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1947-09-17 第1回国会 参議院 司法委員会 22号 公式Web版

  1. 付託事件 ○國家賠償法案(内閣提出、衆議院送  付) ○刑法の一部を改正する法律案(内閣  送付) ○岐阜地方裁判所多治見支部を設置す  ることに関する請願(第十一号) ○帶廣地方裁判所設置に関する陳情  (第四十九号) ○刑事訴訟法を改正する等に関する陳  情(第六十号) ○民法の一部を改正する法律案(内閣  送付) ○皇族の身分を離れた者及び皇族とな  つた者の戸籍に関する法律案(内閣  提出、衆議院送付) ○家事審判法案(内閣提出、衆議院送  付) ○函館市に札幌高等檢察廳支部設置に  関する陳情(第百四十号) ○法曹一元制度の実現に関する陳情  (第百四十五号) ○裁判官及びその他の裁判所職員の分  限に関する法律案(内閣提出) ○裁判所予備金に関する法律案(内閣  提出) ○農業資産相続特例法案(内閣提出) ○経済査察官の臨檢檢査等に関する法  律案(内閣送付) ○裁判官彈劾法案(衆議院提出) ○裁判所法の一部を改正する等の法律  案(内閣送付) ○靜岡刑務所の脱獄事件の眞相を調査  するための議員派遣要求に関する件 ○田中檢事暴行事件に関する件   ――――――――――――― 昭和二十二年九月十七日(水曜日)    午前十時四十三分開會   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○裁判官彈劾法案 ○靜岡刑務所の脱獄事件の眞相を調査  するための議員派遣要求に関する件 ○田中檢事暴行事件に関する件 ○國家賠償法案 ○皇族の身分を離れた者及び皇族とな  つた者の戸籍に関する法律案裁判所予備金に関する法律案   ―――――――――――――
  2. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) これより委員会を開会いたします。衆議院提出にかかわる裁判官彈劾法案を議題に供します。前回の質疑を継続いたします。
  3. 齋武雄

    ○齋武雄君 彈劾裁判所の性格と訴追委員会の性格をここでお聽きして置きたいと思うのであります。彈劾裁判所は、刑事訴訟法と同じ手続でやるのであるか、或いは訴追委員会の性格上、檢察官との資格の関係をお聽きするのでありますが、刑事訴訟法によると、檢事は公益代表者として、原告官となり被告人と対等の地位に立つて、互いに攻撃防禦の方法を盡して、そうして裁判官は両者の言い分を聽いて裁判するということは刑事訴訟法の原則でありますが、訴追委員会においても又、彈劾裁判所においてもそういう形式を以てやるのであるかどうか、結局彈劾裁判所と訴追委員会の根本的の性格でありますが、これはどういうのであるかどうか。私の考としては、これは刑事訴訟法手続と性質が違うのでありますから、彈劾裁判所は常に職権を以て事実の眞相を調査する、こういう方に向つた方がいいのじやないかと考えておるのでありますが、結局この裁判所と委員会の性格と、刑事訴訟法との資格関係をお伺いいたしたい。
  4. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 彈劾裁判所は憲法の第十五條、公務員の選任及び罷免は、國民固有の権限に属しまして、第六十四條に彈劾罷免を構成する一つの権能として彈劾裁判所を國会の中に設置するという規定があるのでありまして、その規定に基いて彈劾裁判所が設けられ、更には國会法の第十六章、百二十五條から百二十九條に至る彈劾裁判所に対する規定があるのでありまして、この憲法の規定並びに國会法を源泉として生れて参つておりまする法律案でありまして、おのずから刑事訴訟法とは違つた立場に立つておると私は考えておるのであります。
  5. 齋武雄

    ○齋武雄君 この法案によるというと、訴追委員会は衆議院議員を以て構成することになつておりますが、これは勿論國会法から來た規定と思うのでありますが、私は只今御説明あつたように刑事訴訟法とは違うのであつて、これは憲法から、或いは國会法から基いた法案であるから、刑事訴訟法とはおのずから性格を異にするのである。こういう御説明でありましたので、然らば十三條の訴追委員会は、情状によつて訴追の必要がないと認めるときは、罷免の訴追を猶要することができる。この規定はそういう性格から見て不合理であると私は考えるのであります。私の考としては、訴追委員会はそういう事情があつた場合、事實があつた場合において訴追をする。こういう自由な裁量を許さない方がよいと思うのであります。すべて彈劾裁判所がそういう場合において職権において、或いは宣告を猶予すべきものならば猶予をする。そういう立場に立つた方が宜いと思うのでありますが、これは檢事の起訴猶予のようなことをここに置いてありますが、その点についてどういうお考えであるか。
  6. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 只今の御質問の点につきましては、衆議院におきまして非常に議論のあつた点でございます。衆議院におきまして議論のありました点は、第二條と只今質問せられました第十三條との関連でありまして、第二條におきましては、「彈劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。一、職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。二、その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」これを掲ておるわけでありまするが、これと十三條の規定と関連をいたしまして、初めもつと第二條においては具体的にこれを表現をして、例えば涜職の行爲があつたとき、職務上の義務に著しく違反する行爲があつたとき、職務を甚だしく怠つたとき、その他裁判官としての信用を著しく失うべき行爲があつたときと、こういう工合に具体的に書いたらどうかというような議論もあつたのでありまするが、いろいろ議論をいたしました結果、只今法律案になつておりまする通りに二つにすべてが集約されるということで、二つを採つたわけであります。更にこれにおいて「著しく」或いは「甚だしく」という工合に書いてあるところに非常にこれ又議論があつたのでありまするが、訴追することに対する猶予の規定というものは、これに当て嵌まらないものがある。例えば一つの例をとつて申上げまするならば、この法律は三年以前に遡つて訴追をすることができることになつておるわけでありまするが、丁度今から三年前に惡いことをやつた裁判官があつた。併しその後、非を改めて職務に忠実にやつてきた。そういうような場合に一体それをどうするかという問題が起つたときに、非常に改悛の情新たになつており、更には訴追をしなくても本人が大いに反省をしておるというようなことが現われた場合においては、訴追を猶予してもいいのではなかろうか。そういうような意見が出て参りまして、それで只今のような議論も強くありまして、十三條の規定はなくていいのであるということもあつたのでありまするが、併し訴追の猶予をする規定も設けてもいいというような議論の方もありまして、大体において設くべきだということが結論から申上げまするならば多数の意見でありまして、設くるということを決定したわけであります。そういう事情でありまして、一つ御了承の程願いたいと考えておる次第であります。
  7. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 裁判官彈劾法に対しまする規定は、只今の御説明で凡そ分りまするが、この訴追委員会の構成でありまするが、これは國会法に基きまする法律に相違ございませんが、一体この刑事訴訟法と対比いたしまして、訴追委員というのは、あたかも刑事訴訟法の檢察官に当るように考えるのでありまするが、而もこの訴追委員の権限が、只今の説明の如くに、非常に自由裁量を許されておりますることになります。さような重要な訴追委員会がすべてこの衆議院のみによつて構成されますことになつたのは、私共寡聞にしてその理由を十分に理解ができないのであります。若しこの両院で、例えば裁判官は両院から同数の者をとることになつておりまするが、訴追委員に限つてすべて衆議院がこれを独占をいたしておりまする理由について、この際明確なる一つ御説明を願いたいのでいります。
  8. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) この問題は非常に重大な問題でありまして、衆議院でも眞劍に考えた問題でありますが、法律を作るに当りまして自然國会法の六十章、彈劾裁判所の百二十九條の規定の中に、「この法律に定めるものの外、彈劾裁判所及び訴追委員会に関する事項は、別に法律でこれを定める。」こういう規定がございまして、この法律に定める以外のことを只今裁判官彈劾法として定めたのでありまして、訴追委員会は百二十六條で、「衆議院においてその議員の中から選挙された訴追委員で組織する訴追委員会がこれを行う。」こういう組織が決定されるのでありまして、この國会法に基きまして立案をしたわけであります。然らば國会法でそういうような規定をどういう立場からしたかということにつきましては、おのずからこれは國会法を規定するときに議論されたことであると私共思うのでありまして、この裁判官彈劾法案を作るにつきましては、私共は國会法の内容に触れての議論はしなかつたのでありまして、國会法に規定されておりますることの以外のことを百二十九條の規定に從つてこれを法律化したと、こういうような議論は衆議院におきましてもあつたのでありまするが、この規定に基いて裁判官彈劾法を規定したわけであります。從いましてこの國会法は前の議会で作られた國会法でありまして、衆議院貴族院の時代において作られた國会法であるのでありまして、現在の参議院と性格も変りました今日におきましては、一應考慮さるべき点があるのではなかろうかということを、私は個人的には考えておりますけれども、併し立案するに当りましては、この規定に從つたのでありまして、御了承願いたいと思います。
  9. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 本法を起案いたしまするに当りましては、当然百二十六條のよつて來りまする理由等についても定めて御研究されておることと思いますので、この際伺つたのでありますが、專らこの起案が百二十九條の規定のみによつて作られたという以上にはお分りになつておらないということでございますれば、それ以上は伺いませんが、私共すでに裁判官を両院から同数取りまする場合に、訴追委員だけを衆議院で以て独占いたしますることは、どうしてもその理由が理解できないので、幸い只今の御説明によりまして、この理論の甚だ一貫せざる御意見のように伺いましたが、参議院の方といたしまして見るならば、これは非常な重要なことでありますと思います故に、この際國会法の百二十六條を併せ改正するということについて提案者はどんな御意見でありまするか。参議院の方からでも、或いは又衆議院の方からでもよろしうございますが、この際これを併せ改正いたしまして、國会法百二十六條を改正いたしまして、両院同数とか或いは何等かの形におきまして、この著しい不平等を緩和する途がないかと思います。この点について提案者はどんなお考えでありますか。伺いたいと思います。衆議院議員(淺沼稻次郎君) 私個人といたしましては意見もないわけではございませんが、大体衆議院においてこれを立案するに当りましては、國会法の十六章の規定に從いまして、そうして第百二十九條の「別に法律でこれを定める。」この部分について裁判官彈劾法を制定したのでありまして、國会法の改正の点までは考慮をしなかつたのであります。更に考慮しなかつたが、参議院の意見でどうだということの御質問のようでありますが、これ以上私が御答弁申上げることは衆議院で一應決定をされたのでありまして、それに私の個人的意見はありますけれども、申上げない方が却てよいような氣がいたしまして、この点御承知置きを願いたいと思うのであります。
  10. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 御責任上御尢もと思いまするが、如何にも不自然であり、すでに立法のスタートにおいて著しく公正を欠いておるということでありまするならば、從つて運営の上におきましても、又甚だ円滿なる運営ができるかどうかに対しまして、多大なる疑持をつのであります。この際國会法の定め方の善し惡しは別といたしまして、この際この彈劾法を審議いたしますに当つて、併せて百二十六條の改正をこの際して、この間の均衡を得てそうして運営上聊かも他から非難を受けないようなふうに、公正な行き方をしたいということを私としては希望いたすのであります。当然衆議院におきましてもこの点について御議論が定めしあつたことと思いますが、衆議院の審議の経過をお漏し願いますれば大変結構と思います。
  11. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) これにつきましては先程私が申上げました通り、懇談会等におきましてはいろいろ議論があつたのでありますが、正式の委員会におきましての議論は大体において、彈劾裁判所は國会法の規定に基きまして、いわば百二十九條に「この法律に定めるものの外、彈劾裁判所及び訴追委員会に関する事項は、別に法律でこれを定める。」この規定に基いて提案をしたのでありまして、正式の議場におきましては、この問題について議論がありませんでした。從いまして内容をと言つても、今申し上げました通りでありまして、これは速記録等で御覽を願つても結構であります。大体これで……。
  12. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 これは、この提案者が衆議院の運営委員会になつておる。これは政府の方からどうして提案せずして運営委員会の方から提案することになつたのでありますか。この点について伺いたい。
  13. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) この法律案は政府で作るよりかも、國民の基本権限に及ぼす法律案であつて、それは國会で作る方が至当であるという考に逢著をしたのでありまして、この法案と裁判官國民審査法と共に衆議院においては立案することに決まつたのであります。又その衆議院におきまするところの議院運営委員会でやるか。或いは司法委員会でやるかということについても議論がないわけではなかつたのでありますが、この國会法に関する事項というものは大体におきまして……、大体というよりも國会法は衆議院の運営委員会でやるという規定がありまして、更に國会法の彈劾裁判所に関する事項の規定があるのでありまして、彈劾裁判所に関することは、衆議院における議院運営委員会の所管事項にするという規定がございましたものでありまするから、從つて衆議院におきまする議院運営委員会が立案に当つたのであります。併し第案に当りましたが、その立案をするに当りましては、初めてのことでありまして、いわば衆議院において法律を作りますることにつきましては初めての経驗でありまして、非常に苦労をしたのでありますが、それにつきましては、いろいろ例えば法制審議会で作りました裁判官彈劾法案の要綱がございます。更にそれ以外に判事團と言いますか。これらの方々から一つの意見書等も出ております。いろいろそういう点を綜合いたしまして作り上げたのでありまして、根本の精神は國民の基本権限を決める大きな法律案でありまするから、これは國民の代表機関であり、唯一の立法の府である國会において立案すべきであるという結論に達しまして、そうして立案したわけであります。又立案に当りましては、関係筋等の話合いもございまして、衆議院運営委員会で扱うということになつたほけであります。
  14. 齋武雄

    ○齋武雄君 彈劾裁判所は直接憲法の六十四條から出ておるのでありますが、訴追委員会は必ずしも憲法から出ておるのでなく、これは國会法から出ておるのでありまして、こういう考の人があつたかどうかを御聽きするのでありますが、訴追委員会というものを設けずして、國民が誰でも訴追が出來るのだ。その場合において彈劾裁判所は特別委員会を作つて彈劾裁判所で裁判すべきものであるかどうかということを審議する。要するに訴追委員会という特別の委員会を設けずして、誰でも國民は訴追できるのだ、そうして本当に審議するかどうかということについては、彈劾裁判所の内部において特別委員会を作つて決定すると、こういう意見があつたかどうか。これは國会法には衆議院議員を以て組織するということが書いてあるから、現在においてはできないでしようけれども、そういう意見が今まであつたかどうかということをお聽きいたしたいと思います。
  15. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) この問題は先程訴追委員会の構成に関する問題について御質問がありましたと同樣なことでありまして、御質問の通りに、國会法の規定に基いて訴追委員会が設置されることになるのでありますが、その國会法以外のことを決めたのでありまして、自然その議論については、あるものだということの前提の上に立つて議論が進められたのでありまして、御説のように裁判官の中に特別委員会を設置して、そこで訴追委員会の仕事を代行すべきであるというような意見はございませんでした。
  16. 松井道夫

    ○松井道夫君 前回に松村委員からだつたと思いましたが、裁判官彈劾法制度に関するいろいろな資料を提出願いたいとお願いしておいたのでありますが、それはどうなりましたか。
  17. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 参議院の法制部の方ヘ差上げたそうですが、資料といつても各國の引例の程度のものでありまして、それ以外にはいろいろ何と言いますか。今私が申上げました通りに、法制審議会の答申書みたいなものがございます。併しそれは資料と言つても、我々の方が中心となつて法律を作る場合には、果して資料になるかということで、ただ各國の事例だけを刷つたものがございまして、それはこちらの法制部の方に廻したそうであります。
  18. 山下義信

    ○山下義信君 二、三の点を伺いたいと思うのでありますが、第五條に、訴追委員又はその予備員の補欠選挙のことがございますが、これは一名欠けましても補欠選挙をやるのでございますか。それから又補欠選挙は、訴追委員は訴追委員で補欠選挙し、予備員は予備員で補欠選挙をするのでございましようか。平素予備員というものは、訴追委員が事故がありましたときには代りまして訴追委員の任務を行つておるものでございますが、訴追委員が欠けましたそのときには、予備員があたかも補欠選挙の如く繰り上げますことが職務執行上便利があると考えられますが、予備員はいつも予備員でありまして、訴追委員が欠けましたときには予備員が訴追委員に繰り上げて選任されるというようなことは不適当と考えられるのでありましようか。その点を伺いたいと思います。それから矢張り同條の中の末項の中にございます「予備員は、訴追委員に事故のある場合又は訴追委員が欠けた場合に、訴追委員の職務を行う。」ということがございますが、事故ということはどういう程度の事故を指しますのでございましようか。後に訴追委員の訴追委員会を開きまする定員のところと関連しまして、予備員が訴追委員の事故のありましたときに代りまする事故の程度というものを伺いたい。例えば当日出席しなかつたことが事故になりますがどうか。若し出席しなかつたことが訴追委員の事故ということになりますと、予備員は常に委員会の招集のときには参つておりませんと、誰が欠席というようなことがわからない筈でございまして、定員十五名ということの定足数ということに関連しまして、その辺がどうかと思われますので、その点を伺いたいと思います。それからいま一つは、訴追委員会の書記長及び書記のことでございますが、これは委員長が衆議院議長の同意を得られて任免されるようになつております。後に彈劾裁判所の方の書記に関しましても両院議長の同意ということがあるようでございますが、どういうわけで議長の同意を必要となさいましたか。これらは成る程事務局ではございましようが、訴追委員会或は裁判所、おのおの職務を執行する上におきまして非常に重要な関係がありまして、委員長、若しくは裁判長の権限で任免せられる方が裁判所の如きは殊更でございますが、それが議長の同意を要するということになりますと、成る程議長は國会の議長としまして最高の職務はとつておりましようが、この裁判長にあらざるもの、或いは訴追委員にあらざるものが相当重要なる関係を持つということに相成るように見えますので、裁判所の独立性という上から考えましても、どういうやうなお考えで同意を條件となされたのでございましようか。その点を伺いたいと思います。最後に第十條のところでございますが、訴追委員会の議事が非公開になつております。これを祕密会議になされましたる御理由が承りたいと思います。
  19. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) お答えいたします。第一の質問は、予備員とそれから訴追委員の関係でありまするが、これは繰り上げをしないで、予備員は飽く迄も予備員で、訴追委員に事故のあつた場合に代行するという建前をとつておるわけでございます。裁判官の場合においても、又訴追委員の場合におきましても、予備員と訴追委員との資格が違うのでありまして、予備員はあく迄も予備員だという建前からとつたのであります。  更に事故とは如何なることかというと、事故は重大なる事故でありまして、やはりその職務執行のために出て貰うことが当然と思うのでありますが、どうしても重大な事故のために出席できなかつて場合においては、いわば予備員が代行するという形がとられる訳であります。  更に第三点は、議長が関與して書記長及び書記を決定するのはどういう訳かということは、國会職員法におきまして、訴追委員、彈劾裁判所及び司法委員会の書記長及び書記の規定があるのでございまして、職員とするということになつておるのでありまして、それは自然議長の統制下にありまするから、議長の同意を得てこれを任命する他の國会の職員と同樣に扱つたわけであります。  更に訴追委員会の祕密ということは、これは祕密にすることが妥当だと考えまして、祕密をとつたのでありまして、こういうようなことを公開するのはいかんと存ずるのでありまして、やはり祕密主義で公開しないでやるという原則をとつたわけであります。
  20. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 第一点の例示の中で、その委員会に欠席した場合、その事故とみなすかどうかということが残つておりますが。
  21. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 本人がですか。
  22. 山下義信

    ○山下義信君 そうです。
  23. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) それは事故であるか事故でないかということが非常に問題であろうと思いますが、事前にやはり訴追委員には出て貰うように交渉いたしまして、それで突然非常な急な用事があつて出なかつたのは別といたしまして、大体出て貰うようにして貰うし、又出ることが一つの義務だと私共も考えるのでありまして、それを事故のために休むと言つても、重要な事故でなければ、職務上私は裁判官を彈劾するような重大な、訴追するような重大な任務を持つておる者が、重大な事故でなければ欠席するようなことはあり得ないというように私共考えておるわけでありますが、併しそれでも又休むかも知れんということの危虞があればおのずから別でありまするけれども、その事故ということは今申上げたようなことでありますから、自分の職務に忠實であるということが條件であり、更に任務の重大ということが條件でありますので、その事故ということは、重大な事故と私共は考えております。
  24. 山下義信

    ○山下義信君 やや了解いたしたのでございまするが、尚私合点が参らないのでございまして、重大な事故というものがどの程度のことか。重大ということが限界がはつきりいたしません。予備員というものを置きまする建前からいたしましても、それから第十條に、訴追委員会成立に十五名以上の委員が出席しなければならん。定員が二十名でございまして、殆んどの者が出席しなければならんというようなことになつておりますると、私は重大な事故ということの限界がはつきりしませんと、その辺がいま一つ了解し兼ねまするが、事実の上におきまして、欠席の場合に常に予備員が同時にいわゆる野球の補欠選手のように、その場におりませんと間に合わんようなことがございまして、十四名までは出席いたしておりましても、一名欠けましても委員会成立しません。十五名までの出席率を要求されましたことは、只今提案者の御説明のように、余程重大にこの委員会をお取扱いになつておられまするからでございますが、そうしまするというと、予備員は常にその場に居合せていなければ間に合わんことがたびたびあるように思われますので、あの事故ということがどの程度までを事故とお指しになりますかということを承つて見たいと思つたのでございます。それで例えば病氣でございますが、病氣のようなものも事故の中に入りますか。而も病氣にも長期の病氣がございます。或いは議員がこれを務めまするのでございますから、或いは賜暇とか出張とかいろいろの場合もありまするので、その予備員の代ります事故の程度が、当日出席しなかつた。いわゆる缺席を事故と見まするか。只今の提案者の御説明では、重大な事故と仰しやいましたが、その重大な事故という程度が分りませんので伺つておるのでございまして、その点をいま一つ明確に具体的にお示しが願えれば有難いと思います。それでいま一つこの議事の非公開のことでございますが、これは非公開が妥当であるからというお答えでございましたが、その妥当である理由が承りたいのでございまして、すべて國会の議事が公開、裁判所の審理が公開でありますることは、これはもう憲法で明らかであります。これは議事ではございません。併しながら國会の中で行われるところの一つの國会議員の職務でございまするが、これが非公開であるということはどういう理由でございまするか。了解いたし兼ねますので伺いますのでございます。重ねて御答弁を得ますれば、仕合せに存じます。
  25. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) お答えいたします。事故というのはどういう意味かというと、なかなかこれは実際の具体的問題になりますと、むづかしい問題でありまするが、立案するに当りましては、その訴追委員の任務というものが非常に重大であるということに鑑みまして、選ばれた人はその職務上の性質からいつても、更には職務に関する責任感からいつても休み得ないものだと、そういう前提で申上げたのでありまして、例えばそういうような重大な任務にあるに拘わらず、休むのはどういうことだということになりますれば、非常な病氣でどうしても出られんということになりますが、これは私重大な事故ということになると思うのであります。そういう意味合で御了承を願いたいと思うのであります。それから第二点の訴追委員会の非公開の問題でありますが、これもお説の通り、私は尤もだという考えを持つのでありますが、併しこれは裁判の、いわば裁判官罷免の裁判を開かれる前提條件でありまして、これを公開することは如何かという考を持ちまして、やはり非公開の方が妥当ではないかという考えに衆議院では到達いたしまして、そう決定をしたわけでありまして、一つこの点を御了承を願いたいと考えております。
  26. 山下義信

    ○山下義信君 只今、重ねて御答弁を頂きたいのでございますが、これ以上は、見解の相違の点もございまするので、他日に讓るといたしまして、只今の重大なる事故ということでございますが、私は思いますのに、職務の執行に差支えまするような重大な事故のありまするときには、これは当然前の項によりまして、さような場合は訴追委員の方は恐らく辞職なさるに相違ないと思います。重大な事故がありましても、尚その職に留まるような方は、まあないものと予想しなければなりません。從いまして私の考えまする予備員が代りまするような場合は、さような重大な事故ではなくして、当日招集せられましたる委員会の当日に差支えのあつた諸般の事故の、いわば比較的軽い場合を指すのでなければ、この項目は意味をなさないように前後から考えるのでございます。そういたしますると、私共の思いまするのに、予備員という者が常にこの委員会に出席いたしておりませんと間に合わない。つまりたまたまその正委員の補欠でやるというのではなくして、殆んどこの委員会には、どちらかといへばこの予備員という者が始終代つて行わなければならんことを予想されるように本案から見ますると思われます。そういうような予備員という者で、いつもその予備員は補欠でありまして、そうして事故のありましたときには代つて職務を行う。併しながらそれが欠員になりましたときの補欠選挙には選任はせられない。どういう意味でさような区別がつけられたのでございますか。予備員という者は適任者でないとお認めになつて、そういう予備員としては適任であるが、訴追委員の正委員としては、適任でないというような下にこれが選任ということになるのでございましようか。等しくこれは國会議員から選任せられるものでございまして、その時の事情によりまして委員と予備員とに分れて選任される場合もございましようが、私共予備員はいつも予備員であるということが甚だしく不合理なように考えられるのでございますが、この点に関しまして提案者の御説明を煩わしたいと思います。
  27. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) もう、事例をとつて適切でないか知りませんが、例えば自治團体には從前の府縣制の下においては参事会というものがございまして、参事会には補充員がございまして、補充員は、全参事会員が順番が決めてありまして、参事会員に欠員ができた場合におきましては繰り上げて行かれるということになつておつたのでありますが、それは補充員でありまして、ここで表現されておりますのは予備員でありまして、予備員は事故のあつた場合の予備でありまして、前の人が事故あつた場合に補充する意味で選出されてないのでありまして、かかる意味合で予備員は補欠にならないというあれを採つておるのであります。それからこれに関連をいたしまして、先程事故あつた場合ということでいろいろ御議論がありましたが、私は先程申上げました通り、裁判官の身分は保障されておるのでありますから、その保障されておる身分に対してこれを彈劾し、或いは罷免するという重大な行爲を行う訴追委員が、重大な事故なくして休むというようなことはあり得ないと私共は考え、又そういうような職務上の重大性を考えて任務の遂行に当るのが当然ではなかろうかという考を以ちまして、これは予備員が代理をする場合においては、重大な事故があるときではなかろうかと、私共はそう推察しておるのであります。
  28. 山下義信

    ○山下義信君 いま一つ関連しまして伺いたいと思いますのは、この訴追委員並びに裁判員、これは両者通じてでございますが、その予備員との関係でございますが、これは訴追委員会という場合には予備員が列席いたすのでございましようか。予備員はそれに列席いたさないのでございましようか。伺いたいと思います。
  29. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) これは衆議院で議論になります点は、常に出席しておるというわけではないのでありまして、必然任務の重大性に鑑みまして、その人は必ず出席できるかできないかということを、欠席する場合においては予告されることであると私は信ずるのでありまして、その場合においては、予備員に來て貰うという形が現われて來るのではなかろうかと存ずるのであります。更に運用の意味におきまするならば、自然委員長、或いは書記長の手許におきまして、先程申上げました通り重大な委員会の持つ性質でありますから、自然出欠等につきましても、事前の考査が行われて、そうして予備員が出て來るか來ないかということについては、事前に大体考査ができて、それで委員会が開かれ、裁判が開かれるという意味に私はなるのではないかと思います。有らゆる意味において、その他の点から言つても、やはり御指摘のような惡い結果にならんようなことにして行かなければならんのではなからうかと考えております。
  30. 山下義信

    ○山下義信君 事故があつてその予備員が委員に代ります場合でございますが、これはその一つの事件が繋属されておりまする間は、或特定の委員の事故に対して、或特定の予備員がその職務を代つて行いまするか。或いは又事故のあります委員に対しましては、随時いずれの予備員でも、適宜その職務を代行するのでございましようか。その辺はどういうふうになるのでございましようか、伺いたいと思います。
  31. 淺沼稻次郎

    ○衆議院員(淺沼稻次郎君) その点は、衆議院におきましてもそこまで議論はありませんでしたが、私はこういうふうに理解しております。事故ということは重大な事故でありますから、連続的に休むということはあり得ないということを私共考えまして、或日におきましては、その人は病氣のために缺席をした。その次には予備員が出て代行する。その次は又本委員が出られるということになるのであらうかと思いまして、唯連続して休んだ場合におきましてはどうか、その場合においては、本人の考え方の上に、先程申されましたように責任上そういうような時には責任を感じて辞めるというようなこともさつき御指摘になつたようでありますが、そういうような行動に出るか、或いは予備員がずつと代行するか、連続的にやることになれば予備員というものの性質上、連続的に休んでおる時に、甲の予備員が出て代わる。乙の予備員が出て代わるということは、聊かどうかと考えるのでありまして、自然連続的な者の方がいいという結果になるのではなかろうかと考えております。
  32. 山下義信

    ○山下義信君 只今のお答は私共もさように考えますので、その都度に予備員が代りますというようなことでは、実際の運營上疑問とする点が生じて参りますわけでありますが、それ等の点は運用といたしまして予備員が代ります場合、その数でございますが、例えば十五名出席しなければならん。訴追委員会の例をとつて申しますと十五名出席しなければならんという場合に、十名までは重大な事故がございまして、その十名悉く予備員が代りますという場合もやはりこの法案の上では制限がないのでございますから、それで訴追委員会がやはり成立いたしまして審議いたしますのでございましようか。
  33. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) これはなかなか重大な問題だと思うのでありますが、やはり会議のことでありますから、本委員と補助員との関係があつて、委員会が大部分が補助員によつて成立するということが果して妥当であるかどうかということになれば、自然今のようなことが予測されますことは、天変地異というようなことでない限りにおきましてはあり得ないと考えます。例えば交通機関が遮断になつた結果集まり得ないということ以外には、十五名の中十名が予備員で代行しなければならん、本委員が五名というようなことはあり得ないことであると思うのでありますが、若し更に会議成立のための委員の過半数のものが予備員で構成しなければならんということになれば、自然会議上の通念からいつて、私は会議の成立につき疑義が出て來るのじやないかと思います。
  34. 山下義信

    ○山下義信君 予備員が代り得られます程度の問題につきまして、只今提案者から率直な、誠に妥当な御答弁を得まして、私共了解いたしたのでありますが、これは成る程稀有のことではありましても、法律といたしましてはその場合が予想されなければなりませんので、予備員ばかりが殆ど占めて会議が成立するといつた場合におきましては、私はこれはどうしても考慮いたして置かなければなるまい。予備員の代わり得られまする数の制限と申しまするならば、予備員は予備員としてでなければ補欠選挙を行えない。それが正式の場合とは別個の建前をおとりになつておりますかどうか。法の精神からいいまして、予備員が殆ど過半数でも会議が成立するということは、立法の点に無理がございます。これらの点は提案者の方においてお考もある模樣でございますから、私の質問はこの程度に止めて置くことにいたします。
  35. 齋武雄

    ○齋武雄君 第二條の二項の「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」、これは無論一般の犯罪が入ると思うのでありますが、その場合において、一面において刑事訴訟法で犯罪が檢挙せられるというような場合に、刑事訴訟法に関係なく、訴追委員会なり、彈劾裁判所なりが独自にそれよりも早く解決するために、何等関係なく解決するのでありましようかどうか。この点をお伺いいたします。それからいま一点は、今のは第二條の二号でありますが、それから第二十六條で、「彈劾裁判所の対審及び裁判の宣告は、公開の法廷でこれを行う。」結局審判の公開でありますが、これは一般原則によつて非常に結構と思うのでありますが、いかなる場合でも公開であるかどうか。或いはその事件の内容が、公の善良な風俗に反するような場合においては、この例外規定をお考になつたかどうか。必要はないと認めて、例外は設けないのでありましようかどうか。この点についてもお伺いいたしたいのであります。それからいま一点は、十三條の規定でありますが、十三條には訴追を猶予することができる、「情状により訴追の必要がないと認めるときは、罷免の訴追を猶予することができる。」、こういう規定になつておりまして、十五條には、「何人も、裁判官について彈劾による罷免の事由があると思料するときは、訴追委員会に対し、その事由を明かに具し、罷免の訴追をすべきことを求めることができる。」こういう國民の權利を行わせるわけでありますが、この請求が訴追委員会において請追の必要がないと認めたときに、それに対して不服の方法がないのでありますか。この点についてお考になつたかどうか。どうしても訴追すべきものと國民が思つた場合において、訴追委員会においては訴追の必要がないのだというような場合において、それに対する不服の方法についてお考えになつたかどうか。この三点についてお伺いいたします。
  36. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 第二條の二号の「その他職務の内外を問はず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」、これが刑事事件に繋がつているときに彈劾裁判所の行爲はどうなるかという御質問でありますが、これは中止しても……これは何條か、私は今捜しておつたのでありますが、これに規定があつたと思うのでありますが、中止しても、更に続行してもよいというようになつていると思うのであります。中止いたしまして、刑の結果を待つてみる。そういうふうに規定をしてある筈でありまして、その点はそれで御了承願いたいと存ずるのであります。それから第二十六條の規定は憲法裁判の公開に関する原則と、もう一つは憲法の、公の機関によらなければ彈劾ができないという裁判官彈劾の七十八條の規定であります。二十六條はこれから出て参つておるのでありまして、「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の彈劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒處分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」公の彈劾という意味が公開の原則の中に入つているのでありまして、これは公の機関による彈劾だからという議論もございました。例えば國会において彈劾するのでありまして、それは公に選ばれた者が公の機関としてやるのであります。そういう意味合にもとれるということで相当議論があつたのであります。併しこのことはやはり原則として、公の機関というよりも公の彈劾によらなければならんということで公開すべきである。從つて八十二條の「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」これの原則で例外規定がございますが、これは二十六條には適用されないのが妥当である。こういうことで採つたわけであります。この点につきましては、いろいろ法制局その他と憲法解釈につきまして議論もしたのでありますが、関係筋からのいろいろな勸告等もございまして、解釈といたしましては七十八條を採るべきだという結論に到達したわけであります。御議論のような点は、相当深刻に衆議院においても議論がありました。  次に不服の申立、これは私はこういうふうに了承しているのでありますが、要するになん人と雖も訴追ができるわけでありますが、その訴追をする場合において、訴追委員会でこれを採り上げた場合においては、訴追委員会は、少くとも衆議院議員というか、國会の代表者によつて構成されているところでありまして、人民意思を蹂躙してそれを不服あるというようなことはやらない。必らず人民意思に從つて、人民が考えているような方向に向つて決定されていくものだ。そういう工合に私は了承し得るのであります。併しそれにも拘わらす反対した場合はどうする、不服あつた場合にはどうするのかというのでありますが、訴追委員会の議事の進行と、更には人民意思との間においては、人民の不平のあるような、誰が見てもこれは訴追すべきであるというようなものに対して、訴追委員会はそれを訴追しない、そういうことはあり得ないと私は考えるのであります。併しそれにも拘らずやつたときはどうするかということが御質問の趣意かと思いますが、併し私はどう考えて見ましても、そういうことはあり得ないのではなかろうか。少数の意見、訴追の手続をとります個人個人にとりましては、それは不服ある場合があるかも知れませんが、要するに世論とし或いは人民の立場として、訴追委員会の決定というものはやはり妥当性があり、社會性があるのではないかと私は考えております。
  37. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 この彈劾というものと懲戒処分との関係はどういうように考えているのでありますか。懲戒免官をする場合が起つた。彈劾もしたいという場合はどうしますか。
  38. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) その点は、裁判官の罷免は結局裁判官彈劾法によつて彈劾する以外には罷免されないという結果になるのではないでしようか。
  39. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 それはどういうふうにお考えになつたかということをお尋ねしているのですが、一方において憲法には懲戒処分ということが書いてある。七十八條に「裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」と規定されているが行政機関が行うことができないからどうするかということは書いていない。ところが、罷免されないということは……、併しながら懲戒処分の一番大きなものは懲戒免官です。懲戒処分というのには譴責があり、減俸があり、そうして懲戒免官がある。官吏懲戒令だつてそうです。最後は懲戒免官です。懲戒免官と彈劾との関係ははつきりしなければいけないと思う。懲戒処分では、彈劾の事由のあるときには処分をやつて呉れては困るということにしなければならん。懲戒処分にする者を、彈劾に当つておる行爲をやつておる場合にさきがけして懲戒処分をしてしまつたのでは傷のつき方が違う。違うと言つてはおかしいが、國会がこれを與えずして再び任官せしめられないというような意味において、考える必要があるのじやないかと考えます。その点についてはどういうふうにお考えになりましたか。
  40. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 今言つたことは非常に重大だと思いますが、懲戒裁判は同僚裁判として今まで行なわれて参つたのでありまして、それが自然裁判官に対する彈劾の方法として今議題に供されております点で、こういう場合において彈劾するということを決めたわけでありますが、今お問いのことについては、裁判官の罷免は結局彈劾によらなければできないということになると思うのでありまして、その点は、その彈劾をする場合においては、今御協議になつておりまする裁判法の規定に從つてこれを彈劾する。こういうことで私共は立案に当つたわけでありまして、それと懲戒裁判の関係というものは自然懲戒裁判は懲戒裁判、これはこれということで私は行くと思うのでありますが、そつ間においてどういうような……、懲戒処分裁判の関係は、それぞれ独自性の立場に私はやられて行くと思うのでありますが、その間の連絡をどうするということは行政的な関係ではないかと私は思つております。
  41. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 それは行政的な関係ではないと思う。これはどうしてもここで決めなければならん。私は懲戒処分はやつちやいかんという考えです。ここにあなたが衆議院でお書きになつておる二項ですね。これはそういう懲戒処分の規定です。元來役人の場合にはこれは懲戒される。ここにある著しき非行があつたという場合には、これは懲戒免官です。私はこの懲戒免官をするということは廢めて、彈劾にしなければならんと思うのであります。むしろこれを明瞭にここに規定する必要があると思う。その意味は、懲戒処分をやつちやならんという規定を書かなくちやならん。それは先程御答弁になつた通り刑事の訴追と並行してよろしいのであつて、刑事に関係なく彈劾をやりますから、刑事で有罪になろうが、無罪になろうが、國家の觀るところによつて彈劾する。ところが懲戒処分を先にやられては、ないものは彈劾の仕樣がない。懲戒処分進行しちやいけないということを書かなくちやならん。懲戒処分によつて免官をしてはいけないということの明文を書かないとやつてしまう。これはどういうふうに考えたか。判事の懲戒処分は行政機関がこれを行ふことはできないというこの規定をなんとか始末しなければならん。あなたの仰しやつたように從來は同僚裁判でやつておつた。判事はちやんと裁判所でやるのですから、それは結末を付けないと彈劾法が徹底しないことになるから、私は懲戒免官をやつてはいけない。第二項に当て嵌まる場合には、それを明瞭にして頂かないと困ると思います。
  42. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) これは懲戒免官はやらないで裁判官彈劾法で扱うということになつておるのではないでしようか。
  43. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 なつておると仰しやいますが、これは分らない。そうしようじやないかということを私は提案しておるのであります。懲戒免官はしないということにしようじやないかと……。この第二條に該当する場合においては。懲戒免官はできないことにして頂きたいと思います。
  44. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) これは私も、法律は玄人じやありませんから、その点はよく御了承願いたいと思うのでありますが、問題は今懲戒処分の問題については、懲戒罷免というものは彈劾によらなければできないということで、行政的なことにはできない。今度分限令と言いますか。裁判官その他裁判所職員の分限に関する法律の中で、今あなたの申されるようなことが規定されておるそうであります。從つてその点で明確になつて來ると思います。
  45. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私はその法案はまだよく見ておりませんが、私は彈劾でやろうじやないかということを今御相談しておる。
  46. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) それは彈劾でやることになつたから、この法律案ができて來ておるのじやないでしようか。要するに、それ以外の手によつては罷免ができないので、罷免はいわば國民の持つております最高の固有の權限でありまするから、それを行使するに当つては、裁判官を罷免するという國民固有の權限を行使するに当つては、憲法の規定並びに國会法を源泉として、この彈劾裁判所法の規定によつて彈劾し、罷免すること以外にできないのではないでしようか。
  47. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私はそうしたいと言つておるのです。
  48. 淺沼稻次郎

    ○衆議院議員(淺沼稻次郎君) そういうことでないでしようか。憲法の規定並びに……。
  49. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 それは分らんと思います。憲法懲戒処分は行政機関がこれを行うことができないということを言つておることは、懲戒処分の中の免官は成るべく彈劾によるべしということは、これでははつきり分りませんね。この規定では分らない。刑事訴訟法との関係はここにお書きになつたのですか。一番大事なことだから、懲戒処分はできないという思想を明かにする必要があると思います。
  50. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 松村さん、裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案の第十條にあります。「分限事件の裁判手続は、当該裁判官について刑事又は彈劾の裁判事件が係属する間は、これを中止することができる。」……ちよつと速記を止めて。
  51. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 速記を始めて……。この法案に対する質疑はこの程度で中止いたしまして、その余は後に讓りたいと思います。  お諮りすることがありますが、昨日行刑問題につきはして、靜岡の騒擾及び……脱獄とまで行つておりませんが、少くとも靜岡の刑務所の関する重要問題につきまして、尚当委員会といたしまして議員を派遣いたしまして、事実を調査する必要があると考えられるのであります。これにつきまして、委員会から議員を派遣いたしたいと存じますが、如何でございますか。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 この靜岡の破獄事件はただ單に一刑務所の問題、一行型上の問題でないのでありまして、私はこれは非常に國会として重要な問題であると考えておるのでございます。同僚諸氏も恐らく私どもと同じ考えで非常に憂慮に相成つておるのではないかと思うのでございます。つきましては成るべく速かに現地の御調査を國会として、且又司法委員会といたしまして御調査を願いまして、その結果我々國会議員としてとるべき途があると考えまするので、どうか公務御多端中ではございますが、是非本委員会から御出張を願いたいと存じます。つきましては甚だ僣越でございますが、御出張頂きまする御人数も私思いますのに、あまり多数お願いしましても御多忙中どうかと思いますので、委員長の御指名の下に、委員長を加えまして御三名ぐらい御出張を願いましたらどうかと存じますので、この点動議といたしましてお諮り願います。
  53. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それでは、議員派遣につきましては御異議ありませんですか。
  54. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御異議ないと認めます。就きましては山下さんの御動議もありますが、派遣の員数及び派遣の日程、調査事項、内容につきましては、委員長に御一任願えませんでしようか。
  55. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。  それではこれによつて休憩いたしまして、午後一時から開会いたしたいと思います。    午前十一時五十九分休憩   ―――――――――――――    午後一時五十二分開会
  56. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 午前に引続きまして委員会を続行いたします。お諮り申上げますが、当委員会に浦和弁護士会長より上申せられました書面がありますから、一應これを朗読いたしまして御報告申上げます。  田中檢事暴行事行について当弁護士会は別紙の通り檢事総長に警告状を発しました。御参考のため御送付いたします。   昭和二十二年九月九日          浦和弁護士会長  その別紙を申上げます。  去る八月二十九日夜大宮駅において浦和檢察廳の田中檢事が少年に暴行を加えた事件は司法檢察の威信を甚だしく失墜せしむるもので遺憾に堪えない。又これについてなされたその後の措置にも遺憾な点がある。惟うにこのような失態を惹起した根本原因は、司法檢察当局の一部に官僚独善的な非民主的思想の底流があつて、それがたまたま機会を得て表面に顯れたものであると思われる。從つて不必要に被疑者を侮辱したり、相手の人権を蔑視したりするような不快な事実は可なり随所に行われつつあるものと考える。ついては今後かかる事実を一掃し、失態を再び繰返さないよう、そうして明朗にして清新な民主的檢察陣を推進せられるよう一段の力をいたされたい。当弁護士会は常議会員の議を経て敢て警告する。    昭和二十二年九月八日          浦和弁護士会長   最高檢察廳    檢事総長 福井盛太殿  こういう書面が参つておる次第であります。就きましてはこの件に対しまして、別特に発言を求められておらるる岡部氏に発言を許可いたします。
  57. 岡部常

    ○岡部常君 只今浦和弁護士会の陳情書ですか、伺いまして、誠に同感する者であります。所在に司法部のいろいろな事件が起りまして、殊に靜岡刑務所における不祥事は、天下の耳目を聳動しておると申しても差支ない程の大きいことなのであります。この事件勃発によりまして、やや世間の批評から遠のいたように考えられますが、先に浦和地方裁判所の檢事に絡る事件は、これ又なかなか忽せにできないことであると感ずるのでございます。この件につきまして先ず政府の当局のお方の御報告を頂きたいと考えるのであります。
  58. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 只今その書面を持つて参りませんので、正確な点は或いは間違うかとも思いますけれども、大体了承しておる範囲につきまして御報告申上げたいと思います。  八月の二十九日午後八時三十分頃に、丁度浦和の駅の助役室におきまして、浦和檢察廳の田中檢事が酒を飲んでおりました関係と思いますが、丁度古河から乘車して参りました十六歳になる少年と二十歳になる者と、二人の者に対しまして暴行を加えたという事実がありまして、この件につきまして遺憾ながら私共が了承いたしましたのは九月の一日頃でございます。これにつきまして長官の檢事正におきましては、その間適当の措置を執つておられたことと存じたのでありますが、眞相を糺明するに参りませずして、九月の二日になりまして東京の朝日新聞にその事実が出るようになりました。と同時に事を非常に重要に考えまして、高等檢察廳の檢事が現地に出向きまして、それから事実の取調を開始いたしました。その結果田中檢事がかようなすでに新聞で御承知の通りの行動に出たということは間違いない事実というふうに認定されることになりました。更に当時田中檢事がどの程度の酒量を帶びていたかという点につきましても詳細な調をいたしました結果、相当の程度に醉つておられたという事実を発見いたしまして、又被害者の被害の程度或いは被害者としてのこの処置に対しまする考え方というものも十分に調査いたしました結果、最高檢察廳におきましては、田中檢事に、最高檢察廳の助言を得まして、檢事長からの御意見といたしまして、本人を懲戒処分に付す。懲戒免官に付する。こういう上申がございましたので、司法大臣といたしましても、その上申に同意いたしまして、目下その手続中でございます。尚この問題につきまするところの長官の監督上の責任に関しましては、ひどく長官もその責を感じられまして、退職さるる希望を強く表明されております。これも容れられまして、退職の手続を執ることになつておる次第であります。大体さようであります。
  59. 岡部常

    ○岡部常君 只今御説明を頂きましたが、このことに関しましては新聞紙上等にいろいろ風説が傳わつておるのであります。殊に直接監督機関であるところの檢事正が、いろいろ新聞等によりましては弁解がましいことを、或いは擁護するようなことを仰しやつた。まあそれが段々破れて来たというふうに我々は取つておるのでありますが、殊に念入りに、もう事件が大分片付きかけた二、三日前の新聞の投書欄でございましたが、それによりますと、いわゆる不在証明、アリバイの問題について、時間なども相当詳密に書いて、自分のとつた処置の誤りでなかつたことなどを発表せられておりますが、あの経緯はどんなふうなものでありましようか。その点を承りたいと思います。
  60. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 檢事正のいわゆる大宮事件の判断につきましては、最初の出発点に誤解を持たれておつたということが、結局檢事正が事犯の眞相に徹せずに誤つたのではないかというふうに私共は考えているのでありますが、最初私の伺いまするのは、八月の三十一日の埼玉新聞でありますか。埼玉日報でありますか。これに掲載されました事実を檢事正は基といたしまして、そうして檢事が乘車した場所或いは檢事が行動された時間というものを測定されまして、その記事を基にされて、それから出発されてのいろいろの捜査の眞相糺明の措置に出られた。こういう点が甚だ眞相糺明に対しまして誤つたところに到達したのではないかと、こう思つておりまするので、この点は捜査を以て我々の本体といたします者にとりましては、技能の点におきましては、甚だ遺憾な点があるというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに私共は考えますが、更に最後に弁明書を出されましたのは、これは主観の問題でございまして、檢事正がそういうふうに事実を判断されるということにつきまして、信念を持つておられます点について、かれこれ申すことはちよつとこれはできないと存ずるのでありますけれども、併しあれは世を刺戟いたしまするし、又問題自体に対しまして、更にいかにも檢事正が強弁いたしておるような感じを與える虞もあるのでございます。実はあの点につきまして、伺いまするところによりますると、檢察廳におきましては、成るべくならば出さないようにしてくれというような忠言をされたと聞いております。その忠言の達せられる前に、新聞社に原稿が渡つたものか。或いはその後に渡つたものか。その辺のところは承知いたしておりませんが、とにかく檢察廳ではそういう弁明は成るべくしない方がいいということは申しておつたと思います。ところがああいう弁明が出ましたということは、私もこれは遺憾だと思つておりますが、併し檢事正はその点も了承されまして、全く自ら進んで職を辞せられるというのでありますから、その点を御了承願いたいと存じます。
  61. 岡部常

    ○岡部常君 田中檢事並びに檢事正の処分につきまして、それが決定いたしましたときに、何か司法部としては天下に声明せられるようなお心持がありましようか。どうでしようか。その点をどうかお答え願います。
  62. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 決定いたしますれば勿論発表いたす予定であります。
  63. 大野幸一

    ○大野幸一君 今回名古屋控訴院管内を見せて頂きまして感じたことでありますが、この前刑事局長が本委員会からの勧告によつて人権蹂躙、又新憲法の趣旨に副うようにということを速かに各裁判所、檢察廳に通達するというお話があつたけれども、その後何ら現地に行つて、斯樣な問題に触れて聽いてみると、それがなされていないのであります。例えば新憲法によつて拘引を受けた者は直ちに弁護人が附せられるという、こういうような場合に、その趣旨から言つて弁護人との接見及びその事情聽取りなどを許されるというように、刑事局長は個人としてもそう考えるが、これについては疑問があるから、いずれ研究の結果通達するというお話があつたけれども、そういうこともしていない。これから提案になるところの國家賠償法に関しまして、第一條に関することでありまするが、拘引状発布の際の手続等について非常に遺憾の点があるのであります。例えば名古屋高等裁判所では司法委員長の伊藤さんからの質問に対して、裁判所は拘引状を判事の署名の儘にしておいて、被疑者、事件名をブランクにして、書記に渡しておく場合も絶無ではない。こういう回答があつたのであります。これは檢察廳から請求があつたときに、判事がたまたま到着していないというふうな非常な不便を避けるためで、こういう意味で、現在においてその事情としては了承できるのでありますけれども、しかしブランクの儘に判事が署名捺印して、それを檢察廳から書記が適宜それに書き入れるというようなことも、絶無ではないという答弁を得たのであります。かようなことは一体我々が第一條を論議するに当つて、非常に懸念したことであつて、いわゆる形式上は常に檢察廳の請求があれば、判事は無條件同樣に出すというような精神がここに現われておるのであります。かようなことに対して一つ至急に善処して貰いたいと思うのであります。それから裁判所を迴りましても、いろいろ意見を聽いて見ましても、先程申しました勾留者に対する、起訴前の被疑者に対する弁護人の接見を許すか、許さないかということについては、各判事さんがまちまちであります。概して言えばやはり新憲法の趣旨に則つてやろうと心掛けておいでになる方は、やや進歩的な解釈を持つておられるし、一般的に言えばどうも今度の新憲法実施によつて、今までのやり方ではできないので、非常に窮屈さを感じられている。新憲法実施を迷感視しておる。こういうふうに見受けられる場合もあつたのであります。そこで、こういうところに來ると一番それがよく分るので、どの裁判所に行つても、取扱いに関して頭を叩いて見るような結果に終つたのでありましたが、こういう点も一つ早く決定して各裁判所を一致されたいと思います。そこで参考までに申上げますが、條文の解釈はともかくとして、もう日本は本当に民主國家になつたということ、それから人権が非常に尊重されて来たという、こういうふうなことが、まだ徹底されておらないと思われるのであります。福井縣で或事件が起きた。そのときに福井軍政部長ブオン大尉という人が、こういう刑務所では弁護人にも、被疑者と一般の人間との間の接見を禁止しておるということを聞いて、そうして福井の刑務所に臨まれて、こういうことを命令されたのが私の関係しておる刑事事件に現れて来たから、これを一つ、参考までに聽いて頂きたいと思うのであります。日は昭和二十二年八月十三日付であつて、文書の形式としては、福井刑務支所戒護主任看守長元田尚文氏から、福井地方檢察廳事務取扱檢事小林蝶一殿と宛てた文書の中にあるのであります。その報告書によりますと、「昭和二十二年八月十二日午後三時半頃より午後四時頃までの間同所を臨見し、左記命令を発しましたから、その状況を報告いたします。一、ブオン大尉が小野寺支所長及び私に対し命令した事項(イ)被告及び裁疑者に対する他人との面会禁止は、(裁判所の決定に基く面会禁止中の者)新憲法の趣旨に違反するから、これを禁止することはできない。(ロ)刑務所で面会する場合、被告又は被疑者と弁護人との談話の要旨は、面会簿に書くことはできない。」二を省略いたしまして、一番しまいに、「尚この取扱いは被疑者」特に名を隠しますが、「某に対するのみならず、全被告、又は被疑者に適用せよとブオン大尉が申いました。」こういうように現れて來ておるのであります。そうすれば福井刑務所では以後こういうようにやつておるのではないかと思うのであります。近頃國民の方では、もう勾留されると同時に、弁護人が附せられると言つて、非常に人権の尊重がなされたと言うけれども、又直ぐ判事の接見禁止命令を得てしまう。そうすると弁護人との間を十日間なり十二日間遮断する。こういうことなつておりまして、弁護人こそ、最初に拘引されたときこそ、なに故に拘引されたかを知りたいという被告の心理と、これに対する防禦の方法を講じたいということは当然のことである。かような大切な時期に、弁護人との接見を禁じておるというようなことは、非常に被告側から言わせれば、どうして日本人権の尊重ができようかと、これはやはり以前と同じだと、警察という所、檢事局という所は同じであると、そういうように考えておるのであります。そこでこういう今まで参考に申上げましたようなことを材料とせられまして、至急審議せられまして、各檢察廳に適当に御通達が願いたいということを御願いする次第であります。
  64. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 私が前に、只今御質問の通り弁護人の接見禁止に関しまする通牒を直ちに発するということをお約束いたしましたが、只今御参考までに伺いました福井の問題に関連いたしまして、ちよつと手続が遅れまして、最近に出すことに相成つておると思います。ちよつと速記を止めて頂きたいのですが。
  65. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 速記中止。
  66. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
  67. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) それから裁判所の今お話の勾留、逮捕状等の、白紙で委しておるということにつきましては、これは裁判所のやつておりますことでありまするけれでも、恐らく檢事局側の要望もあると思いまするから、この点につきましては、成るべくそういう処置のないように檢事局の方に通知しまして、過ちのない措置をとりたいと思います。
  68. 齋武雄

    ○齋武雄君 浦和の田中檢事は懲戒処分に附することになつておるということは了承しましたが、暴行の程度はどの程度であるかわかりませんが、刑事上の処分についてはどういうふうになつておりますか。世間の人は往々こういうように考えるのであります。檢事は何をやつても起訴はされないんだというようなことを言つておる人もあるのでありまして、これは無論暴行の程度、その当時の状況もありましようが、懲戒のみで終るということは、國民一般に対する影響が非常に大きいと思います。この点に対してどういうお考を持つておられますか。
  69. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 御尤もな御質問と思いますが、私共としましても、できれば刑事処分もし、懲戒処分もしたい、かように考えて捜査を進めたのでございますけれども、その時の田中檢事の泥醉の状況は相当なものでありまして、本人の記憶が大体六合ぐらいと言つておりますが、大体八合ぐらい飲んでおるようであります。その点につきましては、私共だけの判断でなく、実は專門の人の鑑定を求めたのでございます。強いて申せば、やればやれないことはないというふうには考えられますけれども、その者を刑事処分に付して、今度は公になつた場合に、いかにも苛酷に思われました。むしろ刑事処分はそのままにした方がいいんじやないかと思います。又被害者の方は、これは切なる、眞に迫て処罰を望まないことを申し述べて参りました。事態を非常に世間の人を納得させ、事態を円満に納めるには、刑事処分に付し懲戒処分に付することが一番いいと思いますが、そこまでやらなくてもいいんじやないかという見解に達して、懲戒処分に止めたのであります。尚暴行いたしまして、瘤ができた事実があります。これは本人、仕事も休んでおりませんし、瘤も檢事が調べた当時にはなくなつておりましたので、大体その程度の傷害であつたということがあるわけであります。それよりも、むしろ本人が意識の程度が非常に酒のために正常の判断を失つておつたと見られる方が強く考えられましたので、刑事処分には付さないという決定をいたしました。
  70. 齋武雄

    ○齋武雄君 私もその刑事処分にしないということについては、別に異議はないのでありますが、ただ國民の誤解を解くために、眞相を発表して、処分を発表する場合において、刑事処分にこういう意味でしなかつたということを併せて発表されることを希望いたします。
  71. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 大体その眞相は、実は詳しく私がここで申上げるよりも、非常に詳しく檢事廳長から発表になつておるのでございますけれども、あまり長い発表でございまして、新聞の紙面の都合で、実は全文が新聞に載らなかつたと思つております。新聞に載りましたならば、その当時の調べ上げました事情というものは全部國民にお分り願えると思います。尚新聞としても、報道の價値の問題もあると思いますから、その時期をつかまえて、適当な時期に適当な処置をとりたいというふうに考えております。
  72. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 先程事局長から、田中檢事の問題につきまして、檢事正が辞意を声明されたので容れることになつたという御説明がありました。司法省の方でその檢事正の辞意を容れることになつたということについては、部下にそうした反則者があつたことによつて、長官としての責任を問う意味においてそれを容れることになつたのであるか。或いは又田中檢事の問題に関聯をいたしまして、その後これに対する檢事正の処置がそのよろしきを得ないということについて、それを含めた意味において、それを容れることになつたのであるか。凡そ部下の過ちに対して監督者の責任は勿論あるでありましようが、職を辞するという問題は甚だ軽からざることであると思うのであります。でありまするから、この際檢事正が辞することになつたのを、司法省の方で容れることになつたのは、部下に対する監督上の責任重大という意味においてこれを容れることになつたのであるかどうか。その点を伺いたいと思います。尚私は常に考えておりますることは、司法官、殊にこの檢事、裁判所は從來非常に態度が重厚でありまして、同時に又職務の性質からいたしまして、一般社会の耳目も又強く、批判をされまするような感がございます。先般も申上げましたが、兎角司法に関係いたしておりまする者は、その職務の公正を期するがために、一般社会人との交際すら避けるというようなふうに、行政官に見られざる、一つのいいか惡いか知りませんが風習があります。私は最近の司法関係の官吏の方方に対しまする待遇の著しく不良なために、むしろ私は見方によりましては職務はいよいよ繁雜を極めて非常に劇職になつておりまするに拘わらず、それに対しまする待遇が非常に薄い。先般も名古屋の控訴院管内に私ども調査に参りましたときに、裁判官みずからの口から、待遇の薄いがために非常に生活上の脅威を受けておることを深刻に皆口にすることになつたのであります。私は司法官が非常に愼み深いために、そうしたことを口にいたしますることを非常に恥じておるような從來誠に美わしい習慣があるのであります。にも拘わりませずおのずから忍耐にも限度があるということになると思いまするが、一度会議にこのことが話題になりまするというと、囂々たる実は切実なる意見が出て参りました、見方によりましては殆ど神にあらざればその職に留つておれないのではないかとすら感じておるのであります。そこで勿論責むべきは責め、而して同時に與うべきものは與えてやらなければいけないのじやないか。國家としまして、その意味において、今の檢事正の進退問題に対しましても、恐らく司法省におかれましても十分なる考慮を拂われておることとは思いまするが、そうしたことに対して一体どんな趣旨からその辞意を容れることになつたのであるかということをこの際伺いたい。併せて司法官に対しまして、求めるところが余りにも嚴に失することはどうであろうかと思います。尚私は先程大野委員から御質問がございましたが、從來裁判檢察に対しまする世間一般の非常な信用が高い。これはもう勿論そうあるべきだろうと思いまするし、多年職務の忠実、公正ということに対しまして、殆ど挙つて精励されて参りました結果が、そういうことになつたと思いまするが、新憲法の下において基本人権の愼重されます場合において、從來の違警罪、その他一般人の拘束等につきましては、すべてこれを取上げて、今度の新制度では全部これが裁判所に限られることになつたのであります。そこで私は裁判所というものは、むしろその点につきましては最後の砦であると思います。從來の信用を買われまして、挙げて人権拘束に対しまする発令権を裁判所に收めたとしまするならば、裁判所みずからがここで砦が破れたならば、もう誰もやる人がなくなると思います。最後の砦だと私は思います。この制度が布かれまして裁判所が逮捕状、勾留状等を発令いたしまする重要なる一つの権限を持つに至つたのでありますが、この制度のしよつ端におきまして、先般も調査に参つて見ますると、具体的に私は申上げることを憚りますが、或裁判所は逮捕状を相手方の被告人の名前が分らないということから、白紙で以て発行して、そうしてそれを現地に持つて参りまして、後に適当に執行者の方が記入して執行したというふうなことを聞きました。たまたま先般視察の時に、その事実の有無を確かめましたけれども、遂に具体的にはその実を掴むことができなかつたのでありますが、事実は儼としてあるのであります。これらに対しまして裁判所並びに檢事局といたしましても、今後如何なる考と覚悟とを持つておられまするか。この際お伺いいたして置きたいと思います。この二点について伺います。
  73. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 浦和の檢事正の辞意を容れるか、容れないかというこの問題につきましては、司法大臣の專権であろうと考えまするので、私から申上げるのはどうかと思いまするが、私の了承しておる範囲では、檢事正は勿論監督の責任を第一におとりになつたと思います。更にその後の事態の善後策につきまして相当世間を刺激したような措置があつたということも加味されておるのではないか。私はそういうふうに考えております。大臣の御考も恐らくそうだろうと思つております。そのように御了承願います。更に第二点の只今の白紙の逮捕状等のお話でありますが、これは白紙の逮捕状を出しますることは、結局逮捕状或は搜査状、それらが個々具体的に出さるベきもので、法律の精神をなくすものでありまして、人権尊重という意味の欠くる場合が多く起ると思います。その点につきましては私共といたしましても、檢事局に対しまして十分注意を促すことをいたしたいと思います。裁判所に対しましては、これは私の方の権限外でございますけれども、同じような司法の職責を果す上におきまして、裁判所とも、そういう点につきまして間違いのないように、檢事局を通じて連絡を取りたいと思つております。御了承願います。
  74. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ちよつと或いは方角違いかも知れませんが、御関係の深い何でありますから、伺うのでありますが、段々と議会も末期に近くなりつつあるので、審議もいよいよ最高潮に達せんとしておる時まで、実は裁判所の方に対しまする政府委員としましては、今尚決つておらないのか、或いはどんなふうになつておりますか。どうも裁判所に関する幾多の議案がございまするので、是非伺いたいことが沢山ございますが、実は差控えておるのであります。どうかその点を……。それから若しそれでないとするならば、一刻も早くこれを一つ定めて貰うように、あなた方の方から何と申しましようか。一つ激励して頂きたい。沢山実は裁判所関係のことがございまするので、是非一つお願いたします。
  75. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 実はその点につきまして、最高裁判所の方でも非常に研究をされておりまして、我々もその点につき相談を受けておるのでありますが、これは現在のところ政府委員というようなことにはむずかしいのじやないか、場合によれば或いは裁判所の事務官を司法省の事務官と兼任にでもすれば、政府委員になり得ることはできるが、そうでないということになると、ちよつと政府委員というわけには行きませんし、そうなると証人というようなことでいろいろ議会に出るというようなことにしなければいけないというようなことで、まだ実は決定はいたしておりませんが、近くその点について参議院の泉君ともお話があつたようでありまして、最高裁判所の方でもそれについて非常に研究をいたしておるようでありますから、何とか最近形がつくかと思つております。
  76. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) この程度にいたしますか。……國家賠償法案を上程いたしまして、これが審議を進めたいと思います。先般この法案に対する質疑は終了しておつた次第でございますが、その後多少情勢も変化しておりますから、尚質疑の漏れた部分の補充をこの際許すことにいたします。
  77. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 今回提案されました國家賠償法を見ますると、これが若しこの賠償法が成立することになりまして、これと殆ど同質のものでありまする刑事補償法の規定によりますると、拘留による補償、或いは懲役、禁錮の執行によりまする補償、いずれも一日が五円以内ということになつております。これによりますると、今一ケ年間拘留されておりましても、千八百円で以て片附けられることになりますので、もう明白なことでもありまするから、この際政府の方においてはこの刑事補償法の第五條を撤廃する意思があるかないか。そうしてこの賠償の範囲というものをそれ程限極いたしますことになるというと、國家賠償法との均衡上においてもいけない。又同じく不当拘束でありまして、起訴後における問題は五円以内で以て解決する。一日五円以内で解決することになりまするが、その他の起訴前の不当拘束に対しましては、勿論これによるものでありませんから、同じ不当拘束でありましても、著しくその間に差等が生じて参りまするから、この点に対しまして政府はどんなお考を持つておりますか。この際刑事局長から伺いたいと思います。
  78. 國宗榮

    ○政府委員(國宗榮君) 刑事補償法は実は早急に全面的な改正をしなければならないと、かように考えておつたのでございまするが、今議会提出の運びに至りませんので、甚だ申し訳けないと思つておる次第であります。尤もこれは刑事訴訟法の改正と関聯しておりますので、刑事訴訟法の改正と同時に議会に上程したいと、こういう考えを持つております。只今御指摘の五円以内という第五條の規定でありますが、これらも勿論考え直さなければならないと思いまするし、第四條の制限が非常に嚴しくなつております。実際の適用が極く僅かしか適用をされない。法律が死んでおるような状態にありまするので、憲法の四十條の趣旨から申しましても、今後は相当に動かさなければならない。こういう考え方の下に現在改正案を立案中でありまして、今度の通常議会の劈頭には刑事訴訟法と共にこれを提出したい予定でございます。どうぞそれで御勘弁願いたいと思います。
  79. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか。……ないように認めますから、質疑はこれを以て終了いたしたいと存じます。御異議ありませんですか。
  80. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御異議ないものと認めます。次いで討論に入りたいと存じますが、御意見のある方は、賛否を明らかにして御意見をお述べ願いたいと思います。
  81. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 修正の動議を提出いたしたいと存じます。それは第三條中、「費用を負担する者が」とありますが、これを「費用を負担する者もまた」に改めまして、次の一項を加えるのであります。「前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する」、こういう修正案を提出いたしたいと存じます。動議を提出いたします。
  82. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 只今修正の動議が提出されましたが、私はこの動議に全面的に賛成いたします。
  83. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 松村委員の動議は成立いたしましたから、この修正案を併せて、本案に対しまするところの御意見をお伺いいたします。
  84. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 修正案提出の理由を申述べたいと存じます。憲法第十七條には「何人も、公務員の不法行爲により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、國又は公共團体に、その賠償を求めることができる。」と書いてあります。私は率直に憲法の條文を受けまして、今度の賠償法というものは、國家公共團体賠償法という名前にするのがよくはないかと思います。國家賠償法というと、公共團体はどうなつたのかということを、これはちよつと注意が喚起されないと私は考えるのであります。この法案の名称それ自身が私は適当でないと思ひます。私は公共團体という四字を省かなければならんという積極的理由は何もないと思います。そうすれば憲法の通りに率直に國家公共團体賠償法ということがよかろうと思いますが、すでにこれは衆議院を通過しておるのであります。いわば形式的な論になりますから、私は修正の意見としてはそれは修正案の中には申述べません。併しあまり感服しないということだけを申添えておきます。修正案の本論に移ります。原案の第一條、第二條を見ますというと、この公務員の故意過失によりまする公権力の行使によつて、他人に損害を加えた場合が第一條にある。第二條には公の営造物の設置又は管理の場合におきまして、その瑕疵のために他人に損害を加えました場合、その場合の二つを掲げておるのであります。これは民法の不法行爲の規定に大体倣つておるのでありまして、これは廣い意味におきまして、営造物の瑕疵によります損害賠償をするということは、やはり國家の責任であります。合せて公務員の不法行爲によるということに解釈することは、これは差支ないと思います。その一條、二條の規定は適当であると思います。併しながら第三條に至りまして、今修正の理由を申述べますがごとき問題の必要を生ずるのでありまして、この三條は國又は公共團体、國又は公共團体と申しますのは、今公務員の選任監督をいたしており、営造物の設置管理をいたしておるところの國又は公共團体、それと、その公務員の俸給その他の費用を負担し、又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担するもの、それが異なつているときには、補害者は右の費用を負担者のみが賠償の責任を負うということに規定しておるのでありまして、被害者に対しまして責任を負うということに規定しているのであります。即ち、本來の責任と費用の負担とを分けて、本來の責任者を問わないで、費用を負担しておるから賠償をとることにしよう、こういうのが第三條であります。これは第一点から考えまして、責任論という立場から申しまして当を得ないと考えますが、尚経済上の関係からもそういうように考え得るのであります。これは、本來公務員に対して選任監督権を有し、又は公の営造物の設置、管理者に右の損害賠償等の責任を負わしめるということは、理論上から申しましても、それから將來、これらの新たに公権力の公使又は公の営造物の設置、管理についての職務上の注意、義務を喚起せしめる上から申しましても、即ち過去の行爲又は事実に対する責任問題、それから將來の責任観念の問題、それから考えましても、どうしても責任のある者が賠償するということは、これは当然であると思います。ところがこの第三條は責任がある者は賠償しない。費用を負担する者が賠償するのであるというのでありますから、責任論として甚だ当を得ないということは明瞭でありましよう。又経済的に考えましても、負担の不均衡を生ずる場合も生ずるのであります。そういうような点があることが第一として申さなければなりません。  次に第二点として被害者が請求手続をいたします立場から考えて見ましよう。被害者が請求をいたします手続の問題について、あまり無理がありますというと、折角の請求が思うように透徹しない。時もかかりましよう、或いは請求ができないような結末を生ずるようなこともあると思います。それは、被害者は右公務員に対し選任監督権を有するもの又は公けの営造物の設置、管理に当りますもの、そういうものと、公務員又は公の営造物の対する費用を負担するものとが異なつておるかどうかということは、実際上必ずしも容易に言えないだろうと思います。被害者にそういうことが直ぐ分るということは、これは簡單にも申せない。仮に異るということが知り得てもその異なる程度がおのおのあるだろうと思います。費用の全額を負担している場合もあります。或いは一部だけ負担しておる場合もある訳であります。そういう訳でありまして、仮に負担者が一方が負担しておることが分る。両方が負担しておるということが分つても、負担の程度や範囲を知るということはこれは容易なことでありません。実際上これは困難であります。それに拘わらず原案の第三條はこれが直ぐ分るような工合に考えて、費用負担者のみが被害者に対する損害賠償の責任を負わしめるということになつておるのであります。これは明瞭に、被害者損害賠償請求権の行使に対しまして、思いもよらない支障を與えます。権利保護の完全を期することはできないということは明瞭でありましよう。例えて申せば、過つて費用を費用負担者でない者、又は費用全額の負担者でない者を相手にして損害賠償訴えを提起したときに、相手方に正当なる当事者適格がないものとして、請求の全部、又は一部を却下されるということの不利益を生ずるでありましよう。そいうことが直ちに起ります。それならば請求すればいずれは國家なり公共團体が負担するものとすれば、どつちに請求してもそれを先ず受理して本案に入ることがいいのぢやないかということが起ります。常識として……。だから修正が必要だということになるわけであります。  第三点は、從來の費用、從來の費用というものと、それからこの度の賠償金との性質です。それを同一に考えることはこれはできないと思います。第三條は公務員の俸給、その他の費用負担者又は公の営造物の設置若しくは管理の費用の負担者は当然に公務員の不法行爲、公の営造物の設置管理の瑕疵に対する損害に賠償の責任を負担するものとして、從來の費用の負担といつているその費用の中に損害賠償金も包含されてよいというふうに観念上前提しているものと思わせるような書き方になつているようであります。第三條は……。併しこの費用の負担という平生の費用の負担というものの中に、以上の場合の損害賠償金の負担が入るということは、これは簡單には考えられません。即ち費用を負担するからといつて、直ちに損害賠償金を負担するということに観念上解釈するということはできないと思います。從來の費用というものとこれからの賠償金額というものは、性質上から申しても、観念上から申しても、同一のカテゴリーに入るものでありません。同一の範疇に属するものでない。その方が私は正しいと思います。何故かと申しますと、從來の費用の負担は公の営造物について申上げますと、例えば道路の費用ということになると、仮令國道であつても、その國道の現にありますところの府縣が費用を負担する。そういうことはあります。それは通常の場合、受益者についての関係を考慮しての費用負担であります。今度の賠償は異常の時であつて、損害の負担であります。受益者関係と性質が違うと考えなければなりません。そういうわけでありますから、その負担は別にして区別して考えなければならない。從つて別々に定めるものと解釈することが妥当であると存じます。  第四には被害者が実際上賠償を受ける立場から考えなければなりません。実際賠償を受けられなければ折角憲法の保護がありましても、一向実現されないということになります。そこで費用負担者にのみ損害賠償の責任があるものとしますときには、費用負担者の資力が薄弱であるとか、その他の理由で費用負担者から速かに又十分な賠償を受けることが実際上できない場合が予想せられるのであります。原案第三條に從いますならば、こういうような場合でも被害者は費用負担者のみを相手方として損害賠償の請求をしなければならないという不利益を忍ばなければならんことになります。原案第三條は以上のような理論上から申しましても、観念上から言つても、又実際上から言つても難点があるものと認められますから、こういう難点を除きまして、そうして被害者損害賠償請求権の行使をなるべく容易にし、又救済が実際得られるようにという必要から救済が生まれたのでありますから、即ちその結論は責任、理論というものを先ず考えなければなりません。次には実際上の賠償が実現されるという点を考えなければなりません。この二つの要望に適應する必要がある。それが修正案の趣旨であります。この修正案によります「公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者」が賠償の責任を負うのは勿論であります。これは今申しました責任の上から当然のことであります。そうして又公務員の俸給その他の費用又は公の営造物の設置、管理の費用を負担するものも、亦同樣に被害者に対して損害賠償の責任を負うこととなるのであります。これはなぜかと申しますと、こういたさなければ実際の損害賠償を受けるということの実現が得られません。これは実際上の必要から考えて、こういう修正が必要である。こういうことになるわけでありまして、両者いずれも責任者となるのでありますから、損害賠償の責任は両者とのおのおの独立して、損害の賠償の全額を負う責任がある。從つて被害者は右損害賠償のいずれに対しても請求をなすことができるのであるから、いずれを相手方として請求をするかは全く被害者の任意であります。又右両者に対して同時に損害賠償の請求をなすこともできます。併し損害の目的は同一でありますから、損害の全額の賠償を受けることはできませんから、全額の中から一部の賠償を受けた、一部の額だけを一方が出せば、他方から残りの分を受ければ、それでいいわけであります。そういうことによつて、任意向者の中終局において損害賠償額を負担する者、その割当て範囲等は法規それから両者間の契約、申合せ等で定める問題でありますが、それは内部関係であります。損害を受けた者がそういう内部の関係のために権利の行使ができないということは困るというのが修正案の趣旨であります。そうした内部関係は内部で決めればいいのであつて、國家公共團体が内部で解決を着ければ宜しいので、内部で決めたことを外部に対抗して、損害賠償を請求する者に迷惑をかけることは、條理上不当であることは当然であります。そういう訳でありますから、被害者から請求を受けて賠償しましたのは、内部関係で責任を有する者に対して、責任の範囲で求償することができるのであります。  修正案は右のようにして憲法十七條の精神に從つて公務員の不法行爲から生じた損害賠償を、國又は公共團体から容易に受けることができることにして、國民の権利保護を全からしめると共に、賠償負担者にも均衡を得せしめることにしたのであります。
  85. 齋武雄

    ○齋武雄君 私は第三條の修正を含めて本法案の全部に対して賛成する者であります。第一條の「故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたとき」という、違法という点について疑いがあつたのでありますが、これは政府当局の御説明によつて了解したのでありまして、修正案を含めた全部に対して賛成いたします。
  86. 松井道夫

    ○松井道夫君 私も本法案三條の修正案を含めましたものに賛成の意見を申述べたいと思います。  憲法によりまして司法権力の行使に当り、公務員の不当行爲により損害を惹起いたしましたときに、それに國又は公共團体が賠償金を支拂うということになりまして、非常な恩惠を國民が受けることになり、実に結構なことでありますが、併し飜つて考えまして、これこそ当然過ぎるほど当然の法律であり、從來それができなかつたということが、これは間違いであつたのである。左樣に考える者であります。憲法はいわゆる普遍の原理に基きまして定められましたもので、國民の権利義務を國家において、受託者として預かつておる。いわゆる公務員は國民の公僕である。國の政治は國民による、國民のための政治である、左樣な原理に基きまして憲法ができておるのでございまするから、その大事な國民の権利の受託者である公務員が、その預かつておりまする司法権力の行使を誤つて國民に損害をかけた場合には、國又は公共團体で賠償の責に任ずる。その公務員の選任監督の責がありまする國又は公共團体において、その責に任ずるというのは極めて当然の原則であると存ずるのであります。その意味におきまして私はこの法案につきまして、極めて当然のこととして賛成いたすのでございまする。  唯この委員会で非常に問題になりました、只今齋委員からお述べになりました、第一條の規定の仕方で、これで國民の権利が十分に実現できるかということになりますると、ここに非常な疑問が湧いて参るのであります。これは民法の原則と同じことをここに書いたのである。それを進んだ書き方で書き替えたのであるという御説明でございまするが、併しながら実際の裁判所に事件が廻りました場合を考えて見ますると、相当に疑問が出て参るのであります。例えば裁判所が勾留の原因ありとして勾留をいたす。これは勾留せられまする國民の立場から言いますると、憲法において保障せられました身体の自由を侵害せられることに当るのであります。その場合にこの勾留の原因がなかつたという場合には、これは当然國民といたしましては、侵害の賠償が得られなければならない。その場合にここにございまする要件に当篏めて考えて見ますると、これは勾留の場合を例に取つたのでございますから、当然に故意があることは間違いないのであります。その國民の身体の自由権拘束する意味で拘束いたしたのであります。それで國民といたしましては、單にそれだけの事実を立証すればそれで立証の責任を果したということであれば非常によろしいのでありまして、それが國民の身体の自由を制限する場合に刑事訴訟法によりまして要件が書いてある。その要件に從つて勾留したのである。具体的に刑事訴訟法に書いてある勾留の原因に当るところの事実があつたのであるということをこの國の方で立証しなければならないということになりますれば、これは國民の権利実現の上におきまして、非常によろしい。かように考えるのでございまするが、この故意又は過失ということと違法ということが並べて書いてありまするので、このいずれもが原告側で立証されなければいかない。さような見解に万一とられますと、非常な無理を國民に強いるようなことに相成ると心配いたしておるのであります。國民の身体の自由に加わる制限というものは、勿論法律で規定してあるのであります。  只今申しました刑事訴訟法にあるのであります。でありますから、その法律に特に規定されました事由というものはこれは当然國家の側で反証として挙げなければならない。違法の阻却理由として主張立証しなければならないことであると私は存じておるのであります。ただ問題になりますることは、その勾留の例に取つて見ますと、勾留の原因がなかつたけれども、勾留の原因がありと信じられ、又その信ずる上につきまして過失がなかつたという場合に、これは違法性の阻却理由が存在するということについて、認識する上につきはして過失がある。その場合だけが非常な問題になると存ずるのでありますが、併しながらそれを今の民法の原則、故意又は過失によつて権利を侵害したその場合には、当然一應違法性があるものと推定せられる。その反対を主張するものは違法性阻却原因があつたことを主張立証しなければならんという原則に從えば差支ない。さように存ずるのでありまして、先程冒頭に申しましたように、民法の原則に從つておるということに私は信頼いたしまして、これに賛成いたす。故意、過失、違法と続けて書いてありまするから、違法も亦原告側が立証しなければいかんというように解釈されないように、当局におきましても十分に御配慮を得たいと存ずるのであります。  それから第三條につきましては、これは松村委員の修正の理由としてお述べになつたところで盡きておると存じます。私といたしましても極めて結構な修正であろうと存ずるのであります。  それから第六條でございまするが、これにつきましても、私は疑問を持つておつたのでありまして、この普遍の権利に基きまする当然の規定を仮にこれが外國人であつて、日本の國民でないといたしましても、その趣旨を外國人に及ぼしますということが、これが進歩的の方向である。正しい方向であると存じますので、この條文には非常な疑問を持つておりまして、將來世界に平和が回復いたしますれば、当然こういう規定は必要がなくなるのじやないかと存じておるのでありますが、たまたま委員の各位の御意見で現在の混乱時代ではこういうことも必要であるのじやないかということでまあ成る程と、疑いを存して賛成をいたす次第なのであります。  又最後に申上げたいことは、只今の勾留の例で申しましたけれども、それが無罪になつたといつたような全然無罪の判決でありませんでも、全然そういう事実がなかつたというような場合におきましては、これを無過失責任にいたしまして、賠償をする。その一部はすでに刑事訴訟法によつて実現されておるのでありまするが、これを無過失責任にするというのが進歩的なことであつて、將來そうならなきやならんと存ずるのであります。その他のこの例に限らずすべて國又は公共團体の公権力の行使に当る公務員の行爲により違法に損害が生じたといつて場合には、無過失責任で損害賠償をいたすというようなことに將來相成ると確信しておるのでありまして、一日も早くそういうことの実現できる日本社会状態、世界の國際の状態がさようなことにならんことを念願いたすものであります。さようなことを申述べまして、私の賛成の意見に代える次第でございます。
  87. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御意見はないように思いますから、これを以て討論を終結することに御異議ありませんですか。
  88. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) さよう決定いたしまして採決に入ります。先ず松村議員提出にかかるところの修正案第三條中「費用を負担する者が、」を「費用を負担する者もまた、」に改め、次の一項を加える。「前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。」この修正案に対しまして御賛成のお方は御起立を願います。
  89. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 全会一致、松村議員提出にかかるところの修正案通り決定いたします。次に修正案を除くところの原案に対しまして御賛成の方は御起りを願います。
  90. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通りに確定いたします。尚本会議におけるところの委員長の口頭報告につきましては、予め御承認を得ることに御異議ありませんか。
  91. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。  次に多数意見者の署名を附することになつておりますから、順次御署名をお願いいたします。
  92. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 次に「皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案」を上程いたします。これに対する質疑を継続いたします。御質疑のある方は。
  93. 齋武雄

    ○齋武雄君 皇族の身分を登録する皇統譜というものがあるのでありますが、新しい憲法施行後においても今尚作成されておるかどうか。その次は身分が変更になつた場合において、いちいち皇統譜に記載するのであるかどうか。皇統譜戸籍との連絡関係、この点をお尋ねいたします。
  94. 塚越虎男

    ○政府委員(塚越虎男君) 第一の御質問の皇統譜につきましては日本國憲法のできました後、昭和二十二年五月三日付政令第一号を以ちまして、新しい皇統譜令というものができました。それによりまして今後は処理をいたして行くということに相成ります。第二の点につきましては皇統譜令の第五條に規定がございまして、皇室典範第十一條から、第十四條までの規定によつて、親王、内親王、王又は女王が皇族の身分を離れたるときはその年月を当該親王、内親王、王又は女王の欄に登録し事由及び氏名を附記しなければならないという規定がございます。
  95. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 戸籍法の関係につきましては、御審議を願つておるこの法律ができますれば、皇族の身分を離れた方がいわゆる戸籍法の適用を受ける者ということになつて、一般戸籍に乘るというのがこの法律に当るわけだあります。
  96. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ありませんか。御質疑がないようでありますから、この程度にいたしまして質疑を終了することに御異議ございませんか。
  97. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それではこれを以て質疑を終了いたしまして、討論に入ります。御意見のある方は賛否を明かにして御意見をお述べになつて頂きます。御意見もおありになりませんようですが、討論を省略することに御異議ありませんですか。
  98. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 討論を省略いたしまして直ちに採決に入ります。本案に対しまして御賛成の方は御起立を願います。
  99. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたします。尚本会議における委員長の口頭報告につきましては、予め御承認を願うことに御異議ありませんか。
  100. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) さよう決定いたします。本案に対するところの多数意見者の署名を付することになつておりますから、順次御署名をお願いいたします。
  101. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 裁判所予備金に関する法律案を上程いたします。これに対するところの質疑を継続いたします。
  102. 齋武雄

    ○齋武雄君 この法案の第二條には、」予備金を支出するには、事前に、時宜によつては事後に、最高裁判所裁判官会議の承認を経なければならない。」こういうことになつておりますが、これは支出する場合でありまして、予備金をどれだけにするかということについては、どういう手続で決定するのであるか、その点をお尋ねいたします。
  103. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) これは一般の予算の中で裁判所予算が決められます。その裁判所予算の中で予備金の費目がおのずから決まつて参るのでありまして、これは一般の予算の編成によつて決まるわけであります。
  104. 齋武雄

    ○齋武雄君 そうすると、予備金の金額については裁判所は全然関係しないのでありましようか。
  105. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 一般に裁判所の予算の場合には、裁判所から内閣にいろいろ予算の要求をいたしまして、内閣でこれを檢討いたしまして、若し内閣におきまして裁判所の要求を全面的に容れる場合には勿論問題ありませんけれども、容れない場合におきましては査定のものと、それから裁判所からの要求書と、二つを添えまして國会の審議に付すということになるわけであります。
  106. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 この第二條に「時宜によつては事後に」とありますが、事後に承認しなかつたならばどうしますか、どういう効果になりますか。
  107. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) これは國会の予備金の場合と大体同じような規定でありますが、矢張り結局それはその支出官の政治的責任と申しますか、そういつたような問題が生ずるのでまないかというふうに考えております。
  108. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 時宜によつてとありますけれども、事前でも事後でもいいということに自然なるんじやないでしようか。成るベく事前にということにしておいて、事後の方を何か極く例外であるというような工合に、時宜というようなことではなく、或いは緊急の場合はということの方がよくはないでしようか。あまりこれはどうでもよいという時の宜ろしきに從うということになれば、何だか軽く考えられるのですが、如何ですか。
  109. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) 御尤もでありますが、これは國会の予備金に関する法律の第二條に「各議院の予備金を支出するには、事前に、時宜によつては事後に、その院の議院運営委員会の承認を経なければならない。」という前例をそのまま踏襲いたしたわけであります。
  110. 岡部常

    ○岡部常君 本日は予備金の問題になつておりますが、これは予備金だけではなくして、裁判所に関する本予算全体に対する問題であり、又裁判所に関する法律案についても同じことが言えるのでありますが、立法府との関係、これが今尚ついておらないというこしは、これは極めて重大なことであらうと存ずるのであります。これはまあ裁判所側から見ましたならば、いわばおしきせの予算によつて生命が左右されるというようなことにもなるのでありまして、この点は何とか早く連絡をつけなければならないと考えるのであります。これは予算竝に法律案についてその連絡方法がつきませんければ、折角新憲法下において、又新國会において一つの三権分立の形が生まれ、それが育ちつつある重大な時なんでありまして、この最初の踏み出しがはつきりしないことには、到底立派なる三権分立の形というものは成り立たないと考えるのであります。この問題につきましては、これは司法当局だけではできないことであり、内閣でもなかなかできないことであり、これは裁判所、内閣、或いは國会、いろいろな方面の協調によりまして、初めてでき得ることだと考えるのであります。私はこの機会にそのことを一言申して記録に留めて置きたいと存ずるのであります。関係の皆樣方、又我々も共にこの点については重大なる責任を感じなければならないと存ずるのであります。
  111. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ありませんですか。
  112. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 先程國会の予備金に関する法律があるから、その眞似をしたのだという御答弁でありましたが、どうも私は議会という最高機関の場合と最高裁判所と、ただ文字を並べて置けばいいということはちよつと私承服できない。別に裁判所だからと言つて文字を異にして嚴重にして惡いということはないと私は思いますが、如何ですか。收拾も附かないわけであります。後で承認を経て見ても、議会の関係であれば事後承諾ということもありますが、議院として従來そういうことをやつておりますが、併し議会を離れておる、最高機関ではない裁判所においては、成るべくそういうことは私はやらん方がいいじやないかと思う。すべてやはり事前にそんな緊急なことが裁判所にあるとは思えない。日常の仕事から考えて見ても、議院にはいろいろなことがあります。急速を要することがあると思います。裁判所にそう事前にできないというようなことが私はあまりあるように想像できない。どんな場合を想像しておられますか。この事後という場合を、どんな時に事後になるのでしようか。実際問題として……。
  113. 奧野健一

    ○政府委員(奧野健一君) これは恐らく、やはりお示しのように裁判所の場合において、非常に緊急で予め裁判官会議に諮るひまがないというような場合は、殆ど想像ができないと思います。それで勿論事前に承認を経るというのが普通の運営であろうかと思うのでありまして、ただ万一にもそういう機会を得られないような突発的な問題が起るというようなことも考えられないでもないのでありまして、今具体的にどういう場合であるかということは、只今お答え申上げ兼ねまするが、万一そういう場合の起らんとも限らないという含みを持つて、こういう規定を置いたのでありまするが、実際の運営は事前に裁判官会議にかけるというふうに考えております。
  114. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私の言わんとするところはこういうのであります。文字が同じである場合は、同じようなことになるじやないか。こういうことを私は申上げるのであります。文字が同じであつても時宜ということはその機関によつて違うのであります。議会が時宜によつてやります場合と、裁判所の時宜というものは、自ら意義が違うということを私は申しておるのであります。文字が同じだから同じようにやつたらいい、こうはなりませんということだけをここで御注意申上げて置きます。
  115. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に御意見ありませんですか。質疑はこれを以て終了することに御異議ございませんか。
  116. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) さよう決定いたします。  本案に対しましては、簡單でありますから討論を省略いたすことに御異議ありませんか。
  117. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御異議ないと認めます。討論は省略いたします。  本案全部を問題に供します。原案に御賛成の方は御起立を願います。
  118. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたします。  尚本会議におけるところの委員長の口頭報告につきましては、予め御承認を得ることに御異議ございませんか。
  119. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御異議ないと認めます。尚多数御意見者の署名を附することになつておりますから、順次御署名をお願いいたしたいと思います。
  120. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) さきに本委員会におきまして決定せられました名古屋高等裁判所管内議員派遣につきまして、指定せられましたところの各議員は、名古屋高等裁判所に出張いたしました。十一日、名古屋に午前四時半集合いたしまして、同日九時頃名古屋高等裁判所に参りまして、所長の佐々木良一氏、檢察廳檢事長の永井太三郎氏、地方裁判所長の中島民治氏、檢察廳檢事正、市島成一氏、名古屋弁護士会長、臼井龜太郎氏、名古屋拘置所長田中士郎氏、瀬戸少年院長、徳永憲淳氏等が会同いたしまして、種々名古屋高等裁判所竝びに地方裁判所、及び檢察廳拘置所、竝びに少年院におけるところの各実情を聽取いたしまして、議員からも質疑應答がありました。次に名古屋拘置所を視察いたしまして、現場においてこれ又取扱いその他の点につきまして、質疑應答をいたしました。正午頃愛知縣警察部に参りまして、愛知縣警察部長新井茂司氏に面会いたしまして、同席上に刑事課長竝びに経済課長その他関係者立会の上、同所において経済事犯或いは司法警察その他愛知縣におけるところの防犯、その他、不正事項について質疑應答、研究いたしました。次に中警察署に参りまして、又千種警察署に参りまして、これ又司法警察の現状と、勾留状態というものに対しまして視察すると共に、いろいろ研究いたしました。次いで名古屋刑務所に参りまして、刑務所長の案内によりまして、工場その他留置状態全般に亙りまして、視察いたしまして、これ又質疑應答をいたしましてこの視察を終りました。日沒頃金城六華園に参りまして、少年審判所から委託せられました不良少年の保護團体の事業を視察いたしまして、理事者の意見を聽取いたし、尚議員の意見を述べまして、これが視察を終りまして、同日の日程は終つた次第でございます。翌十二日三重縣に出張をいたしまして、津の裁判所におきまして裁判所長小林定雄氏、檢察廳檢事正の木下由兵衞氏、津弁護士会長田村稔氏、三重縣知事青木理氏、三重刑務所長杉田勝久氏、三重縣警察部長徳永秀夫氏、津警察署長辻井信藏氏、これらの方々と会合いたしまして、前日と同樣民法、刑法、刑事訴訟法、新憲法による臨時措置法等の関係に関して、いろいろ質疑應答をいたしまして、実地につきましては、刑務所竝びに裁判所及び警察署を視察いたしまして、同日の日程を終りました。只今弁護士会長は田村氏と申上げましたが、速水氏であります。翌日は大垣に参りまして、大垣の裁判所及び檢察廳を視察いたしまして、実情について種々聽取いたしまして、次に大垣警察署に参りました。尚午後岐阜地方裁判所に参りまして、岐阜地方裁判所大垣支部長鈴木國久氏、檢察廳の三木晴信氏、その他関係者一堂に会合いたしまして、ここにおきましても現在の司法関係について質疑應答をいたしまして、現状の事情を聽取いたした次第でございます。翌十四日岐阜刑務所を視察いたしまして、これ又種々の質疑應答がありまして、派遣の日程を終つた次第でございますが、派遣せられましたことろの目的は、各派遣委員の熱心なる御視察によりまして、十分徹底せられまして、その効果は至大なものであつたと確信しておるのであります。これら現状において把握せられましたところの種々の第一線の事情は、委員会において逐次表現せられ、実行に移されることと思いまして、立法の上において裨益するところ多大のもまがあつたことを御報告申上げまして、派遣の御報告に簡單ながら代えたいと存じます。  本日はこれを以て散会いたしたいと存じます。  明日は本会議終了後委員会を開くことにいたしたいと存じます。    午後三時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長            伊藤  修君    理事            鈴木 安孝君            松井 道夫君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            平野 成子君            水久保甚作君            鬼丸 義齊君            岡部  常君            松村眞一郎君            宮城タマヨ君            山下 義信君            阿竹齋次郎君            西田 天香君    衆議院議院運営    委員長     淺沼稻次郎君   政府委員    宮内府事務官    (内藏頭)   塚越 虎男君    司法事務官    (民事局長)  奧野 健一君    司法事務官    (刑事局長)  國宗  榮君