1960-03-01 第34回国会 衆議院 法務委員会 第5号
それから、泉二新熊氏の「日本刑法論」増訂版四十二版の七百五十七ないし七百六十九ページのあたりにもたくさん非常に詳しく書いてございますが、初めのところだけをちょっと申し上げますと、「不動物體カ強竊盗罪ノ目的物タルコトヲ得ルヤ否ヤノ問題ニ付テハ從來學説上議論ノ存スル所ナリ、諸国ノ立法例中ニハ可動物體ニ付テノミ此犯罪ヲ認ムルノ明文ヲ設クルモノアリ(例ヘハ獨逸刑法、墺國刑法改正草案等)又何等ノ明文ヲ置カサルモノアリト
それから、泉二新熊氏の「日本刑法論」増訂版四十二版の七百五十七ないし七百六十九ページのあたりにもたくさん非常に詳しく書いてございますが、初めのところだけをちょっと申し上げますと、「不動物體カ強竊盗罪ノ目的物タルコトヲ得ルヤ否ヤノ問題ニ付テハ從來學説上議論ノ存スル所ナリ、諸国ノ立法例中ニハ可動物體ニ付テノミ此犯罪ヲ認ムルノ明文ヲ設クルモノアリ(例ヘハ獨逸刑法、墺國刑法改正草案等)又何等ノ明文ヲ置カサルモノアリト
殊に國際信義の上よりいたしまして、わが國刑法に外國の君主並びに大統領に対するこの種保護規定を設けなければならないという必要からいたしまして、その権衡上、まず第一にわが國の天皇に対し特別罪を設けることは必然の要請であると申してよろしい。しかも単純侮辱罪を削除いたしましたる点より考慮して、これが保護規定の欠くべからざるは言うまでもないところでございます。
堕胎罪の廢止については、近代各國刑法の上にも、いろいろな理由から相當議論されておりますが、私は姦通罪の廢止という點から見ましても、堕胎罪はなお考うべき問題ではないかと思うのであります。この點の御意見はいかがでありますか。
その趣旨は、從來外國人が日本人に対しまして、その法益を侵害して罪を犯した場合には、それが外國で行われた場合におきましても、日本刑法を適用することになつていたのでありますが、この規定は諸外國の立法例も考えてみまして、この種の國外犯については、これを当該國の刑法に讓りまして、日本國刑法の適用を除外するという趣旨で、かようにいたしたのであります。
各國刑法においては、殺人罪については死刑を科せない國もあるのであります。非常に兇惡な殺人罪については、たとえば謀殺の場合には死刑を科しておりましても、單なる故殺の殺人罪については死刑を科せないような所さえもあるのであります。しかしながら各國の刑法を見ましても、外交使節の殺人罪について特段な規定を設けたということは、私は寡聞にして存じないのであります。