2016-12-13 第192回国会 衆議院 法務委員会 第16号
もっとも、これらの趣旨に鑑みますと、例えば過失に基づく不法行為については、相殺を許しても不法行為を誘発するおそれは乏しいと考えられますし、不法行為債権の債権者が無資力になった場合には、相殺禁止によってむしろ当事者間の公平を害する事案も生じているとして、五百九条の趣旨に反しない限りで、相殺禁止の範囲を現行法よりも狭くすべきであるという指摘がされておりました。
もっとも、これらの趣旨に鑑みますと、例えば過失に基づく不法行為については、相殺を許しても不法行為を誘発するおそれは乏しいと考えられますし、不法行為債権の債権者が無資力になった場合には、相殺禁止によってむしろ当事者間の公平を害する事案も生じているとして、五百九条の趣旨に反しない限りで、相殺禁止の範囲を現行法よりも狭くすべきであるという指摘がされておりました。
不法行為等のところにもう一回戻りたいんですが、御指摘のとおり、今回の改正案にあるようなケースだけ相殺禁止をする、不法行為等の債権ですね、それは非常によくわかるんですが、もともと条文上は制約なく、不法行為等による債権であれば相殺対象にしないというものが、改正によって制限をされた、限定をされたわけなので、気をつけないと、限定という部分が強調されて解釈をされるおそれがあるんじゃないかと思います。
倒産実体法に関する課題の第四といたしましては、相殺禁止の範囲の見直しということを挙げることができます。取引の安全を害しない限度で債権者間の公平を図るために相殺禁止の範囲を拡大しているところでございます。
それから、例えば株主が出資を会社に対してする義務があるわけでございますが、その義務と株主の会社に対する債権で相殺してしまって現実には会社にその資産を提供しない、こういうことになりますと、会社の計算上はこれはプラス・マイナス・ゼロなんですが現実の財産は入ってこないというような相殺禁止の規定。
しかも、それが長期にわたる航海であるというような海上労働の特異性に基づく点から発生しておりますので、基準法十七条のように全面的に相殺を禁止するということは、逆に融資の道を閉ざすような結果にもなるというような考え方で、三分の一を限度といたしまして相殺禁止を解除しておるという考え方でございます。
ただ、この民法の相殺禁止の規定は、債務者の側からする問題でございまして、ちょっと逆の場合かと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういう相殺禁止の問題はいろいろあるわけです。事例があるかということでございますけれども、これは私どものいままで知り得た範囲では、事例はないようでございます。
それからそのほかの出資金額均一の原則であるとか相殺禁止の規定とかは、他の法制につきましても同様の原則でございますから説明は省略いたしまも持分の譲渡及び共有禁止の規定につきましても、これは会社と協同組合との建前の相違から來る規定でございまして、これも御説明は格別する必要はないと思います。