1985-04-12 第102回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査特別委員会 第4号
○参考人(新田俊三君) 今の問題を考える前提として、日本の経済における社会資本ストック水準の国際的に見た低水準ということをまず問題にしなきゃならないと思います。 よく経済学でフローという概念とストックという概念を使い分けるわけですけれども、どうも我が国が豊かであるという意味が主としてフローのレベルで言われてきたわけですね。それは簡単に言いますと、耐久消費財を中心とした消費生活のレベルで高いと。ところで
○参考人(新田俊三君) 今の問題を考える前提として、日本の経済における社会資本ストック水準の国際的に見た低水準ということをまず問題にしなきゃならないと思います。 よく経済学でフローという概念とストックという概念を使い分けるわけですけれども、どうも我が国が豊かであるという意味が主としてフローのレベルで言われてきたわけですね。それは簡単に言いますと、耐久消費財を中心とした消費生活のレベルで高いと。ところで
○参考人(新田俊三君) 分権化という言葉は、専門家の用語で時々分散化というような用語で使われる場合もございます。非常に具体的に申しますと、地方自治体が、例えば投資の問題に関して申しますと、公共投資に関するプラン、それから実施責任、そういったものを持つということですね。ですから、私が公述の中で申し上げた分権化という問題提起は、いささか経済社会政策的な観点で申し上げたわけでございますが、これはわかりやすく
○参考人(新田俊三君) 新田でございます。 日本経済の中期展望というテーマでお話し申し上げたいと思います。 中期展望という場合の分析の対象期間でございますが、大体二十一世紀初頭に焦点を合わせるのがこの際は適切ではなかろうかと思います。 論述の順序に従いまして、まず最初に、二十一世紀初頭にかけての日本の経済成長に関する代表的な説を二つ取り上げてみたいと思います。重要なことは、いずれの説におきましても
○公述人(新田俊三君) 基本的な視点というのは、私は成長財源論者でございますので、財源自身は経済再建が可能であれば財源問題は、ちょっと乱暴ですが、大した問題ではないと考えております。つまり、財政再建が先で、それがあれば経済再建という諭理を逆に申し上げているわけですが、何らかの形で日本経済が安定成長のラインに乗せられることができれば、これは私五%と見ておりますけれども、これが分岐点だと思うんでありますけれども
○公述人(新田俊三君) お答えいたします。 内需主導型の中身についての御質問でございますが、先ほど申し上げた線に沿ってお答えいたしますと、経済成長を支える最終需要構成のうち、比較的短期的な需要効果としては所得減税並びに適切な賃上げによれということでございました。これが内需主導型の短期的要因でございます。しかし、中長期的な要因として、その所得減税と賃上げさえ続ければ日本経済が抱えている問題がすべて片
○公述人(新田俊三君) 新田でございます。 与えられた時間の中で、現在の景気局面並びに現在の景気同岡に関する施策について、若干の御意見を申し上げたいと思います。 現在の景気局面に関しましては、恐らく三つの特色があろうかと思います。 一つの性格は、世界同時不況であるという性格でございます。このような現象が一九三〇年代以降きわめて本格的な不況として世界的に展開されているという、規模の大きさにおいても
○新田公述人 四つほど御質問がございました。 まず減税の問題でございます。減税の投資効果に関しましては、かつてわれわれが高成長下でいろいろなパターンで試算したりしたケースですと、ほぼ公共投資に匹敵する乗数効果が出るというのが常識的だったわけですね。いろいろ試算がございましたけれども、二倍前後の乗数効果をもたらすであろうというのが、一つはわれわれが不要不急の公共投資よりは減税を優先すべきであるという
○新田公述人 四点ほど御質問がございましたが、簡単にお答えいたします。 まず第一点の、市場に対する社会的介入という言葉で御質問なさいましたか、一般に市場経済に対する政策的介入という表現を使っておりますけれども、これは介入という言葉から受けるように、必ずしもすぐ統制ということではなくて、いまは何といっても資本主義という体制を前提とした政策運営をやるほかございませんから、市場というのが現に存在して、その
○新田公述人 新田でございます。 限られた時間でございますので、私は、本年度予算の中に示されております経済政策の考え方に関して意見を申し上げたいと思うのであります。必要な限り数字の問題にあるいは入るかもしれませんが、余り細かな数字の問題よりは、五十三年度予算案に具体的に示されておりますところの経済政策の考え方が、私から率直に申し上げますと大変疑問としなくてはならない点が多いわけでありまして、基本的
○公述人(新田俊三君) 残念ながら、見解、逆でございます。賃金がたとえば上がることがインフレにつながるという、その論理のつなげ方がちょっとストレートに過ぎるんじゃないでしょうか。それは無条件に上がるのじゃなくて、たとえば自由市場のメカニズムを通じたら、コストが上がろうが何しようが、目一ぱい競争しているわけですから、上がるわけないですね。ですから、コストの上昇が価格引き上げに通じるには、必ず一定の市場支配力
○公述人(新田俊三君) そうですね、最初に明確にしておきたい点は、国際的な賃金水準と国際的な生活水準の比較というのは全く別な問題だということを最初に指摘しておきたいと思うんです。普通、日本のたとえば実質賃金がイタリア並みになった、あるいは最近はフランスを抜いたわけですが、この比較のベースがフローの概念なんですね。そのフローの概念と申しますのは、主として家計簿調査を中心とした消費財中心のと申しますか、
○公述人(新田俊三君) 新田でございます。 昨年のいわゆる狂乱物価という、石油危機に端を発しまして、たいへんなインフレの時代をわれわれは迎えているわけでございますが、これに対する政府のいわば政策の失敗ということにつきまして最初に指摘しておきたいと思うのであります。 物価抑制という問題に関しましてとられた短期決戦という形での政策が総需要抑制という形であらわれたのは周知のとおりでございますが、今日の
○新田参考人 この問題は、実はたいへん根が深いわけです。一つは、フランスは、御承知のとおり、戦前三十年間にわたって停滞を続けておりまして、終戦後、つまり戦争直後に、いわば政府の指導のもとに近代化計画を進めてまいりまして、現在第五次計画が進行中なのでありますが、徹底した重化学工業化政策というものをとってきたわけであります。その際、フランスの復興というものをささえたのは、端的に申し上げますと、EECという
○新田参考人 御指摘のとおり、日本経済は、貿易の拡大のスケールに比して、金・外貨準備の増加というのはたいへん低い。一九六〇年から六六年の間の貿易の増加に対する準備の増加を比率で見ますと、日本はわずか一一・三%です。つまり、貿易の増加額が五十九億二千五百万ドルであったのに対して、準備の増加額が六億七千二百万。最近はきわめて好調なようでありますが、長期的に見ますと、こういうような状態であります。これはフランス
○新田参考人 今回の改定で特に問題となります点は、SDR創設に関する第二十一条から第三十二条に至るまでの追加、附表F、G、H、Iの追加に関するものであろうかと思われます。それで、この点を中心に、若干意見を述べてみたいと思います。 最初に、このSDRに関しまして、世間にいろいろ誤解があるようでありますので、この点をただしておきたいと思います。それは、SDRの出現によりまして、これを金の束縛から解放された