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1947-10-09 第1回国会 参議院 厚生委員会社会事業振興に関する小委員会 3号 公式Web版

  1. 付託事件 ○戰死者遺族の更生對策に關する請願  (第百十六號) ○傷痍者更生對策に關する請願(第百  九十九號) ○拂下げミシンに關する請願(第二百  十號) ○兒童院設置に關する件   ――――――――――――― 昭和二十二年十月九日(木曜日)    午前十時三十七分開會   ―――――――――――――   本日の會議に付した事件 ○兒童院設置に關する件 ○傷痍者更生對策に關する請願(第百  九十九號)   ―――――――――――――
  2. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) それではこれから開會いたします。本日の案件は、公報で申上げました通りに、本委員會から命ぜられました請願の三件竝びに兒童院設置に關する問題を御協議申上げたいと存じます。請願の中第二百十號、拂下げミシンに關する請願が内務省の所管でございまするところ、關係政府委員の都合がございまして、これは次會に譲ることにいたします。會議を進めまする便宜上、兒童院設置の問題から御協議願いたいと存じます。  これは私から御了解を得たいと存ずるのでございますが、先般司法委員會におきまして、司法大臣から司法省の改組の説明がございまして、その節司法省の新たなる組織について何か意見があればできるだけ取入れるから、司法委員においてこの席上で御意見を出して頂きたい、こういう交渉の言葉がございまして、私は好き機會と存じまして、豫て厚生委員會の同僚委員諸君の持つておいでになりまする御意見である司法省の少年保護事業、厚生省の少年保護事業、この兩者の關係のことを申述べまして、司法省がこの度組織を改革するにつきましては、そういう關係の行政面は打つて一丸として強力なる少年兒童の機關に統合するというようなことになさる御意思があるかないかということを、質疑もいたし希望もお傳えをしたのであります。然るところ鈴木司法大臣は非常に賛意を表せられまして、實に示唆に富んだ意見を出して下さつた、でき得れば文書にしてその御意見を我々が頂きたいと思う、こういう言葉があつたのでございます。從いましてこれをこの委員會で御相談申上げまして、皆様方の御意見が若し纏まりましたらば、本委員會にこれを御相談申上げまして、厚生委員長から然るべく御處置を願いましたらば如何であろうかと存じまして、本日の案件に上程をいたしました次第でございます。就きましては關係方面の政府委員竝びに説明員の出席が求めてございますので、先ずこの問題につきまして草葉委員から御意見をお述べ願い、續いて宮城委員からも御意見をお述べ願いまして、司法省の關係官から現状の説明を聽く、又厚生省の側からも説明を聽く、こういう順序にいたしましたらば如何かと存じますが、如何でございましようか。
  3. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) それではそういうふうに議事を進めることにいたします。
  4. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 幸い今委員長から大變結構なお話を承りまして、誠に私ども從來その主張を強くいたしておりました者としては、一縷の光明を得たような氣がいたします。元々兒童福祉法の審議に貰りまして、兒童福祉法の中に戰後の日本の兒童の行き方を取扱う強い方針として進められておりまするけれども、それが年齢を十八歳に延ばし、而も從來の少年教護法による不良少年を取扱うだけで、司法省關係のいわゆる少年保護關係の兒童を從來通りに分割をしておる、これで一體日本の將來の兒童の取扱い方を、兒童福祉法という立場において律することが妥當であるか、という根本問題が議せられて參つたのであります。從つて我々關西方面を調査に參りました場合にも、その點に一つの主力を注ぎながら各地を視察しながら、現地の方々ともよく懇談をいたして參つたのでありまするが、實際取扱つておる現地の或いは司法省の關係の方々なり或いは少年教護關係の方々なりも、異口同音にこの際兒童福祉法という考え方が國家の行政の一つの中心になつて來る際に、從來二つに岐れておつた不良兒等の取扱いを、この際一つにしないと、もう當分の内は殆ど困難ではないか、思い切つた方法によつて從來の少年教護關係、司法保護關係をこの際打つて一丸として、日本の將來の兒童という高い高度の立場からやつて來るということが必要ではないかということは、現地の實際取扱つておる人達の異口同音の言葉であつたと聞き及んで參つたのであります。併しこれにはいろいろと從來の歴史があり、或いは行政の區劃があつて、なかなか司法省のものを厚生省に移すとか、或いは厚生省のものを司法省に移すというようなことは、簡單にはできがたい事情もあると存じまして、その後私どもといたしましては、でき得るなら諸々のそういう兒童關係のものを一本にした兒童院というものを設立して、その兒童院によつて日本の將來の兒童というものを最も幸福に、そして極く科學的に取扱うという方法を取つて行く以外には、將來の兒童の問題についての本當の眞劍な對策ということは考えられないのではないかというので、先般總理大臣の出席を求めました厚生委員會におきましても、兒童院の設置について強く要望いたしたような次第であります。幸いに司法省が何かの形において解體する機運になつておりまする際に、司法省において從來取扱われておつたいわゆる少年法關係の兒童保護と、厚生省で現在取扱われておりまする兒童保護とを一緒にいたして、そうしてここに兒童だけの一つの行政機關を作つて、それで專門に取扱われて行きまするなら、もう從來のいろいろな懸案が一遍に解決がついて、同時にこの委員會といたしましても、是非全力を盡してそういうふうに一つお仕向けを願うことを心より希望する次第であります。これはいろいろの困難もあるかも知れませんけれども、第一囘國會の名譽にかけても、一つ全員の力において兒童院が實現し、併せて日本の兒童が一つの手によつて一つの方向と方針とによつて強力に推進できるように進めて參ることが、私どもの將來に對する一つの強い任務ではないかということすら考える次第であります。この點につきましては、同僚の皆さん方の絶大なるお力を心より念ずる次第であります。
  5. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) それじや宮城委員から御所見をどうぞ、豫ねてからの御持論ですから……。
  6. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 實はこんな好い機會を與えられまして、願つてもないことで、常々非常に希望いたしておりましたことを申上げたいのでございますが、そのために私はいろいろ厚生省關係の保護、それから司法省關係の保護に要しております費用の點、殊に委託料の點なんかが大變差がございますことなんかを調べて、皆調べ上つておりますのでございますけれども、昨晩遅く旅行先から歸りましたので、今日それを纏めるまでのことができておりませんので、この機會を惜しうございますけれども譲りまして、又他日にそれを申上げたいと思つております。ただ今草葉委員からもお話になりました通り、全く同じ目的でされておりますこの兩方の仕事を何とかして一つにいたしまして、子供を中心として、子供のために特に考える立場でこの際一つ根本的にやり直して頂きたいという念願を持つております。第四十五議會だつたと思います。少年法が通過いたしますときも、その速記録によつて見ますというと、實に感化院法と少年法がこんがらがりまして、随分議會でも問題であつたように記憶いたしておりますけれども、それ以來今日に至るまでどうしても、妙な言葉を使いますと、畑爭いと申しますか、こだわるというような點が行政面の方でも實際面の方でもございますと思つております。でございますが、根本に、子供の本當の福祉のために何が宜いかということでございますなら、決してその畑爭いや感情の上でいろいろ言うべき問題ではございませんで、今度の兒童福祉法案に出ております犯罪少年、虞犯少年についての年齢等でも、實際に取扱う方の面から、子供のためにこうあらねばならんというところに落ち着けたいというように考えているのでございます。その意味で今度根本的に考えまして、何もかも打つて一丸として、今後のいざこざの跡を斷つてしまうということは、それこそ私共この厚生委員會としての大きい責任であろうと存じているのでありますが、それにつきまして、この間GHQに參りましたときに、ルイス博士からちよつと手渡されたものを讀んで見ますと、まだはつきり私は纒めるところまで參つておりませんが、その案が、どうも今度私共が兒童局を設けまして、そうしてすべてを一つにしてやるという案に、或いは似ているのじやないかと思う點もございますので、一遍この委員會にルイス博士を招きまして、意見を聽いて見たら或いは參考になりはしないかということを考えているのでございます。それを十分に飜譯いたしまして、皆さんの御參考になるところまで私の氣が濟みましたら、こちらに提供したいと思つておりますけれども、それも他日に讓りたいと思つております。殊に、さつき草葉委員の仰せになりましたように地方に參りまして、一番の末端で實際家としては、大變司法省と厚生省と兩方如何にも對立して仕事をしておるような感じを受けるということを、困る困るということでございますが、その奥を衝いて見ますというと、委託料が非常に差がある。詰り司法省關係の方は少いものでございますけれども、もうこの方を止めて厚生省關係の方に移つたらいいだろうというような冗談さへも聞くようだつたのでございますが、冗談にいたしましても、そういうことは由々しい問題なので、ちやんとしつかりした根據がなくて、今日は數字の根據がなくて申しますので、他日に讓りますけれども、そういうこともすべて一體化して頂きたいという希望を持つておりますものでございます。今日は材料がなくて、折角の與えて頂きました時間でございますけれども、こんなことで失禮さして頂きます。
  7. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 司法省で只今所管しております少年保護の概況をお話申上げます。司法省ではこの仕事は少年法に基いて實施しております。その少年法によりますと、犯罪少年、これは刑事訴訟法の建前で全部檢事局に廻つて來ることになつております。その中保護處分を必要と認めたものを檢事局が少年審判所の方に送致するという手續を執ります。この事案が少年保護事件の大部分でございまして、その外に少年審判所は自らの認知或いは一般からの通告にありまして、保護を要する少年に對する事案を取扱います。この少年審判所の機構は、只今全國に少年審判所十八ヶ所設けております。そうしてこれによりまして保護處分が一號から九號までいろいろ種類がございますが、その中の一番重要と認められる事案を矯正院送致という保護處分にいたしますが、その矯正院送致の決まりました者を收容して保護教育をするという國立の機關に矯正院というものを設けております。これは矯正院法によつて設けられております。この國立の矯正院が只今十二ヶ所ございます。尚少年審判所は保護處分の一つの種類に六號處分と申しますが、監察保護處分というのがあります。この監察保護を實施いたしますために、審判所の正規の職員である少年保護司の外に、全國に民間の方をお願いいたしましております嘱託少年保護司というものを監察の手足として持つております。この嘱託少年保護司が現在全國に四千人配置してございます。この四千人では現在の所は不足という状態で、それにはもう少し多くなければ本當に仕事ができないという状態でございます。更に保護處分の五號處分と申しますが、司法保護團體の委託という保護處分がございます。この保護處分を受けた少年の委託を受けて保護教育をいたしますのが少年保護團體でございますが、これは民間の篤志家の經營によるものでありまして、司法保護事業法によつてそういう仕事をすることを認可すると同時に、司法省がこれを監督するという建前になつて參るのでございますが、この少年保護團體が約二百八團體ございます。これが現在の大體の少年保護機構でございます。  次に少年保護の現況の大體を申上げますが、少年審判所の組織機能を申しますと、少年審判所は、司法大臣の監督の下における十八歳未滿の犯罪少年及び虞犯少年を審判して、それをそれぞれ適切な保護を加える官廳でございます。只今申しました十八の役所というのは、最近増設してそのようになりましたもので、昭和二十年までは七ケ所でございました。二十一、二十二兩年度では、十一ヶ所増設して十八ヶ所になつたのでございます。この少年審判所の職員には、少年審判官、少年保護司、外に少年審判所書記、こういう人員で事務を執つております。それぞれ審判、調査、観察その他の事務を分掌しております。この少年審判所の審判に現れました保護少年の大體の模樣動向を申上げますと、最近の犯罪情勢から見まして、少年審判所の事件受理數が相當大きくなつております。昭和二十一年度は五萬六百ばかりの件數になつております。これは太平洋戰爭前の昭和十五年に比べますと二・三倍、戰時中の昭和十九年に比べますと一・二倍ぐらいに當つておる數字であります。この受理した事件の處理状況を見ますと、昭和十一年度におきましては、審判處理濟三萬一千三百六件、この中いわゆる四號處分と申します條件付き保護者引渡しが三割八分の一萬一千八百餘件、これが一番多くなつております。その外に訓戒或いは學校長の訓戒に任せるとかいうような、一號乃至四號の一時處分に該當するものを加えますと、一時處分全部で全體の數の六割五分ぐらいを占めております。これを除いた外の部分がいわゆる繼續處分、繼續して保護する處分でございまして、いわゆる五號處分と申します團體委託が六千五百五十六件で、二割一分ぐらいを占めております。六號處分、これは保護司の観察保護でありますが、これが五千四百十一件で一割七分。次にいわゆる八號處分と申します矯正院送致、國立の少年院へ送致する者でございますが、これが千六百五十四件で、五分二厘を示めております。そうして審判事件に現れました、數字においては、最近男子でなく、少女の數が漸次増加して來ておりますことが注意を惹く點でございます。尚審判事件中、最近一般に少年犯罪が増加しておるに拘わらず、これに對して少年の保護處分の中、最も重要な八號の矯正院送致、或いは五號の團體委託及び六號の保護司観察の割合が比較的多くなつていないような状況になつておりますが、これは施設が罹災いたしましたり、或いは民間團體などは經營難を告げておりますから、保護司の観察能力というものも、人數の不足その他で、いろいろ困難になつておりまして、少年保護機構として必要を充たす程活發に動いていないという状況になつております。  尚こういう審判所で保護處分を受けます少年の境過を観察して見ますと、少年審判所で保護處分を受けた少年を、職業別に調査をいたしますと、昭和二十一年度では職工が五千九百三十三で、割合で一番多い部分を占める。次に農業の四千四百六十三。次に學生の四千六十四がこれに續いております。この學生或いは農村出身の犯罪少年が著しく殖えて來たことは最近の特長でございます。  審判所の方はこの程度に止めまして、矯正院の方、これは最近まで七ケ所でございましたけれども、昨年と本年とで五ケ所増設いたしまして十二ケ所になつております。ここには院長の外に司法教官、醫官、事務官、それに輔導というような者がおりまして、それぞれ事務を分掌いたしております。この矯正院は戰災を受けた箇所が大分ございまして、その本來の收容定員を一杯に運營して行くことができないというような状況になつております。それで最近これを逐次増設を圖ると共に、既設のものの擴充を圖つております。  次に少年保護團體でございますが、これは經營難のために、漸次戰爭末期に比べますと、段々その數が少くなつて參つて、休止或いは廢止が非常に多くなつて來ているという状況でございます。これはこの團體に對する補助が十分でないということと、子供の委託に對して日々補給する補給費の額が十分でない、このために少年保護團體が經營難に陷つているということが大きく原因しておると存じます。尚その外にももう一つ團體の振わない大きな原因は、從前は本來寄附その他篤志家の後援の基礎に立つていた團體が、そのような後援寄附の途を殆んど斷たれてしまつて、そのために團體が經營が苦しくなつたというのが大きな原因をなしておると思います。これが少年保護機構及び概況の大體でございますが、これらの少年保護機構を司法省では只今官房の保護課で所管し、監督指導いたしております。昭和十八年までは司法省の保護局でやつておりましたのでございますが、戰時中の不合理な行政整理のために、便宜行刑局と一緒になりまして、刑政局というものの一部に入り、その後行刑とは戰後離れたのでございますが、只今官房の保護課という形でこの仕事の總元締をいたしております。現在課長の外に二級事務官五名、それから三級事務官、雇員まで加えまして、五十五六名の人員でこの仕事をやつております。この保護課では尚少年だけでなく、大人の方の司法保護の仕事も監督指導いたしておりますので、これだけの陣容では十分に指導監督の仕事ができていないというような現状でございます。大體御説明を終ります。
  8. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) この際司法省の方々に資料の提出をお願いいたしておきますから、本日説明に相成りました各種の資料、それから矯正院における被收容者の處遇費、一日一人當り幾ら、或いは物を支給しておりますれば、それを加算計上して、處遇状況の分りまするように資料を整えて頂くこと、第三は保護團體におけるやはり同樣の處遇費、今一日一人當り幾らやつておるかという數字です。それから第四には司法保護關係の法規、第五には只今説明もありましたが、尚保護團體における經營状況の關係資料がありましたら、纏めて御提出願いたいと思います。
  9. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) はあ承知いたしました。
  10. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 御質疑がありましたらどうぞ……。
  11. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 厚生省の御説明は別にないのですか。司法省だけですか。
  12. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 厚生省の政務次官は見えておりますが、兒童局長が今衆議院の方に出席中でありますので、厚生省の側の兒童行政の機構その他は後で聽くことにいたします。
  13. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 司法省の關係で今の説明に對する質問を一つお許し願いたいと思います。只今の御説明の中で、先ず施設が最近は大變少くなつたというお話で、大體二百八というお話がございましたが、從來からの状態との推移はどういうふうになつておりますか。
  14. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 團體の數だけで申しますと、數の減つた割合は比較的少いのでございますが、實際にその收容能力が非常に減じております。例えば審判所で委託しようと思つてお願いいたしましても、もうこれ以上はとても預れないからというので、定員まで預つてくれないというような状況でございまして、嘗つての定員から見ますと、今正確な數字を記憶しておりませんが、大體定員の四分の一ぐらいしか預つてくれないというような状況でございます。これは委託費の補給額が少いという點と、寄附金やその他の後援が殆んど斷たれたという關係から參るものだと存じます。この點につきましては早急に手當をすべきものだと、もう前々から考えておりまして、司法省では大藏省と逐次折衝いたしておりまして、只今もその手當をいたしておりますが、現在一人一日當り三圓の委託補給費というようなものは、もう問題にならない僅少な額だということはよく分つておるのでございまして、大藏省當局でもその點段々事情も呑み込めて來て、いろいろ次の方法を考えて下さるようにはなつておりますけれども、現在まだ決定いたしておりません。
  15. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 先の二百八というものは團體の數でございますね、施設の數はどのくらいですか。これはいずれ資料を頂くと分りましようが……。
  16. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 大體團體の數が施設の數でございます。
  17. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 どちらかというと今のお話のように一日三圓、從つて收容した者に何か仕事をさせながらやつて行かないと食つて行けないというようなことが、司法保護の少年の取扱に至つて曇天のような不愉快さを來しておるのじやないかと思う。各施設においては子供に相當作業をさして、それによつて收入を與えながら經營しておる傾向がありますか。
  18. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 最近さような傾向の出ておる團體がぼつぼつ出て參りました。これは以前から持つていた自分の資産を食い潰して、段々むずかしくなつて來た、状況が現れて來ているのだと存じます。最近さような事例がぼつぼつ出ておりますが、早急に手當を要すべきものだと考えております。
  19. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それから囑託保護司は手當はどのくらいになつておりますか。
  20. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 手當は人によつて具體的には違うのでございますが一ケ年平均百圓でございます。その他に、これに囑託保護司でございまして、本來少年審判所の正規の職員である保護司のなすべき保護觀察の仕事をいたしますから、この手當の他に旅費は出ることになつております。
  21. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 最近各警察單位にして、少年保護關係の基金募集を盛にやつておるようですが、それはどのような關係ですか。
  22. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) それは少年保護團體、大人の保護團體も同じでございますが、民間の篤志家の經營基本の基礎が民間の人にあるのでございまして、從來寄附金或いは後援者の出金でその團體を經營して參つておるのに、最近になりまして寄附も減つて參るし、經營者の出金ももうこれ以上出すところはないというような状況でございましたので、寄附をさような催物等によつて集めるという方法であります。
  23. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 段々説明を伺いますと、丁度時代と逆行して、最近いわゆる問題の少年、不良少年というものが一般的に常識的に相當増加をして、從つてこれが取扱措置というものは國家全體としても、餘程愼重に且重大な社會問題の一つとなつて來つつある状態なのに、司法省の少年保護關係においては、施設の數は十分でないし、收容は段々に減つて來るし、且私設の經營というものは至つて困難になつて來て、殆んど瀕死の状態になつているという、丸で逆行したような現象の説明を伺つて誠に寂しい感じをいたしておる。これに對する根本的な方策なり方針なりというものは、どういうふうにお取扱いになつているのですか。
  24. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) これは從來民間の經濟的基礎が確立していた當時を基本に編んだ法制を運營して來ておりました。それが最近になりまして情勢の變化のためにうまく行かなくなつたのだとかように存じます。その點を早急にこの際組直す必要があるのだと、このように考えまして、關係法規の改正なども今著々準備いたしておりますようなわけであります。尚その外に豫算面においてもそれぞれ手當をするように進めております。
  25. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 もう一つ、そうすると私團體の、いわゆる民間經營の收容施設等には、先程申しました警察等でやつております寄附金の募集と、今お考えになつているのは、三圓の委託費の増額、その外に何か根本的な方策をお考えになつているか。
  26. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) それは團体の經營の面については、司法保護事業法で今まで監督運營してやつておるのでありますが、その事業法を根本的に組直すということを只今準備を進めております。
  27. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 私も二、三御質問申上げて見たいのでありますが、司法省はこの度解體の機運に遭遇しておるように傳えられておりますのでありますが、この場合における少年保護に關しては歸屬するところどういうお考えを現在持つておられますか。我々はこれを厚生省の少年保護と一緒にして、今日兒童院の問題を研究いたしておる場合でございますので、司法省のお考えは將來少年保護に對してどういうふうにどの省に持つて行かれるというお考えか、その點をお伺いいたしたい。もう一つはこれは意見に屬しますから、もう少し先でお話申上げたが宜いかと存じますが、どうも司法省で扱うところの少年保護は、ややもするとやはり罪人という方に、いわゆる刑罰主義に墮する虞れが私は多分にあるように思うのであります。いつか岩國の少年審判所、又それの留置しておられるところの保護状態を見に行つたのでありますが、誠に遺憾の點が多かつたのでありまして、ああいうふうに全國やつておられたのであつたならば、私はこれは少年保護は失敗だという断案を下して宜いという工合に思つたのでありますが、あの所では道路面がありまして、道路では子供がゆつくりと遊んでおります。その道路と、保護しておる少年の仕事をしておる所、その時の仕事は菜ツ葉についておる虫を取つておりましたが、坐つて皆取りよる。誠に非能率的な、ごよごよと一つの菜ツ葉に十分も二十分も坐つて仕事をしておるか、仕事をしておらんか分らん程度で、やはり監督者がついて世話して大勢さしておりましたが、それを見ておるところの道路の子供からというものは、ただ極めて粗末な眞竹垣であつて中は明かに皆見えるのであります。外には嬉々として自轉動で遊び、繩飛びで遊び、誠に解放された子供たちが愉快に外では遊んでおる。中では監督者がついて菜ツ葉の虫を取らしておる。取らしておるのにも、何かものを言うたら叱られるというような恰好が、銘々が誠に陰氣な顔をして畑の仕事をやつておる。そうして外の方からは見られる。又外を見る。そういう状態で少年を保護してどうして少年の保護の完璧を期することができましようか。一つの外からは或る意味に侮辱的な状態で見よる。往來の人も見ておる。それから内からは羨やましそうにその外を見ておる。それから今度室内に入りましたところ、室内はどうかというと、獨房に入りましたところが、可哀相に殆んど書物もない。きちんと坐つておりましたが、きちんと坐つておれという命令でありましようと思うのでありますが、誠に血の湧く青年は問無しに身體を動かす自由がなければいけないはずであるのに、獨房で坐わらして、どれ程の重罪であつたか知りませんが、ああいう状態で、子供の性質が直るということは絶對に期待できないと思います。ややもすると司法省の側は少年審判、少年を取扱うことにつきましては、どうしても罪という側を重く視られる傾向が一般にあるように思うのでありまして、少年はあらゆる社會の環境からそういうものができて來るのでありますから、少年自體は性善なものでありまして、要するにそういうふうになるのは社會の罪でございますからして、少年に對しては批判力も、自分で制裁力もないのでありますから、どうしてもこういう問題が起るということは、社會の罰ということの觀念から出て、これを愛するという出發點からこれを補導するという立場に立たなければいかん。即ち厚生省のやるところの少年福祉法でもつて行くと同じ性質の氣持を以て、これは未成年者などは全部取扱うべきものである。どういうことをしたところで、これは悉く社會の罪だという觀念に立つて少年を保護すべきであつて、ああいうふうに獨房に入れたり、又見たい本も見せず、きちんと坐らしておるということは、少年を惡化させようが、善導にはならない。私は非常に失望して出たのでありますが、その他二三見ましたところも、やつぱりそういう状態でございまして、それに、そこの係の官吏の方々はやはり整頓しておるというようなことを見せるというようなふうなお考えらしかつたのでありますが、我々は整頓するところを見るつもりはない。我々の見るところは整頓でなくして、その氣持が少年にぴつたり應ずるかどうか、少年が本當にここを嬉々として喜んで、改過遷善の途に赴きつつある状態であるか、その少年の顔に生氣が漲つておるかというところが見たかつたのでありますけれども、失望して出たのであります。どうも私は、ああいうふうなことをしておいて、それにいろいろな上層下層の官吏を置いて、そうして子供をむしろ惡化の方へ導きつつあると思うと、情なく感じたのであります。これは一ケ所だけぢやない。全體、今日審判所が十八ケ所あるそうでありますが、大體子供を見る眼において、根本においてまあ愛が缺けておる。規律が尊ばれるという意味は、とにかく取扱い方というものが、罪本位な取扱い方になつて情本位でない。彼等に對してはもう社會の罪が彼等に被ぶさつているのである、という觀點からその子供を見ていないというところに缺くるところがある。つまり要するに少年保護という問題は、厚生で扱わるべきものである、あくまでもこれは司法的なものでないというような氣持が、私はいつもしておつたのでありまして、今度兒童院の問題が起きておるのでありまして、私は全幅の賛成をする一人でありますが、とにかくこれは司法省におきまして、司法の眼を以て兒童を教導しようというお考えが、私は無理なんぢやないかというようなことさえも思うのであります。これは意見に關することでありますから、ここで申上げたところでしようがない。將來我々立法府において、これは考えるべき問題であると思うのでありますが、とにかくあの審判所あたり、或いは留置所などの取扱ひに對して、子供が直りそうにない程私は冷やかな感じを持つたのでありますが、ああいう方の改良や何かについてどういうお考えでおられますか、その點を一應お伺いいたします。
  28. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) この司法省の少年保護機構でございます少年審判所なり、矯正院なり、或いは少年保護團體等におきまして、子供の取扱い、これは罪を詮索するという頭では實施しておりませんので、それはやはり子供を健全に育てるという頭で、どこまでも保護育成という頭でやつておるのでございます。それで只今お話のような事例があつたとすれば、これは少年法の考えておる又各審判所で指導してやつております少年保護の期待に添わないものでございますので、そういう點は、これは若しありとすれば改めなければならないものだと思いますがお話のございました岩國の施設というのは、實は私の方の施設のどれに該當するのかちよつと見當がつかないのでございますが、あそこに一つ少年刑務所がございますが、少年刑務所と申しますのは、これは審判所の方を通らない子供でございまして……。
  29. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 審判所から來るように言つておりました。
  30. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) そういう團體も、それから矯正院も、私の方には實はあそこに施設があると記憶いたさないのでございますが、その點は一つよく調査いたしまして、そういうお話のような事例があの地區にございましたら、後に私は手當いたしたいと思います。基本は私の方では司法的にその罪を論ずるというような頭でなく、どこまでも罪はもう全然考えないで、その原因とか、環境とかいうようなものを調査いたしまして、子供の保護育成という方の手當をするようにいたしておるのでございます。
  31. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 少年刑務所の方の側といたしましても、いわゆる行刑の方でありますから、やはりその邊に向つても考慮なさつておると思うのでありますが、行刑の方はどんな苛酷なことをしておつても、自分の方は知らぬというお考でありましようか。
  32. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) その點は私の關係外にはなりますけれども、御参考までにお話申上げて置きます。行刑もやはり教育という精神を織込んでやつて參らなければいけないということは、前々から考えておりますことであります。特に少年行刑の面においては、それに重點を置かなければならないというふうなことを考えまして、最近では先ず近くの川越刑務所などを實驗場というふうにいたしまして、そうして教育面から見た改良の手段をいろいろ研究しております。これは司令部の方のサゼツシヨンもございまして、向うの方のサゼツシヨンによりまして厚生省、文部省、勞働省からも委員を出して頂きまして、そうしてその改良を著著準備いたしております。
  33. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 中央委員に御相談いたしますが、中平委員の御質問は非常に重大な御質問で、司法省としての考え方はどう考えるかという御質疑であつたように存じますので、これは司法省當局の御答辯を頂く方がよくはないかと思いますので……。
  34. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 そうなんです。
  35. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) ではそういうことにいたしたいと思います。
  36. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 小さいことで一二お伺い申上げます。先達での厚生委員で出張いたしましたときに、兒童保護の專門家にもお目に掛りましたし、それから嘱託少年保護司にも大勢お目に掛りましたときに、しみじみ感じましたことは、少年法が徹底しないのではないかということなんです。それで少年保護の專門家でいらつしやる方に、少年法に刑事處分がないということを忘れていらつしやるのではないか。それからそれだけの專門家でございません方は、少年保護の方面の三號處分ぐらいまでのことを忘れて、捨てられておるような氣がして、四號、五號、六號、七號、八號の處分ばかりを言われますので、非常に厚生保護と比べると、殘酷に取扱うというような點が言われておるように思うのでありまして、これは大變殘念なことで、私はこの少年法の運營が十分であれば、今度の兒童福祉法案の中に盛られておりますことも、もつともつと變つて來るのじやないか、これは十分に運營ができていないのじやないかとさへも、私は殊にあの地方に參りましては感じましたのでございますが、それにつきまして私伺いたいのは、その運營を十分にいたします嘱託少年保護司というものの教育機關がどういうふうなことになつておりましようか。どういう指導の方法を以て、あの澤山の嘱託保護司の指導をしていらつしやいましようか。又將來どういう指導機關を設けて指導しようという御意見でございましようか、一つお伺いしたいと思います。それから第二は少年法の運營に一番効果を擧げますところの鑑別所は、これはもう經費の關係で止むを得んとは言いながら非常に少い。そうして完全なものがありません。どうしても鑑別所を澤山作り、そうしてできるだけ完備したものにして頂きたいと思うのでございます。そうしてできるならばこの鑑別所を中心に民問の委員會でも設けまして鑑別いたしましたものを鑑別してから、それによつて保護團體に委託するというだけでなくて、もつと民間に個人委託をするというようなこともこれからは澤山あつて欲しいと思うのでございますけれども、こういう場合にその便宜にもなりましようが、この委員會を設けてこの委員會でもつて鑑別された結果を委員會で又練つて、一番子供の適當な場所に子供を置いてやるという方法が講ぜられたいと思つております。この鑑別所についてどういう計畫がございましようか、それから今一つは、さつき草葉委員から質問が出ました問題ですが、少年の勞働というのはこれは經營を助ける上に少年を使うということは或いは問題になるかも知れませんけれども、又見方を變えまして、私はあの特別な子供にどうしても晝間一生懸命勞働をさせるということは、これは教育上必要だと思つております。それから今一般の子供にも餘り勞働をさせないようにと言つて、言葉は惡うございますが、もつと自由主義へ、自由を履き違えました自由主義、そうして樂にさせるということがはやつておりますときに、犯罪少年、それから虞犯少年に若しそういう取扱のはしつこでもいたしましたら、これは取扱上、由々しい問題が起ると思つております。どうしても實に一生懸命働きまして、夜休みますときにはもう排泄すべきものは全部排泄させまして、そして固い蒲團に休ませまして、ぐつすりと寢て翌朝になるまで目が覺めませんだけに勞働させなければいけないと思います。けれども、この經營の方の問題なども考慮に入れまして、どうも子供をもつと樂にさせなければ、これは人權蹂躙じやないかというようなことが起りますというと、少年の保護の問題ということは私はむずかしくなるというふうに感するのでございます。こういう點について當局のしつかりした御立場はどういうところにございましようか。この三點について御伺いしたいと思います。
  37. 池田浩三

    ○説明員(池田浩三君) 嘱託保護司に十分その仕事の本質を徹底させる方法といたしまして、只今のところは各審判所に御願いいたしまして、保護司會というようなものをできるだけ頻繁に開いて頂いて、その事務の連絡を圖り、尚その機會に事務についての教育ということをやつて頂くことにいたしておりますが、現在のところこれは不十分の憾があると思いますので、これは來年度におきましては、各審判所毎に地方の職員講習所というようなものを或る一定期間開設いたしまして、これによつてその仕事をして貰うということに豫定いたしております。  次に鑑別機關、これは誠に重要なものなのでございまして、早急にこれが整備を圖らなければなりませんので、終戰後一歩ずつ充實の方向に向つておりますが、現在のところまだ不十分でございます。職員も嘱託というような非常勤嘱託の形で賄つておるような次第で、費用も十分に足りません。機械も器具の設備も不十分でございます。それで來年度はこれを十分擴張する。そうして今度法律の改正に當りましては、この鑑別制度というものを條文にきちんと織込むということを豫定して準備を進めております。  次に團體に於る子供の作業でございますが、司法省といたしましては作業は教育の手段として、是非とも必要である。特にあの問題兒と稱せられる種類の子供は、普通の座學の勉強などばかりでは決して良くならない。ただ遊ばして置いたばかりでは良くならない。やはりその性質に適した仕事をどんどんやらせるということが、それが非常にその子供を良くする手段になる。作業は極めて重要な補導方法だというふうに考えております。その作業による收益というようなものは本人の將來の貯えに、これは報奨として與えるべきものだというふうに考えております。作業をやらせるについて、それを通して團體の搾取というようなことは、これは絶對に行われてはならないというふうに、その邊に境目をつけて作業というものの指導をいたしております。
  38. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) この際お諮りいたしますが、時間の關係もございまして、司法省の説明を聽きますることはこの程度に本日は止めて置きまして、請願第百九十九號傷痍者更生對策に關する請願につきまして紹介議員の矢野酉雄君が出席しておられまするので、この際紹介議員の説明を聽きましたら如何であろうかと存じますが、如何いたしましようか。
  39. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 結構です。但し、司法省關係をもう一囘續いてやつて頂きたい。まだいろいろ持つておりますから……。
  40. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 皆樣にお諮りいたしますが、本日は司法省の政府委員の御出席もないわけでございますので、皆様の御質問の御都合では責任ある御答辯でなくてはいかんかと存じますので次囘に讓りましたらどうかと思います。
  41. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) それではそういうふうに取計います。  請願百九十九號傷痍者更生對策に關する請願につきまして紹介議員矢野酉雄君の御説明を煩わします。
  42. 矢野酉雄

    ○委員外議員(矢野酉雄君) 貴いお時間を拜借いたしまして、この請願を紹介いたしました大體の氣持をお聽き取り願いまして、是非豊かなる御援助の下に本請願を御採擇になるように切にお願いする次第であります。  この請願は戰爭犠牲傷痍者同盟委員長、全日本傷痍者同盟委員長の提出いたしました請願でありまするが、これは推定いたしまするところによりますれば、全日本の傷痍者が約百萬を突破しておるという推定であります。これは取りも直さず百萬人の衷情からお願いを申上げる次第でありまして、紹介議員矢野竝びに河野正夫君、この二人でこの趣旨を本參議院に申立するということにいたしまして、この人達が何故にこういうことをお願い申上げるかということについてはすでに説明を要しないと思うのでございます。殊にこういう方面に關して特別の御關心と又非常なる御經驗をお持ちの方々でございまするから、この人々の説明の趣旨は省略いたします。  請願の事項といたしましては戰爭、戰災及び業務上の犠牲による各傷痍者竝びに一般不具者の全國的實體調査の即時施行をお願いいたしたい。生活保護法の改善によつて各傷痍者竝びに各不具者の程度に應じた最低生活費の支給を保證して頂きたい。第三には全國立病院在院傷病者に生活保護法による醫療扶助の適用、四に各傷痍者を經營、主體とする國費による各地區別授産場の設置をお願いしたい。各傷病者の程度に應じた公益厚生施設等への優先採用、又經營の許可をお願いしたい。傷痍者退院に際して路頭に迷わんよう職業その他の御幹旋又は補導機關の確立をお願いする。傷痍者全般に對し住居の保證。八、傷痍者に對する傷痍年金の階級別撤廢と傷痍の程度による年金査定の公平化、傷痍者に對して税金課税の撤廢、以上請願の事項は九項目に亙つておるのであります。  私は昨年の六月の末に動亂の滿洲から引揚げた者でございまするが、あの動亂の中において特に私は胸を搏たれた一つがございます。それは、あれだけ戰時中は非常に尊敬と又愛を集めておつた傷病者軍人諸君が、一旦八月十五日のいわゆる終戰以後というものは奉天の陸軍病院だけでも、私が五月に慰問したときに、二千三百名くらいであつたと思いますが、八月十五日以後段々日が經つに從いまして、食糧も衣料も醫療藥品等も段々遞減し、遂には重病者は別といたしまして、輕病者たちは街頭に立つて重病者のために藥品を購入し、主食を購入するために煙草を賣り、煎餅を賣り、飴を賣り、羊羹を賣る、而もこれらの街頭に立つておる人々に對しては、いわゆる兄弟であるべき日本人さへもが冷たい冷やかな眼を以て視るという次第でありました。ただ一人としてこうした病院を訪う者もなかつたことを私は現にその動亂の中において見ることができたのであります。そういうような、併し實情というものは昨年の六月の末に歸つて見て、各地各所を全國廻つて、何か相通ずるようなものを感ずるのであります。殊に四月一日國立病院のいわゆる無料診療というものが廢止せられましてから、いろいろと當局は考えておられるようでありますが、それ自體が私は百萬の傷病者に對して、大きいシヨツクを與えたと感ずる者であります。これはこの人たちの聲であるからというような意味でなく、更に又戰爭犠牲の負擔を公正化するというこの國家の取るべき根本的原則から照らして又申上げるという意味でもなく、本當に國と民族の如何を問わず、この獨立することのできないところの、生活を自ら開拓することのできないこの人類の一部の人々が非常な暗い人生をここに送つておるという、これに對して人類として是非無條件的のここに友情を拂い、國家がこれに對して適切なる施設をするということは、人道上當然の道だと痛感する次第であります。希くはこの人々がお願いを申しておりまする各請願事項を御檢討頂きまして、この要望が、このお願いが成るべく早く十分に果されるようお取計らい頂きますならば、実にこれは人類の美しい記録を作るという意味において喜びに堪えないのであります。重ねて心から皆樣の御同情ある御採擇をお願いいたしまして、説明の言葉を終る次第であります。
  43. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) この際厚生省の政府委員から本請願に關しましての政府の所見を聽きまして、御審議の參考に資したいと思います。
  44. 金光義邦

    ○政府委員(金光義邦君) 只今の請願につきましては、御趣旨頗る御尤でございまして、政府といたしましても、それぞれ適當な施策を講じておるわけでございます。請願の第一點につきましては、傷痍者竝びに一般不具者の全國的な實態調査を即時實施いたしたいとは考えておるのでございますが、何分經費を伴うということもございますので、具體化すべく目下計畫中でございます。  それから第二點、生活保護法を改善して傷痍者竝びに不具者の程度に應じた最低生活費の支給をせよという點に關しましては、生活の困窮者、各傷痍者竝びに不具者に對しまして、外の生活困難窮者と同樣に、現行の生活保護法によつて、實情に即しまして、最低生活費を支給する建前になつておりますし、これによつて現在大體の目的に達せられておるのではないかと考えておるようなわけでございます。尚將來生活保護法を改善する必要がありますれば、當然にその措置をお願いいたしたいと考えております。  第三に、全國立病院在院傷痍者に對する傷痍者の生活保護法による醫療扶助の適用という請願でございますが、生活保護法は生活困窮者のみに適用されるのでありまして、入院傷痍者に全面的に適用するということはできないわけでございます。併しながら現在のところでは、さしたる差支もないのではないかと考えております。  第四に、各傷痍者を經營主體とする國費による各地區別授産場の設置という點につきましては、傷痍者のために國庫補助をもつて都道府縣を設立主體とする住居と授産場を兼ねました收容保護施設を各地區に設置すべく目下計畫を進めておるような次第でございます。  第五點、各傷痍者の程度に應じた公益厚生施設等への優先採用又は經營の許可という點につきましては、傷痍者であるからというので優先的に取扱うということはできませんが、適當な職業の補導、就職の幹旋等に努めたいと考えております。  第六點、傷痍者の退院に際して、職業その他幹旋補導機關の確立という點でございますが、これも第四に申上げたところと大體同じでございますが、職業安定局の補導課におきまして、この點について既に通牒を出しておるということでございます。
  45. 櫻井岩人

    ○説明員(櫻井岩人君) 傷痍者なるが故に不當に首を馘られたり、若しくは就職に差別をしないで、就職せしめて欲しいというような意味の通牒でございます。
  46. 金光義邦

    ○政府委員(金光義邦君) 次に第七點、傷痍者全般に對して住居の保障という點でございますが、これは先程四の場合に申上げましたのと同じく住居と授産所を兼ねた收容保護施設を各地區に設置すべく目下計畫中でございます。ただこれが傷痍者全般ということになるかどうか疑問でございますが、重度の傷痍者に對しまして、全國に十二ヶ所の施設を設け、一ヶ所七百萬圓の經費を以て大體百名前後收容いたしたいと思つております。但しこの點につきましてはまだはつきりと決つたわけではございません。  次に傷痍者に對する傷痍年金の階級別撤廢、傷痍の程度により年金査定の公平化、この點につきましては恩給局その他關係方面とも折衝して、研究することにいたしたいと存じております。  最後に傷痍者に對して税金課税徹廢という請願でございますが、これは大藏省關係の方からお答えさして頂く方が適當であろうと思います。ただ傷痍者であるからというので、特別の取扱は如何であろうかと考えておるようなわけであります。大體以上の通りでございます。
  47. 矢野酉雄

    ○委員外議員(矢野酉雄君) この機會を作つて頂きました委員長竝びに委員諸君に心からお禮を申上げます。只今金光政務次官から現在における施行の實情について御説明下さいましたが、有難とうございました。一松厚生大臣はこういう問題については非常に熱意を持つておられます。その大臣を補佐せられます、殊に政治力を持つておられまする金光政務次官でありますから、現在の實情に満足せずして百尺竿頭一歩を進めて、これらの人々に民主日本再建のために不平を洩らさずに、逆に喜んでその建設のために協力することのできるような體制を作つて頂きますように、行政事務的いろいろな處置ばかりでなく、政治的な大きい一つの御處置も切にお願いいたしまして、この請願をお取上げ頂いておりまする委員會に敬意を表し、お禮を述べて私の説明を終らして頂きます。ありがとうございました。
  48. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 皆様にお諮りいたします。御承知のように請願の御審査は採擇と、不採擇と、採擇の中に議院の會議に付するを要するもの、内閣に送付するを適当とするもの、内閣に送付するに及ばないものという三種に分れておるわけでございますが、本請願につきまして皆様の御審査の御意見をどうぞお示し下さいますように……。
  49. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 今この百九十九號の請願につきまして、紹介者矢野君から詳しくお述べになりましたので、誠に同感に堪えないのでございます。我々もこれはどうしてもなんとかして、この不具の方々には温かい氣持が映るようにしなければならんと思つておるのでございますが、今度できました生活保護法が一切の責任を持つことになつておるのでございます。歸還者にしても復員者にしても體が健康ならば自立の途が十分拓かれるのでございますが、不具者に對しては戰災なるが故にというよりも、不具者なるが故に國民が同情すべきであると思います。でありまするから不具者なるが故にという立場から、これに對して特別の救助の手を延ばすことは、不具者でない國民がなすべき義務であると思うのでございます。  今、金光政務次官がお話になりまして、各縣に亙つてそれぞれ住宅を兼ねたような授産所を拵えたいという、畫期的な御意見を伺がいまして、誠に喜びに堪えないのでありますが、どうしてもこういう方々には、それに應じたところの職業を與えるということは、やはりこれは優先的になすべきだと思います。  それで不具というと大變失禮でありますけれども、傷痍者なるが故に優先的にそういう方面に入れるという温かい氣持は、どんなにその人をして厚生せしめるか分らないと思うのであります。やはりこの請願は私は取上げて、内閣に送付すべきものであると存じます。一人でございますが、滿腔の賛意を表する次第でございます。
  50. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 無論この請願は採擇すべきものですが、ここは小委員會ですから、一應正式に常任委員會に廻して、その上で適當な處置を採つて頂きたいと思います。
  51. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 中平委員、姫井委員の御意見がございまして、本請願案は採擇すべきものとして内閣へ送付するが適當と認むることにいたしまして、本委員會へ審査の結果を報告いたすということに御異議ありませんか。
  52. 山下義信

    ○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めましてさように決定いたしました。その他の案件は次囘に譲りまして、本日はこれで散會いたします。    午後零時二分散會  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    委員            河崎 ナツ君            中平常太郎君            草葉 隆圓君            木内キヤウ君            姫井 伊介君            宮城タマヨ君   委員外議院            矢野 酉雄君   政府委員    厚生政務次官  金光 義邦君   説明員    司法事務官    (大臣官房保護    課第一部長)  池田 浩三君    厚生事務官    (社會局福利課    勤務)     櫻井 岩人君