2017-05-12 第193回国会 衆議院 法務委員会 第16号
この間の参考人質疑の中でも、日本の実務では、何らかの犯罪を共謀して一名が実行すれば、共謀共同正犯として全員が処罰対象になる、さらに、日本では、予備罪や抽象的危険犯、詐欺罪、建造物侵入罪等が、犯罪の準備段階に当たる行為を広く処罰している、ですから、条約がターゲットにする重大犯罪の合意の内容を推進するための行為というのは対応できるんじゃないかという意見が出されておりますが、この点についてはどうですか。
この間の参考人質疑の中でも、日本の実務では、何らかの犯罪を共謀して一名が実行すれば、共謀共同正犯として全員が処罰対象になる、さらに、日本では、予備罪や抽象的危険犯、詐欺罪、建造物侵入罪等が、犯罪の準備段階に当たる行為を広く処罰している、ですから、条約がターゲットにする重大犯罪の合意の内容を推進するための行為というのは対応できるんじゃないかという意見が出されておりますが、この点についてはどうですか。
例えば、共謀罪のある国でも、抽象的危険犯や予備罪などの処罰が日本のように広く行われていない国もございます。また、結集罪、参加型の立法を行っている国で、そもそも団体の結成の当初からの目的が犯罪でなければならないというふうに限定している国、あるいは予備罪処罰がそもそもないといった国では、かなり処罰の対象は大幅に限定されているわけです。
そして、それに加えていろいろな、抽象的危険犯とか予備罪などの広い範囲でカバーする処罰規定がありますので、それによって国内法の基本原則に従った形での対応ができているという理解が十分に可能であると思います。
五条全体を留保して無視するというようなことは私もできないと考えていますが、日本の場合には、既に共犯の大変広い処罰の制度がございますし、ほかの国にはないような抽象的危険犯の非常に多数の処罰類型、そして予備罪や陰謀罪も他国よりも広く処罰されているところがございますので、そういった制度を組み合わせることによって対応ができるし、現行法のもとでも、条約に加盟している多くの国よりは広い処罰範囲を持っていると理解
公務執行妨害は抽象的危険犯ですよね。法務大臣、抽象的危険犯。抽象的危険犯というのはどういう犯罪かというと、実際に公務が妨害されたことは必要としない。つまり、妨害するに足る行為、歌を歌うとかそういうのだけではだめで、石を投げたとか、そういうような行為が行われた時点で既に既遂なんですよね。これは間違いないですよ。
例えば、刑法犯ですと、「おそれ」というのを抽象的危険犯か具体的危険犯かなどといった論争がありますけれども、この「おそれ」というものをどのように定義されているのでしょうか。
そして、弁護人が本件は航空法一三八条ではなく同法五三条違反の罪に該当するに過ぎないと主張したのに対し、同法五三条違反の罪は抽象的危険犯、同一三八条は具体的危険犯で、本件は右のような規定の解釈上後者に該当するとして弁護人の主張を排斥したのである。」
これはたとえば放火罪でおわかりのように、放火罪でございますと特に現住――人の現在するような建物に放火する場合、放火しただけで公共の危険が発生するというふうに法律は推定しておるわけでございます、これは抽象的危険犯と申しまして。ところが、非現住建造物、たとえば自分のものであるとか物置なんかでは、燃やしたことによって具体的に公共の危険が発生したことを論証しなければ処罰しないと、こうなっております。
○畑委員 抽象的危険犯ではない、したがって具体的危険犯であることを必要とする、ただし結果の発生は必要としない、こういうことですな。 それからその次に、この第二条とほかの犯罪の、公務執行妨害罪、あるいは凶器準備集合罪、これとの罪数はどういうことになりますか。
しかし、抽象的危険犯ではないというふうに理解をいたしております。
○小林武君 もともと危殆犯とか危険犯とかいうのは、構成要件が、法益の侵害の結果を要求しないということにあるとすれば、まあこれは何といいますか、実際上そこに問題が起こっていないということだと思うのでありますが、われわれのことばで言えば、しかしそのおそれがあるということになると、その二つの中に、具体的危険犯と抽象的危険犯というその二つは、「おそれ」をとったことによって分かれたとしたら、どっちのほうが、公害
これに反しまして、たとえば抽象的危険犯ということになりますと、一番わかりやすい例といたしますと、たとえば道路交通法なんかにございますスピード違反でございます。スピード違反を処罰の対象にいたしておるわけでございますが、要するに、制限を越えてスピードを出して自動車を運転するということは、これはやはり人を傷つけるという可能性はきわめて強いわけでございます。
したがって、具体的危険犯だけでなく、抽象的危険犯でも処罰の対象にすることは可能であり、それをしなかったことは国民の期待を裏切ったといわねばなりません。法務省原案では「おそれ」の表現が当初入っており、法制審議会に諮問したときも、なお「おそれ」の表現は原案のままでいいと答申されていたのであります。その後、法務大臣の個人的責任で削り取ったというのであります。
抽象的危険犯ですと、危険の状態というものは具体的危険犯よりもはるかに広くていいわけです。その意味で、刑法でこれをとらえる場合に、かなりゆるやかになってきます。特に因果関係について推定規定がつけ加えられますと、証拠法並びに事実認定との関係で、これはかなりの効果を発生するものというように考えられます。
それから第二の、疑わしきは罰せずに対する例外に「おそれ」というような抽象的な危険犯の規定になるのではないか、という御質問と承るわけでございますけれども、純理論的に、抽象的危険犯というのはそのほかにもたくさんございます。放火罪等の例でもございます。ですから、社会的な危険性が非常に強い、反社会性の度合いが強いというような犯罪類型については、かなり幅広い規定をしているわけであります。
○参考人(庭山英雄君) 私のほうから先にお答え申し上げますと、先ほど申し上げましたようにですね、「おそれ」をつけてある条文ですと、これは抽象的危険犯でございますね。したがって危険性については抽象的でいいわけです。どの程度が抽象的かということは、価値判断にゆだねられまして一がいにどれだと言うことはできません。一方、「おそれ」を取った構成要件ですと、これは具体的危険犯と称されております。
そうすると、抽象的危険犯だということになると、そう簡単にはいえない。たとえば現在建物放火罪、人が住んでる建物に放火した、これはすぐ放火という行為自体でもって抽象的危険が発生しているから、これは刑事罰という対象にしてもいいという問題がそこに出てくると思います。
これをもしいかに推定規定が置かれまして危険犯だとおっしゃっても、抽象的危険犯に近い段階で押えるんだとおっしゃっても、反証をあげる限り、許す限りは現在の民事訴訟法の遅延と同じ程度に刑事訴訟が私は遅延すると思います。
それを抽象的危険犯と具体的危険犯とのどこら辺で一体押えるかという問題がこの法案のねらいじゃなかろうか、こう考えております。
法務省の当初の案にございました「危険を及ぼすおそれのある状態」といいますのも、これは抽象的危険犯ではなくて、やはりこういう危険を及ぼすおそれのある状態という意味の具体的な危険犯であるというふうに考えておったわけでございます。
○辻政府委員 ただいまの具体的危険か抽象的危険かという問題でございますが、従来の抽象的危険といえば、ただいま御設例になりましたようなスピード違反というようなものも、抽象的には、スピードをオーバーするということなら、やはりそれ自体で具体的な状況というものを離れまして危険であるというふうに解してくるならば、これはやはり一つの抽象的危険犯的性格を持つものだろうと思うのでございます。