をいたしておりますような次第でございますので、さように一つ御了承を頂きたいと存じます。
  113. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はまだそういう結論を出して頂こうと思つていないのでありまして、理論的に一つ一つお聞きをして行きまして、最後に安定本部の結論を伺おうと、こう思つていたのです。もう少しお預けを頂きたい。  それから企業の独立採算制、これは附帯的な問題でありますが、ちよつとお聞きしておきたいのは、企業の独立採算をやるというので基幹産業にも要請されておるわけでありますが、その場合に料金の値上げはやらない、價格の値上げはしない、こういう工合に言われておつた。國鉄とか通信とか政府事業について六割も値上げということは一体何事ですか。これを伺いたい。特に私の了解しかねることは私鉄の場合であります。國鉄の赤字の出ておりますのは旅客ではありません。貨物が四四%赤字が出るわけであります。この国鉄の貨物の赤字を旅客によつて補おうとしておる。國鉄は旅客が大体四割で貨物が六割の輸送量の配分になつております。そうして而も六割の貨物を運ぶにも全部赤字で運搬しており、これを補填するために旅客でやらなければならん。然るに私鉄の場合には九五%まで旅客であります。この私鉄に対して國鉄と同じだけの料金値上げをやれということは何事であるか、これを伺いたいわけであります。そうして私鉄は同じ基幹産業であり、公共事業たるものが、この産業体系の中で日本経済を推し進めて行くといたしますならば、私鉄のみが単なる平行線なるが故にという、この國鉄の料金値上げそのものも私共は極めて合点が行かないのでありますけれども、一歩譲るとしても、この國鉄の値上げに便乗しまして私鉄がこのような値上げをする、そうしてその利益を独占するということになれば、國民はこれを承知しないと思います。從つて私鉄の今後の便乗に対して、過去三回程同じことを繰返したのでありますが、そうして又経済界において再び同じようなことがやられようとしておりますが、この私鉄の増収に対して政府は如何なる考えを持つておられるのか、或いは企業にそのままやるようにお認めになるのか、その辺を伺いたいと思います。
  114. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) もう一点の、前の方は、國鉄に便乗して私鉄がいいろいろと運賃の値上げを要求しておる、併しこの点につきましては政府としてはこれを認めないつもりでございます。ただ場合によつては最低料金といつたようなものに対して多少考慮することがあるかも知れませんけれども、今申上げましたように認めない方針でございます。  それからその次は……。
  115. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私鉄の料金の値上げはお認めにならないのですか。平行線でもですか。
  116. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) はあ。
  117. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、從來の例は必ず平行線の場合は國鉄の料金と同じようにされておりましたが、それには私共大きく質問したことがありました。どうしても同じに料金にしなければならん、こういう強い政府の答弁がありましたが、それで大丈夫でございますか。
  118. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) それはいつそういう答弁がございましたのですか。
  119. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 昨年の料金値上げのときに私は承わりました。平行線の料金改正はお認めになるわけでございますか。
  120. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 私の承知しておるところでは認めないということでございます。
  121. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つは、國鉄の独立採算のために貨物が上げられるのならばまだ若干了解するのでありますが、旅客が六割も上げられるという理論的な根拠を承わりたい。基幹産業は全部値上げをしないという現状に立つてそういうことが行われる…。
  122. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) その点についてお答え申上げます。最初の過程におきましては貨物の値上げということも考えたのでありますが、併しその後の経過といたしまして、やはり研究した結果、基礎物資とそれらの関係の輸送等を考慮いたしますと、やはり物價の値上りということになりますので、貨物運賃の値上げはいたしませんで、旅客運賃の値上げということに相成つた次第でございます。
  123. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと國鉄の料金値上げをやるために、すべてその責任は大衆に轉嫁されて行くとそういう工合に了解してもよろしうございますか。国鉄の独立採算制を実行するために、それぞれの輸送物資に按分した値上げ、せめても按分した値上げをしないで、旅客に殆んどその全部を轉嫁してしまう、そういうやり方を政府は意識的にお取りになる、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  124. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 勿論これは意識的にこうやつたということでございます。
  125. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 分りました。それから次に第三の方式として電気事業の原價計算の中で、私は先程は只今の原價計算が正しいものと認めまして、その中での議論をいたしたのでありますが、現在の原價計算の中で非常に欠けておる点がいろいろあります。例えば償却の問題でありますが、御承知のように電氣事業はその資本の殆ど全部が固定化されておるわけであります。そうしてこの固定化された資本に対して資本の廻轉率が悪いばかりでなくて、その設備というものは当然適当な償却をしなければなりませんが、それができていないのであります。又税金公課というようなものも非常に沢山かかつておりまして、昨日も私は商工大臣に質問いたしたのでありますが、地方税といたしまして全國的に電力消費税を八億一千万円も中央で計画しておられるということを聞いて私は驚き入つたのでありますが、そういうような問題。更にその他の問題を入れますると、只今の電力の原價計算の内容に更に大きな改善を加えなければならない状況にあると私は認めるのでありますが、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  126. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) ちよつと先程の私のお答えについて註釈を加えておきたいと存じます。これは当然なことだと思いますが、当然そういう御了解を得ておると存じますけれども、貨物運賃を値上げしないで、大衆負担になる云々ということは私ちよつと聞き洩らしておつたのでありますが、旅客運賃の値上げということを意識的にやつたということは、單に大衆の負担が加重することを、どうでもいいというのでそれを認めたというわけではございません。一般にこの貨物運賃を値上げするということになりますると、種種の物資、殊に基礎物資等その他一般物資の輸送というようなことになりますれば、延いては物價に影響する、物價が高くなれば大衆の生活に当然大きな影響を與える、それを避けるために止むを得ず旅客運賃を上げた、こういうことでありますから、その点は十分御了承願います。
  127. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 質問に対する御答弁をお願いします、只今申上げました…。今長官がおつしやつたことは國民が然るべく判断をいたすでありましよう。時間がなんですから、その次の質問を伺います。  今度は賃金問題を少し私申上げたいと思います。電産の賃金は千七百円に過日三月の末に政府の介入によつて決定をいたしたわけでありますが、この賃金問題について私は少しいろいろと所見を先ず申述べたいと思うのでありますが、この度鉄道運賃は六割上りました。定期のごときは六ヶ月で二倍半以上になるのであります。主食も一割五分上り味噌、醤油のごときも恐らく上る、郵便料金も六割上る。所得税は控除税率をそのままといたしますれば、恐らく政府は六、七割の増収になるのでありましよう。こういうことをやりますならばデフレであると言われておりますけれども、一般物價は恐らく二、三割値上りということは必然であると私は認めております。今まで政府が國民生活の保障を要求せられた場合には、いつも安い配給品、安い官業料金を以て実質賃金を確保して行くんだ、こういうことを言つておられましたけれども、今やすでに配給品も官業料金も一般價格に殆んど同じ所まで競合するように相成つて参りまして、政府の言われるとにろの唯一の逃げ場が私は失われたと思うのであります。それからこういうような事情の下におきましては、私は昨日も何したのでありますが、逓信大臣は逓信委員会において十四日にこういうふうに答弁をせられおります。官吏の六千三百三十円ベースの改訂は、政府は必要であると考えておる。その理由は昨年の七月から今年の一月までの実態生計費は二〇・三%上昇した。從つてこのためにどうしても六千三百三十円の更改をしなければならないと自分は考え、現在努力をしておる、こういう工合に小澤大臣は御答弁せられております。又私が三月の二十八日に商工大臣に質問をいたしましたのに対して、商工大臣はこういう答弁をせられました。「いろいろな産業によつて賃金に高低のあることは、私もよく承知いたしております。そしてこの高低が依然として残つておるという形を生じますと、私は非常に全体の日本産業のために悪影響を及ぼすだろう、かように考えております。その時には又労働大臣あたりとも相談をいたしまして、然るべき処置を採りたいと思います。」、こういうことを言つております。而もこの各種産業によつて賃金の高低のできました理由について、私が價格政策の巧拙というものが非常に強いフアクターとなつて入つておるのではないか、それをお認めにならないかということを聞きましたのに対して、稻垣商工大臣は「勿論これが影響しておると私は思います。」、こういう工合に速記録に載つておるのであります。こういうような観点からいたしまして、只今官界及び産業界を問わず賃金の不均衡というものは実に夥しい状態であります。私は過日赤字損失補填の法案が出ましたときに、本会議でも述べておきましたが、金融機関の賃金が最高水準でありまして、実に乱雑な状態にありまして、基幹産業にとつて最も重要である價格政策は、只今ここで申上げても政府の方からはつきり御答弁を頂けないような、それ程混み入つた政治的な政策決定がなされております。従つてその枠の中で決定される賃金に高低のできることは当然であります。そうして而もそのために労働者はそれじやそういうような何を受けて生活の維持ができるかと申しますと、労働者は実にそれ程生活に差違を付けるわけには行かない。石炭労働者はこういう生活、電気労働者はこういう生活というふうに差違を付けるわけには行かない。そこに当然非常な摩擦が生じて来るわけであります。この点からいいましても、賃金の不均衡の是正ということは是非ともやらなければならないと思いまするし、特に先程申上げましたような事情によつて一應デフレになるように言われておりますけれども、新らしい事態は続々と出て参りまして、七千百円の改訂も恐らくしなければならない、こういう工合に思います。從いましてこの新らしい賃金の事情について安定本部としてどういう工合にお考えになるか、これも現在の状態では或る力によつてこうなるんだという一線だけで、理窟拔きにそういうことをおやりになろうとなさるのか、或いは理窟は理窟として立ててこれを改善するような努力をなさるのか、その辺のお気持をはつきり承わりたい。
  128. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 理窟は理窟として立てて、改めるべきものは改めたいということは考えておる次第でありますが、御承知の通りに價格形成に際しましては、当該業種の産業の採算條件、労務構成などを考慮いたしまして、原價を合理的に算出しておりますと共に、いわゆる三原則の励行によりまして企業の実勢の回復、それと賃金の安定を期しておりまして、企業によりまして能率のよいもの非常に低能率なものとに差がありますることは事実でありますので、これを合理的に決定された價格の下におきましても右のような相違によりまして、賃金の支拂能力に差が出て参りますることは否めない事実でございます。政府におきましてはこの價格形成に当りまして、業種間における賃金格差はできる限り合理的にするという考え方でありまして、又それの努力をいたしておりますと共に、同一業種企業相互の間におきましても、できるだけ裕りのある原價計算によつて、支拂賃金に甚だしき相違を來しこれに因る社会的不公平を來さないように配慮いたしておる次第でございます。
  129. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうも御回答が抽象的になるので私理解しかねるのでありますが、今日は電力問題だけに対しまして今具体的の御回答を願いたいと申上げたのであります。例えば今御質問申上げましたのに対して、原價の合理的採算ということをおつしやいましたが、而も裕りのある内容を持つと言つた。それに対して先程から私が理論的にも誤つておるではないかということを指摘したのに対して、安本長官はちつとも具体的にお答えにならない。具体的にお答え願つたことと抽象的にお答えになつたことの間には大きな今溝ができております。能率の良いものは高くてもよいということですが、全産業のうちで電産のごとき戰後一二〇%の能率を上げておる産業がどこにあるか。その電氣事業の賃金は恐らく官吏の六千三百三十円ベースよりも下廻つておる。そういう状態にありながら、今あなたのおつしやつたことはその抽象的な言葉と具体的な内容とは事実に反する。そういう御答弁でなくて私は具体的なことをお聴きしたいのであります。
  130. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) やはり先程お答いたしました通り、操業度の良いものについてはそのように、又電力につきましては先程お答え申上げた通りであります。
  131. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はそれでは了解できません。具体的に問題を提起して私はお聽きをいたしておるのであります。後でその点を少し補足を願いたいと思います。  それから最後に私は電力料金の構成の問題について申上げたいと思います。政府のお考えは他の物價に影響するような基礎物資の更改は行わないと、こういう工合に言われております。私も至極御尤だと思うのであります。それでは電氣料を値上した場合に一般物價に影響を及ぼすか及ぼさないかという問題でありますが、私は色んな資料を持つておりますが、一番いい例を申上げますと、過日愛知縣の三菱のミシン工場へ行つて聞いたのでありますが、三菱の月産千台造つておる収入八百万円の工場における電力代金は、驚くなかれ一ケ月四万円であります。そうしてそこの工場長はこんな安い電気では君達の給料も上らんだろう、うちの工場では平均一万円出しておる、こういうことを言われております。この工場は二倍や三倍上げても平氣だということをはつきり私に証言されております。これは一番新らしい例であります。  それからその外の具体的な例をいろいろ申上げると沢山資料があるわけでありますが、一つ二つ申上げますと、戰争中の昭和十七年の七月当時の電氣料金が價格の中に占めておりまする割合と、昨年の十一月二十九日の状態とを比較いたしますると、基礎物資だけを考えて見ましても、全部桁外れに割安になつております。例えば硫安は戰時中の十分の一であります。カーバイトは四分の一、用紙は二・五分の一、マンガンは五分の一、セメントは二・五分の一、石炭は六分の一、電氣銅は六分の一、繊維十六分の一であります。こういう低廉な桁外れな安い料金で行われておる。これでは少々上げても成る程二次製品に影響を與えない筈であります。又一般物價の均衡を調べて見ましても、昭和十年をベースに取りまして、電力は約三十倍の状態にあります。然るに石炭は百九十三倍、硫安八十三倍、鋼材八十九倍、米は九十二倍、ガスは六十八倍、ガスのごときは経費のうち材料費は僅かに一〇%、而もその石炭は全部特定産業向けの格安炭が配給されておりますにも拘わらず六十八倍、國鉄は旅客百五十五倍、貨物九十三倍、郵便は封書が百六十七倍、葉書百三十三倍、水道七十四倍、苛性曹達は百四倍、一般小賣物價の総平均が二十三年度の平均は百五十五倍、卸賣物價の総平均百五十九倍、こういう状態であります。  私は勿論この物價水準に電気のものが全部上らなければならんと考えませんけれども、余りにもその價値計算からいたしまして、横の水準と掛離れたような物價を作つて置きますことは、その物資の價値を忘れまして不必要に無駄に使うことにもなり、而も決して当を得た方法でないと私は考えるのであります。こういう点からいたしましても、現在の電力の料金は一般製品に十分吸収し得るものである。私は家庭用の電燈、電熱の料金は上げるべきことでないと思います。動力において十分に吸収し得ると考える。この点を先ず一点お答えを願いたい。先程の貨物の場合と同じであります。貨物の場合はなるほど製品に影響するかも知れません。百倍も上つておる。電力は三十倍くらいしか上つていないのでありますから、一般物價に影響しないと私は考える。これが一点であります。  もう一つの問題は、非常にこれは不合理なのでありますが、電気の料金制度を見ますと家庭用の電燈とか電熱とかいう料金が非常に高いのであります。例えば一キロワットアワーについて二円七十銭、ところが小口の電力は一円であります。更にそれが大口になりますと八十一銭、更にその下は五百キロ以上になりますが六十八銭、更に大きくなりますと五十二銭、大口動力の平均は六十八銭、而も昭和電工のようなああいう不正事件のあつた会社へ関東の余剰電力が全部送り込まれておりますが、そういうような特殊電力は六十五%引き、ただみたいな電気であります。一旦電力制限が來ますと二円七十銭の家庭の電氣を全部制限しまして、割安の最も値段の安い所へ重点的に配給されております。こういうような價格政策をとつて電氣事業の首を締めて電氣事業働けと言われても、私は無理だと思うのであります。價格政策の根本的の矛盾を拂拭しなければ、私は社会化された基礎産業としてののびのびした電氣事業の発展は期待できないと考える。この点について安本長官の基礎産業の價格政策から見たはつきりした御見解を承わりたいと思う。
  132. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 只今栗山委員のおつしやいましたように、價格政策についても或はいろいろと欠点もございましよう。我々としては絶えずそういう点については注意をいたしておるのでありますが、今後とも我々もおつしやるような点について十分注意をいたしまして、改めるべきものは改めて参りたいと存じます。
  133. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうもさつぱり御答弁頂けないのですが、どういうわけですか。
  134. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 私は答弁をいたしております。
  135. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 具体的なことを全部私はお聞きしておる。先程から三つばかり全部質問がつかえておるわけですが……。
  136. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) この辺で如何ですか。
  137. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は初めから断つておるように、これだけで是非とも御答弁を御懇切にお願いしたい。特に昨日はここにお出でになつておる中川政務次官にもわざわざお打合せいたしまして、この内容についてこういうことを御質問いたしますから予算委員会の席上で御回答頂きたい、こういうことを申上げてあるわけであります。
  138. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 暫らく休憩したらどうですか、答弁材料を用意するまで休憩の動議を出します。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  139. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 暫らく休憩いたします。    午後四時八分休憩    ―――――・―――――    午後四時二十一分開会
  140. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) 委員会を再開いたします。波多野委員。
  141. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 安定本部長官に次の点を質問いたします。予算委員会が開かれまして当初におきまして、私は今年度の予算の性格から見て、日本の金融界及び産業界は相当大きな打撃を食らう危険がある。これに対する対策を我我は考えなければならない。これが予算を審議する一つの前提になる。そこで二十四年度の総合資金計画と、それから二十四年度の生産計画、これは見合いながら審議する必要があるから、是非ともその資料を出して頂きたいということを最初から要求しておつた。昨日の予算委員会におきまして、安定委員会の方で出されたというその生産計画なるものを一つ見せて貰つたのですが、今日改めて予算委員会に出すから一應返して呉れという要求で又返してしまつた。今日生産計画の数字が出るかと思つていると未だに出て來ない。ただ総合資金需給見込概算というたつた一枚のこれが二、三日前に出されたのでありますが、そこで私としては生産計画の方が全然分らないために十分な質問をすることができません。でただここに出されたこの一枚の紙について質問をいたします。從つて生産計画と資金計画とがどういう見合いになつているかという点についての質問は後日に留保いたします。  この資金計画の需給概算を先ず見まして、非常に不思議に思うことが幾つもあるのでありますが、第一にこの資金供給の方で金融機関の供給量として二千三百億というものを見込んでおる。そうして他方の配分の方の金融機関扱いの投資並びに融資総額をこれは二千五百三億と見込んでおる。こういうようなこの二千五百三億というのは、恐らく何かのミスプリントではないかと思いますが、これは安本長官に御答弁を願う必要はないのです。事務当局の方から一つこの点先ず答弁をして頂ぎたい。
  142. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 今御指摘の点はこういう姿になると思つております。資金供給の方にあります二千三百億と、その外に第二段にあります政府出資及び財政償還金と、この中で以て七百五億とありますが、これは二つに分れるのでありまして、この六百三十六億は償還金になります。それから六十九億が出資になります。今御指摘になりました二千五百三億、それからその前の方の欄にあります地方財政の二百三十三億、それから政府投資になつております六十九億及び一番最後にあります金融機関の現金増加二百億、この四つの合計額が金融機関の二千三百億と、政府出資及び財政償還金七百五億、この二つに見合う、こういう数字になつております。その考え方としましては、地方財政の二百二十三億は金融機関、この金融機関というのは非常に廣い意味に考えてありまして、特別会計にあります簡易保険とか郵便年金とかその辺に溜ります金もこの二百三十三億の中に考えておりますが、この地方財政は簡易保険と郵便年金の積立金として預金部に溜ります金を以ちまして引受けるということを大体予定しておりますので、この二百三十三億。それから今申しました金融機関の投融資の二千五百三億、それから六十九億は先程もちよつと申上げましたが、二の七百五億の内訳になる六十九億と見合うわけであります。それと今最後にあります金融機関の現金増加二百億、この四つが二千三百億と七百五億を寄せましたところと一致すると、こういうふうな見合にできていることを御了承願いたいと思います。
  143. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 先程大藏大臣に対して木村委員から、本年度の金融機関の資金蓄積が二千三百億というふうに見込んでおるが、楽観的に過ぎやしないかという質問をされた場合に、大藏大臣はこの二千三百億というのは大体昭和九年乃至十年の、通貨が余り殖えなかつた当時の国民所得と貯蓄の比率から割出して大体この程度のものであろうということを推定したという答弁であつたのです。ところが我々からいうとあの頃は日本の資本主義経済がいわば上昇期にあつた時なんです。ところが今日はどうかというと、経済白書にもはつきり出ておるように、すでに資本主義的な経済機構かマーケットの狭小、市場の狭隘化といろ大きな壁にぶつかつてしまつておる。ストックが從つてどんどん増加しつつあるというような時期で、昭和九年、十年というような資本主義の上昇期と比較してこういうような数字を出すというところに問題があると思うが、安本長官はこの点についてどうお考えになりますか。二千三百億というのは過大な見積りじやないか。金融業の専門家の方の意見では、大体千五百億か、千八百億見当より外ないと言つておりますが、安本長官はどう考えておられるかということを一つお伺いしたい。
  144. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) お答えいたします。今年度の貯蓄目標というものは大体二千五百億というような目標を立てておりますので、御承知のようにこの数字を出しまするのに昨年の実績というようなものがそのまま当嵌りませんが、今年度におきましてはこの予算を実行し、これを推進めて参りますると、どうも大分不景気になるのではないかというような御観察からは、いろいろ預貯金については相当減るんではないかというような観測があるのでございますが、併し大体私共が昭和七年から十年というものを見ますると、御承知かと存じますが、大体國民所得の一〇%から一一%くらいに上つております。そういうことからも考えて見まして、何とかして貯蓄目標を達成する、貯蓄努力をして二千三百億は完全に一つ預貯金を集めて見たいと、こういうような希望的な考え方も勿論その中にありまするが、大体我々としてはその程度の見積りは必ずしも過大ではないというふうに一應考えておる次第でございます。
  145. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 昨年の三千五百三十八億の貯蓄増加というのは、他方における日本銀行の通貨増発額が約一千億、この説明で見ると三千九百三十七億になつておりますが、これだけの日銀における通貨の増発があつたということと見合つて三千五百三十八億という預金の増加が出ておるのです。二十四年度においては日銀の通貨の増発はゼロというふうに予定しております。この資金計画ではこういう事情の下で二千三百億ということを見込むということについては、まあ二千五百億という貯蓄目標を立てたから、二千三百億はどうしても達成さしたいという希望ならば希望で結構ですが、こういう根拠のない希望を基礎にして需給の見込、概算を立てるというところに問題があるので、その点重ねてお伺いしたいのだが、更にそれに附随いたしまして、日本銀行総裁が昨日新聞でのインタビューにおいて語つたことが今朝の新聞に出ておりましたが、この日銀の総裁の談話を読んで見ますと、今年度日本銀行としてはどうしても、六十億乃至七十億と思つておりますが、五十億乃至七十億の追加信用をしなければなるまい、つまり通貨の増発はそれくらいだろうということを言つておつたが、安本の方ではこれはゼロでやつて行けるというお見通しのようでありますが、その点の喰い違いはどういう点から來ておるのか、一つ御説明を願いたいと思います。
  146. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。六十億乃至七十億と日銀総裁のおつしやつておるのは、繋ぎ金融の問題であります。  尚預貯金の見極につきまして、我々は二十四年度の二兆ば九千七百四十二億というこの数字を土台にいたしまして、そうして決定控除すべき國税の五千百四十六億円及び専賣益金の千二百九億、それから希望としての千四百六十九億、七千八百二十四億ありますが、それを差引きまして、いわゆる過剰分所得として三兆一千九百十八億円、戰前の先程申上げました昭和十年、大体七年から四年間というもので計算をいたしまして、そうして一〇%乃至一一%ということで、その結果二千三百億ということを通算いたしておりますので、決して根拠がないというわけではございませんで、さように考えた上でこの二千三百億というものを出しておる次第でございます。
  147. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは次の問題ですが、ここの表を見ますと米國の対日援助見返資金、資金配分の方の(ホ)ですが、この米國対日援助見返資金千四百八十億というのは二十四年度の産業資金に全部充当されるような表の作り方なんですが、これはそういうふうに決つておるのか。巷間傳えられるところによると、この千四百八十億のうち復金債の償還とか或いは國債の償還というのに向けられる分もあるというような話なんですが、そうでなくてこの表の通り産業資金に向けられるものとこう理解してよろしいのですか。
  148. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 御説明申上げます。配分の方にございます千四百八十億は供給の方にございます千七百五十億、このうちから鉄道通信の両会計の建設公債二百七十億、これを差引いたものでございまして、その二百七十億は上の方の欄にあります財政資金の中の(イ)の國庫財政二百七十億、これが該当いたします。千四百八十億円の中で、これが直接投資にいくら向けられ、國債買入れにいくら向けられるかということについてはまだ分つておりません。併し直接投資に向けられる分の外に國債買入れに向けられます金額につきましても、結局日銀の國債を買いますか、或いは一般金融の公債を買いますか、それによつて多少ルートは迂回的なものがあるとは考えられますが、いずれにしましても通貨の関係は増減なしということを目安にしておりますから、結局その金は金融機関を通じまして、産業資金に向けられるということを一應予定しております。千四百八十億の中で間接に幾ら要る、直接に幾ら要るということはまだ分つておりませんから、結局この金はこの産業資金に向けられる総額になつておると一應概算では予定しておるわけであります。
  149. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 千四百八十億のうち國債買入に向けられる分もあるかも知れないという説明なんですが、その國債が、日銀手持ちの國債買入れに向ければそれだけ通貨の収縮になることは分り切つておるので、それに拘わらず國債を買入れても通貨の増減はないというような説明はちよつと納得ができない。一般銀行の國債買入に向けられた場合でも余程強力な金融統制をやらない限り、一般銀行が國債を賣上げて得た資金を産業部面に向けるということは必ずしも保証できない、例えば日銀の借入金の返済に充てるかも知れない。それでありますから千四百八十億というものを産業資金としてここに上げておるということには、今の説明だけから見ても非常に矛盾があると思う。如何でしよう。
  150. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) お説のように日銀買入れになりました國債はそのままで、國債を日銀買入にいたしました場合に、そのまま金が一般金融機関には出ません。この場合におきましては申すまでもないのでありますが、高い非常政策的な措置がいろいろ考えられる、そういう問題が出て來るわけであります。四千七百五十二億という産業資金というものはお話のありましたように、単純に直ぐ現状のままでこれが産業資金として具体的に出るということが言えるかどうか。これはいろいろ疑問があろうと思います。併し如何にも四千七百五十二億は産業に供給し得る金だ、同時にこれが供給することによりまして産業の円滑な運行に支障なきようにしたい、こういうふうなことを政府としては希望し、一應その希望、施策の氣持を数字に現わした、かように了承願います。
  151. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今四千七百五十二億という産業資金の総額の話が出ましたから、ついでに聞いて置きますが、生産計画がはつきり分らんから何とも言えないが、この点は留保して置きますけれども、聞くところによると、大体工業生産は昨年度の一二%増というようなことを見込んで計画しておるようでありますが、さてこの一二%の生産増加ということを一方において考え、他方において、昨年の年間平均物價に比較して今年度の平均年間物價は大体五〇%上がるということは、所得の推算の場合に政府が用いた数字でありますからそれをここで私、用いますが、物價の五〇%値上りということを見て参りますと、この必要な産業資金は凡そ七千三百八億円になるんです。一二%の生産増と、それから物價の値上り、年間平均の物價の値上り五〇%、これを両方見ますと必要な産業資金の量は七千三百八億、概算してそのくらいになる。で四千七百五十二億という産業資金では、生産計画は恐らく実行できないのじやないかというふうに思うのです。その点についての御答弁を願いたいのであります。
  152. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 四千七百五十二億につきましては、一應設備資金を千六百億、運轉資金を三千百五十二億を予定しております。(「内訳を言つてくれ」と呼ぶ者あり)それは今できておりません。それで二十三年度の場合におきましては、産業資金におきまして設備資金が千七百十五億円、運轉資金が二千八百五十二億円、一應出たものを、我々としては一應推定、実績としてこういう数字を出しております。それで御承知のように、設備資金はこれはまあ一回限り出て行くと、あとからあとから新らしく追加されます。新らしい設備をやることによつて更に新らしいものが要るわけですが、運轉資金の方は一應回轉して行く金、かように考えておるのであります。昨年におきましては相当大幅の物價の改訂がありまして、從いましてそこには増加の運轉資金が要つたわけであります。で本年は物價のそうして大幅の値上りということは勿論考えられない。そういうことから言いますと、新らしい追加の運轉資金といいますものは、生産増に伴います程度の運轉資金の増という程度が先ず予定されるわけであります。それ以外には昨年は可なり金が詰つておりましたから、若し一應金の裕りさえありますれば、本来なら運轉資金がもう少し出まして、そうして初めて経済の円滑なる運行が可能になる。こういう面から、いいますと、運轉資金の増加が必要なわけでありまして、昨年に比べてみますと、マイナスの要素としましては、物價の改定がないから、それだけの増加の運轉資金は要らない、逆に昨年は運轉資金が相当詰つておりましたから増加が要る。この運轉資金として考えられております額は、今年度におきまして新らしくプラスされる運轉資金の量でありまして、運轉資金全体の量ではないわけであります。さような意味におきまして、この程度の運轉資金を予定すれば、先ず支障ないんじやないか、かように考えております。
  153. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 生産計画と睨み合せて各産業部門がどれ程の設備資金の新規需要、それから運轉資金の新規需要を必要とするかということを私は見たい。で生産計画の方が出ないから、その点の質問は留保いたしておきます。  次の問題は直接投資を七百億と見ておりますが、証券の民主化というようなことが盛んに叫ばれておるので七百億というものを見てもいいというようなふうのお考えかもしれませんけれども、これについてもいろいろ問題があると思うのです。今年度の予算によるデフレ傾向といつたようなことを一般には信じておりますので、産業界に大整理があるというようなことから、直接投資の面も相当控えられるであろうという点が一つの点と、それからもう一つは直接投資といつたところで、投資家が懐に入つておる金を出すというばかりでなく、銀行から株式を担保にして投資するという形のものも勿論沢山あると思う。それの方が多いのじやないかと思う。そうすると金融機関からの投融資額というものと、それと直接投資というものがこうダブつて來る。そこで七百億という数字を見ておるというところに過大評價の疑いがあるが、その点はどうなんですか。
  154. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 直接投資の数字は、これはなかなか資料もございませんし、我々の方としましても一應の推定の数字と思つておりますが、二十三年度におきましての六百八十億、この中には証券による投資三百億円、それから自己資金によります積立金及び減價償却といつた関係で、会社の自己資金といつたのが主でありますが、それが三百八十億、この両者によりまして一應六百八十億ぐらいあつたのじやないか、かように推定しております。二十四年度につきましてどういうふうに考えるか。お説のように相当直接投資の困難な要素も出て参りますし、一面におきまして今お話にありました証券民主化、或いは株式市場の再開、これがどこまで期待できるか、まだはつきりしておらないが、そういつた面におきまして、何とかして直接投資的な資金を集める、この推進がぜひ必要だと思います。從いまして二十四年度におきましては証券を一應昨年と同じように三百、それから自己資金の面を四百、七百億、かように考えております。  尚お話のありました金融機関の面とタブりはしないか、そういう数字が全然ないとは思つておりませんが、併し一面現在相当やかましい融資統制をしておりまして、金融機関から証券を保持するために金融するということにつきましては、可なり強い制限がございますので、その額がそう大きな額とは考えられないのじやないか、かように存じております。
  155. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 先程から問題になつておるのだが、この融資準則の問題、今触れられたのでちよつとついでに聽いて置きますが、これは安本長官にお答え願いたい。融資準則はどういう法律に基いてこれは作られておるものか、どういう根拠に基くものかという点が先程から問題になつておる。政府委員からは金融緊急措置令に基くものだというような答弁が先程あつたのだが、この金融緊急措置令といつたようなものは、一体今でも効力があるのかどうか、その点について一つお伺いして置きたいと思います。
  156. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 臨時金融緊急措置令はまだ廃止になつておりませんし、やはり我々はこれに基きまして、融資準則はできるだけ適宜な処置をとつて参りたいこういうように思います。
  157. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この金融緊急措置令は昔の勅令だと思うのですが、これは存続の手続はとられたものですか。私も調べてないからよく分りませんが一應新憲法の制定された直後にああいうものはなくなつた筈だが……。
  158. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 只今存続いたしております。
  159. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それから産業資金の問題にもう一遍帰りますが、この中で特に問題となるのは設備資金の問題だと思うのです。で設備資金の供給を今日のごとく金融機関に任して置いたのではなかなかできない。先程栗山委員からもそういう点についての御指摘があつたのです。復金が事業をどんどん縮少して行くというようなことに関連しまして、この設備資金の供給という面について非常な大きな困難が出てくるということは誰しも予想しておる点ですが、政府の方ではどういうような対策をこの点について持つておられるか、はつきりしたところを一つお伺いしたいと思います。
  160. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) お答申上げげます。先程私がここへ参つておりましたときに大藏大臣からもお答えがあつたと思いますが、やはり日銀に日銀の政策を決めるための委員会を作りまして、この金融の操作、そういつたことを実行して参りましてそれそぞれの金融上における措置を図つて参りたい、こう考えます。
  161. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 いや、そういうことじやなくて、今日の日本の金融機関は、大部分が商業銀行的な性格を持つておるので、さればこそ昨年いわゆる金融業法の基礎となるような指令が出てお出る筈なんで、二十四年度における設備資金の問題を私は特に聽いておるので、金融機関の間の融通を図るといつたようなことでなくて、そういう設備資金を具体的に供給する方策としてどういうようなことを考えておられるか。例えば興業銀行の債券をどうとか、或いは勧業銀行にも長期債券を発行させるということも聞くのですが、そういう点についての御答弁を伺いたいのです。
  162. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) お説のように現在の金融界の状態からしまして、設備資金を必要なだけ調達するということにつきましては、いろいろ困難な今後解決さるべき問題が多分にあると思います。只今考えておりますところでは、先ず第一に興業銀行をできるだけ活用して、現在興業銀行におきましては、長期金融機関としてこれが一番中心をなしておりますが、資本金の関係それから興業銀行債の発行の限度の関係からいたしまして、現在のままではあまり多くを期待することができませんので、増資などで興業債券を相当出すことになりまして、興業銀行を長期金融機関として活用することを考えております。それから一般金融機関が設備資金を出すということにつきましたは、なかなか出しにくい事情にありますが、現在の状態といたしまして興業銀行だけでは不十分でございますので、一般金融機関にも或る程度の設備資金は出して頂くつもりであります。必要があれば融資統制の制度も活用したい、かように考えております。  それから第三の途としましては、証券による資金の吸収といいますか、増資その他の措置によりまして、証券及び社債発行の方法によりまして、できるだけ設備資金を獲得したい。それから預金部の金をどう使うか、これはまだなかなか最後的の納論は出ておりませんが、現在預金部の中には二つあります。地方債に予定しております分、あれは郵便年金とか、簡易保険とか、積立金でございまして、あと郵便貯金の金があります。それをどう使うか、これはまだ最終的な結論は出ておりませんが、場合によつてはこの金も考える余地があるのじやないかと思つております。  そうすると最後に一番何といつても大きな額として纏つて期待できますのは見返資金の問題であります。これをどのくらい設備資金的なものにどれぐらい使い得るか、これはもうちよつと先になりませんと、結論が出ないと思います。その辺の方法を合せ用いまして、何とかして設備資金を確保するということについては万全の措置を講じたい、かように考えております。
  163. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 見返り資金の方にいろいろな期待がかけられているわけなんだが、この間も大藏大臣に質問したところでは、見返資金はすでに四月以降の輸入物資の拂下代金、これから積立てられているということを言つておられた。そこで見返資金の使用はそう遅くなるまい、だから繋ぎ資金の問題などをそう考える必要はないというような意味の答弁を聞いたのでありますが、なかなかこの見返資金の使用については相当厳重な何といいますか、統制があるようで、最近我々大藏委員会において審議された、あの特別会計の法案を見ましても、なかなかそう使いこなせるようなものじやないと思う。で、先程繋ぎの問題で日本銀行総裁が六十億乃至七十億の数字を追加しなければならないという問題は、繋ぎ資金の問題だと安本長官答えられましたが、これは今言つた見返資金が使用できるまでの繋ぎ資金という意味なんですか、その点もう一度はつきりさしておいて頂きたいと思います。
  164. 渡邊喜久造

    ○政府委員(渡邊喜久造君) 現在復金がなくなりまして、そのあとの代りが、態勢が整つていない、從いまして先程もお話がありましたように、差迫つで相当重要な事業でありまして、尚且つ建設資金が止つておるという面がございまして、この面の中には見返資金に相当期待できるものもあろうと思います。そういうものにつきましては見返資金との関係においての繋ぎ資金になろうかと思つております。尚日銀総裁の言われた六、七十億という中にはその分もあります。同時に市中の金融機関として見返資金と関係なしに何とか処置できるのじやないかと思われるものも入つておるのじやないかと思います。とにかく当面しておりますそうした問題を至急に採り上げまして、繋ぎと一口に片付けておりますが、この繋ぎで差当つての金融情勢を何とか処理したいと、かような考え方で長官が先程お話になりましたように安定本部、大蔵省、日銀の方でよりより至急解決するつもりで協議をしております。
  165. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 もう一つ、この資金需給の問題とは別なんですが、爲替相場の安定につきまして、一旦爲替相場を例えば三百三十円というようなところに決めますれば、当然これを存続させるという見通しがなければならないということは誰だつて考えておる点なんですが、それにつきましてこの前大藏大臣に質問したときに、大藏大臣はこういう答弁をしておつた。國際通貨基金との関連について私は質問したのですが、それについて大藏大臣は、安定本部の方で國際通貨基金との関連について今考慮し折衝中である、そういうことを答弁してありましたが、差支のない限り安本長官からその点についての説明を承わりたいと思つております。
  166. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 大藏大臣からどんなふうにおつしやいましたか、私それをよく承わつておりませんが、経済安定本部も只今別に先方と爲替相場をいつどうするかなんという話はいたしてはおりません。その点は少し間違いではないかと思います。
  167. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 いや、そうだとすると、爲替レートが早急に決まるだろうということは新聞記事に始終出ておりますが、早急に決められた爲替レートが一体維持できるかどうかということについては、非常に不安が出て來るのです。そうしますとドイツあたりで見られるように、爲替の闇相場がうんと出て來るに決つておる。今度は金の闇相場なんです。そうしてそういうものから恐らく公定レートが壊れて行く危険性が出て來る。そういう見通しなしにレートを決めるということは非常に無暴だと思う。如何ですか。
  168. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 安定本部といたしましては昨年からだと思いますが、單一爲替レート設定に関する審議会というものでいろいろと研究はいたして参りました。それで参考意見としてはそういうものを一應取纏めはいたしましたが、飽くまでもそれは参考でありまして、この点は先方でお決めになるということであろうかと存じております。
  169. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 いや、これは大藏大臣の答弁で大体多少安心しておつたが、そう今安本の方から言われると、問題が複雑になつて來るのですよ。先方の方でと言われますけれども、日本政府が全く存続しなくなつてしまつたならば別な話だが、責任ある政府として存続する限り、この一本レートの維持についてもやはり責任ある対策を講じなければならない。向う様委せだということは少し乱暴だと思う。何らかの対策がある筈だと思う。
  170. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) そのことも勿論考えまして昨年からそういう委員会を設けまして、一應の研究は遂げておるつもりでございます。ただそういうことにはなつておりますけれども、併しこれを決定するということは政府においていつ決めるとか或いは決められるというようなことにはなつておりませんので、御承知の通りその数字としては我々はドル三百円とか、三百三十円とか、三百五十円とか、そういつたものを一應出されておることは御承知のことと存じます。新聞などにもしばしば出ておると思いますが、その程度で而もそれについて、これがこう決つたら維持できるかどうか、こういうことについてもいろいろな諸條件というか、そんなことも一應考えてはおるのであります。併しこれがいつ決定することになるか、幾らに決定になるかということは我々政府の権限で決めることはできないと思います。
  171. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 いやそれは勿論そうですが、政府側としては例えば司令部側にどういうことを懇請しておるとか、こういうような方針で向うに頼んでおるとかいうようなことがありそうなものだと思われるが、それがなくてやることはおかしいですよ。政府側の方針を聞きたいのです。それが実現できるかどうかは別な條件にかかつておると思うが、政府の方針としてはどういうことを考えておるかということを聞きたい。
  172. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) それは一應決定いたしますれば絶対に維持する方針でございます。(笑声)
  173. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 維持するためにどういう方策を考えておるか。絶対維持できるといつたところで、今のようなドル計算で以てあんな莫大な輸入超過があるときに、維持できる見込がない。それに尚貿易の方面で輸出貿易二十四年度五億ドルということを計画に謳つておるけれども、五億ドルなんということは、とても不可能だと私は思う、そういうところは維持するつもりでは話にならないですよ。
  174. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 一本爲替レートを決定するということになりますれば、それを維持するための條件といいますか、そういうことのために九原則を厳格に実施して、これを維持することを考えておる次第であります。(「そんなんじや答弁にならない」と呼ぶ者あり)
  175. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が先程から電力問題で専門的に御質問いたしましたが、回答は極めて不満足でありまして、國民は昨年の電力危機から解放されまして、順調な復興と思わない雨によつて今年の冬は非常に安らかな事情を迎えまして、電力のことはやや忘れられた観があります。私共電氣の事情を若干承知いたしておる者は、今年の冬の電力危機はこのまま放置しておくならば、非常に重要な段階に突入するだろうということを予想して、今年はできるだけの努力を拂つていろいろな資料等も揃えてそうして質問を具体的にしておるのでありますが、極めて漠然たる概念的な御回答を得ただけでありまして不満足でありますので、改めて御答弁を頂くように留保をいたしたいと思うのであります。本日お尋ねした点はかような観点から、金の問題更に現在の電力料金が極めて不合理であるという点を理論的に三点指摘いたしまして、それから更に賃金の問題に及びまして、現在の七千百円の賃金は早晩改訂しなければならない運命にあるということをいろいろな例証を挙げて申上げたわけであります。特に電産に対しては二十一年十二月の争議解決の調停が不履行になつておるのでありまして、そうしてそれが、ずつと累積して来て、長い間殆んど争議の連続のような形になつて今年の三月一應解決したのでありますけれども、決して私は火が消えておるとは思わないのであります。それは一昨年の調停の約束が不履行という線はそのまま残つておるからであります。又電力の実際料金を上げるといたしましても、その上げ方について又いろいろと議論があるのであります。私は実情に副ういろいろな観点からしての御意見を申上げ、それの御所信を承わりたいと思つて述べたわけであります。併し遺憾ながら満足できなかつたのでありますから、今日の速記をお読みになりまして是非御親切な御答弁を後日頂きたいと思います。私の質問をよく読んで頂きますれば、恐らく電力料金は更改しなければならんという、こういう結論に到達すると思います。御返事はどういうような内容で大体上けなければならんかということに私はなると思うのであります。  私は今日の質問にもいろいろな例を挙げましたが、特にもう一つだけ申上げますと、昨年の十二月十六日に、自由党系の新聞であるといつて労働者階級からの非常に評判の悪い読賣新聞が(笑声)、電産ストの解決に努力しなければならんという社説を掲げたことがあります。争議に対しては非常に非好意的な態度をとる読賣新聞が極めて深切に書いておる。それを読上げますと、「基礎産業面の價格の決め方は、從來必ずしも合理的ではない。第二次製品に比して基礎物資の價格は低く抑えられて来た。そういう時に経済三原則か今までの價格の決め方でゆとりのあり、経営改善の能力を持つ第二次、第三次産業以上に基礎産業に強く打撃を與えることはむしろ当然である。だから経営の許す範囲で、労資間で解決せよとつつぱねられると、事実上解決の方策は労働者、從業員が四月賃金と余り変らぬ賃金で満足すること以外にあり得ない。しかしこれは基礎産業の製品の價格の決め方が低いということからみて、必ずしも合理的なやり方ではないし、労働者、従業員を納得させることもできまいし、世論も必ずしもそういうやり方に賛成するわけでもあるまい。政府と國会、世論のすべてが公務員だからといつて、一般工業賃金水準より低い待遇を受ける理由なしと考えておるのだから、統制のきびしい基礎産業從事者に対しても、同様の意見を持つものと考えてよかろう。こういう事態を根本的に解決するのは、物價こ賃金の全般的な合理的解決以外にありえない。そしてその上で経済三原則文字通り厳格に実施することである。」こういう警告を與えておる。これは三原則が出、九原則が出たあとの社説であります。私は今日いろいろの御意見を申述べ、最後にこの読賣の社説の例証を挙げまして、どうか私の納得のいく御回答を頂きたい、かように切望いたしまして、保留をいたします。
  176. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 まだ私質問が済んでいないのですがね。済んでおらんのは、生産計画を出さないからなんです。これは何度だつて請求しますよ。昨日も呉れと言つたら一度持つて來て、又修正するといつて取つていつた。生産計画と資金計画を睨み合せなければ問題にならないですから、その点の質問は留保して置きます。
  177. 中西功

    ○中西功君 最初に聞きますが、我々に渡された二十四年度予算の説明の末尾に書いてある價格調整費のこの数字ですね。これは大藏省で作られたのか、安本で作られたのか、どちらで作つれたか、それを聞きたいのです。
  178. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) これは政府で作りました。(「御名答」と呼ぶ者あり、笑声)
  179. 中西功

    ○中西功君 それならば結構であります。私はその答弁の方がいいのであります。それでいよいよ問題が重要だと思うのであります。(笑声)これは予算か提出されました時でありまして、四月と書いてありますが四月上旬であります。ところが四月十一日に至りまして、鉄鋼の関係の生産費が下げられました。それはこの間田村議員がいろいろ指摘された通りであります。その鉄鋼の生産費が下げられた結果、價格補給金が幾らか減る勘定になつておると思うのであります。そこでこれは四月十一日生産者價格が引下げられた新らしい事実であります。そこで償格調整費は一体それによつて幾ら減るか、そうして又ここにある数字を幾ら修正するか、それをお聞きしたいと思います。それは政府の責任においてお聞きしたいと思います。
  180. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) これは生産数量の増加等もございますので、今俄かにこれを決定いたしかねます。
  181. 中西功

    ○中西功君 今俄かに決定いたしませんと言いますけれども、私が四月十一日付の物價廳から出された今度の生産費値下げに関する資料を見ますと、少くとも八十億は減るだろうと書いてあるんです、はつきり……。でそれは單に鉄鋼だけなんでありまして、その外に化学製品とかいろいろあると思うんであります。物價廳の四月十一日付の鉄鋼價格の補正についてこの最後の八を見ますと、「以上によつて生産者價格の値下げは銑鉄で一六・八%、鋼材で一二%となり、價格調整費の節減は鋼鉄、鋼材とも約一七%金額にして年額約八十億に達するものと見られる」、こう書いてあります。
  182. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) それは二十三年度の生産者價格から計算といたしますと、八十億程減らせる勘定になる、こういうことでございます。
  183. 中西功

    ○中西功君 二十三年度じやなくて、今度の新らしい生産者價格について言つておるのであります。二十四年度なんです。冗談じやない(笑声)。それとここの数字とは全く異なつておるんです、この数字とは……。だから私は聞くんです。この数字をもう一遍計算し直す意思があるかどうか、それだけの誠意があるかどうか。こういうふうな古いものを持つて來て二千いくらというようなものを組んでおつたのでは困ると思うんです。すでに新らしい生産者價格、單に鉄鋼ばかりでなく、ソーダ、化学肥料から全部変えておるんじやないのですか。これは皆んな変えない前の数字なんです。だからこれは多くなつておるんです。で私は最初これはどこでやつたのかを聞いたのです。
  184. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) それは一應の推算でありますのでしばしば変わるでございます。
  185. 中西功

    ○中西功君 我々はこの度六・三制がなくなり、公共事業費が削られ、地方配付税が削られて、実際に全く地方は困つているのじやないのですか。そうして價格調整費から少しでも節約できるならば当然その方に廻せるのです。今の計算で行くならば八十億鉄鋼だけでこれは尚まだ過小です。もつとこれは削れることを政府自身が示しておる。それを削らないで、地方配付税やそういうものに廻さないで、実に私は人を食つているというかおかしいと思うんです。もつと我々は予算審議全体を眞劍に審議しておる。我々は單に何か数字をいじつておるのじやない。実際に困つておるんです。だから少しでも余分な所があるならばそこへ出したいと思つてやつておる。眞劍なんです。だから價格調整費八十億だつて若し政府の中に余分だと書いてあるならば削るべきです。そういうふうに我々は言つておるんです。大体において極めて不眞面目です。
  186. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問に御答弁申上げます。新聞に発表されました八十億の根拠は……。
  187. 中西功

    ○中西功君 新聞じやない。
  188. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 新聞に出ました。
  189. 中西功

    ○中西功君 物價廳から貰つたんだ。
  190. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) その八十億の数字の根拠は、昭和二十三年度の補給金單價と、二十四年度の補給金單價を比較して計算いたしますと八十億減らした計算になる。二十三年度の補給金單價で行きましたならば、二十四年度は更に八十億多くなるだろう、こういう数字でございます。
  191. 中西功

    ○中西功君 違う。ごまかそうとしても駄目です。今度の生産者價格を下げたのです。下げたのですよ。下げたから消費者價格との間の差が少くなつて当然浮くのです。ところがこれが古い生産價格で計算してあるのです。いずれにしろ、とにかく数字は合つておらんです。
  192. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 更に御答弁申上げますが、その二十三年度の補給金單價を非常に引下げまして、そうして予算を組ました関係で、若し二十三年度と同じ補給金單價でやつた場合に、二十四年度の補給金は更に八十億殖える。補給金單價の切下げたことは予算の中に織込んでございます。
  193. 中西功

    ○中西功君 補給金單價を下げたのはこうなんです。二十三年度六月においては裸消費者價格が製鋼用銑鉄において一万五千八百円、それが今年の四月においては一万三千百九十円、こういうふうに計算されているのです。そのために昨年においては補給金單價は一万一千四百八十円であつた。今年は九千五百九十円で、確かに言われるように下げておるように書いてあります。そこで今度発表された製鋼用銑鉄、これは二号銑でありますが、それは一万四千七十円から一万二千二百九十円に下げているわけです。これは恐らく三号銑で書いていると思う。今年は、この表を見ましても今までは三号銑でやつたが、これから二号銑でやるというようなことが書いてあります。それでいずれにしろこういうふうに新らしい價格を発表しておつて、そうしてこちらの我々に與えられた数字とは一つも一致しておらんわけです。だからこの一致していないどころじやなくて、これは四月の初め頃出た。新らしい決定は四月十一日に出た。そういう点から言いましても当然これは喰い違いがあり得るのです。だからそういうふうな二十三年度分とかいうのじやなくて要するに補給金單價がもつと減つていいのじやないかということを私は言つている。もう一遍説明して下さい。
  194. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 予算編成上のその数字につきましては、先程來私が申上げましたように、すでにトータルにおきまして約八十億減らした程度の補給金單價でこの予算は編成されているものでございます。
  195. 中西功

    ○中西功君 トータルで八十億減らしてあるというのは、そういうふうなものはどういう意味で減つておるのですか。
  196. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 操業度の上昇と原單位の切下げと両方合せて新補給金單價を決定いたしましてその線で行つております。
  197. 中西功

    ○中西功君 その新補給金單價を決定するということは、別の言葉で言えば新生産者價格を決定するということですね。その間に別はない。だからですよ、予算を編成するときにどのような生産者價格で組み、そうして今度の値下げの発表とどんな関係にあるかということを言えばいい。それで急に私が八十億というものを出したものだから……それはもうちやんと前に打込んでありますのは、如何にもこの八十億がほしくてしようがないということなんですね。とにかくそれでもつと具体的に、この編成当時において生産者價格を幾らに見積り、今度新らしく決めた生産者價格はそれを折り込んでおつたのか、それとも又別なのか、そこに問題があるわけなんです。
  198. 河野一之

    ○政府委員(河野一之君) 中西さんにお答え申上げますが、この予算を編成する場合にどういうふうに價格が改訂せられるかということは、当時としてはなかなか分らないわけであります。從いまして一應の推測を以て予算の積算をいたします。併しその後において價格が改訂せられ或は操業度の問題もありますし、そういつた関係でいろいろな移動が出て來ると思うのであります。この予算は多少の移動があるけれども、大体においてそう大して動かぬであろうという目安の下にできておるわけであります。鉄ばかりでなしに、その他の非鉄金属でも或は肥料でも、いろいろ変わるでありましようが、一應予算編成当時の積算としてできておるのでありまして、実際においては相当異動が生ずるということを御了承願いたいのであります。
  199. 中西功

    ○中西功君 どうもそうだろうと思うりです。その通りなんです。その通りだから言つてるわけなんです。ただ併し恰も幾らか出されました價格調整費の全額が非常にぴつたりと決めてあつて動かせないかのように答弁をするからおかしくなるのです。大蔵省のように言えばまだ話は分かる。(笑声)そこで私は幾らでも動かし得るのだと思う。恐らくこれは推算された数字だ。その場合には四月の生産者價格は一万三千百九十円ということになる。新らしい消費者價格は多少号は違いますが、一万二千二百九十円になる。で、この間に明らかに差がある。而もこれが我々が予算を審議しておる間に起つたとするならば、政府としては政府の責任で何もかも出される筈ですから、私はやはりこれはもつとはつきり推算したらいいと思う。それは単に銑鉄ばかりでない。肥料だつて皆書かれておるわけです。それで一体どのくらいであるか。私はもう一度はつきり計算して貰いたい。それはできるのですよ、簡單に。これはちやんと出ておると思う。そうすれば恐らくこれで百何十億というものが浮いて來まして、そうして六・三制は全然心配がないことになる。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)  それからもう一つは、今度は鋼鉄関係の價格補給金でありますが、実は今度の予算は安本長官も御存じのように輸出部門、特に今じや日本の鉄鋼部門は輸出部門です。昔みたいに重工業の基礎じやないのです。輸出産業になつてしまいました。そういうような鉄鋼部門に対して私が概算的に計算しましたところによつても、政府が鋼鉄部門に出しておる補給金四百十六億はまつぴら嘘でありまして、全部合わせますとこれは七百十三億になります。それは実は輸入石炭や或いは製鉄用の石炭に付しての補給金も入れて、そうしたものを合わせれば七百十三億になります。この数字は全補給金額の三五・二%になつている。私がここでお聞きしたいことは、單にこの補給金の問題じやない、このように鉄鋼産業には七百十三億も金が、これは國民の税金なんです、これが使われている。而もこれを全部日本の本当の再建のために使うなら、それはまだ話は分るかも知れませんが、この中からの七十万トンは輸出される。輸出するために輸入してる。即ち銑鉄も石炭も鉄鉱石も輸入しております。それに要する價格調整費なんかを皆な入れて、ただ輸出するためにどれだけの調整費を使つているかといえば、この比率は國内産よりもつと甚だしい、実にべら棒なものです。まるつきりこの輸出用の鋼材というようなものは、例えば鋼鉄関係の輸出用のものは、全く我々税金の償格調整費を輸出している。これはもう本当です。こういうふうな状態になつておるのです。だから実際に日本の電力開発とか或いは日本の災害復旧とかそういうものに鉄その他が使われなら誰も賛成です。けれどこれだけ莫大な金を使つて、そうして輸出をして行くというふうなことが、私は普通に考えたらそんな馬鹿なことは考えられないと思う。而も今度の日本のあらゆる計画は、この鉄鋼を造ろうというふうなところに全力が集中されている。そういうところから價格調整費が厖大になる地方配付税が削られて行く、いろいろなことが起つている。こういう馬鹿げたことをしていると思うのです。これはそもそも民主自由党の政府がこういうことを好んでやつているか。それともこれはいろいろの他の関係で見合いと言いますか、まあ双務協定でやつておるのか、そこら辺のところをはつきり言つて貰いたい。我々はこういう馬鹿げた商賣は困る、自由党の人は実に商賣が下手だと思う。事自分のことに関しては非常に巧いかも知れませんが、事國会に関しては絶対に下手だと思う。その点を一つ返答して貰いたいと思う。
  200. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 我々は政府として國民経済的に見て、日本のこれからの輸出をいよいよ増加し、そうして國内においては経済の安定と合理化を断行して行く、そうして我が國が民主的平和國家としていよいよ発展して参りますように、そういう立場で大いに我が政府は利益を挙げて参りたいと思うのであります。
  201. 中西功

    ○中西功君 非常に結構でございます。
  202. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 只今の輸出用鋼材については補給金の計算に入れておりません。輸出用鋼材に関する分は補給金の中に入れておりません。
  203. 中西功

    ○中西功君 又つまらんそういうことを言うと損をしますよ。それはどういうわけなんですか、輸出用の鋼材は補給金を全然やらんという意味ですか。それならちよつと聞きますが、輸出用鋼材は一体幾らで賣るつもりですか。それを造るのに石炭や或いはそうしたものにはもう補給金はやつておらんというわけですか。
  204. 中村辰五郎

    ○政府委員(中村辰五郎君) 鋼材に対す補給金をやつていないという趣意です。
  205. 中西功

    ○中西功君 それだけでしよう。それだけです。やつばり補給金をやつてあるんです。外の補給金はやつてあるんです。それを私は質して言つておるんです。鋼材に対する補給金はやらなくとも輸入の部分や或いは原料の石炭やそうしたものでちやんとやつてある。そういうことを言つて言い逃れはができると思うのは大間違いです。  それから次は労賃の問題で、さつき栗山委員からも大分詳細に言われましたから、私は簡単に申しますが、今度のこの物價改訂において織込む賃金は、一体安本は幾らに見たか、その点をお聞きしたいと思う。
  206. 北島武雄

    ○政府委員(北島武雄君) お答え申上げます。今回の價格補正に当りまして、昨年のように標準的な賃金を定めましてそれを織込むというようなことをいたしておりません。原則といたしまして企業三原則によりまして、現在程度の賃金は現在のマル公で抑えるという原則の下に、他の要素に基いて價格の改訂をいたしております。
  207. 中西功

    ○中西功君 そういたしますと、今度の場合は織込賃金の一定のものは決めずに、專ら他の要素によつてこれを決めたということになりますと、先つきからいわれますような企業の合理化いうことは専らもう現実にある賃金にさえもどんどん喰込んで行けるということをはつきり政府がここで示しておる。一應は今までの政府は私達曾て支持しなかつたけれども、今までの政府は、平均賃金というものを大体決めて、そうして價格改訂においてもこの線は一應の、最低というわけじやないが、原價の中に織込んでおつたと思うんです。ところがこのたびの民自党の政府は、そういうことさえもやらんでいくら賃金は下に下つても、そういうことはもう價格を考えるときには考えないと、こういうまあ考えになられたのか、そこをはつきり聞いておきたいと思う。
  208. 青木孝義

    ○國務大臣(青木孝義君) 合理化を実行いたしまして、労働の生産性を高めて、そこに裕りができますれば、別に政府としては裕りがあるところに賃金を抑えなければならんというふうには考えておりません。
  209. 中西功

    ○中西功君 今までの政府の大体のやり方は、物價を決めるときには、一應賃金のある種の標準というものを決めておつたんであります。今までだつて物價と賃金の悪循環とか何とかいつて、そうしてそれをやはり生産費といいますか、そうした原價の中では労賃というものは或る程度見積つたんです。今度の場合になると全然そういうものは見積らないで、考慮に入れない。このことは丁度民主自由党の政府が、労働者なんか絶対に考慮に入れないというのと同じですよ。私は併し恐らくそうじやないだろうと思うんです。ちやんと私はあると思うんです。但し誰か知つている人がいないために恐らくそういう答弁をしておるのだろうと思う。併しごまかしは困るんです。私が聞いておる範囲では、三千七百円の一・六六倍です。どうなんですか……。(「答弁しろよ」、「答弁どうした」と呼ぶ者あり)もう少し勉強して來て貰おうじやないですか。(「賛成」、「一應休憩したらどうだ」と呼ぶ者あり)これじやどうにもならんですよ。私はこれではもう散会の動議を出します。明日又やります。冗談じやないですよ。何聞いたつて分らない。委員長散会の動議を出します。(「賛成」「もう労働基準法で賛成だよ」と呼ぶ者あり)
  210. 黒川武雄

    ○委員長(黒川武雄君) それでは散会いたします。理事会を開きますから、理事の方はお残りを願います。    午後五時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒川 武雄君    理事            油井賢太郎君            飯田精太郎君            島村 軍次君            田村 文吉君            中西  功君            木村禧八郎君            岩男 仁藏君    委員            木下 源吾君            波多野 鼎君            森下 政一君            山下 義信君            岡田喜久治君            小串 清一君            西川 昌夫君            西川甚五郎君            一松 政二君            平岡 市三君            深水 六郎君            岩木 哲夫君            櫻内 辰郎君            深川タマヱ君            藤森 眞治君            井上なつゑ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高橋龍太郎君            伊達源一郎君            玉置吉之丞君            久松 定武君            帆足  計君            堀越 儀郎君            松村 眞一君            池田 恒雄君            栗山 良夫君            小川 友三君   國務大臣    内閣総理大臣  吉田  茂君    外 務 大 臣    大 藏 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    國 務 大 臣 青木 孝義君   政府委員    経済安定政務次    官       中川 以良君    総理廳事務官    (経済安定本部    財政金融局次    長)      渡邊喜久造君    総理廳事務官    (経済安定本部    物價局次長)  北島 武雄君    総理廳事務官    (物價廳第三部    長)      中村辰五郎君    大藏事務官    (主計局長)  河野 一之君