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1948-04-28 第2回国会 参議院 予算委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和二十三年四月二十八日(水曜日)    午前十時四十四分開會   ―――――――――――――   本日の會議に付した事件 ○昭和二十三年度一般會計暫定豫算補  正(第二號)(内閣送付) ○昭和二十三年度特別會計暫定豫算補  正(特第一號)(内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開會いたします。昨日に引續き質疑を行います。左藤義詮君。
  3. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 芦田首相は本月の十日沼津で、これは組閣最初の遊説で、初めて國民に直接呼び掛けられた、而もその演題は「國民に訴う」という、一沼津なしに、全國民に訴うという題でありますが、その中に「今日の日本は窮境のどん底にあり、これからは徐々にではあるが、堅實に上り坂に向うと思う、食糧問題でも昨年度の供米は例年に見ない好成績で、本年三月に一〇〇%完了した、又現在の主食配給ニ合五勺を二合八勺に増加したいという計畫で案を立てている、」まだあとがありますが、そういう演説をしておられるのでありますが、又十九日大阪の商工會議所で、各界代表との演説にも、非常に食糧問題に對して前途の明るい見通しを述べておられるのでありますが、二十一日に総司令部の農業課のボールウェア氏が、私共の讀んだ印象では、これを逆に否定するようななかなか困難の見通しの意見を述べておられるのであります。現内閣の努力によつて食糧問題が好轉しますことは、私共の非常に喜びとするところでありますが、實際どういうような今状態になつておりまするか、又案を立てておられると申しますが、今どういうような事務的な立案をしておいでになりますか、その點をお伺いしたいと思います。
  4. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) お答えいたします。食糧問題が現在の計數から言つて、濫りに楽觀を許さないことは御承知の通りであります。併しながら政府はすでに、今日までの増産計畫として一割増産運動を全國的に展開しておることは御承知の通りであります。又供米完遂の結果、夏の端境期は外國よりの食糧輸入と相俟つて、遅配、欠配をなくして突破することができるという、大體の見通しを持つておるわけであります。尚連合國に對しては、昨年度以上の輸入食糧の増加を懇請しております。若し今年の作柄が平年通りであり、そうして一割増産が、假に一割に至らないまでも、或る程度の成功を収め、そうして連合國の輸入食糧が前年通り若しくは前年以上に手に入れることができるということであれば、現在の配給量を増加するという計画は、心ずしも夢ではない。現在直ぐにこれを増加するということを言つたわけでもなければ、約束したわけでもありません。ただ過去の實績に徴すると、食糧は窮屈である、ますます困難だということを言えば言う程闇値が上ります。又多少の食糧の隠れておるものがますます出なくなります。從つて合食糧問題は、軍に寄せ算、掛け算だけで考えべきものでなく、やはり食糧問題の取扱には、多少の政治的考慮を加えて行うべきものである。かような考え方で、先は明るいのだという意味を話したわけであります。
  5. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 政治的考慮というお話でありましたが、國民が政府を非常に信頼して、政府が、國内が一致團結した非常の政治力を持つておられる場合には、政府の言明を信頼して國民が希望を持つということも考えられるのでありまするが、私は現在のような状態では、只今の御説明によりますと、幾つかの假定を前提として、こういうような條件が充たされれば將来できるかも知れない。できても少くとも十一月、次の米穀年度からである。そういうことを、私はいきなりニ合八勺というようなことをおつしやることが、却つて國民を逆に失望せしめる。以前の選擧で三合配給の演説をして當選をして見て、一向それができなかつたということが、非常に国民政治の信頼を失う大きな原因であつたのでありますが、私は最も責任のある總理が、事務當局がまだ十分の計数を持つていない、又國會において言明していらつしやらないということを、地方へお出になつて人氣取りと申しますか、たとえ政治的なそういう御意圖がありましようとも、御言明になるということは、却つて私は國民を迷わしめるものである。そういうことを御言明になつて、直ぐ翌々日に総司令部の代表から御注意を受けているというようなことは……もう少し責任を重んじて、地方において御言明になるときには十分確信を持つて、國民が信頼し得る確信を持つて、十分な計數を持つて私はなさらなくちゃいかんと思うのでありまして、その點は尚別の機會に農林省にも一つお尋ねしたいと思うのであります。  もう一つやはり沼津の演説におきまして、紡績工場の製造能力が、終戰以來本年三月までに大體二倍になつておる。輸出しないものが約三億ヤールあるので、その中國民一人當り一ヤールぐらいでも配給したいと考えている。又十九日の大阪におきましても、差當りの具體的施策としては繊維、殊に綿製品のストックを配給することによつて、綿製品の闇値を押え、浮動買力を吸収する、こういうことを述べておられるのでありますが、これもどういうような基礎に立ち、どういうような實行の見通しをつけておられるのでありますか、伺いたいと思います。
  6. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 極く腹臓なくお話をいたします。ちよつと速記を止めて……。
  7. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  8. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて……。
  9. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 政府が非常に努力をしておられることを伺いましたが、公に發表されれば、却つて困難な事態を生じ易い、そういうことを私は地方へお出でになつて、而も非常に樂觀的な見通しを持つて、惡く言えば國民の人氣取りと申しますか、ということを演説をしているのである。私はやはり國會開會中でありまする以上は、國會において政府の方針を御發表になり、國會を通じて國民に訴えられるべきであつて、國會においては、施政方針においても一向おつしやつていない。そうしていきなり地方の遊説において、どんどんそういう樂觀的な放送をしておいでになる、而も實際速記停止をしなければできないことを地方でおつしやつておられるというようなことは、失體な言い分でありまするが、内閣の不人氣を回復しようという無理があるのではないか。只今食糧問題についても一〇〇%の供米ができたから非常に明るいとおつしやつておりますが、現に東北地方などでも相當の遅配が起つておるのでありまして、今もう目の前ですらニ合五勺が危い、いつか農林當局にも正確な計數をお尋ねしたいと思つておりますが、果してこの端境期が少しの遅配欠配なしに行けるかどうか。實は國民は總理の地方における御演説にも拘わらず非常に心配をしておるのでありまして、現に一部そういう事態が起りつつある、というようなことに對しては、私は餘りにも無責任と申しますか、輕々しい御言明である。かように存ずるのでありますが、總理の所見を一つ伺いたいと思います。
  10. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 先程來私がお答えした事は、架空の事實を捉えて言つておるのではないことは御了解下さると思います。前年度の供米が一〇〇%以上に上つたという事實は今年初めて見た現象であります。これは昨年に比べて確かに食糧事情においては一歩前進したものと見て差支えない。又一割増産運動も片山内閣末期に始めたものでございまして、これも或る程度の成功を攻め得るものと考えておるのであります。全然基礎のないことを言つたのでないことはお分り下さると思う。無論政治家の見通しとして悲觀説を述べるのも樂觀説を述べるのもいろいろその人の心構えによつてありましよう。極端に言えば、日本の農作というものは天候によつて左右されるのであります。この夏の天候が悪ければ今年の秋に凶作になるぞということを言つてもこれは間違いではありません。從つて政治家の世間に對する考え方は、悲觀説を述べようという思えば如何ようにも悲觀説は述べられる。併しながら、多少の基礎を持つて、目先は明るいと言おうと思えば、全然根據のないことじやない限り、これを發表することは私は差支えないと信じ、そうして今日の食糧事情において、國民に向つて極端な悲觀説を述べるのがいいか、或いは多少根據があれば、國民に向つて希望を持たせる方がいいかということはその人々の考え方であります。左藤君のお考え方と私の考え方とは、その點において違うというのでありまして、どうかその邊の事情はよく御了解を願いたいと思います。
  11. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 只今一割増産の御計畫も承わりましたが、實際農村を廻つて見ますと、殊に昨年の関東水害の復窟豫算が暫定々々で、本格的な豫算がちよつとも出てない、而もやがて増水餌が近付いて非常な不安を持つておる。これでは一割増産どころか、全く生産意欲を失つてしもうというような陳情が毎日國會へも殺到しておるわけでありまするが、その他農業に必要な物資が必ずしも計畫通り廻つていない。殊に本年は農家に對して非常に税金の負擔が過重であつたというようなことから私はこの一割増産ということも、總理のおつしやるような手放し樂觀は、できないと思うのでありまして、先程申しましたボールウェア氏の會見談にも、日本の食糧問題を圖ることを米國が納得するかどうかは、日本人があらゆる生産食糧を利用するかどうかに掛かつておるのであつて、それには最大限の生産と、正確な収穫豫想に基く供米割當と、農家の消費量を除く全主食の集荷、こういう三つの條件を満すことが必須の條件で、それから初めて増配ということが言えるのでありまして、政治的な意圖から、先のことはどうであろうとも、國民に希望を持たせるために、私の方から皮肉な申し方をしますれば内閣の命を繋ぐために樂觀的な放送をなさるというお考え方でありますれば、これは意見の相違でありまするが、私共は天候以外にも澤山な満されなければならん條件を持つてその過程が満されて初めてできることを、國會ではなくして、地方へ行つてああいうふうにお話になることに對しては、私共は承服いたしがたい點でありまして、それ以上は總理のおつしやるように意見の相違でありまするから、いずれ農林當局から詳細な計數、見通しを伺い、今後の内閣の施策の實現に期したいと思うのであります。  尚もう一つ伺いたいことは、勞働法規の改正の問題でありまするが、その主務官廳たる勞働省の長官である加藤勞相は、絶對に勞働法規の改正はしない、若しそのようなことがあれば自分は離職する、これを確約するために全官公勞組に一札を入れておられると伺つておるのでありまするが、この問題から、四月四日の夜でありましたか、社會黨の大人の正式の黨代表に對しまして總理大臣は、爭議が民主的に解決され、又勞組が民主的に運營されておる限り現行法規で十分よいと思う。外務委員でした自分の答辯は、芦田個人としてタフト・ハートレー法を研究したことがあるという意味であつて、それを實施することは全然考えていないし、又政府も一度も問題にしたことはない。今後勞働問題は重要であるから、ひとり勞働大臣だけでなく、閣議で愼重に相談してやるつもりだ。かようにおつしやつておられたのであります。又一方現内閣の副總理であります西尾國務相は、二十二日岸和田において、加藤君が勞働法規は絶対に改正しないと述べたのは、加藤君個人の責任の問題で、政府としては、絶對に行わんというような無責任なことは言つていない。諸情勢が變化して、時期が來れば當然改正する。かように總理、副總理、而も當該責任者である勞働大臣の御意見が非常に喰い違つておるように思うのでありまするが、これに對して、総理の一つ御所見を伺いたいと思います。
  12. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 只今の御質問に對しては、外務委員會における速記を恐らくお讀み下さつたことと思います。あれが私の考えと寸分違いはないのであります。社會黨の代表者と會つた時の記録というものを、どこでお讀みになつたか知りませんが、私は持つておりません。速記を取つておりませんから持つておりませんが、それは多少正確性の乏しいものではないかと思うのであります。岸和田で西尾君が話したというのは、新聞で讀みましたが、私は西尾君と全然同意見であります。
  13. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 その問題は、私は相當深刻であり、又遷延を許さないと思うのでありまするが、若し勞働大臣と意見が一致しない場合には、勞働大臣を罷免しても、只今御言明になつたような所信にお進みになる御意思であるかどうか伺いたいと思います。
  14. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) お答えいたします。勞働大臣を罷免するとか、罷免しないとかいう問題は、まだ少しも起つておりません。ということは、三黨政策協定において、この問題は觸れておるのでありまして、加藤君も亦三黨政策協定の線に沿つて入閣をしたのでありますから、この線に沿つて内閣の決定ができる限り、かような問題は起らないと信じております。
  15. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 前内閣當時、總理も閣僚でしたのでありまするが、片山内閣當時、平野農林大臣が、奈良でありまするか、地方で談話せられたことが問題になりまして、遂に閣内不統一という理由で罷免になつたのでありまするが、私は昨日お尋ねしました軍事公債の問題、或いは只今の勞働法規の問題、まだ現實には閣議ではそういうことが起つておらんとおつしやいますが、地方においてそれぞれ言明をしておられますることが、全く閣内の不一致を示しておるのでありまして、平野前農林大臣の場合には、地方での談話が理由で、罷免という事態まで起つたのでありまするが、私は、こうして本豫算が出ませんので、三黨協定がどういうふうに實現せられて、政府がどういうふうに一本になつて行くか、それが遷延しておりますのでお尋ねをするのでありますが、暫定豫算、暫定で、青酸カリを一枚オブラートで包み直しては、寄合い世帯の矛盾を糊塗して行くのでなしに、一つ政府として、はつきりした所信をお示しになるためにも、この勞働問題に對して、外務委員會の速記を讀めというお話で、私は速記も拝見いたしましたが、今日の事態において、改めてどういうような最期に、どういうような方針でおやりになるおつもりであるか、伺いたいと思います。
  16. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 現在勞働法規を具體的にどうするかということは先程申上げた通り、閣議において、正式に決定をいたしておりません。で、只今の私の考え方は、勞働爭議も大體において平静に歸した今日、勞働運動を民主的に正しい方向に、レールに乗せて運営するごとく、政府も希望しておるのでありますから、組合自體においても、この機會に過去の行過ぎをよく反省して、正しい方向にみずからの力で進むように、必ず一部の正しい勤勞者は努力をしておると思います。そういう際に徒らに勞働組合を刺戟するような方法を取ることは、決して喜ぶべきことではない。今勞働爭議が終結したる直後に、直ぐに彼らを刺戟するようなことを避けて、暫く事態を静観して、我々の希望に拘わらず、又一部正しき勤勞者の努力に拘わらず尚且つ過去におけるがごとき過ちを繰返すがごとき場合が起つた際は、政府としても通常な措置を考えなければならない。かように只今考えておるわけであります。
  17. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 これは重大な問題でありますので、もう一つお尋ねいたしておきますが、そうすると、新たな事態が起らなければ改正されない。新たな事態と申しますのは、或いは過去における過ちと申しますのはどの程度のことなんでありまするか、例えば官吏がゼネストをやるとか、どういう程度までならば、このままでお置きになるか、どういう事態が起りましたら、改正を断行なさるのか、一つそこを伺つて置きたいと思います。
  18. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 只今お尋ねになつたようなことを、閣議においていろいろ檢討いたしたいと思つております。いずれ決定いたしましたならば、時を移さず御報告を申上げます。
  19. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 昨日軍事公債の問題とか、只今食糧問題とか、勞働問題について御質問をしたのでありますが、それぞれ昨年の選擧に掲げられたる政策において、相當の開きのある三黨を纏めておいでになる總理の御苦心は實にお察し申上げるのでありますが、地方の出先におきまして、相當國民生活に重大な關係を持つ問題について、閣僚が互いに矛盾するような意見を發表しておいでになり、私共を以てすれば、それを貫現するのにはもう少し研究もし、見通しをつけなければならんことを、地方においてどんどん放送しておいでになる。そのために、私は國民を非常に迷わせる、本豫算はなかなか出ませんし、政策協定において懸案になつた問題は、いつ目鼻がつくのか分りませんし、組閣以來二ケ月、殆んど現内閣政治はないに等しい、私はこういうような状態に對しては、この重大な時期に、甚だ政府として、怠慢と申しましようか、或いは無責任と申しましようか、解決すべき方針を、すつきり解決して、筋の立つた政策を以つて私は國民を指導ざれることを切望する次第でございます。そういう點におきまして、根本の問題の解決されない、ただその日暮しの暫定豫算を出されたことについては、重ねて遺憾の意を表して私の質問を終ります。
  20. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 藤田君。
  21. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 先程綿布の國民への放出によつて、報奨資金を集めるようなお話が出ましたのですが、一體最近の國民の状況を眺めますと、そうした餘分の金は持つていないのが實情だと思います。農村におきまして、報償物資として割當てられた物さえ、農家では、それを受けるだけの資金がないので、農業會でストックとして残され、或る一部には、すでにそれが横に流されて、犯罪さえ構成しておるというような事實もあるのでありますが、或いはこの二月、三月の物價の上り方が、一時停滞しておるということも、國民全般の購買力が減退しておるということから、そうした現象になつたこと、しばしば當局でも言つておる事柄であります。そうしたときに一億五千萬ヤールというものを、而もマル公でなしに、闇との睨み合せにおいて、ヤール百五十圓程度で出したいというような話がちらつと見えておるのでありますが、そうした物を配給せられて。國民が本當に自分の物として買つて使うことができるとお思いなのであるかどうか、その點非常に疑問があるのであります。實際の國民の懐から見ますというと、一人がニヤール平均、そうした餘裕のある金を持つておる者は幾人もないと思います。そういたしますと、結局それは、今までの報奨物資の流れた経路要するに配給を受けても、直ちにそれを幾らかの利益を以て現金化して、闇屋さんの手に入つて行く。そうした買占が行われて行つて、そうして結局闇の業者を喜ばせることにしかなりやしないか、そういうことを考えますときに、今の物をお出しになるについて、一體政府においては、日本人として日銀券をどれくらい持つているのか。或いは日本人以外の手にどれくらい入つているか。そういう数字がお分りかどうか。若しそうした點から眺めて、日本人の手許に、そうした金があるということであれば、今の綿布の配給もよく分かるので、その點がどうも變だと思うのでありますが、それでお聴きいたしたいのは、日銀券が今日本人の手許にあるのがどの程度か、或いは他の方面にあるものはどの程度か、そうしたものを一つお聽かせ願いたいと思います。
  22. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 藤田君のお尋ねにお答えいたしますが、現在のところ、政府は、日本人がどの程度の日銀券を持つておつて、第三國人の手にどのくらいな通貨があるかということは、はつきり調べたものはありませんから、正確な数字をお示しすることは困難だと思います。
  23. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますと結局今の綿布の放出によつて浮動資金を吸収するというようなことも分らない、先ず手探りでやつて見るというようなことにしか行けないかと思うのでありますが、やはり同じ財政の形では今までにどうもはつきりしない。國民の生活を非常に苦しめた一つの形といたしまして、教育費の問題があるのであります。六三の教育費、義務制の教育費を實施いたしますのに財源がない、或いは國家豫算において不足しているので豫定通りの豫算が上げられないのであります。ところが實際教育の面、現場へ参りますというと、國家で豫算を呉れなくても入用な教室は造らなければならんのであります。入用な机、腰掛は造らなければならんのであります。從いまして先日も東浦委員から政府へ、一千戸あたりの農村において、どれぐらいの教室を必要とするかの調査を申出ておられ、そうしてそれに對する経費がどれぐらい掛かつているかということの調査を要求しておられたと思うのでありますが、これは恐らく御承知のように、各土地におきましては寄附金によつて建てたものが多いのであります。甚だしいものになりますと、一戸當り一萬圓、二千、一千、というのが普通の形であります。極く少いところで五、六百圃の一戸當りに負擔を與えられているのであります。これは國民に對しまして非常な大きな負擔でありまして、財政の面から眺めましても、國庫豫算の外に、地方の経費というものは恐らく當局においては御考慮になつている筈だと思うのであります。從つて地方の起債についても一定の枠を與えられて、それ以上の起債はなかなかお許しがなかつたのじやないか。ところが、その枠以外に今の寄付金によつて、國民は税以上の大きな金を出して使つておるのであります。これは結局どうしてもやらねばならん仕事であり、政府の豫算がなくてもそんな形において行われる、言い換えれば國家で負擔すべきものをしないから、結局そうした形が生れて來るのだと思うのでありますが、そうしますというと、財政當局の方で、日本全國の全體の財政の立場かいろいろ豫算を組まれて、而もその豫想された枠以外に、そうした大きな經費が使われておるということは、國家の財政基礎を危うくするものじやないか。健全財政の意味もそこでは全く意味をなさなくなつて來るのじやないか。こう思うのでありますが、そういうことについてのお考えをお聽かせ願いたいと思います。
  24. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 只今お話のごとく、六三制の實施に要する國家財政、地方財政並びに市町村関係者の寄附金、その他による支出、いずれも極めて多額に上るのでありまして、その點は御心配のことがよく了解されるのであります。この問題は御承知の通りに、吉田内閣が決定した案を片山内閣に引續ぎ、更に現内閣に引續いだのでありまして、新内閣組織當時においては、すでに各地方においてそれぞれ學校建築に着手をしておつた地方が多いのであります。今日に至つてこれをそのままに變更するがごときことは思いもよらん問題でありまして、できる限りの力を畫して六三制教育の完成に當るほか行く途はないと、かように固く考えておるのであります。併しながら資材及び財政の方面から見て、できる限りこの際經費を節約し、資材を惜んで、當分の間は二部教育等の不便もありましようが、やはり健全財政、健全金融を破壊しない程度に實施することが唯一の方法である、かように政府としては考えておる次第であります。尚寄附金その他につきましては、場所によつて多少の行き過ぎもある話も聞いておりますが、又場所によつてはこちらの心配するよりも、むしろ地方の父兄において、進んで寄附金を出したいという熱意のあるのも相當におるように見受けるのでありまして、この點は、一概に政府から寄附金制度をかれこれと抑えることもできない事情かあることは、よくお分り下さると思います。
  25. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今のお話よく分りましたが、結局寄附金によることは、私は必ずしもいやいやながら出した者のみを言つたのではありませんで、喜んで出しておる者のあることも、今の首相のお話の通りであります。併しながら寄附金によることは、これは國民全般の負擔から眺めて誠に不公平な形のものであります。當然義務制として國が負うべき経費を、最も公平な國家の豫算によらないで、國家の豫算によれば税金によつてやるわけですから、國民全般から見れば最も公平な形においての負擔だと思うのであります。それが寄附によるということか、國民に非常に不公平な負擔を與えるということになるのでありまして、同時にそれが計畫されたところの財政の枠外において、大きな動きをしておるということが問題になると思うのであります。その點を私申しますので、言い換えれば、義務制の、そうした國民がどうしても欲しいというところのものは、國庫においてできるだけの豫算を上げることが、最も健全な財政の行き方であり、國民に公平な負擔を與えるものではないかということなんでありまして、その點を重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  26. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 御意見の通り、若し國庫において建築費の全額を負擔することができれば、一番これは公平に國民の間に負擔を分つことになると思います。ただ現在の財源の状態から考えまして、新制中學建築費の全額を國庫において負擔するここが非常に困難な状態にあるのであります。政府としては健全財政の主義を堅持しつつその枠内においてできる限りのことをするという考え方で以て、目下豫算の編成に當つておる次第であります。
  27. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 どうかできるだけ國庫の方から出しまして、いわゆるそうした財政計畫の枠外において、闇の形において動くようなことのないように、本豫算において御努力をお願いいたしたいと思います。
  28. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) この際総理大臣に對する質疑だけを先にお願いいたしたいと存じます。木村禧八郎君。
  29. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 総理大臣に對しまして、先ず第一にこの暫定豫算を審議するに當りまして、先ず第一にお伺いしたいことは、政府は二十三年度の豫算編成の根本方針、これをどういうふうにお考えになつておりますか、これは豫算の責任者としての総理大臣から特にお伺いしたいのであります。新聞によりますと、歳入の限度まで歳出を壓縮する、そういう建前でこの二十三年度の豫算を編成する、そういうふうに傳えられておりますが、先ずこの根本方針につきまして、一應お伺いしたいのであります。
  30. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 木村君の只今指摘されましたように、歳入と睨み合せて歳出額を決めて行くということは、健全財政を堅持する上においての最も必要なる方針でありますから、政府としてはその點を飽くまでも堅持いたしたいと考えております。
  31. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私はその點で政府と根本的に見解を異にするのであります。豫算の編成方針として、歳入を先す決めて掛かつて、これぐらいしか取れないだろう、そこで歳入を基本にしていろいろな政策を考えるということは、豫算の編成方針として間違いではないか。大體政策協定というものがあつて、こういう政策を實現するのであるから、どれだけの財源が要るのである。その財源を確保するのにどうしたらいいか、そういう方向において私は豫算というものは編成すべきものではないかと思うのであります。そうしないと、政策というものは二の次になる。そこで歳入を確保する苦心というものは、そこから出て來るのであつて、こういう政策を行うためにはこれだけの財源が要るのである、この財源をどうして捕促するかということが大切で、財源というものは客観的に決つておるものではないと思うのであります。その點で、私は政府の豫算の編成方針は非常に政策に對して何ら自主性がないと思う。豫算がこれしかないからということを大體初めから決めて掛かつて、そうしてこれだけしか政策ができないということでは、政策に對する自主性とか、熱意というものは出て來ない。それが私は根本的に間違いではないか。そういうふうな豫算編成方針が根本的に間違つておる、そういうふうに思うのですが、この點を考え直される必要がないのでありますか。まだ豫算編成中でありますから、私はそういう政策を中心にして豫算というものを考えるべきものである、そういうふうに思うのですが、その點について御所見をお伺いいたします。
  32. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 私共の從來考えておりましたことは、大體各國の租税の取り方は、國民所得の何パーセントくらいまでが、その擔税能力の限界であるということを、長い間の経験によつて、各種の學者や實際家が述べておるのであります。從つて過去二十年間のヨーロツパ諸國の財政を御覧になつても分る通り、國民所得の二五%ぐらいが、どこの國でも擔税能力の限界であつて、イギリスのごとき纏つた富を持つておる國でさえも、それ以上の税はとれないということになつておつたのでありまして、如何に實施せんとする政策があつても、國民の擔税能力を超えた租税を徴収するということは、結局國民生活を破壊し、インフレーシヨンの悪化を迫る一方であるということが過去において示された實績であるように考えております。それで木村君の御意見も無論理窟はありましようが、只今政府としては大體國民所得と睨み合せて、擔税能力の限界を掴んで行きたい、かように考えておるわけであります。
  33. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 お話はよく分りましたが、私も何も國民所得の限界を超えてまで、財源を取るということの無理であることは知つておるのでありまするが、只今總理のお話によつて、國民所得を押えて、その大體二五%ぐらいが國民の負擔し得る財源として、大體各國でも認められておるというお話でありましたが、新聞の傳うるところによりますと、二十三年度國民所得は二兆八百八十億と推定されております。これは今後の物價改訂、その他も無論考慮されておるようでありますが、問題は私はここにあると思うのです。財源を得るには、國民所得をどうして正確に捕捉するかということが、一番重要な問題でありまして、この國民所得を正確に捕捉できないと、結局所得の澤山ある方から税が取れないで、脱税が行われる。その方から、税が取れないと、結局取り易い大衆課税の方に向き易いのでありまして、これまでの實績に徴しましても、財源がないないということ、又財源がこれだけしかない、從つてこれだけしか政策捉ができないというのは、國民所得の捕捉について政府が十分まだ努力していない。特にこの安本あたりでやつております人的、物的方法による國民所得、その調査による國民所得、それによりますと、非常に大きいわけです。二十二年度においては一兆匹千億と言われ、二十三度においては物價改訂を考慮して二兆八百八十億と言われますが、いざ税を取るとなると、税を取るときの國民所得の捕捉は、大體二十二年度においては五千億くらい、そうすると一兆四千億に對して半分くらいしか掴めない。そこに大きな問題があつて、あとの半分の國民所得というものは、税の對象にならないで、脱税されておる。それが財源不足の大きな原因になるのでありまして、從つて私の申上げるのは、そういう財源というものは、これは客観的にあるのではなくて、政治力如何によつてこれは殖えもし減りもする。例えばこの前の片山内閣は、〇・八ケ月の官廳給與の財源について、鐵道運賃を値上げしなければないと言う。ところが芦田内閣になると、その財源は出て來る。そういうのは、これは財源というものは政治力によつて、政治の如何によつて殖えもし減りもする。よくこれを司令部の方が許さなかつたから、そうであるということを以て逃げられるのですが、私は司令部に對する努力が足りなかつたと思う。我々が〇・八ケ月分の財源によつて司令部に行つたとき、一部では司令部の命令であるかのごとく言いましたけれども、我々が當つて見たところが、司令部としては、これは命令でないということをはつきり言われた。日本政府はこれしか財源がないと言うから、相談の上そういうふうに決つたのである、外に財源があれば豫算を撤囘しても差支えないものであるということをはつきり言われた。そういう意味において、財源の捕捉確保ということについて努力を拂つていない、十分でない。客観的に一應推定される國民所得に對して、税を取るときの財源の捕捉が足りない。これが私は問題があると思うのでありまして、從つて歳入の限度まで歳出を壓縮するということは、これは一應財源の捕捉について十分の努力をして、ぎりぎり客観的にこれしかないということになれば、それで正しいと思うのでありますが、これまでの歳入捕捉の仕方においては、私はまだ捕捉如何によつては十分いろいろな政策をやり得る餘地があるのに、最初から財源を捕捉しない、これしかないということを決めて掛かつて、政策を制約して行くということは間違いではないか、私はそういう意味なんです。そうしますというと、政府は大體國民所得の二五%が國民の負擔し得る財源であるとおつしやられるのですが、若しかそうですと、二十三年度の國民所得推定二兆八百八十億が國民所得とすれば、約五千億の税がこれで取れるわけなんです。こういう點について、政府は今後財源捕捉というものについてどれだけの熱意とどれだけの方法、そういうものを持つておるか。若しかこれができなければ、健全財政と言つてもこれは無意味になるのであります又現金の取り方が非常に不公平になる。結局大衆課税になります。今度の二十三年度の豫算の財源としては、賣上税とか、或いはその他の大衆課税が非常に多くなる可能性がある。そういう意味合において、私は國民所得をどうして正確に捕捉するか、その點についてどれだけの用意を持つておるか、そういう點についてお伺いしたいと思います。
  34. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 只今木村君からいろいろ有益な御意見を伺いまして、政府としては非常に参考になる點が多いと思います。只今木村君から引用されました日本の國富の数字は現在政府としてまだ的確な数字の調査を終つておりません。新聞に或る数字が出ておつたようなお話でありましたが、それが必ずしも正確であるかどうかはまだ確信を持つていないのでありますが、近日の中に調査の結果が報告されることと思います。  尚先程私から國民所得の二十五割が擔税能力の限界であると言つたのは、これは比較的纏まつた財産を持つている國民の多いイギリス、アメリカの例を申したのでありまして、現在の我が國において、果して國富の、國民所得の二五%が擔税能力として許されるかどうかということは、やや疑いを持つておるのであります。殊に財産税を取り、又現在すでに所得税の重壓も、都市農村を通じて相當に國民生活に苦しい耐乏生活を強いておるような現状であります。今後中央、地方の税制をどういうふうに改正して行くかということを、只今研究いたしておる最中であります。二十三年度の豫算編成と同時に、これらの點について具體的な案を國會に提出して御審議を願いたいと思つております。
  35. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 次に暫定豫算と關連しまして、豫算制度民主化という問題についてお伺いしたいのであります。その前に政府は目下國民所得の調査中であるというお話でしたが、若しかできましたら、安定本部あたりでもその大體推定額と、それから所得構成についての数字を御發表願いたいと思うのです。例えば個人業者にいくら、勤勞所得がいくら、企業所得がいくら、そういう分類別の國民所得の數字をお示し願いたいのです。  そこで豫算の民主化に問題でありますが、實は我々豫算を審議する場合、豫算が全體として示されませんと、非常に審議しにくいのであります。これは政府もいろいろな事情で決められておることは、重々我々としても理解できないことはないのでありまするけれども、我々が審議する建前として、豫算がぼつぼつ出されますと、後で本豫算が出た場合、その釣合において、この暫定豫算は實は認むべきでなかつたと、そういう本豫算なら、認むべきでなかつたという場合に、我々はどうしたらいいか非常に困るのです。御承知でありましようが、豫算制度民主化という點については、いろいろの學者なんかによつていろいろな點が擧げられております。併しその中で豫算の完全性、及び單一性、つまり豫算は實質上の豫算をすべて包含し、且つ單一である必要がある。これは豫算民主化の重要な一つの要件であると思うのであります。ところがこれまで豫算が部分的に出て來るために、豫算の單一性、それから完全性というものが缺けているものですから、我々が審議する場合に非常に困る。そうしてそれが部分的に出て來るものですから、認めていいのかどうか、その判定に……で無論豫算制度の本當の民主化は、豫算の編成から、ここに至るまでの全責任は議會がこれを持つ、こういうことが理想と思うのであります。從つて我々としては豫算の審議に非常に重要なる責任を感じておる。今後そういうように議會が主體となつて責任を持つて行くような建前で審議しなければならんと思うのです。そういう場合にこういう暫定豫算が次々に出て來るのでは眞劍な審議をしにくい、御承知の通り豫算委員の出席が非常に惡いというのも、これだけの暫定豫算では、どうもどう審議していいか分らない。又その關心も餘り持てない、そういう意味合も相當あると思うのです。從つて政府としては成るべく速かに本豫算を出して頂きたい。この前四月の暫定豫算のときも五月の暫定豫算は出さない、成るべく出さないという意味合において我々は認めたことなのです。ところが又五月も暫定豫算、そうしますとその中に六月も或いは暫定豫算になるのではないか。そうなるとこれは私は豫算の民主化という精神に反するのではないか。そうするとやはり一應そういう技術的な豫算編成は認められておりますが、精神から行けば憲法の精神に反するのではないか。豫算の民主化の意味において、從つてこの點について總理大臣にはつきりした御答辯を願いたいと思います。そうして又できるなら六月分は暫定豫算で出さない自信があるのかどうか、その點についてもお伺いしたいと思うのであります。
  36. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 豫算編成上の方針に關する木村君の御發言は至極御尤もであります。できることならば豫算民主化の原則を堅持したい、關係の者一同念願しておるのでありますが、終戰以來の我が國内外の情勢は、御承知の通りにインフレの昂進と共に著しく物價の變動が行われた。又終戰處理費を初めとして必ずしも豫期し得ないごとき種々の項目が豫算の中に挿入されて、いわば終戰後今日に至る二年數ケ月の豫算の編成は、歴代の内閣を通じて一に敗戰經済の實體をここに暴露しておる。無論我が國の經済状態が平静の状態を囘復しておれば、御指摘の方針を確立することも必ずしも困難ではなかつたと思います。併し如何せん、過去二年半の我が國の國民經済は幾多の波瀾を生んだ結果、それが豫算編成の上に現われて來た、こういう状態であつたと考えます。四月暫定豫算に引續いて、五月も暫定豫算を提出しなければならなかつたということは、政府としても非常に遺憾に思う。併し六月以後は、二十三年度の本豫算を國會に提出して御審議を願いたい。かように考えて只今折角編成のことに當つておるわけであります。
  37. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 成るべく今度の六月は暫定豫算をお出しにならないで、本豫算を出して頂くように特に希望しておきます。  更にお伺いしたいことは、芦田内閣の政策が轉換された、最近變つたのではないかという印象を我々は持つているのですが、その點についてどういうわけで、若しかそれが事實ならば、どういうわけでそういうふうに變つて來たかということをお尋ねしたいのです。それは最初總理大臣の施政演説におかれまして、總理大臣はインフレの克服ということはどの内閣の政府もやらなければならん。その方法は大臣二つある。その一つはインフレ克服の根本政策である生産の増強と能率の増進をやるということ、第二はそれでどうしても足りない場合には、足りない分を補うためとして外資、輸入の援助を仰ぐ、この二つの方法によつてインフレを克服して行く。そういうまあお話であつた、御意見であつた。それから栗栖安本長官の演説も大體大同小異であつた。ところがですね。その後ドレーパー使節團が來朝されまして、そうして新聞の傳うるところによりますと、健全財政の貫徹と、インフレの防止、それから勞働組合の健全な發達、そういう二點を特に外資導入問題に關連して要望されたということが新聞に出ておりました。その後、ドレーパー使節團が來られた後において、芦田首相が全國知事會議において述べられたインフレ対策に對するお考えは多少前と變つて來ているようです。それから又栗栖安本長官のお話も變つて來ているようである。それで結局日本經済の再建のためには、どうしてもインフレを先ず克服しなければいけないという御意見になつた。これは非常に私は同感であつて、非常に結構なことだと思う。併しその方法として、前には生産増強と外資導入、外資援助ということを言われましたが、今度は特に財政金融面の健全化を死守するという非常に強い言葉で言われている。死守するという言葉を使われている。ですから財政及び金融の健全化というのを非常に強く謳われておるのです。この點は私は言葉としては、前にも財政金融の健全化と言われたのでありますが、内容において我々に對して響くところとして非常に財政金融の健全化を強く言われている。これも、我々全く同感なんでありますけれども、その間においてそういうふうに政策が變つて來ておる。政策の内容がですね。この點について少し具體的にどういうわけで重點の置き方がそういうふうに變つて來たか、恐らくこれは諸般の情勢上變つて來たのかも知れませんが、その點について若しか速記が差支えあれば速記を止めても結構ですが、腹臓なく御意見を伺いたいと思うのです。
  38. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) お答えいたします。政府の政策としては、内閣組織當時と今日と著しく變つたとは考えておりません。ただ時々に發表する文書の中で、用語が異つておるために、お讀みになる方でそういう印象をお受けになつたかと思うのでありますが、現に施政の方針においても、インフレ克服のために増産に全力を集中し、更増産の速力がインフレに著しく遅れるような危險を防ぐためには、差富りの必要物資海外から輸入することも考え、同時に又通貨面においても、浮動購買力の問題に對して、相當の施策をしなければならんということをはつきり述べたのであります。地方長官會議においても同一の趣意を話したわけでありますが、その用語は施政演説と、後の場合とでは同一の言葉でなかつたかも知れません。併しその政策及び方針においては何ら變化はなかつたのであります。さよう御承知を願います。
  39. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 單なる用話の違いだけであつて、最初から政策に變りはないということでしたら非常に結構だと思うのです。本氣になつて日本經済再建のためにインフレを克服すると、それが日本經済再建の根本建前である、先ず前提條件であるというふうに、最初からそういう心組で言われたならば、確かにこれは私はいいことであると思います。前の片山内閣のことを言うのも妙ですが、前に私は片山内閣質問した場合に、日本經済再建の前提條件は、インフレ克服にある、それに對してのお答えは、生産の方からも、通貨の方からも、兩方やつて行くのだということを言われて、どこに車軸があるのか分らない。併しながら今度健全財政、健全金融面に非常に重點を置いて、インフレを克服して行くというふうに言われておるのでありますが、その點に非常に重點が置かれて來たということは、インフレ處理に對して本格的な動きを示して來たものとして、我々は評價しているのです。それが自主的にそういうふうな心構えになつておるならは非常に結構なんであります。併し私が見まするのに、これまでは占領下でありますから、無理はないと思いますけれども、餘りに日本の政府には政策に對する自主性がないと思います。それでいろいろな情勢上、最初はそういうつもりでなかつたのだけれども、例えば外資導入の條件として、どうしてもインフレを先ず克服しなければ、外資は入つて來ないということを言われて、それでそれを強く言わなければならいというふうに變つて來たのでは、私は非常に心細いと思う。若しかそうだとすれば、本當にインフレ克服に對する努力に對しての誠實さがない。そういうことになるので、その成果が疑われると思うのです。飽くまでも自主的にそういうふうになつて來たというならば、我々詰構ですが、それならばお伺いしたいことは、お差支えなかつたならば、芦田總理大臣とドレーパー使節とお會いになつて、一體どういうことを要求されたか。外資導入の條件として、或いは日本經済再建の目標として、どういうことを要求されたか。その點腹臓なく一つお伺いして見たいと思います。
  40. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) ドレーパー氏と會見したときの話の大要は、司令部から發表されたものに大體盡きておるのでありまして、あれ以上詳細に話する程の重要なものは残つておりません。ただ日本側からアメリカ側の考慮を願う問題として、船舶の保有量であるとか、或いは紡績の錘數の問題であるとか、燃料供給の問題であるとか、その他の差當り日本經済再建のために必要とする援助について話をいたしました。先方が特に對日援助のために基本的な問題として述べたことは、インフレの克服、健全財政の維持及び勞働不安の排除、そうして国民を擧げての生産増強ということが再建のために必要であり、又アメリカの輿論をして對目援助に眞劍な協力をさせるためにも必要であるという趣旨のことでありましたが、大體の話合の經緯は渉外局發表と大差ないものと御了解願います。
  41. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その點は了承いたしましたが、私はくどいようにこの點を御質問申上げたのは、若し日本の政府が、いろいろな政策の自主性というものがないと、今後の占領行政なり、その他非常に變化か來るのではないかということを心配するために、これまで相當日本の政府に幅を持たして、いろいろの點について占領行政は行われて來たと思います。日本自身において行われなければならない。ところがこれまで、そういう政策を日本の政府において自主性がないというより、むしろ反對或いはそれを曲げて實施したり、實行したりすることがあるということが段々分つて來ると、この自主性というものは段々失われて來る心配があるのではないか、そういうふうに私は非常に心配してお尋ねするわけであります。從つてこの健全財政、健全金融によるインフレの克服につきましても、今後十分にその自主性を以て、積極的に一つ取上げてやられることを要望いたしたのです。  最後に軍事公債の利拂停止の問題ですが、この取扱いについてどういうふうに總理大臣はお考えになるか。これは非常な重要な政治問題であると思うのです。その取扱いについてどういうふうにお考えになるか。私もこの利拂停止懇談會の委員として實は出席しておりますが、あの委員會においては、内容を絶對に外部の者に漏さないということになつておるのであります。從いまして私は一言も内容についてこれまで告げておりません。ところが新聞に傳えられるところによりますと、北村大藏大臣は、あの委員會において問題になつた或る一つの點を捉えて、憲法違反の疑いがあるのではないかということを話しておられます。そういうことが世間に傳えられ、新聞に發表されております。こういうようなことは、私は非常に軽率ではないかと思うのであります。何かそういうふうなことを見ますと、或る一つの意図を持つて、この懇談會というものを利用しようとしているのではないかというように考えられるのであります。そこで最後に一體この軍事公債の取扱いをどうなさるのであるか。非常に重要な政治問題であるだけに、この點について總理大臣のはつきりした御意見をお伺いしたいと思います。
  42. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 只今木村君より、日本政府の自主性を確立することで要望するという意味の御發言がありました。無論御尤もな意見であるのみならず、政府としては政府獨自の責任において、日本の政治を行うのが我々の本分であると考えておるのであります。世間にとかくの推測が行われるにしても、現政府としてはどこまでも自主性を維持する決意を持つておる次第であります。その點はどうか御安心を願いたいと思います。軍事公債の利拂停止の問題につきましては、木村君自身すでにその會合の一有力なるメンバーとして、今日までいろいろ協力願つたのでありますが、近くこの委員會の答申が政府に提出せられるのを待つて、できる限りこの委員會の決定の趣意に副つて問題を解決いたしたいと考えておる次第であります。
  43. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、只今總理大臣のお話に上りますと、この委員會の答申の結果に俟つて、その趣旨に副うように決定するというお話ですが、そうなりますと、懇談會か、委員會の性質が非常に違つたものになつて来ると思います。そういう心配がありますからこそ、最初私は懇談會におきまして、それはそういう重大な政治的な決定の問題にならないように、あの懇談會は單なる意見の交換會というふうにして話をそれで進めたのであります。結局結論は二つに分れてしまうと思います。それをあの線に沿つてやるということになると、これは決定することはいけない、結局政府の責任においてこれをお決めにならなければならないものだと思います。そこの點をお伺いしたい。あの委員會の決定に責任を負わせるということは非常な間違いである。そうしますと、あの委員會の構成自體が非常に又問題になる。學識經驗者として入るべき豫定の人が二人もおらない。又勞働組合側の代表者も來ておらない。そういう非常に偏頗な構成になつておるところで決まつたものを、公正な輿論としてそれを取上げるということは、又問題がありますので、その點を一つこれは委員會の決定に副つてやるのではなく、政府が責任を持つてこれをやる。私はそういうふうにすべきと思います。その點總理大臣のお話を伺いますと、何か委員會の方に責任というより、結論が出て、それを取上げてやるというような、決定するというような、御答辯でしたが、そういうお考えでおられるでしようか。
  44. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 公債利拂問題は、直接豫算の編成に重大なる影響を與える問題でありますから、豫算編成以前に、政府としてはいやでも應でもこの問題を解決しなければならない立場におることは申すまでもないのであります。從つてこれに必要とする若し法律案でも提出しなければならないとすれば、これも政府の責任において提出をし、豫算の編成においてもその責任は全部政府でとる考えでおります。併しすでに委員會ができたということは、ただ報告書を貰つて、その報告は一向参考にもしないのだというような意味の委員會ではなかつたのであります。それぞれの道の權威者を集めた委員會でありますから、これらの委員會の報告は十分よく咀嚼して、その意見をできるならば尊重して行きたい、こういうつもりで申上げたのでありまして、決して政府の責任をこの委員會に負わせるなどという考えは持つておりません。
  45. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 まだ私は大藏大臣に對する質問が残つておりますが、只今お見えになつておりませんので、それは保留をして頂いて、私の質問はこれで終ります。
  46. 栗栖赳夫

    ○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今木村さんの御質問に關連し、總理の答辯にも關連しまして、ちよつと一言述べさして頂きたいと思うのであります。政府か片山内閣以來、引續きインフレ對策について、兩内閣が努力いたしまする點においては終始變らないものがあると思うのでありまして、當時前内閣では私は大藏大臣として皆様にも種々御意見を拝聽し、お答えもいたしました。今は安本長官として各省の政策の總合調整その他に當つておりまして、終始變らんところだと思うのであります。自主性がないというようなことに毛頭私は考えておらないわけであります。當時インフレ対策としましては、通貨面その他の措置をすることと、そうして生産を増強すること、この兩面を考えておつたのであります。そうして耐乏の生活という當時の現状に顧みまして、國民に強く受講しておつたのであります。今囘もやはり總理の演説、及び私がこの参議院でいたしました説明の中にも、兩面を強く考えまして、そうしてこの兩面の重點を置いて進んで行く、こういうことをはつきり申したのであります。尚昨年九月にドレーバー氏とも私お會いしたのであります。ドレーバー氏はたまたま十數年前にアメリカにおいて我々非常に知己を受けておりましたので、個人の資格でお會いしたのであります。日本の現在及び日本の事情に精通した人でありまして、非常な援助と好意とを示して貰つたのであります。その點においても今囘と前囘と全く變らない。説かれるところもやはり健全財政、健全金融、貿易、産業その他の増進ということでありまして、前囘も今囘と全く變りなく、日本に變らざる好意と援助を示しておられるということを申上げて置きたいと思います。政策によりまして、又事情によりまして、いろいろ政策が變り、而も政府に自主性がないというようなことは毛頭ないと思います。木村さんのお話もそういう意味ではないと思いますけれども、誤解をいろいろ招くと思いますから、ここで一應述べさして頂きます。
  47. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今戰時公債利拂問題について、木村委員と總理との間に質疑應答がございました。先日もこの問題に觸れた質問かあつたのでありますか、その際には總理は專ら委員會の決定によつて處理するような御答辯であつたと私に記憶いたしております。而して只今委員の一人であるところの木村君から、委員會の性質等を述べられて、政府が自主的に解決すべきものではないかという御質問がありまして、總理のこれに對する深切な答辯がありましたが、どうも私にはぴんと來ない。痩せても枯れても自主的に政府が政策を決定するのであるということは當然のことであるが、どうもこの問題に對してはふらふらしておるように私は考えます。それで果して政府が自主的にこの問題を御解決になるならば、もう委員會のことは参考に止まることであつて、先般の御答辯は多少その點において違つておるのではないか、前囘の答辯を是正なさつたものとすれば、政府にこの委員會の答辯の如何に拘わらず、本件は豫算の歳出面において非常に影響のある問題であり、その他今安本長官の仰せられた金融の健全方針を支持する點においても、政府が勝手に支拂を止めて行く方針を立てる、或いはそういうことを國民に公約したならば、どこまでも守つて行くということは關連のある問題である、總理はこれに對して本當にどういう所信を持つておられるのか、この際述べて頂きたい。
  48. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 石坂君のお話は、前囘の答辯と今日の答辯とが食い違つておるというお話でありまして、どういう點が食い違つておるか、極く率直に申すと私にははつきりいたさないのでありまして、さようにしばしばふらふらと説を變えたと思つていないのであります。申すまでもなく公債の利拂を停止して行くには、それに必要な法律も作らなければならず、又豫算面においても非常に大きな影響を與えることであります。どこまでもこれは政府の責任においてやるべきことであつて、委員會は何らそういう權限は與えられていないのであります。それは問題にしてはいないのでありますが、ただ委員會の意見をどの程度まで政府の決定に参考とするかということは、これは當然政府も考えなければならん。参考にしない意見を徴するということは意味をなさないことでありますから、十分委員會の意見を参考にして、そうして政府の責任において決定する、こういう方向に進みたいと思つておる次第であります。
  49. 中西功

    中西功君 引揚費の減額されておることについては、あとで詳しく關係當局から聽きますが、引揚問題一般について簡單に質問したいと思います。  それは先だつて我々がソ連大使館の代表者と會いましたときに、ソ連側としては最善の努力をすると言いました。又本年中にできる限り六十萬人は還したい、そのように努力したいというようなことをソ連側としては申しておるわけでありますが、一つはソ連側がそのときに、日本政府のこの問題に對する努力が一方的であるというようなことを言いました。無論それについてに詳しく内容は申しませんでしたが、果して日本政府の努力に一方的なものがあると言いますか、こういうソ連側の言明に對して、政府はどういうお考えを持つておるかということを聽きたいのと、これは詳しく申さなければなりませんが、實際に我々が舞鶴、函館等の引揚港の状態を調査したところによりますと、日本側が今まで言つて來ておる事情と非常に違つておる。詳しく私は申しません。これは先日の引揚委員會で申しましたが、實際その状態が違つておる。違つておるだけでなくて、この中で重要な問題は、船の量とか、そういうことよりも、むしろ引揚關係者の機構或いはそういう構成が非常に公正にできていない。例えば引揚援護院の關係で、積込食糧を横流ししておる、その食糧が十分圓滑に積まれないことが、實際船は幾らあつても引揚げを阻害しておるということであります。或いは又船員に對する待遇や保證がないために乗組員が半分しかない、こういうことが非常にあるということを我々は發見しておりますが、實際に政府の言つておることは、船はこれだけある、一月大體これだけ引揚げる筈であるということを言つておりますが、一體その内で行われておるところをもつとはつきり見なければいけない。最近この勞働組合が政府に對して人員の増加、そうした問題についていろいろ要求を出しておるが、政府自身がこれを蹴つてるという事情かある、こういうことが非常に引揚げ促進を阻害しておるので、こういうことで行くと、向うが一月七萬五千ずつ送ると言つておるのに、日本側の事情によつて四萬そこそこしか還すことができないというふうな事情になるのじやないかと私は考えておるわけであります。そういう二點について一つお聽きして置きたいと思います。
  50. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 中西君がソ連大使館に對して種々御盡力をなされたということを拝承いたしまして、我々國民としては十分にそれを感謝しなければならんと思います。只今お尋ねになりました初めの日本政府の措置が一方的で断るという意味は、もう少し具體的に承わらないと、どういうことを具體的に指すのかはつきりいたさないのであります。第二の點は、或いは御指摘のごとく不正な横流しをしたようなものもあるかも知れません。又現にそういう事實も行われておるかも知れませんが、まだその點まで一々詳細に報告を受けておりません。政府としてはかようなことに對しては断乎として取締るように處置をいたすつもりであります。乗組員の数も詳細に私は聞いておりませんが、大體船舶に對する乗組員の数というものは世界共通に、その船型と、トン数に應じて決つておるのであります。特に日本の船舶が乗員の数が著しく少いとは承知しておりませんが、尚その點も早速取調べて、若しさようなことかあれば至急是正いたしたいと思います。
  51. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 西尾副總理にお尋ねをしたいと思うのでありますが、先日岸和田で副總理が、今となつては軍事公債の利拂停止は全く無意味であり、政府としてもこれを行く意思はない、この問題をめぐり黨内が混乱しても解決する自信は十分あるという、かようなことを新聞記者團に言明せられたと報ぜられておるのでありますが、これは事實でありまするか、若し新聞の実現等が、副總理の御意思と違う點がありますれば、どの點が違つておりますのか、お伺いしたいと思います。
  52. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) 左藤君の御質問にお答えいたします。新聞の記事は、ある點において誤り、又ある點において私の意を盡しておりませんから、當時新聞記者に語つた點をここで繰返して表現して御了解を得たいと思います。軍事公債の問題につきまして質問をせられたときに、私は軍事公債の利拂停止は、元來は石橋大藏大臣の時にやるべきであつたと思う。あの時にはいろいろな關係において非常に効果的であつたと思うが、今になればその時程効果はないのではないか。併しながらこのことは、私は社會黨の出身の閣僚としてこれを實現するように努力しなければならん。併し私の考えによれば、諸種の判断によりますならば、單純に軍事公債の利拂停止一本槍でまつしぐらに行くよりは、もつと事實を考えなけければならんじやないか。例えば利拂停止よりも、利拂いをすると共に百%課税をするとか、或いは又その利拂いをするのを公債でするとか、或いは又利率を引下げるとか、何かそういうことについても考えなければならない事態に立ち至つておるのではないか、こういうふうに申上げたのでありまして、私が社會黨の出身閣僚であり、社會黨の強い主張であるものと對蹠的な、そういうことをかりそめにも新聞に語ろうとは想像もできないことではないかと思うのであります。
  53. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 新聞の記事が、全く副總理の御意思と違つておつたことを只今拝承したのでありますが、昨日、今日ここにはおられませんが、北村大藏大臣は、今となつては軍事公債の利拂を打切るという問題は全く無意味である。若し第二封鎖預金でこれを補なつたということになれば、憲法違反の疑いも出て来るというようなお話だつたのでありますが、社會黨出身の閣僚としては、この間新聞に出ておつたようなことは御言明になつていないということにつきまして、はつきりとしたのでありますが、ただ石橋時代ならば意味があるが、現在では意味がない。併し石橋時代でなしに、本年一月中旬の社會黨大會でこの問題は採擇された、三黨協定にもこのことは採上げられた。この前の豫算委員會で、特に衆議院の豫算委員會において、稻村氏でありますかの質問に對して、やはり軍事公債の利拂を打切るということを前提として委員會が開かれた、かようなお話でありました。今總理の委員會に對する御説明もございましたが、委員會としては現在研究中である、その内容は發表されてない。ただ世間では二つの意見が対立しておつて、そのまま政府に答申するのじやないかと傳えられておるが、いずれにしてもまだ答申が出ていない。若し委員會の結論を尊重なさるのであるならば、私は北村大藏大臣は今日お見えになりませんが、如何にもこれを止めるような印象を與えるところの表現をせられることは、委員會を無視したものだと思うのでありまして、この點から私は岸和田で言明せられたことが若し眞實であるならば、大變だとかように思つたので御質問申上げたのでありますが、社會黨出身閣僚として、黨大會の決定をどこまでも支持して、社會黨の立場をお守りになるならば、それならば政治の筋が立つと思うのであります。その點事の賛否に拘わらず、私は筋を立てて政治的責任を明らかにされるように希望したい次第であります。  次に勞働法規の問題につきまして、これはやはり岸和田で加藤君が勞働法規は絶対に改正しないと述べたのは、加藤君個人の責任の問題で、政府としては絶対に行わんというような無責任なことは言つてない。諸情勢が變化して、時期が來れば當然改正するというこの御言明は、やはり新聞が相當間違つておりましようか、或いはその中に副總理の眞意が出ておりますか。これをこの機會にはつきり伺いたいと思います。
  54. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) その點につきましても、その二日前に、大阪の商工會議所におきまして、各界代表との懇談會を開いたときに、御質問に私がお答えしたと同様の趣旨のことを述べたのでありますが、私の述べた趣旨とは大變違つたことが新聞記事に載つているようであります。私が各界の懇談會で述べたことも、そこで申上げたことも、こういう意味で言つたのであります。新憲法の下において政府と國會との關係が變つて來ている、大體古い憲法の時代には法律案は、勿論議員提出法律案もできたのでありますか、事實問題としては議員提出法律案というものは稀にしか、而も餘り重要でないものしか成立していないという時代におきましては、勞働立法がどう變るかということは全く政府の責任であると言えた。併し新憲法におきましては、むしろ國會の方が法律案を提出し、或いは法律を決めるところでありますから、政府がそういう法律案を出すとか出さんとかいうことについては、新憲法の時代においては重要性はなくなつているのだということを一つ。例えば政府が出す出さんと言つて見たところで、國會議員がその法律案を出せば國會は審議するということになる。そうすれば政府が出すか出さんかということを、そう組合側の方が政府に約束させるということについては、その重要性が變つているのだということを申上げ、それから加藤勞働大臣が、新聞にそういう個人的意見だと、こう書いている意味は、そういう加藤君個人でなく、加藤勞働大臣の責任において、自分の在職中は勞働法制、勞働法の改悪はしないと、こういうふうに加藤君が言われたのは、全く勞働大臣の責任において言われたのであつて、政府においてはそういうことはまだ相談していない。從つて政府において、この問題についてお答えすることができんから、私の考えだけを申上げると、私の考えといたしましては、今日關係方面においても、又財界においても、又政界においても、勞働組合の行過ぎを是正しなければならん、それには勞働法を改正する必要があるだろうという聲が起つて來ておる。そのために主として勞働組合關係の者は勞働組合法が、勞働法が改悪されるのではないかという不安な感じを持つている。その不安の感じを拭拂して、生産増強に協力せしめたいう加藤勞働大臣の判断で、ああいうことを加藤勞働大臣は言われていると私は判断している。そこで私の考えといたしましては、加藤勞働大臣のそういう考え方、及び言明を尊重して、成るべく政府としては法律案によらないで、法律改正によらないで、運用によつて勞働運動の行過ぎがあるとすれば、それを是正するように努力したいと考えている。併しながら日本の政府の今日置かれているこの立場から見て、又民主主義の今日から見て、輿論が起つて來れば、これは取上げざるを得ないことになるであろう。そこで問題は、今後私の希望する點は、勞働組合運動自身が自粛せられて、いわゆる法の改正によらなくて、運営によつてやつて行けるという考え方がみんなに理解されるように、むしろ勞働組合自身の自粛ということが、この際勞働立法が改正されるか、或いは改悪されるかということの焦點ではないか、こういうふうな意味のことを言つたのであります。要約して申しますと、加藤労働大臣は勞働大臣の責任において言明せられたのであるが、政府においてはこれを何ら正式に取上げて協議をしていない。從つて私副總理としての意見を問われるならば、努働組合自身が自粛して貰いたい。併し輿論が起つて来れば、政府又この問題を取上げさるを得ないに至るであろう、こういうことを申上げたのであります。
  55. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 只今いわゆる岸和田聲明というものが、全然と申しますか、殆んど副總理の御意思と違つたものであるということが明らかになつたのでありますが、どうも先程總理にも申上げたのでありますが、地方へお出でになつていろいろなことを、國会でおつしやらなかつたようなことをどんどんおつしやる。まあおつしやらなかつたことが出ておるのですか。かようなことは國民を非常に迷わすものでありまして、各新聞の社説なんかにもこれは取上げられたのでありますが、これ程御本人の御意思と違つておる場合には、何らかこれを取消しなさるとか、訂正をなさるとか、そうしませんと、國民を甚だ迷わせると思うのでありますが、若し國會等の問題になれば、今のように御説明になるか、そのままであれば、例えば總理が二合八勺の配給の放送の場合であつたならば、それだけ國民の人氣を煽つてプラスにして置いて、責任を取られない。とにかく問われなかつたならば、そのままにして置くということが、私新聞というものか民主政治を國民に徹底する上において非常に大きな役目を持つておるだけに、ああいうふうに大きく發表されたことが、そのままになつておることは甚だ如何に思うのでありますが、これに對して御所見を伺いたいと思います。
  56. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) 私は特に新聞だけを問題にするのでありませんが、尚日本の民主化はその過程にあるのでありまして、各方面において民主主義化がまだ徹底しておらない そういう状態でありますから、新聞の記事におきましても、必ずしも常に正しい報道ばかりがされておるとは言えないと思うのであります。同時に又その新聞の記事を、これは本當の民主化という意味から言いますならば、間違つた記事については直ちにこれを訂正を申込む。そうして又新聞の方におきまして、間違つておることは直ちに訂正をして頂くということが、最も正しいと思うのでありますが、尚日本の現状におきましては、この問題のみならず、各方面においてそう行われていないという事情にあるのでありまして、政府若しくは我々責任の地位におる大臣といたしまして、その言動が自分の眞意と間違つて報道された場合に、それを取消或いは訂正を申込んでおるということが、殆んど不可能な状態にもあるのであります。併し餘りに大きな影響を與える問題につきましては、それを放任して置くわけにも行かないのでありまして、例えばこの誤られた記事につきまして、私はその誤つた記事を書いた新聞社に對しまして、正式にこれの訂正を、正式な手續を以て訂正は申込んでおりませんけれども、私の述べた眞意と餘程違つて出されておるから、これは甚だ迷惑である。今後は一つ氣を附けて貰いたということは、その新聞社の人に申込んであるわけであります。
  57. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 只今の問題は私相當、日本の政治民主化を徹底する上において重大なことだと思いますので、今は讀上げたのは讀賣の記事でありますが、朝日にも毎日にも大體同じような趣旨が出ておるのであります。餘程記者諸君の耳が歪んでおつたのか、或いは何か故意に採決せられたのか、私はこういうことが、只今の御説明のごとく御本人の眞意と非常に違いました場合には、即座に私はやはりこれを訂正せられて、國民か政府、或いは閣僚の一挙一動に對して、安心して絶對の信頼を拂い得るように今後されるべきだと思うのでありますが、只今改めての御説明の中に加藤勞働大臣の責任である、政府としてはまだ決定してない、併し政府の決定しないことを、政府の而もその所管事項の責任者である勞働大臣が、軽々しく言明せられることが果して穏當であるかどうか、殊に勞働法規を改正しないということは、三黨の政策協定にも盛られておつたと思うのでありますが、勞働大臣はこれにつきましては自分は職を賭しても闘う、全官公勞組に對してはそのために一札も入れておられる、かように伺つておるのでありますが、それ程はつきりした信念を持つてやつておられることを、政府の決定でない、個人の責任で言つておることである、いずれこの問題が閣内で、閣議で對立するまではそのままに伏せて置くということを私非常に心配しております。組合に對しても、たとえ三黨の寄合世帶としてでも、一つの内閣として國民が信頼して行こうという政府の責任においても甚だ遺憾だと思うのでありますが、その點一つ伺いたいと思います。
  58. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) その大臣が所管事項について、自分の決心を述べるということは必ずしも不當ではないと思うのであります。加藤勞働大臣が自分の所管事項について、自分の決心を述べられたということにつきまして、私といたしましてはその加藤君の決心を尊重して、できるだけ勞働大臣の趣旨が通るように努力をする、こういう考えを持つておるのでありまして、併し、だからといつてまだ私は所管事項でないこと、而も閣議で決定していないことを、これはとやかく、例えば勞働法は絶對に出さんとか、何とかということは言えないし、今後のいろいろな環境によつては、事情によつてはどうなるかも知れないということを申上げたのであります。これは私のそういう話し方も、加藤勞働大臣の話し方も一應は御了解を頂けるかと思うのであります。
  59. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 政府としては勞働法はいじらない、國會が輿論を背景にせられれば別だ、かような御意見に伺いましたが、國會と申しましても勿論超然内閣ではございませんので、寄合世帶とはいつても絶對多藪をお持ちになつておる、與黨をお持ちになつておる政府なのでありまして、かように政府の責任を、特にこういう大事な問題について、國會へ轉嫁して超然内閣のごとくに、國會がやれば仕方がない、こういう受身におなりになることが果して政治的に、非常に上手な動き方ではございましようが、政治的に筋が通つておるかどうか、この點私は非常に遺憾に思うのでありますが、その點は他日に讓りまして、もう一つ丁度副總理が見えておりますので、副總理が前内閣の官房長官時代にいろいろ勞働問題で御心配になつて、確か参議院での質問に對して、組合のいわゆる專從者ですが、これは甚だ遺憾だが、過渡期として止むを得ないと思う。こういう御意見でありましたが、一昨日キレン氏との御會談も官房長官から御發表になつておりますが、その時期は遺憾ながら當分止むを得んとこういうことでありましたが、もうその時期が來たと、こうお思いになりますかどうか、このことはこの時期に御解決になりますかどうか、それを伺つて置きたいと思います。
  60. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) 片山内閣時代に十月二十日の閣議におきまして、今後團體協約が改訂される場合には、政府においては大體こういう方針で團體協約の改訂に臨むべきであろうということを話し合つたのであります。その時にその申合せの中に、專從職員は原則としてこれを認めない。併しながら直ちにこれを廃するということは實情に副わないので、漸次これを減らして行くように各省の事情に應じてやつて貰いたい。こういうことを決定して置いたのであります。併しながら實際におきましては、漸次減らされておつたと言える程に減つてはいないと思うのであります。この點誠に遺憾であります。ところがその時もそう言つておりまして明らかなように、漸次に減らす、こういう方針であつたのであります、先般我々がキレン勞働課長にお會いしました時分の話を、官房長官談として發表されておりますが、その時のキレン勞働課長の我々に與えた示唆も、それは直ちにこれを全廃せよというような意ではなくして、これは漸次に止めるべき性質のものではないかと思うというようなお話でありましたので、當時私はその點につきましては、すでに昨年の十月二十日において方針は決定しておる、その方針通り必ずしも實現されていないのであるから、今後においてはその意味で方針を決めて、實行できなかつた點について、政府においても今後努力をするつもりである、こういうお答えをいたして置いたのでありまして、これはすでに政府の申合せとして決定いたしておるのでありまするから、これを必ずしも機械的にやるというのでなくして、いろいろな實情を考慮しつつできるだけ早くこれを減らすようにしたい、こういうように考えております。
  61. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 時間が迫つて御迷惑でありますが、もう一つ昨日の官房長官の發表によりますと、キレン課長の注意を喚起されたのは、專從者は無給休職とすべきである。かようなことが新聞に出ておるのでありまするが、漸次減らして行くが、併し減らして行くまでの間、無給休職に直ぐなさるのか無給休職にするということも過渡期であるから、段々とやつて行くのであるかどうか。それからもう一つは、これは官公勞組だけでなしに、一般の民間企業に属する組合全體に、組合專從者はこの際全部無給休職にして、そうして段々專從者をなくして行かれるのか、或いは無給休職にするという措置を漸次とつて行かれるのか、過渡期で眞に組合が自主的に行けるように、健全に行けるように、その過渡期というものをどのくらいにお認めになるつもりであるか。その點を一つはつきり伺つて置きたいと思います。
  62. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) キレン氏が言われましたのは、アメリカにおきましては、例えば或る會社の從業員であつて、それが組合の役員になつて、いわゆる組合の仕事にばかり没頭しておつたような場合には、一應會社の方は休職という言葉が當つておるのかいないのか、まあ英語で言われたのでありますが、大體休職という言葉が當るのだろうと思いますが、一應會社は給料を拂わんことにする、籍を抜く。併しながら又組合の方を辞めることになればと元の地位に歸すということになつておるという事情を述べられたのでありまして、無給休職にしろとか何とか、そういうことを言つたのではありません。  尚この機會に明らかにして置きたいのは、キレン課長が、我々にいろいろ話されたことは、アメリカの勞働運動の經驗者として、日本もこうやつた方がよいのではなかろうかということを、懇談的に話されたのでありまして、決して權威を以て命令したとか、強くそれを要求したとかいうものではないことを、この際に明らかにいたして置きたいと思うのであります。いろいろサジエツシヨンを得たことによりまして、日本の政府の責任において、それを日本の實情に應じたやり方をやつて行きたいと考えております。尚組合專從者をなくするということについての期間は、或いは時期はどれ程の間にやるかというようなことにつきましては、これは相當簡單には行かんと思います。相當短期間には行かんと思います。さてそれを半年と言つてよいか、一年と言つてよいかということは、やはり今後の日本の勞働組合運動の實情に應じて、緩急よろしきを得なければならんと思いますので、期間のことについてはちよつとお答えいたし兼ねます。民間の方のことにつきましても、これは政府が命令することでもなければ、法律でどうすることでもないのでありますから、それは民間においては、民間の自由なる意思においてやられるべきである。ただ政府がそういう處置をとつたということが民間に影響を與えるだろうということは考慮の中に入れております。
  63. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。質疑がまだ大分残つておりますから、明後三十日午前十時から質疑を続行することにいたしまして、本日はこれにて散會いたしたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 散會いたします。    午後零時五十四分散會  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            村上 義一君            中西  功君    委員            中村 正雄君            波多野 鼎君            石坂 豊一君            小野 光洋君            左藤 義詮君            深水 六郎君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            岡本 愛祐君            河野 正夫君            島村 軍次君            高田  寛君            姫井 伊介君            池田 恒雄君            藤田 芳雄君   國務大臣    内閣總理大臣    外 務 大 臣 芦田  均君    國 務 大 臣 西尾 末廣君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君   政府委員    大藏事務官    (主計局長)  河野 一之君