1997-11-25 第141回国会 参議院 法務委員会 第5号
そういたしますと、基本的には自由を束縛し一定の定役を科す懲役刑か、あるいは定役を科さない禁錮刑か、あるいはそれまでに至らない罰金刑かというふうな観点から定められており、なおかつこれは個人が対象でございますので、罰金刑そのものもいわば何といいますか、法外な金額というのは刑法の建前からいってもそれほどございません。
そういたしますと、基本的には自由を束縛し一定の定役を科す懲役刑か、あるいは定役を科さない禁錮刑か、あるいはそれまでに至らない罰金刑かというふうな観点から定められており、なおかつこれは個人が対象でございますので、罰金刑そのものもいわば何といいますか、法外な金額というのは刑法の建前からいってもそれほどございません。
そこで、外国の法制等ばかり言って恐縮ですけれども、罰金刑そのものの定め方についても外国法制で検討する余地のある問題がまだ残されていると思います。といいますのは、罰金刑というのが一つはお金持ちには罰金の与える影響度合いと苦痛が少ないが貧乏人には少額であっても厳しい、こういった罰金というものに本来つきまとってくる欠点といいますか、そういった問題点が一つあるわけです。
そこで、私どもは、この提案理由の中にもございますような、現下の罰金というものは経済事情の伸展に伴って非常に財産的な苦痛というものが少なくなってきておるという意味で、罰金刑そのものの本質からくる機能の低下というものがまず非常に顕著なわけでございます。
罰金刑が科せられるのが刑法犯の場合には通例でございますが、過失犯的なものについては相当再犯の防止に役立っておるというような数字が出てまいりますけれども、これに反しまして、一定の売春事犯でございますとかあるいは暴力事犯でございますとか、そういうものにつきましては、この過失犯の場合に比べまして再犯の率が高いという数字が出ておりますが、これは一つの試験的な、試験をいたしました結果でございまして、必ずしも罰金刑そのものに
罰金刑そのものの内容はあくまでも犯罪の防止ということが根本の趣旨ではなかろうかと思います。これでこういう予算を立てて、そして予算に見合う歳入をはからなければならないということになりますと、相当力を入れて摘発しなければならないというようなことも心配するわけですが、そういう点はどういうようなお考えでしょうか。
これは罰金刑そのもの自体がそうなのですけれども、それが端的にあらわれるのが労役場留置ではないかと思うのでございますけれども、先日の所得税違反のある高額な罰金刑に処せられた場合などでは、この換刑処分の場合の一日の換刑額というものが非常に高額である。そしてまた、普通の場合は一日の換刑額というものがたいへんに低額に計算されている。
これをこのままにほうっておきますと、もとより経済事情にマッチしない罰金刑であるという点において、罰金刑そのものの効果も低くなってまいります上に、現実の裁判におきましてたいへん不自由なといいますか、不都合な結果が出てまいったわけでございます。このいわゆる頭打ち現象というものが、昭和四十三年ごろから大体出ておるということになるわけでございます。
業務上過失の中には、先ほど来申し上げました、今回の刑の引き上げを考えなければならないような非常に重いものと、非常に軽いものとあるということは御承知のとおりでありますので、その意味におきまして罰金刑そのものは引き上げないということにいたしておるわけであります。