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1947-11-21 第1回国会 参議院 予算委員会 23号 公式Web版

  1. 公聽会 ―――――――――――――――― 昭和二十二年十一月二十一日(金曜 日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十二年度一般会計予算補正第  七号(昭和二十二年度予算追加案に  ついて)   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より公聽会を開会いたします。公述人のお方に申上げます。本日は御多忙のところを、本予算委員会のためにわざわざ御出席を賜りましたことを厚く御礼申上げます。案件は「昭和二十二年度予算追加案について」というのであります。公述を願いまする時間は二十五分でありまして、これに対する予算委員の質疑は五分間以内、これに対する御答辯も五分間以内としてお願いいたしたいと存じます。最初に東京大学教授の大内兵衞先生にお願いいたします。大内兵衞君。(拍手)
  3. 大内兵衞

    ○公述人(大内兵衞君) 私は去る十一日衆議院の予算委員会の席上で、今回の追加予算は日本財政始まつて以來の最も不健全なる予算であるということる証言いたしました。私は本席においてもほぼ同樣のことを申上げるつもりでありますが、本店におきましては、特に金融方面に目を注いで、この追加予算の実行においてインフレーシヨンはますます累加されるということ、その意味ではこれは極めて不健全なる金融予算であるということを述べて本予算委員諸君の御参考に供したいと存じます。  私は先ず衆議院で述べたことを簡單に述べます。第一に、歳出の面を見ますと、これは三つに分けることができます。第一は終戰処理費、賠償撤去費、公共事業費など計四百六十八億円、全支出の約五割、これは本年の財政支出でありまして、全消費的な性質を持つています。これを支出いたしましても、それによつて生産が上るというような性質のものではありません。この大部分は、インフレーシヨンによる物價騰貴に基いて必要となつたものであります。それから又これを支出いたしますというと、それだけ物價騰貴を是認して、それに從つて一般に物價が上る傾向を持つものであります。第二は、價格差補給金、貿易特別会計繰入金、船舶運営会補助金、復金出資金など合計二百六十億円、全支出の三割、これはすべて民間事業に対する補助金であります。この補助金は、民間で今までやつておる事業、又はこれからやる事業が物價騰貴その他の原因で赤字になつています。このままでは続けることができない。それを政府が助けてやるために支出するものであります。民間の損失を政府が税を取つて補つてやろうというのであります。インフレのために生じた不足を政府が補つてやれば、それだけ算盤に合わない事業が温存されるわけでありましてそれだけ資本が水膨れとなるわけであります。これが不健全なる信用を膨張させ、それによつて高い生産費の事業がいつまでも維持されることは明らかであります。それがインフレーシヨンの原因であることはいうまでもないところであります。第三は、鉄道通信両会計を初め政府の事業会計の赤字を埋めるために政府は一般会計から七十五億円を支出しようとしています。併し鉄道の会計の不足は二百億円以上を超えます。通信事業の赤字は百億円であります。こめ故に七十五億円の支出では赤字の一部の尻を拭うに過ぎないのでありまして、この尻を拭うてもこれらの会計は健全とはなりません。で大々的な借金をする外はありません。それからインフレーシヨンが起ることは必然であります。次に歳入の方面を見ます。それは直接税三百八十一億円、煙草專賣益金二百五十九億円、その他消費税二百億円、故に所有者税と大衆税との比はほぼ四対六であつて、明らかに大衆に重い。そうしてその大衆税はすべて直接に物価に響きますから、この方面からもインフレーシヨンは必至であります。  これを要するに、追加予算には生産的な支出は殆んどないのであるに拘わらず、その厖大なる支出は、どれを見ましてもインフレを起しそうであります。一方現在の生産状況を見ますると、日本の生産は現在大体停滯的であります。殊に生産資材、例えば鉄、石炭肥料、電気等のそれは非常に多額の補助金を注いで、必死の努力をしているにかかわらず、少しも伸びないのであつてむしろ減る危險が多いのであります。それ故に目下のところは勿論、近き將來においても生産状況が急によくなるというようなことはありません。そこで若し財政のバランスがたとえ均衡を得ていても、実際の支拂が收入に超過するようなことがありますならば、その支拂超過分は直ちに、即時にインフレの原因となるでありましよう。そこで本年度における財政の支拂超過の金額を計算して見ますると、実に寒心に堪えないものがあります。その第一は、租税收入が成績不良であるということ。税收入の今の情勢では、年度末までには或いは收入不足が数百億円に達するかも知れない。その二は、鉄道その他特別会計の公債や借入金の予算が七百六十六億円の巨額に上るということ。この大部分は今後において日銀の紙幣を以て賄われる外には大した方法はありません。その三は、復興金融金庫の貸出しの財源としての復興金融債券の発行予定高四百六十億円、これもその大部分は日銀の背負い込みでありましよう。第四は、地方財政の不足、それを填補するための起債百一億円、これも大部分日銀の背負い込みであります。これを合計いたしますと、年末までの財政資金の支拂超過となるものは、今まで資金の支拂超過となるものは、今までなん人も想像しなかつたほどの巨額で、或いは千七八百億円に上るのではないかと思われます。そうしてこれがインフレの直接の原因であります。かかる情勢よりして今年度末、即ち來年三月末の日銀券は何ほどに上るでありましよう。二千七八百億円は或いは確実であり、下手をすると三千億円となりはしないか。正に昨年度末の三倍に近いのであります。一方一般物債はどうであるかと申しまするに、九月には主食の配給が増加いたしましたため僅小の下落を示しましたが、十月はすでに騰貴の勢いを示しています。そうして今や主食を初め公定價格の引上げがあり又右のごとく消費税の引上げがあらうとするのに、生活必需品の配給は殆んど増加していない。そこで物価の騰貴は必然であります。無論千八百円ベースを維持することはできません。物件費も上るに相違ありません。そこで政府の豫算はどうなるか。無論このままでは実行できません。年度末までにもう一度追加豫算を出さねばなりません。その豫算が何ほどに上るであらうかは勿論私の計算し得るところではありませんが、それが今回の豫算より大きいものでないならば幸いであります。何故かならば昭和二十一年度豫算について考えても、昨年八月にはそれは五百六十億円であつた。それが七ケ月後の年度末にはほぼ倍となつた。本年度は四月には千百四十億円であつた。それが七ケ月後の十月には現に二千六十六億円となつている。ほぼ倍であります。この勢いを伸ばして計算いたしますならば、年度末に本年度豫算が三千億に止まるはずはないと私は考えています。して見れば本豫算は一應バランスが合つてはおりまするけれども、実は未曾有に大きい赤字を持つておる。勘定合つて銭足らない豫算であります。その足らない銭は不換紙幣で埋める豫算であります。本年度内においてさえ再び大々的な追加が必要となることはその当然の結果であります。こういう豫算を健全豫算と呼ぶことはなによりも大さい間違いであります。以上は私が過日衆議院において陳述した大要でありますが、この豫算の組み方の最大の缺点は、政府が一般会計の辻棲さへ合わしておけば、特別会計や復金を通じて、どんなに澤山日本銀行から紙幣を借りても構わんとしていることであります。この不都合はすべての特別会計、即ち食糧、貿易、通信、航海等々の会計についても一々述べなければならんことでありますが、ここでは簡單のために復金のことと鉄道のことを述べて見ようと思います。  先ず復金、復興金融金庫でありますが、この金庫の貸出しは月々巨額に達して、すでに今日までの融通総額は三百億円を突破して、そのために十月までに二百五十億円以上の復金債券を発行とています。而もこれでは尚不足だとして今後毎月五十億円くらいの貸付をする豫定であります。そこで政府はこれを援助するため、本年度豫算において六十億それに追加して四十億、合計百億円を一般会計から出資することにしております。偖てこの政府出資以外の数百億円を復金はどこから得るかというに、それは復金金融債券の先行によるものでおりますが、今までの経驗では復金債券は殆んど市中には賣れないのであります。そこで大部分は日銀に持ち込んで日銀から紙幣で借りておるのであります。そうして今後もこの点は変る見込みはありません。それ故に復金によるかかる金融は直接に大々的インフレーシヨンの原因であります。何故かというのに復金から借金をする事業はすべて独力では採算の取れない事業であります。それなればこそ復金の援助を得るのでありますが、仮りにその資金を借りた場合、その事業が豫定通りに興るものとしてもそう急には興らないことは勿論であります。それ故にこの金融によつてどしどし生産物が急に市場に現れてそれがインフレーシヨンを止めるというようなことは絶対にありません。一方借金をもつて会社がこれまでの赤字を埋めたり、新らしい資材や原料の投資のために使うことは多いと考えられます。それがいかように使われるにいたしましても、これらの資金が一度借手の手を離れますると、その大部分は市場における流通貨幣となつて容易に再び長期の生産資金とならないことは今日の金融の実情の下においては明らかであります。これは固より当然のことであります。何故かと申しますと、今日日本銀行が貸出す紙幣は平時とは違つたものでありまして、固より本当の資本ではありません。それは紙に印刷をした不換紙幣であります。故にこれを一度は資本として貸付けましても、資本の役をするはずがないのであつて、唯貨幣の役をするのであります。そこでこういう貸付が殖えれば殖える程社会の流通通貨は殖えるのであります、それに應じて資本の價値は却つて減少するのであります。そのことは全國の銀行のバランスを見れば分ります。即ち本年度に入りまして日本の通貨は倍になつておるにも拘わらず、銀行の預金は却つて減少しています。殊に定期預金がひどく減少しております。そうして貸出しが却つて殖えております。殊に担保付きの貸出しが殖えております。簡單に言えば資本は急激に減少しておるのであります。即ち復金を通じて出る日銀の紙幣はすべて流通上の紙幣となつてインフレーシヨンを起し物價を高めます。そこでこの勢いの下においては國民も会社も一日も早く資材や原料や食糧品やを買込まなくてはなりません。ストツクを作らなくてはなりません。そこですべての個人も、すべての会社も貯金や資金を食い潰して商品を買い込みます。そこで銀行には定期預金は集まらず、いわゆる自由預金は集つてもそれは大部分は当座預金でありますからこれは事業資金にはならないのであります。金融は益々逼迫するわけであります。要するに復金金融はその借金をする会社だけを潤しますが、これによつて個人も企業も銀行もすべて資金缺乏、現金不足に陷ります。この意味で復金による金融は有らゆる金融の中最も不健全なる金融であります。日本政府は戰時中興業銀行を通じ生産力拡充のためと称して、実に数百億円の事業金融をいたしました。そのためインフレーシヨンが大いに起つたこと、然るにそれによつて融通を受けた軍需会社その他の会社がその借金を殆んど返還しなかつたということ、そうしてその損失の大部分は國庫が、從つて納税者が負担したということ、これは生々しい事実であつて、我々國民のよく記憶するところであります。今日の復金金融の制度はこれとその方法が同一でないでしようか。又その理論がこれと同一ではないでしようか。そうして同じ日銀から貸付けられる銀行券の性質は今日の方が当時よりはより惡くなつておるのではないでしようか。そうしてその貸付けられる金額は戰時中より遥かに巨額なのではないでしようか。興業金融の大失敗を今日再び我々が繰返してよいものでありましようか。私は國民の一人として不安でなりません。仮りに何等かの理由によつてどうしてもあんな金融が必要でありといたしましても、それを私立の一銀行に任して置くということは議会の怠慢ではないかと考えます。今年の予算で復金に出資する百億円は國民の血の出るような税からできています。それが基金となつて更に他日何億円、何千億円の滯り貸しとなつて、その尻を再び國民が拭ぐわねばならんようなことになる危險がないでしようか。國民はこのことについては今度こそ議会に重大な責任があると思つております。  次に鉄道の話。鉄道会計は二本建であります。先ず事業收支では、本年度不足百十一億円、それでその不足を補うため五十億円を一般会計から繰入れます。他にも支出があるので、その繰入れをいたしましてもこの会計の不足は七十二億円であります。次に建設費会計の方は五十五億円、これも他にも入費があるので、不足は八十五億円であります。合計不足額百五十七億円、これを全部公債に仰ぐこととなつております。そうしてその大部分が日銀引受けの紙幣であることは申すまでもない。抑々鉄道が独立採算制でなくではならん、他の会計に迷惑を及してはならんということは、政府も認める通りであります。然るに現在の鉄道の会計のこの有樣は如何でありましよう。單に收益会計においてさえ收入が支出の三分の二しかないというのは全く滅茶な経済であります。これは戰時からの誤つたる経営精神が今日にまで続いているためではないでしようか。そうしてそれを改めないからではないでしようか。日本の鉄道運賃は戰前から專ら軍需資本、独占事業のために、より廣くは産業保護のために採算を無視して極めて低率に定められておりました。又戰時中軍事上の必要から鉄道は無理な仕事をするために、極めて多数の從業員が採用され、彼等にはいろいろの特権さえ與えられていました。終戰後二年の今日、最早その必要はないはずでありますが、然らば旅客賃金や貨物賃金やはすべて合理的に改定せられたでありましようか。大会社の大貨物が只のような料金で運ばれているようなことがないでしようか。鉄道のダイヤや業務経営上に少しも無駄がないでしようか。六十万人の職員が遊んでいる人は一人もないでしようか。國民にとつでは一々大いなる疑問であります。國民は煙草の値上をした金を鉄道に與えて、それで以て闇屋の運賃を安くしてやるということを不当と考えます又國民は紙幣を借りてインフレを起している赤字の鉄道に無用の旅客がパスを以て乘つていることを不当と考えます。  次に鉄道建設費の全部を公債に仰ぐという経理方式は全く誤謬であります。平時鉄道の收益に余りがあるとき、一般市場において募集した公債を以て鉄道を建設するということは勿論経営経済学上合理的でありますが、今日の公債というのはそういう民間資本ではありません。日本銀行の不換紙幣であります。又今日の鉄道は前述のごとく赤字でありますから、この公債の利子を拂うべき源泉は鉄道には文も、ないのであります。それ故に今日のやり方を以てすれば、建設費の全額がインフレーシヨンの原因となるのみではない。その借金の全部を國民が租税を負担して拂わねばならんという結果になるのであります。これは驚くべき独立採算制であります。今日日本にとつて最も恐るべきものはインフレーシヨンであります。然るに今回の予算の仕組では復金と鉄道特別会計の金融を通じただけでも千億円に近い不換紙幣がインフレートすることは右のごとくであります。そうしてこれは昨年までは左程でなかつたことであります。これによつて一般物價が騰貴することは必然であります。それにつれて我々個人も手許金を多く必要とするようになりますが、それよりも何よりも事業界がますます多くの流動資金を必要とするようになります。それにつれて多くの長期資金はますます不足いたします。そうなると金融界も亦もますます資金不足に悩み、一般に金融が逼迫いたします。そうなればますます多くの資金需要が復金や日銀に殺到せざるを得たい。そこで方政府は大いに貯蓄の奬励に努力するでありましようが、いかに努力してもかかる條件の下において本当の資金、即ち長期にして確実な貸付資金が金融機関に集まるというようなことはあり得ません。そこで日本銀行の恐るべき巨額の増発のみが残る方法となります。世の中にこれ程不健全な金融はない。そしてこれがこの追加予算の含んでいる本当の意味であります。要するに日本の金融はこの追加予算を契機といたしまして、急激に恐るべき段階に入らんとしております。この予算は國民にとつては出計費の層増大を示す赤信号でありまして、我々はその前に慓えております。この際不健全にして不合理な民間の事業や政府の事業に、政府が國民の血の出るような金を文でもやらないように、それを十分嚴格に監視し、監督することを國民はこの議会に期待していると私は思います。
  4. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 御質疑はございませんか。
  5. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今大内先生のいろいろ有益なる御意見を拜聽いたしましたが、私は簡單に先生に御質問したいと思います。只今復金のことに関してお話がありましたが、現在のようであるならば、復金が第三の興業銀行というような結末に終りはしないか、又大きな資金が國民の血の出るような負担である。そういうようなお話で、ありましたが、私もさように考えるのであります。今日復金の資金というものは御承知の通り重点産業に毎四半期毎、殊に石炭とか、肥料等には非常な数億の金が出ており、又今日の産業界の資金はまだまだ復金から出して欲しいというやうな産業界の大中小の資金を要するものが非常にあるのでありますが、復金を初め各民間金融機関も自制してこれをなかなか出さん。そうして今非常に不景気のような状況が見られております。もつと産業界の資金を潤沢に出して欲しいという声も非常に大きいのでありますが、然らば復金の貸出を適当でないとするならば、そういうふうな今日の産業界の資金はどういうふうな方面から出すのが適当であるか、又これを出すにあらざれば、今日は正当なる生産者に余り資金がなく、資金はむしろ闇階級に独占せられておるというような状況が顯著でありますが、健全なる生産を起す資金をどういう方面から求めたらよいか、こういう点を先生から率直に承わりたいと考えるのであります。  又復金に対しまして政府は非常に出資金を要するのであります。又その毎四半期毎の出資金の財源として復金債劵を出しておりますが、今お話の通り殆んど日本銀行の背負込である。又そういうような財源に対して今日國民は信用しておらん。又いつ一片の紙になるかも知れん、こういうような無性が非常に強いので、議会におきましても大藏大臣からいろいろ答弁がありますが、復金債券の消化という点についても我々はどうも納得がいかないのであります。例えば今日の復金を健全に活用するとしたときに例えば復金債劵等をどういうふうにしたならば、市場で十分に消化ができるか、又復金の在り方についてもどうしたらよい、こういうような点につきまして先生から率直に御意見を伺いたいと考えます。
  6. 大内兵衞

    ○公述人(大内兵衞君) お答えいたします。私が申上げます趣旨は、復金のような金融方法によつて産業を保護するという形式ではますます金融を詰らせるだけである。それはその事業には金は廻りますけれども、日本全体の金融を行詰らせて、どこの方面においてもますます金がなくなるようなことになるということを今申上げたわけであります。それ故に第二の御質問でありました、つまりどこに外の方法によつて金が余計できるかということは、金が余計出來るという方法は別にはないわけでありまして、金は人工的には資金はできないのでありまして、資本は、人間が過去において蓄積した労働の結果積つたもの、それ以外のことによつてはできないのであります。若しそれを人爲的に作るというと、必らず今のような結果を生するからできないのであります。ですから別に新たに金融を沢山に作るということができないということを考え、即ち日本の資本には限度があるということを考えることが先ず第に重要だと存じます。  それから第二に今の復金のような制度を、仮りにどうしても必要ありとするならば、その弊害を最少限度にするには如何にすべきかという問題ならば、それは最も國民的なる、國民の承認するような事業に限つて、公けの場において決まつた事業に限つてのみ金を出すという方法が講ぜられなけれならんと存じます。例えて申しますならば、日本に若し一般的長期生産復興の生産計画があつて、そうしてそれが公けのプログラムであつて、それに対して國民の代表たる諸君のごとき人が嚴格なる統制或いは監視の機関を以て金融の許可をした上において、その実化のみを私設の金融に任すというのであれば、國民は幾らか納得するのではないかと存じます。即ち一私立会社たる銀行において、何等政治的な監督を受けないのに拘わらず、他日國民が租税を以て賠償しなければならんような巨額な金が自由に流れ出ておるということは、國家の制度としては恐るべきことであるというのが私の考であります。
  7. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は日本銀行副総裁、川北禎が氏にお願いいたします。川北禎一君、
  8. 川北禎一

    ○公述人(川北禎一君) 御紹介に頂かりました日本銀行の川北であります。最近上程になりました追加予算について考えることを申上げろ、こういうことで伺いましたのでありますが、追加予算につきましては、皆樣方での方がむしろ御專門家でございます。でありますので、私といたしましては一應の感想を申上げさして頂きたい、後これが通貨、金融或いはインフレーシヨンに及ぼします影響につきまして簡單にお話申上げたい、こういうふうに考えます。今回のこの追加予算でございますが、政府が千百億にも上つておりました当初の要求に対しまして、これを削減して、歳出を九百二十億、歳入を九百六十九億に圧縮して四十九億円の歳入超過を計上して、当初予算の赤字を消すと、こういうことをせられた。又鉄道通信両会計の赤字を、一般会計から七十五億円の繰入を行うと、そういうことをせられて、この收支均衡の追加予算を編成されたということに対しては、私どもも敬意を表しておる次第でございます。一般予算といたしまして、こういう予算が組まれましたことは形式的に申しますと、満洲事変以來曾つてない現象であるのであります。併しながらこの補正予算と当初予算とを合計いたしまして考えますのに、二千億以上の歳出入になり、而も計数上は均衝を得ておりますけれども、その他に特別会計として六百八十八億、地方財政に百億、合計約七百九十億円の赤字は別に見込まれておるのであります。この点におきまして一般会計、特別会計を合せて考えますれば、今回の予算は依然として大きな赤字予算であるということが言える。而もこの総予算が我が國の経済実力に比べまして相当過重であるということが、國民所得に比較いたしましても、或いは今の物價高による生活難、從つて税を納めます力が非常に弱い点等から申しましても過重であるということが一般に言われております。私もその通りであろうと思います。從つてこの形式的に均衡を得ております予算が、果して実行上眞に收支均衡を実現し得るや否やということに対して、私どもは極めて疑問を持つておる次第でございます。  先ず歳出面でございますが、最大の項目は御承知の通り終戰処理費四百十二億円、追加予算におきましんは四四%を占めております。本予算を合わせすると、その比率は三三%でございます。今本年を四月から九月の間の國庫現計によりますれば、この終戰処理費の総歳出に占めます割合は三八%を占めております。即ちこの支拂進捗度と申しますか、この終戰処理費の支拂が遅れておるとは申しますが、他の予算から見ますと、相当支出も進出しておると言い得るのであります。これを前大戰後のドイツの場合に比べて見ますと、一九二二年のドイツの予算、インフレーシヨン爆発前の豫算でございますが、賠償費が三六%九を占めております。この三三%という日本の終戰処理費の数字はこれより低うございますけれども、假りに四月から九月までの現計を取つて見ますれば、殆んどこれに匹敵しておるという状態であります。如何に我が國の財政上大きな負担であるかということを私どもは痛感しております。これは併し我が國敗戰の当然の負担とも言えるのでありまして、これらの終戰処理費の負担を免れようということを考えるわけではございませんが、財政上確実に把握し得る財源の範囲内にその豫算が制約せられること、一面これに見合う建設資材の輸入と、聯合國当局の理解ある援助とを要請すべきだと考えております。尚細かいことでございますが、この終戰処理費の追加豫算について感じますことは、先般発表せられました司令部の指令によつて、全部公定價格によつて支拂われる建前でこの予算が組まれておる数字であると私どもは推測いたしております。併しこれは現実の問題とといたしまして、納期、規格をやかましく言われてこの建設をいたします場合に、果してこの公定價格によつて政府の支拂いが嚴守されるや否や、そこに予算の不足が來ないかどうかということにこれ亦疑問を持つ次第でございます。  次に歳出の一般項目についてここには申上げませんが、経済再建に直接役立つ支拂いが極めて少ない。給與改善費その他の人件費的性格のものが非常に多いということを私どもは感じます。餘談でございますが、民間の賃金水準と官公吏のその間には多少の開きがあります現在、官公吏の待遇改善は必要であると私どもも考えますけれども、一面においで官職機構の整備簡素化或いは官職の職員の配置轉換、餘剩人員の整理或いは官僚の能率化或いは一般官僚の能率化という点にもつと配慮が行われ少くとも本豫算の実質的な均衡を得さしますためにこの豫算提出に際して、一面において行政機構の整理というものが取上げらるべきであると考えるのであります。それから第三に歳出について申上げたいことは、この予算におきまして本来財政で負担さるべき分が、金融面に負担せしめられておる分が多いということであります。先程もお話が出ておりました復金の関係でございますが、今國の豫算で出資金が四十億、当初のものと合せて百億でございますが、同金庫は現在五百五十億の資本金を持つておりまして、その範囲内において金庫債劵が発行し得ることになります。すでに三百三十億の債劵発行をいたしております。これらは結局一般金融界並びに日本銀行引受となつて通貨の増発の原因となつておるわけで、あります。当然これは政府の財源によつて拂い込まるべきものであるのでありますが、それを財源の関係で拂い込みを少額に止めて、これを債劵で以て金融界に賄わしておる、こういう状態でございます。而もその金融の実体は先程もお話が出ておるようでございましたが、政府補償を必要とするような資金が可なり多い、こういう実情になつております。尚この租税徴收の関係のずれでございます。これは後からもちよつと申しますが、歳入歳出の時期的のギヤツプを金融機関に、或いは日本銀行に相当高く負わされておる、のち程これは数字を以て御説明申上げた方がよろしいかと思います。それから日本銀行といたしましては、特別会計、鉄道、通信は七十五億円の繰入によつて損益勘定の收支は一應一般会計の補填によつて均衡を得ることになりましたが、建設勘定の赤字とこれが補正予算におきましても二百九十四億でございまして、当初豫算と合せますと六百八十八億になつております。これが國債の発行となり、日本銀行の借入となつて、又通貨増発の原因となつております。地方財政につきましても同じことでございます。次にこの歳入の面につきまして感じますことを申上げまするに、これもお話が出たかと思いますが、租税、印紙税百三十億の徴收を見積りされておりますが、果してこの予算だけの租税徴收が可能であるかどうかという点でございます。本年四月から十月までの租税の実収高を調べて見ますと、三百二十億であります。一ケ月平均四十五億円であります。そういたしますと、今後来年の四月まで六ケ月間に残りの千億というものを徴收しなければならん。月平均百七十億になります。現在の情勢から見てこれは極めて困難であると私どもは見ております。仮りにこの租税徴收を強行いたすといたしますれば、これは産業或いは國民生活資金を極度に屋迫することになりはしないか、或いは又物價騰貴によつて予定額の收入を得るかも知れませんがこれは在來インフレーシヨン過程におきましては、自然増收がインフレーシヨンてよつて得られる、それで予定の歳入額を確保しておるかに見えますが、一面におきましてこの場合には歳出の不足を來たすのでありまして、結局又追加歳出を必要とすることになりはしないが、こういうふうに考えるのであります。  次に先程申しました歳入が取れるといたしましても、歳出入の時期的のずれでございます、これが経済界に及ぼす影響を見逃してはならん。即ち一般会計におきましては、十月までに六十二億の大藏省証劵を発行しております。が、今回大藏省証劵を限度百五十億から四百億に拡張せられることになつておると聞いておりますがこれは恐らくこの歳入出の時期的ずれを調節される目的である、現在のような経済の情勢の下におきましては、歳入一が歳出に遅れるということはある程度認めるのでありますけれども、この歳出が歳入に先行する、歳入が歳出に遅れる、こういうことはインフレーシヨンを促進する原因になるのであります。つまり先に歳出が出まして、そこに大きな政府の撒布資金の超過がございます。それによつて物價は現実に騰貴して行くのであります。後日租税によつて資金を徴收いたしましても一度騰貴した物價をそれによつて引下げることは困難である。この意味を以ちまして、どうしても歳出と歳入とをでき得る限り時期的のバランスを取る、こういうことが必要であると思うのでありますが、これ又後ほど申します徴税機構その他において、歳入の徴收が歳出の支出に伴わないという現状をなかなか打開しにくいと思う、こういう状態でありますならばこの一時的ずれで補充する目的で出しました大藏省証劵というものが年度末になりまして、償還困難で年度を越すということになり、実質的に赤字になるのではないかという懸念をさえいたすのであります、この和が取れませんということに関係してでございますが、これ又余談でございますが、現在の申告納税制度、こういうものに非常に私どもは疑念を持つておるのであります、これは関係方面の慫慂もあつたことと思いますけれども、アメリカのような豊かな國で、民衆の教養の水準の高い國におきましては、これは理想的な制度でありますが、我が國の現状では著しく不適当なもをのであると考えるのであります。この際は、むしろ税務署の職権は十分に発揮する必要がある、尚現在の徴税技術通貨價値の比較安定しておりました時代そのままのものを踏襲しておるかに思われるのであります。新税も結構でございますけれども、この徴租機構或いは徴租方法というものを、この際再検討されまして、徴税の確保を図られるということが必要である、特にインフレ利得者の脱税、これを重点的に取締ることに力を盡されるということが必要ではないかと思うのであります。  歳入につきまして次の点でございますが、租税收入の中に、酒の税が九十七億、物品税が四十五億、入場税が四十億、間接税の占めます割合が非常に高いのであります、これに煙草を加えます。煙草による官業收入の増加を加えますと、追加予算の新物價体系、或いは新賃金水準に及ぼす影響が極めて大であるということを私どもは感じます。煙草の値上げも非常に問題でございましたが、政府とせられては煙草は生活必需品ではない、むしろ消費を節約すべきだという見解の下に、煙草の値上げを決定せられました。理論上はその通りでございますが、御承知の通り、実際上は、煙草は民衆に取りまて種の物價指数に代るような闇値の標準である。日傭人夫などは自分の賃金が煙草幾箱に当るかというふうにて勘定しおるという実情でございますので、賃金水準の騰貴、それを通じて更に物價の引上を刺戟する、通貨の増発、インフレーシヨンの昂進ということに影響のないということはいえないと考えるのであります。  これを要するに、追加予算は形式上健全財政を実現された形になつておりますけれども、幾多の難点を包含しておる。日本銀行劵の増加傾向をこの財政の面から阻止することは、今回の追加予算或いは当初予算を合せました今年度の予算から見まして極めて困難であると考えるのであります。  次に通貨金融の面、つまり日本銀行の面から財政の膨脹財政の赤字を少しく検討してみたいと思います。大体本年度つまり四月から最近までの情勢を申上げますが、四月から六月頃までは月平均いたしまして政府の資金の撒布超過、つまり日本銀行の資金で以て賄いました赤字でございますが、これは特別会計の赤字もございます。一般会計は一應バランスしておりますが、先程申しました時期的なずれがございます。これを大藏証劵で賄つておる、この二つの点がございます。それが政府の資金の不足、民間から申しますと政府資金の撒布の超過になる、その資金は日本銀行の信用で出ておる、こういうものでございます。それが極く簡單に申しますと、四月から六月の第一・四年期は平均しまして月々四十億ずつ日本銀行の金が出ておりました。それが七月から九月までは平均いたしまして七十三億ずつ毎月出ております。第・四半期、第二・四半期においてすでにそのように違つております。更に後程申しますが、第三・四半期、第四・四中期になりますとこの数字が非常に大きくなるように考えます。第三・四半期この十月から、十二月の三ケ月の間には大体百十三億月平均に出るという見透しを私どもはいたしております。これは政府の関係だけでございます。本年の四月から十月までの七ケ月間日本銀行の銀行劵膨脹の原因を、政府、民間或いは政府の資金の内訳等につきまして申上げて見ますれば、この間銀行劵は七ケ月間に五百十八億膨脹しておりますが、その中で政府の資金で膨脹いたしましたと見られるものが四百二十七億でありまして、約八割余を占めます。その政府の四百二十七億の資金の内訳を見ますと、特別会計で二百四十一億になつております。國鉄が九十五億、食糧関係が七十億、貿易関係が七十五億、こういう数字になつております。それから終戰処理費その他の支出を合せまして六百十六億でございます。一方において税その他でそれが四百億落ちますので、差引きいたしまして約百六十億というものがいわゆる大蔵省証劵的に賄われております政府の一般資金であります。つまり大難把に申しまして特別会計で二百四十億、一般会計で百六十億、こういつた数字になつております。それから民間の資金は僅かに九十二億、百億に足りません。一般銀行の貸出は百六十億減少し、復興金融金庫の債劵を引受けておりますのが二百三十六億……。
  9. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 今本会議で採決に入るそうですから、約五、六分の間休憩いたしたいと存じます。    午前十一時三十五分休憩    ―――――・―――――    午後一時十八分開会
  10. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。午前に引続いで、最初に労働総同盟副主事高野実さんにお願いたします。高野実君。
  11. 高野実

    ○公述人(高野実君) 総同盟の高野実であります。労働組合の立場から今回の追加豫算について若干の意見を述べさせて頂きます。今度の豫算の大綱的な批判につきましては大内さん初め、各権威者が十分に御披瀝のことと思いますので、私は労働者の立場から二三の点について是非当局者の御考慮を願い、且全國民の関心を寄せらるべき点を申上げて見たいと存じます。  今日労働者の生活はますます苦境に陷つております。政府が新物價体系を作りまして労働者の生産活動に應じて労働者の実質的生活向上の途を作つたのでありますが、この半歳近い時間の間にインフレーシヨンはどしどし進行しまして、その結果却つて生産の停滯を來たす沢山の部面が現われて参りまして、通貨の膨脹に比べて物價の高騰は甚だしく進行して、そのために労働者の生活水準はとみに引下げられて参りました。安本の発表いたしまする計画配給と実質配給との間の開きも、日を逐うて甚だしい鋏型になつて参りまして、そのために労働者の実質生活は見透しがない暗黒な状態に進むことが明らかになつて参りました。このような困難な事情を前にしてこの度作られました追加豫算の根本をなす観念は、大衆課税に置かれて、大衆生活の困難を他所に見て、取り易い方面から徴税をするという態度が一貫されております。別けても労働者のただ一つの慰安であつた煙草や酒に重税をかけて、これからのものから多額の徴税を期待しておるというような、そういうやり方では労働大衆が如何に政府に協力して國家の生産増強運動に勵もうと考えましても、こういう卑近な事実によつて労働者はそつぽを向くことに相成ります。煙草の配給のみならず酒についても、たとえ嗜好品でありましても労働者が渾身の力をこめて働く際には、一杯の濁酒でも貰いたいと考えることは当然でありまして、こういふ部面に政府が徴税の方法をますます深めて行くという事柄では、私どもが與黨的労働組合の立場を以て労働運動を行いましても、労働者の信任を贏ち得る政府の施策とはならないのであります。却つて生産をサボタージユし、或いは反政府的な行動を取る、敢て左樣な方針を取つて経済不安を長引かせようとする一部の勢力に引きずられる危險をさえ感ずるのであります。更に今回の予算は経済政策において積極的な方面が殆んど見られない。今日の経済危局を乘り切りますには、当然長期計画の上に立つて緊急的措置の幾多の政策を取らなければならんのでありますが、さような立場における積極的な経済政策を殆んど含んでいない。勿論今回の予算は追加豫算でありまするけれども、併しながら片山政府が成立しましてから提出される最初の予算でありまして、この豫算の中には社会党を中心とする経済政策が色濃く現われなければ、勤労大衆の支持を得ることは不可能であります。私どもが今春、経済復興会議を組織いたしまして、廣く財界人並びに労働者の協同機関によつて経済の復興を図り、生産の増強をはかるべく試み、更に当面する種々なる経済政策について建設的な案を提出して参りましたが、それらの政策についても殆んど取上げるものがなく、予算の面には全く影さえ見ることがありません。本日の日本経済新聞によりますと、肥料の点でも、鉄鋼の点でも、恐ろしく生産の低下が現われて、前途を危まれておりますが、その主要な原因が電力にあることは申すまでもないと述べております。私どもは本年四月の初めから電力危機を叫んで参りまして、七月の上旬には、向う十年間に二千万キロの電源開発を目標とする具体的な電源開発案を提出し、且緊急の電力飢饉に対する政策を樹立いたしまして、政府にも安本にも提出いたしました。私どもは今日あるを知つてますます今後の電力飢饉による経済の破壞、日本國家の危殆を憂えなければならない事情に相成りました。こういうことは、すでに片山政府ができた当初から明らかに知ることのできた事柄でありまするが、こういう面においても全く何らの施策がない、僅か十数日前、商工省の電力局から人がお見えになつて当面の電力飢饉に対する対策について、一切を経済復興会議に任せるから、何とかやつて貰ひたいということがありましたが、事ここに至つて初めて経済復興会議に助力を求められましても、無論努力はいたしまするが、何分の打開ができるであろうかを心配せざるを得ません。又さような責任を私ども民間人の團体が背負うことは不可能だとお答えする以外にはございません。その他当当する生活必需物資の増産並びに配給の面におきましても政府は今度の予算の面において全くこれらのものを除外しております。若し政府が新物價体系を死守しようとし、又その死守を國民の犠牲的精神に訴えて守らせて行こうとするならば、当然予算の中に新物價体系を守りうるような、さような生活必需物資の増産計画や或いは配給機構の改善などについての費目を含まなければならぬと存じまするが、これらの問題についても全く顧みられていないのであります。こういうふうに積極的な生産面においてはなんらの施策がない。予算によつては勤労大衆はこの予算を作る政府に対して信頼を傾けてついて行くことができないようなむずかしい事柄になつております。私どもは予算の費目一々について批判をいたすことは差し控えますが、特に政府が、予算の提出を数ケ月間遅らした主なる理由として、終戰処理費の削減を挙げておりますが、私どもは労働階級の立場から終戰処理費はこれを一般予算と切り離してそれらの内容を國民の前に明らかにして貰いたいと考えます。我々は戰爭中厖大なる軍事費によつて大いに苦しんだのでありますが、これは日本の軍閥や、財閥や、官僚の手によつて行われる戰爭の費用でありました。今回の終戰処理費は日本の政治を民主化し、眞に新らしき民主國家を建設するための重要な費目に属するものでありまするから、かような費目については敗戰國民たる日本の一人々々の国民がよく納得するようにその費目を明らかにし、敗戰の冷嚴なる事実を國民に示すべきだと考えます。かような性質を持つた終戰処理費を何か臭いものに蓋をするような態度でこれを明らかにせず、一般会計の中に繰入れたまま年月を閲するということは、これは決して日本の再起のためによろしいことではないと考えます。私は特に政府が行うべき徴税の対象について二、三の点を申上げます。政府は今回の予算では、主として大衆課税にこれを求めましたが、私どもの考えでは、政府が大衆課税に手をつけませんでも、むしろ大衆課税を一つ一つ引き去りましても、十分の財源を持つておるのではないかと考えます。私は財源の第一として特殊物件の拂下げに対して課税をなすべきである。聯合軍の指示を得て拂下げられた諾物件は、昨年の十一月において、およそ千四百億円を超えておりまするが、これらの約四割強のものは土木建築資材として使われ、それぞれの事業会社の手に入つておりまするが、これらの物件が極めて安い價格で支拂われたということは明らかであります。これらの物の中、特に例を挙げまするならば、例えば四トン積みのトラツクを三千円で拂下げておる事実がございます。今日新マル公によつて十七万円になつておりますトラツクが三千円で拂下げられておるという事実に鑑みましても、これらの千四百億を超える物資の拂下けが、およそどの水準において安く支拂われたかということは明らかであります。又鉄板一枚にいたしましても、マル公を割つて拂下げるために、その角をちよつと落すならば、その鉄板は幾らでも安く拂下げますことができますし、塩水を掛ければ、塩破りとして飛んでもない安い値段で拂下げることもできるのでありまして、かような手順がそれぞれ事業家の懷ろを特別に肥しておることが明らかであります。又私ども労働組合の者が、実際に立会つた例によりますと、六尺の旋盤を一台拂下げを受けましても、その時にモーターや同軸板をも一緒に持つて來るというような沢山の事実も数えられておりますが、それらの不正行爲は別といたしましても、この千四百億円を超える物資に対しては、その倍額なり三倍額なりの新たな課税をすることは不当ではないと存じます。兵器処理委員会の処理しておつた物件についても、それぞれかようなことが申上げられると思います。日本鋼管を委員長としたこの兵器処理委員会の資材の処置についは、私も中央物資活用委員の一人としまして、精細に調査をして、おります。とにかくこれらの拂下げ物件によつて得た厖大な資産を、この際大幅に徴税することが必要だと考えます。  第二には、新円階級の闇利得についてでございますが、私は三井物産や三菱商事がそれぞれ解散なりまして、今その解散手続が進行中だと傳えられますが、それらの社員の人々が、それぞれ三人寄り五人寄りして、新たなる商事会社を起しつつあるという新聞記事を見ましたときに、特に強く感じたのでありますが、先ず商事会社を全國的に登録して、これらの商事会社に大幅の課税をなすべきである。又商事会社新設を禁止すべきであると考えます。そうしてこれらの既設の商事会社の出資を何人が行つたか。その出資の組織のなり個なりに対して車税を課する必要がある。高率の課税をなすことが、必要である。そうしてそれは可能である。又新築の家屋にして住宅として三十坪以上の家屋を造つた者、或いは買入れた者については新たなる課税を行つてよろしいのであるし、又課税を行うことはできる。マーケツトの建設者についても同樣である。ビルデイングの修築によつて莫大な保証金を取つておるのであるから、ビルデイングの所有者に対しても特別な新税を課することは当然であるし、又取ることができる。統制品でない商品を費つておる商店に対して間口税を課することが必要であるし、それは又徴税することができる。かように考えております。又若し必要であるならばそうして十分な用意を持つてするならば、法人の財産評價益税を取ることはできる。旧資本の会社は設備その他が著しく安く評價されておるのでありまするから、資本の割合も不当に安いのでありまするから、これらの法人の財産について新たなる評價益の税金をかけることは必要であるし、又それは可能である。更に若し新規の税源を求めれば、甘味料のごときものは進んで統制をなして、これらの物に課税することが必要である。又それは可能である。かうように考えます。かような方面に徴税の対象を求むるならば、國家はなにを苦しんでか大衆税を対象とする必要はない。かように考えます。又若しこういう課税対象を作りまして、どしどし徴税をいたしまするならばなにを苦しんでか全逓その他の官公吏の賃金、給料について消極的な態度を執る必要があるのか。下級出官吏が今日食えないといつて騒いでおるが、政府もその食えない実状をよくよく知りながら、尚その給與をよくすることが困難である理由の最大のものは、いろいろな政治的折衝ではなくして、実に課税の対象を私が申上げるような、さようなものに求めないところにあるのではないか。政府がかような消極的な態度を執つておる限り、官吏の涜職などについて十分に取締ることはできないし、又官僚主義を匡正することもできないのではないか。最近税務署関係の官吏諸君が頻りに辞表を提出することによつてデモンストレーシヨンを行つておるが、私は労働組合の立場から、全財の諸君がかような戰術に出ておることについて甚だ了解に苦しむものがありますが、そうしてこれらの運動は全く小ブルジヨア的な態度であつて、好ましくないと存じまするが、而も尚税務官吏諸君の俸給が甚だ低くて、総平均が九百円であるとか九百五十円であるというような、そういう低額を以て遇されておることは、これは甚だ遺憾なことである。そうして政府は速やかにこれらの俸給賃金の引上げを行うべきである。直接金銭と連がり財産と連がる事務を執つておる多数の税務官吏に対して、それぞれの生活を保障するこがない限りは、税務官吏の不正行爲を十分に清掃する途はないのではないか、かように考えております。無論私どもは社会不安を長引かす目的を以てデモストレーシヨンを行う者があるとするならば、さような者に対しては政府は断乎たる態度を以て臨むべきである。そうして早急に税務関係事務の再確立をなすべきであるとは存じまするが、政府が根本的な政策として官公吏の賃金給與を、現在の物價水準において立ち行くように、積極的施策を講ずるということが必要だと考えます。私どもは、社会党が中心になつて政府を構成し、社会党の信用において労働階級が政府に協力しておるという今日までの條件を、十分によく認識されて、今回の予算に現われたような缺陷を速やかに拂試して、労働皆級が主張するような新たなる徴税対象を確立し、又徴税の手段として物價廳が評價益金を調査したり徴收したりするというような、そういうことではなくて、全國に網をめぐらしておる税務署によつてこれらの事業をも遂行して、隈なく徴税を完了し、そうしてその事業の完遂を見透した上で、官公吏の待遇をも改善をして貰いたいと考えます。又かような徴税方法をとつてこそ、徴税の実を挙げてこそ、社会党が主張して参りました諸種の経済再建計画案も実現する見込がありまするし、それによつて勤労大衆は政府と協力して日本の経済の再建を図ることがきようと存じます。政府はさような大きな見透しを以て今回の追加予算をも十分に檢討し、又來るべき本予算をも、さような観点に立つて立案せられることを特に望む次第であります。
  12. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。午前中の本会議のために、公聽会を開く時間が非常に少くなりましたので、質疑はこれをしないことにいたして、次の公述者に公述を願いたいと存じます。次は三菱重工業株式会社取締役加藤戒三氏にお願いいたします。加藤戒三君。
  13. 加藤戒三

    ○公述人(加藤戒三君) 御紹介に與かりました加藤でございます。私、財政の方面につきましては誠に素人でございまして、大した御参考になることもないと思うのでありまするが、二、三民間の企業に携わつておる者として考えましたことを申上げたいと思います。  今回の予算は大藏大臣のお話の通り健全財政ということで收支のバランスは数字上においてとられておりまして、私たちといたしまして、國民の一人といたしましても結構な予算だと思うのであります。併しここに問題となりまするのは、この收支の予算が果して実行できるかどうかという点におきまして私が思つておりまするところは、第一がこの追加予算はいわゆる新物價体制による千八百円ベースの賃金による物價を基礎として立てられたという点にございますので、これは非常に政府当局の努力によりましてこの千八百円賃金ベースを守られることと思うのでありまするが、すでに最近の中労委員の調停案といたしまして全逓の賃金問題において赤字の補填をしなければならないというような調停案が出たと新聞に出ております。あの一事はこの千八百円賃金ベースというものが守られないという結果に基く、こういうふうに思うのであります。この場合仮りに、政府がこれに対して赤字補填の給與を提供するということになりました場合は、この今回の予算は実行できないことになるのではないか、こういうふうに考えられます。それでこれも亦我々民間の企業に携わつておる者から見すれば、仮りに政府の方で追加予算なり、何なりで給與を出したとしますと、これは必らず民間企業におきましても、その程度の赤字補填は出さなければならないことになると思うのであります。でその場合若し現在組まれました予算をそのまま実行いたしますとすれば、民間の企業において生産いたしました物資、或いは生産物、或いは加工、そうした物がマル公を似て政府の実行予算に入つて行く、こういうことになりますと、それだけ民間企業において支出いたしました赤字補填の給與というものは、結局民間の企業が背負い込むということになることは明らかなことであります。然るに現在の民間の企業と申しますると、殆んど赤字の企業が多いと思うのであります。重大な産業である石炭におきましても、すでに掘れば掘る程赤字が出て行く。こういうような状況でありまして、況してこのマル公のない、ないと申しますか、或いはまだマル公が決まつていないというような生産品を作つておるというような所におきましては、いよいよ赤字が殖えて参ると思うのであります。こうなつた場合それはどういうことになるかと言いますと、結局民間の企業というものが成立たないことになる。それでどうしてもこれはこの民間企業に対する製品の購入價格を政府としては上げて貰わなければいけないということになると思うのであります。この点につきましてはこれは單に一例でありまするが、芋にこの給與の面についても千八百円ベースというものが保てないじやないかというような疑問を抱いておるわけであります。  次に私の考えております点は、今回の予算におきまして、行政整理の費用というものが表向きには見当らないように思うのであります。民間企業におきましては、終戰直後非常な整理をいたしております。特に戰爭の末期におきましては、あらゆる企業を挙げて航空機の生産に從事したわけであります。あの当時のことを御記憶の皆さまは御承知と思うのでありますが、何も彼も挙げて航空機一色に塗られたわけであります、ところが日本の産業の大部分の航空機というものは要らなくなりまして、この航空機事業というものの轉換につきましては、非常に企業といたしまして犠牲を拂つたわけであります。併しこれの整理も一應はやりましても尚この事業の轉換ということは非常に大きな問題でありまして、到底半年や一年では完全なものとするわけには行かないわけであります。特に企業の一番大切なことは量的生産であります。大量生産をするということにつきましては、技術的の面からも、施設の面からもすべての点において、これだけのものをアレンジするということは非常にむづかしい問題でありまして、簡單には行くものではない、これには少くとも一年乃至二年の時日が要るわけであります。而もあの爆撃によりまして日本の産業設備というものは殆んど片輪になりまして満足のものはないと思うのであります。それで民間企業は、そういうわけでいろいろの苦労をいたしておりますのですが、政府の当局におきましては、終戰後行政整理ということについては余り私たち耳にしてはおりません。日本の政府の行政的の仕事も非常に多いこととは思うのでありまするが、戰爭中と戰爭以後とはそこに仕事の量においても或る程度の違いがあるんじやないかと思うのであります。我々の経驗しましたところからいたしましても、戰爭中と同じだけのものが要るだろうかというかうふう考えられるのであります。この点につきましても結局支出の面における行政費が相当多いのじやないかというふうに我々素人目から見て考えられるわけであります。  その次にこの予算の点から申しますと、收支のことでありまするが、これだけの厖大な支出に対しまして收入の面でございまするが、この收入は大部分租税を以て賄つて行くということになつておりまするが、その粗税につきまして二、三感じましたところを申上げますと、今度の租税の中で新らしく設けられまする非戰災者家屋税及び非戰災者でありまするが、これは收支のバランスのためには是非とも設けなければならない税金だと思うのであります。併し我々といたしましてはこうした財産税的のものは二回、三回と繰返すべきものではないと思うのであります。財産税は一回限りということでこの前徴税されたはずでありまするが、引続きここに又同じような非戰災者家屋税並びに非戰災者税というものが出て來たわけであります。これは先ず止むを得ないといたしましても、これの運用につきましては余程愼重な考慮を要するのじやないかと思うのでありすす。第一非戰災者であるかどうかという点において大きな疑問場があると思うのであります。それから家屋等につきましても、これは個人と法人との間に大きな違いがあると思うのであります。法人の家屋と申しますると全然使つておらないというものが相当あるわけであります。それから例えば使つておりましても賠償指定の設備というものを格納するだけの家屋である、こういうものもあるわけであります。こうしたもの及び、個人及び法人におきましてもそうでありまするが、最近に、及び戰爭末期頃からできました家屋につきましては大部分のものは賃貸價格というものが決定しておらないように思うのであります。特に法人の持つておりまする家屋におきましては賃貸價格の決まつておらんものが相当ございます。こうしたものにつきまして賃貸價格の何倍というような税率をかけるということは非常にむずかしいと思うのであります。仮りに賃貸價格が早く決められるといたしましても、その賃貸價格が非常に公平を期するのにむずかしいと思われます。こういう点につきましては運用上において十分の考慮を要すると思います。  尚法人におきまして特に考慮を要すべき点と思われまするのは、特経会社而も資本金の九割を切捨て、そうして尚外國負債の切捨てまでするというようなそういう会社におきましては、こうした非戰災者税というようなものは非常な社会的の影響を及ぼすことと思われるのであります。そういうことはこの税金はどうせ特別損失となりまして、又特別損失の切捨てを増加するということになるわけであります。これによりまして銀行預金の切捨ても殖えるのではないかと、こういうふうに考えられます。そういう点につきまして十分なる御考慮を願われたいと思うのであります。  次に勤労所得税の問題でございまするが、この勤労所得税につきましては、今度大分少額の方において軽減されるということになりましたのでありまするが、会社経営をいたしておりまする者の方から申しますると、勤労所得税というものは、現在におきましては殆んど会社が負担するというような実情になつておると思うのであります。労務者はすべての場合において手取を基準といたしまして考えておる、これが実情でないかと思うのであります。法文の上から申しますと勤労所得者が納税をいたしておりまするが、実際の労働交渉というような面におきましては、手取を基礎にして税金はどれだけでも構わん、こういうふうに見られるのであります。その意味におきまして会社の経営というものは、先程申上げた通り殆んど赤字であります。そうしてこの勤労所得税を負担して行くということは、赤字から法人では納めておらんといたしましても、半面勤労所得税を納めておるというような実際上の結果になるわけであります。で我我民間企業のものといたしましては、やはり労務者には相当の給與を支拂うべきことは当然と思うのであります。而も成るべく税金というようなもののない給與で、本当に生活に充当すべき給與を支給すべきと思うのであります。それのためには少額、特にまあ大体七万円程度以下の勤労所税はもつと軽減すべきではないかと思うのであります。これは單に会社が負担するからというだけの問題ではございません。一般的に見ましても勤労所得の少額者に対しては、もう少し軽減すべきじやないかと思うのであります。  さて以上のように税金を低くするということになりまして、それでは今度の予算は成立たないということになるわけでありまするが、この程度のものは、よく私数字的には分りませんのですが、相当の税務官吏の努力によつてはできるのではないかというふうに思うのであります。  税務官吏の問題につきましては、最近の新聞紙上におきまして、いろいろ報道がございまするが、私といたしましては、やはり待遇問題を改善しなければできないんじやないか、こういうふうに思つております。何といたしても税務官吏は非常に給與が少いというふうに聞いております。而も税務官吏がちよつとそこらに出張いたしましても、その出張旅費は後拂いで、先ず官吏自体が立て替えるというような状態になつておるように聞いております。こういうことでは徴税の完全な遂行ができないということは明らかだと思うのであります、やはり税務官吏を、給與だけの優遇だけでなく、もつと働きいいようにしてやるべきじやないかと思うのであります。旅費を立替えさして、而も自分の給與の中から旅費を立替えて行くということは、國家といたしましてなすべきことではないんじやないかと思うのであります。どうぞそういう点につきましても、十分御考慮を願う必要があると思うのであります。  最後に一言申上げておきたいことは、徴税問題でございまするが、これは皆さまもうすでに御承知と思いまするが、確か九月のリーダース・ダイジエストに書いてありましたと思いまするが、アメリカのギヤングのカポネの逮捕におきまして、あれはギヤングの点よりでなく、脱税の点において逮捕したということが出てございます。私は今回所得税を中心とする收入の大宗である税の收入につきましては、アメリカのあれだけの熱意があつていいんじやないかと思うのであります、到底税務官吏だけでは解決のできない問題が相当あるんじやないかと、こういうやうに考えておるわけでございます。  最後に健全財政と健全金融ということが、大藏大臣の財政演説にございまするが、現在の産業界は非常に金詰りの状態でございます。この日本全体の総研得の中どれだけが産業資金に廻されているかということは、私よく存じませんけれども、最近の徴税額の不足或は滯納というような点におきまして、財政資金が相当多額に上つて、産業資金を壓迫しているんじやないかというふうに思われるのであります。生産なくしてはインフレーシヨンの防止も成立たないと思うのであります。それにはあまりに財政資金の面に重点をおきまして、産業資金を壓迫するということは、結論において健全財政の敗れる本だと思うのであります。この点につきましても、予算御審議をなさる各位の深厚なる御考慮をお願いしたいと思うのであります。以上を以て終ります。
  14. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は港區區会議員の村上秀子さんにお願いいたします。村上秀子君。
  15. 村上秀子

    ○公述人(村上秀子君) 私はずぶの素人でございまして、特にこの予算というような問題につきまして、少しも勉強したこともございませんので、私の申しますことは、誠に的外れのところがあるかも存じませんし、又お聞き苦しいところもあるかと存じますが、末端の仕事をいたしておりまして、私どもの周囲に現れましたところの生活のありのままを申上げて見たいと存じます。先日私の友人が、ある女学校で、社会科の生徒に、家計の調査をいたさせましたところが、その中八人が農家で、八人が商家で、その十六世帶は例外なく黒字でございました。ところが残りの百世帶の中、黒字は僅かに十七世帶、そしてその十七世帶の黒字の筆頭の二人は、お医者さんでありました。後の八十三世帶は、例外なく赤字を出しておるという実情が現れたという報告でございました。誠にその通りでございまして、私どもの家庭も、國の予算と同じように、赤字に悩み苦しんでおります。併しその赤字をどうかして克服しなければならない。でそのために家庭の主婦は本当に朝から晩まで努力いたしておりまして、寸暇もなく働いて、そうしてそれで八時間労働は愚か、十時間、十二時間、十六時間労働もいたしております。おまけに昨今は燃料が全然ございません。その上電熱を使うことができないというので、夜中にパン焼きをしておる家庭は珍らしくないと思うのでございます。又この赤字を克服します積極的な方面といたしましては、お晝は学校にやつていた子供をやめさせて働かして、夜学にやつて通わせる。或いはお晝も学校に参りました帰りに、中央郵便局に行つて働いて來るというようなことで、子供たちも十二時間労働をしておるというようなのが現状でございます。ところが一方では、八時間労働というようなことがやかましく申されまして、勿論これは八時間労働結構でございますが、その内容がどうであるかということになりますと、私どもしばしばいろいろな風評を聞くのでございます。役所に行つて見て、余りに人の多いのに驚く。あちらでも雜談をしておられ、こちらでも新聞を見ておられる。あんな調子では、その日その日を暮すにも苦痛ではなかろうかというような噂さえとときどき聞くのであります。國の赤字に対して、果してそうした問題についての積極的な努力が行われているかどうかということを考えますときに、なんだか大変心細い氣がいたしまして、なんとかここいらで一つ飛躍して、それをやつて頂かなければならないのではなかろうかというようなことを考えさせられるのでございます。人件の問題につきましては、しばしば新聞等で、この統制経済のために非常に多くの人件を要するというようなことを聞かされるのでございますが、その統制経済につきまして、勿論主食の統制というようなことについては、だれしも反対する者はないので、これはますます強化して、そうして少しも洩れなく統制して貰いたいという声が、あちこちで挙げられておりますけれども、例えば生鮮食料品のごときに至りましては、どうも政府で言われる通りのことが、決して私ども末端に及んでいないのでございます。從つて昨今では、生鮮食料品のごとき鮮度のやかましいものについては、統制を外さるべきではないかとい声が、しばしば挙げられておりますけれども、まるでそれを反撥するように安本の方では生鮮食品の統制はますます強化して行くんだということを発表されておるのでございますが、その言葉が少しも実現されませんので、私どもの家庭に、生鮮食料品の配給は殆んどございません。で十月、十一月という月は、お魚でも最も收穫の多い月であり、お野菜でも最も入荷の多い月であるのが例年のならわしでございますのに、今年は殆んど配給がないというような状態でございます。殊に價格の点におきましても塩干魚や、それから冷凍品が非常に高く値付けされましたために、鮮魚が少しも入つて來ないという噂がしばしば立つておりましたところ、最近になつて、この塩干魚のお値段の改定をされる。値下をされるというような状態でございまして、消費者の方では、一体役所のそうした技術的の方面は、どういう所でやつておられるのであろうか。なんとなく信頼ができないというような感じも大分持ち続けるようになつたのでございます。沢庵の漬物の統制が発表されますと、それまで百目五円ぐらいであつた漬物が、俄かに十五円ぐらいに飛び上つて來る。そうして而も現物が姿を隠してしまうというのが現在の統制の実情のように思われてならないのでございます。薪炭需給調節費というようなものも、予算の費目の中に現われておるようでございますが、私どもの家庭に、ちつとも薪炭が入つて参りません。この寒空になりまして、煉炭や、それから豆炭は少々配給をされたのでございますが、これを起すところに必要な薪炭も配給されなければ炭も配給されないというのが現然でございます。そうしてその煉炭も、八月十五日を境としまして、御承知の通り値上をされたのでございますが、八月十三日に受取つた人は、前のお値段の二十八円六十銭で受取つておりましたのに、八月十六日受取つた人は、その約三倍に近いところの七十二円以上の價格で受取らされている。而もそれがお隣同志である。又もう少し外の地区では、七月の半ばに、代金も前のお値段を拂つて、八月の半ば過ぎに受取つたけれども、別に値上はしていなかつたというような状態でございまして、地区によりましてもまちまちだというような現状でございます。乏しい物を平等に分ち合うという言葉は、大変綺麗なのでございますけれども、煉炭一つについて見ましても、その通りの末端では不合理が行われております。値上りも必要止むを得ないところかも存じませんけれども、さてその値上りも、末端のことにまで少し親心を以て、施行細則にまで心を配つて頂きませんでは、國民はなんとも納得しかねるものがあるのではなかろうかと思うのでございます。それと同時に、こうした不合理が行われておりますので、價格差益給付金という項目があつて、小賣にまで及ぶということが申されましても、果してどの程度にそれが正確に行われているのであろうか。結局数字の辻棲を合せるというような結論になつているのではなかろうかというような不安を與えられるのでございます。それで私共は、物を買いに参りますと、いつでも高い値に驚きます。そういたしますと、商人の方では、官業でさえもあの通りの値上ではありませんか。鉄道の値が上つたじやありませんか。電車の値が上つたじやありませんか。煙草はどうですか。お酒はどうですかということを言われるのでございます。闇屋の芋屋さんが芋を背負うて參りますと、なにしろ汽車賃が高くなつたものですから、安くは差上げられませんというようなことを申します。誠にその通りであろうと思うのでございます。で私どもは、酒や煙草というような物は成るべく家庭に入れたくないと思うのでございますけれども、現在のような、なんにも楽しみのない時に、若い人が煙草を吸つているからといつて、それを止めるという程のところまでは行きかねるのでございます。ですから、結局やはり五十円の煙草も偶には買うのを見逃さなければならん。それだけ家計が詰つて來るというような現状におるのでございます。それからこの生活扶助費でございますが、これをこの度引上げられましたことは私ども誠に当然のことだと思うのでございます。五人家族で千五百円余りというものを一月に頂いたところで恐らくそれでは食べていける道理はないのでありますが、併しそこまで引上げられたということは非常な努力ではあろうと思うのでありますけれども、この折角給與されます生活扶助費が、果して十分の効率を挙げているかどうかということになりますと、私どもは疑わざるを得ないのでございます。昨年の十月民生委員の改選が行われたわけでございますけれども、民生委員は旧態依然たるものがあると思うのでございます。他の末端のいろいろな委員になりますと、政令で以てやめられた範囲の人が非常に多いのでございますが、民生委員につきましては全然そうしたことがなく、今まで通りの人が相当に入つているのでございます。そして所によりましては、非常な濫給が行なわれている。先日も或る末端の補缺選挙に參りますと、立候補のポスターのお隣りに、お困りの方には救護米を差上げますということが書いてあつたのでありますが、そういうようなことに未だに利用されている例も少くないと思うのでございます。民生委員はどちらかと申しますと、こうした人たちの指導ということに力を入れなければならないと思うのでございますけれども、殆んどその指導力がなくて、ただ給與するというだけに止められているというような現状を私どもは到る処で見せつけられるのでございます。從つて救護を受けなければ損だ。生活扶助を受けなければ損だというような気持が随分あちらこちらに見られております。あんな立派な人が生活扶助を貰つているのだから、内なんかが貰うのは当然ではなかろうかというようなことをしばしば聽くのでございます。これは甚だ残念なことで、一面において怠け者を作るというような傾向が未だにあると思うのでございます。ですからこの生活扶助につきましては嚴重な監査制度、それから指導制度というものを設けることが必要ではなかろうかというふうに考えられるのでございます。  教育の面におきましては、学校に使うところの費用がない。そのために家庭では父兄たちが寄附にさいなまれているという事実でございます。多いところでは三百円、五百円という寄附を求められております。子供可愛さに無理をしてでもそれを出さなければならないという状態でございます。又学校の校舍を職員の住宅に当てられておりますために教室が足りない。足りないがその職員の方の行く処の家がないために、どうにもしようがないというような現然でございます。住宅の復興ということにできるだけもつともつと力を入れて頂かなければならないのではなかろうかということを考えさせられるのでございます。  それから非戰災者特別税でございますが、この問題につきましても、勿論燒けなかつた人はなんと申しましても、燒けた人よりはいいには決つているように思われるのでございますけれども、実際は疎開した荷物を燒いてしまつて、これが戰災者に該当しないためにもう筍になる物もないのだというような泣言を私どもはしばしば聞かされるのでございます。殊に杖とも柱とも頼む長男から未だに何らの通信もないし、帰つてもこない、北方の方であればまだ望みがあるであろうけれども、南方の方だから殆んど望みがないであろうというような声もしばしば聞いております。又御主人が戰犯で追放に会われて失業しておられる。お子さんは戰死されたというような家庭等もございまして、この問題につきましては、随分といろいろ泣言を私どもも聞かされているようなわけでございます。ですから一律にこれを課税するというのではなく、実情を調査して頂きまして、そして本当の持てる階級から徴收して頂くということが必要ではなかろうかというふうに考えます。  それから入場税の問題につきましても特に映画というような大衆娯楽の機関に一律に税を課けられるということは如何なものであろうか、今日のような何らの楽しみもないときでありますから、なんとかこれも大衆的な方面に軽くして頂くということが必要ではなかろうかというふうに考えるのでございます。昨今の実情を申上げますと、末端では主食は持ち込まれましても、これを拂うことができないというような家庭が段々多くなつてまいりました。実際問題といたしまして私どもの七人家族について見ましても、二、三日前に十日間のお米が持ち込まれたのでありますが、四百円出しまして十一円なにがしのお釣が來ただけでございます。それから四日前に七日分のお米が配給されております。でありますからそういう実情からいたしますと、どんな貧しい家庭でも千円なり、千五百円なりの消費資金を常時持つていなければならないというような現状にあるのでございます。で現在の配給制度というものは家庭にとりまして勿論一面有難いところもあるのでありますが、概して誠に迷惑するときが多いのでございます。今日はお米が来る。明日は煉炭が來る。それから佃煮が配給される。「いか」の佃煮が十匁六円で一人前配給されるということになつておりますが、そういうようなものは敢て配給を受けなくてもどこへ行つても殆んど自由に購入することができるのでございます。殊に同じ品物でも必要なときに入手いたしますれば、その効率は非常に大きいのでありますけれども、不必要なときに配給されますと徒らに家庭の負担を重くするだけで、特に教養のない大衆の家庭であればあるだけ一時に消費してしまうというような傾向が非常に濃厚なのであります。でありますから統制も配給も一應ここらで十分檢討されまして、本当に必要な範囲の統制は是非やつて頂きたいのでございますが、どつちでも構わないような統制はもう外して頂いた方がよいのではなかろうか、早い話が果物の統制が外れまして、私どもは非常に買いよいよなつて参りました。お値段も勿論競爭によつて非常に下つて参りましたし、第一店舗が非常に殖えたということのために非常に買いよいよなつて参りました。お野菜においても若しここで統制を外されますならば、店舗はもつとあつちこつちに沢山できるであろうと思うのであります。從つていろいろな競爭が行なわれる。芝の眞中では「かぶ」一把が十円、十三円しておるのでありますが、一歩ここから出まして中央線の沿線にでも参りますと、吉祥寺あたりでこれが五円ぐらいで賣られております。殆んど三分の一の値段でございます。配給のお野菜が非常に鮮度が落ちておることはもう常にどちらでも申されておることでございますが、お値段におきましては闇値の四分の一であつても配給量が非常に多い。而もこの配給される野菜の種類は殆んど決つておりまして、同じようなものばかり配給され、栄養價の高いものは配給されない。從つてカロリーも少ないし、鮮度が落ちておりますからいヴイタミンも非常に落ちておるというのが一般の風評でございます。ですからお値段がたとえ四分の一であつても栄養價から計算いたしますと二分の一以下になつておるというような状態で、家庭の婦人たちはちつとも喜んでいないのであります。お魚にしても同じことでございます鮮度の高いものならば少しでも結構なのでありますが、鮮度の低いものを受取らないと魚屋さんの御氣嫌が惡いために、無理に受取つてそれを捨ててしまうというような実例もございまして、非常な無駄が行われています。何とかこの問題をこの際十分御檢討して頂きまして、統制に要する人件費というようなものを極力節減して頂きましたならば、私どもの血の出るような租税も有効に活用されるのではなかろうかというふうに考えるのでございます。そして私どもの納めましたところの税が少しも残るところなく國庫に全部入つて行きますように、間接税が徴收されて、それが果して國庫に納まつておるかどうかということは私どもとしまして誠に心淋しく感ずるところでございます。最後に私どもが不思議で不思議でならないことの一つは、鉄道や通信事業でありますが、あの大規模の施設を持つていて、どうして赤字になるのであろうかということでございます。戰後のいろいろの復旧であるとか、新設の工事であるとかに要する費用は勿論必要でございましようけれども、若しあれだけの大事業が民間の仕事であつたならば、恐らく儲かつて儲かつてしようがないのじやなかろうかというようなことを考えるのでございます。家庭の主婦のように、働く人たちがきりきり廻りをして働いていたならば、恐らく人件費ももつともつと減らされるのではなかろうか。もつともつと住みよくお掃除も行き届くのではなかろうかというふうに考えるのでございます。どうか一つそうした点に積極的な施設をやつて頂きたいと存じます。誠に辻棲の合わないことを申しましたが、ここで十分御檢討頂きたいことは、この統制につきまして、特に生鮮食料品につきましてでございます。私の申上げることはこれで終りたいと存じます。
  16. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は安田銀行の頭取、井尻芳郎氏にお願いいたします。井尻芳郎君。
  17. 井尻芳郎

    ○公述人(井尻芳郎君) 御紹介に頂りました井尻でございます。今回の追加予算の編成当初におきまして、私どもはその金額が相当厖大になることを予想し、又噂されておつたのであります。千五百億乃至は二千億といつたような数字も或いは出たのでありまするが、併し昨今我々の前に示されましたるところの数字を考えました時に、関係当局の方々の御努力が如何に多かつたかということを知り得まして、この点につきましては國民の一人といたしまして、誠にその労を多といたすものであります。ただ追加予算並びに全体のこの予算を通じまして考えさせられますことは、数字の上におきましては辻褄を合わしておるように見受けられます。政府で申されますところの健全財政であるかどうかということは別といたしましても、数字上のバランスだけはここに形を整えております。併し一面におきまして、その内容を檢討いたしますれば勿論のこと、内容に触れませんでも、客観的状勢からこの姿を見た時に、果してこれが実際に行われましたる時に、この歳入と歳出とのバランスが間違なく保たれるものであるかどうかということに非常なる危惧の念を持つのであります。全体のこの予算を通じまして、そういつたことが必らず行われますところの前提といたしましては、先ず第一番目に租税の徴收が予期のごとく行くというところの一つのことが重大なるところの條件になつておるのではなかろうかと考えます。又他の面から行きましても、公定價格が十分に守られるかどうかということ、これも一つの重要なるところの要素であろうと思います。更に尚今後追加予算というものが必らず阻止されなければならないいろいろの條件はあろうと思いますけれども、この三つの問題を前提といたしました時に、辻棲の合いましたるところの予算が保たれるものであろうと考えます。然らば実際においてそれがどうであろうかと考えました時に、租税の徴收が予期のごとく行くかどうかということにつきましては、相当の危惧の念が我々に持たれるように考えます。國民の所得と、一般の予算との比率を見ましても、今年度分は以前から比べまするというと、相当の比重を加えております。從つて國民の生活には相当の圧迫がこれで加わることは当り前のことであります。これを数字の面から見まするならば、下年期だけを見ましても、租税の徴收は概略千億円と言われておりますが、第三四年期だけでも約二百五十億集めねばならないように新聞紙上あたりでも報じております。然らば第四・四半期におきましては七百五十億というところの数字を頭の中に画かなければならないのでありまするが、この数字を実際において、徴收するということになりますれば、これは生易しいことではなかろうと思います。而も最近の、現在におきまするまで百億の未徴收のものがあるというふうに聽いておりますから、彼此思い合せますれば、これはなかなか予期の通りに集まらないものではなかろうかと考えます。そうして見ますると、先ず第一の條件からして、今度の均衡を得ておるというところの予算が崩れざるを得ないのじやなかろうかと考えます。第二の点におきまして、この公定價格の嚴守という問題でありまするが、政府がいろいろの物資を調達いたしますにつきましては、公定價格というものを基礎にいたしまして数字を並べております。併しながらこの予算の当初におきましては、物資のあれにつきましては、昨年の十一月頃の基礎、それから人件費におきましては本年の二月頃のものを基礎といたしておると承知いたしておりまするが、今回の追加予算におきましては、物資の高騰によりまするところの新公定價格というものによつて数字が見積られております。この間の事情を見ましても、世の中の経済上の流れ、変動、物價の高騰、こういうものによつてすでに変つておるところの要素がここに含まれて來ておるのであります。いろいろの情勢を考えて見ますれば、それから又財政の面から行きましても、インフレーシヨンの速度というものにつきましては、いろいろの意見もありましようけれども、これが將來に亘りまして緩和されようとはどうしても考えられません。そうして行きますれば、結局物價の変動によりましても、公定價格というものが果して維持されるものであるかどうかということについて又疑問を持たなければなりません。そうしまするというと、この面からいたしましても、いわゆる均衡を保たれるところの根拠の予算面が崩れてしまうのではなかろうか、又ここにも一つの危惧の念が抱かれるのであります。この三つの面が若し実行できないといたしますれば、先程申上げました通り第三番目の追加予算というものが、どうしてもこれが阻止されなければならない状態にあるということが遂に破れてしまいまして、こういう姿のことを考えますると、ただ追加予算、そういつた面からして追加予算ばかりでありませんが、その他の事情で、例えば石炭の國管であるとか、或いは地方財政委員会とか、いろいろの今後諸施設が行れますことから考えましても、追加予算というものは、当然に考えられるものであります。尚又いろいろの河川の費用のことにつきましても、当然これは要求されなければならないものでありまするからして、この面から行きましても追加予算というものは阻止ができないということになりますと、今健全財政といわれており、或いは収支のバランスがとれておるといつておりましても、これは見方によりましては、不可能のことである。そうして更に財政の面からいたしまして、財政のアンバランスからいたしまして相当インフレーシヨンの問題に拍車がかけられるのではなかろうか、誠に重大なるところの予算に当面しておると言わなければならないわけであります。これを解決いたしまするには、結局いたしまするところ、租税の徴收を予期のごとく必ず実行すること、それから公定價格の嚴守、これは政府も今回非常なる決意を以て表明されましたが、この公定價格が必らず嚴守されること、それから追加予算ということが、能う限りこれが阻止されなければならない、これが実現できますれば、いわゆる均衡のとれたるところの予算というものが実行に移されるものであると信じます。それにつきまして相当政府も強い決意を持たなければならないわけでありますが、只今申上げました通り、公定價格を嚴守するというこの一事につきましては、一体政府は國内におきまするところの一番の最大なる消費者でありまするからして、現在までにいろいろのその官業方面が、予算というものに立脚せずに、仕事に先走り、いろいろの支拂いにおきましても、もろもろの事情によりまして公定價格というものが嚴守されなかつたことによりまして、あらゆる方面、財政の面は勿論のことでありまするけれども、國民経済の上におきましても非常なる影響を與えておりまして、この累積が現在までに非常に影響を與えておる、若しこれが行われない場合は、将來に亙りましても相当なる影響が累増することを考えまして、政府が今回決意を披瀝されましたるところの公定價格の嚴守ということは尚当然行わるべきことであり、又是非とも行なつて頂かなければならないものであると考えます。この意味合におきまして、この一つだけでも完全に行われまするならば、財政のアンバランスが幾分でも均衡か保たれることになる、それによつて不安の根抵が幾分薄らいで行く、幾分どころじやない十分に薄らいで行くことができるものであると考えるのであります。尚又一面考えを変えまして、昨今は、今度の予算の面におきましては、財政の支出と、それから金融の支出というものが、言葉を飾つて言いますれば混同されたことによりまして、バランスがとられておるというようなことも開いております。又考えますれば、その通りではなかろうかとも考えられます。先ず國鉄、通信それから貿易関係、こういつたものにおきまするところの予算、数字、或いは地方の財政に関しましても、或いは復興金融金庫の問題におきましても、これらは本來ならば財政の支出によつて賄われなければならないものでありまするけれども、従前からもそうでありまするが、今後におきましても支出、いわゆる金融面の支出に俟つことが多いものでありまして、又そうされなければ事のできないような場面もあります。こういつた一つのものを以ちましても、赤字財政というものはこの間に含まれております。この状態を克服するためには、やはり端的に申上げますと、行政の整理というものは行われなければならないのではなかろうかと考えます。併し行政の整理が行われたからといいましても、今申上げましたところの赤字のものが、すぐに全部なくなつてしまうとか、或いは財政の面におきます收支におきまするところのアンバランスが直ちに補正されるとは限りません。併しながらやらないよりも、やることによりまして、惡い條件の累積することの幾分でも阻止されるということは、最も望ましいことであります。又若しその推進によりまして、政府のこの行政面よりいたしますところの整理に促進されまして、民間の企業の合理化というものが一段とこれによつて促進されることができ得まするならば、又もうすでにどうしてもあらゆる面におきまして合理化を行わなければならいところの時期に到達いたしております。若しこれを行わなければ、成る時期におきましては破局の面にまて突入するような状態になつておるのでありまするから、政府が今回公定價格の嚴守、これを死守するといつた決意を一旦披瀝されましたると同樣に、百尺竿頭更に一歩を進めまして、行政整理の点につきましても、一大勇猛心を以て着手いたしまして、そうして政府も民間の企業も打つて一丸として、この経済の底を流れておりますところの不安定を、幾分なりとも安定に導くように努力をして頂きたいと思うのであります。誠に簡單でありまするが、これを以ちまして私の言葉といたします
  18. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は日本大学名誉教授井上貞藏氏にお願いいたします。井上貞藏君。
  19. 井上貞藏

    ○公述人(井上貞藏君) 昭和二十二年度一般会計予算補正第七号につきまして、重点的に私見を申述べたいと存じます。昭和二十二年度追加予算は、歳出におきまして、終戰処理費三百九十億円、價格調整費百五十八億円を主といたしまして、合計九百二十一億六百万円に上り、歳入は、租税六百三十五億五千三百万円、煙草益金二百五十九一億六千二百万円を主といたしまして、合計九百六十九億七千七百万円に上つております。右の追加予算総額に、本予算の歳出千百四十五億三百万円、歳入千九十六億三千万円を加えますると、本年度の一般会計予算総額は、歳出二千六十六億一千万円、歳入二千六十六億七百万円という厖大な金額となります。これを日華事変前の歳出入おのおの二十億円内外に比べますれば、正に百倍に当りまして今昔の感に堪えません。その中歳出におきましては、終戰処理費の六百四十二億七千三百万円、價格調整費の二百六十四億二千八百万円、地方分與税分與金の百九十二億三千九百万円、公共事業費の百四十七億四千六百万円、出資金の百十一億円などが主なものでありまするし、歳入におきましては、租税の千三百二十三億五千二百万円、煙草益金の四百八十六億二千万円が主なものであります。而して追加歳出の四割八分は物價騰貴による人件費、物件費の増加でありまするし、残りの五割二分が新規事業によるものでありまして、事業費の少いことが窺われます。殊に六三制の費用として、公共事業費五十二億四銭六百万円の中から僅かに七億円を充てたごときは、要求額の十四億円に比べまして、且は文化國家建設の見地よりいたしまして、極めて少いと考えます。政府はさきに経済緊急対策八項目を決定いたしまして、その一項でありまする経済秩序の確立、即ち配給統制と闇の撲滅によつて新物價体系を維持せんと努めております。併し経済の現実は、水の流れのごとく動態的のものでありまして、決して静態的なものでないところに計画経済の大きな欠陷があります。物價を新公定價格の線で抑えようといたしましても、需要供給の関係で定まりまする價格決定の原則たる経済鉄則は、人爲を以ていたしましては如何ともすることができません。且つ國民全部が聖人ではなく、利己心を以て動く限り、公定價格の大幅の引上は、結局におきまして闇價格の牽制という作用を十分発揮することができません。むしろ闇價格の基準という作用をいたしまして、闇即ち市場價格を上るに過ぎない結果となります。從つて勞働賃金千八百円を基準といたしまする新物價体系の維持のできないことは明瞭であり、現に崩れつつあることは周知の事実であります。仍つてインフレはますます昂進して通貨は膨脹し、予算はいよいよ増加することは明らかでありまして、この点帝大の大内教授が衆議院の予算公聽会で警告された通りであります。政府は経済緊急対策の一項目としこ財政の健全化を挙げ、この追加予算において一應数学的に辻棲を合せたのでありまするが、その内容を見まするのに、決して健全とは申せません。特に政府事業再建費として、國有鉄道事業特別会計の繰入五十億円、通信事業特別会計への繰入二十五億円という特別会計の赤字をば、一般会計の繰入金で補つたことは注目すべき点であります。この点のみに論点を集中いたしまして、一般経済政策との関連において批判を加えて見たいと存じます。追加予算最後決定案におきまして、鉄道、通信両事業特別会計の十二月以後の赤字七十五億円を一般会計から繰入れることになりましたが両会計本年度当初の予算以来年度末までの赤字凡そ三百億円を当局は次のごとく計算しております。國有鉄道事業特別会計におきまして、業務勘定では既定予算の赤字八十三億円、追加予算の赤字三十一億円、計百十四億円、建設勘定におきましては、既定予算の赤字五十三億円、追加予算の赤字が三十三億円、計八十七億円、総計二百億円に達しております。建設勘定は交付公債によるのが從來の例でありまするし、今度問題となりましたのも業務勘定でありまして、十二月以後の赤字を埋めるという点であります。仮りに十二月から定期を除く旅客運賃を七割五分引上げるといたしますると四十九億円の増收となり、決定案ではこれに相当する五十億円を一般会計から繰入れることになつたんでありますが、それにいたしましても業務勘定で六十四億円、建設勘定も入れますると百五十億円の赤字が残るわけであります。これは別に年次計画を作つてなし崩しに消して行く予定であると言つておりますが、結局は一般会計からの再度の繰入か乃至は運賃値上のいずれかを必至とするでありましよう。尚昭和二十二年度特別会計予算補正特第三号の運輸省所管国有鉄道事業特別会計によりますれば、歳入合計二百八十億五百万円の中、事業收入として鉄道收入百四十七億七千五百万円、自動車收入三億九千三百万円、船舶收入一億五千五百万円となつております。歳出合計二百七十七億二千五百万円の中、物價の値上りに伴う経費の増加は百八十二億八千七百万円、給與改善に必要な経費の増加が三十一億七千六百万円、内國旅費規則改正に伴う経費の増加が五億九千五百万円に上つており、人権費関係の如何に高率を占めておるかが分ります。  次に通信事業特別会計におきまして、業務勘定では既定予算の赤字五十三億円、追加予算では八億円の節約を行なつたといたしまして九億円の黒字、差引四十三億円の赤字となりまして、建設勘定では既定、追加、両予算合しまして四十七億円、総計、年度末には九十億円の赤字となります。仮りに十二月から電信電話料金を引上げ、業務勘定で七割五分の増收を計りますれば二十三億円が浮ぶこととなりまして、決定案ではこれに相当いたします二十五億円を一般会計から繰入れまするが、全体としては依然六十七億円の赤字が残つております。この穴埋めもまた一般会計からの再度の繰入れ或いは料金の値上による外はありません。  尚、昭和二十二年度特別会計予算補正特第三号、逓信省所管、通信事業特別会計によりますれば、歳入合計百三十五億五千八百万円の中で、事業收入として、電話收入三十億七百万円、切手收入十九億六百万円、電信收入三億一千一百万円となつております。歳出合計一百十四億九千七百万円の中で、物件費等の値上りに伴います経費の増加が三十三億七千二百万円、政府職員の給與改善に必要な経費増加が三十億二千九百万円に上つております。ここにも人件費の重圧が見られるのであります。追加予算の最後決定案におきまして指摘すべき点は、特別会計の赤字をば一般会計の繰入金で補つたことに関連いたしまして、その歳出増加をば專賣益金の増收で賄つたことであります。即ち最初專賣益金はピース、コロナ四十円、新生三十五円案といたしまして二百四億円であつたものをば、更に五十五億円増收いたしまして二百五十九億円と上せました。これがためピース、コロナ五十円、新生四十円といつたような極めて下手なところに落ちつけたのであります。右の煙草値上と鉄道運賃乃至電信電話料金の引上のいずれを取るべきかについて、相当日時閣議はもんだようでありまするが、いずれにいたしましても、物價騰貴を促し、千八百円基準並びに新物價体系の維持を脅かすことは明瞭であります。かかる明らかな事実と影響を知りながら、政府は何が故にもつと掘下げた抜本的な措置に出なかつたのか、その点を遺憾とするものであります。現在のような非常時に当りましては、余程思い切つた政策、処理に出なければなりません。一般経済原則として、價格決定の原則の外に企業経営の原則、賃金制度の原則があります。企業経営は適正利潤を得られる範囲においてのみ、それは永存するのでありますが、現にソ聯におきまして赤字経営を認めない、独立採算制を取つて、專門家である理事者の單独責任において、好成績を挙げておるがごときはよくそれを物語つておるものでありまするし、資本主義の米國における企業経営も然りであります。ところが敗戰後における日本の企業にありましては、生産の三つの要素でありまする土地、資本、労働の中で労働が攻勢となつて、とかく資本は顧みられない状態となりましたが、我々は人間労働に多大の價値を認めること勿論人後に落ちないものの、併し経済の原理に從つて、貨幣資本の外に、建物、機構等の物的資本に対しても大いにこれを尊重しなければならないと考えます。特に企業経営の原則に則りまして、企業の永存を図るために、適正利潤を得られる範囲に置くことが、日本経済再建の見地から何よりも必要であります。今や日本の現状は國家も、企業も家計も皆赤字であること経済白書の示すごとくでありまするが、かくのごとくいたしますれば、軈て八面的破綻を來すこと必定でありまして、これに対して企業経営の原則の立場から大きなメスを揮わなければならないと信じます、企業は養育院、孤兒院といつた社会事業と全然違います。社会事業なら赤字でもいいのでありまするが、一般企業は赤字では成立ちません。適正利潤を得られる黒字経営を本則といたします。仍つて官業、民間を通じまして、企業の合理化を図つて、擬制資本並びに擬制雇傭を駆除いたしまして、以つて日本再建の基礎を鞏固にし、復興のスタートを切らなければならないと信じます。殊に、國鉄は二十万内外に上る剰員を抱えて巨大の赤字を出しておる模範的惡経営であると私は考えます。昭和十一年においてその職員の数は二十二万七千六百四十八名十それが昭和二十一年におきましては五十七万二千八十六名、これが本年におきましては六十一万四千百九十九名というふうに、日華事変前に比べるというと三倍の職員になつておるのであります。この日本における模範的惡経営に対しまして、徹底的な企業合理化を行い、余剰人員の大整理を断行すべきであります。他の官業並びに民業もこれに倣つて、そうして合理化を行うことを必須といたします。若しもこうしなければ日本経済なるものは永遠に立直りません。否破滅に陷るでありましよう。企業の合理化を経済緊急対策の一項目に挙げました政府はいろいろと言つておるのでありまするが、何が故に実際にこれを早く実行しないのであるか、その心事を疑うものであります。右の企業経営に関連しまして、賃金制度の原則をも考えなければならんと存じます。賃金なるものは経営経済と社会厚生との折衷において決せられるべきものでありまして、我々は固より生存権、労働権を認める立場から生活賃金、社会賃金に多大の理解を持つのでありまするが、併し一面経営経済の見地から、その企業の支拂い得る賃金額、即ち経営賃金をも肯定せざるを得ません。この点に関して、私は中央労働委員会の各委員の一考を促して止みません。企業が赤字を続け、軈て潰れてしまえば、労働者は失職して元も子もなくなるわけでありまして、労働者の利害から申しましても、賃金は経営経済と社会厚生との間の調和点に保持されねばならないと信じます。現にソ聯におきましては、米國におけるテーラーシステムに則りまして、高能率、高賃金の能率賃金制度を布いておりまするが、再建途上にある日本の企業におきましても、学び且つ行うべきであると考えます。因みに完全雇傭の概念でありますが、その方面の第一人者たる米國のウオーレス、英國のビヴアリツヂは共に完全雇傭において資本労働といつた生産要素の全面的効果的利用を極めて廣範囲的の意味をこれに與えておるものであります。完全雇傭の眞髄は百人の中九十七人を就職せしめ、三人を失業状態に置くにあると喝破しております。これは誠に名言でありまして、働く意思のない人、働く能力のない人が企業の中におりますれば、それだけ他の人の能率を下げるわけでありまして、且百人中僅か三人の落伍者にはなりたくないという人間の競争心理から自然能率が出る理窟でありまして、この点をよく道破したものであります。百人全部を收容するのは社会事業の務めでありましようが、企業における完全雇傭とはウオーレスやビヴアリツヂの言つたごときものでなければなりません。日本の現状に見て一層その感を深くいたします。以上述べましたような鉄道及び通信特別会計への七十五億円の赤字補填のための繰入金は煙草の値上げによる專賣益金の増收と共に極めて愚策であり、鉄道運賃、或いは通信料金の値上げと同様に賛成しないところであります。鉄道及び通信の両面において行政整理を伴う企業合理化を断行し、以て会計の眞の健全化を図ることが先決問題であると信じます。進んでは電話事業等の民間拂下げを断行して、大きな財源を獲得し、根本的な財政の健全化を図るべきであります。かくいたしますれば、多分の余裕を生じて運賃、料金の引上げ、或いは煙草の値上げをするに及ばず、六・三制の要求額十四億円を半分の七億円に値切るなどの拙劣な小細工をする必要は毛頭なくなるのであります。我が國の國営企業は必らず官僚化、非能率化、而も適限経営を超えまして巨大化し、益益経営成績を挙げないのを例といたしまするが、よろしくその弊を去るべきであります。元來官廳の仕事は経済学的には不生産的事業でありまして、日本経済復興にはでき得る限り生産事業の発展が望ましい。この意味におきまして、さなきだに役人が多いと言われ、官僚統制で生産を阻んでおる我が國の官廳機構を縮減して行政整理を実行すると共に、他面官業の民間拂下をも行いまして、以て生産事業の増大を図るべきであると信じます。而して國家財政と國民資力を以て盛んに公共事業、生産事業等を起して失業者も救済し、且失業保險、失業手当の大きな網によりまして労働権と生存権をば保障するを可とするのであります。日本の窮乏経済の根源は、日華事変前に比らべまして生産は三分の二にも落ちておるのに、消費は二分の一程度に止まつておる。そこに赤字の開きがあることに存しております。そしてそれは二宮尊徳流の勤儉力行によつて、生産増加と消費節約の両面からその開きを縮めて、やがて蓄積資本によつて経済進展を図るより途はないと考えます。消費面における現内閣の主張される耐乏生活もさることではありまするが、もつと生産面において活溌なる政策の遂行が望ましく、勤労意欲の上昇も、職場規律の励行に重点を置くことを要するのであります。この見地からいたしまして企業経営並びに賃金制度の原則をば先ず官業に徹底せしめてその範を示すことが最も大切であり、鉄道及び通信の特別会計、否全予算に当る堅実財政は右の経済政策的観点から愼重に再檢討せらるべきものと固く信ずるのであります。
  20. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は日本銀行副総裁川北禎一氏の午前中に引続いての御公述を願います。
  21. 川北禎一

    ○公述人(川北禎一君) それでは午前中に引続き簡單に申し上げまして、私の話を完結いたしたいと思います。日本銀行の勘定からみまして、政府財政が如何に影響しておるかということを極く大難把に申上げます。本会計年度四月から十月までの日本銀行劵の発行の中で、政府の関係で出ました資金は四百二十七億円となつております。この間の日本銀行劵の増加が五百十六億であります。五百十六億の中で政府の関係が四百二十七億、即ち八二%が政府の資金でございます。その内訳を極くざつと申しますと、特別会計で二百四十億、主に國鉄、食糧管理、貿易資金であります。國鉄で九十五億、食糧管理で七十一億、貿易資金で七十五億という歳出の資金が日本銀行から出ております。大体特別会計で二百四十億、終戰処理費その他の一般会計の支出で收支差引きいたしまして大体百六十億円、両方合せまして四百億円に大体なるのであります。特別会計で二百四十億、一般会計で百六十億、一般は歳入歳出のズレでございまして、大体大藏省証劵その他政府借上金で賄われておるわけであります。そういたしますと、結局九十二億が民間資金の信用膨張になつておるわけであります。その中でも普通銀行への日本銀行からの貸出しは余り増加いたしておりません。復興金融金庫の債劵引受による分が、民間資金の大部分を成しておるという状態でございます。先程申しました四月から十月までの日本銀行の膨張の中で、政府関係の占めます割合が八二%と申しましたが、この割合が段々時期的に殖えて參つておるのでありまして、六月までは大体五〇%前後、民間と財政とが半々でございましたものが、その後急増いたしまして、この七ケ月間の平均をとりますと、八二%になつておるわけであります。更にこの点を金額で申しますと、四月から六月の三ケ月の平均、政府財政資金として日本銀行の信用膨張になりましたものが、月平均四十億であります。更にそれを七月から九月までの第二・四半期の平均が七十三億でございます。第一四半期と第二・四半期とすでにこれだけの差がついておりますが、更にこの第三・四半期の情勢を申しますと、月平均が百十三億となる予定であります。少くとも百十三億となる予定であります。このように政府財政資金の関係で、日本銀行劵の出ます傾向は月々進んで参つております。私どもが財政インフレーシヨンの危險を申しますのもこういう関係にあるのであります。少しく煩わしいかとも思いまするけれども、この年末がどうなるか。第三・四半期はどうなるかという見透しにつきまして申上げます。政府の資金でございますが、大体今日まで予算面の赤字で残つておりますものが五百億、下今期、第三四半期以降ございます。それから歳入歳出のズレ、大藏証劵で賄われるべきものが、これは会計年度末になりませんと分りませんけれども、私どもは非常に少く見積りまして百四十億というのが結局一般会計のズレとなつて、政府の撒布超過になりはしないか、こう考えます。次に予算面の特別会計の赤字でありますが、五百億と、一般会計のズレと合せまして六百四十億というものを、この第三・四年期、第四・四半期の財政資金と見ております。その中で第三・四半期に出ますものが、三百四十億、十二月等の関係もございまして、こちらの方にウエートを置きまして三百四十億と見ております。その数字を三ケ月で割りますと、百十三億に相当するわけであります。第三・四半期、十月から十二月までの三ケ月の数字が財政資金で三百四十億必要である。それから産業資金といたしましては、これは全部日本銀行から出るわけではございませんが、四百十億、一般会計で二百五十億、復興金融金庫で百六十億、年末までに必要とする産業資金が四百十億、こういうことになつております。政府の資金が三百四十億、産業資金が四百十億、合せまして七百五十億の資金が必要でございます。ところが一方額金の情勢を見ますと、第二・四半期には四百西十七億の自由預金の蓄積がございました。第二・四半期に撒布されました政府民間の資金に対しまして、六八%の吸收率であります。資金の吸收率としては比較的順調でございました。併し第三・四半期は年末を控えまして、六八%というような資金の蓄積率は期し難いと思いますので、大体先程申しました資金が六割に止まるという考え方でいたしますと、自由預金が三ケ月の間に約五百億溜まる、こういうことになります。併し一方銀行の手許といたしまして、封鎖預金の減少が百二十億でございますので、三百八十億の資金しかない。從つて先程の産業資金の四百十億を賄うのに足らないのであります。その差額が日本銀行に來る。こういう格好になる。そうして産業資金は全部日本銀行から出ることになるわけであります。そういたしますと、結局資金の不足が三百七十億、この三ケ月間につきまして日本銀行から出る、年末の関係で金融機関の手許現金を殖します関係で六十億をこれに加えまして、四百三十億というものが資金不足になつて日本銀行から出る。從つてこれを九月末発行高に加えますと、年末に二千億になる。こういう推定をいたしておるわけであります。ところがこれは細かい問題であるかも知れませんが、当面の問題としてございます越年資金の問題でございます。これはこの資金の計画の中に全然入れておりません。併し通貨の発行高には、これは非常な関係を持つものでございます。若し官廳で中央地方一ケ月の越年資金が出るといたしますれば、四十五億円の資金が要るのであります。若し中労委裁定の二・八ケ月が出るものといたしますれば、百六億という現金の支拂が政府関係だけで行われることになります。若し民間の企業がこれに倣うといたしますれば組織労働者七百万人といたしまして、一ケ月分としても百二十六億が要る。官廳の四十五億と民間の百二十六億を加えますれば、合計して百七十億円の賃金支拂が現金で行われる。その殆んど大部分が日本銀行から出る。こういうことになります。尤もこれはやはり出ましたものが流通いたしまして、更に蓄積になる部面もございますが、これが年末の関係でございまして、どんなに多くても六割程度しか回轉いたしません。又出ます時機が非常に年末に切迫するといたしますれば、その回轉率と申しますか、吸收される部面が非常に少くなりますので、仮りに一ケ月百二十六億円が出たといたしますれば、更に先程申しました年末二千億という数字が百億程度の増加を示すのではないかというふうに考えるのであります。結局先程から賃金企業赤字金融の問題も出ておりましたけれども、物の方が殖えておりませんのに、資金が出ますれば、物價を引上げるだけのことになりまして、貰つた者の方の効用もございませんし、インフレーシヨンがその都度段階を高めていくという状態になるので、政府財政の赤字問題にいたしましても、金融機関の赤字、つまり企業を賄いますための赤字金融問題にしましてもその点にあるのであります。年末資金のごときも全然出さないというわけにはいかないかと思いますが、できるだけ少額、先程からの意味から申しまして、余計出しましても結局物價を上げて購買力を下げるだけのことでございますので、できるだけ少額で我慢して、むしろ配給を年末に際しまして殖やすとか、或いは物價を引下げるとか、年末になるといつも物價が上つて参りますが、それを上らないようにするというふうな方策に政府としては努力されるべきではないかと、こう思うのであります。私の話は政府政策等につきまして、批判する立場でもございませんので、日常仕事をしております上におきまして感じましたこと、やつております仕事の数字等につきまして、二、三午前中から只今にかけて申上げたのであります。  最後に、申上げるまでもないのでありますが、一言インフレと財政との関係について抽象的なことを申上げますれば、御承知の通り近代各國の経済が体驗しましな著明なインフレーシヨンを見ますれば、財政赤字の原因になつていないものが一つもない。日本の当面しつつあるインフレーシヨンもその例外をなすものでないということを私は痛感するのでございます。又このインフレの原因といたしましては、財政の赤字の外に、産業資金の需要、産業方面の赤字というものも金融機関の貸出増加となつたのでありますが、併しこれは産業資金の需要が惡性インフレーシヨンを單独に惹起するということは私の考えでは絶対にないと申しても差支ないのであります。惡性インフレーシヨンの爆発の過程におきましては、金融機関の貸出が顕著に増加するということは事実でありますが、それは財政の赤字に基く通貨の膨脹が先行いたしまして、それに併行して、或いはそれに追随して一般の産業資金の膨脹になるのでありまして、インフレーシヨンの基本的原因は飽くまで赤字財政にあると断じて差支ないと思うのであります。從つてこの財政の赤字を根絶することなくして、インフレーシヨンを終熄することは絶対に不可能であるいうことを私どもは確信いたしております。どうぞ申上るまでもないことでありますが、皆さまの檢討を期待いたします。(拍手)
  22. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は日本総務協会理事長栗原修氏にお願いたします。
  23. 栗原修

    ○公述人(栗原修君) 暫く御清聽を頂きたいと思います。申上げる迄もなくこの昭和二十二年度の一般会計の補正予算は九百二十一億でありまして、当初予算の千百四十五億と合せると二千六十六億円ということになるのであります。それで單に補正予算のみならず当初予算と補正予算を通じまして、全体の豫算について收支の均衡を保持しておる、こういう状態になつております。のみならず普通歳入予算におきましては、歳出予算よりも四十八億円超過しておるわけでありまして、これは当初予算において金融再建補償金の財源の一部として予定した公債收入四十八億円を埋め合せる。そうして両方通じて赤字がない、こういうわけになります。その財源としては普通歳入については増税をやる。又新税を起す。煙草の値上をやる。こういうことをやつて増收を図りますと共に、人件費と物件費について約一割を節約した。これが大体の筋道でございます。この大きな赤字なしの、又本予算の赤字までも埋合せをしたというこの予算は、その量の厖大なる点におきまして國民経済に及ぼす影響は頗る重大であります。インフレの防止の基礎として予算通りの執行が成功するかどうかということは、これは更に重大なる結果を斎らすものであると思うのであります。今後いろいろの関係で歳出の面は節約することはできない。困難である。却つて追加予算でも出るのじやないかということが予想されておる際におきまして、歳入の面というものがどういうふうに行くかということがこの予算の成功するか否やの鍵であると存じます。私はこの際としては問題を極めて限局いたしまして、普通歳入、就中普通歳入の大宗であるところの租税收入について暫く考察してみたいと思うのであります。そこで結局租税收入が果して予定通りにいけるかどうか、又仮りにそれが收入を挙げることができたとしましても國庫の歳入歳出の瞬間的の調整がうまくいくかどうか、こういう問題があるのであります。租税收入が得られますならば予算の執行の基礎が築かれますが、予算の予定の收入が得られなければ歳入に欠陷が生ずる。これは申す迄もないのでありますが、ここで收支の均衡を失いまして、健全財政というものは崩壞する。又租税收入を得られましても、この歳入歳出の時期的の調整というものが十分に得られませんと、この大きな財政支出の影響というものは必らずインフレーシヨシの進行に重大なる影響を生ずるのであります。先ず歳入の点といたしまして第一に所得税のことを申します。この所得税は補正予算におきまして二百五十六億円の増收を見込んでおります。所得税法の改正案はすでに國会に提出されておるのでありますが、この大体の要点は給與所得に対する控除額の引上、扶養親族の税額控除の引上であります。これで相当の減税になるわけであります。又七万円以上の者に対しまして税率の引上を行ないまして、これで増收をするということが、所得税改正の骨子でありますが、併し内容をよく見ますと、補正予算に出ておりまする所得税は、私の推算によりまするというと、増税より減税の方が多いのであります。大体所得税の改正によりましては、税が減るのであります。從つて補正予算外の上において二百六十五億円の増收を見込んでおるというのは、これは自然増收であると私は思う。でこれは誠に大難把な話になるのでありまするが、國民所得から一應見て見ますと、当初予算の編成の当時におきましては、國民所得を三千無乃至四千億まあ四千億ぐらいに見ておつたのじやなかろうかと思うのであります。補正予算の編成当時におきましては九千億と、こういうことを言つておるのであります。これは私が調べたわけではありません。大体政府その他の調べに基いて申上げるのでありまするが、そう言つておるのであります。仮りに当初予算の編成当時國民所得は四千億であるといたしますというと、その当時見積つた所得税は四百十三億であります。一割三厘に当るわけであります。補正予算の編成当時九千億と抑えておるのでありまするが、この所得税は御承知のように予算課税でありますけれども、結局來年の一月には実績課税になるのであります。從つてこれを年を通じて、本予算と補正予算との合計額である六百六十九億円、これが所得税でありますが、これがつまり本年の実績課税になるわけであります。そうするとこの割合を取つて見まするというと七分四厘強に過ぎません。勿論この國民所得という計算がどういうものであるか。或いは信用が置けないものであるかどうか知りませんが、とにかくこういうような状態になつておるのでありまして、通じますというと、その所得税の割合というものは減つておるのであります。勿論この所得の分布状態であるとか、或いは所得階級の変動によりまして國民所得が所得税において、そのまま同率で現われるとは言えませんけれども、こういう推算が正しいといたしまするならば、この補正予算で見たところの所得税の増收というものは、そう見込が過大であるとは申されんと思います。然るに現在におきまして、この收入が確保し得るや否や、これに疑念が生じておるのであります。これは一体なぜであるか、私はいろいろその理由があると思いますけれども、先ず二つ理由があると思います。一つは、所得税が実質上甚だしく負担の過重を來たしておる。こういう点であります。それからその次は、所得税の申告納税制度、これはこの春に税制の改革が行われまして、申告納税制度というものが採用されたのでありますが、この成績がよくない、現によくないという点であります。この二つの点は、現下の経済諸情勢と生活の窮乏と相俟ちまして、脱税競争の現象を現出せんとしておるからであると私は考えます。実質上の負担の過重というのは、要するにインフレ下におきましては、所得の増加というものが貨幣價値の下落に原因しておるのであります。又多くの場合におきましては、今日の所得の増加率よりは物價の騰貴率の方がむしろ上廻つておる、こういうような状態でありまして、実質所得というものは減退の一遂にあるといつても差支ないのでありますが、それにも拘わらず所得税におきましては改正税法案におきましても、基礎控除は四千八百円の据置きである。又税率も据置きであります。又据置きばかりでなく七万円からは税率を引上げておる。こういうことでありますから実際上におきましては基礎控除は据置きであるというけれども、それは基礎控除を引下げたことに等しくなる。又税率は据置きであるといつてもこれは税率を引上げたことになる。引上げました分については無論過大なる引上げになる。こういうわけでありますから実質上このインフレ下におきましては、こういう改正でありますと負担は意想外に増加しておる。もう一つは、所得税の課税の仕方に累進率適用の所得区分というものがある。これが今度の改正案によりましても從來通り残されておる。或いはこれを細分して、そうして從來通りの税率を適用する、或いは引上げた税率を適用する。こういうふうになつております。從つて貨幣價値の下落した今日におきまして、名目的の数量というものが著しく増大しておるに拘わりませず、この累進率の適用所得区分というものが旧態依然たるものでありますから、適用の区分を維持するというそれ自体が税率の引上げになつておる。これが大きな税に圧迫を加えておるのであります。又この実際の社会活動から見まして、産業活動から見まして、事業所得の方面を考えて見まするというと、このインフレによつて得たところの益金というものが、その後のインフレの昂進によりまして、その後に起つて來るインフレの昂進による分の方が値段が高くなる。或いは元賣つた設備なり、商品なりというものは買入れなり、或いは仕入れたりするには余計の金を出さなければならんということになりましてインフレの昂進下におきまして、事業というものは却つて縮小する。或いは元の事業を維持するようなことであれば、借入金を増大しなければ維持ができないといような結果になるのであります。然るにも拘わらずこういう場合におきましても益金に対しましては高率な所得税が課せられる。これで事業をやつておりまするものにもなかなか苦痛が甚だしいのであります。先申しました一つの場合は、これは生活基準に食い込む結果になります。又二の場合は、実際上の負担の重圧になる。三の場合は、事業が縮小するか、結局は亡びてしまう。衰亡するということを意味するのでありまして、これらにつきましては税制改革に当つては私は考慮すべき問題であると思うのであります。ところでいずれも終戦後の経済の混乱の中におきまして、自己の生存権を擁護するために、或いは事業の経営上必要であるというために、いわゆる道義が低下すると言いますか、道義に顔をそむけて、民主主義ということに対しましては頬冠りしておる。そうして脱税競爭が現れるということになつております。それから次に、歳入の確実性ということに対して懸念を持たれまする点は、今年行われました税制改革によつて採用した申告納税制度が甚だ不成績であつたという事実であります。この所得税の自主納税というのは、今までの税法を全く変改したものでありまして、今までの税務のやり方というものは、申上げるまでもなく政府が決定いたしまして無論納税者の申告というものはありますけれども、政府が決定いたしまして、政府が納税令書というものを出して、その令書によつて國民が納めて行くのであります。ところがそれを全然廃めまして、自分で所得を計算して、そうして自分で納税令書というものを書いて、郵便局なり、銀行なりに持つて行つて納めるのであります。税務署とは一切関係ないのであります。こういう非常に高い理想に基いた民主的な税法がこの春行われたのであります。ところがそれが、六月初めに、第一回の申告の時期があつたのでありますが、その申告の成績によりますというと、全國におきまして、予定税の二割にも満たなかつた、これが実情であります。その後予定申告は八月にあり、十月にあつたわけであります。この時期におきまして、予定の申告、或いは前の申告の修正をしたところの修正申告、こういうものがあつたのでありますが、これは数字的に詳しいことは私まだ存じませんけれども、大してよくなつていないということは事実であります。從つて当初予算の四百十億円の約八割程度の額というものが持ち越されて、段々に來ておるわけでありますから、それへ持つて來て、今度の補正予算の二百五十六億というものが加わるわけであります。この五百億円以上の所得税というものは、今後において踏襲されなければならんということになるのであります。そこに問題があるのであります。この多額の所得税見込額は、今まで持ち越されて來ております。十月は納税の時期でありまして、もう年内には納税の時期はないのであります。來年の一月に一回しか残つていない。そこでこの大きな所得税をどうやつて取るのか。これはもう納期は來年の一月一回しかないのでありますから、納税者の修正申告を求めるといたしましても、もう余りその時期は何回もないわけであります。併しこの納税者の修正申告を求めるか、或いは政府が更正決定をするか、これより外に道がないのであります。併し申告については、只今申上げたように、來年の一月一日しかない、残つておりません。又政府が更正決定をする、或いは政府決定をするということにいたしましても、その時期であるとか、或いは徴税の技術の上からいたしまして、どうしても時間的なずれが出て参ります。今年はもう納期がありませんから、假りに政府が更正決定をいたしましても、その收入というものは、來年の一月からぼつぼつ現われる。又一月の確定申告によつて出て來るものは、來年の一月から二月頃までに納まつて來るというわけであります。それは改善されないで見込の二割くらいしか入らないということになると、又そこに政府決定をしなければならん。そうするとその政府決定による收入というものは三月になるか、四月になるか、段々にずれて参るのであります。のみならず政府が一般的の政府決定なり、更正決定なりをするということも相当の摩擦を生ずるということを覚悟せんければならんと思うのであります。望ましいことではないのであります。又かかる一般的の権力の発動、徴税権の発動というものは、先程申しました民主的な所得税の精神に反するのであります。この自主納税の精神に破綻を來たす結果になるのであります。こういう手段に出ることもできるだけ避けなければならんのであります。又必らずしもこのやり方というものは簡單に行われない事情があると私は思います。併しながら何しろ年度末までには非常に時間も短かいのであります。そういう手段に出ずる外はないと存ずるので、あります。無理であることも明瞭でありますが、そこに歳入確保の上に非常な赤信号が出ておると私は思います。私はこの税法の建前から見ますというと、どうしても國民が國家財政を十分認識して、そうして税法を理解して、この高い理想を持つたところの自主納税というものをみずから完遂して、そうして健全財政に協力するという用意を持つような政策を採らなければならんと思うのであります。先程申しましたように六月の申告納税の成績は非常に惡かつた。併し卒直に言いますというと、この春の税制改革に対しまして私どもは政府の用意が十全だつたとはいえないと思うのであります。勿論國民の用意も欠けておつたと思います。今日におきましても税務署から納税令書が來ないからまだ納めておらんというようなことを申す方が少くないのであります。つまり税法の精神というものは國民はちつとも分つていない。徹底していない。況んや自分で納税令書を書いて、郵便局に持つて行くのだというようなことにつきましても、どういう手続をするのだ、どういうふうに書いたら宜いのだというようなことも、そういう卑近なことも少しも分つていないということを、どうも私どもは卒直に申しまして感ぜざるを得ないのでありまして、こういう状態でありますから、私はこのインフレ防止をなすための組織となるべき健全財政を國民が守るということでありますならば、この際國民的の納税運動を起すべきではないかと思うのであります。  次に間接税の徴收のことを考えて見まするに、これは煙草の値上と相俟ちまして大衆課税であるという問題を起しております。私は最近の國民所得が特別の例外は別といたしまして、比較的に、一般的に平準化しておるこの現状、又経済界の混乱によりまして経済界の秩序が十分に整つていない現状におきまして、或いは所得税の納税階級と目せらるる階級が脱落しておる。こういう事情は可なりあると思うのでありまして、一概に大衆と申しましても、直ちに抽象的に一括した大衆とい言葉で以て決めらるべきような、簡單な経済情勢ではないと存じます。從つて大衆の生活基準に食い込むどころか、大衆の購買力を吸收するという意味におきましても、この間接税の税制改正は是認せらるべきものであると私は思つております。実情に即したところの方針をとることが、却つて課税の適正を得る所以であると私は思います。その間接税の高率なるがために、関係事業の経営に影響があるといつてもそれは今日の情勢から見まするならば止むを得ないと思います。併しやはり問題はここにあるのであります。即ち御承知のように間接税の税率というものは、相当高くなりましたから、これに誘惑されまして、ここにも脱税競爭いうものが起らんとしておるということが、歳入徴收上一抹の懸念を與えておると思います。私は租税收入の確保につきましては、前に申しましたように時間的に且技術的に非常な窮境に追い込まれておると思いますから、租税が十分に取れるかどうか、一体健全生財政ですけれども、租税が取れるかというようなことは、これは確かに問題でありまするけれども、取れるということは、今日の民主的な税制におきましては國民、納税者が自分で出すということでありますからしでいこれは他人事としていうべきことでは、私はないように思うのであります。この点は徴税機関の拡充ということは非常に問題になつてくるのです。私は必ずせんければならぬ問題だと思いますけれども、國民もこれを理解するような國民的な運動を起すことも、これは必要なことであろうと思うのでありまして、その必要を申しますのはそこにあるわけであります。併し國民運動と申しましても、只今申しましたように税法の民主主義ということは、非常に高いところの理想からきておるのでありまして、これは國民文化が相当高度化しなくては行われないものである。殊に今日のように経済の混乱した時代においてこれを行うということは非常に困難なことであると思うのでありまして、この國民運動も一時的の運動では到底成功は覚束ない一つの力を持つた強力な、且恒久的な運動を行つて行く必要があると思います。ただ併し差当り本年度の健全財政が成功するかどうかという、この差当りの問題としては、そういう高い理想を実現するということでなくして、財政に対して國民が関心を持ち、租税法の理解に努める。こういう方策を講じますとともに、手続等につきましても十分周知せしむるところの手段を講ずる必要があると思うのであります。次に租税收入がかくのごとき状態でありますから、國庫の收支の均衡ということは、私は相当破れておるのではないかと思います。丁度幸いに只今川北日銀副総裁が数字的に申されたのでありまして、私もここにそれを伺つておつたのでありますが、正にかくのごとく相当均衡は破れておるのではないかと、感じたのであります。で、先程も数字を挙げて申されましたように、本年の所得税その他の租税收入というものは、予定から甚だ少いのでありますからして、國庫の撒布超過というものが相当大きくなる。これが年末にさしかかつて現われてくるのでありまして、而もこの政府の撒布超過というものは、年末におきましては、吸收率が惡いために非常に残存するという傾きになる。ここに日本銀行劵の増発が行われまして、インフレに拍手をかける、こういうことは見え透いているのであります。で、今度の所得税の改正にいたしましても恐らくこの收入が來年の一月から三月頃、或いは四月になつて漸く入るのじやないかと思う節もあるのであります。非戰災者特別税は税法に決めてありますように、來年の一月これが納期になつておるのでありますが、この申告納税なり、或いはその他の税が成績が惡くて、これに対して政府が政府決定をする。更正決定をするということになると、三月には間に合わなくて四月になる。私は四月には相当の大きな歳入を見込んでおると思います。こういうふうな関係でありまして、成る程理窟から申しますというと、來年の一月から三月までの間においては、相当所得税も非戰災者特別税も取れるから、政府資金の撒布超過というものは取り返せる。こう一應はなるはずでありますけれども、併し今から年末に掛けて、又春に掛けての兌換劵の増発、財政資金の壓迫というものが、そこに大きい現われまして、インフレーシヨンの大きく影響を及ぼすのではないかと思うのであります。この危險が非常に大きいのでありまして、私は先ほど申しましたように、所得税にしても取れるのではないか、歳入の方におきましても、そう缺陷を生じないでもできるのではないかと思うのでありますけれども、現実の問題として、かような状態になつておる。私は歳入歳出の調整ということにつきましても、大いに警戒を要するかと思うのでございます。いずれにしましても、本年はなかなか間に合いませんけれども、この民主主義の税制というものは、もう少し國民に徹底をして、國民が租税というものに対して、國家財政というものに対して、もう少し関心を持つという強い運動を起して、そうして財政危機を救うということでなければいけないのではないかと、かように存ずるのであります。これを以て終ります。
  24. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 次は王子製紙株式会社の取締役金子佐一郎氏にお願いいたします。金子佐一郎君。
  25. 金子佐一郎

    ○公述人(金子佐一郎君) 私はこの追加予算その他を拜見いたしまして、いわゆる官業の合理化をやつた方がいいとか、或いは行政整理をすべきだとかいうような、今迄に縷々論じられておりますような問題については触れませんで、私自身が日頃事業会社といたしまして、直接関係いたしておると思われることについて、お話を申上げてみたいと思います。  それはこの予算の場合におきまして、歳入となるべき項目が果してこれか完全にその收入を全うし得るかどうか。即ち無理なところの歳入計画をなされるというところのものがあれば、勢いそれが自分の我々の会社においても考えておりますように、民間会社に対する官廳の支拂が、非常に一般民間会社間の支拂よりも非常に遅延する。これなども税務におきましてもすべてのそれらの点について、滯納があり、從つて歳入が入らないために、支出面において無理が生ずるという結果になるのじやないかと思います。このような点を考慮いたしまして、私は追加予算において、歳入に見積られておりますところの價格差益金、それから非戰災者特別税について、この点を限りまして、ちよつと意見を述べさせて頂きたいと思います。價格差盆の問題はこれはマル公改定時において、ストツプになつておりますものに対する差額を徴收されるという意味合のものでございましようが、これは販賣業者その他の場合においては適切であるかも知れませんが、製造業者におきましては、これは特別の考慮を拂われなければならんものだと存じます。現に七月の五日以降政府は新物價体系というものを取上げられまして、石炭或いは運賃、これらを初めといたしまして、逐次すべての物價の公價を改訂されました。仮りに当社、王子製紙株式会社におきましても、続いてそのマル公が改訂さるべきことを予想しておりましたものが、すでに十月になつてマル公の改訂ができたわけでございます。この三ヶ月間のずれにおいて一億五千万円の價格、いわゆるずれの赤字が出ました。結局十月一日にマル公が改訂になつたときのストツクは、すでにその当時の價格にまで引上つておりまして、價格差というものが出て参りません。つまり新マル公に匹敵すべきところの製品が貯藏されておりましたために、結局ここに差益として出てこない。だがこういう点を考えて見ますと、今後こういうような價格差盆をお取りになるような場合においては、そのマル公改訂についても十分考慮を拂われて、結局実質的に取れるというような恰好においてなさるべきではないか。特にこの製造会社においては、どこも同じような結果になつていると思いますので、特に御考慮を拂われたいと考えるのでございます。  それから非戰災者特別税について申上げたいと思います。この非戰災者特別税の問題につきましては、事情止むを得なくてこれは徴收されるものと思いますが、燒けた者から見ますれば、これが一應燒けなかつたという者との公平を期せられるという点については、勿論或る意味において異論がないのでございまするが、これを強く徴收するということになりますと、税の負担力という問題を考えなければならない。即ちこれを事業会社から強く取立てますれば、結局生産阻害の原因となると思います。それから実質的にこれを取り立てようとしても、事業会社は今日殆んど経営に対するところの資金すらも事欠いておりますのを、これを無理に取り立てるといたしますればこの資金をどうするか。どうして支拂うかというような問題も出で來るのじやないかと存じます。そしてこの金は銀行から借りられるかというと、私は銀行では貸しますまい、若しも貸すと仮りにいたしましても、結局日銀からそれだけの資金が出て行くとすれば、赤字金融を通じて却つてインフレを促進する虞れがあるのじやないかというような心配をいたしておるのであります。これを少しく詳細に亘りまして検討いたして見まするのに、先ず個人の場合に対する影響を考えて見ますれば、これは免税点が低くお定めになつたり税率が高いような場合がございますれば、結局いわゆる收入の少い人間、端的に申しますれば勤労階級の課税負担となりまして、それが勢い給料、賃金のいわゆる増額要求になつて現われることは必至だと考えるのでございます。かかる場合におきまして、現在の労働攻勢に更に拍車を掛けるということになりますならば、結局各会社において、それが果して負担能力があるか否かということを我々は考えなければならない。又仮りに無理にこれを負担するというようなことになりますならば、結局原價の割高を引起しまして、いわゆる原價高を引起します。從つてインフレに大きな影響が出るのじやないかというような心配をいたしますので、この点については十分免税点その他について御考慮を拂われることを我々は希望して止まないのであります。  それから法人へ課税されることを見ますのに、先程申上げた通り、各事業会社というものは、最近においてはすでに御承知の通り運轉資金に非常に困つておりまして、これがために、随分苦慮しておる際高額な税金を、非戰災者特別税なるものを負担いたしまするならば、それは何等日常の運轉資金とは違いまして、別途な支出でございますために、いわゆる生産資金というものを圧迫いたします。從つてそれがために延いてそれを強く拂いますなれば、原材料の手当というようなものができなくなり、そうしてこの点について若しも別枠で以て資金を借りようといたしますれば、これは到底無理じやないかという心配がございます。金融業者についてこれも一應我々としてお話をして見ましたけれども、そういう場合に到底金は貸せないだろうということを強く言われました。若し日銀の貸出しを通じていたすようなことがありますれば、勿論インフレを促進する心配が多分にあるのでございます。そうしてこの納税負担額を特別損失といたしまして、資本又は債権の負担においてこれを支拂うということになりますれば、これ亦金融機関、従つて延いては預金者の負担を増大して、國家補償を増加させるような場合も生ずるのであり、即ち特別経理会社において擬制資本の打切りでインフレを抑えようというようなお考えが、これが反対な現象になるという心配があるのでございます。  更にこの税金において、高率の課税をいけないと我々が考えまする理由はいろいろございますが、この課税対象、課税標準から見まして、所得又は財産に対する負担の公平が、課税技術上到底期し難い点にございます。この点は縷々外の所でも問題になつたように思いますが、これはこの税金の性質を私思いますのに、一種の財産税であろうと思うのです。所得に対する均衡を一應論外に置くといたしましても、課税対象としての財産には家産と一部の動産に限られておりますので、尚この課税標準になるものが非常に粗雑と申してよろしいか分りませんが、粗雜ないわゆる賃貸價格において、これにただ一定の倍率の課税をいたすというようなことは、負担の公平の点から見ましても、これは合理性がない方法だと考えるのでございます。勿論この賃貸價格を採用されるということになつた大体のお考えというものは、これは何を基準にいたしましても、なかなかこういうものに対して負担の公平はでき難いというような点から、止むを得ずこれを採用されたというような心持は、政府の考えられた点は、よく我々にも分るのでございますが、ただこういうような根本において粗雜な課税基準を採られたのでありますから、十分そういう点について考慮を拂わなければならないのじやないか。そうでございますから税率を高くすれば高くするほどそういうような矛盾が強く出てくるということを十分考慮されることが必要でないかというふうに考えるのでございます。  それでこの物的財産税を以て当面緊急の財源になさつて、インフレ防止の目的を達しようというところに、根本の矛盾と無理が伴うのじやないかと考えるのでございます。でございますから本税は若しこれを実施なさるとするならば、專ら戰災者と非戰災者との負担の均衡という社会政策的観点と申しますか、これに重きを置いて、経済的考慮については税率をできるだけ低くいたして、そうして免税点を高めて頂く、一方生産阻害に陷らないように御注意を願えればよろしいのじやないかと我々考えるのでございます。で健全財政の本來の意義、本來の目的からいたしますならば、むしろこれは一般に強く言われておりますように行政整理をして頂く、あるいは産業の合理化を図つて頂く、あるいは國家経済の節約というようなことを特に考えられて頂きたい。更にこういうような税金を若しも課せられるということを強く考えられるならば、半面いわゆるインフレ階級と申しますか、新円階級と申しますか、こういうような徴税上のむしろ困難があると思われるところの、いわゆる所得階級、こういうところに何らかの研究を願いまして、合理化されたところの徴税をして頂きたい。即ち、我々から見ますれば、取立てやすいところから取立てるということが從來の税制の点において無理があるのじやないかと思う。つまり眞面目なところに勤めておるとか、官吏であるとかいうようなところはびしびしと高い勤労所得税を取られる。これは國家に納めることについては異議はございますまいが、併し一方こういうようなインフレ階級が、いわば課税から逃れまして安んじておるという矛盾、これは技術的の問題を解決いたしますれば、おのずからこの問題は解決するのであります。これは非常にむずかしい問題でございます。又政府においても十分考えられておるけれども実行できないという点もございましようが、これを一段強く取上げて、こういう点税金の代りに御考慮願う方が妥当ではないかということを附加えておきたいと思います。  尚今まで申上げましたものを実施するに当りまして、趣意を十分徹底する意味において纏めまして、次に特に考慮を頂きたいという点をお話申上げておきたいと思います。先ず税の減量に対する処置について希望を述べさせて頂きますならば、非戰災者税については、戰災者、引揚者というものは政府も考慮されておりますが、その外に在外財産を失つたもの、あるいは賠償指定の物件につき一定の割合以上を失つたもの、それから特経会社で特別損失がすでに資本債権に及ぶ状態にある場合ということを十分考慮して頂きたい。特に在外財産は、私ごとになつて甚だ失礼かも存じませんが、王子製紙株式会社などはこの八月、終戰時に八月十五日におきまして、樺太、満洲、朝鮮、南方の諸工場、会社の六割を失つております。かかる会社もありますので、特に在外財産を失つたものはこの免税点の中において十分御考慮頂くことを、これは私どもの会社を申上げたことは惡いのでございますが、一方同様の会社も沢山ございましようと思いますので、そういう会社の立場も考慮いたしまして、特にお願いいたす次第でございます。  それから非戰災者家屋税についても、この特経会社の特別損失がすでに資本債権に及ぶ状態にある場合においては、これは是非とも減免願いたい。そういたしませんと、これをお取りになるならば、結局その会社が負担するのにあらずして、その債権者即ち金融機関の負担にも轉嫁せられまして、それが預金者にも及び、あるいは國家補償にも及ぶというような影響が大変ありますので、こういう点も御考慮願いたいのであります。それから進駐軍に接收された建物並びに終戰後火災水害等を蒙つた建物等に対する非戰災者家屋税を減免して頂きたい。尚このような同樣の理由と認められました物件については納税者側からよく事情をお聽取り願いまして、あるいは減免、いわゆる申請制度をお設けになつて頂いても結構だと存ずるのであります。  それから特に法人課税上で経理の処置についてお願いいたしたいのでありますが、この法人の非戰災者家屋税と申しますのは、当該建物が負担する一回限りの税金でございますので、会社の希望によつては、或いは選択によつては、不動産取得税とか登録税と同じように、この税額を記帳價額に加算して頂きまして、損費が出ないというような経理の特別措置もお許し願えれば大変幸だと思います。即ち或る会社は数百万円或いは数千万円のこの非戰災者特別税を負担する会社も出て来るというようにも承つております。かかる会社はこれらの問題を一時に損費に出すということは、非常に不可能であります。而してそれを出します場合には、特別損失に影響して、多くの金融機関その他が非常な影響を蒙りますので、一應これを記帳價額に加算して頂きますれば、現在の記帳價額はインフレによつて建物その他の非常に時價は上つておりますので、これを加算いたしましても、あと大した影響がないのじやないか、そういたしますればその後の処置は、固定資産の償却というような恰好によりまして、この問題は自然と片付いて参りますので結局会社の影響に帰するところは少いんじやないか、若しもこれができませんでございますれば、一時これを繰延資産といたしまして繰延べさして頂きまして、これを將來において損費に立てるというような方法もお許し願いたいと考えるのであります。ただ一番最後に大きな問題として申上げたいのはこの納税資金をどうするかという問題であります。これは各社当つて見ましたけれども、この税金は営業上から出ますところの何らのこれに対應する收益がございません。ただ使つておる建物に急に税金がかかつて来る、或いは現在持つている資産というものに対する戰災を免れたいわゆる資材その他に対してやはり課税は来る、非戰災者税としてかかつて來るというようなことでございますので、まあいわば降つて湧いたような税金でございますので、これを営業税とかいうような支拂の財源がございませんので、これはどうしたらいいかということを非常に心配しておるわけでございます。即ち早く言えば理窟が立つて課税がされましても、実際支拂うことが不可能であるということになつては、政府としても、先程前提として私が申上げた通り、結局恰好たけで、実際のものが入つて來ない、いわゆる滯納は沢山できる、それでは結局何もならんというわけで、特にこの問題については延納、事情によつては或る程度の延納をお認めになる、これもお認めになる御意向はございますが、特に長期の延納をお認めになり、國債、融債、地方債或いはその他の有價証券によつて代納さして頂く、或いは会社の増資或いは新社債の発行というようなことをさせまして、この増資株なり或いは社債なりで、一應これを以て代納せしめるというようなこともお考え願えれば、私どもとして非常に幸だと思うのであります。甚だなんでございますが、自分の意見だけを申上げたわけでございますが、これがいわゆる非戰災者特別税に対する意見として、できるだけ御採用願えれば大変有難いことだと思います。これを以て私は終りといたします。
  26. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 公述人の方々に特にお礼を申上げたいと存じます。本日は誠に御多用のところを、予算委員会のために公述して頂きまして有難うございました。明日午前十時より再開いたすことにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            西郷吉之助君            中西  功君    委員            波多野 鼎君            原  虎一君            石坂 豊一君            小野 光洋君            左藤 義詮君            鈴木 安孝君            寺尾  豊君            深水 六郎君            伊東 隆治君            大島 定吉君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            佐々木鹿藏君            田口政五郎君            鈴木 順一君            飯田精太郎君            岡部  常君            岡本 愛祐君            奥 むめお君            川上 嘉市君            島津 忠彦君            島村 軍次君            服部 教一君            東浦 庄治君            姫井 伊介君            渡邊 甚吉君            池田 恒雄君            川上  嘉君            藤田 芳雄君   公述人    労働総同盟副主    事       高野  実君    東京大学教授  大内 兵衞君    日本銀行副総裁 川北 禎一君    三菱重工業株式    会社取締役   加藤 戒三君    港區區会議員  村上 秀子君    安田銀行頭取  井尻 芳郎君    日本大学名誉教    授商学博士   井上 貞藏君    日本税務協会理    事長      栗原  修君    王子製紙株式会    社取締役    金子佐一郎君