2021-05-13 第204回国会 参議院 財政金融委員会 第10号
○参考人(黒田東彦君) 冒頭にも申し上げましたとおり、金融政策について点検というのを行いました。これは、足下で、コロナの影響もありまして、経済活動は沈滞して、物価上昇率もマイナスになったと、こうした状況が今後長く続くとは考えておりませんが、しばらく経済の下押し圧力として続く下で、やはりこの金融政策を機動的、弾力的に、効果的にするにはどうしたらいいかということでかなり詳細な点検を行いました。 その中
○参考人(黒田東彦君) 冒頭にも申し上げましたとおり、金融政策について点検というのを行いました。これは、足下で、コロナの影響もありまして、経済活動は沈滞して、物価上昇率もマイナスになったと、こうした状況が今後長く続くとは考えておりませんが、しばらく経済の下押し圧力として続く下で、やはりこの金融政策を機動的、弾力的に、効果的にするにはどうしたらいいかということでかなり詳細な点検を行いました。 その中
○参考人(黒田東彦君) 金融緩和の下で金利水準が低下しますと、資金の借り手の支払利息が減少する一方で、資金の貸し手の受取利息は減少するということになります。また、長期あるいは超長期金利が過度に低下しますと、年金などの運用利回りにも影響が出る可能性がある。そういった意味で、金利の動向によって、確かに損得というのは出てくるということは事実であります。 ただ、金融緩和の効果については、やはり経済全体に与
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。 このところ、新型コロナウイルス感染症が変異株の増加を伴いつつ拡大する中、一部の地域における緊急事態宣言を始め、公衆衛生上
○黒田参考人 ETF買入れを含めて、金融緩和の出口のタイミング、あるいはその際の具体的な対応を検討する局面には至っていないということは従来から申し上げているとおりでありますが、他方で、委員御指摘のように、仮にETFについて買入れを停止するあるいは保有しているETFを処分するということになった場合どういうことになるのかという点につきましては、これはもちろん金融政策決定会合で新たな処分の方針、指針を定める
○黒田参考人 御指摘の、日本銀行によります地域金融強化のための特別当座預金制度、これは、地域金融機関が将来にわたり地域経済を適切に支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資するという観点から、日本銀行が必要と判断して実施していくものでございます。 政府による資金交付制度についても同様に、ポストコロナの地域経済の回復、再生を支える金融機能の維持に資する観点から創設されるものというふうに
○黒田参考人 低金利環境は、確かに、金融機関経営に様々な経路で影響を及ぼしております。 まず、積極的な金融緩和の下で、我が国の経済は緩やかに景気拡大を続けてきまして、これによって、前向きな資金需要の喚起、あるいは与信費用の減少等を通じて金融機関の収益にプラスの影響を及ぼした面もあったと思います。 他方で、確かに、低金利環境の長期化、これに加えて、人口減少などの構造要因から、御指摘のような金融機関
○黒田参考人 御指摘の二番目と三番目の点は御指摘のとおりでありまして、我々の分析でも、当面、女性その他、特に非正規の雇用が増えたということで賃金が上がりにくいという状況はあったと思いますが、しかし、その後の経過を見てみますと、非正規の方の賃金もかなり上がっています。それから、御指摘のように、非正規から正規へ移るという人も少しずつ増えてきていまして、この正規の雇用が増えるということが今後は賃金、物価の
○黒田参考人 日本銀行は、二%の物価安定の目標を実現するため、大規模な金融緩和を実施しております。もっとも、二%の物価安定の目標の実現には至っておりません。また、感染症の影響によりまして、経済、物価の下押し圧力は今後も継続し、二%の目標の実現には時間がかかることが予想されます。 こうした状況を踏まえると、当面、感染症の影響への政策対応が必要であるほか、長期的には、二%の目標を実現するため、より効果的
○黒田参考人 御案内のとおり、点検でもお示ししたとおり、二%の物価安定の目標の実現にはなお時間がかかるということが見込まれますので、ETF買入れを含めた金融緩和の出口のタイミング、あるいはその際の具体的な対応を検討する局面には至っていないというふうに考えております。 もちろん、先行き、物価安定の目標の実現に近づく際には、出口に向けた戦略や方針について金融政策決定会合で議論して、適切に情報発信をしてまいりたいというふうに
○黒田参考人 御指摘のように、この気候変動の問題は、実体経済や金融システムにも影響を与える重要な要素の一つですので、中央銀行としての使命にも関係するというふうに認識しております。 そうした認識の下で、日本銀行では、一昨年から、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワークであるNGFS、ネットワーク・フォー・グリーニング・ザ・ファイナンシャル・システムというものに加盟しております。 また、先月は、御指摘
○黒田参考人 三月の点検では、大規模な金融緩和が金融環境を改善させて、需給ギャップのプラス幅の拡大と、プラスの物価上昇率の定着という効果を発揮してきたということをやや定量的に分析したわけでございます。 同時に、我が国においては、予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズムが根強いということも分かってきたわけでございまして、物価上昇率が高まるのは時間がかかるということが改めて認められたわけでございます
○黒田参考人 御案内のように、イールドカーブコントロールの下で、十年国債の金利をゼロ%程度にするということでずっとやってきていたわけでございます。 ただ、その下で、ゼロ%程度というところの程度について、変動幅が非常に狭くなってきて、そうしますと国債市場の機能度が低下してしまうという問題があったものですから、二〇一八年の七月に、おおむねプラスマイナス〇・一%の幅から、上下にその倍程度変動し得るということを
○参考人(黒田東彦君) この点は、金融政策について、インフレになりそうなとき、物価上昇が激しいときに金融引締めによってそれを防圧するということは非常に効果的であるけれども、物価上昇率が低くて需要が十分でないときに金融緩和をしてもなかなか効果が上がりにくいという議論は非常に長く続いておりまして、実は私、五十年程前に英国に留学したんですが、当時英国でもそういう議論が非常に盛んでした。 ただ、御案内のとおり
○参考人(黒田東彦君) この二%の物価安定目標が達成されていない背景には様々な要因があると思いますが、一番思いますのは、やはり二〇一四年以降の原油価格の大幅な下落、これが、それまで一・五%程度まで上昇していた予想物価上昇率がまた再び落ち込んでしまったということが大きな要因としてあるのではないかと思っております。 さらに、より根本的には、我が国ではこの予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成
○参考人(黒田東彦君) 本件につきましては、日本銀行の所掌の事務と直接関係がございませんし、今関係各省の方がお答えになったのをよく聞いておりまして、関心はありますけれども、それ以上に何か特別なコメントをするのは差し控えたいというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 私から財政政策について何か申し上げるというのは適切でないと思いますが、いずれにいたしましても、この財政政策は政府と国会がお決めになることであり、それを前提としてですね、その下で二%の物価安定目標を達成するためにどのような金融政策が適切かということで行っているわけで、これは別に日本銀行だけではなくて、FRBもそうですし、ECBもそうですし、イングランド銀もそうだというふうに思っております
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、名目長期金利というのは、先行きの実質成長率と物価上昇率に関する見通しに国債を保有することに伴うリスクプレミアムなどが加わって形成されていますので、御指摘のとおり、理論的には、経済・物価情勢の改善に伴って実質成長率や物価上昇率の見通しが高まれば、当然、長期金利には上昇圧力が掛かるということになります。 ただ、この足下、御指摘のように、日本銀行は二%の物価安定目標
○参考人(黒田東彦君) まず、日本銀行は保有国債の評価方法について償却原価法を採用しておりますので、金利が上がりますと、国債の時価が下がって、保有国債の時価総額が相当減価するということになると思いますが、償却原価法を採用しておりますので決算上の期間損益には影響ありません。 一方で、金利上昇によって国債の表面金利が高くなりますと、それを保有することによって日本銀行の国債利息収入はもちろん増加いたします
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、年に二回、上半期末及び事業年度末について、ETFを含む保有有価証券の時価情報を公表しております。 公表している直近の二〇二〇年九月末時点における保有ETF全体の時価に対する簿価の比率を日経平均株価に乗じることによって機械的に試算いたしますと、日経平均株価の水準が二万円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る計算になります。 さらに、足下の状況につきまして二
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、二%の物価安定の目標を実現する観点から、大規模な金融緩和を実施しております。このETF買入れはその一環として、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて、市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンス悪化につながるのを防止するということを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくことを目的としております。 先週の決定会合では、より効果的で持続的な金融緩和
○参考人(黒田東彦君) 先進国の中央銀行におきまして、金融政策目的として株式を保有している事例はないというふうに認識しております。 もちろん、欧州の中央銀行の中には、外準の運用あるいは資産の運用として株式を保有しているところは幾つかございますけれども、金融政策目的で株式を保有しているという例はないと思います。
○参考人(黒田東彦君) 今回導入いたしました貸出促進付利制度、これは、委員御指摘のとおり、日本銀行が、金融機関の貸出しを促進する観点から、バックファイナンスを行っている各種の資金供給について、その残高に応じて一定の金利を付利するという制度でありまして、追加緩和によって、将来仮に政策金利、短期政策金利、マイナス〇・一%でそれを更に下げるというようなことがあった場合には、この制度によってその付利の金利を
○参考人(黒田東彦君) 確かに低金利環境が長続きしておりますし、そもそも人口減少あるいは企業数の減少など構造的な要因がありますので、金融機関の基礎的収益力が低下傾向にあるというのはこの十数年にわたってそうなわけですけれども、ただ、その下でも、我が国の金融機関は現状、資本、流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えておりまして、折に触れてストレステストをやっているわけですけれども、それに耐える力を持っておりますので
○参考人(黒田東彦君) 二%の物価安定の目標の実現にはなお時間が掛かるというふうに見込まれることを踏まえますと、金融緩和の出口のタイミングあるいはその際の具体的な対応を検討する局面にはまだ至っていないというふうに考えております。 このETFの買入れ、十二兆円を限度として、上限として必要に応じて買い入れるということで、今後も買入れが続くわけですので、まして今持っているものを処分するというようなことは
○参考人(黒田東彦君) この二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという日本銀行の金融政策決定会合における決定というのは、二〇一三年の一月、私が就任する前ですけれども、そこで決定されて、さらに政府と日本銀行の共同声明においても、明確に二%の物価安定目標の早期実現ということに向けて金融緩和を行うということがうたわれているわけでございます。 この二%という数字は今やグローバルスタンダードになっていますけれども
○参考人(黒田東彦君) 先週のこの決定会合では、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検というものを行いまして、その結果、二%の物価安定の目標を実現するため、一方で金融緩和の持続性を高めること、他方で情勢の変化に対して機動的かつ効果的に対応していくということが重要であるというふうに判断をいたしました。 そうした観点からETFの買入れ方針につきましても検討を行ったわけですが、点検でかなり
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、決定会合の二営業日前から会合終了後、当日の総裁記者会見終了後までの間はいわゆるブラックアウトと称しておりまして、国会において発言する場合を除きまして、金融政策及び金融経済情勢について外部に発信しないということにしております。 他方、もちろん日本銀行では、政策運営等について一般の理解を深めてもらうという観点から、ブラックアウト期間の前あるいはその後にも様々な形
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、このところ、若干、米国の長期金利の上昇を背景に、欧州とかあるいは途上国などの長期金利も少し上がっているわけですけれども、長期金利が世界的に上がった背景自体は、いろんな要因で長期金利は変動いたしますけれども、やはり市場では、世界的なこのワクチン接種の広がり、それから御指摘の米国で成立した総額一・九兆ドルの大規模な追加経済対策といったものを受けて、世界経済の持ち直
○参考人(黒田東彦君) 私、当時、アジア開発銀行の方にいましたけれども、この東日本大震災という大変な震災が起こったということで、一週間後ぐらいに東京に参りまして、財務大臣ともお会いしたんですけれども、当時の日本銀行が金融市場の安定確保のために連日大量の資金供給を実施したり、あるいは資産買入れ拡大、被災地金融支援オペ、その他様々な金融緩和措置を一段と強化していたこと自体は適切だったと思います。 ただ
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行が一九八九年の五月以降、金融引締め政策に転じたことがその後のバブル崩壊の遠因になったという指摘があることはよく承知しております。 他方で、バブル発生の原因を考えますと、金融機関の積極的な融資姿勢や人々の成長期待の過度な強気化など様々な要因が複雑に絡み合っていたとは思いますが、日本銀行による金融緩和も一つの要因であったように思われます。 金融政策の目的はあくまでも物価安定
○黒田参考人 委員御指摘のとおり、イールドカーブコントロールを導入した後、イールドカーブ全体が低位に安定したことは事実なんですが、十年物国債の金利をゼロ%程度というふうに申し上げて、それを操作目標にしていたわけですけれども、そのゼロ%程度というのが非常に狭い幅でしか動かなくなって、市場の機能度が低下したんじゃないかという議論もありましたので、私は、おおむねプラスマイナスゼロ%程度の、ゼロ%の倍程度、
○黒田参考人 あの当時を思い出しますと、様々なことが起こっておりました。一つは、原油価格がずっと下落を続けておりまして、物価に対して下押し圧力がずっと続いておりました。他方で、後にチャイナ・ショックと言われたような中国経済に対する見方の変更というのがあって、いろいろ難しい状況でしたので、従来の量的・質的金融緩和の量的な拡大に加えて、マイナス金利を導入いたしました。 そのときの当面の市場の対応というのは
○黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にありますが、基調としては持ち直しています。輸出や生産は、海外経済
○黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、点検の中で、イールドカーブコントロールの枠組み自体はよく機能しておるのでこれを変えるつもりはないんですけれども、その下での資産買入れのやり方とか内容については、十分その効果と副作用を点検して、より効果的で持続可能なものにしていきたいというふうに考えております。 長期金利について、おおむねゼロ%程度、こういうふうに言ってきた、おおむねゼロ%というのはどのくらいの
○黒田参考人 従来から申し上げておりますとおり、今回のコロナ感染症の影響に対応して、日本銀行としても金融政策を強化したわけです。それはあくまでも、企業の資金繰りの支援であるとか、それから金融資本市場が不安定化しないようにするとか、そういったことをやっておりまして、コロナ禍の公衆衛生的な問題であるとか、それが直接的に社会経済活動に影響していることを金融政策で是正するというつもりはもちろんないわけです。
○黒田参考人 以前にも申し上げましたとおり、現実のこの物価上昇率というものは、金融政策だけではなくて様々な要因が影響することは確かであります。最も典型的には、例えば原油価格が大きく上がったり下がったりしますと、インフレ率を引き上げたり引き下げたりいたします。ただ、この物価の安定を実現するということは日本銀行の使命であることも事実でありまして、これは日本銀行法にも明確に定められておるわけであります。
○黒田参考人 令和二年度九月末におきます保有国債の簿価が五百二十九兆九千五百六十三億円、額面金額は五百十八兆五百六十四億円ということで、差額が十一兆九千億円程度であります。もっとも、御指摘のとおり、日本銀行では、国債の評価方法について償却原価法を採用しておりまして、こうした簿価と額面の差額を毎期均等に償却し、損益計算上、国債利息に計上しております。 国債利息に係る収益につきましては、こうした利息調整額
○黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、日本銀行の収益はその時々の金融経済情勢あるいは日本銀行のバランスシートの状況によって大きく振れ得るということを踏まえまして、実際に積み立てる金額、これは、自己資本比率の水準あるいは足下及び先行きの損益の状況を勘案して、ある程度増減できる仕組みとなっております。 そうした点を反映して、日本銀行の会計規程では、債券取引損失引当金について、対象となる損益の五〇
○黒田参考人 御案内のとおり、量的・質的金融緩和というものは、実施している間はバランスシートが拡大いたしますので収益が押し上げられる一方で、出口の局面では、御指摘のような日銀当座預金に対する付利の引上げなどによって収益が減少しやすいという特徴がございます。 こうした特徴を踏まえて、出口に向けた収益の振れ幅を平準化して日本銀行の財務の健全性を確保するという観点から、平成二十七年度に債券取引損失引当金
○黒田参考人 まず、ETFの買入れ自体につきましては、従来から御説明いたしているとおり、大規模な金融緩和策の一環として実施しておりまして、その目的は、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止するということで、そういうことを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくということであります。 そこで、最近の株価につきまして
○黒田参考人 通常の場合でもそうですし、こういった一種の危機的な状況におきましては、政策運営に当たって、国際的な情勢あるいは様々なリスク要因、さらには各国の政策スタンスというものについて、適切に把握して認識して共有していくということが非常に重要だと思います。 幅広い意味でいえば政策協調と言われるわけですけれども、その場合も、別に、財政についても金融についても同じことをやるという意味ではないと思います
○黒田参考人 御案内のとおり、この新型コロナウイルス感染症は今なお内外経済に大きな影響を与えておりまして、そうした意味で、まずは危機からの脱出あるいは脱却のために、感染症の封じ込めと経済活動の両立を図る必要があると考えておりまして、日本銀行としても、感染症対応として行っている現在の強力な金融緩和措置をしっかりと実施していくことで、引き続き経済を支えていく考えであります。 同時に、委員御指摘のとおり
○黒田参考人 まず、現在の株価のそのものについて、中央銀行総裁として公式のコメントというのはやや差し控えたいと思いますけれども、基本的に、株価というものは、経済の先行きあるいは企業収益の先行きを判断して決まってくるということが大きいと思います。ただ、その下でも、御指摘のように、いろいろな要因があって株価は決まってきております。 そうした中で、日本銀行のETFの買入れの影響というか、効果はどうかということだと
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、このETF買入れというのは、株式市場のリスクプレミアムに働きかけて経済、物価にプラスの影響を及ぼすということを目的にしておりまして、特に金融市場が不安定になるとやはり企業や家計の前向きな活動に障害が出るということがありますので、そういった市場の動向を見ながら弾力的に買入れを行っているということでありまして、株価の上昇を目的として行っているというものではございません
○参考人(黒田東彦君) 日銀は従来からずっと買入れを行っておりますけど、特に昨年の春、市場が非常に混乱して悪化したときは、ほとんど連日のように二千億円を超えるような買入れを行っておりました。ただ、最近は、買入れの頻度も大きく落ちておりますし、買入れ額もかなり小さくなっているということであります。
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、ETFの買入れというものは、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて経済、物価にプラスの影響を及ぼすということを目的に実施しております。すなわち、金融市場の不安定な動きなどが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止すると、そういうことによって企業や家計の前向きな経済活動をサポートすることを目的としております。実際、御案内のように、感染症の
○黒田参考人 私も、個人的に、日本の財政状況は極めて深刻な状況にあると思っておりますし、財政再建、財政の持続可能性を高めていくということが極めて重要であるというふうに思っております。 いずれにいたしましても、財政運営そのものは政府と国会の責任において行われるものでありますので、具体的に私から何か申し上げるということはありませんが、一方で、日本銀行としての金融政策、このイールドカーブコントロール、長短金利操作付量的
○黒田参考人 何が貨幣現象かということについてはいろいろな議論があると思いますけれども、日本銀行として、金融緩和、ある意味でいうと最大限の金融緩和をしてきたわけですけれども、その下でも二%の物価安定目標が達成されていないという意味では、金融政策に一定の限界があったということは認めますけれども、一般的に、インフレやデフレが貨幣的現象ではない、全く違う状況で決まってくるとは必ずしも言えないと。だから、そういう
○黒田参考人 この点は学者の方の中にもいろいろな御意見があると思いますけれども、ある程度長い期間を取ってみれば、インフレ、デフレというのは貨幣的な現象であるということは普通には言えると思うんですけれども、例えば、リーマン・ショック以降の、日本だけでなくて欧米の状況を見ましても、欧米の中央銀行も二%の物価安定の目標を掲げて金融政策を運営しているわけですけれども、リーマン・ショック後十年以上たってもなかなか
○黒田参考人 昨年春の緊急事態宣言発出時の影響を企業の業況感の面から見ますと、昨年六月のいわゆる短観で、企業規模を問わず、製造業、非製造業にわたる幅広い業種で大幅な悪化が見られましたが、中でも、製造業の自動車、非製造業の対個人サービス、宿泊・飲食サービスにおいて特に業況感の水準が大きく落ち込んだということであります。
○参考人(黒田東彦君) もとより財政政策につきましては政府、国会がお決めになることですので具体的な点について私から申し上げることは差し控えたいと思いますが、共同声明におきましても、財政政策につきましては機動的な財政運営を行うと、その一方で中長期的に財政の持続可能性を高めるような措置を講じていくと、これは世界のいろいろな政策担当者にしてもエコノミストにしても同意される意見だと思います。 そういう意味
○参考人(黒田東彦君) 二%の物価安定目標の達成につきましては、二〇一三年の一月に、私が総裁になる前ですけれども、政策委員会において二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということを決定され、政府と日本銀行のいわゆる共同声明にもこれが盛り込まれていたわけでございます。 その上で、私、二〇一三年の三月に総裁になりまして、この共同声明にも盛り込まれている二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。 海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しています。先行きも改善を続けると見ていますが、新型コロナウイルス感染症
○黒田参考人 先ほど申し上げたように、今回の措置、この導入を議論して、導入する方向を決めた、プルーデンス政策としての、地域における金融仲介機能の十全な発揮と金融システムの安定を目的として、一定の条件を満たした地域金融機関のみを対象として実施するものでありまして、長短金利操作つき量的・質的金融緩和のフレームには全く影響はありませんし、現在のいわゆるイールドカーブコントロールというものについても、これによって
○黒田参考人 この政策を具体的に導入するという際にはさまざまな決定がまた更に必要になるわけですけれども、今回、その導入の方針を決めたところで、関係する金融機関等に十分その趣旨を説明して、この政策が適切に施行されるようにしたいということで、そういう意味では、市場関係者その他とできるだけ密なコミュニケーションを図っているところであります。 金融政策決定会合の際には、確かに、決定会合直後に公表文を公表すると
○黒田参考人 そもそもこの制度は、御案内のとおり、地域における金融仲介機能の十全な発揮と金融システムの安定確保を目的とするプルーデンス政策として、一定の条件を満たした地域金融機関のみを対象として実施する、そういうものを導入しようということでありまして、金融政策として実施するものではありませんので、いわゆる金融政策決定会合において議論せずに、通常の政策委員会で議論して導入しようということを決めたわけであります