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2009-03-30 第171回国会 参議院 厚生労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年三月三十日(月曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      渡辺 孝男君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         辻  泰弘君     理 事                 中村 哲治君                 柳田  稔君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 山本 博司君     委 員                 足立 信也君                 家西  悟君                 梅村  聡君                 川合 孝典君                 小林 正夫君                 下田 敦子君                 谷  博之君                 森田  高君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 坂本由紀子君                 島尻安伊子君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 古川 俊治君                 山本 香苗君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       須江 雅彦君        消防庁次長    株丹 達也君        法務大臣官房審        議官       團藤 丈士君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        財務大臣官房審        議官       道盛大志郎君        財務省理財局次        長        中村 明雄君        厚生労働大臣官        房審議官     及川  桂君        厚生労働省労働        基準局長     金子 順一君        厚生労働省社会        ・援護局長    阿曽沼慎司君        厚生労働省老健        局長       宮島 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十七日、渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君が選任されました。     ─────────────
  3. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官及川桂君外九名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣
  6. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ただいま議題となりました戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  戦没者等遺族であって、平成十七年四月から平成二十一年三月までの間に、同一の戦没者等に関し公務扶助料遺族年金等支給を受けている者がいなくなったものに対し、弔慰の意を表するため、特別弔慰金支給することとし、この法律案を提出した次第であります。  改正内容は、特別弔慰金として額面二十四万円、六年償還の国債を支給するものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 下田敦子

    下田敦子君 委員下田敦子でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について質問させていただきますが、その前に、火急に緊急質問を申し上げさせていただきます。  去る三月十九日、群馬県渋川市におきまして、高齢者向け住宅静養ホーム「たまゆら」という施設がございましたが、その中で、十人の方々入所されて亡くなられた悲惨な事故が発生いたしました。まず、この度の事故でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  マスメディアによっては老人施設と報じていましたが、この施設はどの法律に基づく施設に該当していたのですか、お尋ねいたします。
  9. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) この施設は、まだ群馬県の方は有料老人ホームに該当すると断定できないとしておりますが、これまで収集された情報を勘案すると、有料老人ホーム定義が、老人入居させ、食事提供介護提供洗濯掃除等家事健康管理のうち、いずれかのサービス一つでも提供しているものというふうになっておりますので、老人福祉法に基づく有料老人ホームに該当していたのではないかと考えております。
  10. 下田敦子

    下田敦子君 ないかと考えておりましたということは、どのように解釈すればよろしいのでしょうか。確認意味お尋ねします。
  11. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 失礼しました。  まだ警察等、捜査中でありまして、お亡くなりになられた方がどのような介護提供を受けていたかということが確定していないということで、先ほどのような御答弁をさせていただきました。
  12. 下田敦子

    下田敦子君 それでは、老人福祉法に基づく有料老人ホーム定義についてお尋ねします。
  13. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 有料老人ホーム定義は、老人福祉法平成十八年に改正定義を拡大いたしまして、現在の定義では、老人入居させ、食事提供介護提供洗濯掃除等家事健康管理サービスのうちいずれかのサービス提供しているものは有料老人ホームに該当することになっているということでございます。
  14. 下田敦子

    下田敦子君 この「たまゆら」のいわゆる有料老人ホームとしての届出はしておりましたか。
  15. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 届出されておりませんでした。
  16. 下田敦子

    下田敦子君 それでは、いわゆる無届け有料老人ホームという、言葉がふさわしくはないんですが、そういうものが現在全国で何か所あるか、お尋ねいたします。
  17. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 厚生労働省平成十九年二月二十六日時点で各都道府県が把握している無届け有料老人ホームの数について調査したところ、全国で合計三百七十七施設の未届け有料老人ホームが存在することが報告されております。
  18. 下田敦子

    下田敦子君 入所又は入居の手続はどのように取っておられたのか、入居するまでのルート、これをお尋ね申し上げます。
  19. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 東京都からの報告によると、墨田区より保護を受けていた施設入居者の方は、墨田区の紹介きっかけとして入居したというふうに聞いております。
  20. 下田敦子

    下田敦子君 届出のない場合の指導罰則、これについてお尋ねいたします。
  21. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 有料老人ホームに該当しているにもかかわらず届出をしない場合又は虚偽の届出をした場合は三十万円以下の罰金が科せられるということになっておりまして、これまで厚生労働省では累次にわたって都道府県に対して届出促進取組の徹底を求めております。度重なる指導、催促にもかかわらず届出を行わない場合には罰則適用も視野に入れてほしいというようなことで、各県には法律の的確な施行を要請しているところでございます。
  22. 下田敦子

    下田敦子君 区役所それから市町村役場紹介、又は突然区役所の人が車で連れてこられましてその施設に入ったと、そういう実態があるやに聞かされておりますが、例えば、厳しい経営の中で夜間職員は一人、又はもっと大変なところはツーユニット、いわゆる十八人で一人という例も聞きます。このことについて、どのようにお考えですか。
  23. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 前段の御質問について、まずお答えをいたします。  今回の施設には、全体二十三人入っておられまして、そのうち十五人の方が墨田区の生活保護適用の方でございました。私ども、東京都からの報告によりますと、墨田区で保護を受けていた方につきましては、その全員が墨田区の紹介を受けてこの施設きっかけとして入居したということ。  それからもう一点は、入居に当たりましては、墨田区の福祉事務所担当ケースワーカーが付き添いまして、タクシーなどを利用して施設に到着したというふうに聞いております。
  24. 下田敦子

    下田敦子君 全国で三百七十七か所というと、都内の話にとどまらない。これらを全国的に厚生労働省はどのように今指導されておられるのか、また将来的にどうなさるおつもりなのか、これもお尋ねいたします。
  25. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 厚生労働省では、今回の火災を受けまして、改めてこの二十三日に、都道府県に対し、現在把握している未届け有料老人ホームに該当し得る施設についてその数を報告するように求めたところでございます。  現在、県から報告された内容について取りまとめをしているところです。できるだけ早く結果を公表いたしますとともに、その結果を踏まえまして今後の対策に結び付けたいというふうに考えております。
  26. 下田敦子

    下田敦子君 仄聞いたしますところによれば、もう各市町村がそれぞれに、ひそかにという表現をした方がいいのかどうか問題ではありますが、こういう施設を個人的に知っている、あるいは契約までいかないまでも連携を取っている、そういう現実があるやに伺います。このことについて大臣はどうお思いになりますか。
  27. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっともし私が質問意味を正確に取ってなければまた再び御質問願いたいと思いますけど。  ちゃんと届けをしないところがある、これは、実を言うと、今問題になっているその「たまゆら」という施設も、二十三日に調査に入ってやる予定が四日前に大変悲しい事件が起こったわけでありますので、これはとにかくきちんと調べて未届けのところを一つでも減らすということが一つ。  それから、やはり生活保護方々東京都の場合は土地の値段が高いというようなことでなかなか施設が造りにくい、それでこういう形で契約して外に出ていっているんで、全体的な課題としてやっぱり介護の基盤を底上げする必要があるんだろうと、抜本的にはそういうふうに思っていますが。  とにかく実態をきちんと把握した上でどういう対策を取るかというのが一番大切だと思いますので、そのために各自治体と協力して更に取組を進めていきたいと思っております。
  28. 下田敦子

    下田敦子君 それでは、現在当局で調べていらっしゃる数字かとは思いますが、将来とも自立できない高齢者が大変増加するというのは我が国の一番の心配するところでありますが、特養入所者、いわゆるその希望者、これをどのくらいと推計しておられますか、お尋ねします。
  29. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) お答えいたします。  平成十八年三月に全国特別養護老人ホーム入所申込者数について都道府県が把握している数字調査、集計したところ、三十八・五万人でありました。ただ、この数字には、複数の施設重複申込みをしているという方が含まれるとか、それから施設入所申込み、特養申込みの方の中で既にほかの施設入所している方の割合が六割を占めるというようなこともありまして、直ちに特養ホームへの入所が必要な数そのものを示しているものではないということだろうと思います。  いずれにいたしましても、特養ホーム整備、これは都道府県及び市町村住民ニーズ地域実情を踏まえて介護保険計画を策定して行われておりますので、今後ともこの特養整備が円滑に行われるように国として支援してまいりたいというふうに考えております。
  30. 下田敦子

    下田敦子君 大変な数字だと思います。これは世界に類を見ない高齢化指数、化はもう過ぎて高齢指数でありますから、これはもう緊急を要する対応が今必要だと思いますが。  この入居していた十六人のうち十五人が墨田区から生活保護を受給していたということを先ほどお話をちょうだいいたしました。送り出していた自治体支給を続けた生活保護費大半運営費に充てた事実があるということなんですが、いかがですか、お尋ねいたします。
  31. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 先ほども少し申し上げましたが、全体二十三人この施設に入っておられまして、そのうち今回被災された三棟に入居されていた方が十六人でございます。その十六人のうち八人の方が生活保護墨田区から受けておられたわけです。また、別棟、今回焼けなかったところの別棟に七人の方がいらっしゃいまして、それでその方も生活保護墨田区から受けておられまして、そういう意味では、全体二十三人の中で十五人は墨田区から生活保護を受けておられたという実態でございます。  それから、今、後段のお尋ね生活保護保護費運営費関係でございますが、これも東京都からの報告によりますと、今七十歳以上の方の保護費月額九万三千円でございます、約。それに対しましてこの「たまゆら」の入居者といいますのは、施設利用料あるいは食費といたしまして月額八万五千円を大体支払っておられたというふうに聞いておりまして、そういう意味では、保護費大半の部分が施設に支払われたのではないかというふうに理解をいたしております。
  32. 下田敦子

    下田敦子君 その辺が確実ではないんですね。自治体の、区の所管ということで、まだそれは報告も掌握も受けていないということですか。
  33. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 三月二十四日に東京都が調査をいたしまして、そのうちの調査結果で今聞いておりますのが申し上げたとおりでございます。
  34. 下田敦子

    下田敦子君 私の漏れ承りますところによりますと、墨田区から支給された生活保護費入所者に直接支給されずに施設側に送られていたと。利用料が差し引かれた後に本人には渡されていた。これは事実でしょうか。
  35. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今の時点東京都から聞いておりますことを申し上げていますが、今回のケースにおきまして生活保護費の受渡しにつきましては二つあったというふうに聞いております。一つは、入居者本人が管理している口座に振り込んでいる場合、それからもう一つは、現金書留個人あて、あるいはまた数人分まとめて施設あてに送金している場合があったというふうに聞いております。  ただ、東京都からは、現時点でございますが、生活保護費入居者に直接支給されないで、利用料が差し引かれた後に本人に渡されているという趣旨報告は受けておりませんけれども、なお詳細につきましては現在調査確認中でございます。
  36. 下田敦子

    下田敦子君 自治体による監査等が行われていたかどうか、これらも含めましてきちんと精査するべき問題だと思います。  それから、ただ、こういう現実を申し上げてもこれは大変発展性のないことでございます。次のことを提案を含めまして私はきちんとお尋ね申し上げます。  いわゆる平成十七年の十月からホテルコスト施設入所した場合の食費とか部屋代とか、いわゆる電気、水道、それらのもののホテルコストと言われていますが、これは収入面保険外利用料に含まれますけれども、この度惨事に遭われた方々は以前入所していたところの施設においてこのホテルコストをそれぞれ納入していたかどうか、また納入していても遅延していた事実がないかどうか、これをお尋ねします。
  37. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) 今委員からお話がありましたように、食費居住費負担平成十七年十月よりの導入でございます。  今回のこの「たまゆら」の方で亡くなられた方が「たまゆら」に入所された以前に施設入所していたかどうかということについては、まだ把握できていないという段階でございます。  ただ、一つ言えますことは、食費居住費に掛かる負担は所得に応じて軽減されるということになっておりますので、例えば生活保護受給者の方であれば介護扶助と併せて実質的な負担は生じないと、そういう仕組みになっております。
  38. 下田敦子

    下田敦子君 時間がありませんので最後のところだけ申し上げます。  この十七年の十月のホテルコストの決算は最終的に黒字になったということを聞いております。これは、この黒字になりましたものを最終的にそれぞれのホテルコストなり、こういう利用者が非常に困っている場合に考えていくべきだと思います。ちょっと時間がないのでお尋ねはやめますが、いわゆる介護保険保険会計の方に還流し戻していくのではなくて、こういうことをやっぱり考えていかなければ大変気の毒な問題ではないかと思います。  それで、この項目での要望を申し上げて、終わりにしたいと思います。この四月の一日から、福祉施設等において消防法令改正が予定されています。そこで、要望を二つ申し上げます。  消防法規制によりまして、消防用の設備、建物の例えば中にスプリンクラーを付けるとかいろいろ規定があります。ですが、借入返済力がない施設、それからたまたまこういうことの財力が伴わない施設、これもその規定によってスプリンクラーを付けなければならないとされている場合があります。これに対してのきちんとした何かの融資、補助とか様々な方法を早急に講じていただきたい。  それから、二つ目なんですが、消防組合事務組合というのはそれぞれ市町村でございます。それぞれの市町村で全部これらに対しての指導監督が微妙に違います。ですから、この辺のこともどうぞ、消防規制が違っていて指導内容がまちまちであるということの声はそのままにしてはおかれないと思いますので、どうぞ各省庁との連携を取ってよろしくお願い申し上げます。  それでは、本論の戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。  終戦二十年からスタートいたしましたこの弔慰金の制度ですが、終戦七十年にも行うのかどうか、それについてお尋ねします。
  39. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、さきの戦争公務のために殉じられた軍人軍属などに関しての国として弔慰を表すということでございますので、この終戦六十周年の特別弔慰金最終償還を迎える段階で基本的には同じ気持ちできちんと対応していきたいと思っております。
  40. 下田敦子

    下田敦子君 支給をする必要性については今お尋ねいたしませんでしたけれども、片や、戦後南方において戦死及び抑留されました公務扶助料等支給されてきたことに対して、シベリア等のソビエトに抑留された方々強制労働に対する対価の支払がなされていない。このことに対しての事実があって現在まで大変な、それぞれの思いを込めた方々による願いがずっと言われ続けてまいりました。戦後六十四年がたちましたが、帰還者生存率が実に二一%を切っております。  ですから、こういう状況になって初めて何かをしなければならないという考え方を持って、民主党始め野党は、戦後抑留者特別措置法案を去る三月二十四日に参議院に提出いたしました。このことに対する大臣のお考え、それから、今後とも真相究明あるいは遺骨収集の強化、関係資料の活用や展示、次世代への継承等を盛り込みまして、総合的な措置が私は必要ではないか。  もう足も腰も立たなくなった零下四十度の世界にほうり込まれて、どこからもこれに対する給付をいただけない。これはいろんな経緯があります。ポツダム宣言とかあるいはジュネーブ条約等々、日本による国家補償ということを考えたときも、そこまでたどる前にいろんな問題があったことは事実なんですが、生存率二一%切っての前に、もう大変な生活をこの方々は強いられてきました。戦後日本へ帰って、ようやく命からがら帰ってきても、まず就職ができなかった。時には、人によっては、公安が付いて回ってその行動を一部始終チェックする、いわゆる防共ですね、防共対策というものが右傾化したその時代にたくさんあって、非常に気の毒な思いをしたのは事実だと思います。  ですから、このことに対する、国際政治学者でもいらっしゃいます舛添大臣においては、このシベリア抑留問題に対する御認識、御所見、そしてまた、前段の今審議されておりますこの問題に対しての、特別弔慰金支給に含めて御所見をお伺いいたします。
  41. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は参議院外交防衛委員長を務めていたときにも、ロシアカウンターパートといろんな議論をしました。ソ連邦からロシアに替わりまして随分話ができるようになりまして、プーチンさんの側近の方々とも様々こういう問題も話をすることができましたので、とにかく今はきちんと、抑留された方の名簿、これを確立したいということで、これはロシア側の協力もいただいて今後更に進めていきたいというふうに思っております。  それから、遺骨収集、これはもう大変なところで抑留されていた方々、一柱でも多く帰還させたいと、そういう思いで努力を続けていきたいというふうに思っております。  それから、政府全体としてこれは取り扱わないといけないので、民主党の皆さんがお出しになっている法案について、これはまた、例えば給付金については総務省が担当するというような形で分かれておりますので、少なくとも厚生労働省の管轄する範囲においては全力を挙げてやっていきたいと。  いろんな、昭和五十九年に戦後処理問題の懇談会報告書出て、どこまでこれをやるんだろうかと、いろんな問題があると思います。この戦争処理をどういう形でやるか。  今日も午前中、フィリピンの関係方々お話も聞きました。やはり戦争というものの傷跡がいろんなところにまだ残っている。それは全世界での遺骨収集、まさにそうでありますので、これは国民的なコンセンサスを得ながらどういう形で前に進めていくかは考えないといけませんが、少なくとも厚生労働省に関する限りは情報収集遺骨収集、これはもうとにかく全力を挙げてやりたいというふうに思っております。
  42. 下田敦子

    下田敦子君 ありがとうございました。  戦争を知らない議員がもう大半になってまいりました。そして、戦後の処理が遅れていると国際的にも言われている我が国なんですけれども、今のお答えの中で遺骨収集始め調査、いわゆる戦後処理問題、これをおやりくださるということですが、いつまで、どのようにおやりになるかをお尋ねします。  あわせて、都内にございます平和祈念展示資料館、あそこにいろんなものが展示されておりますけれども、私が幼いときに聞いたあるいは様々の事実、もうとてもとてもあの展示からはすべては理解することはできませんけれども、少なくともやはり戦というものはこういうものではないということだけは言えると思いますが、貴重な戦争資料というものをやはり国がきちんと保っていく必要があるのではないかと思います。  それで、二十二年の九月の末に解散するという報道がされています平和祈念展示資料館でありますが、この事業というものは、永遠にという言葉は少し語弊があるかもしれませんが、平和祈念展示資料館というものはやはりきちっとこれは保っていくべきことだろうと思います。どうかその辺のことのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 須江雅彦

    政府参考人(須江雅彦君) 先生お話しの、新宿にあります平和祈念展示資料館につきましてでございますが、総務省が所管いたします独立行政法人平和祈念事業特別基金は、戦後強制抑留者など関係者の御労苦について、国民の理解を深め、関係者に慰藉の念を示すことを目的として同館を運営してきております。  この平和祈念基金は、平成十八年十二月の平和基金廃止法に基づきまして平成二十二年九月末までに解散するということになっております。総務省としては、この平和基金が保有している資料が戦後強制抑留者などの御労苦を後世に伝えていく上で大変貴重なものであるというふうに認識しております。これらの資料につきましては、基金廃止後、国が引き継ぐということになっておりますので、その資料等の記録、保存の在り方について、現在、総務省において有識者の御知見をいただきながら検討を行っているところでございます。  総務省として、戦後強制抑留者など関係者の御労苦を後世に継承していくため、引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。
  44. 下田敦子

    下田敦子君 よろしくお願い申し上げます。  シベリアから帰ってきた方々に大分たちましてから十万円の温泉旅行券をくださったり記念品を下付されたり、これでいっとき大変議論を醸したときがありました。行ってきた方々は、大変残念というよりも悔しいと、こういうことで言われて、恩賞をいただくなどはとんでもないことだということをおっしゃっておられました。これはやっぱり日々薄れていくことでありまして、本当にこのことを考えたときには、どうか今後ともこの問題に対して、厚生労働省としても、きちっとしたタイムスケジュール、それから何をどうするのか、その資料に基づいて公表をしていただきたいと思います。  大変雑駁になりましたけれども、本法案に絡んで御質問させていただきました。大変ありがとうございました。
  45. 谷博之

    ○谷博之君 谷博之でございます。引き続いて質問をさせていただきます。  まず、今も質問に出ておりましたけれども、今回のこの戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正、御案内のとおり、これは終戦後二十周年のときにこの弔慰金の制度をつくって十年ごとに支給をしているということで、今年は終戦六十四年ですから、六十年の基準日から四年たって、そして支給の対象に、要件を満たした御遺族に対して特例的に支給するというふうな内容になっていると思うんですが、推定五万人、五万件というふうに数字を出しておられます、対象者がですね。したがって、その根拠、五万件というその数字の根拠がどこにあるのか。それから、こういう方々に対してどのような形でお知らせをするのか、この二点まずお伺いしたいと思います。
  46. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  今回の特別弔慰金支給対象者、五万人と見込んでいるわけでございますが、その計算方法でございますが、平成十七年度以降二十年度までの間に恩給法の公務扶助料あるいは援護法の遺族年金等の失権見込み人数が五万八千件というように見込んでございまして、これを基にいたしまして、過去三回の特別弔慰金の平均裁定率等を勘案して算出して五万件と見込んでいるものでございます。  また、周知方法でございますが、受給要件を満たした方が確実に受給していただくために、従来から政府広報あるいは自治体連携して市町村都道府県の広報をやっておりますが、これは引き続き着実に実施していきますが、それに加えて、新しい対策といたしまして、総務省の協力を得まして恩給等の失権者データを入手して、これを活用いたしまして、国が直接御遺族に対して個別の案内を実施するという対策を講じて制度の周知に努めてまいりたいと考えております。  また、個別案内を送った方から申請がない場合には、都道府県の方から電話連絡等による形で個別のフォローアップを行うということなどの対策を講じることによりまして、時効失権の一層の防止に努めてまいりたいと考えております。
  47. 谷博之

    ○谷博之君 配付いただきました資料一を見ていただければと思いますが、これは三月二十四日付けの朝日新聞の記事です。「特別給付金求め提訴へ」ということで、「戦没者妻「通知なかった」」というタイトルの記事が出ております。  簡単に整理して申し上げますと、この戦没者の遺族等に対する援護の大きな柱というのが三つあって、父母と、それから妻等々と、それから遺族と、これはもう言うまでもありませんが、この三つの柱でこの制度が行われております。この戦没者の妻の関係でいいますと、ここに簡単に書いてありますように、要は特別給付金の通知が届かなかったために申請する機会を失い受給できなかったという当事者妻二人が大阪地裁に提訴したと。この文面の一番上を見ておりますと、九三年と二〇〇三年の支給分だけでも約四百十億円が未払のままであると。つまり、予算は組んだけれどもこのお金が支払ができなかった、こういうことですね。  これは、実はここから問題なんですが、私は、こういう現状を見たときに、大きく二つの問題があると思っています。その一つは、三年という時効の問題です。それからもう一つは、今御説明がありましたけれども、厚生労働省はいわゆる毎年毎年この現住所を確認をし、居住安否を確認され更新されているこの恩給受給者名簿というものを今日まで使ってこなかった。つまり、このことを照合しないで対応していたために、いわゆる対象者の全体にこのお知らせが行かなかった、このことが、私は大きく二つ問題があったと思うんです。  まず、三年というこの時効の問題ですけれども、これは私ども、二〇〇七年の六月に、民主党の方で浅尾慶一郎議員を中心にして、いわゆるこの参議院に議員立法を出しまして、三年間という時効を超えても支給ができるような法案を提出をしたわけでありますけれども、残念ながら、国会の中で与党の皆さんとの調整ができなくて、これが廃案になってしまっているわけですね。こういうことの結果、本来であれば支給されるべきその対象者の方々に、今数字挙げただけでも大変な、四百十億円というようなお金が未払のままで払われていない、制度をつくったけれども完全にそれが実行されていないということになっていると思うんです。  この三年間の時効、厳格に運用するということは、これは一つのルール上のやり方かもしれませんけれども、少なくとも国のために尊い命を犠牲にされた方々に、あるいはその遺族方々弔慰を示すという本来のこの法の趣旨からいえば、これはそろそろ私はこの時効という問題は見直す必要があるんじゃないか。と同時に、こういう訴訟が起きているわけですけれども、恐らく司法の方では法律に基づけばそういうルールのことになっておりますという判断を下すかもしれませんけれども、しかし、そういうことになればやはりこの法律を変えなきゃいかぬわけですね。変えるとすれば閣法か議員立法で変えるかということになるわけですけれども、私はこういう現実、こういう訴えが起きていること一つ見ても、このことについてはそろそろやはり検討していく必要があるのではないかというふうに思っておりますが、これ大臣、どういうふうに思いますか。
  48. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 非常に難しい問題で、そういう弔慰を示すという気持ち、これはもう非常に私も同感ですが、会計法三十一条の絡み、それから今のこの三年時効、これは委員おっしゃるように法律改正するしかありません。  そのときに、どういうところをちょっと議論しないといけないかというと、例えば、ほかの金銭債権がいろいろあります。この前の年金のときは特例法を作りました。ああいう形でこの問題についてもやれるかどうか。それはやっぱり国会での御議論を経て、それでもうみんなでやろうということになればそれは十分可能だと思いますので、年金記録はもうあれだけ大きな問題になりましたから皆さんが注目した。だから、注目度の度合いだけではやっぱりいけないと思いますし、対象人数だけでやるのかと、そこのところの基準がある程度必要かなという気はします。気持ちは全く同じですけれども。  ですから、そういうことが国会でこの法律が決まるまでの間は、とにかく周知徹底の努力をしないといけない。それは、先ほどおっしゃったように恩給データ、これを今年から、今はもう使っているので、もっと早くできなかったかなというのはあります。  ただ、是非、これは少しみんなで議論をして前に進められればと思っております、法律改正についてはですね。
  49. 谷博之

    ○谷博之君 今大臣のおっしゃるとおり、従来はそういう、三年というのが厳格に運用されてきた結果、こういうふうないろんな矛盾というのが起きていると。  私が思いますのは、通知の仕方も、恩給データの受給者の名簿、これはやっぱり縦割りの弊害なのかなと思いますが、厚生労働省総務省の方でまさにそういう連携が十分取れていなかったんじゃないかなという思いがしておりまして、ここら辺は、この次からそれをやられるということですので、是非、それは検討して、間違いない対応をしていただきたいと思いますし、この訴訟の中でも恐らくそこら辺は議論が出てくるというふうに思っております。  参考までに、資料二を見ていただきますと、これは直接の関係ではないんですが、いかに通知によって申請件数が跳ね上がるかということの具体的な例を一つ示しているんですが。  先ほど、シベリア抑留者の方の問題が出ました。これは、十万円の例の旅行券の内容が決定して、それを支給をするという段階になって、この資料二の数字を見ていただければ分かりますように、平成十九年四月からずっと、左側が受付件数ですが、一定程度、最初は多くてだんだん数が、真ん中の欄ですけれども戦後強制抑留者の欄ですけれども、数字が減ってきています。この途中で、二〇〇七年の十一月に我が党の、民主党の那谷屋議員が総務委員会で、こういうふうな十万円の旅行券の制度をつくったんだから、これをともかく該当すると思われる方々には全員通知を出してくださいと言ってやったところが、平成二十年の四月からやりますと言って御答弁をいただいて、五月から急激にこの数字が上がっていますね。  ですから、こういう意味では、通知が行けば必ず当事者は、それにもちろん関係するわけですから対応はするはずです。ですから、これは推計ですけれども、現在、合計が一月段階で七万二千件余になっていますが、該当者は約九万弱だと言われていますから、恐らく九割ぐらいが請求していわゆる認定を受ける、こういうことをしようとしていると思います。  ですから、こういう具体的な例がありますので、これは是非、恩給受給者名簿との照合をした上で個別に通知を出す、このことを約束していただきたいというふうに思っております。  それから、次の問題でありますけれども、先ほど下田委員からシベリアの問題がありました。私もちょっとこの点について二、三お伺いしておきたいわけなんですが、御案内のとおり、日本といわゆるソ連との間、旧ソ連ですね、一九九一年に日ソ間で、捕虜収容所に収容されていた者に関する日本政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定というのが結ばれております。これは今から十八年前です。この協定に基づいて両国間で様々な問題について協議をするということなんですが、この十八年間でその協議がされたのはたった三回ですね。その三回目が去年の十月一日にやっているんです。  私どもは、このシベリア問題もそうですし、それから遺骨の、特に現ロシアのあの地で亡くなられた方々遺骨収集なども含めて、あるいはそこに眠る方々のいろんな、墓地のこととか記録のこととかというものをやっぱり戦後風化する中で今大事にしなきゃいけないという動きでいろいろと取り組んでいるわけでありますけれども、そういう中で三回だけの協議というのはちょっと余りにも数が少ないと思うし、たちまちそういう意味で、昨年十月一日にどういう内容が議論をされて、どういう形で一歩前進、二歩前進につながっているのか、そこら辺も説明をいただきたいと思うんですが。
  50. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  昨年十月の第三回の日ロ協議でございますが、この会議には私自身も参加いたしましたけれども、まず、我が方の基本認識としまして、九一年以降、委員も御指摘なさいましたけれども、ロシアとの間で名簿の問題あるいは埋葬地、遺骨収集の問題といったことで取り組んでまいりまして、一定の成果があったもののまだ残されている課題があるという基本認識を申し上げつつ、この間、関係方々が大変高齢化しているという状況の中で取組を加速させる必要があるという我が方の認識を申し上げて、それに対してロシア側の方からも、この分野での協力を更に強化していくという基本認識で一致したものでございます。  この際、我が方の方から具体的な提案を申し上げております。具体的な提案としましては、まず一点目に、これまでロシアから様々な形で死亡者名簿等が提出されてきておるわけでございますが、この間、様々な実務協議等を行っている中でモスクワにあります国立軍事古文書館というところに抑留者の個人カード、個人ごとに個人資料の要点を書いたものがございます。これにつきましては、これまで本格的に調査がなされていなくて、これまで提出された死亡者名簿等の中に含まれていない情報が含まれている可能性があるということが最近における実務協議の中で分かってきましたので、この個人カードについて悉皆調査を行う必要があるという問題意識を申し上げました。  二点目でございますが、この間、我が国におきましては、戦後、抑留死亡者の状況につきまして留守家族から未帰還届を出していただき、また帰還者から個別に大変時間を掛けて聴き取りをして死亡者数を推定してきました。五万三千人という推定でございますが、これは個人別の名簿として確定しておらなかったものですから、これを重複排除して個人ごとの名寄せをして名簿として最近確定できましたので、この約五万三千人の名簿についてそれに対してロシア側から、これまで合計で四万一千人分の死亡者名簿の提出がありましたけれども、我が方資料と突合する中で特定できた者が三万二千名ということで、五万三千との差が約二万一千人ということでございますので、これについてはロシアの方で死亡者に関する資料があるはずであるというふうなことを申し入れて、したがって、我が方として、この二万一千人の名簿について我が方が持っているものをロシア語翻訳を付してお渡しするので、これを踏まえて、再度、地方機関も含む調査を徹底してほしいという申入れを行ったところでございます。  その後、この三月初めに担当の室長がモスクワに出張して実務協議を行ったわけでございますが、その際に、ただいま申し上げましたこの二万一千人の我が方情報に基づく名簿をロシア側に渡して、これに基づく徹底調査ということを要請するとともに、あわせて、先ほど申し上げました国立軍事古文書館の抑留者個人カードの悉皆調査について実務的な準備の作業に入るということを開始したところでございます。
  51. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろとそういう御努力はされておられることは今のお話を聞いても理解はできます。  ちょっと資料三を見ていただきたいと思うんですが、これは今月、三月二十七日の読売新聞のこれ地元の、私栃木県でございますので、栃木県版でこの大きな記事が出ておりました。これはほかの全国紙、地元紙もこの報道が大きく報道されておりました。この栃木県の鹿沼市の加藤秀男さんという方がシベリアで抑留のさなかに亡くなった。そして、戦後、亡くなってから六十三年たって遺骨がふるさとに帰ってきた。そして、兄弟やおいっ子やその家族、親戚がこの遺骨を受け取って涙を流して冥福を祈ったと、こういうことであります。一番最後には、この県内だけでもまだ三柱が鑑定結果を待っているというようなことであります。  戦後六十三年、六十四年たってこういう報道が大きくなされるということは、やっぱりそれだけ、風化しているといいつつも、まだこうした問題は終わっていないということをこの報道でかいま見ることができると思うんです。  そういうことを踏まえながら、先ほどの御答弁を更にちょっと補足していただきたいと思いますが、旧ソ連からの遺骨収集とか返還、これはどこまで進んだと認識をして今後の収集計画を立てておられるのか、重ねて端的にお伺いしたいと思います。
  52. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  一九九一年以降、遺骨収集に本格的に取りかかってきているわけでございますが、この間、ロシア政府から資料を提供されました五百九十一か所の埋葬地につきましてはすべて一次調査を終了しまして、その結果、遺骨収集の実施が可能と判断されました二百二か所につきましては、そのうちの百九十六か所について一万六千九百七十九柱の御遺骨収集、送還したところでございます。また、このほかに、日本側のみが資料を保有している埋葬地も六十四か所ございまして、これにつきましてもほぼ一次調査を終了しまして、遺骨収集の実施可能と判断された十一か所について収集作業を行う予定としております。したがいまして、残っております六か所と十一か所を足した十七か所につきましては遺骨収集ができる状態ですので、できる限り速やかに遺骨収集に取りかかりたいと考えております。  その後につきましては、一次調査の結果の中で、なかなか例えば土地の形状が変わっていてもう遺骨収集が難しいといったところ、あるいはロシアから入手した情報では資料が不十分で場所が特定できないとか、様々なものがございます。そういったところにつきましては優先順位を付けて更に再調査を実施していく必要があるというように考えてございますが、再調査につきましては格段と難しい作業になっていくというふうに考えておりまして、これにつきましては、ロシア側に対しまして、再調査に際して現地の事情に詳しい関係者を探してもらって同行して調査をするといったようなことをお願いしたいということを要請しておりまして、そういった方針で取り組んでまいりたいと考えております。
  53. 谷博之

    ○谷博之君 そういう具体的な取組を更に進めていただくということと同時に、大臣にちょっとお伺いしておきたいんですが、先ほど申し上げましたように、この特別記念事業の関係はこの三月三十一日をもってこれは終わります。したがって、先ほど資料二で出ましたような申請件数も三月三十一日で終わりということになります。十万円の旅行券の配付ということで表現していいんでしょうか、そういうことを終えるわけですが。  そしてもう一つは、今、下田委員からもお話がありましたように、二〇一〇年、来年の九月三十日には平和祈念事業特別基金も廃止をされるということになります。この基金には、御案内のとおり、この中から特別記念事業への支出がされておりましたので、当初四百億であったのが多分二百億少しではないかと思いますが、こういう状況でこの問題を幕引きをさせるということについては、当事者ないしいろんな意味関係する方々は全く納得できないという状況の方が多いと思います。そういうものを含めて私たちは、さっきお話が出たような、戦後強制抑留者特別措置法案というものを出して、この参議院に三月二十四日に提出をしているわけです。  私どもは、これいろんなデータがありますけれども、シベリアで抑留された方々の実際の状況というのは、関係する団体の責任者の話を聞いておりますと、今の日本の貨幣価値に換算すると、この六十万とか七十万とかと言われている抑留された方々が抑留期間に働いていわゆる労力を提供して築き上げたその対価というのは、現在で五兆円ぐらいのお金を要するにあげたんじゃないかと、こういうふうに言われているんですね。その方々の労賃の未払賃金という問題があるわけですけれども、すべてそういう方々が、そういう残された基金などを活用しながら平均八十六歳の方々のいわゆるその労に慰藉するというその行為は、やっぱり私は、この特別記念事業を今やっていますけれども、せめてこの基金があるうちにそういうものも使ってそれらの方々に対して何とか意を尽くすべきではないかと、こういうふうに考えているんですが、大臣先ほど国際政治学者という話がありましたが、そこら辺も含めてどういうふうに御認識されているか、今の私の考えですね、お答えいただきたいと思いますが。
  54. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 戦後処理の問題をどういうふうにやっていくか。一つは、先ほど下田委員の御質問もございましたけれども、一定の工程表のようなものをつくってやるというのも一つです。ただ、その問題はじゃそれでもう幕引きで終わりだということであってはいけないんで、私は少なくとも、例えば八月十五日、この日は国民全体が過去を振り返って御苦労をなさった方々に敬意を表するということをやらないといけないと思います。  そして、私も厚生労働大臣になって、ああ、こういう戦後処理のやつは厚生労働省の担当として来たんだなと。資料だけこっちにあるとかありますから、一つは内閣の中に一つ部局を設けて、総務省との関連とかいろんな各省、外務省との関連ありますから、こういうことをきちんと各省ばらばらにならないように考えるような部局をきちんと設けて、今のような点について対応していくというのも一つの考えかなというように思っています。  どうしても私たちは、戦後の繁栄の中でこの過去のことを、もうとにかく今生きて経済をやるのに精いっぱいで、振り返るゆとりもなかったときもあります。しかし、これまでの一応繁栄を築き上げて、今はもちろん経済的にも問題ありますけれども、少し戦争中のこと、そしてこの戦後処理のことを全国民的に考えるべきだというように思っていますんで、そういうことができればというふうな思いも含めて、あとはもう歴史の解釈の問題、これはいろいろあると思いますから、これはまた歴史家との協議の上にまた考えたいというふうに思っております。
  55. 谷博之

    ○谷博之君 今大臣がおっしゃったその言葉は私も全く同感でありまして、そういうことを内閣の機関の中で、これはお隣の韓国はたしかそういうシステムでやっていると思います。そういうことも参考にしながら是非実現をさせていただきたいなという思いでいっぱいです。  最後になりますけれども、今度逆の話をちょっと私一つしたいんですが、逆に連合国の捕虜は我が日本に抱えていた、そういう事実があります。これは、昨年我が党の藤田幸久議員が請求して結局出てきた資料の中に、厚生労働省の地下からいろんな当時の資料が出てきて、麻生鉱業で連合国側の捕虜三百人が使役されていたということなども事実として明らかになってきたと。逆に、そういうことを踏まえてまあ麻生総理もそのことを認めるということになってきたと思うんですが、これらの捕虜関係の資料は全部でどのぐらいあって、またそれらはどのような経過でこれまで取り扱われてきたのか、そして、それらの内容について、当事者なり当事者の住む所属国政府を通じてどのようにそれが伝達、開示されてきているのか、お答えいただきたいと思うんです。
  56. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 連合国の捕虜関係の資料についてでございますが、さきの大戦中に外国人の捕虜関係の事務を担当する組織として、旧陸軍に俘虜情報局が設置され、その後同局は、戦後第一復員省から総理府に引き継がれた後組織廃止され、昭和三十二年、その際に資料が当時の厚生省に引き継がれたということで承知しております。  その際に引き継がれた資料によりますと、連合国捕虜の個人カードであります俘虜銘々票というものがございまして、この俘虜銘々票につきましては、この俘虜情報局があった時代に、昭和二十八年の十二月から昭和三十年五月までの間に関係国に引き渡しされたというふうに記載されておりまして、これにより、その当時におきまして捕虜関係資料関係国への引渡しは基本的には終了していたものと考えております。
  57. 谷博之

    ○谷博之君 時間ですので、まとめて少しお願い、御意見を言わせていただきますけれども。  いずれにしても、第二次世界大戦の戦後処理については、先ほどお話出ましたように、早くはサンフランシスコ講和条約から始まって、ジュネーブ条約とかいろんな国際条約の中で、日本が批准をしていない条約等もありましたけれども、しかし、いずれにしても、戦後の様々な問題については、対外的にも日本から他の国へ、他の国から日本へ、そういう関係のいろんな双務責任というのがあると思うんですけれども、それは非常に大きな国際的な問題であると同時に、やはり日本の国民がいずれにしても第二次世界大戦で様々な犠牲になったり、大きな大きな影響を受けたということについてのいわゆる内なる補償というか、内なるそういうふうな国民に対して対応をしていくということは、これはどういう国際関係等があったとしても、やはり私は、我が国政府がそこのところはしっかり考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。  そういう意味で、先ほど舛添大臣がおっしゃったような、そういう政府、国、全体の中で横の連携をしっかり取れるような、対応できるような組織というものをやっぱりつくっていただいて、時間の非常に限られた中でこういう問題をできるだけ早く解決するための努力をしていただきたいというふうに最後にお願いをしておきたいと思います。  以上で終わります。
  58. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自由民主党島尻安伊子でございます。本日は、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対しての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、さきの大戦において命を落とされた方、そして御遺族の皆様に弔慰を表したいというふうに思います。  さて、まさに今回のこの法律は国としての弔慰を戦没者御遺族に表するものでありまして、戦後六十四年間の御遺族の痛みを国民の共通の痛みとして感じるとともに、国からの弔慰金支給するというものでございます。戦後六十四年月日が流れまして、支給対象者の年齢も上がっております。この特別弔慰金の請求から給付までの時間について、これまでも、今民主党さんからの質問もありましたように時間の短縮ができないかという声が聞こえてまいります。短縮せよと言われるということは、つまり時間が掛かる、遅いということではないかというふうに思いますが、そこで、時間についての現状を確認したいというふうに思います。この弔慰金給付まで、平均的で構いませんけれども、どのぐらいの時間が掛かるのか、厚労省にお尋ねしたいというふうに思います。
  59. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 特別弔慰金の請求から御本人に国債が交付されるまでの期間でございますが、従来からの短縮効果も見込みまして約五か月程度というふうに考えているところでございます。
  60. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 五か月ということでございまして、これはやはりもう少しでも短縮してほしいなという御遺族の声がもう本当に聞こえてくるというところであります。  五か月ということでありますけれども、事務処理等々掛かるということでありますけれども、どの部分に一番時間が掛かるのか、またこの改善の方法について検討はなされているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  61. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  事務処理につきましては、いろんな機関を経由するということがございまして、まず居住地の市町村で受付をして、それから居住地の都道府県を経て、裁定の県が違う場合には本籍地の都道府県に移送して、それから厚生労働省、それから財務省、日本銀行本店、日本銀行代理店、それから居住地市区町村を通じて御遺族に交付されるという手続でございます。  その中で一番時間が掛かりますのは、やはり審査、裁定を行うのが戦没者の死亡当時の記録を保管しております本籍地の都道府県でございまして、そこでの審査、裁定に相当程度の時間を要しているというのが現状でございます。  こういった中で、事務処理期間を短縮して作業を効率的に進めていくという観点から取組をしていきたいというように考えておりまして、やはり何と申しましても、実際の事務処理を担当いたしますのは市区町村の職員あるいは都道府県の職員の方々でございますので、こういった担当される職員の方々を対象とした事務処理マニュアルというものを早急に配付するということのほかに、施行事務研修会といったものを国として行って、関係機関とも相談しながら、事務処理期間の短縮、事務処理の円滑な実施に努めてまいりたいというように考えております。
  62. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 私なりにも、いろいろと教えていただく中でどの部分での短縮が可能なのかなというふうに思っておりまして、その中で一つ見えてくるというか、支給されるその国債の発行日が二十一年十月一日ということになっておりまして、この国債が償還される日が二十二年の六月十五日の予定というふうになっております。  今御答弁いただいた、事務処理の中で短縮していくというのも、これは当然やっていただきたいことでありますし、一方で、国債の償還日までの日数を一か月でもいいので短縮できないかというふうに思うんですけれども、この件に関して財務省の方から御答弁いただけませんでしょうか。
  63. 道盛大志郎

    政府参考人道盛大志郎君) 私ども財務省の方で関係の交付国債を発行させていただいております。償還日を早めるという御指摘をいただきました。大変重要な御視点かと思います。  厚生労働省の方で特別弔慰金の制度全体を所管されておりますので、その事務の処理の在り方の見直しを検討されていくのであれば、その中で併せて財務省としても適切に対応してまいりたいと思います。
  64. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 この件について厚労の方は御答弁いかがでしょうか。
  65. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  現在、御案内のように国債の発行日が十月一日と定められていて、現実償還を受けることができる期日が翌年の六月十五日というふうになっておりますが、委員の御指摘を踏まえまして、これまでの経緯といったこともあると思います、まずは、財務省で所管されている部分がございますので、財務省等の関係機関とこれまでの経緯も含めて相談させていただきたいというように考えております。
  66. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 そうすると、財務省からの御答弁の中では、厚労省とのすり合わせの中で、厚労の所管する部分、それから財務の国債の部分というのがあって、全体の部分の中ですり合わせがあった場合に償還日を繰り上げる等々のことは可能であるというふうな認識でよろしいんでしょうか。財務省の方からももう一度御見解をいただきたいと思います。
  67. 道盛大志郎

    政府参考人道盛大志郎君) 財務省におきましては交付国債を発行させていただいておりまして、その中に償還日がいついつというふうに記載をさせていただいております。したがいまして、そこをいつと書き入れるかという問題でございますので、その交付国債の作成の手間などがございますので、それまでに決まっている必要はあると思いますけれども、その時点で、御検討された結果に合わせて当方としても検討いたして適切に対応してまいりたいということでございます。
  68. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ということは、そのスキームの中で償還日を一か月早めて、じゃ償還日にというふうに決定がされれば大丈夫ということですよね。済みません。しつこいんですけれども、お願いします。
  69. 道盛大志郎

    政府参考人道盛大志郎君) 交付国債を発行させていただきました後の手続でございますが、交付国債を持っておられる方がその利札を銀行に持っていかれます。銀行に持っていかれますと、それを確認した上で支払が行われるわけでございますけれども、その時点で財務省の方に何か手続があるということではございません。  したがいまして、全体の中でどういう償還日を定めていただくかということによって、あとは言わば銀行から請求があったときに、いつ国庫の方からお支払いするかというのは比較的技術的な問題かと存じます。
  70. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大臣、技術的なということでありまして、是非、手続上の問題ということでありますので、今回の遺族に対する特別弔慰金のみにというふうになると難しいかもしれませんけれども、今後、この戦没者、それから戦傷者、それから戦没者の妻等々いろいろな支給するものがあるというふうに思いますけれども、これまでとは別として、今後、新しくそのスキームづくりの中にある支給金の場合に、是非、この点、少しでも、一か月でも早めていただけるような、こういったことをお願いしたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  71. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 御遺族も御高齢になっておりますので、今、財務省の答弁にありましたように、技術的な問題であれば、これは財務省とも協議をして、一日でも前に倒せないか、検討してみたいと思います。
  72. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 是非、この点、御検討をお願いしたいと思います。それも前向きに実現できるような御検討をお願いしたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、時間を短縮する努力というのは常にやっていただきたいと思いますし、その努力することが誠意であるというふうに御遺族にも御理解いただけるのではないかというふうに思いますので、重ねてお願いをしたいというふうに思います。  次に移りたいと思います。  先ほど委員からありましたけれども、給付対象者への周知についてのお尋ねをしたいというふうに思います。  先ほど、手元に新聞記事の資料が配られましたけれども、私も同じく、やはりどうしてもこの周知というものは徹底させる必要があるんだというふうに思います。重ねてのお尋ねになりますけれども、改善の方法といいますか、これについてお聞きをしたいというふうに思います。
  73. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 時効失権防止対策には万全を期してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、従来からの政府広報、自治体広報といった対策に加えて、新たに総務省の協力を得て恩給等の失権者データを活用して国が直接御遺族に対して個別案内を実施するということ、併せて、個別案内を送った方から御申請がない場合には都道府県から電話連絡等による個別のフォローアップを実施するといった対策を講じることによりまして、時効失権の一層の防止に努めてまいりたいと考えております。
  74. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今回の支給対象者は残された遺族でありまして、しかも特例的な基準日であることから、各種給付金よりも対象者の把握が困難なのではないかということも聞こえてくるわけでございますけれども、ほかの給付金とはちょっと違うんだよというところで、再度になりますけれども、この対処方法について再度お聞きしたいというふうに思います。
  75. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 委員が御指摘なさいましたように、戦没者の妻とかの給付金といった場合には対象者が限定されておりますので案内をする上では特定されているわけでございますが、この特別弔慰金につきましては遺族の範囲が広いということで、受給資格を有する御遺族の方がなかなか行政の方で一義的に特定しにくいという問題点がございます。  ただ、今回の個別案内におきましては、恩給等の受給者が亡くなられて失権した場合に、その届出をされた相続人の方に通知を差し上げるということにしてございます。その方自身が受給資格者であるケースもかなり多いと思いますが、そうでない場合におきましても、そういった方を通じて御案内をしていただく、又はフォローアップをするということを通じまして、対策に万全を期してまいりたいというように考えております。
  76. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 是非、先々を見据えた検討を早めにしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、戦後七十周年に当たる特別弔慰金先ほど委員からの質問にもございましたけれども、改めて、この検討はどのようになされているのかということをお聞きしたいと思います。
  77. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 特別弔慰金趣旨でございますが、国に殉じて亡くなられた方々に国として思いを致すと、この姿勢につきましては、今後ともその姿勢を変えてはいけない、変わってはならないということにつきましては大臣からも御答弁があったところでございます。  そういった姿勢を踏まえながら、現在の平成十七年度改正により支給しております戦後六十周年の特別弔慰金償還期限が十年間でございますので、そういった最終償還を迎える時期に向けて改めてきちんと検討をして、国会で御審議いただけるように対応していくと、そういうふうな必要があるというふうに考えております。
  78. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  続きまして、遺骨収集についての質問に移りたいというふうに思います。  さきの大戦で亡くなられた方の遺族にとっては、遺骨収集して手厚く慰霊してほしいとの思いは当然だというふうに思います。先ほどロシアでの遺骨収集の件が質問に上っておりましたけれども、この遺骨収集の現状について、戦没者の人数、大ざっぱな人数になるとは思いますけれども、それと、これまで収集されたとされる柱の数について教えていただけますでしょうか。
  79. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  戦没者の数でございますが、海外、それから国内で戦闘が行われました沖縄、硫黄島を含めました戦没者数につきまして約二百四十万人と推計してございます。そのうち、軍人軍属方々が約二百十万人、一般邦人の方々が約三十万人となっております。  これまでに、旧陸海軍の部隊の復員あるいは一般邦人の方々の引揚げに際してお持ち帰りになったものを含めまして、約百二十五万柱の御遺骨が本邦に送還されておりまして、そのうち遺骨収集事業によりまして約三十一万柱の御遺骨が送還されている、そういった現状でございます。
  80. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 遺族会の皆様の高齢化もありまして、この遺骨収集に当たっては、現在、NPO法人の活動が顕著であるというふうに考えられると思います。このNPO法人についてどのように厚労省として支援をしているのか、また今後どう支援なさるのかについての見解をお願いしたいと思います。
  81. 及川桂

    政府参考人及川桂君) NPO法人との連携に関する基本的な考え方でございますが、まず、遺骨収集につきましては国の責務として国の責任の下で実施すべきものというように考えております。  しかしながら、他方で、現在なお広範な地域に多くの御遺骨が存在していて、戦後六十四年が経過するという状況の中で新しい情報が少ないといったこと、情報収集等の面で大きな課題を抱えてきているというように現状を認識しております。こういった状況の中で様々なNPOの方々が志を持って意義のある活動をしておられるということについては、大変重要なことだというように考えております。  こういった中で、国の行政といたしまして遺骨収集の強化を図るため、平成二十年度におきましてはNPO法人との連携強化に特に努めまして、NPO法人の情報によって遺骨収集の実績が上がってきているところでございます。情報提供のございましたNPO法人に対しましては、例えば国の遺骨収集派遣団に参加していただくといったことも含めて、その際には旅費を全額国庫負担とするといった措置を講じているところでございまして、今後ともNPOとの連携、協力が適切に進められるように取組を強化していきたいというように考えております。
  82. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 このNPO法人との連携というのは、今後この遺骨収集をできるだけスピードアップするという上では大事な点かと思います。  昨年度の実績で構いませんけれども、実際に海外での遺骨収集、現状といいますか、どのぐらいの成果を上げているのか。海外、例えばフィリピンでの遺骨収集とかそういうものを含めて、もしその数がお手元におありでしたら、いただけませんでしょうか。
  83. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  遺骨収集によります収骨数でございます。二十年度はまだ確定しておりませんけれども、三月三十日現在で二千三十七柱の御遺骨を送還しておりまして、これは十九年度が七百六十柱でございましたので大幅に実績が上がっているという状況でございます。  このうちNPOからの情報に基づく収骨の実績でございます。これは、フィリピンにおきまして千百六十柱、インドネシアで百八柱、計千二百六十八柱がNPO法人等の情報に基づく収集の実績ということでございます。
  84. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 この数からもかなり、やはりNPOとの連携というのは大事なんだろうというふうに思いますし、また遺族会の皆様方からも、どうしてもその最後の一柱までというふうなお訴えを聞く環境にありますものですから、やはり今後また強力な連携の下に、この遺骨収集、スピードアップをお願いしたいというふうに思います。  聞くところによりますと、もう風化といいますか、触ったらその人骨がもうぼろぼろと崩れていくというようなこともお聞きしておりますので、是非この辺のことはよろしくお願いしたいというふうに思います。  それでは、沖縄での遺骨収集についてお聞きをしたいというふうに思います。  沖縄での戦没者数等々は、今までいろいろなその資料等々でありますけれども、まあそこで一番分かりやすいといいますか、現実で見える平和の礎というのがございます。沖縄戦で亡くなった方のお一人お一人のお名前が刻まれているものでありまして、平成二十年、去年の六月二十三日現在で合計二十四万七百三十四人のお名前が刻まれております。言うまでもありませんけれども、この六月二十三日というのは沖縄が陥落した日、慰霊の日でございます。この二十四万七百三十四人の中には、沖縄県人が十四万九千百三十人、その他の各県人が七万七千三十三人。ここには各国の戦没者の名前も刻まれておりますが、アメリカ人が一万四千九人、そしてイギリス人が八十二人、台湾人が三十四人、あえて台湾人とお話しさせていただきますけれども、北朝鮮の方が八十二人、それから韓国の方が三百六十四人でございます。これだけ多くの方が犠牲になられたということで、この慰霊事業ということについては後で触れたいというふうに思いますけれども、沖縄戦で亡くなられた方の遺骨収集ということは、日本のみならず外国人の戦没者家族にとっても望まれるところでございます。  沖縄県の戦没者遺族から最後の一柱までとの思いですということで強く要請をされておりますけれども、特に今回ちょっとお尋ねをしたいのは、この戦争中に一般市民が隠れていたガマというところについての、その実態把握とガマに残された遺骨収集について、今後どのように取り組まれるのかということについての見解をお聞きしたいというふうに思います。
  85. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  沖縄での遺骨収集でございますが、これまでに十八万六千二百二十一柱の御遺骨収集しているという状況でございます。その中で、遺骨収集は国と沖縄県と連携して実施しているわけでございますが、ただいま御指摘ございましたガマといったところでの情報もNPOの方々などから様々いただいているところでございます。  これにつきましては、現在沖縄県と協議をしているところでございまして、例えば南城市の大里ごうなど、何か所かの遺骨情報が寄せられているというように承知しておりまして、沖縄県と協議しながら現地調査を実施するなど、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
  86. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 アメリカの陸軍省のまとめた日米最後の戦闘というものがございまして、そこに一九四五年六月の最後の二週間に八万人の住民が島の南端の洞窟からはい出してきたという記述があります。この洞窟というのがガマでありまして、六月といえば沖縄ではもう真夏でありまして、そんな暑い中で精神的にも追い詰められて、言い表せない、もうまさに極限状況の中で多くの人がそこで隠れていたということでございます。改めて恒久平和を希求するものであります。  そういったガマの実態をまた厚労省としても今後きちんと把握をしていただきたいと思いますし、また、まだそういったところで命を落とされた方がそのまま残されている可能性もあるということでございまして、この件に関しては沖縄県との連携の中で、実態調査のみならず遺骨収集、実際の遺骨収集までつなげていただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。この辺の見解をもう一度お願いできますでしょうか。
  87. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 沖縄県の遺骨収集でございますが、国内での戦場があった沖縄県における遺骨収集でございます。特段の努力をしていきたいというふうに考えておりまして、NPO法人等からも様々な情報がございます。沖縄県とよく連携を取らせていただいて、しっかり対応していきたいというふうに考えております。
  88. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。もう是非よろしくお願いします。  慰霊事業ということで、ちょっとこの際御紹介をしたいことがございます。沖縄の伝統行事に清明祭というものがございます。現地ではシーミーというふうに言うんですけれども、旧暦の三月に親族が集まって祖先の霊前で重箱を持ち寄ったりいろんな供物をお供えしてそこで歓談するというものであります。実際には一族の墓というのがもう大変に沖縄では大きいお墓でありまして、その前にブルーシートを敷いて、親族が集まっていろいろ歓談をするというようなものでございます。  先ほどお話をしたこの平和の礎がある摩文仁というところに平和祈念堂があるわけでありますけれども、沖縄戦の全戦没者のシーミーがこのほど行われることになりました。去年のシーミーのときに、第一回でありましたけれども、この開催趣旨の中に書かれている文をちょっと読ませていただきますと、宗教や思想、人種、国籍を超えて平和祈念堂に集い、平和の礎刻銘者の追悼清明祭を開催し、すべての戦没者の追悼を行うと同時に、全世界に平和を発信するものでありますという開催趣旨が書かれております。財団法人沖縄協会が主催したものでございますけれども、その行事の中で祈りがささげられるわけでありますけれども、この祈りの言葉は同時に英語と中国語と韓国語に訳されて各国に配信をされました。まさに平和を希求するということでもう大変にすばらしい、それも国籍それから軍人とか民間人とかそういうところをもう超えて、それを問わずに参集するんだというもう大変にすばらしい事業だというふうに思いました。  また、この摩文仁の平和祈念公園には全県の慰霊碑が建立されております。もちろんここにいらっしゃるすべての方の出身県の慰霊碑が建立されておりまして、実は沖縄県に住んでいる各県出身者の県人会というものがございまして、またこれは別の慰霊事業なんですけれども、五月の連休にこいのぼりを掲揚するという慰霊事業がございます。出身県別の県人会で、自分の出身県に行って祈りをささげるというような慰霊事業もなされておりまして、もう大変に、沖縄に住む者として、やはり平和を希求するという、祈りをささげるという、こういう事業も行われております。  昨年は大臣も平和祈念堂に献花をなさいましたけれども、これらの慰霊事業が沖縄で行われていること、それからまた、これから六月の二十三日、まだもう少し先であります。それからその先に八月十五日を迎えるわけでございますけれども、こういった慰霊事業に対して、また大臣思いといいますか御見解を、お気持ちといいますか御感想をいただければというふうに思います。
  89. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、沖縄の慰霊事業に対して委員から御説明がありました。私も、昨年八月、摩文仁の丘に行きまして、オオゴマダラというチョウチョウを放して平和をお祈りしたんですけど、六月二十三日、これは沖縄の方だけじゃなくて日本国民みんなで追悼せぬといかぬというふうに思っています。大変な犠牲を負われたわけですし、ひめゆりの塔なんか見ましても、あのガマがすぐあそこにあります。だから、そういう悲惨な戦争を二度と繰り返さないということで、是非これは全国民がよく知る必要があるというふうに思います。  それと、今はあそこに基地が集中していまして、日本の安全保障に対して大変大きな犠牲を沖縄の方々は払われているわけで、私たちはやっぱり、今まさに北朝鮮のミサイル発射というふうな事態もあって、あそこは今、沖縄、米軍の最精鋭の部隊が配置されていると思いますので、そういうことも含めて大変な犠牲を今も沖縄の方々に強いているということに対して、日本国民がしっかりとした認識を持つべきだと思っております。
  90. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  先ほどお話をいたしました、各県の慰霊塔がございます。ちなみに、大臣の御出身の福岡県もありまして、四十七都道府県の慰霊塔調査という調査がありまして、もし必要であれば言っていただければ、各委員の皆様にもお示ししたいというふうに思いますけれども。  ちなみに、福岡県の慰霊塔調査を見てみました。ここ、大変に興味深い質問内容がありまして、例えば、塔の建立に至った経緯、だれがどのような理由で建立したか、呼びかけ人はだれかとか、宗教界のかかわりは何かとか、大変に細かく出ておりまして、さらに、裏話などということで裏話が載っております。例えば、他県との動きの兼ね合いというのがありまして、ちょっと興味深かったので、時間が少しございますので読ませていただくんですけれども、福岡県の調査の中で、九州地区で慰霊塔を建立していないのは、当時これ三十七年だったと思うんですけれども、慰霊塔を建立していないのは福岡、佐賀、長崎の三県であった。しかも、昭和三十七年四月九日、総理府が、県あるいは個人が建立する碑等が乱立の傾向にあるので新規建立は原則として抑制したいと通知をし、建設場所が少なくなっていた。このため、個人が土地を確保し、慰霊塔の建設を働きかけ、建立が前向きに検討されることになるという裏話が出ております。福岡県の場合は、県が動く、総理府がちょっと抑制してくれというような理由があったということで、それでも個人が土地を確保して慰霊塔を建設したという裏話が載っておりました。  やはり、戦没者に対する慰霊の念というのは大変に敬意を払われるものであると思いますし、こういう先人たちの思いというものは、また我々後輩として、また私たちの子や孫につなげていかなければいけないものだなとつくづく思った次第でございます。今回こういった法案改正等々のことに関しての質問をさせていただきました。  ここで、ちょっと時間がございますので、ちょっと離れるんでありますけれども、沖縄県のNPO法人、MESHサポートについてちょっとだけお時間をいただいて触れさせていただきたいというふうに思います。  昨年大臣にも訪れていただきました名護市で救急ヘリのMESHサポートの支援、大変に感謝申し上げます。このときに行われた献金の募金活動で約五か月間で五百二十五万円の支援がありまして、先ほどMESHサポート支援キャンペーンというのが終了、贈呈式がありました。この件に関しまして、改めて参加をいただきました大臣に感謝を申し上げると同時に、やはり厚労の原則でありますこの救急ヘリ一県一機の原則を各都道府県の事情に照らし合わせた一県複数機というのに改めて御検討をお願いしたいというふうに思うんですけれども。また一方で、御支援いただきましたMESHサポート、国内初の民間ドクターヘリを飛ばそうという試みでございまして、この辺に対してのまた大臣の御見解を最後にいただければというふうに思います。
  91. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 沖縄は島がたくさんあります。それで、例えばハブにかまれたということだけでも命を失う方がおられるんで、そういう意味で、名護を拠点とするMESHサポートというNPO法人が一生懸命やってくださっている。ドクターヘリ自体は南の方の浦添の総合病院にしかありません。大変御努力ありましたんで、私も募金のお手伝いに行きましたけれども、琉球ジャスコさんが一生懸命頑張っていただいてジャスコの店で募金をしましたけれども、今五百万円以上集まったということで、大変有り難いというふうに思っています。  この度、MESHサポートが、メスキュード医療安全基金という民間の基金がありまして、それの受賞対象になりまして、非常に貢献したということで地域の医療に対しての貢献を表彰されるということでありますんで、たしか四月の二日、私も参加しましてその授賞式に臨みたいと思いますけれども。こういう民間の方々の御努力に報いるためにも、今おっしゃったように一県に複数のドクターヘリ、ドクターヘリの予算も二十一年度増やしておりますけれども、それでもまだまだ急がないといけないというふうに思っていますんで。  これは国の負担が半分、地元の負担が半分なんで、非常に今地方の財政苦しい中で、沖縄県としては約八千五百万ぐらい、この負担が大変なんですね。いつか予算委員会かどこかで総理もお答えになったと思いますけれども、何とかして国の負担分を増やすことができないか、こういうことも含めて、本当にこのドクターヘリで二時間掛かるところ十五分で運んで助かったという例がたくさんありますんで、今後とも厚生労働省としてはそういう方向で努力をしていきたいと思いますんで、また委員の皆さん方にも御支援をお願いしたいと思います。
  92. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  これで質問を終わります。
  93. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  議題となっております戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法改正案についてお聞きを申し上げたいと思います。  この法律は、戦後何十周年といった節目の年に国が弔慰の意を表するためとの趣旨でございます。大変意義あることと思いますし、昨年も特別給付金審議がございましたけれども、こうした法律案審議に当たっては、私たちは改めて戦争の悲惨さ、平和の尊さを認識しなければならないと実感をしております。  そこで、この制度の内容についてまずお聞きを申し上げたいと思います。この法律は、戦後二十年に当たる昭和四十年に成立したとのことでございますけれども、まず、この法律が提出された趣旨、経緯についてまず確認をしたいと思います。
  94. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  特別弔慰金制度、昭和四十年に創設されたものでございますが、当時の提案理由説明等を見ましても、やはり昭和四十年、ちょうど高度経済成長で日本が戦前にもなかった繁栄をしてきた時代に当たりまして、その時代に当たって、さきの大戦で尊い犠牲になられた戦没者の方々のことを思い、またあるいはかけがえのない肉親を失われた御遺族の心情を思い、国として特別の弔慰の意を表すために創設されたと、そういう趣旨でできたということで承知しております。  その後、戦後三十周年、四十周年、五十周年、六十周年という特別な機会をとらえて国として改めて特別の弔慰の意を表すると、そういった趣旨の下に継続されてきたというように承知してございます。
  95. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  この特別弔慰金先ほどお話ございましたように、恩給法とか戦傷病者戦没者遺族等援護法等によって公務の扶助料とかまた遺族年金などを受給する遺族がいなくなった場合に、残された遺族方々に対して支給をするというものでございます。特別弔慰金全体の現在の支給対象、今どのぐらいで、また今後どのように推移するとお考えでしょうか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  96. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  直近の平成十七年の戦後六十周年の際の特別弔慰金につきましては、申請期間が経過しておりますが、百二十六万七千件の方々が受給しているという状況でございます。  これまでの経緯で申し上げますと、昭和四十年の制度発足以降受給者数が増加してきていたものでございますが、戦後六十周年を経過した現在におきましては、特別弔慰金の対象になる戦没者の御遺族方々、主として御兄弟、姉妹あるいはお子さん方でございますが、高齢化してきている中で、平成七年改正において百三十七万七千件であった受給者数が、戦後六十周年の十七年改正におきましては先ほど申し上げました百二十六万七千件ということで、初めて減少傾向に転じたところでございます。  今後のことにつきましては改めて検討するということになるものでございますが、仮に現在の制度が継続されるとした場合には、こういった減少傾向が今後も続くというように考えております。
  97. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  この特別弔慰金でございますけれども、十年ごとに弔慰の意を表するために支給されるということでございますけれども、今回の改正案は特例的な支給ということで、前回の戦後六十周年から四年が経過したこの本年に出されております。こうした措置は昭和五十四年から行われておりますけれども、なぜ四年目に特例的な措置を講ずるようになったのか、その経緯についてお答えをいただきたいと思います。
  98. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 今回、その六十周年の平成十七年から四年目に新しく支給することとした理由でございますが、まず、前回の支給基準日であります平成十七年四月一日から四年間を経過して、この間に国から何らの給付も受けていない戦没者等の御遺族方々が新たに多数見込まれるという状況がありますこと、また、支給対象となります御遺族の平均年齢が年々高くなってまいりまして現在七十八歳に達しているといった状況を踏まえて、早期に措置を講ずる必要があると考えているといったことがございます。  なお、委員も御指摘になりましたけれども、過去におきましても同様の趣旨改正を戦後何十周年時における特別弔慰金支給から四年目に行われてきているというのが先例でございます。
  99. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  この法律ができてから四十年が経過をしておるわけでございまして、特別弔慰金受給者の方たち、他の戦没者や戦傷病者の妻や遺族などに対する特別給付金と同じように今高齢化をしているわけでございます。平均年齢、今お話ございましたように七十八・二歳ということでございます。  今回、直接の請求手続の窓口、これは市町村であると伺っておりますけれども、わざわざ役所まで出向いて届出する、大変高齢者方々にとりましては難しい場合があると思います。私の知っている方にも、前回の支給の際に、平成二十年三月三十一日の期限までに手続ができなかった方がいらっしゃいました。もう大変その方は残念であったわけでございますけれども、こうした請求漏れによる時効消滅の可能性、先ほど委員の方からも指摘がございました。  請求漏れを防ぐ手だて、これは大変重要になると思います。特別弔慰金の請求手続、様々なこれは配慮が必要と考えますけれども、具体的な手続方法に関しましてどのような配慮がなされているのか、もう一度御説明をいただきたいと思います。
  100. 及川桂

    政府参考人及川桂君) 制度の周知徹底、時効失権防止対策、万全を期してまいりたいと考えております。  そのため、従来からの政府広報、あるいは都道府県等と連携しての自治体広報といったことはもちろんでございますが、新たに今回の対策といたしまして、総務省の協力をいただきまして恩給等の失権者データを活用して、国が直接御遺族の方に対して個別案内を実施して制度の周知に努めるといったことを実施いたします。また、その個別案内を送った方から申請がない場合には、都道府県から電話連絡等によって個別のフォローアップを行うといったような対策を講じて、時効失権の一層の防止に努めてまいりたいと考えております。  なお、先ほど委員が御指摘なさいました高齢者方々の受給が大変だといったようなお話もございましたけれども、例えば御親族の代理の方々が出向いて申請ができるような弾力的な配慮を現場の一線でしていくといったことで、国としても協力していきたいというように考えております。
  101. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  周知の徹底、広報、これは大変重要でございます。もう一人も漏れなくこうした対応ができるようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ、この法案が成立した場合、施行が四月一日、そして債券の発行が十月一日、その後の国債を換金できますのが毎年の六月の十五日ということでございます。御高齢の方がもう大変多いということでございまして、先ほども島尻委員から、この点に関して質問等、要請がございました。できるだけ早くこの特別弔慰金が手元に届くような、そういう具体的な形で推進をしていただきたい。もう一度、この点に関しましての御見解を確認をしたいと思います。
  102. 及川桂

    政府参考人及川桂君) この点につきましては、先ほども島尻委員の御質問の際に、財務省の方からも、厚生労働省の検討も踏まえて、財務省として技術的な点については検討したいという御答弁があったところでございまして、大臣の方からも、問題点を含めてきっちり検討をお願いしたいという答弁がございましたので、私どもとしましても財務省とよく話し合って、問題点の把握も含めてきっちり対応していきたいというように考えております。
  103. 山本博司

    山本博司君 一日でも一か月でも早く手元に届くような、そういうことで財務省とよく検討をしていただきたいと思います。  最後に、大臣にお聞きを申し上げたいと思います。  戦争によって御苦労された方々に対しまして弔慰の意を表するということに関しましては、私たちはいつになっても忘れてはならないことだと思います。次の支給は期限が来るから戦後七十周年の年にと、こういった単純な考え方ではできないと思います。また、今後は対象者が減少する中で、国がこのような制度を行っていることを国民に知っていただくことも重要ではないかと思います。  いずれにしましても、受給者の皆様に対しまして安心感を与えるために、今後の在り方に関しまして、大臣から御見解をお聞きをしたいと思います。
  104. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 国のために殉じられた方々弔慰を表するということ、それがこの特別弔慰金趣旨でありますから、六十周年のものが最終償還を迎えたら更にまたそれを続けていくということで、この戦争の記憶を風化させないというためにも、今後ともそういう態度で臨みたいと思います。
  105. 山本博司

    山本博司君 大臣、ありがとうございます。  受給者の皆様、喜んでいただけるように、よろしく御配慮をお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  106. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  戦没者の遺族に対する特別弔慰金支給は、遺族の皆さんが受けた労苦から見て当然であります。我が党は、制度創設以来、賛成をしてまいりました。  個別通知の問題はもう何度か質問がございまして、受給対象者には今回新たに個別に通知するということでありました。  私、それお聞きしたいのは、その時効問題なんですが、三年の時効があるということを先ほどからも指摘をされてきて、九三年と〇三年の分だけで四百十億円が未払のまま時効になっているわけですね。なぜ時効になったかというと、ちゃんと通知が行かなかったわけで、総務省の恩給受給者名簿とちゃんと照合しておればこれは通知ができたわけで、今回できるということは、今まで何でやらなかったということにもなるわけですよ。  年金については、これは国のやはり不作為、責任だということで、時効を撤廃するという法律作ったわけですが、この弔慰金給付金の問題にしても国のやっぱり行政の問題があるし、大本をたどれば、これはあの侵略戦争という間違った国策に犠牲になった方たちの問題であるわけですから、やっぱりこういう事態を放置しておいていいはずないと思うんですね。  大臣、これはやはり時効を撤廃すべきじゃないかと。先ほど大臣は、法律改正が前に進められればというふうなことをおっしゃったんですが、これは国会でやはりこの法律改正の議論が進むということを、大臣としてはこれは賛成されるというふうに受け止めてよろしいですか。
  107. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど民主党のお二方からも御質問ございました。基本的にはこれは国民の総意ですから、国権の最高機関である国会で、例えばこの法律についての時効を決めている条項について改正するということで、それはきちんと議論をすればいい。  会計法の三十一条との絡みもあります。そのほか国が支給するものについての一般的な会計法上の原則、そしてまた、この法律とほかの法律との平衡。先般、年金記録については、時効を消滅させる議員立法を行いました。そういう形の方向付けというのは、一つのそれは方向だろうというふうに思っております。
  108. 小池晃

    ○小池晃君 是非、与党の皆さんにも、そういう方向でこの問題を解決する努力をやっぱり立法府としてやるべきだということを申し上げたいと思います。  続いて、戦争被害の問題で、衆議院の委員会で我が党の高橋議員が東京大空襲の被災者の問題を取り上げまして、大臣は、諸外国ではどうしているのか、ドイツではドレスデン含めてすべて火の海になった、こういう国々どうしているのかと述べられまして、これは、第二次大戦ではナチス・ドイツによって空爆されたロンドン、それから連合軍によってベルリンやドレスデンなどが空襲されたドイツも、各国ともにその国政府が個人レベルまで補償をしております。フランスも補償しています。  軍人軍属には恩給法や今回のような措置がある。不十分ながらも原爆被害者には被爆者援護法がある。中国残留孤児、邦人の皆さんには支援法がある。何らかの法的支援が、不十分であるけれども、されつつあるわけです。しかし、東京だけでも犠牲者十万人以上と言われる空襲による被害者には何の補償もないわけです。  大臣、やはり何らかの補償がこれ必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  109. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これこそ非常に難しい問題で、お気持ちはよく分かりますけれども、例えば、私の生まれたところは北九州市で、昔でいえば八幡ですから八幡製鉄所がある。もうそれは毎日のように焼夷弾が上から落ちてきた。たくさん一般の戦災者の方がおられます。こういう方に対してどうするのかということは、それは今、中国残留孤児とか原爆症の方々、特別な事情が、これはそれぞれ説明できる事情があります。  ですから、東京大空襲含めて全国各地でそういう、例えば焼夷弾によってお亡くなりになられた方々、これに国がどういう形で御支援するのかというのは非常に私は難しいというふうに思います。それはまさに戦争責任論までいって、それは国民全体が財政的にそういう負担をしてでも助けるということであればいいですけれども、非常に難しい問題だということをちょっと申し上げておきたいと思います。
  110. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、法の下の平等ということに照らせば、軍人軍属は補償されるけど民間被害者は補償されないというのはこれは法の下の平等に反すると思うんですよ。  特別な事情ということでいえば、私、空襲被害者の方からお話聞きました。やっぱり今も恐怖感が残っているというんですよ。今も外出して家に帰るときに、もしかして家がすべて焼けているんじゃないかと心配で脂汗が出るというような原告の方もいらっしゃるわけです。大やけどを隠して生きてきた女性、障害を負っている方も今もいらっしゃいます。苦しみは今も続いているわけです。  原告の皆さん、これもまた、七十代、八十代、多くは高齢なわけで、今自らの人生、命を懸けて、国の謝罪と補償、犠牲者を追悼する施設をということで裁判も起こされています。私は、これはもうまさに特別な事情に値すると。原爆の被害者と同じようにやっぱり様々な問題抱えていらっしゃる。法の下の平等ということに照らせばこういう人たちにも国としての補償がされるべきだというふうに思いますが、重ねて、やっぱりそういう方向を検討していくと、国としてね、考えていく必要があると私は思いますが、いかがですか。
  111. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 短めに答えます。  一つは、歴史の解釈、これは非常に難しい、戦争責任論です。それから、二つ目、私は法の下の平等ではないと思っております。国が徴用して国家のために武器を持たし戦わした軍属と一般の市民とは別だと、法の下には別だと思っております。
  112. 小池晃

    ○小池晃君 一般の市民も、やっぱり一億火の玉だといって戦争に協力させられたんですよ。空襲が終わった直後に配られた紙には何て書いてあるかと。これね、こういう焼け野原になっていよいよ何もなくなった、これから戦いだ、そういう文書を国が配っているんですよ。私は、軍人軍属だけじゃなくて一般市民だって同じように法の下の平等の下に救済されるべきだと、そういう議論を是非進めるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  113. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  朝鮮人労務者未払賃金についてお聞きをいたします。  供託金は一億六千七百七十九万円、有価証券が四千七百三十五万円、この金額も今も日本銀行で保管をしていると聞いております。これは労働者たちの労働の対価ですので、日本政府が持っているべきではないと思います。大臣、これをどう対処すべきとお考えですか。
  114. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 御指摘の供託金でございますが、これは終戦によります社会的混乱と朝鮮人労働者の居所不明等の事情のために、事業主がこれら労働者に対して支払うべき賃金等を支払うことができなくなっている場合に関しまして、できる限り供託手続を取るようということで関係企業に対する指導を行い、供託されたものでございます。散逸防止に努める、そういう目的の下で供託されたものでございまして、現在所管であります法務省において適切に取り扱われているものと考えております。
  115. 福島みずほ

    福島みずほ君 そんなことを聞いているんではないんです。それはもう分かっています。  そうではなく、大臣、これは日本政府が持ち続けるものではないと思いますが、どう対処をされるんですか。
  116. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 六十年以上前の労働関係をきちんと調べないといけない。それはだから、きちんとできれば、それは供託されたものは払えばいいんですけれども、まさにその調査が非常に難しいというのが今、現状なので、これは全力を挙げてやる必要はあると思っています。
  117. 福島みずほ

    福島みずほ君 全力を挙げてやっていただけるんですね。
  118. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 北朝鮮との関係もあります。相手もある話です。調査できる限りはやります。
  119. 福島みずほ

    福島みずほ君 法務省、では、供託金を返還するための資料をまとめるべきと考えますが、いかがですか。
  120. 團藤丈士

    政府参考人團藤丈士君) お尋ねの供託金につきましては、いわゆる政令二十二号供託につきましては東京法務局、それ以外のものにつきましては、それぞれの各地にございます地方法務局又はその支局、出張所におきまして、供託所としてその関係書類を保管しているところでございます。  何分、東京法務局で保管しております政令二十二号関係供託の書類につきましては膨大な量になってございます。また、そのような供託所で保管しております書類につきましても、他の一般の弁済供託等の書類と一括の保管となってございますので、その整理等々には相当の時間と労力を必要とするところでございます。  今後、どのような対応が可能かということも含めまして関係府省と御協議の上、検討してまいりたいと考えております。
  121. 福島みずほ

    福島みずほ君 この委員会でずっと、これ日本政府が持っておくべきものではなく、返すべきだという主張をしてきました。さっき大臣が努力をすると言ってくださいましたが、供託の書類が大変なことも全部承知をしております。ただ、何かの方策でどうやって返すのかということを政府部内で是非検討してくださるようお願いをいたします。  韓国政府真相究明委員会の延長を決めております。真相究明に関してどのような協議が持たれるのか、お聞かせください。
  122. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、日韓間の過去に起因する諸問題に人道的見地から対応する一環で、朝鮮半島出身の旧軍人軍属及び旧民間徴用者等の方々遺骨調査及び返還のための作業を鋭意進めてきております。こうした作業を実質的に進展させるため、平成十七年の五月以降、韓国政府との間で六回の政府間協議、それから六回の実務者協議を行ってきております。また、韓国政府より、太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律、この法律の施行等のために必要であるとして、日本側に保管されております厚生年金名簿や供託書等の情報提供が要請されております。平成十八年六月以降、三回の政府間協議と一回の実務者協議を行ってきております。  これらの協議の場以外にも外交ルートを通じまして韓国政府との間で随時やり取りは行ってきておりまして、外務省といたしましては、今後とも、関係省庁と相談しながら、韓国側の要請も踏まえ、こうした問題について協力すべく最大限努力してまいるつもりでございます。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 遺骨収集の話が今日も出ておりますが、朝鮮半島出身の旧民間徴用者の遺骨調査で、これはお寺、自治体の霊安所などの情報に基づいて調査を行っていただいておりますが、韓国政府に返還された遺骨はゼロです。今後の調査の予定はいかがでしょうか。
  124. 及川桂

    政府参考人及川桂君) お答え申し上げます。  遺骨関係取組でございますが、これまで十六年の日韓首脳会談を契機として、人道的観点から関係省庁で取り組んでおりまして、そのうち厚生労働省では、遺骨の所在情報収集及び現地に行っての実地調査を行ってきております。  遺骨の所在情報につきましては、これまで地方公共団体、宗教団体等から寄せられました情報を外務省を通じて随時韓国政府提供しておりまして、これまで千九百九体の御遺骨に関する情報を韓国政府に提出したところでございます。  また、遺骨の所在情報収集と並行しまして、現地で行う実地調査につきまして、これまで百十三回、四百八十一体の御遺骨について実施しまして、これにより得られた本籍地等の情報につきましては、外務省を通じて韓国政府提供したところでございます。  今後とも、残る実地調査につきまして、鋭意進めてまいりたいと考えております。
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、野党で、シベリア抑留者、これは谷先生など非常に努力していただいて、シベリア抑留者の問題に関して法案を出しました。戦争は人間にとって最大の被害であって、そして、解決された問題もありますが、積み残された問題もたくさんあります。いわゆる従軍慰安婦とされた人の問題やシベリア抑留者の人たちの問題、それから今日も出た東京大空襲、それから大阪大空襲、裁判が起きておりまして、私も原告の人たちとよく話をしております。戦争の惨禍があったときに、軍人軍属として行った人たちは本当に亡くなって大変だった。しかし、いろんなところで積み残した問題があり、ドイツやヨーロッパのそれこそ国会議員と話をしますが、戦後補償の体系が日本は全く違うんですね。民間人の犠牲、原爆は救済されている、これはもちろん大事な問題ですが、じゃ大空襲の被害はなぜ救済しないのか、いかがですか。
  126. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、直接お答えする前に、私はヨーロッパの歴史をずっと勉強してきました。ドイツとフランスは普仏戦争、第一次大戦、第二次大戦戦ってきた。世界大戦の引き金を引いたのはこの二つです。今何をやっているか。ドイツとフランスで共同で歴史の教科書を作っています。これは今、日本語の翻訳も出ていますので、是非お読みいただきたいんですけれども、両国民の間でそういう努力で二度と戦争を起こすまい、そして、それは戦後、ロベール・シューマンを始め皆さん方の努力が今のヨーロピアンユニオン、通貨まで一緒になるところになりました。そういうような努力をアジアの諸国もやるべき時期に来ていると思います。  したがって、そういう中で、じゃ、一般の戦災者はどうするのか、どういう形でこれは救うのかということを含めて議論をすればいいというふうに思っていますから、ヨーロッパの国民のリコンシリエーションという、和解のための努力というのを私たちもやらないといけない。やっとこれは、教科書については中国、韓国と今努力を進めているところでありますので、そういう観点から今後とも戦争ということを二度と忘れない、風化させない努力は必要だというふうに思います。
  127. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  128. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  129. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会