1957-03-11 第26回国会 参議院 予算委員会 第7号
すなわち過去十年の日本の歩みというものはいわゆる保守陣営でありまして、しかも民主自由陣営と申しまするか、西欧陣営に入って進んで参ったのであります。もちろん日本の講和条約ができ上りまして以来の日本は、あくまでも自主独立の精神をもって進むべきであるということについては、疑いを持たぬのでありまするけれども、古い言葉に、君子は和して動ぜず。
すなわち過去十年の日本の歩みというものはいわゆる保守陣営でありまして、しかも民主自由陣営と申しまするか、西欧陣営に入って進んで参ったのであります。もちろん日本の講和条約ができ上りまして以来の日本は、あくまでも自主独立の精神をもって進むべきであるということについては、疑いを持たぬのでありまするけれども、古い言葉に、君子は和して動ぜず。
それは要するに東西両陣営と申しますか、共産陣営と民主自由陣営の争いのことが根本になります。ダレス長官は非常にこれを深刻にまだ考えておることがよく看取されました。ソ連は決してこの革命以外の目的に変更したわけではない。そこで戦術はいろいろ変更しておる。自分がアジアに来て、アジア方面のソ連の新しい経済的な施策なんぞを見てもそうである。これに対してはあくまで自由民主国としては協力をして進まなければならぬ。
そうですから戦術的に変ったと見ても、今日ジェネーヴ会議が開かれ、その他の情勢から見て、いわゆる東西両陣営、つまり共産陣営と民主自由陣営との間に漸次融合する、緊張を緩和していく余地があるならば、これは私は実際問題としてそれを利用もする、助長をしていくのが私は当然のことだと考えておる。そのときに、いやキャラクターが変っていないのだから、用心をしろ、こういうこともほんとうでございましょう。
従いましてジュネーヴ会議におきましても、民主自由陣営と申しますか、米英仏の方面においては、極東問題は一応取り上げない、取り上げたくないということになっておるととは、われわれも的確に情報を得ております。しかしながら、議題は関係国が提起することは、追加することはでき得るのでありますから、もしソ連がこれらの問題をも議題にしたいということになれば、これは議題になり得る状態であると判断されます。
私は今の国際間、特に民主自由陣営と共産陣営との争い、これが今申しました通りに、互いに力——原子爆弾の競争までもやっておるので、これが少しも結末がつきません。つきませんのみならず、私の演説にも申しております通りに、民主自由陣営の方で、いろいろと力、つまり武力同盟まで進めて来ておる。相手ははっきりと共産陣営であるということを申しておる。
アメリカとの関係は、民主自由陣営の中におる日本として、そして条約上の関係を持っておる日本として、アメリカとの協力関係を基調といたすことにきまっておるのでございます。しかし同時に平和外交の一環として、今日まで法律的に戦争の状態にある共産陣営との平和を回復したい、こういうことで進んでおるのでございます。
そこで基礎的に、今日日本が民主自由陣営の一員であるということは、これは日本が置かれたきまった地位である。これは事実問題であります。しかしそれだからといって、民主自由陣営の強国の意のままに動くということでは、むろんないのであって、日本としてはあくまで自主独立の立場をもって、すべてものを考えて外交も運営しなければならない、こういうことになるので、それは疑問の余地がないところであろうと私は思います。
そこでこれは前にも申上げたと思いますが、日本の今置かれている地位はどこにあるか、世界が民主陣営と共産陣営と争つている、日本ははつきりと平和条約によりその他の条約によつて民主自由陣営に置かれているというこの地位は、私ははつきりしていると思うんです。併しそれならば、民主陣営におるから、民主陣営の強力な国の従属的のものであるべきであるかということになりますと、私はそうじやないと思う。
まあサンフランシスコ条約で重要な民主自由陣営の諸国とは国交が回復したのでありますが、その後アジア方面においては共産国でない国、新らしく国を建てた特に我々の身近く感ずるこれらの国々の立派に建設されるということは、これは大きな意味において日本のためにどれだけ有益であるかわからないわけであります。通商貿易の問題の物質的の方面を取上げて言つても、これは急がなければならん。