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1947-09-18 第1回国会 参議院 司法委員会 23号 公式Web版

  1. 付託事件 ○刑法の一部を改正する法律案(内閣  送付) ○岐阜地方裁判所多治見支部を設置す  ることに関する請願(第十一号) ○帶廣地方裁判所設置に関する陳情  (第四十九号) ○刑事訴訟法を改正する等に関する陳  情(第六十号) ○民法の一部を改正する法律案(内閣  送付) ○家事審判法案(内閣送付) ○函館市に札幌高等檢察廳支部設置に  関する陳情(第百四十号) ○法曹一元制度の実現に関する陳情  (第百四十五号) ○裁判官及びその他の裁判職員の分  限に関する法律案(内閣提出) ○農業資産相続特例法案(内閣提出) ○経済査察官の臨檢檢査等に関する法  律案(内閣送付) ○裁判官彈劾法案衆議院提出) ○裁判所法の一部を改正する等の法律  案(内閣送付)   ――――――――――――― 昭和二十二年九月十八日(木曜日)    午後一時四十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○裁判官及びその他の裁判職員の分  限に関する法律案 ○民法の一部を改正する法律案   ―――――――――――――
  2. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) これより委員会を開会いたします。本日は裁判官及びその他の裁判職員の分限に関する法律案を議題に供します。前囘に引続きましてこれが質疑を継続いたします。
  3. 齋武雄

    ○齋武雄君 彈劾法と分限法律案との関係をお伺いするのでありますが、免官の場合は彈劾法に一任して、その他のことは分限法によつてやるという御趣旨でありますが、その関係をお伺いいたします。
  4. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 裁判官につきまして、從來免職等のところまで全部判事懲戒法に規定がありましたが、彈劾による罷免ということにつきましては、憲法の規定によつて特別に法律を以てこれを定めることになつておりますので、彈劾による罷免、いわゆる裁判官の彈劾に関しては、いわゆる昔の判事懲戒法とは別に、ここに裁判官彈劾法案というものができることになつて参つたのであります。でありますから、この分限に関する法律におきましては、彈劾による罷免以外の事柄、而もそれが懲戒等の問題を含んで規定をいたしたのであります。ただ、この分限に関する法律でも、心身の故障のために職務を執ることができなくなつた場合、罷免のことも規定いたしておりますので、罷免のことは全然彈劾に讓つたというのでもないのでありまして、いわゆる懲戒的な意味における罷免は彈劾法に讓りまして、心身の故障のための罷免は、この分限法並に懲戒的な意味における罷免以外の制裁と申しますか、懲戒はこの分限法に規定することにいたしたわけでございます。而してその事由は、結局この彈劾法が成立すると仮定いたしまして、大体におきまして、この懲戒に関する分限法よりも、その程度が著るしい、例えば職務上の義務に著るしく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき、或いは裁判官としての威信を失う非行があつたときという著るしい場合は、彈劾法によるものとして、罷免の制裁を受けるが、この懲戒法におきましては、裁判所法四十九條によりまして、「職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、」というので、この間程度の差がありますが、大体罷免される場合と、そうでない懲戒に該当する場合においては、内容的には同日と見ていいと思いますが、程度が彈劾法に規定する場合が高いというふうに御了解願いたいと思います。
  5. 齋武雄

    ○齋武雄君 本案の第二條には「裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする」とありますが、憲法の七十九條、八十條の末頃には、裁判官は在任中その報酬の減額をすることはできないという規定になつております。ところが、俸給の減額ではありませんが、一万円以下の過料ということになると、実質的に俸給の減額のようになるのでありまするが、この点について憲法との関係を研究されましたでしようか、その点を伺いたい。
  6. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 御尤もな御質問でありまして、その点は我々も非常に研究いたしたのであります。ただ過料ということになりますと、いわゆる秩序罰でありまして、俸給の中から差引く減俸とは非常に違うので、いわゆる一般財産の中から自由に拂う過料ということになつて、俸給を減俸するということとは、その性質が違うものであるということから、成る程、減俸は憲法の七十九條、八十條等でできないが、過料は俸給の中から差引くのではなく、一般の財産の中から支拂えばいいというような関係から、いろいろ憲法との関係を考えましたが、これは憲法に抵触しないという考えの下に、こういう規定をいたしたわけであります。
  7. 齋武雄

    ○齋武雄君 過料に処せられた場合において、そういう人はないかも知れませんが、若し外の支拂う財産がなくて支拂うことができない場合においては、どういうお考えですか。
  8. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) これはやはり過料につきましては、十三條によりまして過料の裁判を執行いたすことになるわけであります。
  9. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その場合俸給で取るということになりはしませんか、結果は……。
  10. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 一般的に債権差押で轉付命令ということができるかどうか、できるじやないかと思いますが……。
  11. 齋武雄

    ○齋武雄君 そういうことになると結局減俸と結果が同じことになる。例えば給料に轉付命令をして給料から取るということになると、結局減俸と同一結果になるということなんですが、その点はどういうお考えですか。
  12. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) ぎりぎりのところへ行きますと、そういうことも考えられますが、一般的に考えて、過料は一般財産の中から借金をして支拂つてもいいわけですが、直接には減俸にならないという考えで、その意味で憲法違反にならないという考えで、まあ立案いたしたわけであります。
  13. 齋武雄

    ○齋武雄君 懲戒には、先程言つたように戒告と一万円以下の過料ということに規定してあるのでありますが、轉官、轉任するということ、そういうことをお考えになつたかどうか。
  14. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) その点も考えたわけでありまして、現在の判事懲戒法等にもちよつと出ておる轉所或は停職といつたようなことも考えられるのでありますが、左遷といいますか、轉所ということは憲法の七十八條の趣旨からいいまして、やはり憲法に抵触するのではないか、又停職も一時の罷免と同じようなことになるから、やはり憲法の精神に反するのではないかというような考えから、轉所或いは停職というふうな制裁も止めにいたすことにいたしたわけであります。
  15. 齋武雄

    ○齋武雄君 第一條に「裁判官は囘復の困難な心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合」、こういうふうになつておりますが、裁判された場合というこの裁判をするのは、どこの裁判所でやるのでありますか。
  16. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) これは三條以下に規定しておりまして、地方裁判所並びに簡易裁判所の裁判官につきましては、高等裁判所が判断をいたします。それから最高裁判所並びに高等裁判所の裁判官につきましては、最高裁判所が一審にして終審の裁判をやるということになつております。
  17. 大野幸一

    ○大野幸一君 この法案の題目が分限に関する法律案となつておるのであります。官吏分限令にはその懲戒に関しては官吏懲戒令と區別してそれぞれ規定してあるようでありますが、裁判官と裁判職員についてこれを一括して規定した理由はどういうわけでありましようか。二つが相関聯しておるという以外に何か特別に立法上の論拠というようなものがあるのでありましようか。
  18. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 分限ということは、大体身分の進退、懲戒、そういうものをすべて含む意味で分限という言葉を使つたのであります。文官につきましては文官分限令と官吏懲戒令というふうに分れておりますが、ここでは裁判官と、裁判官ではありませんけれども、裁判職員も、これはやはり裁判機構の中における官吏であつて、これらの懲戒、分限というようなことについては、やはり一般の行政、文官とは違つたカテゴリーで特別の規定を設け、一本に纏めるのが適当であらうというふうに考えまして、裁判官それから、裁判官以外の裁判職員の特例を規定しましたわけであります。勿論裁判官以外の裁判職員は性質上はやはり文官でありまして、官吏分限令及び官吏懲戒令の適用を受けるのでありますが、ここに規定しておるのは、それ以外のその特例に関して、裁判所の行政官といいますか、裁判職員について、官吏分限令とか官吏懲戒令の特例を規定いたしたわけで、これはやはり裁判所の機構の中にあるものということで、一本に纏めた方がよいのではないか、而してその内容は懲戒に関すること、それからなんといいますか、心身の故障のための罷免に関する事柄、これをどういうふうな文字で現わすのが適用であるか、非常に苦慮いたしたのでありますが、大体分限というような言葉が身分の進退、懲戒、そういつたようなことを全部含めておるものとして見てよいのではないかというふうに考えて、一本にして「裁判官及びその他の裁判職員の分限に関する法律案」ということにいたしたわけであります。
  19. 松井道夫

    松井道夫君 只今の点でありますが、どうも法律を一般に分り易くするという意味で、最近の法律は、憲法以下口語体に書いてありまして、頗る分り易くなつて來て非常に喜ばしいのでありますが、併しその外の点で相変らず分りにくい点があるのであります。例えば只今齋委員から質問のあつた彈劾法との関係、これは懲戒、今の裁判官の罷免については彈劾法の規定するところに、譲るという趣旨がこの法律では分らない。それから裁判官以外の裁判職員の懲戒乃至心身の衰弱、或いは不具廢疾による免官についていいますと、これは要するに一般文官分限令或いは懲戒令の一つの特例になつておるのでありまして、裁判官以外の裁判職員の分限については、本法に規定するものの外は、今の一般の法令によるというような規定がありますると、非常に分り易くて、この法律一つ読んだだけで判事乃至裁判職員の分限に関する法律はどうなつておるか、機構、組織はどうなつておるかということが直ぐ分る、素人が見たら非常に分り易いのであります。ここで委員になつておられる方は、いずれも法律については相当の御経驗もあり、或いは関心を有しておられる方々なのでありまするが、この法律を漫然と読みましたのでは、そういつたことは少しも分らない、特に立案に当られました政府委員にお聽きするなり、乃至は一般の法令集というものができますれば、それを詳しく捜して漸く納得できるというような状況にありますので、そういう方面につきまして御親切な御配慮があつたかどうかお聽きしたいと思います。
  20. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 御尤もであります。成る程、例えば裁判官以外の裁判職員の分限等について、尚その外の点は一般の官吏の例によるというふうなことを書くことは、非常に親切であり、分り易いかとは思いますけれども、元來が裁判官以外の官吏は、やはり文官であるということになると、官吏分限令、或いは官懲戒令の規定は当然適用があるので、ここにあるのがその特例だけだということに、文官の方の分限令或いは懲戒令を読めば分るので、又ここで更にその一般のことは、一般官吏の例によるというようなことになると、むしろ文官の分限令或いは懲戒令の適用はない、ここに他の点については一般の官吏の例によるということによつて、初めて適用があるというふうになる慮れもありますので、註釈でも加えるということになれば、そうでありますけれども、やはり法律の條文といたしますと、そういう点がどうもうまく書けなくて、甚だ分りにくいかとも思われますが、或いはここへでも裁判官以外の職員の懲戒分限に関する特例は以下何條によるというふうにでも書けばよいかと思いますが、ここにその他の点については他の文官の一般の例によるというようなことも書けなかつたので、甚だ分りにくいと思われますが、ただこういうふうに立案いたしたわけであります。
  21. 大野幸一

    ○大野幸一君 第一條に「本人が免官を願い出た場合は」と規定してありますが、心身故障のためと雖も直ちに本人が免官を希望するに限らないのであつて、暫時の間休職を願い出る場合もあり得ると思うのであります。そういう場合を考慮されて、免官若しくは休職を願い出た場合には、これを免じ、又は休職を命ずることができるというふうに改めることも一つの方法であると思いますが、この点についての御見解を承りたい。
  22. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 御尤もな事柄で、実は最初の案は休職のことも規定いたしておつたのであります。例えば裁判官が心身の故障のために、休養を要するときは、その願いによつて最高裁判所はこれに休職を命ずることもできる、休職の期間は一年というふうないろいろのことを規定いたしました。又復職のことも規定いたしたのでありますが、いろいろ考えまして、結局それはやはり監督者の許可を受けて欠勤をすれば、休職と同じことになりますから、特に休職のことを規定する必要もなかろうということになりまして、依願免職の点だけを規定したのであります。從來裁判官が終身官であるというような関係から依願免官というふうなこともできないのではないかといういろいろ疑いがありましたので、今囘は終身官ではないというようなことに憲法の上にもなつておりますので、旁々今まで依願免官ができなくて病氣というふうな事実に副わない理由によつて退職を命じておつたのを、正面から依願免官ができるという規定を置いたに止めたのでありまして、休職の点につきましても一應案を考えましたが結局やはり監督官の行政的な許可によつて欠勤を許して置けばそれでもよいのではないかということで、休職の点は特に規定は置かなかつたわけであります。
  23. 齋武雄

    ○齋武雄君 この法律は裁判官とその裁判所の職員に対するものであつて、勿論檢察廳の檢事、檢察廳の職員は入らんと思いますが、その点を伺いたい。
  24. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) さようであります。
  25. 松井道夫

    松井道夫君 この一般の文官と今の裁判所の職員というものとは、以前司法省がございまして、司法大臣裁判所の一般職員のことは取扱つたわけなのでございますが、新憲法の下の組織から見ますと、すべての裁判所の職員は、最高裁判所が結局休職の監督をするということになつておるようでございますが、そういたしますると、一般の行政官の分限と裁判所の職員の分限とはそれを別個に取扱いまして、丁度裁判所の職員裁判法に規定してあるのでございますから、これを別個に取扱いましても別に差支ないのではないか、その方が却つて行政権と司法権との分別を明らかにする上においてよいとも考えられるのでございますが、その点について御見解を承りたいと思います。
  26. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 御尤もでありますが、やはり裁判所の職員と雖も、裁判官以外の者、例えば事務総長であるとか、或いは最高裁判所長官秘書官であるとか、或いは司法研究所の教官でありますとか、或いは裁判所調査官、或いは裁判事務官裁判技官というふうな者はやはり裁判官ではない、裁判官以外のやはり廣い意味においての行政官でありまして、裁判所法におきましてもそれらの者の任免叙級につきましては、一級の者は最高裁判所の申出によつて内閣が任免し、二級の者については最高裁判所が行う、三級の者は最高裁判所の定むるところによつてそれぞれ各廳でこれを行うというふうになつておりまして、やはり任免の決定は内閣系統に属することになつておりますので、やはりこれは一種の行政官であるという建前が正しいのではないか、即ち裁判官とは地位、報酬その他の点において非常に違つておりますので、一般の文官ではあるが裁判所の機構に属し、裁判所の監督を受けるという、謂わば半分一般行政官であり、半分司法官であるということになりますので、これをどういうふうにもつて行くかというようなことは非常に考えなければならないところと考えます。從來そのままにして置きますと、これは純然だる文官として文官の分限及び文官の懲戒の適用をそのまま受けるということになろうかと思うのでありますが、併し、そのことの性質から、やはり特例を設けるのがよかろうということで特例を設けたので、身分としてはやはり文官であるが、裁判所の職員であるという関係でその特例を設けたという程度にいたしたので、初めから文官の適用を受けないということはちよつと断定が困難ではないかというふうに考えましたので、この程度の特例にいたしたわけであります。
  27. 松井道夫

    松井道夫君 御説明で了解いたしましたが、そういたしますと、裁判官とその他の裁判職員との分限、これは純然たる司法官とそうでない者との分限というものになりますが、これを強いてこの法律に一つに、纒めた理由をお尋ねしたい。
  28. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) やはりそれは裁判所法におきましても、裁判官並びに裁判官以外の裁判職員の任免、敍級等について、規定を一本に、裁判所法という法律の中にいたしておるのと同じような意味で、裁判官と裁判官以外の裁判職員との分限について一本の法律にするのが適当であろうというふうに考えておるわけであります。
  29. 松井道夫

    松井道夫君 問題は別の問題でございますが、十條に「分限事件の裁判手続は当該裁判官について刑事又は彈劾の裁判事件が係属する間は、これを中止することができる」、かような規定になつておりますが、これは刑事裁判手続の場合でございますると何等問題は生じないと存じまする。けれども、これが彈劾の場合でございますると、彈劾の事件の運命によりまして、この分限事件がどういうことになるか、それは罷免の結果となつた場合には、恐らく分限規定は更にそれに重ねて戒告或いは過料というのも科し得るのでございますから、これは結局懲戒に付しないという結果になるんじやないかと存じまするけれども、この法律ではその辺の関係が明らかになつておらんようですが、別に必要がないとお認めになつたものでございましようか。
  30. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 一應この懲戒で事足りるものと思いまして、懲戒の手続を始めて見たところが、その同じ事由が彈劾の訴追を受けるというようなことになりまして、若しこれが彈劾によつて罷免というふうなことになりますれば、重ねて懲戒をやる必要もありませんので、或いは手続を進めて行つても無用になるかも知れないということになりますけれども、そういう場合には、一應彈劾の事件の推移を見るために中止ができるという規定を置いて、重複並びに無用になることを防止するために設けた規定であります。
  31. 松井道夫

    松井道夫君 單にこの規定だけですと、今の罷免の結果になつても、戒告乃至懲戒が同じ事由でできるように、そういうことになつても、更に戒告、過料の処分をすることができるようにも解釈されますが、その点をはつきりする必要がないものでしようか。
  32. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 理論上は仮りに一應過料等になつても、更に彈劾によつて罷免されるということがあり得ることと思いますが、事実上は罷免になるような者は、もうそれで処分が終りになる方が適当なんで、そういう場合に二重にやるということはいかがかと思うのであります。從來のように懲戒裁判一本でやるのでありますならばそういうことはありませんが、彈劾は國会で、懲戒は自律的に裁判所がやるということになると、その間の手続が矛盾するようなことがあつてはと思いまして、そういうことのないようにという考えから、特にこの規定を設けたわけであります。
  33. 松井道夫

    松井道夫君 すでにこの分限に関する法律によつて、或る事件について戒告又は過料の制裁があつた、その事件について更に國会の訴追委員会で取上げまして、その判事に対して同一事件につき重ねて罷免の裁判をする、そういうこともこの法律だけでは別に禁じてもないようでございますし、あべこべに今の罷免の裁判があつた者に対しまして、更にこの法律によつて分限事件の裁判手続をやるということも、これは今の罷免で直ちに罷免の効果を生じて、分限事件が開始する余地がない、さように解釈されるわけでありますけれども、いずれにいたしましてもさような危險があるように存ぜられますが、その点に関しまして何等か規定は要らないものであるかどうかということをお尋ねしておるのであります。尤も当局の方で、同一の事件につきすでに分限事件として戒告乃至は過料の制裁あつた事件について、更に國会の方で、訴追委員会で取上げて、それについて懲戒、罷免の裁判もこれはあり得るのであるということならば差支えないわけなんですが、その点についていかがでしようか。
  34. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) その両者の関係につきましては、結局解釈の問題になろうかと思いますが、我々の考えとしましては、若し仮りに同じ事案について先に懲戒があつて、例えば戒告なら戒告の処分が確定いたしましてから、更に彈劾によつて罷免の裁判を受けるというふうな重複する場合は考えることができるのでありますが、逆に先に彈劾によつて罷免が確定してから、後で更に懲戒という問題は起らない、同じ事柄について罷免ということがすでに確定しておる以上は、懲戒の事件は目的を失つて、その懲戒事件は訴え却下というふうなことになる、その訴え却下とは最高裁判所ルールで決めることになる筈であります。でありますから、若し重複するという場合を強いて考えれば、先に軽い懲戒をやつて置いて、それから後で重い彈劾による罷免が起きた場合、そういう場合には重複することが起らないように、そういう場合には懲戒の手続を一時中止して彈劾の推移を見てから、若し彈劾で罷免になつてしまえば、懲戒の事件は訴え却下するというような手続になるべきであると思うのでありまして、そういう意味で重複を避けるというために第十條というふうなものを設けたわけであります。
  35. 齋武雄

    ○齋武雄君 私も第十條の手続の中止という問題についてお伺いするのでありますが、この場合において、中止をするということは、これは当然のことで結構でありますが、中止した後の結末については規定はないのであります。今お話になつたように、彈劾で罷免された場合においては、再びそういうことは分限の手続はないのだということはこれは当然のことでありますが、然らば刑事事件の場合において、罰金五千円になつたというような場合なおいて、更に懲戒をやり得るので、分限の裁判の手続をやり得るのであるかどうか、その結末については分らんのでありますが、その結末は最高裁判所において定めるのであるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  36. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 刑事事件はこれは両立して行つていいのではないか、この中に唯この場合に中止をすることができることとしたのは、刑事事件に現われたいろいろの資料が、分限事件の資料になろうという場合がありましようと思いまして、從つて刑事事件の推移を見てその材料を分限事件の材料にし得るように、分限事件を中止することができることといたしたので、これは彈劾の場合と違いまして、刑事事件は刑事事件の刑罰を見て、懲戒事件は懲戒事件の制裁を受けるという両立でいいと思うのであります。唯先程申しましたように、彈劾の裁判があつた……分限の事件が係属中に彈劾の事件があつて、先に彈劾の裁判によつて罪免されたというような場合は、分限事件は訴え却下するというふうに、これは第十一條によつて最高裁判所がそういうことを決めることになる考えでありまして、その点はこの中にははつきり現われておりませんが、そういつたような事柄、その外十一條で決めることはいろいろ裁判官の忌避の問題であるとか、或いは訴訟代理の問題であるとか、証拠書類の問題、又審判の公開というふうなこと、いろいろ規定しなければならないことでありますが、そういう場合の訴え却下というようなことにつきましても、第十一條で最高裁判所ルールで決めるようにいたしたいと思つておるわけであります。
  37. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 この裁判所の定員に関する法律というのがあります。第一條を見ると、高等裁判所長官が八人とありますね。そこでいろいろの都合で裁判所を八ケ所を七ケ所にしたいという場合にそうすると一人どうしますか。そういうことはあり得ると思いますが、司法権のいろいろな併合があり將來増すこともあれば、減すこともあるということを想像しなければならん、その場合には裁判所がなくなりますから、同時に定員に関する法律の第一條の高等裁判所長官は、八人とあるのを七人ということに変えなければならないと思います。そういう場合にその身分はどうなりますか。
  38. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) それはやはり実際問題といたしましては、そこの裁判所におる判事を他に轉任の交渉をいたしまして、承諾を得て轉任せしめるということに実際の運用はなろうかと思いますが、憲法の建前からいいますと、たとい裁判所がなくなつても、当然には裁判官の他位が失われないというふうに考えなければならないかと考えております。
  39. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 そういうことは事実不可能であると思います。轉官しようと思つても……。そういう場合は定員を減らすのですか、裁判所がなくなつたのだから轉任すべき場所はない筈である。全体において減るわけです。結局過剰員になるというような場合が起つた場合に、憲法保障しているからうつちやらかすということは、これは何とか始末をする法律を要すると思います。それは欠陷ではないかと思います。從來の行政整理の場合には、裁判官に恩給を非常に増しまして、任意に退官して貰うような形をとつて、その点は彌縫している。だからそこに何等かの考慮が要るのではないかと思う。或いは一般の官吏であれば、過剰員を生じた場合には休職せしめることもある。何かそこに考えてもよいのではないかと思うのですが、それが直ちに憲法違反になることもないと思う。それは少し考慮を要する問題ではないかと思います。  それから第二点は、先程松井委員から御質問のありましたように、元來立法権、司法権、行政権というものは画然として区別するということでできて來ているのでありますから、たとい裁判所の職員と雖も、地位保障のないものと、判事のごとく独立性を法律で保障しているものとの身分を、ただ裁判所の廣い意味の職員であるからというので一緒に書くということは、理論上いけないと思う。分けて惡いということはないと思う。むしろその方がよいのではないか、かように考えるのでありますが、その点はどうでしようか。よいというわけにも行かん、惡いともいえんわけですが、そういう場合もあるのではないか。ただ司法行政の性質について考えなければならんことは、一般行政と違つて、司法行政ということになると当然考慮を要するものと思いますが、いろいろの点で少し不備ではないかというような感があるのですが、いかがですか。
  40. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 廃廳になつた場合どうなるか。勿論これは定員を減少する法律を出し、又裁判所を廃止する法律を出さなければならないのでありまして、その場合におきましては、先程御指摘のような、いろいろそれを始末すべき手当は、その廃止なり、その定員の減少に関する法律なりにいろいろ規定いたすべきものかと思うのでありますが、一般理窟から申しまして、憲法からいたしまして廃廳になつたからといつて、当然に失官するということは、ちよつと憲法の建前からいつて、当然にはそうならないと考えます。それで定員を減少して過剰員ができる、或いは廃廳の結果過剰員ができるという場合は、実際の運用といたしましては、本人によく話して、只今御指摘のように恩給、一時賜金等の退職賜金を與えて、任意に退官をして貰うという手続になろうかと思いますが、その点は廃廳若しくは定員減少の法律の際に、適当に規定をすべきものであろうかと思いますが、この前の行政整理のときには判事の総会の決議、或いはその他いろいろな條件を附けてそういうことをいたしたのでありますが、今度の憲法によりますと、たとい定員の改正或いは廃廳等によつても当然に失官せしめ得るかどうか、任意に退官して貰うことはできると思いますが、然らざる場合は、果して当然失官せしめ得るか否や、非常に疑問じやないかと思いますが、大体この点はそのときの運用によつて、任意の退官をして貰うような手続を行政上とり得るのではないかというように考えております。  次の問題としまして、お説のように裁判官と裁判官以外の裁判職員はやはり非常に本質的には違うものでありますが故に、一方は裁判官、一方は行政官でありますが故に、同一の法律で規定するよりも別個に規定するということも勿論考え得るところでありまして、実は最初我々の立案の当初におきましては、別個にする考えもあつたのでありますが、御承知のように、裁判所法では、裁判官に関する事柄の外にここに掲げております各種の裁判職員のことも同一の法律によつて規定いたした関係から、やはり分限に関しても同じ法律にした方が却つて便利ではないかというような考えから、一本に纏めたわけで、理論上こうなくてはならないというものではないと考えております。
  41. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 結局なんじやないかと思いますが、裁判官が從來終身官であるというような考えから、行政整理などをしておるときに退官しておつて又退職判事という資格を持つておつたように思いますが、それでその地位保障をしておるような工合に考えられておつた。どうも常識から考えまして、若しその方で議論を貫くというと、官は持たしていなければならんし、何もしないのに俸給を貰うのは私はおかしいと思います。併しそれは裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律でありますが、これはどうですか、應急的措置、それは改正してしまつたかどうかよく存じませんが、とにかく裁判官の報酬等に関する法律について、私はそういう考慮をする必要があると思います。官を持たしたければ、そういう報酬を伴わない官ということにして始末するか。これはやはり一種の廣い意味の分限であると私は考えます。それも併せて考慮する必要があるということをここに提案して置きます。尚原案者の方においても考慮され、我々の方も考えて見たいと思います。
  42. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) その点はよく研究して置きます。
  43. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 この第十一條によりますと、裁判手続は最高裁判所において定めるということになつております。只今の説明によりますと、忌避、回避或いはその他の輔佐人或いは弁護人等についての規定だというように了解できるのであります。そういうような重要なことをこの最高裁判所に委せますことになつたのはどういう趣旨であるか。又最高裁判所が定めるというならば、この最高裁判所が発令いたしまする規則でありまするか、なんでありまするか。命令でありまするか。その点について伺つて置きたいと思います。
  44. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 憲法第七十七條によりまして、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と云い、ルールを決める権限を今度の憲法最高裁判所に與えたので、民事訴訟の手続等に関する事柄、それから裁判所の内部規律に関する事柄について、規則を決める権限を有することになつている。これらは要するに内部規律に関する問題であろう、いわゆる内部の職員の懲戒というようなことは、裁判所の内部規律に関する問題であろうと考えますので、こういう事柄について、その実際の手続はやはり最高裁判所の自治に委すということが憲法の趣旨に適するのではないかというふうに考えまして、要するにこれは最高裁判所規則ということになるわけであります。
  45. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか。ではこの法律案に対しての質疑はこの程度において打切りまして、本來ならば、これを討論、採決までいたしたいと存じますが、他に彈劾裁判所の関係もありますから、これを並行いたしまして進めたいと存じますので、この程度で打切りまして、或いは質疑があるかも存じませんから、それは後日に讓りたいと思います。  では民法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回に弘続きまして、政府委員の御説明をお伺いすることにいたします。前回は親権の終りまで説明を伺つておる筈でありますから、本日は「後見の開始」八百三十八條より説明をお伺いすることにいたします。
  46. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) それはこの前に引続きまして「第五章後見」の所から御説明を申したいと思います。  後見の章で、特に全般の問題として御説明申いたし事柄は、從來後見の監督については、親族会というものがありまして、親族会が相当強い監督権を持つておつたのであります。尚その外に、後見があれば必ず後見監督人というものを設けて、更に監督をするということになつておりましたのを、親族会については、母の親権の制限がなくなつた関係上、殆ど仕事の大半が失つたのと、一方家事審判所ができまして、家庭事件に深く相談相手になる機関ができることになりましたというような関係から、親族会というものをやめたわけであります。又後見監督人というのも、特に遺言等で指定された場合を限定して、必ずしも後見監督人を置かなくても、そういう仕事は家事審判所が行うということになつた点が今までの後見の内容と余程違つて來たわけであります。  先す八百三十八條でありますが、これは現行法の九百條と殆んど同じでございます。即ち後見の開始は、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときに後見を開始する。又禁治産の宣告があつたとき後見を開始することになるのであります。  次の八百三十九條は、現行法の九百一條と大体同じであります。ただ現行法の九百一條の第二項が八百三十九條の第二項に変つたわけでありまして、現行法の九百一條の第二項というのは、「親權ヲ行フ父ノ生前ニ於テ母カ豫メ財産ノ管理ヲ辭シタルトキハ父ハ前項ノ規定ニ依リテ後見人ノ指定ヲ爲スコトヲ得」ということになつておりますのを、今度は父母が共同して親権を持つということになつた関係上、この規定をこの二項のように変更いたしたわけであります。内容としては殆ど変つておりませんが、共同親権の結果こういうことに変更いたしたものであります。  次の八百四十條と申しますのは、九百二條に該当するのでありますが、これは現行法の九百二條の第二項に該当するわけで、現行法の九百二條の一項はこれは止めたわけであります。即ち現行法では「親權ヲ行フ父又ハ母ハ禁治産者ノ後見人ト爲ル」というように法定的に当然後見人に親権者がなることにいたしておりましたが、これは後見人がどうしても二人ではいろいろ都合が惡い関係もありますので、これは当然親権者が共同して後見人になるという考え方を取らないで、この場合は後見開始として家事審判所が後見人を決めるというふうに持つて行つたのでありまして、そういう意味で現行法の九百二條の第一項を止めて、第二項に該当するのが八百四十條になつたわけであります。  次の八百四十一條、これは九百三條であります。御承知のように、現行法におきましては、戸主が結局法定の後見人になることになつておりましたが、戸主を止めた結果、要するに後見人となるべき者がない場合には、戸主ではなく家事審判所が決めるということにいたしたのが、八百四十一條であります。でありますから、結局後見人というものは、遺言で後見人を指定しておる場合、或いは又夫婦に一方が禁治産の宣告を受けたときは他の一方が後見人となる、この場合だけが法定的な後見人ができるわけで、それ以外は八百四十一條で、すべて家事審判所が後見人を選任するという建前にいたしたわけであります。  次の八百四十二條は現行法の九百五條に該当いたすわけであります。即ち現行法の九百四條というのは削除いたしたわけであります。即ち親族会を止めましたので、親族会が後見人を選任をするという権限があつたのを家事審判所に持つて行つたわけであります。而して八百四十二條は現行の九百五條に該当いたしますが、これもやはり親族会を止めたり、或ひはいろいろな親権の関係等が変つた関係上、文字はやや異りまして、裁判所を家事審判所にしたり、いろいろ内容の文字は変りましたが、趣旨は現行法の九百五條と同様であります。  それから八百四十三條は、現行法の九百六條と同樣であります。  次の八百四十四條というのは、現行法の九百七條に当るのでありますが、九百七條では、「後見人ハ婦女ヲ除ク外左ノ事由アルニ非サレハ其任務ヲ辭スルコトヲ得ス」というので、いろいろな場合を掲げておりますが、それを一括いたしまして、八百四十四條で「後見人は、正当な事由があるときは、家事審判所の許可を得て、その任務を辞することができる」と、正当な事由のある場合に辞任することができることを認めて、現行法の九百七條のように、「軍人トシテ現役ニ服スルコト」とか、いろいろな要件のある場合にのみ辞任することができるというのを、正当な事由があるときは家事審判所の許可を得て辞任ができるということにいたしたのであります。  次の八百四十五條は新らしい規定でありますが、これは後見人に不正な行爲、著しい不行跡その他不適任な事由があるときは家事審判所が解任ができる規定であります。これによつて家事審判所が後見人に対する強い監督権を持つことになつておるのでありまして、これは現行法の九百八條の第八号に「裁判所ニ於テ後見ノ任務ニ堪ヘサル事跡、不正ノ行爲又ハ著シキ不行跡アリト認メタル者」は「後見人タルコトヲ得ス」という規定がありまして、これによつて大体同じような結果に、いわゆる後見人に対する免黜の訴えというのがありますが、それに該当するのでありまして、この八百四十五條というのは、現行法の九百八條の八号を一般化いたした規定であつて、一般的に家事審判所が解任をいたすことができる規定をいたしたのであります。  次の八百四十六條は、大体現行法の九百八條と同樣であります。  次の八百四十七條は、現行法の九百九條に該当する規定であります。  次の「後見監督人」でありますが、これは先程もちよつと申しましたように、現行法に於きましては、九百十一條で、必ず後見監督人というものがなければならないことになつておるのでありますが、今度は必ずしも後見監督人を必要としない。從來後見監督人というのは、なければならんとはいいながら、実際は後見、監督人はなくして、而も殆ど実績を認められないものがありましたので、今度は後見監督人は任意機関といたしまして、必須機関といたさないことにいたしたのであります。尤も遺言で後見監督人を指定した場合だけ後見監督人ができるということにいたしたのであります。これは八百四十八條、現行の九百十條であります。  次の八百四十九條というのは、今言つたように、「指定した後見人がない場合において必要があると認めるときは、家事審判所は、被後見人の親族又は後見人の請求によつて、後見監督人を選任することができる」ということにいたしまして、必ずしも後見監督人を選任しなければならないものとしなかつたわけであります。その点がやや違つて來たわけであります。  尚現行法の九百十二條から九百十三條の規定は、そういう意味でこれを抹消いたしたのでございます。即ち後見監督人が必ずなければならないという規定の九百十二條、それから同じ趣旨の、後見人の更迭の場合に必ず後見監督人を選任しなければならないという九百十三條の規定等は、そういう意味で当然不必要になりましたので、これを削除いたしたものであります。  次の現行法の九百十四條に該当するのが八百五十條であります。  それから八百五十一條は、現行法の九百十五條に該当いたします。  次の八百五十二條は現行法の九百十六條に該当いたします。條文等の整理が多少あるのであります。  次の「後見の事務」につきましては大体現行通りでありますが、非常に細かいことまで現行法で規定しておりますが、一般的に家事審判所が監督権を持つことになりましたので、余り細かい点は現行法から落して行つたということになろうかと思います。即ち八百五十三條は現行法の九百十七條でありますが、ただ現行法の九百十七條の第三項の、財産目録を調製しなかつた場合に、親族会はこれを免黜することができるということになつておるのを止めまして、一般的な家事審判所の監督いわゆる解任ができる規定によつて賄い得る考えから、この規定を止めたわけであります。  八百五十四條は現行法の九百十八條そのままであります。  次の八百五十五條は、現行法の九百十九條に該当いたしますが、やはり後見人免黜に関する第三項の規定を止めたのであります。これはやはり大体先程の八百四十四條でこれを賄い得るからそういう必要がないと考えたわけであります。  次の八百五十六條は、現行法の九百二十條そのままであります。  次の八百五十七條は、現行法の九百二十一條の大体そのままでありますが、最後の親族会に関する規定等をなくなしたわけでありまして、そういう場合について、親族会の同意を得なければならないということを、後見監督人がある場合に、後見監督人の同意ということに変えたわけであります。  次の八百五十八條は、現行法の九百二十二條に該当いたします。又この最後の九百二十二條の二項の、親族会の同意を得て禁治産者を瘋癲病院に入れ又は私宅に監置するというようなことは、親族会の同意を得て後見人が決めるという規定を、改めまして「禁治産者を精神病院その他これに準ずる施設に入れ、又は私宅に監置するには、家事審判所の許可を得なければならない」ということにされたわけであります。  次の八百五十九條は現行法の九百二十三條、現行法通りであります。  次の八百六十條、これは特別代理人の規定の準用でありまして、これは現行法の八百五十一條の規定をここに持つて來たのであります。結局これは特別代理人の規定を後見人にこれを準用することについて、後見監督人のある場合に、後見監督人がその相手方になるという趣旨の規定にいたしたのであります。  次の八百六十一條はこれは九百二十四條に該当いたします。ただ余り細かい規定である現行法の九百二十四條の第二項というようなものは、これを止めたわけであります。尚親族会の同意を必要としないことにいたしたわけであります。  次の八百六十二條は九百二十五條に該当いたしますが、但書を止めたわけであります。  次の八百六十三條はこれが家事審判所が後見人に対して、一般的に監督権を持つておるということを決めた一般的な規定であります。即ち「後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産状況を調査することができる。」、第二項で請求若しくは職権によつて被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分をなすことができるというようにいたしまして、一般的に監督権を持たしたわけであります。これは現行法にいろいろな細かい規定のある、いわゆる九百二十六條九百二十七條を削り、而も九百二十八條等を一緒にして、この八百六十三條というもので一般的な監督を認めたわけであります。要するに九百二十六條乃至九百二十八條に代る規定として、一般的な監督権を認めたものが八百六十三條であります。  次の八百六十四條は現行法の九百二十九條と大体同一でありますが、親族会の同意というようなものを止めて、後見監督人あるときはその同意、ないときはその同意も必要でないということにいたしたのであります。  それから八百六十五條、これは大体現行法の八百八十七條、これは現行法では九百三十六條の中に八百八十七條という規定が準用されておりますが、それがなくなりまするので、特に現行法の八百八十七條のような規定を規定する必要が出て参りましたので、結局は現行の八百八十七條と同じ規定をここに置いたわけであります。  次の八百六十六條は、現行法の九百三十條そのままであります。  次の八百六十七條は、現行法の九百三十四條に該当いたします。  次の八百六十八條は、現行法の九百三十五條に当るわけであります。  次の八百六十九條は九百三十六條に当るわけであります。  次の「後見の終了」でありますが、この八百七十條は現行法の九百三十七條に該当いたします。親族会というのを、家事審判所に改めただけであります。  次の八百七十一條は現行法の九百三十八條に該当いたす規定でありますが、これは第二項の親族会の認可を必要とするという規定を落したわけであります。尚勿論現行法では後見監督人を必ず立会わすことになつておりますが、後見監督人は、必須機関ではないことになりましたので、「後見監督人があるときは」、ということに改めたわけであります。  次の八百七十二條は、九百三十九條現行通りであります。  次の八百七十三條は現行法の九百四十條そのままであります。  次の八百七十四條は現行法の九百四十一條に該当し、そのままであります。  次の八百七十五條は、現行法の九百四十二條に該当する規定であります。  次の八百七十六條は九百四十三條に該当する規定であります。  次の「扶養」は相当変更いたしたのであります。先ず扶養の範囲につきましては、現行法九百五十四條、尚この間でちよつと先程も申しましたように、親族会に関する現行法の九百四十四條乃至九百五十三條という規定はすべて削除いたしたわけであります。  次に扶養の関係でありますが、八百七十七條第一項は現行法九百五十四條の第一項と同樣でありまして、「直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養をする義務がある。」という点は変りません。尚現行法の第二項は「夫婦ノ一方ト他ノ一方ノ直系尊属ニシテ共家ニ在ル者トノ間亦同シ」ということになつておりますが、先ず家に在る夫婦の一方と他の一方の直系尊属という「家に在る」ということがなくなるわけであります。而して家ということがなくなれば現行法の解釈でも扶養義務があるかどうかということは非常に疑わしいことになつて参るのでありますが、一律的に夫婦の一方とその家に在る直系尊属との間において、必ず扶養義務があるということは、むしろ実情に副わない憾みがあるので、一應扶養の関係は直系血族と兄弟姉妹の間だけに限つて置くが、特に実情から見て、扶養の関係を認めてよろしいと思われる場合に限つて、三親等内の親族間において、家事審判所が特に扶養の義務を負わすことができるということにいたしたのであります。即ち嫁と舅、姑との関係におきましても、当然には必ず扶養関係があるとは限らないので、特別の事情がある場合に特に家事審判所扶養の関係を認めて行く、或いは又継親と継子の関係、嫡母と庶子の関係、この関係はこの法律では親子の関係を法定的に規制することを止めたわけであります。親子の関係があれば、当然一項の方で扶養の義務があるのでありますが、嫡母庶子、継親子関係に親子の関係を認めないので、姻族一等親の関係になるわけであります。そういう関係におきまして、三親等内の親族になりますから、特別の事情があれば、家事審判所扶養の関係を認めるということにいたしたわけであります。即ち直系血族と兄弟姉妹は、法定的に扶養義務があるが、それ以外は三親等内の親族関係に対しては、特別の事情があるときは家事審判所の決定によつて扶養の関係を生ずるということになります。尤もその関係でも、事情が変更すれば審判を取消すことができることにいたしたのであります。  次の八百七十八條と申しますのは、現行法の九百五十五條から九百五十八條の規定を変更いたして一本に纒めたわけであります。現行法におきましては、扶養の権利者の数人ある場合、或いは扶養義務者が数人ある場合において、その順位等につきまして刻明に法律で規定して、特定不動のものにいたして置くことは実情に副わないものがあるのと、その順序等につきましても或いは個人の事情等から考えて、適当でないと思われる場合がある、それと同時に、家事審判所という家庭の面倒を見る公の機関ができましたので、扶養義務者が数人ある場合、扶養権利者数人ある場合のお互いの順序等につきましては、一應当事者関係の話合いで決めるが、話合いができないときは家事審判所がこれを決めるということにして、家事審判所に相当の権限を與えたわけであります。その順序のみならず、その扶養の程度及び方法につきましても、八百七十九條におきまして、やはり一應は当事者の話合いで、若し話合いが整わないときには、家事審判当がいろいろな一切の事情を考慮して決めるということに、八百七十九條においていたしたわけであります。  而して最後に八百八十條でそういうふうに一應話合いなり、或いは家事審判所の審判で決まつた場合といえども、尚事情の変更があつた場合は、その話合いの結果、或いは審判の結果を変更若しくは取消すことができるということにいたしまして、大体において扶養の関係は当事者の協議若しくは家事審判所の審判によつて決定することにいたしたわけであります。  八百八十一條は現行法の九百六十三條に該当いたします。
  47. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 本日は民法に対する御説明はこの程度にいたしたいと存じます。尚明日は農業資産相続特例法案、これに対する審議に入りたいと思います。勿論時間が午後にありますれば、民法の説明を継続したいと思います。明後日は本会議の終了後、経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案、これを上程して審議に入りたいと思います。明日は午前十時、明日後は本会議後、いずれも明日の分は農林委員会との連合委員会であり、明後日は治安及び地方制度委員会との連合委員会でありますから、そのつもりで御出席を煩わしたいと思います。で二十二、三日を民法及び家事審判に当てたいと思います。さような順序にして進行いたして行きたいと思いますから、予め御了承願つて置きます。本日はこの程度にして散会いたします。    午後三時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鈴木 安孝君            松井 道夫君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君           大野木秀次郎君            奧 主一郎君            鬼丸 義齊君            岡部  常君            來馬 琢道君            松村眞一郎君            阿竹齋次郎君   政府委員    司法事務官    (民事局長)  奧野 健一君