○原参考人 ことしの六月ごろです。それで、出境証が出てから二箇月間猶予があるのですが、そのぎりぎり一ぱいまでおつたのであります。そのときは、新聞に三日間広告を出されまして、もしその人に負債とか法律的な問題がない場合には許可証を渡す、異議のある人は公安局に申し出ろということが書いてありました。三日間過ぎるまでは心配したのでありますが、その間に異議を申し立てる人もなくて、公安局に行つたのであります。そして
○原参考人 私は、昭和十七年の二月十一日、忘れもしない紀元節の朝、上海の港に着きました。個人の用事というよりは、上海見物に行くというような気軽な気持で行つたのです。それが、はからずもいろいろの輸送問題で遂に帰れなくなつてしまつて、やむを得ず向うにとまつてしまつたのです。その後、大別しますと、日本人時代は、自分で小さな商売をしておつたのです。戦争が終つてから、国民党時代には、工場に留用になりました。それが