運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-04-06 第2回国会 参議院 司法委員会 14号 公式Web版

  1. 昭和二十三年四月六日(火曜日)    午後三時二分開會   ―――――――――――――   本日に會議に付した事件民事訴訟法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○行政事件訴訟特例法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 岡部常

    理事(岡部常君) これより委員會を開催いたします。先ず民事訴訟法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を願います。
  3. 奧野健一

    政府委員(奧野健一君) 只今議題となりました民事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明いたします。  裁判所法施行により裁判機構に著しい改革がもたらされましたので、「日本國憲法施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律」を制定して、日本國憲法及び裁判所法施行上必要止むを得ない部分に限り民事訴訟法に對する應急的措置を講じたのでありますが、この應急的措置に關する法律は本年七月十五日を以てその效力を失いますので、この際、現行民事訴訟法に所要の改正を加え、新らしい裁判機構の下における訴訟手續の進行を圓滑にし、國民の權利保護に遺憾なきを期そうとするのが、本改正法律案の趣旨であります。  尚、民事訴訟法につきましては、廣範圍に亙り、最高裁判所の定める民事訴訟規則との調整を圖る等、根本的に檢討すべきものがありますので、鋭意研究を續けているのでありますが、諸種の事情のため、未だこれを立法化するの域に達しておりませんので、民事訴訟法の根本的な改正はこれを他日に讓り、本改正法律案において、右の應急的措置に關する法律の失效に伴い必要な最少限度の改正を主眼とし、併せて、新らしい裁判機構の下における民事訴訟制度の運營上適當と考えられる一二の新らしい制度をも採入れることとして、その立案をいたした次第であります。  以下本改正法律案の要點を御説明いたしますと、先ず  第一は、日本國憲法裁判所法及び民法の一部を改正する法律施行等に伴い必要な條文の整理をしたことであります。例えば軍人軍屬に關する特別規定を削除し、「區裁判所」を「簡易裁判所」又は「地方裁判所」に改め、「家族」を「同居ノ親族」に改めたもの等で、本改正案中の大部分は、この部類に屬するものであります。  第二は、裁判所法により、地方裁判所審理及び裁判についても單獨制が認められましたので、これに伴い必要な規定を設けたことであります。例えば、地方裁判所の單獨の裁判官除斥忌避に關する第三十九條の規定、準備手續に關する第二百四十九條の規定がそれであります。  第三は、證據調について、當事者の權利と責任とを擴張し、直接審理の建前を更に推し進めたことであります。即ち、民事訴訟の性格に鑑み、職權による證據調を廢止すると共に、證人、鑑定人に對する當事者の尋問權を適當に擴張し、且つ裁判官の更送のあつた場合及び證據保全手續において證人等を尋問した場合について、直接審理の建前に副う規定を設けたのであります。  第四は、正當な理由がなくて出頭しない證人等に對する制裁を強化したことであります。裁判所から證人又は鑑定人として出頭を命ぜられた者が、正當の理由がないに拘わらず、これに應じないことは、單に當事者の不利不便を招くというに止まらず、裁判所命令を無視するものとして、又訴訟遲延の原因となるものとして、裁判所の機能の運營に重大な悪影響を及ぼすものでありますので、これらに對しては從來より金額を増額した過料を以て臨む外、新たに、場合によつては拘留科料刑罰をも科し得ることといたしたのであります。  第五は、簡易裁判所訴訟手續に關する特則を設けたことであります。即ち簡易裁判所における審理及び裁判につきまして、場合により、調書に記載すべき事項を省略し得ることといたしたこと、及び口頭辯論期日に出頭しない當事者の提出した書面の記載事項を陳述いたしたものとみなす場合を擴張したこと等、簡易な手續により迅速に紛議を解決するための適當な規定を設けたのでありまして、第三百五十二條以下數條の規定がこれであります。  第六は、上訴制度について、新らしい裁判機構に即應する規定を設けたことであります。  日本國憲法及び裁判所法施行によりまして、從來の制度と比べ特に大きい變革を見るに至つたのは、最高裁判所の機能でありますことは、すでに御承知の通りであります。この大きい變革に即應するために、裁判所法におきまして、簡易裁判所事件に對する上告高等裁判所の權限に屬するものと定められましたが、更に上訴一般につきまして、不必要乃至は不當な目的を以てする上訴を能う限り防止し、上訴裁判所、殊に最高裁判所の負擔の輕減を圖る必要があると考えられますので、本改正案におきましては、第三百八十四條ノ二によりまして事件の完結の遲延のみを目的とする上訴の防止を圖りますと共に、第百九十三條ノ二におきまして、裁判に對する信頼を高め、且つ不必要な上訴を防止するため、明らかに法令に違背した判決裁判所みずからこれを變更し得ることとしたのであります。  而してかように不當又は不必要な上訴の防止を圖ります半面、最高裁判所違憲の判斷に關する終審裁判所とする日本國憲法第八十一條の精神に鑑みまして、苟くも法律命令規則又は處分の立憲性が爭われる場合には、たとえそれが簡易裁判所事件でありましても、又不服申立の方法のない決定、命令でありましても、常にその點につき最高裁判所の判斷を受け得ることといたしました。本改正案第三百九十三條以下第五百條までがこの新らしい上訴制度に關する規定であります。  第七は、民事訴訟の全般に亙り、訴訟又は強制執行の關係人の權利の伸張又は利益の保護を全からしむるため必要な規定を設けたことであります。例えば口頭辯論を經ずして訴を却下する場合に關する第百十四條、債權の差押に關する第六百十八條第二項及び第六百十八條ノ二の規定等がそれでありまして、上告裁判所判決に對してもその裁判所異議の申立をすることができることとした第四百九條ノ二以下の規定も、この部類に屬するものということができるのであります。  最後に、第八は、以下の改正に伴いまして必要な經過規定を設けたことであります。附則に掲げた諸規定がそれでありまして、改正法律施行の前後に亙る事件につきましては、手續法としての性質上、原則として新らしい規定によることを建前といたしましたが、他面當事者の利益を遡つて奪う結果にならないように必要な配慮をいたしております。  以上を以て民事訴訟法の一部を改正する法律案の大要の説明を申上げました。何卒愼重御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 岡部常

    理事(岡部常君) 次に行政事件訴訟特例法案の提案理由の御説明を願います。
  5. 奧野健一

    政府委員(奧野健一君) 只今議題となりました行政事件訴訟特例法案につきまして、提案の理由を御説明いたします。  日本國憲法及び裁判所法施行によりまして、從來行政裁判所が取扱つておりました行政廳の違法な處分の取消又は變更に係る訴訟その他公法上の權利關係に關する訴訟は、すべて裁判所管轄するところとなり、民事訴訟法の定める手續によつて審理裁判されることになりましたが、この種の事件は、公法上の權利關係に關する爭いを内容とするものでありますから、民事事件とはその趣を異にし、その裁判は直接公共の福祉に重大な關係を有するものでありますため、若干の點について民事事件とは別個の取扱をする必要があると存ずるのであります。この行政事件の特質に鑑みまして、このたび民事訴訟法の一部を改正いたします機会に、行政事件訴訟について必要な特例を設け、この種事件の適正な處理を圖ろうとするのが、この法案を提案する趣旨であります。  以下この法案の要點を御説明申上げますと、先ず  第一は、行政廳の違法な處分の取消又は變更を求める訴えを提起するには、その前提として請願を經なければならないものといたしたことであります。違法な行政處分に對しましては、先ず請願による救濟を求め、行政廳に處分を匡正する機會を與えることが訴願制度を認める趣旨に適合し、又それが迅速に行われる限り、國民のためにも便宜であると考えられまするので、法令上、訴願の途が開かれておる場合には、原則として請願裁決を經た後でなければ訴えを提起することができないものといたしました。  第二は、右の訴え被告及び土地管轄を定めたことであります。この訴え行政處分の適法性を爭うものでありますから、從來の行政訴訟におけると同樣に、直接處分をした行政廳を被告とすることが裁判の適正と迅速を期する上に適當であると考えまして、その旨の規定を設けました。又この種の訴えにつきましては、專属管轄制度を採用し、事件につき審理の圓滑を期すると共に、訴訟の取扱が區々に亙ることのないように萬全の措置を講じたのであります。  第三は、行政廳の違法な處分の取消又は變更を求める訴えについて、出訴期間を定めたことであります。行政處分は、處分を受けた者のみでなく、公共の利害にも關係することが深いのでありますから、これを永く未確定の状態に置くことは避けなければならないので、日本國憲法施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律第八條と同じく、この期間を、原則として、處分のあつたことを知つた日から六ケ月と定めました。尚この出訴期間制限と關連して、原告被告とすべき行政廳を誤まつたときは、訴訟の係属中何時でも被告を變更することができることといたしました。これは從來の行政裁判の經驗に徴しまいと、原告被告とすべき行政廳を誤まつたために、囘復することのできない不利益を受ける事例が往々ありましたので、かような事態を避けようとする趣旨に出たものであります。  第四は、違法な行政處分の取消又は變更を求める訴に併合し得る訴えの種類を定めたことであります。この訴えには、その訴求と關連する原状囘復、損害賠償その他の請求に係る訴えに限り、これを併合することができるものとし、これによつて、當該行政處分に關連する紛爭を一擧に解決すると共に、他面、廣く訴えの併合を認めることにより、行政事件ひのものの裁判が遲延することけ避けようとするものであります。  第五は、行政處分は、出訴によつてその執行を停止されないことを明らかにし、併せて、これに對應して必要な規定を設けたことであります。出訴が行政處分の執行を停止する效力を有しないことは、事柄の性質上明らかなところであると存じますが、これら貫きますと、折角勝訴した者のため甚だ酷に過ぎる結果となることがありますので、裁判所は、處分の執行に困り生ずべき償うことのできない損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、事件の終局的解決に至るまで一時行政處分の執行の停止を命じ得ることといたしました。併しながら行政處分の執行の停止公共の福祉に重大な影響を及ぼす慮れのあるとき及び内閣總理大臣異議を述べたときは、執行の停止ができないことといたしまして、國家公共の利益の保護の遺憾なきことを期したのであります。  最後に第六は、行政處分の取消又は變更を求める訴の提起があつた場合において、請求の理由があるときでも、裁判所は、請求棄却判決をなし得ることといたしたことであります。即ち裁判所が一切の事情を御慮し、行政處分を取消し又は變更することが、却つて公共の福祉に適合しないと認めるときは、原告請求棄却することができることといたしまして、公共の福祉の確保を圖つたのであります。  その外、行政事件の特殊性に鑑みまして、裁判所は、必要があると認めるときは、職權で、訴訟の結果について利害關係のある行政廳その他の第三者を請訟に參加させることができるものとし、又公共の福祉を維持するため必要と認めるときは、職權で證據調べをなし得る途を開くと共に、確定判決は、その事件について關係行政廳を拘束するものと定めて、裁判の實效性を確保いたしております。  以上を以て、只今議題となりました行政事件請訟特例法案の大要の御説明を終ります。何とぞ愼重御審議の上、速かに可決せられんことお願い申上げます。
  6. 岡部常

    理事(岡部常君) 本日はこれを以て散會いたします。    午後三時十九分散會  出席者は左の通り。    理事      岡部  常君    委員            大野 幸一君            中村 正雄君           大野木秀次郎君            奧 主一郎君            鬼丸 義齊君            松井 道夫君            松村眞一郎君            宮城タマヨ君            星野 芳樹君   政府委員    法務事務官    (訟務長官)  奧野 健一君