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1949-05-28 第5回国会 参議院 本会議 37号 公式Web版

  1. 昭和二十四年五月二十八日(土曜日)    午前十時三十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十六号   昭和二十四年五月二十八日    午前十時開議  第一 日本銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第二 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第三 食糧増産確保基本法案(楠見義男君外十八名発議)(委員長報告)  第四 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)  第五 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第六 懲罰権の適用範囲に関する調査に関する件(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。深水六郎君より文部委員を、小野光洋君より逓信委員をそれぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として文部委員に小野光洋君を、逓信委員に深水六郎君を指名いたします。      ―――――・―――――
  5. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 日程第一、日本銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。    〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
  6. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題になりました日本銀行法の一部を改正する法律案の審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の内容について申上げます。改正いたそうとする要点は、日本銀行に最高政策決定機関として政策委員会を設置し、日本銀行の業務の運営、中央銀行としての機能及び他の金融機関との契約関係に関する基本的な通貨信用の調節その他の金融政策を、國民経済の要請に適合するように作成指示し又は監督することであります。又この政策委員会の設置に伴い諸規定を整備せんとするものであります。本案審議の経過を申上げますと、五月九日より五月二十三日まで、その間五月十四日公聽会を開きます等、愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、五月二十三日討論に入り、九鬼紋十郎委員、油井賢太郎委員、黒田英雄委員よりそれぞれ賛成、波多野鼎委員、木村禧八郎委員、天田勝正委員、中西功委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ、討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
  7. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
  8. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、本案に反対いたします。  反対の理由は二つあります。  その第一は、そもそもこの法律案を作る基礎となつた政府の今後における我が國の金融政策の基本的な考え方について誤まりがあるということであります。この法律は、要するに日本銀行の内部に政策委員会というものを設けまして、そうして二つの目的を果そうとしております。その一つの目的は、財政政策と金融政策を分離いたしまして、そのために日本銀行内部に設けまする政策委員会に、これまで日本銀行が大藏大臣の認可を受けることになつておりましたところの金利、即ち日本銀行の貸付金利の変更とその決定、こういうものを政策委員会が独自で決めることができるようにするということ、それから第二は日本銀行が貸付を行う場合の担保です。担保の種類、條件、その金額、價格、そういうものの決定変更を、これを大藏大臣の認可を経なくて政策委員会独自で決定できる。この二つが新らしく大藏大臣から、政府からこの政策委員会に移讓される。移される。そうして政府の干渉をそこで排して、政策委員会が独自に金融政策を行い得るようにする。その他約十ばかりの政策委員会が行い得る、管掌し得る事項がありますが、他の項目につきましては、これは当然日本銀行が行うべき事項でありまして、何も新らしく今後政策委員会が政府から移讓されて行うべき政策ではないのであります。政府から移讓される政策は、只今申上げました金利とそれから貸付の場合の担保、それの決定、この二つであります。これによつて財政政策と金融政策を分離して行く。そういうことが一つの目的になつておる。もう一つの目的は、これまで日本銀行総裁がワン・マン・コントロールで、独裁的に日本銀行の運営を支配して來た。これを排して政策委員会に民間から委員を任命しまして、そうして民間の意思と利害を反映させて、いわゆる民主的に運営して行く。こういうことが第二の目的なのであります。  ところで問題になりますのは、財政政策と金融政策を分離して、そうして日本銀行の金融政策を政府の干渉を排して、そうして民間の意思を反映して自主的に行なつて行くという、そういうことが今後の日本経済の安定と、それから再建との計画にとつて、これは果して矛盾していないかどうかという点なのであります。御承知の通り経済安定九原則に基きまして爲替相場は一ドル三百六十円に決定しました。これを維持するために、総合的な、そうして画期的な均衡予算を編成したわけでありまして、これによつて一挙に我が國のインフレーシヨンをここで收束する、そういう政策がとられて來たのでありますが、これは他面から見ますれば、いわゆる対外價値の側面から一種の通貨改革を行なつて、そうしてインフレーシヨンを一挙に收束する、そういう政策でありまして、この政策が成功するか否かは、この政策の裏に経済の計画的な政策が裏付けられるか否かということにかかつておると思うのです。計画的な政策が、いわゆるエコノミツク・プランニングがこれに裏付けられなければ、私はこのインフレの一挙收束この政策は成功しないと思うのであります。そうしますると、今回の日本銀行法の改正によつて、そうして日本銀行内部に政策委員会を設けて、政府の金融政策に対する干渉を排して、民間の独自の考えによつて自主的に金融政策を行うという、大きく言えば自由経済的な、自由主義的な金融政策に方向を轉じて行く、その一歩をこの政策委員会が踏み出す。そういうことは、今後の日本経済安定と再建のためにとるべき政策と逆行して行くものであると思うのであります。むしろ、これから金融政策は計画的な経済の一環として國家の干渉を強めて行かなければならぬ。そういうふうに我々は思うのでありますが、その点で私は、今回の政策委員会を日本銀行に設けて、そうして財政政策と金融政策を分離して、民間の自主的な、又自由主義的な形で金融政策を運営して行くという方向に持つて行くことは、これは矛盾しており、ますます日本の経済を混乱せしめるばかりである。そういうふうに思うのであります。実際問題といたしましても、これまで復興金融金庫が、これはいろいろの事件が起きまして問題となりましたけれども、一應政府の計画的金融の役割を担当して参つたのでありますが、復興金融金庫は今後そういう役割を演ずることができなくなつたわけでありまして、今後は日本銀行と市中銀行において、日本の経済の計画的な安定と再建の役割を金融面から担当するということになつておるわけであります。而も今後復興金融金庫債券三百億円が償還され、更に又御承知の米國の対日援助見返資金千七百五十億円、これが復金債の償還、或いは國債の償還、そういう形で日本銀行或いは市中銀行に流れて行くわけです。その金をどういう方面に使うかということが今後の日本経済の再建にとつて非常に重大なわけであります。從つて今後日本銀行及び市中銀行、市中金融機関がそういう役割を担当しなければならないのでありますから、本來ならば、こういう際に日本銀行或いはそういう市中金融機関は計画経済を効果的に有効に遂行せしめて行く、その裏付けによつてインフレの一挙收束の効果を発揮せしめるためには、理想から言えば日本銀行は少くとも國有化し、又市中金融機関は私は國家管理の下に置くのが至当であると思うのでありますが、この政策委員会の構想はむしろそれと逆行するものなんであります。現実の問題として、例えば政府が今度は復興金融金庫がなくなりましたから石炭の方面に市中銀行をして融資せしめようとする場合に、一体誰がこの融資を強要することができるか。市中銀行は御承知の通り收益性と安全性を求めて金融をするのであります。何らの保証なくして危險のある方面に、慈善事業ではないのでありますから、融資する筈がないのであります。そういう場合に復興金融金庫があれば、政府がその方面に計画的に融資ができますが、市中金融機関ではそういうことができないのであります。そうしますと、計画的に日本経済の再建を行うということが不可能になつて來る。実際問題として、最近では日本銀行が市中銀行に金を貸してやるから必要な方面に融資せよということを言つておりますけれど、も市中銀行はそういう金は借りる必要はない。借りてもこれを融資した場合その危險は市中銀行自身が負わなければならぬ。從つて日本銀行は幾ら金を貸してやるといつても、そういうお金は借りたくない。そういうふうに言つております。從つて必要な方面に金融が円滑に流れて行かない。そうして計画的な生産というものを妨げて行く。これが実情なんであります。ですから若しか市中金融機関をして必要な方面に計画的に資金を流して行く、そういう役割を担当せしめるならば、國家がその損失を補償する、そういうようなことがなければ計画的に資金は流れて行きつこない。それをやらないとすれば、政府の強い干渉によつて、いわゆる統制によつて計画的に資金を流すより外ないんです。実情はそうなつている。然るにこの政策委員会において逆に財政政策と金融政策を分離して、そうして市中銀行或いは日本銀行において、民間の自主的な考えによつて金融政策を運営して行くということは、正に逆行しているものである。今後の日本経済安定政策と逆行して行くものである。そういうふうに考えざるを得ないのであります。本來ならば政府は二十四年度の予算の編成に当つて、今後は金融政策が非常に重大化して來る、從つて金融機関の公共性、社会性を高めなければいけないということを、吉田首相も池田大藏大臣もたびたびこれを強調しているわけです。從つて我々は何か金融機関の社会性と公共性を高めるところの法律案が本國会に出て來るのではないかと思つておつたところが、それがこの政策委員会というもので現われて來たのでありまして、これを眺めたとき私は余りにこれは羊頭を掲げて狗肉を賣るていのものであつて、今後の二十四年度予算を実行して行く場合における政策として余り貧弱であり、而も内容が矛盾している。そういうように感ぜざるを得ないのであります。この点がこの法案に反対する根本の理由なんであります。  第二の反対の理由は、民主的に日本銀行を運営して行く、そういう政府の意図でありますけれども、この政策委員会の構成を見ますと決して民主的になつておりません。委員は全体で七名であります。三名はこれは当然その職責上委員となるものでありまして、民間から任命される委員は四名であります。任命委員として金融界から二名、商工業界から一名、農業界から一名、そうして日本銀行総裁を入れますと、金融界から三名出る。この委員会の構成は金融界偏重であるということは明らかであります。構成に國民の利害を反映させるということはちつとも現われておらない。消費者代表の意見も反映できない、或いは中小業者の意見も反映できない、そうして又勤労者の利害も反映できない。非常に金融界偏重の構成になつております。これは決して民主的ではないと思う。更に又日本銀行総裁がこの委員会の議長になれるということになつておりますが、これは折角日本銀行の運営を民主的にやるという精神に反すると思う。これまで日本銀行総裁がワン・マン・コントロールで日本銀行の運営を支配して來ましたが、日本銀行総裁が議長になれる途を開いておけば、この委員会を民主的に運営するという精神に反して來ると思う。更に又この委員会の自主性を阻害するものとして、この委員の給與及び委員会の経費は日本銀行がこれを負担することになつているわけであります。これでは、日本銀行総裁が議長になり、又任命委員の給與及び委員会の費用を日本銀行が負担するということでは、これは政策委員会が自主的に民主的にこれは運営し得ないことになると思うのであります。而もこの日本銀行の負担する委員の給與及び経費というものは、日本銀行の納付金の中から納めるわけです。日本銀行の納付金は利益金の中から必要経費を差引いて一應政府に納めるのでありますが、その場合、任命委員の給與及び委員会の経費が必要経費として差引かれるということは、それだけ日本の政府に対する納付金が減るということであります。本來ならば、納付金は政府に納めて、それから支給さるべきもので、実質はそうなる。そうなると、これは税金を以てその給與及び委員会の費用を賄うということと実質においては変らない。それならば、それは國会の本來の承認を得なければならない性質のものであります。にも拘わらず、國会の承認を得ないで單に必要経費として日本銀行が納付金を納める前に差引いてしまう。そういうわけになつておる。納付金制度については、昭和十七年に日本銀行法改正以來、納付金制度を採られたのでありますが、これは私は非常に問題があると思うのです。制益金の中から必要経費を引いて、残つたものを政府納付金として納める。その必要経費は見計らいになつてします。私はむしろ前の方の発行税制度を採るべきだと思うのでありますが、とにかくこの任命委員の給與及び委員会の経費を日本銀行が負担するということは、この委員会を民主的に運営する精神に反すると思う。以上を以て私はこの法案に反対するものであります。(拍手)
  9. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 波多野鼎君。    〔波多野鼎君登壇、拍手〕
  10. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今問題となつております日本銀行法の一部を改正する法律案につきまして、私は社会党を代表して反対の意向を申述べたいと思います。  この改正法律案が財政と金融との分離という根本政策の上に立つてなされたことは皆さん御承知の通りでありますが、財政と金融との分離ということは、つまり政治と経済との分離ということの一部であります。経済復興或いは経済五ケ年計画というようなことが日本の経済自立のために叫ばれておるときに、政治と経済を分離するという、この根本的な考え方につきまして我々は異論がある。資本主義的な経済がどこの國におきましても政治力の突つかい棒なくしては立つて行けない状態におる。或いは過剩生産の故にそうなつておる國もあれば、或いは生産不足の故にそうなつておる國もありますが、いずれにしましても、政治の突つかい棒を必要とするという段階に來ておるときに、政治と経済とを分離しようという考え方そのものに私は異議があるのであります。この法案自体がそういう背景、そういう根本思想の上に立つて提案されておりますが、その提案の理由によりますと、金融業務というものを営利的に行なつてはならない。つまり公共的にこれを行わせるということが一つの理由であり、もう一つは日本銀行の運営方式が從來独裁的に行われておつた。これを民主的に行わせる。この二点が本案提出の理由になつております。で、この二点は成る程、我々賛成する点でありますが、政策委員会というものを日本銀行に設けることによつて、この二つの目的が果して達成できるかどうかということが問題となるのであります。先ず金融の公共性ということがこの政策委員会を日銀に設けることによつて達成できるかというと、私はできないと思う。それは今日市中銀行の資力が増大して参りまして、日本銀行に依存する程度が段々低くなつております。日本銀行がどのような立派な政策を立てましても、この政策を市中銀行にまで滲透させることはできない。この市中銀行の金融政策を日本銀行が左右することはできないようになる。それ程に市中銀行の実力は強大になつておるのであります。でありますから、この政策委員会というものが本当の理想的なものであつたといたしましても、これによつて日本全体の金融の運営を公共という目的に從つて運営させるということはできないと考えるのであります。  次に政策委員会を設けるということが日本銀行の機構を本当に民主的にするゆえんであるかというと、これもそうじやないのです。政策委員会は政府の説明によりますれば、政策の最高決定機関であり、そして從來からある日本銀行総裁以下の日本銀行の役員は、この政策委員会によつて決定された方針を執行する機関であるというふうになつております。にも拘わらず現に日本銀行総裁がこの政策委員会の議長となり得る途が開かれておる。    〔議長退席、副議長著席〕  このことは、例えて言えば内閣総理大臣と國会の議長とを一身に兼ねることができるというのと同じことになる。若し日本銀行総裁が政策委員会の議長となつたといたしますれば、この政策委員会というものは單に日本銀行総裁の諮問機関たる地位に落ちてしまうと私共は思う。  それからこの政策委員会の設置を日本銀行にいたしますについて、その他の日本銀行の機構に相当それに相應する改正を加えなければならないのであるにも拘らず、今度の改正案ではただ單に政策委員会というものを無理に挿入しただけでありまして、その他の機構に相應的な修正を加えておりません。從つて例えば從來からある日本銀行の参與の制度のごときはそのまま存置しております。一方、政策委員会があり、他方に参與の制度をそのまま置くということは何ら意味をなさない。どちらも無用になると思う。  それから最後にこの改正法律案の條文は、これは皆樣も御覧になつたと思いますが、世にも稀なる惡文であります。一読してその意味を理解し得る人は極めて少数の人でしかないと私は思う。普通の学識ある者はこの法律案を読みましてなかなか理解できない。或る銀行家に聞いて見ましたところが、銀行の業務をやつておる者でもなかなか分らんと言つておる。それ程の惡文であります。法律の民主化、日本民主化の一環として法律の民主化ということがやかましく言われております。この法律の民主化ということは、これは何も片仮名を平仮名に直すということではない。法律が國民のすべての常識ある人に理解できるという形になることが法律の民主化の中心であろうと思う。ところが今申したように、この法律案は普通の人には分らない法律案である。理解できない法律案である。この意味におきまして、日本民主化の一部であるところの法律の民主化という大きな見地から見まして、反対せざるを得ない。以上が私の反対の主な理由であります。(拍手)
  11. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 中西功君。    〔中西功君登壇、拍手〕
  12. 中西功

    ○中西功君 日本共産党は、この日本銀行法の一部改正案に反対であります。その反対の理由は、すでに労農党並びに社会党の代表によつて述べられたところと基本的に同じであります。この法案の骨子は、すでに説明されましたごとく、政府の金融統制に関する一部の権限を、或る意味では基本的な権限を、日本銀行に設置される政策委員会に移讓するという点にあるのであります。細かいそれに基いたいろいろの点については勿論問題もありましようが、我々はこの度の法案の基本点は以上の点にあると考えます。そこで我々はこの基本点に対して反対なのであります。これを少しく具体的に申上げます。  この度、日本銀行に政策委員会が設立されたということは、大きく見て現在の日本の経済情勢並びに政策の二つのものを背景としておると思います。一つは爲替レートの設定、或いは又赤字融資をしないとか、或いは金融に対しては嚴格なる統制、引締めを行なつて行く。これは特にさつき木村議員からも詳しく述べられましたごとく、爲替レートを三百六十円に決めるという点を挺子にして甚だしい金融引締めが行われて行つておる。これは單にこれだけではないのでありますが、それと競合して今日、日本の経済が、産業が非常に行詰つておるということと関連して、賃金遅配、或いは工場閉鎖、農村においても殆んど資金がなくて、肥料の手当さえ碌にできない。いろいろの悲劇が、経済的危機が深刻化しておるのであります。これを大藏大臣はデイス・インフレというような言葉でやさしく言つておりますけれども、現在日本の経済問題から見ますならば、この金融逼迫こそ何とかして一日も早く解決しなければ、もう日本経済が窒息してしまう、こういうところに來ております。而もこれが單に経済情勢の動きから起つておるというものではなくて、吉田内閣自身がやつておりますところのこの金融引締め政策、これから來ていることは非常に大きい原因であります。而も同時にさつき波田野委員が指摘されましたごとく、このような引締め政策の中心点に立つているものは、これは市中銀行であります。市中銀行が営利主義に立つております結果、儲からないところには融資しない、危險なところには融資しないということの結果、最近政府の支拂が相当廣汎に行われておりますにも拘わらず、日銀巻は三千億円台を割りました。即ち政府支拂は市中銀行に行き、更にそれは日本銀行に戻つておるのでありまして、市中銀行に行つた金は一般産業には融資されていないわけであります。このようなことが今の金融逼迫の一つの大きな原因をなしておるわけであります。それは全体として、政府も市中銀行もいろいろ入れまして、日本の現在の独占資本が行なつておりますところの金融政策であります。このような上にこの日本銀行政策委員会が生まれている。これが一つであります。  今一つは、最近予算の編成をめぐりまして金融機構にも大きな変化がありました。その変化の一つは日銀に見返資金特別会計が設けられたということ、もう一つは、復興金融金庫の融資がなくなつたということ、これは戰後の日本の金融機構といたしましては大きな変化であります。このことも又私がさつき申しました第一のことと緊密に関連しておる。これは直接的な結果であります。見返資金特別会計が日銀に設けられ、日本の特に産業融資、延いては日本の融資一般は、この資金に決定的に依存するというふうな態勢をなしていること、これはもう世間周知の事実であります。更に又復興金融金庫の融資がなくなつたということによつて、これは一方においては、予算面を見ましても、或いはその他産業融資計画を見ましても、市中銀行の役割は飛躍的に増大したのであります。政府出資金の八百億の殆んどは、結局において市中銀行を中心とするこの金融機関に償還されるものであります。見返資金の多くの部分も又やはり市中銀行に償還さるるものであります。このように現実にすでに今日まで金融機構の変化が大きく生れて來たわけでありますが、その一環として、その一部として、日本銀行のこの政策委員会の設立が行われたのであります。從つて我々がこの傾向を見ますならば、現在のこのような激しい金融逼迫、そうして物淒い賃金遅配や工場閉鎖や、或いは農村の金融的な破綻、この上に現在の金融寡頭支配が築かれようとしております。その金融寡頭支配の一部としてこの日本銀行の政策委員会が設けられたのであります。これはこの政策委員会の内部構成を見ましても極めて明瞭であつて、金融界代表が圧倒的な比重を持つておるわけであります。而もこのようなことは大きな日本の政治、そういうものから見て一体どういう意味を持つか。これは私は先日も定員法の討論において申しました。すでに國会或いは國民の何らの干渉なく、了解なく、國の最高政策を一部の政府の役人、及び主として金融政策であるならば市中銀行の代表たちがどんどん決めて行つてしまう。日本の最高の政策が今後は四疊半で或いは丸の内で決められて行く。而も今日この金融問題は日本経済の根本問題であり中心問題である関係から、そういう点を考えるならば、結局國会というものは、このようなことによつて全く浮かされてしまつて、單なる飾り物になつてしまう。これが私たちの財政と金融の分離とか或いはいろいろの表現を以て行われておるところの、而もこれが民主化だと言われておるところの、この日本銀行の政策委員会の設立に対して根本的に反対する理由であります。  次に私は、それならば我々は一体今日の金融に対して何を考えておるのかということを少し明白にしたいと思います。この法案が日本の金融政策の、或いは金融機関の民主化であるとか或いは公共化であるとかいうふうに銘打たれておることは、波田野委員の指摘された通りであります。併し実際は公共化或いは民主化しようとするならば、これはこのような政策委員会を設ける方法ではなくて、我々は全く逆に、市中銀行こそ國有國営にすべきであると思うのであります。復興金融金庫は今まで一つの國家銀行でありました。これは昭和電工事件を初め幾多の不正を生みました。この復興金融金庫がなぜ惡かつたか。確かに惡かつた。惡かつたのでありますが、なぜ惡かつたと言えば、決してそれは國家銀行であるが故に惡かつたのではないのであります。逆に、國家銀行であるのに拘わらず、それを正しい國家目的のために使つておらない。実際に國民に必要なところに使つておらない。復興金融委員会の委員たちが私利私欲のためか、或いは又他の大きな資本家の利益のためにのみこれを使つておつたというところに問題があるのであります。そういうことは一つの不正事件或いは腐敗事件としてある通り輿論から嚴しく指摘されました。併しそれならば、これをすべて市中銀行のものにしてしまつたらどうであるか、民間化したらどうであるかと言えば、この復興金融金庫において行われましたようなことが、すべて公然と当然のことであるというふうにして、これは行われて行くのであります。現在実際の市中銀行、民間銀行がどのようなことをしておるかは、これは世間は知つておる。知つておるが、これを復興金融金庫において行われたごとくには指摘しておらんのであります。若し市中銀行が國有化されておつたならば、あれ程甚だしてインチキをしておりましたならば、必ずや國民は激しく指摘するに決まつておりますが、一應市中銀行だというふうなことのためにそれが放置されておりました。復興金融金庫の惡かつたのは國家銀行だという点にあるのではなくて、それはこの國家銀行を私的な資本家が勝手に寄つてたかつて喰い合つている、ここに問題があつたのであります。現在我々は市中銀行を含めて一切の機関の國有國営を、そしてこれを徹底的に民主的に管理することを要求しております。この要求は決して理想的なものであるとか或いは現実性を欠くというようなものではない。現に日本の金融問題、これはもう何としても一日も早く解決しなければならぬ問題であります。このままで行くならば、日本の産業は徹底的に潰されて行きます。このときに、特にこの銀行の措置が問題になるのでありまして、我々は今日こそ、こういうふうに金融が切迫しているときにこそですね、一日も早く眞に徹底的な金融政策を樹立すべきであると思います。それはこのような、日本銀行に政策委員会を置くというふうな逆行の方向ではなくて、もつと進んで市中銀行をも含めて、すべての金融機関を國営人民管理にすべきであると我々共産党は考えております。而もこれは可能である、もうやらなければならぬ、こういう時期に來ていると思うのであります。我我はこういう見地から、この日本銀行法の一部を改正する法律案に対して反対するわけであります。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 本案に対しまして中井光次君より成規の賛成を得て修正案が提出されました。先ずその趣旨弁明を求めます。中井光次君。     ―――――――――――――    〔中井光次君登壇、拍手〕
  14. 中井光次

    ○中井光次君 只今上程されました日本銀行法の一部を改正する法律案中、更に一部を修正する案につき、その修正案の内容はお手許に配付しておりまするので、朗読を省略さして頂きまするが、その提案の理由を簡單に説明申上げたいと存じます。  日本銀行の金融政策が我が國経済界に及ぼす影響は極めて大なるものがありまするので、その政策樹立の中枢機関として、日本銀行に政策委員会を設置し、廣く金融界、商工業界、農業界より、それぞれ代表者を選定して委員に任命し、その身分も十分保障されることになりまするのが、先程大藏委員長より御説明のあつた原案の趣旨でありまするが、從つて委員の責任は誠に重大であり、苟くも私心を差し挾んだり或いは一党一派の利害により行動したりすることは嚴に戒しめられるべきであり、眞に國家國民のため、そして我が國金融界のためにベストを盡さなければならないことは当然であります。かような見地よりいたしまして、その任命に当りましては、あらゆる角度より見て最適任者が選定されるべきであり、原案のごとく内閣だけの権限を以て任命いたしますることは、その任期が保証されております関係上、聊か当を得たものではないと存ぜられるのであります。よつてこの際、委員の任命は、ひとり内閣の権限のみとせず、國民の代表である衆参両院において同意を受けることにより、國民の納得の行く任命方式に改め、愼重と適切と公平とを完全に期したいというのが提案の趣旨であります。何とぞ我が國経済復興上重大なる修正点として、満場の御賛同を賜わらんことをお願いいたし、簡單ながら趣旨の説明といたす次第であります。(拍手)
  15. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これより採決をいたします。先ず中井光次君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者……〕
  16. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。    〔「再確認」「総員起立」と呼ぶ者あり〕
  17. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) どういうことですか、再確認とは……    〔「進行々々」「板野勝次君は立つておらん」「立つたのだよ」と呼ぶ者あり〕
  18. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本修正案は否決せられました。(「何をやつとる」と呼ぶ者あり)本修正案は可決せられました。(笑声)      ―――――・―――――
  19. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に只今可決せられました修正個所を除く本案全部を問題に供します。残り全部に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  20. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は修正議決せられました。      ―――――・―――――
  21. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に第二、第三、第四日程を……第五……(「しつかりしろよ」と呼ぶ者あり)日程第二、第三、第四、第五を後に廻し、日程第六を問題に供します。懲罰権の適用範囲に関する調査に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。懲罰委員長太田敏兄君。     ―――――――――――――    〔太田敏兄君登壇、拍手〕
  23. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 懲罰委員会における懲罰権の適用範囲に関する調査の経過並びに結果の大要を御報告申上げます。  本調査は、憲法及び國会法、参議院規則にあります現行懲罰法規を実際に適用する場合に、解釈上いろいろの疑義がございまして、問題が起りましたときに、その解釈が一定しておりませんと、種々の不便と混乱を生ずる虞れがありまするので、昨年十二月十一日議長の承認を得まして調査を開始し、第四回國会の終りに取敢えず中間報告書を提出して皆樣の御覽に供したのでありまするが、更に第五回國会におきましてもこの調査を継続し、この間、或いは各國の資料を蒐集し、或いは学者、経驗者の意見を聽取するなど愼重なる研究を重ねました結果、漸く一應の結論を得るに至りましたので、ここに本報告をいたす次第であります。詳細は報告書によつて御覽を願いたいのであります。  先づ第一の問題は懲罰権の本質に関するものであります。元來懲罰権は役員選任権及び規則制定権と共に議院に與えられました自律権の一つでありまして、憲法第五十八條第一項には「両議院は、……院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。」と規定しておりまして、即ちこれは、議院が立法機能その他憲法の定める重要な機能を適正に且つ円滑に運営するために必要な院内秩序維持の手段として、その秩序をみだした議員を自律的に罰する議院の権限であると解すべきであります。この明文によりまして、懲罰権の人的対象はもとより議員そのものでありまして、從つて議員以外の者、例えば國会職員、政府職員、傍聽人、証人、公述人等に懲罰権の適用がないことは、その本質からいたしまして、又憲法の條文からいたしましても明らかであります。故にたとえ國務大臣が議員である場合でも、その議員としての行爲は別といたしまして、國務大臣としての行爲は懲罰の対象とはならないのであります。  次に、議長、委員長等の特別の地位にある者の行爲でありまするがこれは議長、委員長と雖も同じく院の構成員であるから、やはり議員の行爲として懲罰の対象となることは勿論であると思うのであります。  懲罰権は右のような理由と目的から議院に認められている自律権でありまして、議員の不逮捕特権、院外免責特権及び議長警察権とは本質的には関連を持つものではありませんが、併しそのような特権があればこそ、議院は自律的な懲罰権の行使によつて院内の秩序を最も嚴粛に保持するの必要があると考えられるのであります。  次に、懲罰権の適用範囲の問題は、内容的、空間的及び時間的に分析しまして解明するのが便利であると思うのでありまして、即ち第一の内容の問題とは、憲法第五十八條の「院内の秩序をみだした」とは何であるかの問題であります。時間の関係で法規の條文を一々申上げることは略しますが、國会法及び参議院規則では、懲罰事犯が客観的に明白に存在することを前提としているかのようでありまするが、併しこれらの法律規則の中には、懲罰事犯の内容を定義付けるに足りるような一般的な規定はないのでありまして、法規上明らかに懲罰事犯を犯したと認められる議員は、「議院の会議又は委員会において」他の議員に「侮辱」を被らせた者、或いは「議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に應じないため」云々のごとき、八つの場合が、國会法又は参議院規則に挙げられているのでありまして、これにつきましては、或いは制限列挙説の生れる余地もないではありませんが、併し前にも申しましたように、國会法及び両議院の規則の中に、一般的定義規定がないのでありまして、又参議院規則第二百四十五條のごとき、「議院を騒がし又は議院の体面を汚し」云々のごとく、極めて漠然たる用語を用いておる点等から見ましても、具体的に何が懲罰事犯であるかは、個々の事件について議院の自主的な判断に俟つより外はないのであります。從つて前に指摘しました八つの場合は特に顯著な例を示したものと見るべきでありまして、これらの点より考察いたしまして私共の意見は例示説に一致したのであります。  次に懲罰事犯となる行爲の範囲の問題でありまするが、凡そ議員たる人の行爲には、議員としての公けの職務行爲から純粹の私行に至るまで、その間幾多の段階が考えられるのでありまするが、ここで問題は、その如何なる部分が懲罰の対象となるかでありまして、即ち参議院規則第二百七條の「品位を重ん」ずる義務、及び同條第二百四十五條の「体面を汚す」行爲で、議員の職務遂行に関して行われた行爲が懲罰権の対象となり得ることは疑いの余地はありませんが、純粹の職務行爲でなくとも、議員たるの資格においてする行爲は、やはり懲罰の対象となると考えられるのであります。ただその限界は、個々の事犯について具体的に議院の判断に俟つ外はないと言わねばなりません。そうしてこの論理を発展させますると、純然たる私行についても同樣のことが考えられるのでありまするが、併しこれには純粹なる私行では議院の品位は傷けられないという説もありまして、一方又外國では純然たる私行をも懲罰の対象として採り上げている例も多々あるのであります。これは尚愼重なる研究を要するものと考えられるのであります。  次に場所的な問題、これは從來本会議の議場又は委員会の場内というふうに、非常に懲く解せられている慣例もありまするが、併し例えば秘密漏洩のごとき、院外の行爲によつても「院内の秩序」はみだされることはあり得るのでありまして、從つて院内というのを、單に建物とか構内とかいうごとき物理的な意味に囚われないで、保持さるべき「院内の秩序」とは、組織体としての院の秩序を指称するものであると解釈するのが至当と考えるのであります。殊に旧憲法における帝國議会とは違いまして、院外との文書の交換、公聽会の開会、証人の出頭要求、議員の院外派遣等、一般に議院と國民及び官廳との関係が廣く且つ密接となつた國会においては、懲罰権の適用範囲に関係する解釈はおのずから異なる立場からなされなければならないということも十分考慮に入れなければならないと思うのであります。  第三には時間的な問題、これは議員が動議によつて問題を提起できるのは「事犯があつた日から三日以内」に限られておりまするが、一方、議長が懲罰事犯を委員会に付託し、又委員会における懲罰事犯を委員長が議長に報告して処分を求めるには一定の期限がないのであります。故にこの時間的の問題は後者の場合の問題でありまするが、これについていわゆる会期不継続の原則が適用ありや否やということが問題の焦点となるのでありまするが、國会法第六十八條は「会期中に議決に至らなかつた案件」について言われておるのであつて、懲罰事犯が案件として審議されている場合は勿論この條項の適用を受くるのでありまするが、併し或る会期中になされた懲罰事犯を次の会期若しくは後のいずれかの会期において問題とすることを國会法第六十八條が禁止しているとは考えられないのであります。故に懲罰事犯を後会において提起し得ることは國会法の明文上で明らかにできるのでありまするが、ただ問題は、実際上如何なる懲罰事犯でも、時間に関係なく、又会期に関係なく、いつでも議長又は委員長はこれを提起し得るかどうかということであります。この点が本調査の最も重要な点であつたのでありますが、ここでは時間の関係上、結論だけを申上げまするが、これについては事犯の内容又は性質によつて、いわば会期に專属的なものとして、その会期に起つた事犯はその会期中に処分することを妥当と認められるものと、然らざるものとがあるということに意見が一致したのであります。例えば國会法第百二十四條の、「議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に應じなかつた者」の処分のごときは前者の例でありまして、こういう事犯をその会期で問題にしないで後の会期で問題にするようなことがあれば、いつまでも議員に不安の念を抱かせるし、又多数を得た会派が、古い事犯を持ち出すということもないとは限らないというようなことから、直接的專属的な事犯はその会期中に処分を決し、後会に継続しない方がいいということであります。併し事犯の種類によりましては後会において問題とすることも勿論可能であると考えられるのであります。だが如何なる場合におきましても議員の任期を超えて懲罰事犯が問題となることはあり得ないのであります。  尚、最後に國権の最高機関である両議院の秩序を嚴粛に保持せんとする要求と、國民の公選による議員の地位の重要性を尊重しなければならないという立場と、及び多数派の暴威の前に少数者を如何に保護しなければならないかという問題、これらは解釈論としても又立法論といたしましても、大いに考慮しなければならないということをここに強調いたしまして、不十分でありますが、この報告を終る次第でございます。(拍手)      ―――――・―――――
  24. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際お諮りいたします。本日駒井藤平君より議院運営委員を、小川久義君より予算委員をそれぞれ辞任したい旨の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として議院運営委員に小川久義君を、予算委員に岩男仁藏君を指名いたします。  議事の都合により午後一時まで休憩いたしたいし存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十五分開議
  27. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、日程第二、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)日程第三、食糧増産確保基本法案、(楠見義男君外十八名発議)日程第四、食糧管理法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  29. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました三つの法律案につきまして、農林委員会における審議の状況並びに結果を御報告申上げます。  先ず最初に食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  この法律案提案の趣旨は、理由書にも明記せられておりますように、連合軍総司令部の主要食糧集荷に関する覚書に基き、経済九原則の具現化を中心とする我が國経済の動向に即應するため、供出制度の改善を図らんとするものであります。御承知のようにいわゆる経済九原則におきましては、その第九項として食糧供出計画の能率向上を図ることが明示せられておるのでありますが、これに基き、更に又昭和二十年九月二十二日附連合軍総司令部指令第三号に関連いたしまして、昨年十二月二十四日附を以て日本政府に対し、主要食糧集荷に関する件と題して覚書が発せられておるのでありまして、その覚書の大体の趣旨は次のごときものであります。即ち「國内産主要食糧の実行可能なる最大限の数量の集荷は、すべての日本人に入手し得る食糧の公平な分け前を確保するためにも、又昭和二十年九月の指令第三号や経済九原則の第九項に示された諸目的を達するためにも必要欠くべからざるものである。而して現行の食糧管理諸法律には、主要食糧の供出割当は作付前になさるべきこと及び事前割当は爾後増加せしめられないと規定されておるが、この事前割当が増加せしめられないという規定は、限られた國内産食糧の供給についての効果ある統制の確保を不可能ならしめるものである。從つて日本政府は、生産及び供出に関する報奬措置をも含めて、主要食糧農産物の最大限増加に必要な諸措置を継続すると共に、利用し得る主要食糧農産物の最大限実行可能な集荷を確保するための諸措置をとり、これを完遂することを要する。而して右の諸措置の中には、收穫の諸條件が確定した收穫時又はその直前において、法的に強制力を伴う追加割当を規定するため必要な諸法令を改正又は公布することを含む。」覚書の趣旨は大体以上の通りであります。從つてこの覚書に基いて提案せられました今回の改正法律案の内容も、当然に追加割当に関する法的措置がその主なる部分をなしておるのでありまして、  即ち改正内容の第一点は、追加割当をしないという現行法第七條第四項を削除し、同時に現行法の第八條では、災害その他眞に止むを得ない事由で事前割当の供出数量を供出できなくなつた場合に、農民は供出数量の減額請求をなし得る旨の規定がありますが、この減額補正と並んで、收穫量が当初の見込に比し増加し、生産者に供出の余力があり、且つ國内の食糧事情からも、食糧需給の均衡を保持するために特に必要があるときは、作況等を考慮し、農林大臣は、中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基いて、事前割当の供出量に対し追加割当をなし得ることしているのであります。尤も追加割当の場合には、農民の生産意欲の減退をでき得る限り防止するための考慮から、その超過生産分の一部を保有することができるように定めているのであります。改正の第二点は、市町村長が、各個人別に農業計画、即ち生産量、保有量、供出量等の事前割当を行う場合の方式を明確にするために、農林大臣の定むる様式に基く書面によるべきこととし、第三点は、農業計画の指示を受けた生産者からの異議申立期日の統一を図るために、現行法に所要の改正を加え、その他現在行政措置として法律上の明文を欠いておりまする地方農業調整委員会の機能や、いわゆる都道府縣限りの地方補正等について規定しておるのであります。改正の第四点は、市町村農業調整委員会が現行法の第十一條において有しているところの主要食糧農産物の生産増進乃至生産障害除去に関する指示権の中に、蔭樹の伐採指示権の存することを明確にいたしますると共に、指示に從うことによつて生じた損失補償制度を新たに設けておるのであります。  以上が本改正法律案提案の趣旨並びにその内容の主なるものであります。而して申すまでもなく本法律案は、我が國の経済自立に直接関連する重要問題でありますると共に、一面現行の事前割当制度の根本に触れる問題であり、同時に又農業増産や農家経営の今後を左右する極めて重大な問題でありますので、農林委員会といたしましては、去る四月二十七日、本法案に関する第一回の委員会を開きまして以來、殆んど連日に亘り、各委員も又あらゆる方面に亘る資料の蒐集並びにその檢討を行い、眞に愼重審議を重ねたのであります。その結果、後にも述べまするように、本法案は一部修正の上可決することといたしたのであります。  以上委員会における審議の経過について申上げたいと存じます。先ず最初に、この法案の受入れ方と申しますか、委員会の審議の態度の点について申上げたいと存じます。御承知のように、現在の食糧確保臨時措置法が第二回國会において提案せられた当時の政府の提案理由説明によりましても、「この法律は、食糧農産物の生産及び供出について予め計画を定むることにより、政府及び農民のそれぞれの責任分野を明確にし、農民をしてその供出計画の遂行に努力を傾注せしむると共に、政府も又その生産計画達成に必要な資材資金の供給、その他奬励措置を講じ、又追加供出を行わないという義務を負担し、又この義務負担によつて農民の生産意欲の高揚を期し、それが延いて食糧問題において最も根本的な増産という問題の達成にも資することになる。」かくのごとく述べておるのでありまして、現行法の一つの特徴は追加割当を行わないという点にあるのに対して、今回の改正案におきましては、この制度に対する根本的改変とも言うべき超過供出に対する法的強制をいたすのでありますから、このままでは農民にとつても確かに重大な而も不利な影響を與える問題でありまして、さなきだに重視やシエーレやその他の惡條件の下に苦しんでおる農民を更に一層苦しめることになるわけであります。從つて委員の一部の方々は、現行供出制度をも含めて、本案に全面的反対の態度を示されていたのでございます。  他の一部の方々の御意見は次のようでございました。即ち、現在の我が國の食糧事情その他諸般の國際事情から言つて、而も又経済九原則に伴う覚書が発せられておる現状から申しましても、勿論この覚書は日本政府に発せられたもので、國会に対するものではありませんが、併しこの覚書の趣旨とするところについては、でき得る限りこれを尊重することも又必要なことではあるまいかという考え方であります。即ちこの考え方から申しますと、現にアメリカでは、來会計年度における莫大な食糧その他重要生産用資材についての対日救済援助費予算が議会で討議されておるときに、日本國会が占領軍総司令官の日本政府に対する命令の実行を踏みにじつたとしたら、一体その結果どんな事態が生ずるであろうか。それはそれとしても、若し國会が否決すれば、政府は直ちに覚書に基き、いわゆるポツダム政令を以て法律改正をせねばならぬ義務を有しておるのでありまして、そうなれば結局原案の惡いところだけが農民に強いられる結果になる。法案否決によつて一時農民が喜ぶように見えても、実は決して農民のためにはならぬのでありますから、むしろ原案をできるだけ農民にとつて有利な立場に展開し得るように、即ち法律案を可能な限度において修正したり、或いはこの法律案を受入れるために必要な新らしい立法的措置を國会みずからの手で講じたりすることによつて、農民の蒙むるべき影響をでき得る限り緩和することが、眞に大乘的観点からする農民を愛する態度であるという考え方であります。從つてこの考え方からすれば、覚書においても示されておるように、今回の改正案は、主要食糧農産物の増産を最大限可能ならしむるような政府の施策が継続実施され、而してその結果によつて増産された食糧を公平に分配するためにとらるべき措置であるにも拘わらず、増産奬励に関する政府の義務が十分に果されておらず、或いは從來に比して逆に縮小せられておるものすらある点に問題が存するのでありまして、かくては從來政府が供出制度に関して受けておりましたところの非難、即ち徒らに且つ一方的に農民を責むるにのみ偏したという弊に再び陷ることになるわけでありますから、覚書に示された政府の他の一面の義務たる増産奬励措置について十分の究明をなすと共に、その実現を図ることに努力すべきであるといたしたのであります。  以上申上げましたような二つの相異なつた観点から、委員会の審議は極めて熱心に且つ活溌な論議が重ねられたのであります。即ち現在農業経営において最も根本的な再生産確保の問題を中心といたしまして、積極的な増産対策及び消極的には現に再生産を阻みつつあるいろいろの障害除去の対策等について、眞劔な檢討と質疑應答が盡されたのであります。即ち委員会における主なる質疑事項は、現行供出制度の欠陥に対する是正問題の外、政府の公約違反とその責任、農産物の價格対策、農村課税における不公正の防止対策、肥料、農機具、農藥等の生産資材に関する需給調整対策、農業資金融通対策、農村向け衣料、ゴム製品及び石油等の配給問題、各種の報奬措置に関する問題、一部保有農家、即ち轉落農家に対する割当及び配給問題、耕作放棄防止の対策、本年度の食糧需給対策等々でありまして、数多くの而もいずれも重要なる問題のみでございましたが、これらの詳細は幸い他の委員会の御協力をも賜わりまして、でき得る限りこれを速記録に留むることといたしましたので、それによつて御承知願いたいと存じます。  右のごとき審議の経過を経た結果、委員会といたしましては、板野委員を除く全委員の共同提案による修正案を用意いたしますると共に、別に一つの新らしい立法的措置を講ずることといたしたのであります。新らしい立法的措置につきましては、後程食糧増産確保基本法案として出しましてこれを御説明することといたしたいのでありますが、修正案について申上げますと、その主なる点は、第一は、いわゆる一部保有農家に対しては供出割当をいたさないようにするということ。第二は、農民の権利擁護の立場から、本法律案においては從來の割当に対する農民からの異議申立期間が短縮される虞れがあり、更に災害等の場合における減額補正請求権が抹殺されておりますのを、現行法通りに復元いたしたこと。第三は、市町村農業調整委員会の蔭樹伐採指示権が濫に流れないように、例えば保安林等の伐採をその指示権から除くための制限規定を設けたのであります。  質疑終了後、討論に付しましたるところ、板野、岡田、岡村、池田各委員よりそれぞれ反対意見の御開陳があり、尚、板野委員からは十数ヶ所に亘り修正を提案せられたのであります。その要点は、農業組合の民主化、農業調整委員会の権限強化、並びにその構成の民主化、再生産用資材の確保、現行制度における作付制限的規定の排除、及び、民主的且つ自主的供出の実現以上の四点であります。  次いで採決に入り、先ず板野委員の修正案を議しましたるところ少数を以て否決、次に前に申述べました板野委員以外の各委員共同提案の修正案は多数を以て可決せられました。修正個所を除く原案残余の部分につきましては、賛成八、反対八の各同数、從つて委員長の決するところとなり、委員長は原案に賛成いたしましたので、結局本法律案は一部修正の上多数を以て可決することとなりました。この食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案の審議の状況は以上の通りであります。  次に食糧増産確保基本法案について御報告申上げます。  この法律案は農林委員大多数の共同によつて立案せられたものでありまして、委員会におきましては板野委員を除く全員一致を以て可決せられたものであります。而してこの法案は、先に本院において議決せられました食糧の増産確保に関する決議の趣旨の一端に副うための法案でありますると共に、只今御報告申上げました食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を我が國現下の諸情勢の上から見て万止むを得ざる措置として賛意を表したものにとりましいは、その受け入れるための必要な新らしい立法的措置として提案せられたものでありまして、即ち只今御報告申上げました通り、追加割当に関する覚書において明示せられている増産奬励措置について政府の負担すべき責任を法律上義務付けますると共に、提案理由にもありまする通り、我が國の経済自立を達成するためには食糧の増産確保が極めて緊要であることの基本的事実に鑑み、主要食糧農産物の増産を容易且つ適切ならしめるため、積極的な措置を講すると共に、その増産を図る上において障害となつている諸事項を是正し或いは排除するのに必要な措置を講ぜんとするものであります。而してその内容は、第一に、農地開発、災害復旧、土地改良等の事業について、政府みずからその施設をなし、或いは民間事業に対して適切なる予算的或いは資金的の助成を行わねばならぬこと、第二に、今後の我が國食糧の自給度向上の見地から最も重要な芋類の利用増進を期するために不可欠の加工貯藏施設の完備についても、同様政府の義務を規定し、第三には、いわゆる早期供出及び超過供出に対する政府の報奬金交付の義務を規定しておるのであります。尚この点につきましては、報奬金に対する免税或いは税法上の特典附與について、委員会といたしましては最後までその実現を期して最善最大の努力を盡したのでありますが、遂に関係方面の了解を得るに至らず、誠に遺憾ながらシヤウプ・ミツシヨンの今後の檢討に譲ることになりました。内容は第四は、極東委員会の農業十六原則中にも示されておるところの農業協同組合等に対する差別待遇防止、即ち一般商業者又は商業團体に比して差別待遇を受けた場合の救済措置を規定しておるのであります。もとより農産物増産を確保するためには、一般税制の問題、價格の問題等、更に根本的ないろいろの問題もあることと存じますが、この法案は最初に申上げましたような趣旨で立案いたしましたので、足らざるところ極めて多いと存じます。從つて希くば今後國会各議員の方々の御盡力によつて、その内容を眞に題名に副うごとく補充完備して頂くことを切にお願いいたしまして、本案の委員会における可決報告といたす次第であります。  最後に食糧管理法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本改正法律案の内容の主なるものは大体三点でございますが、その第一点は、主要食糧の配給計画を中央地方を通じ適正且つ明確に定むるとともに、その計画を的確に実行して參めために、法律の明文を以て毎月の配給計画について、農林大臣から都道府縣知事及び市長村長や実施機関たる食糧配給公團に至る計画の流れ方を規定し、且つ購入通帳乃至購入切符の発行及びその行使方法を明らかにいたしておるのであります。元來食糧配給統制の根本をなすものは、言うまでもなく配給対象人口の正確なる把握であり、その基礎の上に立つての適正なる配給討計画の策定及びその実施であります。而してこのことにつきましては、生産者及び消費者の正確なる区分、生産者の中では一部保有農家と完全保有農家の区分、消費者の中では労働者等に関する稼働日数や人員の正確なる把握、轉出入に件う重複配給の防止が必要であり、更に又全体を通じてのいわゆる幽霊人口の絶滅、大きないわゆる家庭農園の取扱に関する問題があるわけでありまして、この間に処して、政府從來の努力にも拘わらず、尚一部には不正申告や不当配給等が跡を絶たぬ実情に鑑み、先般三月二日附を以て連合國総司令部より主要食糧の配給制度強化方策に関する件と題する覚書が日本政府宛発せられたのでありますが、右覚書の一部に照應する措置として今回の法律改正が提案せられた次第であります。而してその具体的な規定は、概ね現在農林省令或いは行政措置としてとられておりますところを法律上明定いたしておるのであります。  改正の第二点は、現行食糧管理法第九條の規定の運用を民主化せんとする改正であります。現行法の第九條によりますと、食糧統制上必要に應じ臨機の措置をとり得るための廣範囲の委任命令がなし得ることとなつており、即ち主要食糧の配給、加工、製造その他の処分、使用、消費、保管及び移動に関して必要な命令をなし得ることとなつておるのでありますが、改正案におきましては、その運営上の枠として、当然のことながら、「主要食糧ノ公正且適正ナル配給ヲ確保シ其ノ他本法ノ目的ヲ遂行スル為」という制限規定を置きますると共に、本條に基く命令の規定について直接の利害関係を有する者から経済安定本部総裁に不服の申立をなし得る途を開き、この場合、安本総裁は公聽会を開いて、然る後何分の決定をなし、その結果を関係者に通知することといたしておるのであります。  改正の第三点は、食糧配給公團の基本金の増額に関する改正でありまして、前國会においても五千万円の増額をいたしたのでありますが、今回更に五千万円を増額し、結局現行の一億三千万円を一億八千万円と改正せんとするもであります。而してこの点につきましては、前回の改正の際にも御報告申上げましたごとく、前回すでに今回の増額分以上も含めて必要でございましたが、國家財政の都合上、その許す範囲でその都度増額しておる実情であります。  本改正法案の内容及びその趣旨は大体以上の通りでありますが、本法律案の審議に当りましても、各委員より食糧管理行政の全般に至り極めて数多くの且つ又重要な質疑應答が重ねられたのでありますが、時間の関係上すべてこれを会議録に割愛することをお許し頂きたいと存じます。  かくて質疑終了後、討論において板野、池田恒雄の両委員から反対意見の御開陳があつた後、採決に付しましたるところ、本法案は多数を以て衆議院送付、政府提出原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
  30. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇、拍手〕
  31. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は日本社会党を代表いたしまして、今回政府の提出にかかります食糧確保臨時措置法中の一部を改正する法律案に反対するものであります。  昭和十七年に、戰爭遂行のために供出制度が実行され、それ以來今日に至るまで引続いて行われておるのでありますが、その間に諮政府の供出に関します法律等は幾度も改正されまして、次第に供出は強化されて参つたのであります。現在日本の置かれております政治経済的情勢と、國内の食糧生産の状況から見まして、供出制度と配給制度を直ちに廃止することは実際問題として不可北でありますが、併しこの供出制度の欠陷、運用のまずさ、或いは誤まりのために、日本の農民は非常に苦しんでおるのであります。苛酷な供出割当のために、米を作りながら、年が明けまして田植の最も多忙なときに飯米に事欠く農民も沢山出ております。又苛酷な割当を果せないために自殺をするような人々も出ておるのであります。昨年から実施されるに至りました食糧確保臨時措置法によりまして、農民が選出いたしました農業調整委員会によつて農業計画を定めるとか、供出割当をする場合に、地方や家族の状況等を勘案するとか、割当を事前に行うとか、災害のあつた場合には割当を減らして貰うことができるようにしてあるとか、その外、法律の文面だけを見ますならば改善されておるのでありますが、実際には供出割当は政府から縣へ、縣から郡、郡から村、村から個々の農家へと天下り的に割当てられておるのであります。そうして殆んど農民の異議の申請や農業調整委員会の議決等は実際には無視されておるのであります。割当は年々増加して來ておるのでありますが、更に昨年秋は豊作だというので超過供出を政府は農民に勧めたのでありますが、これとても農民の自発的協力を求めたのではなくて、実際には天下り的に命令してこれをやり遂げたのであります。二十三年度産米の供出が一〇〇%完遂され、超過供出も一〇〇%に達したのでございますが、これは決して農作のために農民がこれを藥に出せる状態のあつたからではないのであります。これは食糧管理法と食糧確保臨時措置法という責め道具にかけて、警察力という鞭で農民から吐き出させたものなのであります。このために農家の中には、特に耕作面積の少い農家にあつては、昨年の豊作にも拘わりませず、今日すでにいわゆる還元米の配給を受けなければ田植を前にしてどうにもやつて行けないという者の多いことが実情なのであります。然るに政府はこのたび食糧確保臨時措置法を改正いたしまして、供出をもつと強化しようとしておるのである。即ち第七條第四項の、政府は農民に対しまして事前割当以上に賣渡しを迫ることができないという点を削除いたしております。又第八條において、現行法では農林大臣は「災害その他眞にやむを得ない事由に困つてその指示に係る農業計画によつて定められた供出数量の主要食糧農産物を供出することができなくなつたときは、市町村長に対して、当該供出数量の変更を請求することができる」という項、即ち災害のあつた場合には事前割当を減らすということを改めまして、「主要食糧農産物の需給の均衡を保持するため特に必要があると認めるときは、作況等を考慮し、且つ、中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基き、都道府縣別の供出数量変更及びその実施に関し必要な事項を定め、これを都道府縣知事に指示することができる」というのを加えまして、超過供出を命令する法律的根拠を與えようとしておるのであります。そのうちに「中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基き」として、農林大臣が天下り的に命令するのではないという形をとつておるのでありますが、実際には中央農業調整審議会は全く無力な諮問機関に過ぎません。一應形式的に諮られるだけであります。又都道府縣知事会議も割当を押し付けられるために召集されるだけのことなのであります。今までの事例を見ましても、都道府縣知事がそれぞれの縣の実情を詳しく述べまして割当の補正を要請しましても、殆んどこれは通つていないというのであります。かように、作柄が幾らかでもいいと、直ちに事前割当を農林大臣が勝手に変更しまして超過供出を命じ得ることにいたしましたことは、事前割当ということの意義を実際には否認することなのであります。結局は毎年、豊作凶作に拘わりませず、農民から一定の保有米を除いて、或いは保有米まで喰い込んで政府が米を農民から根こそぎ取上げてしまうということに帰着するのであります。今農民は供出を喜んでおる者は一人もいないことは、政府は勿論、誰でも知つていることであります。だが、これは決して農民が自由勝手に闇値で賣りたいということで供出を好まないのではないのであります。そういうことではない。政府に賣渡しますその價格が他の物價に比して低く決められておるからであります。パリテイ計算によりまして一般物價との釣合がとれますように決められておると政府は言つておるのでありますが、実際には農産物價格は低く決められておる。その証拠には農家の経済が段々苦しくなりまして、農村の預金も減つておりますし、又農業手形やその他借金をしなければやつて行けない状況がすでに生じておるのである。又國民所得中に占めるところの農民の所得の割合が減つておることも、いろいろな原因はありますが、供出價格が農業生産物の物價に比して低過ぎるために起つておることなのであります。その上に高い税金を取られて、こういたしまして農家の経営、特に米麦專門のところは非常に苦しい状態になつておる。天候に惠まれ、又農民が営々と努力いたしました結果、事前割当を済まして尚相当の余力がある場合に、政府はそれを三倍の價格で買上げることにしておりますので、農民は本來なら喜んで超過供出をする筈なのであります。ところがこの價格でも喜んで超過供出をする者が少いのであります。なぜなら超過供出をいたしますと、次年度の事前割当のときにそれを織込みまして余計に割当てられる虞れがありますし、又超過供出をしてその所得が殖えましたために税金が累進的に重くなりまして、折角超過供出をいたしましても、農民の労力が少しも報いられないという結果になるからであります。今消費地より遠い所に行きますと、白米が一升八十円くらいで、即ち超過供出をした場合よりも二割くらい安い値段で以て賣られておるのでありますが、なぜ超過供出をしないのかと農民に聞きますと、先に述べましたように、次年度の割当の増加が恐ろしい。税金がずつと重くなるのが恐ろしいからだと答えておるのであります。こういう問題を解決しませんで、事前割当を勝手に変更し、農民から食糧を洗い浚い取上げるというやり方は、法律の文面上如何にいろいろな扮飾をいたしましようとも、封建時代の、「百姓と胡麻の油は搾れるだけ搾れ」、「百姓は生かさず、殺さず」のあの方針と、精神におきまして何ら異なるところがないと思うのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)農民が進んで供出に協力をするようにするためには、價格の問題や、税金の問題や、その民主的な運営の方法を相関的に解決しなければなりません。こういう問題を解決しないで一片の法律で農民から超過供出を搾り出すというやり方は、法律によりまして農民を圧殺せんとするものにひとしいのであります。かような百姓殺しの法律が制定されます場合に、それは農民にどんな心理的影響を及ぼすでありましようか、農民の増産意欲はそれこそ消し飛んでしまいます。増産のための積極的な自発的な努力というものはなされませんで、そのために日本の農業の発展は停頓せざるを得ないのであります。これでは却つて経済九原則に定められました供出の能率化を害する結果になることを恐れざるを得ないのであります。この法律によりまして、農民は政府の笞の下に呻吟いたしますところの農奴と化せんとするのであります。それ故にこそ全國の農民はこの超過供出を強制いたします法律に反対いたしまして、國会におけるその審議を絶えず固唾を呑んで見守つて参つておるのであります。又日本農民組合、全國農民組合、農村青年連盟或いは農業協同組合等を初めといたしまして、農民團体が盡くこの法案に対しまして猛烈な反対をしているのも、この農民の意向を反映しているからであります。先にこの法案が農林委員会において審議されましたときにも、只今委員長の報告にも現われております通りに、委員会におきましては否決の空氣が強かつたのでございます。ただ採決の間際になりまして、二、三の人々が俄かに賛成の態度を表明されましたために、漸く八対八になり、委員長の一票で通過したというのが実情であつたのであります。民自党は野党時代におきまして、供出後の米の自由販賣を唯一の農業政策のごとくに宣傳しておつたのであります。(拍手)然るにこの民自党が内閣を組織いたしますと、一夜にいたしまして超過供出まで強制する法律を作るのであります。公党としての公約無視これより甚だしいものはありません。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)民自党諸君はこの点につきましては一言もない筈であると私は思うのであります。(「何とか言え」と呼ぶ者あり、拍手、笑声)又農林大臣は、どういう心境の変化で以てこの法律を出されることに御賛成になつたのでありますか。(「時間だよ」と呼ぶ者あり)私は農林大臣が野党時代におきましては米の供出後の自由販賣の急先鋒であつたことを知つておるのであります。(拍手)今農林大臣は、この法案が審議されるときに、何のかんばせあつてここにおられるのでありましよう。(拍手)私はこの法案を出す以前に当然農林大臣は、みずからの主張が正しいと信じられましたならば、(「時間だ」と呼ぶ者あり)辞職されておつたのが当り前ではないかと思うのであります。(「その通り」「時間超過」と呼ぶ者あり、拍手)この改正案は、農民の意見も主張も盡く封じ、命令を以ちまして農民から洗い浚い供出させようという、非民主的な、誠に封建的な匂いのする恐ろしい法律であります。賢明なる諸君、この法律が六百万農家の動向に深甚なる影響を與え、日本農業の発展を妨げ、延いては日本経済の復興の障碍となるものであることをよく認識されまして否決されんことを是非共お願いしたいのでございます。私の反対討論をこれを以ちまして終りといたします。(拍手)
  32. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 國井淳一君。    〔國井淳一君登壇、拍手〕
  33. 國井淳一

    ○國井淳一君 私は無所属懇談会及び農村出身議員諸君の眞実の氣持を代表いたしまして、ここに反対の討論をいたす次第でございます。(拍手)  私がここに反対するゆえんのものは、日本再建に最も必要な主要食糧を更に一層増産したいというこの熱意によつて反対をするのでございます。先程委員長から御報告がありました通り、今回関係方面から主要食糧確保につきまして重要な指令が発せられたことは御承知の通りでありまするが、その一つは、最大限に主食の増産ができるような措置を採れということと、もう一つは、最も効率的にこれを集荷する方法を採れ、こういう二つの点にあるのでございます。現在日本がアメリカからの好意によりまして、即ちアメリカ國民一人当り八千円の税負担によつて主食の輸入を得まして、二合七勺を確保いたしておりまする今日、且つは九原則によるところの経済自立のためには、主食の増産と同時にこれが確保は最も大きな基礎的な條件であるということを考え併せまして、九原則の指示と同時にこの指令が発せられたことにつきましては、最も時宜に適したものとして私はここに満腔の賛意を表する次第であります。然るに政府はこの指令に基きまして、この指令を蹂躪し、或いは農民を絶望のどん底に叩き込み、全く増産の意欲を喪失せしめるがごとき甚だ奇怪なる措置を採らんとしておるのでございます。これがこの改正法として現われて参つたのでございます。全國の農民はひとしく新日本建設のために、農村の民主化、農業の近代化、増産、この三つの大きな課題に向つて必死の努力を傾けておりますることは、諸君も御承知の通りであろうと思うのでありまするが、政府にここに農林行政の貧困を暴露したと申しましようか、或いは関係筋への努力の不足とでも申しましようか、農民の進路を阻止いたしまして、九原則によるところの産業再建を遅滯せしめんとするがごとき食糧減産の暴挙を敢えて犯さんとしておるのでございます。(拍手)それが即ちこの食確法の改惡であると私はここに断言せざるを得ないのであります。食糧確保臨時措置法につきましては、先程岡田議員及び楠見議員より説明がございました通り、昨年の七月に制定せられたものでありまするが、一言にして言えばこれは事前割当の制度なのでございます。この事前割当の建前は、農民に予め生産目標なり供出量を決定して、それ以上の増産は農家に保有といたしまして、これを供出するなり自家消費するなりによつて農民に希望を與え、農民の増産意欲を高めようとするところにあるのでございます。昨年七月には、議員諸君はこの意味におきまして、法の制定に賛成せられたと思われるのでありまするが、今この改惡法によれば、この生産目標を努力を以て増産した量に対しましても供出の対象とすることができるというのでありまして、この追加出供の法制化は、現在の強権発動を背景とするところの供出を更に強化拡大する意図でございまして、これを農民は直感いたしまして、まじめな人たちはもうすでに反撥するような氣勢を見せて來ておるのであります。かような惡い結果をもたらす以外の何ものでもないのでございます。而もこの生産目標、供出目標は、恐らくは昨年、一昨年と全く変りのない苛酷なものでございまして、一昨年來言われておりまするところの供出恐慌であることにおいては何ら変りはないのでございます。而も農民は、この事前割当以上の僅かに増産された分を以て、再生産のための必需物資の交換に充てるとか、現に生産費を二〇%、三〇%割つておるところの農産物價格を補充して、そうして苛酷な税金に充てようとして、超人的な努力を続けて來ておるのでございます。この税金は昭和十二年においては五%、二十二年になりますると実に三五%に上つて來ておる。この税金はどうして使われておるかというと、鉱工業の復興に皆持つて行つてしまつておる。農民のためには使われておらないのであります。而も農民は現下の食糧事情と自己の社会的な任務をよく認識いたしまして、二十三年度において政府の割当以上の供出を懇請されました場合にも一〇〇%これに應じておる。自分の肉を裂き骨を削つて自分の食糧をつめて供出しておる。然るに突如としてこれを法制化しようという理由は一体どこにあるのでございましようか。先に申上げましたように、これは二つの趣旨から出ておるのでありまして、恰かも車の両輪のごときものなんであります。増産ができてこれを集荷するというのでありまするが、増産に対する措置は政府は私は何らとつておらないと断ぜざるを得ないのでございます。今回の國会におきまして、御承知のように土地改良法案なるものが出ておりまするが、これは本当の空念佛でございます。予算的裏付けが何らないのでございます。かような状態で増産ができるでありましようか。又生産及び生活の必需資材にいたしましても必要量に満たないのでございます。それから報奬物資などということも変な名前を付けております。都会の人たちはこれを聞いて、田舎の人たちはただで何か物を貰つておるものと眞実信じております。私はそう言われた。報奬物資という馬鹿々々しい名前を付けて農民にいろいろな品物をよこしておりますが、これが甚だ粗惡であつたり、又使いものにならないものであつたり、聞くところによりますと、閣議におきまして、木綿の配給をするということに決つたのがいつの間にか銘仙に変つていたり、而もそれが非常に高價で、農産物の價格を以てしましては買うことができないような銘仙が配給になりまして、これを股引にして田圃に行くわけに行かない。こういうものが配給になつておるというのが実情なのでございます。こういうふうに増産に対しては全く手も足も出ないような中におきまして、事前割当を超えての増産というものは、全く農民の異常なる努力と創意の結晶でございまして、これを政府の一方的な條件によりましてむしり取るというような法制化につきましては、丁度戰爭中非常に惡法であると言われたところの作付統制令的な性格だけがこの改正によつて残される。全く農民は努力の目標を失つてしまうに至ることは必定でございます。農民が絶望の中に投ぜられると私が先程申しましたけれども、さなきだに不当な農産物價、苛酷な苛斂誅求の前に、封建時代の惡政の頂点において行われましたところの「走り百姓」、即ち逃散、こういうようなみじめな消極的徴候が現に現われておるのでございます。政府はこれを発表いたしまして、五千町歩だと申しておりまするが、民間の研究によりますると、実質的にはこの十倍の五万町歩あるだろう、こう言う人があるくらいなのでございます。こういうような土地放棄が今後ますます起つて來ると思わなければならないと思うのであります。これは大変に大きな減産になる。昨年の七月に制定せられまして、まだ一遍もこの法律は使つておらない。一應今年の春使いましたけれども、これの結果は麦が穫れ上つたとき、それから米が穫れ上つたときに現われるのでありまして、使わないと同樣なのでございます。この結果を見ないで今朝令暮改を行うわけなのであります。必需資材、それから報奬物資等についてはたびたび農民を政府は騙して來ております。政府の言うことかと言うて相手にいたさない。そこに持つて行つて、一遍も使わない法律、而もこの法律の結果を見ないうちに取替えることとなりましたならば、農民は政府に対して全く信頼の氣持を失つてしまうことは確かでございます。こういうことになりますと、減産は無論のことでございまするが、尚一層恐るべき結果を派生して來ると私は信じまして、この法律に反対するわけなのであります。(拍手)若しこれに賛成さるる議員があるとするならば、更に参議院におきまする賢明な議員諸君の法律制定につきまして、何ら権威が認められないことになつてしまうのではないかと思うのでございます。去年皆さんが制定しまして、使つても見ないでこれを廃棄してしまうということは、これは一体どういうことになりまするか。これに賛成される議員があるとするならば、私は何を狼狽してかようなことに賛成さるるのかお聽きしたいと思うくらいなのでございます。今日の記名投票におきましては、尊敬すべき同僚議員諸君は、祖國再建の熱意に燃えておるところの全國農民の燃えるような注視の眞只中に立つてあなた達は記名投票をされる。よろしくあなた達の良識に訴えられて、まじめな行動をとられんことを切に願いたいのでございます。
  34. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。    〔板野勝次君登壇、拍手、「簡單に願います」と呼ぶ者あり〕
  35. 板野勝次

    ○板野勝次君 経済安定九原則が日本復興のために必要な根本方針でありますことは、論議の余地のないところであります。議論の分れるのは、これを大資本のために惡用するか、人民のために善用するかであります。然るに吉田内閣はこれを大資本家擁護のために最大限に惡用し、人民大衆に犠牲を強いる武器として活用しておるのであります。即ち賃金を飢餓線に釘付けし、ストライキを禁止して、大量首切りをやり、飢餓輸出と資金資材の大資本による独占によつて、中小商工業者を破産させ、大衆に恐ろしい重税をかけ、天下り割当、強権供出、生産費を割る米價によつて農民を極貧に突き落し、これらと闘う人民の政治的自由を全般的に奪つて、我が民族にその独立を失わせるために使つておるのであります。今期國会に現われた諸立法はこのことをはつきりと示しておるが、今上程された食確法及び食管法の一部改訂の両案も、九原則の一つ、食糧集荷計画の改善をば右の目的で民自党的に改竄したものであつて、私は日本共産党を代表して、人御の利益を申るために、農民の首から敵の手を放させるために、これに反対するものであります。  第二國会において食確法が衆議院農林委員会に付託されたとき、民自党代表森幸太郎君は、これは強制的な供出を行わせなければならない結果になる。供米以外のものに対して三倍で買うのは、奬励措置であるとは言えない。生産者が満足する價格を設定すべきで、報奬物資で釣るやり方は止めるべきだと主張し、所得税が非常に重い課税で、その上無理な供出割当であるために、耕地返還が非常に多いと、当時の政府の農政を非難し、天下り的ではなく、下から盛り上る供出でなければならぬことを強調して、反対の意思を表明したのであります。ところがこの森君が一夜明けて民自党政府の農林大臣になつた今、曾てのこの言葉の一片をでも実現したでしようか。そのかけらさえも実現しようと努力しないばかりか、みずから攻撃した当時の政府の政策をそのまま引継ぎ、生産費を價わない米價、水増し重税、欺瞞的な報償制をそのまま強行する大臣の椅子に腰を下しておるのであります。そうして食確法を更に改惡して、日本農業を守る誰もが賛成できない超過供出を強要し、今までよりも更にひどいところの裸供出で農村飢餓の悲劇を続出させようとしておるのであります。これは米の自由販賣で國民を釣つた民自党の性格を端的に示しております。言い換えれば、看板を廻してその裏を出したものであります。「供出完納後の主食は自由販賣」という表看板の裏には、日本農業の破壞が隠されておつたのであります。  一昨年は、主食の生産農家戸数五百五十四万八千戸の五割九分、三百三十七万余戸が主食の配給を受けなければならぬ不完全農家でありましたが、民自党政府の露骨な食糧の外國依存と日本農民に対する徹底的な收奪政策の結果、最近轉落農家が急速に増加し、四百五十万乃至五百万戸に達するものと見られるに至つたのであります。これは民自党政府が行政措置としてやつた超過供出強行の結果であります。この超過供出を食確法改訂で合法化すると共に、更に食管法をも改訂して、供出強化によつていよいよ激しくなつた農家の還元米要求に押された知事が、その権限で還元配給を操作しなければならなくなつた傾向を見て取つて、この知事の権限を制限し、知事の立てる食糧配給計画はすべて農林大臣の指図に從わしめることを盛り込み、轉落農家の生活を一層窮迫させて、耕作放棄を政治的に続出させようというのがこの改惡案であります。政府の生血をすするがごとき裸供出強制の憂目に遭つた二合半領轉落農家の悲惨なる生活は、今や全國農民の姿であります。私は法案審議の際、轉落農家が遅配欠配のため、耕作するよりもむしろ耕作を放棄して、生きんがためには鍬を捨てた消費者となつた食糧の配給を受けねばならぬ全國的現象を指摘して、還元米をめぐる政府の措置について具体的な資料提出を再三要求いたしましたが、これを提出しないのみか、政府は全くこの問題に心を傾けていないことを暴露したのであります。このことは明らかに政府が耕作放棄を喜び、農業を破壞に任せて、その隙を見て、数日前國会を通過した農地関係改訂法規の裹打ちで地主に土地を與える政策であることの証拠であります。その巧妙さ至れり盡せりであるということは驚くの外ないのであります。  我が党は九原則の線に沿つて、我が國農業の拡大再生産確保の保証と食糧の公平なる分配を期するために、次のごとく主張するものであります。  食確法については、第一に、農業計画を民主的に立てられるように修正する。第二、そのために中央及び都道府県並びに市町村農業調整委員会を議決機関とし、委員の選挙方法も五十日以上農耕に從事する者に選挙権及び被選挙権を與えて、徹底した民主的選挙とし、リコール請求権を有権者三分の一から五分の一に改正し、市町村長に対しても地方自治法を準用してリコール制を採用するようにする。第三、農業の再生産用資材を確保することと、農家の飯米確保の責任を政府において負うことを明確に規定する。第四、戰時中の作付統制の再版である條項を全部削除すること。  この四修正点に加えて、強権供出で農民を脅迫する食糧緊急措置令を撤廃し、これを食確法の中に貫かしめることによつてのみ、初めて民主的な完全供出が実現され、九原則を人民のために善用することができるのであつて、小手先の修正や、この惡法の反農民性を、食糧増産確保基本法案のごときもので補わんといたしましても、食確法の持つ農業破壞政策を救い得るものでは断じてないのであります。これは却つて超過供出を固定化し、農業破壞政策を合理化しようとする惡い結果を生むものと確信するものであります。  又食管法についても改正するというならば、第一に、食糧の集荷配給を天下り的な官僚方式に任せず、農民團体、労働團体、消費者代表による民主的な中央及び地方食糧委員会のごとき機関を設け、食糧集荷配給を御主的に運営する。第二に、農家の法定保有米の確保と轉落農家の飯米確保を保証する。第三に、主要農産物價格の決定には、科学的な基礎による生産費、平均利潤の完全な保証の原則を明記し、價格には地域差を設け、包装費は別途計算とし、中央食糧委員会の下に中央農産物價格審議会を、これ又民主的な方法によつて構成し、從來の官僚による天下り的價格決定を排除する。價格決定はこの種委員会の決議を経て國会で議決することとしてもよいのであります。第四、政府の産業破壞政策に伴う失業者の激増、賃金の遅配欠配現象に対処して、食糧の掛賣制度を認めて、生存権の保障を與えることを規定し、定し掛賣制度が政府弁明のごとく、会計法上困難であれば、今計法を改正すべきである。これを主張したいのであります。第五に、罰則を緩和しまして、体刑はこれを廃止すべきであります。このようにしてこそ初めて改正という言葉に値いするものであります。  両改訂法案は、我が國農業を破壞し、農家経済の深刻な窮乏化を招來し、零細農民に米を作らせぬように仕向け、國民の消費生活を圧迫し、勤労大衆を飢餓状態に追込む結果となる法制強化で、独占資本の利益を守る両案でありますから、我が党は断乎反対するのであります。定員法、食確法等成立のため会期延長を一方的に強行し、多数を恃んで法案を通過させるのは容易でありますが、食確法改惡は農民の怒りに触れ、これに苦しめられる人民の一大反撃とならずにはいないことを確信するのであります。何とぞ良識ある議員諸君の手によりまして、両改正案が否決せられんことを希望するものであります。(拍手)
  36. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 三好始君。    〔三好始君登壇、拍手〕
  37. 三好始

    ○三好始君 私は新政クラブを代表し、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案は日本農業政策の後退を示すものであると考えまして、これに対して反対の意思を表明せんとするものであります。  今回の改正案の要点であり且つ論議の焦点となつておりますのは、農林大臣に供出数量の変更権、即ちこの場合は追加供出の割当権を認めんとする第八條の改正規定でありますが、これは少くとも農家経済の立場から言えば事前割当制度の実質的な放棄であり、供出数量を含む農業計画の根本的な破壞を意味するものであります。私はこの改正案が有する経済的並びに政治的意義について、少くとも次の諸点を指摘しなければならないと思うのであります。  先ず、追加供出の法律化によつて主要食糧農産物の需給の均衡を保持せんとする企ては、農民の立場を無視して一時的短期的な需給の均衡を強行するに止まつて、これによつて農民の協力に基く生産増加の実現に著しくブレーキをかけざるを得ないということであります。食糧問題の打開は、このような摩擦の多い短期的な措置によつてなし得るものではなくして、合理的な生産増加に求めねばならないことは論を俟たないのであります。私は戰時中以來の供出制度の欠陷、特に強権的な、農民心理を無視した割当制度が食糧増産を阻碍して來た事例を幾らでも示すことができます。今回の改正案は、この過ち自身を法律化することになる虞れがあると言えるのであります。これは運用よろしきを得れば、供出制度の著しい前進を期待されていた事前責任割当制度を、根本的に破壞し後退せしむるものと言わねばなりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)供出制度の改革は、合理的な統計調査事業の強化を基礎として、公平の原則に從い、農家の努力が報いられる方向に進むべきものと考えられるのであります。ところが政府は先ず農林省設置法案において統計調査局を部に格下げし、更に追加供出を農林大臣の権限として認めることによつて、供出制度後退の途を選びつつあると考えられるのであります。これら一連の政府の拙劣なる政策は、農家経済の萎縮を來すだけでなく、我が國農業生産の停滯を招くものであり、戰後の世界経済並びに國民経済の動向に適應すべき日本農業の自主的発展をも抑制するものと言わねばなりません。  次に、私は本改正案の持つている政治的な意義を指摘して見たいと存じます。民自党の主張して來た供出完了後の主食の自由販賣は、棚ざらしになつている民自党の公約の中でも最も古く且つ有名なものでありますが、今回の改正案は、表面的には供出完了後の自由販賣という公約と正面から矛盾するものでありますが、(拍手)本質的には同一の基礎の上に立つていると考えられるのであります。(拍手)それは供出制度に対する科学的な調査研究の不足という点であります。合理的な基礎を欠如した政策が容易に他のものに変更されることは、供出数量の変更よりは遥かに容易なことなのであります。(拍手)私は民自党によつてまさになさるべき食糧確保臨時措置法の改正は、供出了完後の自由販賣という素朴な政策に対して、國民経済の現段階に適應するというような改変を加えた上、これを改正案の内容とすべきであつたということを御忠告申上げたいのであります。而して若し短期的な食糧の需給調整上何らかの法的措置が必要であれば、それは農民の努力に対する報奬を保障することを中核としたものであるべきであつたと思うのであります。  私は簡單に以上の要点を指摘し、政府の農業政策の貧困に遺憾の意を表して反対討論を終ります。(拍手)
  38. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。本案の表決は記名投票を以て行います。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  39. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  40. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百四十五票、白色票即ち本案を可とするもの八十八票、青色票即ち本案を否とするもの五十七票、よつて本案は委員会修正通り可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     八十八名       阿竹齋次郎君    井上なつゑ君       岩本 月洲君    宇都宮 登君       江熊 哲翁君    小野  哲君       柏木 庫治君    河井 彌八君       來馬 琢道君    高良 とみ君       小杉 イ子君    小宮山常吉君       鈴木 直人君    竹下 豐次君       高田  寛君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    中川 以良君       波多野林一君    久松 定武君       姫井 伊介君    藤井 丙午君       堀越 儀郎君    松村眞一郎君       宮城タマヨ君    村上 義一君       山崎  恒君    赤木 正雄君       安部  定君    飯田精太郎君       伊藤 保平君    奥 むめお君       岡部  常君    岡本 愛祐君       岡元 義人君    尾崎 行輝君       木下 辰雄君    九鬼紋十郎君       楠見 義男君    島津 忠彦君       島村 軍次君    下條 康麿君       宿谷 榮一君    松嶋 喜作君       遠山 丙市君    森田 豊壽君       小林 英三君    徳川 宗敬君       玉屋 喜章君    水久保甚作君       徳川 頼貞君    藤野 繁雄君       穗積眞六郎君    田口政五郎君       岡田喜久治君    山本 勇造君       結城 安次君    渡邊 甚吉君       城  義臣君    池田宇右衞門君       堀末  治君    大島 定吉君       平沼彌太郎君    柴田 政次君       小杉 繁安君    板谷 順助君       石川 準吉君    紅露 みつ君       藤井 新一君    北村 一男君       石川 一衞君    仲子  隆君       中川 幸平君    佐々木鹿藏君       淺井 一郎君    大隅 憲二君       尾形六郎兵衞君    木檜三四郎君       鬼丸 義齊君    櫻内 辰郎君       油井賢太郎君    星   一君       入交 太藏君    高橋  啓君       小林 勝馬君    門屋 盛一君       岩木 哲夫君    林屋亀次郎君       中井 光次君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名    五十七名       加賀  操君    鈴木 安孝君       田中 信儀君    内村 清次君       梅津 錦一君    齋武  雄君       村尾 重雄君    門田 定藏君       塚本 重藏君    河野 正夫君       山田 節男君    カニエ邦彦君       和田 博雄君    森下 政一君       青山 正一君    若木 勝藏君       島田 千壽君    吉川末次郎君       天田 勝正君    板野 勝次君       細川 嘉六君    中野 重治君       中西  功君    岩間 正男君       鈴木 清一君    木村禧八郎君       堀  眞琴君    原口忠次郎君       池田 恒雄君    星野 芳樹君       太田 敏兄君    金子 洋文君       小泉 秀吉君    大野 幸一君       千田  正君    國井 淳一君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    岩崎正三郎君       河崎 ナツ君    丹羽 五郎君       原  虎一君    下條 恭兵君       島   清君    中村 正雄君       三好  始君    佐々木良作君       波多野 鼎君    三木 治朗君       木下 源吾君    山下 義信君       岡田 宗司君    駒井 藤平君       小川 久義君    岩男 仁藏君       鈴木 憲一君      ―――――・―――――
  41. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 次に食糧増産確保基本法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  42. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  43. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 次に食糧管理法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  44. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。議事の都合により暫時休憩いたします。    午後三時十九分休憩      ―――――・―――――    午後五時二十四分開議
  45. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、会議を開きます。  五月二十五日、草葉隆圓君外一名より成規の賛成を得て、議員金子洋文君、中西功君、岩間正男君、原虎一君、板野勝次君、細川嘉六君、中村正雄君、カニエ邦彦君、天田勝正君を懲罰に付するの動議が提出されております。  同日、木下源吾君外四名より成規の賛成を得て、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君及び矢野酉雄君を懲罰に付するの動議が提出されております。  又、中野重治君より成規の賛成を得て、同じく議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門物、岡元義人君、北村一男君及び矢野酉雄君を懲罰に付するの動議が提出されております。それら三つの懲罰動議をこの際一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。即ちこれより右の三つの動議を一括して議題といたします。先ず順次提出者の趣旨説明の発言を求めます。草葉隆圓君。    〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
  47. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 (「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)私は本日悲痛なる心情を以ちまして本懲罰動議を提出せざるを得ないことを悲しむ次第であります。私は最も愼重な態度と議員としてのみずからの嚴正なる批判とを以ちまして本動議を提出いたしましたことを、どうぞ十分御了承を賜わりたい次第であります。帝國憲法はすでに(「何、帝國」と呼ぶ者あり、笑声)廃止され、暴力は否定され、(拍手)新日本の基本たる憲法は民主主義日本の基礎を確立いたしまして、この基本によつて國権の最高機関として、將又國の唯一の立法機関としての國会は、他の如何なる機関にも比し最も重大なる使命を有しておりますることは、私が今更多言を要しないところであります。從つて日本の正しき且つ民主的にして平和的な進展は、先ず國会の正しく且つ円滑なる而も公正なる運営とその使命達成とに俟たなければならぬものでありまして、なかんずく上院制度としての本院の使命が特に重大であるということは、諸君万々御承知の筈であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに去る二十三日の夜半における本院のあの騷擾とあの暴行事件とはどうでありまするか。誠に悲しまざるを得ないと存じます。先ずその日の午後十一時半過ぎ頃、議院運営委員会の開会中におきまして、カニエ邦彦君は、何にも関係のない傍らに立つておりました加藤常太郎君がどよめきに押されました際、無謀にも突然、全く突然、鉄拳を以て加藤君の顔面を数回殴打いたしまして、遂に負優せしめたのであります。この点をもう少し詳細に申上げますると、その日の午後十一時やや過ぎ頃でありましたでしようか、本院の運営委員会が相当論議を盡されておりますので、これを傍聽いたしておりました加藤君が衆議院に参りまして、副総理と増田官房長官とを伴つて、本院の議長サロンで開かれておりました運営委員会に案内をして、委員長の斜め横後方に立つて傍聽をしておつたのであります。ややいたしまして、カニエ議員が突然加藤議員の前に押し出て参りました。傍聽者は御案内のように、同夜立錐の余地のない程多数でありまして、加藤君は熱心に傍聽いたしおるうちに、人波に押されまして、前の方に崩れかかつたので、前方によろめいた途端に、前におりましたカニエ君は突然後ろを振向き、何で肩に手をかけるかとどなつたのであります。加藤君は後から押して來たので仕方がないじやないかと言い終らぬうちに、何をぬかすかと言わんばかりに、同時に鉄拳を以て左頬あたりを非常に強く殴打いたしたのであります。加藤君は無抵抗の姿をとりまして、両手の手で顔お抑え、而もカニエ君はそれにも拘わらず、三、四回続けざまに殴りましたので、何とかして体をかわしてこの難を逃れようとしたが、傍聽人の一杯おります所で、身動きもならないのでありますから、身体をかわすことができなんだのであります。從つて顔や唇あたりを二、三度殴られまして、加藤君は唇を切つて出血いたしたのであります。実の誠にとつさのことではあり、その附近の人々もこれを止めようといたしましたが、加藤君は幸いに人波に押し出されて逃れることができたのであります。  次いで本会議が午後十一時五十分過ぎ頃再開されんといたしまするや、議長松平恒雄君が議場に入り、議長席に着くために丁度議事部長の机のあたり前に参りますや、板野勝ひこ君に続いて中村正雄君、カニエ邦彦君、中西功君、細川嘉六君、岩間正男君、原虎一君並びに天田勝正君等は相擁してスクラムを組みながら、集團的に議長の歩行を阻止いたしたのであります。(「嘘だ嘘だ」「後から嘘を言つたら懲罰だぞ」と呼ぶ者あり)このことについてもう少し詳細に申上げると御了解が頂けると存じます。即ち二十三日の夜半、議院運営委員会が終了いたしますと同時に振鈴が鳴りましたので、議員は議場に入つたのであります。直前の議院運営委員会の事件を反映いたしまして、議員おのおの相当興奮いたしておつた状態であります。板野勝次君は、そのとき逸早く先頭を切つて演壇に駈け上り、右の自席の方を向きまして、腕を振つて、頻りに叫び声を出して叱呼いたしまするとき、中西功君、岩間正男君、細川嘉六君、中村正雄君、原虎一君、カニエ邦彦君、天田勝正君の諸君らが壇上に殺到いたしたのであります。それと前後して、松平議長は、いつもの入口から衞視に先行されて、衞視よりも二、三歩遅れたと思われる位置を通りながら入つて参りました。この議長の入場を見まするや、板野君は率先して、議長に向つて突き進んで参つたのであります。議長が丁度議事部長前あたりに参りますると、先刻から待機しておりました中西功君、岩間正男君、中村正雄君、原虎一君、カニエ邦彦君、細川嘉六君、天田勝正君らが議長の前に立ち塞がつたので、議長は遂に通行ができなくなつたのであります。続いて参りました衞視らは、これらの議員を除こうといたしまするが、それができない。それで議長を着席さして下さいと呼ぶのでありまするが、揉み合うて、それが徹底いたさないのであります。そのうちに一人の衞視が前に進んだ外の衞視の後から議長の通路を開けようと努力いたしまするが、どうしても通路が開かない。議場は御案内のように殺氣立ち、騒擾この上もなく、怒号罵詈、殆んど喧々ごうごうとして騒いでおつたのは御承知の通りであります。衞視一人が少々通路を開けました時、カニエ邦彦君が左側から空間に潜り込むようにして議長の足許に向つて飛び込んだのであります。そうして議長の足をしつかり捉まえて動かさなかつたために、議長は全然歩行ができなくなつたのであります。議長を取囲んでおりましたこれらの議員諸君は、小委員会を開け、小委員会を開けと口々に叫んでおる。その側におりました一人の衞視が、誰か下にしやがんでおるような恰好でありまするから、こう揉み抜いておる中では危險この上もないと思いまして、両脇を引張り上げて起して見ますると、それが先に飛び込んだカニエ邦彦君であつたのであります。(笑声、拍手)こうしておりまするうちに、議長は議案を一人の職員に渡しまして、これを副議長にやつて呉れと言われましたが、揉み合いの中から抜け出して副議長に渡すことができませんから、北村一男君を通じて副議長に渡したのであります。それから事務総長が現われて、議長席に着席されたのであります。一方この状態を先刻から見ておりました副議長の松嶋喜作君は、議長席に走つて参りまして議長席に着かんといたしましたが、これを見まするや、中西君、金子君らの諸君は、議長席及び演壇に殺到いたしまして、それから後から後から次々に殺到して参る状態に相成つたのであります。先ず中西功君、金子洋文君の両君は、副議長が議長席におりまするから、その副議長を議長席から引ずり下そうといたしまして、最初には松嶋副議長の手を取つて引つ張り、次には足を持つて引つ張つた。一度は副議長はよろめいて席を離れそうになりましたが、御案内のように大きい体でありまするから(笑声)又腰を据えられたのであります。(「笑い事ではないよ」と呼ぶ者あり)暴行は尚も続いて参りました。中西君は右手を引張り、金子君は左手を引張り、肩を持つて倒さんとし、書類を引取つて破らんとし、マイクを倒す、この二人を中心といたしまして、議長席の前後は罵詈怒濤の渦を巻き、その中に漸きにして議事が進められたのは御案内の通りであります。かくのごとくにして議長の職務を妨害いたしましたことは諸君よく議認されたところであり、且つ御記憶に新たなるところであり、何人もこれを否定することのできない事実であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)このことは我が國議会運営の上から申しましても、憲政上からこれを見ましても、未だ曾て見ざる大不祥事件と言わねばならぬのであります。(拍手)この暴行、暴挙は、第一に、暴力を以て民主國会を破壞せんとする行爲であり、憲法に逆行するものであると断ぜざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)申すまでもなく、我が國民は、正当に選挙された國会における代表者によつて行動をし、そもそも國政は國民の嚴粛なる信託によるものでありまして、その権威は國民に由來し、その権力は國民の代表者たる我々がこれを行使するものでありまして、この國民の代表者たる我々議員がみずから暴力を以てこれを否定せんとするのみならず、議事を整理し議院を代表する議長の職務を阻止妨害するがごときは、古今東西我々の曾て聞かざるところでありまして、議長に対しましては暴力を以て一指だに触れるべきでなく、かくのごとくいたしましては民主國会の否定であり、國民負荷の反逆と言わねばならぬと存ずるのであります。(拍手)我々は國民の信託に対する責任上からも、かくのごとき暴挙は絶対に排撃しなければならないと存ずるのであります、(「同感」と呼ぶ者あり、拍手)  第二には、参議院の使命を冒涜するものであります。たとえ衆議院が解散され、混乱に陷り、その機能が停止いたされました場合と雖も、我が参議院は嚴として存在し、常に冷靜に且つ嚴正に、國権の最高機関として、二院制度の本院の使命を達成すべきであるに拘わらず、かくのごとく行爲は本院使命の冒涜であり、みずからの権利と義務とを放棄し否定するものと言わねばならないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  第三には、議院を騒がし、議院の品位と体面とを汚すもの、これより大なるはないと存ずるのであります。議長の職務執行を阻害し妨害するがごとき行爲を默視することは、みずから墓穴を堀ることであり、かくのごとく暴行をなす者は一日も速かに一人も残さず一掃されなければ、参議院の品位と体面とは保たれないと存ずるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり(拍手)  第四には、計画的に而も集團的に行われたという事実であります。これは單純な個々の暴行とおのずからその趣を異にする最も重大なる点と存じます。共産党諸君は平素言論の自由を叫び、口に民主主義を唱えながら、全くこれと反対にかくのごとき暴行をなすがごときは、一種のクーデターと非難され、共産党は暴力革命を(拍手)本心とすると断じられましても、いたし方がないであろうと存じます、(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)又社会党のこれらの諸君は、どうしてこの共産党の暴挙に加わり、(笑声)而も相共に暴行をなされたのであるか。諸君は遂に共産党と行動を共にする方針をおとりになるに至つたと國民から非難されましても、弁解の余地がないであろうと存ずるのであります。(拍手)一昨日でありましたか、栗山良夫君が、議長を阻止したのは衞視諸君であると言うに至りましては、言語道断であり、詭弁も甚だしいと存ずるのでありまして、私が先に申上げました通り、議長を阻止いたしましたのはこれらの議員諸君でありますることは、関係者が強く言明いたしているところであります。諸君、かくのごとく暴挙がこの大衆環視の中において、而も最も神聖であるこの議場の中で公然と行われましたことを看過して、どうして憲政の運行、民主國会の運営ができるのでありまするか。世界の人々はこの事件を凝視し、刮目して見ている。我々は暴力を否定し、平和を宣言して、漸くにしてすでに二ケ年、著々これを実行しつつあるのに、今や共産党と社会党の以上の諸君がこれを破つた。誠に悲痛に堪えない次第であります。殊に我々は國際信義に立脚し、世界の信用を高めつつあります際、かくのごとき暴力による集團的行爲は、フアツシヨ的(「討論じやありません、今は……………」と呼ぶ者あり)共産的、反動的でありまして、(「議長、注意しろ」と呼ぶ者あり)社会党、共産党、以上の諸君がこれらの暴行をなさいますことにつきましては、衷心遺憾に堪えないのでありまして、我々は本院の品位と名誉にかけまして、須らくこれらの暴行議員を追放し、除名し、その使命に立ち帰り、以て本院の体面を保たせねばならないと存ずるのであります。諸君はこの神聖なる議場において、集團的暴力を肯定されるのでありまするか。恐らくや然らずでありましよう。諸君の純眞なる良心に訴え、涙を呑んで馬謖を斬るため、この懲罰動議を提出した次第であります。必ずや諸君はこの暴力の否定に対し全員挙つて御賛成を賜わることと固く信ずる次第であります。(拍手)    〔中村正雄君「議長、議事進行」と述ぶ、「中村君の議事進行を許して下さい」と呼ぶ者あり〕
  48. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 中村君、何ですか。
  49. 中村正雄

    ○中村正雄君 自席から発言の許可を願いたいと思います。
  50. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) どうぞ。
  51. 中村正雄

    ○中村正雄君 只今草葉隆圓君の趣旨弁明の説明中、趣旨弁明の範囲を超えている点があると考えますので、取消を要求いたします。と申しますのは、現在懲罰動議が提出されておりまするのは、中村正雄とか或いはカニエ邦彦、板野勝次とかいう参議院議員一人一人に対する懲罰動議の提出であります。共産党或いは社会党に対する懲罰動議の提出ではないと考えております。(「同感」と呼ぶ者あり)にも拘わらず、これらの懲罰動議を出されました本人に対する事実の弁明であるならばともかくも、只今の趣旨弁明の中に、社会党を誹謗し、共産党を誹謗する言辞が弄されております。これは我々党員といたしまして断じて默視することはできません。(「その通り」と呼ぶ者あり)從つて草葉隆圓君に右の條項に関する取消を要求いたします。(拍手)    〔「必要なし」「取消せ」「党の誹謗は取消すこと」「逸脱している」と呼ぶ者あり〕
  52. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 只今の中村君の御発言に対しまして、共産党並びに社会党という言葉を、これを取消します。(拍手)
  53. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 木下源吾君。    〔木下源吾君登壇、拍手、「拍手はよせ」と呼ぶ者あり〕
  54. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は只今上程されました議員淺岡信夫君外六名にかかる懲罰の動議につきまして、発議者を代表いたしましてその趣旨を御説明申上げます。先ずこの動議を提出しなければならないゆえんは、先に草葉君の説明の中にありましたような、そういう部分を含んでいると御了承願います。ただ私はこの動議を提出するに当りまして、事実を事実として率直に申上げるだけであります。決して美辞麗句、形容、そういうものを私は積み重ねて、そうして諸君の御賛成を得る足しにしようとは考えておりません。(拍手)尚、主観的に本件以外の方々の意思を付度してのことは一言も申さないのであります。以上御了承を願いまして、以下私は御説明を申上げたいと思うのであります。  そもそもこの懲罰事犯の起りました五月二十三日は、第五國会の最終日と予定されまして、議長は極めて輻輳いたしておりましたために、この議事を如何に運営さるべきかについて議院運営委員会の問題となり、延いては政府側の会期延長の申入れがありましたので、同委員会はますます紛糾いたしたのであります。それをかかる混乱したる情勢の下において、懲罰事犯がこの運営委員会と、本会議と、両方において起つたのであります。即ち運営委員会は、当時休憩に次ぐ休憩という異常な空氣の中に、各党議員を初め立錐の余地なきまでに傍聽者が充満しておりました。從つて委員以外の発言が多く、皆、自党の主張を有利にせんがために種々の行爲となつて現われました。これが後に各議員について詳細に申述べますように懲罰事犯となつた。このような原因のあつたがために起つたのでありまして、ただ咄嗟に偶然に突発したものではないのであります。二十三時四十七分、即ち十一時四十七分、あと十三分で会期の切れる間際まで、而もこの間において会期の延長をこの本会議において諮らなければならないし、そのためには相当の時間を要するのであります。更に又当り前ならばその以前に、その前に先にやらなければならぬ動議も提出せられてあつたのでありまして、この僅かな十三分の間において、これらのことを決せられなければならないという、息詰まる程のこの事情は、何人も御了解が願えると思うのであります。即ち十一時四十七分同委員会が再び開かれました際に、委員長たる梅原君が成規の開会を宣告しないで委員以外の退場を命じました。議員以外でありません。委員以外の退場を命じました。ために、委員や傍聽の議員を非常に刺戟いたしまして、そこで議場は騒然となつたことは諸君の御案内の通りでございます。從つてその後の発言は殆んど聽取り得ないようになりました。なりましたが、大体まだ開会を宣告しない委員会が違法であるということが一つ。成規の手続を経ずして議員の傍聽権に制肘を加えたという事実が二つ。更に又野西雄君の動議が賛成者がないにも拘わらずこれが採択されたことは違法である。この三点。右の三点の違法の行爲があるに拘わらず、一方においては本会議開会のベルが鳴らされたのであります。我が党は中村正雄君発議にかかる板谷順助君懲罰の動議がすでに九時十五分開会の運営委員会に報告されておる。從つて法規の定むるところ、当然この急迫せる本議会に優先して上程される筈と固く信じておりましたが、運営委員会におきましては、このことを議長、副議長又は運営委員長にも聞き質ことができずに、只今申上げたように咄嗟の間に本会議の議場に臨まなければならない事態になつたので、最初は我が党の運営委員でありまする下條恭兵君、原虎一君及び中村正雄君が、このことを質すために寺光部長の許に参りました。質しましたけれども、同君は何らこれに答えるところはなかつたのであります。この際恰かも通りかかりました議長が見えたので、議長にもこれを話そうとして立ち話中、計画的に阻止したかどうかということについては、この議会に私は申上げませんが、如何なる誤解か、衞視諸君が大勢集まつて参りまして、大騷ぎとなつたのであります。(笑声)  次に私は各人について簡單にその後に起きた事犯を申述べます。  淺岡信夫君に対する懲罰動議提出の理由、  議員であり政務次官たるに拘わらず、淺岡信夫君は昭和二十四年五月二十三日の本会議議場において、議員原虎一君が議院運営委員として平常のごとく議院運営の打合せのため寺光議事部長席に赴かんとしたとき、これを暴力で遮り、ために守衞が多数集まつたので騒ぎの原因をなし、同君は運営委員でもなのに、しばしばこの壇上に登り、喧噪してその秩序をみだし、議院の品位を夥しく傷けたのであります。(拍手)  池田宇右衞門君に対する懲罰動議提出の理由、  これ又議員であり政務次官たるに拘わらず、池田宇右衞門君は昭和二十四年五月二十三日の本会議において、議長席際に登り、喧噪し、同日の運営委員会においては加藤常太郎議員と共にカニエ議員に暴行した。これは議院の秩序をみだしその品位を汚したものである。  岡元義人君に対する懲罰動議の提出の理由、  議員岡元義人君は昭和二十四年五月二十三日午後十一時四十七分、再開前の議院運営委員会の休憩時間において、議長室から梅原委員長を暴力を以て引出し、(笑声)委員長席に着かしめた。河野議員がこれを目撃し、抗議したのである。本会議議場において壇上に登り、喧噪して、議院の秩序をみだし、以て議院の品位を傷けたのである。  矢野酉雄君に対する懲罰動議提出の理由、  議員矢野酉雄君は昭和二十四年五月二十三日、議院運営委員会において会期二日間延長の動議を提出した際、委員長を牽制して、「止めちまえ、本会議を開け」と怒号し、本会議においては「写真を撮れ」などと叫び、みずから指揮権がないに拘われず(笑声)衞視を指揮するなど、議院の品位を傷けたものである。(笑声)  加藤常太郎君に対する懲罰動議提出の理由、  同君は議員であり且つ政務次官たるに拘われず、昭和二十四年五月二十三日、議院運営委員会において、議員カニエトラ彦君が(笑声)社会党議員総会の結果を自党の運営委員に連絡のため入室したのを押し出そうとし、連絡を妨げ、その上、同君の首を抱え引張つたのである。又本会議場において、この壇上に登つて議院の秩序をみだし、議院の品位を傷けたものである。  北上一男君に対する懲罰動議提出の理由、  議員北村一男君は昭和二十四年五月二十三日、本会議場において、副議長をして議長席に着くことを暴力を以て実現せんとして、(笑声)濫りに壇上に登つて議院の秩序をみだし、議院の品位を傷けたものである。  松嶋喜作君は、五月二十三日午後十一時五十四分より再開された本会議において、不法に議長席に着き、事実に反して独断的に会期を決定し、國会法並びに参議院規則を破り、参議院の権威を失堕せしめたものである。  以上対象となつておる各議員の事犯について申上げましたが、これらの事実については、別の写眞、この中には雄弁に物語つておる実際のこの写眞、又これを目撃し、実際に実情を審かに話し得る証人とによつて証明されるところであります。この委員会並びに本会議議場の混乱の中に行われた事犯については、民自党から只今我が党の五議員並びに共産党の四議員に対しても懲罰事犯があるとして議題となつておりまするが、若し仮に述べられるごとくであるといたしましても、その原因があること、そうして、いわゆる暴力、眼に見えざる暴力等があつたんではないかということについては、諸君のお考えにお任せいたしまするが、これらの懲罰事犯があるとして議題となつておりますが、苟くも懲罰は議員自身の身分上に関することであり、且つ又延いては議院構成の上の重大問題でありまするので、各党派の如何を問わず、そのいずれを問わず、公平に本件を択されまして、その黒白については委員会における愼重なる審査の結果を俟つこととし、ここでは私共はそのことを信じましてこの動議を提出いたしまするのでありまするが、特に諸君の注意を喚起したいことは、本懲罰事犯を犯したる議員の中には、現内閣の政務次官という要路の地位にある者、又副議長などありまして、國民に及ぼす影響又甚大なるものがあると考えられまする。よつて提案のごとく採択されまして、懲罰委員会に付託されんことを切に希望いたしまして、私の趣旨弁明を終ることといたします。(拍手)
  55. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 中野重治君。    〔中野重治君登壇、拍手〕
  56. 中野重治

    ○中野重治君 懲罰動議提出の趣旨を述べます。  問題は二十三日夜の國会延長に関する政府側からの申入れの不当によります。最初官房長官が來ましたが、これは政府代表ということができないから、運営委員会は吉田総理大臣の出席を求めて、出席が実現しないうちに休憩に入つている。ところがその次に開かれたとき、林副総理から少々風邪の氣味であるということが報道されたのみで、委員たちの更に進んでの理由説明、又は総理大臣の所在不明の件に関する質問等が全く答えを拒絶されてしまつた。そこから問題が起つておる。それだから若し吉田総理大臣が参議院議員であるならば、我々は吉田君を最大の罰に付さなければならないと考える。(笑声)そこで矢野君並びに岡元君でありますが、矢野君と岡元君とは、この紛糾した運営小委員会において、委員長編原君の不慣れと能力の少なさに乘じて(笑声)他人の発言を不当に妨げ、運営委員会の機能を否定して、議長をして振鈴を鳴らさしめて、不当に本会議を開かれるよう事柄を導いた。池田君並びに加藤君は、カニエ君の肩を非常に強く引いてこれを引倒そうとした。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)北村一男君は後に述べるがごどき状態において、副議長が不当な登壇をなすのを暴力によつてそれを助けた。淺岡君は、会議の成立前問題になつておる会期延長のことよりも、すでに採り上げられておるところの懲罰動議を先決しなければ規則違反である。この問題に関して議事の運営を滑らかにするために、民主的野党連合側の小委員が一分間程運営小委員会をここで開いて貰いたいとの交渉を議事部長を通して議長になしておる間に、淺岡君は暴力によつてこの交渉を不当に妨害し、(笑声)これを妨げ、これを不成立に導き、遂に同夜の混乱の源をなした。(「異議なし」と呼ぶ者あり)このことでは淺岡君はその夜の混乱の元兇である。(笑声、拍手)松嶋君は右の状態において議長からの申送りを正当に引継がず、議長は登壇の途中、小委員会との折衝中みずから不当に議長席に登り、尚全く不当に、即ち議長の意思を問うことなく、且つ議長に事故なきに拘わらず、右のごとき登壇をした上、先議すべき議事を宣告なく不当に打切つた。そうして、これによつて、すでに淺岡君によつて著しく惹き起されていたこところの混乱を回復し難いまでに決定的ならしめた。(笑声)このことはすでに違法、暴力によつてなされている。(「異議なし」と呼ぶ者あり)この結果、この諸君は國会法及び参議院規則を故意に蹂躪したものと認めなければならない。実にこれによつて参議院の議事はこの諸君によつて全き混乱に引き入れられ、特に今の諸條件の下で國民が参議院に寄せているところの特別の期待と信頼とを参議院をして裏切らしめたものである。(拍手)即ち私は國会法第百二十一條第三項に基いて、右の諸君は國会法第百二十二條の罰に該当することを信じて、これを懲罰に付すべきものとの動議を出したわけであります。私はこの夜の速記録、草稿及び補正された速記録正本並びに写眞をこのことの証拠として指定することができる。又議院運営委員会の全経過に立会い、議場にあける事の全経過中みずからの議席から一歩も離れなかつた私自身、及び参議院議長及び議員鈴木清一君及び当夜の全傍聽者を証人として指名することができる。(拍手)これが私のこの動議提出の趣旨の概ねであります。(拍手)
  57. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。次会は明後三十日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、常任委員辞任及び補欠の件  一、日程第一 日本銀行法の一部を改正する法律案  一、日程第六 懲罰権の適用範囲に関する調査に関する件  一、常任委員辞任及び補欠の件  一、日程第二 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案  一、日程第三 食糧増産確保基本法案  一、日程第四 食糧管理法の一部を改正する法律案  一、議員金子洋文君、中西功君、岩間正男君、原虎一君、板野勝次君、細川嘉六君、中村正雄君、カニエ邦彦君、天田勝正君を懲罰に付するの動議  一、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君及び矢野酉雄君を懲罰に付するの動議  一、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君及び矢野酉雄君を懲罰に付するの動議