1956-05-12 第24回国会 衆議院 法務委員会 第34号
私は、チャタレイの本を見ましてもだれの本を見ましても、文芸価値があるとかないとかいうことを今ここで論じることは差し控えたい。それよりも、こういうものを若い人たちに読ませて、果して性道徳の教育が完全にできるであろうかどうか。むしろ挑発させることになる。年寄りがやっているんだから、おれがこのくらいやってなぜ悪いかという理屈を教える結果になるのではないか。
私は、チャタレイの本を見ましてもだれの本を見ましても、文芸価値があるとかないとかいうことを今ここで論じることは差し控えたい。それよりも、こういうものを若い人たちに読ませて、果して性道徳の教育が完全にできるであろうかどうか。むしろ挑発させることになる。年寄りがやっているんだから、おれがこのくらいやってなぜ悪いかという理屈を教える結果になるのではないか。
私はこれが最近の文芸価値があるかどうかは知りません。また、自分の愛人を兄貴に五千円で売ったり買ったり、その金を都合したのは愛人であり、しかもそれが妊娠して掻爬手術が不成功に終って腹膜炎で死んでおるのです。しかも、この文章の内容を検討してみますと、それは創作ではなくして、現実ありのままをここに表現したということが文芸界の批評である。現実の問題なんです。空想ではない。
そして、その人たちがほんとうに文芸価値を向上せしめ人間性のあり方を指示するためにするとするならば、その人たちの意見に基いてこの法律を作るべきだ、かように私は考えておるのであります。 そこで、あとへ戻りましてお尋ねいたしたいことは、今申し上げたように、刑法百七十五条並びに軽犯罪法のこの規定から言って、現在の映画、演劇、文書、図画がこれに該当しないのか、これを一つ聞かして下さい。