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1948-06-12 第2回国会 参議院 本会議 49号 公式Web版

  1. 昭和二十三年六月十二日(土曜日)    午前十時二十四分開議     ―――――――――――――  議事日程 第四十七号   昭和二十三年六月十二日    午前十時開議  第一 國務大臣の演説に関する件(第五日)     ―――――――――――――
  2. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) これより会議を開きます。この際お諮りいたします。椎井康雄君より病気のため九日間請暇の申出がございました。許可をいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  5. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件、(第五日)昨日に引き続き、順次質疑を許します。油井賢太郎君。    〔油井賢太郎君登壇、拍手〕
  6. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 昨年十一月、当時の栗栖大蔵大臣が追加予算の提出に当りまして、我が国の経済状態は、まさに空前の危機にまで直面しておるということをおつしやられたのでありました。(「栗栖がおらんぞ」と呼ぶ者あり)ところが爾來半年を経た最近の情勢は、あの当時に比べまして、食糧事情の好轉に、或いは消費物資の出廻りの増加に、更に道義心のやや回復等に、格段の明るさを取り戻しましたことは、芦田首相初め各閣僚の努力の結果と、一應敬意を表する次第でありますが、又一面國民自体が漸く虚脱の域を脱しまして、雄々しく日本再建のために第一歩を踏み出しました証左であるということを言ひ得られるであろうと思います。併しながら先日來同僚議員の言葉にもございました通り、我が國経済危機が全く去つてしまつたものではなく、徒らなる政爭に、或いは無責任なる過激思想者の煽動によるところの逸脱せる労働爭議に、又は図らざる天災地変に、ともすれば千仭の谷底深く落込むような不氣味な様相さえ呈しておるのであります。この時に当りまして、今回政府より提出されましたる空前の厖大予算は、我が國の國情より見まして、果して妥当であるかどうかという点について、芦田首相の御所見を先ず第一に承わりたいのであります。若し政府の発表のように、收支の適合せる健全なる財政であるならば、我々國民生活の前途は、実に洋々たる光明に浴することができ得るであろうと想像されるのでありますが、又半面におきまして、不健全、不均衡財政となるようなことがございましたならば、國民生活は奈落の底に落込んでしまうという、実に重大なる岐れ路であると思うのであります。我々與党たる民主党に取つても、真劍なる檢討を重ねましたゆえんであつたのであります。  第一に、外資導入と貿易の振興により、祖國の再建を常に唱道せられますところの芦田首相が、その目的に向つて、即ち受入れ態勢の整備ともいうべき生産再拡張の線に沿いまして、万遺憾のない満足すべき予算としてお認めできるかどうか、所信の程を伺いたいと思います。  勿論外資導入に適應するところの態勢を取るためには、随分苦心をお盡しになつた予算であるとは、一應受取られるのでありますが、私をして率直に言わしめますならば、連立内閣のためか、思い切つた予算の編成振りがなかつたようにさえ見受けられるのであります。  生産再拡張の目的達成のためには、政府も亦國民も一丸となつて積極的に邁進すべきであり、苟しくも生産増強に阻害を來すがごとき障害は、断乎として除去すべき信念を持たなくてはならんのにも拘わらず、今回の予算案の数箇所に亙つて少しくこの意氣込に欠けておるのだと湃見せられるのは、聊か画龍点睛を欠いた憾みなきにしもあらずと感ぜられるのであります。  即ち歳入の大部分を占めます所得税一千二百八十三億余円の徴收方法が、相当低所得者に有利に改正されまして、又勤労者に対しまして、給與方針たる職階制、或いは能率給の実施と共に、基礎控除の大幅な軽減を図つた点等に対しましては、我々双手を挙げて賛意を表するところでありますが、この改正によりまして、減ずるところの收入を、結局大衆課税たる取引高税の創設や、或いは入場税の免税点措置等、主として安易に徴收できる方面に置きまして、甚だこの点について我々不満の意を表する次第であります。これについて思い出されますのは、去る五月中旬、水谷商工大臣が、私の故郷の福島市に参られまして、演説なさつた。その中に「勤労者諸君よ。今度の予算では、諸君のために勤労所得税九百億円を軽減することに決めた。」と声を大にして宣傳されたのでありました。勤労所得税の軽減は勿論結構なことでありまして、勤労者の人々も非常に喜んだんです。私も大いに商工大臣のお骨折に対して敬意を拂つたのでありましたが、これは勤労大衆に対しまして、実質的には、一種の癒着とはなりませんでしようか。芦田首相が常に言われまするところの「現在の日本には、もう財閥がないのだ。搾取資本家の存在は許されないのだ。」というのが眞理でありますならば、新憲法に示すところの基本的人権の尊重を保つに足るだけの最低生活の保障に、あらゆる努力を盡しますと共に、國民の義務として、又責任として、辛かろうが、國家再建のため、所得税をもう少し負担して下さいと、率直に訴えることができないでありましようか。政府も責任を果し、その代り國民も喜んで義務を果せるように仕向けるべきが、爲政者の取るべき最も良心的な職責ではないでしようか。一方におきまして、勤労所得税の大軽減を唱えながら、半面において、たださえ忙しい商工業者に対し、或いは金融業者等に複雑なる手数を掛けさせ、又正直者が馬鹿を見るような、抜け道の多い、而も無智によるところの多量犯罪者の発生を必然的に招來させ、莫大なる國費と、更に官吏の配置を新たに所要するところの、二百九十億に及ぶ大衆課税たる取引高税の如きものを創設し、或いは仁術と言われるところの医師にまで、事業税を課すがごときことが、果して妥当でありましようか。九百億と言われる勤労所得税の軽減が、七百億或いは六百億に止まつても、只今のような惡税は最小限度に縮小すべきことを強く要望するものであります。この件に関しましては、大蔵大臣並びに商工業者に直接影響のある商工大臣の御所信を承わりたいと思います。更に法人税の大幅軽減は、時機遅きに失した憾みなきにしもあらずの感がありますが、多年に亙る不合理なる資本圧迫を是正しましたことは、正に芦田内閣のヒツトであると、敬意を表するものであります。  産業の振興、外資の導入、株式の大衆化等、政府に唱える一連の政策も、これによつて花が咲くこととは思われますが、社内留保金に対しまして、今一段の軽減を図るとく思いやりがありますならば、事業の堅実化と、從業員の生産意欲を一段と高揚し、外資の導入に更に好影響を及ぼし、必ずや経済面よりいたしますところの日本再建の実を結ぶに至ることを確信して疑わないものであります。これにつきまして大蔵大臣の御所信を承わりたいと存じます。  次に、予算面には直接現れませんが、ややともすれば、國民により、疑惑の目を以て見られます貿易バランスの点であります。日頃、今日はおりませんが、中西君が常に話されますところの、重大なる錯覚であるところの、現在の海外貿易、この件につきましては、中西君は、國費の濫費を來し、國力の衰頽を生ずるとして懸念されておるのでありました。併しながらこれは、輸出品の為替レートと、輸入品のレートが非常に異なれるため、一見輸出品は安く積出して、輸入品は高く買取るというような感じがするのであります。而も戰前の水準より、はるかに劣れる生産力と技術と勤労意欲とを以てしては、到底我が國の貿易の再興は至難なのでありますが、政府貿易或いは管理貿易の今日、果して世界商品として、どのような價値があるかを自覚して、輸出品の製造に携わつておられる労資の方々がおられるかどうか。何人あるかということが疑問であります。この際好意あるアメリカよりの導入物資を爲替安定基金といたしまして、これを活用し、一本建のレートをお決めになる意思はおありにならんか。首相並びに大蔵大臣の御所信を承わりたいと存じます。若し爲替レートが一本となつて、世界商品の壘を廃すような日本商品がどんどん出ますことになりますれば、必ずや各種生産に携わる労資相互の人々は手に手を取合つて、献身的努力を拂いまして、貿易の振興のため盡すようになることを信じて疑わないのであります。これによりまして、共産党の諸君が宣傳いたしておりますような、誤れる貿易亡國論は影を絶ち、思想上にも、亦國家財政上にも、明朗なる影響を來すものと信ずる者であります。  ここで、加藤労働大臣にお伺いいたしたい点がございますが、海外貿易が進むにつれまして、我が國の賃金ベースは、海外諸國に比べて、どんな立場に置かれておりますか。チープ・レーバーによるところのソシアル・ダンピング、こういうことは、勿論避けなければならんことでありますが、現在の労働観念を以てして、即ち簡單にストライキを起したり、或いはサボタージユを試みたりするような現在の状況を以てして、技術的にも、亦科学的にも、果して海外各國との貿易上、我が國の商品が、競争場裡に立ち得るでありましようか。御信念の程を御披露を願いたいと思います。  次に、予算の歳出面におきまして、先ず第一に目につきますのは、終戰処理費の問題であります。昨年に比べまして、物價の高騰にも拘わらず、その増加率が非常に少い、一大節約を図つて、我が國の民主化のために格段のお力添えを賜りましたその筋の当局の方には、衷心より感謝にたえないところでありますが、國内の秩序は、漸く緒につかんといたしております今日、今一段の御配慮方について、芦田首相を初め、各閣僚諸公が、懇請についての御努力を賜われば、誠に幸いといたす者であります。これによつて生じますところのものは、全部公共事業といたしまして、有効に使用いたしますならば、世界の平和に一刻も速かに寄與せんとの熱意を持つ我々國民に取り、どんなに力強く感ぜられることでありましよう。これに関する首相の御信念を御披瀝願いたいと思います。  更に根本論に立戻りまして、厖大な予算の実施に当りまして、通貨の面とこの予算の面とにおきまして九百億円、即ち約四三%の増発が見込まれるとのことであります。昨年に比べまして九百億円の通過が増発されますが、これに関し同僚議員の方々の中には、又インフレの増進を來たしはせんかと非常に心配されておる向きもございます。併し私はこれに対しまして、むしろ反対の心配をいたしておるのであります。昨今あらゆる方面におきまして資金難ということが訴えられて、いわゆる金融恐慌來ということさえ唱えられておるのであります。資金の増額のみに追われましては、果して満足な企業計画を立てることができますかどうか、又立派な生産品ができますかどうか、甚だ疑わしいのであります。金融引締めのために、作爲的に政府は政府の事業の支拂を遅らせたり、或いは日本銀行等におきまして、極度の貸出制限を行うことが果して生産拡張のために妥当か否か、角を矯めて牛を殺すようなことが起きやしないか、私といたしましては甚だ懸念にたえません。この点につき大蔵大臣の善処方を要望いたす次第であります。これにつきましても、今般行われる物價の改訂が一刻も速かに実現されることを希望する次第でありますが、これはいつ頃までに完了いたす予定でありますか、安定本部長官にお伺いいたしたいのであります。若し物價の改訂が時日を要しますならば、資金の横流しによるところの買溜めや或いは闇取引等、忌わしい事件の発生を來たしまして、延いてはインフレの増進に拍車を掛けることは明白でありますが、これに対する方策がおありかどうか。又関連いたしまして、物價改訂によるところの價格差益金に対し、公團を除きまして、生産業者にその三分の一を、或いは取扱業者に五分の一を支給するというお話しがありますが、すでに数ケ月以前から、この價格差益金を獲得せんがために、物資の偏在を來たしており、不正取引の助長をしておるというような状態をどういうふうに考えておられるか、又これに対するところの対策をはつきりとお示し願いたいと思います。  次に特別会計に属する運輸並びに通信両会計につきまして、若干お尋ねいたしたいと存じます。両事業とも今回大幅な値上げが発表されておりますが、國民の大部分は、この値上げに対しまして反対の意思表示をいたしておるのであります。併しこれは、いつの時代でもこの種の値上げを喜ぶ者は恐らく一人もないのでありまして、結局値上げの理由が納得されるか否かに懸かつて來るものと存ずるのであります。而もこの両事業の從業員の人々が値上げに絶対反対を唱えて、全國的に署名を取る運動をしておるということは、誠に不思議に感ぜられてならないのであります。又國民も別にこれを怪しまずに共鳴しておるような状態を現出いたしておるのであります。運輸通信両面に亙つて大幅値上げをいたしましても、尚且つ前者が百億円、後者において五十億円の物凄い赤字が出るのでありますが、これが値上げをしなければ、運輸においては約三百四十億、通信においては約百五十一億円の赤字が出ると発表されております。これらの内情をなぜ從業員の諸君に率直に政府は了解を得るように渡りを付けられないのでありましようか。この点につきまして関係大臣の御回答を求めたいと思います。先ず家の中を治めて、然る後に外に当るという原則とは、凡そ掛離れておるのでありまして、若しこれが民間の経営でありましたならば、恐らく株式会社であつたなら、その株は大暴落を見たことであろうと思うのであります。これでは國民は納得することができません。今からでも遅くありませんから、当事者たる各大臣を初めといたしまして、幹部の皆さんが一刻も速かに從業員諸君と懇談せられて、値上げの止むを得ない理由につき、了解を求められたいと御忠告を申上げる次第であります。  この際國鉄並びに全逓の一部の諸君に、國会議員の立場から一言申上げたいと思います。私共は荷物よりもひどく取扱われまして、命がけで、丸で罪人でもあるかのような格好で乗せて貰わなければならない汽車や、直ぐ劔つくを食わされる電話や、いつ着くのか分らないような郵便等の料金値上げには、全く賛成はし難いのであります。諸君らが利用者の國民をお客として待遇し、経費の節減に真剣な努力を佛われ、國民の汗の結晶たる料金をただ貪つておる無駄な人々が淘汰されるまでは、諸君らと別な意味での料金値上げの反対もしなければならないということを銘記して頂きたいと思うのであります。  尚我が國勤労階級の代表とも言うべき國鉄、全逓の從業員諸君の動きは、実に國民関心の的となつておるのでありますが、これらの人々が二千四百カロリーの支給を要求し、賃金ベース三千七百円の承諾が困難ではないかというような噂さもありますが、これに対する加藤労働大臣の所見を承わりたいものと思うのであります。  次に鉄道、通信関係の必要資材の購入に当つて、相当無駄なものがありはしないか、又その資材の購入に際しましては、厳重なる檢査を施しておられるというようなお話もあるかも知れませんが、更に入札の方法で取引するのであるから、決して高いものは仕入れないという制度になつておると言われるかもしれませんが、数量だけは辻褄が合つておつても、一向役に立たないような粗製濫造品が相当量各省に入つておるということは、現業員の諸君の話で聞けばはつきり分るところであります。私の常に主張いたしておりまするころの、値段より品質に重きを置く経済政策が取られなければ、日本の再建は遅々として進まないということが、ここにはつきり現われておるのであります。運賃、通信料の改定に当りまして、利用者の相当の減少が我々は予想せられるところでありますが、予算表の金額に現われたものを見ますと、この点が全然考慮に入つておらないように思われますが、これに対しましてはどういうお考えを持つておられますか。更に鉄道の無料パスが非常に多いということは天下周知の事実であります。而も無記名パスさへ発行されまして、これが相当惡用されておる。今朝の新聞等を見ますと、パスの発行を節約することによつて十六億円の節約ができるということが言われておりますが、これらの発行を中止する御意思があるかどうか、厳重なる反省を促したいと思います。國鉄のパスの発行は、以前國鉄に入る從業員が少かつた、希望者が少なかつたという時代に、優遇案の一策として出されたものが相当あつたと思うのであります。併し現在は止めて貰いたいと政府において幾ら懇願しても、なかなか居直つて止めないというような状態にありまして、パスまで発行してこれを優遇する必要がおありになるかどうか、考えて頂きたいと思います。  尚、國家財政とインフレの問題に論及いたしますが、重要物資は統制によりまして殆んど身動きもできないように監督を受けておるのであります。インフレの高進ということは、結局において闇値段の上昇と言つても過言でないのでありますが、我が國経済の最も大きな部分を占める國家の財政関係からは、闇取引は絶対排撃しなければならないことは分り切つた話であります。それが今日満足に行われておらない。闇物價と賃金が惡循環的に高騰する間は、國民経済は救われないということをはつきり現わすのでありますが、この内閣におきまして、予算の実施に際し、闇價格を断乎として押え、賃金の高騰を來さないというような決意を持つておられますか。これには不公平な物價改訂の時期的ずれがあつては何にもなりませんが、安定本部長官の御善処を要望する次第であります。  最後に、すでに他の議員の方々からも述べられたことでありますが、行政整理と地方財政確立の問題であります。芦田首相は、行政整理につきましては心から熱意を以て当られることを声明されておりますが、衆議院におきましても、お茶を濁す程度ではないかと、民自党の植原議員に質されたことに対しまして、吉田内閣あたりはお茶も濁せなかつたではないかと應酬されております。我々國民は、今までの内閣などはどうでもいい、現内閣において首相みずから陣頭に立つて、行政整理の徹底的断行を図つて頂きたいのであります。これがこの内閣の使命であり、芦田首相が千歳に名を成すところの絶好のチヤンスであると存ずるのであります。かかる見地から、先ず第一に、地方出先機関の速かなる整理を図る御意思はありませんか。地方出先機関の権限を大幅に地方自治体に譲りまして、これに要します人員と費用をそつくり地方財政に廻すことによりまして、一石二鳥の効果が拳り、地方におきましては、必ずや政府に代つて無駄な人員の整理を断行することができると存ぜられるのであります。現在七人に一人の割合で役人がおると言われる世界第一の官僚組織は、この日本において、まるで巨大な鉄筋コンクリートのようなものになつておりますが、建造に要しましたよりも破壊に対しまして遥かに手数がかかることは、分り切つておるのでありますが、芦田首相が断乎たる決意の下に行政整理を行いまして、以て我が國再建の根本基盤たる國家財政の安泰を身命を賭してお図りになりますならば、天下翕然として首相のため支援を惜まないものと確信いたしまして、私の質疑を終ることにいたします。(拍手)    〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
  7. 芦田均

    ○國務大臣(芦田均君) 油井君にお答えいたします。  最初に今回提出せられたる昭和二十三年度予算は、眞に健全財政としてこれを遂行する確信があるかという意味のお尋ねでありました。申すまでもなく、瘠せたる土地の上には豊かな收穫が得られないと同じように、國民の経済基盤の豊かでない時代においては、予算案もその影響を受けることは、免れ得ざる現象でいありまして、今日の予算は一言で申せば、我が國敗戦経済の様相を如実に物語るものと申す外はないのであります。戦争によつて領土を失い、國富の三分の一を失い、輸出貿易は戦前の二割にも達しない、個人も國家も挙げて窮乏に悩んでおる、この基盤の上に予算を編成するといたしまするならば、戦前におけるごとき意味においての健全財政を編成することが極めて困難であることは、何人も了解ができるのでありまして、今日誰が政府に立つても、如何に練達堪能なる大蔵大臣がその職にあつても、予算を編成する上において極めて窮屈な、而も困難な情勢に当面することは、免れ難いことであろうと思います。從つて油井君のお話のように、惡税は設けたくない、又必要な経費は國家として十分支弁しなければならん、ところが國民の担税力は殆んど頂点に達した、而も経済再建のために政府の行わなければならない事業は山積いたしておる、その間に立つてこの予算をどう切り盛りするかということが、今日我々國民の当面しておる問題であります。そういう意味において、(「総理大臣しつかりやつて呉れ」と呼ぶ者あり)この程度の予算を以てすれば、國民には相当に負担と、犠牲を要求しつつも、先ず國家に必要な或る程度の施策は遂行し得る、かような目標の下に今回の予算を編成したわけであります。  外資の導入その他についての御議論もありました。我々日本國民は今日のインフレ克服のために、生産拡充の事業がややその軌道に乗るまでの間、一時海外より必要とする物資を輸入することが差当つての急務であるとの考えの下に、外資導入の一日も速かならんことを待望いたしておるわけであります。一部分の論者の言うごとく、徒らに安い値段で生産品を輸出し、高い相場で外國品を購入しておるではないかという批評もあります、併しながら外國品が高く付くのは、我が國の貨幣價値が低落しておる結果であり、物が高く賣れないのは、國内の生産費が今日の経済状態から言つて、これ以上低くは切り下げられないという條件から生じておるのでありまして、かような状態は、経済再建事業が緒につくに從つて漸次是正せられることと期待いたしております。為替相場の設定についても、一日も速かならんことを國民ひとしく待望しておるのでありますが、現在の我が國の経済力を以て果して直ちに安定したる為替レートを設定することができるかどうか、一度設定したる為替を維持するために、我が國に十分の裏附となる実力があるかという問題をも考慮しなければならんのでありまして、政府において今日まで引続き為替レート設定のことは考究いたしておりますが、只今のところでは、確実にいつから為替レートを設定し得るという言明をいたす程度に至つていないのであります。  終戦処理費の問題につきましては、ポツダム宣言を受託したる当然の結果として、我が國の負担となるべき経費でありまして、講和條約が一日も早く成立することを期待しておる我々といたしまして、講和條約の実施と同時に、これらの負担も著しく軽減されることを確信いたしております。尚最近において占領軍当局が、終戦処理費の膨張を避けるために、冗費節約のために多大の努力を続けておるという事実は、私共が衷心より感謝しなければならない点でありまして、現に先方の取りつつある幾多の事例を我々は承知いたしておるのであります。從つて昨年度に比べまして終戦処理費は殆ど増加をみない実情であります。  最後に行政整理の問題について御質問になりましたが、この点についてはこの席からすでに数回に亙つてお答えいたしました通り、現内閣においては全力を挙げて行政整理の実現に邁進する決意であります。出先官憲の整理のごときも、すでに一應の案を作りまして、それぞれ必要な筋に交渉を重ねておるのでありますが、まだその交渉の結了を見ないために発表し得ないのであります。併しながら遠からず具体的の成案を発表し得ることと信じております。その他の点につきましては、それぞれ所管大臣より答弁いたすことに計らいます。(拍手)    〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
  8. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 油井議員の私への御質問の第一点は、取引高税に関してであつたと思うのであります。お説のごとく、取引高税は決して好もしい税とは思つていないのであります。併しながら今回油井さんのお言葉の中にもございましたように、相当に思い切つて勤労所得税を軽減いたし、又農業所得税等にも相当な軽減をいたしましたので、從いましてその代りというわけではございませんが、これと裏表になるような意味で、全体として税の調整化、合理化を図る観点から、取引高税を新たに創設することにいたしたのであります。これは勿論、例えば製造から販売の末端までを一貫してやるような企業があるといたしますると、そういうものに比べまして、各段階を経なければならん立場にある商品の経路と比べて、後の方の場合は幾らかこれは高くなるというようなことがございまして、それがために、そういう意味から中小企業を圧迫することはありはしないかというようなお尋ねであつたと思うのでありますが、これはどうも、それを、私は率直に言えば、認めなければならん。否定することはできないのでありますけれども、現在製造から末端の直接の消費者への販売までを一貫してやるというような仕事が、全体から見ますと存外少ない。これは独占禁止法とか、経済力の過度の集中排除とか、いろいろなことがございまして、さようなものが割合少い。既に現在の日本の経済において、中小商工業の持つ分野というものは廣いのでありまして、そういう点から考えまして、このことから來る非常に大きな圧迫というものは余りないのじやないか。殊に極めて軽度にいたしまして一%でござじますから、この程度ならば辛棒して頂けるのじやないか、かように今考えておるわけであります。これだけを以てして所得税の軽減を補い得るわけではないのでありまして、その他いろいろな施策を講じてやつておるのでありますが、まあその一部分に当る歳入の欠陥を、こういう方法で補うということは、現下の諸事情から止むを得ないのじやないか。併しこれが完全に取れるかどうかというような意味のお話もございましたが、これは只今の構想では印紙を貼つてやるというような方法でございまして、成るべく手数のかからんようにするという方法として、このことが印紙を貼る商品でなければならん。そういうことから消費者大衆の、即ち國民全体の御協力を得られることによつて脱税を防げるということと同時に、かような方法が一面において、課税をして、國家へ税を收納いたしつつ、物資が正常ルート以外の方へ流れるということを防ぐというような効果も期待できないことはない。できればそういうふうな効果を挙げるようにいたしたいと、只今いろいろ工夫をいたしておる次第であります。これは御承知の通り、外國でもやつておりまして、國としてやつておるところもございますし、アメリカの或る州で相当やつておるところもありまして、必ずしもその徴税の成績は惡くない。これはやり方次第でございまするが、從つて只今御質問の中にございました徴税が、果してうまく行くかどうかというような御疑念は、大体私は相当の成績を挙げ得ると信じておるのであります。  次に法人税についてお話がございました。これも御尤もでございまして、何とかして過当或いは不当に資本が虐待されるという状態を解消しなければならん。國民蓄積を非常に増強しなければならず、又外資さえも導入しなければならんという、今の國情から考えまして、資本に対して相当の保護を加えるということは当然であります。但しこれは資本家を保護するということは別でございまして、零細な國民蓄積等に相当の配慮を加えながら、これの築製を愛護するというような点から、又一方そういうことを通じて、有価証券の大衆化を通じまして、企業への長期投資というものを一般大衆の中から求めるというような観点からいたしましても、法人税等を軽減するということは当然であると思います。もつとこれをやらなければならんというお話がございましたが、只今のところ、先ずこの程度で進みたいと、かように考えておりますので、さようご了承願いたいと思うのであります。  それから事業税についてお話がございましたが、これは御承知の通り、地方の財源が段々枯渇いたしまして、而も地方において相当新らしい金のかかる仕事が多く行われておる。六・三制の教育の問題とか、或いは地方によりまして災害復旧のこともございますし、更に新しい自治警察の制度等によつて、随分地方の財政は困難をしておる。かような場合に中央に健全財政を唱えながら、地方財政においてうまくいかないと行かないようなことがございましては、これは勿論一貫性を欠くわけでございますので、地方に然るべき独立財源を與えねばならんというようなことから、地方財政委員会において取上げられたところのものに事業税があるのでありますが、只今御指摘になりました例えば同じ自由業と申しましても、その他の自由業と医師、お医者さんを一緒にしていいか惡いかというようなことは、これは御尤もでありまして、医師は同じ自由業の中でも、法によつて應招義務を持つておるし、又患者について勝手に選択はできないというようなこともございますし、このことが大衆生活に及ぼす影響も大きいのでございますから、これは何とか少し考えたいと、只今研究中であります。他の自由業とは幾らか違つたような立場に置くべきものであるというように考えておるのであります。  それから闇問題等についても、お触れになつておつたのでございますが、闇による利益、闇利得というものを國家へ回收するということは、これは道義的に考えましても、非常に力を入れてやらなければならんことでございますので、この席から数回申上げましたように、具体的な方法によりまして今後闇利得を國家へ回收するという点には、一段と努力を拂いたいと考えておるのでございます。  尚通貨のことについて御質問があつたのでございますが、これはお説の通りでありまして、今回價格の補正を行い、或いは賃金ベースが変り、又生産が大体一割一分くらい平均して増進すべく計画を立てております。かようなそれぞれの観点から申しまして、通貨の所要量というものは、当然さような原因によつて脹れるべき必然性を持つておる。これは、こういうような極めて原因が明らかな、所要通貨量というものを増すということが、これは当然であるという限界においては、無理にこれを引締めて却つて産業界に非常な窒息を與えるというふうなことがあつてはなりませんので、これは適当な所要量というものを抑えて、その限りにおいてはむしろ生産の増強のために力を致すというような方向に持つて行かなければならん。それにつきまして融資準則というものを只今改正いたしたいと存じております。只今の決め方が余りに平面的であり、これをもう少し立体的にいたしたいという考え方が一つ、それから通貨発行審議会というものがございますので、現在の日本経済事情において通貨の適量というのは一体どういうところであるかというような点について、通貨発行審議会等において十分検討をいたして貰いつつあるわけでありますから、それに從つて善処いたしたいと思うのであります。以上私への御質問に対して御答え申上げます。(拍手)    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
  9. 水谷長三郎

    ○國務大臣(水谷長三郎君) 油井議員の御質問にお答えいたします。第一点は、只今大蔵大臣のお答になりました取引高税に対して商工大臣の意見を求められたようでありますが、これは仰せの通り、各方面からいろいろの批判が行われておりますし、又大蔵大臣御自身も決してこれはよい税であるとは思つていないということを言われておるのでありますが、商工大臣といたしましては、或いは本税が企業者なかんずく中小企業の活動意欲を減殺しやしないかどうか、或いは又政府の企図しておる中小企業の振興対策を阻害する處があるかどうかというような点に関しましては、多大の関心を持つておるものでございまするが、他面所得税、法人税等の税率の軽減を図らねばならん現在におきまして、又インフレを克服し、経済再建の基礎條件でありますところの國家財政のバランスを図りますためには、本税の設置は、現在の段階におきましては止むを得ないものであると考えておる次第であります。從いまして、本税の適用に当りましては、その商工活動に対する惡影響を極力防止いたしますよう、関係各方面と交渉の上、万全の策を講じたいと考えておる次第であります。  更に為替レートに関連して御質問がございましたが、これは総理からも御答弁になつたのでありますが、貿易の発展に伴いまして、何らかの形で外資との関係を付けますことは、逐次お説の世界水準に近附くためにも、亦現在の煩雑なる輸出手続をば簡略化するためにも必要でございますが、直ちに為替レートの設定を念ぎますことは、長期に亙りまして國際経済と掛け離れており、又インフレ等によりましてまだ安定を取戻しておらない我が國経済を、徒らに混乱に陥れる結果が予想されますので、我々といたしましては、先ず過渡的措置といたしまして、外資との換算率を、今までの実績等を参酌いたしまして、比較的円とドルとの関係の類似した商品群別に設定せんとする努力が目下勧められておる次第でございます。これが設定されました暁におきましては、輸出商品價格が自動的に換算されることになりまして、世界の市況を或る程度輸出産業に反映さすことができると思われるのでございます。それらの結果によりまして、我が國の輸出も逐次世界的水準に近ずくことが期待されますので、これらを契機といたしまして國民の格段の努力が望まれるわけでございます。  更に第三インフレ高進による物價体系改訂に関して商工大臣の所見を尋ねられたのでありますが、今回の價格の改訂は、御案内のように甚だしい赤字を解消いたしまして、企業の自立性をば復活いたしまして、長期計画を遂行促進することにあるのでございまするが故に、商工省といたしましても、出來得る限り適正なる改訂を希望しておるような次第でございます。併しながら企業の諸々の條件の整わない現状におきましては、単純に赤字を消すという見地だけでは不十分なのでございまして、できるだけ可能な限り、合理的な企業を條件に置きまするところの経費を以ちまして價格に織り込みたい。このように考えておる次第でございます。    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
  10. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 只今私の所管に関する御質問の第一の要点は。貿易が順次発展して國際水準に達しなければならないときに、チーブレーバーであるとか或いはスウイーピング・システムというような労働状態が、國際的に非難されるような状態でいけないことは尤もだが、だからといつて今日のようにストライキであるとかサボタージュというようなものが起つておるような状態で、果して國際貿易の市場において日本が國際的水準に達することができると思うかどうか、更に如何にしたならば勤労意欲を起さしむることができるか、こういう点にあつたと思うのであります。この点につきましては、固より私共は、満州事変前の日本の海外貿易が非常な発展を遂げておりました当時において、國際的に日本の労働條件は劣惡な労働條件である、このようなスウイーピング・システムの下に生産された商品は、國際市場に受入れることができないというて、到る処に門戸を閉鎖されたことは御承知の通りであります。そういう状態が、日本の労働階級の力が弱わかつた点もありましたが、改善されることなくして、戦争に突入し、戦争中は外國貿易は大体一定範囲を除いては杜絶の状態にありましたから、國際的にそういう非難を受けることはなくして済みましたが、戦後の今日におきましては、御承知の通り日本の労働條件を國際的水準にまで高める基本的なものといたしまして、労働基準法が制定されまして、労働基準法の中に規定してありまする事柄は、大体今日まで國際労働会議において、或いは條約案として、或いは勧告案として大体決定されたことだりまして、若し日本が國際労働会議に参加しておりました当時に、この勧告案なりこの條約案なりを承認して、実際に労働條件の上に適用いたしておりますれば、こういう非難はなくして済んだと思うのでありますが、遺憾ながら当時の日本においてはそれをそのまま受入れなかつた。日本の特殊事情だけが強調されて受入れられなかつたのであります。併し戦後におきましては、は、只今申します通り、労働條件は、労働基準法が完全に行われまするならば、今は十分に國際水準に達し得たものである。かく私は信ずるのであります。ただ問題は、國際水準に達したからというて、これで直ちに日本の労働條件がすべて改善されたか、成る程基準法に規定する範囲におきましては、國際水準に達しましたが、尚今日のインフレーション高進下における労働者の生活の窮迫が、勢い或いはストライキであるとか、或いはサボタージュであるとかいうような、争議行為に発展して來ておるのであります。できれば私どもは労働者諸君に、これらの生活の窮乏から來たる生活不安を取除くことができるように、最善の努力をいたしまして、そういう点から労働者諸君をして、日本の今日置かれたる大きな世界的な使命、即ち日本が如何にしたならば世界平和に貢献し得る平和國家として再建し得るか、こういう大きな観点と、今一つは、日本のこの観点に到達するために、國民全体が一定の規範、苦しい状態を忍ばねばならないということを十分に理解して貰うことによつて、勤労意欲を高める。勤労意欲を高める以外には、國の富を増大する途はないのであります。その鍵を握つておる勤労者諸君の生活の不安を、少しでも取除くことができるように努力することによつて、私は労働者諸君の理解を深めることにもなり、従つてそこから勤労意欲が生れて來るようになると思うのでありまして、私共は微力でありましても、そのように全力を挙げて努めなければならないと考えております。  第二の点は、國鉄であるとか、全逓の従業員の諸君が、自分たちの事業の汽車の運賃、或いは通信料金の値上げに反対をしておられる。これがどうしてこういうような内部から反対が起こつておるか。どういうような方法によつて理解を求めておるか、こういう点でありましたが、これはそれぞれ所管大臣がお答えになることと存じまするが、私に関する部分としましては、聞くところによれば、これらの従業員の諸君は、二千四百カロリーを基準とする最低賃金制の要求をして、政府が本年度の予算編成の標準としておる三千七百円ベースは受入れられそうでないが、どうであるかと、こういう御質問であります。この点につきましては、私共は本議場におきましても、しばしばお答えいたしましたる通り、三千七百円ベースは、全國工業平均賃金を基準といたしまして、それの最近における推定を以てこれに合致せしむるように、そうして財政的見地、今申しました工業平均水準に合致せしめるという点と、更に物價改訂に伴い、それがどのように生計費に影響するか、こういう三つの点を勘案いたしまして、合理的なる算出の下に、三千七百円ベースというものが生れまして、予算には三千七百九十一円が組込まれておるわけであります。もとよりこれは本来ならば、この前も申しましたる通り、組合側の諸君の完全なる了解を得て行うべきでありましたけれども、遺憾ながら委員会の状態が進行を見ませんで、そういう機会がなく、時間が経過いたしまする関係から、予算編成上、どうしても取急ぐ必要がありましたので、そういう一應予算編成の標準として、只今申しましたようなものが取上げられたわけであります。これらの点につきましては、政府といたしましては、極力組合側の諸君に対して事情を説明いたしまして、了解に努めることに努力いたしたいと存じます。勿論組合側要求されておりまする二千四百カロリー、八十グラムの蛋白量を基準とする制定賃金制度の問題について、私の見解としては反対であります。何となれば、今日日本の國がなぜこのように苦しんでおるか。言うまでもなく、食糧を主とする生活必需物資の不足のためであります。若しこの賃金に裏附となる物資のない今日の状態におきまして、このような数字上の計算による基準が標準となりまして、最低賃金制が定められるということになれば、結局これは名目賃金が定められたということに過ぎないのでありまして、(「それだけ食つているのだよ」と呼ぶ者あり)実際は名目賃金だけが定められるということになりますならば、これは勢いインフレーションを高進せしむる以外の何ものでもない。従つて私共は今日、この現実に物資の不足しておるという事実を明瞭に認識しまして、その上に、どうすれば生活必需物資を増強せしむるかということに、一段の努力が拂われなければならない。その結果として、生活必需物資、食料を含めてのこれらの物資が、賃金を裏附けするに足る量を得ましたときに、初めて最低賃金制の問題は具体的な問題として取上げられるのであります。そうでない限り、今日においては、ただ数字的に理論的に一應成立つということだけでありまして、現実には今申しますような結果を招來するに過ぎない。従つて私共といたしましては、こうした單なる理論生計費としての最低賃金制度には、同意することができないのであります。私共はこういう観点から、極力組合側の諸君の了解を求めることに努力いたしたいと存じております。(拍手)    〔國務大臣岡田勢一郎君登壇、拍手〕
  11. 岡田勢一

    ○國務大臣(岡田勢一君) 油井さんの御質問に対しまして、お答えを申上げます。  國有鉄道の従業員である國鉄労働組合の一部のものが、鉄道運賃の値上げに反対の署名運動をしておることは不可解であるということ、同時に又これは労働組合運動の本質を逸脱しておるのではないかという御意見、全く私も同感でございます。これらのことは、なぜ運賃を値上げしなければならないかというようなことは、従業員の一般においても分つておらなければならん筈であります。(「政府だけ分つておるのだよ」と呼ぶ者あり)又私共としましても、それぞれ説明を加えておるのでございますが、かような運動が続けられておりますことは、誠に私といたしましても遺憾であります。(笑声)尚一層御意見のごとくに十分に説明を加えまして、速かに了解するように指導をいたしたいと存じております。  必要資材の購入に無駄はないかという御意見でありますが、御承知の通り終戰後以来、鉄道所要の材料、部分品、消耗品等の納入の品質が、非常に低下をいたして参つておることは事実でございまして、これがために車輛等の稼行日数が減りましたり、或いは修繕度数が増加いたしておりますことは、誠に遺憾でありますので、段々これが品質の向上に努力をして参つておりますのでございます。今後におきましても、品質、数量等の検査、検量等を一層厳重にいたしまして、この弊を速かに是正して参りたいと存じております。  次に無料パス、無記名パス、等が相当出ておるではないかという御意見でございます。御指摘のごとく今日の状態は相当数量が出ておるのでございます。併し無賃乗車証は、従業員の融合の目的のみで出しておるのではございません。鉄道職員及び関係者が、その職務の遂行の必要上、その必要の限度において発行をしておるのでございます。その外規定に従いまして、その都度に発行をしておるものもございますが、これは如何程の減收を來しておるかということにつきましては、相当計算が複雑でございますので、いずれ委員会等におきまして詳しく御説明を申上げたいと思います。併し今日の國家財政の現状から考えましても、これらの減收をでき得るならば低下をいたして行きたいということが必要でございますので、今後はできるだけ整理ができる面は整理することに努力をいたしたいと存じております。以上御答弁いたします。    〔國務大臣冨吉榮二君登壇、拍手〕
  12. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) 油井議員のお尋ねにお答えいたします。先ず御承知の通り、通信会計は独立採算制の特別会計制度が採られまして以来、一般会計に対して相当額の繰入れをいたしまして御奉公して参つたことは御承知の通りでございます。昭和二十年以来赤字続きで悩んでおります。御指摘になりましたごとく、若し通信料金を二千九百二十円ベースで、現在の物價で、逓途量も現在通りといたしまして、そうして据置きといたしますれば、本年度実に百五十一億円の赤字になりますことは御指摘の通りでございまして、更にこれを他の物價が上るのに、ひとり通信料金だけ引上げないということに相成りますれば、実に二百七十億という赤字となる見込みでございます。この赤字を消しまするためには、もとより今日國家財政の不況の折柄、一般会計からこれを繰入れますということはなかなか実際上困難な問題でございまして、実は料金に手を着けざるを得なくなつたことだけは御了承願いたいと思います。さてその率の問題でございまするが、四倍と申しますと、これは確かに非常な大幅の引上げてございまして、私自信非常に心苦しく存じております。併しながら四倍値上げをいたしましても、尚且つ五十億の赤字が出まして、これは一般会計から補填して貰わなければならんというのが現状でございます。こういう建前から今回のごとき措置に出ずるに至つたのでございます。ただ、これが國民生活に及ぼす影響等につきましては、最も私共の心痛いたしておる点でございます、ところが、昭和九年の國民所得が百十二億四千九百万円、通信料金の負担が二億八千百万円ということに相成つておりまして、そのパーセンテージ一一・五%と相成つていおるのであります。昭和十二年におきましては、パーセンテージだけ申上げますと、二・三三というパーセントになつております。これを昭和二十二年度即ち現行におきまする場合は〇・八%と相成りまして、今回四倍引上げをいたしたときに一・五六%となりまして、この生活に及ぼす、國民生活に及ぼしまする影響から申上げますると、昭和九年のニ・五%、昭和十二年の二・三三%に比較しましても、尚且つ相当の低率であるということだけは御参考までに申上げたいと思うのでございます。私はこのことを以て必ずしも絶対的で、國民生活には何ら影響なしと断言しておるのではございませんけれども、國家財政の折柄(笑声)この際この程度の御辛抱は國民諸君にお願いしなければならんのであろうと確信して、且つ又御了承願えるものと確信いたしております。これに対しまして、御指摘の従業員組合の反対があるのではないかという点でございますが、これは誠に不徳の致すところ、(笑声)汗顔の至りにたえません。(拍手)併しながら、この問題に関しましては、しばしば組合とも話をして参りました。併しながらこれはどういうものと、私はここに一つの考えを持つておりますが、この際私の私見を申上げることは避けますが、とにかく反対いたしております。理窟は分つても、分るようなふうでありますけれども。反対をしておるというのが現状でございます。(笑声)これは従業員が反対するからいかんじやないかという、若し‥‥これは油井さんの御議論はそうではなかつたけれども、従業員が反対するからいかんじやないかという、こういう國民に議論があるならば、私は少しく見解を異にする。何となれば、あのストライキを全面的に國民は支持していない、國民が支持していなくても強行するのが全逓などのやり方でありまして、全逓がストライキをやるのを諸君が拍手喝采を送られるならば、全逓が反対しておることは國民が反対だということになりますが、たまたま結果的に全逓が反対しておるという理窟で、料金値上げの基礎なしと断定することはできないと思います。(「労働大臣の大体が反対だ」と呼ぶ者あり)  それから従業員のサービスが惡いのじやないあかという御指摘でございましたが、この点誠に申訳ございません。これは私は弁明でございませんが、戰後におきまして、機械器具等の破損によりまして、通信事業は、多くの場合、機械器具によります点が多大でありますので、勢いそれらの不十分から、皆様に対するサービスの低下いたしたことをお認め願いたいと思うのでございます。又一方、いわゆる國民思想全体の問題といたしまして、(「分りました」)と呼ぶ者あり)奉仕の観念というようなものが多少形が違つておるように私は見受けまするので、その点について微力ながら私は今日指導に当つておりますが、何を申しましても、(笑声)そういうものは簡單に参りませんので、漸次上昇して参りますが、今暫く仮すに時日を以て(「もう倒れるじやないか」と呼ぶ者あり)御協力をお願いいたしたいと思います。  不良物資購入の問題でございますが、これはいろいろ言われておりますけれども、御承知の通り、終戰後の我が國の経済の実情が著しく混乱の状態にありましたし、又資材のいわゆる劣惡等によりまして、同時に又技術の低下によりまして、電話、電信等の機器におきましても不十分なものがあつたことは私共も大胆率直に認める。ところが、最近に至りまして、その筋の援助も得まして、この通信機器に関しまする檢定定制度、試験制度といつたようなものを非常に嚴格にいたしまして、そして全く誤りなきを期したい、こういうふうにいたしておるのでございます。これらに関する相当額の経費等も計上いたしまして、目下御審議中の予算案等の中に逢われておりまするから、何とぞ愼重審議、御賛成を與えられんことをお願いいたします。(拍手)
  13. 松平恒雄

    ○議長(松平恒雄君) 栗栖國務大臣は司令部に赴いておりますから、後に適当な機会に答弁がある趣でございます。栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇、拍手〕
  14. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 二十三年度の予算の不健全性に対しましては、すでに同僚議員諸君によつて鋭く指摘せられた通りであります。國民大衆はこの不健全性が示すところの、物價の改訂から中間安定へと貫かれておりますところの、我が國経済安定の構想が、結局インフレの高進による大衆生活の破滅を意味しておるものとして、一大恐怖感に襲われておるのであります。若しこの予算がこのまま決定されましようか、今まで馬鹿を見て参りました正直者の生きる権利を主張する声と行動とは、    〔議長退席、副議長着席〕 必ずや日本國内に溢れ一大社会不安を醸成するであろうと予断せざるを得ないのであります。私はかかる予算の提出を心から悲しみますると共に、この憂慮すべき事態を回避するための努力といたしまして、若干の所信を加えて総理並びに関係大臣に質問いたしたいのであります。  先ず予算と物價、賃金の関係であります。安本長官、加藤労働大臣を中心として御質問をいたしたいと思います。政府は今回の物價改定の目的は月百億に上るところの赤字を消すにあるといたしております。而して赤字のすべての責任を賃金の引上げに転嫁しておる。併し赤字の生れましたのは賃金の引上げによるのではなく、政府資金の放出による人為的なインフレの当然の結果なんであります。賃金は物價の後追いをしておる、この根本的な問題を解明することなくして、赤字の全部の原因をば賃金に転嫁するがごときは、我々の断じて容認し得ないところであります。政府は今も尚赤字の原因は賃金の上昇にありと家宅お信じになつておるかどうか、この点を先ず明らかにせられたいのであります。  次に政府が赤字を消すための手段として、物價の引上げを行うことによりまして、直接勤労階級の負担を避け得るとせられるならば、過ちも甚だしいのであります。最終的には当然に労働者へ再転嫁せられまして、実質賃金の切り下げとなり、再び賃金の引上げをなさざるを得なくなるのであります。かくて賃金の引上げが、物價を吊上げ、赤字を生ずるという政府の理論は大きな矛盾に逢着るするわけであります。結局物價を上げて赤字を消すということは、賃金を切下げて赤字を消すということではないでありましようか、明快な御見解の表明を願いたいのであります。  次に先日中西議員の三千七百円ベースの不合理を指摘するところの質問に答えて、加藤労働大臣は三千七百円は予算編成の基準に使用したのである。只今も油井君の質問にそう答えられた。全官公労組とは別途に交渉協定をいたしたいと述べられたのであります。そうして團体交渉に應ずる用意のあることを示された。然るに北村大蔵大臣、或いは昨日芦田首相みずから追加予算は必要としない。予備金等で十分に支弁できる、こういうことを今度の國家予算の追加予算必要論に対して答弁せられておるのであります。三千七百円と全官公労組が、國鉄が計算いたしましたところの実体生計費を基準としたところの五千二百円の要求の金額とは甚だしい相違があるのであります。只今加藤労働大臣は理論生計費と言われましたが、五千二百円は國鉄が計算した実態生計費であります。到底予備金等で支出できるようなものではないのであります。予算を増額しない限り政府は團体交渉には應じないということを、意思表示せられたものと断ぜざるを得ないのであります。重大な両大臣の答弁の食違いであろうと思うのであります。併し本日加藤労働大臣の回答は、昨日の回答と若干相違しておるように、私は見受けるのであります。加藤、北村両大臣のいずれが本当であるか、明快なる言葉を承わりたい。要すれば芦田首相の言葉を承わりたいのであります。  更に質問の第二点は、予算收支の見積りの不健全性についてであります。支出を過少とし、收入を過大に見積ることは、予算を最も不健全ならしめるところのものであります。併しこの方針が激しい形で盛り込まれておりまするのが、今度の予算であります。すでに同僚議員から各部門に亙つて指摘せられましたとおりでございます。私は見積りの不健全性という点から一貫して批判をしてみたいのであります。  第一は、今回の物價の改訂で、その引上げを七割に果して止め得るかどうかという問題であります。私共の推定では、九割乃至十割程度でなければ安定しない。闇値は三・六%を遥かに追越す、殊に主食の実効價格の如きは、大幅に引上げることになると確信いたしております。かくして支出は不可避的に多額の膨張を來するのではないか、政府の所信を伺いたいのであります。  第二は賃金水準三千七百円が予算編成の基準となつておりまするが、全官公労組は、本日実態生計費を基礎といたしましたところの合理的な科学的新給與を政府に要求する筈であります。強権を以て團体交渉を抑圧しない限り、当然に三千七百円ペースの崩壊は必至であると断ぜざるを得ないのであります。従つて三千七百円ベースこそ過少見積りの正にチヤムピオンなりと言わざるを得ないのであります。政府はこれをどのように処理するつもりであるかお伺いいたしたいのであります。  第三は價格調整費及び復金融資の問題であります。復金融資が政略に利用されておつたのではないか、價格調整金が重点産業の故を以て放漫に放出されておるのではないか、國民の疑惑は極めて大きいのであります。具さに運営の実態を商工大臣に伺いたい。これらは國民の骨血を放出するものであり、又インフレ激化の温床でもありまするが故に、更に一段とこれらの企業の経理監査を嚴しくして、且つ企業の徹底的社会化と民主的合理化を進めなければならんと思うのでありまするが、これに対する政府の具体的対策を承わりたいのであります。  第四は、租税であります。二千六百億の租税は、ざつと見積りまして、昨年の二倍、而もインフレ及び闇利得の捕捉が困難であるといたしまするならば、正直者に向いまして、昨年以上の苛酷な税金が強いられることは必至であります。租税能力を超えたところのこの不当課税は刻底尋常一様の手段では徴収し得ないでありましよう。昨年上半期一八%の不成績を取返すために、國民の囂々たる非難を押しまして強権的手段に訴えて完納せしめたではありませんか。政府はこの収入不足をどうする予定か、昨年のごとくに或いはそれ以上に嚴しい手段を以ちまして徴税するつもりであるか、具体的な方法を承わりたいのであります。  第五は取引高税であります。これは需要者轉嫁の課税でありますが故に、若しこれを忠実に行いまするならば、需要者が極めて迷惑することは当然でありまするけれども、中小企業者自体もその全所得をガラス箱の中に入れて公開することになるのであります。恐らく中小企業はあらゆる手段を講じてその脱税に狂奔するでありましよう。政府はこれが徹底的防止策をどのようにせんとしておるか、具体策を伺いたいのであります。又この取引高税を徹底的に実行いたしまするとするならば、中小企業者は勤労階級と全く同じ状態に置かれまして、所得は全部棚上げとなるのであります。従つて勤労階級並みの税の基礎控除をする途を開く用意を持つておられるかどうか、これを伺いたいのであります。  第六は専賣益金、鉄道通信の収入は過大見積りではないかということであります、目標収入を得る自信があるかどうかということであります。今度の大幅値上げは反対でありまするが、それとは別個の問題であります。昨年度においてすら煙草収入は百二十億円の未達でありました。今度の官業の大幅のこの値上げは、実に常識を逸脱したところの計画であり、國民の負担限度を大きく切り離されておるのでありまして、國民大衆のますます窮迫するところの生計費は、到底この大幅値上げに追随して行くわけにはいかないのであります。  以上述べましたところによりまして、私は收支の見積りに合理性を持たないところのこの予算は、必ず失敗であると考えるのであります。従つてこの予算を成功させるためには、結局強権を裏附といたしまして、三千七百円及び新物價を維持し、又税を確保するより外に途はないと思うのであります。三千七百円の非科学性を衝くところの全官公労組の合理的な要求から本予算を守るためには、必然的に國家権力の発動を覚悟しなければならんと思うのであります。政府は理論に敗れても、極左運動として、‥‥先程運輸大臣も油井君の説も同様である。この膨湃たる反対運動を極左運動として、抱くまでもこのような強行措置を以て臨む考えかどうか。私はこの問題を繞つて憂うべき社会不安、労働不安の発生を予感するが故に、その場合の責任を今から明らかにして置く必要を痛感する。従つて敢て首相の不動の決意を伺いたいのであります。  質問の第三は、中間安定論の性格であります。中間安定は國民大衆の生活を実質的に安定させるところに根本がなければなりません。私の持つ資料によりますと、個人支拂所得のうち勤労所得の閉める比率は、昭和五年に五四%、昭和二十一年二九%と大幅に低下いたしております。只今はインフレの高進で更に低下しておるでありましよう。米国では前者六四%、後者七二%と却つて上昇いたしております。ここに大衆が生活苦を叫び、生活の安定を要求する根本理由があるのであります。國民生活の安定は結局所得の公平化からはじめられなければならないのであります。政府はこの問題をどのように考え、どのように具体化せんとする用意を持つておられますか。又政府はこの國民大衆の生活安定、所得の公平化の要求に対しまして、労働運動の抑圧による実質賃金の切下げ、不適正價格による農産物の強制的な供出、金融の引締め、又無差別的、強権的徴税を以てする中小商工業者への圧迫を強行せんとしておる。政府の主張する中間安定とは、結局國民大衆を犠牲とする金融資本及び大産業優先の安定策と断ぜざるを得ないのであります。政府が経済再建の美名の下に行わんとする物價の引上と税の取立てこそ、正に國民大衆をインフレの坩堝に押込め、その生活を破壊に導くものであると言わざるを得ないのであります。それ故にこそ政府は國民大衆の反対を恐れ、これを押えるために強権を用意しなければならないのではないか。このような苛酷政治の下におきまして國民総力の結集が可能と考えられますか。日本経済の再建できるとお考えになりますか。首相の所信を伺いたいのであります。私の申上げたことは決して労働階級だけのものではない。農民も中小商工業者も全部含めての問題であります。  質問の第四は國土復興に関する問題であります。全國の河川は三万、うち昨年の台風で痛手を受けておりまするものは、直轄河川四十、その他三千に及んでおるのであります。然るにその復旧費は昨年度は五十億に圧縮、本年度は僅かに百億足らずが計上されておるのに過ぎません。長期天氣予報は本年も台風來の公算高きを傳えております。國民は罹災、非罹災の区別を問わず、満身創痍の河川を抱きまして非常な不安に駆られておるのであります。備えなきところ必ず水魔は猛り狂うのであります。災害前の一銭惜みは災害後の百銭の失費を以てしても尚償い得ないのであります。台風期を控えまして、政府の反省を要求すると共に、政府の対策を伺いたいのであります。治山治水は民生安定の大本であり、日本再建の基本であります。然るにこの重大なる治山治水の行政は、水力発電は商工省に、山林砂防、灌漑、開拓は農林省に、河川改修は建設院にと分散し、建設力の集結或いは計画の一元性を阻害いたしております。住宅、水道、港湾の行政亦然り。第一國会において片山首相は、この旧弊を打破するために総合建設省の設置を公約されました。然るに片山内閣の継続たる芦田内閣は、この建設省の設置計画に当り、建設院に加える僅かに運輸建設本部の吸收を以て局面を糊塗せんとしておるのであります。かくのごときは院議の無視であり、公約に対する裏切りであり、國土再建に対するサボタージュであると断言せざるを得ないのであります。芦田首相の明快なる答弁を要求いたします。  最後に私は社会党出身閣僚であるところの西尾國務大臣の所信を伺いたいのであります。二十三年度予算は、すでに徴底的な批判がなされたことく、勤労大衆の生活をインフレと租税の重圧によつて破滅させんとする誠に恐るべきものであります。我々が日本社会党に好意を寄せて参りましたのは、糟糠の妻として、世話女房として、反動政治の切盛りを期待したからであります。我々はそのような社会党の公約を信頼したからであります。かくのごとき大衆虐待予算に断乎反対願えると期待したからであります。社会党内にもこの考えの議員が少なくないことを銘記させられまして、この予算に賛成されたところの理由を明らかにせられたいのであります。社会党は今は発展か自滅かの重大岐路に立つておる。このときに当り、勤労大衆の党として、従来の態度を今直ちに一擲し、直ちにその政策の実行に取掛かる用意ありや。或いは又民主党にその節を賣り、國民大衆にも完全に賣り、自滅する覚悟であるかどうか、敢て明快なる答弁を西尾國務大臣に要求するのであります。以上を以て私の質問を終ります。(拍手)    〔國務大臣芦田均君登壇、拍手〕
  15. 芦田均

    ○國務大臣(芦田均君) 栗山君にお答えいたします。給與ベース三千七百円の標準の下にできた予算であるが、すでに労働組合においては遥かに高き給與を要求する声がある。從つてこの三千七百ベースは到底維持できないことは明らかであるではないかというのが第一のお尋ねでありますが、政府はそれぞれの科学的基礎の下に三千七百円ベースの基準を決めたのであります。それよりも遥かに高き給與の要求があるならば、その基礎をよく説明を聴いて、若し本当に我々の首肯する科学的の計算によつて出たものであるかどうかを檢討いたすことは決して吝かではありません。從つて栗山君の言われるように、政府が労働運動の正当なる行動に対して彈圧を加えるがごときことは断じて考えておりません。  中間安定の問題については、昨日、一昨日もこの議場においてしばしば政府より説明いたし答弁いたしたところでありますから、その答弁によつて御承知を願います。  災害の復旧、殊に河川の復旧に対して、現予算に現われた金額を以てしては不十分ではないか、どういうわけで十分の予算を組まなかつたか、こういうお尋ねであります。無論現地よりの予算の請求は非常に互額に達しておるのであります。できれば無論政府としてはその要求に應じたい希望は山々でありますけれども、先程もこの席から申上げたことく、何分にも今日の我が國の世帯において、これ以上の租税の負担を國民諸君に求めることは、相当に無理があるという考えから、漸を逐うて災害復旧工事を実施する外に方法がなかつたという結果であることを御承知願いたいのであります。  最後に建設省の設置について、極めて不徹底な案である、更に綜合的な統一した建設省を作るのが本筋だという御議論については、私も賛成の意を表する者であります。ただ時間的に考えて見て、今日各省に分れておるすべての建設事業を一氣に統一するには、事業計画の混乱その他を考慮いたしますと、必ずしも早急にこれを今月中に実施することのできない事情がある、故に取敢えず今日の規模を以て建設省を作つて、漸次我々の目標とする統一性のある建設省に育て上げて行きたい、かような意味において建設省設置の法案を提出したわけであります。以上簡單にお答えいたします。(拍手)    〔國務大臣北村徳太郎君登壇、拍手〕
  16. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 栗山議員の私への御質問の第一点は、本年度の予算が果して國民救済の規模において妥当であるかどうかというような御質問であつたと思うのでありますが、これは私共は今年度の國民所得等を勘案いたしまして、この経済の規模において健全財政を堅持しなければならんという建前を堅持いたしましたので、その限りにおいて、いろいろお説がございましたけれども、決してお話になつたような不健全性のものではないと確信いたしておるのであります。一般会計において歳入予算の見積りが非常に過大ではないかというようなお説でありましたけれども、これは一々物價、賃金等、経済の諸情勢の推移を十分に勘案いたしまして、その適正を期したのでございまして、過大であるとは考えておりませんのであります。又歳入につきましては、これは勿論歳入の確保のために努力しなければならんことは勿論でございまして、たびたびこの席より申上げましたように、健全財政を堅持するためには、どうしても税收を確保しなければならん、從つてその徴收機関の機構を拡大する、強化するというような点について、又必要なる法の一部の改正さえしなければならん、かように考えておるのでありますが、決してこの歳入を過大に見積り、歳出を過少に見積るというふうなことはいたしておりません。又さようなことをいたしましたのでは、政府自体がみずから窮地に陥ることがありまして、これはどの点から考えましても、健全財政主義を堅持し、而も國民救済の規模において可能なる健全財政主義を一貫したという点においては、私共は固くさように信じておるのであります。いろいろ細かいお説がございましたけれども、若し一言にして申上げることができますならば、この予算は大衆虐殺予算であるというようなお言葉が出たのでありますが、私をして極く正直に申上げしめますならば、今回の予算は、政府の財政の相当苦しい中で、勤労大衆優待に努めた予算であるということだけは御了解を願いたいと思うのであります。  それから人件費の点につきましては、総理の御答弁がありましたが、大体私共は三千七百円ベースを基準にしてこれを組んだ、これは物價体系、民間給與の均衡等を考慮いたしましたものでありまして、只今全官公廳等のお話がございましたけれども、私共はまだそういうことを聴いておりませんのであります。  それから價格調整費が非常に放漫に流れておるじやないかというお話がございましたが、この点は商工大臣より答弁があると存じますので、私よりお答えを避けたいと思います。  それから今年度の税收につきまして、どうもこれは非常に過大ではないか、從つて徴收が困難ではないか、或いは從つて非常に強権発動的な考えを持つておるのじやないかというような御質問であつたと思うのでありますが、これは最近の賦課徴收の実績等を基礎といたしまして、本年度における生産、物價、賃金等の水準の推移に伴いまして、課税の対象というものを十分に勘案いたしておりますのでありまして、見積りにおいては確実であるということを信じておりまするし、決して過大見積りとは考えておりません。今日の状態において三千六百億円の税收入を確保するということは、これは栗山さんのお説の通り相当むつかしい問題でございますけれども、これについては政府は十分努力いたしまして、遺憾なきを期したいと存じておる次第でございます。尚これがために具体的などういう方法を以てするかというようなお説がございました。これは御尤もでありますが、先ず第一に、納税倫理の格段なる高揚に力を入れたい、何としても國は税で支えられておるのであつて、今のところいろいろ御負担が重いけれども、これは一つ國を支えるために、國が生きて行かなければならんのでありますから、國が生産意欲を先ず満たすために、是非ともこの納税に関して、考え方において、この税を拂うことによつて、我々は一人々々が國を支えるのだというような、納税倫理の格段なる高揚に努力いたしたいと考えておるのであります。同時に又先程も申上げました通り、一方において正直者が馬鹿を見て、闇所得者がのうのうとしておるというようなことは、只今申しますところの納税倫理に反することでありますから、これに対してはさような利得を國家に吸收するために、十分具体的な方策を持つておるのでありますが、この具体的な方策につきましては、すでにこの席より申上げましたので、それによつて御了承願いたいと思うのであります。尚いろいろ細かい点はここで何回か御答弁申上げておりますので、それについて御了承願いたいと思います。  この取引高税につきましては、先程油井さんの御質問にお答え申上げました通りでありまして、これは必ずしも好ましい税ではありませんけれども、今の段階においては大幅に勤労者を優待しなければならん、勤労者の生産意欲を一層高揚して頂くために、又生活安定のために、どうしても勤労所得を中心とする所得税の大幅な改善を行う、そのことと併せて税の適正化、合理化を図るためにこの税を採用いたしました次第でありまして、この点につきましては、それがために中小企業者が非常に圧迫されるということはないと考えております。と申しますのは、消費者の最終價格はすでに税を織り込まれておるものでありますから、中間にかような手数のかかる税を取ることによつて若干御迷惑をかかることは勿論と思いますけれども、これによつて、中小企業者がこの一%の取引高税によつて非常に圧迫を蒙るというようなことはないと信じております。(「脱税はどうする」と呼ぶ者あり)尚又脱税の問題につきましては、これはすでに外國の例がありまして、極めて好い成績を挙げておるのでありますが、印紙で納めると…先程申上げました通りでありまして、これは却つて勤労所得以外の所得の捕捉は随分困難でありますけれども、物品というものを中心として、その流れを通してでございますから、あらゆる段階の中を通り抜けるとそれが直ぐ捕捉できるというような点に、極めて微妙にこれを運用し得る点がありますことと、この印紙納入の方法によりまして、國民全体が監視をするということ、あらゆるものにこれを貼つてないものは取引できないというようなことで、國民大衆の監視眼というものが十分に光るわけでありますから、一般の所得税、勤労以外の所得税の捕捉が困難なのよりは、むしろ捕捉がたやすいので、我々は十分努力いたしまして、この点においては苟くも脱税がないように十分努力いたすつもりであります。  専賣益金の見積りが過大ではないかというような御質問でありまして、これは御尤もであります。昨年五百十二億に対して約九十五億の不足を生じた。これは極めて惡かつた。「新生」の賣行が不振であつたということが原因であります。今度は「ピース」六十円、それからその他五十円、四十円というふうに大体自由販賣品の價格構成を十円開きといたしておりまして、それぞれ調整いたしております。又品質の上においても可なり改良を加えておりますので、今回は前回のような失敗はいたさないつもりで大いにやつておりますので、不足を生ずることはないと信じております。尚、今回専賣局の特別会計において、昨年度専賣益金の納付のために百二十億円の借入金を生じた、これは専賣益金の中には実は延納代金でまだ取つていないものがあります、或いは固定資産、或いは運轉資産として資本勘定に計上すべきものもございます。かようなものも含んでおりましたのでありまして、これは三月末において決算することができなかつたので、從つて一應入金の形式を取つたのでありますけれども、これはいわゆる赤字ではございません。資本勘定に属すべきものを借入金で一應処理したのでありますから、さよう御了承願いたいと思うのであります。(拍手)    〔國務大臣加藤勘十郎君登壇〕
  17. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 只今の栗山さん御質問の中、私の所管に関する部分としましては、第一に赤字を賃金の犠牲に轉嫁することはいけない、又赤字は、賃金の引上げが赤字の原因となつているのか、更に賃金の引上げが赤字の原因となつているという政府の議論は、今もそういうふうに思つているのか、こういう点にあつたと思うのであります。赤字の穴埋めを賃金の犠牲に轉嫁するということはいけない、こういう御趣旨に対しましては、私共も同様に考えております。赤字のよつて來る原因がどこにあるか、これを究明することなくして、ただ賃金を犠牲にすることによつてその赤字を補填しようというようなことは、企業経営の全体を見ましても到底なし得ることではないのでありまして、私は賃金は飽くまでも合理性を持つた、その企業における部分がはつきりされなければ到底労働者の納得が行くものではないと考えまするから、從つて労働者の納得の行かないような犠牲において赤字を補填するというようなことが、これはやろうとしてもできるものではないと、このように考えております。更に赤字が賃金の引上げから生れて來るという意見があるが、今も尚そのように思つているのか、こういう御意見のようでありましたが、最近の賃金と物價との上昇比率を見ますると、昨年の七月以來の現象は、賃金の引上げの率の方が幾分上廻つていることは、統計の明らかに示している点であります。併しながら基本年次を基礎とする物價の引上げと賃金の引上げとの相対的な関係を見ますれば、物價の上昇率の方が遥かに高い線にあることは言うまでもないのであります。從つて最近における賃金の上昇率が若干物價の上昇率を上廻つているからというて、直ちに賃金の引上げは赤字、即ちインフレの原因となるというように見るということはできないのではないかと、私はこのように考えております。  第二の点でありまするが、三千七百円ベースは、若しこれを堅持するとすれば、組合側からそれより遥かに高い要求が出されようとしているが、結局そういう要求に基く團体交渉を拒否することになるのではないかという御意見のようでありましたけれども、この点は只今芦田総理からも答えられました通り、三千七百円は政府が手にし得られるあらゆる資料を基礎としまして、合理的な計算の上に予算編成の標準として採つたものでありまして、組合側の要求について、その主張の根拠がどこにあるかということを十分受入れて検討する用意があるという言葉は、決して團体交渉を拒否するものとはならないのでありまして、むしろ組合側の意見を聴いて、そうして双方に十分な納得が行くようにして、而も今日の日本のあらゆる経済財政の現状を組合側に十分認識をして頂くということに努力するということのためにも、團体交渉は進んで望むところである、こういうふうに御了解を願いたいのであります。更に三千七百円ベースは余りにも過小評價ではないか、こういう御意見のようでありましたが、この点はしばしば申上げまする通り、政府の持つている資料に基く限りにおいては決して過少ではなく、妥当性を持つたものである、こういうように信じております。    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
  18. 水谷長三郎

    ○國務大臣(水谷長三郎君) 栗山議員の私に関する御質問にお答えいたします。栗山議員は、赤字融資は國民の犠牲において行われているに拘わらず、いろいろの疑惑が行われている、一体商工省としてはこれに対してどういう考えを持つているかという趣旨のような御質問でございました。仰せは極めて御尤もでございまして、我々は赤字融資を行いました企業に対しましては、國民諸君の納得の行くような監査を行わなくてはならないということは言うまでもございません。ただ現在この監査というものは、技術的にも事務的にも非常にむずかしい大きな仕事でありますので、復興金融金庫自身がやつておるのでございますが、商工省といたしますならば、できればその機構、スタツフ等を整備いたしまして、國民的鑑査を行うことができるようにすることが、時宜に適したやり方であるという工合に考え、今一つの考を持つておりますが、まだ成案を得ませんので、ここで発表するわけには行きませんが、御趣旨に副うた線に沿いまして、この復金の赤字融資に対しましては鑑査を励行したい、このように考えております。又こういうような赤字融資の対象となつた企業は、この際思い切つて民主的な合理化をやらなくてはならんのではないかという御趣旨も、極めて御尤もでございまして、商工省といたしましては、企業みずからの責任におきまして、労資双方が納得ずくで合理化を推進するよう、行政的な措置を取つて行きたいと考えておる次第でございます。ただ現在は企業の條件をなしておるところの労働、或いは財政金融等が極めて不安定な状態に置かれておりますし、且つ産業の根拠そのものが、賠償であるとか、或いは集中排除その他の対外的な條件によりまして、まだはつきりした見通しが立たない現状におきましては、俄かに合理化方策をば強行するというようなことは、却つて混乱を招くかも知れないので、その点時宜に適しました方法で、御趣旨のような民主的な合理化方針をやつて行きたい、このように考えております。    〔國務大臣岡田勢一君登壇、拍手〕
  19. 岡田勢一

    ○國務大臣(岡田勢一君) 栗山君にお答え申上げます。鉄道の運賃收入の見積もりが過大ではないかという御質問でございますが、只今の收入の見積りは、申上げるまでもなく、予算でございまして、これが若干の狂いを生ずるか生じないかといいますことは、今後の経済情勢の如何にかかつておることでございまして、一つの狂いがないということは断言できないのであります。(「答弁ではない」と呼ぶ者あり)併しながら貨物旅客の双方の運賃を通じまして、只今の状態から考えまして、大体これで大きな狂いはない、大体適当なところになつておるということは自信を持つております。(「くだらん答弁だ」と呼ぶ者あり)  次に國鉄労働組合の一部の者が、運賃値上げ反対の署名運動をしておりますことにつきまして、私は先程、遺憾である、(「そんな質問しない」「ぼんやりするなよ」と呼ぶ者あり)同時に労働組合の本質を逸脱しておるものではないか。勿論一方におきまして、油井君から御指摘になりました今日各方面から非難されております旅客の輻湊等によりまして、車輛が惡くなつておる。並びに従業員のサービスが大変低下しておる、こういうことを是正しなければいかんではないかという御意見について、同感であるということを申上げましたわけであります。これを栗山君が言われましたように、極左運動であると申したことはございません。又この場合のみならず、如何なる場合につきましても、労働組合に対して徹底的の彈圧というようなことを考えておりませんことは、先程総理からも申上げた通りであります。併しながら若し万一法規に違反いたしますような行為がありました場合には、これは適当な措置を取りますことは申上げるまでもないのでございます。    〔國務大臣冨吉榮二君登壇〕
  20. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) 栗山さんにお答えいたします。通信料金の收入見積りが過大ではないかというようなお話でございましたが、御案内のごとく、この通信料金と申しますのは、國民の実態生活に結び付いておりまして、長い間経営いたしておりますので、相当的確な数字を以て、その数字の根拠の上に立つて立案制定いたしたものでございますが、更に御案内のごとく、非常に破壊された現状において、よくないのを、五ケ年計画を立てまして、二十三年度が第一年度でありまして、復旧の度合によりまして、この料金が相当増大して來ることを期待はいたしております。決してこれは見積り過大ではないというふうに考えておるのでございます。ただこの六月一五日を…(「四倍も取るのか」と呼ぶ者あり)予定いたしておりますが、これは御審議が遅れますと勢い一日五百万円ぐらいずつの欠損がございますので、それらの不可抗力による收入減は相当見込まなければならんと思いまするが、これとても他の料金の方との釣合、物價との関係を考えますと、大して大きな額には上がりませんが、これは適当ないわゆる措置によりまして、大体大過なきを得たい、こういうふうに考えておる次第であります。(旅館の番頭よろしい」と呼ぶ者あり)    〔國務大臣西尾末廣君、登壇〕
  21. 西尾末廣

    ○國務大臣(西尾末廣君) (「内閣の面汚しだ」と呼ぶ者あり)栗山良夫君の私に対する御質問の要旨は、この予算は、勤労階級の利益に反するものであり、從つて反勤労階級的な予算であるが、これに対して、社会党出身閣僚はなぜ賛成したかという点と、このまま社会党が勤労階級から見放されて自滅するようになることのままに行くのか、それとも何とか考えるのか、こういうような御趣旨であつたと了解いたします。  私は今度の予算の内容を見まするならば、部分的には勤労階級の間から相当強い不満の声があろうということは分つております。併し同時に又、これは單に勤労階級のみならず、各階層の方から、今度の予算については、それぞれの立場からの不満があろうかと思うのであります。根本的に申しますと、國民の税負担の極限にまで税金を納めて頂くということでありますから、そういう方面に対する不満もありましよう。その極限の不満の上に立つて、トータルとして國家財政全体から見ますと、それを支出の面において、又こちらにももつと廻して貰わなければいかん、こちらも不足だという、そういう方面の又國民の不満があるのであります。ですから國民の税負担の面から來る、つまり歳入の面からも各層の間に不満があり、歳出の面からも各層それぞれの不満があるのでありまして、これは国民全体からいつて苦しい予算だということでありまして、特に勤労階級だけに苦しい重荷を負わした予算とは考えておりません。  それから我が社会党は、言うまでもなく勤労階級を最も重い基盤とする政党でありますけれども、併し同時に勤労階級の利益をのみ図る党ではないのでありまして、勤労階級を中心として、この苦しい日本の國家を再建して、日本を将來もつと住みいい日本にしたいと、そういう國家的見地に立つておるのでありまして、勤労階級も亦、この際苦しいところを忍んで頂いて、一日も早く國家再建に持つて行きたい、こういう立場であるのでありますから、全体的な綜合的な判断から申しますならば、今度の予算の組み方の内容から申しましても、この程度は御辛抱願えるものと考えております。そうして又戦争以前の状態におきましては、我我勤労階級は多くの場合発言の自由を失わされておつたし、團結の自由を失わされておつたし、我々は被支配階級として社会のどん底に押しつけられておつたのでありますから、勢い國家の財政なり、國家の政治方針に対して批判的となり、或いは反撃的となり、或いは破壊的となつた傾向があつたのは、又止むを得なかつたと思うのでありますけれども、終戦後におきましては、むしろ我々勤労階級が日本の國を背負つて立たねばならんのだ。又それが可能性があるのだ。こういう認識に我々は立つておるのでありますから、そういう面からも、我々も亦進んで國家再建のためには、忍ぶべきことは忍ぶという建前で、社会党が今日運営をいたしておるのでありますから、一時的には勿論いろいろな点で非難もありましよう。世界のいずれの政党におきましても、常に國民大衆に継続的に人氣があるという政党はないのであります。時にはその政策に対する國民の強い非難がある。併し時過ぎて見て、そのことの評價が分つて呉れると、一時は反対せられたけれども、又分るということがあるのであります。英國労働党の歴史を見ましても、やはり政党の消長というものはあるのであります。ただ我々は飽くまでも信念といたしまして、勤労階級を最も基盤とする我が社会党は、勤労階級の利益を図ることは勿論でありますが、常に國家的見地に立つて、綜合的に、どうするならば最も速かに、日本のこの窮地から逃がれることができるかという観点に立つて、誠心誠意やつておるということを申上げまして、御了解を願いたいと思うのであります。(拍手)
  22. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 栗栖國務大臣は関係方面に赴いておりますため、一松國務大臣は止むを得ない公務のため、出席できませんから、後に適当な機会に答弁される趣きであります。      ―――――・―――――
  23. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際お諮りして決定いたしたいことがあります。司法委員長より、裁判官の刑事事件不当処理の有無を実地調査するため、千葉縣に岡部常君及び來馬琢道君を、來る十四日から二日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これらニ名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。次会は明後日十四日、午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第、公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会