1949-05-22 第5回国会 衆議院 厚生委員会 第23号
現在具体的の問題といたしまして、経済的理由によつて堕胎を行わざるを得ない場合があるけれども、やみでこれが行われることが多いためにかえつて経費がかさみ、また危險であるから、むしろ公認すべしという事由で賛成論があります。しかしこの必要は現実にはむしろ中産階級勤労者に多いことであつて、これらは改正原案によつては何らの利益を受けないのでありまして、本修正案を提出した理由もまたここにあるのであります。
現在具体的の問題といたしまして、経済的理由によつて堕胎を行わざるを得ない場合があるけれども、やみでこれが行われることが多いためにかえつて経費がかさみ、また危險であるから、むしろ公認すべしという事由で賛成論があります。しかしこの必要は現実にはむしろ中産階級勤労者に多いことであつて、これらは改正原案によつては何らの利益を受けないのでありまして、本修正案を提出した理由もまたここにあるのであります。
受胎調節に失敗した場合に子供が生れて来る、この場合に子供が生れるのを防止するために、人工妊娠中絶という問題が現れるのでありますが、これが現在ではその場合にに限つて堕胎罪という形をとるのではないかと思います。しかし争いにして受胎調節を上手にやつたものが、実は堕胎罪は当然起さずに済むというのが実際ではないかと思う。
犯罪者予防更生法案のみで犯罪を予防しようとするものではないのであつて、堕胎罪につきましても、刑法の堕胎罪と優生保護法のそれとをあわせて考えてみる必要があるのであります。優生保護法は第十三條において人工妊娠中絶を規定しているのでありまして、一定の手続をもつてこれをなし得る。
そこで、指定医師にあらざる者がやつたということにつきましても、或いは本人の申出その他のものが合法的になされておつて、堕胎の疑いがそこに存しない場合は、たとえ一應の容疑を受けましても、私はそれは解消してしまう、そういうふうに思つております。
ただ姦通を罰しない立法例というものは、ソビエト・ロシアにおいて、革命後1926年後改正せられて、姦通罪を罰しないというようなふうになつておるようでありますが、併しこれはロシアの特殊の関係のあることであつて堕胎罪についても当初罰しないという法律を持つておつたのが、十年後の一九三六年、どうも堕胎罪を罰しないでは國力の消長に関係があるというので、遂に今日では堕胎罪を罰するようになつております。
理論的根據がないのでありまして、ただキリスト教的人道主義と國家主義的な見地からいたしまして、これを認めてきたと思うのでありますけれども、敗戰の今日いたずらなる人口の増殖は、國家のために決して喜ぶべき現象ではないのでありまして、冷靜に批判されなければならないのでありまするが、さらに優性學的見地からいたしましても、個人の經濟生活の面から考えましても、なお子供の將來の幸福の點から考慮しましても、この際思い切つて堕胎罪
新憲法におきましては、特に堕胎を認めなければならぬという趣旨は一つもないように見受けられまするので、昨年の司法法制審議會におきましても、堕胎罪の存置と、新憲法の施行に伴つて堕胎罪をいかにするかという問題は別に起きなかつたのであります。また司法當局といたしましても、今日堕胎罪を急に刑法から削除しなければならぬという理由も認めませんので、ついにこの點には改正案で觸れなかつたのであります。