1989-12-05 第116回国会 衆議院 本会議 第12号
こうしたソ連脅威という大義名分を振りかざす一方、防衛費は四年連続してGNP比一%枠を突破し、自衛隊の行動範囲も洋上防空へと年々拡大し、兵器はイージス艦のハイテクによる重装備化など、昨今の我が国の軍事力増強路線は、ニューデタント時代に逆行しているのではないかと多くの国民が不信感を抱くのも当然かもしれません。
こうしたソ連脅威という大義名分を振りかざす一方、防衛費は四年連続してGNP比一%枠を突破し、自衛隊の行動範囲も洋上防空へと年々拡大し、兵器はイージス艦のハイテクによる重装備化など、昨今の我が国の軍事力増強路線は、ニューデタント時代に逆行しているのではないかと多くの国民が不信感を抱くのも当然かもしれません。
GNP比一%枠撤廃による防衛費の増額傾向を初め、シーレーン、洋上防空への行動範囲の拡大、自衛隊の重装備化など、時代の流れに逆行する軍事力増強路線は、専守防衛の枠組みを逸脱するばかりか、我が国が国際的に貢献すべき使命を忘れ、平和憲法の精神を空洞化させるものであります。総理、この軍縮下の軍拡という予算措置について御見解を伺いたい。 我が国は、世界経済GNP一・五割の国であります。
いまや日本で、この果てしなく自己増殖を続けていく軍事力増強路線に歯どめをかけられるものがあるとするならば、ただ一つこれだけなんです。憲法を守れ、憲法の原点は非武装中立じゃないか、これでやっと歯どめがかかっているのです。だから、あなたたちもここまでいきたいと思っても、憲法のたてまえ上できませんと言わざるを得ない。確かにブレーキになっているのです。
総理の軍事力増強路線の背景には、太平洋戦争に対する誤った認識があるのではないかと、この発言を通してうかがわれるのであります。東南アジアの諸国が教科書の問題で指摘したのも、この点ではありませんか。総理の御認識のほどを承りたいのであります。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 第三は、政府の行政改革と大衆増税導入との密接不可分な関係についてであります。
厳しい財政事情の中で防衛予算の伸び率を突出させることが軍事力増強路線を強く印象づけ、国民に不安と政治に対する不信感を高めている。五六中業の実施等により、政府方針としてきた防衛費のGNP一彩以内とする歯どめを突破することはもはや時間の問題である。したがって、一般会計の伸び率を超える部分については、政府がみずから削減することを強く要求したのであります。
しかしながら、厳しい財政事情の中で防衛予算の伸び率を突出させたことは、いかに言いわけをしても、国民的合意を得られるものではなく、軍事力増強路線を強く国民に印象づけ、不安と政府に対する不信感を高めたのであります。 五十七年度の防衛費は、他の事業予算がゼロシーリングで厳しく抑制された中で別枠扱いされ、概算要求よりも上回る伸び率七・七五%を認めたのであります。
アジア諸国をはじめ世界各国が、わが国の軍事力増強路線に重大な脅威の危惧を抱くのは、わが国の経済力の向かうところが軍事的脅威として著しく成長することを予測しているからであります。