1954-08-10 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第68号
先般石川県の小松税務署に参りましたときに、差押えをいたしますのに、警察官を連れて行つて差押えをしているという件が現われているのであります。納税者が差押えを拒否している場合におきましては、警察官を連れて行くことは当然でありますが、何も拒否していないのにかかわらず、おまわりさんを連れて行つて差押えを強行した。
先般石川県の小松税務署に参りましたときに、差押えをいたしますのに、警察官を連れて行つて差押えをしているという件が現われているのであります。納税者が差押えを拒否している場合におきましては、警察官を連れて行くことは当然でありますが、何も拒否していないのにかかわらず、おまわりさんを連れて行つて差押えを強行した。
ところが税務署の方は非常に早くて、自動車のバツク・ナンバーなんかも全部持つて行つて差押えなんかを完了しておる。ですから、あとからのこのこ行つても何もない。そうして競売に付してもらおうとすれば、全部よそがとつて、せつかく先取特権がありましても、一銭も賃金はだめなのである。そういうような状態で、いつ事業主が逃げたかわからない状態である。
また、これは預金者の金でありますから、裁判所へ行つて差押えでもするならば、いやでも応でも大蔵大臣が吐き出さねばならぬ金であります。そういう非常手段をとられて、そんなにまでして吐き出すよりも、これは国に帰属すべき金でもないし、おそかれ早かれ当然支払つてやらねばならない問題でありますから、ぜひ支払うような手続を、ほかの法制と同様に同時にとつていただきたい。
判事のところに行つて差押え令状を申請しませんなら、判事は知らぬから出さない。そうすると警察官の手でいくらも伸縮ができる。私どもは相当その裏の裏までわかつている。そうすると、こういう規定を置いて実はある家を看守したいためなんです。なるべく長い間看守したい。そうすると、その家に対する差押え令状というものなどはいくらでも延ばすことができる。いつまでなどという期限が一つも書いてない。
しかし国の大蔵省が、あるいは国税庁が行つて差押えをしたり、あるいは競売をしたりしているように、無慈悲な取扱いをしてまでも取立てるというようなことは、地方の自治体としては実際上の問題として困難であります。こういうものは国税において苛酷に仮借なくこれを取上げるから、地方もその通りにせよというような、もし大蔵大臣のお考えだとするならば、地方の自治体の破壊であると私は思うのであります。
たとえば差押えに行つて、差押えに行かれた人は盲の人なんです。何に來たかわからない。そういうのを、これとこれは差押えると紙に書いて盲の人にただ判を押さして差押えておるというような事実もある。こういう場合には大衆の方が憤激するのは当然だと思う。そういう点はあなたの方でも愼重にやつて行かなければならぬと思う。
また地方税を確保するために、これに対する差押えの処分として、徴税吏員が滯納者のところに行つて、差押えをする物件を的確につかむためにやるのだという事情もわかるのでありますが、しかし今申しましたように、これは責任ある司法当局の令状がなければできないのだというふうに、一般的に憲法で規定してあるとしますれば、單なる地方の徴税吏員、單なる一行政官であるところの警察官が必要と認めたときというような規定は、憲法の
今日租税は限界点に達した、地方税は倍にする、こういうようなことで國民負担は、中央の負担が重い上に、地方負担は倍になるというようなことでは、私は地方が悲鳴をあげるのがほんとうで、國民は非常に苦しみを受けて行つて、差押え等でつぶれてしまわなければならぬという結果が、中央、地方の秘攻めで起つて來る。