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1947-11-24 第1回国会 参議院 財政及び金融委員会 38号 公式Web版

  1. 公聽会   ――――――――――――― 昭和二十二年十一月二十四日(月曜 日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件所得税法の一部を改正する法律案 ○非戰災者特別税法案   ―――――――――――――
  2. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) これより税法に関しまする公聽会を開会いたします。  先ず公述人の方々に御挨拶を申上げたいと思います。所得税法の一部を改正する等の法律案並びに非戰災者特別税法案は、目下衆議院に提出されておるのでありまするが、本院におきましては、予備審査のために財政及び金融委員会に付託されて、目下審議をいたしておるのであります。御承知の通り新憲法の下に制定されました國会法第五十一條におきましては、重要な歳入法案につきましては、公聽会を開かなければならなということになつておるのであります。勿論我々國会議員は國民の代表者であるという自覚と責任を以ちまして、議案を慎重に審議いたしておるのでありまするが、國民全般の利害に直接重大な関係を持つておりまする程税に関しまする法案につきましては、特にその審議を慎重ならしめまする意味におきまして、学識博く経驗深き皆様方の御研鑽、御経驗によりまする御意見に耳を傾け、又明日は廣く一般國民の意見をも承わりまして、國民輿論の動向を正しく認識いたしまして、審議に誤りなからしめんといたしたいと存ずる次第でありまして、今回公聽会を開いたものであります。公聽会を國会法に認めておりまする趣旨もさようであらうと存するのであります。何卒公述人の方々におかれましては、お忙しいところをお繰り合せ下さいましておいで下さいましたことを感謝いたしますると同時に、皆様の御意見を十分にお述べ下さいまして、我々の審議に資しまするようにお願い申上げる次第であります。  御參考までに申上げますが、御承知の通り今回國会に提出されました歳入の追加予算額は九百二十一億円でありまするが、そのうち租税及び印紙收入の收入によりまするものは、六百三十七億二千六百万円になつておるのであります。そのうちで自然増收によりまする額が四百六十億六千六百万円でありまして、これを引きまして百七十六億六千万円というのが、新税又は税率の改正、即ち増税によるものであります。新税といたしましては、非戰災者特別税を設けて六十五億四千百万円を期待しておるのであります。又税法を改正いたしましたものは、所得税、酒税、清凉飲料税、物品税、入場税等、その他に印紙税、登録税、骨牌税の印紙收入によるものであるのでありまするが、所得税の改正は、勤労所得の控除の率の引上、或いは扶養家族の控除の金額の引上げ等で五十一億一千七百万円が減收になつておるのでありまするが、税率の改正の結果は三十八億八千五百万円となつておるのであります。酒税につきましては、増税の分が三十四億九千九百万円でありまするが、その外に特價販賣をいたしまして、六十八億七千九百万円を計上いたしておるのであります。それからその減産によりまする收入〇減を差引いておるのであります。結局九十七億六千五百万円の増加となつておるのであります。その外に收入の大なるものにつきましては、入場税の増額が十七億三百万円、物品税の税率の引上げの結果は六億一千八百万円と相成つておるような次第であります。國民の利害に関係するところが大なるのであります。何卒十分に御意見を拜聽いたしたいと存するのであります。  尚時間につきましては、大体二十五分ぐらいの範囲においてお述べを願いたいと存ずるのであります。これを以て御挨拶を終ります。先す徳島米三郎君にお願いたします。
  3. 徳島米三郎

    ○公述人(徳島米三郎君) 徳島であります。私は只今税務署の職員を以て組織せられております全國税務労働組合の副委員長を勤めております。從いまして私は税務に携わる者として、又一労働組合員としての立場より、今回の税制改正に対する意見を申上げたいと思うのであります。  今回の税制改正のうち、先ず所得税におきましては、新円階級層の者に対する重課、二番目には勤労所得者に対する負担の軽減、三番目には扶養親族を有する者の負担の軽減、こういう三つの眼目が設けられたのであります。この三点について議論を進めたいと思うのであります。  話の都合上、先ず最後の扶養親族を有する者の負担の軽減が今回の改正案によつて果して現在の國民生活上、どれ程の影響を持つものであるかという点につきまして、実例を以て檢討したいと思うのであります。先ず五人家族を有する営業者で、扶養親族が三人ある場合、若しこの人が五万円の純益を上げたと仮定したしましたならば、どれくらいの税金が掛つて參りますか、今回の扶養親族の控際額引上げによつても、この人には所得税が一年に一万二千百五十円掛つて來るのであります。そうしてこの営業者には、その外に営業税が約九千円、都民税が二百五十円、合計致しまして二万二千四百円の公課がこの人に掛つて來るのであります。この人は五人家族でありますから、生活費を幾ら内輪に見積つて見ましても、先ず年に四万八千、月に四千円の生活費が掛かるものといたしますならば、五万円の純益に二万二千四百円の公課が掛つた場合には、結局税金を納めたために二万四百円の赤字が生ずることになつて參るのであります。これが今回の扶養親族の引上げによるところの税金の実態であります。結局現在のころの所得税法におきましては、扶養親族を若干引上げたくらいでは、とても國民生活とマツチしたところの税法だということはできないのであります。その一番大きな原因は、基礎控除額が極めて低いということであります。そもそも所得税におきまして最低生活費を免除するということは、これは財政学上常識になつておることであります。併しながら我が國の所得税法におきましては、この基礎控除という制度は最低生活費を意味するものではなくして、これは負担に累進性を持たせる一手段にしか過ぎないのであります。從いましてこういうふうな国民生活と全く遊離した税法でありますために、現在御承知のように、本年度から所得税は予算申告納税制度に相成つたのでありますが、その申告成績は極めて不良でありまして、又納税成績はそれに輪を掛けたように不良であります。これは日本の國民の納税思想の十分でないという点もありましようし、或いは税法がむずかしいという点もありましようし、或いは税務当局の宣傳が足りないという点もありましよう。併しながら一番大きな原因は、現在の税法がすでに國民生活と全く遊離してしまつておるという点であります。今政府は一大納税運動を起して、この申告納税制度の不成績を取り返そうといたしておるのでありますが、こういうふうな國民生活を無視した税法が、果してこういうふうなお祭り騒ぎの運動によつてどれくらいの効果を挙げられるか甚だ心細い次第であります。  嘗て某大藏大臣は大阪へ參りまして、在阪の大蔵関係首脳部を集めて、こういうふうな話をしたのであります。日本の税法は針の穴をほじくる程細かくできおてる。從つてこれをまともに課税していけば、日本の事業家というものはすべて潰れてしまうだうう。その辺の所は諸君が適当に手心を加えてやつて行つて貰つておると思うが、余り手心を加え過ぎると、世間の非難を招くようになるかも知れないから、よく注意して貰いたいというふうな意味深長なことを言われたのであります。結局我々は現在の税法をまともに運用して行けば、事業家は潰れてしまうかも知れないし小所得者は生活に破綻を生ずるかも知れないのであります。前の主計局野田卯一氏は、財政経済という雜誌に次のようなことを載せておるのであります。從來戰時中の増税が、税務官吏の手不足と、不熟練とを税で補う行き方を採り、税率の引上げのみによつて増收を図つていたため、殆んど外國に類例のない高い税率となつて、行詰りを來しており、税の根本である課税標準の捕捉に次陷のあることが却つて不均衡を激化しておる現状である。こういうふうに申されておるのであります。結局現在の税法におきましては、正直者とか、或いは税務署に睨まれた者はその高い税率で、脱税者の税金までも負担しなければならないという実情に相成つておるのであります。そうしてこの矛盾は勤勞所得税におきましては、一層酷くなつて参るのであります。そういうふうに税收が挙らないから税率を高くするということになりますと、仮りにいくら税率が高くなつても、百万円儲けた者が、五十万円しか税務署に捕捉されていないならば、五十万円に対しては一〇〇パーセントの税率を掛けてもまだその人にとつては負担の能力があるのであります。併し同じような標準で以て、高い税率が勤勞者に対して課税されておるということは、いかに不合理なことでありませうか。先般日本経済新聞の社説に、現在の勤勞所得税が炭鉱勞働者の勤勞意欲を非常に低下させておるということを載しておるのであります。炭鉱におきましては、月收が五千円以上になると、もう仕事をしないというそうであります。五千円以上働けば、その働いた金額の半分以上は税金に取られてしまうのであります。從つてこういう意味からいつて、この所得税法というものは、根本的な対策が立てられなければならないと考えるのであります。  今囘の改正案におきまして、勤勞所得者に対する負担の軽減が第二の論点になつて参るのでありますが、果して改正案によつて勤勞所得者はどれだけの負担の軽減を贏ち取つたことでありませう。これを簡單に申上げますと、当初予算におきまして、日傭勞務者を含めて、勤勞所得者の納める税金、これは当初予算における見込額でありますが、大体百六億円、それに対して賦課課税によります所の営業所得、この中には法人税も含め、その外農業所得等も入れまして、賦課課税によるものは三百七億、これを割合にいたしますと、前者の二十六に対して、後者は七十四という割合になつて來るのであります。ところがそのときの國民所得、これは大体の推定でありますが、前者は三十六に対して後者の事業所得の國民所得の推計は六十四の割合というふうになつていたのであります。ところが今囘の改正案によりまして、その比率がどういうふうに変化したかと申しますと、勤勞所得者の税金は百六十七億、賦課課税によるところの事業所得、法人税も含め、或いは農業所得も含めたものが五百二十一億、比率で申上げますと前者が二十四、後者が七十六、これに対しまして最近の國民所得の推計の割合を申上げますと、大体勤勞所得が二八%、事業所得が七二%というふうなことが大体推定されるのであります。結局勤勞所得者はこのインフレによつてだんだんと國民所得の中に占める割合が減少して行くにも拘わらず、税金はそれに應じて減つて來ないというのであります。詰り勤勞所得の割合では大体八%ぐらい減つたと見込まれる現在今度の改正案による勤勞所得者の負担は八%國民所得の割合が減つたに拘わらず、二%しか減らないというふうなことが結果的に現れておるのであります。これは予算面における見込額でありまして、実際の調定税額と違うので、調定税額は現在までの状況におきましては、この差が、この矛盾がますますひどくなる。こういうふうに考えられるのであります。從つて結局政府のいうところの勤勞所得者に対する負担を軽減するということは結局ごまかしであります。然らば新円階級層等、一定額を超える所得者に対し重課するということは、どういうふうな工合になるかということ檢討したいと思うのであります。政府は今囘の改正案によつて七万円以上の所得者に対する税率を引上げたのであります。併しながらそういうふうに引上げても、結局先程言つたような事業所得と勤勞所得の比率というものは極めて不合理になつておるのであります。結局税務署では税率を引上げても、本当の所得は捉まえられないというのが実情であります。  問題は結局税務機構の問題になります。なぜ現在日本の税務機構がこういうふうに完全に所得を捕捉できないか、或いは完全に近いまで所得を捕捉できないかということになつて参ります。日本の税務機構を一言の下に申上げますならば、人的、物的共に悲惨の一語に盡きるのであります。現在税務署は定員の約半数程の実人員しかおりません。而もその実人員の半数は五年以下の、税務署で言えば一人前にならない者であります。又物的設備の方面で申上げましても、四百五十の税務署の中、約半数の二百二十の税務署は借物の廳舎に住いしておるのであります。又東京都とか、大阪市の税務署の中には一、二電話すら通じない税務署もあるのであります。こういうふうな状態の下において今囘の厖大な歳入を賄つて行くということは、とてもむずかしい問題であります。職員の問題につきましては現在盛んに募集をしておりまするが、殆んど人は集つて來ないのであります。今までおつた人でさえ家族持はどんどんと辞めて行つておる実情であります。なぜかと申しますと、現在税務署の職員は最近まで他の官廳に比べまして年齢或いは経驗年数、学歴というふうなものが同じであつても、平均二号俸は給料が低かつたのであります。なぜこんなに低い状態に我々は放任されていたのか。これは結局大藏局の官吏が惡いのであります。或いは大藏大臣が惡いと申してもいいのかも知れません。減俸問題が起る度に眞つ先に槍玉に上つたのが我々であります。或いは大藏省の出先官廳であるところの税関であります。從つて税関とか税務署というものは、非常に待遇が惡いのであります。同じ大藏省におきましても、税務署出身の多い主税局は待遇が一番惡いのであります。現在の大藏省の役人はむずかしい税法を作ることにかけましては誠に優秀であります。併しながらその十分の一の努力も税務機構の問題に頭を突つ込もうとはしないのであります。その結果が今日のような惨澹たる税務機構を來したのであります。曾て米國のモールトンという博士は、昭和六年に日本財政経済論という書物を著しまして、その中に徴税費の問題を捉えまして、日本の徴税費は非常に少いということを指摘されておるのであります。そういうふうに明治以來日本の徴税機構というものは、殆んど顧みられていなかつたということが今日のような、こういうふうな、もう二進も三進も行かないような現状にしてしまつたのであります。從つて今年度の歳入面は我々といたしまして非常に不安に堪えないのであります。現状のままにして果して我々に課せられたところの厖大な租税を、我々の手で確保することができるかどうかということは、我々には自信がないのであります。併しながら現在のままにおいて最大限度の税收を確保するにはどうすればいいか、そういう点について二、三の意見を申上げて御參考に供したいのであります。  先ず。第一の問題は、不急事務停止であります、特に今囘の税制改正において立案せられましたところの、非戰災者特別税のごときものの中止であります。これは後程申上げます。  第二番目に、銀行に対する。調査権限を與えよということであります。経経界の中枢をなすところの金融機関の実態が分らずして、どうして経済界の眞相を把握することができましよう。我々は單なる預金の残を調べたいというのではなくして、預金の動き或いは銀行の貸付金の動きを通じていかに資金が動き、物が動いて行くかということを捉えたいのであります。ところが現在遺憾ながらこの途は杜絶されておるのであります。この問題に対する税務署職員の希望は殆んど全國的に一人残らずが、これを熱望しておる次第であります。  次は全國的な調査機関を設けて欲しいということであります。常に御承知の如く、全國的なブローカー、或いは土建業者、こういうふうな新円階層に対する調査は、どうしても我々の方にも全國的な組織がなければならないのであります。この点につきまして、現在の税務機構の全國的な有機連繋ということは甚だ心細い次第でありまして、こういう面におきましては、現在我々の労働組合が單一組合として非常に強固な團結体を作つております。これがその中に入つて筋金となり、そうしてこの特別調査機関というふうなものを設けたならば、或る程度この闇所得に対する追究というものが可能になつて來るのではないかということも考えられるのであります。こういうふうな方法を講じて我々としては全力を盡くして歳入面の確保に努力したいと考えているのであります。  それで問題は今囘新設されようとするところの非戰災者特別税であります。我々の全國財務労働組合は、これに対して九月七日反対声明を発表しているのであります。その理由は、第一にこの税金が納税者数が非常に多い、詰り賃貸價格三十円というふうに殆んど全部のものが適用を受けるために、納税人員又大体九百万人以上と推定されるのでありますが、先般の増加所得税の納税人員が三百万人、詰りそれの三倍以上の納税人員ということになつて參りますと、これに伴うところの事務分量の増大、或いは税務機構の困難ということは想像に余りあるのであります。現在税務署におきましては、財産税が殆んどまだ申告を整理したというふうな程度にしか相成つていないのであります。その外に増加所得税の大口所得者に対する賦課決定がまだできていないのであります。或いは所得税の更正決定がまだできていないのであります。こういうふうに大きな税金を懲收するところの仕事が税務署には今山積しているのであります。その上にこういうふうに九百万人以上の納税者を見込まれるところの、非戰災者特別税を作るということは、台帳を作成すること、或いはこの課税標準となるところの賃貸價格が、殆んどの納税者に知られていないために、これをどういうふうにして通知するか、或いは一戸の住宅の中に分割して生活をしているものに対する税金をどういうふうにして指導するか、こういうふうな問題を考えまする時に、誠にこれは大事業と申さなければならんのであります。その次の難点は課税標準が正しくないということであります。現在の賃貸價格は昭和十五年度に決めたきりであります。又都市と農村との賃貸價格の違いは十倍以上もあります。或いは税源を非戰災者の動産に置くといいながら、これの標準になるのが家屋でありまして、工場とか、事務所とか、住宅とか、倉庫とか、いろいろ性質の違つた建物を以て、中にある中見の税源を捕捉しようというのでありますから、結局これはでたらめであると申上げる外はないのであります。第三番目に、これは着眼点において非常に誤つておるのであります。現在國民生活において不均衡を來たしておるのは戰災者、非戰災者というよりも、むしろインフレ利得者と然らざる者との間の不均衡であります。戰災者、非戰災者の間の不均衡は二ヶ年の経済界の激変によりまして非常な変動を生じております。從つて戰災者にして今インフレ成金になつておる者もあり、非戰災者にして勤労所得者で非常に困つておる者もあります。こういうものを全然無視して、そうしてこの大衆課税をやるということは、非常な大混乱を惹起するということが当然予想されるのであります。それから第四番目に我々が遺憾に思うことは、この税金が極めて割の惡い税金であるということであります。小額のものになれば、九十円とか、百円の税金が掛かるのでありますが、こういうようなものに一々台帳を作り、督促状を出す、或いは税務署員が徴税に行くというふうな費用が果して割のあつた仕事であろうかどうかということについてお考え願いたいのであります。大藏省は現在の税務機構の不備をこういうふうなでたらめな法律によりまして、何でもとにかく税收さえ上がればよいというふうな考えの下にこれを新設したとしか、我々には考えられないのでありますが、誠に貧すれば鈍すと申しますか、智慧のない話と我々は考える外はないのであります。若しこの税法が通過いたしまして我々の前に現われたとしたならば、果して財政学者は何と言うでうりましようか。我々はこの税法は日本財政史始まつて初めての惡税の標本になるだろうと考えるのであります。この点につきまして各議員の方々の愼重なる御討議をお願いして、私の意見を終りたいと思うのであります。
  4. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 次に佐藤喜一郎君。
  5. 佐藤喜一郎

    ○公述人(佐藤喜一郎君) 只今御紹介に預りました佐藤でございます。本來金融業者でありますので、余り税制のことについては專門的知識を一向に持つておりません。御依頼もありましたので、一應一二の意見を申上げまして責を果したいと存じます。  今囘政府のパンフレツトによりますと、財政需要の増大に対應し、又経済諸情勢の推移に應じて租税の公正を期するために……こういうふうに要望せられておるのであります。殊に非戰災者特別税の像設以外には、税收を図るというな意味で財源を探されたということ以外に、余り新構想がないように私共感ずるのであります。卒直に申上げまして現在の日本の情勢からして、歳出の面に制約がありまして、これだけのものを出さなければならんといつたような面から財政收入の方を勘案せられたと存じますので、私はむしろこの点についてただこういう点に無理がある、ああいあ点に無理がないといつたことだけ申上げたいと思うのであります。結局経済諸情勢が税制の上に何を現在要求しておるだろうかというような点に、この問題は體着するのだろうと思います。日本の現在の経済界といたしまして、どなたもインフレ克服ということが依然日本の直面しておる最大の問題だと考えますので、この面から税制改正について一二の氣付きました点を申上げたいと存じます。  第一は法人税の問題でありますが、今囘の税制改正によりまして、別に法人税というものは重くもならが、軽くもなつておらんようであります。大体このインフレ克服の面におきまして、生産増強の必要であることは今更私から申上げる必要もないのでありますが、法人税の軽減ということはこの際考えられないだろうが、こういう点が……、法人税の軽減によりましても企業の生産増強というようなことを直接期待するというようなことは考えられないのでありますが、これの間接的な結果としまして、今後日本の経済機構が、今までの國民大衆の間接投資であつた形態から直接投資に改めたい。言葉を換えて申しますならば、株式の大衆消化といつたようなことが今後の日本経済の民主化の上に要請せられておりまする関係上、株式の消化を促進させ、又一般大衆にこれが投資の対象となるようにする必要の上から見まして、又企業体自体の上から見ても、新資金の調達というものが從來のように金融関係からの借入れ依存ということを改めまして、成るべく自己資本によつてこれを賄う、こういう方針に変りますとすれば、やはり新資本の調達が可能であるような態勢が取られる必要があると思うのであります。又現在の段階において物價の昂騰が一番問題でありますが、從來戰時中からとかく有價証券というものの投資を阻害するような行爲、施策のみが続けられておつたのでありますが、これがために戰時中及び戰後を通じまして放出されましたる政府財政支拂超過の、いわゆる余剩購買力というものが全部具体的の物の方に集中いたしまして、証券というものから全くその興味を失つてしまつたといつたようなことが、又物價の面でこれの物價騰貴を促進したような効果があつたのであります。これらの点から考えますと、大衆の証券消化というような氣運が釀成されまするならば、有價証券の騰貴を見る半面におきまして、物價の統制を若干抑制する力もある。こういうふうにも考えるのであります。かれこれいろいろな観点からいたしまして、法人税の軽減ということはむしろこの追加予算の問題と申しまするよりも、來年度における本予算編成の御方針の中にこの点を入れて考えて頂いたら今後の経済情勢の上において適当ではないかと考えるものの一つでございます。  第二は消費規正の面から見た税制の問題でありますが、國民の耐乏生活の要望でありますとかいうような問題は当然のことといたしまして今回のインフレの原因がいわゆる縮小再生産と申しますか、生産の面よりも、消費が勝つている、超過している、生産増強は全力を挙げてやつておるのでありますが、何分にも戰前、戰爭中及び戰後を通ずる消耗、損害というものが多くて、なかなかこの効果が挙らない。それならばやはり或る程度において、消費の抑制というものに重点を置かなければならんと思うのであります。これがまあ耐乏生活の要望となるのであろうと存ずるのでありますが、結論として間接税の増徴というものをもう少し考えるべきじやないかと思うのであります。この点については、相当問題があると存ずるのでありますが、先ず第一に生活必需物資というものを、その対象にすることは勿論いかんのであります。又第二はいわゆるよく申されることでありますが、大衆課税というものを成るべく避けるというのが、しばしば大藏大臣やその他の予算乃至は財政演説の中にあるのでありますが、一口にこの大衆課税という言葉は、非常に間違い易い問題であります。今日日本の消費面の一番大きい面を占めておりますものは、戰後疲弊しました日本の経済界におきまして。殆んど大衆以外に何物もないと言つていいのじやないかと思うのであります。これらの点を考えますと、私伺いますところによるといわゆる租税收入の中に、直接税が占める部面は七割であり、間接税が三割であるというように伺つておるのでありますが、これらの割合は今日の日本の情勢からみまして妥当であるかどうか。いま少しく間接税の増徴を図る必要があるじやないか。これが亦明年度予算への希望として申上げたいと思うのであります。いわゆる新興所得者といいますか、インフレ所得者というものを捉えて、これに重税を課するということは理論としては何人も異議がないと思うのでありますが、この新興或いはインフレ所得者というものは物價の値上りから來る利得者でありまして、物價の騰勢さえ止めれば、瞬間にその利益が喪失するというクラスであります。又これを強いて捕捉しようとしますと、又強いて物價の値上りを促進し、又すでにこれは財産税の徴收によつて、いかにこれが惡い影響をインフレの面に及ぼしたかということが証拠立てられておるのでありますが、いわゆる増税或いは新らしい租税收入を掛けられますと、これらのクラスは必ずこれを他に轉嫁する方法を持つております。その結果は、財産税が今日所期の結果を挙げることができなくして、徒らに物を騰げてしまつたと、こういう結果からみて明らかであろうと思うのであります。  第三は金融業者でありまする関係上、いわゆる貯蓄増強をここ一年程やつておるのでありますが、敗戰後新らしい意味で新資本の蓄積ということが行われない限り、日本の財界はインフレの悩みから脱却することはできないのであります。この運動を続けます場合に、常に問題になりますことは綜合課税の方針であります、簡單に結論を申し上げますと、勤労所得或いは公社債の利子收入というものは、つまり金銭債権から生じまする所得及び勤労所得というものについては綜合課税の方針というものを一擲することができないのであろうかという問題であります。負担の公平を期する点、並びに担税力の点を考えまして、高額所得者なんという者に累進的に税を掛けるということは、これは勿論徴税上の原則でありまして、何人も異議はないと思うのであります。併しながら今日の状態を考えますると、勤労者の生活給的の給與が非常に殖えております関係上、上下の給與の差というものが非常に滅つております。又累進課税になりまする結果としまして、さらでたに生活給與的の給與が、機率給がそこに加つておりましても、累進税のありまするために、これが相殺されまして殆んど能力の上下を問わず同じような收入を得られる。先程も前公述者の方のお話に炭鉱の話が出ておつたようでありますが、今日五千円以上の收入を得ておる者が大体それぞれの企業体におきましてその中堅となり、又経営の中心を成しておる。工員でいえば熟練工、こういつたような部類に属するクラスと思うのでありまして、これらの累進税のために、手取りの給與というものは減殺されまして、何となく能率給の面が薄められるという点に私疑問があると思うのであります。且つ今日のような状態におきまして累進税というものが非常に困難ではないか。先程も実際にお当りになつておられると思われる公述人の方からも、いろいろ私參考になることを伺つたのでありますが、預金利子、或いは勤労所得、総てこれの類のものは源泉課税にして、綜合課税の方針の暫定的にでも中止してしまつたならば、徴税上の事務の簡素化ということも考えられる。又統一せられたる財政收入が実際の面において取れないといつたような、今回の本年度の予算面に現われましたように、財政收入の実績が予算面と著しく喰違つて來ておるというような事態を防げるのではないかと思うのであります。こういう点から考えまして、課税上の大原則であるということは認めるのでありますが、暫定的なりとも、日本の経済が今少し安定するまででも非常措置としましてこの綜合課税方針を一擲して頂きたいということが一つであります。  最後にこの非戰災者家屋税の問題でありますが、我々はこれを感情税と申しますか、感情の上においては成るほど今日戰災を受けた人及び然らざる人との間に非常なる差異があることを認めるのであります。唯私としまして、この税に対しる反対の理由は、これが法人に掛けておるという点一つであります。もう一つは課税の物件が何が故にいわゆる家屋に限られておるか、これが分らないということが一つ、もう一つは、結果において、これは財産税の第二次の賦課になるということ、凡そこの三点ぐらいに要約されると思うのであります。前日財産税の徴收に当りましても、初めは法人に限られたかのように聞いておつたのでありますが、この点を除かれました点から見ますれば、今度の非戰災家屋税の方は、前の財産税よりも更に惡税であると断定できるように思うのであります。先程申上げましたように、財政支出の制約のためには、是非共財源を探さなければならん、こういう観点からして考案せられた税金とは思うのでありますが、各業界からもこの非戰災家屋税の操作の運用について各種の要望が出ております。就中法人につきましてはこの税金には金納になる見込が全然ないということであります。つまり法人におきまして殆んど資金的にこれを捻出する余地がないということであります。從つて大分部この税金というものは法人に関する限りは物納という法方以外にない。併しながら現在稼働しておる工場機械その他を物納するということはできないから、ここに何らか特別の措置を設けまして、或いは会社の資本を探させるなり、或いは社債のようなものを発行させながら、長期に亘つてこれを徴收するというような方法に出るより外ないということになると思うのであります。これが今日政府財政支出の面からインフレの誘発となつております点を一向に救済策として役立たないというふうに考えるのであります。第二は目下企業、金融機関共に再廣整備の途上にあるのでありますが、既に一應の財産処理を済ませまして、新旧勘定の上に特別損失その他が確定を見つつあるのであります。この場合におきましても、この特別税というものが、旧勘定に行くのか、或いは新勘定に帰属せられるのか、これらの点がまだ未定のように私は聞いておるのでありますが、万一旧勘定に属する不動産の上に課せられたものは、これは旧勘定の負担なりという判定をいたしますれば、今まで各方面に非常な努力を拂つてでき上りました各社の整理特別損失財産の計算というものは全部又やり変えなければならないことになるのであります。又これを新勘定に全部負担させるということになりますれば、大体旧債を総て清算して新しい形で運営さるべき新勘定というものに、ここに意外な負担が掛りまして、新勘定だけの面における今後の運用というものにいろいろな支障を生ずるのではないか、これらの点を考えまして、できるならばこの非戰災者特別税というものは他に適当なる財源を探してこれを廃止すべきぢやないかというのが私の結論でございます。  先程もお断り申上げましたように、どうも税制の面には余り專門の知識を持つておりませんので、以上申上げて責を塞がせて頂きたいと思います。
  6. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 都合によりまして一時休憩をいたします。それでは午前はちよつと再開がむずかしいと思いますから、午後一時から再開いたします。    午前十一時四十一分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十四分開会
  7. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 午前に引続きまして公聽会を開会いたします。公述人のお方のお述べになる時間は、午前に二十五分以内と申上げましたが、成るべくそれ以内において、簡明に一つお願いを申上げたいと思います。長谷田泰三君。
  8. 長谷田泰三

    ○公述人(長谷田泰三君) 只今御紹介に預かりました長谷田でございます。今回の税制改正に関する法律案、即ち所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戰災者特別税法案の詳細につきましては、まだよく見ておりませんので、おのおのの法律案要綱に現われましたところに從つて、簡單に私の意見を述べたいと思います。  税制改正案全体を通じての特色としましては、経費の膨脹、特にインフレーシヨンの影響によつで増大します歳出予算に均衡することに汲々として、從來の税制を強化したに過ぎない、積極性に乏しいという感じがいたすのであります。併し金額においては甚だ大きく、國民の負担が非常に重大でありますからして、この税制改正におきましても、相当な工夫或いは新味を盛るべき必要があると思われますが、それは殆んどこの案には見られないのでございます。概して申しますと、この改正はいわゆる税務行政上の見地が最も有力に取上げられておりまして、成るべく手の掛からない方法で收入を上げて行こうということに重きを置いておるように見えるのであります。こういう方針が常に必らずしも惡いとは申せないのでありますが、若し從來の税制が現在の経済事情に適應し得るものでありますならば、手数を掛けないで收入を上げることは最も良い方式であるといつてもよいのでありますが、不幸にして現在の経済事情は、從來とは全く一変いたしまして、インフレーシヨンであるとか、或いは闇の取引であるとか、或いは新円階級というような、從來の尺度方法を以ては捕捉し難いものばかりであるわけであります。そこで從來の税制を極度に緊張させる方針は、結局新らしい情勢に應じて行けない、いわゆる沒落しつつある旧円階級或いは勤労所得者に対して過重なる負担を課すると、こういうことになるように存ずるのであります。而も新円階級の方は、余りこれでは捉えられないということになる。このインフレーシヨンの場合におきまして、最も重く負担を掛けて新円階級からその過剩な資金を吸收するということが非常に必要なのでありますが、これが今度の税制政正では殆んど目的を達し得ないのではないではありましようか、この点、新円が都会にだんだんと集まつて参りまして、次第に欠乏して來る商品の闇取引に使われる、そうして物價を吊り上げるというような惡い経済的な作用をいたすというのに対して、余り積極的な手を打たないということは甚だ遺憾であると思うのであります。そういう点では、何となくこの改正案には氣魂が乏しい、始終後から後から追いかけられてやつておるという感じがいたすのであります。  勿論、大藏省がいろいろ苦心をしておられるということは分るのでありますが、八月頃に出る筈の予算か三ヶ月も遅れて出て來る、我々にはちよつと想像のつかんような状態でありまして、その間いろいろ議論があつたことと思うのでありますが、尚前の公述人の方からもお話があつたことでありますが、現在の税務機構を見ますと、いろいろの点において欠けるところが多いようであります。税務機構を大藏省の方では大いに拡張しようという努力をしておられるようでありますが、実際はそれに合つていない。殊に我々の見受けますところでは、経驗の淺い若い人々が多いようであります。その未熟な人々の多い税務機関によつて、昨年度の税收入二百五十八億から、今年度本予算、追加予算を合しまして、一千三百三十二億、約五倍の收入を上げようというのでありますからして、勢い余り手数の掛からん方法で多くの收入を上げるということに落ちて來たのであろうと考えられます。併し全体としては、何としても積極性に乏しいことは否定し得ない。これはひとり税制改正のみではなく、行政のすべての面に見られることでありまして、根本的には政治に氣魄が欠けておるという感じを我々はいたしておる次第であります。次に個々の改正の点について見ますと、勿論現在の税制の中心は所得税にあるわけでありまして、その所得税について、今回の改正では七万円以上の高額所得税率の引上と、勤労所得者、及び扶養親族を有する者の負担を軽減するということになつておるのであります。この七万円以上の所得者に対する税率の引上げ方につきまして見ますと、三十万円程度のところまで相当引上が大きいようでありますが、まあ中小工業の負担というところが可なり重くなつて來るように見える。而も百万円以上の所得に対しては八五%ということになつて、そうして税額は最高課税所得金額の百分の八十に止めるということになつておりますから、いわゆる高額所得の中では、その中程の部分に可なり強い。その累進率のカーブを描けば、そこのところは可なり重く、総体的に重くなつておると思うのであります。一方大所得所得が大きくなればなる程脱漏の機会が多くなると思うのでありますが、この点で研究の余地があるのではないかと考えております。現在のインフレーシヨンの状態の下におきまして、どの程度以上の所得を高額所得というか議論はあろうと思うのでありますが、勤労所得でも相当大なる收入がある。先程もお話になりましたような、炭鉱労働者の收入の場合のごとき、月收一万円を超えるということになりますと、それが一年を通じて見ますと、働けば働く程、勿論收入は殖えるが、税の負担率が非常に重くなる。そのために生産意欲が減退するというようなことをいろいろ近頃は聞くのでありますが、これは炭鉱ばかりでありませんで、多くの例がどこにも見られる。そこで学者の中におきましても、勤勞所得に対しては累進税は適当でない、比例税を掛けたらどうか、こういうような意見が出て參るわけで、併しながら今日では勤勞所得は國民所得の中で非常に大きな部分を占めておるのでありますからして、或る程度これが負担をしなければ十分な收入を得られないということは疑もない。併しそういつても一方ではそのために生産意欲を抑えるということは、これ又現在の情勢から見て甚だ重大なことであります。そこで高額所得の場合に、税額が最高課税所得金額の百分の八十に止められておる。八〇%に止められておるということを、これを勤労所得の場合にも何らかの方法でアツプライする。そうして例えば所得額の四五%或いは五〇%あたりで止める、こういうようなことを考える必要があるのでないか。或いは勤労所得につきましては、税率の重い部分につきましては、イギリスで戰爭のときに行ないましたように、その税を拂つても、貯蓄にする、或る一定の時期が來ればこれに返す、こういうような方法も考え得るのではないか。この点も相当考慮を要し、工夫を加える必要があるのではないかと考えられる。勿論現在のインフレーシヨンの状態において、貯蓄ということはこれは余り魅力のないことであるかも知れませんが、併し一つの方法として考え得ることと存ずるのであります。  次に、酒税以下間接税及び高率課税は、煙草の値上と共に大衆課税として非難されておるのであります。これは要するに、先に申しましたように、取易い方法を選ぶという結果こういう非難は免れないと思うのであります。インフレーシヨンは、これは税金でありませんが、事実上大衆課税でありますからして、間接税と同じでありますからして、そこで間接税を増加するということについては余程注意を要する。殊に直接税が全体の七割、間接税が三割というような説明を大臣が言われたようでありますが、併しながらこの区別は甚だ誤解を招く虞れがありまして、間接税の中に煙草の値上げを入れますならば、恐らく両方とも四〇%台になり、流通税が多少それに加わるということになる。併しインフレーシヨンの影響というものは間接税と考えますならば、これはずつと直接税の方が弱くなる、こういうことであるます。勿論直接税ばかりで到底現在の経費を支弁し得るだけの收入を上げられないのでありますからして、直接税で全部を覆えということは到底できないのであります。然るにしばしば常識的に直接税が何パーセント、間接税が何パーセントということで、直接税の負担の大きいことをいうのは誤解を招く原因になると思うのであります。  それから法人税のことを申しますが、法人税は、これはいわば比較的新らしく発達した税金の種類でありまして、從つて將來、先程も公述人の方が申されましたが、余程研究を要する税金である。これがあまり高くなると投資を阻害する。むしろ軽減して欲しいというふうな御意見もあるのであります。併しながら收入額を見ますと、所得税に比べればずつと少いのであります。そうして法人税の方は個人の場合と違つて、いろいろな形で一種の脱税の行われる場合が多いと考えられます。將來税制改正をやる場合につきましては、この点に十分な研究をした上新らしく組立て直すということが必要ではないかと思います。將來の法人税に関する法律は、多くの詳細な点をば法律にしないで、命令に委ねておるというふうにみられておるのでありまして、この点も將來の税制改正については、考慮して頂きたいと考えるのであります。  新税としては非戰災者特別税というものがありますが、これは要綱におきましては、「戰災者と非戰災者との間における犠牲の不均衡を是正するとともに、臨時緊急な財政需要に應ずる」というふうになつております。この税は二つの税からできておるのでありますが、結局性質としては財産税であると考えられます。併し免税点が甚だ低いので、從つて大衆にも負担を課する、こういうので、先程も申された戰災者に対する一種の感情といいますか、センチメントに訴えるというような税金でありまして、税というか、一種の妙な税金であるという感じがする。直接税でありますならば、これは累進税率を掛けるということも、当然問題になると考えられるのでありますが、併しそういうものでもなく、物税のような形を取つておるし、又そういつた点で、正体が其だはつきりしない、そこにいろいろ非難が生じて來ると思うのであります。若しこれが何らかの形における財産税という性格があるならば、むしろ形を変えて第二の財産税として課するということになれば、形はすつきりして來る、又累進税率も適用できる、或いは新円階級をも包含して非常に大きな税源となるというふうに考えられるのです。併しこれは財産税ということになると、もう一度新円を封鎖するとか登録するというような問題も含んでおりましようし、又手数の上においては非常に大きな問題を含んでおるというふうにも考えられる。殊にインフレーシヨンの急速に進行しておるときにおきまして、財産税を行なうということは、從來の例もあまり結果においてはよろしくない。この点いろいろ問題が含むと思うのですが、その点は別として、非戰災者税というものの正体がはつきりしないというところにいろいろ非難が生じ、又課税上において疑義を生ずる点が多いのではないかというふうにいえるのであります。  最後に先程からも承りましたが、現在滯納が非常に多い。これは税金の負担の過重であるという一つの証拠でありましよう、更に今後半年の間に千億に近い、或いは千億を超える課税をするという、こういうことが果して可能であるかどうか、これは何人も心配する点である。今度の追加予算におきまして、一應收支のバランスが取れているといわれても、その支出が消費的な性質の経費が非常を多いのでありますから、インフレを助長する傾向がある。更にこれが取れなくなる。十分取れないということになりますと、一層予算の不健全化を生ずるのでありまして、この点余程注意を要するのではないかと思うのであります。そういう情勢にありますからして、取る上においてはできるだけスムースに円滑に取るという用意が必要ではないか、こう考えるのでありますが、この点におきまして、この要綱のおしまいの方に「租税の賦課徴收につき適正な運営を図るため、團体諮問及び徴收補助團体に関する規定につき、所要の改正を行うこと。」むしろこういう團体諮問とか徴收補助團体との話合とかいうようなことは止めろということであります。或いは又(ハ)の「納税施設のを廃止すること。」、こういうことも出ておるのでありますが、この点は税金を容易に取るという要求に対しては矛盾して來るのではないか、こういうふうに考えへます。勿論組合とか、或いは團体とかいうものを通ずるということは、いろいろ弊害が多いことも考えられるのでありますが、併しこれについても徴税上に適当な方法を考える。それは例えば勤労所得につきましては、源泉課税をしているので、比較的徴收という点においては、たやすくなつている。ところが営業所得の方においてはそういうことはないのでありますからして、そこで納める方も徴收する方も、いろいろ困難が起りやすい。でありまするからして、その点を円滑にする方法を考えるという必要があると思うのであります。今度の改正ではこれらの方法、これが從來どの程度に利用されているかにつきましては、私はよく存じませんが、併しこういうふうなな方法を將來檢討する必要があると考える。  全体としましては、今度の追加追算は健全財政主義を唱えておるのでありますが、併し実際においては、いろいろ無理な点が多いようであります。できるだけこの健全財政主義を名実共にそうであるようにする。その点からは財政法の認める範囲内において、経費の性質に從つて公債を用いることができるというふうにしまして、そうしてただ形ばかりの健全財政で、一種の欺瞞をして無理な予算を作るというよりも、必要に應じては経費の性質によつて公債も使える。こうした方がよろしいのではないか、こうしたことが公債増発ということになるかという点につきましては、復興金融金庫の資金の増大の傾向、これを適当に予算の方の入れるということで合せて行きますならば、必らずしも公債を用いるということが、現在以上の公債の膨脹ということにもならないで無理を避けてそうして健全財政を貫き得る、こういうふうに言われるのであります。これを以て私の公述を終ります。
  9. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 井藤半彌君。
  10. 井藤半彌

    ○公述人(井藤半彌君) 只只今から二十五分間要点だけしやべらせて頂きます。私、学校の教員であるためか、少し大ざつぱなことを申しますので、これはお許しを願いたいと思います。  御提出の問題に限らず一般に租税問題を批評する場合に次の二つの立場から見る必要があると思います。今度の御提出の税制改革案というものは、これは租税のいわば部分的改正でございまして、税制に関する全般的な改正案ではございませんけれども、こういう部分的なものを研究するに当りましても、どうしても廣い立場で取扱う必要があるじやないか。そういう意味でどうも学校の講義のようなことを十分間程申上げることをお許し願いたいと思います。  そこで租税問題を研究する場合に次の二つの立場からこれを檢討しなくちやならん。その一つは租税総額の問題であります。その二番は租税の人民間への配分、割当の問題であります。即ち租税総額というものが、一國の経済力その他から半断いたしまして果して妥当であるかどうか、これが一番の問題、二番の問題はそれがこの総額が仮に妥当としましても、これが人民への割当が妥当であるかどうか、この二つの問題を二つの観点から税制改革案は見るべきものじやないかと考えております。  そこで先ず租税総高の方から申しますというと、一体租税総高というものが一体それで妥当であるかどうか、これにつきまして体温計のようなものかありまして、そうして何度まではかまわないけれども何度を超えてはいかんというようなことがあるかと申しますと、これはないのであります。これは結論を申しますと経局は國民の経済力であるとか、或いは國家経費の性質などの綜合によつて決まるのでありまして、数字を以てこれを申上げることはできないのであります。そこで課税の限界でありますが、課税の限界というものは何によつて決まるのかと申しますというと、私の一般的な考を申しますと課所に伴う社会的犠牲、それからその金を國家経費の形でこれを使う場合に発生するこの社会的價値この二つのものを比較いたしまして、社会的價値がこの社会的犠牲よりも大なる限り税金を取つてもかまわない。いわば両者の比較によつて決まるものと思うのであります。從つてこれは國家生活、國民生活の綜合によつて判定し得るものでありまして、簡單には判定できないのであります。普通よく行われております方法は、この租税と國民所得との比較によつて課税の総額が妥当であるかどうかということが言われております。例えば我が日本について申しますというと、これは皆様御案内の通り政府の御発表によりまして、國民所得が現在九千億円ということになつております。そうしてこの國税でありますが、勿論この國税の中には煙草專賣益金をも含めてありますが、國税が千八百二十一億とこう言われております。そこでこの千八百二十一億を九千億で割算をいたしますと二〇%という答が出ます。そこでこれを戰爭中の我が日本であるとか、或いは外國と比較いたしまして多いとか少いとか。そこで戰爭中の我が日本におきましては、この割合は皆様御案内の通りやはり大体二〇%弱でございます。現在の日本では戰爭中と同じように租税の國民所得に対する割合から申しますと大体同じ割合であります。ところが外國の例を見ますとアメリカなどは戰爭中は三〇%以上であります。それから今年でありますが、これはアメリカの共和党のリーダーのタフトの言つたことでありますが、國民所得の大体三分の一を税金として取つておる。そこでこういうようなパーセンテージを比較して見ますと、現在我が日本では相当増税の余力があるように考えられますし、又一應そう考えてもいいのでございますが、但しこの法律は次に述べますような点において欠陥がある、注意すべきことであるということを申上げたいのであります。  先ず一番が租税の概念というもの、それから國民所得の概念が國により、又同じ國でありましても時代によつて違う。例えば昭和十九年度の予算について私が調査いたしましたところによりますと、古いのでありますが、租税の解釈又國民所得の概念の解釈如何によりまして、このパーセンテージがある一つの計算方法をやりますと、一八%という数字が出ます。或る場合には三二%という数字が出まして、非常に違うのであります。それが一番。  それからもう一つは、これでは國民財産というものが無視されている。ところが我が日本では御案内の通り、戰債賠償その他海外資産喪失という点がございまして、國民財産の立場から申しますと、戰爭中に比べて負担能力が減つておるということがあります。  その次に注意すべきことは、租税の負担能力は、國民所得の増加に比例以上の割合で殖えるということであります。從つて日本の現在のような貧乏な國では、國民所得の二〇%、二〇%と申しましてもアメリカの三〇%より却つて重いということがいえるのであります。それから國家経費の種類であります。國家の経費が國民厚生に投ずることが多い場合は、このパーセンテイジが重くともなお増税余力があるということになつておるわけであります。日本におきましては國家経費の種類が必ずしも國民厚生に関する費用が多いとはいえないのであります。  そこでこういう点から判断いたしますと現在我が日本におきましては、租税の國民所得に対する割合が、二〇%となつておりますが、これは相当重いのでありまして、現在これによつてこれを外國のものなんかと比較いたしまして、尚増税に余力があるなどと申しますことは少し危險じやないか。現に租税がこの増税の限界に達しておりますことは、例えば先程から盛んに公述人の方々が申しておられるような官公労務者その他いろいろこれ以上増税は困るというような状態が現れておりますことは、その徴候じやないかと思います。そこで甚だぼんやりした感じを申すのでありますが、そうだから申しますというと、現在は可なりと天井を突きつつあるのじやないかと考えられるのであります。  その次が今度は配分であります。総高が仮にこれならこれでいいといたしまして、これを國民間への配分がどうなつておるか、そこでこれにつきましての配分状態がいいか惡いかということは、これは嚴密にいうならば國民の家計調査をやらなければ分らんのでありますが、それはできませんので多くの人々は又我々もよくやるのでありますが、直接税と関接税との比較によつて一應の見当をつけるということが行われております。これは私の計算でございまして、大藏省において、御発表になつておる計算とちよつと違うのでありますが、私の計算によりますと、現在我が日本の直接税が勿論今度の追加予算も入れまして九百十億円であります。それから間接税が九百六億円であります。大体この直接税と間接税が同額になつております。ところが今度のこの戰爭中はどうかと申しますと、直接税を一〇〇にいたしますと間接税は約その半分の五〇ぐらいの割合になつておりまして今年は確かにこの間接税、勿論間接税の中には煙草の專賣益金を含めてでありますが、間接税が非常に多いのであります。そこでまあよく世間でいうことでありますが、間接税というものは大衆が負担する。直接税というものは金持が負担すると、こういうのでありますが、これは大ざつぱな議論でありまして、細かに申しますとこれには批判の余地があるのでありますが、併しながらこの大ざつぱな掴み方をいたしましたものを数年前に比ベますと、現在我が國の租税制度というものは確かに惡い方向に逆轉しておるということは一應はいえるのであります。併しながらこの租税というものは國民経済を地盤にするものでありまして、如何なる進歩的な税制でありましても、國民経済がそれに伴つて発達しておらない場合には、進歩的税制というものは実施することができないのであります。ところが遺憾ながら我が日本は敗戰以來、租税の地盤たる國民経済がむしろ退歩しておるのであります。逆轉しておるのであります。これを具体的に申上げますと、皆さん御存じのことでありますが、國民経済力が後退しております。生産力も後退しております。それから現在の國民所得は九千億円と申しますが、併しながら支那事変前に比べますと、実質國民所得は大体四四%に減つておるのであります。と申しますのは、昭和十二年度の國民所得を仮に二百四億といたします。それから現在の國民所得が九千億円になつておりますが、この間に物價が幾ら騰貴しておるかというと、まあ分り易いように物價が百倍になつておると仮定いたします。そこで九千億円と申しましても、昭和十二年の貨幣價値に直しますと九十億円でありまして、昭和十二年の二百四億と比べますと僅かに四四%に下つておるのであります。それから又こういうふうに、我が國の國民経済力を非常に後退してえるという事実があります。それから経済界が混乱しておる。それから政府の統制力が非常に弱くなつておる、それから税務機関が非常に弱体化しておるというふうに、進歩的租税を実施すべき経済的行政的地盤がなくなつておる、後退しておるものでありますから、それに対應して租税制度というものも逆轉するのも、或る意味において止むを得ないのじやないかとも思われるのであります。從つて現在我が日本におきまして、間接税が割合に多くなつておるのも、これも止むをえないのじやないかと考えられる節があります。だから現在の我が日本におきましては、進歩的なる租税制度は非常にむずかしいのであります。私はむしろ租税といたしましては、理窟としては古い制度でありますけれども、併しながらやや古いような制度を採用する方がまだいいのじやないか。そこでこれはまあ古いとも何とも言えませんが、源泉課税をできるだけ多く採用する。それから外形標準課税をできるだけ多くする。それから税務機構の刷新強化を図る。現在予定申告納税制度というものが、所得税その他で行われておりますが、これは可なり進歩的な税制でありますが、これをうまく実行するにはどうしても税務機構の刷新強化ということが必要であります。これはまあ一般的なことを申しました。そこでそういう立場から、今度政府提出の個々の増税案について簡單に感想を結論だけ申上げさして頂きます。  先ず所得税でありますが、現在所得税は増加所得税と、普通所得税と合計いたしまして七百五十九億円であります。それで國税千三百三十二億円に対する割合を取りますと、五三%、即ち税金の半分以上は所得税であります。元はどうであつたかと申しますと昭和十五年から最近まではどうかと申しますと、大体四〇%、税金の中四〇%内外が所得税であつたのでございますが、今年は五三%が所得税になつております。それで所得税というものは、租税制度といたしましては、これ以上重くかけることは実は困難な状態になつておるのであります。そこで現在の所得税制度の欠陷でありますが、これは物價騰貴に伴つて税率が自動的に高まつておる。現在のようなインフレーシヨンの時機におきましては、物價騰貴に伴つて租税の割合が自動的に高まつておる。と申すのは、今度の政府の税制改革案を見ますと、百万円を超えるものには八五%の所得税を取るということになつております。ところが物價が十年前に比べて、百倍になつておると仮定いたしますと、現在百万円と申しましても十年前の貨幣價値に直しますと、一万円であります。一万円の者にして八五%という重い税金が掛かつておるのでありまして、この点から申しますと可なり天井を突いておるといえるのであります。だからこれ以上税率を引上げるということは非常にむずかしいのじやないかと考えております。そういう立場から申しますと、基礎控除が現在四千八百円になつておりますが、これは物價の騰貴などと見合せますと少し低過ぎるのであります。それから扶養家族の税額控除は今度の税制改革案では四百八十円になつておりますが、これも少し低過ぎるのじやないかと考えております。要するに制度として所得税はこれ以上増税することは困難であります。問題は制度をいじくるのでなくして税務機構の強化刷新を図る。そこに問題の重点があるのじやないかと考えられます。  所得税はそれだけにいたしまして、次は法人税の問題に移ります。法人税は現在大法人がなくなりましたので、租税といたしましては昔のような重要性を持つておりません。金額から申しまして現在は六十七億でありまして、租税千三百三十二億に対するパーセンテージは僅か五%、租税の五%が法人税であります。これを数年前一〇%が法人税であつたのに比べれば、法人税が日本の租税体系において占めておる地位は非常に低くなつておるのでありす。それで今度の政府案を見ますと、同族会社の家産税のみ五%引上げることになつております。併し租税として見ますと、現在の法人税にはいろいろ欠陷がある。いろいろ研究を要することがあるのじやないか。と申しますのは、超過所得税の問題でありますが、現在超過所得税といたしまして最低一〇%最高三〇%というものが掛かつております。そこでこの税率だけを抽象的に見ますと、そう大して重い課税とも考えられないのでありますが、事実問題といたしましては、これでも尚高過ぎるということがあり得るのであります。これはあらゆる法人についてでありません、一部の法人でありますが、例えば一部の法人について見ますと、資本金というものは軽々に増資ができないので、昔のままであります。ところが資本を構成するところ資本財、具体的な資本財というものは非常に高くなつております。だからして儲けも非常に多いのであります。ところが純益の資本金に対する割合、法人の純益率というものは非常に高い率になつております。そのために常識で考えてそう景氣のいい会社でなくとも、超過所得税というものは非常に重い率になつておりまして、そのために会社によつては税金を拂うよりも浪費をする方がいいというので、浪費を盛んにやつておるということがあるのであります。それで現在のようなインフレーシヨン期になりますと、資本金に対する何割を超過所得税の計算の基礎にするという制度は、再考を要するのじやないかと考えられるのであります。これはあらゆる法人についてそういうことがいえるのではありませんけれども、一部の法人については確かにこういうことがあると思います。この点は何とか改正が必要じやないか。それで資本に対する課税が現在千分の五ということになつておりますが、これは引上げる必要があるのじやないかと思います。先程から他の公述人の方々がおつしやつておられることでありますが、法人税というものはこの際根本的に再檢討を要する税金じやないかと考えられるのであります。  次に流通税、消費税の引上でありますが、私は結論を申しますと、大体今度の引上案は当を得たものでないかと考えております。登録税、酒税、清凉飲料税、物品税、入場税、特別入場税、骨牌税、印紙税、狩猟免許料、これは皆引上げることになつておるのでありますが、この多くは定額税であります。物價騰貴に伴つてこういう税金が上るということは、これは当然のことであります。勿論こういうような税金を上げるということは、物價騰貴の傾向を助長するということになつておりますが、それではこの増税をやらない場合はどうするかとなると、その代りの財源として外の税金を高くするか、或いは公債を募集するか、その他の方法を採らざるを得ないのでありまして、そういう側からインフレーシヨンを助長するという危險があります。それよりはむしろ税金の形で、合理的に物價の騰貴を図る方が、國民生活に対する影響からいつて、より望ましいものでないかと考えるのであります。  最後に非戰災者特別税でありますが、これはなかなかいろいろ問題の税金であります。それでこの非戰災者特別税を掛けられる趣旨といたしまして、非戰災者と戰災者の負担均衡ということが言われております。併し非戰災者と戰災者の負担均衡という点から申しますと、今度の非戰災者特別税はまだ安過ぎるのでないが。ということは、私のような戰災に罹らなかつた人間の方が割がよ過ぎると思うのであります。それはさて置きまして、税金といたしまして、これは問題のある税金であります。というのは、戰災が終りましてから凡そ二年以上経つております。この税金が実際入るのは、戰爭が終つてから二年半になつておると思いますが、戰爭が終りましてから今日に至りますこの二年半の納税者側の事情を考慮しておらないということは、これは税金の大きな欠陷でないか。だから、終戰後の新興階級はこの税金は一應掛かりませんし、又終戰当時相当財産を持つておつた者でありましても、それから後その人の経済状態が惡くなつておる連中、こういうような者には重い税金を掛かるということになるのであります。それからこの税金の一つの欠点は先程長谷田さんも申されましたが、比例税をかけておる財産税につきまして、いかに個別的財産税と雖も、比例税をかけるということは祖税論に上からいつてどうかと考えられるのであります。それからこれは不動産所有者に重い税金が掛かつておる。從つて貨幣以外の形の動産所有者の負担が割合に軽いのであります。但し貨幣資本、貨幣の形の動産所有者は、これは物價騰貴であるとか、封鎖であるとかなどで、相当重い負担が掛かつておるのと同じ結果になつておりますが、貨幣以外の形の動産所有者に対する負担が、少し軽過ぎるのでないかと考えられるのであります。それから課税標準の不適正なんというような、いろいろの欠点はありますが、佳しながら私はやはりいろいろの欠点はあるけれども、大体のことから申しますと、こういうような税金をこの際掛けるのも止むを得ないんじやないかと考えられます。  以上政府の御案に関する簡單な感想を述べさして頂いたのでありますが、私はこれ以外に次の二つの新税を御考慮願いたいと思うております。  その中の一つは経常財産税であります。これは去年掛かりましたああいう実質上の財産税でなくて、毎年々々掛けます経常財産税であります。これは所得税の補完税として掛けて頂きたいと考えております。現在我が國では所得税には補完税はありません。元は所得税の補完税といたしまして、收益税であるとか、分類所得税があつたのでありますが、國税としては所得税の補完税はなくなつたのでありますが、これに対して経常財産税を掛けて頂きたい。これは所得とは違つた側面から税金を掛けますので、所得收入という方面で脱税をいたしましたものでも、経常財産税で把握することができるのであります。だが併しこの税金も現在直ぐ実施をするのは、いろいろ技術的に、テクニツク的に困難が伴います。殊に新円の再調査をやつたりしなくちやならんことになりますと、これ亦いろいろ経済界に惡影響を及ぼしますので、今急に実行することは困難かと思いますけれども、我が國の租税体系といたしましては、経常財産税は近い將來、或いは遠い將來になるか分りませんが、経常財産税の新設をお考え願いたいと思ます。  その次に、これは相当反対論があると思いますが、農業税の設置であります。と申しますのは、農業というものは、昔は地租が掛かつておるから宜かつたのでないかということになつておるのでありますが、併しながら地租の收入というものは固定しておりまして、上るものでありません。そこで一部の農家におきましては、これは非常にこの頃は收入が多いのでありまして、これは農業税か何かの形で課税する必要があるのでないか。勿論これに対しまして、農家では供出ということもやつておるが、供出は実質的にいつて税金と同じでないか……。それは確かにあります。そういうことをいうならば、工業家もマル公で財の提供をやるべく命ぜられておるのでありまして、とにかく農業方面に現在相当の担税力がありますので、これを何かの形で新たに課税して頂くようにすればどうかと考えておるのであります。  以上私の結論を申しますと、とにかく税金というものは何かの欠点が伴うものであります。というのは、税金に使わないで外の方面に使えば有効に使う金を取上げるのでありますから、何かの欠点は伴いますけれども、併しながらこれはより以上のよいことをせんがために伴う欠点でございますのでこれは止むを得ないのでないか。私は個々の点につきましては、政府の今度の案は望ましいものとは思いませんが、大体大掴みいたしますと、私はこの案に贊成するのであります。大体の大掴みで、個々の点についていろいろ批評を申上げました。それで現在我が日本に必要なことは、制度の改革よりも税務機構の刷新強化、これが何よりも大切であるということ、それからもう一つ最後に申上げたいことは、租税というものは資本主義経済秩序を前提とする財政制度であるということ、從つて資本主義の存続というものに矛盾するような租税制度は、論理的矛盾であるということを申上げたいと思うのであります。これを以て私の話を終ります
  11. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 山口正吾君。
  12. 山口正吾

    ○公述人(山口正吾君) 私は主に所得税の中の勤労所得税を中心に、意見を述べてみたいと思うのであります。その前提としまして、現在のインフレーシヨンが進行しておるということであります。もう一つは、今度の予算全体からしまして、通貨が出、物價が騰がり、千八百円ベースというのは事実上不可能になるということが、前提にならざるを得ないと思うのであります。この点につきましては、この前衆議院予算委員会の公聽会におきまして、私の意見を発表して置いたのでありますが、その二つの前提からしまして、今度のこの税制改正における所得税、殊に給與に関する税の改正が、果してそういうような実情を汲取つておるかどうか。そういう点につきまして、非常に簡單に意見を述べてみたいと思うのであります。  インフレーシヨンがこのように進行しております場合に、給與に関する租税を相当愼重に取扱わなければならないことは申すまでもないのでありまして、殊に日本におきましては、インフレーシヨンが進行しておるということだけではないのでありまして、闇が非常に廣汎である。その二つの原因が重なつて勤労所得を殊に不均衡に、それに対する課税を重からしめておるわけであります。更にその上に現在のインフレーシヨンを堰止める方策として採られておる経済政策は、いうまでもなく物價の公定と賃銀の或る程度の釘附けに近いような政策なんでありまして、その二つからしまして給與というのは、実際に我々の最低生活を維持することのできないような程度になつておるわけであります。そういう場合に、税の負担能力があるかどうかということ、殊に最低生活を割るような收入の場合に、租税をどういうふうに掛けることができるかということは、相当愼重に考慮をしなければならないところだろうと思うのであります。今度のこの改正案におきましても、給與所得の計算につきましては、一般の所得の計算と多少違う取扱いをしておるのでありますが、併しその取扱いの仕方は、單に技術的に前の税率よりも軽くさせるという点に主眼が置かれたようで、これによつて現在のインフレーシヨンにおける給與というものをどういうふうに見ておるか。殊にそれに対する課税を理論的に、又実際的にどういう考えを基礎にしてやつたかという点が、極めて不明瞭のものが残されておるわけであります。例えば要綱の二の給與所得の計算について、その年の收入金額から控除すべき金額は、その十分の二・五に相当する金額とすること。現行十分の二で、最高現行は六千円、今度の改正では最高一万二千五百円となつております。ただそういうように幾らか緩和するということが技術的になされただけでありまして、なにを基準に緩和しておるか。これによつて千八百円ベースに基ずく今の給與による負担ができるのかできないのか。更に千八百円ベースが崩れると予想される場合に、一体いかなることをこれが望んでおるかというような点につきまして、甚だ不明瞭なんであります。殊にこういうようなインフレーシヨンである、我々の最低生活を維持することがやつとというような場合に、扶養親族があるということは非常に大きい負担になつておるわけであります。その扶養親族の控除につきましても、現行は年二百四十円、それを今度はその倍額にしたというだけでありまして、なぜ倍額にしたか。倍額ということによつてその改正の目的が達せられるのか、改正の目的はどこにあるのか、そういう点につきまして甚だ我々に納得の行かない点が多いのであります。つまり現行の給與所得税率を幾分ずつ緩和して行く。これによりますと大体控除を倍にし、それから扶養親族の税額控除をこれも倍にしたというだけに過ぎないわけであります。ところで今千八百円ベースで現にどういうようなことが出ておるかと申しますと、千八百円ベースに基ずく標準家族、四人家族の給與は現在月約三千円であるといわれております。これを昭和二十二年度、今度の改正案の改訂による昭和二十二年度の税率によつて計算しますと、月に約三百三十円の税負担が出てくるわけであります。ところで今日標準家族の生計費の中で、飲食物に当てられる費用だけで三千円乃至三千五百円、つまり収入の三千円を遥かに大きく割つておるわけなのであります。飲食物費だけにそれだけ当てられておるわけでありまして、千八百円ベースによる標準家族を持つ者の収入に対しては、到底税の負担などできるものではないわけであります。それに対してやはり相変らず三百三十円見当の税額負担をさせるのが今度の税制改革、税制改訂になつておるわけであります。そうしますと一体この税制改革、税制改正の目的乃至基準はどこにあるのか。國民の最低生活ということを基準に考えておるのかどうかという問題が当然出るわけであります。今度の全逓に対する中労委の調案停によりますと、乙地の標準家族の生計費四千八百二十六円の八五%を大体適当な生計費であると認定しております。そうしますと月約四千円であります。その月約四千円の中、この中労委の裁定によつて若しも実際の収入となつた場合には、この昭和二十二年度分の改正税率によりますと、月に六百二十六円の税負担をしなければならないということになるわけであります。つまりそれだけ今度はもう一遍賃上げ運動を起さざるを得ないという結果にならざるを得ないわけなのでありまして、最低生計費に対する一五%の租税徴収というものは、とにかく不合理というものであると考えざるを得ないのであります。  もう一つ考えなければならないのは、そういうようなこの税制の改正は、この予算全体が千八百円ベース堅持を建前としておるということなのであります。千八百円ベースを堅持した建前としておるこの予算が、現実におきましては千八百円ベースを崩壊に瀬せしめるようなものであるのでありまして、それに伴いまして実はこの税制の中に、そういうような千八百円ベースが崩壊するということを建前としたもう一つの体制が必要になつてくるのじやないかというふうに考えられるのであります。言葉を換えていいますと、この給與計算のやり方は、千八百円ベースということに相当縛られてものを考えておる。そういうようなことをもう一遍考えを新たにして、千八百円ベースは崩れて行くのだ。つまり物價をもつと統一するということを前提として、それで國民の最低生活を維持させるために、どういうような租税体制を採つたらいいかということを考え直す必要があるのではないかと思うのであります。具体的にこれをどうするかということにつきましては、私はそれ程大きい意見を持つていないわけなのでありますが、少くとも我々の最低の食糧費、或いは飲食費に当てられる部分に対しては課税するのが妥当ではないと考えられるわけであります。從つてこの収入金額から控除すべき金額というのは相当大幅に引上げねばなりませんし、それから扶養親族一人についての場合も税額で控除せずに、その最低飲食物費くらいのものはやはり基礎控除をした方が合理的ではないかと考えるわけであります。勿論そうなりますと、問題が出るわけでありまして、租税収入が減るわけです。ところが若しこのままのやり方でやれば、賃上げ要求は当然又大きく出るのでありまして、租税で控除するか、給與の方でもつと高いものを支拂うべきか、そのジレンマに陷らざるを得ないということは少くとも今から見通せることでないかと思うのであります。殊にこの年末から來年にかけまして物價が大幅に相当上るだろうということが予想されているのでありますから、そういうような予想を前提としてこの技術的な改正で満足のできるものでは断じてないと考えざるを得ないのであります。  結論を申しますと、結局この改正案はインフレーシヨンの現状を認識していない。殊に今度の予算案全体が持つ欠陷、つまり通貨を出し物價を上げるという欠陷について織り込んでいないということが言い得るのじやないかと思うのであります。それから又こういう場合に給與所得というものが外の所得に比べてどれだけの違いを持たなければならないか、殊に最低生活の維持ということを租税体系の中にどういうふうに織り込まなければならないかということについての考慮が非常に足りな過ぎる。勤労所得を全廃しろという意味じやないのでありまして、そういうような基本的な点につきまして、殊に最低生活の維持確立ということに関しまして、この租税の改正がまるで考慮していないという点について申し上げたわけであります。所得税につきましては私の意見はそれだけであります。  非戰災者特別税につきましては、いろいろこれは問題が多いと思うのでありますが、併し今日のような場合止むせ得ないものであろうと考えたわけであります。税額は少いのでありますし、とにかく家があるということ、それから又家が焼けなかつたというようなことは二年経つて相当大きな無理が出ておるには違いありませんけれども、止むせ得ない租税であるだろうというように考えます。併し問題はそういう点にあるのではありませんで、全体を通じましてインフレーシヨンの進行して行く場合に、こういうような税の建て方でいいのかどうかということにあるわけであります。つまり一方におきましては最低生活の確保ということを考えなければならず、他方におきましては、やはり何といいましても負担能力のある者から税を取るということをもう少し眞正面からやつて行かなければ行き詰つてしまうだろうということが非常に明瞭だろうと思うのであります。そういう点につきまして今後の税制改正は予算案全体の持つ矛盾をそのまま出している。つまり非常に形式的であり、技術的であるが、倍し魂が抜けているというように考えざるを得ないのであります。もう少しそういう点につきまして日本経済を本格的に建直すためにどういうことが考えられるかというような点を考慮して貰いたいものだと思うわけであります。簡單でありますが、勤労所得税を中心にしまして意見を申し述べたわけであります。
  13. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 上木神秀三君。
  14. 上木神秀三

    ○公述人(上木神秀三君) 私は消費者大衆の立場からこの問題を見て行きたい。大体大衆というものは専門家ではない。それがためにものを深く掘り下げてイエスとノーとを決めて行く余裕は持たない。大体において「いろは」の「い」の字が間違つておればこれは皆嫌いだこういうように決める。こけを全般の大衆というものにどうしてこれを説明して行けるかどうか、それには「いろは」の「い」の字から説明しなければならんのじやないか、こういう意味でこの賛否を決定して行きたいと私は考えております。大体この要綱によつて政府は所得の現状と生活の実情とは絶対無視しないという意味のことが書いてある。果してそれが結果において無視されていないかどうか。どうも面白くない。ここにやはり反対の理由があるのじやないか、國に大きな予算が編成されなければならんということは誰しも分つておる。さてこの予算をそれではどういう形に組立てて行くか、これには消極的方針と積極的方針とがある。一つは自分の取つたところのものだけの中から、出すのはどれだけにして行こうかこういう考え方、出すものは誰が考えても出さねばならんのだから出すものは出してしまう。どうしても足らんだけは何とかしようというやり方と二つがある。その是非は又別の機会に讓るといたしましても、その大きな予算を國がどうやつて生み出して行くのかというと、官行事業の收入や或いは官有財産の処分をやつたり、或いは雜收入で取つて行きますけれども、その大半は國民から取らなければならん、その税收入外以にはないと思う。こういうことになると相手方になる國民をどう扱うのかという問題が大変な問題になつて來る。國民というものはいわゆる國家の総本家であるし、國民を措いては國家の存在はないということになつて來ると、どんな場合でも國家が常に國民の幸福ということを忘れてはいけない。國民の幸福を破るようなことは、これほど大きな罪惡はないのだという私は見方をしております。そうすると卵を生ませるためにはどうしても鶏を大事にしなければならん。鶏を殺してしまつたのでは卵ができない。特に雌鶏を大事にする。養鶏上においても大多数の雌鶏を大事にしなければならん。甚だ国民に相済まんですけれども雌鶏というのは國民大衆のことなんだ。こういうふうに私は考えております。そうすると勤労大衆を大切にする必要が生じて來る。そこで考えなければならんことは、この大多数が消費者生活をやつて行くには安心して食つて行けるのかどうかこれは先の山口さんのおつしやることと大分似ておりますけれども、現在の收入で生活ができるかどうかということを基準にして、始めてここに取るものは取る、出してもらうものは出してもらう、ということになるのであります。不安定なる生活の組織の中に國民を置いたのでは、國民は誰でも彼でも自分が食つて行かなければならんということに精一ぱいになつて、外のことはどんなことを強いてもやる力がない、そんな余裕がないということになるわけです。どんなにいい心も持つておつてもそれが生活できんということになると、背に腹は換えらけんという結論になつて來る。こういう面で公共のためには十分の努力と責任を盡せない。そこで政府はそういうことがないように、喜ばんまでも大衆が納得して行けるだけのことをして、そうして出すものは出してもらはなければならん。國民の幸福と大衆の利益というものを図つてさえ行けば、始めて出すものを出しても得だ、こういうふうに國民はちやんと悧巧だから自覚して來る。そこでその税金を徴收するならばどういうやり方が一番よいかというと先ず喜んで出してもらうところの最高限度を税金として徴発する。この「徴発」は誤つておるかも知れませんが、出して貰う。絶対無理を強いぬことである。併し理論的にさえ成立するならば何をやつても構わんというように旧い封建的な考は止めて貰わなければならん。常に税金を取るについても國家の支出を嚴重に査定して行く、そうして正当で且つ必要と認められるその最低限度を徴收して一銭も剩余金が出ぬような正確さを持たせることと、國民を納得さして行かなければならん。尚先程もおつしやいましたように徴税手数料が余りに多く掛かつてしまつて、その結果折角の税金がまるつきり残らんという場合には取らん方がいい、こういうことになつて來る。そうしてもう一つ今年さえ取れば來年からはどうなつてもいいのだ、というような考え方ではいけない。飽くまでも民業を育てて、そうして財源は恆久性のあるようにして取つて行かなければならないのだ。その取り方が惡ければ変轉や逆轉が行われて、地租を取るために一生懸命に高い税金を掛けて地租を取るために、地主が拂わなくて、下宿人が立替え拂いをする結果が起きないようにしなければならん。このような心構えを持つて、今回の増税案とか或いは施設をなされたように思うのですが、その結果そうおとりになつておるかどうかというと、これはどうもなつておるような氣がしない。大体もう二十二年度の総予算の編成のときにはこの前の大藏大臣石橋さんは追加予算を計上する弊害は止めたいと言われたが、止めておらん。これは直ぐさま二三ヶ月後には追加予算となつて現われる。千五百億、千四百億といつておつたが、それが結果から見れば九百億円程度に止める。それによつて有難い氣がするけれども、併しそれでやつて行けるかどうか、概括的に眺めても納得ができない。第一に歳入歳出の問題でありまするが、歳出の合計は大体九百二十五億である。歳入の合計は九百七十四億として、その差引は四十九億余ることになるが、この予算においてすでに四十九億というのは、本予算のときに赤字公債が見込まれておつたのだから出入勘定はない、出入勘定の辻褄さえ合へば健全じやないか。併し甚だいかがわしい健全財政じやないか、こういう結論になります。我々はいつの時代でも、何時でも常に國民大衆の絶対的な生活の安定感を基礎として考えて行かなければならん。こういうふうに考えて見ますと、本予算の千百四十五億と、金融再建補償金百億円が今回一應打切られた形になつておりますから、それを差引いて追加予算を加えると総計千九百七十億になりまするが、安本がこの前推定して大体國民の所得はこれだけあると言うたのは八千四百九十一億円あるということになつております。総予算は大体國民所得の二割五分に当つておるし、これに我々國民の負担するのは、ただ直接國家に納めるだけでは済まない。これには地方財政負担金があるし、その他に各種地方において最近行われておる、遺憾な名目の寄附金の負担がくつついて來ておる。そうすると今の総予算と、それに地方財政負担金と、これに各種方地におけるところのいろいろの寄附金の総合計をするならば、全所得の殆んど二分の一以上になつておつて、その二分の一を遂に我々は食い潰してしますことになつておる。今日の國民の経済の内容を見ると、各種の生産というものは、今年の七月を最頂点、富士のてつぺんとして、後はずつと下り坂になつておる。四五日前の毎日新聞を一つとつて見ても硫酸アンモニヤの生産高は五六月末に比し、六分の一に下つておるじやないか、こういうような状態になつて來ると、現在のような過少生産の時期にあつては、その收入の全部を以てしても國民の最低生活はできんということになる。而も再生産を反覆するには尚更足りん。金融が梗塞して、物の動きは惡い。経済が圧迫して國民の收入の源泉は殆んどないような状態になつて來て、引つきりなしの赤字状態で、たとえ八千四百億以上の收入があるといつても、その所得の四分の一に当る二千億近くの大予算には、國民はどうしても耐えられんということになつて來る。そこえ持つて來て緊急を要する官公吏の越冬資金、災害の復旧費、六・三制不足の金額を追加予算として出すと、百億近くのものが第二追加予算となつておる。從來でも、切り抜けて行かれんのが常識で、又ここに食込んで來る。こういう状態になつて來ておる。  その次は歳入の問題でありますが、特に租税の問題を取り上げて見ると、租税收入の総額は六百三十七億が予定されておる。その内容は別としていろいろこんな大きな租税はどうだろうというのは、本予算には六百九十五億租税及び印紙收入が計上されておつて、それに今度のこれが附加されるとちよつと見ても二倍になる重い課税で、而も本予算は一年を十二ヶ月に割り振つてやるのだから大したことはなかろう、それでも一ヶ月平均五十八億前後になります。それから追加予算として今ここで皆さんに決めて貰つて早速十一月から行うやうにしても、五ヶ月間の割り振りになる。そうすると十月の一ヶ月では平均五十八億であつたのが、十一月以降は百八十九億、三倍近くの大重課になります。それでも拂つて行ける間はいいが、國民にその力がないというときはどうするか。本予算の五十八億すら最近は非常な滯納で、その滯納はどうやつて集めるかということについては、先程言われた通りで、或いは新聞紙上で税務署が惡いとか、或いは人手が足りないとか言われるけれども、この徴税方法についても改革の余地は十分あると、こういうふうに私は考えております。而もその本予算の五十八億円すら滯納にあるということになると、國民はそれを結局負つて行けないから拂えないのだ。そうすればここで今度の予算は背負つていけない。こういうことになります。それから税金は常に公平無私でやらなければならなんことは当然であるが、大衆が納得の行く限度でなければ取立てて行けない。支拂力はないところの者から税金を取るということは、私は間違ひだと思つておりますので、政府は特に課税の相手方の眞実をよく究めてやる親切がなければならん。これは絶対必要で今度言われておるものは、理窟の問題は別として、たとい免税点が引上げられても、控除がどんなに増額しても、我々は俄かに賛成し難い。專賣局益金二百五十九億を作るために、煙草を上げたり、大幅に米を上げたり、各種のマル公もどれもこれも軒並に上げて行く。そうすると千八百円ベースは安本が來年五月まで保たしたいと言つても、保つわけがない。そうすると私の言う勤労階級の所得税は余程考えてやる、さもなければ廃止してもいいじやないか、これは最低生活費以上の收入に対して課税すべきもので、それ以下の人々から徴税するのは罪惡だ。恐らく大衆の諸君もそういう考えを持つていると私は考えておる。なほ最低生活ができるかどうかという問題を中心にしてそういうことになります。  次に非戰災者特別税に対しても私は異論があります。焼けた者や焼けた家屋に比べては、成るほど焼けなかつたものは、事実上現実的な利益を受けておるには違いない。併し二つの間の富の均衡を図るならばやり方がある。こういうふうに考えております。原則として賛成しなければならんかも知れん。併しやり方は極めてまずいじやないか。焼けない家屋が大変に所得の対象になつておるという見方は、一應納得はできますけれども、全般的ではない。人に対しても同じである、結局終戰後になつて利用した利用効率といいますか、率の比較論によつて起きるものである。焼けた者で大変な成金がおると、焼けなくとも今日は筍生活において脱ぐものがない者がある。それから利用價値についても必ずしも同一として考えるわけには行かん。町と田舎とも違うし、交通の便不便も違うし、これを利用する人の能力があるかないかということによつても違う。非常に大きな経済價値が分れるということを忘れてはならん。結論的にいえば一律的、機械的な税率を以て課率しようという態度に反対である。税そのものは止むを得ない、こういう観念を持つております。而も亦課税対象が誤まられると先程申したような多額の地租、或いは宅地租と称するものを屋根裏に住んでおる下宿人が拂つたり、こういう間違いを起さんようにやつていつて欲しい。要するに勤労大衆がやつて行こうといるその税金というものはどういうふうに負担して行けるかということは、結局安定したところの生活の上に確保されるのだと、こういう問題になつて、大体拂つて行けるかどうかという問題は一個の個人として考えても、一戸の家の收入と收支のバランスが取れて余りある時しか拂えない。その次は收入はたとえ少しでも最低生活が安心してできるのだ、そういう場合と、その次は現実的に收入はなくても近い將來には確実に入るという、大きな儲け仕事のような收入の見込のある時、さもなければどなたかちやんやんと持つる來てくれる者があるとか、こういうような者がある時に限つて起るのだ。併し遺憾ながら現在の國民大衆の中、特に勤労所得階級の人を眺めて見ると、私初め、少しでもよいような條件に当嵌まるような資格は殆んど持つていない、こういうことになります。そうすると、そういう人間から税を取つて行こうということはいかん。ここに勤労所得税だけは、少なくても重大なる改正をするか、さもなければこれは今後においては止めて貰うような方法を講じてやらなければ可哀想だと、こういうふうに私は考えます。  なお一番終りに私が一口申上げたいのは、何もそういう無理な金を取らなくても、お前たちはそれではどこから取つて來るかというと、今は忘れておりますけれども、昭和二年頃でありましたか、濱口内閣の時に、この賣藥印紙税というものがあつたのがいわゆる中止になつておる。それから後賣藥印紙税というものはない。ところが今考えて見ると、その当時は僅か仁丹が一つ五十銭の時は、これを賣る時は六掛けの三十銭で賣るのに、それでも一割の五銭の收入印紙は貼つた。ところが今はどうかというと五十銭の仁丹一袋というものは二十円に賣れておる。そうしてこれには印紙税というものがないんだ。それじや之からずつと原價が上つて來たかといえばそうではない。中間の扱い業者がこれをやつておる。而も賣藥から地方の家傳藥まで入れれば凡そ二十万種以上に上るという。そうすると一ヶ月に二万円、今の金に直して一袋二十円そこらのものが至当とすれば、その二十円のものは二万円というても大したものではない。これは一年に直して四十八万円、そうするとそれが二十万種以上に上るということになると、推定すれば……、これは詳しい数字を私は持つておりますけれども、大体において賣藥の賣上利益というものは大変な金額になる。その中一割出して貰つても、國民大衆に大した迷惑を及ぼさずにこの勤労所得税に充当するくらいのものは出る、こいう見方を私はしております。  それから非常に帶納が多い。こうして折角数字は國家に余るようになつておるものが、実質の金は一つもない、こういうのはこれは徴税方法が惡いからだ、ここに言うてやりますように、新円階級を特に狙わなくてはならんというような意味があるならば、何も新円階級と凡そ縁の遠いような官吏や公吏が探しに歩いても分らない、蛇の道は蛇だ、こういうことになると結局私はこの徴税方法は、今後國家予算の必要総額というものを全國の各業者別に割当てて、その業者の團体に引受けて貰う。そうすると傍の人はああだ、こうだというても結論においては、それを捉えて、お前はここで儲けたじやないか、呉服屋なら呉服屋は晒やキヤラコで儲けておるじやないか。藥屋ならあの藥で儲けてこの藥ということになるから、結局当業者を中心として國家が一定の必要とする税金を頭から割当てて、そうしてそれを引受けて貰つて、仲間同士で出して貰うというような一つの方法が非常によいんじやないか。これについては研究もいたしておりまいけれども、時間も一ぱいのようですから、これで私の意見は大体お分りだろうと思います。  尚もう一つ最後に一口申上げて置きますが、現在の收入というものを、二足す二の四、三足す三の六という進み方でありまするけれども、物價は最近の公定の鰻上りと同時に、等比級数的に二二の四、四四の六十四、五五の百二十五、こういうような状態において進んでおる。どうしても收入と物價とが釣合つて行けないから、こういうような大衆課税的な、勤労階級をいじめるものは罷りならん、こういうことを私は消費者大衆に代つて皆さんに申上げて置きます。
  15. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 郷司治平君。
  16. 郷司浩平

    ○公述人(郷司浩平君) 私は経済界の立場から、特に生産増強の立場から二三意見を述べて見たいと思います。  今度の税制改革、それから議題に上つております非戰災者特別税、大体結論として私は賛成でありますが、尚特に非戰災者特別税は、これは財産税と共に惡税の一つ……、財産税より更に惡税だと思いますが、これも今日の場合は一種の必要額としてこの程度のものは止むを得ないじやないか、こういうふうに思いますが、税制改革に関しては、特に所得税の面においては、これはなお考えなければならん点が相当ある、こういうふうに考えられます。特にこれは今日まで税制の何回か改革がありましたけれども、共通の欠陷でありますけれども、生産という面が考えられておらない。珠に現在のように生産の面におきましても、傾斜生産とか重点生産とか、貴重な食糧までも炭鉱やその他には労務者特別配給としてやる、こういう不公平、本当の意味の公平、こういうものが維持されおる現状でありますので、やはり税制においてもこの面を特に今日取上げなければならない。現在租税は非常に行詰つておりますが、結局この行詰りを打開するには、國の生産が殖える、ここに眼目があるわけであります。單にそういう税金の面におきましても、もつと生産を誘導する、こういう面が強調されなければならん、こういうふうに思うのであります。個人の所得税を見ましても、これが今度は五万円以下のものに対しては総体的に大分緩和された、こう言われておりますが、五万円以上が一應問題になるわけです。今日の所得税につきましては、先程から食えないのに代金を取るのは怪しからんじやないか、こういう議論が大分ありますけれども、私はこれも今日の租税その他の現状からいえば、これは一應止むを得ない、併しその中に生産を挙げておるものに対しては考慮する、こういう面がやはりなければならん、こう思うのであります。先般私は九州の方の炭鉱を少し廻つたことがありますが、その時に坑内の採炭夫は、これは殆んど全部請負給に昔からなつておりますが、税金が高いために、月收五千円以上になると、後は殆んど大部分税金で取られるので働かない。二十日働いて五千円になれば後は遊んでおる、こういう氣風が相当に漲つておる、こういう話を至るところで聞くのであります。以前ならば五千円というと相当高額なものでありましたけれども、今日はもう先山あたりは一万円の月收という者が相当多数にある。況や五千円以上は相当多い。そういう者が税金のために働かなくなる。こういうことは非常な問題でありまして、これは是非共この面は緩和して貰わなければならんのじやないか、こう思うのであります。今日大体俸給、賃金というものは生活給が本質になつております。これは現状としては止むを得ないことでありますが、併しこれを漸次能率給に切替えなければ日本の生産は上らん。こういう状況にあるわけであります。現に能率給をやつておるところも相当あるわけでありまして、今後そういう点で今の俸給制度というものを、段々能率給に切替えなければならん必要は皆等しく感じておるわけであれますが、それが税金の点で阻まれる。こういうことがあつては國家の一大損失でありますので、こういう能率給というようなものに対しては、税制の点からも余程考えて貰わなければならん。珠に現在傾斜生産の中心になつております石炭とか、肥料とか、電力とか、鉄とか、そういうものに対しては私は別の枠を設けて、そういう事業の賃金に対しては特殊の税金の減免を考えても少しも差支ないのじやないか、こういうふうに考えるものであります。この点は今度の所得税において大きな欠陷であろう。これは個人所得税でありますが、尚法人につきましては税率がただ單純に引上げられておるようであります。これを見ますと大体十万円以下の法人の所得については百分の三十五、これは据置きでありますが、十万円を超える金額については累進税が現行所得税よりも加重になる。こういうことに改正案ではなつておりますが、個人の所得税の方は大体從前は年收千円とか二千円が基準になつておつたのが、今度は五万円くらいが中心になつて、大体租税の累進率というものは引上げられておるわけでありますが、法人の方はそういうことが考慮されておらないように思うのであります。今日成るほど資本金というものは、これはいろいろの関係もあつてそんなに引上げられておらないわけでありますが、所得年收十万円、月收にすれば一万円以下というようなものは殆んどナンセンスであつて、これは十年、二十年以前ならば十万円ということは相当な問題になつたでありましようが、今日では物價と同じく單位が非常に変つておる。それが十万円を超えるものは百分の六十を取られる、百万円を超えると百分の八十、利益の八割は取られる。こういうことでいいものかどうか。これも生産を増さなければ税源が涸渇して來る。そういう立場から再檢討をしなければならんのじやないか。こういうふうに思うのであります。今日個人の生活或いは個人所得税、そういうものは労働省の運動によつて段々と合理的に改革されて來ておりますが、不幸にして資本の側については税金の面といわず、他の面といわず殆んどこれが考慮されておらない。これは資本家はどうするという問題でなしに、日本の経済の資本の蓄積の問題をどうするかという問題から、これは愼重に檢討しなければならんのじやないか、こういうふうに思うのであります。今度の新物價体系におきましても資本の面においては、何ら考慮が拂われておらない。配当は勿論、減價償却すら考慮されておらない。資本はゼロだという建前になつております。労働の面においては千八百円ベースについては各方面から聲を大にして輿論が喚起されておりますけれども、資本の面が全くネグレクトされておるという点については、殆んど全く聲が何處からも擧つていないように思うのであります。これは今後の日本の経済再建について実に由々しい問題である。今日企業は、所得の利益の全部は殆んど人件費に食われてしまつて、破損した機械の補修すらできん。こういうのが実情であります。そういうわけでありますから、自然信用がなくて銀行の方は金融も閉める。そこで普通ならば成り立つ企業も成り立たない。こういう実情にあるわけであります。無論現在は配當などを考慮すべき時期では恐らくないと思いますが、少くも破損した機械の補修ぐらいやらなければ、今後二年三年後にはえらいことになりはしないか。全部の企業がストツプしやしないか。そういう危險もあるわけでありますから、これも税の面から申しますと、社内に十分なる合理的な労働賃銀を拂うて、尚余裕ができた場合には、それをせめて減價償却には振り向けられる。こういう余地を與えなければ、これは資本が段々と縮小再生産になつて來る。ところが今日の税金はそういうものは皆利益として、僅か百万円の利益があればその八割は取られる。こういう建前になつておるわけであります。これは從前の経済界が安定した当時ならばまだいいとして、今日機械設備が磨損してその修理というものが非常に重要な、今後二年、三年、五年先を見ると重要なる問題である時期においては、これは少くも減價償却という面からは法人税の減免ということが考えられなければ、日本の経済は危いのでないか、こういうふうに私は考えるのであります。尚一、二簡單に氣の付いたところを申上げますと、この税制改正に関する法律案の要綱の中に新円階級等一定の額を超えた所得者に対して重課する、こういうことが書いてあります。でこれは私もそうでありますけれども、殆んど全部の批判者が租税をまけてくれという論ばかり多い。そこで恐らく税務当局からいわせけば、そういつたつて財源がないじやないかということになると思うのでありますが、財源はこれは誰が考えてもそういう正常な勤労階級なり、正面な会社、そういうところから租税の軽減をやれば、これは当然新円階級というか、いわゆる新興階級の税の方に持つて行かなければならん、こういう結論に、まあ誰が考えてもなるわけであります。実は最近東京都の方で新円階級に対する租税の問題について、課税の問題で懸賞論文を募集したのでありますが、私もその審査員の末席を汚したわけで、いろいろ集つた論文を見ましたけれども、実はこれというような案が、まあこれは私に限らず審査全部がそういう案がなかつた。こういう結論に逹したのでありますけれども、なかなかこれは恐らく主税局あたりで考えても名案というものはないのじやないか、こう私は思うのであります。これは税の面だけでなしに、経済統制の外の面からどんなに警察力を動員しても、なかなか新円階級の捕捉、闇の捕捉、そういう問題はむずかしいわけでありますけれども、これもできるだけ技術的にやれる範囲にやつた方がいいと思いますけれども、併し私はこういう点においてもつと根本に即して考直す必要があるのじやないか。今日新円階級というのは、大体流通過程において発生しておるわけであります。工場で原價が百円でできるものが、消費者の手に渡るときは千円を突破するというのが大体実情であります。その九割というものは大体中間の流通過程において利得されておる。ところがこれはなかなか捕捉し難いというのが実情であります。で私はこの点についても、これは租税の面から捕捉するのはむづかしいので、やはり根本的にそういう新円階級というものを絶滅する方法を考えなければならんのじやないか、こう思うのであります。この点については私の意見を述べると長くなりますので、結論だけ申しますと、要するに今の流通過程において利得されておるその部分を、生産者で以て利得すると、こういう方式に切換えれば、その税源というものはたやすく捕捉できるわけでありまして、同時にそれは今日の物價政策も容易にし、生産増強にも役立つと、こういう思い切つた方法を講じなければ、新円階級を逃げる者を追つかけようとしても、これは到底現在の統制力なり或いは税務当局の能力、そういうものではむずかしいのではないか、こういうふうに考えられます。  それから今一つは、新円階級等の問題に関聯しまして、今日末端の税務官吏が腐敗しておると、これは最近新聞にも盛んに書き立てられておりますが、これは勿論税務官吏の待遇を良くするという問題も当然考えなければならんわけでありますが、併しこれは非常に誘惑が多い、その誘惑を断ち切る方法を考えなければならんのじやないか。税務官吏は、これは前からもあつたことでありますが、会社に入つてそうして脱税の相談係をやつておると、こういう例は多々あるのであります。無論その方か遥かに收入もいいわけで、税務署を辞めてそつちに行くと、こういう連中は、今日は尚更多いだろうと思いますが、これは私は、税務官吏のような職に在る者は、官吏を辞めても、例えば三年とか五年とか、一定の期間は民間の会社に就職することを禁止すると、そういうことをやつて見たら、相当の効果があるのじやないか、同時に税務官吏がどんどん逃げて行くと、これを防ぐことにもなるのじやないか、そういうふうに考えられます。  最後に地方税の問題でありますが、今日地方税に対しては、本省はどういう取締りをしておるか私は存じませんが、どうも見受けるところ、地方はてんでんばらばらに、何でも財源になるものはこれを捉まえて税金を賦課すると、こういうのが実情じやないかというふうに考えられますが、これが非常に生産を妨げておる面が多い。それだけでなしに、新物價体系というこの原價計算を、地方、つまり廣くいつて政府みずからが破壊するというようなことをやつておる、こういう形跡が見受けられるのであります。例えば、地方によつては電力税というようなものを取つておる。或いは府縣によつては石炭出荷税というようなものを取つておる。こういうものは成るほど財源としては相当大きいかも知れませんけれども、そのために石炭や電力のような、今日血の出るような生産増強に必要な物資に対して税金を賦課するというようなことは、全く現在の國策と逆行しておることであるのみならず、そういうことが忽ち企業の原價計算に響いて、新物價体系を、政府みずからが崩して行くと、こういうような結果にもなるわけであります。こういう点は中央において嚴重に取締つて貰いたい。すでに國策としては、傾斜生産なり一定の方針があるわけでありますから、税務当局においてもその方針に即してやるということは無論当然なことでありますから、地方がそういう勝手なことをやらないように、これは中央においてそういう傾斜生産なり生産増強の立場から一貫した方針を以て、そうしてこうした横紙破りに対しては嚴重に取締つて行くべきであると、こういうふうに私は考えるのであります。  大体私の申上げたいことはこれだけでありますが、結論から言えば、この二つの法案共に、先ず今日の場合では止むを得ないのではないか、そういう意味で贊成する者であります。
  17. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 吉坂俊藏君。
  18. 吉坂俊藏

    ○公述人(吉坂俊藏君) 簡單に私の所見を申述べます。  一般的に申上げまして、財政の收支均衡を図るためには増税をするということは止むを得ないと存じます。併しながら増税をする前に前提要件があるのではないかと思うのであります。それは経費の支出の方面を檢討いたしまして、そうしてできるだけ國費の節約をするということでございます。先般衆議院予算委員会においても申述べて置いたのでございまするが、ちようどイギリスが第一次世界大戰後、一九二四年にゲテイースの委員会ができました。一九三一年にメーノーの委員会ができました。そうして経費の節約の上に非常な効果を挙げたのでありますが、ああいうふうな國費節約委員会を國会の中に設けまして、民間の有識者をも加えまして、経費の合理化、節約の具体化の上に案を立てて、政府に実行せしめるということがよいのではないかと思うのであります。  増税案につきましては、現在経済状態が非常に変動し易く、実体が捕捉し難いのでありまして、聞くところによりますと、二階住みの闇屋が非常に多額を收入を得ておる、或いは靴直し、傘直し、古着屋さんなどが又多額の收入を得ておるにも拘わらず、税の方からは洩れておるというようなことも聞くのでありますが、これに対しまして、税務官吏の方はどうかというと、平均年齢が二十三歳ということであります。これではなかなか今日の複雑な世間に対しまして、実際これを見通すためにはまだ苦労が足りないのではないか。先程來しばしば公述者から申されましたが、能力の低下、或いは能率の不良というような事情がありまして、果した予算通りの收入が挙げ得られるかどうか、こういう点が想れられるのであります。  これに対しまして、收税能率を上げるのにはどうしたらよいか、第一には税務署の取扱い方でありますが、これにはいろいろ不明確な点がありますが、できるだけ税務署の取扱方針を明確にする、統一をする、こういうことが大事ではないかと思います。それから地域的に不公平のないようにすること、例えば都市の方は寛大であつて、地方へ行くというと非常に嚴格になるとかいうようなことがないようにすること、それから業種別によりまして不公平な嫌いがあるということがいわれるのでありますが、農業者、漁業者、これに対して商工業者というものとの間に不公平のないようにするということが大事ではないかと思うのであります。それから税務官吏の質を向上し、紀律を刷新するということ、これ亦前回いろいろと述べられた点であります。それから第三は、租税知識の普及徹底を図るということ、これは申すまでもないことであります。尚第四に、民間の納税協力運動を利用するということが大切ではないかと思います。一般民衆の協力を得るために、例えて申しますと、町会の掲示板のようなものに税額の公示をする、こういうような制度を採用することであります。すでに高額のものについては発表されておるのでありますが、一般的のものについては秘密制度になつております。これを公開いたしまして、そうして不当に課税を免れておる者は、同業者或いは附近の者からそれを比判して、是正するということができるようにするということであります。  もう一つは、團体との協力でありますが、團体の協力につきましては、今回は團体諮問及び徴收補助團体に関する規定について改正が行われることになつております。これは恐らくボスを排除するという意味合から行わけたことであろうと思いますけれども、併しながら公平な健全な團体、例えて申しますと、いろいろな協同組合でありますとか、或いは商工会議所等が若し協力をしないというようなことになりましたならば、收税の上において非常な影響を受けるのではなかろうかと惧れるのであります。税制につきまして宣傳をいたします上につきましても、或いは納税についての國民の自覚を進める上につきましても、こういう團体を利用することが極めて大事でありますが、尚こういう團体から出しまする証明、責任を以て出しまする証明でありますとか、或いは所得に関する表のようなものは、これは相当当局においてこれを認める、こういうようにして行くのが有効なのではなかろうかと思うのであります。  次に勤労所得税でございますが、この勤労所得税の税率が能率の増進を阻害しておるということは事実であります。今日のような状態におきましては、たとえスタハノフ運動というようなものを行うといたしましても、なかなか行われないのではないか、それで勤労所得税について、累進税を改めまして、これをイギリスのような比例税にいたすということがいいのではないかと思うのであります。少くとも現在の所得水準から考えまして、超過累進の基点をもつと上げるということが至当ではないかと思うのであります。現在では幾ら能率を上げて賃銀を多く取りましても、所得税によつて手取額がさ程変らないというようなことになるので勤労意欲を阻害しておることは、先程もいろいろと申されましたように、我々の聞いておりまするのでも、一月働いて五千円取るよりは、十五日働いて三千五百円取つておる方が得だというような考え方も行われておるということであります。工場主は有能な労務者に賃銀を上げてやろうとしましても、結局累進率のための収入が少いので、その目的を達することができないというてこぼしておるような事例が少くないようであります。それで勤労所得税は比例税にするということ、少くとも例えば十万円以下、今度は七万円ということになつておりますが、これを十万円くらいまで高めまして、そうして十万円以下は累進税率でなしに比例税とする、こういうようにして行くのがいいのではないかと思うのであります。  それから法人税でありますが、法人税は、今囘の増税案とは余り関係はないのでありますが、地方税営業税、それから都民税などを加えました場合には、企業に対する課税が相当に重くなつておるのであります。場合によりますると所得の一〇〇%を超えるような場合があります。例えて申しますと、資本金が一千万円で、そうして所得が二十万円だといたします。その場合には法人税が十二万円、営業税が三万六千円、縣民税が五万円、合計は二十万六千二百円になりまして、一〇三%にやるのであります。つまり所得額以上の税金を拂わなければならんと、こういうようなことになるのであります。殊に今回の非戰災者特別税は、所得の如何に拘わらず課税せられることになるのでありますから、ますます過重となる傾向になります。今後資本の蓄積は、新日本にとつて極めて必要なことであり、又將來は外資の導入をも緊要とするのではないかと思うのでありますが、こういう際に企業課税について、特に法人税につきまして檢討をする必要があろうかと思います。國と地方とを綜合いたしまして、課税の最高限度を、所得の一定の割合に止める、こういうようなことが必要でないかと思います。  それから非戰災者特別税でございますが、これは家屋の所有如何によつて課税か否かということが決められておるのでありますが、この点は不公平ではないかという声が多いのであります。例えて申しますと鉄道或いは船舶というような事業については、殆んど課税されておらないのであります。これに反しまして倉庫業のようなものは負担が重くなつておるのであります。賠償施設になつておるものも負担を受けるのであります。尚又賃貸價格を基礎といたしますがために、農村都市とを比べますと、都市の家屋所有者というものが、農村の所有者に比べまして非常に負担が重くなつておる、こういうような点が指摘せられるのであります。少くともこの非戰災者特別税につきましては、收益の有無を考える、現在收益の有無を考えておりませんけれでも、收益のない場合、或いは收益の極めて少いような場合については、控除をするというような特別考慮を必要とするのではないかと思うのであります。てこの收税の能率を上げることに関聯いたしまして、個人の場合でありますが、個人につきましては税額を算定する基礎の書類がないがために、税務官吏推定が行われまして、そうしてその間にしばしば苦情悶着の原因となつております。それで会議所におきましては、一定様式の簡單な簿記帳薄を作成いたしまして、これに記帳させて、これによつて経理を確立し、又税額計算の基礎とさしたいというように考えておるわけでありますが、こういうものが税務当局によつて認められ、又奨励されるようになることを希望する次第であります。  尚営業税につきましては、これは地方税に委讓になつておりますが、地方事務所が査定いたしまして、現にいろいろと問題を起しておるのであります。特に又増加所得税を基本として査定いたしましたために、非常に不合理として指摘せられておるような事実があるのであります。農業の方は、或いは漁業の方は、土地の賃貸価格或いは船のトン数を標準といたしまして、一本で收益の如何に拘わらず、農業漁業の方面におきまして非常に收益を上げておるにも拘わらず、その收益を別にいたしまして、租税が決められておる、これに反して商工業者の方面においては收益を主とするがために、農漁業と、商工業との間に非常な不公平な課税が行われている事実があるのでありますが、こういう点について將來改善をする必要があり、先程も農業の新税のことが申されましたが、そういうような理由の一つとなるのではないかと思うのであります。  それから酒税につきましては税率を上げると同時に、明年は造石高を半減するというようなことが言わけておりますが、造石高を半減いたしましても、酒を飲む人を半減するということは極めて困難なのでありますからして、その結果はどうなるかというと、或いは闇賣り値段を上げるか、或いは密造を奨励するというようなことになるのではないかということが恐れられるのでありますが、密造の場合には、正式の酒造業者が釀造に原料を使用する場合に比べまして、原料を浪費するというような傾向になることがあり得るのでありまして、むしろ正式な酒造業者に酒を造らせるという方が本当には米の節約になる、こういう結果になるのではないかとも思われるのであります。これらの点も公明なる國会議員の皆さんの御参考に供したいと存ずるのであります。簡單でありますが私の所見を申上げます。
  19. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 六車修君。
  20. 六車修

    ○公述人(六車修君) 私は税金の問題に関しては、誠に私のしている仕事から見ますと、縁遠いのでありまして、いささかこの税金の問題に対しては余りにも私にとつてはむずかしいことでありまして、只今まで非常な専門家の皆様がお話し下すつておるように私には誠にその点が掴みにくいのであります。ただ何れにしても現在の敗戰後の日本が現在の状態ではやれないから税金を上げて、國家を賄うんだということに対しましては、私はそれに対して何の異議を持つものではないのであります。ただ私は映画の入場税と申しますか、この点につきましてはいささか自分の持つております意見を申上げられると思うのであります。この税金、映画の入場者というものと、製作業者というものと、これからとうとつ組んで行つたらば一番よいかということになりますが、今日にまで來ますところの敗戰後の日本の状態というものは、大分様相が変つて來つつあるのでありますのは、他の物價指数その他と相俟つているかどうかは存じませんが、今日以前における状態とは少くも相当に変化を來しているのであります。今までの戰後の状態は、大体二十二年度の入場税の收入の見込予算額は二十三億四千八百万円でありますが、この内訳は一ヶ年に映画の観客動員数を約六億人ということにいたしますと、これを映画の観客以外の部分、演劇とか演藝とか、その他のスポーツであるとか、あらゆるそういうような方向に向いておつて行われておるものに対しまして約二億人の人といたしますと、映画の本年度の初頭の入場料金が最高三円だ、これはまだ地方において二円という処もあれば、或いはもつと安い処もあるかも知れないと思うのですが、大体において三円である。地方は二円ぐらいだといたしますれば、平均二円五十銭と見て差支ないと思うのであります。これが入場税を十割といたしまして約十五億円となります。映画以外の入場料を平均四円六十五銭、これも都会と地方と、その他の場所と催し物によりまして違つた料金はありますが、大体これを平均四円六十五銭といたします。これが税額は約八億五千四百万円ということになりまして、合計いたしますというと、二十三億五千四百万円の見込のところ、本年三月から映画の入場料が最高五円ということになりました。地方においては四円、これが平均いたしますというと、四円五十銭となります。又九月には最高十円、これは税込にしますと二十円になりますが、これに対しまして六、七というこの二ヶ月の入場料金となりまして、平均が八円五十銭、税込で十七円となります。十割の税は一ヶ年これが約五十二億円の入場税となるのであります。これが映画の入場税、この以外の外のものに対する入場税は約四十億になる見込でありまするから、両者を合せますと、約九十二億円の入場税となるのであります。若しも入場税が十五割になる場合にはどうなるか、十割の税の時よりも総金額が全体の上がつて來る料金が、却つて十五割になるために低下されるのではないかと思うのであります。何故なれば本年初頭に入場税が五円、税込十円の時は約六億人が動員されたのであります。ところが入場料が十円となり、税込で二十円になりましたならば、人員は三割五分減るわけになるのであります。そうしますと三億九千万人となりまして、現在はこの三億九千万人となりましたけれども、現在だんだんと日を逐いまして、これが漸次多少ながらも元のような六億人の数字に向いまして上昇しつつあるのであります。若しこの入場税が又十五割になりますれば、その三億九千万人の二割五分減少いたすことになるのであります。と私は確信するのであります。しますと、結局動員の数の方に参りますと、二億九千万人に減少しまして、現在よりも税收はずつと減つてしまうと断定ができるのであります。推定は約五十億円内外といたしまして……。そうして入場料金が現在の國民の生活よりこれを見まして、みずから限界がありますが故に、現在の二十円の税込料金から二十五円えの値上りは、限界を超すものと私は存ずるものであります。限界を超えた料金で、民衆は映画、演劇の文化面を持つところの娯樂というものに対しまして、只今申上げましような数字の状況に行きますれば、この大衆娯樂と申しますか、こういうような面の非常に國民の一つの慰安、娯楽ともなるべきこのもの、且又敗戰後の日本として我々の最も必要な文化という面がこれに協力して行くことが、こういうような入場税のために総人員数が減少して來るということになりますることは、やがていろいろの意味合において私は変形的になつて來はしまいかと思うのであります。そうして自然に文化そのものも、入場税並びに入場料の收入の関係から見まして、映画にいたしましても、演劇にいたしましても、スポーツにいたしましても、特に我々のやつておりまする映画のごときものは、相当な現在の物價の値上りからいたしまして、よき映画が私は製作できて來なくなるのではなかろうかと思うのであります。必ずしも收入が多くありまして、そうして金が沢山あればいい映画が取れる、いい演劇がやれるとばかり限りはいたしませんが、大体相当なそこに必要な金がなければ、一つの製作面でも、出演する演劇の場合でも、私は困難を伴うものと存ずるものでありまするが故、只今申上げました税の率で申しますというと、却つて税金を上げて行けば行く程、入場人員が現在の状況では困難なために減つて行くという関係上、收入が減つて行く、そうすれば初め予算の額に満たずして、却つて上げたために國家の收入の税金が減つて行く現象を起しはしまいかと私は憂慮するものであります。そうしてこの入場するところの人たちが、現在見たところで、現在の場合には前の五月から十円というように上げて行くときには、まだまだ心配しながらもよかつたのでありまするが、現在の状況に至りましては、先程も申上げましたように、非常に人員数を減らしておるのであります。從つて減收になる傾向があるわけでありますが、加うるに、かてて加えて、今回尚これに増税をいたしますれば、繰返して申上げますが、逆に入場数の減ることは確かだと私は思うのであります。でありまするから、この際私はどうか今までの、現在の税金の率でやつて頂けば、一番結構ではないかと、こう思うのであります。そうすれば日一日の逐うて一應人員が低下しましたものが上昇しつつありまするのを見ましても、これがやがて國家が收入を得ようとする入場税の率に達することができると思うのであります。  以上誠に簡單ではありまするが、私の税金に対する知識が非常に少いので、全般には國家がどうしてもこれだけのものに対してこれだけの税金を加算しなければ國家がやつて行けないということに対しては、誠に私は無理からんことと思いまして、賛成の意を表するものでありまするが、少くともこの入場税に関しましては、只今申しましたように、私は現在の収況で増税することは却つて反対な結果を持ちはしまいかと思う意味において、反対の意を表するものであります。以上簡單でありますが、私の税金に関する所見を述べて失礼いたします。
  21. 黒田英雄

    ○委員長(黒田英雄君) 公述人の方々は御多忙のところをお繰合せ御出席下されまして、いろいろ有益な御意見をお述べ下さいまして、我々に裨益するところが多いと存ずるのであります。厚くお礼申上げます。これを以て本日の公聽会を閉会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            波多野 鼎君            伊藤 保平君    委員            木村禧八郎君            下條 恭兵君            椎井 康雄君            森下 政一君            玉屋 喜章君            山田 佐一君            木内 四郎君           尾形六郎兵衞君            深川タマヱ君            星   一君            赤澤 與仁君            小宮山常吉君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            山内 卓郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            川上  嘉君   公述人    全財副委員長  徳島米三郎君    帝 銀 頭 取 佐藤喜一郎君    東北大教授   長谷田泰三君    東京商大教授  井藤 半彌君    読賣論説委員  山口 正吾君    生活改善推進本    部長      上木神秀三君    経濟同友会事務    局長      郷司 浩平君    東京商工会議所    専務理事    吉坂 俊藏君    大映常務取締役 六車  修君