1972-04-28 第68回国会 参議院 本会議 第12号
予算審議の過程で明らかになった沖繩返還協定にまつわる密約問題は、官僚独善外交の姿を余すところなく露呈しております。国会と国民を欺瞞して、沖繩軍用地の復元償補を実質的には日本国民の税金で行なうことは許せないことであります。
予算審議の過程で明らかになった沖繩返還協定にまつわる密約問題は、官僚独善外交の姿を余すところなく露呈しております。国会と国民を欺瞞して、沖繩軍用地の復元償補を実質的には日本国民の税金で行なうことは許せないことであります。
また、特権的官僚勢力が国民に秘密のうちに事を進める官僚独善外交も、これももはや現代の外交のあり方として絶対に許されるものではないのであります。(拍手)すなわち、現代の外交は、国民を背景とした外交でなければならないのであります。すなわち、国民が進める国民外交と、政府が進める政府外交と、この二つが車の両輪とされるものであります。
従って、本会議場でただすべきことはただし、党と党の間で党首会談等で十分な秘密裏の話し合いも行ない、同時に、外務委員会の秘密会等で国会における論議を尽くすという建前で、外に向かって超党派的な本筋の入った外交ができるように、政府・官僚独善外交にならぬ外交ができるように、一つ政府・与党において十分考慮されたいと思います。
吉田内閣は、秘密外交を依然として、あるいは官僚独善外交を依然として保持いたしておるようでありまするが、それには背景に武器がいるでありましよう。武器を用いる恫喝外交と秘密外交とは相通ずるものであります。(拍手)今日においては、誠意と合理性による国民外交に進展せしめて、武力の圧力にかわるに、桐喝にかわるに、国民全体の支持を受ける輿論外交でなくてはならないわけであります。
外相は外務当局のエチケツトのみならず、その外交上の識見の向上にも留意されておるでありましようが、官僚独善外交や二つの世界の対立などという大雑把な議論で民主主義日本の講和問題を担当されては、国民は不安に堪えません。現在イギリス連邦の外交政策において、対日講和につき、常に全面講和の要望とそのための努力が続けられている事実を、吉田首相は十分認識されておられるのでありましようか。