1949-09-20 第5回国会 衆議院 法務委員会 第36号
一つは下山氏を解剖されました桑島博士は、本件の解剖が初めての解剖であると聞いておりますが、その点いかん。第二には汽車の先端にありますところの排障器にまず頭部がぶつかつたと思われ、排障器は後方に三十六度、内角に三十八度曲つておつて、毛髪と血痕が附着している。死体の頭は三百グラムの脳みそしかなかつた。普通は千四百グラムある。それがさように相なつている。そうして後頭部の皮膚が何もなかつた。
一つは下山氏を解剖されました桑島博士は、本件の解剖が初めての解剖であると聞いておりますが、その点いかん。第二には汽車の先端にありますところの排障器にまず頭部がぶつかつたと思われ、排障器は後方に三十六度、内角に三十八度曲つておつて、毛髪と血痕が附着している。死体の頭は三百グラムの脳みそしかなかつた。普通は千四百グラムある。それがさように相なつている。そうして後頭部の皮膚が何もなかつた。
○山内説明員 検察庁といたしましては、桑島博士の判定の結果のみをとつて他殺と考えているというわれではないのでありまして、まだ判定書そのものは正式にでき上がつて参つておりませんし、ただ今日までの判定の途中において、博士の意見を参考にしつつ捜査を継続しておるのでありまして、判定の結果、その他いろいろな資料に基いて、どうしても自殺と断定し切れない点が多々あるのでありまして、それらの資料がやはり他殺と考えられる
さて下山総裁の死体解剖所見につきましては、去る七月三十日東大において開催されましたところの日本法医学会の緊急評議員会において、桑島博士からその大要が報告されたのでありますが、それによりますと、下山氏の死体におきまして、第一は陰茎及び睾丸の出血、それから第二は手の甲及び足の甲におきまして、表皮剥脱を伴わないところの廣範囲にわたる皮下出血が認められたのであります。
桑島博士は今日までまだ一度も、自殺であるとも他殺であるともだれにも申したことはないのであります。ただ死体を轢断せられておる、ひかれたときには死体であつたということは漏らしておいでになります。
本件の場合にも、桑島博士はすぐ指紋をとろうと申しまして、指紋をとつたのでありますが、下山総裁の指紋というのはとられてなかつたようなんですね。だからして、死体の指紋はとりましたけれども、総裁の指紋が残つておりませんから、対照することができない。