1959-03-12 第31回国会 衆議院 本会議 第25号
(拍手) 君は、第一次組閣以来、平和外交の推進へ努力されたのでありますが、なかんずく、三十一年十月には、日ソ国交正常化のために、不自由なからだにもかかわらず、敢然としてみずからモスクワにおもむき、日本の国連加盟と抑留者送還の実現を期して折衝を重ね、ついに国交正常化に関する日ソ共同宣一言の調印に成功し、わが国の政治史上に不滅の業績を残されたのであります。
(拍手) 君は、第一次組閣以来、平和外交の推進へ努力されたのでありますが、なかんずく、三十一年十月には、日ソ国交正常化のために、不自由なからだにもかかわらず、敢然としてみずからモスクワにおもむき、日本の国連加盟と抑留者送還の実現を期して折衝を重ね、ついに国交正常化に関する日ソ共同宣一言の調印に成功し、わが国の政治史上に不滅の業績を残されたのであります。
日ソの国交が妥結し、たとえば国連加盟、抑留者送還、大使交換、漁業条約などの大きな諸案件が解決されております。しかしながら、領土と沿岸の安全操業はお預けになったような状態でございます。終戦当時天皇陛下が国民はイバラの道だとおっしゃいました。私どもは十二年間にわたって実はイバラの道を歩いてきておるのでございます。
次に、抑留者送還の問題については、「宣言第五項に、有罪の判決を受けたすべての日本人を送還するとあるのは、いわゆる戦犯者のみでなく、抑留漁夫等も含めておるのか」との質問に対し、「共同宣言においては、戦争の結果有罪の判決を受けた日本人を対象としたものであるが、今次の河野・フルシチョフ会談の結果、抑留漁夫全部をすっかり帰してもらうように了解ができておる」という答弁でありました。
われわれは、政府が抑留者送還問題を国交回復と切り離すことに払った努力を多とすると共に、ついに彼の主張をいれざるを得なかった点を深く残念に思うものであります。ともかく今日、これにより十年余風雪の中に限りない苦難をなめてきた千余名の抑留者が年内にわれわれのもとに帰って参るのであります。われわれが日ソ共同宣言に賛成する理由の第三はここにあるのでございます。
(拍手) 日ソ共同宣言及びこれに付随する三件内において包含されております重要なる項目は、両国間の戦争の終結、大使交換、領事館開設、国際連合憲章諸原則順守、通商貿易、自衛権の確認、内政不干渉の規定、国連加盟支持、日本人抑留者送還、賠償請求権放棄、海難人命救助及び漁業協定の発効、平和条約締結に関する交渉の継続、歯舞群島及び色丹島引き渡し、通商条約または協定締結の交渉に関する件等であります。
そこで戦犯及び抑留者送還問題については、わが政府は国際連合にも訴え、またソ連にも訴えたのであります。そして大いにその送還に努力したのでありますが、ソ連には人質政策の底意があった。これがために、日ソ交渉妥結を見るまでは、送還問題を外交上の取引の具に供しようとするソ連の人質政策の底意は、ついにどうすることもできなかった。
私どもが帰京いたしまして間もなく、訪ソの鳩山全権らによって国交回復、抑留者送還の問題の解決もおおむねついたようであります。引揚げ促進の問題は、この日ソ交渉妥結を契機として、著しくその形が変ってくると考えられますが、今後の活動は、マリク名簿登載漏れの同胞の上に注がるべきであり・その意味において先般の当委員会は帰還促進の決議を行なっておるわけであります。
特にわれわれの非常に念願しておる抑留者の送還の問題等にもいい影響を与えるようにしたいと、こういうことは考えておりますけれども、これも別問題として抑留者送還の問題は送還の問題として申し入れをいたしておるということは、これまた御存じの通りであります。その返答も待たなければなりません。
この際、ソ連が、日本全国民のこの切なる要望を考え、在ソ同胞の身を案じて涙もかわかぬ留守家族の心情を思い、日ソ交渉の成り行きとは切り離して、正確なる消息の通報と、無条件に即時全抑留者送還をすみやかに実現されんことを切望するものであります。(拍手)これこそが両国国交の基であります。
しかしながらソ連は、戦争終結の際の約束にもかかわらず、平和条約の締結を抑留者送還の人道問題処理の前提として参っておるのは、まことに遺憾のことでございます。わが全権はロンドンにおける最後の会談におきましても、抑留者の送還及びその待遇の改善について政府の意向を体し、強く先方に要請した次第でございます。 以上でございます。(拍手)
ソ連は、戦争終結の際の約束があったにもかかわらず、平和条約の締結を抑留者送還の人道問題処理の前提としておるのはまことに遺憾でございます。わが全権は、ロンドンにおける最後の会談におきましても、抑留者の送還及びその待遇改善について、政府の意向を体して強く要請をいたした次第でございます。 以上。 ————◇————— 日ソ交渉の経過についての重光国務大臣の報告に対する質疑
○岡崎国務大臣 私は何も根拠はないのでありますが、高良女史の電報なるものがはなはだ疑わしいという一つの大きな理由は、この抑留者送還を條件に講和を結ぶという点であります。これほどこつけいな、また常識のはずれた提案といいますか、考え方というものは、私はあまり聞いたことがないくらいに思つておるのであります。従つて宣伝だとすれば、非常に愚劣なことだと思います。
そこで、それに伴いまする日ソ両国の間の当然の義務である戰闘行為を行わない義務であるとか、あるいはまたソ連が完全に履行していない抑留者送還に関する義務、こういうものは残るのでありますが、それ以外のものは大体失効するという解釈をとつております。