1987-12-15 第111回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会 閉会後第1号
しかしながら、米ソ交渉が進展を見せないままソ連のSS20配備増強が続けられましたために、米国は西欧防衛のための抑止力の信頼性を維持強化するべく、さきのNATO二重決定に基づきまして、一九八三年末から西欧へのパージングーⅡ及び地上発射巡航ミサイルの配備に着手いたしました。ソ連はこれを不服として、一九八三年十一月、一方的に交渉を離脱し、INF交渉は中断いたしました。
しかしながら、米ソ交渉が進展を見せないままソ連のSS20配備増強が続けられましたために、米国は西欧防衛のための抑止力の信頼性を維持強化するべく、さきのNATO二重決定に基づきまして、一九八三年末から西欧へのパージングーⅡ及び地上発射巡航ミサイルの配備に着手いたしました。ソ連はこれを不服として、一九八三年十一月、一方的に交渉を離脱し、INF交渉は中断いたしました。
次にドイツ参議院におきましては、この五月十日、我が国の防衛分担金、安全保障諸費に匹敵します西欧防衛に対しまする分担金二十八億ドルを断固否決したわけであります。
残された道は、ドイツ人が西欧防衛の一翼として一体化されることであり、そのためには、第一にドイツ再軍備に先だつて、北大西洋條約加盟国の再軍備を急がなければならぬ。第二には、旧ドイツ軍の復活を許さぬように、西欧統一軍の中に一体化されなければならぬ。第三には、ドイツ人自身との合意の上に行われなければならないという、以上の点を二月十二日の下院における外交演説の中で強調しておるのであります。
その目的のいかんにかかわらず、あるいは自分たちの勢力をふやすために、あるいはアメリカが日本を大して重要な戰略地域でないと考えて、西欧防衛第一主義に持つて行こうと考えている、その空虚をねらつてやつて来ないとも限らないわけでありますから、日本といたしましては、それがために警察予備隊を増強するとかなんとかいう考えがなければならぬ。
彼らの西欧防衛第一主義の主張と考え合せてみますと、そこに多くの疑問を生ずる余地があるのではないかと思う。政府のこれに対する判断、すなわち再武裝を強制しないということ、また日本が希望するならば、講和後に日本本土と周辺に軍隊をとどめてもよろしい。この意味に対する政府の御判断をお伺いしたいと思います。
もしアメリカその他国連の意向が西欧防衛第一主義に移行いたしまして、極東特にこの日本を軽視するようなことがあるといたしますならば、しかして国連軍が朝鮮から撤退するというようなことになりますと、全線にわたつて至るところにゲリラ戦が起ることは必至であると思うのであります。
この西ドイツの再軍備につきましては、アメリカは大体西欧防衛態勢を急速に活発化するという観点から、西ドイツを含む強力な西欧防衛軍設置を主張いたしておりますのに対して、フランスはドイツの復活を恐れる根強い国民的感情から、まず英仏軍の強化を第一に主張いたしまして、西ドイツ再軍備反対の立場をとつておるようでございます。イギリスはその両者のちようど中間的な立場をとつておると考えられます。
対外的には西独の参加する西欧防衛軍の創設が絶対に必要であり、対内的には現在地方分権的な西独警察の再組織が必要であるということを強調されておるのであります。実状を見ますと、東独は人口千八百万に対しまして、警察力は二十七万人、そのうちには重火器による軍事訓練を受けている六万の予備隊がいる。