1960-03-22 第34回国会 参議院 予算委員会 第19号
賠償は実物賠償、こういう形をとっているのに、これは実質的には金銭賠償という形になるのじゃないか。たとえばマリキナ・ダムの計画については、初めは経済協力という形で実施をしておいて、あとで賠償の引き当てをする、こういうことになるわけですね。だから、当然対象となる役務だとか、あるいはダム建設に必要な生産物は、すでに経済協力という形でフィリピンに提供されてしまっているわけですね。
賠償は実物賠償、こういう形をとっているのに、これは実質的には金銭賠償という形になるのじゃないか。たとえばマリキナ・ダムの計画については、初めは経済協力という形で実施をしておいて、あとで賠償の引き当てをする、こういうことになるわけですね。だから、当然対象となる役務だとか、あるいはダム建設に必要な生産物は、すでに経済協力という形でフィリピンに提供されてしまっているわけですね。
しかし一つ私は指摘したいことは、アメリカは実物賠償ということを初め言っておった。しかるにダレスさんが先ほど申しました通り列国を回って、そこで列国にも日本に対する賠償請求の要望があるということで、結局のところ日本にサンフランシスコ講和条約第十四条という規定ができたわけです。それに対する日本政府のこれまでとってきました態度を概論いたしますと、私は交渉の過程としてはきわめて不満足である。
そこで伺つておきたいのでありますが、この間予算委員会において総理大臣は、日本政府が従来長く唱えて来た平和条約は、日本の賠償は実物賠償である、また労務賠償である、金銭賠償ではないという建前に対しまして、金銭賠償をあわせ考慮するという趣旨の答弁をされております。これは私は速記録を見たわけじやなく、新聞で見たのだから、正確な用語は知りませんが、日本政府の在来の建前と非常に違つておるというふうに考えます。
第十條には「吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰争犯罪人ニ対シテハ嚴重ナル処罰ヲ加ヘラルべシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ、言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」とあり、第十一條には「日本国ハ其ノ経済ヲ支持シ且公正ナル実物賠償
これによりますと、「戰勝国たると戦敗国たるを問わず、一切の国がその経済的繁栄に必要なる世界の通商及び原料の均等條件における利用を享有することを促進することに努むること」まあこういうことになつておりまして、戰勝国戰敗国のいかんを問わず、世界の国々は世界の経済的繁栄に必要な通商、あるいは原料の獲得に参加できるということになつておりますのみならず、ポツダム宣言におきましても、「日本国はその経済を支持しかつ公正なる実物賠償
しかしポツダム宣言の一一には、「日本国は、その経済を支持し、且つ公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし。但し日本国民をして戰争のため再軍備をなすことを得しむるが如き産業はこの限に在らず。右目的のため原料の入手を許可せらるべし。日本国は、将来世界貿易関係への参加を許さるべし。」こうあつたのでありまして、すでに占領されてから四年半にもなるのであります。
しかしわれわれはポツダム宣言にもありますように、われわれ国民は家庭に復帰して、平和的、生産的な生活を営むことができるとか、あるいはまた日本国はその経済を支持し、かつ公正なる実物賠償の取立てを可能ならしむるがごとき産業を維持することを許される。あるいは産業について原料の入手を許される。将来また世界貿易関係へ参加することが許される。こういう日本中に與えられておるものがあるのです。
第二は賠償問題の性格、これには賠償決定の機関とか賠償の責任、賠償の程度、賠償の金額、実物賠償等の項目を含んでおります。第三は日本経済再建と賠償問題、第四は世界経済再建と賠償問題、第五は最近におけるわが国賠償問題の経過、この中にはポーレー案その他からマツコイ声明に至るまでの経過が書いてあります。また各国のこれに対する反響を載せてあります。