1948-12-10 第4回国会 参議院 本会議 第8号
鉄道は一面経済事業であり、この点においては私経済の一般原則に準拠すべきものであると共に、他面において國民共同経済に重大な関係を有する公共機関でありますので、公共の利益を擁護すべき國家的責任を持つておるのであります。故に公共利益の保護と企業自体の存立確保との調和が改組の指標でなければなりません。
鉄道は一面経済事業であり、この点においては私経済の一般原則に準拠すべきものであると共に、他面において國民共同経済に重大な関係を有する公共機関でありますので、公共の利益を擁護すべき國家的責任を持つておるのであります。故に公共利益の保護と企業自体の存立確保との調和が改組の指標でなければなりません。
從いまして、いろいろ財政上困難が伴いまするけれども、政府といたしましては、食糧増産に重点をおきながら、なお開拓・開墾の他の目的でありまする戰爭犠牲者に対する國家的責任を果しつつあるということを、重ねてお認めを願いたいと思うのであります。
失業は個人の意思による失業ではなくて、國家の——少くとも過去にさかのぼれば、あの憎むべき戰爭の所産、結論としてこういう状態が生れてきたし、またこれを急速に囘復するだけの施策が成功し得なかつたという、その國家的責任において發生する失業であるとすれば、これは普通の場合の失業に對する考え方とは、相當違つた考え方をもつて臨むべきではないかというふうに私は考えます。
なおただいまお話がありました六・三制の實施經費の支辨のことでありますが、この地方債のわくに含まれない地方債というこの六・三制の實施費用というものは、別途にこれを審議して許可をするというのでありまするけれども、元來六・三制とか戰災復興というような國家的責任の經費の調達のためには、國家財政がこれを地方財政に任して、その責任を輕減するという方向に努力されなければならぬと思うのであります。
こういうことでは政府の企図する労働者の國家的責任の自覚も現実には一個の口頭襌に終る外ないと思います。元來勤労意欲の問題は理念的な抽象論よりも、具体的な能率論として取上ぐべきものであつて、勤労意欲の昂揚が、具体的な能率の向上となつて現れるようでなければ意味がないと思います。
これでは政府がせつかく言つておられる労働者の國家的責任というものは、この法案実施の現実面においては明らかに反対、あるいは空論、口頭禪に終つてしまうというふうに思われます。私はこの能率向上をほんとうにきたさせる基礎というものは、何といつても生活環境、作業環境というものを充実して、そしてしつかりした指導者、頼もしい親方が出てくるということが、基本條件と思うのです。