1979-12-04 第90回国会 参議院 予算委員会 第1号
○参考人(森永貞一郎君) 金額でどのぐらいが適正限度かという御質問にはなかなかお答えしにくいのでございますが、本年度の十五兆二千億余りの国債消化は、そのうちのかなりの部分が市中消化ということになっておるわけでございますが、かなり難航しておることだけは事実でございます。そのことが国債市価の上にも明瞭に出ておるわけでございます。その消化の実情に基づきまして、私どもといたしましては、来年度はぜひ国債発行額
○参考人(森永貞一郎君) 金額でどのぐらいが適正限度かという御質問にはなかなかお答えしにくいのでございますが、本年度の十五兆二千億余りの国債消化は、そのうちのかなりの部分が市中消化ということになっておるわけでございますが、かなり難航しておることだけは事実でございます。そのことが国債市価の上にも明瞭に出ておるわけでございます。その消化の実情に基づきまして、私どもといたしましては、来年度はぜひ国債発行額
○参考人(森永貞一郎君) いろいろと御激励をいただきましてありがとうございました。 おっしゃるとおり、物価情勢、国際収支、為替の動向などいろいろと困難な事態が山積しておるわけでございまして、この困難な事態を切り抜けるためには金融政策の面においても今後とも万全を期さなければならないと思っておる次第でございます。 具体的に公定歩合についてのお尋ねがございましたが、いままで警戒的観点と申しますか、物価
○参考人(森永貞一郎君) 初めに為替の問題でございますが、本朝は二百四十九円三十銭で寄りつきました後、ヤマニ・サウジアラビア石油相の発言等もございまして、十時過ぎでは二百四十七円九十五銭ぐらいのところに上がってまいっております。いずれにいたしましても、円安がずっと続いておるわけでございまして、そのことがいろいろな面に問題を投げかけておるわけでございますが、円安の基本的な背景といたしましては、この四カ
○森永参考人 お答えいたします。 卸売物価の現状につきましては、もう御承知のとおりでございます。昨今特に気になりますのは、円安の影響が見えておることでございまして、たとえば十一月上旬は〇・四のうち〇・二が円安でございます。中旬は〇・七のうち〇・四が円安でございます。そういう意味で、円の価値が安定することが当面非常に大切なことだと思いますが、その意味での努力も今後続けていかなければならないと存じております
○森永参考人 去る十一月の一日に第三次公定歩合の引き上げを決定し、翌日から実施いたしたわけでございます。さらに第四次を行うかどうかという御質問でございますが、目下のところ、この第三次引き上げの効果がいかに浸潤するかということを慎重に冷静に見きわめておるところでございまして、ただいまのところ第四次公定歩合の引き上げは考えておりません。すべて今後の事態の推移いかんによることではございますが、いまは考えておりません
○森永参考人 まず、本朝の為替相場を申し上げますと、二百四十九円七十銭でございまして、金曜日に比べて二十銭円安ということになっております。 このような円安傾向はこの二カ月ぐらい大変激しく起こっておるわけでございますが、その背景としては、何と申しましても日本の国際収支が一転してかなりの赤字に転じておるということ、特に石油の値上げの影響が重なってまいりまして、ここ四カ月ぐらいかなりの大きな規模での赤字
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライのM2は昨年の半ば以後少しずつ上がってまいりまして、現在は前年比一二%ぐらいでございます。二月の数字がきょう午後発表される予定でございますが、一二・三ぐらいのところでございまして、その数字そのものは落ちついた数字になっておるわけでございますが、M2の動きだけではなかなか安心できない点が起こっておりますのは、企業の短期保有有価証券がふえておるということ。それから
○参考人(森永貞一郎君) 御承知のごとく、景気の方は底がたい回復の動きをとっておりますし、国際収支の黒字幅縮小も顕著に進んでおるわけでございますが、その間ただ物価について警戒を要するという事情が起こっておるわけでございます。卸売物価の現在のような騰勢が今後も長く続くようでございますれば、先高感から国民のインフレ心理にも影響するというようなことで、そうなりますとせっかく回復の道を歩いておりまする景気も
○参考人(森永貞一郎君) 現在の卸売物価の動きは四十七年の秋ごろの動きに大変似通っておるわけでございます。その当時と今日とでは背景はいろいろ違う点もございますし、似た点もございますが、卸売物価の動きを警戒しなければならないということにおいては四十七年ごろの事態と同じぐらいの警戒を必要とするような状態だと私は思っております。
○参考人(森永貞一郎君) M2だけで見ましても、昨年の初め、前年比一〇%ぐらいでございましたのが、昨今は一二%台まで高まってきておるわけでございます。にわかにそれがさらに高まるという様子でもございませんが、M2だけではどうも過剰流動性の有無を考える場合に少し不十分ではないかと思いますのは、いま先生もお話しになりましたように、最近企業の短期保有有価証券の量が非常に増加してきておるのでございまして、これはいつでも
○参考人(森永貞一郎君) 数字の上から見ますと、四十七年の夏から秋口ごろから卸売物価の騰勢が始まったのでございますが、そのときの要因なども、また、数字の足取りなども、四十七年当時とやや似通ったような情勢があることは否定できないと思います。ただし、物価をめぐる環境の中には、同じような要素もございますが、そのころとまた違った要素もあるわけでございまして、正確にはあの当時と同じような情勢だとは思いませんが
○参考人(森永貞一郎君) 同友会の見解にも指摘されておりますように、十一月以後の卸売物価の動向には私も警戒を要するものが多分に含まれておると思っております。幸い暖冬に恵まれまして消費者物価の方はまだ落ちついておりますが、卸売物価にいずれは影響してくるというような問題もございますし、今後の物価動向には特に注意して施策に当たらなければならないと思っております。 卸売物価高騰の原因でございますが、初めは
○参考人(森永貞一郎君) 絵画骨とう品等については統計がございませんのではっきりしたことは申し上げられないのでございますが、輸入統計の上で、金でございますとか、宝石でございますとか、そういうものの輸入が増加してきておるのは事実でございまして、それが国内におけるそういうものに対する需要をやはり一部反映しておるのではないかということは想像にかたからぬところでございます。
○参考人(森永貞一郎君) いままでのところは、海外商品高がそのまま国内に反映されておるということが多いのでございますが、ごく一部には仮需的な動きも見られないではないようになってまいりました点が心配でございます。
○参考人(森永貞一郎君) お答えいたします。 率直に申しまして、現在の物価動向はかなり気がかりなところへ来ておると思います。消費者物価の方は暖冬に幸いされまして比較的落ちついておるのでありますが、卸売物価の方が十一月以後二月まで四カ月間連騰いたしておりまして、二月のごときは前月比プラス〇・九、年率にいたしますと二けた台というような騰貴でございました。この四カ月間の騰貴率を年率にいたしますと七%ぐらいの
○森永参考人 完全雇用の達成は理想でございますが、いまの現状から一足飛びに完全雇用ということにはなかなかむずかしいわけでございまして、私どもといたしましても、雇用問題の重要性を十分認識しておるつもりではございますが、当面はやはりミクロ的に、増加する失業者に対してどう処理するかという問題の方も大変大事な問題なのでございまして、その意味で政府においてもいろいろ施策を講ぜられておるわけでございまして、私どもといたしましては
○森永参考人 当面の経済政策の目標が雇用の安定とインフレの防止にあるということにつきましては、私も全く同感でございます。その意味で、昭和五十四年度の予算に当たり、巨額の国債を発行いたしまして景気を下支えする措置をとられたのも、時宜に適した措置であると存じます。 将来、長期にわたる問題としては、さらに福祉国家の建設などいろいろの問題がございますことは承知いたしておりまして、今後とも努力しなければならないと
○森永参考人 日本銀行の森永でございます。 かねて当委員会には、日ごろ何かと御指導いただいておりまして、ありがとうございます。 御要請でございますので、関連して、わが国の最近の経済情勢につきまして、まず簡単に申し上げたいと存じます。 最近のわが国経済情勢を見ますと、景気の方は、内需を中心に着実な上昇傾向をたどっております。すなわち、政府支出が高水準を維持しておりますほかに、個人消費、住宅投資、
○参考人(森永貞一郎君) 為替相場は為替市場の需給によって決まるわけでございますが、その背景にはその国の経済の状態、それを反映した為替市場における需給関係が反映されるわけでございますので、変動相場制のもと、その市場で決まります相場を無理やりにある一点に固定し、あるいはある方向に誘導するというようなことは避けなければならないと思いますけれども、円高にしろ円安にしろ、余りにも大きな変化がございますと、そのことが
○参考人(森永貞一郎君) 昨年十一月にアメリカがドル防衛策を発表いたしましてから全面的にドルが強くなっておるわけでございますが、特に円との関係で強くなっている。言いかえますと、ドイツマルク、スイスフラン等の安値率に比べまして円安率の方がはるかに大きいことは御承知のとおりでございまして、その背景にはただいま大蔵大臣から仰せられましたような背景があるわけでございます。 昨日、一昨日、少し変化が大きかったわけでございますが
○森永参考人 私ども、年来、金利の自由化、弾力化を実現することを念願としてまいっておるわけでございますが、そのねらいは、要するに市場の実勢に従って金利が決まる、それによって資源の配分が合理的に決まるようにという、いわゆるマーケットメカニズムを尊重した経済を今後とも実現することに努力していかなければならないと思っておる次第でございます。もう少し具体的に申し上げますと、金融政策の効率を上げますためには、
○森永参考人 まず初めに、マネーサプライの増加の状況でございますが、現金通貨と預金通貨を合わせましたM1では、昨年の初めごろは六、七%の前年比増加でございましたのが、ことし年末には一一%ぐらいの増加になっております。いまのはM1でございますが、そのM1に定期預金を加えましたいわゆるM2では、昨年初一〇%台の増加でございましたのが、年末には一二%台の増加でございます。一二%台で三、四カ月同じ程度の高さが
○森永参考人 私どもといたしましては、景気の着実なる回復ももちろん大切な問題でございますが、同時に物価を上げない、インフレを避けるということもまたそれにまさるとも劣らない大問題でございまして、いわば両方をにらみながら施策の運営をいたしてまいったわけでございます。幸い景気の方は、構造不況業種でございましたか、あるいは雇用問題等まだ深刻な問題も残っておりますけれども、大勢としては、華やかではございませんけれども
○森永参考人 金利水準全体といたしましては、いまもまだ低下の方向をたどっておることは御承知のとおりでございます。十二月の時点では、金融機関の約定平均金利は五%台、短期は四%台ということに下がっておるわけでございまして、今後も、少し低下の勢いが鈍るかもしれませんが、まだ低下の方向を続けるのではないかと思っております。したがいまして、短期資金につきましては非常に緩和しておるわけですが、その間長期資金につきまして
○森永参考人 当面はいまおっしゃられましたような措置を講ずることは考えておりません。しかし金融政策のあるべき姿といたしまして、情勢の推移をできるだけ早目にキャッチし、対策も予防的に早目早目にと心がけるべきものであると存じております。これは引き締め、緩和いずれの場合にも必要なことだと思っておりますが、当面はそこまでは考えておりません。
○森永参考人 先ほどお話もございましたように、十一月以後三カ月間の卸売物価の騰貴はやや異常なものがあるように感ぜられます。その原因を分析しますと、昨年中は一貫して物価の押し下げ要因として働きました円高が円安に転じ、いまは安定いたしておりますが、少なくとも物価押し下げ要因としては働かなくなったこと。それからもう一つば、海外の市況商品がこのところ堅調でございます。ロイター指数も一年前に比べまして八%ぐらい
○参考人(森永貞一郎君) 一番大きく流れが変わりましたのは、国民の貯蓄超過を企業の資金不足が吸収しておりましたのでございますが、それがいまはこの企業資金の需要がそれほどございません。まあそれを政府が吸い上げて財政で使っておる。その流れが一番大きく変わった点じゃないかと思います。 おっしゃいますように、大企業、中小企業の間でもこの流れが変わりつつあると思いますし、また、一次産業、二次産業から第三次産業
○参考人(森永貞一郎君) お答え申し上げます。 第一点の公社債市場の現状でございますが、私どもも非常に心配たいしております。特に、六分一厘物の発行条件との乖離は〇・七程度に達しておるわけでございまして、それではなかなか新発国債の消化もできにくいわけでございますので、来年はまた国債が——ことしですか来年度ですか、国債が十五兆円も出るわけでございますので、その消化の万全を期しますためには、やはり公社債市場
○参考人(森永貞一郎君) 十一月から卸売物価が騰勢に転じたわけでございまして、この三カ月間に卸売物価一・四%上がりました。 それを要因別に分析しますと、国内の要因が〇・四、海外要因が一・〇、その海外要因の中で契約要因によるものが〇・六で為替要因によるものが〇・四ということになっております。 一月になりますとこの為替要因によるものはなくなりまして、〇・六が一月の騰貴率でございますが、国内、海外半々
○森永参考人 順序をお差し繰りいただきましてありがとうございます。 初めのマネーサプライの問題でございますが、私ども四十七、八年ごろにおける苦いと申しましょうか貴重な経験にもかんがみまして、マネーサプライの動向には非常な関心を持っている次第でございます。もちろん、マネーサプライのみが唯一絶対の資料ではございませんので、物価の動静でございますとか景気の動静あるいは国際収支の状況など経済諸般の情勢等を
○森永参考人 投機的な要因等によりまして為替相場が激変するあるいは乱高下いたしますときにのみ売りまたは買いの介入をするという方針は、従来と全然変えておりません。そのときどきの情勢に応じ、ときには買い、ときには売り、双方の介入を実施しておる次第でございます。その詳細につきましては申し上げるのは控えたいと存じますが、従来と全然変わっておりません。 なお、今週の初めからイラン情勢をもとにドルの全面安が起
○森永参考人 お答えいたします。 変動相場制下でございますので、為替相場は市場における値づけに依存するのを基本方針とし、時として起こる乱高下、投機の行き過ぎ等に対して介入をする、そういう方針で臨んでおるわけでございますので、いまの水準が適正かどうかということについてのお答えを申し上げることは、私の立場上控えた方がよろしいのではないかということをまずお断り申し上げたいと思います。 大観して申し上げますと
○森永参考人 金融政策のあり方といたしまして、そのときどきの金融情勢、経済情勢に即しまして、こだわりなく、機動的に弾力的に実行していかなければならないことは当然でございますが、当面はこれ以上緩和を促進するのは必要でもなく、また適当でもないと考えておる次第でございまして、現在程度の緩和基調を維持するというのが私どもの現在の政策のスタンスでございます。 その理由はいろいろございますが、景気も底がたい動
○森永参考人 お答えいたします。 国債の市価が下がりました場合に、それでは日本銀行引き受けでいったらどうかとか、あるいは、引き受けは財政法上禁止されておりますので論外でございますが、そのかわりにオペレーションで買い上げて価格支持的な効果をねらったらどうかとか、とかくそういう議論が行われがちでございますが、これはマネーサプライの増加に直結いたしまして、それこそインフレーションの再燃の火種になるわけでございますので
○森永参考人 お答えいたします。 ことしの一月から上場いたしました六分一厘ものの取引所の市場における価格が、発行条件よりも価格の低落を見ておりますことは御指摘のとおりでございます。ただし、いまの市場の動きにはやや思惑的な動きもございまして、ごく少量の取引で値段が下がっているということがございますので、果たして実勢がどこかということはいましばらく見きわめを要するのではないかと思っております。 しかし
○参考人(森永貞一郎君) 私ども日ごろから金融調整に任じておるわけでございますが、金融調整の手段といたしましては、御承知のごとく貸し出しの調整がございます。それから手形オペがございますし、さらにはただいまお話がございました債券オペと、大体三つの手段があるわけでございます。前の二つ、貸し出しと手形オペ、これはどちらかと申しますと毎日の、あるいは毎月の資金需給の調整できわめて短期的なものでございます。債券
○参考人(森永貞一郎君) まあ現状はまだ非常に警戒しなくちゃならぬという段階ではございませんが、行く先注視を怠ってはならぬのじゃないかというのが私どもの現在の心境でございます。もし将来民間資金需要が起こってまいりまして、財政面の支出と相まってマネーサプライが非常にふえるというようなことになりますと、これは昭和四十六、七年ごろ経験いたしましたように、マネーサプライの面から物価が上がり、いろんな面が起こってくるわけでございますので
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライ、いわゆるM2の推移を見ますと、昨年の暮れ、ことしの初めぐらいがまあいわばボトムでございまして、前年比で一〇%あるいは一一%台でございましたが、六月ごろから一二%台の前年比ということになってまいっております。私ども、七月−九月からマネーサプライの予測を公表することにいたしまして、七月−九月は十一%台、上にふえることがあっても一二%程度じゃないかという予測を立てておったのでございますが
○参考人(森永貞一郎君) 現在のところマネーサプライの動きに非常に心配な要因が加わっておるとは思っておりません。なるほど昨年の秋からことしの初めにかけまして、マネーサプライ、いわゆるM2の動きは一〇%台で推移いたしておりましたのが、最近は一一%から一%台、七-九月は私ども初めて予測を発表いたしまして、一一%台、上振れいたしましても一%そこそこという予測を公表いたしたのでございますが、結果としては恐らく
○参考人(森永貞一郎君) 輸出の数量はかなり顕著に減少しておるのでございますけれども、このドル建て価格の引き上げの点からの余地が、アメリカのインフレなどもございまして、いままでは比較的余地が多かったというようなことでございましょうか。したがいまして、円高によるこの手取りの減少のかなりの部分をドル建て価格の引き上げによってカバーしてくることができたのがいままでの状態でございました。しかし、その辺はやはり
○参考人(森永貞一郎君) 昨今のように各国の利害関係が非常に絡み合っておりまして、特に基軸通貨国でございますアメリカの経済情勢が日本だけでなくて世界各国の経済に非常に影響がございますので、私どもアメリカの経済の推移につきましては終始注目しておる次第でございますが、この八月にカーター大統領がドル価値の維持の決意、インフレ抑制の非常な強固たる決意の表明がございましてから、その後いろいろな施策が相次いでおる
○参考人(森永貞一郎君) 御指摘がございましたように、国債の市価が低迷し、発行利回り、発行時の利回りに比べて市場の流通利回りが〇・四近く乖離しておる、そういう現状でございます。その理由はいろいろございまして、一つは、一時的な原因が重なったということだと思います。たとえば金融機関における国債価格変動引当金制度が導入されたのでございますが、それに備えて銀行筋が利の乗っておる国債を売ってこの準備金の積み立
○参考人(森永貞一郎君) 公定歩合の操作につきましては、そのときどきの経済情勢に即しまして、弾力的、機動的に処置しなければならぬことは当然と心得ております。現在その必要があるかということになりますと、いまはその必要がないのではないかと考えております。その理由といたしましては、内需の方はそこそこの回復をいたしておる。その足を引っ張りますのが輸出関係、いわゆる円高の影響いかん、マクロ的、ミクロ的な影響いかんということでございますが
○森永参考人 お答え申し上げます。 変動相場制のもとでございますので、為替市場を預かる者の一人といたしまして、現在の為替相場が高いとか安いとか、あるいはどのぐらいが適正かということは、言うことを差し控えた方がいいと存じますけれども、昨年九月以後の円高は余りにもテンポが速過ぎ、かつ結果として達しました水準も、スミソニアン比でもうドイツ・マルクと並ぶところまで来ておるわけでございまして、水準としてはかなり
○森永参考人 財政法によりまして、国債の日銀引き受けは厳に禁止されておるわけでございますので、今後とも直接あるいは間接に日銀引き受けと同様の結果に陥るようなオペレーション等の実施は厳に避けていかなければならないと思っております。従来も金融調節のためにいわゆる成長通貨として必要やむを得ざる程度のものはオペレーションによって買い入れておりましたけれども、今後とも成長通貨として必要な範囲以上のものを日本銀行
○森永参考人 御指摘がございましたように、昨今、債券市場におきましては、国債の市価の低落、したがいまして利回りの上昇が目立っているわけでございます。これが一時的な現象なのか、それとも基調的な現象なのか、その辺の見きわめをつけますのには、まだ少し時期が早いような感じもいたします。 一時的な現象と申し上げましたのは、たとえば九月に銀行の決算期が参ります。それに備えて新しく設けられまする国債についての準備金等
○森永参考人 御承知のごとく現在の経済情勢は、内需につきましては大体レールに乗った感じで、底がたい回復の過程をたどりつつあるように見受けられるのでございますが、そこへ急激な円高の問題が起こってまいりまして、輸出の数量減ないしは収益減等のデフレ的な現象が起こってくることによって、せっかくの回復過程にブレーキがかかることも心配される事態であると存じます。 つきましては、やはり財政面から何とかもう一段と
○森永参考人 通常の状態におきましては、内外の金利差が資本の流出に非常にはっきりした影響を持ち得るわけでございますが、お話にもございましたように、円の先高感あるいはドルの先安感という心理状態がいまだに払拭し切れておりませんので、円の為替相場について見ますと、直物と先物との差が非常に大きかったわけでございます。一時は六カ月でしたか、三カ月でもそうでしたでしょうか、七、八%のディスカウントになっておったわけでございまして
○森永参考人 本来の目的である国内景気の回復にとっての効果もすぐに出るわけではございません。だんだんに浸透してくる。それが内需の増大をもたらし、国際収支の黒字幅を縮小し、為替相場にもだんだんに影響が出てくる。両方を通じて効果の発生には少し時間がかかるのではないかと申し上げたわけでございます。
○森永参考人 当面の経済情勢を、国内景気の回復は依然としてはかばかしくない、しかも国際収支の黒字幅は大変大きくなってきておる、そこで、いままでの国際収支黒字依存型の経済運営を内需依存型により多く切りかえていただき、それによって輸入の増大を図り、国際収支の黒字を縮小する、そのことが国内景気の回復にも通ずるわけでございますので、そういう運営方針で経済運営を図られておると存ずる次第でございます。 その場合
○参考人(森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように、円の将来の相場の予測ということはなかなかむずかしいことでございまして、特に私どもみたいに為替政策の一端に携わっております者といたしましては、予測にわたるような発言をいたしますことがかえっていろいろな弊害を招くと思いますので、大変申しわけございませんが、ただいまの質問に具体的にお答えいたしますことは御容赦いただきたいと存じます。私どもも、もうそろそろこの
○参考人(森永貞一郎君) 御指摘のように、スミソニアンレートに対しまして、ドイツマルクは六〇%、スイスフランは一〇六%の値上がりを示しております。日本円は、本日の二百十八円何がしをもって計算いたしますと約四〇%というようなことになっておるわけでございます。巷間、ドイツマルクが六〇ぐらいまで上がっておるのだから日本円ももう少し上がるのは当然ではないかというような議論も聞かれるのでございますが、私はそういう
○参考人(森永貞一郎君) 金曜日の東京市場は御承知のようにドルがやや盛り返しまして二百二十三円をつけましたのでございましたが、その日にアメリカで、時差の関係がございますので東京市場閉鎖後でございますが、国際収支の二月分の発表がございまして、四十五億ドルという貿易赤字、非常に大きな赤字であることが発表されましたので、それがロンドンあるいはニューヨーク市場にはね返りまして、円だけではございません、ドイツマルク
○参考人(森永貞一郎君) ちょっと御質問を取り違えまして、私が公的当局による介入の金額と伺ったものですからちょっととんちんかんな答えをいたしましたのですけれども、いまの公的当局によるドル債権の保有額、これははっきりしたことはわかりませんです。まあ三千億ドルに達しておるのかどうか自信はございませんが、まあ当たらずといえども遠くない数字ではないか、もう少し小さいような感じもいたしますけれども、その程度のことしか
○参考人(森永貞一郎君) その数字は実は各通貨当局が厳秘に付しておりまして発表はいたしておりませんのでございますけれども、この半年余りの間における西ドイツ、スイス、日本、さらに最近はアメリカも共同加入をいたしておりますが、その公的当局による介入の総額はかなりの規模に達しておることは事実でございます。恐らくは百億ドルの単位をもって数えるぐらいの規模には達しておるというふうに申し上げられるかと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 最近のミラーさんの国会における証言、記者会見等、これは新聞紙で承知しておるだけでございますが、基本的な考え方としては、やはり各国間のインフレ率ないしは国際収支が調整されない限り問題の根本解決はできないという、これはもう前からそういう考え方がバンスさんによっても示されておったのでございますが、そういう基本的な考え方を踏襲しておられるということではないかと思います。しかしながら