1952-03-18 第13回国会 両院 両院法規委員会 第5号
○委員(堀木鎌三君) 不戦條約の方から確かにその思想を受継いでおるということは考えられるのでございますが、今先生もおつしやる通りに、当時の事情としては、「前項の目的を達するため」と書くこと自体が相当はばかられ、躊躇された、少くともこれをそう解釈することに躊躇されるような事情だつたとおつしやるのですけれども、その点については当時の事情として、ポツダム宣言の第七項の「日本国ノ戰争遂行能力が破砕セラレタルコトノ
○委員(堀木鎌三君) 不戦條約の方から確かにその思想を受継いでおるということは考えられるのでございますが、今先生もおつしやる通りに、当時の事情としては、「前項の目的を達するため」と書くこと自体が相当はばかられ、躊躇された、少くともこれをそう解釈することに躊躇されるような事情だつたとおつしやるのですけれども、その点については当時の事情として、ポツダム宣言の第七項の「日本国ノ戰争遂行能力が破砕セラレタルコトノ
「右ノ如キ新秩序が建設セラレ且日本国ノ戰争遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確認アルニ至ル迄ハ聯合国」云々とありまして「日本国ノ戰争遂行能力」という、即ちこれが戰力である。ポツダム宣言と憲法との本質的な連関を考えるときに、当然この戰力は戰遂行能力であるということが言えます。
そのとき殊にポツダム宣言を引きましたのですが、あのポツダム宣言でいう戰争遂行能力というもの、これは軍需産業を含んでいるわけで、であるからこそボーレー使節団の声明によりまして、そういうポツダム宣言によつて一切撤去されるという結果になつたわけでありましてやはりそういう意味合におきまして陸海空軍その他の戰力ということが規定されているというふうに考えます。
このことは日本が占領管理下で、まず日本の戰争遂行能力を解体するという仕事が現実に行われたわけでございますが、その範囲は、事実上そういうことが行われたというだけのことでありまして、それがただちに規範になつて来るわけではないのであります。しかしその範囲を、さらに日本国憲法を制定します場合に、日本に対する規範として考えようという考え方はあつたと思います。
第七項には「右ノ如キ新秩序が建設セラレ且日本国ノ戰争遂行能力が破碎セラレタルコトノ確証アルニ至ル迄ハ聯合国ノ指定スベキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スル為占領セラルベシ」とある。要するに日本国領域内の諸地点は、基本的目的達成のために占領せられる。この基本的目的は何かというと、日本国の戰争遂行能力が破碎されること、この目的のために占領軍というのはおるのであります。
これに対しまして十月十四日ダレス顧問がニユージランドの公使の質問に対しまして、日本を太平洋地域の反共同盟に加えて、日本の戰争遂行能力に関し十分な情報を他の諸国に與えるような、全般的太平洋條約の構想を受け入れる用意があると答えておるようであります。又印度におきましては米軍或いはイギリス軍が調印後尚日本に留まることは主権の侵害であると申しておると伝えられております。
しかもポツダム宣言には、日本の国の戰争遂行能力が破碎せらるるまでは日本は占領されるということが書いてあるのであります。すなわちわれわれは、もし日本の国に軍事的な潜勢力を温存するようなことをするならば、日本の国の占領は永久になされ、日本の国の植民地化は永久になされ、の本の国の独立はいつの日にか期することができるでありましようか。
七項には戰争遂行能力を日本からともかくも取り除かなければならないというふうに書いてある。つまり今総理は軍備の問題だけを言われましたけれども、ポイントが、若しその基準がポツダム宣言にあるとするならば、今のような五項、六項、七項、八項、九項、十項とずつとあるわけなんですが、ポツダム宣言の條項に基準を置いて我々が考えればいいんじやなかろうかと思うがどうかというわけです。