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2021-06-04 第204回国会 参議院 本会議 第28号
公式Web版
会議録情報
0
令和
三年六月四日(金曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二十八号
令和
三年六月四日 午前十時
開議
第一
重要施設周辺
及び
国境離島等
における土
地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関 する
法律案
(
趣旨説明
) 第二
原子力
の
平和的利用
における
協力
のため の
日本国政府
とグレート・
ブリテン
及び北部
アイルランド連合王国政府
との間の協定を改 正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの 件(
衆議院送付
) 第三 大西洋の
まぐろ類
の保存のための
国際
条 約を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求 めるの件(
衆議院送付
) 第四
国際航路標識機関条約
の
締結
について承 認を求めるの件(
衆議院送付
) 第五
自然災害義援金
に係る
差押禁止等
に関す る
法律案
(
衆議院提出
) 第六
国家公務員法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第七
航空法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) 第八 プラスチックに係る
資源循環
の
促進等
に 関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第九
地方公務員法
の一部を改正する
法律案
( 第二百一回
国会内閣提出
、第二百四回
国会衆
議院送付
) 第一〇 全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築す るための
健康保険法等
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
日程
第一より第一〇まで 一、
国会職員法
及び
国家公務員退職手当法
の一 部を改正する
法律案
(
衆議院提出
) 一、
国際経済
・外交に関する
調査
の
中間報告
一、
国民生活
・
経済
に関する
調査
の
中間報告
一、
原子力等エネルギー
・
資源
に関する
調査
の
中間報告
─────・─────
山東昭子
1
○
議長
(
山東昭子
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
(
趣旨説明
) 本案について
提出者
の
趣旨説明
を求めます。
小此木八郎国務大臣
。 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
2
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) ただいま
議題
となりました
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
につきまして、
趣旨
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、近年、
我が国
を取り巻く
安全保障
をめぐる
環境
が不
確実性
を増している
状況
に鑑み、
我が国
の
安全保障等
に寄与することを
目的
として、
防衛関係施設
、
海上保安庁
の
施設等
の
周辺
並びに
国境離島
及びその
周辺
の
有人離島
の
区域
内にある
土地等
の
利用状況
を
調査
するとともに、
当該土地等
がこれらの
機能
を
阻害
する
行為
の用に供されることを防止するための
措置
について定めるものであります。 以下、この
法律案
の
内容
につきまして、その概要を御
説明
いたします。 第一に、
政府
は、
重要施設
の
施設機能
及び
国境離島等
の
離島機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
の防止に関する基本的な
方針
を定めることとしております。 第二に、
内閣総理大臣
は、
重要施設
の敷地の周囲おおむね一千メートルの
区域
内及び
国境離島等
の
区域
内の
区域
で、その
区域
内にある
土地等
が
当該重要施設
又は
当該国境離島等
の
機能
を
阻害
する
行為
の用に供されることを特に防止する必要があるものを
注視区域
として
指定
することができることとし、
注視区域
内にある
土地等
の
利用
の
状況
についての
調査
を行うこととしております。 第三に、
内閣総理大臣
は、
注視区域
内にある
土地等
の
利用者
が
当該土地等
を
重要施設
又は
国境離島等
の
機能
を
阻害
する
行為
の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときに、
当該利用者
に対し、
当該土地等
を
当該行為
の用に供しないこと等を
勧告
するとともに、正当な
理由
がなくその
勧告
に係る
措置
をとらなかったときは、
当該措置
をとるべきことを
命令
することができることとしております。 第四に、
内閣総理大臣
は、
注視区域
に係る
重要施設
又は
国境離島等
について、その
機能
が特に重要であり、又はその
機能
を
阻害
することが容易であって、他の
重要施設
又は
国境離島等
による代替が困難である場合には、
当該注視区域
を、
特別注視区域
として
指定
することができることとし、
特別注視区域
内にある
一定面積
以上の
土地等
について、
所有権等
の
移転等
をする
契約
を
締結
する場合には、原則として、その
当事者
があらかじめ
内閣総理大臣
に届け出なければならないこととしております。 第五に、
内閣
府に、
土地等利用状況審議会
を設置することとしております。 このほか、所要の
規定
の
整備
を行うこととしております。 なお、この
法律案
の
施行期日
は、一部の
規定
を除き、公布の日から起算して一年三月を超えない
範囲
内で
政令
で定める日としております。 以上が、
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
3
○
議長
(
山東昭子
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、
質疑
の通告がございます。順次発言を許します。
和田政宗
さん。 〔
和田政宗
君
登壇
、
拍手
〕
和田政宗
4
○
和田政宗
君
自由民主党
の
和田政宗
です。
自由民主党
・
国民
の声を代表し、ただいま
議題
となりました
重要土地等調査法案
について、
小此木担当大臣
に
質問
いたします。 ここ十数年、
自衛隊基地周辺
などで
外国資本
による
土地
の
購入
が明らかになっています。
長崎
県
対馬
市の
海上自衛隊基地
や
北海道
の
航空自衛隊基地周辺
の
土地
や森林が
外国資本
に
購入
され、
国境離島
でも、
外国企業
による
利用計画
が不明な
土地購入
に、地元から憂慮の声が上がっています。 これまでの
法体系
では、誰が何の
目的
で
購入
したのか、国として
調査
することができない
状況
でした。しかし、
我が国
の
安全保障
上重要な
施設
の
周辺
から、有事の際、直接的な
妨害活動
のみならず、電波による
妨害行為
がなされるだけでも、国防上致命的な
状況
に陥りかねません。気が付いたときにはもう手遅れで、
我が国
の存続や
国民
の
生命
が重大な危機にさらされるという
事態
は避けなければなりません。 このような
状況
では、
我が国
と
国民
を守り抜くことはできないと危惧し、こうした
脅威
に対する
法律
を
整備
しなくてはならないと、私は
同僚議員
とともに訴えてきました。
政府
から
提出
された本
法案
をこの
参議院
本
会議
で議論できることに、ようやくここまで来たかという思いです。同時に、
施行
の
状況
を踏まえて、今回講じられる
措置
の
実効性
を確認し、更なる
対応
についても検討していかなければならないと
考え
ています。 そこで、長い間の議論を踏まえ、
防衛関係施設
、
海上保安庁
の
施設
や
重要インフラ
、そして
国境離島等
を守り、日本の
安全保障環境
への
脅威
を取り除いていくという
大臣
の
決意
をお伺いします。
米国
やオーストラリアなどでは、
安全保障
上重要な
土地
の
所有等
に
一定
の
規制
や
制限
を掛ける
法律
を制定しています。
安全保障
にとって重要な
施設
や
土地
の
周辺
での
土地買収
や
利用
に対して何らかの
措置
を講じていくことは、厳しさを増す
国際環境
からも国と
国民
を守るための世界的な常識です。この点について、
大臣
の
見解
を伺います。 今回の
法案
により、
重要施設周辺
の
私権
、私の
権利
が厳しく
制限
されるという
意見
がありますが、そうではないと
考え
ます。
事前届出
は、
一般
の
土地関係法令
でも求められることがあります。そして、本
法案
における
利用状況調査
において、
罰則規定
がある
土地利用者等
からの
報告徴収
も、
現況調査
を行い、
行政機関
や
地方公共団体等
に対して既に保有している
情報
の
提供
を求めた結果、なお必要があるときと限定されています。さらに、
勧告
や
命令
において、
機能
を
阻害
する
利用
や
行為
が何であるかについても、具体的に示されることとなります。 このように、
私権
の
制限
は
必要最小限度
かつこれまでの
法体系
ともバランスが取れているものであり、
一般
の
住民
の
皆様
の平穏な
生活
や営みに支障はないと
考え
ていますが、
大臣
の
見解
を伺います。
土地関係法令
による
規制
は、
宅地建物取引業法
に基づく
重要事項説明
として、
契約
の前に
説明
を受けることとなります。本
法案
による
事前届出
についても、
重要事項説明
の中に位置付けて、義務の
説明
を確実に
当事者
に伝えるなど、
関係行政庁
の
協力
を得て、この
規定
の
実効性
を高めるべきと
考え
ます。この点について、
大臣
にお尋ねします。 今回の
法案
により、各
省庁
や
地方公共団体
が
所有
している
公簿等
の
収集
、
土地等
の
利用者等
からの
報告徴収
を行うことができるようになり、より正確かつ具体的な
土地
及び
建物
の
利用状況
の
把握
が可能となります。これらの
情報
は、
個人情報保護
の
観点
から適切に
管理
されることになると
考え
ていますが、
大臣
の御
所見
をお聞かせください。 本
法案
では、
勧告
、さらには
命令
、それにも違反した場合に
罰則
が
規定
されています。しかし、それでも
機能阻害行為
が排除されないおそれがあります。その際、
我が国
の
安全保障
を守るために、
売買契約
の無効や
政府
による強制的な
買収等
の
措置
も検討する必要があるのではないかと
考え
ますが、この点について
大臣
の
考え
をお尋ねして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
5
○
国務大臣
(
小此木八郎
君)
和田議員
から六問の御
質問
をいただきました。順次お答え申し上げます。 まず、私の本
法案
に臨む
決意
について御
質問
をいただきました。
我が国
の
防衛関係施設等
の
周辺
や
国境離島等
において
外国資本
が
土地
を買収していることは、
安全保障
の
観点
から長年問題視されてきた
課題
です。
我が国
の
安全保障
をめぐる
内外情勢
は、近年厳しさを増しています。
安全保障
を
確保
するためには、
土地
の
管理
を含め、万全の
対策
を講ずる必要があると
考え
ます。 本
課題
については、
国会
や
地方議会
でも議論されてきたほか、
全国各地
の
地方公共団体
からは、
安全保障
の
観点
から
土地
の
管理
を求める
意見書
が
提出
されています。 本
法案
は、
土地
に関する
安全保障
上の
懸念
が
現実
のものとなることのないよう、
土地等
を
利用
した
重要施設等
の
機能阻害行為
を未然に防ぐために必要なものであり、本
国会
で御
審議
の上、是非とも成立させていただきたいと
考え
ております。 その上で、
法案成立
の暁には、私が先頭に立って、
施行
に向けた準備を確実に進め、
国民生活
の基盤の維持、
我が国
の
領海等
の保全、そして
安全保障
の
確保
に全力で取り組んでまいります。 次に、諸
外国
の
対応
との比較について御
質問
をいただきました。 世界の
主要国
では、従来から
軍事施設周辺
の
土地
、
建物
の
利用
、
取得
を
規制
しています。これに加え、近年、
米国
、豪州及び英国は、
安全保障
上重要な
土地等
に関し、それらの
取引規制
にまで踏み込んだ
法改正
を行いました。 それらの
取組
の背景、
経緯
や
運用
の詳細は、
安全保障
上の
機微情報
を含むため開示されておりませんが、それぞれの
法改正
は、個別具体的な事案ではなく、
安全保障
上のリスクを念頭に置いて行われたものと承知しております。 こうした
状況
の下、
我が国
としても、
安全保障
上の
懸念
が
現実
のものとなる前に、
土地等
を
利用
した
安全保障
の
観点
から重要な
施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
については、その
利用
を適切に
規制
する必要があります。 本
法案
は、こうした
基本認識
に立って取りまとめて、この
通常国会
に
提出
しているものであります。 次に、
私権制限
との
関係等
について御
質問
をいただきました。
安全保障
の
確保
という大義の下、過度に
私権
を
制限
することはあってはなりません。本
法案
は、
我が国
の
安全保障
と自由な
経済活動
との両立を図るとの基本的な
考え
方に立って取りまとめたものであります。 本
法案
は、
公簿
の
収集等
によって
安全保障
上の重要な
土地等
の
利用状況
の
調査
を行った上で、
防衛施設等
の
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
が明らかになった場合に限って、その
利用
の
中止
を
勧告
、
命令
する等の
措置
を行うことができる
枠組み
としております。このため、本
法案
に基づく
措置
は、
国民
の
皆様
の平穏な
日常生活
や
経済活動
を妨げることはないものと
考え
ています。 次に、本
法案
に基づく
事前届出
と
宅地建物取引業法
の
重要事項説明
の
関係
について御
質問
をいただきました。
宅地建物取引業法
においては、
宅地建物取引業者
に対し、
契約締結
の判断に大きな
影響
を与える
重要事項
について、
売買契約成立
までの間に
買主
に
説明
することを義務付けていると承知しています。 本
法案
との
関係
では、
特別注視区域
において
一定規模
以上の
土地等
の
買主等
に義務付けられる
事前届出
について、
重要事項説明
の
対象
とすることを検討しています。 また、
地方公共団体
や
不動産業関連団体等
にも御
協力
をいただき、
制度
の
趣旨
、求められる
対応等
について分かりやすく
周知広報
に努めてまいります。 次に、
個人情報
の
保護
について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
調査
では、
不動産登記簿
や
住民基本台帳等
の
公簿
の
収集等
を通じて
個人情報
を取り扱います。このため、第三条において、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律等
の
関係法令
にのっとり、その
保護
、
管理
に万全を期すことを確認的に定めています。
調査
によって
収集
する
個人情報
は、
内閣
府に新設する予定の部局が
責任
を持って
管理
します。具体的には、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律
に基づき、例えば、
目的外使用
は行わない、
情報漏えい対策
を講じるなど、厳格な
管理
を徹底してまいります。 最後に、
取引制限
や強制的な
買収等
の検討についての御
質問
をいただきました。 本
法案
は、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
を防止するため、
土地等
の
利用状況
を
調査
した上で、必要に応じ
土地等
の
利用
について
規制
を行おうとするものであります。 一方、そうした
機能阻害行為
としての
土地等
の
利用
を防止するために
土地等
の
取引
を
規制
する、あるいは収用によって
所有
を
規制
するといった
私権制限
の程度が強い
措置
を設けることについては、昨年開催した
国土利用
の
実態把握等
に関する
有識者会議
においても御議論いただきました。その結果、
有識者会議
の
提言
では、今般の
制度的枠組み
の
実施状況
、
有効性等
を見極めた上で、
安全保障
をめぐる
国際情勢
、諸
外国
の
取組等
も踏まえ、慎重に検討していくべきとされたところであります。 こうした
提言
を踏まえ、本
法案
では、当面、
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用規制
の
枠組み
で
対応
することとしました。その上で、御
指摘
のあった強制的な
買収等
の
措置
については、附則第二条に
規定
する五年後の見直しにおいて、更なる
政策対応
の
在り方
について検討してまいります。 以上です。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
6
○
議長
(
山東昭子
君)
木戸口英司
さん。 〔
木戸口英司
君
登壇
、
拍手
〕
木戸口英司
7
○
木戸口英司
君
立憲民主
・社民の
木戸口英司
です。 ただいま
議題
となりました
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
につきまして、会派を代表して
質問
いたします。
新型コロナウイルス対応
の
緊急事態宣言
は、
東京
都、大阪府など五月末とした期限が六月二十日まで延長され、
沖縄
県も含め十都道府県で継続されることとなりました。
菅総理
が
短期集中
をうたって四月二十五日に始まった
宣言
は、週末ごとに
対象地域
の追加と延長を繰り返し、
宣言
の効果への疑念と
総理
の言葉への
不信感
は、
国民
の
協力
へのモチベーションを著しく低下させているのではないでしょうか。 急速に置き換わる
変異ウイルス
の拡大を抑え込み、二十日に
宣言
解除できるのか。
影響
がとりわけ大きい
飲食業等
、
事業者
は持ちこたえられるのか。
菅総理
の七月末までにワクチンの
高齢者接種
を終わらせるとの大号令は
実効性
があるのか。多くの
国民
の
懸念
や不安を置き去りに突き進む
東京オリンピック
・パラリンピックは本当に開催できるのか。 この局面で、六月十六日、
国会
を閉じるのでしょうか。
専門家
や
自治体
との
意思疎通
と
役割分担
がいまだ不安定な
政府
に一任し、
国会
を延長しないとすれば、
国会
の
存在意義そのもの
が問われます。 今回の
土地規制法案
について、
防衛施設
の保安を徹底するのは当然であり、
外資
による
土地買収
への
懸念
も理解できます。しかし、本
法案
は
私権制限
を伴い、懲役を含む刑罰が科せられます。このような
重要法案
をなぜ
会期
末ぎりぎりになって
参議院
に送ってきたのか。恣意的な
運用
がなされるおそれをそのままに、
政府
に白紙一任することはできません。
衆議院内閣委員会
において、
立憲民主党
は、
私権制限
に歯止めを掛けつつ法の
実効性
を高めるよう
慎重審議
を求めてまいりましたが、
審議
僅か十二時間、
委員長職権
で打ち切られたことは言語道断です。
参議院
での
審議
時間の
確保
を
理由
としたようですが、
会期
末まで二週間を切る中で、
審議
不十分の
生煮え法案
を安易に送ってこないでいただきたい。
規制
される
行為
も、
政府
による
調査
の
範囲
も、その詳細は明示されないまま、
安全保障
を盾に
政府
は
説明責任
を忌避していると言わざるを得ません。
参議院
では、
法案
の不備を明らかにするまで、十分な
審査
をいたしましょう。
参考人質疑
も
連合審査
も当然必要です。時間が足りなければ、
国会
を延長しましょう。 これまで、
国境離島
や
防衛施設周辺等
における
土地
の
所有
、
利用
をめぐって
安全保障
上の
懸念
が
指摘
され、二〇一〇年、
和歌山県議会
から国に対し、
外国資本等
による
土地
の
売買
や適切な
管理体制
を構築するための
法整備
に取り組むことを求める
意見書
が出されて以来、複数の
自治体議会
から同様の
意見書
が
提出
されています。また、二〇一三年の
長崎
県
対馬市議会
、二〇一四年の
北海道千歳市議会
において、各市に所在する
自衛隊基地等
の
周辺土地
が
外国資本
に
取得
されていることが問題提起されてきました。
政府
は、二〇一三年、
国家安全保障戦略
を
閣議決定
し、
国家安全保障
の
観点
から
国境離島
、
防衛施設周辺等
における
土地所有
の
把握
、
状況
に努め、
土地利用等
の
在り方
について検討するとの
方針
を示しています。 本
法律案提出
まで時間を要した
経緯
について、
小此木大臣
に伺います。 また、
外資
による
土地取得
が問題視されてきた
水源地周辺
は
調査
、
規制
の
対象外
となりますが、
地方
の
要請
に応える
法案
となっているのか、
所見
を伺います。
衆議院内閣委員会
の
質疑
において、本
法律案
の立法事実について、
小此木大臣
からは、
我が国
の
安全保障
をめぐる
内外情勢
が近年厳しさを増しているとの答弁がありました。この
認識
は我々も共有するところですが、
国家安全保障戦略
による
方針
が打ち出されて八年が経過し、この間、同様の
認識
が
政府
から繰り返される一方で、本
法律案
は、骨太の
方針
二〇二〇で
方針
が出されてから、昨年末のたった三回の
有識者会議
、窮屈な
日程
の中での
国会提出
と、
拙速感
が否めません。 現在の
我が国
を取り巻く
安全保障環境
に対し、本
法律案
の果たす
意義
と
実効性
について、
岸防衛大臣
の
説明
を求めます。
防衛省
は、
国家安全保障戦略
の
方針
を受け、二〇一三年から四年間、約六百五十の
防衛施設
の
隣接地
について、
不動産登記簿等
の
一般
に入手可能な
資料
により
調査
を
実施
しております。
登記簿
上の
名義人
が
外国籍
の者である
土地
が認められたとしながら、
実態
上の
所有者
と
登記記録
上の
所有者
の不一致や、
不動産登記簿
の地目以上の
利用実態
までは
把握
できないなど、
調査
に限界があるとの
指摘
がされてきました。 当時の
調査
の総括について、
防衛大臣
に伺います。 本
法律案
による
調査
には、第六条の
現地
・
現況調査
、第七条の
公簿収集
、第八条の
報告徴収
と、第十三条の
特別注視区域
における
事前届出制度
に加え、
重要施設
を所管又は運営する
関係省庁
、
事業者
や
地域住民
の方々から
機能阻害行為
に関する
情報
を
提供
いただく仕組みも今後検討すると答弁しています。第二十二条では、
内閣総理大臣
は、この
法律
の
目的
を達成するため必要があると認めるときは、
関係行政機関
の長及び
関係地方公共団体
の長その他の
執行機関
に対し、
資料
の
提供
、
意見
の開陳その他の
協力
を求めることができるとあります。
内閣官房
から示された
防衛関係施設
における
注視
・
特別注視区域
の候補は、
注視区域
で約四百数十か所、
特別注視区域
で約百数十か所に上っています。これら
区域
の
調査
に当たり、
関係行政機関
は
防衛省
・
自衛隊
であり、
自衛隊
による
住民
に対する
直接的調査
への
協力要請
が行われる
懸念
があります。このような
現地
・
現況調査
が行われるとすれば、
自衛隊法
においてどの
規定
によることになるのでしょうか。 本
法律案
の
目的
の達成のための
自衛隊
による
住民
への直接の
調査
がどの
範囲
まで許されると
考え
るのか、
防衛大臣
の
見解
を求めます。 本
法律案
は、
法案
中の
懸念
や
定義
が一義的ではなく曖昧であり、
政府
の裁量の幅が大きくなっている点が問題です。
法案
では、
重要施設
や
国境離島等
への
機能阻害行為
に対して、
行為
の
中止
を
勧告
し、正当な
理由
がなく
勧告
に従わない場合には
命令
をすることができ、
命令
に従わない場合の
罰則
も
規定
されています。しかし、どういった
行為
が
機能阻害行為
に当たるかは、
法律
には明記されていません。
政府
は、
閣議決定
をする
基本方針
に
機能阻害行為
を
例示
する
考え
を示していますが、本
法律案
が
国民
の
権利
を制約する
内容
を含んでいることからすれば、少なくとも
政府
が答弁している
機能阻害行為
については
例示
として
法律
に盛り込むべきと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を伺います。
重要施設等
の
機能
の
阻害
に使用されている物件に対し撤去など
実効性
ある
措置
をとることはあり得るのか、また、どのような
規定
によるか、伺います。 本
法律案
で
定義
する
重要施設
の三類型の一つに
生活関連施設
があります。この
生活関連施設
は、
国民生活
に
関連
を有する
施設
であって、その
機能
を
阻害
する
行為
が行われた場合に
国民
の
生命
、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので
政令
で定めるものとされており、具体的な
施設
の
指定
は
政令
に委任されています。
政府
は、
原子力関係施設
と
自衛隊
が共用する空港を
生活関連施設
として
政令
で定めることを検討しているとしています。 本
法律案
が
国民
の
権利
を制約する
内容
を含んでいることからすれば、
機能阻害行為
の
例示
の
必要性
と同様に、
指定
の
基準
を明確にするため、少なくとも
政府
が答弁している
施設
については
例示
として
法律
に盛り込むべきではないかと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を伺います。 本
法律案
では、
国民
の
権利
と自由に及ぼす
影響
が
懸念
されています。 例えば、
沖縄
県は
県土そのもの
が
有人国境離島
である上に、多くの
在日米軍基地
を抱えています。大多数の
沖縄県民
が本
法律案
に基づく
調査
や
規制
の
対象
となり、本
法律案
の曖昧な
定義
や
基準
のために
県民
が知らぬ間に
監視下
に置かれてしまうこともあり得ます。本
法律案
には、
土地等
の
所有者
や
利用者
の
利用状況
を
調査
するため、
利用者
その他の
関係者
に
情報提供
を求める
規定
があり、従わなければ処罰されます。
基地等
の
監視活動
や
抗議活動
をする知人や
協力者
の
個人情報
の
提供
を迫られることで、
地域
や
市民
が分断されることとなり、
市民運動
や
住民運動
の
自己抑制
、萎縮につながりかねません。 本
法律案
の
規定
による
措置
の
実施
に当たっては、憲法が保障する思想や表現の自由、
団結権
、
団体行動権
といった
国民
の
権利
と自由が不当に
制限
されるようなことがあってはならないと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を伺います。 第八条では、
内閣総理大臣
は、
注視区域
内にある
土地等
の
利用者
その他の
関係者
に対し、
当該土地
の
利用
に関し
報告
又は
資料
の
提出
を求めることができることとし、
報告
若しくは
資料
の
提出
をしなかった場合の
罰則規定
が設けられています。
罰則
が
規定
されている以上、
関係者
としてどのような者がその
対象
となり得るのか
法律
上明確でなければ、
国民
に対する
罰則
の告知として不明確であり、また、
行政
による恣意的な処罰のおそれが排除できない点で、
罪刑法定主義
に反するのではないでしょうか。どのような者が該当し得るのか
法律
に
例示列挙
を
規定
する
考え
はありませんか。
小此木大臣
の
見解
を伺います。 また、
報告徴収
についての
罰則規定
は削除すべきと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を伺います。
注視区域
及び
特別注視区域
は、
内閣総理大臣
が
指定
し、官報で公示することとされています。具体的にはどこが該当するのでしょうか。衆議院において、
防衛省
からは、該当する
自衛隊
施設
のリストは作成したとしつつ、
内閣
委員会理事会には、全体像の分かる
資料
は
提出
されませんでした。
防衛省
の答弁によれば、このリストを公表した場合、
我が国
の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねないとし、
安全保障
上の
懸念
を
理由
とされています。 本法成立後、官報で公示される
区域
リストについて、
安全保障
上の
懸念
から
法案
審査
の段階で公表できないとすることに合理的
理由
は見出せません。充実した
審議
のためにも
施設
リストを示すべきと
考え
ますが、提示しない
理由
と併せ
小此木大臣
の
見解
を求めます。 本
法律案
では、
注視区域
及び
特別注視区域
の
指定
について、
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を
基本方針
に定めるとしています。この
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項とは、具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。 市ケ谷の
防衛省
を
特別注視区域
の
対象
から除外するとの報道について、答弁では、決定した事実はないとしています。法定された
指定
の要件、すなわち
重要施設
機能
の
阻害
の容易性や代替困難性などが認められるにもかかわらず、
基本方針
に定められた留意事項によって結局
指定
されないことがあり得るのであれば、
法律
も
国会
での議論も骨抜きにできてしまいます。恣意的な
運用
のおそれのある
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項の文言は削除すべきと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を求めます。 第十三条は、
特別注視区域
内にある
土地
の
売買契約
などにより
所有権等
が移転する場合に、
契約
に先立ち
内閣総理大臣
に届け出ることを義務付けています。この義務に違反し、
事前届出
をしないで
売買契約
を
締結
した場合について、
罰則規定
が設けられています。このような
事前届出制度
は、
所有
権の自由な移転を妨げるものであり、
私権
に対する重大な制約となります。
私権制限
を正当化する
理由
として、国家の
安全保障
という漠然とした
保護
法益を挙げることで
説明
ができているのでしょうか。
事前届出
制による
制限
を正当化する十分な根拠が示されないとすれば、届出義務に違反した場合の
罰則規定
は削除すべきではないでしょうか。
小此木大臣
の
見解
を伺います。 また、国家の
安全保障
という抽象的な法益を
保護
するためであれば、事後の届出を要求することでその
目的
は達成できるのではないでしょうか。事後届出制に改める
考え
はないか、
小此木大臣
の
見解
を伺います。
有識者会議
の
提言
では、
土地
の
所有
、
利用
に関する
情報
を一元的に
把握
、
管理
する組織、体制を
整備
すること、
全国各地
の
土地等
の
所有
、
利用
に係る
情報
を
収集
するに当たっては、
公簿等
の
収集
を始め膨大な業務量が想定されるとし、必要な人員、体制や予算を
確保
し、万全の備えを行うことを
要請
しています。この
法律
により新たに生じる膨大な業務の実地体制をどのように
確保
するのでしょうか。
我が国
の
安全保障
に関わる本
法律案
の性質上、また、
個人情報保護
の
観点
からも
調査
の民間委託などは慎重にすべきと
考え
ますが、
小此木大臣
の
見解
を伺います。
法案
の根幹の詳細は成立後の
基本方針
で示すとするのでは、議論の前提が成り立たず、立法府としての
責任
が果たせません。
政府
には誠意ある答弁を求め、改めて委員会での十分な
審議
時間
確保
を要求し、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
8
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) 木戸口議員から十問御
質問
いただきました。順次お答え申し上げます。 まず、本
法律案提出
に時間を要した
経緯
及び
地方
の
要請
に応えているかを御
質問
いただきました。 御
指摘
のとおり、
我が国
の
防衛関係施設等
の
周辺
や
国境離島等
において
外国資本
が
土地
を買収していることは、
安全保障
の
観点
から長年問題視されてきた
課題
です。
政府
は、御
指摘
の二〇一三年の
国家安全保障戦略
を踏まえ、
防衛施設
の
隣接地
や
国境離島
の領海基線の近傍の
土地
について
所有
状況
等の
調査
を行いました。しかしながら、これらの
調査
は
不動産登記簿等
の
資料
の確認にとどまり、
土地
利用
の
実態
を十分に
把握
するには至りませんでした。 こうした
状況
を踏まえ、
政府
は、
令和
二年七月の骨太
方針
二〇二〇において、
安全保障等
の
観点
から、
関係
府省による
情報
収集
など
土地所有
の
状況
把握
に努め、
土地
利用
、
管理
等の
在り方
について検討し、所要の
措置
を講ずる
方針
を
閣議決定
し、
国土利用
の
実態把握等
に関する
有識者会議
を開催して、いかなる
対応
が適切か検討を行い、本
法案
を取りまとめたところであります。 また、
全国各地
において、
外資
による
水源地周辺
の
土地
の
取得
に
懸念
が示され、適切な
管理体制
を構築するための
法整備
を求める
意見書
が出されてきたことは承知しております。一方、水源を涵養する森林や農地については、現行の森林法や農地法において、既に
土地取得
の際の許可や届出等といった
措置
が講じられております。
有識者会議
の
提言
においても、既存の
措置
があることを踏まえ、これらの
土地
を
対象
とすることについては慎重に検討していくべきとされ、
防衛関係施設
の
周辺
や
国境離島
の
土地
は、最優先で
制度的枠組み
の
対象
とすべきとされたところであります。これらを踏まえ、本
法案
において、水源地については
対象
としないとしたところであります。 次に、
機能阻害行為
について御
質問
いただきました。
機能阻害行為
について、例えば、
重要施設
の
機能
に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線に
影響
を及ぼすおそれがあるその近傍の
土地
の形質変更などが該当し得るものと
考え
ています。
機能阻害行為
として具体的に想定している
行為
については、
安全保障
をめぐる
内外情勢
や
施設
の特性等に応じて様々な態様が想定されます。このため、特定の
行為
を普遍的、代表的な
機能阻害行為
として
法案
に
例示
することは必ずしも適当ではないものと
考え
ています。 いずれにせよ、
閣議決定
される
基本方針
において、可能な限り具体的に
機能阻害行為
の
例示
をお示ししたいと
考え
ています。 次に、
機能阻害行為
に対する
措置
について御
質問
をいただきました。 本
法案
においては、
勧告
を受けた者が、正当な
理由
がなく、
勧告
に関わる
措置
をとらなかったときは、その
措置
をとるべくことを
命令
することができるほか、
命令
に違反した者には
罰則
が科せられることとしています。 また、例えば、
施設機能
を
阻害
する構築物の撤去等を
命令
した場合において、その
命令
が履行されないときは、
行政
代執行法に基づき、
内閣総理大臣
が自ら構築物を撤去する形で代執行を行うことができるものと
考え
ています。 本
法案
の
目的
を達成し得るよう、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
が認められた場合には、これを是正するために本
法案
に基づく
措置
を適切に
実施
してまいります。 次に、
生活関連施設
について御
質問
いただきました。
生活関連施設
に関してどのような
施設
を
対象
とするかについては、
国際情勢
の変化、技術の進歩、
運用
状況
等に応じ、柔軟かつ迅速に検討を続けていく必要があります。 このため、
政府
の
責任
において、迅速かつ適切に具体的な
生活関連施設
の類型を定められるよう、
法律
の
規定
として、その
機能
を
阻害
する
行為
が行われた場合に、
国民
の
生命
、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものという
範囲
を設けた上で、
政令
で定める仕組みとしたものであります。 次に、本
法案
に基づく
措置
と
国民
の
権利
や自由との
関係
について御
質問
いただきました。 本
法案
は、
安全保障等
の
観点
から、
防衛関係施設等
の
周辺
や
国境離島等
の
土地等
の
利用状況
を
調査
し、必要に応じてそれらの
機能
を
阻害
する
利用
を
規制
しようとするものであります。 このため、御
指摘
のあった
基地等
の
監視活動
や
抗議活動
に参加している方々について、そうした活動への参加を
理由
に、本
法案
に基づく
調査
を行うことやその行動を
制限
することはありません。 また、本
法案
の第三条において、
運用
上も、本
法案
に基づく
措置
は、
機能阻害行為
に
利用
されることを防止するために必要な最小限度のものとなるように
実施
する旨を明記しています。 いずれにせよ、本
法案
に基づく
措置
により、憲法で保障された
国民
の
権利
や自由が不当に侵害されることはないものと
考え
ております。 次に、第八条の
報告徴収
について御
質問
いただきました。 第八条の
報告徴収
等は、
土地等
の
利用状況
を
把握
するために行うものであり、その
対象
者としては、
土地等
の
利用状況
を知り得る者が該当します。 具体的には、
報告徴収
等の
対象
となるその他の
関係者
については、条文上で
例示
されている
土地等
の
利用者
のほか、
土地等
の
利用状況
を知り得る者として、例えば、
土地等
の
利用者
が法人である場合その役員、
土地等
の
利用者
との
契約
等により、
当該土地等
における作業、工事等に従事している下請業者等を想定しております。
対象
となる
土地等
の
利用状況
を知り得る者は、個々のケースによって様々であると
考え
られ、その他の
関係者
について具体的に
例示
することは必ずしも適当ではないと
考え
ています。 また、御
指摘
のあった
報告徴収
に関する
罰則規定
は、
報告徴収
の
実効性
を担保し、必要な
情報
を確実に
収集
されるために必要なものであります。この
罰則
については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは
考え
ていません。 次に、
区域
指定
と
対象
施設
のリストの開示について御
質問
いただきました。 御
指摘
のあった
防衛関係施設
の候補リストは、
自衛隊
の各
施設
の役割とその重要性の評価をうかがい知る手掛かりとなり得るものであり、
我が国
の
安全保障
上、開示することが適切でないと
考え
ております。 具体的な
区域
の
指定
については、法
施行
後に、個々の
重要施設
の
周辺
や離島ごとに
法律
の要件や
基本方針
の
内容
に照らして評価し、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。 次に、
基本方針
に定める
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項について御
質問
いただきました。
注視区域
又は
特別注視区域
の
指定
は、
指定
に伴う社会
経済活動
への
影響
を
安全保障
上の
要請
に基づく合理的かつやむを得ない
範囲
に限定する必要があると
考え
ます。
閣議決定
する
基本方針
において、そうした
考え
を明らかにするため、御
指摘
のあった法第四条第二項第二号に
規定
する
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を示すこととしたところであります。 その具体的な
内容
について、例えば、
重要施設
の
周辺
に密集市街地が形成されている場合、その
区域
における社会
経済活動
への
影響
、
施設機能
の
阻害
行為
の兆候等の
把握
が困難であるかどうかといった
重要施設
の
周辺
の実情、
重要施設
自体の形状や
周辺
区域
における地形、国有地の所在
状況
などを考慮し、
区域
指定
の要否、区分、
範囲
を判断するという
考え
方を明らかにすることを想定しております。 具体的な
区域
の
指定
については、先ほど申し上げたとおり、法
施行
後に、個々の
重要施設
の
周辺
や離島ごとに
法律
の要件や
基本方針
の
内容
に照らして評価をし、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。 こうした
枠組み
の下、御
指摘
のような恣意的な
運用
のおそれはないものと
考え
ており、その文言を削除する必要はないと
考え
ております。 次に、
特別注視区域
における
事前届出制度
について御
質問
いただきました。 本
法案
では、
我が国
を取り巻く
安全保障環境
が厳しさを増していることを踏まえ、
重要施設
及び
国境離島等
の
機能
を
阻害
する
行為
の防止に資する
措置
として、
特別注視区域
における
事前届出制度
を導入することとしております。
特別注視区域
にある
土地等
については、
機能阻害行為
の兆候を可能な限り早い段階で発見し、適切に
対応
する
必要性
が特に高いと
考え
られます。
機能阻害行為
を未然に防止する
観点
からは、
土地等
の
所有
状況
を逐次
把握
し、
機能阻害行為
の着手、実行が可能となる
契約締結
時から、空白期間を設けることなく、本
法案
に基づく
措置
を適時適切に講じられるようにする必要があると
考え
ております。 仮に、御
指摘
のあった事後届出制とした場合には、
機能阻害行為
に着手、実行した後で届出がなされ、本
法案
に基づく
措置
を講ずる機会を逸するおそれもあることから、適当ではないと
考え
ています。 また、御
指摘
のあった事前届に関する
罰則規定
は、
事前届出制度
の
実効性
を担保し、必要な
情報
を確実に
収集
するために必要なものであります。この
罰則
については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは
考え
ておりません。 最後に、執行体制の
整備
について御
質問
いただきました。 本
法案
に基づく
調査
や
利用規制
等は、
内閣
府に新設する部局が行うこととしております。
法案成立
後、
関係省庁
とも調整しながら、必要となる体制の
在り方
について検討を進めていく
考え
です。 なお、
不動産登記簿
の
収集
などに際して、効率性の
観点
から、外部委託を活用することも
考え
られます。その場合であっても、当然のことながら、委託
契約
において秘密の保持に関する条項を設けるなどして、
情報
の
管理
をしっかりと行ってまいります。 私からは以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
岸信夫君
登壇
、
拍手
〕
岸信夫
9
○
国務大臣
(岸信夫君)
木戸口英司
議員にお答えをいたします。 まず、
我が国
の
安全保障環境
に対する本
法律案
の
意義
及び
実効性
についてお尋ねがありました。 本
法案
は、
土地等
の
利用
により、
安全保障
上重要な
施設
に対する
機能阻害行為
が行われるというリスクに
対応
することを
目的
としているものと承知をしています。
我が国
を取り巻く
安全保障環境
が不
確実性
を増している
状況
に鑑みれば、こうしたリスクがあるものと
考え
ており、事後的な
対応
では
安全保障
上、取り返しの付かない
事態
となるおそれがあるものと
認識
をしています。 この点、本
法案
による各種
措置
は、
安全保障
上のリスクとなる
機能阻害行為
を未然に防止できるものであり、
防衛関係施設
の
機能
発揮を万全にする
観点
からも
意義
があるものと
考え
ています。 次に、
隣接地
調査
の総括についてお尋ねがありました。
防衛省
は、二〇一三年十二月に策定された
国家安全保障戦略
により、
防衛施設
の
隣接地
調査
を継続的に行っています。 この
調査
は、
不動産登記簿等
の
一般
の方でも入手可能な
資料
のみにより登記
名義人
の氏名及び住所等を確認する手法で
隣接地
の
所有者
を
把握
しているところ、
実態
上の
所有者
と
登記記録
上の
所有者
とが一致しない場合もあるなど、
土地
の
所有者
を
把握
するには
一定
の限界があるものと
認識
をしています。 その上で、本
法案
は、
防衛省
が行っている
調査
と比較して、
対象
及び手法の両面で大きく充実するものであり、
防衛関係施設
の
機能
発揮を万全にする
観点
から
意義
があるものと
考え
ています。 最後に、
防衛省
が本
法案
における
調査
に
協力
する場合の法的根拠及びその
範囲
についてお尋ねがありました。
一般
論として、
防衛省
設置法第四条第一項第三十四号において、
法律
に基づき
防衛省
に属された事務が所掌事務として定められており、これを根拠として
防衛省
・
自衛隊
が他の
法律
に定められた事務を
実施
することはあり得るものと
考え
ています。 その上で、本
法案
に基づく
現地
・
現況調査
の具体的な
協力
の
在り方
について、
内閣官房
において検討中であり、
防衛省
としての具体的な
協力
の体制は決まっていません。 したがって、本
法案
における
調査
に
防衛省
が
協力
する場合の
範囲
について現時点でお示しすることは困難ですが、本
法案
第三条において、本
法案
に基づく
措置
は必要な最小限度のものとなるようにしなければならない旨定められており、本
法案
に基づく
調査
についても当然適用されるものと
認識
しております。 以上です。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
10
○
議長
(
山東昭子
君) 三浦信祐さん。 〔三浦信祐君
登壇
、
拍手
〕
三浦信祐
11
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。 ただいま
議題
となりました
重要土地等調査法案
について、公明党を代表して
質問
いたします。 近年、厳しさを増す
安全保障環境
下で、
国民
の
皆様
の
生命
と財産を守るために必要な
法整備
と体制の
確保
を図ることは政治の
責任
です。 ワクチン接種が進む世界では
経済
回復軌道が鮮明になる中、日本の
土地
や不動産で割安感が生じ、世界資本の投資が集中する
状況
も想定されます。
経済
回復を図ることは当然ですが、自由
経済
の日本にあって、
経済
安全保障
上、国土保全上、抑止力としての役割を果たす必要な
対策
を講じることが今こそ重要です。
我が国
の
国境離島
や
安全保障
上重要な
防衛施設周辺等
における
土地
の
所有
と
利用
について、
国民
の
皆様
の
懸念
や不安を取り除く
必要性
が増しています。本
法案
は
我が国
の安全を
阻害
する
行為
を防止することを
目的
とし、
政府
による
土地所有
と
利用状況
を
把握
できる法的根拠の
整備
であり、公明党は
安全保障
上重要な
法整備
として成立を期すべきと
考え
ております。 一方で、
安全保障
と
経済活動
のバランスは重要で、両立させなければなりません。極度に
経済活動
等を萎縮させるような過度な
調査
や過剰な
私権制限
を抑制することも必要です。そこで、両立を実現するために、
小此木担当大臣
に
質問
いたします。 まず、公明党の主張により、総則の第三条に、本
法律
の
規定
による
措置
を
実施
するに当たっては、
個人情報
の
保護
に十分配慮し、
必要最小限度
のものになるようにしなければならないと義務
規定
が明記されました。法解釈、
基本方針
への反映、
運用
への指針となるため、重要な意味を持ちます。第三条の
目的
と
意義
、
運用
の
在り方
、加えて、
調査
により得られる
個人情報
の
管理
の
考え
方について、
小此木担当大臣
に伺います。 次に、本
法案
では、
重要施設等
の
周辺
における
土地等
の
利用状況
を
調査
することとしています。
土地
取引
の大半は金融機関、ファンド等が融資を行い、その際、借入れ
目的
を
把握
していると承知しております。本
法案
との
関係
において、不要な
経済活動
の
阻害
を避ける視点で、金融機関等は借入れ
目的
の
把握
について新たな責務を負うことはないと
考え
ます。金融機関に借入れの
目的
の徹底や
政府
への
情報提供
などの義務を課すことはないことを明確にすべきですが、
小此木担当大臣
の御
見解
を伺います。
調査
、
規制
の
対象
区域
として
注視区域
と特に重要なものを
特別注視区域
と設定しています。第四条に
基本方針
を定めるとしている中、類型に該当すれば自動的に全て
指定
することがないよう、
経済
的社会的
観点
から留意するとの
規定
を公明党として求め、当初案から追加をされました。この追加した
意義
と
基本方針
に与える効果、
運用
へ及ぼす
考え
方について、
小此木担当大臣
に伺います。
土地
利用者
が
報告
や
資料
提出
に応じない、また、
特別注視区域
内での
土地
取引
での
事前届出
をしない、さらに、
土地
利用
の
中止
命令
に違反した場合、第七章に基づく
罰則
を科すとしています。何が
罰則
に該当するかの明確さと適切な量刑であることが重要です。今回の
罰則規定
の
内容
の程度とその合理性について、
小此木担当大臣
に伺います。 最後に、
安全保障
上必要以上の
情報
公開は求めるべきではないものの、本
法案
は
罰則
を伴う
経済活動
の
規制
を持つことから、
運用
に際して可能な限り透明性の
確保
が必要です。本
法律
に基づく
措置
の
趣旨
、
内容
の
周知広報
を図るとともに、
運用
実績を公表するなど透明性
確保
へ向けた
政府
の
取組
について、
小此木担当大臣
の御
所見
を伺います。
基本方針
を適切に作成し、
実効性
ある
運用
による抑止力の効果を発現することで、
国民
の
皆様
の安全、安心を
確保
できるよう
政府
に求め、
質問
といたします。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
12
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) 三浦議員から五問の御
質問
をいただきました。順次お答え申し上げます。 まず、法第三条の
意義
や
個人情報
の
管理
等について御
質問
をいただきました。 第一章総則の第三条には、この
法律
の
規定
による
措置
を
実施
するに当たっては、
個人情報
の
保護
に十分に配慮しつつ、
必要最小限度
のものとなるようにしなければならないとする、本
法案
全体に通じる基本的な
考え
方を
規定
しております。 すなわち、本
法案
の
運用
は、法の
目的
である
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
を防止するために真に必要な
範囲
で行い、
国民
の
日常生活
や
事業者
の
経済活動
に与える
影響
を最小限にとどめるという
政府
の
方針
を明らかにしています。 この
方針
に沿って、例えば、
土地等
の
利用状況
の
調査
に当たっては、
内閣
府に新設する予定の部局による
公簿
の
収集
を中心とし、
土地等
の
利用者
にとって負担となる
報告徴収
は限定的に行います。 また、本
法案
に基づく
調査
や
利用規制
の
対象
となる
区域
の設定に当たっても、その
指定
に伴う社会
経済活動
への
影響
を勘案し、
安全保障
の
観点
から適切な
対応
が求められる
区域
、
範囲
に限定します。 そして、
調査
の過程で取り扱う
不動産登記簿等
の
個人情報
については、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律等
の
関係法令
にのっとり、その
保護
、
管理
に万全を期してまいります。 次に、本
法案
における金融機関等の責務について御
質問
をいただきました。 本
法案
は、
重要施設
の
周辺
等の
土地等
の
利用実態
を
調査
し、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
が認められる場合に、その
土地等
の
利用者
に対し、
当該行為
の
中止
の
勧告
、
命令
を行うこと等を定めるものであります。 本
法案
に基づく
調査
等の
対象
となる
土地等
の
取得
、
取引
には、資金
提供
の形で金融機関等が関わるケースも想定されますが、本
法案
は、そうした立場にある金融機関等に特段の責務や
対応
を求めるものではありません。
一般
論として申し上げれば、金融機関等は
土地等
に係る融資の可否を判断するため、その資金使途を確認しているものと承知しています。しかしながら、本
法案
は、金融機関等に新たな責務や
対応
を求めるものではありません。仮に、融資の
対象
となった
土地等
が、融資判断の際に確認した使途とは異なり、
機能阻害行為
のために
利用
されたことが明らかになったとしても、そのことについて本
法案
との
関係
で金融機関の
対応
が問題になることはありません。 次に、
経済
的社会的
観点
に係る
規定
の
意義
と
運用
について御
質問
をいただきました。 本
法案
は、
安全保障
と自由な
経済活動
の両立を図ることを大前提としています。このため、
注視区域
又は
特別注視区域
の
指定
は、
指定
に伴う社会
経済活動
への
影響
を
安全保障
上の
要請
に基づく合理的かつやむを得ない
範囲
に限定する必要があると
考え
ます。
閣議決定
する
基本方針
において、そうした
考え
を明らかにするため、御
指摘
のあった法第四条第二項第二号に
規定
する
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を示すこととしたところであります。 その具体的な
内容
は
基本方針
で定める予定ですが、現時点では、例えば、
重要施設
の
周辺
に密集市街地が形成されている場合、その
区域
における社会
経済活動
への
影響
、
施設機能
の
阻害
行為
の兆候等の
把握
が困難であるかどうかといった
重要施設
の
周辺
の実情、
重要施設
自体の形状や
周辺
区域
における地形、
周辺
区域
における地形、国有地の所在
状況
などを考慮し、
区域
指定
の要否、区分、
範囲
を判断するという
考え
方を明らかにすることを想定しています。 この
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を踏まえて評価した結果として、
土地等
の
取引
に関する
事前届出
が必要となる
特別注視区域
の
指定
では、法定するその要件に該当する
区域
であっても、
注視区域
として
指定
することがあり得るものと
考え
ています。 いずれにせよ、具体的な
区域
の
指定
については、法
施行
後に、個々の
重要施設
の
周辺
や離島ごとに
法律
の要件や
基本方針
の
内容
に照らして評価し、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、適切に判断してまいります。 次に、
罰則規定
の
内容
、合理性等について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
罰則
としては、第一に、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
の
中止
命令
を受けてなおこれに応じなかったときには、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること、第二に、
土地等
の
取引
の
契約
に先立つ届出、すなわち
事前届出
を行わなかったとき又は虚偽の
内容
を届け出たときには、六か月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すること、第三に、
土地等
の
利用
に関する
報告
等の求めに応じなかったとき又は虚偽の
報告
を行ったときには、三十万円以下の罰金に処することを定めています。 これらは、いずれも本
法案
に基づく
措置
の
実効性
を担保し、法
目的
を達成するために必要な
措置
です。そして、それらの
内容
は、類似する他法令の前例を踏まえ、慎重に検討を行った上で決定しており、過度な水準になってはいないと
考え
ています。 最後に、本
法案
の
措置
に、その
周知広報
及び
運用
の透明性
確保
に向けた
取組
について御
質問
いただきました。 本
法案
において、
土地等
の
利用者
が
政府
の
措置
に対し
罰則
に担保される形で求められる
対応
は、第一に、
機能阻害行為
としての
土地等
の
利用
に対する
中止
の
命令
への
対応
、第二に、
特別注視区域
における
土地等
の
取引
に係る
事前届出
、第三に、
土地等
の
利用
に関する
報告
等の求めに対する
対応
です。 まず、法
施行
までに、それらの
措置
の
趣旨
、
考え
方、
対応
の手続等について、広く
国民
や
事業者
の
皆様
はもとより、
地方公共団体
、不動産業
関係
団体等に対しても
周知広報
を徹底してまいります。 その上で、
区域
内で平穏な
日常生活
を送る
住民
の方々、あるいは通常の
経済活動
を行う
事業者
の方々も
対象
となり得る
特別注視区域
における
事前届出
については、
行政
関係
の手続に不慣れな方であっても円滑に
事前届出
を行っていただけるよう、届出書類の簡素化、記載マニュアルの作成、
内閣
府における相談体制の
整備
などに向けた検討を進めてまいります。 また、不動産
取引
を仲介する
事業者
の方々に御
協力
をいただき、
宅地建物取引業法
に基づく
重要事項説明
として、
対象
となる
土地等
の買手に対し、
事前届出
の手続について
説明
していただくことも検討してまいります。 加えて、本
法案
に基づく
措置
の
実施状況
について、
政府
としてしっかり
説明責任
を果たしていくことは極めて重要であると
考え
ます。このため、本
法案
の
運用
の透明性を
確保
する
観点
から、毎年、本
法案
に基づく
措置
の
実施状況
の概要を取りまとめ、
国会
を含め、広く
国民
の
皆様
に対して公表することとし、その旨を
閣議決定
する
基本方針
において明らかにする方向で検討してまいります。 以上でございます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
13
○
議長
(
山東昭子
君) 柴田巧さん。 〔柴田巧君
登壇
、
拍手
〕
柴田巧
14
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。 私は、会派を代表し、ただいま
議題
となりました
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
について、
小此木大臣
に
質問
します。
自衛隊
や
海上保安庁
の
施設
、原発など
重要インフラ
施設
の
周辺
や
国境離島
といった
安全保障
上重要な
土地
を敵対的な国家や勢力等から守ることは、世界では当たり前のことです。ところが、
我が国
では
土地取得
を
規制
する
法律
がなかったために、
安全保障
上の要衝地が
外国資本
や
外国
人等に野方図に買い荒らされてきました。 このため、日本維新の会は、
政府
・与党に先駆けて、平成二十八年の秋の臨時
国会
を最初に、今
国会
を含む五
国会
にわたり、
国家安全保障
上重要な
土地等
に係る
取引
等の
規制等
に関する
法律案
を
参議院
に
提出
をしてきました。我が党は、このようにどこの党よりも早く、そして強い問題意識を持ってこの問題に取り組み、しかも、本
法律案
以上に厳しい
措置
を含む
法案
を
提出
し続けてきました。 そこで、まず、これまでの我が党の
取組
と
提出
した
法案
の率直な評価を求めるとともに、今回の法制の
生命
線である
実効性
について、
政府
法案
と維新
提出
法案
の
内容
を比較し、どちらがより担保されると
考え
るか、併せて
小此木大臣
にお伺いをします。 さて、
政府
・与党も重い腰を上げ、今般ようやく
法案
を
提出
しました。一歩前進です。しかし、幾つも
懸念
があります。その一つは、特に重要度の高い
土地
、つまり
特別注視区域
の
取引
について、事前
審査
制度
はなく、
取引
自体は自由にできてしまうことです。
法案
では、事後に瑕疵が判明すれば是正
措置
がとられますが、
取引
成立から問題判明までの空白の時間に、
我が国
の重要な
施設
、
土地
をめぐって、悪意の
土地取得
者の背後に存在するであろう国家やテロ組織が何か仕掛けてきたら、後の祭りです。
法案
は
事前届出
を義務付けてはいますが、あくまでも届出にすぎず、
取引
後に
実態
について
調査
することになっています。 これでは、
安全保障
上重大な
懸念
や問題を惹起しかねない
取引
を未然に防げません。
事前届出
を義務付けるとともに、問題がある場合は、
取引
前に変更、
中止
の
勧告
や
命令
を出し、事前に防いでこそ意味があるのではありませんか。
大臣
にお尋ねをします。
法案
では、
調査
方法として
現地
・
現況調査
を認めることとしていますが、
土地
及び
建物
の内部に立ち入って
調査
を行える権限までは与えられていません。これで本当に敷地内や
建物
内で
重要施設
の
機能
を
阻害
する
行為
がなされる
事態
を事前に察知し、未然に防ぐことができますか。
土地等
利用状況調査
を
実効性
あるものにするには、立入
調査
等、強制力のある
調査
を可能とすべきです。今後、
法改正
を検討する
考え
はありますか。併せて
大臣
の
見解
を求めます。 さて、
法案
においては、
事前届出
を受けて
取引
前に不審な
購入
予定者が判明した場合や、
取引
後に問題が分かったケースなど、国が必要に応じて当該物件を買い取る
制度
が盛り込まれています。 しかし、買取りのお願い、提案を
所有者
にできるにすぎず、加えて、その諾否についても
所有者
の任意であり、強制力はありません。例えば、
取引
前に悪意の
購入
予定者への
所有
権移転を阻止するために
所有者
に国への売却をお願いしても、買値は適正価格の提示となり、悪意の
購入
予定者が値をつり上げ、国による介入の妨害阻止に動くことは察しが付きます。
取引
後に
所有者
、物件に瑕疵が発覚した場合も同様です。今回の法
施行
前に
外国資本等
に既に
購入
されている
重要施設周辺
の
土地
についても、
所有者
に国への売却を求めることはできますが、
所有者
には応じる義務はなく、断られて万事休すです。 このように、
勧告
や
命令
に従わない者から
土地等
に関する
権利
の買入れができない場合、
重要施設
の
施設
又は
国境離島等
の
機能
を維持することは困難となります。 そこで、
実効性
を担保するため、
国家安全保障
上特に重要であり、国が直接
管理
すべき場合には、強制力がある収用、使用を可能にすべきではありませんか。お伺いをいたします。 ところで、
法案
により網が掛けられるのは新規
取引
のみであり、既に
外資
等に押さえられてしまっている要衝地については、現状変更のために国が
所有者
に買取りをお願いできるだけで、断られてしまったら終わりです。そこで、法
施行
前の
取引
についても、強い権限で
調査
、是正を可能にするスキームが必要ではありませんか。お尋ねをします。 次に、
法案
に基づく
土地
利用規制
の
国際
法上の根拠についてお聞きをいたします。
我が国
は、WTO、世界貿易機関のサービス貿易に関する
一般
協定、GATSに署名する際、
外国
人等による
土地
取引
については留保条件を付けなかったため、GATS第十七条により、
外国
人等に対して内
国民
待遇を与えなければならない義務を負っているとされています。一方で、GATS第十四条の二では、
安全保障
上の必要があれば、
外国
人等への差別的待遇を例外的に認めています。
小此木大臣
は、衆議院の
質疑
において、
法案
はGATSに整合的なものとなっていると答弁をしていますが、これはあくまで
国際
法上の根拠としては、内外無差別原則を
規定
している同十七条を踏まえたものであり、同十四条の二の
規定
に基づくものではないということですか。
安全保障
上のリスクに
対応
するという意味では、同十四条の二の
規定
を根拠とすべきとも
考え
られますが、
大臣
の御
見解
をお伺いをします。
法案
の
提出
に至る
経緯
として、
政府
は、
外国資本
による
土地
の
取得
について、
地域住民
の不安が広がり、
法整備
などを求める
意見書
の
提出
があったことなどを挙げています。 一方、
法案
第五条第五項及び第十二条第五項では、
内閣総理大臣
は、
注視区域
や
特別注視区域
の
指定
後速やかに
関係地方公共団体
の長に通知する
規定
は置かれていますが、
内閣総理大臣
が
指定
する際に
関係地方公共団体
から
意見
を聴取する
規定
は置かれておらず、適正な手続が定められているとは言えません。
地域
の実情を正確に
把握
しているのは当該
地域
の
地方公共団体
であることから、
指定
する際には、
関係地方公共団体
の長からあらかじめ
意見
を聴取することをしっかりと
法律
上位置付けるべきではありませんか。 この点について、衆議院の
質疑
では、
政府
は、
指定
を行う前に
関係地方公共団体
と
意見
交換を行うことを
基本方針
に明記する方向で
考え
ていると答弁をしていますが、
法律
に
規定
した上で手続の適正性を
確保
すべきではないでしょうか。
大臣
の
見解
をお伺いをします。 ところで、衆議院の
質疑
において
小此木大臣
は、現時点において市ケ谷の
防衛省
や
海上保安庁
の
施設
、原発などの
重要インフラ
の
周辺
について
特別注視区域
の
対象
から除外することを決定した事実はないとした上で、
法案
に基づく
注視区域
又は
特別注視区域
の
指定
に当たっては、
指定
に伴う社会
経済活動
への
影響
も勘案しつつ、個々の
区域
ごとに
指定
の要否、区分等を慎重に判断すると答弁をしました。これでは、
政府
自ら
特別注視区域
に該当し得る要件として挙げている、その
機能
が特に重要であり、他の
重要施設
による
機能
の代替が困難であるものを
対象
から外すこともあり得るということになってしまいます。そういう判断は、
法案
の
趣旨
、
目的
に本当に合致しますか。
小此木大臣
の
見解
を求めます。 次に、附則にある検討についてお聞きをします。
法案
では、法の
施行
後五年経過時に
施行
の
状況
に検討を加え、必要に応じて見直しを行うとしています。しかし、悠長に構えて現状を五年も放置していていいわけがなく、その間に
外国資本等
があの手この手で日本の要衝地を買い続けることになりかねません。また、法が
施行
されたとしても即座に効力を発揮するわけではありません。
特別注視区域
の個別
指定
、告示は煩雑な作業となり、半年から一年ほどの時間を要するとされています。したがって、不備が明らかになれば迅速に
法改正
等を行うべきではありませんか。
大臣
にお尋ねをいたします。 最後に申し上げます。 静かなる国土への侵攻を見逃してはなりません。
我が国
は、今まで余りにもお花畑全開でした。日本の平和と安全を
確保
するため、今こそ毅然と行動していくときです。 日本維新の会は、引き続き、そういう
考え
に基づき提案、
提言
をし続けていくことをお誓いし、私の
質問
といたします。 ありがとうございます。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
15
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) 柴田議員から九問の御
質問
をいただきました。順次お答え申し上げます。 まず、日本維新の会の
提出
法案
と本
法案
の比較等について御
質問
いただきました。 日本維新の会が、平成二十八年以降、累次にわたり
安全保障
上重要な
土地等
の
取引規制
に関する
法案
を
提出
されていることは承知しております。 日本維新の会の
法案
は、今般の
法案
に先立ち、
安全保障
の
観点
から
土地等
を
管理
する法的
枠組み
を導入しようとするものであり、このことは私として大変意欲的な
取組
であると
認識
しております。 その
内容
は、
防衛施設等
の
周辺
や
国境離島
に所在する
土地等
の
取引
を
規制
するものとなっており、
防衛関係施設等
の
重要施設
や
国境離島等
の
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
を
規制
する本
法案
とは
措置
の
内容
が異なります。 このため、両者の
実効性
について一概に比較することは困難でありますが、本
法案
では、
安全保障
の
観点
からリスクのある
土地等
の
利用状況
を
調査
した上で、
機能阻害行為
としての
土地等
の
利用
に対し
中止
等の
勧告
、
命令
を行います。さらに、特にリスクが高い
特別注視区域
内の
土地等
の
取引
を随時に
把握
するための
事前届出
を義務付けること等の
措置
を講ずることとしており、全体として十分な
実効性
が
確保
されているものと
考え
ます。 次に、
土地等
の
取引規制
について御
質問
をいただきました。
土地等
の
取引
に関する事前
審査
及び
規制
について、昨年開催した
国土利用
の
実態把握等
に関する
有識者会議
での
提言
では、あらかじめ
規制
の
基準
や要件を明確に定めることが困難であり、慎重に検討すべきとされたところであります。 この
提言
を踏まえ、本
法案
では、
土地等
の
取引
の事前
審査
及び
規制
を行ういわゆる
取引規制
は導入しないこととし、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
が判明した場合、その
利用
の
中止
等の
勧告
、
命令
を行う
利用規制
の
枠組み
を採用することといたしました。 また、
特別注視区域
では、
取引
の
事前届出
を通じて
土地等
の
所有
状況
を逐次
把握
し、
利用状況
に関する追加的な
調査
を行うとともに、必要に応じて国がその
土地等
の買取りに努める
措置
も設けております。これらの
措置
を的確かつ機動的に
実施
することによって、
安全保障
上のリスクとなる
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
の防止に万全を期してまいります。 次に、本
法案
に基づく
調査
の
在り方
について御
質問
をいただきました。 まず、御
指摘
の立入
調査
については、
有識者会議
の
提言
において、
対象
となる者の負担が大きいことから、
調査
の手法としては、
現地
・
現況調査
や
公簿
の
収集等
までの
対応
とすることが適当とされたことを踏まえ、本
法案
では導入しないことといたしました。 一方、本
法案
に基づく
調査
では、
不動産登記簿
や
住民基本台帳等
の
公簿収集
、
現地
・
現況調査
に加えて、
土地等
の
利用者等
からの
報告徴収
を行うこととしております。 また、
防衛関係施設等
の
重要施設
を所管する
関係省庁
や当該
施設
を
管理
する
事業者
等から、
機能阻害行為
の兆候等に係る
情報提供
を受けることも想定しているところであります。 このように、多様な方法を通じて具体的な
実態
把握
を行った上で、適時適切に
利用規制
を
実施
することによって
重要施設等
に対する
機能阻害行為
の防止に努めてまいります。 なお、本
法案
の附則第二条には、五年後の見直しに係る
規定
を置いております。その過程では、本
法案
の執行
状況
や
安全保障
をめぐる
内外情勢
などを勘案しつつ、御
指摘
の点を含め、更なる
政策対応
の
在り方
について検討してまいります。 次に、国による収用、使用について御
質問
をいただきました。 御
指摘
のあった強制力がある収用等の
措置
については、
有識者会議
の
提言
において、今般の
制度的枠組み
の
実施状況
、
有効性等
を見極めた上で、
安全保障
をめぐる
国際情勢
、諸
外国
の
取組等
も踏まえ、慎重に検討していくべきとされました。 このため、本
法案
では、そうした強制力のある収用は導入しないこととし、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
に対し
中止
等の
命令
等を行う
利用規制
の
枠組み
を採用したところであります。
政府
としては、
土地等
の
利用状況
の
調査
と
利用規制
を柱とする本
法案
によって、
安全保障
上のリスクとなる
重要施設等
の
機能阻害行為
の防止に努めてまいります。その上で、附則第二条に基づく五年後の見直しの中で、御
指摘
の
措置
の要否を含め、更なる
政策対応
の
在り方
について検討してまいります。 次に、法
施行
前の
取引
への
対応
について御
質問
いただきました。 本
法案
に基づく
調査
及び
利用規制
は、法
施行
前に
取引
が行われた
土地等
を含め、
重要施設等
の
周辺
又は
国境離島等
の
対象
区域
に含まれる全ての
土地等
が
対象
となります。 本
法案
の第二十三条に
規定
する国による
土地等
の買取り等は、国の努力義務であり、国からの申出に対する諾否は
土地所有
者等の判断に委ねられます。 御
指摘
のあった立入
調査
や強制力のある収用は、先ほどお答えしたとおり本
法案
では導入しておりませんが、附則第二条に基づく見直しの過程では、それらの要否を含め、検討してまいります。 次に、本
法案
とWTO・GATSの
関係
について御
質問
をいただきました。
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
については、その主体が
外国
人、
外国
法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず、適切に対処することが必要であります。このため、本
法案
は、
調査
や
利用規制
の
対象
を
外国
人、
外国
法人の
利用者
に限定しない内外無差別の
枠組み
としております。 その結果、WTOのGATS第十七条が
規定
する内
国民
待遇義務に整合的な
制度
となっており、御
指摘
の同第十四条の二の
規定
する
安全保障
のための例外を援用する必要はございません。 次に、
区域
指定
に係る
地方公共団体
との
意見
交換について御
質問
をいただきました。
我が国
の
安全保障
のための
措置
は、国が
責任
を持って判断し、
実施
することが必要です。 このため、
注視区域
等の
指定
については、
政府
として、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、
指定
の要否、
範囲
等について慎重かつ適切に判断、決定することとしており、
法律
上、
関係
する
地方公共団体
との
意見
交換の手続については
規定
しておりません。 一方、本
法案
に基づく
措置
を
実施
するに当たり、
地域住民
に身近な
地方公共団体
の理解、
協力
を得ていくことは重要であります。このため、
区域
指定
を行う前に、十分な時間的余裕を持って、
関係
する
地方公共団体
としっかり
意見
交換を行っていく
考え
であります。 次に、
区域
指定
について御
質問
をいただきました。
注視区域
又は
特別注視区域
の
指定
に当たっては、
指定
に伴う
区域
の社会
経済活動
への
影響
を
安全保障
上の
要請
に基づく合理的かつやむを得ない
範囲
に限定する必要があると
考え
ております。 実際の
区域
指定
については、法
施行
後に、個々の
重要施設
の
周辺
や離島ごとに
法律
の要件や
基本方針
の
内容
に照らして評価いたします。そして、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、
重要施設等
の
機能阻害行為
を防止するという法
目的
の確実な達成を前提として、それぞれの
指定
の要否、区分等について慎重かつ適切に判断してまいります。 最後に、五年経過時の見直しの
規定
について御
質問
をいただきました。 本
法案
附則第二条では、新法である本
法案
に基づく
土地等
の
利用状況
の
調査
や、
利用規制
としての
勧告
、
命令
、
特別注視区域
における
事前届出
等について、それぞれの
実施状況
、効果、社会
経済活動
への
影響
等を検証するために要する期間を考慮して、
法律
施行
後五年経過時に見直しを行うこととしております。
政府
として、本
法案
に不備があるとは
考え
ておりませんが、
一般
論として、
法案
検討時に前提としていた
状況
が大きく変わった場合には、この見直し
規定
の期間にかかわらず、必要な見直しをすることはあり得ると
考え
ております。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
16
○
議長
(
山東昭子
君) 大塚耕平さん。 〔大塚耕平君
登壇
、
拍手
〕
大塚耕平
17
○大塚耕平君
国民
民主党・新緑風会の大塚耕平です。 会派を代表して、ただいま
議題
となりました
重要土地等調査法案
について、
小此木担当大臣
に
質問
します。 この
法案
を
政府
が
提出
しなければならないのは、日本の
土地
売買
規制
が甘く、
土地
の
所有
や
利用
に関する
情報
が適切に
収集
、
管理
されていないからと言えます。 そこで、まず、日本の国土のうち地籍
調査
未了地、
所有者
不明
土地
、
外国
人
所有
地の面積及び全体に占める割合を伺います。 日本はWTOに加盟しており、不動産
取引
は内外無差別が原則です。しかし、諸
外国
には
土地
私有を認めない国もあります。当該国で日本の
国民
や企業が
土地
私有を認められない一方で、日本では当該国の
国民
や企業による
土地
私有が可能であるという非対称性、非相互主義を前提としています。
政府
は、この点についてどのような
認識
に基づいて今回の
法案
を
提出
しているのか、担当
大臣
に伺います。 なお、非対称性、非相互主義についてWTOは何も
規定
しておらず、しかも、非対称性、非相互主義を前提とする国がWTO内の
影響
力を増していることは大きな問題であることを
指摘
しておきます。
外国資本
、
外国
人が日本の
土地
を
取得
する動機として、営利、投機のほか、資産隠し等の
目的
も増えています。 日本は不動産
取得
情報
の秘匿が相対的に容易で、保有コストが低く、海外ペーパーカンパニーや日本のダミー法人を介することで、本国税務当局に捕捉されずに保有することが可能だからです。こうした
状況
は看過できません。 さらに、日本の防衛・海保
施設
、米軍基地、原発等の
周辺土地
を実質的に
外国資本
、
外国
人が保有する場合には、別の意図があり得ることにも留意が必要です。 それらの点について、どのような
基本認識
で
法案
を
提出
したのか、担当
大臣
に伺います。
法案
は、
国境離島等
と
重要施設周辺
の
土地
を扱っています。
法案
要件に該当する
国境離島等
は約五百七十と推定しますが、うち第二条三項一号に定める基線を有する離島数及びそのうち
土地
取引
が行われる可能性がある離島数をお答えください。
自衛隊
施設
、海保
施設
、米軍基地以外の
重要施設
については、同条二項三号に
規定
されています。条文上の
国民生活
に
関連
を有する
施設
、その
機能
を
阻害
する
行為
及び
国民
の
生命
、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものの
定義
を伺います。
政府
は、既に
一定
の
調査
結果を蓄積していると聞きます。
法案
要件に該当する
土地所有
及び
所有
予定事例が全国で何件ぐらいあるのか、伺います。 日銀に勤務していた経験上、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターも
重要施設
に該当すると
考え
ますが、担当
大臣
の
認識
を伺います。
法案
に定める
特別注視区域
における
事前届出
等の国による
対応
が遅きに失したため、既に多くの道府県で届出を課す独自の条例が制定されています。 水源地である森林、ソーラー用地、産廃用
地等
の
外国
人による買収が特に問題になっています。これらは
法案
第一条の法
目的
に掲げる
国民生活
の基盤に該当する
土地
と
考え
るか否か、担当
大臣
の
認識
を伺います。 また、条例制定済みの道府県数と具体名、及び条例の
内容
と今回の
法案
の
内容
のどこが同じでどこが異なるのか、お答えください。 これらの道府県条例制定の背景は、国土
利用計画
法第二十三条第一項の届出制では、水源地を含む森林等の
外国資本
による
所有
対策
として十分な効果がないためです。今回の
法案
で条例をカバーし切れない、すなわち、引き続き条例に頼らざるを得ない部分が残ることは、今回の
法案
は
内容
的に不十分ということではないでしょうか。
所見
を伺います。 また、
対象
土地
の
利用規制
にとどめ、
取得
規制
に踏み込まなかった
理由
についても伺います。 第四条に定める
基本方針
について伺います。 二項二号から五号では、
注視区域
及び
特別注視区域
指定
や
調査
、
勧告
及び
命令
等に関する基本的な事項を定めるとしていますが、一号だけは
重要施設
の
施設機能
及び
国境離島等
の
離島機能
を
阻害
する
土地
利用
防止の基本的な方向を定めるとしています。基本的な事項と基本的な方向を使い分けている
理由
及びその
定義
を伺います。 二号では、
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を含むとの括弧書きが付されています。その
趣旨
とともに、法
目的
と
経済
的社会的
観点
の調整をどのように行うのか、伺います。 第十条では、
勧告
等に従うことで損失を被る
土地所有
者への補償を
規定
していますが、同条第一項ただし書ではこの限りではない、すなわち補償しないと定めています。どのような場合には補償しないのか、
国民
の皆さんに分かりやすく事例を示して
説明
してください。 第二十一条では、
内閣総理大臣
が
施設機能
、
離島機能
の
阻害
行為
防止のために他の
法律
に基づく
措置
が必要と認める場合、所掌
大臣
に
当該措置
の速やかな
実施
を求め、
実施状況
の
報告
を求めることができると定められています。なぜ
命令
することができるではないのでしょうか。そもそも、こういう
規定
がないと所掌
大臣
が
措置
を講じない場合があるということでしょうか。条文の意味及び背景について伺います。 第二十三条では、
施設機能
、
離島機能
の
阻害
行為
防止のために国が適切な
管理
を行う必要がある場合に、国は
土地
の買取り等の必要な
措置
を講ずるように努めるものとすると、努力
規定
になっています。なぜ、
措置
を講じなければならないとの義務
規定
にしていないのか、その
理由
を伺います。 次に、
参議院
情報
監視
審査
会との
関係
を伺います。
審査
会規程第一条において、
情報
監視
審査
会は、
行政
における特定秘密の
運用
を常時監視するための組織と定められています。 同
審査
会が取り扱う特定秘密とは、特定秘密
保護
法第三条第一項に
規定
するものであり、その
内容
は同法別表に明示されています。別表には、防衛、外交、特定有害活動防止及びテロリズム防止に関する事項の四つが掲げられ、二十三項目に細分化されています。 今回の
法案
が想定する
情報
は、
参議院
情報
監視
審査
会の
対象
、すなわち特定秘密
保護
法の
対象
である特定秘密に該当すると
考え
てよいか、担当
大臣
に伺います。併せて、特定秘密
保護
法別表のどの項目に該当するのか、お答えください。 以上の
質問
に対する答弁を踏まえた上で、法
施行
後は、
情報
監視
審査
会に対してどのような
情報
をどのようなタイミングで、どのように
報告
するのか、伺います。
法案
では、
内閣
法、
内閣
府設置法も所要の改正を行い、
内閣
府内に担当部署を置くこととしています。具体的な規模と人材拠出の
省庁
、
国家安全保障
局との
関係等
、現時点で想定していることをお答えください。 アジアには、日本の競争相手、
安全保障
上緊張
関係
にある国、相手がいなかった高度成長期、バブル時代の幻想から目覚め、
国民
に対する
説明責任
を果たしつつ、
現実
を直視した有効な
経済
安全保障
体制を構築することを求め、
質問
といたします。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
18
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) 大塚議員からいただいた御
質問
に順次お答えいたします。 まず、地籍
調査
未了地、
所有者
不明
土地
、
外国
人
所有
地の面積及び割合について御
質問
をいただきました。
我が国
の国土のうち、国有林等を除いた地籍
調査
の
対象
地に占める地籍
調査
が未了の
土地
は、
令和
元年度末時点において約四八%、約十四万平方キロメートルであると承知しています。 また、
所有者
不明
土地
については、その総面積や割合は
政府
として
把握
できていないと承知していますが、平成二十九年度に実施した地籍
調査
対象
となる筆数ベースで申し上げれば、
不動産登記簿
から直ちに
所有者
の所在が判明しなかった
土地
が約二二%、市町村の
調査
の結果、最終的に
所有者
の所在が判明しなかった
土地
が約〇・四%であると承知しています。 なお、現行
制度
においては、国は
土地
の
所有者
の国籍を
調査
する
法律
上の権限を有しておらず、国土全体において
外国
人が
所有
する
土地
の面積やそれが全体に占める割合を
把握
しておりません。 次に、
土地
の
所有
に関する相互主義等に関して御
質問
をいただきました。
安全保障
の
観点
から、国として、
土地
を管轄する
制度
の
在り方
に関し、御指摘のような相互主義に関わる議論、指摘があることは承知しております。 一方、
防衛関係施設等
の
重要施設
や
国境離島等
の
機能
を
阻害
する
行為
については、その主体が
外国
人、
外国
法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であるとの
考え
に立ち、本
法案
は内外無差別の
枠組み
としております。 なお、
国土利用
の
実態把握等
に関する
有識者会議
の提言においては、
我が国
の
法律
に基づいて設立された会社であっても、実質的な
所有者
や支配者が日本人ではないケースもあり、
土地
の
所有者
の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされたところであります。 次に、
外国資本等
による
重要施設等
の
周辺土地
の取得に関する
基本認識
について御
質問
いただきました。
安全保障
をめぐる
内外情勢
は厳しさを増しており、御指摘のあったような
防衛関係施設等
、
安全保障
上重要な
施設
の
周辺
の
土地
を
利用
し、それらの
施設
の
機能
を
阻害
する
行為
が行われるリスクは高まっているものと
認識
しております。 また、
外国資本
による
防衛関係施設等
の
周辺
の
土地
の買収は、
国会
や
地方議会
でも議論されてきたほか、全国の
地方公共団体
から、
安全保障
の
観点
からこの
土地
の
管理
を求める
意見書
が
提出
されており、
対応
の
必要性
は広く議論されてきたところであります。
安全保障
の
確保
は国の重大な責務です。本
法案
は、
土地等
を
利用
した
重要施設等
の
機能阻害行為
を未然に防ぎ、
安全保障
上のリスクを回避することを
目的
として取りまとめたものであります。 次に、本
法案
の
対象
となる
国境離島等
について御
質問
をいただきました。 本
法案
における
国境離島等
としては、第二条第三項において、領海基線を有する離島である
国境離島
に加え、
有人国境離島
法に基づく
有人国境離島
地域を構成する離島である
有人国境離島
地域離島を
規定
しています。第二条第三項第一号に
規定
する
国境離島
のうち、
我が国
が現に保全、
管理
を行っているものは四百八十四島あります。このうち、例えば無人であって民有地が所在するものは四十島あります。 一方、御指摘のあった
土地
取引
が行われる可能性がある離島については、
土地
取引
は
所有者
の意向によりますので、
政府
としてその規模感をお答えすることは困難であります。 次に、第二条第二項第三号の
規定
について御
質問
をいただきました。 まず、本
法案
第二条第二項第三号の
国民生活
に
関連
を有する
施設
とは、
日常生活
に必要なインフラを
提供
するなど、
国民生活
に必要な
施設
を指しております。また、その
機能
を
阻害
する
行為
とは、
生活関連施設
が有する
国民生活
の基盤としての
機能
の正常な発揮に支障を来し得る
行為
を指しております。さらに、
国民
の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものとは、その
施設
が有する
機能
に照らして、
機能
の正常な発揮に支障が生じた場合に、
国民
の生命、身体又は財産に広範又は甚大な被害が生ずるおそれがある
施設
を指しております。 次に、
政府
の過去に行った
調査
と
法案
の要件に該当する
土地
の
所有
事例について御
質問
をいただきました。 まず、
政府
として、これまでに、
重要施設
の
周辺
及び
国境離島等
を
対象
として、
重要施設等
の
機能
を
阻害
するような
土地等
の
利用
の
状況
に関する包括的な
調査
は行っておりません。一方、
防衛省
や
内閣
府は、従来、
防衛施設
の
隣接地
や
国境離島
の領海基線の近傍の
土地
について
所有
状況
等の
調査
を行っております。ただし、それらの
調査
は、
不動産登記簿等
の
一般
に入手可能な
資料
による確認など限られた
情報
の
把握
にとどまっており、詳細な
利用実態
までは
把握
できなかったものと承知しております。 本
法案
に基づく
調査
等の
対象
となる具体的な
区域
の指定については、法定する手続に沿って指定の要否、
範囲
等を判断していくこととしております。このため、現時点において
対象
となる
土地等
の規模感をお答えすることは困難であります。 次に、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターの取扱いについて御
質問
をいただきました。 本
法案
では、
重要施設
として、
防衛関係施設
、
海上保安庁
の
施設
及び
生活関連施設
の三つの類型を掲げております。このうち、
生活関連施設
については、その具体的な
施設
の類型を
政令
で定めることとしており、現時点では、
原子力関係施設
及び
自衛隊
が共用する空港を指定することを想定しております。
生活関連施設
の類型については、
国際情勢
の変化や技術の進歩等に応じ、検討を続けていく必要があると
考え
ておりますが、現時点において、御指摘のあった中央銀行及び民間金融機関のシステムセンターを
政令
で指定することは想定しておりません。 次に、
国民生活
の基盤について御
質問
をいただきました。 御指摘のあった水源地である森林、ソーラー用地、産廃用地については、個々の
土地
によって
状況
が異なるため、本
法案
における位置付けについて一概にお答えすることは困難ですが、その所在
状況
によっては、第一条に
規定
する
国民生活
の基盤に該当し得るものと
考え
ております。一方、本
法案
に基づく
措置
の
対象
は、
安全保障
に直接
関係
する
防衛関係施設
、
生活関連施設
等の
重要施設
の
周辺
や
国境離島等
としているところであります。 次に、
土地
取引
の
事前届出
に関する条例を定めている道府県について御
質問
をいただきました。 水資源の保全等を
目的
として、水源地域における森林等の
土地
取引
について
事前届出
義務を課すこと等を
内容
とする条例を定めている道府県は、
令和
二年十月末時点において、
政府
として
把握
しているものとして十八道府県であります。具体的には、
北海道
、秋田県、山形県、茨城県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、徳島県、宮崎県であると承知しています。 次に、条例と本
法案
との違いについて御
質問
をいただきました。 本
法案
は、
安全保障
の
観点
から、
防衛関係施設等
の
重要施設
や
国境離島等
が有する重要な
機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
を防止することを
目的
として、
土地等
の
利用状況
を
調査
した上で、
機能阻害行為
として
土地等
の
利用
が判明した場合に中止等の
勧告
、
命令
を行うこととしています。 条約の
内容
は道府県ごとに異なっており、失礼、条例の
内容
は道府県ごとに異なっており、それらと本
法案
の違いについて一概にお答えすることは困難ですが、条例には、例えば、水資源の保全等を
目的
として、水資源、水源地域における森林等の
土地
取引
の
事前届出
義務のほか、水源地域内における開発
行為
の
事前届出
、取水に係る許可
制度
等を定めているものがあると承知しております。 次に、本
法案
と条例の
関係
について御
質問
をいただきました。 水源涵養
機能
を有する森林については、現行の森林法において、国土の保全等を
目的
として、
土地取得
の際の事後届出、大規模な開発
行為
に係る許可
制度
等の
措置
が講じられています。御指摘の条例は、こうした
制度
を前提とした上で、地域の特性に応じて水源となる森林等の保全を図るための独自の取組であると
考え
ております。
有識者会議
の提言においては、森林法のような既存の
措置
があることを踏まえ、水源地の取扱いについては、これらの
土地
を
対象
とすることについては慎重に検討していくべきとされました。また、
防衛関係施設
の
周辺
や
国境離島
の
土地
は、まず最優先で
制度的枠組み
の
対象
とすべきとされたところであります。 本
法案
は、こうした
状況
を踏まえ、
安全保障
に直接
関係
する
防衛関係施設等
の
周辺
や
国境離島等
を
対象
として必要な
調査
、
利用規制
を行うものであり、
内容
に不十分な点があるとは
考え
ていません。 次に、取得
規制
を導入しなかった
理由
について御
質問
をいただきました。 御指摘のあった取得
規制
とは、
一般
に、
土地等
の
取引
を事前に審査し、
安全保障
の
観点
からリスクがあると認められる
土地等
の取得を
規制
する
枠組み
であると
認識
しております。 こうした取得
規制
について、
有識者会議
の提言では、あらかじめ
規制
の基準や要件を明確に定めることが困難であり、慎重に検討すべきとされたところであります。
政府
としては、この提言を踏まえ、本
法案
では取得
規制
は導入しないことといたしました。 次に、
基本方針
の
内容
について御
質問
をいただきました。 御指摘のあった第四条第二項の基本的な事項と基本的な方向は、いずれも
基本方針
に定めるべき事項として
規定
しているものであり、この点で、それらが異なる意義を有するものではありません。 第四条第二項第一号の
重要施設
の
施設機能
及び
国境離島等
の
離島機能
を
阻害
する
土地等
の
利用
の防止に関する基本的な方向としては、
我が国
の
安全保障
をめぐる
内外情勢
について記述した上で、本
法案
に基づく
措置
の
趣旨
、
必要性
、
措置
を行うに当たっての基本的な
考え
方を示すことを
考え
ております。 次に、第四条第二項第二号に
規定
する
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項の
趣旨
について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
区域
指定に当たっては、
我が国
の
安全保障
と自由な
経済活動
の両立を図る
観点
から、指定に伴う社会
経済活動
への
影響
を勘案することが必要であると
考え
ます。 このため、
基本方針
には、御指摘のあった第四条第二項第二号の
規定
を踏まえ、
重要施設
の
周辺
における密集市街地の形成
状況
等の地理的特性など、
区域
の指定に関し、
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を盛り込むこととしております。 次に、法
目的
と
経済
的社会的
観点
の
関係
について御
質問
をいただきました。 第四条第二項第二号に
規定
する
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項は、先ほどお答えしたとおり、
対象
区域
の指定に当たって、指定に伴う社会
経済活動
への
影響
を勘案する
趣旨
を定めたものであります。 具体的な
区域
の指定の過程では、
重要施設等
の
機能阻害行為
を防止するという
安全保障
上の
必要性
と
経済
的社会的
観点
から留意すべき事項を総合的に勘案します。そして、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で、法
目的
を確実に達成することを前提として、指定の要否、
範囲
等について慎重かつ適切に判断してまいります。 次に、損失補償を行わない事例について御
質問
をいただきました。 本
法案
第十条は、
内閣総理大臣
の
勧告
、
命令
によって受けた損失に対する補償について
規定
したものでありますが、そのただし書において、損失補償の
対象
とならない場合について
規定
しております。 具体的には、他法令に基づく許可の申請が必要な
行為
について、その申請が却下されたにもかかわらず、その
行為
を行い、本
法案
に基づく
勧告
、
命令
の
対象
となった場合等に、
勧告
等に従ったことによって損失を受けたとしても損失補償の
対象
としない旨を
規定
しています。これは、そうした場合には補償を行う
必要性
が乏しいと
考え
られることによるものであります。 例えば、
国境離島
の低潮線保全
区域
において、低潮線保全法に基づく許可申請が却下される場合における海底の掘削
行為
が本
法案
に基づく
勧告
、
命令
の
対象
となるケースが想定されます。 次に、第二十一条の
規定
の意義について御
質問
をいただきました。 第二十一条では、
内閣総理大臣
が、
機能阻害行為
を防止するため、
関係
大臣
に対し
関係法令
に基づく
措置
の実施を要請すること、その実施について
報告
を求めることができることとしております。 仮に第二十一条の
規定
がなくても、本
法案
に基づく事務を所掌する
内閣総理大臣
が、各
行政機関
の長に対し、その所掌事務の
範囲
内で事実上の要請を行うことは可能です。しかしながら、第二十一条の
規定
のように法令上の特別の定めがない場合には、この事実上の要請を行った後の
対応
は各
行政機関
の裁量に委ねられることになります。そこで、第二十一条の
規定
を設け、
機能阻害行為
を防止するために
関係
大臣
が実施すべき
措置
について
内閣総理大臣
が関与できるようにしたところであります。 次に、第二十三条の
土地
の買取り等について御
質問
をいただきました。 本
法案
では、国が
土地等
を義務的、強制的に買い取る
制度
は設けておりません。これは、
有識者会議
の提言において、
土地等
の収用など、
私権制限
の程度が強い
措置
を設けることについて慎重に検討していくべきとされたことを踏まえたことによります。 一方、
有識者会議
の提言では、
安全保障
の
観点
から、
政府
として、リスク顕在化への備えとして前広に
対応
することが求められるとして、
土地
の買取りを申し出る
措置
を設けておくべきとされました。 こうした経緯を踏まえ、御指摘のあった第二十三条においては、強制性のない努力
規定
として、国による
土地
の買取り等の
措置
を盛り込んだところであります。 次に、本
法案
の運用に当たって取り扱う
情報
に関し、特定秘密との
関係等
について、それぞれ御
質問
をいただきました。 まず、特定秘密は、特定秘密の
保護
に関する
法律
において、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関する
情報
であって、公になっていないもののうち、その漏えいが
我が国
の
安全保障
に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものと定義されています。 一方、本
法案
に基づく
調査
では、
土地等
の
利用者等
の
個人情報
や
土地等
の
利用状況
に関する
情報
などを取り扱うことを想定していますが、それらの
情報
は、いずれも先ほど申し上げた特定秘密には該当しないものと
考え
ております。 このため、本
法案
に基づき取り扱う
情報
に関して、御指摘のあった
情報
監視審査会に
報告
する事項はないものと
考え
ております。 最後に、執行体制について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
調査
や
利用規制
等は、
内閣
府に新設する部局が行うこととしております。御指摘のあった担当部局の規模や、いずれの省庁から人材を集めるのかといった執行体制に関する点については、
法案成立
後、
関係省庁
とも連携、調整しながら、必要となる体制の
在り方
について検討を進めていく
考え
であります。 また、本
法案
の運用のベースとなる
基本方針
の策定については、
我が国
の
安全保障
をめぐる
内外情勢
を踏まえて定める必要がございます。このため、その策定は、
国家安全保障
局と
内閣
府に新設する部局が連携してその任に当たることとしております。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
19
○
議長
(
山東昭子
君) 田村智子さん。 〔田村智子君
登壇
、
拍手
〕
田村智子
20
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま
議題
となりました
重要施設周辺
及び
国境離島等
における
土地等
の
利用状況
の
調査
及び
利用
の
規制等
に関する
法律案
について
質問
いたします。 本
法案
は、
政府
が
安全保障
上重要とする全国の米軍基地、
自衛隊
基地、
海上保安庁
の
施設
、原発などの周囲約一キロメートル、また
国境離島
を
注視区域
、
特別注視区域
に
指定
し、
区域
内の
土地
、
建物
の
所有
や
利用
に関する
調査
、
利用
の
制限
、
特別注視区域
内の不動産
取引
の
事前届出
の義務付けなどを行うものです。 日本国憲法は、自由に居住地を選択し、
土地
や
建物
を
所有
する
権利
を保障しています。この基本的な
権利
を、国家が
安全保障
の名の下に直接
制限
する違憲立法であることを冒頭、
指摘
しなければなりません。拙速な議論は断じて許されないことを強調するものです。 まず、立法事実についてお聞きします。 衆議院の
審議
で、
政府
は、
自治体
からの不安の声があるとして十六件の
意見書
を根拠としましたが、それらは、森林や水源地などが
外国資本
に買収され乱開発されるのではないかという危惧、また過疎
地域
での人口減少の下での不安であり、本
法案
の根拠となり得ないことは明らかです。 そもそも、
外国資本
による
土地所有
は、観光立国、インバウンドなどの
経済
政策の結果です。この
法案
は、
外国
からの投資の呼び込みという
政府
の
経済
政策の転換を
目的
としているのでしょうか。 また、
地方
自治体
の
意見書
に、基地
周辺
や
国境離島
の
住民
を
対象
に、
土地
、
建物
の
利用状況
を監視してほしいという要望があるのでしょうか。漠とした不安に乗じて、国家が
国民
監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。
小此木大臣
の答弁を求めます。
法案
では、
内閣総理大臣
は、
特別注視区域
を含む
注視区域
の
土地
、
建物
の
利用状況
について
調査
を行うとし、
所有
権、賃借権を持つ者に加え、その他
関係者
も
情報
収集
の
対象
としています。一体、誰を
対象
とした
調査
なのでしょうか。 例えば、
防衛省
の
周辺
一キロメートルには、住宅、商業
施設
、大学、教会などもあります。
所有者
だけでなく、居住者、商業
施設
の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方などは含まれますか。私が
例示
したうち、
調査
の
対象
とならないことが法文上明らかとなる者はいるのでしょうか。
調査
のために
内閣総理大臣
が
自治体
や国の
行政機関
に
情報提供
を
要請
した場合、
自治体
等は、氏名、住所などを
提供
するものとするとしていますが、これは義務
規定
でしょうか。また、その他
政令
で定めるものとはどのような
情報
が想定されるのでしょうか。 衆議院の
審議
で、
小此木大臣
は戸籍簿が含まれると答弁していますが、戸籍簿は身分
関係
を公証する書類です。
土地所有
者や賃借権者の親類縁者まで
情報
収集
の
対象
とするのですか。
調査
の
目的
は、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
、そのおそれのある
行為
を
目的
とした
土地等
の
利用
をやめさせることだとしています。
行為
の
調査
は、日常的な行動監視が必須ではありませんか。
内閣
府には
地方
組織は存在しません。実際には、警察や公安
調査
庁、
自衛隊
が
収集
する
情報
を活用するのですか。その際、
重要施設等
に設置された監視カメラでの顔認証による行動監視もできるのでしょうか。
小此木大臣
及び
岸防衛大臣
の明確な答弁を求めます。 このように
収集
された
情報
は、
内閣
府で
管理
され、個人ごとのデータベース、
個人情報
ファイルとして分析の
対象
とするのではありませんか。本人から
個人情報
の開示、訂正、削除要求があった場合、応じますか。
調査
に基づき、
土地等
の
利用
目的
が
重要施設
の
機能
を
阻害
する
行為
、そのおそれのある
行為
であると
内閣総理大臣
が認める場合、
利用
をやめるよう
勧告
及び
命令
することができるとしています。これは特定の
行為
への
措置
に限定されるのか、それとも
土地
、
建物
の
利用
そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。
阻害
する
行為
、そのおそれのある
行為
とは何か。例えば、米軍基地に飛来する戦闘機やヘリコプターの撮影は、騒音や低空飛行など基地被害の
把握
のために
市民
団体や報道機関が現に行っています。部屋の窓にカメラを設置していることをもって
阻害
あるいはそのおそれと判断されることはありませんか。
勧告
に従わなかった
利用者
は懲役二年以下又は二百万円以下の罰金という刑事罰が科せられますが、不服申立ての
規定
がないのはなぜでしょうか。
阻害
行為
ではないと主張する場合、どのような救済の仕組みがあるのでしょうか。
勧告
等による
措置
で損失が発生した場合、補償するとしていますが、その損失補償は
当事者
と
内閣総理大臣
との協議とされ、協議が調わない場合、双方が収用委員会に損失補償の裁決を申請できるとしています。不服申立ても第三者機関によるあっせんさえも条文上
規定
せず、一方的に国が損失の額まで決められることになれば、国家権力による一方的な私有財産の
利用
制限
も可能となります。憲法が
規定
する財産権の保障との
関係
はどのように検討されたのか、以上、
小此木大臣
、お答えください。
特別注視区域
内の
土地
、
建物
の
売買
等
契約
について、
契約
当事者
は
内閣総理大臣
に氏名、住所、
売買
物件の所在地、面積、
利用
目的
などの
情報
をあらかじめ届け出ることを義務付けています。届出を怠っただけで、懲役六か月以下又は百万円以下の罰金という刑事罰まで科しています。
我が国
の
土地
、
建物
の
売買
は自由
取引
が原則であり、
土地
、
建物
を
取得
した場合の登記も、法的には義務付けられていません。 では、
特別注視区域
に
指定
されると、なぜ
売買契約
の
事前届出
が義務付けられるのでしょうか。また、
土地
の所在地であり都市計画などの主体である
自治体
への届出ではなく、
内閣総理大臣
への届出とするのはなぜか、
区域
指定
の要件、
指定
の期間はどのように定めるのか、
事前届出
を要する
土地
、
建物
の規模をどのように想定しているのか、そして、
事前届出
を怠っただけで懲役刑まで科さなければならないほどの問題とは何か、以上、
小此木大臣
の具体的かつ明確な答弁を求めます。 私有財産の
売買
及び
利用
について、これほど厳しい
規制
を行おうというのに、その
対象
区域
がどこになるのか、いまだ明確な答弁がありません。
防衛省
は、候補リストを作成しているが、
安全保障
上の
懸念
があるとして提示せず、公表する場合にも、一覧性のある公表にならないように配慮すると衆議院で答弁しました。
法案
では、
注視区域
、
特別注視区域
は官報によって公示するとしています。この
規定
と矛盾するのではありませんか。 米軍基地や
自衛隊基地周辺
に居住する
国民
にとって、私有財産や
日常生活
にも重大な
影響
を与えることになります。速やかに候補リストを提示すべきではありませんか。
防衛大臣
の答弁を求めます。 また、
機能
が
阻害
された場合、
国民
の
生命
、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められる
生活関連施設
について、
原子力
発電所を挙げていますが、鉄道、ダムなどの水源地、電気、通信、水道、ガスなどの
施設
へと拡大することはないのか、
小此木大臣
、お答えください。 戦前戦中、要塞地帯法や軍機
保護
法などにより、軍事
施設
や軍需工場などの
周辺
で写真撮影やスケッチをしただけで、
国民
はスパイ扱いされ罰せられました。また、
国民
の不安をあおり
利用
することで民主主義が壊される歴史は国内外で繰り返されています。この
法案
はまさに不安に乗じた
国民
監視法であり、廃案にするために全力を尽くす
決意
を述べ、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣小此木八郎
君
登壇
、
拍手
〕
小此木八郎
21
○
国務大臣
(
小此木八郎
君) 田村議員からいただいた御
質問
に対し、順次お答え申し上げます。 まず、本
法案
は
外国
からの投資の呼び込みという政策の転換を
目的
としているのかという点について御
質問
をいただきました。
経済活動
のグローバル化が進展する中、
外国資本
による対内投資は、イノベーションを生み出す技術やノウハウをもたらすとともに、
地域
の雇用機会創出にも寄与するものであり、
我が国
経済
の持続的成長に資するものと
考え
ています。 他方、本
法案
は、
安全保障
の
観点
から、
重要施設
の
周辺
等の
土地
の
利用状況
を
調査
し、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
が認められる場合に
利用規制
を行うものであり、海外からの投資を
規制
することを
目的
としたものではありません。(発言する者あり)ありません。したがって、本
法案
は、
外国資本
による対内投資の促進といった
政府
の
経済
政策の転換を図ろうとするものではありません。 次に、
自治体
の
意見書
における要望等について御
質問
をいただきました。 御
指摘
のような基地
周辺
や
国境離島
の
住民
を
対象
に監視をすることを求める要望はありませんが、
全国各地
の
地方公共団体
からは、
安全保障
の
観点
から
土地
の
管理
を求める
意見書
が
提出
されております。 本
法案
は、そうした社会的な
要請
も踏まえ、
安全保障
の
観点
から
重要施設
の
周辺
等の
土地等
の
利用実態
を
調査
し、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
が認められた場合に
土地等
の
利用規制
を行うものとして取りまとめたものであり、御
指摘
のあった
住民
の方々を監視するものではありません。 第三条には、本
法案
に基づく
措置
は、
個人情報
の
保護
に十分配慮しつつ、
土地等
が
重要施設等
の
機能阻害行為
に
利用
されることを防止するために
必要最小限度
のものとなるようにしなければならないと定めております。
政府
として、本
法案
の
目的
を逸脱して
住民
の方々の
情報
を
収集
することはありません。 また、
制度
運用
の適正さを
確保
する
観点
から、
生活関連施設
に関する
政令
の改廃、
対象
区域
の
指定
、
勧告
の
実施
などについては、
土地等利用状況審議会
の
意見
を伺った上で判断することとしております。 したがって、
国民
監視のフリーハンドを得るための立法という御
指摘
は当たらないものと
考え
ています。 次に、
土地等
利用状況調査
の
対象
者について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
調査
は
土地等
の
利用状況
を
把握
するために行うこととしており、
所有
権、賃借権といった権原に基づく
利用者
の
情報
やその
利用状況
を
把握
することとしております。 御
指摘
のあった住宅の居住者については、
所有
権、賃借権といった権原を有していなければ、その者が権原に基づく
利用者
と共同して
機能阻害行為
を行っている場合等を除き、
調査
の
対象
とはなりません。また、商業
施設
の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方についても同様に、
土地等
について権原を有していなければ、原則として
調査
の
対象
とはなりません。このような
調査
の
対象
者の
範囲
については、
法案
第六条から第八条までで
規定
しております。 次に、
利用者等
に関する
情報
の
提供
について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
調査
では、
不動産登記簿
、
住民
基本台帳、戸籍簿など、複数の
公簿
を
収集
し、
土地等
の
利用者等
を正確に
把握
することとしております。
調査
の一環として行う
公簿
の
収集
の
実効性
を
確保
するため、第七条第二項の
規定
により、
内閣総理大臣
からの
情報提供
の求めを受けた
関係地方公共団体
等に対し
情報提供
を義務付けております。御
指摘
のあった第七条第一項の
政令
で定めるものとしては、本籍、国籍、生年月日、連絡先等を
規定
することを検討しております。御
指摘
のあった戸籍簿については、例えば、
不動産登記簿
上の
所有
権の登記
名義人
が死亡していることが判明したときに、相続人を
把握
するために
提供
を求める場合もあると
考え
ております。 次に、本
法案
に基づく
調査
の
内容
及び手法について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
調査
としては、
不動産登記簿等
の
公簿等
の
収集
、
土地等
の
利用者等
からの
報告徴収
、
現地
・
現況調査
がありますが、これらの
調査
は、いずれも
内閣総理大臣
、具体的には
内閣
府に新設する部局が行うこととしております。 この
調査
は、
注視区域
内にある
土地等
の
利用状況
を
把握
するためのものであり、御
指摘
のあった日常的な行動監視を行うものではありません。その上で、本
法案
に基づく
調査
において、警察や公安
調査
庁が保有する
情報
を活用することや、それらの機関に
情報
の
収集
を依頼することは
考え
ていません。 次に、
防衛関係施設
を所管する
防衛省
については、例えば、
機能阻害行為
の兆候等に係る
情報提供
をいただくことや、
現地
・
現況調査
において必要に応じて
防衛省
及びその
地方
支分部局に
協力
を依頼することが
考え
られます。
防衛省
を含め、
関係省庁
等の
協力
の
在り方
など、具体的な
調査
の進め方については、
法案成立
後、
施行
に向けた準備を行う中で検討してまいります。 なお、御
指摘
のあった、
重要施設等
に設置する監視カメラでの顔認証によって行動監視を行うことは
考え
ていません。 次に、本
法案
に基づく
調査
によって
収集
された
個人情報
の分析と開示請求等への
対応
について御
質問
いただきました。 本
法案
に基づき
収集
した
土地等
の
利用者等
に関する
情報
については、
内閣
府に新設する部局が
管理
し、本
法案
の
目的
を達成するために必要な分析を行います。 また、
調査
によって
収集
した
個人情報
について、本人から、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律
に基づき、開示、訂正又は削除の請求がなされた場合には、同法の
関連
規定
に定めるところにより開示等が行われることとなります。 次に、
勧告
及び
命令
の
内容
について御
質問
をいただきました。 本
法案
に基づく
勧告
及び
命令
は、
土地等
が
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
の用に供されることを防止するために特定の
行為
の
中止
等の
対応
を取ることを求めるものであります。
機能阻害行為
は、
安全保障
をめぐる
内外情勢
や
施設
の特性等に応じて様々な類型が想定されることから、
勧告
及び
命令
の
内容
について一概にお答えすることは困難ですが、例えば、
一般
的な
日常生活
や事業活動の場として
土地等
を平穏に
利用
すること自体は、
勧告
及び
命令
の
対象
にならないと
考え
ております。 次に、
重要施設
の
機能
を
阻害
する
行為
について御
質問
をいただきました。
重要施設
に対する
機能阻害行為
については、
安全保障
をめぐる
内外情勢
や
施設
の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、想定する
行為
の類型を網羅的にお示しすることは困難ですが、例えば、
重要施設
の
機能
に支障を来す構造物の設置が該当し得るものと
考え
ております。 御
指摘
のあった
注視区域
内にある
土地等
において単に戦闘機やヘリコプターを撮影する
行為
であれば、
機能阻害行為
として本
法案
に基づく
勧告
、
命令
の
対象
にはならないと
考え
ております。 次に、
勧告
、
命令
の
対象
者に対する救済の仕組みについて御
質問
いただきました。 本
法案
では、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
としての
土地等
の
利用
に対し、
中止
等の
勧告
を行った上で、
勧告
を受けた者がその
勧告
に係る
措置
をとらなかった場合に
命令
を行うこととしております。この
勧告
には、
罰則
は設けておりません。また、
行政
処分にも該当しないことから、不服申立て等の
対象
にはなりません。 一方で、
命令
については、不利益処分に当たることから、本
法案
に特別の
規定
は置いておりませんが、
一般
法である
行政
手続法に基づき、
命令
の相手方となる者に対してあらかじめ弁明の機会を付与した上で、その
命令
を行うことの当否を判断することとなります。その上で、
命令
に不服がある場合は、
行政
不服
審査
法に基づく不服申立てや
行政
事件訴訟法に基づく抗告訴訟を行うことが可能であり、それらの
枠組み
によって
対応
することとなります。 次に、損失補償、財産権との
関係等
について御
質問
をいただきました。 本
法案
では、
勧告
や
命令
を受けた者が
勧告
等に係る
措置
をとったことにより損失を受けた場合に、通常生ずべき損失を補償することとしております。 この損失補償については、
内閣総理大臣
と損失を受けた者が協議を行い、また、協議が成立しない場合には、第三者機関である収用委員会による裁決を申請することも可能としております。このため、一方的に国が補償の額を決めるとの御
指摘
は当たらないものと
考え
ております。そして、本
法案
に基づく損失補償は、憲法第二十九条第三項とも適合するものであると
考え
ております。 次に、
事前届出
についての御
質問
をいただきました。
安全保障
の
観点
から特にリスクが高い
特別注視区域
にある
土地等
については、
機能阻害行為
の兆候を可能な限り早い段階で
把握
し、適切に
対応
する
必要性
が大きいものと
考え
ます。 このため、
特別注視区域
では、
取引
の
事前届出
を通じて
土地等
の
所有
状況
を逐次
把握
し、
機能阻害行為
の着手、実行が可能となる
契約締結
時から、空白期間を設けることなく、本
法案
に基づく
措置
を適時適切に講じられるようにする必要があると
考え
ます。
我が国
の
安全保障
のための
措置
は、国が
責任
を持って判断をし、
実施
することが必要であることから、この
事前届出
の受理を含め、本
法案
に基づく
措置
は
内閣総理大臣
が行うこととしております。
特別注視区域
の
指定
については、
重要施設
又は
国境離島等
のうち、その
機能
が特に重要なもの又は
阻害
することが容易であるものであって、他の
重要施設
や
国境離島等
による
機能
の代替が困難であるものについて行うこととしております。その
指定
に当たり、期間を定めることは想定しておりません。
事前届出
の
対象
となる
土地等
の規模については、第十三条第一項において、二百平方メートルを下回らない
範囲
で
政令
で定める規模以上のものとしております。
政令
で定める具体的な面積要件については、今後検討し、法
施行
までに決定する予定であります。
事前届出
を通じて必要な
情報
を確実に
収集
するため、届出義務に違反した場合には懲役刑又は罰金刑を科すこととしております。この
罰則
は、先ほどお答えした
意義
を有する
事前届出
の
実効性
を担保するために必要不可欠なものであると
考え
ます。 最後に、
生活関連施設
の
対象
となる
施設
の類型について御
質問
をいただきました。 第二条第二項第三号に
規定
する
生活関連施設
については、具体的な
施設
の類型を
政令
で定めることとしております。 現時点においては、
原子力関係施設
及び
自衛隊
が共用する空港を
政令
で
指定
することを想定しており、御
指摘
のあった鉄道
施設
、ダムなどの水源地、
原子力
発電所以外の発電所、通信
施設
、水道
施設
、ガス
施設
を
指定
することは想定しておりません。
政令
で
指定
する
施設
の類型については、
安全保障
をめぐる
内外情勢
等に応じ、引き続き検討してまいります。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
岸信夫君
登壇
、
拍手
〕
岸信夫
22
○
国務大臣
(岸信夫君) 田村智子議員にお答えいたします。 まず、
重要施設等
の
機能
を
阻害
する
行為
の
調査
についてお尋ねがありました。 本
法案
に基づく
調査
としては、
不動産登記簿等
の
公簿
の
収集
、
土地等
の
利用者等
からの
報告徴収
、
現地
・
現況調査
がありますが、これらの
調査
については、
内閣総理大臣
の権限として行われ、
内閣
府に新設する部局が一元的に
実施
する予定と承知しております。 これらの
調査
のうち、
現地
・
現況調査
に際しては、必要に応じて
重要施設等
の所管
省庁
及びその
地方
支分部局が
協力
することも想定されますが、具体的な
協力
の
在り方
については
内閣官房
において検討中と承知をしています。
防衛省
としては、本
法案
は、
防衛関係施設
の
機能
発揮を万全にする
観点
から有
意義
なものと、
意義
があるものと
考え
ており、必要に応じて
内閣官房
、
内閣
府と適切に連携してまいります。 最後に、
注視区域
及び
特別注視区域
に該当する
自衛隊
施設
のリストの提示についてお尋ねがありました。
注視区域
及び
特別注視区域
に該当する
自衛隊
施設
のリストは、周囲からの
機能阻害行為
を特に防止する必要があるとの
防衛省
としての評価を踏まえて、列挙した
施設
が一覧性をもって
把握
できるものとなります。 このため、このリストを公表した場合、
防衛省
が特に守りたい
自衛隊
の
施設
の数や配置が総体的に
把握
され、
自衛隊
の能力をより容易に推察することが可能となるものであり、かつ、
防衛省
が全国で特に守りたい重要な
施設
の現時点の配置を示せば、
我が国
の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねません。 したがって、これら
安全保障
上の
懸念
を踏まえ、現時点の
自衛隊
施設
の
注視区域
及び
特別注視区域
の候補リストを公にすることは差し控えます。 また、御
指摘
の官報による公示との
関係
については、
区域
の
指定
に当たり、周囲からの
機能阻害行為
を防止し得るだけでなく、一覧性のある
施設
の公表にならないよう配慮するなど、適切に
対応
してまいります。(
拍手
)
山東昭子
23
○
議長
(
山東昭子
君) これにて
質疑
は終了いたしました。 ─────・─────
山東昭子
24
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第二
原子力
の
平和的利用
における
協力
のための
日本国政府
とグレート・
ブリテン
及び北部
アイルランド連合王国政府
との間の協定を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件
日程
第三 大西洋の
まぐろ類
の保存のための
国際
条約を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件
日程
第四
国際航路標識機関条約
の
締結
について
承認
を求めるの件 (いずれも
衆議院送付
) 以上三件を一括して
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。外交防衛委員長長峯誠さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔長峯誠君
登壇
、
拍手
〕
長峯誠
25
○長峯誠君 ただいま
議題
となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 まず、英国との
原子力
協定改正
議定書
は、英国による欧州
原子力
共同体からの脱退に伴い、英国において適用される保障
措置
が変更されること等を踏まえ、現行協定を改め、英国で新たに適用される保障
措置
等について定めるものであります。 次に、大西洋
まぐろ類
保存条約改正
議定書
は、同条約の
対象
にサメ、エイ類等の板さい類を追加し、紛争解決及び漁業主体に関する
規定
を追加すること等を定めるものであります。 最後に、
国際航路標識機関条約
は、
国際
航路標識協会を
国際
機関とするため、
国際
航路標識機関を設立すること及びその運営について定めるものであります。 委員会におきましては、三件を一括して
議題
とし、英国における保障
措置
の
実施
体制、
原子力
協定改正
議定書
により日英の
原子力
協力
が促進される
懸念
、マグロ類の
地域
漁業
管理
機関における台湾の地位、
国際
航路標識協会の
国際
機関化に当たり議論となった点等について
質疑
が行われましたが、詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の井上理事より、英国との
原子力
協定改正
議定書
に反対する旨の
意見
が述べられました。 次いで、順次採決の結果、英国との
原子力
協定改正
議定書
は多数をもって、大西洋
まぐろ類
保存条約改正
議定書
及び
国際航路標識機関条約
はいずれも全会一致をもって、それぞれ
承認
すべきものと決定いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
26
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 まず、
原子力
の
平和的利用
における
協力
のための
日本国政府
とグレート・
ブリテン
及び北部
アイルランド連合王国政府
との間の協定を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件の採決をいたします。 本件を
承認
することに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
27
○
議長
(
山東昭子
君) 過半数と認めます。 よって、本件は
承認
することに決しました。(
拍手
) 次に、大西洋の
まぐろ類
の保存のための
国際
条約を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
国際航路標識機関条約
の
締結
について
承認
を求めるの件を一括して採決いたします。 両件を
承認
することに賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
28
○
議長
(
山東昭子
君) 総員起立と認めます。 よって、両件は全会一致をもって
承認
することに決しました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
29
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第五
自然災害義援金
に係る
差押禁止等
に関する
法律案
(
衆議院提出
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。災害
対策
特別委員長新妻秀規さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔新妻秀規君
登壇
、
拍手
〕
新妻秀規
30
○新妻秀規君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、災害
対策
特別委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、
自然災害義援金
に係る拠出の
趣旨
に鑑み、自然災害の被災者等が自ら同義援金を使用することができるよう、その差押えを禁止する等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、
提出者
衆議院災害
対策
特別委員長より
趣旨説明
を聴取した後、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
31
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
32
○
議長
(
山東昭子
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
33
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第六
国家公務員法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。
内閣
委員長森屋宏さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔森屋宏君
登壇
、
拍手
〕
森屋宏
34
○森屋宏君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、
内閣
委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるとともに、役職定年による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の
制度
を設けるほか、六十歳を超える職員に係る給与及び退職手当に関する特例を設ける等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、定年引上げに伴う定員
管理
の
在り方
、本
法律案
と民間の
取組
との
関係
、役職定年制の
意義
及び
課題
等について
質疑
が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会の柴田委員より反対の旨の
意見
が述べられました。 次いで、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。 なお、本
法律案
に対し附帯決議を行いました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
35
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
36
○
議長
(
山東昭子
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
37
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第七
航空法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。国土交通委員長江崎孝さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔江崎孝君
登壇
、
拍手
〕
江崎孝
38
○江崎孝君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、国土交通委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、国土交通
大臣
による航空運送事業の基盤強化に関する
方針
の策定及び必要な支援の
実施
、危険物等所持
制限
区域
に立ち入る旅客等に対する保安検査の受検の義務付け、無人航空機の機体の安全性の
確保
及び操縦を行おうとする者について行う技能証明に係る
制度
の創設、運輸安全委員会による無人航空機に係る事故等の原因を究明するための
調査
の
実施
等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、航空ネットワーク
確保
に資する支援の
在り方
、航空保安体制の
実効性
の
確保
、無人航空機の安全な利活用の推進等について
質疑
が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して武田良介委員より本
法律案
に反対する旨の
意見
が述べられました。 次いで、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
法律案
に対し附帯決議が付されております。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
39
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
40
○
議長
(
山東昭子
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
41
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第八 プラスチックに係る
資源循環
の
促進等
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。
環境
委員長長浜博行さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔長浜博行君
登壇
、
拍手
〕
長浜博行
42
○長浜博行君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、
環境
委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、プラスチックに係る
資源循環
の
促進等
を図るため、市町村による再商品化及び
事業者
による自主回収、再
資源
化の促進のための
制度
を創設するとともに、プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、ワンウエープラスチック製品の使用の合理化の
在り方
、プラスチック使用製品の削減を進める
必要性
、一括回収の市町村への
影響
と支援策の
在り方
、再生素材や代替素材の
利用
促進を支援する
必要性
等について
質疑
が行われましたが、その詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終局し、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
法律案
に対し附帯決議が付されております。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
43
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
44
○
議長
(
山東昭子
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
45
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第九
地方公務員法
の一部を改正する
法律案
(第二百一回
国会内閣提出
、第二百四回
国会
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。総務委員長浜田昌良さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔浜田昌良君
登壇
、
拍手
〕
浜田昌良
46
○浜田昌良君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、総務委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、
地方
公務員の定年の
基準
となる国家公務員の定年が段階的に引き上げられるとともに、
管理
監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の
制度
が設けられること等を踏まえ、
地方
公務員に係る
管理
監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の
制度
を設ける等の
措置
を講じようとするものであります。 なお、衆議院において、
施行期日
を
令和
四年四月一日から
令和
五年四月一日に改めること等を
内容
とする修正が行われております。 委員会におきましては、定年を段階的に引き上げる
理由
、役職定年制により降任等をした職員の職務
内容
、全ての
地方公共団体
において遅滞なく定年引上げを行う
必要性
、定年の引上げ期間中における新規採用及び定員
管理
の
在り方
等について
質疑
が行われました。
質疑
を終局し、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
法律案
に対し附帯決議が付されております。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
47
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
48
○
議長
(
山東昭子
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
49
○
議長
(
山東昭子
君)
日程
第一〇 全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築するための
健康保険法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を
議題
といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔小川克巳君
登壇
、
拍手
〕
小川克巳
50
○小川克巳君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、厚生労働委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築するため、健康保険等における傷病手当金の支給期間の通算化、育児休業中の保険料の免除要件の見直し及び保健事業における健康診断等の
情報
の活用促進、後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、参考人から
意見
を聴取するとともに、後期高齢者の窓口負担割合の
在り方
、健診結果等の
個人情報保護
方策、医療扶助におけるオンライン資格確認の
運用
の
在り方
、現役世代に対する更なる負担増を抑制する
必要性
等について、菅
内閣総理大臣
にも出席を求め
質疑
を行いましたが、その詳細は
会議
録によって御承知願います。
質疑
を終局し、討論に入りましたところ、
立憲民主
・社民を代表して打越さく良委員より反対、
国民
民主党・新緑風会を代表して田村まみ委員より賛成、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対の旨の
意見
がそれぞれ述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
法律案
に対し附帯決議が付されております。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
51
○
議長
(
山東昭子
君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。打越さく良さん。 〔打越さく良君
登壇
、
拍手
〕
打越さく良
52
○打越さく良君
立憲民主
・社民の打越さく良です。 私は、会派を代表し、全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築するための
健康保険法等
の一部を改正する
法律案
に対し、反対の立場から討論を行います。 討論に先立ち、感染症禍において
東京オリンピック
・パラリンピック開催に突き進む
菅総理
及び菅
内閣
の姿勢について苦言を呈します。
政府
の新型コロナウイルス感染症
対策
分科会の尾身茂会長は、開催するとしても、何のために開催するのか明確なストーリーとリスクの最小化をパッケージで話さないと
一般
の人は
協力
しようと思わないと述べられ、
国民
の理解が必要との
認識
を示されています。 ところが、菅首相は、過日の厚生労働委員会で
国民
の命と健康を守ることより五輪を優先させることはないと私に答弁されましたが、そのリスク評価を行うことについて明言せず、尾身会長の御
懸念
には答えていません。 また、
総理
は平和の祭典であるとの
認識
を示されていますが、選手にはワクチン接種がなされても、
国民
にはまだワクチンが行き渡っていない
状況
で開会を迎えるオリンピック・パラリンピックは、むしろ分断と格差の象徴になりかねません。 多くの報道で
指摘
されているように、五輪成功による熱狂の余韻冷めやらぬうちに衆院解散を打って勝利し、その後の自民党総裁選は無投票で乗り切るというシナリオがあるとすれば、
国民
の納得は決して得られないでしょう。 さて、反対の
理由
の第一は、本
法律案
が全
世代対応
型をうたい、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの構造を見直すとしながらも、その
実態
は、現役世代の負担増を抑制するとの名目の下、後期高齢者のみに七百二十億円もの負担増を押し付けることばかりが突出した、その場しのぎのびほう策にすぎないからです。 一方、限界に近づいているとされる現役世代の本人負担は僅か月額三十円の減であり、負担軽減には全く寄与していません。その反面、公費負担は九百八十億円もの減少が見込まれています。国の財政事情を優先させた、全
世代対応
型とは名ばかりの看板倒れ
法案
と言わざるを得ません。また、財政
影響
に係る将来推計が二〇二五年までしか考慮されていないこともその場しのぎであることを証明しています。 なお、そもそも現役世代への給付が少ないのは、医療に対する需要の違いからして当たり前であり、これを世代間対立のように捉えることは適当ではありません。 反対の
理由
の第二は、本
法律案
が後期高齢者の受診抑制による財政縮減効果を見込んだ
法案
であるということです。 本
法律案
では、長瀬効果による受診抑制効果が九百億円と見積もられています。しかし、窓口負担が高いためや償還払いなどを嫌って高齢者が受診をためらったりすれば、必要な医療が受けられないことになります。また、そのために症状が悪化したり慢性化したりすれば、医療費がかさむばかりでなく、高齢者のクオリティー・オブ・ライフをも
阻害
することになるのです。 厚生労働省が巨額化、複雑化する健康保険財政の指標に九十年近くも前の二次関数式をいまだに使用しているのは、高齢者を標的とした医療費抑制を強調するためだけであり、高齢者いじめそのものでありましょう。また、厚生労働省が医療費の効率化に資する実証的な研究を怠っていることは無
責任
としか言いようがありません。 反対の
理由
の第三は、医療扶助におけるオンライン資格確認について、福祉事務所やケースワーカーの方々から導入が拙速ではないかとの
懸念
があることです。 マイナンバーカードが普及しない中での事実上の強制が行われれば、マイナンバーカードの
取得
の支援も行わなくてはいけない上、マイナンバーカードを持たない方には旧来のやり方を併存しなくてはならないので、仕事はむしろ増えるという御
指摘
や、精神疾患をお持ちの方や認知症の方などに頻回受診
対策
は一律には当てはまらないなど、現場の
実態
を無視しているとの声が上がっています。ケースワーカーの負担軽減やその前提となる増員もないままでは、現場が混乱することは必至です。 反対の
理由
の第四は、本
法案
が将来的な見通しや抜本改革への視点を全く欠いていることです。 抜本改革の
必要性
は、
制度
改正ごとに
指摘
されてきました。ところが、本
法律案
は、附則において、全
世代対応
型の持続可能な
社会保障制度
を構築する
観点
から、
社会保障制度
の改革及び少子化に対処するための施策について、その
実施状況
の検証を行うとともに、総合的な検討に着手し、その検討の結果に基づいて速やかに法制の
整備
その他の必要な
措置
を講ずるなどと言い訳めいた言及があるばかりです。本
法案
は抜本改革先送りの欠陥
法案
であると断ぜざるを得ません。 田村厚生労働
大臣
は、
国民
の理解を得るには時間が掛かるとの答弁を行っていますが、
法案
提出
そのものが時期尚早であったことを正直に吐露されたものと
考え
ます。 反対の
理由
の第五は、立法府での議論が不十分なことであります。 衆議院において、野党が十分な
質疑
時間の
確保
を求める中、五月七日の厚生労働委員会で、突如、
質疑
終局、討論省略、直ちに採決との動議が自民党から出され、あろうことか委員長がこれを認めてしまったために可決された経過があります。このことによって、
立憲民主党
が
提出
し、
審議
中であった高齢者の医療の
確保
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
は、採決もされないまま衆議院にとどめ置かれたままです。 立憲案は、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費の投入と併せ、
政府
案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減することを
目的
としたものでした。これは、
政府
案で
懸念
される高齢者の受診抑制による重症化などを防止するために必要な改正であり、与党側からも傾聴に値するものと評価が得られておりました。したがって、立憲案を可決の上、本院で
審議
が行われるべきものでありました。
審議
時間、また
審議
内容
とも不十分なままの
政府
提出
法案
を可決する前提はないのです。 このように、全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築するための
健康保険法等
の一部を改正する
法律案
は、財政的な側面に主眼を置いた小粒で場当たり的なものにすぎません。
菅総理
は、六月一日の本院厚生労働委員会で、世界に冠たる
我が国
の
社会保障制度
、この
制度
を次の世代に引き継いでいくことは私たち世代の極めて重要な役割であると述べられました。確かに、
我が国
の保険証一枚で誰でも、いつでも、どこでも医療機関にフリーアクセスが可能な
国民
皆保険
制度
は世界に誇り得る
制度
です。 しかし、本
法律案
は、このフリーアクセスを実質的に抑制し、必要な医療の
提供
を怠るものであり、必ずや将来に禍根を残すことになるでしょう。
国民
本位、患者本位の医療の実現のためには、医療のみならず社会保障全般にわたる
制度
横断的な一体改革を行うことが不可欠です。そのための長い目こそが政治に求められています。 抜本改革の名に値する
国民
本位の健康保険
制度
実現のため、賢明な議員各位におかれましては、何とぞ本
法律案
に反対されることをお願いして、私の反対討論を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
)
山東昭子
53
○
議長
(
山東昭子
君) 倉林明子さん。 〔倉林明子君
登壇
、
拍手
〕
倉林明子
54
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、全
世代対応
型の
社会保障制度
を構築するための
健康保険法等
の一部を改正する
法律案
に対し、反対の討論を行います。 初めに、オリンピック開催は、感染爆発を招く大きなリスクがあるとともに、医師、看護師の派遣、特別な病床の
確保
など、コロナ封じ込めと命を守る医療への多大な負荷となるものです。 IOCバッハ会長は、誰もが幾らかの犠牲を払わないといけないと発言しましたが、五輪を強行するために失ってよい命などありません。
総理
は、
責任
回避はやめ、
専門家
の警告を聞くべきです。開催国の
政府
として、
国民
の命に
責任
を負う立場から、直ちに
中止
を決断し、あらゆる力をコロナ収束に集中させることを求めるものです。 本
法案
に反対する最大の
理由
は、七十五歳以上の高齢者へ医療費窓口二割負担を導入することです。
対象
となる方々からは、年金は減るのに心細くて仕方ない、年七万円の医療費が倍になれば受診控えも
考え
なあかん、長くない人生なのにひどい仕打ちなど、不安と憤りの声が寄せられています。 高齢者の負担は医療費の窓口負担だけではありません。全世代型社会保障の名の下に、年金は減らされ、医療も介護も次々と負担が増やされました。 後期高齢者医療の保険料は、二〇〇八年の
制度
実施
以来値上げが続き、一人当たり年七万六千七百六十四円にもなります。低所得者への軽減
措置
も廃止、縮小され、
生活
を圧迫しています。滞納者は二十二万人、短期証二万二千人、滞納による差押えは年間七千四百件にもなっています。 介護保険料は、発足時の二倍以上になり、
利用
料も二割負担、三割負担が導入されました。今年八月からは
施設
に入所する低所得者の食費等の負担が増えることになります。
政府
は、二割負担による受診抑制により医療給付費が一千五十億円減ると試算しています。年を重ねるほどに複数の病気を抱える高齢者にとって、通院や薬を減らすことは病状悪化に直結します。必要な医療が受けられなくなることを前提に、容赦なく負担増を強いることは、高齢者の命を削り、尊厳を脅かすものであり、断じて許されません。二割負担導入は断固撤回すべきです。
政府
は、負担の二倍化を正当化する口実に、現役世代の保険料負担の軽減を強調します。しかし、今回の高齢者の負担増によって現役世代の負担が減るのは一人当たりに換算すれば月三十円にすぎません。 最も削減されるのは、国、
自治体
の公費一千百四十億円です。現役世代の負担減を口実にして、公的な社会保障費の削減を推進するものにほかなりません。この間、減らしてきた高齢者医療の国庫負担割合を元に戻すことこそ急務です。 厚労
大臣
は、委員会
審議
の中で、現役世代の負担軽減策を問われ、安定的な
制度
にするためにはびほう策では難しいと答えられました。二割負担、三割負担の
対象
の拡大や、医療費負担の
在り方
に預貯金など金融資産を勘案することを含め、限りない負担増と給付抑制を
宣言
するものです。高齢者の人権をこれ以上侵害することは断じて容認できません。 大企業、富裕層への行き過ぎた減税が貧富の格差を広げ、社会保障や医療の財源を損なったことでパンデミックに弱い社会になっていたとの批判、反省の下、企業や富裕層に応分の負担を求める動きが今各国で広がりつつあります。負担能力に応じた負担というなら、減税と株高でコロナ禍でも莫大な利益を得ている大企業や大資産家に応分の負担を求め、高齢者を始め全ての世代の社会保障の大幅拡充に踏み出すことを求めるものです。 第二に、
国民
健康保険の都道府県運営
方針
に法定外繰入れの解消、保険料水準の統一を記載させることは、国保料の値上げ圧力を法定化するものにほかならないからです。
国民
健康保険は、高齢者や疾病を抱えた方が多く、医療費が増加する一方、無職、非正規労働者など低所得で保険料の負担能力の弱い方たちの加入が増え、構造的な問題を抱えています。加入者は、ただでさえ被用者保険より極めて高い保険料負担を強いられてきました。だからこそ、
国民
皆保険の最後のとりでとして、
自治体
は様々な負担軽減策や法定外の繰入れにより保険料の値上げを抑える努力をしてきました。それを国が禁じれば、保険料は更に高騰し、現役世代を含めた
住民
の命と健康、暮らしを脅かすことは必至です。
地方
自治体
が
住民
の福祉のために行う施策に対し国が廃止しろと強制することは、自治権を侵害するものです。 第三に、
生活
保護
利用者
が医療扶助を
利用
する際、マイナンバーカードによる資格確認を原則とすることです。医療保険におけるオンライン資格確認は任意であり、
生活
保護
利用者
にだけ強制し、自己決定を否定することは、
権利
侵害にほかなりません。 厚労省は、
審議
の中で、
利用者
を説得するとしながらも、要件ではないので強制ではないと明言しました。であるなら、強制ではなく、
利用者
の同意がなければ医療券は使えること、
利用者
の意思に反した説得はすべきでないこと等を
生活
保護
手帳等に明示するなどの徹底を求めるものです。 厚労省は、
生活
保護
の申請は
権利
です、ためらわず
自治体
に相談をと呼びかけています。それでも、住まいを失い、所持金が数百円になっても、
生活
保護
だけは受けたくないという方たちがたくさんいます。
生活
保護
の要件ではない扶養照会や、無料低額宿泊所や
施設
入所の強要が
利用
を遠ざけています。 マイナンバーカードに対する忌避感情は当然のものです。マイナンバーカード所持の強要が
生活
保護
のハードルを更に高くするものになってはなりません。
生活
保護
利用者
に対し新たに差別的な
措置
を導入することには断固反対するものです。今必要なのは、限界を超えている自助の強要をやめ、
権利
にふさわしい
利用者
本位の
制度
に見直すことです。 第四に、保険者が求めた場合、事業主に労働安全衛生法による健康診断
情報
の
提供
を義務付けることです。健診
情報
という機微な
個人情報
であるにもかかわらず、本人同意の担保はなく、自己
情報
のコントロール権が
阻害
されかねません。 EUでは、個人の
権利
として本人が同意を撤回した場合などのデータの消去権、いわゆる忘れられる
権利
が
規定
されているだけでなく、取扱いを
制限
させる
権利
、プロファイリングを含め、取扱いに異議を申し立てる
権利
などが保障されています。こうした基本的な
権利
規定
なしに、
情報
収集
が先行することは重大な問題です。 コロナ禍、雇用
状況
は悪化を続け、高齢者も、その
生活
を支える家族、現役世代も厳しい
生活
を余儀なくされています。今やるべきは、思い切った負担軽減、
生活
への手厚い支援であることを求め、討論といたします。(
拍手
)
山東昭子
55
○
議長
(
山東昭子
君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
山東昭子
56
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
57
○
議長
(
山東昭子
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
58
○
議長
(
山東昭子
君) この際、
日程
に追加して、
国会職員法
及び
国家公務員退職手当法
の一部を改正する
法律案
(
衆議院提出
)を
議題
とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山東昭子
59
○
議長
(
山東昭子
君) 御異議ないと認めます。 まず、委員長の
報告
を求めます。議院運営委員長水落敏栄さん。 ───────────── 〔
審査
報告
書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔水落敏栄君
登壇
、
拍手
〕
水落敏栄
60
○水落敏栄君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、委員会における
審査
の経過と結果を御
報告
申し上げます。 本
法律案
は、
一般
職の国家公務員に準じて、
国会
職員の定年を段階的に年齢六十五年に引き上げる等の
措置
を講じようとするものであります。 委員会におきましては、採決の結果、本
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────────────
山東昭子
61
○
議長
(
山東昭子
君) これより採決をいたします。 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。 〔賛成者起立〕
山東昭子
62
○
議長
(
山東昭子
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
63
○
議長
(
山東昭子
君) この際、
国際経済
・外交に関する
調査
会長から、
国際経済
・外交に関する
調査
の
中間報告
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山東昭子
64
○
議長
(
山東昭子
君) 御異議ないと認めます。
国際経済
・外交に関する
調査
会長鶴保庸介さん。 ───────────── 〔
調査
報告
書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔鶴保庸介君
登壇
、
拍手
〕
鶴保庸介
65
○鶴保庸介君
国際経済
・外交に関する
調査
会における
中間報告
につきまして、その概要を御
報告
申し上げます。 本
調査
会は、三年間の
調査
テーマを「海を通じて世界とともに生きる日本」とし、活動の二年目においては、三つの具体的な
調査
項目、すなわち「海洋
資源
・エネルギーの
確保
など海洋の利活用及び開発の
在り方
」、「海洋
環境
をめぐる諸
課題
及び
取組
の
在り方
」及び「
我が国
が海洋立国として
国際
社会を牽引するための
取組
と役割」について、相互の
関連
性に留意しながら
調査
を進めてまいりました。この間、十七名の参考人から
意見
を聴取し、
質疑
を行ったほか、委員間の
意見
交換を行い、これらを
中間報告
書として取りまとめ、去る二日、
議長
に
提出
したところであります。 以下、議論の主な
内容
を御
報告
いたします。 まず、海洋
資源
・エネルギーの
確保
など海洋の利活用及び開発の
在り方
並びに海洋
環境
をめぐる諸
課題
及び
取組
の
在り方
のうち、極域をめぐる諸
課題
への
取組
については、北極における
国際
的秩序及び学術分野での
取組
、極域における
環境
問題、北極海航路の展望と開発支援の
在り方
などの議論が、また、海洋における生物の多様性の保全と生物
資源
の持続可能な
利用
に向けた
課題
と
取組
については、生物多様性分野等における
我が国
の
国際
貢献の
在り方
、生物多様性に
関連
する政策の評価及び
課題
、持続可能な海洋をめぐる
取組
などの議論がなされました。 次に、海洋
環境
をめぐる諸
課題
及び
取組
の
在り方
並びに
我が国
が海洋立国として
国際
社会を牽引するための
取組
と役割のうち、洋上風力発電やゼロエミッション船など脱炭素社会に向けた
取組
と
課題
については、
我が国
の洋上風力発電の普及及び産業育成強化に向けた
取組
、洋上風力発電事業の採算性及びコスト、ゼロエミッション船開発及び
我が国
造船業の今後の戦略などの議論が行われました。 続いて、海洋
環境
をめぐる諸
課題
及び
取組
の
在り方
のうち、海洋
環境
の保全及び海洋気象に関する諸
課題
への
対応
については、海洋プラスチックごみ問題をめぐる
取組
、船舶による海洋
環境
汚染問題、海洋気象観測システムに関する
課題
などの議論が交わされました。 さらに、
我が国
が海洋立国として
国際
社会を牽引するための
取組
と役割のうち、海洋の安全
確保
等に向けた
課題
と
取組
については、国連海洋法条約に基づく海洋法秩序をめぐる現状、中国海警法や尖閣諸島、東シナ海、南シナ海をめぐる問題の
対応
策、海洋人材の
確保
と活用に向けた方策などの議論が、また、海洋に係る教育及び人材育成の現状と
課題
については、日本人船員及び女性船員の育成、
確保
に向けた
取組
、学習指導要領等における海洋教育の充実策、海洋教育の実践における連携の
在り方
などの議論が繰り広げられました。 最後に、委員間の
意見
交換においては、今後の
調査
に向け、基本的な
考え
方のほか、海洋
安全保障
・法の支配と外交、海洋
環境
保全、海洋再生可能エネルギー、海洋人材の育成、
確保
、北極海等に関し、取り組むべき
課題
等について
所見
が述べられました。 今後、活動の三年目においては、こうした
意見
等に留意しながら、最終
報告
に向け、広範多岐にわたる海の諸
課題
における相互の
関連
性を踏まえつつ、現場の声にも耳を傾け、更に充実した
調査
を進めてまいる所存であります。 なお、今般のコロナ禍のため、本
調査
会の活動に制約が生じており、オンラインの活用による
調査
の可能性も
指摘
されているところですが、この点に関しましては、本院における検討の進展に期待をしたいと思います。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
66
○
議長
(
山東昭子
君) この際、
国民生活
・
経済
に関する
調査
会長から、
国民生活
・
経済
に関する
調査
の
中間報告
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山東昭子
67
○
議長
(
山東昭子
君) 御異議ないと認めます。
国民生活
・
経済
に関する
調査
会長芝博一さん。 ───────────── 〔
調査
報告
書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔芝博一君
登壇
、
拍手
〕
芝博一
68
○芝博一君
国民生活
・
経済
に関する
調査
会における
中間報告
について御
報告
を申し上げます。 本
調査
会は、第二百回
国会
の
令和
元年十月四日に設置され、三年間の
調査
テーマを「誰もが安心できる社会の実現」と決定し、鋭意
調査
を進めております。 二年目は、
調査
会のテーマのうち、「困難を抱える人々への
対応
」について
調査
を行うこととし、「子どもをめぐる
課題
」、「
外国
人をめぐる
課題
」、さらには「新型コロナウイルス感染症による
国民生活
・
経済
への
影響
」、「社会的孤立をめぐる
課題
」及び「
生活
基盤の安定に向けた
課題
」について参考人から
意見
を聴取し、
質疑
を行いました。その後、委員間の
意見
交換を行い、今般、参考人の
意見
を基にした主要論点の整理を含む
報告
書を取りまとめ、去る六月二日、これを
議長
に
提出
をいたしました。 以下、主要論点を中心に御
報告
を申し上げます。 まず、子どもをめぐる
課題
について、特別支援教育の体制
整備
及び就学先を選択するに当たっての相談の充実、性被害を防ぐための
取組
と性教育の充実などに関する
意見
がありました。 次に、
外国
人をめぐる
課題
については、多文化共生社会の実現、
外国
人の子供の教育機会を
確保
するための就学の義務化、
外国
人労働者の受入れ
制度
の
在り方
などに関する
意見
がありました。 また、新型コロナウイルス感染症による
国民生活
・
経済
への
影響
については、商店街、中小小売商業者に対する支援の
在り方
、働き方の多様化に即した
社会保障制度
の見直し、普遍主義的な
社会保障制度
の検討などに関する
意見
がありました。 続いて、社会的孤立をめぐる
課題
については、高齢者が社会参加できる場をつくることの重要性、引きこもり及びヤングケアラーへの支援の
在り方
などに関する
意見
がありました。 最後に、
生活
基盤の安定に向けた
課題
については、一人親世帯の養育費
確保
に向けた国の関与の
在り方
、女性の就労支援と多様な働き方ができる
環境
の
整備
、子供の自殺
対策
として早急に求められる
取組
などに関する
意見
がありました。 コロナ禍により、弱い立場に置かれている人々がますます厳しい
状況
に追い詰められており、更なる
対応
を早急に進める必要があります。 本
調査
会といたしましても、これまでの議論を踏まえ、誰もが安心できる社会を実現するために、最終取りまとめに向けて引き続き
調査
を進めてまいりたいと
考え
ております。 以上、御
報告
を申し上げます。(
拍手
) ─────・─────
山東昭子
69
○
議長
(
山東昭子
君) この際、
資源
エネルギーに関する
調査
会長から、
原子力等エネルギー
・
資源
に関する
調査
の
中間報告
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山東昭子
70
○
議長
(
山東昭子
君) 御異議ないと認めます。
資源
エネルギーに関する
調査
会長宮沢洋一さん。 ───────────── 〔
調査
報告
書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔宮沢洋一君
登壇
、
拍手
〕
宮沢洋一
71
○宮沢洋一君
資源
エネルギーに関する
調査
会の
中間報告
につきまして、その概要を御
報告
申し上げます。 本
調査
会は、三年間の
調査
テーマである「
資源
エネルギーの安定供給」のうち、二年目は「
資源
の安定供給等」について
調査
を行い、
中間報告
書として取りまとめ、去る六月二日、
議長
に
提出
いたしました。 その
内容
は、
地域
偏在など
資源
をめぐる
国際
動向、
資源
開発の新たな可能性、コロナ後及びカーボンニュートラルに向けての新しいエネルギー政策についての参考人からの
意見
聴取と
質疑
、
政府
からの
説明
聴取と
質疑
、委員間の
意見
交換、そしてこれらの議論の主要論点別の整理でございます。 主要論点の主な
内容
は、次のとおりです。 第一に、鉱物
資源
の安定供給等については、鉱物
資源
をめぐる
国際
動向、鉱物
資源
の安定供給
確保
、海洋鉱物
資源
、鉱物
資源
と
環境
、鉱物
資源
リサイクル、鉱物
資源
の技術開発、そして、
資源
の
確保
及び
資源
分野における人材育成を取り上げております。 第二に、気候変動とカーボンニュートラルについては、カーボンニュートラルに向けた
取組
、
原子力
発電、再エネ、省エネ、火力発電と技術開発、カーボンニュートラルと
経済
社会、
国際
動向と
国際
協力
を取り上げております。 本
調査
会といたしましては、以上を踏まえ、更に
調査
を進めてまいりたいと
考え
ております。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
山東昭子
72
○
議長
(
山東昭子
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十一分散会