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1947-08-13 第1回国会 参議院 運輸及び交通委員会 4号 公式Web版

  1. 付託事件 ○磐越東線三春、船引兩驛間の要田村  に停車場を設置することに關する請  願(第二號) ○鐵道運賃の値上げ反對に關する請願  (第三號) ○長岡鐵道を國營に移管することに關  する請願(第四號) ○海運經營方式竝びに船員管理に關す  る陳情(第十五號) ○鐵道運賃値上げ反對に關する請願  (第十號) ○高崎、熊谷間に電化工事を事施する  ことに關する陳情(第四十五號) ○鐵道運賃値上げ反對に關する陳情  (第四十七號) ○磐越東線神俣、大越兩驛間の瀧根町  菅谷に停車場を設置することに關す  る請願(第十三號) ○熊本縣人吉市を基點とする三路線に  省營自動車運輸開始に關する請願  (第十五號) ○日本通運株式會社の營業權竝びに設  備を舊關係者へ還元することに關す  る陳情(第八十五號) ○海運經營方式竝びに船員管理に關す  る陳情(第九十六號) ○東北本線宇都宮、大宮間、日光線宇  都宮、日光間及び兩毛線小山、高崎  間の電化實現に關する陳情(第九十  九號) ○高崎、熊ケ谷間に電化工事を實施す  ることに關する請願(第三十六號) ○海上輸送力緊急増強に關する陳情  (第百二十三號) ○船員保險法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○海難審判法案(内閣送付) ○鐵道營業法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   ――――――――――――― 昭和二十二年八月十三日(水曜日)    午後一時三十一分開會   ―――――――――――――   本日の會議に付した事件 ○船員保險法の一部を改正する法律案 ○海難審判法案   ―――――――――――――
  2. 板谷順助

    ○委員長(板谷順助君) これより會議を開きます。前囘に引續きまして船員保險法の一部を改正する法律案に對する質疑を繼續いたします。
  3. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 前囘におきまして勞働者の災害補償に關する保險、延いては現に只今ここで問題になつております船員保險法につきまして、参考になる文献を御覽に入れると申し上げておきまして、家へ歸りましてあつたものですから少し持つて參りましたが、前囘申し上げたように、やはり各國間において條約を以て勞働者の災害に對する補償に關する條約、それが締結され且つ批准されておりまして、それがアクシダン・ドウ・トラヴヱイユ・アン・ドウロア・タンテルナシヨナル、ルバの本でございます。それの百六十七頁以下數十頁に亙つて書いてございます。それからローという人のインターナシヨナル・プロテイクシヨン・オブ・レーバー、それの百二頁以下に詳細に記述してございます。例えば、一九〇六年にはイタリーとフランスとの間に條約が結ばれ一一は申し述べませんけれども、以下一九〇九年、一九一二年というふうに各國の間にそれぞれ佛白、佛伊、佛リユクサンブルグ、獨白というようにその他澤山のこれに關する條約が締結してございます。それでまちまちであるのを第七囘の國際勞働總會で統一いたしまして、それで勞働者災害補償について内外人勞働者の均等待遇に關する條約というのが、一九二五年第七囘國際勞働條約で締結されました。これが昭和三年十月八日に我が國でも批准されております。それに基いて昭和十四年に船員保險法が公布されたものだと解釋いたしておりますので、この問題につきましての私の質問申し上げましたことは爾後調べました結果、解消いたしまして、尚參考文獻は御當局に御參考にでもなればと思いまして、後刻御覽に入れますから、その程度で私の質問としては打ち切りたいと存じます。
  4. 板谷順助

    ○委員長(板谷順助君) 外に御質問ございませんか……今日はまだ豫備審査でありますから、この法案は決を採るというところまで行きませんので、衆議院から送付された場合において改めて又正式に會議を開きたいと思います。その際御質問がありますならばお許しすることにいたしたいと存じます。  次の法案が海難審判法案、これも豫備審査でありますが、先ず政府委員の説明を求めます。
  5. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 只今この委員會に御提案になりました海難審判法案の提案理由を、今日大臣が勞働關係の閣僚懇談會がございますので、私より代つて提案の理由を御説明申し上げます。  只今より海難審判法案の提出理由につきまして御説明を申し上げます。我が國の海運は戰爭の結果、保有船腹の大部分を喪失いたしましたのみならず、現に殘在する船舶の過半數は戰時大量建造のいわゆる戰標船でありまして、これに乘り組んであります者は大部分これ亦戰時中急速養成の船員であります。更にこれに加えまして、戰爭の結果航路標識の滅失、艤裝品とかその他運航又は補修用資材の不足等の事情も加わりまして、戰後における海難件數は増加の一途を辿り、誠に憂慮に堪えないところであります。  この秋に當りまして、本年日本國憲法が施行せられまして、これに伴う現行海員懲戒法中の一部の規定は當然これを改正する必要に迫られたのであります。現行海員懲戒法は明治二十九年に制定せられまして、爾後一囘の改正をも受けることなく今日に及んでいるのであります。而してその内容は海技免状受有者たる船舶職員が、その職務を行うに當つて過失、懈怠、若しくは怠慢によりまして一定の海難を惹起した場合、又はその他の非行がありました場合に、刑事訴訟類似の審判手續によりまして、これに懲戒を加えることを規定したものであります。併し政府は、この際現下我が國の海運の實情に鑑みまして、これに徹底的な檢討を加えることを期し、昨年九月、運輸省内に海員懲戒法改正委員會を設置いたしまして、改正案の作成を委囑いたしましたところ、同委員會は前後二十一囘に亙り委員會を開催した外、東京、神戸等におきまして公聽會を開き、各方面の意見を聽取した上で、本年六月海員懲戒法を廢止し新たに海難審判法を制定すべき旨答申して參つたのであります。政府におきましては、右答申に基き海難審判法を立案いたしました次第であります。而して同案の骨子といたしますところは、審判は現行海員懲戒法のごとく海員の懲戒を目的として海技免状受有者の行爲をのみ對象とすることに止め、寧ろ直接に海難の事實そのものを對象として、その原因を探究し、審理の結果海技免状受有者に故意又は過失がありました場合には、必要に應じこれを懲戒し、又海難が海技免状受有者以外の者、即ち船主、造船所その他の者の所爲に基くことの明らかな場合には、これらの者に對して然るべき勸告をなし得ることとし、以て海難の防止に寄與せんとするのであります。又その審判手續につきましては、新たに參審の制度を採用いたしました外、日本國憲法に規定せられておりまする國民の自由權の保證との關係を勘案いたしまして必要なる修正を加えると同時に、憲法の要請に應え、高等海難審判所の採決に對して司法裁判所に不服の訴えを提起する途を開いたこと等を主要な内容とするものであります。以上申し上げましたごとく本法案は努めて民主的に各方面の意見をも參酌したものでありまして、現下我が國の實情を即し、誠の時宜を得たものと考えるのであります。何卒十分に御審議下さいまして御可決あらんことをお願いする次第であります。
  6. 小野哲

    ○理事(小野哲君) それでは只今から海難審判法案に關する審議に入りたいと思います。發言をお許しいたします。
  7. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 今度出されました海難審判法をちよつと私調べましたですが、第十四條に參審員という制度を置いて、そうしてこの事件の眞相を探究するようになつておりますが。これに對して「その職務に必要な學識經驗を有する者の中から、」ということを謳つてありますが、實はこの海運に關係する學識經驗者というものは相當數が、もう少數人よりか恐らくこの參審員になる人はなかろうと考えております。さような意味におきまして、恐らくその參審員の資格がある人は各汽船會社又は海運會社の或いは顧問、相談役というようないろいろの役割をされておるのでありますが、假にこの受審人がその參審員と何かそこに利害關係のあるような場合があつたならば、その參審員のその事件に關係してはその參審員がそれに干與することのできない、即ち忌避ができる規定がこれに書いてないのですが、その點は立法の精神はどういうお考えか、一應お尋ねしたい、さように感じております。
  8. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 參審員制度は今囘の審判が非常に廣汎な對象を持つておりますので、中には非常に技術的に專門的に知識を要するという場合が起つて來るのに考えましての規定でございますが、例えば造船所の方面の技術關係者等に御參加を願う場合があろうかと思います。その場合御本人が參審員たることを好まないという場合におきましては、これはやはりそういう方は強制的に任命するという趣旨のものではないのでありまして、やはり合意の下において任命がある。こういうふうに考えております。
  9. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 參審員の數は何名を置くという、この數が書いてないのですが、それについて、政府案として何か案があるならばお尋ねしたい。且私の今お尋ねするのは、參審員が事件の當事者受審人と何等か利害が一致しておる立場を持つておる場合には、その參審員がこの審議に參加をすることを忌避することのできる、ここに條文が必要がないかということを私はお尋ねしておつたのであります。と申し上げますのは、重ねて申し上げますのは、恐らく學識經驗者ですから、造船或いは海運、船の運航というようなことで、極く範囲が狹められてあるために、この參審員になるべき人は、恐らく私は各造船所、汽船會社、海運會社というようなものの顧問なり、相談役なり或いは重役なりというような立場を持つておる人が多くあられやしないかということを考えるのでお尋ねするわけであります。利害關係があつても、その人はその參審員としてそこに發言ができるかどうか、そうすると、我々はそれに對して、又相手方としては、それに對して忌避の申し立てができるかどうかというようなことが私のお尋ねしたい點です。
  10. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 參審員の數は十五名の豫定でおります。利害關係のあります場合に、參審員として立たれますことは、いろいろ御支障があるということは想像いたされますので、そういう場合におきましては、參審員を命じます際に、よく事件の内容を檢討いたしました上で、差支ないような措置を講ずる、こういうふうにして運用いたしたい、かように考えております。
  11. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 そうすると重ねてお尋ねしますが、參審員を選考する上においては、そういう利害があるかないかということを一應よく定めて、見極めて參審員の人を選ぶ。それはただ私は參審員として出た人間が、果して參審員の資格がありや否やということについて、又これを忌避ができるここに制度を一つ設ける必要がないかということを考えております。
  12. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 丹羽さんの御質問は最も適切な點だと存じます。大體大臣が參審員を任命いたしまする場合に、事件竝びにその事件審議の性質に鑑みまして、最も關連のないところの者を選任をいたして、被害人の補佐人から忌避を受けることのないように手續を取つて行きたい。萬一その任命いたしました者において、被審人に對する補佐人から忌避の申請をいたすようなことがありましたならば、一應よくその點につきまして、參審員の任命とその事件との關連性を更によく審判官が審理した結果、法廷においてその有無を明らかにすることと存じます。ただ法文作成の上におきまして、丹羽さんの仰せられる通り、忌避を申し立てることができるという一項を置いて置くことが必要であるかないかという御趣旨の要點と思いまするので、この點は一應法案が御審議を願いました上で、更に檢討いたしまして、御指摘のごとくにそれが必要であるということならば、各委員會等の修正の形式のごときものを以ちまして、一項をお加え下さいましても別に差支ないかと存じます。
  13. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 只今政務次官のお答えに對しまして、若干補足いたします。丹羽委員のお説御尤ものことでありまして、法案にはその點が明確になつておりませんけれども、趣旨は只今政務次官及び私から申し上げた通りであります。尚その點はいろいろ手續關係を非常に詳細に法案に盛り込みますと、非常に尨大なものになりますので、法案は今囘は大綱に止めております關係上、手續關係は政令で相當詳しく定めるつもりであります。丹羽委員からの御指摘の點は、政令の中にこれを織り込むようにいたしたいと、かように考えております。
  14. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 法的な言葉をつけて言うならば、ここに一つの參審員を忌避ができる。末項に一條こういうことを附けて置いて貰うことをここで重ねて要求して、私の質問を打切りましよう。
  15. 中村正雄

    ○中村正雄君 先に委員長から質疑をというお話があつたのですが、實のところ初めてお目にかかつたわけで、内容が恐らく載つておるのだろうと思いますが、愚問になるかもしれないけれども、一つ教えて貰いたいと思い、質問しますが、審判所の審理の内容が、刑事訴訟法とどういう關連を持つておるか、司法事件と、審判所の審理事件との間にどういう關連を持つておるかというのと、それから審判所の懲戒し得る限界、それはどうなつておるか、ついでに一つ御説明願いたい。
  16. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 第一點の刑事訴訟法との關係についてでありますが、海事審判の手續と、刑事訴訟法の手續は本來それぞれ別個の性質でありまして、そこで刑事訴訟法の關係は、御承知のように一般の刑事關係の事項につきまして手續きいたします。こちらは海難という事實を捉えまして、その審判をいたしております。かような關係になります。ただ問題はその事實の認定の問題であります。そこで船舶のように非常にデリケートな操作を要する機關につきましては、その過失なりや否やというこの事實の認定というものに、非常に困難な點があります。そこで一定の海難がありまして、そこへ人命が損傷されたから、直ちにこれを一つ刑事問題とするということにつきましては、大きな問題がある。そこでその點は海事審判が、先ず海難の原因を十分調査をする、探究するという事實の認定が明らかになりました上で、刑事關係の手續が進行すれば、海員にとりまして非常に好都合であるとかように考えております。この點が從來まま刑事事件が先行した場合があつた。又從來の海員懲戒法は刑事關係が先行しておる。進行した場合におきましては、懲戒審判の方はこれを停止するというふうになつておりまして、中には海員にとつて非常に酷な判決があつた事例もあるのであります。今囘は刑事關係の手續があつた場合に、審判關係の手續を停止するという規定を削除いたしまして、ただし併し本質は刑事關係の手續と、審判關係の手續は兩々並行して參ることがいいんじやないか、そこでこの問題が競合いたしまして、場合によりましてはいろいろな支障を考慮されますので、從來もこれは海員からの、又は海員組合からの過去の歴史において強い要望がありまして、司法省と昔の遞信省と打ち合せまして、司法省の局長名義で訓令を發しました。昔の海員審判の裁決が濟んでから、刑事關係の手續を始めるようにという通牒が、訓令が發せられた。その點は今後におきましてもそれを確認いたしまして、又先程申しましたように、刑事關係の手續が起つた場合には、こちらはストツプするという規定を削除いたしまして、海難審判の事實認定が濟んでから刑事關係の手續を進めて頂きたい。今後こういうように運用したいと思つております。
  17. 中村正雄

    ○中村正雄君 事實問題については海事審判所の認定の方を司法裁判の前提とするという趣旨ですか。
  18. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) そうであります。その次の御質問の、懲戒の種類でありますが、この審判は懲戒と勧告と二つございます。從來は懲戒だけであります。懲戒は、第五條にありますように、免状行使の禁止、免状行使の停止、それから戒告、この三つに相成つております。
  19. 中村正雄

    ○中村正雄君 第一の點でもう一つお聽きしたいのは、審判の場合に強制力を必要とする場合、どうなさいますか。
  20. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 從來の法律で參りますと、刑事訴訟法を準用しておりますが、刑事訴訟法の直接強制力はこれを行い得た。今度は憲法の精神でこれはできません。今度の法律におきましては、間接強制の制度を、過料に處するということによつてその手續の進行の圓滑を期したい。こういう趣旨であります。
  21. 中村正雄

    ○中村正雄君 過料に處するというのはどういうことですか。それと、假に勾引とか召喚とか、そういう手續によつて、何か司法の裁判所に依頼するというような方法はないわけですか。
  22. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 今囘の憲法では、司法機關に依頼はできないことになつております。若しこちらの呼び出しその他に應じない者は、過料に處するということによつて呼び出しに應ぜしめる。こういうような強制方法をとつておるわけであります。
  23. 中村正雄

    ○中村正雄君 その場合に、もう依頼できませんか。司法裁判所に、審判所が必要な場合に、司法裁判所の名前で出すように依頼ができませんか。そういう制度はできませんか。
  24. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 大體御承知の通りにこの法案は、先ず事實審理をして、事實審理の上において明らかに刑事事件が派生をするという場合において、ここに刑事訴訟法に基き司法官憲の發動を見るという順序になりまするについて、お説のごとくに依頼をして呼び出すとか、そういうような點につきまして、本法案を政府において審議する時にも、私も事務當局との間にいろいろこの點について論議いたしたのでありますが、先程申し上げた通りに審判所が勾引、押收、又は捜査等の強制權を全面的に廃止いたしておりますから……。ただ行政官廳としてこれに代わる特別の權限をこの法規に設けただけのことでありますから、そこで先ず三審制度において明らかなる失態に基く刑事事件が發生するというそこに判決を受けた場合に、それによつて司法の附帶措置が起るということを認めた場合に被審人自身が、出頭に應じないというような場合のありますときに裁判所に委託するとか、地方官廳に委託しまして本人を呼び出すことは可能であります。そういうときにはそういう處置をとつて差支ないと思います。
  25. 内村清次

    ○内村清次君 第七章の「海難審判所の裁決に對する訴」というところの五十三條に「高等海難審判所の裁決に對する訴は、東京高等裁判所の管轄に專属する。」。この東京高等裁判所の管轄に任せたということは、これは明らかに刑事訴訟法を準用していわゆる地方裁判所の方に任せるというようなことに解釋してよいわけですか。それと同時に地方海難審判所の裁決に對しては訴を提起することができないかというようなことが書いてありまするが、この意味はどういうのですか。
  26. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 東京高等裁判所の管轄に專属すると申しますのは、海難審判所の裁決に對しましては、普通で參りますならば地方裁判所に提訴すべきであります。併し既に事實審について海難審判所において專門的二審を兼ねておりますので、裁判所法との關係におきまして司法省と打合をしました上で東京高等裁判所にこれを提訴せしめるということにいたしたわけであります。
  27. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると高等海難審判所の裁決に對してはこれは司法權に任せるという途が開かれている。併しながら地方裁判所の判決に對してはどこまでもいわゆる海難審判法に制約せられるものであるかどうか、この點について伺いたい。
  28. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 五十三條のこの點は審判所が二審制度になつておる。そこでやはり二審まで審判を終えました上で事實を十分に專門的に檢討し終えました上で、その點について不服ある者は東京高等裁判所に訴をする、こういうふうにいたしたわけであります。尚刑事關係と東京高等裁判所との關係。これは民事關係をここに謳つてあるのであります。刑事關係はこの法律と並行して手續は進行し得るという建前であります。刑事關係はこの海難審判所で審判されました事實に基きまして地方裁判所から發足するということに相成つております。
  29. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 先程の提案理由の御説明で、この法律案が海難の原因を探究して、海難の防止に寄與したいという趣旨で提案されたという理由がはつきりいたしております。從いまして海難審判法によつてすでに起つた海難に對して審判をして、その海難原因を探究するというのも勿論効果はあるでありましようが、根本は海難をいかにして防止するかという點にあることは勿論であろうと思うのであります。この法律案に直接關連性はないかも知れませんが、政府として現在お考えになつておる、或いは今後お考えになろうとする海難防止に關する措置、例えば日本の航路標識は非常に不備である。この航路標識を今後どういうふうにして海難を防止しようとか、或いは海流や潮流の調査研究を進めなければならんとか、又船員の素質も戰爭以來非常に惡くなつておる。これをいかにして海難防止のために向上させるか、或いは船舶の素質も戰爭中非常に惡くなつておるのでありますが、こういう船舶の素質をいかにして直そうとか、そう他いろいろの問題が起つておると思うのでありますが、こういうことを取纒めて海難防止に關しまして今後いかなる措置をとるか、その現状と將來の對策について成るベく具體的にお聽かせを願いたいのであります。
  30. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 私がお答えをいたしまして新谷さんの御滿足のいくようなお答えができますかどうか、誠に懸念するものでありますが、一應考えておる點を申し上げまして御了承を得たいと思います。只今御指摘になりました點は實に御尤もな點でありまして、すべて國家、社會、人類の生存の上には、法を作るよりも先ず法を作らずして國民が平和に生きていくための制度及びこれに對する施策を行うということが國家社會上の施策だといつも考えておるのであります。その點から考えまして御承知の通りに船舶の面から申しますと殆んど今日老朽大破した船だけが現存をいたしておりまして、これによつて根本から日本海運の振興竝びに海難を防止することは可能なりということは斷じてあり得ません。むしろ海難は増加いたして船員その他の國家の上に損害こそあれ、決して私は現状より海難を防止していくことはあるまいと考えるのであります。根本は先ず日本の海運政策の上における船舶の建造、改造、補修、この點にあらゆる注意、努力を注いでいかなければならないのであります。御承知のごとくこれに對しては船舶復興公團を作りまして、委靡沈滯しておる海運界の船舶建造に救いの手を述べますと共に、更に今後の外交交渉との關係に俟ちまして、我が日本の國に與えられたところのその範圍内におきまして根本的にこの船の改造をいたし、又建造を續行いたします船は、これを年次計畫の下に改造をいたし、すべての装備を整えていくということが第一であります。これらは國家財政竝びに國家の資源と又今日制約されましたる日本の條件が確保されるその時と時とに相並行いたしましてこれをやつていくのでありまして、その根本方針は只今申したような點にあることを御了承願いたいと思うのであります。  船の面はさようでありますが、今度はこれを運航いたしまするところの船員であります。船員が現在におきましては、多くの優秀なる船員は、戰爭において尊い犠牲者となられました。從つてここに殘つておられるところの船員は、或いは老朽し、或いは非常に疲勞いたして、殊に若いところの船員というものは、その當時の粗製的な船員でありまするために、根本的な海員としての素質に缺くるところがあると思うのであります。これに對しては今後は、場合によりましては現在乘船をいたしておる者の船員といえども、これを陸上に揚げまして、そうして一定の教育を與える。船員としての恥かしからんところの教育を與えて又船に戻す。その間におきまするところの費用は、國家において負擔をいたしてでもそういつた船員の素質改善に向つての施設を與えると共に、船員そのものが安んじてその使命を全うすべきところの幾多陸上と云わず海上の福利施設を作つて、船員をして安んじて行くところの施設を完備して行かなければならんのであります。教育の面とその福施利設の面と相並行してやつて行きたい、かように考えておるのであります。又御承知のごとくに、今その筋におきましても、四杯の海防艦を今日日本に讓り渡して、各方面の潮流の調査、海洋調査を命ぜられておるのであります。從來ありまするところのこの調査に必要なる船舶に、更に今後に與えらるべきところの四杯、更に進んで許される範圍の船を動員いたしまして、改めてすべての海洋、潮流、海洋におきまする電波竝びに氣象等の面につきましての十分なる精査をいたしまして、その調査に基いて必要なる施設を伴いますると共に、陸上におきまするところの氣象、海洋等におけるところの通信機關を完備いたしまして、航海において全からしむるような處置を取つて行かなければならんのであります。更にこの沿岸におきまするところの、特に瀬戸内海等におきまするところの浮流水雷等もいまだ多少殘つておるような憾みもありますので、掃海事業を完全にいたしますると共に、戰時中荒廢いたしましたるとこめろの標識を完全にいたしますると共に、又これら標識に携わる人々のすべての待遇の點におきましても、できる限り國家は考えて行きますると共に、只今申しました戰時中荒廢いたしました標識の復奮、新たに必要なるところはこれを新設をいたす。前述の即ち海洋の調査及び氣象の調査と相俟ちまして、この標識を完備して行きますると共に、沿岸におきまするところの掃海を完全にいたしまして、航路の安全を圖つて行くということも必要であります。これらの申しました面につきましては、できる限り今豫算面におきましても、或いは又關係のその筋との方面におきましても、交渉をいたしまして、一日も早くこれらの目的を達成するように努力をいたしておるような次第であります。誠に簡單でありまするが、今考えております、又實施面において取りつつあるところの施策の一端を申し述べまして御了承願いたいと存じます。
  31. 中村正雄

    ○中村正雄君 さつきの御説明で、刑事事件に對してこの審判所の事實の認定は先行させる、こういう事實上方針に伺つたわけでありまするが、そういたしますと、審判所の事實の認定に重大な過誤のあつた場合に、刑事事件手續の初めにおいて時期を失していはしないか。證擔認定に非常な支障を來たすのじやないですか。  もう一つ「海難審判法案について」というプリントがありますが、この十一號に、「審判手續を整備すると共に、從來審判所が行うことを得た強制權を廢し、必要な場合には、勾引押收、捜索又は檢證を裁判所に嘱託し得ることとした。」というこの條文はどこにあるのですか、それを教えて頂きたい。
  32. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 第一の御質問の、刑事手續をやりました場合に事實が間違つておる場合があるというお尋ねでありましたが、これは海難審判が、殆ど海事關係の專門者を網羅いたしまして、而もあらゆる角度から檢討いたしまして、殆ど裁判所と同じような手続を經まして、二審まで繰返しておる。又技術的な非常な專門知識を要する場合におきましては、專門的な參審員まで置きまして、その參審員も、陪審員とは違いまして、殆ど裁判官と同じような、審判官と同じような資格を以て參加する、こういう愼重な手續を以て事實の審判をいたしまして、殆どこの審判の事實の認定というものはまあ考え得る最善のものである。そこで現在の刑事關係の裁判所には專門家はおりませんので、事實關係の認定は、この海難審判の審判の結果が權威あるものである、こういうふうに解釋いたしております。  それから第二の御質問の點は、實は事務的な手續から若干お配りました資料に間違いがあつたそうであります。直ちに後程取替えまして差上げます。
  33. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 先程の政務次官の御説明で御方針はよく分りました。御承知のように我が國は世界有數の海難國でありまして、今後貿易が再開されまして、外国船の出入も非常に多くなつて來ると思うのでありますが、日本船同志の間の問題のみならず、外國船との關係におきましても、戰爭中のいろいろの訓練が惡かつたりしたような事柄、或いは航路標識その他の航海安全の施設が整つていないために、外國船との間におきましても面白くない海難事件を惹起する虞れがありまするので、只今の御方針を一日でも早く實現できますように、特にお骨折り願いたいと存じます。  尚具體的にこの點だけ、これは追加豫算の御關係もあつて、只今お聽かせ願えないかも知れませんが、この法律案によりまして、海難が起りました場合に、具體的に直ちに海難原因の探究をする海難調査のためにどのぐらいの人員、どのくらいの豫算を計上しておられましようか、この點を具體的にお差支ない限りお伺いしたいと思うのであります。
  34. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 第一の御指摘の點でございまするが、これはまず貿易再開に備えて、でき得る限り外國船の航路に對しまする標識及び一般日本沿岸に對するところの掃海不十分なる點については、それぞれの航海業者若しくはその筋を通じて先ず豫め御通知をいたしまして、安全なる航路を當分の間は取つて頂く、こういうふうに處置をいたします。漸次掃海をし、すべてのものが整いますと共に、次々にそれを發表いたして行きます。それからそれに必要なる施設は、御指摘の通り、直ちにいたします。  それから最近に関開をするために、多數の港が開かれると思います。一番問題は、關門海峡、豐豫海峡から釣島水道を經ます大阪灣、瀬戸内海が一番面倒だろうと思います。これらにつきましては、各海運局の方に通達をいたしまして、地方官憲とも協力を願いまして、御指摘のようなトラブルの起らんように處置いたしたいと思います。  それから第二点でございまするが、これは豫算の面でいろいろ制約されまして、最初相當數を豫期しまして、迅速に海難を處理するようにしたいと思いまして、大分大藏省の方に折衝いたしたのでありまするが、非常にその後削られまして、誠にどうも申し譯のないような數字にはなつておりまするけれども、詳細な具體的な數字は、大久保君の方から今御説明を願うことにいたします。ただ從來のようにその都度その都度船籍港のあるところに來て審判を開かなければならんというような、さようなことのないように、その海難事故發生の土地において直ちに開けることにいたしましたのと、前よりも相當數の人が殖えましたので、海員諸君にもさまで從來のような御迷惑をかけるようなこともあるまいかとも心得ております。
  35. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 豫算的な點を補足いたしたいと思います。豫算額は平年度、從來は三十六萬圓でありましたが、今囘は百萬圓に増額いたしました。職員數は從來二十一でありましたが、今囘五十一名に増加をいたしました。
  36. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今航路標識が不完全だから、航路を特に指定をして外國航などには安全を期するようにするというようなお話があつたように思いますけれども、政府はそうした特殊の航路或いは港に對して強制水先人を配置するというような御意思はあるのでしようか、その點お伺いしたいと思います。
  37. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 只今強制水先人、一定の水先人を設置するというようなところまで至つておりませんが、今後におきまして必要があると認めまする場合におきましては、お説のようにいたして、すべての外國船舶に對する海難を防止いたしたいと思いまするが、併しながら從來の水先案内人がございまして、それぞれの外國船におきましても水先案内人を依頼して來ることもあろうと思います。そういう場合は從來通りに取扱つて行けばいいのでありまして、今政府の豫算を以てこれを置くというようなことは、まだ今のところ考えておらんようなわけであります。
  38. 中村正雄

    ○中村正雄君 お教え願いたいのですが、審判法の五十三條のいわゆる不服の訴えは東京高等裁判所の管轄に專屬する。これは民事事件だと解釋していいわけですね、刑事の方は又別にやるわけですね。それから第五條の懲戒の種類一、二、三とありますが、これは結局行政處分のわけでありますか、この行政處分に對しては司法裁判所に提訴するということはできないものと解して宜しいのでありますか。
  39. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 五十三條の高等裁判所の管轄に專屬するというのは民事の場合です。それから第五條の免状行使の停止、禁止、戒告、これは行政處分でありますけれども、やはり憲法の條章によりまして裁判所に訴えることができる、こういうふうに考えております。
  40. 中村正雄

    ○中村正雄君 その點につきまして、憲法の條文によつてできるというのは、行政處分に對して司法裁判所に上訴すると、こういう意味なんでしようか、これはどういう意味ですか。
  41. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 行政機關が終審としての裁判をすることができないということに相成つております。審判はこれはやはり一種の裁判であると、こういうふうに解釋をいたしまして、やはりこれは司法裁判所に訴えることができる、こういうように解釋しております。
  42. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、行政機關は終審として裁判できないというのは、司法事件に關してできないという意味じやないのですか、憲法の解釋は……。行政事件に關しても、行政機關が終審の裁判はできないと、こういう解釋ですか。
  43. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) これは行政處分ではありますけれども、内容は免状の行使の禁止、その他一個の海員の權利に大きな影響を來す問題であります。又審判の内容も殆ど裁判と同じ手續を踏んで、やはりこれは一種の裁判と解釋いたしまして裁判所に出訴する、かような手續になつております。
  44. 中村正雄

    ○中村正雄君 私のお尋ねしているのは、裁判でなくして、憲法で終審の裁判ができないというのは、司法事件に關しては、これは行政廳では終審の裁判ができない、こういう意味じやないですかとお尋ねしている。だから五條が、行政處分であれば、何も司法裁判所に出訴することを認める必要がないのじやないか、これをお尋ねしているわけであります。
  45. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 一應お説の通り御尤もですが、これは民事上の問題だけに止まるわけでありますからして、この裁判所はこの範圍で私はいいと思います。ただこれが假に船が沈没する場合に、海難の處置を船長が取つていなかつた、そこでフエリー、渡船が澤山の溺死者を拵えた、こういつた場合に、自分のみずからの職務怠慢によるという結果が現れるまでは、この民事上の審判、いわゆる處置を取つたか取らないか、又その船舶の構造がどうであつたか、又船具の措置がどうであつたか、一切の通信機關が完全であつたかというふうの全般に亙る海難に對するところの應急處置なり、船の設備に對するところの事柄が、この裁判所において明確にされて、その結果、それぞれの懲戒なり戒告が行われるわけであります。そうしてそれに伴うて、その職務の怠慢竝びに設備の不完全からよつて來るところの溺死者に對するところの司法上の事件は、別途にこれは司法の方で取扱つて行きますから、お説のように、終審的な判決を下さなくても、行政的な面だけのものを取扱つて置けば、それでいい、こういうふうに解釋して頂けばいいと思うのであります。
  46. 中村正雄

    ○中村正雄君 從つて行政上の處分は、これは審判所で終審になつてもいいのじやないか、司法裁判所に何も行政上の終審の手續を認める必要はないのじやないか、こうお尋ねしているわけであります。
  47. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) そこで先程申しましたように、その判決が多くの犠牲を伴つて刑事上の問題を起して來るというような假定があつた場合に、その判決に對して不服のある場合は上告いたしまして、假にそういう犠牲があつてもなくても宜しい、その判決が誤つているか誤つておらないかというところの法的の解決、それを最後の上告審によつて解決し得るという途を拓いておくということは、今あなたの仰しやつたように、これで以て最終審としてしまうということは、それは若しその裁判官が法の運用を誤まつておつた場合には、それを最終審とした場合には、そこでその人の最後的の判決を受けてしまわなければならんということになりますから、それを上告せしむるところの途を拓いておく方が妥當ではないかと思う。
  48. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうするとこれは實例ですが、今のように參りますと、假に免状行使の禁止という懲戒處分があつたと、これを地方裁判所に上告して、地方裁判所が事實の認定をやりますが、その結果によつてこれは免状行使の禁止という處分は過ちだから破棄するということを地方裁判所が下すことになるわけですか。
  49. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) そうでございます。
  50. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 先程田中政府委員からお話になりました管轉官廳の管轄權ですね、そのことについてちよつと私お尋ねいたしたいのですが、この事件の發生した場所によつて成るたけやつて行きたいというお話でありますが、船舶が港におつて繁船中、いろいろな事件を發生した場合には、明らかにその地方海難審判所の管轄範圍が分つておりますが、假に大洋を航海しておつて海上において衝突したという場合には、北緯何度、東經何度の間はどこそこの管轄であるというようなことは何かここに決めてあるのですか。
  51. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 航海において海難を生じましたる場合におけるその審判手續は、その船が寄港いたしましたところの、假に属の外國において、修理いたしまして、日本へ歸つて來ました一番最初に到著いたしましたその港の管轄の海運局でやる。若しそれが沈没してしまつたというようなことがあります場合には、その船員が日本に歸つて參りました場合には、それによつてその所轄の船籍港において、人間だけおつた場合には船籍港においてやつてもいいと考えます。
  52. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 主としてそういう明確でない場合には、その船籍港でやるというのが、それは在來慣習であつたのですが、寄港して一番早く陸岸に來たところの管轄海難審判所にてやるというのが、これの眺めどころなんですか。船籍港においてやるというのですか。その點明確にお尋ねしたいと思います。
  53. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 只今の説明に補足いたします。船籍港においてやる建前を採つております。併し領海外の比較的近い所で起りました海難につきましては、やはり緯度、經度から管轄審判所を決める豫定であります。ただそういたしましても、例えばニユーヨーク附近で起つた、或はイギリス方面で起つたというような場合には、管轄をどうするかという困難な問題が起つて來ます。そういう場合におきましては、大體ニユーヨーク航路の、横濱から發つて東廻りの場合にはどこ、それから印度洋を經て行く場合の船はどこというふうに、大體まあ船のこの仕向地域は寄港關係を考慮いたしまして、特定をいたしたいと考えております。その時には政令で取決めたいと考えております。
  54. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 それからもう一つ船員としては相當重大な事項があるんですが、第六章の四十六條に控訴權と言いますか、この請求權と言いますか、末項の「裁決の言渡の日から七日以内にこれをしなければならない。」これについて私は特に申し上げておきたいのは、船員のごとき移動をなす職業の者において七日以内にこれを請求せなければならんという極く短い時間にこれを限ることは、非常に危險と私は考える。而も今日この通信の不備なる、東京都内の間に速達を出しても、三日もかかるような状態の場合に、七日以内というようなことをここに限定されるということは、もう少し船員の職業性ということを考えて頂きたい。私はこれは少くも三十日ぐらいの餘裕の時間を見なければならんと、かように考えておるんですが、これはただ普通の訴訟法においては、大低常識的に判決の言渡の日から七日以内ということにはなつておりますけれども、ここに少くもその職業のいかなる職業だということを勘案して、私はこれを少くも三十日以内にはして頂きたい。かように希望しております。
  55. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 七日では短いというお尋ねでございますが、これはやはり到達主議を採つておりますから、本人に到達しまして、まあ七日程度あれば或いは意思決定ができはしないかと、こう考えております。
  56. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 いや私は七日じや困難だと思います。それからもう一つこの六十一條の「免状行使の禁止又は停止を言い渡された者が理事官に免状を差し出さないときは、理事官は、その免状の無效を宣し、これを官報に告示しなければならない。」と、これは只今私が申し上げたごとく、この理事官に免状を差し出すときは、直ぐ差し出すのであるか、或いはこれには一定の時間をおいていいのであるか、これをもう少し明確にして頂きたい。船員のごとき移動性を持つておる職業であれば、理事官の認定によつては、免状は無效になるという最も重大な機會が私は招來しはしないかと思うので、これには特に私は理事官に免状を差し出す時間を、或いは三十日以内、この裁決を受けた三十日以内に理事官に免状を差し出すなら差し出す、かように私はここで時間を明確に切つて頂かなければ、非常にこれは船員としては危險な状態にある。船員の海員免状というものは、殆んど命と同樣な性質のものでありますから、よく愼重に考慮して頂きたい。かように考えております。
  57. 田中源三郎

    ○政府委員(田中源三郎君) 御指摘の點は御尤もであります。まあ判決がありまして、禁止の裁決があつた時から理事官は免状を返納せよと、こういつた場合に、本人が送つて來ないというような場合には、何囘も督促をするというようなことをやらなければならんと思いますが、御指摘のように一定の期日を設けることは御尤もでございます。さように考えまして、政令等の場合に一定の期日を指定いたしたいと思います。
  58. 内村清次

    ○内村清次君 憲法の第七十六條との關聯性についてちよつとお尋ねしますが、先程から聽いておりましたら、結論として、この審判所というものは七十六條の「最高裁判所及び法律の定めるところにより設置するところの下級裁判所に屬する。」というこの憲法七十六條の下級裁判所に屬するものだ。こういうふうな見方もしていいかどうか、或いは又この特別裁判所というような項に該當するものであるかどうか、この點を一つ伺います。  それから第二點としては、第五十三條で地方海難審判所の採決に對しては訴を提起することができない。こう書いてあるが、この高等海難審判所に對するところの理事官のいわゆる訴によつて、結局地方の問題は高等裁判所の方にやらるるというようなことになつておるのですが、この行き違い、これはどういう關聯性があるのですか。
  59. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 只今お尋ねの憲法の七十六條の「司法權は最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に屬する。」この解釋によりまして東京高等裁判所に屬しておる。こういう解釋もございまするし、又裁判所法によりまして既にこの二審を審判決議によつて經ておりまするから、地方裁判所から參りまするものを高等裁判所に屬せしめた。こういうことにもなるわけでありまして、一應私共は裁判所法によりまして東京高等裁判所に管轄が屬せしめられた。かように解釋をいたしておる次第であります。  それから「地方海難審判所の採決に對しては、訴を提起することができない」と申しますのは、地方海難審判所の採決に對しましても高等海難審判所へは更に上つて行くわけでありまして、高等海難審判所の採決に對して訴を起して東京高等裁判所に地方海難審判所からぢかに出しますと、審判の受審手續が行かない、その點を……。
  60. 内村清次

    ○内村清次君 その點は分りました。
  61. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) それから尚附け加えまして、先程中村委員の御質問にお答えしましたのに若干附け加えて置きたいのでありますが、この行政處分も司法裁判所へ持つて行くという點には、七十六條に、特別裁判所はこれを設置することができない。行政機關は、終審として裁判することができないとございまして、今度御承知のように行政裁判所がなくなりましたので、行政行爲として最後に判決をいたしますところがございませんし、又三十二條でありますが、「何人も、裁判所において裁判を受ける權利を奪はれない」とございますので、やはり國民の行政行爲に對する不服に對しましては、これは裁判所において裁判を受ける權利がある。かように解釋いたしまして、この行政行爲も裁判所へ繋屬する。かようにいたした次第でございます。
  62. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 さつきの丹羽君からの話の、四十六條の末項のうちの「第一項の請求は、採決の言渡の日から七日以内にこれをしなければならない」という、この採決の言渡の日というのは、その採決が本人の手に届いたときのように私は了解しておつたのだが、採決をしてしまつたらその日から、届いても届かないでも七月という方の意味なんでしようか。その點をはつきり立案者に伺いたいと思います。
  63. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) これは先程もお答えいたしましたが、採決の言渡の趣きが本人にその意思の通知が到達いたしましてからでございます。
  64. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうでございますな。それなら大體どうかな、丹羽君。三十日とか、五十日とか言わんでも、自分の手に入つてから七日以内ならこれでもよさそうな……まあ議論じやないのだけれども、そういう氣がするのです。
  65. 丹羽五郎

    ○理事(丹羽五郎君) ちよつと申し上げますが私の私見ですけれども、この頃のような通信が非常に不便な折、又補佐人をつけた場合、補佐人との連絡ということに多少時間がかかるということと、又今度の海難審判法というものには、特にその原因を探究することが最大の目的であるように考えております。その書類を作成したりなんかで、相當以前の海事審判とは違つた、相當そういうような證擔書類なり、有利な書類の作成ということに時間がかかりはしないかということも實は考えて、でき得るならば多少餘裕のある時間をとつて頂きたいという希望をさつき言つたわけであります。
  66. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 細かい點を一二伺いたいのですが、私まだはつきり全文を通讀しておりませんので間違いがあるかも知れませんが、審判の請求はこれは理事官だけがこれをなし得るように考えられるのですが、その通りで宜しうございますか。
  67. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 檢事と同じ立場をとりまして理事官がこれをなす。
  68. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 そういたしますと當事者からは審判の請求はなし得ないことに考えていいのですか。
  69. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 理事官から請求するということにいたしておりまするけれども、當事者も理事官に具状いたしまして、理事官を通じて請求すればいたして宜しいということになつております。
  70. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 その點は或いは政令以下でそういう規定ができるか知れませんが、この法律案だけからみますと、いかにも理事官だけが請求し得るように書いてあるように思うのです。事柄が先程からのお話のように司法上の訴訟、民事事件、刑事事件等の先決訴訟のような恰好になるわけでありますから、又理事官の方で事件を受理いたしましても、必ずしも全部審判にかけるのでなくて、細かい問題は場合によつては、理事官の考えによつて審判を行わないという場合もでき得るわけであります。こういう場合を救濟いたしまするために當事者からの審判の請求も認めて然るべきだと思います。これは私の意見になりますから單にこの程度に止めて置きます。お考えを願いたいと思います。それからもう一つ細かい點でありますが、この條文の第二條に關聯する問題であります。現行の海員懲戒法によりますと、例へば船舶職員が海技免状を使用しておりますが、職務上の義務に違背した場合、或いは職務を怠つた場合、又亂醉粗暴その他の失行ありたるとき、こういういつた職務上の義務違背、又は失行等があつた場合におきましてやはり懲戒をするということになつております。これは懲戒法の性質上當然であると思うのでありますが、今度は海難というものを定義されまして、第二條に掲示されておるのであります。その第三に「船舶の安全又は運航が阻害されたとき」という字句があるのであります。この字句をどういうふうに解釋してよいか、實はよく私に分らない。この中に先程申し上げたように、職務上の義務違背事件でありますとか、或いは失行事件でありますとか、そういつたものも包含される趣旨でありましようか、或いはそのうちの安全又は運航が阻害されたような事件だけに限定して、義務違背や失行事件を取扱われるのでありましようか、その點についてお考を伺いたいのであります。
  71. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) 只今御質問の點は、お話のごとく、單なる義務違背、失行というものは、法案が海難豫防を建前にいたしております關係上、これは取扱わないということにいたしております。ただ義務違背及び失行が船舶の安全又は運航を阻害する結果が生じておりますときには、これはその問題も取上げまして審判いたす。かような豫定であります。
  72. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 この法案としましては、趣旨から言いまして、私もそれで結構だと思いますが、そういたしますと、船舶の安全又は運航が阻害されないような失行事件或いは職務上の義務違背事件がありまして、他の法令によつて例えば刑法でありますとか、船員法でありますとか、そういう法規によつて、海技免状を有しております者が刑罰を受けたというような場合におきましても、海技免状の効力につきましては何ら影響を及ぼさないというお考でありましようか。
  73. 大久保武雄

    ○政府委員(大久保武雄君) お答えいたします。只今の御質問の點は、船員法等にもその點に對するそれぞれ罰則がございます。又刑法等に觸れました場合におきましては、これ亦刑法の規定に從つて處罰を受ける。現在船舶職員法におきましては、刑法上相當重い犯罪に問われたる際におきましては免状を取上げるという規定がございますから、さような場合におきましてはその條章に從つて處斷をされるということに相成るわけであります。
  74. 中村正雄

    ○中村正雄君 委員も大分お歸りになつたようでありますから、豫備審査はこの程度で結びをつけたらいかがです。
  75. 丹羽五郎

    ○理事(丹羽五郎君) ちよつとお諮りいたします。實は他の委員が外の委員會とかち合つておるので、その方へお出ましになつたので、委員の定數も缺けておるようなことですから、今日の豫備審査はこの程度で打切つたらどうか、かうよに考えておりますが……。
  76. 丹羽五郎

    ○理事(丹羽五郎君) それでは本日の委員會はこれで以て散會いたします。次は追つて又參議院公報によつて御報知いたします。    午後二時五十三分散會  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            丹羽 五郎君           橋本萬右衞門君            小野  哲君    委員            内村 清次君            小泉 秀吉君            鈴木 清一君            中村 正雄君            若木 勝藏君            淺岡 信夫君            大隅 憲二君            植竹 春彦君            小林 勝馬君            新谷寅三郎君            早川 愼一君   政府委員    厚生事務官    (保險局長)  宮崎 太一君    運輸政務次官  田中源三郎君    運輸事務官    (海運總局船員    局長)     大久保武雄君