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1949-08-13 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉7号 公式Web版

  1. 昭和二十四年八月十三日(土曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○派遣議員の報告 ○地方行政に関する調査の件(治安問  題)   ―――――――――――――
  2. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日は先ず過般地方行政一般につきまして現地調査を行いました、その第三班の岐阜、奈良の両縣下に調査に行つて頂きました班の報告が残つております。それを先ずお願いいたしたいと思います。岡田委員。
  3. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 只今お話の第三班の岐阜、奈良両縣下における地方財政乃至警察制度等に関する実地調査につきまして御報告いたします。  七月七日から一週間に亘りまして私共藤井委員、太田委員それと私三名連れ立ちまして、且つ又專門員の福永專門員が同行いたしまして、視察の個所は岐阜縣におきましては縣廳、それから岐阜の市役所、羽島郡の笠松町、土岐郡の土岐町、奈良縣におきましては縣廳、奈良の市役所、山邊郡の丹波市町、その他各所に亘りましてそれぞれ関係方面の要路の人々と会見、会談いたしまして、かたがた種々の見聞をいたしたのであります。いろいろ申上げたいことがありますが、極く特異の事項として特に申上げることはありませんのですが、要するにお互いが注目いたしております財政の情況は、すべて皆いずれの地方につきましても悲鳴を挙げておりまして、如何にしてこれを処理すべきかということについて眞実四苦八難の有樣であります。併せてこれが再檢討に対する要望も少くありません。併しこれらも概ね今まで我々がすでに取上げておる、問題といたしております線です。且つ又我々が種々主張しておつた事柄が異口同音にこれに共鳴しておるというところでありまして、要するに問題は論議の時代ではなくして実行の時代である。何とかして次の議会の期してこれらの諸懸案を一掃して呉れるようにという強い熱望があつたのであります。詳細につきましては後で藤井委員が御報告したいと申しておりましたから、藤井委員より話があるかも知れませんが、むしろこれらの事項はそれぞれ書類に取纏めましてお互いに委員会に一括して研究対象とするがよかろうというふうに思いますので、書類を以てそれぞれ提出いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。以上であります。
  4. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 別に報告書が出ますから、それは他の班からもお出しになつております報告書と共に速記録に止めたいと思います。  次に平事件、その他福島縣下に起りました騒擾事件につきまして岡田、鈴木両委員に現地視察及び調査を行なつて頂きましたので、その報告をお願いいたしたいと存じます。  尚國家地方警察の方から齋藤長官、それから武藤刑事部長、又法務府の方から檢務局長が見えた筈でございますが、今外の委員会に行つておられると思いますが、労働社会課長の神山君が見えておりますが、先ず御報告をお願いします。
  5. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今般福島縣下に治安及び警察の問題を調査するために現地に派遣されましたのでありますが、岡田委員と私とそれから法貴調査員の三人で八月四日から六日間に亘つて調査をいたしたのであります。丁度法務委員会においても調査をするということでございまして、便宜上伊藤委員長、齋武雄委員、泉專門員とも一緒に調査をいたしたのであります。この調査に対する詳細なる報告につきましては、別に詳細に報告書を委員会に提出いたすことにいたしまして、本日は私共が調査の結果明らかになつた主要な点、或いは感じた点等について一應御説明を申上げて、又岡田委員からも補足して頂いて、或いは質疑によつて御報告をいたすというようなことにいたしたいと思うのであります。  先ず第一に私が感じましたのは、かくのごとき事件はやはり中央において聞いておいたのと、現地において現地の事情を聞いたものとは相当違うものである。非常に生々しいところの実感を與えられて、活きた調査ができるものであるということを感じたのであります。福島縣におけるところの今回の事件は、我々は平市におけるところの騒擾事件が最も大きいものであるというふうに漠然と考えておつたのでありまするけれども、決してそうではないということが判明いたしたのであります。六・三〇事件と称されておりまするいわゆる六月三十日における、縣下において一斉に時を同じうして発生したところの事件でございまするが、この六・三〇事件は六月三十日前後に亘りまして、福島市、それから郡山市、平市、及び附近の内郷町、湯本町、それから若松市、白河市というような主要都市に亘つて同じような事件が発生いたしておるのであります。そうしてこの内容を見まするというと、若松市は三菱の工場の集團不法事件で十七名程檢挙されておりまするが、これは主として労働法規に端を発した労働爭議を主としたところの事件でありまして、この労働爭議は共産党員が指導的役割をして、そうして工場でも不法監禁という例の手によつて行われておる極めて深刻なところの爭議であります。尚更に平市におきましては、これはその附近の内郷町というところは……平市は炭鉱地帶でありまするが、そのうちの内郷町は炭鉱の非常に多いところでありまするが、そのうちの一つの矢郷炭鉱というところの小さな炭鉱に発生したところの首切、これに端を発した労働爭議が段々と進展しまして、そうして内郷町、湯本町、平市という方面に波及し、それが警察に対する鬪爭となり、或いは町村議会に対する鬪爭となり、或いは町村役場に対する鬪爭となつてずつと発展いたして参つておつたのが、たまたま掲示板問題を機会にして、そうして警察署占拠事件というものが起つたという一連の事件でございます。それから郡山におきましては主として國鉄の首切がある前提として國鉄の方面においてここに主力を注いでおつたということでありましたが、特に労働爭議その他はなかつたのでありますが、これは六月三十日事件の発生と同時に、郡山の地区警察署、或いは市の警察署が平方面に應援をするということを切つ掛けとして鬪爭が展開されておるものであります。又福島市におきましては、この六月三十日において平の事件発生と時を同じうして、そうして縣廳、或いは縣会議事堂を占拠して、いわゆる赤旗占拠事件となつて現われて來ているところのものであります。これを分けて見ますというと、市町村役場に対するところの鬪爭は内郷町と郡山市とに行われております。それから市町村議会に対するところの鬪爭、これは縣廳の縣議会、それから郡山市会において行われ、又内郷町会においてこの議会鬪爭が行われておる。この市町村議会の鬪爭のやり方というものを、非常に興味を以て研究して來たのでありますが、殊にこれは参考になるものでありまして、この戰術というものは、非常に労働爭議の戰術と同じような意味でありまするけれども、今後全國にこういうようなことが行われるのではないかということを考えて、他山の石としては、非常にこれは面白い内容を持つておるものであるということを考えて研究いたして來ておるのであります。  それから警察署に対する鬪爭、これは平市の警察署、内郷の町の警察署、郡山の地区の警察署、郡山の市の警察署、湯本の警察署というような各所において、署に対するところの計画鬪爭が行われておる。その外に、先程申いました労働爭議に対するところの鬪爭が若松方面に行われておる。これはいずれも共産党員が先頭に立つて、主として共産党に関係をして、いわゆる共産党の指導下にある者達の、大衆デモ鬪爭の形態でありまして、從つて何らの関係のないところの群衆がこれに入つておつたというようなことは、福島縣下にはなかつたようであります。いわゆる動員によりまして、労働組合という、或いは共産党というような方々の中の共産系分子というような影響下にあるところの者が動員されて、そうしてその動員に應じて集まつて來て、そうして一定のところへ集まつて、それがいわゆる人民大会のようなものを開いて、そうしてそれがデモに移つて、そうしてそれぞれの官憲に対して、権力に対するところの大衆鬪爭となつた。そうして警察におきましては、警察力の不足というようなものを当てにして、そうして警察署に入つてしまつて、そうしてそれを占領をして警察力を無力にする、そうして目的を達するというようなやり方であります。議会につきましては、議会を開かせまして、或いは議会を開くところを見当てにして、そうしてその附近に大会を開き、そうして傍聴に行き、そうして大衆の力で制限を踏み越え、そうしてこういうふうな、議会なら議会が満員になる、そうして我々のような議員の脇に全部集まつた。そうして議員も議長も思うように議事を進めることができない。そうして群衆が丁度まあいわばこの前の参議院におけるところの議院運営委員会におけるような状態であつて、委員が自由に審議を進めることができない。そこに傍聴しておる者は議員の脇へ來て、そうして一杯になつて、そうして赤旗を立ててがやがや言い、一人でも発言するというと、それに対して反駁をする、不利なことになるというと、その町会議員の挙げ足をとつて、町会議員の生活の弱点を暴露するというようなことにして、そうして、正当な議論ができなくなり、決議も一度決議しても、それは無効であるというようなことを言うて、そうしてそれをやり直せ。幾らしてもらちがあかない。又その次の日も、又町会を開かして同じようにする。又その次もやるというようなことで、殆んどこの議会に対するところの混乱状態によつて、そうしてもつと議会鬪爭を繰廣げて來ておるのであつて、内郷町のごときはその様は酷いのであります。  それから郡山市会におきましては、これはデモ鬪爭でありまするけれども、そういうようなものは賛成をして、そうして市長を先頭に立てて福島の縣廳まで行つて、そうして市長に陳情をさせるというようなこと、内郷町におきましても、炭鉱の中を調査するという動議を出さして、そうして数人の町会議員を選んで、そうして群衆のデモの先頭に数名の町会議員を押し立てて、赤旗の前に町会議員を擁護して炭鉱にまで町会議員を引張つて行くというようなやり方でありまして、すべてが、これはいわゆる人民裁判と言いますか、吊上げ事件というか、ああいうような戰法が各地に一斉に行われておるのであります。これは明らかに共産党の戰術であつて、而もその中心人物は全部共産党であります。そうしてそこに加盟しておる者は共産党の影響下にある組合の少数分子である。そうして多数の組合からボツボツボツボツ出て來るというような状態に行われておるところの戰術が各地に展開されておつたというのが、福島縣下におけるところの今回の事件であつて、これは單に平の掲示問題板において、單に起つておるという問題ではないのであります。この点について非常に私は今回の調査において問題と思いましたのは、実は共産党、その他の労働團体から直接お話を聞きたいと思いまして、予めそういう人達の面会方についての電報を依頼しておつたのでありましたが、たまたま福島縣廳の知事の部屋でいろいろ関係方面かせ説明を聞いておる途中に、共産党の福島縣の委員長と、その次の方々が面会に來られまして、そうしていろいろお話を聞いたのであります。又國鉄の幹部も來ましてお話を聞くわけでありましたが、時間がないので後に書類で以て知事の方かせ送つて貰うということになつておるのでありますが、そのときに共産党の方は平事件というものは單なる掲示板だけで起つたようなものではない。決してそういうものではないのだということを何回も話をしておられました。即ち福島縣下におきましては常磐炭鉱という大きな炭鉱がある、これが段々不況になつて、そうして滞貨もあり、金詰りもあつて、経営が困難になつて、そうしてあそこの炭鉱が経営ができなくなつて、必然的に首切が起つて來る。この首切については共同防衛闘爭をしようということを決めてあつた。又國鉄というものを守るということは福島縣の産業を守るということであるからして、この國鉄の首切に対しては絶対的に反対闘爭をしようということも決めてあつたのだ。現実的に福島縣下におきましては中小企業がこの二月頃から段々と不況になつて、本当に経営困難になつて潰れそうになりつつあるのだ。どうしてもこれを何か復活する必要があるというようなことからして、共産党としては他の影響下にある民主團体と一緒になつて、そうして縣内においてあるところの十七億の貯金があるそうであります。これを一つ何とかしてその方面に融通するような対策を縣がやつて貰いたい。又主食の掛賣りということも認めて貰いたい。又縣会においても不正の人が出ておるということでは困りまして、そういうふうなものの粛正もいなければならんというようなことも決めて、そうして闘爭を続けて來ておるのであつて、これに対して知事は何回陳情してもかくのごとき苦労というものは、一時はこれを忍ばなければならん、これを忍んで、そうしてその後に明るいところのものが來るのであるというようなことで取り合つて呉れない。そういうようなもののために各地はあらゆるこういうような闘爭を展開しつつおるのである。それに対して首切をどんどんやつて切る、そうしてその首切を援助するために警察力を使うというようなやり方になつて來ておるのであつて、こういう雰囲氣の下に自分達は闘爭をして來ておるのであるというような説明をされたのでありまして、これは明らかに共産党の指導方針がそれぞれの各現場に現われて來ておるものであるということが、我々ははつきり共産党の人達の言明によつても知ることができたわけであります。尚具体的な問題につきましては、又後に必要であるならば申上げることにいたしまして、そういうふうにずつと縣下に亘つて行われてやつたのでありまするけれども、これらの事件というものは非常に連絡がうまくされておるのであります。そうして勿論警察も相当やはり自治体警察、國家警察等がありましたが、部分的には連絡は取れない点もありましたけれども、我々関知したところによつては、現在の警察機構内においては十分の連絡が取れておるということを認められたのであります。殊に檢察廳と縣の警察隊長というような方面におきましては、殆んど警察隊長の部屋に檢事正が來られたりいろいろされておりまして、相当一体となつてやつておられたことをその方面からの報告によつて知り得たわけでございます。從つてこの事件は、勿論事件の発生した後に非常に緊密なところの連絡が深くなつたわけでありまして、事件が発生する以前におきましては、お互いに協力し合うという意思は十分におつて、自分は自治体警察だ、國家警察だからこうこうだということを盾にとつて協力しないという事情というものは全然なかつたのでありまするけれども、併しながらやはり平におきましてもかくのごとき事件に自分の署だけでできるというような考え、又地区警察署におきましても、いつも應援をいようという態勢にあつたのでありますが、徒らに警察官を應援するということは、力が足りない警察が徒らに行つても、單に警察力の弱体が大衆に分るだけであつて、むしろ行かない方が、刺戟を多くしない方がいいというふうな考え方から、警察力の充実するところの三十日の夜の十二時頃まで実は待つておつたという実情にあつて、これは方法論として警察官を市の方にやらなかつたようにも思われるのでありますが、そういうふうなことにして相当警察方面におけるところの縣下の連絡は取れておりましたのでありますが、それにも増して縣下の各地方におけるところの事件の連絡というものが敏速に行われておつたようであります。これは警察電話、或いは國鉄の電話が相当盗み聞きされておるところの事実があるのであります。又全逓もそれに加盟いたしておりまして、全逓の極存分次が加盟したりいたしまして、或いはその方面からの情報がむしろ警察情報よりも早く入つたのではないかという事実があるのでありまして、例えば平市におきまして、群衆が警察署を占拠しておる場合においては、或る者が一段高い机の上に立つて、そうして現在の縣下におけるところの警察情勢の報告をするというようなことで、今郡山の警察は出ようとしておる。或いは福島縣の原町警察署においてはこうである、或いは福島においてはこうである。若松においてはこうであるというようなところの、縣下におけるところの警察の動きというものを報告をしておる。こういうような情勢がある。そうして事実があるのであります。そういうふうな事実を見ましても、相当警察に対するところの情報が行われておるということ、又この平市を襲撃する場合においては、予めそれぞれの警察署にそれぞれの場所の労働組合、共産党が中心となつて組合の幹部が、大衆が警察署に行きまして、そうしてお前の署においては平に應援してはいけない、警察官を應援してはいけないということをあらゆるところに言つておるのであります。例えば郡山におきまして、郡山の警察が、これは工場のトラックを以て出掛けたのであります。それを出掛けことを知つて、そうして大衆が、共産党が中心となつて集まつて、そうして地区の警察署に行つて、それから警察署に夜十一時、十二時頃に行きまして、そうして平に行くところの應援を返せということを……、乘り込んで、遂に返すというところまで返答をせしめてしまつたというような事態であります。勿論郡山としては、郡山事件自体が非常に急迫を告げたので、事実上返さなければ治安が保てんというような状態になつておつたという事実も認識して、そうしてその結果返すということを言うたというような話でありましたが、早速縣に報告しまして、そうして、平に警察官が着いたところを直く郡山に引返えさしておるというようなこともありますし、又その平附近の内郷町などにおきましては始終大衆がそこに行きまして、警察署長、警察署員を軟禁して警察署を占拠して平に應援せしめないという誓約書を取らしておる。そうしていや実際行つたのではないか。それは三輪車が一台見付からない。それはちやんと後の押入の中に入つておる。それじや行つて見ようというようなことで、三輪車があつた。それじや行かないのだというようなことで、とにかく應援というものはやらせないということを言わしておる。これは決して偶然でなくしてそれぞれ連絡を取つてやつておる。そういうふうにして一方トラックに乘つて他の群衆が平の方に行つて警察署を襲撃しておるというような事情でありまして、縣下各所に亘つて各警察署に行つて、そうして平市ならば平市に應援しないように、警察官が應援しないようにということをやつておる。そうして應援が行つたということになると、なぜお前は應援に行つたかということを又警察署に行つて談判して警察署に應援の士氣を挫いておるというようなことが行われておるのでありまして、こういう事件は大衆動員非常に連絡を取つたやり方を行なつておつたという事実が発見されたのであります。それでこういうような事態が発生するということは、これはやはり事前におけるところの部外内偵といいますか、情報というものが行われていないということが一つの欠陷であると私は思つておるのであります。  それからもう一つは警察署に対するところの何といいますか、非常に甘く見ておる。これは恐らく日本は占領下であつて、敗けたものであるというようなこと、それからもう一つは土橋代議士、或いは渡邊代議士がずつとやつて來まして、そうして非常に元氣をつけておる。これは岡田さんから後から報告があるかも知れませんが、もう直く日本はソ連の支配下になるのだ。これは直ぐだ。明らかなことだ。そうなればお前達は今我々に反抗して來るというと損だ。警察署長も今おとなしくしておつた方がお前に都合がよいぞと言い触らしておつて、恐らく共産党の影響下におる人達はそれを信じておるのではないかと考えられる。從つて自分達の方は非常に大きなところの背後に力があるのであつて、世の中の変つて來た。だから現在の警察官というものは問題ならんというように、英雄崇拜でもないが、むしろそういうふうな方面の崇拜が非常に多い。從つて彼らの勇氣が非常に強い。そうして警察なんというものは、もうこれは何の役にも立たないというふうに考えて、いわゆる警察に対するところのみくびつたところの考え方というものがある。そうして大衆もその事情を見て、内郷町においても非常に困つておる。又平あたりにおいても警察がこの通りではどうしようかというようなことを考えておるという程度であります。そういう雰囲氣の下にこれは起つたものなので、その後若松においても断乎檢挙しておる。又平においても騒擾罪として檢挙しておるという事態が発生してから後においては全く声を潜めておる。又巨頭は今全部逃げております。平あたりでも、酷いものだ、ああいう巨頭は大衆を動員して皆罪を負わせて自分達だけは逃げておるというような批評もあつて、その指導者達については必ずしも一般の大衆のむしろ逆に憤激を買つておるという情勢であります。この断乎たる檢挙の後におきましては、現在は非常に影を潜めて、共産党として地下に潜つておるのかも知れませんが、大衆としてはやたらにそういうふうなものには引摺らないということにはなつて來ておる。そういう事実を見ましても相当これは警察というものに対するところのみくびりが、かくのごとき状態にさしたものであるということも考えられるのであります。又今度警察法の改正もありまするけれども、現在の場合に非常に困つておりますのは経費でありまして、こういう大きな事件につきましては、やはり或る程度予備費的なものを置いて、そうしていつでもこれを使い得るというようにする必要がある。即ち警察の機動力は予算の機動力である。予算の機動性さえあるならば警察は機動性を幾らでも持ち得るというのが実情である。ところが自治体警察におきましても予算がないから應援ができないとか、すべて予算というものに括られて警察の機動性というものがないというのが現状であります。從いましてこういうような事件の場合においては、予算は後から出るからいつでも出ろというように、予算に縛られないで機動性を発揮するというような予算の機動性というものが必要であるということを感じて來ているのであります。幸いにおいて今回は國家警察において本部の方面から應援の旅費が出るのであるということを言われておるということで、現地においてはこの点は非常に感謝し、安心しているようでありますが、それが事前において敏活に処置をするためには、トラックとかいろいろありますけれども、現在におきましてはやはり予算の機動性、予算をいつでも使つて常に心配なくやられるという処置、相当のそういう場合におけるところのプールを置くということが非常に必要であるということを痛感して來ておるのであります。この機構の改革とか、そういうことは一般的に言われておりまして後で又申上げますけれども、現状におきましては予算に機動性を與えるところの予算を置くということが最も必要であるということを私は感じて來ているのであります。これは実は私は相当事件の内容について詳しく申上げようと思つて相当書いて來てあるのでありますが、今それよりもむしろ総括的な所感を一應申上げまして、そうして御質問等によつて申上げるとか、或いは岡田さんの方から申上げられると思いますから、乱雜でありますけれども一應申上げて御報告といたします。
  6. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 お聞きの通り鈴木委員から十分な概況についてお話がありましたので、御報告申上げる必要もありますまいが、私一つ簡單に補足して感想を申上げたいと思います。  とにかく平事件というものは、もう新聞紙上でも随分諸般の情報があります。又考査委員会における状態についても御承知の通りであります。世間に傳わつてややその眞相を傳えておるとは思いますが、私共行つて実地にこれを見聞いたしまして、私は予想以上にどうも酷いと思つております。実にこれ程までとは予想しなかつたという感じを深めました。又事件の本質が、今鈴木君のお話もありましたが、如何にも暴力革命の雛形とでも言おうか、典型とでも言おうか、非常に鮮やかに行われておりまして、組織的であり、計画的であり、そしてこれにおどり上つた人々がどういうものか知らんが、想像のできないような盲信、信念、氣持を持つて、革命は必ず近きにあるのだというような、信念で以て、本氣になつて立上つて勇猛果敢な精神を以て臨んだのは事実です。言うまでもなく共産党の精神を中心としており、殆んど共産党或いは共産党系と言つていいでしよう。いずれにしてもそういうような方面の指導者というものは、そういう加勢しておる人々というものは、どう考えて見ても本氣でやつておる。それが我々には想像ができません。こうして東京におつて想像ができない。実地に見聞して分つたというようなところがある。そういうふうなことであつて、なかなかこれは容易でなく、併せて又この暴動事件に反應して現われた警察の機構、機能、職能、こういう方面を見ますと、これ亦我々が想像しておる以上に現在の警察制度というものは幾多の欠点を暴露しておる。見る影もない、浅ましい、情ない状態である。あの雛形的暴力革命事件に関連して現われた警察制度の状態は実に情ない。むしろ無警察の一語に盡きております。警察の権威は全然認められていない。根抵から踏みつけられ、蹂躪されておる。警察はなすところを知らず、これを一言にして言うならば無抵抗主義、終始一貫警察のとつた態度は無抵抗主義、あの傍若無人、暴戻極まつた暴力行爲に対して一指をも染めることができなかつたというのは事実です。事後における檢挙はともかくとして、事件に対処した態度は全く無警察、從つて一般の大衆がこれに対して感じた言葉を聽きますと、全然頼りにならん。どうしたものだろうか。これが一言にして申せば、私は事件の、本当にお互いに注目すべき本質ではないか、眞相ではないかと、こういうふうに思う。そこでややそのことを敷衍して申しますと、とにかく暴動事件というものは福島縣下に六月三十日を期しまして相呼應して数ヶ所に起きておる。これ自身が意外な感がいたします。若松に、郡山に、福島市に、平に、或いは内郷に、かようなわけで五、六ヶ所相呼應して現われております。これは恐らくは相当のやはり連絡と組織とを持つておるとしか考えられません。この確証を取ることはむずかしいが、目下警察において努力しておるわけでありますから、いずれ確証は出るでありましようが、併し今日私が考えたところでは、あの警察のやり口を以てしてはああいう騷擾事件の確証を鮮やかに押えることはできないと思う。というのは優柔不断といいますか、漸く檢挙が始まつたといつても、事件があつて五日も六日も過ぎてぽつりぽつり逮捕状を貰うとか、令状を貰うとか何やかにやで今日百四、五十名とにかく檢挙になつておりますが、これだけではとてもああいう事件は、私の経驗を以てしては確証は取ることはできない。電光石火、ああいう騷擾という一括した事件である以上は、俊敏にその本拠を衝くとか、アジトを襲うとか、機敏な行動を起し、記録、書類押收、家宅捜索ということがあつて初めて文書上における取扱に天網恢々疎にして漏らさず、様々な書類も、断片も集まつて來るのであつて、苦心惨怛して、これは調べるのが通例であるが、そういうことは全然やつておりません。やれない。これじやとてもああいう徴妙な事件の眞相を捕促するということなどは恐らく追いつかないのじやないか。だからいつまで経つてもなかなかこういう事件は手数ばかりかかりまして、本当の事の根幹を衝くというような鮮やかな一刀両断の処置を考えることは困難じやないかと思います。そこで私は確証のないことですから、主観を交えてかれこれ言うわけに行きますまいが、要するに連絡通謀の十分にあつたことですから、警察電話などは、鈴木さんからお話がありましたが、完全に警察電話だけじやない、あらゆる電話は暴徒によつて操縦左右されたという状態である。警察側の情報というものは皆聽き取られて、而も全然電話も使えないと言つて、署長は終いには電話を使つておりません。こういう有様であります。それですからいろいろこの前後に亘つてさまざまな事実もありまして、いわゆる連絡通謀がなくして、あのうよな事件が同日を期して偶然に現われておるということは考えられません。かような意味において、これが單なる地域的闘爭という言葉じやなくして根本は労働爭議の悪化したものでありましようが、併せてこれに加えて國鉄ストの時期を迎えて風雲をはらんでおつた時期でありますが、この機会を以ていわば何と申しましようか、各地に向つて一斉に一種の社会騷擾、暴力革命を企らもうじやないかといつたような一つの脈絡がここにあるのじやないかということを考える外ないと思いますが、そういう点において注目すべきです。少くともただ單なるこれが平とか内郷ということじやなくて、福島全縣下に亘つてあれだけの計画がとにかく実現されたということは注目すべきことであります。これはどうもなかなか油断ができません。私共はこの点においても從來自分が考えておることは非常に安閑とした考えであつて、一段と治安問題については認識を改めてかからなければならない、治安問題についてはこういうふうな感じを深くしたのであります。それから又暴行の状態がここに書いてある。丁度福島警察署の報告が作成してあるが、大変よくできている。外の書類は的外れですが、これは非常に事件の外貌をよく把握しております。併せて又如何に暴状を極めたかという暴状の有様をなかなか上手に生き写しに写しております。なかなか酷い言動を以て警察側に対しては終始一貫強迫どころではない、奴隷のように扱つております。警察署に漸次出入して行つて土足のまま上つて來る、机の上に立上りまして、三十人、五十人、八十人と押し掛けて警察を自由自在に踏み躙つておる。警察官に向つては頭からどなりつけ、おどしつけてお前達は吉田内閣の犬だぐらいはまだまだ上等なんで、誰が貫様達に飯を食わしておるか、俺達が警察をやつておる、この廳舍は俺達のものじやないか、俺達がお前達を養つているのだ、それが俺達の労働運動を妨害するのか、彈圧するとは貫様達何事か、他の警察署に向つて應援するとは何だ。こういうことで、これが我々と観念が違つておる。警察署に向つて應援をしてはならんぞ、この誓約書を書けと言つて、どこの警察署に行つてこれをねじ込んでいる。應援の命令というものを自分の方が持つておるわけであつて、警察特有の機能作用であるところの應援すべからずと言う。自治警察というものは他署の應援なんかすべきものじやない、これは自治警察は俺達が握つておるもので、これを勝手に應援するということは何事だ、こういう観念を以て頭から應援することを否認しておる。そうして應援することを極端になじつて、應援は一切しないという誓約書というものを書かせるべく要求して止まない、こういうやり方であります。それから随時警察官の或る者を、或いは警部補、或いは巡査部長、そういう者を引き出して來て、庭先で散々叩いたり殴つたりしておる。外の警察官は救援するのでも何でもない、要するに手を出さずに見ておる。署長が引き出されまして、庭先で四五十人の群衆に取巻かれて、ボタンを取られたり、叩かれ、頭から痰を吐きつけられ、これを他の警察官が應援するのじやない。皆そういう警察官でありまして、眼の先で警察の、而も役所の内外においてやられておつた。片つ端から引出されて、いわゆる人民裁判というか何というか、吊上げ同樣の所作で以つてやられておるのを、警察官が皆何らこれに手を出さない。これはよくその心情を聽くというと、何とも自分達も無念に堪えない、警察としてこれでいいものかと考えるが、如何せんどうも手の出しようがない。どうにもこうにも二十人、五十人は愚か、背後に何百人の暴徒を控えておる。そうして僅かに五人を十人若しくは二三十人足らずの警察官が今出してもどうにも及ぶものではない。相手は根棒を持つておる、或いは石を持つて石を投げる。どうにも手のつけようがない。少くとも事件を拡大させるといかんから、あらゆるものをこの場合隱認自重、我慢に我慢、これがむしろ何といいますか警察のせめてもの御奉公だといつたような氣持です。そういう氣持で事に臨んで來た。こういうことで、実に酷い浅ましい状態にある。これは内郷署において然り、平署において然り、或いは若松署も記録で読んで見ますと殊に酷い。若松の警察の状態なんかは、すべて各所において常時不断当然のこととして、こういう恐ろしい浅ましい、何といいますか暴状が繰返されて來ておる。ただ一日の出來事じやない。これの記録を見ますと、前後十日間に亘つて始終これが行われておる。そういう状態を默過し、そういう状態を忍ばなければならんというのが警察のありのままの形であるということを総合して來ると、無抵抗主義です。これで一体いいのかということを何人も考える。又一面から言うと、そういう状態ですから、すでに暴徒は勿論のこと、一般の民衆の氣分が、警察というものを眼中に置いていない。こういう観念を受けて來た或る者は警察を信頼しない。信頼しないのじやない、或る者は眼中に置いていない。その困つて來る原因は、自治警察という観念を誤つておる。先きに言つた通り、自分達が経費を出してこの廳舎を造つておる。又巡査の俸給を拂つておるというのですから、役場の吏員を扱かうことより以上に、これを何といいますか奴隸視して考えておる。警察官の職能とかということについて観念なんというものは全然ない。これは殊に警察制度そのものの上からも考えなければならん。いろいろ申上げたいが、そういう大ざつぱな一二のことを申上げて一つの感想を申上げざるを得ない。  それから今度は一方共産党側の非常に刺戟した言動については、細かしいことですから事実を申上げます。これも確証じやなく、土橋代議士が事件前の六月二十三日、選挙区に帰つて或る細胞組織に傳達したと称せられておる或る一つの意見が傳わつております。その要領は、例えばこういう文句が出ております。随分何といいましようか、実に恐ろしい文句があるのです。非常に燿動的文句としては明快な文句です。この最良な契機を逸するな、米ソ対立の深刻化、中共の情勢、大韓國政府の南鮮部における叛乱軍蜂起、欧洲ベルリン封鎖の問題の解除等の最も我々に有利な時期が今到來したぞ、これに呼應して徹頭徹尾抗争運動を開始せよ、又各地方情勢を檢討して善戰善謀せよ。それから中共軍は七月末までには全土を完全に占領し、又完全なる政権を樹立すると同時に、八月にはいよいよ日本國民に向つて有形無形の戰鬪を開始する。よつて九月には最後の攻撃を開始する。おのおの自己を顧みず初志貫徹に邁進せよ。若し敵の攻勢に屈服し、或いは自己の失業を恐れるならば速かに脱党すべきである。覇かに地区突撃隊を編成して晝夜別なく戰鬪せよ。まあこういう一種の指令を與えたというようなことであります。その外に更に土橋代義士の言葉は正に將士の士氣を軒昂たらしめるものがあつて、翌日から遊説運動の参加者の数を激増し、且つ労務係員の拒否を肯んぜず、強引に会社内に侵入し、熱弁論鋒を以て必死の鬪争運動を展開した。又土橋代議士の演説の中には、曽て二ケ年を通じて、九月の季節に入ると東北北上川が氾濫し提防を決壞しておるではないか。今年の九月に又々北上の流れが氾濫し提防を決壞するだろう。そのときこそ吉田反動内閣がなだれを打つて決壞するときである。というような街頭演説を盛んにやつている。こういうような氣である。これは言うたか、言わんか知れませんが、要するにいろいろの事件に対してこの氣持以上の氣持を以て革命必至という信念を持つて立ち騒いだのは事実のようです。すべてこういうあるまじき考え方を以て、非常な考えを持つて何といいましようか、地域暴力革命というような形で立上つておるというような事実を見て來たわけであります。そこで最後に申げたいことは、警察の態度について以上申上げましたが、どうもこれは本当に我々は警察制度のこれに対する欠陷補充については余程責任のあるものではないか。何とかしてこれは時代順應の現実に側した適当な改善の途を一日も早く講ずることが適当だということを考えております。今度の事件で巡査の動員して数は平事件には九千何百名、若松事件において三千三百、一万何百名というものが特に数次に亘つて動員されております。先程鈴木君からお話がありましたように、財政そのものに今後非常に問題がありまして、自治警察相互間においても、お互いに援助し合つたりしておるのだから、帳消しというようなことで行こうというような話もあるようであるし、或る者は或る場合によつたらこれを適当に打切つて行こうじやないかというような適切な予算準備というものがありませんので、そこで非常に苦慮いたしておりますし、適当な処置もつきかねまして、そのことは警察内におきましては不公平や無理がありまして問題の一つ種である。それは相当な途を開く措置が必要でありましよう。併しとにかくかようなこれだけの事件に五千名、三千名、或いは小さな地域において三百、五百、七百の巡査を動員をしてでなければ、二十名、五十名、百名の暴徒に対することはできません。今日これでは警察官が奔命に疲れて、帰するところは経費の点からも大変で、檢挙するに際してどうも二、三人の暴徒を檢挙するのに二、三百名、五百名の巡査を用意しなければならん。こういうことを繰返しておるならば、これは実に財政負担の上から容易じやない。だからして警察は檢挙するにさえ実際においては手心を考えなければならん。手心とは財政的考慮を考えなければならん。自治体警察なら町にどうも負担をかける。公安委員も好まない。町長も好まない。好むと好まんとは別といたしまして、やはりこれは相当に考慮しなければならんという次第である。今の警察組織を以てしたならばこういう問題に対しても容易ではない。國が全部負担することは当然でありましよう。國が開担するにいたしましても問題はそれだけに止まりません。以上申上げました通り、警察は奔命に疲れてしまいまして、問題は警察の機動性を持たせるとか、或いは現在の警察制度がやはり國家警察と地方警察と一貫した協力関係ではなく……共同捜査が随時随意に行えるような組織がなかつたならば、警察機構、人員、組織を以てしては治安維持の任には堪えない。警察官が浅ましい情けない、酷い目に遭わされていじめられておる。何と申しましても背後の組織がありません。自治体警察は五十人に限られた組織である。これによつて下手な問題を起したならばこれは到底收拾がつかない問題になつて來る。從來の警察制度であるならば、全警察官が背後勢力をなしておりますから、僅かに、五十人、百人の警部派出所のようなところでも巡査何百人いつでも出動し得るのであります。こういう機能、組織を欠いておるのだからして、それは群衆の方から申せば何でもない。これをいいことにしておる。これは用意が悪いのであります。今のような組織を以てしたならば大変なことになる。こういうことを感じたのであります。同時に申上げた通り暴徒の組織というものは、若しくはその心情というものは企らみを以て、決意を以て臨んでおるのであります。これに対應しただけの体制を考えなければならんのであります。非常に今考えざるを得ないのであります。極く大局的のことのみ申上げました。細かしいことはむしろ御質問に応じて問答した方がいいじやないかと思うのであります。若し福島本部が書いたもので発表したものは、できるものならば、これを皆さんに読んで貰えば、非常に感想というものは何かしら起つて参ります。事件の全貌というものを掴むためにはよく分るものであります。一應これで終ります。
  7. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 只今両委員から御苦心の貴重な報告を得ましたことをお礼を申上げます。尚岡田委員からお話のございました福島縣の國家地方警察の方から報告書が出ております。尚その他に申上げましたように平、内郷、若松、郡山、それから福島各都市の公安委員会に対しまして報告書の提供を求めております。そういうものを取りまして調査報告書を作りたい、こういうふうに思つております。只今までの報告に対しまして御質問をお願いいしたします。
  8. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 齋藤長官にお尋ねいたすのでありますが、只今御両所から御報告がございましたそのあれから私の受けた印象は共産党の計画的であり、これがかねての計画が形の上に現実の現われで偶発的ではない、いいチヤンスを狙つておつたというふうにも受取れるのでありますが、あの福島縣下に起つた事件を今の報告通りに承わりますとき、警察が靜かに忍んで事件を大きくせなかつた、大きくせないために忍んだと、これも非常に苦痛であり、又その場合はそれより外に方法がなかつたので処置としては非常によかつたと思うのでありますが、あれが日本全國に同時に起つたならば暴力革命は成功し、國家が全く変つた姿になり、人民の悲惨さは想像に余りあると思うのであります。一面から言えば、あれを計画的に起した方の連中から言えば、一縣でやつて見て立派に成功をしたのでありますから、同時にやつたならば完成するのだと、こういうふうに考えられるのであります。齋藤長官は今の報告を正しい見方であるとお考えになるか、誤つた二人が見方をしておるとお考えになるか、これを一つ聞きたいこと、それから福島縣一つで起つたから、その他の圧力、力によつて鎭圧はできたけれども、あの程度で日本全國が同時に蜂起したのであつたならば、どういう結果になつておつたであろうかと、長官の見通し、この二点について御意見を承わりたいと思います。
  9. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) 只今の御質問の第一点の警察のあのときにとつた態度についての岡田、鈴木両委員の見方についてどう思うかという点は、私も今日の制度であの状況の下においては、やはりあの方法しかなかつたであろうという感じがいたします。相当な兵力が來るまではやはりああいう状況において処理せざるを得ないと、これは今日の警察制度というだけでなしに、その外のいろいろな法令、警察官の権限というような点からいたしますとき、あれしかなかつたのじやないかと思います。それからあの事件程度のものが全國に同時に起つたらばということでありますが、これは全國にと言つても、例えば平市事件のことには一縣一つというような程度……これはちよつと今の兵力でどうかと言われますと、ちよつとお答えいたし難いような次第で、私はあの程度のものは多少起つてもまあ心配は要らないじやないかというように考えておりますが、併しその持続の程度、或いは全國と言つても規模によりますし、これはこの前に、七月の初めの頃でありましたろうか、いろいろな場合を想定してどうするかというお尋ねのときにお答えをいたしました通りで、今日本の警察力だけでどんな事が起つても堪えられるかというと、それはそういう自信は申上げられないということは言わざるを得ない。併し日本の警察力以外にいろいろな力があるわけでありますから、その点は先ず考えなくてもいいじやないかと思います。それからああいう事柄は近い將來に全國に起り得るだろうかということにつきましては、私は否定的な考え方を持つております。それだけお答えいたします。
  10. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私は平事件一つでなくて、今の御両所の御報告をそのまま是認いたして見ますと、警察のおとりになつた処置態度に対しては、あれより外に方法がなかつたと言えばよかつたと、こういうふうに考えるのであります。併しあれを今日の平常の状態に返し得たのは、それは福島縣における警察力ではなくて、外の周囲の力で今日の平常の状態に返し得たのであると私は考えておる。そこで長官は福島縣全体と見て、あの暴動に対して警察力……簡單な言葉で言えば治安の責任を全うせなかつた、全うする力はなかつたのだということをお認めになるか。これを一つ。
  11. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) 福島縣外からの警察の應援ができないとしたらどうであろうかというお尋ねだろうと思いますが、私は相当困難であつたであろうということを申上げなくちやならんと思います。
  12. 三木治朗

    ○三木治朗君 私は御両所の御報告は了承したのでありますが、私簡單にお尋ねしたいことがあるのです。今の御答弁によると、警察官が殆んど手も足も出なかつたというような、暴行を加えられたというような話でありましたが、警察官の唯一の武器と言えば拳銃なんですが、そういうものを取上げられたようなことがあつたかどうか。それから廣島事件にしましても、その他の事件にしましても、地区の軍政部長と申しますか、M・Pと申しますか、そういうものがいろいろと連絡をしたり、或いは出動したりしていることが多々あるのですが、平事件においては、その方の連絡、出動を求めるようなことがあつたかなかつたか。その二つを。
  13. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 拳銃は平市には二挺あつたのですが、一挺は役に立たなかつた。一挺はその事件中に一人檢挙いたしまして、裏の方の留置場に入れておいたのですが、その監守の巡査が持つていたと思います。ところが騒擾の最中に、がやがや二階の方に大衆が上つて行つたのですが、二階の方から見えた、二階で騒いでおる者を留置場に入つておる者が分つて、そうしてそこから手を出したりして、そこだというので大衆は直ぐそつちの方に行きまして、そうして監守の巡査をねじ上げまして、監守の巡査から拳銃を取つた。從つてただ拳銃は持つていただけであつて、拳銃を打つということのために使わない、これでは何らの意味をもなさないということは事実であつたのです。そこで今度はそこを捻じ開けて、こうして取つて、そうして段々やると開かるようになるのです。これは最近造つた新警察署でありまして、そうして昔のような嚴重なものじやないものですから、大衆ががやがやとやると取れてしまう。そうしてその扉を取つてそれを逃がして、代りにその巡査を入れて、そうして巡査が代りに入つて、そうして拳銃を取上げられたといつたようなことなんです。そういうことで拳銃を持つておつたところで拳銃を使うというところの氣魄なり決意というものを持つていない現在の警察官があるのですから、これは何の役にも立たないというわけです。
  14. 三木治朗

    ○三木治朗君 私のお尋ねしておるのは武裝解除で以て、ピストルを向うに取られていやしなかつたかということをお尋ねするのです。
  15. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 それは取られたのです。
  16. 三木治朗

    ○三木治朗君 それは一挺だけですか。
  17. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 一挺だけです。一挺は役に立たなかつた。ただ後で取返したろうと思います。というのは、そのときにはもう戰爭によつて相対立した状態というものが警察署にあるのじやなくして、警察署の警察官というものは大衆を取締るというのじやなくて、役場の吏員のような氣持を持つておるのです。要するに、そこにがやがや大衆が入つて、こうだ、ああだと掛け合つていると、それが家宅侵入をされておるのだというのが、要するにこれが取締らなければならないという、檢挙するという氣持はないのです。從つてピストルを取られようが取られまいが、友達にでもやつたような関係で、自分が警察官であるというような意識、権力を行使する意識が警察官にない。警察署長自身がいろいろな交渉には自信がない。交渉は駄目だ。今日の掲示板を五時までに撤去しろとか、いや撤去しないようにするというか、一方の掛け合いの対象になつておるのであつて、この家宅侵入に対して断乎として檢挙するという立場にあるという考え方はないわけで、あらゆる警察官はお前達出ろ、というようなことで、何をやつておるか、駄目だ、というようなことでやられたりして、そんなことから友達であるか、同士であるか、要するに、まあ何か戰爭の場合に相対立しておるところの鬪爭で、そこに殺すか殺されるかという考え方にあるのじやなくして、なすがままになつておるという状態なんだから、その際拳銃を打つという氣分もないわけで、ただ大衆が入つて來る場合に、大衆の前に警部補か何かが拳銃を打つぞと言つたら、じつとして恐ろしがつたという事実があつた。そこで大衆がこれは大変なことになつたという事実があつた。從つて一人が断乎としてパッと打てばこれは皆逃げてしまう。そこで僕は言うた、若しこれが市役所であつたらどうか、掲示板の許可というものが、市長が許可するという場合は恐らく大衆は市長のところに行くであろう、その場合に警察というものは行政許可は権限じやないから、治案維持の方をだけ考えておるから、それはその市役所に行つて檢挙することができるであろうが、掲示板の問題は署長が対象になつておる。丁度労働爭議における工場長のような関係に警察署長がなつておるわけです。ですから、まるでお互いに爭議の対象になつておるような感じを持つておるのであつて、群衆を取締るという感じを起さないという状態になつておつた。從つてああいう行政措置は、警察署というものは余り持つものじやない、一抵市役所が持つべきものである。そうして警察は第三者に向つて治安維持に当るのが当然ではあるまいかということも話したりしたわけですが、そういう状態ですから、拳銃を持つていたつて、そのとき実行しようという氣持がなかつたということが一つ。  それから第二の問題は、若松の爭議でありますけれども、二三日間夜通し大衆に軟禁されたわけです。そうして工場の入口あたりにおいては大衆が沢山おる。そこに実は進駐軍の人が來た。來たところが、いやこれは今掛け合い中なんで、今直ぐ解決するのだから、入らないで呉れ、入ると却つて工合が悪いからと言われて、帰つた。そういう状態でありまして、それから警察が沢山來た。ところが署長が又そこで、直ぐこれは終りになるのだから、署の方はここへ入らないで呉れと言うので、帰つた。こういうような状態で、工場長は、自分はそれでは辞表を出す、解雇することはしないということを言つたり、そういうことをした。警察の方は頼りにならないというようなことでやつた事実がある。そういうことで、平におきましても、進駐軍、司令部からも、常に事件発生から終りまで地区警察署におつたのです。直ぐ近くに地区警察署があるから、そこにはちやんとおられた。それから見にも來ておられた。併しながらそれについては、何らの関心もないわけです。併し若松において一斉檢挙を始めたのは、その方面の意向によつて最後にやつた。だからその事件の粉爭の途中においては、殆んどそういう方面におけるところの威力といいますか指図とか、そういうものは反映しなかつたというわけですね。
  18. 三木治朗

    ○三木治朗君 それからもう一つお尋ねしますが、そういう無警察状態に二三日なつておつたという話ですが、その間に窃盗、強盗並びに一般の治安、その状況はどうですか。
  19. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 窃盗、強盗などは、その間において特に被害を受けた者が少くなつたというような事実はなく、何ら関係がなかつたということが言えると思います。  それから一般大衆はどう考えたかというと、一般大衆は無関心といいますか、これは大変なことが、大変といいますか、何がごたごたが起りつつあるということは知つておりましても、それに対して何というか、他の火事のような関係においてただ見ていた。見ていたのじやないけれども、無関心でやつておつた。併しながらそういうことが段々聞えてからは非常に恐ろしがつて、平市のメィン・ストリートあたりにおいては、夜早く戸を締めてしまうというようなわけで、非常に恐ろしいというようなわけで、相当繁昌に影響して、現在はどういう意味か知らないけれども、非常に物騒だから恐ろしいというようなことで、警察はこれはいかんというようなことで、夜早く戸を締めるというような状態になつておるようですが、事件発生当初においては、いわゆる無関心の大衆によつてその事件を鎭圧するということは不可能であつた。だから、どちらの権力が強いかによつて解決する以外にはないのであつて、大衆の應援によつてそれを鎭圧するということは不可能であつた。大衆は信頼するに足らない……
  20. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 これはこの事件とちやんぽんになるようでありますが、この際齋藤長官に、治安の問題を力づける関連がありますのでお尋ねしますが、今の共産党員と申しますか大衆が警察に押し掛けて行つたときに、警察の力よりは向うの力の方が強い、衝突することは負けだと思つて、苦しいが隠忍自重をして大事に至らしめなかつたということでありますが、これを共産党員が言つている俺達は相談に行つた、俺達の主張に警察が協力をして呉れたのだと、こういう主張を言つた連中がいたとしましたならば、その協力をした警察の方が我々に協力をしたのだということは認めるが、そうではない、暴力で圧倒されたのだ、圧倒されていわゆる隠忍自重したのだとお考えになるか。向うの言う点においてこちらが協力したのだというたときにあなたはどちらにお認めになるか、これを一つ承わりたいと思います。
  21. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) お話は私は警察暴力によつて止むなく圧倒された、こう見ざるを得ないと思います。向うに協力したというようなことはこれは全然ある得ないことと從來の調査からもそう考えております。
  22. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 私はこの点について、過去の警察の方の、治安の任にいる方に一つ反省を促したい。昨年米穀年度において、米穀年度と申しますか、警察が主食取締において一斉下車をやせたのは凡そ七百万人ぐらいの人で、その中に何人本当の犯罪人があつたか分りませんが、あれを私が議会で質問をし、その後も引続いて、最後に郡山で死んだ人間が出來たというようなことから、とうとう齋藤長官の声明が新聞紙あたりに出て止まつたという問題に対して、警察は警察力を以てやつたのじやない、協力をして貰つた、協力をしたのだということのしばしば声明をあちらもこちらもなさつておりますが、私は眠つておる人間を起して、そうして相談をしてあれはやつたのではない。警察の意思はどうであつたか存じませんけれども、私共降ろされた方、又降りた七百万人の人から見たら決して協力ではない。あれは警察に圧倒されて、丁度警察がやつたと同じような意味でやられたのでありまして、あれを警察が本氣にあれは協連を國民に求めたのだとお考えになるような考え方でありますならば、警察は國民の恨みの的となると私は思つております。それから私は実際問題で言いますと、警察は計画的に國会の承認がなくて、多数の人に協力を求めることはならんという何か法案を作つて、法律に出したいとまでその後考えたのでありますが、併しこういう治安状態になつて將來何か暴動を取締るとか何とかいうのがあつたときに、警察は善良なる國民に向つて協力を求めなければならないようなことが起るかも知れない、そのときにはぼつぼつ國会を開いて貰うわけにも行かないから、その防げになつたらいかんと思つて、私は警察が計画をして多数の國民に協力を求めるときは國会の承認を求めなければならんという法案を、法的に何か講じて見ようということもその点において差控えておるのであります。若し警察があれを飽くまでも相談したので協力を求めたのだと言い張るようでありますれば、警察自体が、國民は警察を如何に考えておるかということを全くお知りにならないでおつしやつたのか、ただ弁解のために言われたのか、私は誠に警察の処置に対して本当は余りいい氣持は持つておりません。協力というような氣持ではない。実際を持しますと警察があのことをやつて、あれだけの多くの者を困らしたというのは共産党員が手を叩いて喜んでおります。混乱は警察が俺達に協力するのだというように考えた者もあると思います。確かにそういうことで、結果として……実際で申しますと三重縣の方から午後十一時に京都に着きまして、そうして九州に連絡に行かれますのに途中で降ろされたことによつて連絡が間に合わなかつた、そこで食糧もなくて駅に一杯に殆んど毎日寝ておるというような事実も沢山あつたのでありまして、あれが善良ならざる何十人か、何人かの不正者を取締り、何ら関係のない者に旅行の計画を狂わせ一夜を駅に明かさせる、あれは終戰以來の國家の一大惨事だと今も尚私は考えております。そういうことが知らずしらずに國民に警察を親しませない、警察を恨みの的とするような実に歎かわしい状態になると思います。國民が善良なるが故に夜中に起されて降ろされることが單純に協力だと考えておりますが、ああいう声明は嘘で、夜中において取締つたことがあります。警察が協力を求めるということが、出し抜けに行つて寝ておる者を起して、さあ起きて下さいということは協力と考えられますならば、それは國民は大きな迷惑だと思います。
  23. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 先程三木委員並びに柏木委員から派遣の両委員に御質問になつた点非常に重大な点でありますから、丁度平の市の警察署から委員会宛にこちらの要求に應しまして報告書を出して來ておる、その中で今のことに関連して平事件の核心ですからそれを專門員に朗読して貰います。ちよつとお聞きを願いたいと思います。
  24. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 朗読いたします。   (ホ)、警察署襲撃  前略……署長室においては代表株の者より市署長に対し(午後四時二十分)頃(一)、午後四時までに掲示板を撤去せよという命令を取消せと執抛且つ暴言を用いつつ抗議され事態はすます悪化し懇乱に陷る状況にあり、当時尚應援をしていないので警備の点から讓歩して交渉を円満に解決せんとし、七日間の延期要求に対し撤去を三日間延期した。続いて市署長に対し、(二)、事件の責任は署長にある。(三)、群衆(四)、矢郷炭鉱の爭議に何故に警察官を派遣した、労働者を彈圧した責任を負え。(五)、矢郷労組の山本某が死亡したのは應援警察官が行つたからだ、署長は殺人幇助罪だから共犯の一人としてその責任を取れ、精神的にもその責任を負えと要求したが、市署長は責任を負うの限りで無しと要求を拒否したので、「狡い署長だ、相手になれない、公安委員を呼べ」というので公安委員会開催の連絡を取つたが、この間署長室の群衆は市署長に対し、「吉田内閣の犬だ、労働者の仇だ「八、九月頃になると我らの時代だ、そのときによい署長になれないぞ、馬鹿野郎、署長も表に出ろ」等と聞くに堪えない悪口を言つた。午後五時過ぎ頃山崎公安委員長、猪狩、矢吹委員の会同を見たが、公安委員会としての意思決定のできないよう矢吹公安委員のみ署長室に入り、代表等と会つたが矢吹公案委員に対して、一、事件の責任は署長にあるから追及をよ。二、群衆側の負傷者の費用は警察側において弁償せよと要求した。午後六時頃会計室において市署長、次席警部、中公安委員と共に事態の收捨策につき協議し、群衆はますます増加し混乱する傾向にあり、交渉及び自署警備力だけでは群衆を退去せしむること困難の状況にあるので、橋本地区署長を通じ新井縣警察隊長に警察官の派遣を要請し、午後六時三十分頃浜通り各警察署に非常召集発令された。矢吹公安委員は代表の要求を開き一委員では回答できない、公安委員長に相談して來ると話し、三十分の約束で退署したが、玄関先で群衆中の警備隊長に「何処へ行く、隊員二人を附ける、自動車に赤旗を附けろ」等と尋問要求されたので時間を要し、参加者の石城郡湯本町深澤修は十五分くらい遅れると玄関口から署長室に連絡あつたので、七時二十分頃帰れる予定のところ七時四十分頃署長室に戻り、代表に「今公安委員長が來るからちよつと待つて呉れ」と話したところ、石城郡湯本町上川七金龍洙(四一)は「横柄な奴だ、殺してしまう」と言つて火箸を取上げかからんとしたが、周囲の者に取鎭められ事なきを得た。   (ヘ)、留置場破壞状況  午後八時三十分頃になり、先きに檢挙された利用鎭吾は、仲間が署内に來ておることを知り、留置場内から「ここだここだ助けて呉れ」と叫んだので、群衆に分り、代表者達は「市署長に交渉中に檢挙するとは不都合だ、何故入れた、出せ、出さねば我々が出す」と怒号交りに強要され、市署長は「公務執行妨害で檢挙したのだから出せない」と一旦拒否したが、群衆の圧力が強く拒否し切れず、「取調べの上釈放する」と告げ、伊藤警部にその措置を命じている間に、三四十名の者は留置場に殺倒し、監守中の織井安吉巡査に襲いかかり、同巡査から十四年式挙銃一挺(実砲四発装填)を奪取し、第四監房の錠を破り利用を奪還し、織井巡査を留置場に押込めたが、間もなく鈴木忠正部長に出された。この頃柳田警部補は署長室において会議の模様をノートしていたが、留置場が破られたことを知り、現場に走つたところ、一鮮人に「お前が張本人だろう」と喰つてかかられ、二、三回殴打され、シヤツの前方及びノートを破られた。尚留置場破壞犯人は捜査中であるが、挙銃を奪取した石城郡内郷町大字白水字三坑下九番地坑夫平子正孝(三十)を七月三日檢挙し、共犯鈴木吉雄(四二)、阿久達成正(二七)をそれぞれ七月五日逮捕した。   (ト)、檢問所設置の状況  午後九時頃になると在日朝鮮連盟湯本分会長朴重根の指揮により、市署への主たる通行路線なる二丁目西村藥局角、三丁目常陽銀行十字路、平駅及び才槌小路十字路の四ヶ所に数名及至十名の群衆を配置し、市署から他所への連絡及び他所からの連絡應援を阻止するための訊問並び見張をなした。中略して……玄関柱には午後六時過ぎ頃から赤旗が交叉され、人民管理の警察だ等と叫んでいた者もあつた。
  25. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 大体そういうような状況であります。
  26. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 齋藤長官も見えましたから、ちよつと私希望を添えて述べて置きたいと思いますが、國警本部としましては随分いろいろ苦心されていたと思います。併しどの程度にこの事件をいろいろな御調査をなさつておられるか、余程これは私は先程申上げた通り、恰かもよしというより非常に典型的のよい一つの事件である。どうしてもこの問題についての一つの眞相をよく探究して、これに対処すべき、つまり警察のいわゆる制度改善なり、警察の処置方針においてこれはしつかりと策を立てるときでなくちやならんと思います。この事件を今申上げた通り実地についてよく檢討されて、これは雛形ですから丁度いいですから、諸般の取敢えずの制度改革方針なりを決定することが非常に肝要だと思います。思うに私はそれについて二、三申上げて見ますと、先程三木さんからのお話で、拳銃は一体何挺あつたのだ、どうしたのだと誰しも考えることです。これは今問答がありました通りでありまして、拳銃はもうどうにもしようがないです。現在のところ一、二挺、而もああいう場合に拳銃が現在のままで無暗に使えない者がこれは大分部なんです。平署に聞きますと、何とか言う警部補が二、三十名の巡査を率いて表玄関を守つておつたのです。その際群衆が殺到して中に入り、石で殴られ、拳銃で殴られ、散々なことになりましたので、警部補が拳銃射てと言つて声を挙げてどなつたそうです。この際意外に群衆が全くたじろいでしまつて、ぼつと尻込みしてしまつた。門前に群がつておつた連中が離散はしましたが、十分に躊躇の色が見えた。併し実際群衆を打ちやしないのだ、今の警察は一つも打ちやしないのだということが分つたと見えますと、又再びその廻りに來た。そこで私はその警察の方に問答して見たのです。そのとき拳銃が仮に警察署は十五挺、二十挺あつたとする。そうして仮に一二発を打つ、或いは場合によつたら、止むなくして暴行者に向つて実砲を打つということをやつたと仮定したならば、どう君達は考えるかと聽いた。それは分らないと言う者、或る者はいいでしよう、本当に実砲が打てて、そうして警察が威力があつて、背後に十挺二十挺の拳銃があると分れば恐らくあの群衆は離散してしまうと言う者は二三ありました。これは警察官でありまして、町の者も市会議員も町会議員等もです。併し或る者はさあどうですかと言う、これは問答ですから分りません。私じかに考えて見て、やはりこれはなかなか疑問です。実際威力があるならば或る程度まで威力を発揮するものだと思う。現在のごとくあつても有名無実であつて、実際警察が一、二挺で以て振り廻したつてどうにも應援がないので力もないことも当然ですし、又打つて見てもどうにもしようがないのです。今の装備というものが完全で、應援が続くという情勢にあつて、本当に危機に應じて武器を使えるならば威力を出すものと思う。やはり装備の充実というものを兼ね合して考える。これは拳銃の使用が、職務執行につきましては今の警察法規、過般の警察拳銃執行法規の関係では曖昧なものであつて、迂潤に使つたりすれば警察官自身がえらい処罰を受くるものとなるだろう。今の職務執行法の精神を本当に理解するならば悪びれる必要はない、実際問題として今の警察官は到底武器使用をし得るものだという観念を持つておりません。これはそれではいけません。やはり一般の泥棒を追掛けてあとから打つてはいかんという意図とは違いまして、あの暴徒に対しては或る程度私も申したのでありますが、暴徒を鎭圧するような場合には、武器使用に関する自由観念を持たさなければ絶対に暴徒を離散させるというようなことはできません。これらは警察の組織が悪い、今の職務執行法が非常に不完全である。これが非常に禍をなしておる。だから警察が手も足も出ないでおる。これが一番大事な問題だと思う。そういう程合をよく見極めまして武器使用にいたしましても、それにも一つの方針を立て職務執行法の精神を植付けなければならん。この間警視廳を訪ねまして警視総監から話が出ました際に、警察制度改善も結構ですが、警察に武器を持たして呉れというのは兵器や重機を言うのではありません。治安警察法もなければ、暴力行爲取締法も怪しいものになつて、その他職務執行につき司法警察官職務規程とか、ああいうようなものもすべて消減してしまい、成る程考えて見ますというと、警察官職務執行に関するところの基準権限規程というものが殆んど怪しくなつておる。御承知の通りこういう方面に対する考慮を加えてやるのでなかつたならば、警察は執行力を増強することさえできません。これは実際問題としてむしろ一番障害になつておる。制度の改正よりも直接障害になつておる。合せてそれに関連して今日の刑事訴訟法の改正……憲法の精神というものを履み違いまして治安警察に関する途を封鎖してしまいまして、この二つの行き過ぎに今の新制度下における観念というものが、今日の警察をして申上げた通り実に言語同断、何ともいいようもない眞相を暴露した、そういう状態に置かしめておる原因である。これはどうしてもこういう事件の経驗を得まして、この機会を掴まえてよろしく逐次適正な改正をするのがいい。人権蹂躙の名に押されて、今日はこういう矛盾極まつた、大本を誤つた蕩々たる情勢に相成つておる。而も時勢の要求は非常にむずかしいのであります。判断を誤つたらやかましい輿論になりまするから困難と思いますから、そこに注意しつつ尚現状を放置するわけに行きませんから、職務執行に対する途を開くというだけのやはり規程をよろしく作るべきであつて、過般本部で以て決められた基準規程、ああいうものも結構、あれをもつと具体化した司法警察の職務執行規程というようなものによつてでもその途を開いて貰いたい。或いは刑事訴訟法を初め拘留、檢察、檢問、逮捕等に対してもつと機宜の措置を取り得るような簡易簡使な途を開く、これに対して我々も全努力をするのが当然である。我々委員会が当然の責任者と思いますのでこれに努力したいが、あなた方が直接の責任者ですから直接案を立てることが肝要である。國家警察本部の公安委員会はいわば全國に向つての警察の制度改善に対する努力を必要とする地位に置かれておりますので、これは各自治警察公安委員会の意見をよく聽取し、公安委員が主になつて各般の実際意見を出して頂きたい。その傳達をするものは事務の掌に当つておる皆さんの方々であるから、あなた方の方で一つそういう意見を公安委員を通じて対策を立て、又委員会を通じて連絡して頂きたい。これが非常に肝要じやないかということを痛感しております。併せて今申した通りどうぞ踏み込んで十分な専門的な見地から幾分の施策を講じて頂きたいと思います。一日も早く……
  27. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私から一つ申上げたいのでありますが、実はこの前福島縣廳で共産党の方々、國鉄の方々にお会いしたのであります。そのときに一應口頭で申述べましたのですけれども、時間がないので詳しいことは文書によつて送つて貰うということに相成つております。從つて共産党は共産党としての報告が我々の調査に対して文書で以てある筈です。それから國鉄の方も約束をいたしましたから恐らく文書によつて我々のところに來ると思います。それは國鉄の意見であり、共産党の意見であるということは事実でありまするので、それをはつきりするために速記の中に止めて置こうということを申しておりますから、若しそういう書類が來ましたならば、本日の報告する段階には間に合わなかつた。報告が來ましたならば、それも速記録に繰り入れるようにということをお願いして置きます。
  28. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 両委員から詳細な御報告を頂きまして非常に参考になつた次第であります。この福島の不詳事件は容易ならん事件でありまして、今御報告によりましても、弱小の自治体警察というものを果して制度として継続して行つていいかどうかの問題、公安委員制度の問題、今岡田委員からお話がありました武器使用に関する職務執行法、こういうようなことは、この委員会としても十分強勉しなければならんと思います。殊に武器使用は、これは私はなかなか愼重を期さなければならん問題でありまして、ロシア革命におきましてロシア帝國が倒れた、あの場合も軍隊が民衆の反動に対しまして銃器をとつて発砲いたしました。数十人が斃れ、死に、負傷したという事件が起きました。それが切つ掛けとなつて革命が成功したのであります。つまり軍隊は國民の敵だ、人民の敵だというふうにレーニンの一派が受けていたのでありまして、或いはこういう暴徒におきましても、革命戰術として暴徒側の方はそういうことを予想して、事あれかしと用意しているとも見なければならんと私は思うのであります。この点はよく我々も考えて、どうしたらよいか、御研究を願いたいと思うのです。この前差上げてある警察法改正についての私の試案というものをもう一度御覧頂きまして、あれは不備だらけでありますから、どうして完全にしたらいいか、そういうふうに御研究を煩わしたいと思うのです。この御報告をお聽きするにつきましても、つくづくそれを考える次第であります。  尚國家地方警察本部長官にお尋ねいたしたいのですが、先程平の市の警察の報告を読みましたところにも出て來るのでありますが、この平事件につきまして、炭鉱地帶の関係が、朝鮮人が非常に大きな役割を演じていると思うのです。この問題は日本の治安の問題を考えて行きます上において非常に重要な問題だと私は思つているのでありまして、この動向についてどういうふうにこの國家地方警察の方では関心を持つておられるか、それをお尋ねいたしたいと思うのです。  それからもう一つ、これは警視廳内にある全國自治体警察長の連合協議会の事務局から武本参事が、あの事件早早平方面に行かれまして、いろいろ調査をされまして、それを私に報告をして頂いたのであります。その中で私が最も重要なことして開いておりますことは、あそこの平の町の一般の人等がこの事件に対して割合に無関心であるということ、それからこれに対して殊に消防の人なんかにも武本参事が質問をして見たというのですが、その答えに、全部が全部じやありませんけれども、或る人は、共産党がそれだけ力が強いならば、共産党に一度内閣を組織さして見ればいいじやないか、そうして又うまく行かなければ、今度は又自由党の吉田さんがやりやいいじやないか、こういうような浅薄な考え方というものが割合あるということの報告があつた。この点は誠に聞き逃しのできないことでありまして、暴力というものに対して、又警察の余りに弱体な関係から、共産党の力を過大視し、又暴力というものが仕方がないのだというように肯定しているように見えるのです。こういう点に関しまして、あなた方の御調査はそういうところまで出ておりますかどうか、單なる杞憂であるか、この点を伺つて見たいと思います。
  29. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) 朝鮮人問題は、これは非常にいろいろな問題を持つておると思いますが、これは單に治安警察の面からだけでは解決のできない大きな問題があるかと考えておるのでありますが、治安警察の面からといたしましては、先ず合法的に日本に在住する朝鮮人の問題と、それから密入國で入つて來る者の問題と両方あるのであります。それで前者につきましては、これは日本の法令が、嚴格に適用されておりまするので、我々もこの方面の犯罪の檢挙には吝さかであつてはならない。終戰直後は、相当乱暴を或る程度見逃しておつたというわけではありませんが、そういうように見られても正むを得ないという場合があつたと思いますが、最近は警察の威信を取返して参つたのであります。今後更に一層嚴重にやつて参りたいと思うのであります。殊に朝鮮人の問題で一番問題とされまするのは、やはり或る種の政党と特別の関係を持ち、先程お話になつたような事件、いわゆる共産党員が犯すような事件の際には、朝鮮人の或る者は大抵随伴しておるという問題でありまするので、これらは、そういつた問題として対処をして行かなければならんと考えるのであります。  密入國朝鮮人の処置につきましては、これは今日の刑法やその他の関係等から不利な点もあると考えております。尚これらにつきましては、二、三我我の方でも考えておる点があるのでありますけれども、これは一つ別の機会に御懇談をお願いすることにいたしたい、こう思います。  それから平においてはこの事件の当該者以外の一般の人達は極めて無関心である。むしろどちらにでもなるようになつて構わないじやないかというような氣風が見られるというお話ですが、こういつたような樣子が他の部面にも絶対にないとは言われません。むしろそういつたような無関心な人々の方が多いのじやないか、又地域的に見てもそういうところが若干あるということは、私は否定し難いと思うのであります。どういたしましてもやはり私は國民全体の人が我々自身で治案を維持し、そうして我々の目標とする社会、或いは政治組織というものに対して、熱意を持ちこれを推進し、又これに害をなす行動についてはどこまでも憎んで行くような工夫がもつととつて貰いたいということを警察の立場といたしまして痛感をいたす次第であります。
  30. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 ちよつと今の点に関連して申上げて置きますが、今平市の一般民衆のこれに対する態度、感想ですね、確にか事件直後及び事件当時においては今委員長のお話になつたように空氣も大分我々も傳え聞きました。殊にああいう警察が勢いで以て押倒されてしまつて、そうして結局革命が近いんだぞ、直ぐ明日にもだというような調子で権力鬪爭の名の下において、権力機関である警察というものを押倒して、むしろ自分達の味方にしてしまうという共産党戰術の意図の下に現われておるので、警察の直接恨みがあつてやつたのではない。その勢いが余りにも強く、警察の状態が酷いために民衆の氣分まで呆氣に取られると同時に、やはり勢いに付くと言うか、やはり共産党的な勢いに付く。こういう暴動というものが起つた場合に日本の民衆というものは妙なもので、それに安閑として引摺られて行くという傾向が少くないということを憂慮しておる観察をした者があつたくらいで、又実際そういう傾向があつたのではないかと私は思う。ところでその後日にちが経つて來て、いよいよ大檢挙、いや大でもないんだ、実はもつと強い檢挙が欲しいのですが、檢挙が着々進行しておりますために、この点について非常に又感じが変つたらしいということは私は観取しました。それでやはり一面においては檢挙の進行について暴徒が、つまり共産党側においても鳴りを潜めておおる。民衆側においても今度はやはりああいう馬鹿な革命騒動をやれば、結局とどのつまりはこんなものだということで、檢挙によつて大いに力を得つつある。漸くいわば安心を取戻しておる。警察に対する信頼、國家制度に対する信頼というものを信じて來たらしい。その関係からしてもう一つ消防組その他青年有志が蹶起せねばならんとていう空氣が強くなつて、七月六日の日には逸早く市長を中心として市役所において会合が行われまして、そうしてそれらに対する民主的、いわば何といいましようか、対策といいますか態度というものを考えなければ市民というものは到底枕を高くするわけには行はかず、この勢いでは本当の暴力革命によつてどういうふうになるか分らんじやないか。これは大変だ、警察だけに頼つておるわけには行かないということを考えまして協議会となりまして、そこで結局火防組、つまり火の廻り番的組というものが各町にあるそうです、これが旧慣としてずつと傳わつておる。全市民組合で以て組織を持つた一つの火防組合になつておる。これが要するに市内の警戒、市内の自衞手段というものをどうしてもやらなければならん。又ああいうふうだとこれから火災か火つけがあるかも知れない、警察も焼かれることもあり、市役所も焼かれることもあり、市中到る所に火を出すということにも思いを寄せまして、火防組合がおのおの任務を負わなければならん。先程の御報告の中にもありましたが、共産党は四ヵ所、我々は八ヵ所に聞きましたが、八ヵ所に審問所を設置した。組織的な交通遮断、一種の交通取締、査問をやりまして、そうして組織的に先ず共産党がいわば天下を取つた、いわば人民政府ができたという恰好を以て臨んでおるというような始末なんですから、これは大変だから、これはいわゆる自衞手段の組織というものを市民みずからが考えなければならん。そういう非常の変がある場合にはそれを考えなければならんのではないかということで、火防組合、消防組合の二つが呼應し、その後近郷近在、どうしても平市だけではいけない。附近町村九ヶ村か十一ヶ村が丁度連帶区域ですから、これが互いに治安上においては一連一体をなした共同運命だということで、これに段々話掛けまして、七月の末頃だつたか何か会合ができたそうです。大体において金も出すべし、いろいろな組織も立つべしというので、それから警鐘を三つ鳴らして、その際には必ず警鐘、半鐘を鳴らす。その下に皆九ヶ村か十一ヶ村の関係者が全部部署を整えて自衞手段を講ずる、自分の町村を互いに守る。そうしてこれが一面は火災、盜難を防ぐというような役目を主として自衞の途をやろうじやないか。そこに丁度軍政部から某少佐が來たために、その際に立会つて貰つてその相談を進めて、且つ又軍政部の者がそれに向つて感想を申述べましたが、まあ必然の処置であろう、おのおの適当な権限を守つて或る程度自衞手段を以て当るということは極めて肝要であろうというような、つまり同感の意を表された。これも一面においてはフアッショ化するとか、旧警察制度というものの復活を懸念されておるからそういうことの起らないよう注意すると同時に、一面において今のような手段を断乎としてやろうじやないかというようなこういう状態で今進みつつある。丁度鈴木平市長が同僚で懇意な人ですが、特にこの点に非常に鈴木市長は念慮を置きまして、終始一貫この暴動事件の成行きというものを非常に重大な関心を持つております。これはたまたま平地帶というのが炭鉱地帶ですから殊に甚だしき状態を呈したのでしようが、全國到る所にこういう根がある、沢山なやはり原因がある、又そういう氣風というものが全國に漲つておるのが現状です。火をつければ必ずしも平市に限らない、全國到る所にこういうふうにつけ得るのである。由つて來るところのものが治安機関というものが更に國民に信頼を受けておらん。のみならず全然これが無視蹂躪されておるところが、そうならしめる空氣を醒釀しておるのである。これについて鈴木君が非常に熱意、憂國の氣持を持つて本当に心配しておる。そういう氣分を以て今平市が進みつつある。事件を契機として今後に対処する処置というものを考える。こういう空氣にあることを特に御紹介申上げて置きます。
  31. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ちよつと参考のために労働組合のことを申上げて置きたいと思います。私は各労働組合の中の少数の共産系の影響ある人達が集まつたということを申上げたのですが、現在の労働組合組合員が全部そういう考え方を以て動員されておるということではないということをはつきりするためにそう申上げておつたのですが、その一例として平において郡山からの應援を受けまして、そうしてトラック二つかで郡山の警察官が平市の方に向つた。その際に郡山にある第二日東工場のトラックを借りて行つたわけです。そこでそれを聞き知つたところのその方面の人達……國鉄が中心です郡山は。駅前にも國鉄の旗ですか、赤い旗がへんぼんとして停車場のところに飜つておる。その國鉄の人達が中心となつて四百名くらいが駅前でアジ演説をやつてデモをやつて、そうして七月一日の午後九時頃から市内のデモをしてそうして日東工場に向つた。ところが日東工場は門が閉つておつた。それで別の門から入つたりして、そうして遂にその正門を押しあけて入つたのですが、その際に應対したのがその工場の労働組合長です。それでその労働組合長が出て來て。そうしてそのデモ隊に應対した、そうして何で入つちやいかんというようなことで應対した、どういうわけで自動車を出したか、いやそれは当然こういう場合には出すべきものであると思つて出しておる。それならば工場長を出せ、工場長は何も出す必要はない、自分が應対するというような形において、その労働組合長と四百名の大衆デモが相当長い間押問答をして、そうして遂に撃退といいますか又別の方に向つて行つたというようなことがあります。その工場を見ますというと、その労働組合は総同盟系であつて、殆んど共産党系分子はないところであります。そういう傾向におけるところの労働組合というものも相当非常にある。又炭鉱地帶、平炭鉱地帶においては岩城炭鉱というのが一番大きい、これも総同盟系であつて、共産系は極めて少い、そういうようなことからして労働運動も合法性を持つた労働運動をやりつつある、從つてこの動員されておるところの矢郷炭鉱というのが共産系分子の大部分の影響下にあるものであります。又少数の小さい炭鉱においてもそういうものがあつて、矢郷炭鉱においても何か同志会というような反対の総同盟系の労働組合も相当あつて二つに分れておる、そこで実は二つがお互いに喧嘩しておる。そこで暴力的に行くと、警察官がその方面に應援をするのだ、共産系を彈圧するのだということで駐在所なんかしよう中襲撃されておるというような状態であります。一人自殺しました巡査が……。そういうふうなことでありますが、現在の労働組合の情勢というのは、いわゆる穏健な労働組合運動をやつて行こうとするものが非常に大部分であります。非常に多いのです。從つてこの共産党の輩下にあるものが極めて少い、そういう人達が動員されて今度の行動をしておるということをはつきりして置きたいと思つて申上げるのであります。從つて労働組合というとすべてがそういう傘下に集まつてやるということでないということになつておる。殊に檢挙後におきましては政党的には社会党の勢力下にあるようでありますが、そういう方面の勢力というものが非常に強くなりつつある。これは國鉄においても全逓おいても、そういう傾向を現在來いしつつあるようでありますけれども、そういうふうになりつつあるという現在の労働組合情勢も御参考のために申上げて置きたいと思います。
  32. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 御両所の報告、それからすべての意見がそういう誤つたことをするものを取押え、將來させないようにするという点において力が結集されておると思うのであります。大変結構であると思いますが、共産党は野坂が帰つて以來愛される共産党、國民から愛される共産党というスローガンを掲げまして随分努力をして非常な効果があつたと思うのであります。例えば平市に事が起りましたときに國民が平市民が、警察に指一本でも染めるような者があつたならば俺達が承知しないという程福島縣民が起つ、これが私は一番大事だと思う。それは警察が愛される警察になるということが私は最も必要だと思うのです。警察が國民から、縣民から市民から憎まれる警察でありますならば警察の本当の思いは十分に私は挙げられないと思う。  今度でも警察の無力を暴露いたしましたが、共産党員が押掛けておるときに平市民の全体が、警察に指一本でも触れるならば本当に我々が承知ならんという、警察が愛されてなかつたということが又一つの見方であると思うのであります。元來警察は間違つた人間を捕えるので、どつちかと言えば、そういう悪いことをした者は、自分が捕えられて警察を憎むというので割の悪い役目と思いまして、私共特に警察官を尊敬し、警察官には深い親しみを持ちたい、又同情もいたしたいと、その点において考えております。然るに警察の在り方が、不用意の間に善良なる人間を計画的に何百人、何万以上の者に迷惑を掛けるようなやり方をして、そうして愛されようと思うことは大変な間違いである。悪意なく氣が付かずに、又例えば少数者を取締るに便利だからというようなことで、大多数の千万以上の者に迷惑を掛け、局部的でも混乱を來たすというようなことは、これは共産党員が明らかに警察と人民との心持を割きたいと念願しておる。それをみずからが行うておるということになるのであります。私は取締つて行くことに全力を注ぐと同時に、警察の在り方が國民から愛せられる、間違つたものは間違つたといたしまして、本当に日本を守るのは善良な國民が守るのですから、その善良なる國民に迷惑を掛けて、善良なる國民に嫌われておるような在り方でない警察の在り方に、私は齋藤長官は心して頂きたいと存じます。
  33. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) 柏木委員の先程の御意見と只今の御意見、全く私は関連した同じお考えからの御意見だと傾聽いたしました。私も只今の御意見と全く同じ立場に立ちまして、私共の最も努めなければならん大事な事柄と考えております。私共努力いたしたいと思います。
  34. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 もう一つそれに関連いたしますが、これは一つ実例といたしまして列車の一斉降車は、時が來たならば、必要があるならば又やるというまで言うてありませんけれども、仄かしておるのでありますが、あれに対して長官のはつきりした態度を承わりたいと思います。
  35. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) ああいうことのやる必要のないように、私は最善の努力を盡したいと思います。
  36. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 一斉降車をやらせる必要があなたがあると仮にお思いになつても、私はそれはいけないと思う。見解の相違があるかも分らんと思うのであります。私は実際問題として、ああいうことがないようにやる方法が私はあると考える。取締は嚴重に、これは必要あると思います。併しあなたがあれをおやりになつて、あれは最善であつた、誤りなく國民に協力を願つた。やはり協力を又願うことがあるだろう、あのことに対してそれを私は承わりたいと実は思うのであります。問題は計画的に、あれは何千万の國民が迷惑したことであつて、警察に向つて一つの恨みを持つております。それを善良なる者は、これははつきり委員会でも、降ろされて迷惑をしたということが言われております。それを警察がいや協力したのだというような考えをお持ちになることが、私は警察自体の誤りであると考えておるのであります。決して協力を國民がしたのではない。事態を最小限度にいるにはこれがいいと思うてやつたのであつて、あれは協力ではない。あなたもおつしやつた通り國民もその通りである。どうか私は警察が國民全体から愛せられる警察、親しまれる、我らの仲間、我らのものだというような警察の在り方でありたい。あの愚かさを再びあなたが繰返すという意思があるならば、させないぞという、私は又私のできる最善を盡して、國民の協力なくして、國会の承認なくして計画的に何百万の人を動かすということは、國会の協力と承認を要する、ということでも進みたいと考えております。
  37. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は今度の調査で感じておるのですが、調査だけではないのですけれども、炭鉱地帶でありますが、これは石炭が將來どういうふうになりますか、鉱山が経営上非常に困難になつて來る、あそこはカロリーが少いのですから……、というような事態になれば自然経営が困難になつて來て、そうして不景氣になつて來ますし、そうすればやはり整理問題というものが出て來ると思う。今度の意件を見ましても、若松の事件も、やはり首切というものが中心になつて、そこに一つの温床が出て來た。又矢郷炭鉱の首切においても、そういう温床が生れて來ておるのでありますが、こういう事態というものが、今度あの平地方の炭鉱に沢山出て來たということになりますと、そこに首切られて生活が困難になつて來るところの多数の人々が出て來ると思う。そういう人達はやはり生活上非常に苦しくなりますし、首切られるということは、感情的にもよいことではございませんし、從つてその不平不満というものを取上げるところの政策に必然的について來るということになると思います。これはあの炭鉱地帶だけでなく、全國全部そうだと思う。いわゆるそういうところの温床というものが相当今後、全國を通じて現われて來はしないか。それでその温床の上に一つの運動が展開されるということになりまするというと、相当やつぱり幾ら警察力を動員しても追付かないということになつて來ると思うのです。從つてこういう事態は一時忍ばなければならないのだというのであるならば、その点にもう少しはつきりその人達に知らして置いて、そうして一時忍ぶ、或いは何らかやはり生活して行けるような対策というか、生活対策というか、そういうものを立てて行くということを、むしろもつと積極的にやる必要がある。そうして万全の処置はとれなくてもこれは止むを得ないものである。そこでお互いにそれを忍んで行けば、その中に又光明のある経済状態になるのだというようなところのものを、もう少しはつきり知らして行く必要があるということを実は感じたのであります。それについて福島のおいても平においても言いましたが、一体現在の既成政党はなつてないです。そういうふうな一つの政策についてのはつきりしたところの演説会なりいろいろなことをして、そうしてそれを、これはこういうふうになるのだ、こうこうだから止むを得ない。こうなるのだ。こういうふうにするのだというようなことがもう少し、例えば民自党などは國民に知らせるだけの大運動をすべきであつて、一番熱心なのは共産党だ。議会報告演説会を、渡邊代議士なり、それから全逓の土橋代議士などが來て、そうして、むしろ逆の方面にずつと報告をして行つている。ところが他の者は全然そういうことをやつていない。というようなことで、もつと政治問題としてその政策を國民に知らして行くということが必要であるということを、所感として二三の人達が言われていましたが、そういうふうによく理解させるような運動をすることと、そして実際においてそういうことが、生活して行けるような施策を講ずるということをむしろ強く、それを通じて解決して行く必要がありはしないかということを痛切に感じて、あの問題を單なる治安の問題、警察の問題からのみこれを解決して行くというのは不可能な問題であるということを痛切に今感じて参つたものであります。ただ我我は警察制度に関する、治安という方面のみから調査をするという役割で行つたために、その方面のお話を今申上げておるのですけれども、実際においては、私が今申上げたような方面の政策を強く押進めることが治安対策であるという実感を深めて來ました。そうして一方的に又治安の面からも考えて行くと、並行主義で行くべきであるという考え方を持つておりますので、そのことを申上げます。
  38. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 齋藤長官にお尋ねしながらちよつと申上げる。今各地を廻つたときに。警察官の士氣が沮喪しておつて、どうもなかなか以て活發に行かないという内面事情の一つとして、殉職の際における不安がどうも非常にあるというのが事実らしいのです。到る所で訴える。殊に小さな自治体警察においては、間違つて今のような暴動鎭圧のために死を賭するようなことがあつても、一体どれだけの弔慰金が貰えるだろうか。恐らくこれは大変なことになる、ということは始終念頭にある。これはまあお互いに考えたことでもありまするが、やつぱり注意することであつて、何とか適当な、早く途を開いて行く必要がある。國家地方警察の方はそれに対する手当規程がどういうふうに大体なつているか、慣行としてどの程度のものが考えられるか。併せて今の弱小自治体警察において財政上いろいろ困難はあろうが、併し標準として或る程度までこれにもまあ大体釣合いのとれたような必要な殉職手当を給するだけの処置をやはり國として考えなければならないと思う。それにはやはり地方警察の方がどういうふうになつているか、あなた方の方でもこの点は非常に苦心されていましようが、この点に関して少しお答えを願いたい。
  39. 斎藤昇

    ○説明員(斎藤昇君) 殉職の場合の手当は、勤務の年数やいろいろなことで違いますので、私、詳しい点は只今確実には覚えておりませんが、例えば先般新潟で機雷の爆発を防ごうと思つて殉職をいたしました警察官は、たしか十何年か勤務をいたしました。これの手当が二千万円ばかりのものでございます。余り大した額とは考えておりません。併しながら小さな自治体警察でありますと、それすらも出すことができないので、非常に、若しそういう場合があればどうしようかというようなことを自治体で心配しておると聞いているのであります。國家警察の要請によつて自治体警察が出動をいたしまして、殉職をいたしますというような場合においては、これは國費で國家警察の殉職と同じようにして貰うように法令の改正を願つたらどうだろうというような事柄を考えております。國家警察自身のそういつた手当の増額につきましても我々も努力をいたしておるのでありますが、御後援をお願いいたしたいと思います。
  40. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) まだいろいろ承わりたいことも、御意見もございましようが、今日はこの程度にいたしておきまして、これがただ今日の御報告だけでいいか、又関係國務大臣とか、公案委員長を呼びまして具体的のいろいろの対策について聞き質すかどうか、そういうことはいずれ御相談いたしたいと思います。ではこれで今日は散会いたします。    午後一時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            岡田喜久治君            寺尾  豊君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君    常任委員会專門    員       福永與一郎君   説明員    國家地方警察本    部長官     斎藤  昇君