1964-06-26 第46回国会 参議院 法務委員会 第36号
○政府委員(竹内壽平君) 犯意といたしましては、この目的がなければなりませんし、その目的の中がだいぶ長いのでございますけれども、「憂慮ニ乗ジテ」ということばがございます。
○政府委員(竹内壽平君) 犯意といたしましては、この目的がなければなりませんし、その目的の中がだいぶ長いのでございますけれども、「憂慮ニ乗ジテ」ということばがございます。
○政府委員(竹内壽平君) 改正案の二百二十五条の二「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ其財物ヲ交付セシムル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ」とあります。この「憂慮ニ乗ジテ其財物ヲ交付セシムル目的ヲ以テ」そういう財物を交付させる、これが身のしろ金、通俗的のことばで言うと身のしろ金に当たるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、「憂慮ニ乗ジテ」というのと「憂慮スル者」に対してというのとでは違うという考え方ですか。こういう特に「憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ」というふうな規定のしかたは特段の意味があるわけですか。
そのさように思います理由は、「憂慮ニ乗ジテ」取るという、このことばからおのずからそこは限定を受けてまいりまして、単に第三者としてけしからぬ、心配だというような意味で憂慮しておられる人は、「憂慮ニ乗ジテ」取ろうという犯人の悪い心情、そういうものを罰しようとするこの規定からははずれてくるのでございまして、そういう者から取る場合は、あるいは恐喝という罪になるかもしれませんが、この二百二十五条ノ二にいう、そういう
○竹谷委員 「憂慮ニ乗ジテ其財物ヲ交付」させる憂慮した人の財物でなければならぬかどうか。憂慮をしておる人が、ここに甲なら甲という人があり、その人でない乙なり丙なりの財物を交付さす。それでいいのだ、甲は金がないからどうせ出せないだろう。乙、丙、近親その他で憂慮してない者でもだれでもいいから出せばよろしいのだ、こういう場合です。
○竹谷委員 そこで「憂慮ニ乗ジテ」財物を交付させる。これはこの罪に該当することになるわけですが、その犯罪者が、近親でなくても、だれでもいいから金を出してくれれば被拐取者を解放するというようなことで、だれでもいいから金を持ってくれば追っ放そう、こういうふうなときにはどうなりますか。
○竹内(壽)政府委員 この「憂慮ニ乗ジテ」ということばは、御承知のように、準詐欺罪の二百四十八条にそういう用語例がございます。「未成年者ノ知慮浅薄又ハ人ノ心神耗弱に乗シテ其財物ヲ交付セシメ」、この「乗シテ」ということばが、そのときの準詐欺罪の解釈として、学説、通説と申しますか、それの解釈は、利用してとか、つけ込んでという意味になっております。
○鍛冶委員 次に、二百二十五条ノ二に、「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ」と、こう書いてある。なかなかどうも、いわゆるしぼりの上にしぼりをかけてあるようだが、これほどのしぼりをかけなければならぬ必要があるかどうかということが疑問になるのです。「安否ヲ憂慮スル者ノ」として、「憂慮ニ乗ジテ其」ということはなくてもいいのではなかろうか。
なお、この二百二十五条ノ二の一項の条文を見ますと、「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ共財物ヲ交付セシムル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者」、こういうことでありますが、これによりますれば、略収、誘拐の着手前にこの目的というものがあったというものに限るようでございますが、この点はいかがでありますか。
○竹内(壽)政府委員 それはそうではございませんで、やはりこの二項のほうも「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ」とありますので、それは真に親身になって憂慮しておる者というのはおのずから限定されるということは第一項の場合と同じでございます。
一方、今度はそのあとのほうの要求罪のほうでございますが、これが「憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ其財物ヲ交付セシメ」、この「憂慮ニ乗ジテ」という場合でございまして、これは憂慮してない者から取った場合にはどうかということになりますけれども、犯人の主観としては、あれは憂慮しておる者だと思っておった。
○竹内(壽)政府委員 「近親其他」ということばをかりに除いて読んでいただきますと、「被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者ノ憂慮ニ乗ジテ」と、こうございます。そこで安否を憂慮する者の憂慮に乗ずるような場合は、それはだれであろうと、どなたでもいいというふうに書いてあるのが外国の立法例でございます。