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1947-11-17 第1回国会 参議院 治安及び地方制度・司法連合委員会 3号 公式Web版

  1. 付託事件 ○警察法案(内閣送付)   ――――――――――――― 昭和二十二年十一月十七日(月曜日)    午前十時二十五分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○警察法案   ―――――――――――――
  2. 吉川末次郎

    ○委員長(吉川末次郎君) これより治安及び地方制度、司法連合委員会を会開いたします。帆足計君より発言の許可を求められておりますが、これを許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川末次郎

    ○委員長(吉川末次郎君) 御異議ないものと認めます。それでは帆足君。
  4. 帆足計

    ○委員外議員(帆足計君) 私は鉱工業並びに決算常任委員に属する者でございますが、本日は吉川委員長の特別のお取計らいによりまして、この委員会に参加さして頂き、司法大臣に対しまして質問の機会を與えられたことを、連合委員の皆様にお礼を申上げます。  日本の政治、経済、社会等の民主化の問題は、ポツダム宣言の我々國民に要請するところであるばかりでなく、日本が眞に平和國家、文化國家として再出発いたしますために、どうしても徹底せねばならん基本的な目標であると思うのであります。なかんずく司法並びに警察制度の民主化ということは、日本の民主化にとつて、最も重要な課題であり、眞に日本が民主化されるかどうかの試金石をなすものであります。このように考えますると、現在の警察並びに司法制度の現状につきまして、私は國民の一人として極めて不満の意を表せざるを得ないのであります。從來日本民主化の問題につきましては、現在の片山内閣におきましては、余程御努力の跡が見えますけれども、終戦以來歴代の内閣はとかく日本民主化の問題に対しまして積極性を欠き、ただ連合軍から次々に與えちれ指令を消極的に受理しておるというような態度を取つておられたことにつきましては、非常に不満を感ずる者であります。民主化について積極性がないが故に、自己の見識を以て、連合軍と肝胆相照らして折衝する民主的態度が弱体になり、そうして日本國の特殊事情に適應した民主化の徹底ということが、とかく不十分になり勝ちであると私は考えておるのであります。日本民主化の一つの方法として追放令が大きな役割を演じておることは周知の通りであります。併しながら戰争に單に協力したということ、それはいわば國の義務でありましよう。問題の本質は、戰争に單に協力したということでなくして、それについて果したところの役割の内容にあるのであろうと存じます。即ち戰争に便乗し、極端な軍國主義、偏狭な國家主義、その他國民に対して非合理的な、專制的な圧制を加えた者が当然責任を負わねばならぬと存じます。  戰事責任につきましては、從來戰争指導に責任を持つた者が追放に処せらております。又旧來の各界の指導階級の入替えも行われております。これらの問題は戰争の責任を明らかにし、同時に日本の社会構成の入替えを行おうとする意図から出たものであると察せられるのでありまして、連合軍も我我に対してパージは一面旧指導層の入替えであり、必ずしも徴罰ではないという懇篤な説明をされております。併しながら問題はむしろ第三の範疇、即ち極端なる軍國主義者、暴力團、國粋主義團体、フアツシスト等を日本の政治、経済、文化の面から拂拭し、國民が安んじて平和と文化を楽しみ得る体制を作るということにあるのであると思います。この点におきまして私は政府の努力が必ずしも強力且つ十分でありませぬことを不満に感ずるのであります。特に我が國の司法警察制度は、我が國專制政治の支柱でありました。そして治安維持法はこれを守るための武器でありました。暴力と拷問と脅迫の圧制によつて維持されたところの日本の司法並びに警察は、正に中世紀的な暗黒街でありました。これらの組織は極端な超國家主義思想で固められた人的、思想的結集体でもありました。次々自由思想家は、警視廳の前を通るたけで身の毛のよだつような思いがしたのであります。  新憲法は我々に自由を與え、我々は國民各位と共に、この新憲法の麗わしさ制定を喜びまじた。特に新憲法の序節に書かれてある高邁なる人類の普遍的理想、それは我々に夢と希望とを約束し、私はこの新憲法の小さなパンフレットを何時も内ポケットの中に入れておるのであります。併しこの新憲法ですら、若し十年前にこれを主張する者があつたならば、少くとも五年や十年の懲役に行つたでありましよう。我が國の専制政治の番犬であつた警察、司法というものは実にかくのごとき性格のものでありました。それは自由と民主主義の敵でありました。このような警察、司法制度が人的にも、制度的にもそのままの形で新らしい憲法のための、そして國民の自由と基本的人権のための護民官に早変りし得るというような奇蹟は、いかに考えようとも考えることができません。然るが故に私は新憲法にふさわしい新らしい警察並びに司法制度を作りますために、現在の警察並びに司法制度は徹底的に検討され、根本的に改革されねばならぬと思います。その方法としましては、すでに経済界、教育界等におきましてすら相当嚴重な追放が行われておるのでありまするが、警察、司法における審査は形式的でなく、実質的に、もつと徹底的な方法でやつて頂かねばならぬのであります。第二には彼らを再教育し、啓蒙し、その心構えを改め得る人たちに対しては、徹底的に再教育の方法を考えて頂きたいのであります。第三には新らしい司法官、警察官を養成するための教育施設も必要でありましよう。勿論多数の司法官の中には、飽くまで憲法を守り、法律の許す國民の自由を守つた尊敬すべき方々がいたことも事実であります。又それらの方方に敬意を表します。併しながら、日本の民主化がいかに不徹底であるかということにつきましては、私共國民が心配しておるだけではありません。諸外國かちも鋭い批判の眼が向けられております。先般朝日新聞紙上に掲げられた除逸樵氏の談話のごときも端的にこれを指摘しております。除氏が申しますのに「日本が敗戦後すでに過去の罪悪を自覚したかどうかは日本人自身のことであり自覚した後において連合國との実際関係の上にどんなよい表現を見せるかは、連合國が見守り待ち望んでおるところである。連合軍司令部のスポークスマンは十月七日、極めて率直に日本國民に警告したことがあるが、その大意は次のごとくであつた。  日本には現在多くの自称何々組なるものがあつて、旧外交官、國会議員、実業家らと結託し、舞台裏から政治を操つておる。この隠されたる政府、(ヒドン・ガバーメント)の黒幕のうしろには、日本政治の最有力な領袖たちが隠れておる。現在日本の如何なる政党も、すべて、これら隠れた領袖たちから、経済的援助を受けておる。このような状況は、丁度以前の軍人團体が背後から政党を指導し、且つ支配したのと同じようなものである。  このようなことを指摘しております。更に続けて、  日本はマ司令部の指導下に、今や民主和平の途を目指して進んでおることは我々も知つておるが、その実情は一体どうだろう。連合國が日本を管理してから僅かに二年、日本の「隠された政府」の力がかくも大きいのであつては、若し日本の賢明な人士がみずから悟らず、連合國の監視も粗略で、大まかであつたならば、日本政治にいわゆる奇蹟が起らない限り「我々は日本の軍國主義の幽霊が死体を借りて、魂を呼戻す可能性がないとは到底信ぜられないのである。将來講和会議の後におきましては、日本國土の治安は、日本の司法並びに警察自身が維持せねばならぬ日が來るでしよう。然るに現状のごとき、過去の專制主義の傳統から十分解放されていない司法、警察制度が、機関銃を持ち、武器を持つということを予想いたしたならば、我々國民は慄然たらざるを得ないのであります。我々は現在司法及び警察が、國民の自由と憲法の擁護者として心から信頼し得る実体を持つと信ずることができません。國民においてすら尚且つ然り。然りとするならば中國代表その他の指摘も、私は尤もなことであると思うのであります。現状のごとき不十分な司法並びに警察の民主化の下においては、私は講和会議に臨む資格はまだないとさえ思つているのであります。  片山内閣になりましてから鈴木司法大臣の非常な御努力の下に、暴力團狩りその他が行われつつあることにつきましては、私は深く感謝するものであります。併しながら過去の政治、警察の遺風はまだ清掃されておらず、社会の暗黒面には元憲兵、スパイ、暴力國フアシスト、國粋主義者、これらの諸勢力が充満しておることを思いますると、平和國家、文化國家の将來も亦寒心に堪えないのであります。私が本日の常任委員会において、このような発言をいたしますのに対して、私の友人や私の妻は、それをすら心配しておるような現状であります。又戰争中におきまして、私自身も一ケ年以上、憲兵隊の地下室に拘禁され、巣鴨の拘置所に拘禁され、言語に絶する拷問を受け、苦難を嘗めましたが、私が目で見皮膚で感じたところの留置場、刑務所その他日本の警察、司然制度の全機構は正に暴力とギヤングの巣窟であり、人間性を全く無視した中世的な暗黒街でありました。刑務所に勤める獄卒の大部分は、教養低き者が過当の権力を專有し、單純な職業に從事しておるために、一種の心理学的、精神病的性格を呈しておりました。又封建時代の牢名主ともいうべき古顔の囚人が、その中で不当な幅を利かしておりました。これらの世界を徹底的に再検討し、そうしてそれを文化國家、民主國家の護民官にふさわしい機構に変えねばならんと思います。  これまで警察並びに司法に関する各種の委員会が設けられておるということも伺いました。併しながらこれらの委員の中には、実際自由のために彈圧を受け、監獄に打ち込まれ、又は冤罪のために獄窓に泣いた方々が殆んど委員に加えられていないのであります。或いはつとめてそういう人物を避けている。警察並びに司法制度の欠陥を最もよく知る者は、これらの人たちでありますから、これらの犠牲者の方々の中から有識者の人々を警察、司法、監獄等の改善委員会には当然加うべきものと思います。  第二にお尋ね申したいのは、神奈川縣の拷問事件についてであります。この問題につきまして一昨日の新聞に横浜地方堀檢事正談として、「本事件は犯行から告訴まで長時日を経ておるので、暴行についてはすでに、時効をなしており、大部分が傷害とその後の傷痕との因果関係において、証拠不十分であつた。起訴した三名については、戦時下治安維持の意味で、國を思う余りという情状も汲める。」、このような談を発表しております。神聖なるべき取調室において、被告を昏倒するまで暴行を加え、幾多の殺人事件を出したこれらの憎むべきギヤングだちの暴虐と拷問とが、國を思う余りという名目で、情状が汲めるというがごとき検事の談は、私はこの検事自身が自由の何たるかを解せざるものと断定せざるを得ないのであります。彼らの言う國を思うとは何でありましよう。彼らはただ暴力的專制支配とフアツシズムと彼らの利己的権利を擁護したに過ぎないのであります。私はこのような談話を発表した檢事を即刻罷免されることを要望したいのであります。通行中の小娘の財布をくすねてすら、何年かの懲役に行かねばなりません。然るに神聖なるべき取調室において、同胞の何人かを或いは竹刀で殴り、青ぶくれになるまで蹴り、死に至らしめ、言語道断の暴虐を加えたこれら一味のギヤングたちを、國を思う余りという情状を以て、酌量することは言語道断のことであると思います。尚又大部分は傷痕が癒つておるから、証拠不十分であると言いますが、如何なる傷も三年もすれば消えるのでありましよう。併しそれを以て証拠不十分と断定することは不合理であると思います。私が檢事でありましたならば、拷問ギヤングどもは当時の事情如何に拘わらず、警察官として言語道断のことであると言明するでありましよう。私自身も憲兵隊の地下室におきまして、あらゆる拷問を受けました。そうして虚偽の調書を強いられ、背後から竹刀で殴打し、椅子、靴等によつて殴打し、そうして虚偽の調書の記録を追られたのでありました。彼らは又公然嘘を書け、嘘を書けと怒鳴りました。このようなことは長い間法律関係の業務に携わられておられた司法大臣のよく御承知のことであろうと存じます。私たちが受けた專制政治の暴虐は、実に言語に絶するのでありました。又その家族たちの苦しみも一通りのものでありませんでした。然るにそれに対して我々は一言の抗弁もできず、又現在においてすら恐怖観念に囚われて、告訴をすることすら大部分の國民はまくなし得ざるところであります。又その手続も面倒であり、又多額の経費を必要といたします。私は日本の警察、司法の民主化を政府が眞におやりになろうと思いますならば、我々國民の告発を俟つまでもなく、政府自身が過去十ケ年に亘つて、司法並びに警察の行なつたあらゆる非道のかずかず、あらゆる暴虐のかずかずを自発的に調査されて、それらのギヤングたちを政府自身の手によつて罷免し、懲罰すべきであると思います。  私の言葉はやや激し過ぎだかも知れませんが、極めて率直に日本の司法、警察制度の民主化の不徹底について不満を申上げました。私は國民としての良心において、司法、警察の民主化の現在の程度には極めて不満であることを申上げたいのであります。このような状況の下に講和会議に臨む資格はないとすら考えております。然るが故に、司法大臣には閣議において閣僚各位とも相談せられ、又特に社会党の方方と相談されまして、政府当局のこれらに対する徹底した方針をお聞かせ願いたいと思います。又この問題につきまして、私は必ずしもおざなりの御答弁を欲しいというのではありません。自由を愛し、憲法を重んずる我々善良なる國民の衷情をお酌み取り下され、日本をして眞に平和國家、文化國家たらしめるために、又我々が安んじて憲法に依存し、國の治安を信頼し得るために、司法と警察の民主化につきまして、徹底した民主化の措置をお願いしたいのであります。
  5. 吉川末次郎

    ○委員長(吉川末次郎君) 速記を止めて……。    午後二時十二分速記中止    午後三時十四分速記開始
  6. 吉川末次郎

    ○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて……。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。   治安及び地方制度委員    委員長     吉川末次郎君    理事            鈴木 直人君    委員            羽生 三七君            濱田 寅藏君            奧 主一郎君            草葉 隆圓君            岡田喜久治君            岡本 愛祐君            岡元 義人君            小野  哲君            柏木 庫治君            阿竹齋次郎君            池田 恒雄君   司法委員    理事            鈴木 安孝君            松井 道夫君    委員      齋  武雄君            中村 正雄君            奧 主一郎君            岡部  常君            小川 友三君            宮城タマヨ君            山下 義信君            阿竹齋次郎君   委員外議員            帆足  計君   國務大臣    司 法 大 臣 鈴木 義男君   政府委員    司法事務官    (刑事局長)  國宗  榮君