○参考人(榎本重治君) 私はこの問題につきまして、国際の慣例について申し上げてみたいと存じます。 被占領地域の住民と占領者との関係は、御承知のとおり、陸戦の法規慣例に関するヘーグ条約というのがございまして、それの付属規則に原則規定を置いておるわけなんでありまして、今回の戦争の場合もこの原則的規定は適用があったものと考えなければならないものと存じます。今回の戦争で、実際の戦争行為のやんだ後は、その占領
○榎本参考人 国内法では、皆さんも御承知の通りに、憲法では「財産権は、これを侵してはならない」とあります。公務員法には「相当年限、忠実に勤務して退職した者に対しては、恩給が与えられなければならない」とあります。それから恩給法には「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所二依リ恩給を受クルノ権利ヲ有ス」と書いてあります。従つて公務員が相当年月忠実に勤めてやめれば恩給をもらうということは、日本の法制上きまつたこどであつて
○榎本参考人 あるいは日本は無条件降服をしたのでありますから、占領軍は国際法に定める義務から解放せられまして、何でもやつてもさしつかえないのだという俗論もあるかもしれません。しかしながら日本の降伏文書には、「日本帝国大本営並二何レノ位置二在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下二在ル一切ノ軍隊ノ聯合国二対スル無条件降伏ヲ布告ス」と規定してあります。一切の日本の軍隊が敵国に無条件降伏したことはまことに
○榎本参考人 私ただいま御指名にあずかりました榎本重治でございます。大正四年から昭和二十三年まで最初海軍参事官、その後海軍書記官と改名されましたが、それから海軍大学校教官などを兼務したりなどして同一職務に三十何年勤めておりました。軍縮会議にもたびたび参りました。 本日は旧軍人軍属の恩給に関する意見を述べろというのでお呼出しにあずかりまして、非常によい機会をお与えくださいましたことを皆様と同様厚く御礼申
○参考人(榎本重治君) 只今委員長から御懇篤な御紹介がございまして誠に有難うございます。誠に不束な者で、十分御期待に副うようなことを申上げることができるかどうか甚だ不安なのでございますけれども、事極めて重要な又むずかしい問題で、先例なども余りありませんので、この法案などを審議される上において非常に御困難なことと存じますが、その御参考に幾分でもなれば甚だ仕合せだと存じます。 私は、実は先週巣鴨の拘置所